(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法及び液体吐出装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241112BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 301
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B65H37/04 Z
(21)【出願番号】P 2020157452
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】足立 裕尚
(72)【発明者】
【氏名】牧 陽一郎
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-165023(JP,A)
【文献】特開2014-219542(JP,A)
【文献】特開2017-154859(JP,A)
【文献】特開平11-320923(JP,A)
【文献】特開2016-049690(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0341375(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B65H 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送部によって搬送される媒体に液体を吐出することで画像を形成する吐出部と、
前記吐出部から前記液体が吐出された前記媒体に対して、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の貫通孔を形成する孔形成部と、
画像データに基づいて前記吐出部における前記液体の単位面積当たりの吐出量を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記媒体において前記画像データに基づく画像が形成される領域を前記複数の貫通孔を含まない第1領域と、前記複数の貫通孔を含む第2領域とに区分し、前記第2領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第2吐出量が、前記第1領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第1吐出量よりも少なくなるように、前記吐出部における前記液体の吐出量を制御
し、
前記制御部は、データテーブルを記憶する記憶部を備え、
前記記憶部は、前記データテーブルにおいて、前記媒体の厚さデータと、該厚さデータに対応する前記第2吐出量のデータとを記憶する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1領域と前記第2領域を前記搬送方向に区分する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第2吐出量を設定可能な設定部が設けられ、
前記制御部は、前記第2領域における前記液体の単位面積当たりの吐出量が、前記設定部において設定された前記第2吐出量となるように、前記吐出部からの前記液体の吐出を制御する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記制御部では、前記第2領域の前記幅方向の寸法が前記第2領域の前記搬送方向の寸法よりも大きい寸法とされる、
ことを特徴とする請求項1から
請求項3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2領域の前記幅方向の位置を補正するための補正データをそれぞれの前記貫通孔ごとに入力可能とされ、入力された前記補正データに基づいて前記第2領域の前記幅方向の位置を補正する、
ことを特徴とする請求項1から
請求項4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第2領域の前記搬送方向の寸法を設定可能な操作部が設けられ、
前記制御部は、前記第2領域の前記搬送方向の寸法が前記操作部において設定された設定寸法となるように前記第1領域と前記第2領域とを区分する、
ことを特徴とする請求項1から
請求項5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記孔形成部に搬送される前記媒体の前記搬送方向の位置を変更可能な変更部が設けられ、
前記制御部は、前記媒体の前記搬送方向の位置を補正するための搬送補正データを入力可能とされ、入力された前記搬送補正データに基づいて前記変更部を動作させることで、前記媒体の前記搬送方向の位置を補正する、
ことを特徴とする請求項1から
請求項6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記孔形成部は、前記媒体において前記吐出部から吐出された前記液体が未乾燥の状態において、前記媒体に前記貫通孔を形成する、
ことを特徴とする請求項1から
請求項7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記吐出部の状態を検査する検査部が設けられ、
前記制御部は、前記吐出部と前記媒体の前記第2領域とが対向する時間において、前記検査部に前記吐出部の状態を検査させる、
ことを特徴とする請求項1から
請求項8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
搬送部によって搬送される媒体に液体を吐出することで画像を形成する吐出部と、
前記吐出部から前記液体が吐出された前記媒体に対して、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の貫通孔を形成する孔形成部と、
画像データに基づいて前記吐出部における前記液体の単位面積当たりの吐出量を制御する制御部と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、
前記複数の貫通孔が前記媒体に形成される場合に、前記媒体において前記画像データに基づく画像が形成される領域を前記複数の貫通孔を含まない第1領域と、前記複数の貫通孔を含む第2領域とに区分する工程と、
前記第2領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第2吐出量が、前記第1領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第1吐出量よりも少なくなるように、前記吐出部における前記液体の吐出量を制御する工程と、を有
し、
前記制御部は、データテーブルを記憶する記憶部を備え、
前記記憶部は、前記データテーブルにおいて、前記媒体の厚さデータと、該厚さデータに対応する前記第2吐出量のデータとを記憶する工程を有する、
ことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項11】
搬送部によって搬送される媒体に液体を吐出することで画像を形成する吐出部と、
前記吐出部から前記液体が吐出された前記媒体に対して、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の貫通孔を形成する孔形成部と、
画像データに基づいて前記吐出部における前記液体の単位面積当たりの吐出量を制御する制御部と、を備える液体吐出装置の制御プログラムであって、
前記複数の貫通孔が前記媒体に形成される場合に、前記媒体において前記画像データに基づく画像が形成される領域を前記複数の貫通孔を含まない第1領域と、前記複数の貫通孔を含む第2領域とに区分するステップと、
前記第2領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第2吐出量が、前記第1領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第1吐出量よりも少なくなるように、前記吐出部における前記液体の吐出量を制御するステップと、
を有し、
前記制御部は、データテーブルを記憶する記憶部を備え、
前記記憶部は、前記データテーブルにおいて、前記媒体の厚さデータと、該厚さデータに対応する前記第2吐出量のデータとを記憶し、
前記各ステップをコンピューターに実行させるための液体吐出装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法及び液体吐出装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の印刷データ処理装置は、印刷領域と穴あけ箇所とが重なっているときは、印刷領域のうち穴あけ箇所と重なり合う部分が印刷されないように、その重複部分を印刷領域から除外した印刷データに変換し、変換した印刷データ及び生成した加工箇所データを印刷装置に送信する。加工ヘッドを含む印刷装置は、受信した印刷データ及び加工箇所データに基づいて印刷及び穴あけを並行して行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、加工ヘッドの取付位置が設定位置に対してずれていた場合、重複部分を媒体の印刷領域から除外したとしても、除外した部分に対して形成される孔の位置がずれる可能性があり、孔の位置ずれが目立つ虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明に係る液体吐出装置は、搬送部によって搬送される媒体に液体を吐出することで画像を形成する吐出部と、前記吐出部から前記液体が吐出された前記媒体に対して、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の貫通孔を形成する孔形成部と、画像データに基づいて前記吐出部における前記液体の単位面積当たりの吐出量を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記媒体において前記画像データに基づく画像が形成される領域を前記複数の貫通孔を含まない第1領域と、前記複数の貫通孔を含む第2領域とに区分し、前記第2領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第2吐出量が、前記第1領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第1吐出量よりも少なくなるように、前記吐出部における前記液体の吐出量を制御することを特徴とする。
【0006】
上記課題を解決する為の、本発明に係る液体吐出装置は、搬送される媒体に液体を吐出することで画像を形成する吐出部と、前記吐出部から前記液体が吐出された前記媒体に対して、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の貫通孔を形成する孔形成部と、画像データに基づいて前記吐出部における前記液体の単位面積当たりの吐出量を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記媒体において前記画像データに基づく画像を形成可能な領域を前記複数の貫通孔を含まない第1領域と、前記複数の貫通孔を含む第2領域とに区分し、前記第2領域の前記幅方向の位置を補正するための補正データをそれぞれの前記貫通孔ごとに入力可能とされ、入力された前記補正データに基づいて前記第2領域の前記幅方向の位置を補正し、前記第1領域において前記吐出部から前記液体を吐出させ、前記第2領域において前記吐出部から前記液体を吐出させないことを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決する為の、本発明に係る液体吐出装置の制御方法は、搬送部によって搬送される媒体に液体を吐出することで画像を形成する吐出部と、前記吐出部から前記液体が吐出された前記媒体に対して、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の貫通孔を形成する孔形成部と、画像データに基づいて前記吐出部における前記液体の単位面積当たりの吐出量を制御する制御部と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、前記複数の貫通孔が前記媒体に形成される場合に、前記媒体において前記画像データに基づく画像が形成される領域を前記複数の貫通孔を含まない第1領域と、前記複数の貫通孔を含む第2領域とに区分する工程と、前記第2領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第2吐出量が、前記第1領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第1吐出量よりも少なくなるように、前記吐出部における前記液体の吐出量を制御する工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決する為の、本発明に係る液体吐出装置の制御プログラムは、搬送部によって搬送される媒体に液体を吐出することで画像を形成する吐出部と、前記吐出部から前記液体が吐出された前記媒体に対して、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の貫通孔を形成する孔形成部と、画像データに基づいて前記吐出部における前記液体の単位面積当たりの吐出量を制御する制御部と、を備える液体吐出装置の制御プログラムであって、前記複数の貫通孔が前記媒体に形成される場合に、前記媒体において前記画像データに基づく画像が形成される領域を前記複数の貫通孔を含まない第1領域と、前記複数の貫通孔を含む第2領域とに区分するステップと、前記第2領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第2吐出量が、前記第1領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第1吐出量よりも少なくなるように、前記吐出部における前記液体の吐出量を制御するステップと、をコンピューターに実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施形態1の記録システムの主要部のブロック図。
【
図3】実施形態1のパンチ部及び変更部を表す斜視図。
【
図4】実施形態1の記録システムに使用される用紙における画像形成可能な領域を表す平面図。
【
図5】実施形態1の記録システムに使用される用紙の各領域と吐出部からの各吐出量との関係を表す概略図。
【
図6】実施形態1の記録システムにおいて使用される用紙の紙厚と第1吐出量及び第2吐出量との関係を表すデータテーブルの一例である。
【
図7】実施形態1の記録システムにおいて画像形成される画像データの一例を表す平面図。
【
図8】実施形態1の記録システムにおいて設定された第1領域の画像及び第2領域の画像と仮想の貫通孔とを表す平面図。
【
図9】実施形態1の記録システムにおいて実行される各処理の流れを表すフローチャート。
【
図10】実施形態2の記録システムにおいて設定された第1領域及び第2領域と貫通孔とを表す平面図。
【
図11】実施形態2の記録システムにおいて設定された第1領域の画像及び第2領域の画像と貫通孔とを表す平面図。
【
図12】実施形態2の記録システムにおいて第2領域の位置を幅方向に補正する状態を表す平面図。
【
図13】実施形態2の記録システムにおいて貫通孔が形成される用紙の搬送方向の位置を補正する状態を表す平面図。
【
図14A】実施形態2の記録システムにおいて実行される各処理の流れを表すフローチャートの前半部。
【
図14B】実施形態2の記録システムにおいて実行される各処理の流れを表すフローチャートの後半部。
【
図15】実施形態3の記録システムにおいて設定された第1領域及び第2領域と貫通孔とを表す平面図。
【
図16】実施形態の変形例の記録システムに使用される用紙における画像形成可能な領域を表す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様に係る後処理装置は、搬送部によって搬送される媒体に液体を吐出することで画像を形成する吐出部と、前記吐出部から前記液体が吐出された前記媒体に対して、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の貫通孔を形成する孔形成部と、画像データに基づいて前記吐出部における前記液体の単位面積当たりの吐出量を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記媒体において前記画像データに基づく画像が形成される領域を前記複数の貫通孔を含まない第1領域と、前記複数の貫通孔を含む第2領域とに区分し、前記第2領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第2吐出量が、前記第1領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第1吐出量よりも少なくなるように、前記吐出部における前記液体の吐出量を制御することを特徴とする。
本態様によれば、前記媒体の前記第1領域では、前記画像データに基づいて前記吐出部から前記液体が吐出されることで、前記画像の一部が形成される。
一方、前記媒体の前記第2領域では、前記液体の単位面積当たりの吐出量が前記第2吐出量とされることで、前記第1領域における前記第1吐出量よりも少なくなる。つまり、前記第2領域では、前記第2領域に形成される画像の画像濃度が、前記第1領域に形成される画像の画像濃度よりも低下する。これにより、前記第2領域に前記貫通孔が形成された場合、前記貫通孔による前記画像の欠損部分と前記第2領域の画像との画像濃度の差が、前記第1領域に前記貫通孔を形成した場合に比べて小さくなるので、前記複数の貫通孔の位置ずれが目立つことを抑制できる。
さらに、本態様によれば、前記画像データのうち前記第2領域に対応する画像データが、低い画像濃度であっても残存するので、欠損の少ない前記画像を得ることができる。
【0011】
第2の態様に係る液体吐出装置は、第1の態様において、前記制御部は、前記第1領域と前記第2領域を前記搬送方向に区分することを特徴とする。
本態様によれば、前記第2領域が前記幅方向の全体に亘って設定されることになるので、前記幅方向の一部に前記第2領域を設定する構成に比べて、前記第2領域の前記画像の位置と前記貫通孔の位置とのずれを低減させる処理を行わずに済む。
【0012】
第3の態様に係る液体吐出装置は、第1の態様又は第2の態様において、前記第2吐出量を設定可能な設定部が設けられ、前記制御部は、前記第2領域における前記液体の単位面積当たりの吐出量が、前記設定部において設定された前記第2吐出量となるように、前記吐出部からの前記液体の吐出を制御することを特徴とする。
本態様によれば、前記設定部において前記第2吐出量を自由に設定することが可能となるので、ユーザーの志向に沿った前記第2領域の前記画像を得ることができる。
【0013】
第4の態様に係る液体吐出装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか1つにおいて、前記制御部は、データテーブルを記憶する記憶部を備え、前記記憶部は、前記データテーブルにおいて、前記媒体の厚さデータと、該厚さデータに対応する前記第2吐出量のデータとを記憶することを特徴とする。
本態様によれば、前記データテーブルに前記媒体の厚さデータと前記第2吐出量のデータとが記憶されているので、前記液体吐出装置において用いられる前記媒体の厚さが変更された場合、前記媒体の厚さに合わせて、適切な前記第2吐出量の前記液体を前記吐出部から吐出させることができる。
【0014】
第5の態様に係る液体吐出装置は、第1の態様から第4の態様のいずれか1つにおいて、前記制御部では、前記第2領域の前記幅方向の寸法が前記第2領域の前記搬送方向の寸法よりも大きい寸法とされることを特徴とする。
本態様によれば、前記孔形成部の設定位置に対する前記幅方向の位置ずれが、前記孔形成部の設定位置に対する前記搬送方向の位置ずれより顕著な構成であっても、前記第2領域が前記搬送方向に比べて前記幅方向に長く形成されるので、前記複数の貫通孔が形成された場合、前記複数の貫通孔の位置ずれが目立つことを抑制できる。
【0015】
第6の態様に係る液体吐出装置は、第1の態様から第5の態様のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記第2領域の前記幅方向の位置を補正するための補正データをそれぞれの前記貫通孔ごとに入力可能とされ、入力された前記補正データに基づいて前記第2領域の前記幅方向の位置を補正することを特徴とする。
本態様によれば、前記第2領域の前記幅方向の位置が前記貫通孔ごとに補正されることで、前記複数の貫通孔が形成された場合、前記複数の貫通孔の位置ずれが目立つことをさらに抑制できる。
【0016】
第7の態様に係る液体吐出装置は、搬送部によって搬送される媒体に液体を吐出することで画像を形成する吐出部と、前記吐出部から前記液体が吐出された前記媒体に対して、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の貫通孔を形成する孔形成部と、画像データに基づいて前記吐出部における前記液体の単位面積当たりの吐出量を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記媒体において前記画像データに基づく画像を形成可能な領域を前記複数の貫通孔を含まない第1領域と、前記複数の貫通孔を含む第2領域とに区分し、前記第2領域の前記幅方向の位置を補正するための補正データをそれぞれの前記貫通孔ごとに入力可能とされ、入力された前記補正データに基づいて前記第2領域の前記幅方向の位置を補正し、前記第1領域において前記吐出部から前記液体を吐出させ、前記第2領域において前記吐出部から前記液体を吐出させないことを特徴とする。
本態様によれば、前記媒体の前記第1領域では、前記画像データに基づいて前記吐出部から前記液体が吐出されることで、前記画像の一部が形成される。
一方、前記媒体の前記第2領域では前記液体が吐出されないことで、前記第2領域に形成される画像の濃度が、前記第1領域に形成される画像の濃度よりも低下する。これにより、前記第2領域に前記貫通孔が形成された場合、前記貫通孔による前記画像の欠損部分と前記第2領域の画像との濃度差が、前記第1領域に前記貫通孔を形成した場合に比べて小さくなるので、前記複数の貫通孔の位置ずれが目立つことを抑制できる。
【0017】
第8の態様に係る液体吐出装置は、第1の態様から第7の態様のいずれか1つにおいて、前記第2領域の前記搬送方向の寸法を設定可能な操作部が設けられ、前記制御部は、前記第2領域の前記搬送方向の寸法が前記操作部において設定された設定寸法となるように前記第1領域と前記第2領域とを区分することを特徴とする。
本態様によれば、前記操作部において前記第2領域の前記搬送方向の寸法を自由に設定することが可能となるので、ユーザーの志向に沿った前記第1領域の前記画像を得ることができる。
【0018】
第9の態様に係る液体吐出装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか1つにおいて、前記孔形成部に搬送される前記媒体の前記搬送方向の位置を変更可能な変更部が設けられ、前記制御部は、前記媒体の前記搬送方向の位置を補正するための搬送補正データを入力可能とされ、入力された前記搬送補正データに基づいて前記変更部を動作させることで、前記媒体の前記搬送方向の位置を補正することを特徴とする。
本態様によれば、前記変更部は、前記制御部に入力された前記補正データに基づいて、前記媒体の前記搬送方向の位置を補正する。これにより、前記搬送方向において、前記複数の貫通孔に対する前記画像の位置ずれを一律に補正できる。
【0019】
第10の態様に係る液体吐出装置は、第1の態様から第9の態様のいずれか1つにおいて、前記孔形成部は、前記媒体において前記吐出部から吐出された前記液体が未乾燥の状態において、前記媒体に前記貫通孔を形成することを特徴とする。
本態様によれば、前記孔形成部が前記液体が乾燥されるのを待ってから前記媒体に前記複数の貫通孔を形成する構成に比べて、前記吐出部から前記液体が吐出されてから前記媒体に前記複数の貫通孔が形成されるまでに要する時間が短くなるので、前記液体吐出装置における前記媒体への画像形成のスループットを上げることができる。
【0020】
第11の態様に係る液体吐出装置は、第1の態様から第10の態様のいずれか1つにおいて、前記吐出部の状態を検査する検査部が設けられ、前記制御部は、前記吐出部と前記媒体の前記第2領域とが対向する時間において、前記検査部に前記吐出部の状態を検査させることを特徴とする。
本態様によれば、前記第2領域に前記画像が形成される構成に比べて、前記媒体に前記画像を形成する画像形成処理と、前記検査部による前記吐出部の状態の検査処理とに要する合計の時間が短くなるので、前記液体吐出装置における前記媒体への画像形成のスループットを上げることができる。
【0021】
第12の態様に係る液体吐出装置の制御方法は、搬送部によって搬送される媒体に液体を吐出することで画像を形成する吐出部と、前記吐出部から前記液体が吐出された前記媒体に対して、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の貫通孔を形成する孔形成部と、画像データに基づいて前記吐出部における前記液体の単位面積当たりの吐出量を制御する制御部と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、前記複数の貫通孔が前記媒体に形成される場合に、前記媒体において前記画像データに基づく画像が形成される領域を前記複数の貫通孔を含まない第1領域と、前記複数の貫通孔を含む第2領域とに区分する工程と、前記第2領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第2吐出量が、前記第1領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第1吐出量よりも少なくなるように、前記吐出部における前記液体の吐出量を制御する工程と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、第1の態様に係る液体吐出装置と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0022】
第13の態様に係る液体吐出装置の制御プログラムは、搬送部によって搬送される媒体に液体を吐出することで画像を形成する吐出部と、前記吐出部から前記液体が吐出された前記媒体に対して、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の貫通孔を形成する孔形成部と、画像データに基づいて前記吐出部における前記液体の単位面積当たりの吐出量を制御する制御部と、を備える液体吐出装置の制御プログラムであって、前記複数の貫通孔が前記媒体に形成される場合に、前記媒体において前記画像データに基づく画像が形成される領域を前記複数の貫通孔を含まない第1領域と、前記複数の貫通孔を含む第2領域とに区分するステップと、前記第2領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第2吐出量が、前記第1領域に画像を形成する場合の単位面積当たりの第1吐出量よりも少なくなるように、前記吐出部における前記液体の吐出量を制御するステップと、をコンピューターに実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
本態様によれば、第1の態様に係る液体吐出装置と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0023】
[実施形態1]
以下、本発明に係る液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法及び液体吐出装置の制御プログラムの一例である実施形態1の各構成について、具体的に説明する。
図1には、液体吐出装置の一例である記録システム1が示される。記録システム1は、媒体の一例である用紙Pに対し、液体の一例であるインクQを吐出することで記録を行うインクジェット方式の装置として構成される。
【0024】
各図において表すX-Y-Z座標系では、X方向が装置幅方向であり、Y方向が装置奥行き方向であり、Z方向が装置高さ方向である。X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交する。Y方向は、用紙Pの幅方向の一例である。
記録システム1を正面から見て、装置幅方向における中央に対して左と右を区別する場合、左を+X方向とし、右を-X方向とする。装置奥行き方向における中央に対して手前と奥を区別する場合、手前を+Y方向とし、奥を-Y方向とする。装置高さ方向における中央に対して上と下とを区別する場合、上を+Z方向とし、下を-Z方向とする。
【0025】
記録システム1は、+X方向に向かって順に、記録ユニット2と、中間ユニット4と、後処理ユニット30とを有する。なお、記録システム1では、記録ユニット2、中間ユニット4及び後処理ユニット30が互いに機械的及び電気的に接続される。中間ユニット4は、記録ユニット2から送り込まれた用紙Pを後処理ユニット30へ搬送する。以後の説明では、用紙Pの搬送方向をT方向とし、矢印Tで図示する。なお、T方向は一定ではなく、搬送経路Kにおける用紙Pの位置によって水平方向に対する角度が変わる。
【0026】
記録システム1は、後述する画像形成部10において情報が記録された用紙Pに後述する後処理を行うように構成される。
また、記録システム1は、ユーザーによって設定、操作される設定部13及び操作部15(
図2)と、記録システム1の各種の情報が表示される表示部17(
図2)とを備えていてもよい。本実施形態では、一例として、設定部13、操作部15及び表示部17が、記録ユニット2に設けられる。
【0027】
設定部13、操作部15及び表示部17は、一例として、不図示の1つのタッチパネルから成り、記録システム1の各部の操作を実行可能に構成されると共に、各種の操作パラメーターを設定可能に構成されてもよい。操作パラメーターは、タッチパネルに表示される。
表示部17は、タッチパネルにおいて後述するデータテーブルDT(
図6)を表示可能で、且つ後述する第2寸法L2b(
図4)をデータテーブルDTから選択可能に構成されてもよい。
【0028】
設定部13と操作部15は、一例として、既述のタッチパネルにおいて異なる領域に表示されたボタンで構成される。なお、設定部13と操作部15が同じボタンで設定、操作されてもよい。設定部13では、ボタンがユーザーによって操作されることで、後述する第2吐出量d2(
図5)を設定可能でもよい。
操作部15では、ボタンがユーザーによって操作されることで、後述する第2寸法L2bが設定可能でもよい。
【0029】
記録ユニット2は、搬送される用紙Pに各種の情報を記録する。用紙Pは、シート状に形成される。また、記録ユニット2は、画像形成部10と、スキャナー部12と、カセット収容部14と、電源16とを備える。画像形成部10は、一例として、記録ヘッド20と、制御部24と、搬送部28(
図2)とを含んで構成される。
【0030】
記録ヘッド20は、一例として、ラインヘッドとして構成される。また、記録ヘッド20は、不図示の複数のノズルから成る吐出部22を備える。
吐出部22は、搬送される用紙PにインクQを吐出することで画像を形成する。吐出部22には、一例として、ノズル検査部23(
図2)が設けられていてもよい。
ノズル検査部23は、吐出部22の状態を検査する検査部の一例である。具体的には、ノズル検査部23は、吐出部22からインクQが吐出された場合、不図示の圧力室の内部の残留振動で得られる微振動波形である非吐出波形に基づいて、ノズルの状態を検査する。ノズルの状態とは、例えば、ノズルの内部におけるインクQの粘度の変化状態を意味する。換言すると、ノズルの状態の検査では、ノズルの内部におけるインクQの詰まり状態が検査される。また、ノズルの状態として、用紙P等の紙粉が付着しているか否かの状態を検査してもよい。
【0031】
図2に示されるように、制御部24は、コンピューターとして機能するCPU(Central Processing Unit)25と、メモリー26と、各時点に基づいて時間又は時刻を計時可能なタイマー27と、不図示のストレージとを備える。また、制御部24は、記録システム1の各部における各種の動作を制御する。制御部24による制御には、後述するパンチ部40の動作の制御が含まれる。さらに、制御部24は、画像Gの画像データDG(
図7)に基づいて、吐出部22における用紙Pの単位面積当たりのインクQの吐出量d〔リットル/平方メートル〕を制御する。吐出量dの例として、後述する第1吐出量d1と第2吐出量d2(
図5)がある。
【0032】
メモリー26には、CPU25が実行するプログラムPRを含む各種データが格納されている。換言すると、メモリー26は、コンピューターにおいて読み取り可能なプログラムPRが格納された記録媒体の一例である。記録媒体の他の例としては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどがある。また、メモリー26の一部において、プログラムPRの展開が可能である。
プログラムPRは、記録システム1における後述する各ステップをCPU25に実行させるためのプログラムである。
また、メモリー26は、記憶部の一例であり、データテーブルDT(
図6)を記憶する。
【0033】
搬送部28は、記録システム1の全体に設けられており、後述する搬送経路19(
図1)から搬送経路K(
図1)までにおいて用紙Pを搬送する。また、搬送部28は、後述する第1ローラー対54及び第2ローラー対57(
図3)を含む複数のローラー対と、複数のローラー対を回転駆動させる不図示の複数のモーターとを含んで構成される。搬送部28による用紙Pの搬送動作は、制御部24によって制御される。
【0034】
図1に示されるように、スキャナー部12は、不図示の原稿の情報を読み取る。スキャナー部12において読み取られた原稿の画像データは、制御部24において画像解析が可能である。この画像解析において、後述する貫通孔A(
図4)を識別可能である。
カセット収容部14は、複数の用紙Pを収容する複数の収容カセット18を有する。画像形成部10及びカセット収容部14には、用紙Pが搬送される搬送経路19が形成される。搬送経路19において、用紙Pは、収容カセット18から記録ヘッド20の記録領域へ搬送され、さらに、該記録領域から中間ユニット4を経て後処理ユニット30へ搬送される。
【0035】
後処理ユニット30は、後処理装置の一例であり、筐体32と、パンチ部40と、変更部50と、画像読取部60と、ステープル部62とを備える。筐体32の内部には、搬送経路Kが形成される。中間ユニット4から受け入れた用紙Pは、搬送経路Kに沿って搬送され、排出トレイ33に排出される。また、後処理ユニット30は、用紙Pに対して後処理を行う。本実施形態では、後処理の例として、パンチ部40において用紙Pに貫通孔A(
図4)を形成するパンチ処理と、ステープル部62において用紙Pを必要数まとめて綴じるステープル処理とがある。
【0036】
パンチ部40は、搬送経路KのT方向において、後述する用紙センサー52よりも下流且つステープル部62よりも上流に位置する。また、パンチ部40は、一例として、筐体32のZ方向の中央より-Z方向に位置する部位である下部34に設けられる。なお、搬送経路Kの一部で且つパンチ部40と対向する部位は、一例として、X方向に沿う。
【0037】
図3に示されるように、パンチ部40は、孔形成部の一例であり、ポンチ42と、ポンチ42を支持する支持部44と、用紙Pが載るダイ46とを備える。
ポンチ42は、中心軸がZ方向に沿う円筒状に形成される。ポンチ42の-Z方向の端部には、不図示の刃部が形成される。また、ポンチ42は、一例として、2本設けられる。2本のポンチ42は、Y方向に間隔をあけて並ぶ。
支持部44は、搬送経路Kに対して+Z方向に配置され、2本のポンチ42をZ方向に伸縮可能に支持する。支持部44には、不図示のモーターが設けられる。該モーターは、2本のポンチ42をZ方向に駆動する。
【0038】
ダイ46は、搬送経路Kに対して-Z方向に配置される。ダイ46は、用紙Pの一部が載置される上面46Aを有する。また、ダイ46には、不図示の穴部が形成される。該穴部の大きさ及び深さは、用紙Pを貫通した2本のポンチ42が進入可能な大きさ及び深さに設定される。上面46Aに用紙Pの一部が載置された状態において、2本のポンチ42が-Z方向に移動されながら用紙Pの一部を貫通することで、用紙Pに2つの貫通孔Aが形成される。
このように、パンチ部40は、吐出部22からインクQが吐出された用紙Pに対して、用紙PのT方向と交差するY方向に並ぶ2つの貫通孔Aを形成する。具体的には、パンチ部40は、用紙Pにおいて吐出部22から吐出されたインクQが未乾燥の状態において、用紙Pに2つの貫通孔Aを形成してもよい。換言すると、制御部24は、吐出部22から用紙Pに吐出されたインクQが未乾燥の状態のまま、用紙Pに貫通孔Aが形成されるように、搬送部28に用紙Pを搬送させる。
インクQが未乾燥の状態とは、画像Gが形成された後の用紙Pの含水分〔質量%〕が、画像Gの形成前の用紙Pの含水分〔質量%〕以上ある状態を意味する。なお、本実施形態において、インクQが未乾燥の状態となるのは、一例として、吐出部22からインクQの吐出が開始されてから、用紙Pがパンチ部40と対向するまでの時間が6〔秒〕以内の場合である。
【0039】
変更部50が、後処理ユニット30(
図1)に設けられてもよい。また、変更部50は、パンチ部40に搬送される用紙PのT方向の位置を変更可能に構成されてもよい。具体的には、変更部50は、一例として、用紙センサー52と、第1ローラー対54と、第2ローラー対57とを備える。
用紙センサー52は、T方向において第2ローラー対57よりも上流に設けられる。用紙センサー52は、一例として、搬送経路Kより+Z方向に位置する出射部52Aと、搬送経路Kより-Z方向に位置する受光部52Bとを備える。そして、用紙センサー52は、出射部52Aからの光が受光部52Bにおいて受光されたか否かを判定することで、用紙センサー52における用紙Pの通過時点を検出する。
【0040】
第1ローラー対54は、T方向においてパンチ部40よりも下流に位置する。また、第1ローラー対54は、中心軸の方向がY方向に沿ったローラー54A及びローラー54Bを有する。ローラー54A及びローラー54Bは、駆動ローラーであり、不図示のモーターによって回転駆動される。ローラー54A及びローラー54Bは、用紙PをZ方向に挟むと共に回転されることで用紙Pを搬送する。
第2ローラー対57は、T方向において用紙センサー52よりも下流で且つパンチ部40よりも上流に位置する。また、第2ローラー対57は、中心軸の方向がY方向に沿ったローラー57A及びローラー57Bを有する。ローラー57A及びローラー57Bは、用紙PをZ方向に挟むと共に、用紙Pの移動に伴って回転される従動ローラーである。
【0041】
T方向において、第1ローラー対54が用紙Pの+T方向の一端部を挟み、第2ローラー対57が用紙Pの-T方向の他端部を挟むように、第1ローラー対54の位置と第2ローラー対57の位置が決まっている。これにより、用紙Pは、第1ローラー対54と第2ローラー対57との間で張力を受けた状態において、パンチ部40により貫通孔Aが形成される。また、用紙PのT方向における先端位置は、第1ローラー対54及び第2ローラー対57の回転及び停止によって変更が可能である。
【0042】
図1に示されるように、画像読取部60は、T方向において第1ローラー対54よりも下流に配置される。また、画像読取部60は、一例として、密着型イメージセンサーモジュール(CISM)として構成される。画像読取部60は、用紙Pの両面の画像を読み取り可能である。画像読取部60において読み取られた画像データは、制御部24に送られる。制御部24は、得られた画像データに基づいて画像解析することで、用紙Pにおける画像の位置及び2つの貫通孔Aの位置を検出する。また、制御部24は、予め設定された2つの貫通孔Aの位置と、画像解析によって得られた2つの貫通孔Aの位置との差を求めることで、パンチ部40と対向される用紙Pの位置の補正データ量を取得する。
ステープル部62は、搬送経路Kの終端において積層された複数枚の用紙Pに不図示のステープルを打針することで用紙束Mを形成する。
【0043】
図4に示されるように、用紙Pにおいて、画像データDGに基づく画像G(
図7)が形成される領域を領域Sとする。領域Sは、仮想の領域であり、Z方向から見て、Y方向の寸法がT方向の寸法よりも大きい矩形状に設定される。領域SのT方向の寸法Lt〔mm〕とし、領域SのY方向の寸法Ly〔mm〕とする。本実施形態では、一例として、領域Sが、用紙Pの外縁部を除いた領域として制御部24(
図2)に設定される。
【0044】
制御部24は、2つの貫通孔Aが用紙Pに形成される場合、領域SをT方向に第1領域S1と第2領域S2とに区分する。具体的には、制御部24は、第2領域S2のT方向の寸法が、操作部15(
図2)において設定され又はメモリー26(
図2)に予め記憶された設定寸法L2〔mm〕となるように、T方向において、領域Sを第1領域S1と第2領域S2とに区分する。このように、設定寸法L2は、第2領域S2のT方向の寸法の一例であり、操作部15において設定可能である。
【0045】
第1領域S1は、画像G(
図7)が形成される領域であり且つ2つの貫通孔Aを含まない領域である。また、第1領域S1は、T方向の寸法L1〔mm〕、Y方向の寸法Ly〔mm〕の領域である。L1=Lt-L2である。
第2領域S2は、第1領域S1とT方向に並び且つ2つの貫通孔Aを含む領域である。なお、本実施形態では、第2領域S2がT方向において第1領域S1よりも上流に位置する。また、第2領域S2は、既述の通り、Y方向の寸法がLy、T方向の寸法が設定寸法L2の領域である。換言すると、第2領域S2は、画像データDGのY方向の全幅に対応する帯状の領域である。
制御部24では、第2領域S2のY方向の寸法Lyが第2領域S2のT方向の設定寸法L2よりも大きい寸法となるように、予め寸法Ly及び設定寸法L2が設定される。
【0046】
本実施形態では、設定寸法L2について、予め制御部24のメモリー26が記憶する寸法を第1寸法L2aとし、操作部15において設定された寸法を第2寸法L2bとして区別する。なお、設定寸法L2は、一例として、貫通孔Aの直径に不図示の誤差ΔL〔mm〕を加えた大きさの寸法であり、2つの貫通孔Aの全体が第2領域S2内に収まるように設定される。誤差ΔLは、貫通孔Aを形成する予定の位置に対して想定されるポンチ42(
図3)の位置ずれ量に基づいて設定される。
【0047】
図7に示されるように、画像データDGに基づく画像Gは、一例として、領域Sの全体に形成される。また、画像Gは、一例として、主画像部GAと、主画像部GAの周りの背景部GBとで構成される。主画像部GAは、一例として、黒色以外の色で表されたアルファベットのAの画像で構成される。背景部GBは、一例として、全体が黒色に塗られた画像である。なお、
図7では、背景部GBが黒塗りではなく、斜線で示される。
【0048】
図5に示されるように、第1領域S1に画像Gを形成する場合において、吐出部22から用紙Pに向けて吐出されるインクQの単位面積当たりの吐出量dを第1吐出量d1とする。また、第2領域S2に画像Gを形成する場合において、吐出部22から用紙Pに向けて吐出されるインクQの単位面積当たりの吐出量dを第2吐出量d2とする。
ここで、制御部24(
図2)は、第2吐出量d2が第1吐出量d1よりも少なくなるように、吐出部22におけるインクQの吐出量dを制御する。また、制御部24は、第2領域S2における吐出量dが、設定部13(
図2)において設定された第2吐出量d2となるように、吐出部22からのインクQの吐出を制御する。なお、本実施形態において、第2吐出量d2はゼロを含む。また、第2領域S2における吐出量dを少なくする制御は、画像Gに依存する吐出量dが当該制御前に閾値以上の場合に行ってもよいし、吐出量dに係わらず一律に行ってもよい。
【0049】
図6に示されるように、メモリー26(
図2)は、データテーブルDTにおいて、用紙Pの厚さである紙厚データと、紙厚データに対応する第1吐出量d1及び第2吐出量d2のデータとを記憶してもよい。
データテーブルDTでは、紙厚〔mm〕がT1の場合にd1=da、d2=dbが設定される。紙厚〔mm〕がT2の場合には、d1=dc、d2=ddが設定される。紙厚〔mm〕がT3の場合には、d1=de、d2=dfが設定される。ここで、T1<T2<T3である。また、一例として、db<dd<df<da<dc<deである。
【0050】
制御部24による制御について、さらに具体的に説明する。なお、記録システム1について、既に説明した構成については、
図1から
図5までを参照することとし、個別の図番の記載を省略する。
制御部24は、領域Sにおいて、画像データDGに基づいて吐出部22にインクQを吐出させることで画像Gを形成させる。
【0051】
図8に示されるように、一例として、画像Gの形成が行われた後で且つ貫通孔Aが形成される前の用紙Pにおいて、第2領域S2に対応する部分の画像Gの第2画像濃度は、第1領域S1に対応する部分の画像Gの第1画像濃度よりも低くなっている。これは、第2吐出量d2が第1吐出量よりも少ないためである。なお、画像濃度は、画像密度と相関がある。
【0052】
また、制御部24は、吐出部22と用紙Pの第2領域S2とが対向する時間において、第2領域S2にインクQが吐出されない場合に限り、ノズル検査部23に吐出部22の状態を検査させる。吐出部22の状態とは、既述の通り、ノズルの内部におけるインクQの詰まり状態である。なお、第2領域S2に吐出されるインクQのデューティーが予め設定されたデューティーよりも低い場合は、ノズル検査部23に吐出部22の状態を検査させることが可能である。
【0053】
次に、実施形態1の記録システム1の作用について説明する。なお、記録システム1を構成する各部及び各画像、各領域については、
図1から
図8までを参照するものとして、個別の図番の記載を省略する。
図9は、制御部24による操作部15の情報取得から用紙Pが排出されるまでの各処理の流れを表すフローチャートである。
図9に表す各処理は、CPU25がメモリー26からプログラムPRを読み出し且つ展開して実行することにより行われる。
【0054】
ステップS10において、CPU25は、操作部15から第2寸法L2bの情報を取得する。そして、ステップS12に移行する。
ステップS12において、CPU25は、操作部15において第2寸法L2bの情報が入力されていない場合、即ち、第2寸法L2bが設定されていない場合(S12:Yes)、ステップS14に移行する。操作部15において第2寸法L2bの情報が入力されている場合(S12:No)、ステップS16に移行する。
【0055】
ステップS14において、CPU25は、記憶済の第1寸法L2aを第2領域S2のT方向の設定寸法L2として設定する。そして、ステップS18に移行する。
ステップS16において、CPU25は、操作部15において入力された第2寸法L2bを設定寸法L2として設定する。そして、ステップS18に移行する。
ステップS18において、CPU25は、第2領域S2のT方向の寸法が設定寸法L2となるように、領域Sを第1領域S1と第2領域S2とに区分する(区分工程の一例)。そして、ステップS20に移行する。
【0056】
ステップS20において、CPU25は、画像データDGを取得する。画像データDGの取得は、スキャナー部12における原稿の読み取りによる取得だけでなく、記録システム1とは異なる外部装置からの取得であってもよい。そして、ステップS22に移行する。
ステップS22において、CPU25は、領域Sに画像データDGを当てはめる。つまり、CPU25は、領域Sのどの部分に画像データDGのどの部分が位置するかを確認する。第2領域S2に画像データDGの一部が存在する場合(S22:Yes)、ステップS28に移行する。第2領域S2に画像データDGの一部が存在しない場合(S22:No)、ステップS30に移行する。
【0057】
ステップS28において、CPU25は、第2領域S2の第2吐出量d2が、第1領域S1の第1吐出量d1よりも少なくなるように、吐出部22におけるインクQの吐出量を制御する(吐出量制御工程の一例)。つまり、第2吐出量d2が第1吐出量d1よりも減少された値で設定される。そして、ステップS30に移行する。
ステップS30において、CPU25は、搬送部28の動作を開始させることで、カセット収容部14からの用紙Pの搬送を開始させる。そして、ステップS32に移行する。
ステップS32において、CPU25は、吐出部22から第1領域S1ではインクQを第1吐出量d1で吐出させ、第2領域S2ではインクQを第2吐出量d2で吐出させる。これにより、第1領域S1の画像Gの画像濃度に比べて、第2領域S2の画像Gの画像濃度が低下する。そして、ステップS38に移行する。
【0058】
ステップS38において、CPU25は、搬送部28を一旦停止させた状態で、パンチ部40を動作させることで、用紙Pの第2領域S2内に2つの貫通孔Aを形成させる。そして、ステップS40に移行する。
ステップS40において、CPU25は、搬送部28を動作させることで用紙Pを搬送させ、用紙Pを排出トレイ33に排出させる。そして、プログラムPRを終了する。なお、他の用紙Pに画像G及び貫通孔Aの少なくとも一方を形成させる場合、改めてプログラムPRが実行される。
【0059】
以上、説明した通り、記録システム1によれば、用紙Pの第1領域S1では、画像データDGに基づいて吐出部22からインクQが第1吐出量d1で吐出されることで、画像Gの一部が形成される。
一方、用紙Pの第2領域S2では、インクQの単位面積当たりの吐出量dが第2吐出量d2とされることで、第1領域S1における第1吐出量d1よりも少なくなる。つまり、第2領域S2では、第2領域S2に形成される画像Gの画像濃度が、第1領域S1に形成される画像Gの画像濃度よりも低下する。これにより、第2領域S2に貫通孔Aが形成された場合、貫通孔Aによる画像Gの欠損部分と第2領域S2の画像Gとの画像濃度の差が、第1領域S1に貫通孔Aを形成した場合に比べて小さくなるので、2つの貫通孔Aの位置ずれが目立つことを抑制できる。
さらに、記録システム1によれば、第2吐出量d2をゼロに設定しない場合、画像データDGのうち第2領域S2に対応する画像データDGが、低い画像濃度であっても残存するので、欠損の少ない画像Gを得ることができる。
記録システム1の制御方法及び記録システム1の制御プログラムにおいても、同様の効果が得られる。
【0060】
なお、用紙PにインクQが吐出されることで用紙Pが膨張すると、用紙Pのコシが低下し、貫通孔Aを形成する場合、せん断不良が生じ易くなる。せん断不良が生じた場合、貫通孔Aが円形に空かずにいびつな形状となり、パンチ屑が、用紙Pから完全に離脱せずにポンチ42とダイ46との間に挟まり、ポンチ42が引っ掛かってしまう可能性がある。ここで、記録システム1では、インクQが、貫通孔A及び貫通孔Aの付近に少量しか吐出されないので、貫通孔Aの形状不良やポンチ42のジャムが回避され易い。
【0061】
記録システム1によれば、第2領域S2がY方向の全体に亘って設定されることになるので、Y方向の一部に第2領域S2を設定する構成に比べて、第2領域S2の画像Gの位置と貫通孔Aの位置とのずれを低減させる処理を行わずに済む。
また、記録システム1によれば、設定部13において第2吐出量d2を自由に設定することが可能となるので、ユーザーの志向に沿った第2領域S2の画像Gを得ることができる。
さらに、記録システム1によれば、データテーブルDTに用紙Pの厚さデータと第2吐出量d2のデータとが記憶されているので、記録システム1において用いられる用紙Pの厚さが変更された場合、用紙Pの厚さに合わせて、適切な第2吐出量d2のインクQを吐出部22から吐出させることができる。
【0062】
記録システム1によれば、パンチ部40の予め設定された設定位置に対するY方向の位置ずれが、パンチ部40の設定位置に対するT方向の位置ずれより顕著な構成であっても、第2領域S2がT方向に比べてY方向に長く形成されるので、2つの貫通孔Aが形成された場合、2つの貫通孔Aの位置ずれが目立つことを抑制できる。
また、記録システム1によれば、操作部15において第2領域S2のT方向の寸法を自由に設定することが可能となるので、ユーザーの志向に沿った第1領域S1の画像Gを得ることができる。
さらに、記録システム1によれば、パンチ部40がインクQが乾燥されるのを待ってから用紙Pに2つの貫通孔Aを形成する構成に比べて、吐出部22からインクQが吐出されてから用紙Pに2つの貫通孔Aが形成されるまでに要する時間が短くなるので、記録システム1における用紙Pへの画像形成のスループットを上げることができる。
【0063】
[実施形態2]
次に、本発明に係る液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法及び液体吐出装置の制御プログラムの一例である実施形態2の各構成について、具体的に説明する。なお、実施形態1と共通する部分及び方法については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0064】
図10に示されるように、実施形態2の記録システム1(
図1)では、用紙Pの画像形成可能な領域の大部分を占める第1領域S1と、第1領域S1の内側でT方向の上流部に位置する2つの第2領域S2とが設定される。
2つの第2領域S2は、一例として、それぞれ円形の領域として設定される。また、2つの第2領域S2は、Y方向に間隔をあけて並ぶ。第2領域S2の円の直径は、貫通孔Aの円の直径よりも大きい。貫通孔Aは、第2領域S2の内側に設定される。
【0065】
図12には、予め設定された第1領域S1及び第2領域S2が一点鎖線で示され、予め設定された貫通孔Aが二点鎖線で示される。さらに、実際に形成された第2領域S2及び貫通孔Aが実線で示される。貫通孔Aについて、予め設定された位置に対して実際の位置がずれているのは、ポンチ42(
図3)の位置が、組付け誤差などにより、設定された位置よりもY方向にずれているためである。
一例として、+Y方向の第2領域S2及び貫通孔Aは、設定された位置よりも+Y方向に長さL3〔mm〕ずれているものとする。-Y方向の第2領域S2及び貫通孔Aは、設定された位置よりも-Y方向に長さL3〔mm〕ずれているものとする。
【0066】
操作部15(
図2)は、用紙Pにおいて、第2領域S2の位置をY方向にずらすか否かを選択可能に構成されてもよい。また、操作部15は、第2領域S2のY方向のずらし量として、長さL3〔mm〕を貫通孔Aごとに設定可能とされてもよい。長さL3は、補正データとして制御部24に送信される。
制御部24(
図2)は、2つの第2領域S2のY方向の位置を補正するための補正データをそれぞれの貫通孔Aごとに入力可能とされ、入力された補正データに基づいて2つの第2領域S2のY方向の位置を補正する。
【0067】
図13及び
図2に示されるように、制御部24は、用紙PのT方向の位置を補正するための搬送補正データを入力可能とされており、入力された搬送補正データに基づいて変更部50を動作させることで、用紙PのT方向の位置を補正してもよい。搬送補正データは、一例として、操作部15から入力されるデータで且つT方向のずれ量である長さL4〔mm〕のデータである。なお、搬送補正データとして、操作部15から入力された搬送補正データに代えて、画像読取部60による画像解析から求められた搬送補正データを用いてもよい。
具体的には、パンチ部40と対向する状態における用紙Pの位置が、長さL4だけT方向の下流にずらされる。換言すると、2つの貫通孔Aの中心を結ぶ不図示の仮想線が、T方向に長さL4だけずれるように、用紙Pの位置がずらされる。
なお、他の構成については、実施形態1と同様である。
【0068】
図11に示されるように、実施形態2の記録システム1によって画像形成処理及び後処理された用紙Pでは、第2領域S2の画像Gの第2画像濃度が、第1領域S1の画像Gの第1画像濃度よりも低い。なお、
図11では、第2領域S2の第2画像濃度が第1領域S1の第1画像濃度よりも低い状態が、斜線の間隔を広げることで表される。
【0069】
次に、実施形態2の記録システム1の作用について説明する。なお、記録システム1を構成する各部及び各画像、各領域については、
図1から
図13までを参照するものとして、個別の図番の記載を省略する。
図14A及び
図14Bは、制御部24による操作部15の情報取得から用紙Pが排出されるまでの各処理の流れを表すフローチャートである。
図14A及び
図14Bに表す各処理は、CPU25がメモリー26からプログラムPRを読み出し且つ展開して実行することにより行われる。なお、実施形態1と同様のステップについては、実施形態1と同一符号を付して説明を省略する。
【0070】
ステップS10の処理後、ステップS18に移行し、ステップS18及びステップS20を実行する。そして、ステップS22に移行する。
ステップS22において、CPU25は、領域Sに画像データDGを当てはめる。つまり、CPU25は、領域Sのどの部分に画像データDGのどの部分が位置するかを確認する。第2領域S2に画像データDGの一部が存在する場合(S22:Yes)、ステップS24に移行する。第2領域S2に画像データDGの一部が存在しない場合(S22:No)、ステップS30に移行する。
【0071】
ステップS24において、CPU25は、操作部15の情報に基づいて、第2領域S2のY方向の位置を補正するか否かを判断する。つまり、操作部15において第2領域S2のY方向の位置の補正が設定されていた場合、CPU25は、第2領域S2のY方向の位置を補正すると判断する。一方、操作部15において第2領域S2のY方向の位置の補正が設定されていない場合、CPU25は、第2領域S2のY方向の位置を補正しないと判断する。第2領域S2のY方向の位置の補正を行わない場合(S24:Yes)、ステップS28に移行する。第2領域S2のY方向の位置の補正を行う場合(S24:No)、ステップS26に移行する。
【0072】
ステップS26において、CPU25は、操作部15から取得した補正データとしての長さL3をずらし量として設定し、+Y方向の第2領域S2の位置を+Y方向に変更し、-Y方向の第2領域S2の位置を-Y方向に変更する。つまり、用紙Pにおいて第2領域S2に相当する部分の位置が、設定位置に対してY方向にずれることになる。そして、ステップS28に移行し、ステップS28、ステップS30及びステップS32の各処理を行った後、ステップS34に移行する。
【0073】
ステップS34において、CPU25は、パンチ部40における用紙Pの位置補正の有無を確認する。一例として、CPU25は、操作部15から用紙Pの位置補正の有無の情報及び搬送補正データとしての長さL4の情報を取得する。用紙Pの位置補正が有りの場合(S34:Yes)、ステップS36に移行する。用紙Pの位置補正が無しの場合(S34:No)、ステップS38に移行する。
【0074】
ステップS36において、CPU25は、パンチ部40に搬送された用紙PのT方向の位置を補正する。具体的には、CPU25は、第1ローラー対54及び第2ローラー対57による用紙Pの搬送速度が一定であるとして、用紙センサー52において用紙PのT方向の下流端が検知されてから用紙Pの搬送が停止されるまでの経過時間を変更することで、パンチ部40と対向する用紙PのT方向の位置を長さL4だけ補正する。そして、ステップS38に移行する。
ステップS38において第2領域S2に貫通孔Aが形成された後、ステップS40が実行され、用紙Pが排出される。そして、プログラムPRが終了する。
【0075】
以上、説明した通り、実施形態2の記録システム1によれば、第2領域S2のY方向の位置が貫通孔Aごとに補正されることで、2つの貫通孔Aが形成された場合、2つの貫通孔AのY方向の位置ずれが目立つことをさらに抑制できる。
また、記録システム1によれば、変更部50は、制御部24に入力された補正データに基づいて、用紙PのT方向の位置を補正する。これにより、T方向において、2つの貫通孔Aに対する画像Gの位置ずれを一律に補正できる。
【0076】
[第3実施形態]
次に、本発明に係る液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法及び液体吐出装置の制御プログラムの一例である実施形態3の各構成について、具体的に説明する。なお、実施形態1及び実施形態2と共通する部分及び方法については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0077】
図15に示されるように、実施形態3の記録システム1(
図1)では、実施形態2と同様に第1領域S1と第2領域S2が設定及び位置補正可能に構成される。
実施形態2との相違点として、制御部24は、第1領域S1において吐出部22からインクQを吐出させ、第2領域S2において吐出部22からインクQを吐出させない。換言すると、第2吐出量がゼロに設定される。
画像Gが形成された後の用紙Pでは、第2領域S2に対応する部分の画像Gは形成されず、第1領域S1に対応する部分の画像Gが形成される。このため、貫通孔Aが形成される前の状態において、第2領域S2にはインクQが付着していない。
また、制御部24は、吐出部22と用紙Pの第2領域S2とが対向する時間において、ノズル検査部23に吐出部22の詰まり状態を検査させる。
【0078】
次に、実施形態3の記録システム1の作用について説明する。なお、記録システム1を構成する各部については、
図1から
図3までを参照するものとして、個別の図番の記載を省略する。
記録システム1によれば、用紙Pの第1領域S1では、画像データDGに基づいて吐出部22からインクQが吐出されることで、画像Gの一部が形成される。
一方、用紙Pの第2領域S2ではインクQが吐出されないことで、第2領域S2に形成される画像Gの第2画像濃度が、第1領域S1に形成される画像Gの第1画像濃度よりも低下しゼロとなる。これにより、第2領域S2に貫通孔Aが形成された場合、貫通孔Aによる画像Gの欠損部分と第2領域S2の画像Gとの濃度差が、第1領域S1に貫通孔Aを形成した場合に比べて小さくなるので、2つの貫通孔Aの位置ずれが目立つことを抑制できる。
また、記録システム1によれば、第2領域S2に画像Gが形成される構成に比べて、用紙Pに画像Gを形成する画像形成処理と、ノズル検査部23による吐出部22の詰まり状態の検査処理とに要する合計の時間が短くなるので、記録システム1における用紙Pへの画像形成のスループットを上げることができる。
【0079】
本発明の実施形態に係る記録システム1、記録システム1の制御方法及び記録システム1の制御プログラムは、以上のべたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0080】
図16に示されるように、用紙Pにおいて、第2領域S2がT方向において第1領域S1よりも下流に位置してもよい。この場合、パンチ部40が第1ローラー対54に隣り合う位置に配置されればよい。
【0081】
記録システム1において、設定部13を設けずに、メモリー26に予め第2吐出量を記憶させてもよい。メモリー26は、データテーブルDTにおいて、用紙Pの厚さデータに代えて、用紙Pの外形寸法データや用紙Pの紙種をパラメーターとして記憶してもよい。データテーブルDTの値は、
図6に示された値以外の値で設定されてもよい。
第2領域S2のT方向の寸法がY方向の寸法よりも大きくてもよい。操作部15を設けずに、メモリー26に予め設定寸法L2を記憶させてもよい。変更部50は、ローラー対に限らず、例えば、無端ベルトとローラーの組合せであってもよい。記録システム1に送風部を設けて、用紙PのインクQを乾燥させてもよい。
補正データ及び搬送補正データは、操作部15から入力されるデータに限らず、記録システム1とは異なる外部装置から入力されるデータや、あるいは、メモリー26に予め記憶されているデータであってもよい。
【0082】
記録システム1において、未乾燥の定義として、時間を6〔秒〕ではなく、3〔秒〕以内、より好ましくは2〔秒〕以内に設定するとよい。また、未乾燥の定義として、吐出部22からインクQの吐出が開始されてから、用紙Pがパンチ部40と対向するまでの時間が6〔秒〕以上となる時間で定義してもよい。
制御部24は、吐出部22と用紙Pの第2領域S2とが対向する時間において、ノズル検査部23に吐出部22の状態を検査させなくてもよい。記録システム1において、ノズル検査部23による検査の間に、後続する用紙Pに対してインクQを吐出してもよい。つまり、2枚目以降の用紙Pの画像形成を開始してもよい。
【0083】
媒体は、用紙Pに限らず、フィルムや布などであってもよい。
貫通孔Aの数は、2つに限らず、3つ以上でもよい。そして、第2領域S2の数は、1つ又は2つに限らず、3つ以上でもよい。
設定寸法L2を紙厚に応じて切り替える場合の方法としては、制御部24が画像データDGのY方向の寸法を決定する方法、制御部24が、ユーザーが指定できる寸法の幅を制限する方法、制御部24がユーザーに好ましい寸法を提案する方法、画像GのT方向の位置の変更だけでなく、該位置の変更と画像データDGの除去とを併用するか否かを切り替える方法がある。
なお、補正データ及び搬送補正データとして、操作部15から入力されたものや、画像読取部60によって得られたものだけでなく、スキャナー部12において読み取られた原稿に基づいて設定されるものであってもよい。
T方向に比べてY方向に長く形成される第2領域S2の例として、帯状即ち矩形状の第2領域S2に限らず、例えば、Y方向を長軸方向としT方向を短軸方向とする楕円形の第2領域S2であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…記録システム、2…記録ユニット、4…中間ユニット、10…画像形成部、
12…スキャナー部、13…設定部、14…カセット収容部、15…操作部、
16…電源、17…表示部、18…収容カセット、19…搬送経路、20…記録ヘッド、
22…吐出部、23…ノズル検査部、24…制御部、25…CPU、26…メモリー、
27…タイマー、28…搬送部、30…後処理ユニット、32…筐体、33…排出トレイ、
34…下部、40…パンチ部、42…ポンチ、44…支持部、46…ダイ、46A…上面、
50…変更部、52…用紙センサー、52A…出射部、52B…受光部、
54…第1ローラー対、54A…ローラー、54B…ローラー、57…第2ローラー対、
57A…ローラー、57B…ローラー、60…画像読取部、62…ステープル部、
A…貫通孔、d1…第1吐出量、d2…第2吐出量、DG…画像データ、
DT…データテーブル、G…画像、GA…主画像部、GB…背景部、K…搬送経路、
L1…寸法L、L2…設定寸法、L2a…第1寸法、L2b…第2寸法、L3…長さ、
L4…長さ、M…用紙束、P…用紙、Q…インク、S…領域、S1…第1領域、
S2…第2領域、T1…紙厚、T2…紙厚、T3…紙厚