(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】新規なケイ素含有環状第三級アミン、その製造方法、及びその用途
(51)【国際特許分類】
C07F 7/04 20060101AFI20241112BHJP
B01J 20/22 20060101ALI20241112BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C07F7/04 G CSP
B01J20/22 A
B01J20/30
(21)【出願番号】P 2020163665
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭介
(72)【発明者】
【氏名】藤原 裕志
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-164737(JP,A)
【文献】特開2012-149225(JP,A)
【文献】特開2016-147820(JP,A)
【文献】特開2020-164509(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104087749(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 7/04
B01J 20/22
B01J 20/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
(式中、a及びbは、各々独立に、0又は1であり、a+b=1の関係を満たす。nは、0、1、又は2を表し、mは1、2、又は3を表し、n+m≦3の関係を満たす。Xは、各々独立して、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。)
で示されるケイ素含有環状第三級アミン。
【請求項2】
aが0である(即ち、bが1である)請求項1に記載のケイ素含有環状第三級アミン。
【請求項3】
Xが、各々独立して、メトキシ基、エトキシ基、又はイソプロポキシ基である、請求項1又は請求項2に記載のケイ素含有環状第三級アミン。
【請求項4】
mが1である、請求項1乃至3のいずれかに記載のケイ素含有環状第三級アミン。
【請求項5】
一般式(2)
【化2】
(式中、Xは、各々独立して、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。nは0、1、又は2を表す。)
で示されるケイ素化合物と、一般式(3)
【化3】
(式中、a及びbは、各々独立に、0又は1であり、a+b=1の関係を満たす。)
で示される環状第三級アミノアルコールとを反応させることを特徴する、請求項1乃至4のいずれかに記載のケイ素含有環状第三級アミンの製造方法。
【請求項6】
aが0である、請求項5に記載のケイ素含有環状第三級アミンの製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載のケイ素含有環状第三級アミンからなるシランカップリング剤。
【請求項8】
少なくとも、担体 100重量部と、請求項1乃至4のいずれかに記載のケイ素含有環状第三級アミン 1~80重量部を混合し、その後、加熱することを特徴とする、吸着剤の製造方法。
【請求項9】
担体が、活性炭、セルロース、シリカ、シリカゲル、アルミナ、アルミノシリケート、ゼオライト、マグネシア、チタニア、ジルコニア、セリア、珪藻土、及びヒドロキシアパタイトからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項8に記載の吸着剤の製造方法。
【請求項10】
担体が、活性炭、シリカゲル及びセルロースより選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項8に記載の吸着剤の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至4のいずれかに記載のケイ素含有環状第三級アミン、その加水分解反応生成物、及びその縮合反応生成物からなる群より選ばれる1つ以上を含有する担体からなる吸着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状第三級アミンをその分子構造内に有するケイ素含有環状第三級アミン、その製造方法、及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
工業、農業、及び医療分野で幅広く使用されるヨウ素単体やヨウ化水素、あるいは有機ヨウ素化合物(以降、これらをまとめて、「ヨウ素」とも表現する。)は揮発性が高く、反応性が大きいことから、漏洩や流出が起きると様々な汚染を引き起こす。また、原子力発電所でウランの核分裂により生成する放射性ヨウ素は、人体に対して重篤な被曝影響を与えることから、漏洩や流出には特に注意が必要である。
【0003】
このような背景から、ヨウ素単体やヨウ化水素、あるいは有機ヨウ素化合物の漏洩や流出による汚染被害を阻止するため、これらを吸着剤により吸着除去することが行われている。当該吸着には、高い塩基性を示す吸着剤が用いられるが、その具体例として、環状第三級アミンを担体に物理的に担持した組成物(代表的なものでは、トリエチレンジアミンが担持された活性炭)が知られている。トリエチレンジアミンが担持された活性炭は、ヨウ素単体やヨウ化水素、あるいは有機ヨウ素化合物の吸着に関して、高い選択性と吸着量を示すことが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のトリエチレンジアミンに代表される環状第三級アミンは、揮発性が高い物質であり、これを担体に担持したものは使用時にトリエチレンジアミン等の環状第三級アミンが担体から脱離してしまうという課題がある。環状第三級アミンの脱離によってヨウ素単体やヨウ化水素、あるいは有機ヨウ素化合物の吸着性能が低下する恐れや、揮発した環状第三級アミンによる環境汚染の恐れが懸念される。
【0006】
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、担体からの環状第三級アミンの脱離が抑制された、環状第三級アミン含有担体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、環状第三級アミンをその分子構造内に有するケイ素含有環状第三級アミンが、所謂シランカップリング剤として機能することを見出した。さらに、当該ケイ素含有環状第三級アミンで表面処理した担体、即ち、本発明の環状第三級アミン含有担体について、当該担体からの環状第三級アミンの脱離を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下に示すとおりのケイ素含有環状第三級アミン、その製造方法、及びその用途に関する。
[1]
一般式(1)
【0009】
【0010】
(式中、a及びbは、各々独立に、0又は1であり、a+b=1の関係を満たす。nは、0、1、又は2を表し、mは1、2、又は3を表し、n+m≦3の関係を満たす。Xは、各々独立して、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。)
で示されるケイ素含有環状第三級アミン。
[2]
aが0である(即ち、bが1である)[1]に記載のケイ素含有環状第三級アミン。
[3]
Xが、各々独立して、メトキシ基、エトキシ基、又はイソプロポキシ基である、[1]又は[2]に記載のケイ素含有環状第三級アミン。
[4]
mが1である、[1]乃至[3]のいずれかに記載のケイ素含有環状第三級アミン。
[5]
一般式(2)
【0011】
【0012】
(式中、Xは、各々独立して、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。nは0、1、又は2を表す。)
で示されるケイ素化合物と、一般式(3)
【0013】
【0014】
(式中、a及びbは、各々独立に、0又は1であり、a+b=1の関係を満たす。)
で示される環状第三級アミノアルコールとを反応させることを特徴する、[1]乃至[4]のいずれかに記載のケイ素含有環状第三級アミンの製造方法。
[6]
aが0である、[5]に記載のケイ素含有環状第三級アミンの製造方法。
[7]
[1]乃至[4]のいずれかに記載のケイ素含有環状第三級アミンからなるシランカップリング剤。
[8]
少なくとも、担体 100重量部と、上記の[1]乃至[4]のいずれかに記載のケイ素含有環状第三級アミン 1~80重量部を混合し、その後、加熱することを特徴とする、吸着剤の製造方法。
[9]
担体が、活性炭、セルロース、シリカ、シリカゲル、アルミナ、アルミノシリケート、ゼオライト、マグネシア、チタニア、ジルコニア、セリア、珪藻土、及びヒドロキシアパタイトからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、[8]に記載の吸着剤の製造方法。
[10]
担体が、活性炭、シリカゲル及びセルロースより選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、[8]に記載の吸着剤の製造方法。
[11]
[1]から[4]のいずれかに記載のケイ素含有環状第三級アミン、その加水分解反応生成物、及びその縮合反応生成物からなる群より選ばれる1つ以上を含有する担体からなる吸着剤。
【発明の効果】
【0015】
本発明のケイ素含有環状第三級アミンを用いることによって、担体からの環状第三級アミンの脱離が抑制された環状第三級アミン含有担体を提供することができる。このため、環状第三級アミンの脱離による環境汚染の悪影響を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明は、上記のケイ素含有環状三級アミン、当該ケイ素含有環状三級アミンの製造方法、前記のケイ素含有環状三級アミンを含むシランカップリング剤、並びに前記のケイ素含有環状三級アミンを用いて作製される吸着剤及びその製造方法に係る。
【0018】
まず、本発明のケイ素含有環状第三級アミンについて説明する。
【0019】
本発明のケイ素含有環状第三級アミンは、上記の一般式(1)で表される。
【0020】
上記の一般式(1)において、a及びbは、各々独立に、0又は1であり、a+b=1の関係を満たす。なお、原料入手の容易さ及びシランカップリング剤として優れている点で、aが0である(即ち、bが1である)場合が好ましい。
【0021】
上記の一般式(1)において、nは、0、1、又は2を表し、mは、1、2、又は3を表し、n+m≦3の関係を満たす。なお、原料入手の容易さ及びシランカップリング剤として優れている点で、nが0である(即ち、mが、1、2、又は3である)場合が好ましい。
【0022】
上記の一般式(1)において、Xは、各々独立して、炭素数1から4のアルコキシ基であり、特に限定するものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロポキシ基、ブトキシ基、1-メチルプロポキシ基(s-ブトキシ基)、2-メチルプロポキシ基(i-ブトキシ基)、1,1-ジメチルプロポキシ基(t-ブトキシ基)、シクロブトキシ基、又はシクロプロピルメトキシ基等が例示できる。これらのうち、原料が入手容易な点から、Xは、各々独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、2-メチルプロポキシ基、1-メチルプロポキシ基、又は1,1-ジメチルプロポキシ基であることが好ましく、より好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、又はイソプロポキシ基である。
【0023】
本発明のケイ素含有環状第三級アミン(1)には、光学異性体が存在するが、本発明のケイ素含有環状第三級アミン(1)については、光学異性体のいずれであってもよく、2つ以上の光学異性体の混合物であってもよい。
【0024】
一般式(1)で表されるケイ素含有環状第三級アミンの具体例としては、例えば、以下の化合物(例示化合物1-1~2-30)を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはプロピル基、i-Prはイソプロピル基、Buはブチル基を表す。
【0025】
【0026】
【0027】
これらのうち、原料の入手が容易な点、製造コストが低い点、及びヨウ素吸着能が高いという点から、例示化合物1-1、1-2、1-3、1-16、1-17、1-18、1-26、1-27、1-28、2-1、2-2、2-3、2-16、2-17、2-18、2-26、2-27、又は2-28が好ましく、1-1、1-2、1-16、1-17、1-26、又は1-27が更に好ましく、1-1、1-16、又は1-26が殊更好ましい。
【0028】
次に上記の一般式(1)で表されるケイ素含有環状第三級アミンの製造方法及びその用途について説明する。
【0029】
上記の一般式(1)で表されるケイ素含有環状第三級アミンは、下記一般式(3)で示される環状第三級アミノアルコールと下記一般式(2)で示されるイソシアネート化合物とを反応させることによって、製造することができる(以下、「工程1」とも称する)。さらに、上記で製造されたケイ素含有環状第三級アミンをシランカップリング剤として用いて担体を処理することにより、ヨウ素の吸着性能に優れた吸着剤(環状三級アミン含有担体)を製造することができる(以下、「工程2」とも称する)。
【0030】
【0031】
(式中、a及びbは、各々独立に、0又は1であり、a+b=1の関係を満たす。nは、0、1、又は2を表し、mは、1、2、又は3を表し、n+m≦3の関係を満たす。Xは、各々独立して、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。)
まず、工程1について説明する。上記の一般式(1)で表されるケイ素含有環状第三級アミンは、下記一般式(2)
【0032】
【0033】
(式中、Xは、各々独立して、炭素数1から4のアルコキシ基を表す。nは、0、1、又は2を表す。)
で示されるケイ素化合物と、下記一般式(3)
【0034】
【0035】
(式中、a及びbは、各々独立に、0又は1であり、a+b=1の関係を満たす。)
で示される環状第三級アミノアルコールとの反応により製造することができる。
【0036】
当該一般式(2)及び(3)において示した、X、a、b、n、及びmの定義及び好ましい範囲については、一般式(1)におけるそれらの定義及び好ましい範囲と同義である。
【0037】
本工程1で用いることが出来る環状第三級アミノアルコール(3)の例としては、2-(ヒドロキシメチル)-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンや1,5-ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン-3-オールを挙げることが出来る。
【0038】
環状第三級アミノアルコール(3)については、市販のものを用いてもよいし、公知の方法により合成したものを用いてもよく、特に限定されない。合成する場合においては、例えば、Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenil,10巻,1404頁(1980年)や、国際公開第95/18104号パンフレットに記載の方法により製造可能である。また、Journal of Medicinal Chemistry(1993年),36巻,2075-2083頁や、特開2010-120887号公報に記載の方法等によって誘導されるヒドロキシアルキルピペラジン類のエチレンオキサイド付加物を分子内環化することによっても製造可能である。さらには、例えば、特開2010-37325号公報に記載の方法、すなわちジヒドロキシアルキルピペラジン類の環化反応により製造することができる。
【0039】
本発明のケイ素含有環状第三級アミン(1)の製造において、必要であれば、上記の環状第三級アミノアルコール(3)以外に、他のアミンを混合併用しても差し支えない。他のアミンとしては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、及び/又は上記以外の環状第三級アミンが挙げられる。
【0040】
また、上記の一般式(2)で表されるケイ素化合物は市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものを用いてもよい。
【0041】
上記の工程1に用いる原料(2)及び(3)の純度としては、特に限定はないが、精製工程での精製のし易さを考慮すると、95%以上が好ましく、98%以上が特に好ましい。
【0042】
上記の工程1においては、必要に応じて触媒を用いても良い。当該触媒としては、ケイ酸エステルと環状第三級アミノアルコールとの反応を加速するものであれば、特に制限はないが、例えば、チタンテトラn-ブトキシド等のチタンアルコキシド、ヘテロポリ酸、塩酸、p-トルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酸性イオン交換樹脂等の酸性触媒、ピペリジン、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類酸化物、四級アンモニウム塩化合物、四級ホスホニウム塩化合物、塩基性イオン交換樹脂等の塩基性触媒、ヨウ素、臭化ヨウ素等のハロゲン化合物、又は金属ナトリウムが挙げられる。
【0043】
これらの触媒は単独で用いることもできるし、2種以上の混合物としても用いることができる。当該触媒の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、液体でもよいし、粉末状でもよいし、粒状でもよい。また、触媒の調製法は特に限定されるものではなく、市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでもよく、特に限定されない。
【0044】
前記の工程1においては、反応を行う際には溶媒を用いても差し支えない。当該溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、又はキシレン等を用いることが可能である。また、これらの溶媒は1種を単独で用いることもできるし、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0045】
前記の工程1において、反応温度、は特に限定されないが、通常、10℃~200℃の範囲で行われる。好ましい反応温度は20~80℃である。上記範囲内であれば、反応速度が実用的であるという点で好ましく、生成物の分解や腐食等による装置の劣化が少ないという点で好ましい。
【0046】
前記の工程1において、反応圧力は特に限定されないが、通常、常圧~1MPaの範囲で行われる。上記範囲内であれば、反応速度が実用的であるという点で好ましく、生成物の分解や腐食等による装置の劣化が少ないという点で好ましい。
【0047】
前記の工程1において、原料濃度は特に限定されないが、生産効率を高くするため、環状第三級アミノアルコール(3)の濃度を10重量%以上とすることが好ましい。
【0048】
なお、当該工程1において、一般式(2)で表されるケイ素化合物と一般式(3)で表される環状第三級アミノアルコールとの混合比率については、特に限定するものではないが、生産効率を高くするために、一般式(2)で表されるケイ素化合物 1モルに対して、一般式(3)で表される環状第三級アミノアルコール 0.25倍モル~4倍モルの比率が好ましく、一般式(2)で表されるケイ素化合物 1モルに対して、一般式(3)で表される環状第三級アミノアルコール 0.5倍モル~2倍モルの比率がより好ましく、一般式(2)で表されるケイ素化合物 1モルに対して、一般式(3)で表される環状第三級アミノアルコール 0.75倍モル~1.5倍モルの比率がより好ましい。
【0049】
前記の工程1における反応方式としては、流通式反応、回分式反応、半回分式反応のいずれも使用することができ特に限定されないが、生産性の点で流通式反応が好ましい。
【0050】
前記の工程1において、反応の雰囲気は特に限定されず、例えば空気中、もしくは不活性雰囲気中で行われる。なお、空気中の水分による原料又はケイ素含有環状第三級アミンの分解を極力避ける目的で、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
【0051】
上記の工程1によって製造された本発明のケイ素含有環状第三級アミンについては、そのシラノール残基の反応性に基づいたシランカップリング剤としての利用が可能である。即ち、本発明のケイ素含有環状第三級アミンについては、そのシラノール基部分が加水分解反応を起こして、別途ヒドロキシ基やスルフィド基等の反応性基(例えば、担体が有する反応性基)と反応して新たな共有結合を形成することができる。また、本発明のケイ素含有環状第三級アミンについては、そのシラノール基同士が縮合反応を起こし、ケイ素含有環状第三級アミンの重縮合物を形成することができる。
【0052】
次に、本発明の環状三級アミン含有担体を製造する製造方法である上記の工程2について説明する。当該工程2については、少なくとも、担体 100重量部と、上記の一般式(1)で示されるケイ素含有環状第三級アミン 1~80重量部を混合し、その後、加熱することを特徴とする。
【0053】
上記の製造方法に用いる担体としては、特に限定するものではないが、例えば、活性炭、セルロース、シリカ、シリカゲル、アルミナ、アルミノシリケート、ゼオライト、マグネシア、チタニア、ジルコニア、セリア、珪藻土、及びヒドロキシアパタイトからなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。これらのうち、好ましくは、活性炭、シリカ及びセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である。なお、2種以上を用いる場合、その種類及び比率は任意に変更することができる。
【0054】
当該担体については、従来公知のものを用いてもよいし、従来公知の方法で合成したものを用いてもよい。当該担体の原材料、合成法、表面積、細孔径等は、特に限定されるものではない。また、当該担体の形状としては、特に限定するものではないが、例えば、球状(球状粒子等)、粒状、繊維状、顆粒状、モノリスカラム、中空糸、膜状(平膜等)等が挙げられる。これらのうち、入手の容易さや取扱いのしやすさ、加工性から球状、膜状、粒状、又は繊維状が好ましい。
【0055】
粒子状担体を使用する場合においては、粒径としては通常1μm~10mmの範囲のものが使用できるが、吸着剤としての圧力損失の適当さ及び製造のしやすさ等の点から、5μm~1mmの範囲が好ましい、平均細孔径としては通常1nm~100μmの範囲のものが使用でき、吸着性能の点から1nm~100nmの範囲が好ましい。
【0056】
本発明の環状第三級アミン含有担体は、担体からの放出物が僅少であることを特徴とする。例えば、10gの水に対して1gの環状第三級アミン含有担体を1時間浸漬した際の溶出物は、該環状第三級アミン含有担体に対して5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3重量%以下である。また、60℃において1時間での揮発有機物量が5μg/g以下であることが好ましく、より好ましくは3μg/g以下である。
【0057】
上記の工程2の操作を行うことによって、一般式(1)で示されるケイ素含有環状第三級アミンが、シラノール基を介して、重縮合したり上記の担体との共有結合を形成したりする。これによって、環状第三級アミン含有担体、即ち、一般式(1)で示されるケイ素含有環状第三級アミンの変成物が担体に固定化された吸着剤が製造される。
【0058】
このような、前記担体と前記アミンを混合する操作、及び得られた混合物を加熱する操作を行う際においては、水や溶媒を共存させた状態で行うこともできる。なお、当該水については、ケイ素含有環状第三級アミンの加水分解反応や縮合反応を促進することができるため、上記操作において共存させることが好ましく、その際の水の使用量としては、反応促進の観点で、ケイ素含有環状第三級アミン 1モルに対し、1~1000倍モルであることが好ましく、2~100倍モルであることがより好ましい。
【0059】
前記の溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、メトキシエタノール、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエン、又はキシレン等を挙げることができる。また、これらの溶媒は1種単独のみならず、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることもできる。中でも安価なメタノール、又はエタノールが好ましい。
【0060】
前記担体と前記アミンを混合する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、単純に前記担体に前記アミンを直接、滴下したり、噴霧したり、懸濁させたり、流通させたりする方法を挙げることができるし、前記アミンをあらかじめ前記溶媒に溶解して希釈したうえで、前記担体に、滴下したり、噴霧したり、懸濁させたり、流通させたりする方法を挙げることができる。また、このようにして混合して得られた混合物については、更に、乳鉢や撹拌装置、粉砕装置等を用いて物理的に混合させることもできる。
【0061】
本発明の製造方法において、加熱の温度については、前記アミンの反応を促進する点で、50℃~200℃が好ましく、60℃~150℃がより好ましい。
【0062】
前記の加熱時の反応圧力については、前記アミンの反応を促進する点で、常圧~1MPaの範囲が好ましい。
【0063】
前記の加熱時の雰囲気は特に限定されず、例えば、空気、又は不活性雰囲気を挙げることができる。
【0064】
本発明の製造方法においては、担体 100重量部に対して上記の一般式(1)で示されるケイ素含有環状第三級アミンを1~80重量部の範囲で混合させることを特徴とするが、吸着剤の性能及びコストの点から、前記アミンの混合量を10~50重量部の範囲とすることが好ましく、前記アミンの混合量を10~30重量部の範囲とすることがより好ましい。
【0065】
本発明の製造方法において、用いる担体は、処理効率の低下を防ぐため、表面処理が施されていないことが望ましいが、反応活性部位が残留する範囲であれば、事前に表面処理が施されていても特に問題はない。また逆に、処理密度を増大させるため、担体に予め活性化処理を施しても差し支えない。
【0066】
このようにして製造された本発明の吸着剤(環状第三級アミン含有担体)は、担体からの環状第三級アミンの脱離が非常に少ないため、環状第三級アミンの脱離による環境汚染の悪影響を抑えることができるという効果を奏する。また、本発明の吸着剤については、ヨウ素(有機ヨウ素化合物を含む)を効率的に吸着除去する効果を奏するものであるが、それだけでなく、ハロゲン単体、ハロゲン化水素酸及び酸性物質の化学物質の吸着及び除去に好適に使用することができる。
【0067】
上記の製造方法によって得られた吸着剤については、上記のケイ素含有環状第三級アミンの加水分解反応、及び又は縮合反応によって生成する生成物を含有する担体からなる吸着剤となる。このようにして得られた本発明の吸着剤については、種々の化学物質の吸着剤として使用できる。例えば、本発明の環状第三級アミン含有担体を、フィルター内に充填すれば、化学物質吸着フィルターとして使用することができる。具体的には揮発ヨウ素の吸着フィルターとして好適に使用することができる。
【0068】
また、このようにして得られた本発明の吸着剤については、担体からの環状第三級アミンの脱離が抑制されていることを特徴とするため、防毒マスク用フィルターや、水道水浄化フィルターとしても利用可能である。
【実施例】
【0069】
本発明を以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0070】
合成した化合物の分析は、日立ハイテクサイエンス社製 高速液体クロマトグラフChromaster5610質量検出器を使用して行った。
【0071】
環状第三級アミン含有担体に含まれる環状第三級アミンの含有量は、担体からの重量増がケイ素含有環状第三級アミンの加水分解により生じたシルセスキオキサン(アルコキシ基をすべて脱離し、ケイ素原子に対し1.5モル比の酸素を有する重合体)が生じたものとして算出した。
【0072】
合成例1(トリエチレンジアミン担持物の調製) 50mLのナスフラスコにトリエチレンジアミン(東ソー社製)を3.5g(31.2mmol)、シリカゲル(富士フイルム和光純薬社製 Wakogel(登録商標) C-300)を10.0g、メタノールを30g加え、室温で10分間撹拌した。次いで、撹拌を止め、40℃に加熱しながらロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。このようにしてトリエチレンジアミン担持シリカの白色粉末13.5g(トリエチレンジアミンの含有量 2311mmol/kg、25.9重量%)を得た。
【0073】
実施例1(例示化合物1-2の調製)
【0074】
【0075】
200mLの三口フラスコに撹拌子、テトラエトキシシラン(東京化成工業社製) 44.0g(211.4mmol)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-メタノール 30.1g(211.4mmol)を入れ、10分間窒素ガスを流通させることで反応雰囲気を窒素置換した。フラスコには還流管と90°連結管曲管を接続し、反応で発生するエタノールが、連結管曲管を通って系外で捕集できるようにした。前記フラスコを100℃で2日間加熱し、反応液からのエタノールの発生が無くなったことを確認して、反応を停止し、茶色液体を53.6g得た。質量分析(PCI-MS)から、得られた茶色液体は目的の例示化合物1-2であることを確認した。
【0076】
質量分析(PCI-MS):305(M+1)
実施例2(環状第三級アミン含有担体の調製)
50mLのナスフラスコに、実施例1で調製した例示化合物1-2を2.4g(7.9mmol)、シリカゲル(富士フイルム和光純薬社製 Wakogel C-300)を5.0g加え、室温で3日間撹拌した。次いで、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した後に、マッフル炉を用いて窒素雰囲気下、140℃で10時間加熱した。当該操作によって、前記シリカゲル上で例示化合物1-2が反応して、その加水分解反応生成物や縮合反応生成物が形成された。得られた白色粉末を濾紙を敷いたブフナー漏斗上にろ取し、メタノールで洗浄したのちに、マッフル炉を用いて窒素雰囲気下、120℃で終夜乾燥した。このようにして環状第三級アミン含有シリカ1の白色粉末6.0g(ケイ素含有環状第三級アミンの含有量 1303mmol/kg、28.7重量%)を得た。
【0077】
実施例3(例示化合物1-1の調製)
【0078】
【0079】
実施例1において、テトラエトキシシラン 44.0g(211.4mmol)の代わりに、テトラメトキシシラン(東京化成工業社製) 32.2g(211.4mmol)を用い、副生する液体としてメタノールを捕集したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、例示化合物1-1を52.7gの茶色液体として得た。質量分析(PCI-MS)から、得られた茶色液体は目的の例示化合物1-1であることを確認した。
【0080】
質量分析(PCI-MS):263(M+1)
実施例4(環状第三級アミン含有担体の調製)
実施例2において、例示化合物1-2 2.4g(7.9mmol)の代わりに、実施例3で調製した例示化合物1-1 2.0g(7.6mmol)を用いたこと以外は、実施例2と同様の操作をおこない、環状第三級アミン含有シリカ2の白色粉末5.9g(環状第三級アミンの含有量 1303mmol/kg、28.7重量%)を得た。
【0081】
実施例5(担体からの環状第三級アミンの脱離性の評価)
ガラスチューブに、実施例2で得られた環状第三級アミン含有シリカ1を15mg入れ、30℃で1時間加温し、揮発した成分をTENAX(登録商標)吸着剤で吸着した。その後、吸着成分を加熱して再脱離させ、GC-MSで分析し、揮発した環状第三級アミンを定量した。測定した結果、環状第三級アミンは非検出(<1μg/g-サンプル、トリエチレンジアミン換算で、<1mmol/kg-サンプルに相当)であった。結果を表1に記載する。
【0082】
実施例6(担体からの環状第三級アミンの脱離性の評価)
ガラスチューブに、実施例2で得られた環状第三級アミン含有シリカ1を15mg入れ、60℃で1時間加熱し、揮発した成分をTENAX(登録商標)吸着剤で吸着した。その後、吸着成分を加熱して再脱離させ、GC-MSで分析し、揮発した環状第三級アミンを定量した。測定した結果、環状第三級アミンは非検出(<1μg/g-サンプル、トリエチレンジアミン換算で、<1mmol/kg-サンプルに相当)であった。結果を表1に記載する。
【0083】
実施例7(担体からの環状第三級アミンの脱離性の評価)
ガラスチューブに、実施例2で得られた環状第三級アミン含有シリカ1を15mg入れ、90℃で1時間加熱し、揮発した成分をTENAX(登録商標)吸着剤で吸着した。その後、吸着成分を加熱して再脱離させ、GC-MSで分析し、揮発した環状第三級アミンを定量した。測定した結果、環状第三級アミンは非検出(<1μg/g-サンプル、トリエチレンジアミン換算で、<1mmol/kg-サンプルに相当)であった。結果を表1に記載する。
【0084】
下記の比較例1~3との対比から、本発明の環状第三級アミン含有担体は、環状第三級アミンが担体に効果的に固定されており、環状第三級アミンの揮発が抑制されることが明らかとなった。
【0085】
実施例8(担体からの環状第三級アミンの脱離性の評価)
ガラスチューブに、実施例4で得られた環状第三級アミン含有シリカ2を15mg入れ、30℃で1時間加熱し、揮発した成分をTENAX(登録商標)吸着剤で吸着した。その後、吸着成分を加熱して再脱離させ、GC-MSで分析し、揮発した環状第三級アミンを定量した。測定した結果、環状第三級アミンは非検出(<1μg/g-サンプル、トリエチレンジアミン換算で、<1mmol/kg-サンプルに相当)であった。結果を表1に記載する。
【0086】
実施例9(担体からの環状第三級アミンの脱離性の評価)
ガラスチューブに、実施例4で得られた環状第三級アミン含有シリカ2を15mg入れ、60℃で1時間加熱し、揮発した成分をTENAX(登録商標)吸着剤で吸着した。その後、吸着成分を加熱して再脱離させ、GC-MSで分析し、揮発した環状第三級アミンを定量した。測定した結果、環状第三級アミンは非検出(<1μg/g-サンプル、トリエチレンジアミン換算で、<1mmol/kg-サンプルに相当)であった。結果を表1に記載する。
【0087】
実施例10(担体からの環状第三級アミンの脱離性の評価)
ガラスチューブに、実施例4で得られた環状第三級アミン含有シリカ2を15mg入れ、90℃で1時間加熱し、揮発した成分をTENAX(登録商標)吸着剤で吸着した。その後、吸着成分を加熱して再脱離させ、GC-MSで分析し、揮発した環状第三級アミンを定量した。測定した結果、環状第三級アミンは非検出(<1μg/g-サンプル、トリエチレンジアミン換算で、<1mmol/kg-サンプルに相当)であった。結果を表1に記載する。
【0088】
比較例1(担体からの環状第三級アミンの脱離性の評価)
ガラスチューブに、合成例1で得られたトリエチレンジアミン担持シリカ(トリエチレンジアミンの担持量 2311mmol/kg)を15mg入れ、30℃で1時間加熱し、揮発した成分をTENAX(登録商標)吸着剤で吸着した。その後、吸着成分を加熱して再脱離させ、GC-MSで分析し、トリエチレンジアミンを定量した。測定した結果、トリエチレンジアミンとして449μg/g-サンプルの量(4mmol/kg-サンプルに相当)が検出された。結果を表1に記載する。
【0089】
比較例2(担体からの環状第三級アミンの脱離性の評価)
ガラスチューブに、合成例1で得られたトリエチレンジアミン担持シリカ(トリエチレンジアミンの担持量2311mmol/kg)を15mg入れ、60℃で1時間加熱し、揮発した成分をTENAX(登録商標)吸着剤で吸着した。その後、吸着成分を加熱して再脱離させ、GC-MSで分析し、トリエチレンジアミンを定量した。測定した結果、トリエチレンジアミンとして188409μg/g-サンプルの量(1680mmol/kg-サンプルに相当)が検出された。結果を表1に記載する。
【0090】
比較例3(担体からの環状第三級アミンの脱離性の評価)
ガラスチューブに、合成例1で得られたトリエチレンジアミン担持シリカ(トリエチレンジアミンの担持量2311mmol/kg)を15mg入れ、60℃で1時間加熱し、揮発した成分をTENAX(登録商標)吸着剤で吸着した。その後、吸着成分を加熱して再脱離させ、GC-MSで分析し、トリエチレンジアミンを定量した。測定した結果、トリエチレンジアミンとして253679μg/g-サンプルの量(2262mmol/kg-サンプルに相当)が検出された。結果を表1に記載する。
【0091】
これより、環状第三級アミンを物理的に担体に吸着させた場合、環状第三級アミンが容易に揮発することが明らかとなった。
【0092】
【0093】
表1の結果から、本発明の環状第三級アミン含有担体は、環状第三級アミンが担体に効果的に固定されており、環状第三級アミンの揮発が抑制されることが明らかとなった。
【0094】
実施例11(ヨウ化メチル吸着性能の評価)
10LのテドラーバッグAに5Lの窒素ガス、100μLのヨウ化メチル(東京化成工業社製、ヨードメタンを充填し、60℃で3分間加熱してヨウ化メチルを完全に気化させた(7160ppmのヨウ化メチルガス)。0.50gの環状第三級アミン含有シリカ1(実施例2に記載)を充填したテフロン(登録商標)製チューブに、上記のヨウ化メチルガスを流速0.1L/分で5L通気させ、排気を別のテドラーバッグBに回収した。通気前後のサンプルガスのヨウ化メチル濃度を、それぞれガスクロマトグラフで分析し、ヨウ化メチル濃度変化から、ヨウ化メチル吸着率(%)を評価した。結果を表2に記載する。
【0095】
【0096】
実施例12(ヨウ化メチル吸着性能の評価)
実施例11において、環状第三級アミン含有シリカ1 0.50gの代わりに、環状第三級アミン含有シリカ2(実施例4に記載) 0.50gを用いたこと以外は、実施例11と同様の操作を行い、ヨウ化メチル吸着性能を評価した。結果を表2に記載する。
【0097】
比較例4
実施例11において、環状第三級アミン含有シリカ1 0.50gの代わりに、シリカゲル(富士フイルム和光純薬株式会社製 Wakogel(登録商標) C-300) 0.50gを用いたこと以外は、実施例11と同様の操作を行い、ヨウ化メチル吸着性能を評価した。結果を表2に記載する。
【0098】
【0099】
表2の結果から、本発明の第三級アミン含有担体は、ヨウ化メチルの吸着・除去に有用であることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の環状第三級アミン含有担体は、従来の環状第三級アミンを物理的に担持した担持物(例えば、トリエチレンジアミンが含有された活性炭)と同様、ヨウ素、塩化シアン、二酸化窒素等の化学物質の吸着及び除去において有用である。