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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/43 20180101AFI20241112BHJP
   F21S 41/147 20180101ALI20241112BHJP
   F21S 41/151 20180101ALI20241112BHJP
   F21S 41/16 20180101ALI20241112BHJP
   F21S 41/255 20180101ALI20241112BHJP
   F21S 45/48 20180101ALI20241112BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20241112BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20241112BHJP
   F21V 29/67 20150101ALI20241112BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20241112BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241112BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20241112BHJP
【FI】
F21S45/43
F21S41/147
F21S41/151
F21S41/16
F21S41/255
F21S45/48
F21V29/503
F21V29/76
F21V29/67 100
F21W102:13
F21Y115:10
F21Y115:30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020127082
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2022024466
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】野末 洋和
(72)【発明者】
【氏名】崎野 克郎
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/131054(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/013447(WO,A1)
【文献】特開2018-078043(JP,A)
【文献】特開2019-197714(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0038025(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109812770(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 45/00
F21S 41/00
F21V 29/00
F21S 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に光源を実装する基板と、
光源からの光を配光するレンズと、
前記レンズを保持するフレームと、
前記基板の裏面に配置され、前記基板を載置するベース部を有する放熱部材と、
空気を吐出する軸流型の冷却ファンと、を備える車両用灯具であって、
前記光源は、ロービーム用の第1光源と、ハイビーム用の第2光源とを有し、
前記ベース部は、前記基板を前記冷却ファンのファン軸に対して傾斜するように配置するとともに、表裏を貫通する連通開口が形成され、
前記第1光源及び前記第2光源は、前記冷却ファンの吐出部に対向し、また、前記連通開口も、前記冷却ファンの吐出部に対向することで、
前記冷却ファンから吐出された空気を、前記光源側と前記放熱部材の裏面側とに分流する、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記放熱部材側に分流された空気流を、放熱フィンが立設された前記ベース部に沿って流れるように偏向する偏向部を有する、
ことを特徴とする請求項に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記偏向部は、前記放熱部材に形成されている、
ことを特徴とする請求項に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記光源側に導風された空気流を、前記放熱部材と前記フレームとの間に形成された隙間から前記放熱部材の放熱フィンに向けて排出する、
ことを特徴とする請求項からまでのいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記フレームは、前記放熱部材の放熱フィンの一部を覆う、
ことを特徴とする請求項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用灯具には、LEDなど半導体型の発光チップを光源とする灯具ユニットが採用されている。この発光チップはハロゲンランプやディスチャージランプなどよりも小さな部品であるが、発光に伴って発熱するため、発光チップを実装した基板を、ヒートシンクなどの放熱部材を介して、放熱するようになっている(特許文献1及び2参照)。
【0003】
小さな光源に対しては、空気で直接冷却するよりも、大きな放熱部材を利用して間接的に冷却する方が、効果的であると考えられていた。そのため、特許文献1に記載の車両用灯具は、放熱部材の背面に冷却ファンを配置し、放熱部材と冷却ファンから吐出された空気とで熱交換を行うことで、光源(発光チップ)を間接的に冷却している。
【0004】
一方、車両用灯具の研究開発が進展し、小さな光源に対しても空気で直接冷却することで、冷却効果を得られることが分かってきた。そこで、特許文献2に記載の車両用灯具は、放熱部材の背面に冷却ファンを配置しているものの、放熱部材の一部を、冷却ファンから吐出された空気の流路として形成し、光源を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-254099号公報
【文献】特開2018-137203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、ロービーム用及びハイビーム用の並列配置や、発光チップの実装個数の増加などによる半導体型の光源のハイパワー化(又は発熱量の増大)に伴って、より一層の冷却効率の向上が求められている。
【0007】
しかしながら、上述した特許文献2に記載の車両用灯具では、放熱部材で熱交換された空気が、光源に届けられるが、熱交換によって空気の温度が上昇しており、光源の冷却効率が十分ではなかった。
【0008】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光源を冷却ファンで直接冷却することで、冷却効率を向上させた車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様によって把握される。
(1)本発明に係る1つの態様は、表面に光源を実装する基板と、光源からの光を配光するレンズと、前記レンズを保持するフレームと、前記基板の裏面に配置される放熱部材と、空気を吐出する冷却ファンと、を備える車両用灯具であって、前記光源は、ロービーム用の第1光源と、ハイビーム用の第2光源とを有し、前記第1光源及び前記第2光源は、前記冷却ファンの吐出部に対向するものである。
(2)上記(1)の態様において、前記冷却ファンから吐出された空気を、前記光源側と前記放熱部材の裏面側とに分流してもよい。
(3)上記(2)の態様において、前記放熱部材は、放熱フィンが立設されたベース部の表裏を貫通する連通開口が形成されてもよい。
(4)上記(3)の態様において、前記連通開口は、前記冷却ファンの吐出部に対向してもよい。
(5)上記(2)から(4)までのいずれか1つの態様において、前記放熱部材側に分流された空気流を、放熱フィンが立設されたベース部に沿って流れるように偏向する偏向部を有してもよい。
(6)上記(5)の態様において、前記偏向部は、前記放熱部材に形成されてもよい。
(7)上記(2)から(6)までのいずれか1つの態様において、前記光源側に導風された空気流を、前記放熱部材と前記フレームとの間に形成された隙間から前記放熱部材の放熱フィンに向けて排出してもよい。
(8)上記(7)の態様において、前記フレームは、前記放熱部材の放熱フィンの一部を覆ってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光源を冷却ファンで直接冷却することで、冷却効率を向上させた車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る第1実施形態の車両用灯具を備える車両の平面図である。
図2A】第1実施形態の車両用灯具に用いられる灯具ユニットを示す前方からの斜視図である。
図2B】第1実施形態の灯具ユニットを示す後方からの斜視図である。
図2C】第1実施形態の灯具ユニットを示す正面図である。
図2D】第1実施形態の灯具ユニットを示す側面図である。
図2E】第1実施形態の灯具ユニットを図2CのA-A線で切断した断面を示す断面図である。
図2F】第1実施形態の灯具ユニットを図2CのB-B線で切断した断面を示す断面図である。
図2G】第1実施形態の灯具ユニットを示す上面図である。
図2H】第1実施形態の灯具ユニットを示す下面図である。
図3】第1実施形態の灯具ユニットを示す分解斜視図である。
図4】光源を実装した基板を示す平面図である。
図5】ハイビーム用のインナーレンズを示す上面図である。
図6A】第2実施形態の車両用灯具に用いられる灯具ユニットを示す斜視図である。
図6B】第2実施形態の灯具ユニットを示す正面図である。
図6C】第2実施形態の灯具ユニットを示す背面図である。
図6D】第2実施形態の灯具ユニットを示す側面図である。
図6E】第2実施形態の灯具ユニットを図2Eと同様の位置で切断した断面を示す断面図である。
図6F】第2実施形態の灯具ユニットを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る第1実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、本明細書の実施形態においては、全体を通じて、同一の部材には同一の符号を付している。また、実施形態及び図中において、「前」、「後」は、それぞれ車両100の「前進方向」、「後進方向」を示し、「上」、「下」、「左」、「右」は、それぞれ車両100に乗車する運転者から見た方向を示す。したがって、「左右方向X」は「車幅方向」であり、「前後方向Y」は「前進後進方向」であり、「上下方向Z」は「鉛直方向」である。
【0013】
図1は、本発明に係る第1実施形態の車両用灯具を備える車両100の平面図である。
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の車両用灯具は、車両100の前方の左右それぞれに備えられる前照灯101L、101Rとして用いられる。
【0014】
前照灯101L、101Rは、車両前方側に開口したハウジング(図示せず)と、開口を覆うようにハウジングに取り付けられるアウターレンズ(図示せず)とを有している。これらのハウジングとアウターレンズとで形成される灯室内に、灯具ユニット1(図2参照)が配置されている。
【0015】
図2は、第1実施形態の車両用灯具に用いられる灯具ユニット1を示すもので、図2Aは前方からの斜視図であり、図2Bは後方からの斜視図であり、図2Cは正面図であり、図2Dは側面図であり、図2E図2CのA-A線(レンズ軸20yを含むYZ平面)で切断した断面図であり、図2F図2CのB-B線(YZ平面からオフセットした位置)で切断した断面図であり、図2Gは上面図であり、図2Hは下面図である。図3は、第1実施形態の灯具ユニット1を示す分解斜視図である。
【0016】
灯具ユニット1は、フレーム10と、レンズ20と、光源30が実装された基板40と、放熱部材50と、冷却ファン60とを主として備えている(図3参照)。
【0017】
フレーム10は、下方の第1フレーム11と上方の第2フレーム12とから形成されている。このフレーム10は、第1フレーム11の前方側の円筒状部と第2フレーム12の前方側の円筒状部との間にレンズ20を挟持する(図2E及び図2F参照)。
【0018】
また、第1フレーム11は、円筒状部から離れる後方側に第2フレーム12に向かって凹んだ段付き部を有する。この段付き部には、冷却ファン60の吐出部64の大きさと等しいか若干大きい開口が形成されている。
【0019】
本実施形態の第1フレーム11は、ポリカーボネートから形成され、第2フレーム12は、ポリカーボネートから形成されているが、第1フレーム11及び第2フレーム12をこれら以外の異なる樹脂で形成してもよい。
【0020】
レンズ20は、入射された光を所定の配光パターンで前方側に出射(照射)するもので、PC、PMMAなどの樹脂によりPESレンズとして形成されている。なお、レンズ20は、レンズ20中心のレンズ軸20y又は光軸が前後方向Y(水平方向のXY平面)に沿うように配置されている。
【0021】
レンズ20は、配光制御を行うもので、レンズ軸20yの軸方向からの正面視で略円形状のレンズ本体21と、レンズ本体21の外周部に一体に形成されるフランジ22とを有している(図2E及び図2F参照)。このフランジ22が、第1フレーム11及び第2フレーム12の凹溝などに嵌合して、保持されている。
【0022】
つぎに、光源30及び光源30を実装した基板40について説明する。図4は、光源30を実装した基板40を示す平面図である。
【0023】
光源30は、第1光源31と第2光源32とを有している。第1光源31は、ロービーム配光用の光を出射するものであり、複数(例えば、6個)の第1発光チップ31aで構成されている。複数の第1発光チップ31aは、左右方向Xである水平方向に並ぶように基板40上に実装されている(図4参照)。
【0024】
一方、第2光源32は、ハイビーム配光用の光を出射するものであり、複数(例えば、12個)の第2発光チップ32aで構成されている。複数の第2発光チップ32aは、第1発光チップ31aと同様に、左右方向Xである水平方向に並ぶように基板40上に実装されている(図4参照)。
【0025】
また、第2光源32は、第2発光チップ32aの一部又は全部を点消灯させることで、対向車や先行車に対するグレアを抑制するように、ハイビーム配光パターンを変化させる「Adaptive High-Beam System(AHS)」制御を行うことができる光源になっている。
【0026】
なお、本実施形態の第1光源31及び第2光源32、つまり第1発光チップ31a及び第2発光チップ32aは、LEDチップであるLED光源であるが、これに限らず、例えば、LDチップ(レーザダイオードチップ)であるレーザ光源などであってもよく、半導体型の光源が好適に用いられる。
【0027】
光源30を実装した基板40は、表面40a及び裏面40bを有し、光源30に電力を供給する回路が形成された略矩形の回路基板である。この基板40は、車両100から供給される電力や信号を、電力線や信号線を介して受電及び受信する。
【0028】
基板40の表面40aには、光源30の第1発光チップ31a及び第2発光チップ32aが実装されている。具体的には、第1発光チップ31aの配列が、基板40の短辺方向の略中央に配置されており、第2発光チップ32aの配列は、第1発光チップ31aの配列と平行になるように、上下方向Zの下側に配置されている(図4参照)。ただし、基板40の表面40aには、上述した第1発光チップ31a及び第2発光チップ32a以外に、制御チップや電力線や信号線のケーブルが接続されるコネクタなどが実装されている。
【0029】
また、基板40は、後述する放熱部材50に固定されており、光源30を有する基板40に発生した熱は、基板40の裏面40bから伝熱グリスを介して放熱部材50に伝熱され、放熱部材50から外部に放熱される(図2E及び図2F参照)。なお、伝熱グリスは、第1発光チップ31a及び第2発光チップ32aに対応する領域に塗布されている。
【0030】
ところで、レンズ20と光源30との間には、インナーレンズ71,72が設けられている(図2E及び図2F参照)。このインナーレンズ71,72は、例えば、ポリカーボネートの樹脂で形成されている。
【0031】
インナーレンズ71は、第1光源31から入射された光を、レンズ20の焦点に向けてレンズ軸20yの上方より照射するロービーム用である。このインナーレンズ71は、各第1発光チップ31aに隙間を空けて対向するように配置され、複数の入射面及び出射面が一体に形成されている(図3参照)。
【0032】
そして、ロービーム用のインナーレンズ71を通過した光の一部が、レンズ20から出射されないように(また、AHS用のインナーレンズ72に入射しないように)、シェード80によって遮光されている。
【0033】
このシェード80は、ロービーム用配光パターンのカットオフラインを形成することになる。なお、シェード80は、ステンレス鋼板から形成されている。
【0034】
図5は、ハイビーム用のインナーレンズ72を示す上面図である。
一方、インナーレンズ72は、第2光源32から入射された光を、レンズ20の焦点に向けてレンズ軸20yの下方より照射するハイビーム(AHS)用である。このインナーレンズ72は、フレーム10(の第1フレーム11)に固定されており、インナーレンズ72の上面には、上述したシェード80が取り付けられている(図2E図2F及び図3参照)。
【0035】
インナーレンズ72は、各第2発光チップ32aに隙間を空けて対向するように配置され、入射面が分離した複数の短冊状の導光路72aと、レンズ20側に円弧状に湾曲した出射面とから形成されている。
【0036】
そして、インナーレンズ72は、入射面と出射面との中間付近で、複数の導光路72aが合流して一体化されている。なお、複数の導光路72a同士の間には、隙間72bがそれぞれ形成されており、各隙間72bを空気が通過できるようになっている。
【0037】
また、インナーレンズ72とレンズ20との間の下方には、レンズ20以外に向かう光を遮断するカバー90が固定されている。なお、カバー90は、亜鉛メッキ鋼板から形成されている。
【0038】
ここで、放熱部材50を説明する前に、放熱部材50を冷却する冷却ファン60について説明する。冷却ファン60は、吐出した空気で放熱部材50を冷却(熱交換又は除熱)するものであり、軸流ファンとして構成されている。
【0039】
冷却ファン60は、外形が略正方形で、内側に略円形の吐出部64を有するファンケース61と、吐出部64の中心のファン軸60z周りに回転するインペラ62と、インペラ62を回転させるDCモータ63などを有している(図2E及び図2F参照)。DCモータ63は、基板40からコネクタ、ケーブルを介して給電され、回転速度が制御される。
【0040】
ファンケース61は、吐出部64が上方を向き、反対の吸込部が下方を向くように、ファン軸60zが上下方向Zに一致して、第1フレーム11の段付き部にネジ止め固定されている。なお、このように配置されることで、冷却ファン60は、レンズ軸20y方向からの正面視及び左右方向Xからの側面視において、灯具ユニット1(第1フレーム11)からほぼ露出することがない(図2C及び図2D参照)。
【0041】
吐出部64の上方には、光源30(第1光源31及び第2光源32)が直接対向(対面)している。特には、レンズ軸20yとファン軸60zとを含む平面YZの法線方向、つまり左右方向Xからの側面視において、吐出部64の中心に存在するファン軸60zの延長線は、第1光源31と第2光源32との間に位置している。
【0042】
最後に、放熱部材50は、光源30が発生する熱を放熱するために、熱伝導率の高い金属又は樹脂などによってヒートシンク(以降、「放熱部材50」を「ヒートシンク50」という。)として形成されている。なお、本実施形態では、ヒートシンク50は、アルミダイカスト(ADC)製の一体成形物である。
【0043】
ヒートシンク50は、基板40を載置するベース部51と、ベース部51から立設された複数(例えば、9枚)の放熱フィン52とを有している。
【0044】
ベース部51は、側面視で、基板40が存在する側に屈曲した形状、より詳しくは、基板40の載置面側が長辺となり、他方が短辺となるL字状に形成されており、ファン軸60zに対して略45度下方に傾斜している。なお、ベース部51は、レンズ軸20yに対しても略45度下方に傾斜しているため、基板40は、レンズ軸20y及びファン軸60zに対して略45度下方に傾斜していることになる。
【0045】
放熱フィン52は、レンズ軸20yとファン軸60zとを含む平面YZと平行に並ぶように立設されている(図2B参照)。放熱フィン52は、L字状のベース部51に沿って、長辺側に位置する主放熱領域と、短辺側に位置する副放熱領域とからなり、それぞれ大小の三角形状のものが一体に形成されている。なお、上述したように、ベース部51は、レンズ軸20yに対して略45度下方に傾斜しているため、放熱フィン52の副放熱領域は、灯具ユニット1の上方に位置することになる。
【0046】
また、ヒートシンク50は、ベース部51の表裏を貫通する連通開口53が形成されている。この連通開口53は、冷却ファン60から吐出された空気の一部を取り込めるように、冷却ファン60の吐出部64に対向するように形成されている(図2E及び図2F)。
【0047】
具体的には、連通開口53の入口は、左右方向Xからの側面視において、ファン軸60zから後端縁までの距離が、ファン軸60zから冷却ファン60の吐出部64の後端縁までの距離と等しくなるように形成されている。一方、連通開口53の出口は、複数に分岐して放熱フィン52同士の間に形成されている。
【0048】
さらに、ヒートシンク50は、連通開口53によってヒートシンク50の裏面側に分流された空気流A2が上下方向Zからベース部51に沿って流れるように、空気流A2を45度程度偏向する偏向部54を有している。なお、本実施形態では、偏向部54は、連通開口53の一部として形成されているが、ヒートシンク50と別の部材で形成してもよい。
【0049】
上述してきたヒートシンク50は、フレーム10の第1フレーム11に固定されている。そして、ヒートシンク50と第2フレーム12との間には、光源30側に流れた空気流A1及びレンズ20側に流れた空気流A3が排出される隙間G1が形成されている(図2E及び図2F参照)。この隙間G1から排出された空気流A4は、対向する放熱フィン52(の副放熱領域)に流れることができる。
【0050】
ここで、冷却ファン60から吐出された空気は、空気流A1として光源30側に分流されたり、空気流A2としてヒートシンク50側に分流されたり、空気流A3としてレンズ20側に分流されたり、フレーム10とヒートシンク50との左右方向Xの隙間などから灯具ユニット1の外部に直接排出されたりする。
【0051】
光源30側に分流される空気流A1は、冷却ファン60が吐出する空気の流量の5%~20%程度であり、ヒートシンク50側に分流される空気流A2も冷却ファン60が吐出する空気の流量の5%~20%程度であり、その他は、空気流A3や外部に直接排出される。
【0052】
なお、冷却ファン60から吐出された空気は、インナーレンズ71,72も冷却する。また、灯具ユニット1から排出された空気は、灯具ユニット1を収容する前照灯101L、101R(のハウジングとアウターレンズとで形成された空間)内で対流して、更に外部へと排出される。
【0053】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態の車両用灯具に用いられる灯具ユニット1Bを示すものであり、図6Aは斜視図であり、図6Bは正面図であり、図6Cは背面図であり、図6Dは側面図であり、図6E図2Eと同様の位置で切断した断面図であり、図6Fは上面図である。なお、図6Aから図6Fの第2実施形態の灯具ユニット1Bにおいて、第1実施形態の灯具ユニット1と共通の部材については、符号を省略することがある。
【0054】
第1実施形態の車両用灯具の灯具ユニット1では、フレーム10とヒートシンク50との間の隙間G1から排出された空気流A4は、対向する放熱フィン52の副放熱領域に流れたが、第2実施形態の車両用灯具の灯具ユニット1Bでは、放熱フィン52の副放熱領域から主放熱領域まで導風して、ヒートシンク50の裏面側に分流させた空気流A2と合流するように、構成されている。
【0055】
具体的には、フレーム10Bの第2フレーム12Bは、左右方向Xからの側面視で、放熱フィン52の副放熱領域を越えて主放熱領域まで延びて、後端が冷却ファン60側に屈曲した庇状に形成されている。このような形状の第2フレーム12Bは、ヒートシンク50の上方を覆い、ヒートシンク50との間に隙間G2を形成している。
【0056】
そして、光源30側及びレンズ20側に流れた空気流A1,A3は、隙間G2(及び放熱フィン52間)を通って、基板40の背面側の放熱フィン52の主放熱領域まで流れることができる。このようにして、放熱フィン52に流れる空気流量を多くすることで、光源30が発生する熱に対する冷却効率を高めることができる。
【0057】
以上説明したように、本発明に係る第1実施形態及び第2実施形態の車両用灯具は、表面40aに光源30を実装する基板40と、光源30からの光を配光するレンズ20と、レンズ20を保持するフレーム10,10Bと、基板40の裏面40bに配置される放熱部材50と、空気を吐出する冷却ファンと、を備える車両用灯具であって、光源30は、ロービーム用の第1光源31と、ハイビーム用の第2光源32とを有し、第1光源31及び第2光源32は、冷却ファン60の吐出部64に対向するものである。これにより、冷却ファン60から吐出された空気を、光源30側に直接導風することができる。そして、光源30を冷却ファン60で直接冷却することで、冷却効率を向上させることができる。また、放熱部材50の背面(放熱フィン52)側に冷却ファン60を設置する場合(特許文献2の図9参照)に比べて、前後方向Yの寸法を小さくすることができる。
【0058】
各実施形態の灯具ユニット1は、冷却ファン60から吐出された空気を、光源30側と放熱部材50の裏面側とに分流する。これにより、光源30を冷却するとともに、放熱部材50も冷却(熱交換)することができるため、冷却効率を向上させることができる。
【0059】
各実施形態の放熱部材50は、放熱フィン52が立設されたベース部51の表裏を貫通する連通開口53が形成されている。これにより、冷却ファン60から吐出された空気を、放熱部材50の裏面側に直接取り込むことができる。
【0060】
各実施形態の連通開口53は、冷却ファン60の吐出部64に対向する。これにより、冷却ファン60から吐出された空気を、放熱部材50側に直接導風することができる。
【0061】
各実施形態の灯具ユニット1は、放熱部材50側に分流された空気流A1を、放熱フィン52が立設されたベース部51に沿って流れるように偏向する偏向部54を有する。これにより、放熱フィン52に流れる空気流量を多くすることができ、冷却効率を向上させることができる。
【0062】
各実施形態の偏向部54は、放熱部材50に形成されている。これにより、偏向部54を放熱部材50と一体成形することができ、部品点数及び製造コストを下げることができる。
【0063】
各実施形態の灯具ユニット1は、光源30側に導風された空気流A1を、放熱部材50とフレーム10,10Bとの間に形成された隙間G1,G2から放熱部材50の放熱フィン52に向けて排出する。これにより、放熱フィン52に流れる空気流量を多くすることができ、冷却効率を向上させることができる。
【0064】
第2実施形態のフレーム10B(第2フレーム12B)は、放熱部材50の放熱フィン52の一部を覆っている。これにより、放熱フィン52全体を流れる空気流量を多くすることができ、更に冷却効率を向上させることができる。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0066】
(変形例)
上記各実施形態では、冷却ファン60は下方側に配置されたが、冷却ファン60を上方側に配置し、下方に配置された基板40上の光源30を冷却するように、上下を反転してもよい。
【0067】
上記各実施形態では、光源30からの光を、インナーレンズ71,72によってレンズ20に照射したが、リフレクタを用いて反射してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 灯具ユニット
10 フレーム、11 第1フレーム、12 第2フレーム
20 レンズ、21 レンズ本体、22 フランジ、20y レンズ軸(光軸)
30 光源、31 第1光源、31a 第1発光チップ、32 第2光源、32a 第2発光チップ
40 基板、40a 表面、40b 裏面
50 ヒートシンク(放熱部材)、51 ベース部、52 放熱フィン、53 連通開口、54 偏向部
60 冷却ファン、61 ファンケース、62 インペラ、63 DCモータ、64 吐出部、60z ファン軸
71,72 インナーレンズ
80 シェード
90 カバー
100 車両、101L、101R 前照灯(車両用灯具)
1B 灯具ユニット
10B フレーム、12B 第2フレーム
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3
図4
図5
図6A
図6B
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図6D
図6E
図6F