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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】駆動力伝達機構及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
G03G21/16 180
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020159392
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022052883
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 優海
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-126152(JP,A)
【文献】特開平10-254327(JP,A)
【文献】特開2014-191105(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0136492(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00-29/70
G03G 13/00
15/00
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して着脱可能な被装着体へ前記装置本体から駆動力を伝達する駆動力伝達手段と、
前記装置本体に前記被装着体を着脱する際、前記被装着体の着脱方向と交差する方向に沿って前記駆動力伝達手段を移動させるよう互いに連動し、前記装置本体から前記被装着体へ前記駆動力を伝達可又は不可に操作する複数の操作手段と、
を備え、
前記複数の操作手段は、前記被装着体の離脱に先立って前記装置本体から前記被装着体を離脱させる方向に移動され、前記駆動力伝達手段を前記装置本体から前記被装着体へ前記駆動力を伝達不可に操作する第1の操作手段と、
前記第1の操作手段より時間差をもって前記装置本体から前記被装着体を離脱させる方向に移動され、前記駆動力伝達手段を、前記駆動力を伝達不可な位置から前記駆動力を伝達可とする位置へと移動させる第2の操作手段とを有する駆動力伝達機構。
【請求項2】
前記複数の操作手段は、前記装置本体へ前記被装着体を装着させる方向に操作する際、前記駆動力を伝達不可な状態を経て前記駆動力を伝達に操作する請求項1に記載の駆動力伝達機構。
【請求項3】
装置本体に対して着脱可能な被装着体へ前記装置本体から駆動力を伝達する駆動力伝達手段と、
前記装置本体に前記被装着体を着脱する際、前記被装着体の着脱方向と交差する方向に沿って前記駆動力伝達手段を移動させるよう互いに連動し、前記装置本体から前記被装着体へ前記駆動力を伝達可又は不可に操作する複数の操作手段と、
を備え、
前記複数の操作手段は、前記被装着体の着脱方向に沿って移動可能な第1の操作部材と、前記第1の操作部材により前記被装着体の着脱方向に沿って移動される第2の操作部材を備え、
前記第1の操作部材は、前記被装着体を前記装置本体から離脱する際、前記駆動力伝達手段を前記装置本体から前記被装着体へ駆動力を伝達不可とする位置へ移動させるとともに、
前記第2の操作部材は、前記駆動力伝達手段を、前記第1の操作部材により移動した前記駆動力を伝達不可な位置を経て、前記駆動力を伝達可とする位置へと移動させる駆動力伝達機構。
【請求項4】
前記第1の操作部材は、前記被装着体へ前記駆動力を伝達する方向に付勢された前記駆動力伝達手段を、前記駆動力を伝達不可とする位置へ移動させる第1の傾斜面を有する請求項3に記載の駆動力伝達機構。
【請求項5】
前記第2の操作部材は、前記被装着体へ前記駆動力を伝達する方向に付勢された前記駆動力伝達手段を、前記駆動力を伝達不可とする位置へ移動させる第2の傾斜面を有する請求項3に記載の駆動力伝達機構。
【請求項6】
前記第2の操作部材は前記第1の操作部材に連結され、前記被装着体の着脱方向に沿って予め定められた距離だけ遅れて前記第1の操作部材に追従して移動するよう前記第1の操作部材に連結されている請求項3に記載の駆動力伝達機構。
【請求項7】
前記駆動力伝達手段は、前記装置本体側に設けられ駆動源により回転駆動される駆動歯車と、前記駆動歯車とともに回転し且つ前記被装着体の着脱方向と交差する方向に沿って移動可能に設けられた主カップリングと、前記主カップリングを前記被装着体に駆動力を伝達可能な方向へ付勢する付勢部材と、前記主カップリングを前記被装着体に駆動力を伝達不可な方向へ移動させるよう押動する摺動部材を備える請求項1に記載の駆動力伝達機構。
【請求項8】
装置本体と、
前記装置本体に着脱可能に設けられ、前記装置本体から駆動力が伝達されて駆動される中間転写ユニットと、
前記装置本体の駆動源から前記中間転写ユニットへ駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、
を備え、
前記駆動力伝達機構として請求項1乃至7のいずれかに記載の駆動力伝達機構を用いた画像形成装置。
【請求項9】
装置本体と、
前記装置本体に着脱可能に設けられ、前記装置本体から駆動力が伝達されて駆動される画像形成ユニットと、
前記装置本体の駆動源から前記画像形成ユニットへ駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、
を備え、
前記駆動力伝達機構として請求項1乃至7のいずれかに記載の駆動力伝達機構を用いた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駆動力伝達機構及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置等に用いられる駆動力伝達機構に関する技術としては、例えば、特許文献1乃至3等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、駆動入力軸に摺動自在に外挿され、駆動入力軸と共に回転して被回転部材に駆動力を伝達するカップリング部材と、カップリング部材を被回転部材側のカップリングと連結する第1の位置方向に付勢する付勢手段と、カップリング部材を第1の位置と、被回転部材との連結を解除して駆動入力軸方向に退避した第2の位置とに選択配置するカップリング切換手段と、を備えるよう構成したものである。
【0004】
特許文献2は、着脱可能なユニットを着脱するための操作力によって、駆動カップリングあるいは被駆動カップリングの少なくとも一方が、回転軸に対して傾き、他方への駆動伝達を解除する駆動伝達解除機構を有するよう構成したものである。
【0005】
特許文献3は、本体側カップリングは、その回転軸線方向に沿って移動可能であり、回転軸線方向のユニット側の端部の側面に、回転軸線方向においてユニット側から遠くなるにつれて拡径するように形成されたテーパ面を有し、ユニットは、ユニット側カップリングの回転軸線と交差する方向に沿って移動可能に設けられた解除部材であって、移動させられることで本体側カップリングのテーパ面と当接しテーパ面上を摺動して本体側カップリングをユニット側から退避させる解除部材を有するよう構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-350285号公報
【文献】特開2010-32742号公報
【文献】特開2016-126152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的は、本体側カップリングのテーパ面と当接しテーパ面上を摺動して本体側カップリングをユニット側から退避させる解除部材を有するよう構成した場合に比べて、簡単な構成で駆動力の伝達及び解除を確実に行うことを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明は、装置本体に対して着脱可能な被装着体へ前記装置本体から駆動力を伝達する駆動力伝達手段と、
前記装置本体に前記被装着体を着脱する際、前記被装着体の着脱方向と交差する方向に沿って前記駆動力伝達手段を移動させるよう互いに連動し、前記装置本体から前記被装着体へ前記駆動力を伝達可又は不可に操作する複数の操作手段と、
を備え、
前記複数の操作手段は、前記被装着体の離脱に先立って前記装置本体から前記被装着体を離脱させる方向に移動され、前記駆動力伝達手段を前記装置本体から前記被装着体へ前記駆動力を伝達不可に操作する第1の操作手段と、
前記第1の操作手段より時間差をもって前記装置本体から前記被装着体を離脱させる方向に移動され、前記駆動力伝達手段を、前記駆動力を伝達不可な位置から前記駆動力を伝達可とする位置へと移動させる第2の操作手段とを有する駆動力伝達機構である。
【0010】
請求項2に記載された発明は、前記複数の操作手段は、前記装置本体へ前記被装着体を装着させる方向に操作する際、前記駆動力を伝達不可な状態を経て前記駆動力を伝達に操作する請求項1に記載の駆動力伝達機構である。
【0011】
請求項3に記載された発明は、装置本体に対して着脱可能な被装着体へ前記装置本体から駆動力を伝達する駆動力伝達手段と、
前記装置本体に前記被装着体を着脱する際、前記被装着体の着脱方向と交差する方向に沿って前記駆動力伝達手段を移動させるよう互いに連動し、前記装置本体から前記被装着体へ前記駆動力を伝達可又は不可に操作する複数の操作手段と、
を備え、
前記複数の操作手段は、前記被装着体の着脱方向に沿って移動可能な第1の操作部材と、前記第1の操作部材により前記被装着体の着脱方向に沿って移動される第2の操作部材を備え、
前記第1の操作部材は、前記被装着体を前記装置本体から離脱する際、前記駆動力伝達手段を前記装置本体から前記被装着体へ駆動力を伝達不可とする位置へ移動させるとともに、
前記第2の操作部材は、前記駆動力伝達手段を、前記第1の操作部材により移動した前記駆動力を伝達不可な位置を経て、前記駆動力を伝達可とする位置へと移動させる駆動力伝達機構である。
【0012】
請求項4に記載された発明は、前記第1の操作部材は、前記被装着体へ前記駆動力を伝達する方向に付勢された前記駆動力伝達手段を、前記駆動力を伝達不可とする位置へ移動させる第1の傾斜面を有する請求項3に記載の駆動力伝達機構である。
【0013】
請求項5に記載された発明は、前記第2の操作部材は、前記被装着体へ前記駆動力を伝達する方向に付勢された前記駆動力伝達手段を、前記駆動力を伝達不可とする位置へ移動させる第2の傾斜面を有する請求項3に記載の駆動力伝達機構である。
【0014】
請求項6に記載された発明は、前記第2の操作部材は前記第1の操作部材に連結され、前記被装着体の着脱方向に沿って予め定められた距離だけ遅れて前記第1の操作部材に追従して移動するよう前記第1の操作部材に連結されている請求項3に記載の駆動力伝達機構である。
【0015】
請求項7に記載された発明は、前記駆動力伝達手段は、前記装置本体側に設けられ駆動源により回転駆動される駆動歯車と、前記駆動歯車とともに回転し且つ前記被装着体の着脱方向と交差する方向に沿って移動可能に設けられた主カップリングと、前記主カップリングを前記被装着体に駆動力を伝達可能な方向へ付勢する付勢部材と、前記主カップリングを前記被装着体に駆動力を伝達不可な方向へ移動させるよう押動する摺動部材を備える請求項1に記載の駆動力伝達機構である。
【0016】
請求項8に記載された発明は、装置本体と、
前記装置本体に着脱可能に設けられ、前記装置本体から駆動力が伝達されて駆動される中間転写ユニットと、
前記装置本体の駆動源から前記中間転写ユニットへ駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、
を備え、
前記駆動力伝達機構として請求項1乃至7のいずれかに記載の駆動力伝達機構を用いた画像形成装置である。
【0017】
請求項9に記載された発明は、装置本体と、
前記装置本体に着脱可能に設けられ、前記装置本体から駆動力が伝達されて駆動される画像形成ユニットと、
前記装置本体の駆動源から前記画像形成ユニットへ駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、
を備え、
前記駆動力伝達機構として請求項1乃至7のいずれかに記載の駆動力伝達機構を用いた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載された発明によれば、本体側カップリングのテーパ面と当接しテーパ面上を摺動して本体側カップリングをユニット側から退避させる解除部材を有するよう構成した場合に比べて、簡単な構成で駆動力の伝達及び解除を確実に行うことができる。
【0019】
請求項1に記載された発明によれば、複数の操作手段は、前記装置本体へ前記被装着体を装着させる方向に操作する際、前記駆動力を伝達不可な状態を経て前記駆動力を伝達可に操作しない場合に比べて、駆動力の伝達を解除した後に、被装着体を装置本体から確実に離脱させることができる。
【0020】
請求項2に記載された発明によれば、複数の操作手段は、装置本体へ被装着体を装着する際、装置本体へ被装着体を装着させる方向に操作する第1の操作手段と、第1の操作手段と時間差をもって装置本体へ被装着体を装着させるよう移動される第1の操作手段と連動し、駆動力を伝達不可な状態を経て駆動力を伝達に操作する第2の操作手段を備えない場合に比べて、駆動力の伝達を解除した状態で被装着体を装置本体に確実に装着させることができる。
【0021】
請求項3に記載された発明によれば、複数の操作手段は、被装着体の着脱方向に沿って移動可能な第1の操作部材と、第1の操作部材により被装着体の着脱方向に沿って移動される第2の操作部材を備えない場合に比べて、駆動力の伝達を解除した状態で、被装着体を装置本体に確実に着脱させることができる。
【0022】
請求項4に記載された発明によれば、第1の操作部材は、被装着体へ駆動力を伝達する方向に付勢された駆動力伝達手段を、駆動力を伝達不可とする位置へ移動させる第1の傾斜面を有しない場合に比べて、簡単な構成で駆動力伝達手段を駆動力を伝達不可とする位置へ移動させることができる。
【0023】
請求項5に記載された発明によれば、第2の操作部材は、被装着体へ駆動力を伝達する方向に付勢された駆動力伝達手段を、駆動力を伝達不可とする位置へ移動させる第2の傾斜面を有しない場合に比べて、簡単な構成で駆動力伝達手段を駆動力を伝達不可とする位置へ移動させることができる。
【0024】
請求項6に記載された発明によれば、第2の操作部材は、第1の移動部材に一体的に設けられている場合に比べて、駆動力の伝達を解除した状態で、被装着体を装置本体に着脱することが可能となる。
【0025】
請求項7に記載された発明によれば、駆動力伝達手段は、装置本体側に設けられ駆動源により回転駆動される駆動歯車と、駆動歯車とともに回転し且つ被装着体の着脱方向と交差する方向に沿って移動可能に設けられたカップリングと、カップリングを被装着体に駆動力を伝達可能な方向へ付勢する付勢部材と、カップリングを被装着体に駆動力を伝達不可な方向へ移動させるよう押動する摺動部材を備えない場合に比べて、簡単な構成で駆動力を伝達可又は不可な状態に切り替えることができる。
【0026】
請求項8に記載された発明によれば、駆動力伝達機構として請求項1乃至のいずれかに記載の駆動力伝達機構を用いない場合に比べて、簡単な構成で駆動力の伝達及び解除を確実に行うことができる。
【0027】
請求項9に記載された発明によれば、駆動力伝達機構として請求項1乃至のいずれかに記載の駆動力伝達機構を用いない場合に比べて、簡単な構成で駆動力の伝達及び解除を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】この発明の実施の形態1に係る駆動力伝達機構を適用した画像形成装置の全体の概要を示す構成図である。
図2】画像形成装置の作像装置を示す構成図である。
図3】中間転写ユニットを示す斜視構成図である。
図4】装置本体側の駆動力伝達機構を示す斜視構成図である。
図5】中間転写体主カップリングを示す斜視構成図である。
図6】この発明の実施の形態1に係る駆動力伝達機構を示す断面構成図である。
図7】中間転写ユニットの要部を示す斜視構成図である。
図8】把持部材及び操作部材を示す斜視構成図である。
図9】装置本体側の駆動力伝達機構と持部材及び操作部材を示す斜視構成図である。
図10】把持部材及び操作部材を示す斜視構成図である。
図11】この発明の実施の形態1に係る駆動力伝達機構の動作を示す構成図である。
図12】把持部材及び操作部材を示す斜視構成図である。
図13】この発明の実施の形態2に係る駆動力伝達機構を適用した画像形成装置の全体の概要を示す構成図である。
図14】この発明の実施の形態2に係る画像形成装置の画像形成ユニットを示す斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
[実施の形態1]
図1はこの発明の実施の形態1に係る駆動力伝達機構を適用した画像形成装置の全体の概要を示す構成図、図2は画像形成装置の作像装置を示す構成図である。
【0031】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、図1に示されるように、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写手段の一例としての中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置30と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。なお、図中の1aは画像形成装置1の装置本体を示している。装置本体1aは支持構造部材、外装カバー等で形成されている。また、図中の破線は、装置本体1a内において記録用紙5が搬送される主な搬送経路を示す。
【0032】
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。これらの4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、装置本体1aの内部空間において傾斜した状態で1列に並べた状態となるよう配置されている。
【0033】
4つの作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)のカラーの作像装置10(Y,M,C)と、ブラック(K)の作像装置10Kとから構成されている。ブラックの作像装置10Kは、中間転写装置20の中間転写ベルト21の移動方向Bに沿った最も下流側に配置されている。画像形成装置1は、画像形成モードとして、カラーの作像装置10(Y,M,C)及びブラック(K)の作像装置10Kを動作させてフルカラーの画像を形成するフルカラーモードと、ブラック(K)の作像装置10Kのみを動作させて白黒(モノクロ)の画像を形成する白黒モードとを備える。
【0034】
各作像装置10(Y,M,C,K)は、図2に示されるように、像保持体の一例としての回転する感光体ドラム11を備えている。感光体ドラム11の周囲に、次のようなトナー像形成手段の一例としての各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置13と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像装置14(Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写手段の一例としての一次転写装置15(Y,M,C,K)と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16(Y,M,C,K)等である。
【0035】
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。感光体ドラム11は、図示しない駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するよう支持されている。
【0036】
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロールで構成される。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。なお、帯電装置12としては、感光体ドラム11の表面に非接触状態で配置されるスコロトロン等の非接触型の帯電装置を用いてもよい。
【0037】
露光装置13は、画像情報に応じて構成されるレーザー光LB-Y,LB-M,LB-C,LB-Kを各感光体ドラム11の軸方向に沿って偏向走査するものである。なお、露光装置13としては、各感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム11に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなるものを用いても良い。なお、露光装置13としてLEDプリントヘッドを用いた場合は、露光装置13を大幅に小型化することが可能となる。
【0038】
現像装置14(Y,M,C,K)はいずれも、図2に示されるように、開口部と現像剤の収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤を攪拌しながら現像ロール141を通過させるよう搬送する2つのスクリューオーガー等の攪拌搬送部材142,143と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材144などを配置して構成したものである。この現像装置14には、現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像用電圧が図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール141や攪拌搬送部材142,143は、図示しない駆動装置から動力が伝達されて所要の方向に回転する。さらに、上記4色の現像剤(Y,M,C,K)としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
【0039】
一次転写装置15(Y,M,C,K)は、感光体ドラム11の周囲に中間転写ベルト21を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
【0040】
ドラム清掃装置16は、一部が開口する容器状の本体160と、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するよう配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板161と、清掃板161で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材162等で構成されている。清掃板161としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
【0041】
中間転写装置20は、図1に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K)の上方の位置に存在するよう配置される。中間転写装置20は、図2に示されるように、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転可能に支持する複数のベルト支持ロール22~25と、ベルト支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写手段の一例としての二次転写装置26と、二次転写装置26を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置27とで主に構成されている。なお、二次転写装置26は、装置本体1a側に配置されている。
【0042】
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は後述するように図示しない駆動装置によって回転駆動される駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23は中間転写ベルト21の画像形成面を形成する面出しロールとして構成され、ベルト支持ロール24は中間転写ベルト21に張力を付与する張力付与ロールとして構成され、ベルト支持ロール25は二次転写の背面支持ロールとして構成されている。また、ベルト支持ロール22はベルト清掃装置27の清掃板271と対向する対向ロールを兼ねている。なお、この実施の形態では、ベルト支持ロール22を駆動ロールと、ベルト支持ロール23を面出しロールと、ベルト支持ロール24を張力付与ロールと、ベルト支持ロール25を背面支持ロールとそれぞれ称する。
【0043】
なお、面出しロール23は、白黒の画像形成モード時、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)のカラーの一次転写ロール15(Y,M,C)とともに中間転写ベルト21をカラーの感光体ドラム11(Y,M,C)から離間させる退避位置に移動可能に構成されている。
【0044】
二次転写装置26は、中間転写装置20における背面支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。また、二次転写ロール26又は中間転写装置20の背面支持ロール25には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として図示しない電源装置から供給される。
【0045】
ベルト清掃装置27は、図2に示されるように、一部が開口する容器状の本体270と、二次転写後の中間転写ベルト21の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する接触部材の一例としての清掃板271と、清掃板271で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材272等で構成されている。清掃板271としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
【0046】
定着装置40は、図1に示されるように、記録用紙5の導入口及び排出口が形成された図示しない筐体の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転するロール形態又はベルト形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。
【0047】
給紙装置30は、作像装置10(Y,M,C,K)の下方側の位置に存在するよう配置される。この給紙装置30は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体31と、用紙収容体31から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置32とで主に構成されている。用紙収容体31は、例えば、装置本体1aの使用者が操作時に向き合う側面である正面(図中、左側面)側に引き出すことができるよう取り付けられている。
【0048】
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やトレーシングペーパー等の薄紙、あるいはOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙5の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
【0049】
給紙装置30と二次転写装置26との間には、給紙装置30から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する単数又は複数の用紙搬送ロール対33や図示しない搬送ガイドで構成される給紙搬送路34が設けられている。給紙搬送路34において二次転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対33は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。また、二次転写装置26と定着装置40との間には、二次転写装置26から送り出される二次転写後の記録用紙5を定着装置40まで搬送するための用紙搬送路35が設けられている。さらに、装置本体1aに形成される用紙の排出口に近い部分には、定着装置40から送り出される定着後の記録用紙5を装置本体1aの上部に設けられた用紙排出部36に排出するための用紙排出ロール対37を備えた排出搬送路38が設けられている。
【0050】
用紙排出部36は、当該用紙排出部36に排出された記録用紙5の操作性を向上させるため、記録用紙5の排出方向に沿った下流側の端部が高く、記録用紙5の排出方向に沿った上流側の端部が低くなるよう傾斜した状態で設けられている。中間転写装置20は、装置本体1aの内部空間において傾斜した状態で1列に並べた状態となるよう配置される作像装置10(Y,M,C,K)に対応して、イエロー(Y)の作像装置10Y側が相対的に高く、ブラック(K)の作像装置10K側が相対的に低くなるよう傾斜して配置されている。用紙排出部36は、中間転写装置20の中間転写ベルト21の上部に位置する走行領域に対して所要の間隙を形成するよう配置されている。
【0051】
用紙排出部36は、中間転写装置20を装置本体1aに対して着脱する際に開閉される上部カバーを兼ねている。用紙排出部36は、記録用紙5の排出方向に沿った上流側の端部に設けられた開閉用の支点36aを介して開閉可能に構成されている。用紙排出部36は、図1中に二点鎖線で示されるように、中間転写装置20を装置本体1aから着脱する際に支点36aを中心にして上方へ開閉される。上部カバーを兼ねる用紙排出部36は、通常、図示しないロック機構によって閉じた状態を保持しており、中間転写ユニット200の着脱時などにロック機構によるロック状態を解除することで開閉される。
【0052】
定着装置40と用紙排出ロール対37との間には、用紙搬送路を切り替える図示しない切替ゲートを備えている。用紙排出ロール対37は、その回転方向が正転方向(排出方向)と逆転方向に切り替え可能に構成されている。記録用紙5の両面に画像を形成する場合には、片面に画像が形成された記録用紙5の後端が切替ゲートを通過した後、用紙排出ロール対37の回転方向を正転方向(排出方向)から逆転方向に切り替える。用紙排出ロール対37によって逆転方向に搬送される記録用紙5は、切替ゲートによって搬送経路が切り替えられ、装置本体1aの背面に沿って略鉛直方向に沿うよう形成された両面用搬送経路44へと搬送される。両面用搬送経路44は、表裏を反転させた状態で記録用紙5を用紙搬送ロール対33へと搬送する図示しない用紙搬送ロール対と図示しない搬送ガイド等を備えている。
【0053】
図1中、符号145(Y,M,C,K)は、紙面に直交する方向に沿って配置され、対応する現像装置14(Y,M,C,K)に供給する少なくともトナーを含む現像剤を収容した現像剤収容容器としてのトナーカートリッジをそれぞれ示している。
【0054】
また、図1中符号100は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御装置を示している。制御装置100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、あるいはこれらCPUやROM等を接続するバス、通信インターフェイスなどを備えている。
【0055】
さらに、図1中符号110は、装置本体1aの正面に開閉可能に設けられた手差しトレイを示している。略水平に開かれた手差しトレイ110に載置された記録用紙5は、送出装置111により1枚ずつ分離されて送り出され、用紙搬送ロール対112,113を介して用紙搬送ロール対33へと搬送される。
【0056】
<画像形成装置の動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0057】
ここでは、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するフルカラーモードにおける動作を説明する。
【0058】
画像形成装置1は、図示しないユーザインターフェイスやプリンタドライバ等からフルカラーの画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置26、定着装置40等が始動する。
【0059】
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、図1及び図2に示されるように、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光されるレーザー光LB-Y,LB-M,LB-C,LB-Kを照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
【0060】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを現像ロール141からそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
【0061】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15(Y,M,C,K)が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わされるような状態で一次転写させる。
【0062】
また、一次転写が終了した各作像装置10(Y,M,C,K)では、ドラム清掃装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10(Y,M,C,K)は、次の作像動作が可能な状態にされる。
【0063】
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置30では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路34に送り出す。給紙搬送路34では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対33が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
【0064】
二次転写位置においては、二次転写装置26が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置27が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
【0065】
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21から剥離された後に用紙搬送路35を介して定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の接触部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、用紙排出ロール対37により、装置本体1aの上部に設置された用紙排出部36に排出される。
【0066】
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が出力される。
【0067】
なお、ブラック(K)の作像装置10Kのみを動作させることにより、モノクロの画像が形成された記録用紙5が出力される。
【0068】
[中間転写ユニット]
この実施の形態1に係る中間転写装置20は、図3に示されるように、当該中間転写装置20を構成する各部材が一体的に組付けられ、画像形成装置1の装置本体1aに対して単独で着脱可能な被装着体の一例としての中間転写ユニット200を構成している。
【0069】
中間転写ユニット200は、図2及び図3に示されるように、駆動ロール22と、面出しロール23と、張力付与ロール24と、背面支持ロール25を回転可能に支持する左右のサイドフレーム201,202を備える。左右のサイドフレーム201,202は、中間転写ベルト21の移動経路と略相似形に形成された細長い側面三角形の平板状乃至枠体状に形成されている。左右のサイドフレーム201,202には、中間転写ユニット200を装置本体1aに着脱する際、中間転写ユニット200を装置本体1aの図示しないガイド溝に沿って位置決めしつつ案内する複数のガイドピン203,204等が設けられている。なお、左右のサイドフレーム201,202には、ベルト清掃装置27が一体的に取り付けられている。
【0070】
中間転写ユニット200は、図1に示されるように、画像形成装置1の装置本体1a内の予め定められた動作位置に装着することにより、装置本体1aから駆動力が伝達されるとともに、一次転写装置15(Y,M,C,K)への通電が可能となるよう構成されている。
【0071】
[駆動力伝達機構の構成]
画像形成装置1の装置本体1aには、図4に示されるように、中間転写ユニット200の駆動ロール22の軸方向に沿った一端部に対応した位置に、中間転写ユニット200を装置本体1aに対して着脱する際、当該中間転写体ユニット200の駆動ロール22に駆動力を伝達可又は不可とする駆動力伝達機構50が設けられている。なお、駆動力伝達機構50の一部は、中間転写ユニット200側にも設けられている。
【0072】
駆動力伝達機構50は、図5に示されるように、装置本体1a側に配置されて中間転写ユニット200の駆動ロール22を回転駆動するための駆動力伝達手段(駆動歯車)の一例としての中間転写体駆動歯車51と、同じく装置本体1a側に配置されて中間転写体駆動歯車51の軸方向Cに沿って移動可能に配置される駆動力伝達手段の一例としての中間転写体主カップリング52を備えている。
【0073】
装置本体1aの右フレーム120の内側面には、図4に示されるように、駆動力伝達機構50の中間転写体主カップリング52を挟んで上下に対向するよう平行に配置された断面矩形状の一対のガイド部121,122が中間転写ユニット200の着脱方向EFに沿ってそれぞれ設けられている。ここでは、中間転写ユニット200の装着(取付)方向をEとし、中間転写ユニット200の離脱(取外)方向をFとして表示している。
【0074】
また、装置本体1aの右フレーム120の内側面には、中間転写体主カップリング52の着脱方向EFに沿った両側に当該中間転写体主カップリング52を保護する略直方体形状に形成された保護部123,124がそれぞれ設けられている。保護部123,124の内側面は、中間転写体主カップリング52の外形に沿った曲面形状に形成されている。なお、図4は、便宜上、装置本体1aの右フレーム120の一部を示している。
【0075】
中間転写体駆動歯車51は、図5に示されるように、その中心に一側面へ向けて突出するよう円筒形状に形成された軸芯部511を一体的に有している。軸芯部511には、中間転写体主カップリング52が中間転写体駆動歯車51の一側面の軸方向Cに沿って移動可能に装着されている。中間転写体主カップリング52は、外周にインボリュート歯車からなる平歯車が形成された円筒形状の第1歯車部521と、第1歯車部521の先端に当該第1歯車部521より外径が小さく設定され且つ外周にインボリュート歯車からなる平歯車が形成された円筒形状の第2歯車部522を一体的に有している。第2歯車部522の先端には、先細り形状のテーパー部522aが設けられている。中間転写体主カップリング52は、第1歯車部521と第2歯車部522の間に半径方向外方へ向けて所要の外径を有する環状に突出するよう設けられた摺動部材の一例としての当接部523を一体又は別体として固定された状態で備えている。当接部523の外周端には、厚さ方向に沿って中間転写体駆動歯車51側の外径が大きくなるよう傾斜したテーパー部523aが設けられている。
【0076】
中間転写体駆動歯車51は、図6に示されるように、軸芯部511を介して装置本体1aの右フレーム120に設けられた軸受部125に回転可能に支持されている。中間転写体駆動歯車51には、装置本体1aに設けられた図示しない駆動源としての駆動モータから単数又は複数の伝達歯車を介して回転駆動力が伝達される。
【0077】
中間転写体駆動歯車51の軸芯部511には、図5に示されるように、中間転写体主カップリング52の第1歯車部521と噛み合わされるインボリュート歯車である平歯車からなる第1内歯車部512が形成されている。中間転写体主カップリング52は、第1歯車部521が中間転写体駆動歯車51の第1内歯車部512と噛み合わされて回転駆動力が伝達された状態で軸方向Cに沿って移動可能に構成されている。また、中間転写体主カップリング52の第2歯車部522は、図6に示されるように、中間転写体ユニット200の駆動ロール22の軸方向Cに沿った一端部に設けられた中間転写体ユニット200側の駆動力伝達手段の一例としての中間転写体従カップリング53と噛合(結合)及び離間可能に構成されている。
【0078】
中間転写体従カップリング53は、相対的に外径が大きな円筒形状に形成され、駆動ロール22の回転軸22aに固定されるカップリング本体531と、カップリング本体531の内部に設けられた仕切壁532から軸方向Cに沿った外方へ突出した状態で設けられ、内周にインボリュート歯車である平歯車からなる第2内歯車部533aが形成された相対的に外径が小さな円筒形状の第3歯車部533を備えている。第3歯車部533の先端には、内側へ向けて傾斜したテーパー部533bが設けられている。
【0079】
なお、中間転写体主カップリング52及び中間転写体従カップリング53は、インボリュート歯車からなる第1及び第2歯車部521,522あるいは第3歯車部533を備えたものに限定されるものではない。ただし、中間転写体主カップリング52及び中間転写体従カップリング53を介して回転駆動力が伝達される駆動ロール22によって回転駆動される中間転写ベルト21は、画質に直接影響を与える部材であるため、速度変動等が少なく回転精度が高いことが望ましい。インボリュート歯車からなる第1及び第2歯車部521,522あるいは第3歯車部533を備えた中間転写体主カップリング52及び中間転写体従カップリング53は、相対的に高い回転精度で駆動ロール22に回転駆動力を伝達することが可能であるため好適に使用される。
【0080】
中間転写体主カップリング52は、図6に示されるように、中間転写体駆動歯車51の軸芯部511の内側端面と第1歯車部521の内部端面との間に介在された付勢手段の一例としてのコイルスプリング54によって突出する方向に付勢されている。また、中間転写体主カップリング52は、中間転写体駆動歯車51の軸芯部511に固定した状態で装着された固定軸55によって中間転写体駆動歯車51の軸方向Cに沿った突出量が規制されている。なお、図6は中間転写体主カップリング52が最も突出した状態を示している。
【0081】
中間転写体主カップリング52は、最も突出した状態において、第1歯車部521が中間転写体駆動歯車51の第1内歯車部512と軸方向Cに沿って所要の長さL1だけカ噛み合わされている。また、同じく、中間転写体主カップリング52は、最も突出した状態において、第2歯車部522が中間転写体従カップリング53の第2内歯車部533aと軸方向Cに沿って所要の長さL2だけ噛み合わされている。これらの噛み合わせ長さL1,L2は、中間転写体駆動歯車51から中間転写体従カップリング53への駆動力の伝達性を考慮すると、ある程度の長さを確保することが望ましい。一方、これらの噛み合わせ長さL1,L2は、ある程度以上長いと、中間転写ユニット200を画像形成装置1の装置本体1aから離脱させる際に支障となる虞れがある。
【0082】
この実施の形態1に係る駆動力伝達機構50では、後述するように、中間転写体駆動歯車51の回転駆動力を中間転写体従カップリング53へ確実かつ精度良く伝達することを可能としつつ、中間転写ユニット200を画像形成装置1の装置本体1aから離脱させる際に支障となる虞れを回避乃至抑制するよう構成されている。
【0083】
一方、中間転写ユニット200には、図7に示されるように、上記の如く駆動ロール22の軸方向に沿った一端部に、当該駆動ロール22を回転駆動するための中間転写ユニット200側の駆動力伝達手段である中間転写体従カップリング53が右側のサイドフレーム202から側方へ向けて突出するよう設けられている。中間転写体従カップリング53は、駆動力伝達機構50の一部を構成している。なお、図7中、符号205,206は中間転写体従カップリング53の回転駆動力をベルト清掃装置27の送出部材272(図2参照)に伝達する伝達歯車をそれぞれ示している。ただし、ベルト清掃装置27の送出部材272は、他の駆動源によって回転駆動されるよう構成しても勿論良い。
【0084】
中間転写ユニット200の中間転写体従カップリング53の第3歯車部533は、図6に示されるように、中間転写体主カップリング52が軸方向Cに沿った外側(中間転写ユニット200側)へ突出するよう移動することにより、中間転写体主カップリング52の第2歯車部522と噛み合わされて回転駆動力が伝達される。その際、中間転写体主カップリング52の第1歯車部521及び中間転写体駆動歯車51の第1内歯車部512などは、共に、インボリュート歯車からなり且つ所要のバックラッシュを有している、そのため、中間転写体従カップリング53の第2内歯車部533aと中間転写体主カップリング52の第2歯車部522が噛み合う際には、中間転写体主カップリング52の第2歯車部522が第1歯車部521とともに中間転写体駆動歯車51の第1内歯車部512に対して軸方向Cから僅かに傾斜し、テーパー部522a及び533bと相まって噛み合い動作が円滑に行われる。
【0085】
ところで、この実施の形態1に係る駆動力伝達機構50は、画像形成装置1の装置本体1aに中間転写ユニット200を着脱する際、中間転写ユニット200の着脱方向EFと交差する軸方向Cに沿って駆動力伝達手段の一例としての中間転写体主カップリング52を移動させるよう時間差をもって互いに連動し、装置本体1aから中間転写ユニット200へ駆動力を伝達可又は不可に操作する複数の操作手段を備えている。
【0086】
すなわち、この実施の形態1に係る駆動力伝達機構50は、図3及び図8に示されるように、中間転写ユニット200の離脱方向Fに沿った上流側の端部(装着方向Eに沿った下流側の端部)に、中間転写ユニット200の着脱方向EFに沿って移動可能な第1の操作手段(第1の操作部材)の一例としての把持部材56を備えている。
【0087】
ここで、中間転写ユニット200の着脱方向EFとは、文字通り、画像形成装置1の装置本体1aに対して中間転写ユニット200を装着乃至離脱する方向を意味している。ただし、中間転写ユニット200の着脱方向EFは、画像形成装置1の装置本体1aに対して角度が〇〇度と規定されるものではなく、画像形成装置1の装置本体1aに対して中間転写ユニット200を装着乃至離脱する際に、中間転写ユニット200が移動する方向であり、駆動力伝達機構50が駆動力の伝達を解除した状態においては、鉛直方向に沿ってある程度の幅(角度)を有する方向である。
【0088】
把持部材56は、図示しない支持部材によって中間転写ユニット200の右側のサイドフレーム202に着脱方向EFに沿って移動可能に取り付けられている。把持部材56は、図8及び図9に示されるように、長手方向に沿った一端部が半円形状に形成された側面略矩形の平板状に形成されている。把持部材56の長手方向に沿った一端部は、中間転写ユニット200を着脱する際に操作者が指を挿入して把持する開口部561を有する短い円筒形状の把持部562を備えている。なお、中間転写ユニット200の左側のサイドフレーム201には、図3に示されるように、把持部材56と対応した位置に左側の把持部207が固定した状態で設けられている。ただし、左側の把持部207は、単に把持する機能を有するのみで、把持部材56と機能が異なる。
【0089】
把持部材56には、図8及び図9に示されるように、中間転写体主カップリング52の第2歯車部522を着脱方向EFに沿って挿通させる側面略U字形状の細長い挿通用通路563が、長手方向に沿った開口部561と反対側の位置に開口されている。また、把持部材56の長手方向に沿った他端部には、挿通用通路563の着脱方向EFと交差する把持部材56の表面に沿った方向における両側に第1の傾斜面の一例としての第1の傾斜面部564,564がそれぞれ所要の距離を隔てて設けられている。この所要の距離は、中間転写体主カップリング52の第2歯車部522が挿通可能な距離である。第1の傾斜面部564,564は、把持部材56の表面(装置本体1aの内面側)において長手方向に沿った他端部から所要の距離だけ離れた位置から装置本体1aの内面側へ向けて突出するよう所要の角度で立ち上がり、把持部材56の長手方向に沿った他端部に位置する頂点564a,564aを超えた位置から当該把持部材56の表面と交差する垂直面を形成するよう立ち下がる平面略直角三角形状に形成されている。第1の傾斜面564,564の頂点564a,564aは、把持部材56の裏面(中間転写ユニット200側の面)から所要の高さH(図6参照)を有している。第1の傾斜面部564,564は、把持部材56の長手方向に沿った他端部に設けられた当該把持部材56の肉厚よりも薄い連結部567によって互いに連結されている。
【0090】
さらに、把持部材56の長手方向に沿った他端部には、当該把持部材56を着脱方向EFに沿って装置本体1aの右フレーム120に対して移動可能に案内する矩形状の案内部565,565が、第1の傾斜面部564,564の着脱方向EFと交差する方向に沿った外側にそれぞれ突出するよう設けられている。把持部材56は、図9に示されるように、装置本体1aの右フレーム120の内側面に設けられた一対のガイド部121,122に案内部565,565が当接することにより、着脱方向EFに沿って摺動可能となるよう配置されている。また、第1の傾斜面部564,564は、その外側面が一対のガイド部121,122の内面に沿って案内されることにより、着脱方向EFに沿って確実に移動可能となっている。
【0091】
また、この実施の形態1に係る駆動力伝達機構50は、把持部材56と時間差をもって装置本体1aから中間転写ユニット200を離脱させるよう移動され、中間転写ユニット200が装置本体1aから離脱する方向に移動を開始する前後にわたって、回転駆動力を伝達不可な状態を継続するよう操作する第2の操作手段(第2の操作部材)の一例としての操作部材57を備えている。
【0092】
操作部材57は、図3に示されるように、中間転写ユニット200の右側のサイドフレーム202に図示しない固定手段によって固定されるか又は右側のサイドフレーム202と一体的に設けられる。
【0093】
操作部材57は、図8及び図9に示されるように、把持部材56の裏面(中間転写ユニット200側の面)に重ねられた状態で着脱方向EFに沿って摺動可能に配置されている。操作部材57は、所要の厚さを有する細長い正面略矩形の平板状に形成されている。操作部材57は、その長手方向に沿った一端部に円形状に開口された挿通口571を備えている。操作部材57の長手方向に沿った一端は、その外形状が挿通口571に倣った半円形状に形成されている。操作部材57の挿通口571には、図6に示されるように、中間転写ユニット200の中間転写体従カップリング53が挿通されている。中間転写ユニット200の中間転写体従カップリング53は、操作部材57の挿通口571に挿通された状態で固定されていても良い。
【0094】
操作部材57の長手方向に沿った他端部には、図8に示されるように、着脱方向EFと交差する操作部材57の表面に沿った方向の外側に第2の傾斜面の一例としての第2の傾斜面部572,572がそれぞれ設けられている。第2の傾斜面部572,572は、把持部材56の第1の傾斜面部564,564と傾斜方向が逆方向となるよう設定されている。すなわち、把持部材56の第1の傾斜面部564,564は、装着方向Eに沿って上流側が低く、下流側が高く突出するよう傾斜している。これに対して、操作部材57の第2の傾斜面部572,572は、装着方向Eに沿って上流側が最も高く突出し、下流側が低くなるよう傾斜している。
【0095】
第2の傾斜面部572,572は、操作部材57の表面(装置本体1aの内面側)において長手方向に沿った他端部から装置本体1aの内面側へ突出するよう所要の角度で立ち上がり、把持部材56の長手方向に沿った他端部から離れた位置である頂点572a,572aを超えた位置から垂直面を形成するよう立ち下がる平面略直角三角形状に形成されている。第2の傾斜面部572,572の頂点572a,572aは、操作部材57の表面(中間転写ユニット200側)から所要の高さH(図6参照)を有している。操作部材57は、上述したように、把持部材56の裏面に重ね合わされた状態で配置されている。その結果、把持部材56の第1の傾斜面部564,564と操作部材57の第2の傾斜面部572,572は、図6に示されるように、その頂点564a,564a及び頂点572a,572aが同一の高さHを有している。操作部材57は、図8に示されるように、その長手方向に沿った他端部において第2の傾斜面部572,572の間に当該第2の傾斜面部572,572の先端部を互いに離間させる切欠部573が設けられている。第2の傾斜面部572,572は、着脱方向EFと交差する方向である操作部材57の表面に沿って方向にそれぞれ所要の距離を隔てて設けられている。この所要の距離は、第1の傾斜面部564,564と等しく、中間転写体主カップリング52の第2歯車部522が挿通可能な距離である。
【0096】
図10図9と同様に中間転写ユニット200を画像形成装置1の装置本体1aに装着した状態における把持部材56及び操作部材57を示す斜視構成図である。
【0097】
図10において、把持部材56は、中間転写ユニット200の装着方向Eに沿った奥側の端部に移動した状態を示している。このとき、把持部材56は、第1の傾斜面564,564の垂直面が操作部材57の第2の傾斜面572,572の垂直面と当接している。
【0098】
また、操作部材57には、図9に示されるように、把持部材56を着脱方向EFに沿って移動可能に保持して連結する凹溝574,574が長手方向に沿って設けられている。操作部材57の凹溝574,574には、把持部材56の裏面に設けられた凸部566,566が摺動可能に嵌め合わされている。
【0099】
把持部材56は、図8及び図9に示されるように、画像形成装置1の装置本体1aに対して中間転写ユニット200を着脱する際、特に画像形成装置1の装置本体1aから中間転写ユニット200を離脱する際に、操作者が把持部材56の開口部561に指を挿入した状態で把持部562を把持して離脱方向Fに沿って引き出される。
【0100】
すると、把持部材56は、凸部566,566を介して操作部材57の凹溝574,574に沿って当該把持部材56のみが離脱方向Fに沿って移動する。把持部材56は、凸部566,566が操作部材57の凹溝574,574の長手方向に沿った端部に当接すると、把持部材56の凸部566,566が操作部材57の凹溝574,574に沿って離脱方向Fに移動するだけの時間差をもって操作部材57が離脱方向Fに沿って移動を開始する。
【0101】
別言すれば、本実施の形態における“時間差”とは、把持部材56が離脱方向Fに沿って移動を開始してから操作部材57が移動するまでに要する時間ということができる。
【0102】
操作部材57は、中間転写ユニット200の右側のサイドフレーム202に固定されている。そのため、操作部材57が離脱方向Fに沿って開始すると、当該操作部材57と共に中間転写ユニット200自体も離脱方向Fに沿って移動する。
【0103】
この“時間差”は、主として、画像形成装置1の装置本体1aから中間転写ユニット200を離脱する際に技術的意義を有する。
【0104】
すなわち、画像形成装置1の装置本体1aから中間転写ユニット200を離脱する離脱操作を開始する際には、駆動力伝達機構50の中間転写体主カップリング52と中間転写体従カップリング53が噛み合わされた状態にある。
【0105】
把持部材56が操作部材57と一体的に設けられて当該把持部材56と操作部材57との間に時間差がなく、把持部材56と操作部材57が同時に移動を開始すると、便宜上、図6を用いて説明するように、把持部材56の第1の傾斜面部564によって中間転写体主カップリング52の摺動部533が押し下げられ、中間転写体主カップリング52の第2歯車部522が中間転写体従カップリング53から離間する方向に移動する。
【0106】
このとき、把持部材56が操作部材57と一体的に設けられて当該把持部材56と操作部材57との間に時間差が存在しない場合には、把持部材56と一体的に設けられた操作部材57の挿通口571に挿通された中間転写体従カップリング53が離脱方向Fに沿って移動する。その結果、中間転写体主カップリング52の第2歯車部522は、中間転写体従カップリング53の離脱方向Fに沿った移動に伴い、中間転写体従カップリング53によって離脱方向Fの押圧力を受けながら中間転写体従カップリング53から離間する方向に移動することになる。
【0107】
その結果、把持部材56が操作部材57と一体的に設けられている場合には、中間転写体主カップリング52が中間転写体従カップリング53による離脱方向Fの押圧力を受けながら離間する方向に移動するため、中間転写体主カップリング52の離間が円滑に行われない虞れがあるという技術的課題を有している。
【0108】
このように、装置本体1a側の中間転写体主カップリング52が中間転写ユニット200の中間転写体従カップリング53から離脱される動作が円滑に行われない虞れは、上述したように、装置本体1a側の中間転写体主カップリング52から中間転写ユニット200の中間転写体従カップリング53へ回転駆動力を確実に伝達するため、中間転写体主カップリング52と中間転写体従カップリング53の噛み合い長さL1,L2を相対的に長く設定した場合特に顕著となる。
【0109】
そこで、この実施の形態1に係る駆動力伝達機構50の場合には、上述したように、把持部材56と操作部材57が別体として構成されている。しかも、把持部材56と操作部材57は、中間転写ユニット200の着脱時に時間差をもって移動するよう構成されている。
【0110】
画像形成装置1の装置本体1aから中間転写ユニット200を離脱する際には、まず、把持部材56が装置本体1a側の中間転写体主カップリング52を中間転写ユニット200の中間転写体従カップリング53から離間させ、回転駆動力の伝達を不可するように作用する。
【0111】
そして、装置本体1aから中間転写ユニット200が移動を開始して離脱する際には、操作部材57が装置本体1a側の中間転写体主カップリング52を中間転写ユニット200の中間転写体従カップリング53から離間させた状態を継続して回転駆動力の伝達を不可とした状態で、把持部材56に対し時間差をもって遅れて離脱方向Fに移動する操作部材57により中間転写ユニット200を装置本体1aから離間させるとともに、操作部材57が装置本体1a側の中間転写体主カップリング52を突出した回転駆動力を伝達可な状態に復帰させるよう構成されている。
【0112】
一方、装置本体1aに中間転写ユニット200を装着する際には、操作部材57の第2の傾斜面部572,572が装置本体1a側の中間転写体主カップリング52を中間転写ユニット200の中間転写体従カップリング53から離間させ、回転駆動力の伝達を不可するよう作用する。
【0113】
その後、装置本体1aに対する中間転写ユニット200の装着動作が終了する際には、把持部材56の第1の傾斜面部564,564が装置本体1a側の中間転写体主カップリング52を中間転写ユニット200の中間転写体従カップリング53と噛み合わせるよう移動させ、回転駆動力の伝達を可とする。
【0114】
なお、中間転写ユニット220の装着時に装置本体1a側の中間転写体主カップリング52を中間転写ユニット200の中間転写体従カップリング53と噛み合わせる操作は、図6に示されるように、中間転写体主カップリング52の摺動部523が把持部材56の第1の傾斜面部564,564による押下力が解除される方向に作用するため、把持部材56と操作部材57が一体的に移動しても特に支障となることはない。
【0115】
[駆動力伝達機構の動作]
この実施の形態1に係る駆動力伝達機構が適用された画像形成装置では、次のようにして、本体側カップリングのテーパ面と当接しテーパ面上を摺動して本体側カップリングをユニット側から退避させる解除部材を有するよう構成した場合に比べて、簡単な構成で駆動力の伝達及び解除を確実に行うことが可能となっている。
【0116】
すなわち、この実施の形態1に係る駆動力伝達機構50が適用された画像形成装置1では、図1に示されるように、中間転写ユニット200のメンテナンス時や中間転写ユニット200を新たなものと交換する際などの必要時に、中間転写ユニット200を画像形成装置1の装置本体1aから着脱する操作が行われる。
【0117】
画像形成装置1は、中間転写ユニット200を装置本体1aから離脱する際、装置本体1aの上部に設けられた上部カバーを兼ねる用紙排出部36が開放される。用紙排出部36は、記録用紙5の排出方向に沿った上流側の端部に設けられた支点36aを中心にして記録用紙5の排出方向に沿った下流側の端部を時計回り方向に回転させることにより開放される。
【0118】
中間転写ユニット200は、図1に示されるように、用紙排出部36を開くことにより駆動ロール22側の端部が外部に露出する。
【0119】
操作者は、図3に示されるように、中間転写ユニット200の離脱方向Fに沿った下流側の端部に設けられた把持部材56の挿通孔561及び把持部材207に指を掛けることにより当該把持部材56のみを引き出す操作を行う。
【0120】
このように、操作者が把持部材56のみを引き出す操作を行うことにより、図11及び図12に示されるように、把持部材56の第1の傾斜面部564,564により、装置本体1a側の中間転写体主カップリング52の摺動部523が押し下げられ、中間転写体主カップリング52の第2歯車部522が中間転写ユニット200側の中間転写体従カップリング54の第3歯車部533から離間されて駆動力の伝達が不可な状態とされる。
【0121】
その後、操作者は、把持部材56を離脱方向Fに沿って更に引き出す操作を行うことにより、把持部材56の凸部566,566が操作部材57の凹溝574,574に沿った端部に当接して、操作部材57が離脱方向Fに沿って引き出される。これに伴って、操作部材57は、中間転写ユニット200に固定した状態で設けられているため、中間転写ユニット200も離脱方向Fに沿って引き出される。
【0122】
この操作部材57を中間転写ユニット200とともに離脱方向Fに沿って引き出す操作は、図11及び図12に示されるように、操作部材57の第2の傾斜面部572による装置本体1a側の中間転写体主カップリング52の摺動部523を押し下げる動作の解除を伴い、中間転写体主カップリング52の第2歯車部522が突出する方向に移動することとなる。
【0123】
一方、画像形成装置の装置本体1aに中間転写ユニット200を装着する際には、操作者が中間転写ユニット200を保持した状態で装置本体1aの内部に装着する操作が行われる。
【0124】
操作者は、中間転写ユニット200を装置本体1aの内部に装着方向Eに沿って移動させる操作を行うことにより、中間転写ユニット200に固定された操作部材57の第2の傾斜面部572によって中間転写体主カップリング52の摺動部523が押し下げられ、中間転写体主カップリング52の第2歯車部522が中間転写ユニット200側の中間転写体従カップリング54の第3歯車部533から離間される。
【0125】
このとき、把持部材56は、図10に示されるように、第1の傾斜面部564,564が操作部材57の第2の傾斜面部572,572と当接していても良いし、図12に示されるように、第1の傾斜面部564,564が操作部材57の第2の傾斜面部572,572から離間していても良い。
【0126】
中間転写ユニット200を装置本体1aに装着する操作は、図3に示されるように、操作者によって把持部材56及び把持部材207が把持されるため、通常は、把持部材56の第1の傾斜面部564,564が操作部材57の第2の傾斜面部572,572と当接した状態にある。
【0127】
その後、操作者は、中間転写ユニット200を装置本体1aの内部の動作位置まで押し込む操作を行うことにより、把持部材56の第1の傾斜面部564,564によって中間転写体主カップリング52の摺動部523を押し下げる動作が解除される。その結果、駆動力伝達機構50は、図6に示されるように、装置本体1aの中間転写体主カップリング52が突出する方向に移動して、中間転写体主カップリング52の第2歯車部522が中間転写ユニット200側の中間転写体従カップリング54の第3歯車部533と噛み合わされて、回転駆動力が伝達可の状態となる。
【0128】
このように、この実施の形態1に係る駆動力伝達機構50が適用された画像形成装置1では、中間転写ユニット200を装置本体1aに対して着脱する際、特に中間転写ユニット200を装置本体1aから離脱する(取り外す)際に、把持部材56を中間転写ユニット200の離脱方向Fに沿って移動させる操作が行なわれる。
【0129】
そのため、中間転写ユニット200を装置本体1aから離脱する際には、把持部材56を中間転写ユニット200の離脱方向Fに沿って移動させることにより、把持部材56の第1の傾斜面部564,564によって中間転写体主カップリング52の摺動部523が押し下げられ、中間転写体主カップリング52の第2歯車部522が中間転写ユニット200の中間転写体従カップリング53の第3歯車部533から離間され、駆動力の伝達が不可となる。
【0130】
その後、中間転写ユニット200を装置本体1aの離脱方向Fに沿って更に移動させることで、把持部材56と時間差をもって移動する操作部材57によって駆動力伝達機構50の駆動力の伝達を不可とした状態で、中間転写ユニット200が装置本体1aから離脱される。
【0131】
その結果、この実施の形態1に係る駆動力伝達機構50では、中間転写体主カップリング52が中間転写体従カップリング53による離脱方向Fの押圧力を受けることなく離間する方向に移動するため、中間転写体主カップリング52の離間が円滑に行なわれる。
【0132】
よって、この実施の形態1に係る駆動力伝達機構50によれば、本体側カップリングのテーパ面と当接しテーパ面上を摺動して本体側カップリングをユニット側から退避させる解除部材を有するよう構成した場合に比べて、簡単な構成で駆動力の伝達及び解除を確実に行うことが可能となる。
【0133】
[実施の形態2]
図13はこの発明の実施の形態2に係る駆動力伝達機構を適用した画像形成装置の全体の概要を示す構成図である。なお、前記実施の形態1に係る画像形成装置と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0134】
この実施の形態2に係る駆動力伝達機構を適用した画像形成装置は、装置本体と、装置本体に着脱可能に設けられ、装置本体から駆動力が伝達されて駆動される画像形成ユニットと、装置本体の駆動源から画像形成ユニットへ駆動力を伝達する駆動力伝達機構とを備えるよう構成されている。
【0135】
すなわち、この実施の形態2に係る駆動力伝達機構を適用した画像形成装置1は、図13に示されるように、単色(ブラック色)の作像装置10のみを備えたモノクロのプリンタである。
【0136】
画像形成装置1は、感光体ドラム11及びその周囲に配置されるトナー像形成手段によって画像を形成する単色(ブラック色)の作像装置10を備えている。作像装置10は、図14に示されるように、感光体ドラム11と、帯電装置12と、露光装置13と、現像装置14と、ドラム清掃装置16と、トナーカートリッジ145が一体的に設けられた画像形成ユニット300を構成している。画像形成ユニット300は、画像形成装置1の装置本体1aに対して単独で着脱可能となるよう構成されている。
【0137】
画像形成ユニット300は、図13に示されるように、装置本体1aの正面(図中、左側)に設けられた開閉カバーを開閉することにより、装置本体1aに対して着脱される。
【0138】
画像形成ユニット300には、図14に示されるように、ユニット本体301の側面に感光体ドラム11を回転駆動するため、装置本体1aから回転駆動力を伝達する感光体従カップリング303が設けられている。この感光体従カップリング303は、実施の形態1の中間転写体従カップリング533に相当する部材である。
【0139】
画像形成ユニット300には、当該画像形成ユニット300を画像形成装置1の装置本体1aに対して着脱する際に、操作者が指を掛けて把持する把持部材56と操作部材57が設けられている。把持部材56と操作部材57は、画像形成ユニット300の装着方向に沿った上流側の端部、つまり開閉カバー側に配置されている。把持部材56は、画像形成ユニット300の装着方向に沿った上流側の端部まで延長されており、画像形成ユニット300を着脱する際に操作者が把持可能な位置に配置されている。なお、把持部材56及び操作部材57は、前記実施の形態1と同様に構成されている。
【0140】
この実施の形態2に係る駆動力伝達機構を適用した画像形成装置1では、画像形成ユニット300を着脱する際に、把持部材56及び操作部材57が実施の形態1と同様に作用する。
【0141】
そのため、この実施の形態2に係る駆動力伝達機構50を適用した画像形成装置1においても、図示しない感光体主カップリングが感光体従カップリング303による離脱方向Fの押圧力を受けることなく離間する方向に移動するため、感光体主カップリングの離間が円滑に行なわれる。
【0142】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0143】
なお、前記実施の形態1では、中間転写ユニットを駆動ロール22の方向に着脱する場合について説明したが、これに限定されるものではないことは勿論であり、中間転写ユニット200を支持ロール25の方向に着脱するよう構成しても良いことは勿論である。
この場合には、画像形成装置1は、二次転写ロール26を含めて装置本体1aの背面が開閉されるとともに、把持部材56及び操作部材57は、二次転写ロール26の位置に配置され、中間転写ユニット220は、画像形成装置1の装置本体1aの背面側に着脱される。
【符号の説明】
【0144】
1…画像形成装置
1a…装置本体
2…画像形成部
10…作像装置
20…中間転写装置
200…中間転写ユニット
50…駆動力伝達機構
56…把持部材
57…操作部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14