(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】超接合半導体装置および超接合半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20241112BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20241112BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20241112BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20241112BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H01L29/78 652H
H01L29/78 653A
H01L29/78 652N
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/06 301F
H01L29/78 652P
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652M
H01L29/78 652F
H01L29/78 658E
H01L29/78 658A
H01L29/78 655A
H01L29/78 652T
(21)【出願番号】P 2020157344
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2020071572
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】西村 武義
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-173418(JP,A)
【文献】特開2007-300034(JP,A)
【文献】国際公開第2017/094144(WO,A1)
【文献】特開2016-197705(JP,A)
【文献】特開2009-147234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/06
H01L 21/336
H01L 29/739
H01L 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流が流れる活性領域と、前記活性領域の外側に配置され、前記活性領域の周囲を囲む耐圧構造が形成された終端構造部と、を有する超接合半導体装置の製造方法であって、
第1導電型の半導体基板のおもて面に、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型の第1半導体層を形成する第1工程と、
前記第1半導体層の表面から第1トレンチを形成する第2工程と、
前記第1半導体層の表面および前記第1トレンチ内に、前記第1半導体層より低不純物濃度の第1導電型の第2半導体層を形成する第3工程と、
前記第2半導体層に、第2導電型となる不純物を注入することで、前記第2半導体層の内部に、第2導電型のウェル領域を形成するとともに、第1導電型の第1カラムと第2導電型の第2カラムとが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された並列pn構造であって、前記第2カラムの上面が、前記ウェル領域の底面と接する前記並列pn構造を形成する第4工程と、
前記第2半導体層を貫通し、前記第1カラムに達する第2トレンチを形成する第5工程と、
前記活性領域の前記並列pn構造の表面上に、第2導電型の第2半導体領域を形成する第6工程と、
前記第2トレンチの内部にゲート絶縁膜およびゲート電極を形成する第7工程と、
前記活性領域の前記第2半導体領域の表面層に選択的に第1導電型の第1半導体領域を形成する第8工程と、
を含むことを特徴とする超接合半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第6工程では、前記第2半導体領域の底面は前記ウェル領域の底面より浅くなるように形成することを特徴とする請求項1に記載の超接合半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第6工程では、前記ウェル領域の不純物濃度が、前記第2半導体領域の不純物濃度より低くなるように形成することを特徴とする請求項1に記載の超接合半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第4工程では、前記第1トレンチ内の前記第2半導体層に前記第2導電型となる不純物を注入することを特徴とする請求項1に記載の超接合半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第4工程では、前記第1半導体層の表面上の前記第2半導体層の表面層に、前記第2導電型となる不純物を注入することを特徴とする請求項1に記載の超接合半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第4工程では、前記第2カラムを前記終端構造部にも形成することを特徴とする請求項1に記載の超接合半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第5工程より前に、前記第6工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の超接合半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第4工程では、前記第1トレンチ内の前記第2半導体層のみに前記第2導電型となる不純物を注入することを特徴とする請求項1に記載の超接合半導体装置の製造方法。
【請求項9】
電流が流れる活性領域と、前記活性領域の外側に配置され、前記活性領域の周囲を囲む耐圧構造が形成された終端構造部と、を有する超接合半導体装置であって、
第1導電型の半導体基板のおもて面に設けられた、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層内部に設けられた、第1導電型の第1カラムと第2導電型の第2カラムとが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された並列pn構造と、
前記活性領域の前記並列pn構造の表面層に設けられた第2導電型の第2半導体領域と、
前記活性領域の前記第2半導体領域の表面層に選択的に設けられた第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域および前記第2半導体領域を貫通し、前記第1カラムに達する第2トレンチと、
前記第2トレンチ内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、を備え
、
前記第1半導体層の内部に第2導電型のウェル領域が設けられ、前記ウェル領域の下面が前記第2カラムの上面に接し、前記ウェル領域の底面が前記第2半導体領域の底面より深く、前記ウェル領域の上面の幅は前記第2カラムの幅より広
く、
前記終端構造部の前記第1半導体層の表面に前記第1半導体層より不純物濃度が低い第1導電型の第2半導体層と、
前記終端構造部の前記第1半導体層の表面に前記ウェル領域より不純物濃度が低い第2導電型のリサーフ領域と、を備え、
前記リサーフ領域の底面は前記第1半導体層と前記第2半導体層との境界よりも深く設けられることを特徴とする超接合半導体装置。
【請求項10】
前記ウェル領域の不純物濃度は前記第2半導体領域の不純物濃度より低いことを特徴とする請求項9に記載の超接合半導体装置。
【請求項11】
前記並列pn構造は、前記終端構造部にも設けられることを特徴とする請求項9に記載の超接合半導体装置。
【請求項12】
前記終端構造部の前記並列pn構造の繰り返しピッチは前記活性領域の前記並列pn構造の繰り返しピッチより狭いことを特徴とする請求項9に記載の超接合半導体装置。
【請求項13】
前記ウェル領域および前記第2半導体領域は、前記第2トレンチの側壁に接することを特徴とする請求項9に記載の超接合半導体装置。
【請求項14】
前記第2半導体層は、前記終端構造部の最外に設けられる前記ウェル領域と前記リサーフ領域との間にも設けられることを特徴とする請求項9に記載の超接合半導体装置。
【請求項15】
前記ウェル領域の不純物濃度は前記第2カラムの不純物濃度より高いことを特徴とする請求項9に記載の超接合半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超接合半導体装置および超接合半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車に代表される自動車の電装化は、ますます高まっており、消費電力低減のためパワー半導体への低損失(低オン抵抗)要求が強くなっている。低耐圧クラスにおいて低オン抵抗化するためには、トレンチゲートMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)が優位である。さらに、トレンチゲートMOSFETのオン抵抗の低減には、超接合(SJ:Super Junction:スーパージャンクション)構造が有効である。超接合構造は、n型カラム領域とp型カラム領域とが半導体基板の主面に平行な方向に交互に繰り返し配置してなる並列pn領域よりなる。この並列pn領域を形成する方法として、多段エピタキシャル方式やトレンチ埋め込み方式が公知である。
【0003】
多段エピタキシャル方式では、並列pn領域を以下の工程で形成する。まず、半導体基板の主面にエピタキシャル層を形成する。次に、エピタキシャル層にn型領域およびp型領域を形成する不純物をイオン注入する。その後も、超接合半導体装置の耐圧に応じた所定の並列pn領域の厚みが得られるよう、エピタキシャル層形成とイオン注入とを交互に繰り返す。その後熱処理を行い、n型領域とp型領域のそれぞれを深さ方向につなげることで、並列pn領域が形成される。(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
トレンチ埋め込み方式では、並列pn領域を以下の工程で形成する。まず、半導体基板の主面にn型エピタキシャル層を形成する。次に、このn型エピタキシャル層にp型カラム領域を形成するためのトレンチを形成する。トレンチが形成されない領域がn型カラム領域となる。トレンチの深さは、超接合半導体装置の耐圧に応じた所定の並列pn領域の厚みが得られる深さとする。その後、トレンチの内部をp型エピタキシャル層で埋め込むことで、並列pn領域が形成される(例えば、下記特許文献1および2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-21547号公報
【文献】特開2004-241768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、多段エピタキシャル方式では、エピタキシャル成長毎にフォトリソグラフィ技術によるマスクの形成、イオン注入を繰り返すため寸法や合わせばらつきにより特性変動の可能性が高くなる。さらに、エピタキシャル成長毎の熱履歴で並列pn領域の相互拡散により、隣り合うn型カラム領域とp型カラム領域に濃度補償が生じてオン抵抗が高くなる可能性がある。また、工程が多く、リードタイムが長くなり、製造コストが高くなる。
【0007】
また、トレンチ埋め込み方式では、p型エピタキシャル層でトレンチを埋め込む際に、n型カラム領域となるn型エピタキシャル層表面に形成されるp型エピタキシャル層を、CMP(Chemical Mechanical. Polisher)工程により除去後、n型エピタキシャル層を表面に形成している。p型エピタキシャル層を除去する理由は、エッジ終端領域にp型層が存在すると耐圧を保持できないためである。このため、トレンチ埋め込み方式は、CMP装置が必要となり、CMP工程での研磨量のばらつきにより特性が変動する可能性がある。また、p型のエピタキシャル成長は、n型のエピタキシャル成長に比べて不純物濃度のばらつきが大きく、不純物濃度のコントロールが必要となる。さらに、高濃度のp型エピタキシャル層とn型ドリフト層の接合のため、不純物濃度の勾配が大きく、空乏層が広がりにくく、耐圧が低下するおそれがある。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、簡便にSJ構造を形成でき、コスト低減が可能な超接合半導体装置および超接合半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる超接合半導体装置の製造方法は、電流が流れる活性領域と、前記活性領域の外側に配置され、前記活性領域の周囲を囲む耐圧構造が形成された終端構造部と、を有する超接合半導体装置の製造方法である。まず、第1導電型の半導体基板のおもて面に、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型の第1半導体層を形成する第1工程を行う。次に、前記第1半導体層の表面から第1トレンチを形成する第2工程を行う。次に、前記第1半導体層の表面および前記第1トレンチ内に、前記第1半導体層より低不純物濃度の第1導電型の第2半導体層を形成する第3工程を行う。次に、前記第2半導体層に、第2導電型となる不純物を注入することで、前記第2半導体層の内部に、第2導電型のウェル領域を形成するとともに、第1導電型の第1カラムと第2導電型の第2カラムとが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された並列pn構造であって、前記第2カラムの上面が、前記ウェル領域の底面と接する前記並列pn構造を形成する第4工程を行う。次に、前記第2半導体層を貫通し、前記第1カラムに達する第2トレンチを形成する第5工程を行う。次に、前記活性領域の前記並列pn構造の表面上に、第2導電型の第2半導体領域を形成する第6工程を行う。次に、前記第2トレンチの内部にゲート絶縁膜およびゲート電極を形成する第7工程を行う。次に、前記活性領域の前記第2半導体領域の表面層に選択的に第1導電型の第1半導体領域を形成する第8工程を行う。
【0010】
また、この発明にかかる超接合半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第6工程では、前記第2半導体領域の底面は前記ウェル領域の底面より浅くなるように形成することを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる超接合半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第6工程では、前記ウェル領域の不純物濃度が、前記第2半導体領域の不純物濃度より低くなるように形成することを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる超接合半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、前記第1トレンチ内の前記第2半導体層に前記第2導電型となる不純物を注入することを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる超接合半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、前記第1半導体層の表面上の前記第2半導体層の表面層に、前記第2導電型となる不純物を注入することを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる超接合半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、前記第2カラムを前記終端構造部にも形成することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる超接合半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第5工程より前に、前記第6工程を行うことを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる超接合半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、前記第1トレンチ内の前記第2半導体層のみに前記第2導電型となる不純物を注入することを特徴とする。
【0017】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる超接合半導体装置は、次の特徴を有する。電流が流れる活性領域と、前記活性領域の外側に配置され、前記活性領域の周囲を囲む耐圧構造が形成された終端構造部と、を有する超接合半導体装置である。第1導電型の半導体基板のおもて面に、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型の第1半導体層が設けられる。前記第1半導体層内部に、第1導電型の第1カラムと第2導電型の第2カラムとが前記おもて面に平行な方向において繰り返し交互に配置された並列pn構造が設けられる。前記活性領域の前記並列pn構造の表面層に第2導電型の第2半導体領域が設けられる。前記活性領域の前記第2半導体領域の表面層に選択的に第1導電型の第1半導体領域が設けられる。前記第1半導体領域および前記第2半導体領域を貫通し、前記第1カラムに達する第2トレンチが設けられる。前記第2トレンチ内部にゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられる。前記第1半導体層の内部に第2導電型のウェル領域が設けられ、前記ウェル領域の下面が前記第2カラムの上面に接し、前記ウェル領域の底面が前記第2半導体領域の底面より深く、前記ウェル領域の上面の幅は前記第2カラムの幅より広い。前記終端構造部の前記第1半導体層の表面に前記第1半導体層より不純物濃度が低い第1導電型の第2半導体層と、前記終端構造部の前記第1半導体層の表面に前記ウェル領域より不純物濃度が低い第2導電型のリサーフ領域と、を備え、前記リサーフ領域の底面は前記第1半導体層と前記第2半導体層との境界よりも深く設けられる。
【0018】
また、この発明にかかる超接合半導体装置は、上述した発明において、前記ウェル領域の不純物濃度は前記第2半導体領域の不純物濃度より低いことを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる超接合半導体装置は、上述した発明において、前記並列pn構造は、前記終端構造部にも設けられることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる超接合半導体装置は、上述した発明において、前記終端構造部の前記並列pn構造の繰り返しピッチは前記活性領域の前記並列pn構造の繰り返しピッチより狭いことを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる超接合半導体装置は、上述した発明において、前記ウェル領域および前記第2半導体領域は、前記第2トレンチの側壁に接することを特徴とする。また、この発明にかかる超接合半導体装置は、上述した発明において、前記第2半導体層は、前記終端構造部の最外に設けられる前記ウェル領域と前記リサーフ領域との間にも設けられることを特徴とする。また、この発明にかかる超接合半導体装置は、上述した発明において、前記ウェル領域の不純物濃度は前記第2カラムの不純物濃度より高いことを特徴とする。
【0023】
上述した発明によれば、エッジ終端領域には、n-型エピタキシャル層(第1導電型の第2半導体層)が設けられ、n-型エピタキシャル層の表面にフィールド酸化膜が設けられている。n-型エピタキシャル層により、n-型エピタキシャル層とp--型リサーフ領域とのpn接合から延びる空乏層をn-型エピタキシャル層に広げることでSJ-MOSFETの耐圧を向上させることができる。また、n-型エピタキシャル層は不純物濃度が低いため、イオン注入によりp型ベース領域の濃度を制御しやすくなり、ゲート閾値電圧Vthのばらつきを抑えることができる。
【0024】
また、p型カラム領域となる領域にp型カラム用トレンチを形成し、n型カラム領域となるn型ドリフト層よりも低不純物濃度のn-型エピタキシャル層を堆積し、n-型エピタキシャル層の表面からのp型不純物のイオン注入と拡散により、p型カラム領域4およびp型ウェル領域を形成している。これにより、p型エピタキシャル層の堆積を行わずにp型カラム領域を形成できるので、エッジ終端領域でp型エピタキシャル層の除去が不要となる。また、p型カラム用トレンチが埋め込まれた表面部分はCMP装置等を用い平坦化する工程が不要である。よって、簡便にSJ構造を形成することができ、製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明にかかる超接合半導体装置および超接合半導体装置の製造方法によれば、簡便でSJ構造を形成でき、コスト低減が可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの構造を示す断面図である。
【
図2A】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの他の構造を示す断面図である。
【
図2B】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの他の構造を示す断面図である。
【
図2C】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの他の構造を示す断面図である。
【
図2D】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの他の構造を示す断面図である。
【
図3】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの構造を示す平面図である。
【
図4】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
【
図5】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
【
図6】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その3)。
【
図7】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その4)。
【
図8】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その5)。
【
図9A】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その6)。
【
図9B】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その7)。
【
図9C】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その8)。
【
図10A】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その9)。
【
図10B】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その10)。
【
図10C】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その11)。
【
図11】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その12)。
【
図12】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その13)。
【
図13】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その14)。
【
図14】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その15)。
【
図15】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その16)。
【
図16】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その17)。
【
図17】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その18)。
【
図18】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その19)。
【
図19】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その20)。
【
図20】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その21)。
【
図21】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その22)。
【
図22】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その23)。
【
図23】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その24)。
【
図24】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その25)。
【
図25】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その26)。
【
図26】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第2の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
【
図27】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第2の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
【
図28】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第2の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その3)。
【
図29】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第2の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その4)。
【
図30】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第2の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その5)。
【
図31】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第3の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
【
図32】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第3の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
【
図33】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第3の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その3)。
【
図34】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第3の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その4)。
【
図35】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第3の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その5)。
【
図36】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第3の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その6)。
【
図37】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第3の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その7)。
【
図38】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第3の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その8)。
【
図39】実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第3の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である(その9)。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる超接合半導体装置および超接合半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。+および-を含めたnやpの表記が同じ場合は近い濃度であることを示し濃度が同じとは限らない。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0028】
(実施の形態)
本発明にかかる超接合半導体装置について、SJ-MOSFETを例に説明する。
図1は、実施の形態にかかるSJ-MOSFETの構造を示す断面図である。
【0029】
図1に示すSJ-MOSFET(超接合半導体装置)50は、シリコン(Si)からなる半導体基体(シリコン基体:半導体チップ)のおもて面(後述するp型ベース領域5側の面)側にMOS(Metal Oxide Semiconductor)ゲートを備えたSJ-MOSFET50である。このSJ-MOSFET50は、活性領域30と、活性領域30の周囲を囲むエッジ終端領域40とを備える。活性領域30は、オン状態のときに電流が流れる領域である。エッジ終端領域40は、ドリフト領域の半導体基体おもて面側の電界を緩和し耐圧を保持する耐圧保持領域を含む。なお、活性領域30とエッジ終端領域40との境界は、片側のみに後述するn
+型ソース領域6が設けられたトレンチ18Bの中心である。
図1の活性領域30には、1つの単位セル(素子の機能単位)のみを示し、これらに隣接する他の単位セルを図示省略する。単位セルは、トレンチ18Bの中心から隣のトレンチ18Bの中心までを示す。
【0030】
n+型半導体基板(第1導電型の半導体基板)1は、例えばヒ素(As)またはリン(P)がドーピングされたシリコン単結晶基板である。n+型半導体基板1上には、n型ドリフト層(第1導電型の第1半導体層)2が設けられている。n型ドリフト層2は、n+型半導体基板1よりも低い不純物濃度を有し、例えばリンがドーピングされている低濃度n型層である。以下、n+型半導体基板1およびn型ドリフト層2を併せて半導体基体とする。n+型半導体基板1とn型ドリフト層2との間には、n型バッファ層(不図示)がn型ドリフト層2よりも低い不純物濃度で配置されていてもよい。n型バッファ層は、例えばリンがドーピングされている低濃度n型層である。半導体基体のおもて面側には、MOSゲート構造(素子構造)が形成されている。また、半導体基体の裏面には、ドレイン電極となる裏面電極11が設けられている。
【0031】
SJ-MOSFET50の活性領域30には、n型カラム領域3とp型カラム領域4とが交互に繰り返し配置された並列pn領域20が設けられている。エッジ終端領域40にも、後述する並列pn領域20Bが設けられていてよい。
【0032】
図1では、並列pn領域20のn型カラム領域3とp型カラム領域4とが交互に繰り返し配置された方向がx方向である。活性領域30のp型カラム領域4の上にはp型ウェル領域63が設けられている。活性領域30のp型ウェル領域63の底面は、p型カラム領域4の上面に接している。活性領域30のp型ウェル領域63およびp型カラム領域4は、n型ドリフト層2の上面に設けられたn
-型エピタキシャル層27の表面からn
+型半導体基板1の表面に達しないように設けられている。p型ウェル領域63の上面の幅は、p型カラム領域4の幅より広くしている。ここで、n型ドリフト層2の上面(半導体基体の第1主面の上)に設けられたn
-型エピタキシャル層27の表面を上面100とする。
【0033】
p型ウェル領域63の上面の幅が、p型カラム領域4の幅より広いことで、逆方向耐圧(BVDSS:ドレイン・ソース間ブレークダウン電圧)が向上する効果が得られる。後述するように、活性領域30およびエッジ終端領域40におけるn型カラム領域3とp型カラム領域4の平面形状は、例えばストライプ形状である。p型カラム領域4の平面形状がストライプ形状である場合、p型ウェル領域63の平面形状もストライプ形状である。
【0034】
n型カラム領域3の不純物濃度は、n+型半導体基板1の不純物濃度より低い。p型カラム領域4の不純物濃度とp型ウェル領域63の不純物濃度は等しくてもよい。また、n型カラム領域3の不純物濃度とp型カラム領域4の不純物濃度は等しくてもよい。
【0035】
活性領域30の上面100側(半導体基体の第1主面の上方)にp型ベース領域(第2導電型の第2半導体領域)5が選択的に設けられている。p型ベース領域5は、p型ウェル領域63と重なるように設けられている。p型ウェル領域63の底面は、
図1のy方向(深さ方向)において、p型ベース領域5の底面より深い位置に設けられている。p型ベース領域5は、p型ウェル領域63より不純物濃度が高い。また、p型ベース領域5は、p型カラム領域4より不純物濃度が高い。
【0036】
活性領域30のp型ベース領域5の表面側には、n+型ソース領域(第1導電型の第1半導体領域)6が選択的に設けられている。活性領域30のp型ベース領域5の表面側には、n+型ソース領域6と接するp++型コンタクト領域14が選択的に設けられていてもよい。
【0037】
活性領域30および活性領域30とエッジ終端領域40との境界には、トレンチ構造が形成されている。具体的には、トレンチ18B(第2トレンチ)が上面100からp型ベース領域5、後述するp型ベース領域5A、およびn+型ソース領域6を貫通してn型カラム領域3に達する。
【0038】
活性領域30に設けられるトレンチ18Bの側壁にはp型ベース領域5およびn+型ソース領域6が接している。また、活性領域30とエッジ終端領域40との境界に設けられるトレンチ18Bの側壁には、活性領域30側にp型ベース領域5およびn+型ソース領域6が接し、エッジ終端領域40側に後述するp型ベース領域5Aが接している。なお、エッジ終端領域40にはトレンチ18Bは設けない。
【0039】
活性領域30のトレンチ18Bは選択的に設けられたp型ベース領域5との間に設けられ、活性領域30とエッジ終端領域40との境界のトレンチ18Bはp型ベース領域5とp型ベース領域5Aとの間に設けられる。トレンチ18Bの平面形状は、例えば、
図1の奥行き方向(z方向)に延伸するストライプ形状である。
【0040】
トレンチ18Bは、トレンチ18Bの内壁に沿って、ゲート絶縁膜7が形成されている。トレンチ18B内のゲート絶縁膜7の内側には、ゲート電極8が設けられている。ゲート絶縁膜7によりゲート電極8が、n型カラム領域3(n型ドリフト層2)およびp型ベース領域5と絶縁されている。ゲート電極8の一部は、トレンチ18Bの上方(後述するソース電極10が設けられている側)からソース電極10側に突出するゲート配線(不図示)を設けてもよい。ゲート配線の下部には、ゲート絶縁膜7が設けられている。ゲート配線の上部には、層間絶縁膜9が設けられている。
【0041】
層間絶縁膜9は、上面100の上に、トレンチ18Bに埋め込まれたゲート電極8の上面を覆うように設けられている。ゲート電極8と層間絶縁膜9との間には絶縁膜(不図示)が設けられている(トレンチ18Bの内壁に沿って形成されるゲート絶縁膜7とゲート電極8の上部を覆う層間絶縁膜9の境界、およびゲート電極8と層間絶縁膜9との間に設けられる絶縁膜の境界は不図示)。活性領域30のトレンチ18Bに埋め込まれたゲート電極8の上面を覆う層間絶縁膜9には隣り合うトレンチ18Bとの間にコンタクトホール64Aが設けられ、n+型ソース領域6およびp++型コンタクト領域14が露出している。同様に隣り合う活性領域30のトレンチ18Bと活性領域30とエッジ終端領域40との境界に設けられたトレンチ18Bに埋め込まれたゲート電極8の上面を覆う層間絶縁膜9にもコンタクトホール64Aが設けられ、n+型ソース領域6およびp++型コンタクト領域14が露出している。以後、ゲート電極8と層間絶縁膜9との間に設けられた絶縁膜(不図示)については、説明を省略する。
【0042】
ソース電極10は、層間絶縁膜9の上面に設けられ、層間絶縁膜9および層間絶縁膜9の下面に設けられた絶縁膜(不図示)に形成されたコンタクトホール64Aを介して、n+型ソース領域6およびp++型コンタクト領域14に電気的に接続している。以後、層間絶縁膜9の下面に設けられた絶縁膜(不図示)については、説明を省略する。ソース電極10は、層間絶縁膜9によって、ゲート電極8と電気的に絶縁されている。ソース電極10と層間絶縁膜9との間に、例えばソース電極10からゲート電極8側への金属原子の拡散を防止するバリアメタル(不図示)が設けられていてもよい。ソース電極10上には、選択的に例えばポリイミドからなるパッシベーション膜等の保護膜(不図示)が設けられている。ソース電極10上に設けられたパッシベーション膜等の保護膜に設けられた開口部において、ソース電極10が露出している領域がソースパッド領域(不図示)となる。
【0043】
また、耐圧を保持するエッジ終端領域40には、もっとも活性領域30に近い側に、活性領域30のp型カラム領域4と同じ幅のp型カラム領域4Aが設けられている。p型カラム領域4とp型カラム領域4Aは、
図1のy方向(深さ方向)において、同じ深さであってよい。p型カラム領域4Aの上にp型ウェル領域63Aが設けられている。p型カラム領域4Aの上面とp型ウェル領域63Aの底面が接している。なお、p型カラム領域4とp型カラム領域4Aは同じ不純物濃度であってよく、p型ウェル領域63とp型ウェル領域63Aも同じ不純物濃度であってもよい。
【0044】
p型ベース領域5Aは、p型ウェル領域63Aと重なるように設けられ、活性領域30とエッジ終端領域40との境界に設けられるトレンチ18Bの側壁に接している。p型ウェル領域63Aの底面は、
図1のy方向(深さ方向)において、p型ベース領域5Aの底面より深い位置に設けられている。p型ベース領域5Aは、
図1のy方向(深さ方向)において、活性領域30のp型ベース領域5と同じ深さで形成してもよい。また、p型ウェル領域63Aは、
図1のy方向(深さ方向)において、活性領域30のp型ウェル領域63と同じ深さで形成してもよい。
【0045】
p型ベース領域5Aの不純物濃度は、p型ベース領域5と同じ不純物濃度である。また、p型ベース領域5Aの不純物濃度は、p型ウェル領域63Aの不純物濃度より高い。p型ベース領域5Aの表面側に、p型ベース領域5Aより不純物濃度が高いp++型コンタクト領域14Aが選択的に設けられていてもよい。
【0046】
エッジ終端領域40のp型カラム4AよりSJ-MOSFET50の外周側には、並列pn領域20Bが設けられる。並列pn領域20Bは、n型カラム領域3Bとp型カラム領域4Bが交互に繰り返し配置されている。n型カラム領域3Bとp型カラム領域4Bが交互に繰り返し配置される方向は、活性領域30のn型カラム3とp型カラム領域4が交互に繰り返し配置される方向と同じである。
【0047】
エッジ終端領域40の並列pn領域20Bは、活性領域30の並列pn領域20より、隣り合うn型カラムの幅とp型カラムの幅との和が狭くなっている。ここで、隣り合うn型カラムの幅とp型カラムの幅との和を繰り返しピッチとする。よって、エッジ終端領域40のn型カラム領域3Bの幅とp型カラム領域4Bの幅は、活性領域30のn型カラム領域3の幅とp型カラム領域4の幅より狭くなっている。これにより、エッジ終端領域40において、空乏層が広がりやすくなり、エッジ終端領域40の耐圧を活性領域30の耐圧より高くすることができる。
【0048】
エッジ終端領域40には、p--型リサーフ領域12が設けられている。p--型リサーフ領域12は、活性領域30とエッジ終端領域40との境界から後述するフィールドプレート29およびフィールド酸化膜13の下方まで延在している。p--型リサーフ領域12の平面形状は環状である。
【0049】
p
--型リサーフ領域12は、
図1のy方向(深さ方向)において、p型ベース領域5Aより、深く設けられる。p
--型リサーフ領域12は、p型ウェル領域63Aより不純物濃度が低い。そのため、p
--型リサーフ領域12内にp型ウェル領域63A、p型ベース領域5A、およびp
++型コンタクト領域14Aが設けられる。p
--型リサーフ領域12は、活性領域30とエッジ終端領域40との境界に設けられたトレンチ18Bに接している。
【0050】
p--型リサーフ領域12により、p型ベース領域5AのSJ-MOSFET50の外周側の端部にかかる電界集中を緩和して、エッジ終端領域40の耐圧を上げることができる。エッジ終端領域40の並列pn構造20Bにおいて、活性領域30側の一部のn型カラム領域3Bおよびp型カラム領域4Bの上面は、p--型リサーフ領域12の底面に接している。
【0051】
SJ-MOSFET50の最も外周側にある並列pn領域20Bのp型カラム領域4Bの上面は、SJ-MOSFET50の最も外周側にあるp型ウェル領域63Bの底面に接している。このSJ-MOSFET50の最も外周側にあるp型ウェル領域63Bとp
--型リサーフ領域12との間には、
図1のx方向において、後述するn
-型エピタキシャル層27が設けられている。
【0052】
また、エッジ終端領域40には、n型ドリフト層2(半導体基体)の表面にn-型エピタキシャル層(第1導電型の第2半導体層)27が設けられている。後述するようにn-型エピタキシャル層27は、n型ドリフト層2の表面全面に形成されている。n-型エピタキシャル層27の表面層には、p型ウェル領域63、63A、63B、p型ベース領域5、5A、およびp--型リサーフ領域12のそれぞれの上側の部分と、n+型ソース領域6およびp++型コンタクト領域14、14Aが設けられている。
【0053】
また、n-型エピタキシャル層27の不純物濃度はn型ドリフト層2の不純物濃度より低い。このため、イオン注入で注入されたp型の不純物は、イオン注入後の熱処理によってn型ドリフト層2よりn-型エピタキシャル層27で拡散しやすくなり、n型ドリフト層2では拡散しにくくなる。よって、イオン注入後の熱処理によるp型ベース領域5の拡散を制御しやすくなり、ゲート閾値電圧Vthのばらつきを抑えることができる。
【0054】
図1のx方向において、SJ-MOSFET50の外周側からn
-型エピタキシャル層27、p型ウェル領域63B、およびp
--型リサーフ領域12の表面にわたってフィールド酸化膜13が設けられている。フィールド酸化膜13は、上面100より
図1のy方向において、深い位置まで設けられてよい。フィールド酸化膜13は、フィールド酸化膜13の活性領域30側の端部から下面の一部に連続してp
--型リサーフ領域12に覆われている。フィールド酸化膜13の下面には、p
--型リサーフ領域12、p型ウェル領域63B、およびn
-型エピタキシャル層27が設けられ、フィールド酸化膜13の他方の端部から下面の一部に連続してn
-型エピタキシャル層27が設けられている。
【0055】
p--型リサーフ領域12、p型ウェル領域63A、およびp型ベース領域5Aの上面には、フィールド酸化膜13の活性領域30側の端部につながる絶縁膜66Aが設けられ、n-型エピタキシャル層27の上面にはフィールド酸化膜13の他方の端部につながる絶縁膜66Bが設けられている。絶縁膜66A、66Bは、ゲート絶縁膜7と同じ工程で形成してもよい。
【0056】
フィールドプレート29は、フィールド酸化膜13とフィールド酸化膜13の活性領域30側の端部につながる絶縁膜66Aの上面に設けられる。フィールドプレート29はゲート電極8と電気的に接続しており、ゲート配線の機能も有する。
【0057】
チャネルストッパ62は、フィールド酸化膜13とフィールド酸化膜13の他方の端部につながる絶縁膜66Bの上面に設けられる。なお、フィールドプレート29とチャネルストッパ62は、フィールド酸化膜13上で分離され、間隔をあけて設けられている。層間絶縁膜9は、フィールド酸化膜13、フィールドプレート29およびチャネルストッパ62を覆うように設けられている。なお、層間絶縁膜9とフィールドプレート29およびチャネルストッパ62との間には、絶縁膜(不図示)が設けられている。以後、層間絶縁膜9とフィールドプレート29およびチャネルストッパ62との間に設けられる絶縁膜(不図示)については、説明を省略する。
【0058】
活性領域30とエッジ終端領域40との境界に設けられたトレンチ18Bに埋め込まれたゲート電極8の上面を覆うように設けられている層間絶縁膜9とフィールドプレート29を覆う層間絶縁膜9との間には、コンタクトホール64Bが設けられ、p++型コンタクト領域14Aが露出している。
【0059】
フィールド酸化膜13、フィールドプレート29およびチャネルストッパ62を覆う層間絶縁膜9には、コンタクトホール64Cが設けられ、フィールドプレート29が露出している。
【0060】
層間絶縁膜9の上面に設けられたソース電極10は、活性領域30からエッジ終端領域40の一部の上面まで延在し、層間絶縁膜9に形成されたコンタクトホール64Bを介して、p++型コンタクト領域14Aおよびp型ベース領域5Aに電気的に接続している。
【0061】
金属ゲートランナー61は層間絶縁膜9に形成されたコンタクトホール64Cを介して、フィールドプレート29に電気的に接続している。p--型リサーフ領域12、フィールド酸化膜13、フィールドプレート29、チャネルストッパ62およびエッジ終端領域40の層間絶縁膜9はSJ-MOSFET50の外周に環状に設けられていてもよい。なお、金属ゲートランナー61は、ソース電極10と電気的に絶縁されている。
【0062】
図2Aは、実施の形態にかかるSJ-MOSFET50の他の構造を示す断面図である。
図2Aが
図1と異なる点は、エッジ終端領域40のp型カラム領域4AよりSJ-MOSFET50の外周側にある並列pn領域20Bが設けられていない点である。並列pn領域20Bが設けられていない場合は、n
-型エピタキシャル層27により、n
-型エピタキシャル層27とp
--型リサーフ領域12とのpn接合から延びる空乏層をn型エピタキシャル層27のSJ-MOSFET50の外周側に広げることでSJ-MOSFET50の耐圧を向上させることができる。
【0063】
図2Bは、実施の形態にかかるSJ-MOSFET50のさらに他の構造を示す断面図である。
図2Bが
図2Aと異なる点は、活性領域30のp型カラム領域4の上面に接するp型ウェル領域63とエッジ終端領域40のp型カラム領域4Aの上面に接するp型ウェル領域63Aが設けられていない点である。
図2Bでは、活性領域30のp型カラム領域4の上面にp型ベース領域5が設けられている。活性領域30のp型カラム領域4の上面はp型ベース領域5の底面に接している。また、エッジ終端領域40のp型カラム領域4Aの上面にp型ベース領域5Aが設けられている。エッジ終端領域40のp型カラム領域4Aの上面はp型ベース領域5Aの底面に接している。
図2Bと
図2Aとの断面形状の違いは、p型カラム領域4を形成するための後述するp型不純物を注入する注入領域の位置が違うためである。
図2Bに示したSJ-MOSFET50は、後述する
図9Cに示すように、区間D2に注入領域92を形成している。
図2Bでは、p型ウェル領域63,63Aを設けないことで、n型ドリフト層2(n型カラム領域3)に形成される電流経路を局所的に狭くする領域がなくなる。電流経路は、電流を流すことで生じるオン電圧によって、n型カラム領域3とp型カラム領域4、4Aのpn接合から空乏層が広がり、空乏層が広がることで狭くなる。電流経路が狭くなる(空乏層が広がる)とオン抵抗が増加する。よって、p型ウェル領域63,63Aを設けないことで、
図2Aに比べオン抵抗(動作状態の抵抗)が小さくできる。
【0064】
図2Cは、実施の形態にかかるSJ-MOSFET50のさらに他の構造を示す断面図である。
図2Cが
図2Aと異なる点は、層間絶縁膜9に形成されたコンタクトホール64D,64E,64Fが凹部67A,67B、67C(溝)を備え、凹部67A、67B、67Cの内部にコンタクトプラグ19が埋め込まれている点である。
【0065】
活性領域30のトレンチ18Bに埋め込まれたゲート電極8の上面を覆う層間絶縁膜9には隣り合うトレンチ18Bとの間にy方向において上面100より深い凹部67Aが設けられる。凹部67Aの側壁には、n+型ソース領域6およびp++型コンタクト領域が接している(露出している)。凹部67Aの底部には、p++型コンタクト領域14が接している(露出している)。この凹部67Aがコンタクトホール64Dである。なお、ゲート電極8と層間絶縁膜9との間には絶縁膜(不図示)が設けられている。以後、ゲート電極8と層間絶縁膜9との間に設けられる絶縁膜(不図示)については、説明を省略する。
【0066】
同様に隣り合う活性領域30のトレンチ18Bと活性領域30とエッジ終端領域40との境界に設けられたトレンチ18Bに埋め込まれたゲート電極8の上面を覆う層間絶縁膜9にもy方向において上面100より深い凹部67Aが設けられる。凹部67Aの側壁には、n+型ソース領域6およびp++型コンタクト領域14が接している(露出している)。凹部67Aの底部には、p++型コンタクト領域14が接している(露出している)。この凹部67Aがコンタクトホール64Dである。
【0067】
活性領域30とエッジ終端領域40との境界に設けられたトレンチ18Bに埋め込まれたゲート電極8の上面を覆うように設けられている層間絶縁膜9とフィールドプレート29を覆う層間絶縁膜9との間には、y方向において上面100より深い凹部67Bが設けられる。凹部67Bの側壁および底部には、p++型コンタクト領域14Aが接している(露出している)。この凹部67Bがコンタクトホール64Eである。
【0068】
フィールド酸化膜13、フィールドプレート29およびチャネルストッパ62を覆う層間絶縁膜9には、凹部67Cが設けられる。凹部67Cは、フィールドプレート29を貫通してフィールド酸化膜13の表面が露出している。凹部67Cの側壁には、フィールドプレート29が接している(露出している)。また、凹部67Cが、フィールド酸化膜13の表面にも凹部(溝)を設け、凹部67Cの側壁にフィールド酸化膜13とフィールド酸化膜13が接してもよい(露出してもよい)。凹部67Cの底部には、フィールド酸化膜が接している(露出している)。この凹部67Cがコンタクトホール64Fである。なお、層間絶縁膜9とフィールドプレート29およびチャネルストッパ62との間には、絶縁膜(不図示)が設けられている。以後、層間絶縁膜9とフィールドプレート29およびチャネルストッパ62との間に設けられる絶縁膜(不図示)については、説明を省略する。
【0069】
コンタクトプラグ19は、例えば、埋め込み性の高いタングステン(W)を材料とする金属膜である。また、コンタクトホール64D,64E,64Fにバリアメタルを介してコンタクトプラグ19が設けられていてもよい。ソース電極10は、活性領域30のコンタクトホール64D中のコンタクトプラグ19を介してn+型ソース領域6とp++型コンタクト領域14と電気的に接続している。また、ソース電極10はエッジ終端領域40の一部まで延在し、エッジ終端領域40のコンタクトホール64E中のコンタクトプラグ19を介してp++型コンタクト領域14Aと電気的に接続している。
【0070】
金属ゲートランナー61は、コンタクトホール64F中のコンタクトプラグ19を介してフィールドプレート29と電気的に接続している。なお、ソース電極10と金属ゲートランナー61は、電気的に絶縁している。
【0071】
図2Cでは、
図2Aと同様に、エッジ終端領域40のp型カラム領域4AよりSJ-MOSFET50の外周側にある並列pn領域20Bが設けられていない場合を示している。
図2Cは、
図1のようにエッジ終端領域40のp型カラム領域4AよりSJ-MOSFET50の外周側にある並列pn領域20Bが設けられてもよい。
【0072】
図2Dは、実施の形態にかかるSJ-MOSFET50の他の構造を示す断面図である。
図2Dが
図1と異なる点は、p型カラム領域4、4Aの上面に接するp型ウェル領域63、63Aがトレンチ18Bの側壁に接する点である。
図2Dでは、活性領域30のp型ウェル領域63が、
図2Dのx方向に延在して、トレンチ18Bの側壁に接し、エッジ終端領域40のp型ウェル領域63Aが、
図2Dのx方向に延在して、エッジ終端領域40との境界に設けられたトレンチ18Bに接している。
【0073】
これにより、トレンチ18Bの側壁にp型ウェル領域63、63Aとp型ベース領域5、5Aが接するようになる。このため、p型カラム領域4、4Aの欠損やショートチャネルなどのチャネル欠損による不具合を防ぎやすくなる。さらに、p型ウェル領域63、63Aとp型ベース領域5、5Aとによる2段階の濃度勾配でチャネル接合近傍での電界を緩和し、十分なチャネル長を確保しやすくなる。
【0074】
図3は、実施の形態にかかるSJ-MOSFETの構造を示す平面図で、
図1のA-A’断面の平面図である。
図3に示すように、エッジ終端領域40の並列pn領域20Bの繰り返しピッチP2は、活性領域30の並列pn領域20の繰り返しピッチP1より狭くなっている。
【0075】
並列pn領域20の繰り返しピッチP1は、
図3のx方向において、隣り合うn型カラム領域3の幅とp型カラム領域4の幅の和を示す。また、並列pn領域20Bの繰り返しピッチP2は、
図3のx方向において、隣り合うn型カラム領域3Bの幅とp型カラム領域4Bの幅の和を示す。SJ-MOSFET50(超接合半導体装置)でアバランシェ耐量を確保するためには、エッジ終端領域40の耐圧を活性領域30の耐圧より高くすることが必要である。このため、エッジ終端領域40のn型カラム領域3Bの幅およびp型カラム領域4Bの幅は、活性領域30のn型カラム領域3の幅およびp型カラム領域4の幅より狭くするとよい。これにより、エッジ終端領域40において、空乏層が広がりやすくなり、エッジ終端領域40の耐圧を活性領域30の耐圧より高くすることができる。
【0076】
図3に示すように、活性領域30のn型カラム領域3およびp型カラム領域4の平面形状は、例えば、長手方向がz方向と平行なストライプ構造であってもよい。また、エッジ終端領域40におけるn型カラム領域3Bおよびp型カラム領域4Bも、長手方向がz方向と平行なストライプ構造であってよい。また、エッジ終端領域40のp型カラム領域4Bも、長手方向がz方向と平行なストライブ構造であってよい。さらに、図示されていないが、トレンチ18Bの平面形状も、長手方向がz方向に平行なストライプ状であってもよい。
【0077】
(実施の形態にかかる超接合半導体装置の製造方法)
次に、実施の形態にかかる超接合半導体装置の製造方法について説明する。
図4~
図21は、実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である。まず、シリコンからなりn
+型ドレイン層となるn
+型半導体基板1を用意する。
【0078】
次に、n
+型半導体基板1のおもて面上に、n
+型半導体基板1より低い不純物濃度のn型ドリフト層2をエピタキシャル成長させる。このとき、n型ドリフト層2の不純物濃度が1.0×10
16/cm
3以上3.0×10
17/cm
3以下となるようにn型不純物をドーピングさせてエピタキシャル成長させてもよい。例えば、耐圧40Vの超接合半導体装置を形成する場合には、n型ドリフト層2の不純物濃度を、1.0×10
17/cm
3以下としてもよい。また、例えば、耐圧100Vの超接合半導体装置を形成する場合には、n型ドリフト層2の不純物濃度を、5.0×10
16/cm
3としてもよい。n型ドリフト層2の不純物濃度は深さ方向で一定である。ここで、深さ方向はn型ドリフト層2の表面からn
+型半導体基板1に向かう方向である。ここまでの状態が
図4に記載される。
【0079】
次に、n型ドリフト層2の表面上に、酸化膜23を形成する。次に、酸化膜23の表面上に、フォトリソグラフィ技術によってp型カラム領域4を形成する位置に開口部を有するレジストマスク24を形成する。ここまでの状態が
図5に記載される。
【0080】
次に、レジストマスク24をマスクとして、ドライエッチングによって酸化膜23にn型ドリフト層2が露出する開口部を形成する。次にレジストマスク24を除去し、開口部を有する酸化膜23をマスクとして、例えば、異方性のドライエッチングを行い、n型ドリフト層2にp型カラム用トレンチ(第1トレンチ)25Aを形成する。ここまでの状態が
図6に記載される。
【0081】
次に、酸化膜23のついた状態で、等方性エッチングおよび犠牲酸化を行う。この工程により、p型カラム用トレンチ25Aのダメージを除去し、p型カラム用トレンチ25Aの底部を丸める。等方性エッチングと犠牲酸化を行う順番は、どちらが先でもよい。また、等方性エッチングと犠牲酸化はどちらか一方を行うだけでもよい。
【0082】
その後、酸化膜23を除去する。酸化膜23は犠牲酸化膜(不図示)と同時に除去してもよい。酸化膜23の除去後に形成されるp型カラム用トレンチ25Bの幅をW1とする。ここまでの状態が
図7に記載される。
【0083】
次に、n型ドリフト層2の表面を覆い、p型カラム用トレンチ25Bの内部を埋め込むようにn型ドリフト層2より不純物濃度が低いn-型エピタキシャル層27をエピタキシャル成長させる。このとき、n-型エピタキシャル層27の不純物濃度が1.0×1015/cm3以上5.0×1016/cm3以下となるようにn型不純物をドーピングさせてエピタキシャル成長させてもよい。例えば、耐圧40Vの超接合半導体装置を形成する場合には、n-型エピタキシャル層27の不純物濃度を、2.0×1016/cm3としてもよい。また、耐圧100Vの超接合半導体装置を形成する場合には、n-型エピタキシャル層27の不純物濃度を、1.0×1016/cm3としてもよい。
【0084】
n型ドリフト層2の不純物濃度とn-型エピタキシャル層27の不純物濃度との関係は、n型ドリフト層2の不純物濃度をa[/cm3]でn-型エピタキシャル層27の不純物濃度をb[/cm3]とした場合、a>bである。n型ドリフト層2の不純物濃度a[/cm3]とn-型エピタキシャル層27の不純物濃度b[/cm3]は、2≦a/b≦10の関係式が成り立つ。
【0085】
n-型エピタキシャル層27の平坦な部分の厚さを厚さT1とする。n-型エピタキシャル層27の平坦な部分は、n型ドリフト層2のp型カラム用トレンチ25Bが形成されていない面上にn-型エピタキシャル層27が形成されている部分である。このn-型エピタキシャル層27の平坦な部分の表面を上面100とする。
【0086】
n
-型エピタキシャル層27を形成する際に、厚さT1はp型カラム用トレンチ25Bの幅W1の1/2より厚い値とする(T1>W1/2)。厚さT1をp型カラム用トレンチ25Bの幅W1の1/2より厚くすることで、n
-型エピタキシャル層27の上面100(表面)は、CMP装置等を用いて平坦化する工程を行わなくてもよい。ここまでの状態が
図8に記載される。
【0087】
図9A~
図9Cは、イオン注入用マスク21を用いてイオン注入22を行い、注入領域を異なる条件で形成した状態の断面図である。まず、n
-型エピタキシャル層27の表面(上面100)上に、フォトリソグラフィ技術によって所定の開口部を有するイオン注入用マスク21を例えばフォトレジストで形成する。イオン注入用マスク21の開口部は、p型カラム用トレンチ25Bの上部に形成される。イオン注入用マスク21をマスクとして、p型不純物のイオン注入22を行う。p型不純物は、例えば、ホウ素(B)またはアルミニウム(Al)等である。イオン注入22は、1回行ってもよく、異なる注入深さで複数回行ってもよい。イオン注入22を異なる深さで複数回行う場合は、イオン注入22の順番は種々変更可能である。ここで、深さはn
-型エピタキシャル層27の上面100(表面)からn
+型半導体基板1のおもて面に向う方向を示す。注入深さは、n
-型エピタキシャル層27の上面100(表面)からの不純物を注入する深さ(不純物濃度分布のピーク位置)である。
【0088】
また、イオン注入22を行って形成される後述する注入領域90、91-1,91-2,92は、上面100からの不純物が注入される領域(不純物濃度分布のピーク位置)を示す。よって、注入深さは、n-型エピタキシャル層27の上面100(表面)からn-型エピタキシャル層27内に形成される注入領域90、91-1,91-2,92までの深さを示す。
【0089】
さらに、n-型エピタキシャル層27の表面(上面100)とn型ドリフト層2の表面との間(n-型エピタキシャル層27の平坦な部分の厚さT1)の区間D1とし、n型ドリフト層2の表面(半導体基体の表面)からp型カラム用トレンチ25Bの底部までの間を区間D2とする。
【0090】
図9Aは、イオン注入22を1回行って注入領域90を形成している。注入領域90は区間D1に形成される。例えば、区間D1が0.8μmで区間D2が1.0μmである場合、注入領域90の注入深さは0.4μmである。区間D1は0.5μm以上1.0μm以下であればよい。注入領域90の注入深さは0.2μm以上1.0μm以下であればよい。区間D2は0.5μm以上2.0μm以下であればよい。なお、注入領域90は、区間D1と区間D2の境界に形成されてもよい。
【0091】
図9Bは、イオン注入22を2回行って注入領域91-1,91-2を形成している。注入領域91-1は区間D1に形成され、注入領域91-2は区間D2に形成される。例えば、区間D1が0.8μmで区間D2が1.0μmである場合は、注入領域91-1の注入深さを0.4μm、注入領域91-2の注入深さを1.6μmとする。区間D1は0.5μm以上1.5μm以下であればよい。注入領域91-1および注入領域91-2の注入深さは0.2μm以上2.0μm以下であればよい。区間D2は1.0μm以上4.0μm以下であればよい。なお、注入領域91-1あるいは注入領域91-2のどちらかが区間D1と区間D2の境界に形成されてもよい。注入領域91-1および注入領域91-2を形成する順番はどちらが先でもよい。
【0092】
図9Cは、イオン注入22を1回行って注入領域92を形成している。注入領域92は、区間D2に形成される。例えば、区間D1が0.8μmで区間D2が1.0μmである場合は、注入領域92の注入深さを1.2μmとする。区間D1は0.5μm以上1.5μm以下であればよい。注入領域92の注入深さは0.4μm以上2.0μm以下であればよい。注入領域92は区間D1と区間D2の境界に形成されてもよい。
【0093】
図9A、
図9Bおよび
図9Cでは、イオン注入22でのp型不純物の注入深さおよび注入回数の代表的な例を示したが、注入領域の注入深さおよび注入回数等は種々変更可能である。
【0094】
図10Aは、
図9Aのイオン注入22後にイオン注入用マスク21の除去を行って、p型不純物を熱処理で拡散させた断面図である。n
-型エピタキシャル層27は、n型ドリフト層2よりも不純物濃度が低いため、p型不純物のイオン注入22およびその後の熱処理によって、p型不純物が注入領域90からn
-型エピタキシャル層27に広がりやすくなる。このため、n型ドリフト層2には、p型カラム領域4の幅W2より、n
-型エピタキシャル層27の上面100の幅W3が広いp型ウェル領域63が形成される。
【0095】
隣り合うp型カラム領域4の間がn型カラム領域3となり、n型ドリフト層2に並列pn領域20が形成される。また、エッジ終端領域40のp型カラム領域4Aおよびp型ウェル領域63Aも同じ工程で同様に形成される。
【0096】
図10Aのp型不純物濃度は、
図9Aに示す注入領域90で最も不純物濃度が高く、深さ方向において、注入領域90から離れるにしたがって不純物濃度が低くなっている。ここで、深さ方向はn
-型エピタキシャル層27の表面からn
+型半導体基板1に向かう方向である。
【0097】
図10Bは、
図9Bのイオン注入22後にイオン注入用マスク21の除去を行って、p型不純物を熱処理で拡散させた断面図である。n
-型エピタキシャル層27は、n型ドリフト層2よりも不純物濃度が低いため、p型不純物のイオン注入22およびその後の熱処理によって、p型不純物が注入領域91-1および注入領域91-2からn
-型エピタキシャル層27に広がりやすくなる。このため、n型ドリフト層2には、p型カラム領域4の幅W2より、n
-型エピタキシャル層27の上面100の幅W3が広いp型ウェル領域63が形成される。
【0098】
隣り合うp型カラム領域4の間がn型カラム領域3となり、n型ドリフト層2に並列pn領域20が形成される。また、エッジ終端領域40のp型カラム領域4Aおよびp型ウェル領域63Aも同じ工程で同様に形成される。
【0099】
図10Bのp型不純物濃度は、
図9Bに示す注入領域91-1および注入領域91-2で不純物濃度が最も高く、深さ方向において、注入領域91-1および注入領域91-2から離れるにしたがって不純物濃度が低くなっている。なお、注入領域91-1および注入領域91-2のp型不純物の拡散が重なる部分ではp型不純物が多くなり、深さ方向において、注入領域91-1および注入領域91-2から離れていても不純物濃度が高くなる。ここで、深さ方向はn
-型エピタキシャル層27の表面からn
+型半導体基板1に向かう方向である。
【0100】
図10Cは、
図9Cのイオン注入22後にイオン注入用マスク21の除去を行って、p型不純物を熱処理で拡散させた断面図である。n
-型エピタキシャル層27は、n型ドリフト層2よりも不純物濃度が低いため、p型不純物のイオン注入22およびその後の熱処理によって、p型不純物は注入領域92からn
-型エピタキシャル層27に広がりやすくなる。
【0101】
図9Cに示す注入領域92は、n
-型エピタキシャル層27の上面100側と離れた区間D2に形成されている。このため、注入領域92のp型不純物は、n
-型エピタキシャル層27の上面100側で深さ方向に垂直な方向(幅W2,W3に平行な方向)に拡散しにくくなる。よって、p型カラム領域4の幅W2とp型ウェル領域63のn
-型エピタキシャル層27の上面100の幅W3は、同じ幅で形成されてもよい。
【0102】
隣り合うp型カラム領域4の間がn型カラム領域3となり、n型ドリフト層2に並列pn領域20が形成される。また、エッジ終端領域40のp型カラム領域4Aおよびp型ウェル領域63Aも同じ工程で同様に形成される。
図10Cのp型不純物濃度は、
図9Cに示す注入領域92で不純物濃度が最も高く、注入領域92から離れるにしたがって不純物濃度が低くなっている。ここで、深さ方向はn
-型エピタキシャル層27の表面からn
+型半導体基板1に向かう方向である。
【0103】
図10Aおよび
図10Bはp型ウェル領域の断面形状が同じだが、
図10Cは、
図10Aおよび
図10Bと断面形状が異なっている。これは、イオン注入22により形成される注入領域の位置が異なるためである。以降の製造工程は
図10Aの状態をもとに説明する。ここで、深さ方向はn
-型エピタキシャル層27の表面(上面100)からn
+型半導体基板1に向かう方向とする。また、「浅い」および「深い」は、深さ方向における深さを示す。
【0104】
また、イオン注入用マスク21としてフォトレジストを用いた場合を説明したが、例えば酸化膜を用いてもよい。酸化膜を用いる場合は、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて酸化膜に開口部を形成する。イオン注入用マスク21に酸化膜を用いる場合は、注入した不純物を拡散するための熱処理を酸化膜がついた状態で行うことも可能である。
【0105】
次に、n
-型エピタキシャル層27の表面(上面100)上に、フォトリソグラフィ技術によってp
--型リサーフ領域12を形成するための開口部を有するイオン注入用マスク65を形成する。イオン注入用マスク65は、例えばフォトレジストを用いる。イオン注入用マスク65をマスクとして、p型不純物のイオン注入を行う。p型不純物は、例えばホウ素(B)またはアルミニウム(Al)等である。ここまでの状態を
図11に示す。
【0106】
次に、イオン注入用マスク65を除去後、注入したp型不純物を拡散するための熱処理を行って、n
-型エピタキシャル層27の表面層にp
--型リサーフ領域12を形成する。p
--型リサーフ領域12は、p型ウェル領域63Aより不純物濃度が低いため、p型ウェル領域63Aにはp
--型リサーフ領域12が形成されない。p
--型リサーフ領域12の底面は、n
-型エピタキシャル層27とn型ドリフト層2との境界より深く形成される。また、p
--型リサーフ領域12の底面は、p型カラム領域4Aとp型ウェル領域63Aの境界(点線)より浅く形成されてよい。ここまでの状態が
図12に記載される。
【0107】
次に、上面100上に、酸化膜28を形成する。酸化膜28は、例えば、LOCOS膜であってもよい。活性領域30の酸化膜28の厚さは、エッジ終端領域40の外周側に形成される酸化膜28の厚い部分より薄く形成される。酸化膜28は、n
-型エピタキシャル層27の上面に厚さが厚い部分が形成され、酸化膜28の厚い部分の底面は上面100より深い位置まで形成されている。酸化膜28の厚い部分の活性領域30側の端部は、端部から下面の一部に連続して、p
--型リサーフ領域12に覆われるように形成される。また、酸化膜28の厚い部分の他方の端部は、他方の端部から下面の一部に連続して、n
-型エピタキシャル層27に覆われるように形成される。ここまでの状態が
図13に記載される。
【0108】
次に、酸化膜28の表面に、フォトリソグラフィ技術によって所定の開口部を有するレジストマスク(不図示)を形成する。次に、レジストマスクをマスクにして、ドライエッチングによって酸化膜28に開口部を形成する。次にレジストマスクを除去し、酸化膜28をマスクとして、異方性のドライエッチングによって、n
-型エピタキシャル層27の上面100からn
-型エピタキシャル層27を貫通しn型ドリフト層2に達するトレンチ18Aを形成する。ここまでの状態が
図14に記載される。
【0109】
次に、酸化膜28のついた状態で、等方性エッチングおよび犠牲酸化を行う。この工程により、トレンチ18Aのダメージを除去し、トレンチ18Aの底部を丸める。等方性エッチングと犠牲酸化を行う順番は、どちらが先でもよい。また、等方性エッチングと犠牲酸化はどちらか一方を行うだけでもよい。その後、トレンチ18Aを形成するマスクとして用いた厚さの薄い部分の酸化膜28を除去する。このとき、厚さの薄い部分の酸化膜28と犠牲酸化膜を同時に除去してもよい。酸化膜28の除去後のトレンチがトレンチ18Bとなる。酸化膜28は厚さが薄い部分と、エッジ終端領域40に厚さが厚い部分を有するので、酸化膜28の厚さが薄い部分を除去する全面エッチングを行って、エッジ終端領域40の厚さが厚い部分の酸化膜を残す。犠牲酸化膜(不図示)は酸化膜28の厚さが薄い部分と一緒に除去してもよい。また、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により酸化膜28を除去することで、エッジ終端領域40に酸化膜28を残してもよい。エッジ終端領域40に残った酸化膜(酸化膜28の厚さが厚い部分)がフィールド酸化膜13となる。ここまでの状態を
図15に示す。
【0110】
次に、n-型エピタキシャル層27、p--型リサーフ領域12およびp型ウェル領域63,63Aの表面(上面100)と、トレンチ18Bの内壁に沿ってゲート絶縁膜7を形成する。このゲート絶縁膜7は、酸素雰囲気中において1000℃程度の温度の熱酸化によって形成してもよい。また、このゲート絶縁膜7は高温酸化(High Temperature Oxide:HTO)等のような化学反応によって堆積する方法で形成してもよい。
【0111】
次に、ゲート絶縁膜7上に、例えばリン原子がドーピングされた多結晶シリコン層を設ける。この多結晶シリコン層はトレンチ18B内を埋め込むように形成する。この多結晶シリコン層をフォトリソグラフィ技術とエッチング技術によりパターニングし、トレンチ18B内部にゲート絶縁膜7を介してゲート電極8を形成する。
【0112】
また、エッジ終端領域40に形成された多結晶シリコン層を選択的に残し、フィールドプレート29およびチャネルストッパ62としてもよい。
【0113】
フィールドプレート29は、p--型リサーフ領域12、p型ウェル領域63A、およびp型ベース領域5A上(上面100)に形成されたゲート絶縁膜7(絶縁膜66A)の上面とフィールド酸化膜13の活性領域30側の上面に連続して形成される。フィールドプレート29は、ゲート電極8と電気的に接続しており、ゲート配線の機能も有する。
【0114】
チャネルストッパ62は、フィールド酸化膜13の外周側の上面とn-型エピタキシャル層27上(上面100)に形成されたゲート絶縁膜7(絶縁膜66B)の上面に連続して形成される。なお、フィールドプレート29とチャネルストッパ62は、フィールド酸化膜13上で分離される。
【0115】
次に、n
-型エピタキシャル層27の上面100(p型ウェル領域63,63Aおよびn
-型エピタキシャル層27の表面)からp型ベース領域5,5Aを形成するためのp型不純物のイオン注入22を行う。p型不純物としては、例えばホウ素(B)あるいはアルミニウム(Al)等である。この際、n
-型エピタキシャル層27の上のエッジ終端領域40では、フィールドプレート29、チャネルストッパ62およびフィールド酸化膜13がマスクとして機能する。このため、n
-型エピタキシャル層27にはp型不純物が注入されない。また、ゲート電極8もマスクとして機能する。ここまでの状態が
図16に記載される。次に、上面100上に形成されたゲート絶縁膜7の除去を行う。なお、ゲート絶縁膜7の除去は、ゲート絶縁膜7の厚さが後述するn
+型ソース領域6を形成するためのイオン注入を妨げない厚さ、例えば、500Å以下であれば行わなくてもよい。
【0116】
次に、熱処理によりp型不純物を拡散させることで、n-型エピタキシャル層27、p型ウェル領域63,63A、およびp--型リサーフ領域12の表面層に、p型ベース領域5,5Aを形成する。この熱処理によって、トレンチ18Bを埋め込むように形成した多結晶シリコン層からなるゲート電極8の上面、フィールドプレート29およびチャネルストッパ62を覆うように絶縁膜66Cが形成される。
【0117】
p型ベース領域5とp型ウェル領域63は重なり、かつp型ベース領域5の底面は、p型ウェル領域63の底面より浅く形成される。p型ベース領域5Aとp型ウェル領域63Aは重なり、かつp型ベース領域5Aの底面は、p型ウェル領域63Aの底面より浅く形成される。
【0118】
p型ベース領域5とp型ベース領域5Aの不純物濃度は等しくてもよい。p型ウェル領域63とp型ウェル領域63Aの不純物濃度は等しくてもよい。p型ベース領域5の不純物濃度は、p型ウェル領域63の不純物濃度より高い。また、p型ベース領域5Aの不純物濃度は、p型ウェル領域63Aの不純物濃度より高い。p型ベース領域5,5Aは、トレンチ18Bの側壁に接するように形成される。
【0119】
エッジ終端領域40では、酸化膜28、フィールドプレート29およびチャネルストッパ62がマスクとして機能するため、これらに上部を覆われたn-型エピタキシャル層27およびp--型リサーフ領域12にはホウ素(B)が注入されない。これにより、p型ベース領域5,5Aを形成するp型不純物を拡散するために熱処理を行っても、n-型エピタキシャル層27およびp--型リサーフ領域12にはp型ベース領域5,5Aを形成するp型不純物が拡散することはない。よって、エッジ終端領域40には、n-型エピタキシャル層27およびp--型リサーフ領域12が残る。
【0120】
このように、第1の製造方法では、チャネルが形成されるp型ベース領域5をトレンチ18B形成後に形成する。ここまでの状態が
図17に記載される。
【0121】
次に、p型ベース領域5の表面上に、例えば、レジストを用い、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有するマスク(不図示)を形成する。このレジストマスクをマスクとしてn型不純物をイオン注入する。このイオン注入によって、p型ベース領域5の表面層にn+型ソース領域6が形成される箇所にn型不純物を注入する。注入するn型不純物は、砒素(As)、リン(P)等である。
【0122】
次に、n+型ソース領域6を形成するために用いたイオン注入用マスクを除去する。さらに、p型ベース領域5の表面上に、例えば、レジストを用い、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有するマスクを形成して、p型ベース領域5の表面層に、n+型ソース領域6と接するp++型コンタクト領域14を形成するp型不純物を注入してもよい。また、p型ベース領域5Aの表面層にも、p++型コンタクト領域14Aを形成するp型不純物を注入してもよい。なお、エッジ終端領域40のp型ベース領域5Aの表面層にはn+型ソース領域6を形成しない。
【0123】
次に、n
+型ソース領域6およびp
++型コンタクト領域14,14Aを形成するため、注入した不純物を活性化させる熱処理を行う。ここで、活性化させる熱処理とイオン注入後の熱処理(イオン注入した不純物を拡散する熱処理)との違いを説明する。イオン注入を行った半導体基体、例えば、n型ドリフト層2等は、イオン注入によりダメージを受けて欠陥が発生している。イオン注入された不純物は、欠陥によって全てが電荷として働かない状態となっている。活性化させる熱処理は、イオン注入によって発生した欠陥を回復させて、注入された不純物量に見合った電荷量(抵抗)にする熱処理を示す。イオン注入後の熱処理(イオン注入した不純物を拡散する熱処理)は、イオン注入によって発生した欠陥を回復させて、注入された不純物量に見合った電荷量(抵抗)にし、さらに、半導体基体、例えば、n型ドリフト層2等の任意の位置まで不純物を拡散させる熱処理を示す。よって、活性化させる熱処理は、イオン注入後の熱処理(イオン注入した不純物を拡散する熱処理)より、熱履歴が小さい。熱履歴が小さいとは、例えば、熱処理温度が低いまたは熱処理時間が短い、熱処理温度が低く且つ熱処理時間が短いことを示す。n
+型ソース領域6およびp
++型コンタクト領域14,14Aを形成するイオン注入を行う順番はどちらが先でもよい。ここまでの状態が
図18に記載される。
【0124】
次に、n-型エピタキシャル層27の表面(上面100)の上部全面に層間絶縁膜9を形成する。層間絶縁膜9は、絶縁膜66Cを介して、例えば、ゲート絶縁膜7、ゲート電極8、n+型ソース領域6、p++型コンタクト領域14、p型ベース領域5A、p++型コンタクト領域14A、フィールド酸化膜13、フィールドプレート29およびチャネルストッパ62の上部を覆うように形成される。層間絶縁膜9は、例えば、BPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)等で形成される。また、層間絶縁膜9は、例えばBPSGの下(BPSGとゲート電極8の間)に、HTO(High Temperature Oxide)、NSG(None-doped Silicate Glass)あるいはTEOS(テトラエトキシシラン)膜のいずれかを形成して積層膜としてもよい。層間絶縁膜9の厚さは1μm程度でよい。
【0125】
次に、層間絶縁膜9および絶縁膜63Cをフォトリソグラフィ技術とエッチング技術によりパターニングを行う。活性領域30には、n
+型ソース領域6とp
++型コンタクト領域14の表面を露出させたコンタクトホール64Aが形成される(トレンチ18Bの内壁に沿って形成されるゲート絶縁膜7とゲート電極8の上部を覆う層間絶縁膜9の境界は不図示)。また、エッジ終端領域40には、p
++型コンタクト領域14Aの表面を露出させたコンタクトホール64Bが形成される。さらに、エッジ終端領域40には、フィールドプレート29の表面を露出させたコンタクトホール64Cが形成される。その後、熱処理(リフロー)を行って層間絶縁膜9を平坦化する。ここまでの状態が
図19に記載される。
【0126】
次に、スパッタにより、アルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金(Al-Si、Al-Cu、Al-Si―Cu)等の金属膜をコンタクトホール64A,64B,64C内を埋め込み、さらに層間絶縁膜9の上面を連続して覆うように成膜する。なお、金属膜を成膜する前に、スパッタによりチタン膜(Ti)、窒化チタン膜(TiN)、またはこれらの積層膜(例えば、Ti/TiN等)からなるバリアメタル(不図示)をコンタクトホール64A,64B,64Cの内壁に沿い、かつ層間絶縁膜9の上面に連続するように形成してもよい。その後、金属膜およびバリアメタル(不図示)をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術によりパターニングすることで、ソース電極10、金属ゲートランナー61、およびゲート電極パッド(不図示)を形成する。なお、バリアメタルは、コンタクトホール64A,64B,64C内にのみ形成してもよい。
【0127】
ソース電極10は、活性領域30において、コンタクトホール64Aで表面が露出されたn+型ソース領域6およびp++型コンタクト領域14と電気的に接続する。また、ソース電極10はエッジ終端領域40において、コンタクトホール64Bで表面が露出されたp++型コンタクト領域14Aと電気的に接続する。また、金属ゲートランナー61は、コンタクトホール64Cで表面が露出されたフィールドプレート29およびゲート電極8と電気的に接続する。ゲート電極パッド(不図示)は、金属ゲートランナー61およびゲート電極8と電気的に接続する。なお、コンタクトホール64A,64B,64C内にはバリアメタルを介してタングステンプラグ等を埋め込んでもよい。
【0128】
次に、スパッタにより、n
+型半導体基板1の裏面(半導体基体の裏面)に裏面電極11を形成する。裏面電極11は、例えば、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)あるいはアルミニウムを主成分とする合金(Al-Si、Al-Cu、Al-Si―Cu)等の金属膜等から形成されてもよい。また、これらの積層膜(例えば、Ti/Ni/Au、Al/Ti/Ni/Au等)を成膜してもよい。裏面電極11を成膜後に熱処理を行い、n
+型半導体基板1と裏面電極11とのオーミック接合を形成する。これにより、
図2Aに示したSJ-MOSFET50が完成する。
【0129】
このように、p型カラム領域4、4Aとなる領域にp型カラム用トレンチ25Bを形成し、n型カラム領域3となるn型ドリフト層2よりも不純物濃度が低いn-型エピタキシャル層27をp型カラム用トレンチ25に埋め込むように形成する。
【0130】
さらに、n-型エピタキシャル層27の表面(上面100)からのp型不純物のイオン注入と注入した不純物を拡散するための熱処理を行い、p型カラム領域4、4Aおよびp型ウェル領域63、63Aを形成している。これにより、p型エピタキシャル層の堆積を行わずにp型カラム領域4を形成できるため、エッジ終端領域40でp型エピタキシャル層を除去する工程が不要となる。また、p型カラム用トレンチ25Bに埋め込まれたn-型エピタキシャル層27の表面は、CMP装置等を用いて平坦化する工程が不要となる。よって、製造工程の数を減らすことで製造コストを低減することができる。
【0131】
さらに、多段エピタキシャル方式と比較して、n型カラム領域3およびp型カラム領域4のそれぞれ幅を微細化することができ、例えば、耐圧が100V以下のSJ-MOSFET(超接合半導体装置)50においてオン抵抗の低減が可能になる。また、イオン注入と熱処理による拡散によりp型カラム領域4を形成するため、p型カラム領域4とn型カラム領域3との境界で相互拡散が起こる。そのため、従来のトレンチ埋め込み方式でp型カラム領域とn型カラム領域を形成する場合より、p型カラム領域4とn型カラム領域3との境界は緩やかに導電型が変わる。その結果、空乏層が広がりやすくなり、電界が緩和されて耐圧を向上させることができる。
【0132】
図2Cに示したSJ-MOSFET50は、以下のように製造される。まず、
図2Aに示したSJ-MOSFET50と同様に、
図4~
図17までと同じ工程を行い、p型ベース領域5までを形成する。
図18、19の工程に換えて
図20、21の工程でコンタクトプラグ19を形成する。
【0133】
図17に記載の工程後に、p型ベース領域5の上部に絶縁膜66Cを介して、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有する例えばレジストマスク(不図示)を形成する。このレジストマスクを用いてイオン注入を行い、n型不純物を注入する。活性領域30のp型ベース領域5の表面層にn
+型ソース領域6を形成するn型不純物が注入される。n型不純物としては、例えば、砒素(As)あるいはリン(P)等である。その後、レジストマスクを除去する。
【0134】
次に、p型ベース領域5、5Aの上部に絶縁膜66Cを介して、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有する例えばレジストマスク(不図示)を形成する。このレジストマスクを用いてイオン注入を行い、p型不純物を注入する。p型ベース領域5,5Aの表面層にp++型コンタクト領域14、14Aを形成するp型不純物が注入される。p++型コンタクト領域14、14Aを形成するp型不純物は、n+型ソース領域6を形成するn型不純物より深い位置に注入される。
【0135】
エッジ終端領域40のp型ベース領域5Aの表面層にはp++型コンタクト領域14Aを形成するp型不純物が注入され、n+型ソース領域6を形成するn型不純物は注入しなくてもよい。
【0136】
次に、n
+型ソース領域6およびp
++型コンタクト領域14に注入した不純物を活性化させるための熱処理を行う。注入した不純物を活性化する熱処理は、注入した不純物を拡散するための熱処理より、熱履歴が小さい。p
++型コンタクト領域14の底面は、n
+型ソース領域6の底面より深く形成される。また、n
+型ソース領域6およびp
++型コンタクト領域14を形成するイオン注入の順序は種々変更可能である。ここまでの状態が
図20に記載される。
【0137】
次に、n-型エピタキシャル層27の表面(上面100)の上部全面に層間絶縁膜9を形成する。層間絶縁膜9は、絶縁膜66Cを介して、例えば、ゲート絶縁膜7、ゲート電極8、n+型ソース領域6、p++型コンタクト領域14、p型ベース領域5A、p++型コンタクト領域14A、フィールド酸化膜13、フィールドプレート29およびチャネルストッパ62の上部を覆うように形成される。層間絶縁膜9は、例えば、BPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)等で形成される。また、層間絶縁膜9は例えばBPSGの下(BPSGとゲート電極8の間)にHTO(High Temperature Oxide)、NSG(None-doped Silicate Glass)あるいはTEOS(テトラエトキシシラン)膜のいずれかを形成して積層膜としてもよい。層間絶縁膜9の厚さは1μm程度でよい。
【0138】
次に層間絶縁膜9の表面上に、例えばフォトリソグラフィ技術により、開口部を有するレジストマスク(不図示)を形成する。次に、レジストマスクを用いて異方性のドライエッチングによって層間絶縁膜9および絶縁膜66Cに開口部を形成する(トレンチ18Bの内壁に沿って形成されるゲート絶縁膜7とゲート電極8の上部を覆う絶縁膜66Cの境界は不図示)。次に異方性のドライエッチングによって、凹部67D,67E,67Fを形成する。凹部67D,67E,67Fは、SJ-MOSFET50が完成時に
図2Cの凹部67A,67B,67Cとなる。
【0139】
活性領域30のトレンチ18Bに埋め込まれたゲート電極8の上面を覆う層間絶縁膜9および絶縁膜66Cには、隣り合うトレンチ18Bとの間に上面100より深い凹部67Dが形成される。凹部67Dの側壁には、n+型ソース領域6およびp++型コンタクト領域14が接している(露出している)。凹部67Dの底部には、p++型コンタクト領域14が接している(露出している)。この凹部67Dがコンタクトホール64Dである。
【0140】
同様に隣り合う活性領域30のトレンチ18Bに埋め込まれたゲート電極8の上面を覆う層間絶縁膜9および絶縁膜66Cと活性領域30とエッジ終端領域40との境界に設けられたトレンチ18Bに埋め込まれたゲート電極8の上面を覆う層間絶縁膜9および絶縁膜66Cとの間にも、上面100より深い凹部67Dが形成される。凹部67Dの側壁には、n+型ソース領域6およびp++型コンタクト領域14が接している(露出している)。凹部67Dの底部には、p++型コンタクト領域14が接している(露出している)。この凹部67Dがコンタクトホール64Dである。
【0141】
活性領域30とエッジ終端領域40との境界に設けられたトレンチ18Bに埋め込まれたゲート電極8の上面を覆うように設けられている層間絶縁膜9および絶縁膜66Cとフィールドプレート29を覆う層間絶縁膜9との間には、上面100より深い凹部67Eが形成される。凹部67Eの側壁および底部には、p++型コンタクト領域14Aが接している(露出している)。この凹部67Eがコンタクトホール64Eである。
【0142】
フィールドプレート29とチャネルストッパ62を覆う層間絶縁膜9および絶縁膜66Cには、凹部67Fが形成される。凹部67Fの底部には、フィールドプレート29を貫通してフィールド酸化膜13の表面が露出している。凹部67Fの側壁には、フィールドプレート29とフィールド酸化膜13が接している(露出している)。凹部67Fの底部には、フィールド酸化膜13が接している(露出している)。この凹部67Fがコンタクトホール64Fである。なお、凹部67Fの側壁には、フィールド酸化膜13が接していなくてもよい。
【0143】
コンタクトホール64D、64E、64Fを形成するドライエッチング後にレジストマスクを除去し、熱処理(リフロー)を行って層間絶縁膜9を平坦化する。
【0144】
次に、スパッタにより、層間絶縁膜9の表面からコンタクトホール64D,64E,64Fの内壁に沿って、チタン膜(Ti)、窒化チタン膜(TiN)、またはこれらの積層膜(例えば、Ti/TiN等)からなるバリアメタル(不図示)を形成する。次に、コンタクトホール64D,64E,64F内にバリアメタルを介して、例えば、タングステン膜(W)を埋め込むように形成する。
【0145】
次にタングステン膜のエッチバックを行い、コンタクトホール64D,64E,64F内にコンタクトプラグ19を形成する。コンタクトホール64D内に形成されたコンタクトプラグ19は、バリアメタル(不図示)を介してn
+型ソース領域6およびp
++型コンタクト領域14と電気的に接続する。また、コンタクトホール64E内に形成されたコンタクトプラグ19は、バリアメタル(不図示)を介してp
++型コンタクト領域14Aと電気的に接続する。また、コンタクトホール64F内に形成されたコンタクトプラグ19は、バリアメタル(不図示)を介してフィールドプレート29と電気的に接続する。ここまでの状態が
図21に記載される。
【0146】
次に、スパッタにより、
図21に示すSJ-MOSFET(超接合半導体装置)の上面にアルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金(Al-Si、Al-Cu、Al-Si―Cu)等の金属膜を成膜する。次に、金属膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術によりパターニングして、ソース電極10、金属ゲートランナー61およびゲート電極パッド(不図示)を形成する。
【0147】
ソース電極10は、p++型コンタクト領域14と電気的に接続しているコンタクトプラグ19と電気的に接続する。また、金属ゲートランナー61は、フィールドプレート29と電気的に接続する。さらに、金属ゲートランナー61はゲート電極8と電気的に接続し、ゲート電極パッド(不図示)は金属ゲートランナー61およびゲート電極8と電気的に接続する。
【0148】
次に、スパッタにより、n
+型半導体基板1の裏面(半導体基体の裏面)に裏面電極11を形成する。裏面電極11は、例えば、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)あるいはアルミニウムを主成分とする合金(Al-Si、Al-Cu、Al-Si―Cu)等の金属膜等から形成されてもよい。また、これらの積層膜(例えば、Ti/Ni/Au、Al/Ti/Ni/Au等)を成膜してもよい。裏面電極11を成膜後に熱処理を行い、n
+型半導体基板1と裏面電極11とのオーミック接合を形成する。これにより、
図2Cに示したSJ-MOSFET50が完成する。
【0149】
図2Cに示したSJ-MOSFET50は、以下のように製造することもできる。まず、
図2Aに示したSJ-MOSFET50と同様に、
図4~
図17まで同じ工程を行い、p型ベース領域5までを形成する。
図18、19の工程に換えて
図22~
図25の工程でコンタクトプラグ19を形成する。
【0150】
図17まで実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第1の製造方法を行った後、p型ベース領域5の表面上に、例えば、レジストを用い、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有するマスク(不図示)を形成する。このレジストマスクをマスクとしてn型不純物をイオン注入する。このイオン注入によって、p型ベース領域5の表面層にn
+型ソース領域6が形成される箇所にn型不純物を注入する。注入するn型不純物は、砒素(As)、リン(P)等である。なお、エッジ終端領域40のp型ベース領域5Aの表面層にはn
+型ソース領域6を形成するn型不純物は注入しなくてよい。次に、n
+型ソース領域6を形成するために用いたイオン注入用マスクを除去する。次に、n
+型ソース領域6を形成するため、注入した不純物を活性化させる熱処理を行う。ここまでの状態が
図22に記載される。
【0151】
次に、n
-型エピタキシャル層27の表面(上面100)の上部全面に層間絶縁膜9を形成する。層間絶縁膜9は絶縁膜66Cを介して、例えば、ゲート絶縁膜7、ゲート電極8、n
+型ソース領域6、p
++型コンタクト領域14、p型ベース領域5A、p
++型コンタクト領域14A、フィールド酸化膜13、フィールドプレート29およびチャネルストッパ62の上部を覆うように形成される。層間絶縁膜9は、例えば、BPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)等で形成される。また、層間絶縁膜9は、例えばBPSGの下(BPSGとゲート電極8の間)に、HTO(High Temperature Oxide)、NSG(None-doped Silicate Glass)あるいはTEOS(テトラエトキシシラン)膜のいずれかを形成して積層膜としてもよい。層間絶縁膜9の厚さは1μm程度でよい。ここまでの状態が
図23に記載される。
【0152】
次に、層間絶縁膜9の表面上に、例えばフォトリソグラフィ技術により、開口部を有するレジストマスク(不図示)を形成する。次に、レジストマスクを用いて異方性のドライエッチングによって層間絶縁膜9および絶縁膜66Cに開口部を形成する(トレンチ18Bの内壁に沿って形成されるゲート絶縁膜7とゲート電極8の上部を覆う絶縁膜66Cの境界は不図示)。次に異方性のドライエッチングによって、凹部67D,67E,67Fを形成する。凹部67D,67E,67Fは、SJ-MOSFET50が完成時に
図2Cの凹部67A,67B,67Cとなる。
【0153】
活性領域30のトレンチ18Bに埋め込まれたゲート電極8の上面を覆う層間絶縁膜9および絶縁膜66Cには、隣り合うトレンチ18Bとの間に上面100より深い凹部67Dが形成される。凹部67Dの側壁には、n+型ソース領域6およびp型ベース領域5が接している(露出している)。凹部67Dの底部には、p型ベース領域5が接している(露出している)。この凹部67Dがコンタクトホール64Dである。
【0154】
同様に隣り合う活性領域30のトレンチ18Bに埋め込まれたゲート電極8の上面を覆う層間絶縁膜9および絶縁膜66Cと活性領域30とエッジ終端領域40との境界に設けられたトレンチ18Bに埋め込まれたゲート電極8の上面を覆う層間絶縁膜9および絶縁膜66Cとの間にも、上面100より深い凹部67Dが形成される。凹部67Dの側壁には、n+型ソース領域6およびp型ベース領域5が接している(露出している)。凹部67Dの底部には、p型ベース領域5が接している(露出している)。この凹部67Dがコンタクトホール64Dである。
【0155】
活性領域30とエッジ終端領域40との境界に設けられたトレンチ18Bに埋め込まれたゲート電極8の上面を覆うように設けられている層間絶縁膜9および絶縁膜66Cとフィールドプレート29を覆う層間絶縁膜9との間には、上面100より深い凹部67Eが形成される。凹部67Eの側壁および底部には、p型ベース領域5Aが接している(露出している)。この凹部67Eがコンタクトホール64Eである。
【0156】
フィールドプレート29とチャネルストッパ62を覆う層間絶縁膜9および絶縁膜66Cには、凹部67Fが形成される。凹部67Fの底部には、フィールドプレート29を貫通してフィールド酸化膜13の表面が露出している。凹部67Fの側壁には、フィールドプレート29およびフィールド酸化膜13が接している(露出している)。凹部67Fの底部には、フィールド酸化膜13が接している(露出している)。この凹部67Fがコンタクトホール64Fである。なお、凹部67Fの側壁には、フィールド酸化膜13が接していなくてもよい。
【0157】
次に、層間絶縁膜9をマスクとしてイオン注入22を行い、p型不純物を注入する。凹部67Dの底部と、凹部67Eの側面および底部には、p型ベース領域5,5Aの表面層にp
++型コンタクト領域14、14Aを形成するp型不純物が注入される。エッジ終端領域40のp型ベース領域5Aの表面層にはp
++型コンタクト領域14Aを形成するp型不純物が注入され、n
+型ソース領域6を形成するn型不純物は注入しなくてもよい。ここまでの状態が
図24に記載される。
【0158】
次に、熱処理(リフロー)を行って層間絶縁膜9を平坦化する。また、層間絶縁膜9を平坦化と同時に注入したp++型コンタクト領域14,14Aを形成するp型不純物の活性化させてもよい。
【0159】
次に、スパッタにより、層間絶縁膜9の表面からコンタクトホール64D,64E,64Fの内壁に沿って、チタン膜(Ti)、窒化チタン膜(TiN)、またはこれらの積層膜(例えば、Ti/TiN等)からなるバリアメタル(不図示)を形成する。次に、コンタクトホール64D,64E,64F内にバリアメタルを介して、例えば、タングステン膜(W)を埋め込むように形成する。
【0160】
次にタングステン膜のエッチバックを行い、コンタクトホール64D,64E,64F内にコンタクトプラグ19を形成する。コンタクトホール64D内に形成されたコンタクトプラグ19は、バリアメタル(不図示)を介してn
+型ソース領域6およびp
++型コンタクト領域14と電気的に接続する。また、コンタクトホール64E内に形成されたコンタクトプラグ19は、バリアメタル(不図示)を介してp
++型コンタクト領域14Aと電気的に接続する。また、コンタクトホール64F内に形成されたコンタクトプラグ19は、バリアメタル(不図示)を介してフィールドプレート29と電気的に接続する。ここまでの状態が
図25に記載される。
【0161】
次に、スパッタにより、
図25に示すSJ-MOSFET(超接合半導体装置)の上面にアルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金(Al-Si、Al-Cu、Al-Si―Cu)等の金属膜を成膜する。次に、金属膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術によりパターニングして、ソース電極10、金属ゲートランナー61およびゲート電極パッド(不図示)を形成する。
【0162】
ソース電極10は、p++型コンタクト領域14と電気的に接続しているコンタクトプラグ19と電気的に接続する。また、金属ゲートランナー61は、フィールドプレート29と電気的に接続する。さらに、金属ゲートランナー61はゲート電極8と電気的に接続し、ゲート電極パッド(不図示)は金属ゲートランナー61およびゲート電極8と電気的に接続する。
【0163】
次に、スパッタにより、n
+型半導体基板1の裏面(半導体基体の裏面)に裏面電極11を形成する。裏面電極11は、例えば、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)あるいはアルミニウムを主成分とする合金(Al-Si、Al-Cu、Al-Si―Cu)等の金属膜等から形成されてもよい。また、これらの積層膜(例えば、Ti/Ni/Au、Al/Ti/Ni/Au等)を成膜してもよい。裏面電極11を成膜後に熱処理を行い、n
+型半導体基板1と裏面電極11とのオーミック接合を形成する。これにより、
図2Cに示したSJ-MOSFET50が完成する。
【0164】
次に、
図4~
図21に示す第1の製造方法と異なる第2の製造方法について説明する。
図26~
図30は、実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第2の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である。第2の製造方法は、
図2Dに示すSJ-MOSFETの製造方法である。エッジ終端領域40の製造方法は第1の製造方法と同じであるため、
図26~
図30では活性領域30の断面図を示す。第2の製造方法は、
図4~
図8に示す工程まで第1の製造方法と同じ工程を行い、n
-型エピタキシャル層27を形成する。
【0165】
第2の製造方法が第1の製造方法と異なる点は、n
-型エピタキシャル層27にイオン注入22によって形成される注入領域93である。具体的には、区間D1において、エッジ終端領域40の一部を除いた所定の領域の全面にイオン注入22を行って注入領域93を形成する点である。所定の領域は、
図9Aに示すp型カラム領域4Aを形成するイオン注入用マスク21の開口部より活性領域30側である。
【0166】
ここで、深さはn-型エピタキシャル層27の上面100(表面)からn+型半導体基板1のおもて面に向う方向を示す。注入深さは、n-型エピタキシャル層27の上面100(表面)からの不純物を注入する深さ(不純物濃度分布のピーク位置)である。
【0167】
また、イオン注入22を行って形成される注入領域93は、上面100からの不純物が注入される領域(不純物濃度分布のピーク位置)を示す。注入深さは、n-型エピタキシャル層27の上面100(表面)からn-型エピタキシャル層27内に形成される注入領域93までの深さを示す。
【0168】
さらに、n-型エピタキシャル層27の表面(上面100)とn型ドリフト層2の表面との間(n-型エピタキシャル層27の平坦な部分の厚さT1)の区間D1とし、n型ドリフト層2の表面からp型カラム用トレンチ25Bの底部までの間(p型カラム用トレンチ25Bの深さ)を区間D2とする。
【0169】
図8に示すn
-型エピタキシャル層27を形成する工程後に、n
-型エピタキシャル層27の表面から所定の領域にp型不純物のイオン注入22を行う。p型不純物としては、例えば、ホウ素(B)あるいはアルミニウム(Al)等である。第2の製造方法では、n
-型エピタキシャル層27の所定の領域にイオン注入22を行い、
図9Aに示すイオン注入を行わないエッジ終端領域40のp型カラム領域4Aを形成するイオン注入用マスク21の開口部より外周側の領域には、イオン注入用マスクを新たに形成しなくてもよい。イオン注入22を行わない外周側の領域には、
図6に示す酸化膜23を残してマスクとし、p型不純物が注入されないようにしてもよい。また、外周側の領域には、n
-型エピタキシャル層27の表面(上面100)にレジスト等によりイオン注入用マスク21を形成してイオン注入22を行ってもよい。
【0170】
イオン注入22で形成される注入領域93は区間D1に形成される。区間D1が0.8μmで区間D2が1.0μmである場合、n
-型エピタキシャル層27の表面から注入領域93までの深さを0.4μmとする。区間D1(厚さT1)は0.5μm以上1.0μm以下であればよい。n
-型エピタキシャル層27の表面(上面100)から注入領域93までの注入深さは0.2μm以上1.0μm以下であればよい。また、区間D2は0.5μm以上2.0μm以下であればよい。注入領域93は区間D1と区間D2の境界に形成されてもよい。ここまでの状態が
図26に記載される。
【0171】
次に、イオン注入22で用いたマスク(不図示)、例えば、酸化膜23、レジストで形成されたイオン注入用マスク21等を除去し、その後熱処理を行ってp型不純物を拡散させる。これにより、p型カラム領域4およびp型ウェル領域63が形成される。
【0172】
ここで、n-型エピタキシャル層27は、n型ドリフト層2よりも低い不純物濃度で形成されている。p型不純物のイオン注入22およびその後の熱処理によって、p型不純物は注入領域93からn-型エピタキシャル層27に広がりやすくなる。
【0173】
隣り合うp型カラム領域4との間がn型カラム領域3となり、並列pn領域20が形成される。p型ウェル領域63は、イオン注入22された所定の領域の全面に形成される。
【0174】
p型ウェル領域63とp型カラム領域4の不純物濃度は、注入領域93で最も不純物濃度が高く、深さ方向において、注入領域93から離れるにしたがって不純物濃度が低くなっている。ここで、深さ方向はn-型エピタキシャル層27の表面からn+型半導体基板1に向かう方向である。
【0175】
イオン注入22後のp型不純物を拡散するための熱処理後にp型ウェル領域63の表面(上面100)上に酸化膜28を形成する。なお、酸化膜28は、イオン注入22後のp型不純物を拡散するための熱処理で形成してもよい。
【0176】
熱処理を行う際に、p型カラム領域4とp型ウェル領域63の境界(p型カラム用トレンチ25Bとn型ドリフト層2の表面との間の角部)の形状が不純物の拡散によって丸みを持つ形状が形成されてもよい。ここまでの状態が
図27に記載される。
【0177】
このように、第2の製造方法では、後述するトレンチ18Aを形成する前に、エッジ終端領域40の一部を除いた所定の領域の全面にイオン注入22を行って注入領域93を形成する。イオン注入22の後に熱処理を行い、p型カラム領域4とp型ウェル領域63を形成している。
【0178】
n-型エピタキシャル層27の不純物濃度は、n型ドリフト層2より低い不純物濃度で形成される。n-型エピタキシャル層27とn型ドリフト層2との不純物濃度の濃度差が大きいため、イオン注入22で注入したp型不純物はn型ドリフト層2に拡散しにくく、n-型エピタキシャル層27で拡散しやすくなる。
【0179】
p型ウェル領域63は、イオン注入22された所定の領域の全面に形成され、トレンチ18Bの側壁に接するため、後の工程で形成されるp型ベース領域5と同じ機能を有する。イオン注入22で注入したp型不純物はn型ドリフト層2に拡散しにくいため、チャネル長が熱処理によって広がることを抑えることができる。
【0180】
次に、酸化膜28の表面に、フォトリソグラフィ技術によって所定の開口部を有するフォトレジストマスク(不図示)を形成する。次に、フォトレジストマスクを用いて、例えば異方性のドライエッチングによって酸化膜28に開口部を形成する。次にフォトレジストマスク(不図示)を除去し、酸化膜28をマスクとして、異方性のドライエッチングによって、p型ウェル領域63を貫通して、n型ドリフト層2(n型カラム領域3)に達するトレンチ18Aを形成する。第2の製造方法では、トレンチ18Aの側壁にp型ウェル領域63が接している。ここまでの状態が
図28に記載される。
【0181】
次に、酸化膜28のついた状態で、等方性エッチングおよび犠牲酸化を行う。この工程により、トレンチ18Aのダメージを除去し、トレンチ18Aの底部を丸める。等方性エッチングと犠牲酸化を行う順番は、どちらが先でもよい。また、等方性エッチングと犠牲酸化はどちらか一方を行うだけでもよい。その後、酸化膜28を除去する。酸化膜28と同時に犠牲酸化膜(不図示)も除去されてよい。
【0182】
次に、p型ウェル領域63の表面(n-型エピタキシャル層27の上面100)とトレンチ18Bの内壁に沿ってゲート絶縁膜7を形成する。このゲート絶縁膜7は、酸素雰囲気中において1000℃程度の温度の熱酸化によって形成してもよい。また、このゲート絶縁膜7は高温酸化(High Temperature Oxide:HTO)等のような化学反応によって堆積する方法で形成してもよい。
【0183】
次に、ゲート絶縁膜7上に、例えばリン原子がドーピングされた多結晶シリコン層を設ける。この多結晶シリコン層はトレンチ18B内を埋め込むように形成する。この多結晶シリコン層をフォトリソグラフィ技術とエッチング技術によりパターニングし、トレンチ18B内部にゲート絶縁膜7を介してゲート電極8を形成する。トレンチ18Bの側壁には、p型ウェル領域63が接している。
【0184】
次に、p型ウェル領域63の表面(n
-型エピタキシャル層27の上面100)から、p型ベース領域5を形成するためのp型不純物、例えばホウ素(B)等のイオン注入22を行う。活性領域30では、ゲート電極8がマスクとして機能する。ここまでの状態が
図29に記載される。
【0185】
次に、イオン注入22で注入したp型不純物を拡散するための熱処理を行い、p型ベース領域5を形成する。p型ベース領域5はp型ウェル領域63の表面層に形成され、p型ベース領域5の不純物濃度はp型ウェル領域63の不純物濃度より高い。深さ方向において、p型ベース領域5の底面は、p型ウェル領域63の底面より浅く形成される。p型ベース領域5およびp型ウェル領域63は、トレンチ18Bの側壁に接するように形成される。
【0186】
同様に活性領域30とエッジ終端領域40との境界に形成されたトレンチ18B(不図示)の側壁には、活性領域30側にはp型ベース領域5およびp型ウェル領域63が接し、エッジ終端領域40にはp型ベース領域5Aおよびp型ウェル領域63Aが接する。
【0187】
p型ウェル領域63を形成後にトレンチ18Bの形成を行う場合、SJ-MOSFET(超接合半導体装置)50に熱が加えられる工程、例えば、酸化膜28、犠牲酸化膜およびゲート絶縁膜7の形成等によって、p型ウェル領域63のp型不純物が拡散してゲート閾値電圧のばらつきが大きくなる可能性がある。そこで、トレンチ18Bの形成後(ゲート電極8の形成後)にp型ベース領域5を形成することにより、ゲート閾値電圧を安定させることができる。ここまでの状態が
図30に記載される。
【0188】
なお、p型ベース領域5を形成するp型不純物のイオン注入22を行わない場合、イオン注入の回数を減らすことができ、製造コストを低減することができる。その後、第1の製造方法と同様に、n
+型ソース領域6を形成する工程以降の工程を行うことで、
図2Dに示すSJ-MOSFET50が完成する。第2の製造方法では、第1の製造方法とp型ウェル領域63が異なり、トレンチ18Bの側壁にp型ウェル領域63が接している。
【0189】
次に、
図26~
図30に示す第2の製造方法と異なる第3の製造方法について説明する。
図31~
図39は、実施の形態にかかるSJ-MOSFETの第3の製造方法による製造途中の状態を示す断面図である。第3の製造方法は、
図2Bに示すSJ-MOSFETの製造方法である。第3の製造方法は、まず、
図4~
図8、
図9C、
図10Cに示す工程まで第1の製造方法と同じ工程を行い、p型不純物を熱処理で拡散させる。
【0190】
第3の製造方法が第1の製造方法と異なる点は、p型カラム用トレンチ25B内にn-型エピタキシャル層27を埋め込んだ領域のみに第2導電型不純物のイオン注入を行いp型カラム領域4、4Aを形成する点である。
【0191】
次に、n
-型エピタキシャル層27の表面(上面100)上に、フォトリソグラフィ技術によってp
--型リサーフ領域12を形成するための開口部を有するイオン注入用マスク65を形成する。イオン注入用マスク65は、例えばフォトレジストを用いる。イオン注入用マスク65をマスクとして、p型不純物のイオン注入を行う。p型不純物は、例えばホウ素(B)またはアルミニウム(Al)等である。ここまでの状態を
図31に示す。
【0192】
次に、イオン注入用マスク65を除去後、注入したp型不純物を拡散するための熱処理を行って、n
-型エピタキシャル層27の表面層にp
--型リサーフ領域12を形成する。p
--型リサーフ領域12は、p型ウェル領域63Aより不純物濃度が低いため、p型ウェル領域63Aにはp
--型リサーフ領域12が形成されない。p
--型リサーフ領域12の底面は、n
-型エピタキシャル層27とn型ドリフト層2との境界より深く形成される。また、p
--型リサーフ領域12の底面は、p型カラム領域4Aとp型ウェル領域63Aの境界(点線)より深く形成されても浅く形成されてもよい。ここまでの状態が
図32に記載される。
【0193】
次に、上面100上に、酸化膜28を形成する。酸化膜28は、例えば、LOCOS膜であってもよい。活性領域30の酸化膜28の厚さは、エッジ終端領域40の外周側に形成される酸化膜28の厚い部分より薄く形成される。酸化膜28は、n
-型エピタキシャル層27の上面に厚さが厚い部分が形成され、酸化膜28の厚い部分の底面は上面100より深い位置まで形成されている。酸化膜28の厚い部分の活性領域30側の端部は、端部から下面の一部に連続して、p
--型リサーフ領域12に覆われるように形成される。また、酸化膜28の厚い部分の他方の端部は、他方の端部から下面の一部に連続して、n
-型エピタキシャル層27に覆われるように形成される。ここまでの状態が
図33に記載される。
【0194】
次に、酸化膜28の表面に、フォトリソグラフィ技術によって所定の開口部を有するレジストマスク(不図示)を形成する。次に、レジストマスクをマスクにして、ドライエッチングによって酸化膜28に開口部を形成する。次にレジストマスクを除去し、酸化膜28をマスクとして、異方性のドライエッチングによって、n
-型エピタキシャル層27の上面100からn
-型エピタキシャル層27を貫通しn型ドリフト層2に達するトレンチ18Aを形成する。ここまでの状態が
図34に記載される。
【0195】
次に、酸化膜28のついた状態で、等方性エッチングおよび犠牲酸化を行う。この工程により、トレンチ18Aのダメージを除去し、トレンチ18Aの底部を丸める。等方性エッチングと犠牲酸化を行う順番は、どちらが先でもよい。また、等方性エッチングと犠牲酸化はどちらか一方を行うだけでもよい。その後、トレンチ18Aを形成するマスクとして用いた厚さの薄い部分の酸化膜28を除去する。このとき、厚さの薄い部分の酸化膜28と犠牲酸化膜を同時に除去してもよい。酸化膜28の除去後のトレンチがトレンチ18Bとなる。酸化膜28は厚さが薄い部分と、エッジ終端領域40に厚さが厚い部分を有するので、酸化膜28の厚さが薄い部分を除去する全面エッチングを行って、エッジ終端領域40の厚さが厚い部分の酸化膜を残す。犠牲酸化膜(不図示)は酸化膜28の厚さが薄い部分と一緒に除去してもよい。また、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により酸化膜28を除去することで、エッジ終端領域40に酸化膜28を残してもよい。エッジ終端領域40に残った酸化膜(酸化膜28の厚さが厚い部分)がフィールド酸化膜13となる。ここまでの状態を
図35に示す。
【0196】
次に、n-型エピタキシャル層27、p--型リサーフ領域12およびp型ウェル領域63,63Aの表面(上面100)と、トレンチ18Bの内壁に沿ってゲート絶縁膜7を形成する。このゲート絶縁膜7は、酸素雰囲気中において1000℃程度の温度の熱酸化によって形成してもよい。また、このゲート絶縁膜7は高温酸化(High Temperature Oxide:HTO)等のような化学反応によって堆積する方法で形成してもよい。
【0197】
次に、ゲート絶縁膜7上に、例えばリン原子がドーピングされた多結晶シリコン層を設ける。この多結晶シリコン層はトレンチ18B内を埋め込むように形成する。この多結晶シリコン層をフォトリソグラフィ技術とエッチング技術によりパターニングし、トレンチ18B内部にゲート絶縁膜7を介してゲート電極8を形成する。
【0198】
また、エッジ終端領域40に形成された多結晶シリコン層を選択的に残し、フィールドプレート29およびチャネルストッパ62としてもよい。
【0199】
フィールドプレート29は、p--型リサーフ領域12、p型ウェル領域63A、およびp型ベース領域5A上(上面100)に形成されたゲート絶縁膜7(絶縁膜66A)の上面とフィールド酸化膜13の活性領域30側の上面に連続して形成される。フィールドプレート29は、ゲート電極8と電気的に接続しており、ゲート配線の機能も有する。
【0200】
チャネルストッパ62は、フィールド酸化膜13の外周側の上面とn-型エピタキシャル層27上(上面100)に形成されたゲート絶縁膜7(絶縁膜66B)の上面に連続して形成される。なお、フィールドプレート29とチャネルストッパ62は、フィールド酸化膜13上で分離される。
【0201】
次に、n
-型エピタキシャル層27の上面100(p型ウェル領域63,63Aおよびn
-型エピタキシャル層27の表面)からp型ベース領域5,5Aを形成するためのp型不純物のイオン注入22を行う。p型不純物としては、例えばホウ素(B)あるいはアルミニウム(Al)等である。この際、n
-型エピタキシャル層27の上のエッジ終端領域40では、フィールドプレート29、チャネルストッパ62およびフィールド酸化膜13がマスクとして機能する。このため、n
-型エピタキシャル層27にはp型不純物が注入されない。また、ゲート電極8もマスクとして機能する。ここまでの状態が
図36に記載される。
【0202】
次に、上面100上に形成されたゲート絶縁膜7の除去を行う。なお、ゲート絶縁膜7の除去は、ゲート絶縁膜7の厚さが後述するn+型ソース領域6を形成するためのイオン注入を妨げない厚さ、例えば、500Å以下であれば行わなくてもよい。
【0203】
次に、熱処理によりp型不純物を拡散させることで、n-型エピタキシャル層27、p型ウェル領域63,63A、およびp--型リサーフ領域12の表面層に、p型ベース領域5,5Aを形成する。この熱処理によって、トレンチ18Bを埋め込むように形成した多結晶シリコン層からなるゲート電極8の上面、フィールドプレート29およびチャネルストッパ62を覆うように絶縁膜66Cが形成される。
【0204】
p型ベース領域5とp型ウェル領域63は重なり、かつp型ベース領域5の底面は、p型ウェル領域63の底面より浅く形成される。p型ベース領域5Aとp型ウェル領域63Aは重なり、かつp型ベース領域5Aの底面は、p型ウェル領域63Aの底面より浅く形成される。
【0205】
p型ベース領域5とp型ベース領域5Aの不純物濃度は等しくてもよい。p型ウェル領域63とp型ウェル領域63Aの不純物濃度は等しくてもよい。p型ベース領域5の不純物濃度は、p型ウェル領域63の不純物濃度より高い。また、p型ベース領域5Aの不純物濃度は、p型ウェル領域63Aの不純物濃度より高い。p型ベース領域5,5Aは、トレンチ18Bの側壁に接するように形成される。
【0206】
エッジ終端領域40では、酸化膜28、フィールドプレート29およびチャネルストッパ62がマスクとして機能するため、これらに上部を覆われたn-型エピタキシャル層27およびp--型リサーフ領域12にはホウ素(B)が注入されない。これにより、p型ベース領域5,5Aを形成するp型不純物を拡散するために熱処理を行っても、n-型エピタキシャル層27およびp--型リサーフ領域12にはp型ベース領域5,5Aを形成するp型不純物が拡散することはない。よって、エッジ終端領域40には、n-型エピタキシャル層27およびp--型リサーフ領域12が残る。
【0207】
このように、第3の製造方法では、チャネルが形成されるp型ベース領域5をトレンチ18B形成後に形成する。ここまでの状態が
図37に記載される。
【0208】
次に、p型ベース領域5の表面上に、例えば、レジストを用い、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有するマスク(不図示)を形成する。このレジストマスクをマスクとしてn型不純物をイオン注入する。このイオン注入によって、p型ベース領域5の表面層にn+型ソース領域6が形成される箇所にn型不純物を注入する。注入するn型不純物は、砒素(As)、リン(P)等である。
【0209】
次に、n+型ソース領域6を形成するために用いたイオン注入用マスクを除去する。さらに、p型ベース領域5の表面上に、例えば、レジストを用い、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有するマスクを形成して、p型ベース領域5の表面層に、n+型ソース領域6と接するp++型コンタクト領域14を形成するp型不純物を注入してもよい。また、p型ベース領域5Aの表面層にも、p++型コンタクト領域14Aを形成するp型不純物を注入してもよい。なお、エッジ終端領域40のp型ベース領域5Aの表面層にはn+型ソース領域6を形成しない。
【0210】
次に、n
+型ソース領域6およびp
++型コンタクト領域14,14Aに注入した不純物を活性化させるための熱処理を行う。注入した不純物を活性化する熱処理は、注入した不純物を拡散するための熱処理より、熱履歴が小さい。n
+型ソース領域6およびp
++型コンタクト領域14,14Aを形成するイオン注入を行う順番はどちらが先でもよい。ここまでの状態が
図38に記載される。
【0211】
次に、n-型エピタキシャル層27の表面(上面100)の上部全面に層間絶縁膜9を形成する。層間絶縁膜9は、絶縁膜66Cを介して、例えば、ゲート絶縁膜7、ゲート電極8、n+型ソース領域6、p++型コンタクト領域14、p型ベース領域5A、p++型コンタクト領域14A、フィールド酸化膜13、フィールドプレート29およびチャネルストッパ62を覆うように形成される。層間絶縁膜9は、例えば、BPSG、PSG等で形成される。また、層間絶縁膜9は、例えばBPSGの下(BPSGとゲート電極8の間)に、HTO、NSGあるいはTEOS膜のいずれかを形成して積層膜としてもよい。層間絶縁膜9の厚さは1μm程度でよい。
【0212】
次に、層間絶縁膜9および絶縁膜66Cをフォトリソグラフィ技術とエッチング技術によりパターニングを行う。活性領域30には、n
+型ソース領域6とp
++型コンタクト領域14の表面を露出させたコンタクトホール64Aが形成される(トレンチ18Bの内壁に沿って形成されるゲート絶縁膜7とゲート電極8の上部を覆う層間絶縁膜9の境界は不図示)。また、エッジ終端領域40には、p
++型コンタクト領域14Aの表面を露出させたコンタクトホール64Bが形成される。さらに、エッジ終端領域40には、フィールドプレート29の表面を露出させたコンタクトホール64Cが形成される。その後、熱処理(リフロー)を行って層間絶縁膜9を平坦化する。ここまでの状態が
図39に記載される。
【0213】
次に、スパッタにより、アルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金(Al-Si、Al-Cu、Al-Si―Cu)等の金属膜をコンタクトホール64A,64B,64C内を埋め込み、さらに層間絶縁膜9の上面を連続して覆うように成膜する。なお、金属膜を成膜する前に、スパッタによりチタン膜(Ti)、窒化チタン膜(TiN)、またはこれらの積層膜(例えば、Ti/TiN等)からなるバリアメタル(不図示)をコンタクトホール64A,64B,64Cの内壁に沿い、かつ層間絶縁膜9の上面に連続するように形成してもよい。その後、金属膜およびバリアメタル(不図示)をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術によりパターニングすることで、ソース電極10、金属ゲートランナー61、およびゲート電極パッド(不図示)を形成する。なお、バリアメタルは、コンタクトホール64A,64B,64C内にのみ形成してもよい。
【0214】
ソース電極10は、活性領域30において、コンタクトホール64Aで表面が露出されたn
+型ソース領域6およびp
++型コンタクト領域14と電気的に接続する。また、ソース電極10はエッジ終端領域40において、コンタクトホール64Bで表面が露出されたp
++型コンタクト領域14Aと電気的に接続する。また、金属ゲートランナー61は、コンタクトホール64Cで表面が露出されたフィールドプレート29およびゲート電極8と電気的に接続する。ゲート電極パッド(不図示)は、金属ゲートランナー61およびゲート電極8と電気的に接続する。なお、コンタクトホール64A,64B,64C内にはバリアメタルを介してタングステンプラグ等を埋め込んでもよい。コンタクトホール64A,64B,64Cは、
図21に示す第1の製造方法と同様に凹部を備えたコンタクトホールとしてもよい。
【0215】
次に、スパッタにより、n
+型半導体基板1の裏面(半導体基体の裏面)に裏面電極11を形成する。裏面電極11は、例えば、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)あるいはアルミニウムを主成分とする合金(Al-Si、Al-Cu、Al-Si―Cu)等の金属膜等から形成されてもよい。また、これらの積層膜(例えば、Ti/Ni/Au、Al/Ti/Ni/Au等)を成膜してもよい。裏面電極11を成膜後に熱処理を行い、n
+型半導体基板1と裏面電極11とのオーミック接合を形成する。これにより、
図2Bに示したSJ-MOSFET50が完成する。
【0216】
このように、p型カラム用トレンチ25B内にn-型エピタキシャル層27を埋め込んだ領域のみに第2導電型不純物のイオン注入を行っているため、p型ウェル領域63,63Aが形成されないようになる。
【0217】
以上、説明したように、実施の形態によれば、エッジ終端領域40には、n-型エピタキシャル層が設けられ、n-型エピタキシャル層27の表面にフィールド酸化膜13が設けられている。n-型エピタキシャル層27により、n-型エピタキシャル層27とp--型リサーフ領域12とのpn接合から延びる空乏層をn-型エピタキシャル層27に広げることでSJ-MOSFET50の耐圧を向上させることができる。
【0218】
また、別の実施の形態において、エッジ終端領域40にn型カラム領域3Bの幅とp型カラム領域4Bの幅が活性領域30のn型カラム領域3の幅とp型カラム領域4の幅より狭くなっている並列pn構造20Bを備えることで、エッジ終端領域40において、空乏層が広がりやすくなり、エッジ終端領域40の耐圧を活性領域30の耐圧より高くすることができる。
【0219】
さらに、n-型エピタキシャル層27は不純物濃度が低いため、p型ウェル領域63,63Aおよびp型ベース領域5、5Aの拡散を制御しやすくなり、ゲート閾値電圧Vthのばらつきを抑えることができる。
【0220】
また、従来のトレンチ埋め込み方式のようにp型エピタキシャル層の堆積を行わずにp型カラム領域4を形成できるため、CMP装置等を用いて表面のp型エピタキシャル層を除去し、p型エピタキシャル層除去後の表面にn型エピタキシャル層を形成することが不要となる。さらに、p型カラム用トレンチ25Bが埋め込まれた表面部分はCMP装置等を用い平坦化する工程が不要である。よって、簡便にSJ構造を形成することができ、製造コストを低減することができる。
【0221】
以上において本発明では、シリコン基板の第1主面上にMOSゲート構造を構成した場合を例に説明したが、これに限らず、半導体の種類(例えば、炭化珪素(SiC)等)、基板主面の面方位等を種々変更可能である。また、本発明の実施の形態では、トレンチ型MOSFETを例に説明したが、これに限らず、プレーナ型MOSFET等の超接合半導体装置、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)の超接合半導体装置等、様々な構成の半導体装置に適用可能である。また、本発明では、各実施の形態では第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0222】
以上のように、本発明にかかる超接合半導体装置および超接合半導体装置の製造方法は、電力変換装置や種々の産業用機械等の電源装置等に使用される高耐圧半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0223】
1 n+型半導体基板
2 n型ドリフト層
3,3B n型カラム領域
4,4A,4B p型カラム領域
5,5A p型ベース領域
6 n+型ソース領域
7 ゲート絶縁膜
8 ゲート電極
9 層間絶縁膜
10 ソース電極
11 裏面電極
12 p--型リサーフ領域
13 フィールド酸化膜
14,14A p++型コンタクト領域
18A,18B トレンチ
19 コンタクトプラグ
20、20B 並列pn領域
21、65 イオン注入用マスク
22 イオン注入
23 酸化膜
24 レジストマスク
25A,25B p型カラム用トレンチ
27 n-型エピタキシャル層
28 酸化膜
29 フィールドプレート
30 活性領域
40 エッジ終端領域
50 SJ-MOSFET
61 金属ゲートランナー
62 チャネルストッパ
63,63A,63B p型ウェル領域
64A,64B,64C,64D,64E,64F コンタクトホール
66A,66B,66C 絶縁膜
67A,67B,67C,67D,67E,67F 凹部
90、91-1,91-2,92,93 注入領域
100 上面
W1,W2,W3 幅
T1 厚さ
D1,D2 区間