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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20241112BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241112BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241112BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B41J29/393 105
H04N1/00 Z
B41J29/38 501
G03G15/00 303
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020156326
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022049989
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三澤 聡
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-239762(JP,A)
【文献】特開2015-164236(JP,A)
【文献】特開2013-103407(JP,A)
【文献】特開2017-170841(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0301083(US,A1)
【文献】特開2006-150746(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0115127(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0254886(US,A1)
【文献】特表2013-517494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
H04N 1/00
B41J 29/38
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
印刷要求に基づいて印刷装置が認識可能な画像データを形成するラスタライズ処理、及び、印刷処理済みの印刷媒体を読み取って得られた検査画像データに基づいて前記印刷媒体の検査を行う検査処理を実行し、
前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものである場合、且つ、バリアブル印刷を指示するものではない場合は、前記プロセッサが実行可能な最高検査精度よりも低い精度である第1検査精度で前記検査処理を実行
前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものではない場合は、前記第1検査精度よりも高い精度である第2検査精度で前記検査処理を実行する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものである場合、且つ、バリアブル印刷を指示するものではない場合は、前記検査処理よりも前記ラスタライズ処理の処理優先度を高くする、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記印刷要求が、バリアブル印刷を指示するものである場合は、前記第2検査精度で前記検査処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合は、前記ラスタライズ処理よりも前記検査処理の処理優先度を高くする、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合であっても、利用者から前記ラスタライズ処理を重視する指示を受けた場合は、前記第1検査精度で前記検査処理を実行する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合であっても、利用者から前記ラスタライズ処理を重視する指示を受けた場合は、前記検査処理よりも前記ラスタライズ処理の処理優先度を高くする、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
利用者から入力された又は予め設定された、前記印刷要求に係る印刷処理にかけることができる制限時間に基づいて、指定速度を特定し、
前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合であって、前記検査処理の精度を前記第2検査精度とした場合の前記ラスタライズ処理の実行速度が前記指定速度未満である場合に、前記ラスタライズ処理を重視するか否かを前記利用者に問い合わせる、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
利用者から入力された又は予め設定された、前記印刷要求に係る印刷処理にかけることができる制限時間に基づいて、指定速度を特定し、
前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合であって、前記検査処理の精度を前記第2検査精度とした場合の前記ラスタライズ処理の実行速度が前記指定速度未満である場合に、前記ラスタライズ処理の実行速度を前記指定速度以上とすることができる最大限の検査精度である第3検査精度で前記検査処理を実行する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
印刷要求に基づいて印刷装置が認識可能な画像データを形成するラスタライズ処理、及び、印刷処理済みの印刷媒体を読み取って得られた検査画像データに基づいて前記印刷媒体の検査を行う検査処理をプロセッサに実行させ、
前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものである場合、且つ、バリアブル印刷を指示するものではない場合は、前記プロセッサが実行可能な最高検査精度よりも低い精度である第1検査精度で前記検査処理を実行させ、
前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものではない場合は、前記第1検査精度よりも高い精度である第2検査精度で前記検査処理を実行させる、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置によって印刷された印刷媒体を光学的に読み取って得られた画像データを用いて、印刷済みの印刷媒体を検査することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、印刷済みの印刷媒体を読み取って得られた読み取り画像データを用いて印刷済みの印刷媒体の不良検査を実行する画像読取検査部と、自装置内の異常(例えば何れかの部位の温度や振動、あるいは用紙詰まりなど)を検知する異常検知部とを備える画像形成装置であって、異常検知部が異常を検知しない場合には他の制御を画像読取検査部の制御に優先させ、異常検知部が異常を検知した場合には画像読取検査部の制御を他の制御に優先させる画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-170841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、印刷要求に基づいて印刷装置が認識可能な画像データを形成するラスタライズ処理と、印刷処理済みの印刷媒体を光学的に読み取って得られた検査画像データに基づいて印刷媒体の検査を行う検査処理を1つのプロセッサで実行する情報処理装置がある。
【0006】
検査処理の検査精度を向上させることで、印刷媒体の検査をより正確に行うことができる。しかしながら、1つのプロセッサでラスタライズ処理と検査処理の両方を実行する場合、検査処理の検査精度を向上させると検査処理の負荷が大きくなり、ラスタライズ処理の実行速度が低下するという問題が生じ得る。例えば、当該プロセッサが実行可能な最高実行速度でのラスタライズ処理と、当該プロセッサが実行可能な最高検査精度での検査処理との両立が困難となる場合がある。仮に、常に最高検査精度で検査処理を行うとするならば、当該プロセッサの負荷に応じて、ラスタライズ処理の実行速度が最高実行速度に比して低下してしまうことになる。
【0007】
本発明の目的は、ラスタライズ処理及び検査処理を実行するプロセッサにおいて、常に最高検査精度にて検査処理を実行する場合に比して、印刷要求の特性に応じてラスタライズ処理の実行速度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、印刷要求に基づいて印刷装置が認識可能な画像データを形成するラスタライズ処理、及び、印刷処理済みの印刷媒体を読み取って得られた検査画像データに基づいて前記印刷媒体の検査を行う検査処理を実行し、前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものである場合、且つ、バリアブル印刷を指示するものではない場合は、前記プロセッサが実行可能な最高検査精度よりも低い精度である第1検査精度で前記検査処理を実行前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものではない場合は、前記第1検査精度よりも高い精度である第2検査精度で前記検査処理を実行する、ことを特徴とする情報処理装置である。
請求項2に係る発明は、前記プロセッサは、前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものである場合、且つ、バリアブル印刷を指示するものではない場合は、前記検査処理よりも前記ラスタライズ処理の処理優先度を高くする、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項3に係る発明は、前記プロセッサは、前記印刷要求が、バリアブル印刷を指示するものである場合は、前記第2検査精度で前記検査処理を実行する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置である。
請求項4に係る発明は、前記プロセッサは、前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合は、前記ラスタライズ処理よりも前記検査処理の処理優先度を高くする、ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置である。
請求項5に係る発明は、前記プロセッサは、前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合であっても、利用者から前記ラスタライズ処理を重視する指示を受けた場合は、前記第1検査精度で前記検査処理を実行する、ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置である。
請求項6に係る発明は、前記プロセッサは、前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合であっても、利用者から前記ラスタライズ処理を重視する指示を受けた場合は、前記検査処理よりも前記ラスタライズ処理の処理優先度を高くする、ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置である。
請求項7に係る発明は、前記プロセッサは、利用者から入力された又は予め設定された、前記印刷要求に係る印刷処理にかけることができる制限時間に基づいて、指定速度を特定し、前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合であって、前記検査処理の精度を前記第2検査精度とした場合の前記ラスタライズ処理の実行速度が前記指定速度未満である場合に、前記ラスタライズ処理を重視するか否かを前記利用者に問い合わせる、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の情報処理装置である。
請求項8に係る発明は、前記プロセッサは、利用者から入力された又は予め設定された、前記印刷要求に係る印刷処理にかけることができる制限時間に基づいて、指定速度を特定し、前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合であって、前記検査処理の精度を前記第2検査精度とした場合の前記ラスタライズ処理の実行速度が前記指定速度未満である場合に、前記ラスタライズ処理の実行速度を前記指定速度以上とすることができる最大限の検査精度である第3検査精度で前記検査処理を実行する、ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置である。
請求項9に係る発明は、コンピュータに、印刷要求に基づいて印刷装置が認識可能な画像データを形成するラスタライズ処理、及び、印刷処理済みの印刷媒体を読み取って得られた検査画像データに基づいて前記印刷媒体の検査を行う検査処理をプロセッサに実行させ、前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものである場合、且つ、バリアブル印刷を指示するものではない場合は、前記プロセッサが実行可能な最高検査精度よりも低い精度である第1検査精度で前記検査処理を実行させ、前記印刷要求が、複数部数印刷を指示するものではない場合は、前記第1検査精度よりも高い精度である第2検査精度で前記検査処理を実行させる、ことを特徴とする情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1又は9に係る発明によれば、ラスタライズ処理及び検査処理を実行するプロセッサにおいて、常に最高検査精度にて検査処理を実行する場合に比して、印刷要求の特性に応じてラスタライズ処理の実行速度を向上させることができる。
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明に比して、さらにラスタライズ処理の実行速度を向上させることができる。
請求項3に係る発明によれば、印刷要求が複数部数印刷を指示するものでない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合は、第1検査精度よりも高い第2検査精度で検査処理を実行することができる。
請求項4に係る発明によれば、請求項3に係る発明に比して、検査処理の実行速度を向上させることができる。
請求項5に係る発明によれば、印刷要求が複数部数印刷を指示するものであり、且つ、バリアブル印刷を指示するものでない場合であっても、利用者からの指示に基づいて、常に最高検査精度にて検査処理を実行する場合に比して、印刷要求の特性に応じてラスタライズ処理の実行速度を向上させることができる。
請求項6に係る発明によれば、請求項5に係る発明に比して、さらにラスタライズ処理の実行速度を向上させることができる。
請求項7に係る発明によれば、第2検査精度で検査処理を行うとした場合のラスタライズ処理の実行速度が指定速度未満である場合に、第1検査精度で検査処理を行うか否かを利用者に問い合わせることができる。
請求項8に係る発明によれば、ラスタライズ処理の実行速度を指定速度以上に保つ限りにおける最大限の検査精度で検査処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る画像処理装置の構成概略図である。
図2】印刷ジョブの特性と、検査処理部の検査精度との関係を示す図である。
図3】印刷ジョブの特性と、優先される処理との関係を示す図である。
図4】本実施形態に係る画像処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る情報処理装置は、印刷要求としての印刷ジョブに基づいて、印刷装置が認識可能な画像データを形成するラスタライズ処理と、印刷処理済みの印刷媒体を光学的に読み取って得られた検査画像データに基づいて印刷媒体の検査を行う検査処理とを行う1つのプロセッサを有するものである。本実施形態では、そのような情報処理装置が画像処理装置である場合について説明する。しかしながら、情報処理装置としては、上述のラスタライズ処理及び検査処理を1つのプロセッサで実行するものであれば、どのような装置であってもよい。例えば、情報処理装置は、印刷処理や画像読取処理を行う画像処理装置とは別の装置であって、印刷ジョブに対してラスタライズ処理を施すことで得られたラスタデータを画像処理装置に送信し、画像処理装置から受け取った検査画像データに基づいて検査装置を行う装置であってもよい。
【0012】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置としての画像処理装置10の構成概略図である。画像処理装置10は、プリント(印刷)機能、スキャン(画像読取)機能、コピー機能、画像データ送信機能などを備える複合機である。
【0013】
通信インターフェース12は、例えばネットワークアダプタなどを含んで構成される。通信インターフェース12は、LAN(Local Area Network)などの通信回線を介して他の装置(例えば利用者としてのユーザが使用するユーザ端末)と通信する機能を発揮する。通信インターフェース12は、ユーザ端末から印刷要求としての印刷ジョブを受信する。
【0014】
印刷ジョブは、印刷設定を示す設定情報、及び、印刷対象である印刷データを有するデータである。例えば、印刷設定はユーザにより設定され、印刷データはユーザにより選定される。印刷ジョブに含まれる印刷データは、後述の印刷装置としてのプリンタ20が認識することができないベクタ形式のデータとなっている。なお、ベクタ形式とは、印刷データの内容が数式的に表されたデータである。
【0015】
設定情報に示される印刷設定は、種々の設定項目に対する設定値から構成される。特に、本実施形態においては、印刷設定として、複数部数印刷の指示の有無が含まれる。印刷設定において複数部数印刷が有りに設定されている場合、当該印刷設定を示す設定情報を有する印刷ジョブは複数部数印刷を指示する印刷ジョブとなる。
【0016】
複数部数印刷とは、同一の画像データを複数部(換言すれば2部以上)の印刷媒体(例えば紙など)に印刷する処理を意味する。また、印刷対象の画像データが複数ページに亘る場合、複数部印刷の指示がされると、同一内容の複数のページから構成される印刷媒体セットが複数印刷される。
【0017】
印刷データは、例えば文書データや画像データであってよい。また、印刷データには、バリアブルデータが含まれる場合がある。印刷データにバリアブルデータが含まれる場合、当該印刷データを有する印刷ジョブはバリアブル印刷を指示する印刷ジョブとなる。
【0018】
バリアブル印刷とは、文書データや画像データを複数の印刷媒体に印刷すると共に、印刷媒体毎に異なるデータをさらに印刷するものである。ここでの印刷媒体毎に異なるデータがバリアブルデータである。印刷データにバリアブルデータが含まれる場合、当該印刷データには、文書データや画像データと、バリアブルデータと、文書データや画像データにおけるバリアブルデータの印刷位置や印刷の大きさなどを指定する情報が含まれる。
【0019】
バリアブル印刷の例としては、これに限るものではないが、複数の宛先に送るためのDM(ダイレクトメール)が挙げられる。この場合、文書データや画像データは宣伝内容などを示すデータとなり、バリアブルデータは各宛先を示す住所録などのデータとなる。このような、バリアブルデータを含む印刷データを有する印刷ジョブによれば、それぞれ異なる宛先が印刷された複数のDMを印刷することができる。なお、バリアブル印刷においては、印刷後の各印刷媒体のバリアブルデータ以外の部分は同一の画像が印刷される場合があるが、バリアブルデータが異なるため、バリアブル印刷と複数部数印刷とは異なる概念である。
【0020】
入力インターフェース14は、例えばタッチパネルあるいはボタンなどを含んで構成される。入力インターフェース14は、ユーザが画像処理装置10に種々の指示を入力するために用いられる。
【0021】
ディスプレイ16は、例えば液晶パネルなどを含んで構成される。ディスプレイ16には、種々の画面が表示される。例えば、ディスプレイ16には、後述の通知処理部32の処理により、ユーザに種々の情報を通知するための画面が表示される。
【0022】
メモリ18は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、ROM(Read Only Memory)、あるいはRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されている。メモリ18は、後述のプロセッサ24とは別に設けられてもよいし、少なくとも一部がプロセッサ24の内部に設けられていてもよい。メモリ18には、画像処理装置10の各部を動作させるための情報処理プログラムが記憶される。
【0023】
印刷装置としてのプリンタ20は、例えば帯電装置、感光ドラム、トナー、あるいは印刷媒体搬送装置などを含んで構成される。プリンタ20は、プロセッサ24(特に後述のラスタライズ処理部26)により形成されたラスタデータに基づいて、印刷媒体上に画像を形成(すなわち印刷)する印刷処理を実行する。
【0024】
スキャナ22は、例えば光源及びCCD(Charge Coupled Device)などから構成される。スキャナ22は、プリンタ20による印刷処理済みの印刷媒体を光学的に読み取って検査画像データを形成する。
【0025】
プロセッサ24は、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)など)、及び、専用の処理装置(例えばGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいは、プログラマブル論理デバイスなど)の少なくとも1つを含んで構成される。プロセッサ24としては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。図1に示す通り、プロセッサ24は、メモリ18に記憶された情報処理プログラムにより、ラスタライズ処理部26、検査処理部28、及び優先度設定部30としての機能を発揮する。
【0026】
ラスタライズ処理部26は、印刷ジョブに含まれるベクタ形式の印刷データに基づいて、プリンタ20が認識可能なラスタ形式の画像データ(本明細書では当該画像データを「ラスタデータ」と呼ぶ)を形成するラスタライズ処理を実行する。本明細書における「ラスタライズ処理」は、印刷データを解析する処理、印刷データを中間データに変換する処理、色を変換する処理、中間データをラスタ形式(例えばビットマップ形式)の画像データに変換する処理など、印刷データをラスタデータに変換するために実行される全ての処理の少なくとも一部を含む概念である。
【0027】
ラスタライズ処理部26により形成されたラスタデータはプリンタ20に送られ、プリンタ20は当該ラスタデータに基づいて印刷処理を実行する。これにより、印刷データ及びラスタデータに応じた画像が印刷媒体に印刷される。
【0028】
検査処理部28は、プリンタ20による印刷処理が完了すると、印刷処理済みの印刷媒体をスキャナ22に光学的に読み取らせて、検査画像データを取得する。ここで、検査処理部28は、印刷処理済みの印刷媒体を読み取る際のスキャナ22の読み取り解像度を設定することができる。
【0029】
その上で、検査処理部28は、スキャナ22により得られた検査画像データに基づいて、印刷処理済みの印刷媒体の検査を行う。本実施形態では、検査処理部28は、ラスタライズ処理部26が生成したラスタデータと、検査画像データとを比較することによって、印刷処理済みの印刷媒体の検査を行う。詳しくは、検査処理部28は、両データの類似度が所定の閾値以上であれば、当該印刷媒体は「良」であると判定し、両データの類似度が所定の閾値未満であれば、当該印刷媒体は「不良」であると判定する。なお、検査処理部28による検査の方法としては、検査画像データに基づいて行うものである限りにおいて他の方法であってもよい。
【0030】
検査処理部28の検査精度は、印刷処理済みの印刷媒体を読み取る際のスキャナ22の読み取り解像度に応じて変動する。すなわち、スキャナ22の読み取り解像度が高い程、検査画像データがより高解像度の画像となり、ラスタデータと検査画像データとの間のより正確な検査が可能となる。つまり、スキャナ22の読み取り解像度が高い程、検査処理部28の検査精度が高くなる。反対に、スキャナ22の読み取り解像度が低い程、検査処理部28の検査精度が低くなる。
【0031】
一方、スキャナ22の読み取り解像度が高い程、検査画像データのデータ容量が大きくなり、検査処理部28におけるラスタデータと検査画像データとの比較処理の処理量が大きくなる。つまり、プロセッサ24における検査処理の負荷が大きくなる。反対に、スキャナ22の読み取り解像度が低い程、検査画像データのデータ容量が小さくなり、検査処理部28におけるラスタデータと検査画像データとの比較処理の処理量が小さくなる。つまり、プロセッサ24における検査処理の負荷が小さくなる。
【0032】
上述の通り、プロセッサ24は、ラスタライズ処理と検査処理の両方を実行するところ、プロセッサ24の処理能力は有限であるから、検査処理の負荷(換言すれば処理量)が過大となると、ラスタライズ処理部26によるラスタライズ処理の実行速度が遅くなるということが生じ得る。少なくとも、本実施形態におけるプロセッサ24は、プロセッサ24が実行可能な最高検査精度での検査処理と、プロセッサ24が実行可能な最高実行速度でのラスタライズ処理とを両立する処理能力は有していないものとする。
【0033】
このことに鑑み、本実施形態では、検査処理部28は、印刷ジョブの特性に応じて、検査処理の検査精度を変更する。ここで、印刷ジョブの特性とは、印刷ジョブの印刷設定の内容、及び、印刷対象の印刷データの内容を示すものである。より詳しくは、印刷ジョブが複数部数印刷を指示するものであるか否か、及び、印刷ジョブがバリアブル印刷を指示するものであるか否かである。印刷ジョブが複数部数印刷を指示するものであるか否かは、印刷ジョブの設定情報に基づいて識別することができる。また、印刷ジョブがバリアブル印刷を指示するのであるか否かは、印刷データを解析すること(例えば印刷データにバリアブルデータが含まれているか否か)で識別することができる。
【0034】
具体的には、検査処理部28は、印刷ジョブが、複数部数印刷を指示するものである場合、且つ、バリアブル印刷を指示するものではない場合は、プロセッサ24が実行可能な最高検査精度よりも低い精度である第1検査精度で検査処理を実行する。本実施形態では、検査処理部28は、第1検査精度での検査処理を実現するために、スキャナ22の読み取り解像度を、スキャナ22が実行可能な最高解像度よりも低い第1解像度に設定して印刷処理済みの印刷媒体をスキャナ22に光学的に読み取らせて、検査画像データを取得する。その上で、検査処理部28は、ラスタデータと取得した検査画像データを比較することで検査処理を実行する。
【0035】
これにより、最高解像度に設定されたスキャナ22の読み取り処理により検査画像データを取得する場合に比して、検査画像データのデータ容量が小さくなり、プロセッサ24における検査処理の負荷を小さくことができ、ラスタライズ処理部26によるラスタライズ処理の実行速度の低下を抑制することができる。
【0036】
印刷ジョブが、複数部数印刷を指示するものである場合、且つ、バリアブル印刷を指示するものではない場合に、最高検査精度に比して検査精度を下げる理由は以下の通りである。検査処理においては、各印刷媒体おいて特有の箇所(つまり他の印刷媒体とは異なる部分)に印刷ミスがある場合にそれを検出することがより重要視される場合が多い。例えば、上述のDMの例においては、複数の印刷媒体において共通する宣伝内容などを示すデータ部分よりも、各印刷媒体における宛先の印刷ミスを検出することがより重要視される。このことに鑑みると、複数部数印刷を指示するものである場合、且つ、バリアブル印刷を指示するものではない場合というのは、印刷処理の結果である複数の印刷媒体には、特有の箇所が無く、同じ内容の画像データが印刷されることになる。つまり、この場合、複数の印刷媒体に特有の箇所がある場合に比して、検査処理の重要性は(もちろん重要でないことはないが)低下することになる。したがって、この場合、ラスタライズ処理の実行速度が低下するくらいならば、検査処理の検査精度を低下させてもよいということになる。
【0037】
また、検査処理部28は、印刷ジョブが、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合は、第1検査精度よりも高い精度である第2検査精度で検査処理を実行する。これに限るものではないが、第2検査精度は、プロセッサ24が実行可能な最高検査精度であってもよい。本実施形態では、検査処理部28は、第2検査精度での検査処理を実現するために、スキャナ22の読み取り解像度を、第1解像度よりも高い第2解像度(スキャナ22が実行可能な最高解像度であってもよい)に設定して印刷処理済みの印刷媒体をスキャナ22に光学的に読み取らせて、検査画像データを取得する。その上で、検査処理部28は、ラスタデータと取得した検査画像データを比較することで検査処理を実行する。
【0038】
印刷ジョブが、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合は、印刷処理の結果である複数の印刷媒体のそれぞれは互いに異なる画像データが印刷されることになる。これはすなわち、各印刷媒体にはいずれも特有の箇所があるということが言える。したがって、この場合、検査処理がより重要視されることから、第2検査精度で検査処理を実行することで、検査処理の検査精度を少なくとも第1検査精度よりも高くする。
【0039】
図2には、印刷ジョブの特性と、検査処理部28の検査精度との関係が示されている。改めて第1検査精度と第2検査精度と最高検査精度とにおける検査精度の高低を記載すると、検査精度から高い順に、最高検査精度、第2検査精度、第1検査精度となる。第2検査精度が最高検査精度であってもよいことは上述の通りである。
【0040】
また、検査処理部28は、印刷ジョブが、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合であっても、通常ならば第2検査精度で検査を行うところ、ユーザからラスタライズ処理を重視する指示を受けた場合には、第1検査精度で検査処理を実行するようにしてもよい。ユーザによるラスタライズ処理を重視する指示の入力はどのような方法で入力されてもよい。例えば、ユーザは、印刷ジョブの印刷設定にラスタライズ処理を重視することを示すようにしてもよい。また、ユーザは、印刷ジョブとは別に、入力インターフェース14から当該指示を入力することができる。あるいは、画像処理装置10の設定値として、ユーザがラスタライズ処理を重視することを予め設定しておいてもよい。
【0041】
ユーザは、例えば、緊急で印刷処理を完了させなければならない場合などに、ラスタライズ処理を重視する指示を画像処理装置10に入力することができる。これによれば、印刷ジョブが、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合であっても、検査処理部28に第1検査精度で検査処理を実行させることができ、ラスタライズ処理部26によるラスタライズ処理の実行速度の低下を抑制することができる。
【0042】
また、検査処理部28は、印刷ジョブが、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合であって、検査処理の精度を第2検査精度とした場合のラスタライズ処理部26によるラスタライズ処理の実行速度が指定速度未満である場合に、ラスタライズ処理を重視するか否かをユーザに問い合わせるようにしてもよい。
【0043】
まず、プロセッサ24の処理能力(例えばCPUのクロック数やコア数など)に応じた、検査処理の検査精度とラスタライズ処理の実行速度との対応関係を示す情報(例えば2次元マップ)を予めメモリ18に記憶させるなどして用意しておく。これにより、検査処理部28は、検査処理の精度が第2検査精度である場合のラスタライズ処理の実行速度を把握することができる。ラスタライズ処理の実行速度を示す指標としては種々の指標が考えられるが、例えば、単位時間当たりのラスタデータの出力データ容量などであってよい。
【0044】
また、指定速度は例えばユーザ入力に基づいて特定可能であってよい。例えば、ユーザは、印刷ジョブを入力すると共に、当該印刷ジョブに係る印刷処理にかけることができる時間である制限時間を入力する。制限時間は、予め画像処理装置10の設定値として設定されていてもよい。検査処理部28は、入力された印刷ジョブの印刷データのデータ容量及びデータ内容、入力された制限時間、並びに、プリンタ20における印刷処理に係る時間を考慮して、指定速度を特定することができる。
【0045】
その上で、検査処理部28は、検査処理の精度が第2検査精度である場合のラスタライズ処理の実行速度が、特定した指定速度未満であるかを判定し、指定速度未満である場合に、ラスタライズ処理を重視するか否かをユーザに問い合わせる。ユーザへの問い合わせの方法としては、これに限られるものではないが、例えば、ディスプレイ16に「ラスタライズ処理を重視しますか?」のメッセージと共に、「はい」及び「いいえ」のボタンを表示させる、などの態様が考えられる。また、検査処理部28は、同様の画面をユーザ端末のディスプレイに表示させるようにしてもよい。
【0046】
当該問い合わせに対して、ユーザがラスタライズ処理を重視することを指示すれば、検査処理部28は、第1検査精度で検査処理を行う。一方、ユーザがラスタライズ処理を重視することを指示しなければ、換言すれば検査処理を重視することを指示すれば、検査処理部28は、第2検査精度で検査処理を行う。
【0047】
また、検査処理部28は、印刷ジョブが、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合であって、検査処理の精度を第2検査精度とした場合のラスタライズ処理部26によるラスタライズ処理の実行速度が指定速度未満である場合に、ラスタライズ処理部26によるラスタライズ処理の実行速度を当該指定速度以上とすることができる最大限の検査精度である第3検査精度で検査処理を実行するようにしてもよい。
【0048】
検査処理部28は、上述した、検査処理の検査精度とラスタライズ処理の実行速度との対応関係を示す情報に基づいて、ラスタライズ処理の実行速度が指定速度以上となる最大限の検査精度である第3検査精度を特定することができる。第3検査精度は、第1検査精度よりも検査精度が高く、第2検査精度よりも検査精度が低い検査精度である。第1検査精度、第2検査精度、第3検査精度、及び最高検査精度における検査精度の高低を記載すると、検査精度から高い順に、最高検査精度、第2検査精度、第3検査精度、第1検査精度となる。検査処理の検査精度を第3検査精度とすることで、ラスタライズ処理の実行速度を指定速度以上に保つ限りにおける最大限の検査精度で検査処理を実行することができるようになる。
【0049】
なお、印刷ジョブが、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合であって、検査処理の精度を第2検査精度とした場合のラスタライズ処理部26によるラスタライズ処理の実行速度が指定速度未満である場合に、検査処理部28は、ラスタライズ処理を重視するか否かをユーザに問い合わせた上で、ユーザがラスタライズ処理を重視しないことを指示した場合、換言すれば検査処理を重視することを指示した場合に、第3検査精度で検査処理を実行するようにしてもよい。
【0050】
優先度設定部30は、プロセッサ24における、ラスタライズ処理部26によるラスタライズ処理と、検査処理部28による検査処理の処理優先度を設定する。
【0051】
プロセッサ24の処理においては、ラスタライズ処理及び検査処理はプロセスであるとみなすことができる。プロセスであるラスタライズ処理及び検査処理は、それぞれさらに細かい処理単位であるスレッド群から構成される。プロセッサ24は、予め定められたタイムスライス時間毎にスレッドを切り替えて順次処理を行っていく。これにより、ラスタライズ処理のスレッドと検査処理のスレッドが時分割で順次処理されていくので、ラスタライズ処理と検査処理とがあたかも同時に処理されているかのように処理することができる。
【0052】
優先度設定部30により、各スレッドにはそれぞれ処理優先度が付与される。プロセッサ24は、複数のスレッドの内、処理優先度が最も高いスレッドにタイムスライス時間を割り当てて処理を行う。各スレッドは、処理の進行状況により、アクティブ状態とサスペンド状態(実行不可状態)との間で状態遷移する。プロセッサ24は、複数のスレッドのうち、処理優先度が最も高いスレッドでもサスペンド状態のスレッドの処理は実行せず、アクティブ状態のスレッドのうちで処理優先度が最も高いスレッドを実行する。
【0053】
優先度設定部30は、印刷ジョブが、複数部数印刷を指示するものである場合、且つ、バリアブル印刷を指示するものではない場合は、検査処理部28による検査処理よりもラスタライズ処理部26によるラスタライズ処理の処理優先度を高くする。より具体的には、優先度設定部30は、検査処理のスレッドの処理優先度よりも、ラスタライズ処理のスレッドの処理優先度を高くする。上述のように、この場合、検査処理の検査精度を低下させてもよい(換言すればラスタライズ処理を優先してよい)ところ、検査処理よりもラスタライズ処理の処理優先度を高くすることにより、ラスタライズ処理のスレッドが優先して実行されるから、検査処理よりもラスタライズ処理の処理優先度を高くしない場合に比して、ラスタライズ処理の実行速度を向上させることができる。
【0054】
また、優先度設定部30は、印刷ジョブが、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合は、ラスタライズ処理部26によるラスタライズ処理よりも検査処理部28による検査処理の処理優先度を高くする。より具体的には、優先度設定部30は、ラスタライズ処理のスレッドの処理優先度よりも、検査処理のスレッドの処理優先度を高くする。上述のように、この場合、検査処理がより重要視されるところ、ラスタライズ処理よりも検査処理の処理優先度を高くすることにより、検査処理のスレッドが優先して実行されるから、ラスタライズ処理よりも検査処理の処理優先度を高くしない場合に比して、検査処理の実行速度を向上させることができる。
【0055】
図3には、印刷ジョブの特性と、優先される処理との関係が示されている。
【0056】
また、優先度設定部30は、印刷ジョブが、複数部数印刷を指示するものではない場合、又は、バリアブル印刷を指示するものである場合であっても、通常ならばラスタライズ処理よりも検査処理の処理優先度を高くするところ、ユーザからラスタライズ処理を重視する指示を受けた場合には、ラスタライズ処理部26によるラスタライズ処理よりも検査処理部28による検査処理の処理優先度を高くするようにしてもよい。
【0057】
本実施形態に係る画像処理装置10の概要は以上の通りである。以下、図4に示すフローチャートに従って、画像処理装置10の処理の流れについて説明する。
【0058】
ステップS10において、検査処理部28は、画像処理装置10に入力された印刷ジョブの印刷データを解析することで、当該印刷ジョブがバリアブル印刷を指示するものであるか否かを判定する。バリアブル印刷を指示するものではない場合はステップS12に進む。
【0059】
ステップS12において、検査処理部28は、当該印刷ジョブの設定情報に基づいて、当該印刷ジョブが複数部数印刷を指示するものであるか否かを判定する。複数部数印刷を指示するものである場合、つまり、印刷ジョブが、複数部数印刷を指示するものである場合、且つ、バリアブル印刷を指示するものではない場合はステップS14に進む。
【0060】
ステップS14において、検査処理部28は、検査処理の検査精度を第1検査精度に設定する。また、優先度設定部30は、検査処理よりもラスタライズ処理の処理優先度を高く設定する。
【0061】
ステップS10で当該印刷ジョブがバリアブル印刷を指示するものであると判定された場合、又は、ステップS12で当該印刷ジョブが複数部数印刷を指示するものでないと判定された場合は、ステップS16に進む。
【0062】
ステップS16において、検査処理部28は、第2検査精度で検査処理をした場合におけるラスタライズ処理の実行速度が指定速度未満であるか否かを判定する。ラスタライズ処理の実行速度が指定速度以上である場合、つまり、第2検査精度としてもラスタライズ処理の実行速度が十分に保てる場合はステップS18に進む。
【0063】
ステップS18において、検査処理部28は、検査処理の検査精度を第2検査精度に設定する。また、優先度設定部30は、ラスタライズ処理よりも検査処理の処理優先度を高く設定する。
【0064】
ステップS16でラスタライズ処理の実行速度が指定速度未満である場合はステップS20に進む。
【0065】
ステップS20において、検査処理部28は、ラスタライズ処理を重視するか否かをユーザに問い合わせる。当該問い合わせに対して、ユーザがラスタライズ処理を重視することを指示した場合は、ステップS14に進む。当該問い合わせに対して、ユーザが検査処理を重視することを指示した場合は、ステップS22に進む。
【0066】
ステップS20において、検査処理部28は、検査処理の検査精度を第2検査精度又は第3検査精度に設定する。また、優先度設定部30は、ラスタライズ処理よりも検査処理の処理優先度を高く設定する。
【0067】
ステップS14、S18、又はS22のいずれかで検査精度及び処理優先度が設定されると、ステップS24において、当該印刷ジョブが処理される。具体的には、設定された処理優先度に従って、ラスタライズ処理部26がラスタライズ処理を実行すると共に、検査処理部28が設定した検査精度で検査を行う。
【0068】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
10 画像処理装置、12 通信インターフェース、14 入力インターフェース、16 ディスプレイ、18 メモリ、20 プリンタ、22 スキャナ、24 プロセッサ、26 ラスタライズ処理部、28 検査処理部、30 優先度設定部。
図1
図2
図3
図4