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特許7585668情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20241112BHJP
【FI】
G06F8/65
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020148932
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2021077341
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2019200138
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小倉 慶満
【審査官】長谷川 未貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-249914(JP,A)
【文献】特開2005-135147(JP,A)
【文献】特開2016-218932(JP,A)
【文献】特開2016-193582(JP,A)
【文献】国際公開第2020/115819(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/00-13/00
H04L 12/00-101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
当該情報処理装置に処理を実行させるプログラムの更新用のデータであって、該プログラムの第1のバージョン情報を含む更新用のデータを、ネットワークを介して接続される他の装置から取得する第1の取得部と、
当該情報処理装置の動作の停止の指示が入力されたとき、前記他の装置から取得可能な更新用のデータの最新のバージョンである第2のバージョン情報を取得する第2の取得部と、
前記第1の取得部で取得された第1のバージョン情報と、前記第2の取得部で取得された第2のバージョン情報とが一致する場合に、前記第1の取得部で取得されたデータに基づく前記プログラムの更新を実行する更新部と、
前記第1のバージョン情報と前記第2のバージョン情報とが異なる場合に、前記最新のバージョンとは異なることを示す第1の画面であって、前記更新の許否をユーザに選択させる前記第1の画面を表示させる表示制御部と、
を有し、
前記更新部は、前記第1の画面を介して許可が選択されると前記更新を実行して当該情報処理装置を停止させ、前記第1の画面を介して不許可が選択されると前記更新を実行せずに当該情報処理装置を停止させる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記更新部は、前記第1の画面に対して所定時間が経過しても入力が行われない場合に、予め設定された情報に基づいて、前記更新を実行するか否かを決定する、
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
情報処理装置であって、
当該情報処理装置に処理を実行させるプログラムの更新用のデータであって、該プログラムの第1のバージョン情報を含む更新用のデータを、ネットワークを介して接続される他の装置から取得する第1の取得部と、
当該情報処理装置の動作の停止の指示が入力されたとき、前記他の装置から取得可能な更新用のデータの最新のバージョンである第2のバージョン情報を取得する第2の取得部と、
前記第1の取得部で取得された第1のバージョン情報と、前記第2の取得部で取得された第2のバージョン情報とが一致する場合に、前記第1の取得部で取得されたデータに基づく前記プログラムの更新を実行する更新部と、
前記第1のバージョン情報と前記第2のバージョン情報とが一致する場合に、前記更新の許否をユーザに選択させる第2の画面を表示させる表示制御部と、
を有し、
前記更新部は、前記第2の画面を介して許可が選択されると前記更新を実行して当該情報処理装置を停止させ、前記第2の画面を介して不許可が選択されると前記更新を実行せずに当該情報処理装置を停止させ、前記第2の画面に対して所定時間が経過しても入力が行われない場合に、予め設定された情報に基づいて、前記更新を実行するか否かを決定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置と他の装置とを含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
当該情報処理装置に処理を実行させるプログラムの更新用のデータであって、該プログラムの第1のバージョン情報を含む更新用のデータを、ネットワークを介して接続される前記他の装置から取得する第1の取得部と、
当該情報処理装置の動作の停止の指示が入力されたとき、前記他の装置から取得可能な更新用のデータの最新のバージョンである第2のバージョン情報を取得する第2の取得部と、
前記第1の取得部で取得された第1のバージョン情報と、前記第2の取得部で取得された第2のバージョン情報とが一致する場合に、前記第1の取得部で取得されたデータに基づく前記プログラムの更新を実行する更新部と、
前記第1のバージョン情報と前記第2のバージョン情報とが異なる場合に、前記最新のバージョンとは異なることを示す第1の画面であって、前記更新の許否をユーザに選択させる前記第1の画面を表示させる表示制御部と、
を有し、
前記更新部は、前記第1の画面を介して許可が選択されると前記更新を実行して当該情報処理装置を停止させ、前記第1の画面を介して不許可が選択されると前記更新を実行せずに当該情報処理装置を停止させる、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
情報処理装置が、
当該情報処理装置に処理を実行させるプログラムの更新用のデータであって、該プログラムの第1のバージョン情報を含む更新用のデータを、ネットワークを介して接続される他の装置から取得する第1の取得手順と、
当該情報処理装置の動作の停止の指示が入力されたとき、前記他の装置から取得可能な更新用のデータの最新のバージョンである第2のバージョン情報を取得する第2の取得手順と、
前記第1の取得手順で取得された第1のバージョン情報と、前記第2の取得手順で取得された第2のバージョン情報とが一致する場合に、前記第1の取得手順で取得されたデータに基づく前記プログラムの更新を実行する更新手順と、
前記第1のバージョン情報と前記第2のバージョン情報とが異なる場合に、前記最新のバージョンとは異なることを示す第1の画面であって、前記更新の許否をユーザに選択させる前記第1の画面を表示させる表示制御手順と、
を実行し、
前記更新手順は、前記第1の画面を介して許可が選択されると前記更新を実行して当該情報処理装置を停止させ、前記第1の画面を介して不許可が選択されると前記更新を実行せずに当該情報処理装置を停止させる、
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自らにインストールされているプログラムについて、定期的にバージョンアップの有無をネットワークを介して確認し、バージョンアップされている場合には、最新版をダウンロードして自動的にアップデート(更新)する情報処理装置が有る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自動的なアップデートは、情報処理装置が稼働中の状態(電源がONの状態)において実行されるところ、稼働中においては、ユーザによって情報処理装置が利用されている可能性が高い。情報処理装置がユーザによって利用されている期間においてアップデートが行われると、ユーザによる情報処理装置の利用について、利便性が低下してしまう。例えば、アップデート対象のプログラムに関連する機能が利用できなくなったり、アップデートの負荷により情報処理装置の動作が遅くなったりする。また、アップデートの内容によっては、ユーザの利用中にも関わらず、情報処理装置の再起動が必要とされる場合も有る。
【0004】
そこで、ユーザの利用中には自動的なアップデートを行わないようにすることが考えられる。しかし、起動(電源がOFF)されてから停止する(電源がOFFされる)までに、ユーザによる利用が継続する場合、アップロードする機会が失われ、プログラムのアップデートの遅延が長期化してしまう可能性が有る。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、プログラムの更新の遅延の長期化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで上記課題を解決するため、情報処理装置は、当該情報処理装置に処理を実行させるプログラムの更新用のデータであって、該プログラムの第1のバージョン情報を含む更新用のデータを、ネットワークを介して接続される他の装置から取得する第1の取得部と、当該情報処理装置の動作の停止の指示が入力されたとき、前記他の装置から取得可能な更新用のデータの最新のバージョンである第2のバージョン情報を取得する第2の取得部と、前記第1の取得部で取得された第1のバージョン情報と、前記第2の取得部で取得された第2のバージョン情報とが一致する場合に、前記第1の取得部で取得されたデータに基づく前記プログラムの更新を実行する更新部と、前記第1のバージョン情報と前記第2のバージョン情報とが異なる場合に、前記最新のバージョンとは異なることを示す第1の画面であって、前記更新の許否をユーザに選択させる前記第1の画面を表示させる表示制御部と、を有し、前記更新部は、前記第1の画面を介して許可が選択されると前記更新を実行して当該情報処理装置を停止させ、前記第1の画面を介して不許可が選択されると前記更新を実行せずに当該情報処理装置を停止させる

【発明の効果】
【0007】
プログラムの更新の遅延の長期化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態における情報処理システム1の構成例を示す図である。
図2】第1の実施の形態における情報処理装置10のハードウェア構成例を示す図である。
図3】第1の実施の形態における情報処理装置10の機能構成例を示す図である。
図4】第1の実施の形態における情報処理装置10が稼働中に実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図5】第1の実施の形態における情報処理装置10が主電源のOFFに応じて実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図6】第2の実施の形態における情報処理装置10が主電源のOFFに応じて実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図7】第2の実施の形態における更新許否確認画面510の表示例を示す図である。
図8】第3の実施の形態における情報処理装置10が主電源のOFFに応じて実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図9】第3の実施の形態における更新許否確認画面520の表示例を示す図である。
図10】第4の実施の形態における情報処理装置10が主電源のOFFに応じて実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図11】自動アップデート設定画面530の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、第1の実施の形態における情報処理システム1の構成例を示す図である。図1において、情報処理システム1は、情報処理装置10及び公開サーバ20を含む。情報処理装置10と公開サーバ20とは、LAN(Local Area Network)又はインターネット等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない)を介して接続される。なお、複数の情報処理装置10が公開サーバ20に接続されてもよい。
【0010】
公開サーバ20は、情報処理装置10の処理を実行させるプログラム群の最新版のバージョンを公開する1以上のコンピュータである。本実施の形態では、説明の便宜上、公開サーバ20によって公開されるプログラムは、情報処理装置10のファームウェアであるとする。なお、プログラム群の公開とは、プログラム群を取得可能(プログラム群にアクセス可能)な状態にすることをいう。
【0011】
情報処理装置10は、例えば、プリンタ又は複合機等の画像形成装置である。情報処理装置10は、公開サーバ20によって公開されるプログラム(ファームウェア)を自動的に取得(ダウンロード)して、当該プログラムについてアップデートを行う。当該プログラムのアップデートとは、当該プログラムによって当該情報処理装置10を更新すること、すなわち、当該プログラムを当該情報処理装置10において有効化することをいう。したがって、アップデート後において、当該プログラムが当該情報処理装置10の一部の処理を制御させることになる。なお、本実施の形態では、アップデートを一例とするが、新たなプログラムのインストールについて本実施の形態が適用されてもよい。インストールされることで、当該プログラムは、情報処理装置10において有効化される。すなわち、アップデートもインストールも有効化(情報処理装置10の更新)の一例である。
【0012】
図2は、第1の実施の形態における情報処理装置10のハードウェア構成例を示す図である。図2の情報処理装置10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、インタフェース装置105、表示装置106、及び入力装置107等を有する。
【0013】
情報処理装置10での処理を実現するプログラムは、CD-ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0014】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って情報処理装置10に係る機能を実現する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置106はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置107は様々な操作指示を入力させるために用いられる。なお、表示装置106及び入力装置107は、操作パネルとして一体的に形成されてもよい。
【0015】
図3は、第1の実施の形態における情報処理装置10の機能構成例を示す図である。図3において、情報処理装置10は、表示制御部11、更新部12、取得部13及びタイマー制御部14等を有する。これら各部は、情報処理装置10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。情報処理装置10は、また、ファームウェア記憶部15を利用する。ファームウェア記憶部15は、例えば、補助記憶装置102、又は情報処理装置10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0016】
表示制御部11は、表示装置106への画面の表示に関する制御や、当該画面又は入力装置107を介したユーザによる入力に応じた処理の制御を行う。
【0017】
更新部12は、情報処理装置10におけるファームウェアのアップデートに関する処理を制御する。取得部13は、公開サーバ20において公開されているファームウェアのバージョン情報やファームウェアの実体の取得等を行う。タイマー制御部14は、設定された時間の経過を計測する。なお、バージョン情報とは、ファームウェアのバージョンを示す情報をいう。
【0018】
以下、情報処理装置10が実行する処理手順について説明する。図4は、第1の実施の形態における情報処理装置10が稼働中に実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0019】
例えば、タイマー制御部14が、予め情報処理装置10に設定されているアップデート間隔に基づく自動アップデートの開始日時の到来を検知すると(S101)、更新部12は、ファームウェア記憶部15を参照して、公開サーバ20から既に取得済みのファームウェアの更新用データ(以下、「取得済みファームウェア」という。)のバージョン情報を確認する(S102,S103)。すなわち、図4の処理手順は、アップデート間隔に基づいて定期的に行われてもよい。なお、ファームウェア記憶部15には、公開サーバ20から最後に取得されたファームウェアが記憶されている。また、バージョン情報は、ファームウェアから取得されてもよいし、ファームウェアとは別に、当該ファームウェアのバージョン情報がファームウェア記憶部15に記憶されていてもよい。
【0020】
続いて、更新部12は、公開サーバ20において公開されている、情報処理装置10のファームウェアの更新用のデータの最新バージョン(すなわち、最新のファームウェア、以下、「公開ファームウェア」という。)のバージョン情報の確認を取得部13に要求する(S104)。更新部12からの要求に応じ、取得部13が公開ファームウェアのバージョン情報の問い合わせ要求を公開サーバ20へ送信すると(S105)、公開サーバ20は、公開ファームウェアのバージョン情報を含む応答を返信する(S106)。取得部13は、当該応答を受信すると、当該応答に含まれているバージョン情報を更新部12に応答する(S107)。
【0021】
続いて、更新部12は、取得済みファームウェアのバージョン情報と、公開ファームウェアのバージョン情報とを比較する(S108)。両者のバージョン情報が一致する場合、ステップS109~S105は実行されずにステップS116へ進む。
【0022】
両者のバージョン情報が異なる場合(取得済みファームウェアが無い場合も含む)、更新部12は、公開ファームウェアのダウンロード(取得)を取得部13に要求する(S109)。更新部12からの要求に応じ、取得部13は、公開ファームウェアを公開サーバ20からダウンロード(取得)する(S110、S111)。続いて、取得部13は、ダウンロード(取得)した公開ファームウェアを更新部12へ応答する(S112)。更新部12は、公開ファームウェアをファームウェア記憶部15に記憶する(S113~S115)。この際、取得済みファームウェアがファームウェア記憶部15に記憶されている場合、取得済みファームウェアは公開ファームウェアによって上書きされる。その結果、以降において、当該公開ファームウェアは、取得済みファームウェアとなる。
【0023】
続いて、更新部12は、ファームウェアのアップデートの実行の可否について判定する(S116)。更新部12は、例えば、情報処理装置10の状態等が、アップデートを実行できない条件(以下、「更新不可条件」という。)に該当する場合には、アップデートの実行が不可であると判定し、情報処理装置10の状態が更新不可条件に該当しない場合には、アップデートの実行が可能であると判定する。なお、更新不可条件としては、ユーザが情報処理装置10を使用中(操作中)であることや、ユーザが設定した更新禁止条件(例えば、標準勤務時間は更新禁止等)等が一例として挙げられる。
【0024】
更新不可条件に該当する場合、更新部12は、アップデートを実行しない。一方、更新不可条件に該当しない場合、更新部12は、ファームウェア記憶部15に記憶されている取得済みファームウェアに基づいて情報処理装置10のファームウェアのアップデートを実行し(S117)、情報処理装置10を再起動する(S118)。なお、アップデートの実行に応じ、取得済みファームウェアはファームウェア記憶部15から削除される。
【0025】
ところで、図4の処理手順のみによってファームウェアのアップデートが実行される場合、ユーザが勤務時間を全て更新禁止期間に設定し、かつ、勤務時間以外は常に情報処理装置10の主電源をOFFする場合、ファームウェアが最新の状態に更新される可能性が低くなる。そこで、本実施の形態の情報処理装置10は、主電源のOFFに応じて(動作の停止指示の入力に応じて)、図5に示す処理手順を実行する。
【0026】
図5は、第1の実施の形態における情報処理装置10が主電源のOFFに応じて実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0027】
表示制御部11は、ユーザによって主電源をOFFにする操作が行われたことを検知すると(S121)、シャットダウン要求を更新部12に送信する(S122)。
【0028】
シャットダウン要求に応じ、更新部12は、ファームウェア記憶部15を参照して、取得済みファームウェアの有無を確認する(S123、S124)。すなわち、取得済みファームウェアがファームウェア記憶部15に記憶されているか否かが確認される。
【0029】
取得済みファームウェアが無い場合、更新部12は、情報処理装置10をシャットダウンする(S190)。
【0030】
一方、取得済みファームウェアが有る場合、更新部12は、ファームウェア記憶部15に記憶されている取得済みファームウェアのバージョン情報を確認する(S125、S126)。続いて、図4のステップS104~S108と同じ処理手順が実行されて、取得済みファームウェアのバージョン情報と公開ファームウェアのバージョン情報とが比較される(S127~S131)。
【0031】
両者のバージョン情報が異なる場合、更新部12は、情報処理装置10をシャットダウンする(S190)。両者のバージョン情報が一致する場合、更新部12は、ファームウェア記憶部15に記憶されている取得済みファームウェアに基づいて情報処理装置10のファームウェアのアップデートを実行して(S132)、情報処理装置10をシャットダウンする(S190)。
【0032】
上述したように第1の実施の形態によれば、自動的なアップデートが実行される予定の図4のステップS116のタイミングにおいてアップデートが実行されないまま情報処理装置10の主電源がOFFにされる場合であっても、主電源がOFFにされる前において最新版のファームウェアがダウンロードされていればアップデートが実行される。例えば、ユーザが勤務時間を全て更新禁止期間に設定し、かつ、勤務時間以外は常に主電源をOFFするように情報処理装置10を使用している場合であっても、情報処理装置10の主電源のOFFのタイミングでアップデートが実行される。したがって、ファームウェア(プログラム)の更新の遅延の長期化を抑制することができる。
【0033】
また、本実施の形態では、取得済みファームウェアと公開ファームウェアとのバージョンが一致する場合に限りアップデートが実行される。換言すれば、取得済みファームウェアと公開ファームウェアとのバージョンが異なる場合はアップデートは実行されない。したがって、最新版へのアップデートでもないにも関わらず、情報処理装置10をシャットダウン(停止)させようとしているユーザの意図に反して、シャットダウンが長期化するのを回避することができる。
【0034】
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
【0035】
第1の実施の形態では、ステップS131において取得済みファームウェアと公開ファームウェアとのバージョンが異なる場合、アップデートが実行されない。したがって、例えば、情報処理装置10にインストールされているファームウェアのバージョンがバージョンNであり、バージョンN+1の取得済みファームウェアが取得されている場合であっても、公開ファームウェアがバージョンN+2であれば、情報処理装置10においてアップデートは実行されない。そこで、第2の実施の形態では、このような場合において、バージョンN+1への速やかなアップデートを可能とする例について説明する。
【0036】
図6は、第2の実施の形態における情報処理装置10が主電源のOFFに応じて実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図6中、図5と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。すなわち、第2の実施の形態では、図5の処理手順が図6に置き換えられる。
【0037】
図6では、ステップS131において取得済みファームウェアと公開ファームウェアとのバージョン情報が異なる場合にステップS141~S145が実行される。
【0038】
ステップS131において、取得済みファームウェアと公開ファームウェアとのバージョン情報が異なる場合、更新部12は、最新ではないが取得済みのバージョンのファームウェアでのアップデートの許否を問い合わせる更新許否確認画面510の表示を表示制御部11に要求する(S141)。更新部12からの要求に応じ、表示制御部11は、更新許否確認画面510を表示装置106に表示させる(S142)。
【0039】
図7は、第2の実施の形態における更新許否確認画面510の表示例を示す図である。図7において、更新許否確認画面510は、メッセージ511、ボタン512及びボタン513等を含む。メッセージ511は、最新ではないが取得済みのバージョンのファームウェアでのアップデートの許否をユーザに問い合わせるメッセージであり、取得済みファームウェアのバージョン情報及び最新のバージョン情報(公開ファームウェアのバージョン情報)のそれぞれを含む。
【0040】
ボタン512は、アップデートの許可の選択を受け付けるためのボタンである。ボタン513は、アップデートの不許可の選択を受け付けるためのボタンである。
【0041】
表示制御部11は、更新許否確認画面510におけるボタン512又はボタン513の押下(すなわち、アップデートの許可又は不許可の選択)を検知すると(S143)、押下されたボタンの選択結果(許可又は不許可)を更新部12へ通知する(S144)。
【0042】
ユーザによる選択結果が不許可である場合、更新部12は、アップデートを実行せずに情報処理装置10をシャットダウンする(S190)。一方、ユーザによる選択結果が許可である場合、更新部12は、ファームウェア記憶部15に記憶されている取得済みファームウェアに基づいて情報処理装置10のファームウェアのアップデートを実行して(S145)、情報処理装置10をシャットダウンする(S190)。
【0043】
上述したように、第2の実施の形態によれば、取得済みファームウェアが最新版でない場合であっても、取得済みファームウェアへのアップデートを実行することができる。
【0044】
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
【0045】
第1又は第2の実施の形態では、例えば、ユーザが情報処理装置10を移動させたいために情報処理装置10の主電源をOFFした場合であっても、アップデートの実行条件が満たされればアップデートが実行されてしまう可能性が有る。このような場合、ユーザは、ファームウェアのアップデートが完了するまで情報処理装置10の移動を待機しなければならなくなってしまう。第3の実施の形態では、このような不都合を回避可能とする例について説明する。
【0046】
図8は、第3の実施の形態における情報処理装置10が主電源のOFFに応じて実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図8中、図5と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。すなわち、第3の実施の形態では、図5の処理手順が図8に置き換えられる。
【0047】
図8では、ステップS131において取得済みファームウェアと公開ファームウェアとのバージョン情報が一致する場合に、ステップS132の実行前にステップS151~S155が実行される。
【0048】
ステップS131において、取得済みファームウェアと公開ファームウェアとのバージョン情報が一致する場合、更新部12は、取得済みファームウェアでのアップデートの許否を問い合わせる更新許否確認画面520の表示を表示制御部11に要求する(S151)。更新部12からの要求に応じ、表示制御部11は、更新許否確認画面520を表示装置106に表示させる(S152)。
【0049】
図9は、第3の実施の形態における更新許否確認画面520の表示例を示す図である。図9において、更新許否確認画面520は、メッセージ521、ボタン522及びボタン523等を含む。メッセージ521は、取得済みファームウェアが有ることをユーザに通知すると共に、取得済みファームウェアでのアップデートの許否をユーザに問い合わせるメッセージである。
【0050】
ボタン522は、アップデートの許可の選択を受け付けるためのボタンである。ボタン523は、アップデートの不許可の選択を受け付けるためのボタンである。
【0051】
表示制御部11は、更新許否確認画面520におけるボタン522又はボタン523の押下(すなわち、アップデートの許可又は不許可の選択)を検知すると(S153)、押下されたボタンの選択結果(許可又は不許可)を更新部12へ通知する(S154)。
【0052】
ユーザによる選択結果が不許可である場合、更新部12は、アップデートを実行せずに情報処理装置10をシャットダウンする(S190)。一方、ユーザによる選択結果が許可である場合、更新部12は、ファームウェア記憶部15に記憶されている取得済みファームウェアに基づいて情報処理装置10のファームウェアのアップデートを実行して(S155)、情報処理装置10をシャットダウンする(S190)。
【0053】
上述したように、第3の実施の形態によれば、アップデートの実行条件が満たされる場合であっても、アップデートの許否がユーザに照会される。したがって、例えば、ユーザが情報処理装置10を移動させたいため主電源をOFFした場合に、アップデートを許可しないことをユーザが選択することで、アップデートが実行されるのを回避することができる。
【0054】
なお、第3の実施の形態は、第2の実施の形態と組み合わされてもよい。
【0055】
次に、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では第3の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第3の実施の形態と同様でもよい。
【0056】
第3の実施の形態では、主電源のOFFの指示後に、更新許否確認画面520に対するアップデートの許否の入力を情報処理装置10が待機する必要があるので、当該入力が行われないと、主電源がOFFされずに放置されてしまう可能性が有る。第4の実施の形態では、斯かる不都合を回避する例について説明する。
【0057】
図10は、第4の実施の形態における情報処理装置10が主電源のOFFに応じて実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図10中、図8と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。すなわち、第4の実施の形態では、図8の処理手順が図10に置き換えられる。
【0058】
第4の実施の形態では、主電源のOFFが指示される前のいずれかのタイミングにおいてステップS161~S163が実行される。なお、ステップS161~S163は、情報処理装置10の起動後に毎回実行されなくてよい。過去のいずれかの起動後において少なくとも1度実行されればよい。
【0059】
ステップS161において、表示制御部11は、表示装置106に表示させている自動アップデート設定画面530に対するユーザによる設定結果の入力を受け付ける。
【0060】
図11は、自動アップデート設定画面530の表示例を示す図である。図11において、自動アップデート設定画面530は、更新許否確認画面520に対して入力が行われない場合(以下、「無操作の場合」という。)に、ファームウェアの自動アップデートを実行するか否かの設定(以下、「無操作アップデート設定」という。)を入力させるための画面であり、ボタン531~534等を含む。
【0061】
ボタン531は、無操作の場合であっても自動アップデートを実行することの選択を受け付けるためのボタンである。ボタン532は、無操作の場合には自動アップデートを実行しないことの選択を受け付けるためのボタンである。
【0062】
ボタン533は、ボタン531又はボタン532の選択を取り消して(無効なものとして)自動アップデート設定画面530を非表示とする指示を受け付けるためのボタンである。ボタン534は、ボタン531又はボタン532の選択を有効なものとして自動アップデート設定画面530を非表示とする指示を受け付けるためのボタンである。
【0063】
したがって、ステップS161は、ボタン533又はボタン534の押下に応じて実行される。自動アップデート設定画面530に対するユーザによる設定結果とは、ボタン531又はボタン532の選択結果をいう。以下、ボタン531が選択された場合の設定結果を「無操作アップデート設定=ON」といい、ボタン532が選択された場合の設定結果を「無操作アップデート設定=OFF」という。
【0064】
続いて、表示制御部11は、無操作アップデート設定の設定結果を更新部12へ通知する(S162)。更新部12は、例えば、補助記憶装置102に当該設定結果を記憶する(S163)。
【0065】
一方、主電源のOFFに応じて実行されるステップS131において、取得済みファームウェアと公開ファームウェアとのバージョン情報が一致する場合、更新部12は、更新許否確認画面520の表示を表示制御部11に要求する(S151)と共に、無操作タイマーの計測の開始をタイマー制御部14に要求する(S171)。タイマー制御部14は、更新部12からの要求に応じ、無操作タイマーの計測を開始する(S172)。なお、無操作タイマーとは、情報処理装置10に対するユーザによる操作が無い状態(以下、「無操作状態」という。)の継続時間を計測するためのタイマーをいう。
【0066】
無操作タイマーのタイムアップまでに更新許否確認画面520に対してユーザによる入力が行われた場合、更新部12は、押下されたボタンの選択結果(許可又は不許可)の通知に応じ(S154)、無操作タイマーのキャンセルをタイマー制御部14に要求する(S173)。タイマー制御部14は、更新部12からの要求に応じ、無操作タイマーをキャンセルする(S174)。すなわち、無操作状態の継続時間の計測が停止する。なお、無操作タイマーのタイムアップとは、無操作状態が予め設定された所定時間を経過することをいう。
【0067】
一方、無操作状態の継続時間が所定時間に達し、タイマー制御部14が無操作タイマーのタイムアップを検知すると(S181)、タイマー制御部14は、更新部12にタイムアップを通知する(S182)。タイムアップの通知に応じ、更新部12は、補助記憶装置102に記憶されている無操作アップデート設定を参照してアップデートを実行するか否かを決定する(S183)。すなわち、無操作アップデート設定がONである場合、更新部12は、ファームウェア記憶部15に記憶されている取得済みファームウェアに基づいて情報処理装置10のファームウェアのアップデートを実行して(S184)、情報処理装置10をシャットダウンする(S190)。一方、無操作アップデート設定がONである場合、更新部12は、アップデートを実行せずに、情報処理装置10をシャットダウンする(S190)。
【0068】
上述したように、第4の実施の形態によれば、更新許否確認画面520に対する入力が行われない場合であっても、情報処理装置10の主電源がOFFにされずに放置されたままとなることを回避することができる。
【0069】
なお、第4の実施の形態は、第2の実施の形態における更新許否確認画面510に対する入力が行われない場合に対して適用されてもよい。
【0070】
なお、上記各実施の形態において、情報処理装置10は、通信機能を備えた装置であれば、画像形成装置に限られない。情報処理装置10は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等であってもよい。
【0071】
なお、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0072】
なお、上記各実施の形態において、公開サーバ20は、他の装置の一例である。取得済みファームウェアのバージョン情報は、第1のバージョン情報の一例である。公開ファームウェアのバージョン情報は、第2のバージョン情報の一例である。取得部13は、第1の取得部及び第2の取得部の一例である。
【0073】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 情報処理装置
11 表示制御部
12 更新部
13 取得部
14 タイマー制御部
15 ファームウェア記憶部
20 公開サーバ
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 インタフェース装置
106 表示装置
107 入力装置
B バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【文献】特開2006-252094号公報
【文献】特開2016-197380号公報
図1
図2
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