(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】画像形成装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241112BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241112BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G03G21/00 384
B41J29/38 204
B41J29/38 202
B65H7/02
(21)【出願番号】P 2020072946
(22)【出願日】2020-04-15
【審査請求日】2023-02-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻本 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼津 宏明
(72)【発明者】
【氏名】生田 克行
(72)【発明者】
【氏名】玉田 武司
(72)【発明者】
【氏名】林 明洋
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-044381(JP,A)
【文献】特開平04-080771(JP,A)
【文献】特開2008-197586(JP,A)
【文献】特開2020-046519(JP,A)
【文献】特開2002-091237(JP,A)
【文献】特開2018-180444(JP,A)
【文献】特開2010-198013(JP,A)
【文献】特開2010-086001(JP,A)
【文献】特開2003-316184(JP,A)
【文献】特開2018-005097(JP,A)
【文献】特開2011-225353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00-29/70
G03G 15/02
15/14-15/16
15/20
21/00-21/02
21/14
21/20
B65H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成するプリントエンジンと、
画像形成の指示に応じて、前記プリントエンジンの動作を制御するコントローラーと、
前記プリントエンジンによって画像を形成されるシートの特性を取得するセンサーと、を備え、
前記コントローラーには、前記センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類に対応する2以上の坪量のそれぞれに対して、前記プリントエンジンの制御について、予め定められた2以上の設定が格納されており、
前記2以上の設定は、
第1の坪量に対応する第1の設定と、
前記第1の坪量より大きい第2の坪量に対応する第2の設定と、
前記第1の坪量より小さい坪量に対応する第3の設定と、
前記第2の坪量より大きい坪量に対応する第4の設定と、を含み、
前記コントローラーは、
前記指示が所与の情報を含む場合には、前記指示に応じた画像形成において、
前記センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類
が前記第1の坪量より小さい坪量に対応する種類である場合には、前記第1の設定を含む態様で、
前記センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類が前記第1の坪量に対応する種類である場合には、前記第1の設定を含む態様で、
前記センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類が前記第2の坪量に対応する種類である場合には、前記第2の設定を含む態様で、
前記センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類が前記第2の坪量より大きい坪量に対応する種類である場合には、前記第2の設定を含む態様で、
前記プリントエンジンを制御し、
前記
2以上の設定
の各々は、前記プリントエンジンにおける帯電電圧および露光強度の設定値を含
み、
前記所与の情報は、長尺シートの指定を含み、
前記プリントエンジンは、シートに画像を転写する転写工程と、シートに転写された画像をシートに定着させる定着工程と、前記転写工程と前記定着工程の間でシートにたわみを形成させるたわみ工程とを実行可能であり、
前記第1の設定を含む態様および前記第2の設定を含む態様は、前記たわみ工程を含まない、画像形成装置。
【請求項2】
前記コントローラーは、前記指示が前記所与の情報を含まない場合には、前記
センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類に対して予め定められた態様で前記プリントエンジンを制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
外部機器と通信するための通信インターフェースをさらに備え、
前記コントローラーは、前記指示を、前記通信インターフェースを介した外部機器から取得する、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記
第1の設定を含む態様および前記第2の設定を含む態様は、長尺シートに対応した態様である、請求項1~請求項
3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プリントエンジンは、シートに画像を転写する転写工程と、シートに転写された画像をシートに定着させる定着工程と、前記転写工程と前記定着工程の間でシートにたわみを形成させるたわみ工程とを実行可能である、請求項1~請求項
4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記
第1の設定および前記第2の設定は、前記たわみ工程を省略された設定を含む、請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記コントローラーは、前記センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類がOHPシートである場合、厚紙について予め定められた態様で前記プリントエンジンを制御する、請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の設定および前記第2の設定は、搬送速度
を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像形成装置のコンピューターによって実行されることにより、前記画像形成装置に、
画像形成の指示を受け付けるステップと、
前記指示が所与の情報を含むか否かを判断するステップと、
前記
画像形成装置のプリントエンジンを動作させるステップと、を実行させ、
前記コンピューターには、前記プリントエンジンによって画像を形成されるシートの特性を取得するセンサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類
に対応する2以上の坪量のそれぞれに対して、前記プリントエンジンの制御について、予め定められた2以上の設定が格納されており、
前記2以上の設定は、
第1の坪量に対応する第1の設定と、
前記第1の坪量より大きい第2の坪量に対応する第2の設定と、
前記第1の坪量より小さい坪量に対応する第3の設定と、
前記第2の坪量より大きい坪量に対応する第4の設定と、を含み、
前記
2以上の設定
の各々は、前記プリントエンジンにおける帯電電圧および露光強度の設定値を含
み、
前記プリントエンジンを動作させるステップは、
前記指示が所与の情報を含む場合に、前記指示に応じた画像形成において、
前記センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類が前記第1の坪量より小さい坪量に対応する種類である場合には、前記第1の設定を含む態様で、
前記センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類が前記第1の坪量に対応する種類である場合には、前記第1の設定を含む態様で、
前記センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類が前記第2の坪量に対応する種類である場合には、前記第2の設定を含む態様で、
前記センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類が前記第2の坪量より大きい坪量に対応する種類である場合には、前記第2の設定を含む態様で、
前記プリントエンジンを動作させることを含み、
前記所与の情報は、長尺シートの指定を含み、
前記プリントエンジンは、シートに画像を転写する転写工程と、シートに転写された画像をシートに定着させる定着工程と、前記転写工程と前記定着工程の間でシートにたわみを形成させるたわみ工程とを実行可能であり、
前記第1の設定を含む態様および前記第2の設定を含む態様は、前記たわみ工程を含まない、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関し、特に、画像を形成されるシートの種類を特定する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のMFP(Multi-Functional Peripheral)等の画像形成装置について、特開2010-024047号公報(特許文献1)および特開2012-181223号公報(特許文献2)は、画像形成装置において画像を形成されるシートの種類を特定する技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-024047号公報
【文献】特開2012-181223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置は、シートの種類を特定すると、画像形成動作において、特定された種類に応じた各種のパラメーターを設定し得る。しかしながら、シートの種類が誤って特定される場合もあり得る。このような場合、誤って特定された種類に対応した設定に従って画像形成動作が実行されると不都合が生じる場合もあれば、不都合が無い場合もあり得る。
【0005】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、シートの種類が誤って特定されることを考慮した画像形成装置の制御を実現するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従うと、シートに画像を形成するプリントエンジンと、画像形成の指示に応じて、プリントエンジンの動作を制御するコントローラーと、プリントエンジンによって画像を形成されるシートの特性を取得するセンサーと、を備え、コントローラーは、指示が所与の情報を含む場合には、指示に応じた画像形成において、センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類について予め定められた態様が含む設定とは異なる設定を含む態様でプリントエンジンを制御する、画像形成装置が提供される。
【0007】
コントローラーは、指示が所与の情報を含まない場合には、予め定められた態様でプリントエンジンを制御してもよい。
【0008】
画像形成装置は、外部機器と通信するための通信インターフェースをさらに備えていてもよい。コントローラーは、指示を、通信インターフェースを介した外部機器から取得してもよい。
【0009】
所与の情報は、長尺シートの指定を含んでいてもよい。
異なる設定を含む態様は、長尺シートに対応した態様であってもよい。
【0010】
プリントエンジンは、シートに画像を転写する転写工程と、シートに転写された画像をシートに定着させる定着工程と、転写工程と定着工程の間でシートにたわみを形成させるたわみ工程とを実行可能であってもよい。
【0011】
異なる設定は、たわみ工程を省略された設定を含んでいてもよい。
コントローラーは、指示が所与の情報を含む場合であって、センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類が所与の坪量より低い坪量に対応する種類である場合、所与の坪量に対応する種類について予め定められた態様でプリントエンジンを動作させてもよい。
【0012】
プリントエンジンは、シートに画像を転写する転写工程と、シートに転写された画像をシートに定着させる定着工程と、転写工程と定着工程の間でシートにたわみを形成させるたわみ工程とを実行可能であってもよい。所与の坪量に対応する種類について予め定められた態様は、たわみ工程を含まなくてもよい。
【0013】
コントローラーは、指示が所与の情報を含む場合であって、センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類が第1の坪量以上であり第1の坪量より大きい第2の坪量以下である特定の坪量に対応する種類である場合、特定の坪量に対応する種類について予め定められた態様でプリントエンジンを動作させてもよい。
【0014】
プリントエンジンは、シートに画像を転写する転写工程と、シートに転写された画像をシートに定着させる定着工程と、転写工程と定着工程の間でシートにたわみを形成させるたわみ工程とを実行可能であってもよい。特定の坪量に対応する種類について予め定められた態様は、たわみ工程を含まなくてもよい。
【0015】
コントローラーは、指示が所与の情報を含む場合であって、センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類が第2の坪量を超える坪量に対応する種類である場合、第2の坪量に対応する種類について予め定められた態様でプリントエンジンを動作させてもよい。
【0016】
プリントエンジンは、シートに画像を転写する転写工程と、シートに転写された画像をシートに定着させる定着工程と、転写工程と定着工程の間でシートにたわみを形成させるたわみ工程とを実行可能であってもよい。第2の坪量に対応する種類について予め定められた態様は、たわみ工程を含まなくてもよい。
【0017】
コントローラーは、センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類がコート紙である場合、厚紙について予め定められた態様でプリントエンジンを制御してもよい。
【0018】
コントローラーは、センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類がOHPシートである場合、厚紙について予め定められた態様でプリントエンジンを制御してもよい。
【0019】
プリントエンジンは、シートに画像を転写する転写工程と、シートに転写された画像をシートに定着させる定着工程と、転写工程と定着工程の間でシートにたわみを形成させるたわみ工程とを実行可能であってもよい。コントローラーは、指示が所与の情報を含む場合であって、センサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類が第1の坪量より低い第2の坪量に対応する種類である場合、特定の態様でプリントエンジンを制御してもよい。特定の態様では、シートの搬送速度は第2の坪量に対応する種類について予め定められた搬送速度であってもよい。特定の態様は、たわみ工程を含まなくてもよい。
【0020】
本開示の他の局面に従うと、画像形成装置のコンピューターによって実行されることにより、画像形成装置に、画像形成の指示を受け付けるステップと、指示が所与の情報を含むか否かを判断するステップと、指示が所与の情報を含む場合には、画像形成装置のプリントエンジンによって画像を形成されるシートの特性を取得するセンサーが取得した特性に基づいて特定されるシートの種類について、予め定められた態様が含む設定とは異なる設定を含む態様で、プリントエンジンを動作させるステップと、を実行させる、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、画像形成の指示が所与の情報を含む場合には、当該指示に応じた画像形成において、プリントエンジンは、特定されたシートの種類について予め定められた態様が含む設定とは異なる設定を含む態様で制御される。これにより、ユーザーは、画像形成の指示に所与の情報を含ませておけば、シートの種類が誤って特定されても、誤って特定された種類に応じて画像形成動作が実行されることによる不都合を回避し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施の形態に従う画像形成装置100の一構成例を示す図である。
【
図2】画像形成装置100内のメディア検知センサー55の一部の第1の例を示す図である。
【
図3】画像形成装置100内のメディア検知センサー55の一部の第2の例を示す図である。
【
図4】画像形成装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】画像形成に関する設定情報のデータ構造一例を示す図である。
【
図6】プリンタードライバーの印刷設定画面の一例を示す図である。
【
図7】画像形成装置100における印刷設定画面の一例を示す図である。
【
図8】画像形成装置100における画像形成処理の一例のフローチャートである。
【
図9】用紙種類の特定のための処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照しつつ、画像形成装置の一実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0024】
[画像形成装置の構成]
図1は、本実施の形態に従う画像形成装置100の一構成例を示す図である。
図1を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置100の装置構成について説明する。画像形成装置100は、プリントエンジン110と、スキャンユニット120と、排出トレイ130と、操作パネル60とを備える。
【0025】
プリントエンジン110は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、キー・プレート(K)のそれぞれのトナー像を形成するイメージングユニット10C,10M,10Y,10K(以下、「イメージングユニット10」と総称することもある)と、中間転写ベルト12と、中間転写体駆動ローラー14,16と、ベルトクリーニング部18と、転写ローラー20,21と、定着部22と、給紙部30と、送出ローラー32と、搬送ローラー34と、レジストローラー36と、コントローラー50と、記憶装置51と、メディア検知センサー55とを含む。イメージングユニット10は、感光体1と、帯電部2と、露光部3と、現像部4(対応するイメージングユニット10が形成するトナー像の色に対応させて、4C、4M、4Y、4Kとそれぞれ記載する)と、クリーニング部5と、中間転写体接触ローラー6とを含む。スキャンユニット120は、イメージスキャナー122と、原稿給紙台124と、自動原稿送り装置126と、原稿排紙台128とを含む。
【0026】
プリントエンジン110は、給紙部30内の媒体40に対して印刷処理を行う。送出ローラー32は、媒体40を給紙部30から搬送する。さらに、搬送ローラー34は、媒体40を転写ローラー20,21に向けて搬送する。なお、画像形成装置100は、手差しトレイを含んでもよく、プリントエンジン110は、当該手差しトレイにセットされた媒体40に対して印刷処理を行なってもよい。
【0027】
レジストローラー36は、転写ローラー20,21の手前で、媒体40の搬送タイミングを調節する。メディア検知センサー55は、レジストローラー36の手前で、搬送されてくる媒体40の種類を検知する。メディア検知センサー55は、複数のセンサーの組み合わせによって、実現されてもよい。ある局面において、メディア検知センサー55は、光学センサーと、超音波センサーとを備えてもよい。その場合、コントローラー50は、媒体40における光の透過率、反射率に基づいて、媒体の坪量または厚み等を判別し得る。さらに、コントローラー50は、媒体40における超音波の透過量に基づいて、媒体40の種類、特に封筒であるか否かを判別し得る。
【0028】
転写ローラー20,21は、媒体40にトナー像を転写する。定着部22は、媒体40に定着処理を行う。最後に、媒体40は、排出トレイ130に排出される。各イメージングユニット10および中間転写ベルト12は、媒体40に転写されるトナー像を形成する。帯電部2は、感光体1の表面を一様に帯電する。露光部3は、レーザー書き込み等により、指定された画像パターンに従って感光体1の表面を露光することで、その表面上に静電潜像を形成する。現像部4は、像担持体である感光体1上に形成された静電潜像をトナー像として現像する。
【0029】
感光体1の表面に形成されたトナー像は、中間転写体接触ローラー6によって中間転写ベルト12に転写される(以下、「一次転写」ともいう)。中間転写ベルト12上には、それぞれの感光体1からトナー像が順次転写されて、4色のトナー像が重ね合わされることになる。重ね合わされたトナー像は、転写ローラー20,21によって、中間転写ベルト12から媒体40へ転写される(以下、「二次転写」ともいう)。
【0030】
スキャンユニット120は、原稿を読み取って、その読み取り結果をプリントエンジン110に対する入力画像として出力する。イメージスキャナー122は、プラテンガラス上に配置された原稿をスキャンする。自動原稿送り装置126は、原稿給紙台124に配置された原稿を連続的にスキャンする。原稿給紙台124上に配置された原稿は、送出ローラー(図示しない)により1枚ずつ送られ、イメージスキャナー122または自動原稿送り装置126内に配置されたイメージセンサーによって順次スキャンされる。スキャン後の原稿は、原稿排紙台128へ排出される。コントローラー50は、画像形成装置100全体を制御する。記憶装置51は、コントローラー50によって参照されるデータおよびコントローラー50によって実行されるプログラムを格納する。
【0031】
操作パネル60は、タッチパネル61と、ボタン操作部62とを含む。タッチパネル61では、タッチセンサーが液晶モニター等に組み込まれており、操作メニューを表示すると共に、ユーザーからのタッチによる入力を受付ける。ボタン操作部62は、複数のボタンを設けられており、タッチパネルと同様に、ユーザーからの入力を受付ける。
【0032】
図2は、画像形成装置100内のメディア検知センサー55の一部の第1の例を示す図である。
図2では、レジストローラー36より上流の搬送路に沿って、光学センサー201が設けられている。光学センサー201は、メディア検知センサー55の一例であり、主に、媒体40の坪量等を検知するために使用され得る。
【0033】
光学センサー201は、送信側光学センサー201Aと、受信側光学センサー201Bとを含む。送信側光学センサー201Aは、媒体40が送信側光学センサー201Aおよび受信側光学センサー201Bの間に位置するときに、光を媒体40の方向に照射する。送信側光学センサー201Aから照射された光の一部は、媒体40を通過して、受信側光学センサー201Bに受信される。コントローラー50は、受信側光学センサー201Bが受信した光の量に基づいて、媒体40の坪量等を検知する。
【0034】
コントローラー50は、検知した媒体40の坪量に基づいて、媒体40の種別を判定し得る。ある局面において、コントローラー50は、記憶装置51から、坪量の範囲および媒体40の種類を関連付けた媒体判別情報を参照してもよい。その場合、コントローラー50は、媒体判別情報と、検知した媒体40の坪量とに基づいて、媒体40の種別を判定し得る。
【0035】
図3は、画像形成装置100内のメディア検知センサー55の一部の第2の例を示す図である。
図3では、レジストローラー36より上流の搬送路に沿って、超音波センサー301が設けられている。超音波センサー301は、メディア検知センサー55の一例であり、主に、媒体40が封筒であるか否かを検知するために使用され得る。
【0036】
超音波センサー301は、送信側超音波センサー301Aと、受信側超音波センサー301Bとを含む。送信側超音波センサー301Aは、媒体40が送信側超音波センサー301Aおよび受信側超音波センサー301Bの間に位置するときに、超音波を媒体40の方向に発する。送信側超音波センサー301Aから発せられた超音波の一部は、媒体40を通過して、受信側超音波センサー301Bに受信される。媒体40が封筒以外の紙の場合、送信側超音波センサー301Aから発せられた超音波は、ある程度、媒体40を通過して、受信側超音波センサー301Bに受信される。
【0037】
これに対し、媒体40が封筒の場合、受信側超音波センサー301Bが受信する超音波の量は、媒体40が封筒以外の紙の場合と比較して、著しく減少する。なぜならば、送信側超音波センサー301Aから発せられた超音波の大半は、封筒内の空気の層に遮断されて、受信側超音波センサー301Bまで届かないためである。
【0038】
[ハードウェア構成]
図4は、画像形成装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4に示されるように、画像形成装置100では、記憶装置51、メディア検知センサー55、操作パネル60、プリントエンジン、およびスキャンユニット120は、コントローラー50に接続され、これらの動作はコントローラー50によって制御される。
【0039】
コントローラー50は、CPU(Central Processing Unit)101と、制御プログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)102と、演算データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)103と、プリントエンジン110のイメージングユニット10C,10M,10Y,10Kで形成されるトナー画像の基となる画像データを生成する画像処理部104と、画像処理部104で得られた画像データを一時的に記憶する画像メモリ105と、信号の送受信を行う入出力インターフェース106と、を含む。コントローラー50は、入出力インターフェース106を介して、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNT上の外部機器と通信する。
【0040】
[印刷設定]
図5は、画像形成に関する設定情報のデータ構造一例を示す図である。コントローラー50は、プリントエンジン110に媒体40へ画像を形成させる場合、メディア検知センサー55の検知出力に基づいて媒体40の種類を特定し、特定された種類に従ってプリントエンジン110を制御することができる。
図5に示される設定情報は、プリントエンジン110の制御に利用され得る。
【0041】
図5の例では、媒体40について、7つの種類(用紙種類)のそれぞれに、画像形成に関する設定が関連付けられている。
【0042】
より具体的には、
図5の例では、用紙種類として、坪量の小さい方から「普通紙」「普通紙+」「厚紙1」「厚紙1+」「厚紙2」「厚紙3」および「厚紙4」が挙げられている。
図5には、各用紙種類に対する画像形成の設定の項目の具体例として「搬送速度」「画像パラメーター」および「定着ループ制御」が挙げられている。
【0043】
「搬送速度」は、プリントエンジン110における媒体40の搬送速度を表す。
図5では、「V01」等の、用紙種類ごとの搬送速度の目標値が示される。画像形成装置100では、当該目標値を実現するためのモーター等の具体的な制御パラメーターが設定され得る。
【0044】
「画像パラメーター」は、プリントエンジン110における画像形成の条件を表す。
図5では、画像パラメーターとして、「G01」等の、用紙種類ごとのパラメーターセットを特定する情報が示される。一実現例では、当該パラメーターセットは、帯電部2における帯電電圧、露光部3における露光強度などの、各種の設定値に対応する。
【0045】
「定着ループ制御」は、二次転写から定着までの期間において、媒体40の中間部にたわみを形成する制御を表す。一実現例では、定着ループ制御は、媒体40の先端部を把持するローラーの回転速度を媒体40の後端部を把持するローラーの回転速度より低くすることによって実現される。形成されるたわみの量は、先端部のローラーと後端部のローラーの回転速度の差を調整することによって調整され得る。
図5では、用紙種類ごとの、定着ループ制御の有無が示される。より具体的には、
図5では、媒体の種類の検知結果が「普通紙」および「普通紙+」である場合、定着ループ制御の設定は「有」であり、このことは、定着ループ制御が実行されるように設定されていることを表す。媒体の種類の検知結果が「厚紙1」「厚紙1+」「厚紙2」「厚紙3」および「厚紙4」である場合、定着ループ制御の設定は「無」であり、このことは、定着ループ制御が実行されるように設定されていることを表す。
【0046】
[印刷指示における設定]
図6は、プリンタードライバーの印刷設定画面の一例を示す図である。画像形成装置100は、パーソナルコンピューターなどの外部機器から、プリントジョブなどの形態で、印刷指示(画像形成の指示)を取得し得る。
図6の印刷設定画面600は、外部機器から画像形成装置100へプリントジョブが送信される際の画面の一例である。
【0047】
コントローラー50は、プリントエンジン110に画像を形成させる場合、印刷指示に含まれる情報に従ってプリントエンジン110を制御することができる。
【0048】
図6に示されるように、印刷設定画面600は、その中央部に「用紙サイズ」のための設定欄を含む。「用紙サイズ」は、画像形成装置100が使用する媒体40のサイズを指定する。
図6の例では、当該設定欄には設定値「長尺01」が示されている。この設定値は、媒体40のサイズとして、長尺シートの一種として「長尺01」の符号に予め関連付けられたサイズを指定する。一実現例では、長尺シートは、A4やA3などの一般的な媒体40のサイズよりも縦または横の少なくとも一方において長い寸法を有するシートを意味する。
【0049】
印刷設定画面600は、「用紙サイズ」のための設定欄より下方に、「給紙トレイ」のための設定欄および「用紙種類」のための設定欄を含む。「給紙トレイ」は、画像形成装置100における媒体40の給紙元の位置を指定する。
図6の例では、「給紙トレイ」のための設定欄には設定値「手差し」が示されている。この設定値は、画像形成装置100の媒体40の給紙元として手差しトレイを指定する。
図6の例では、「用紙種類」のための設定欄には設定値「厚紙1+」が示されている。この設定値は、画像形成装置100に対して、「厚紙1+」の条件に従って媒体40に画像を形成することを指定する。
【0050】
図6では、「用紙種類」のための設定欄についてプルダウンメニューが示されている。ユーザーは、このプルダウンメニューから「用紙種類」の設定値を選択し得る。印刷設定画面600は、「用紙サイズ」および「給紙トレイ」のそれぞれの設定値についても、同様にプルダウンメニューを提供し得る。
【0051】
図7は、画像形成装置100における印刷設定画面の一例を示す図である。画像形成装置100は、コピージョブなど、ユーザーが画像形成装置100に直接指示を入力するジョブについても、印刷設定の入力を受け付ける。
図7の印刷設定画面700は、タッチパネル61に表示される画面の一例である。
【0052】
印刷設定画面700は、
図6を参照して説明された印刷設定画面600と同様に、「用紙サイズ」「給紙トレイ」および「用紙種類」のそれぞれの設定値を入力するための設定欄を含む。
【0053】
[画像形成の態様の設定]
コントローラー50は、
図6または
図7に示された印刷設定画面を介して画像形成の指示を受け付けた場合、当該指示に含まれる用紙種類に従ってプリントエンジン110の制御態様を決定することもできるし、メディア検知センサー55が取得した検知結果に基づいて特定された用紙種類に従ってプリントエンジン110の制御態様を決定することもできる。一実現例では、コントローラー50は、画像形成の指示に含まれる用紙種類よりもメディア検知センサー55が取得した検知結果に基づいて特定される用紙種類を優先して、プリントエンジン110の制御態様を設定する場合がある。このような場合において、コントローラー50は、画像形成の指示が用紙サイズとして「長尺シート」を指定するとき、用紙種類について予め定められた設定に対して変更を加えてもよい。このような観点を含む画像形成処理について、以下、
図8を参照して説明する。
【0054】
図8は、画像形成装置100における画像形成処理の一例のフローチャートである。一実現例では、画像形成装置100は、コントローラー50のCPU101に所与のプログラムを実行させることにより、
図8の処理を実行する。なお、コントローラー50は、ASIC(application specific integrated circuit)またはFPGA(field-programmable gate array)などの専用回路を含んでいてもよく、画像形成装置100は、当該専用回路によって
図8の処理を実行してもよい。
【0055】
ステップS100にて、コントローラー50は、画像形成の指示を取得したか否かを判断する。画像形成の指示は、画像形成装置100におけるコピーまたはプリントの指示であってもよいし、外部機器からのプリントジョブであってもよい。コントローラー50は、画像形成の指示を取得していないと判断すると(ステップS100にてNO)、取得したと判断するまでステップS100に制御を留め、画像形成の指示を取得したと判断すると(ステップS100にてYES)、ステップS102へ制御を進める。
【0056】
ステップS102にて、コントローラー50は、画像形成の指示は、用紙サイズとして長尺シートの指定を含むか否かを判断する。一実現例では、ユーザーは、
図6または
図7に示された印刷設定画面において用紙サイズを指定でき、印刷設定画面における指定は画像形成の指示に含められ得る。
【0057】
コントローラー50は、画像形成の指示が用紙サイズとして長尺シートの指定を含まないと判断すると(ステップS102にてNO)、ステップS110へ制御を進め、画像形成の指示が用紙サイズとして長尺シートの指定を含むと判断すると(ステップS102にてYES)、ステップS104へ制御を進める。
【0058】
ステップS104にて、コントローラー50は、メディア検知センサー55の検知出力に基づいて特定された媒体40(ステップS100において取得された指示に従って搬送を開始された媒体40)の用紙種類を確認する。そして、コントローラー50は、特定された媒体40の用紙種類が、「普通紙」または「普通紙+」であればステップS106へ制御を進め、「厚紙4」であればステップS108へ制御を進め、「厚紙1」「厚紙1+」「厚紙2」または「厚紙3」であればステップS110へ制御を進める。
【0059】
ステップS106にて、コントローラー50は、画像形成の設定として、定着ループ制御を「無」に設定し、その他の項目(たとえば、
図5の「搬送速度」および「画像パラメーター」)は「厚紙1」のものを採用する。その後、コントローラー50は、ステップS112へ制御を進める。
【0060】
ステップS107にて、コントローラー50は、画像形成の設定として、「厚紙3」の設定内容(たとえば、
図5における「厚紙3」の「搬送速度」「画像パラメーター」および「定着ループ制御」)を用いて画像形成の態様を設定する。その後、コントローラー50は、ステップS112へ制御を進める。
【0061】
ステップS108にて、コントローラー50は、画像形成の設定として、メディア検知センサー55の検知出力に基づいて特定される用紙種類の設定内容(
図5参照)を用いて画像形成の態様を設定する。その後、コントローラー50は、ステップS112へ制御を進める。
【0062】
ステップS112にて、コントローラー50は、ステップS106、ステップS108またはステップS110において設定した態様でプリントエンジン110を制御することにより、ステップS100において取得された指示に基づく画像形成を実行する。その後、コントローラー50は
図8の処理を終了させる。
【0063】
以上、
図8を説明して説明された処理において、コントローラー50は、画像形成の指示が、用紙サイズとして長尺シートの指定を含むか否かを判断する。用紙サイズとして長尺シートの指定を含まない場合、コントローラー50は、メディア検知センサー55の検知出力に基づいて特定される用紙種類の設定(
図5)に従った態様でプリントエンジン110に画像を形成させる。
【0064】
コントローラー50は、画像形成の指示が用紙サイズとして長尺シートの指定を含む場合、メディア検知センサー55の検知出力に基づいて特定される用紙種類の設定の少なくとも一部に変更を加えた態様で、プリントエンジン110に画像を形成させてもよい。
【0065】
たとえば、画像形成の指示が用紙サイズとして長尺シートの指定を含む場合であって、メディア検知センサー55の検知出力に基づいて特定される用紙種類が「普通紙」である場合、全ての設定が「厚紙1」の設定へと変更される(ステップS106)。なお、ステップS106において、定着ループ制御の設定のみ「厚紙1」のものに変更され、その他の設定(「搬送速度」および「画像パラメーター」)については「普通紙」のものが採用されてもよい。
【0066】
なお、画像形成の指示における「用紙サイズとして長尺シートの指定」は、「所与の情報」の一例である。本開示では、コントローラー50は、画像形成の指示が所与の情報を含まない場合には、メディア検知センサー55の検知出力に基づいて特定される用紙種類の設定通りにプリントエンジン110を制御し、画像形成の指示が所与の情報を含む場合には、上記のように特定される用紙種類の設定に対して少なくとも一部を変更した態様でプリントエンジン110を制御する。これにより、メディア検知センサー55の検知出力に基づいて用紙種類が誤って特定されることが想定される場合に、想定される誤りを補正するようにプリントエンジン110の制御態様を調整し得る。
【0067】
たとえば、コントローラー50が、メディア検知センサー55の検知出力に基づいて用紙種類を特定すると、「厚紙1」のシートを「普通紙」と誤って特定することが想定される場合について検討する。この場合、「厚紙1」のシートに対して「普通紙」の設定に従って制御されたプリントエンジン110が画像を形成すると、画像形成後のシートに「しわ」が発生し得る。画像形成後のシートが装飾用で利用される場合、シートに「しわ」が発生すると、当該シートは廃棄され得る。長尺シートは他の用紙サイズのシートと比較して高額である場合が多い。
【0068】
本開示では、実際に利用されるシートが「厚紙1」である場合であって、当該シートの用紙種類が「普通紙」と誤って特定された場合でも、画像形成の指示に用紙サイズとして「長尺シート」を指定する情報が含まれていれば、上記「しわ」の原因になり得る「定着ループ制御」の実行が回避される。すなわち、本開示では、メディア検知センサー55の検知出力に基づいた用紙種類に誤りが生じても、上記「しわ」の原因となる工程(定着ループ制御)の実行が回避されるように、設定が変更され得る。すなわち、「定着ループ制御」を含まない印刷設定は、用紙サイズ「長尺シート」に対応した制御態様の一例である。そして、「定着ループ制御」は、転写工程(2次転写)と定着工程(定着部22を利用した定着処理)の間に実行される「たわみ工程」の一例である。
【0069】
また、
図8の処理では、画像形成の指示に用紙サイズ「長尺シート」の指定が含まれる場合であって、メディア検知センサー55の検知出力に基づいて特定される用紙種類が「厚紙1」より坪量の小さい種類(「普通紙」または「普通紙+」)である場合には、プリントエンジン110は、「厚紙1」について登録された設定(
図5)に従って制御され得る(ステップS106)。なお、「厚紙1」について登録された設定(
図5)では、「定着ループ制御」の値は「無」である。すなわち、「厚紙1」について登録された設定は、「定着ループ制御」を含まない。
【0070】
また、
図8の処理では、画像形成の指示に用紙サイズ「長尺シート」の指定が含まれる場合であって、メディア検知センサー55の検知出力に基づいて特定される用紙種類の坪量が第1の量(「厚紙1」に対応する坪量)以上であって第1の量より大きい第2の量(「厚紙3」に対応する坪量)以下である場合、コントローラー50は、メディア検知センサー55の検知出力に基づいて特定される用紙種類について登録されている設定を利用してプリントエンジン110を制御する(ステップS110)。すなわち、メディア検知センサー55の検知出力に基づいて特定された用紙種類が「厚紙1」「厚紙1+」「厚紙2」または「厚紙3」であれば、特定された用紙種類について登録されている設定に従ってプリントエンジン110が制御される。なお、
図5に示されるように、「厚紙1」「厚紙1+」「厚紙2」および「厚紙3」の設定では、「定着ループ制御」の値は「無」である。すなわち、「厚紙1」「厚紙1+」「厚紙2」および「厚紙3」について登録された設定は、「定着ループ制御」を含まない。
【0071】
また、
図8の処理では、画像形成の指示に用紙サイズ「長尺シート」の指定が含まれる場合であって、メディア検知センサー55の検知出力に基づいて特定される用紙種類の坪量が第2の量(「厚紙3」に対応する坪量)より大きい場合、コントローラー50は、第2の量の坪量に対応する設定(すなわち、「厚紙3」に関連付けられた設定)を利用してプリントエンジン110を制御する(ステップS108)。
図5に示されるように、「厚紙3」について登録された設定は、「定着ループ制御」を含まない。
【0072】
[用紙種類の特定の変形例]
画像形成装置100は、
図5に示された7種類のそれぞれについて、コーティングの有無で区別して用紙種類を特定することができ、さらに、「OHP(オーバーヘッドプロジェクター)用シート」「封筒」「再生紙」「薄紙」を特定することができる。
【0073】
図9は、用紙種類の特定のための処理のフローチャートである。コントローラー50は、ステップS200にて、シートがメディア検知センサー55に到達する前に先端検知センサーがシートの先端を検知したか否かを判断する。この例において、画像形成装置100は、シートの搬送経路において、メディア検知センサー55よりも上流側にシートの先端を検知する先端検知センサーを含む。先端検知センサーは、たとえば、光学的にシートの先端を検知し、搬送経路の一方側からの投光が他方側で検知されたか否かを表す信号をコントローラー50へ出力する。コントローラー50は、当該信号に基づいて、シートの先端が先端検知センサーを通過したか否かを判断し、シートの先端が通過したことにより、シートの先端が先端検知センサーによって検知されたと判断する。
【0074】
コントローラー50は、ステップS200にて、シートがメディア検知センサー55に到達する前に先端検知センサーがシートの先端を検知したと判断すると(ステップS200にてYES)、ステップS204へ制御を進め、そうでなければ(ステップS200にてNO)、ステップS202へ制御を進める。
【0075】
ステップS202にて、コントローラー50は、シートの用紙種類として「OHP用シート」を特定し、
図9の処理を終了させる。メディア検知センサー55は、超音波を利用して用紙種類の検知のための信号を生成する要素を含む。OHP用シートは比較的透過率の高い材料から構成されるため、先端検知センサーによって検知されない場合であっても、超音波を利用した信号によっては検知され得る場合がある。
【0076】
ステップS204にて、コントローラー50は、メディア検知センサー55からの出力についての封筒検知用の演算の結果(演算結果)が予め定められた封筒検知用の閾値(封筒検知閾値)以上であるか否かを判断する。コントローラー50は、出力信号が封筒検知閾値以上であれば(ステップS204にてYES)、ステップS206へ制御を進め、そうでなければ(ステップS204にてNO)、ステップS208へ制御を進める。
【0077】
ステップS206にて、コントローラー50は、シートの用紙種類として「封筒」を特定し、
図9の処理を終了させる。
【0078】
ステップS208にて、コントローラー50は、メディア検知センサー55が取得したシートからの反射光について、反射率が所与の閾値以上であるか否かを判断する。コントローラー50は、上記反射率が上記閾値以上であると判断すると(ステップS208にてYES)、ステップS220へ制御を進め、そうでなければ(ステップS208にてNO)、ステップS210へ制御を進める。
【0079】
ステップS210にて、コントローラー50は、上記反射光における近赤外光の光量(IR)と青色光の光量(B)との差(「IR-B」)が所与の値(たとえば、「100」)以下であるか否かを判断する。コントローラー50は、上記差が上記所与の値以下であると判断すると(ステップS210にてYES)、ステップS222へ制御を進め、そうでなければ(ステップS210にてNO)、ステップS212へ制御を進める。
【0080】
ステップS212にて、コントローラー50は、メディア検知センサー55からの出力を再生紙用の演算式に投入し、坪量を計算(用紙種類を判別)する。
【0081】
ステップS214にて、コントローラー50は、ステップS212における坪量の計算結果が薄紙の区分に属するか否かを判断する。コントローラー50は、上記計算結果が薄紙の区分に属すると判断すると(ステップS214にてYES)、ステップS216にて、シートの用紙種類として「薄紙」を特定し、
図9の処理を終了させる。コントローラー50は、上記計算結果が薄紙の区分に属さないと判断すると(ステップS214にてNO)、ステップS218にて、シートの用紙種類として「再生紙」を特定し、
図9の処理を終了させる。
【0082】
ステップS220にて、コントローラー50は、上記反射光における近赤外光の光量(IR)と青色光の光量(B)との差(「IR-B」)が特定の閾値以上であるか否かを判断する。コントローラー50は、上記差が上記特定の閾値以上であると判断すると(ステップS220にてYES)、ステップS226へ制御を進め、そうでなければ(ステップS220にてNO)、ステップS222へ制御を進める。
【0083】
ステップS222にて、コントローラー50は、メディア検知センサー55からの出力を、コート紙としての演算式に投入し、坪量を計算(用紙種類を判別)する。
【0084】
ステップS224にて、コントローラー50は、ステップS222における計算結果(判別結果)に従って用紙種類を特定し、
図9の処理を終了させる。ステップS224において、用紙種類は、「普通紙」「普通紙+」「厚紙1」「厚紙1+」「厚紙2」「厚紙3」および「厚紙4」のコート紙として特定される。たとえば、用紙種類は、「普通紙のコート紙」として特定される。
【0085】
ステップS226にて、コントローラー50は、メディア検知センサー55からの出力を、非コート紙としての計算式に投入し、坪量を計算(用紙種類を判別)する。
【0086】
ステップS228にて、コントローラー50は、ステップS226における計算結果(判別結果)に従って用紙種類を特定し、
図9の処理を終了させる。ステップS228において、用紙種類は、「普通紙」「普通紙+」「厚紙1」「厚紙1+」「厚紙2」「厚紙3」および「厚紙4」の非コート紙として特定される。たとえば、用紙種類は、「普通紙の非コート紙」として特定される。
【0087】
図9に従って用紙種類を特定された場合、
図8に示された制御に対して、制御が追加され得る。より具体的には、ステップS104において、用紙種類が「コート紙」「OHP用シート」「封筒」「再生紙」および「薄紙」である場合の制御が追加され得る。
【0088】
ステップS104において、コントローラー50は、用紙種類が「コート紙」(普通紙のコート紙、普通紙+のコート紙、厚紙1のコート紙、厚紙1+のコート紙、厚紙2のコート紙、厚紙3のコート紙、または、厚紙4のコート紙)である場合、プリントエンジン110の設定として、「厚紙1」について予め登録されている内容を設定する。これにより、コート紙に対して定着ループ制御が実行されることが回避され得る。
【0089】
ステップS104において、コントローラー50は、用紙種類が「OHP用シート」「封筒」「再生紙」および「薄紙」である場合についても、プリントエンジン110の設定として、「厚紙1」について予め登録されている内容を設定する。
【0090】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0091】
1 感光体、2 帯電部、3 露光部、4 現像部、5 クリーニング部、6 中間転写体接触ローラー、10,10C,10K,10M,10Y イメージングユニット、12 中間転写ベルト、14,16 中間転写体駆動ローラー、18 ベルトクリーニング部、20,21 転写ローラー、22 定着部、30 給紙部、32 送出ローラー、34 搬送ローラー、36 レジストローラー、40 媒体、50 コントローラー、51 記憶装置、55 メディア検知センサー、60 操作パネル、61 タッチパネル、62 ボタン操作部、100 画像形成装置、104 画像処理部、105 画像メモリ、106 入出力インターフェース、110 プリントエンジン、120 スキャンユニット、122 イメージスキャナー、124 原稿給紙台、126 自動原稿送り装置、128 原稿排紙台、130 排出トレイ、201 光学センサー、201A 送信側光学センサー、201B 受信側光学センサー、301,301A,301B 超音波センサー、600,700 印刷設定画面。