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特許7585707画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241112BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241112BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241112BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20241112BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H04N1/00 519
G03G15/00 107
G03G21/16 104
G03B27/62
H04N1/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020177863
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2022068985
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 元啓
(72)【発明者】
【氏名】穂園 智英
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-200400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
G06T 1/00
G03B 27/50-27/70
G03G 15/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面にコンタクトガラスが装着され、原稿の画像を光学的に読取る光学読取部を内部に収容するスキャナー筐体と、該スキャナー筐体の端部に設けられた一対のヒンジ機構と、該一対のヒンジ機構により水平方向に延びる軸線回りに回動可能に支持され、前記スキャナー筐体の上面を開閉可能に覆うとともに、閉位置において前記コンタクトガラスの上面の画像読取位置に原稿を搬送する原稿搬送装置とを備えた画像読取装置であって、
前記スキャナー筐体は、その上面における前記コンタクトガラスの外側に位置する部分に位置決め係合部を有し、
前記光学読取部は、前記原稿搬送装置によって前記画像読取位置に搬送される原稿の表面の画像を読取るように構成され、
前記原稿搬送装置は、閉位置において前記スキャナー筐体の上面を覆うベース部材と、該ベース部材の上面に装着され、原稿搬送用の機器を収容する搬送ハウジングと、原稿搬送路を搬送される原稿の裏面画像を読取るコンタクトイメージセンサーと、前記搬送ハウジングの内部に上側から装着され、前記コンタクトイメージセンサーが取付けられるCIS取付フレームとを有し、
前記原稿搬送装置は、閉位置において前記位置決め係合部と係合する被係合部を前記CIS取付フレームに有していて、該被係合部と前記位置決め係合部とが係合することで、前記コンタクトガラスの上面に沿った平面内において位置決めされ、
前記原稿搬送装置は、前記一対のヒンジ機構に対して前記平面内における位置を調整可能に固定される、画像読取装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像読取装置において
記CIS取付フレームは、上下方向に延び、前記搬送ハウジングに設けられた一対の位置決め孔及び前記ベース部材に設けられた一対の位置決め孔を貫通する一対の位置決め棒を有し、
前記一対の位置決め棒は、前記原稿搬送装置が閉位置にある状態で前記ベース部材の下面から下側に突出する位置決め突部を前記被係合部として有しており、
前記位置決め係合部は、前記原稿搬送装置が閉位置に移動した際に前記位置決め突部と係合する係合凹部からなる、画像読取装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像読取装置において、
前記ベース部材は、前記原稿搬送装置が閉位置にあるときに前記スキャナー筐体の上面を覆う原稿押さえ面を有しており、
前記ヒンジ機構は、前記原稿搬送装置に螺子で固定される回動部と、該回動部を前記軸線回りに回動可能に支持する静止支持部と、該静止支持部の下面から下方に延びる脚部とを有し、前記回動部は、前記原稿搬送装置の前記ベース部材に対して、前記原稿押さえ面側とは反対側から固定可能に構成されている、画像読取装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置を備えた画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、原稿搬送装置を備えた画像読取装置が知られている。この画像読取装置は、上面にコンタクトガラスが装着されたスキャナー筐体を有している。
【0003】
原稿搬送装置は、スキャナー筐体の後端部に一対のヒンジ機構を介して取付けられている。一対のヒンジ機構は、水平方向に延びるヒンジ軸を有している。原稿搬送装置は、このヒンジ軸を支点に上下に回動することでスキャナー筐体の上面を開閉可能になっている。原稿搬送装置は、閉位置においてスキャナー筐体の上面の画像読取位置に向けて原稿を搬送する。スキャナー筐体内における画像読取位置の直下には、原稿を光学的に読取る読取りユニットが待機しており、画像読取位置を通過する原稿の画像が読取りユニットにより読取られる。
【0004】
この種の画像読取装置では、コンタクトガラス上の画像読取位置を通過する原稿が所定方向(主走査方向に直交する副走査方向)に対して傾いて搬送されると、読取ユニットにより読取った原稿画像が背景画像に対して傾いてしまうという問題がある。
この問題に対して、特許文献1に示す画像読取装置では、原稿搬送装置の位置を調整するための位置調整機構を備えるようにしている。この位置調整機構では、閉位置にある原稿搬送装置を、一方のヒンジ機構を支点に画像読取装置の前後方向に揺動させることで原稿搬送装置の位置(コンタクトガラスの上面に沿った平面内の傾き)を調整可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-227974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示す画像読取装置では、位置調整機構の構成が複雑になるため部品点数が増加して製品コストが上昇するという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、安価な構成によりスキャナー筐体に対する原稿搬送装置の位置決めを精度良く行うことができる画像読取装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像読取装置は、上面にコンタクトガラスが装着され、原稿の画像を光学的に読取る光学読取部を内部に収容するスキャナー筐体と、該スキャナー筐体の端部に設けられた一対のヒンジ機構と、該一対のヒンジ機構により水平方向に延びる軸線回りに回動可能に支持され、前記スキャナー筐体の上面を開閉可能に覆うとともに、閉位置において前記コンタクトガラスの上面の画像読取位置に原稿を搬送する原稿搬送装置とを備えている。そして、前記スキャナー筐体は、その上面における前記コンタクトガラスの外側に位置する部分に位置決め係合部を有し、前記原稿搬送装置は、閉位置において前記位置決め係合部と係合する被係合部を有していて、該被係合部と前記位置決め係合部とが係合することで、前記コンタクトガラスの上面に沿った平面内において位置決めされ、前記原稿搬送装置は、前記一対のヒンジ機構に対して前記平面内における位置を調整可能に固定される。
【0009】
本発明に係る画像形成装置は前記画像読取装置を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安価な構成によりスキャナー筐体に対する原稿搬送装置の位置決めを精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態における原稿搬送装置を備えた画像形成装置を示す概略図である。
図2図2は、原稿搬送装置を示す縦断面図である。
図3図3は、原稿搬送装置を示す斜視図である。
図4図4は、スキャナー筐体の左側半部を拡大して示す斜視図である。
図5図5は、原稿搬送装置を示す分解斜視図である。
図6図6は、ヒンジ機構を示す斜視図である。
図7図7は、原稿搬送装置のベース部材におけるヒンジ機構との連結部を拡大して示す上側から見た平面図である。
図8図8は、原稿搬送装置のベース部材の左側半部を拡大して示す上側から見た平面図である。
図9図9は、原稿搬送装置の搬送ハウジングを示す上側から見た平面図である。
図10図10は、原稿搬送装置のCIS取付フレームを示す斜視図である。
図11図11は、原稿搬送装置を下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
《実施形態》
図1は、実施形態における原稿搬送装置200を備えた画像形成装置Xの概略構成図であり、図2は、原稿搬送装置200の縦断面図である。原稿搬送装置200は、画像読取装置300の一部を構成している。画像形成装置Xは、画像読取装置300により読取った原稿画像を印刷する複写機とされている。
【0014】
画像形成装置Xは、外観視で矩形箱状をなす画像形成装置本体1を有しており、上記画像読取装置300は画像形成装置本体1の上側に配置されている。
【0015】
画像形成装置本体1は、給紙部2、画像形成部3、及び定着部4を有している。給紙部2は、束状に積層された複数のシートPが収容された給紙カセット5と、給紙カセット5内のシートPを一枚ずつ引き出して所定のシート搬送路Tに供給するピックアップローラー6とを有している。シート搬送路Tは、給紙部2から上側に向かって延びた後に水平方向に延びて排出トレイ7に繋がっている。
【0016】
画像形成部3は、感光体ドラム8、帯電装置9、現像装置10、トナーコンテナ11、転写ローラー12、及び除電装置13を備えている。そして、画像形成部3では、給紙部2から供給されるシートPに以下の手順で画像を形成する。
【0017】
具体的には、先ず帯電装置9が感光体ドラム8を所定の電位に帯電させる。次に、不図示のレーザースキャニングユニット(LSU)により感光体ドラム8の表面に画像データに基づく光を照射する。これにより、感光体ドラム8の表面に静電潜像を形成する。
【0018】
そして、現像装置10が感光体ドラム8上の静電潜像にトナーを供給して現像する。転写ローラー12は、シートPを挟んで感光体ドラム8に圧接した状態で回転する。このとき、転写ローラー12には転写電圧が印加されているので、感光体ドラム8の表面のトナー像がシートPに転写される。トナーが転写されたシートPは後述する定着部4へと供給される。前記除電装置13は、シートPにトナー像を転写した後の感光体ドラム8の表面の電荷を除電する。
【0019】
定着部4は、互いに圧接された定着ローラー15及び加圧ローラー16を有している。定着ローラー15内にはヒーターが内蔵されている。定着部4は、定着ローラー15及び加圧ローラー16によりシートPを挟持して搬送しながらトナー像を加熱及び加圧して当該シートPに定着させる。
【0020】
[画像読取装置の構成]
画像読取装置300は、画像形成装置本体1の上側に載置されたスキャナー筐体17と、スキャナー筐体17に対してその上面を開閉可能に取付けられた原稿搬送装置200とを有している。
【0021】
図2図4に示すように、スキャナー筐体17は、平面視が矩形状をなす箱状体で構成されている。スキャナー筐体17は、画像形成装置本体1の上面に位置決めされた状態でボルトで固定されている。
【0022】
スキャナー筐体17は、本体筐体部17aと蓋部17b(図4参照)とで構成されている。本体筐体部17a及び蓋部17bは共に樹脂材料により型成形される。本体筐体部17aは、上側に開放する偏平な矩形箱状をなしている。
【0023】
蓋部17bは、矩形状の開口部にコンタクトガラス18を装着して構成されている。コンタクトガラス18は、固定読取り方式で使用される第一コンタクトガラス18aと、シートスルー方式で使用される第二コンタクトガラス18bとからなる。第一コンタクトガラス18aは、蓋部17bの左側端部を除く大半の部分に設けられている。第二コンタクトガラス18bは蓋部17bの左側端部に設けられている。
【0024】
スキャナー筐体17におけるコンタクトガラス18よりも後側の部分には、後述するヒンジ機構30の脚部34が嵌挿される一対の脚部挿入孔17c(図4では一方のみを示す)が形成されている。一対の脚部挿入孔17cは、上側に開放する矩形筒状をなしており、左右方向に間隔を空けて配置されている。
【0025】
また、スキャナー筐体17における第一コンタクトガラス18aよりも左側の部分には、原稿搬送装置200の位置決めを行うための前側係合凹部17d及び後側係合凹部17eが設けられている。前側係合凹部17dは、上側に開放する有底円筒状の凹部であって、スキャナー筐体17の蓋部17bにおける前側且つ左側の隅部に形成されている。後側係合凹部17eは、前後方向に長い長孔状の有底凹部であって、スキャナー筐体17の蓋部17bにおける後側且つ左側の隅部に形成されている。前側係合凹部17d及び後側係合凹部17eが位置決め係合部に相当する。
【0026】
スキャナー筐体17の内部には、原稿シートSに向けて光を照射するとともにその反射光を基に画像データを生成する読取ユニット19(図2参照)が収容されている。読取ユニット19(光学読取部の一例)には、原稿の表面画像を光学的に読取るコンタクトイメージセンサーが搭載されている。尚、スキャナー筐体17の底壁に画像センサー(例えばCCDセンサー等)を固定しておき、読取ユニット19に搭載した反射ミラーによって原稿画像からの反射光をCCDセンサーに導くようにしてもよい。この場合、CCDセンサー及び読取ユニット19が光学読取部として機能する。
【0027】
画像読取装置300は、シート固定方式とシートスルー方式とのいずれかにより原稿シートSの画像を読取る。具体的には、画像読取装置300は、シート固定方式による読取動作では、読取ユニット19を図2の左右方向に往復走査させながら第一コンタクトガラス18a上の原稿シートSの画像を読取る。一方、画像読取装置300は、シートスルー方式の読取動作では、原稿搬送装置200により第二コンタクトガラス18b上の画像読取位置Rに原稿シートSを一枚ずつ連続的に供給しながら、該画像読取位置Rの直下に静止させた読取ユニット19によって当該原稿シートSの画像を読取る。
【0028】
[原稿搬送装置の構成]
原稿搬送装置200は、後述する一対のヒンジ機構30を介してスキャナー筐体17に取付けられている。原稿搬送装置200は、ヒンジ軸を支点に上下に回動することでスキャナー筐体17の上面を開閉可能になっている。原稿搬送装置200は、固定読取方式及びシートスルー方式のいずれの場合も閉位置に固定して使用される。原稿搬送装置200は、固定読取方式においては原稿押さえカバーとして機能する。使用者は、原稿搬送装置200を閉位置から上側に開放することで、第一コンタクトガラス18a上の原稿を交換可能になっている。
【0029】
図2に示すように、原稿搬送装置200は、原稿セットトレイ21と、原稿搬送路22と、シート排出トレイ23とを有している。
【0030】
原稿搬送路22は、ケーシング20の上端部に形成されたシート供給口201から、ケーシング20の下端部に形成されたシート排出口202に至るU字状の搬送路である。 原稿セットトレイ21は、ケーシング20におけるシート供給口201の下側に接続されている。シート排出トレイ23は、シート排出口202の下側に接続されており、後述するベース部材210の上面により構成されている。シート排出トレイ23の上面には、シート排出口202から排出された原稿シートSが積載される。
【0031】
原稿搬送装置200は、シートスルー方式による原稿読取時には、原稿セットトレイ21に載置された原稿シートSを給紙ローラー24及び複数の搬送ローラー26により原稿搬送路22に沿って搬送した後、排紙ローラー27によりシート排出トレイ23に排出する。原稿搬送路22の途中の位置が画像読取位置Rとされている。画像読取位置Rの直下には、第二コンタクトガラス18bを挟んで読取ユニット19が待機しており、この読取ユニット19により原稿シートSの表面の画像が読取られる。また、原稿搬送路22における画像読取位置Rよりも上流側にはコンタクトイメージセンサー29が設けられており、該コンタクトイメージセンサー29により原稿シートSの裏面の画像が読取られる。尚、コンタクトイメージセンサー29は、英語表記である「Contact Image Sensor」を略して「CIS」とも称される。
【0032】
[原稿搬送装置のアッセンブリ構造]
図5に示すように、原稿搬送装置200は、ベース部材210、搬送ハウジング220、CIS取付フレーム230、及び一対のヒンジ機構30を有している。
【0033】
[ヒンジ機構の詳細]
一対のヒンジ機構30は、原稿搬送装置200をスキャナー筐体17に対して開閉可能に支持する。具体的には、一対のヒンジ機構30は、原稿搬送装置200におけるベース部材210の後端部に左右方向に間隔を空けて配置されている。
【0034】
図6に示すように、各ヒンジ機構30は、回動部31、静止支持部32、及び脚部33を有している。回動部31は、原稿搬送装置200が固定される矩形板状の回動ブラケット部31aと、回動ブラケット部31aの下面から突出するブロック状の突出部(図示省略)とを有している。回動ブラケット部31aには三つの取付孔31bが形成されており、回動ブラケット部31aは、各取付孔31bに挿通された螺子211(図7参照)により原稿搬送装置200のベース部材210に固定される。この取付孔31bは、螺子211の軸部の軸径よりも大きい。螺子211の頭部は、螺子211の軸部が各取付孔31b内の如何なる位置に配置されても十分な掛かり代を有するような大きさに形成されている。
【0035】
回動ブラケット部31aの下面に突設された前記ブロック部(図示省略)には、左右方向に延びるヒンジ軸が貫通している。このヒンジ軸の両端部は、静止支持部32(図6参照)に回動可能に支持されている。図中の二点鎖線の直線はヒンジ軸の軸線に一致する回転軸線Bを表している。そして、回動部31は、この回転軸線Bの回りに矢印D方向に回動可能になっている。
【0036】
静止支持部32は、上側に開放する有底の矩形筒状に形成されている。静止支持部32における左右方向に対向する一対の壁部には、前記ヒンジ軸が回動可能に支持されている。
【0037】
脚部33は、静止支持部32の底壁から下側に向かって鉛直に延びている。脚部33の下端部は、下側ほど前後方向の寸法が減少するように前面部がテーパー状に傾斜している。
脚部33は、前記スキャナー筐体17の後端部に形成された脚部挿入孔17c(図4参照)に嵌挿される。
【0038】
[原稿搬送装置のベース部材の詳細]
図5図7及び図8を参照してベース部材210について説明する。ベース部材210は、左右方向に長い偏平な矩形状部材からなる。ベース部材210の上面には、原稿セットトレイ21(図5参照)が連結壁25を介して一体形成されている。
【0039】
ベース部材210は、固定読取方式においては原稿シートSを上側から押さえて固定する原稿押さえ部材として機能する。ベース部材210の下面は原稿押さえ面210hとして機能する。
【0040】
図7に示すように、ベース部材210の上面(原稿押さえ面とは反対側面)には、ヒンジ機構30の回動ブラケット部31aを取付けるための左右一対の取付面210a(図7では右側の取付面210aのみを示す)が形成されている。取付面210aには、ヒンジ機構30の静止支持部32及び脚部33を貫通させる貫通孔210bが形成されている。取付面210aにおける貫通孔210bの左右両側には、固定用の螺子211が螺合する螺子孔(図示省略)が形成されている。
【0041】
図8に示すように、ベース部材210の左側半部には、後述する搬送ハウジング220との間で原稿搬送路22(図2参照)の一部を形成する搬送路形成部210gが形成されている。ベース部材210における搬送路形成部210gの前側及び後側にはそれぞれ、前側貫通孔210c及び後側貫通孔210dが形成されている。前側貫通孔210c及び後側貫通孔210dは共にベース部材210の厚さ方向に貫通している。前側貫通孔210cは、その貫通方向から見て円形状に形成されている。前側貫通孔210cの周縁には、筒状ガイド部210eが起立して接続されている。一方、後側貫通孔210dは、その貫通方向から見て、前後方向に長い長孔状に形成されている。後側貫通孔210dの周縁には、筒状ガイド部210fが起立して接続されている。前側貫通孔210c及び後側貫通孔210dが、ベース部材210に形成された一対の位置決め孔に相当する。
【0042】
[原稿搬送装置の搬送ハウジングの詳細]
搬送ハウジング220(図5参照)は、原稿搬送路22に一部を形成するとともに、該原稿搬送路22に沿って配置される搬送ローラー等の機器類を収容する。
【0043】
具体的には、搬送ハウジング220は、図9に示すように、ベース部材210の前端部及び後端部にそれぞれ接続される前側壁220a及び後側壁220bと、該両側壁220a,220bの下端部同士を連結する連結壁220cとを有している。原稿搬送装置200の組立完了状態では、前側壁220a及び後側壁220bは、前カバー20a及び後カバー20b(図3参照)により覆われて外部からは見えないようになっている。
【0044】
また、原稿搬送装置200の組立完了状態では、連結壁220cは、開閉カバー20cにより開閉可能に覆われて外部から見えないようになっている。連結壁220cは、開閉カバー20cの内面に支持された搬送路形成部材20d(図2参照)との間で原稿搬送路22の上側部分を形成する。また、連結壁220cは、ベース部材210の搬送路形成部210g(図8参照)との間で原稿搬送路22の下側部分を形成する。
【0045】
図9に示すように、連結壁220cの左側端部には、前側貫通孔220d及び後側貫通孔220eが貫通形成されている。前側貫通孔220d及び後側貫通孔220eは、連結壁220cにおける原稿搬送路22を形成する部分の外側に形成されている。前側貫通孔220dは、その貫通方向から見て円形状に形成されている。前側貫通孔220dの周縁には、筒状ガイド部220fが起立して接続されている。一方、後側貫通孔220eは、その貫通方向から見て前後方向に長い長孔状に形成されている。後側貫通孔220eの周縁には筒状ガイド部220gが起立して接続されている。前側貫通孔220d及び後側貫通孔220eが、搬送ハウジング220に形成された一対の位置決め孔に相当する。
【0046】
[原稿搬送装置のCIS取付フレームの詳細]
CIS取付フレーム230は、前記コンタクトイメージセンサー29(図2参照)を保持するとともに原稿搬送路22の一部を形成する部材である。CIS取付フレーム230は、搬送ハウジング220(図5参照)の内部に上側から組付けられる。
【0047】
具体的には、CIS取付フレーム230は、図10に示すように、CIS収容部231、上流側搬送ガイド部232、下流側搬送ガイド部233、一対の延出部234、及び一対の位置決め棒235を有している。CIS取付フレーム230は、例えば樹脂材料により一体成形される。
【0048】
CIS収容部231は、上側に開放する矩形箱状のケース部231aと、透光ガラス231bを含む蓋部231cとを有している。CIS収容部231の内部には、前記コンタクトイメージセンサー29が収容されている。コンタクトイメージセンサー29は、前後方向に並ぶ複数の受光素子が実装された基板と、基板を収容する収容ハウジングと、該収容ハウジングを透光ガラス231bに押し付ける付勢バネとで構成されている。
【0049】
透光ガラス231bは、前後方向に長い矩形板状をなしていて矩形枠状の前記蓋部231cの内側に装着されている。蓋部231cは、不図示の係合爪を介してケース部231aに着脱可能に装着されている。
【0050】
上流側搬送ガイド部232は、CIS収容部231におけるシート搬送方向の上流側面に接続されている。上流側搬送ガイド部232の上面は、透光ガラス231bの上面に対して略面一になるように形成されている。上流側搬送ガイド部232は、搬送される原稿シートSを透光ガラス231bの上面に向けてガイドする。
【0051】
下流側搬送ガイド部233は、CIS収容部231におけるシート搬送方向の下流側面に接続されている。下流側搬送ガイド部233の上面は、コンタクトイメージセンサー29の上面に対して略面一になるように形成されている。下流側搬送ガイド部233は、透光ガラス231bを通過した原稿シートSを下流側へとガイドする。
【0052】
一対の延出部234は、CIS収容部231におけるシート搬送方向の下流側側面から該下流側に向かって延出している。一対の延出部234は、前記下流側搬送ガイド部233を挟んで前後両側に位置している。各延出部234は、その基端部に位置するアーチ板部234a、アーチ板部234aの先端部に接続された傾斜板部234bと、傾斜板部234bの先端から下側に屈曲する先端板部234cとを有している。
【0053】
一対の位置決め棒235はそれぞれ、下流側搬送ガイド部233の前後両側に位置している。各位置決め棒235は、一対の延出部234の傾斜板部234bの下面から下側に延出している。位置決め棒235は、搬送ハウジング220及びベース部材210を串刺すように貫通することで、CIS取付フレーム230と搬送ハウジング220とベース部材210との相対的な位置関係を拘束する。また、位置決め棒235は、原稿搬送装置200を閉位置に移動させた際に、原稿搬送装置200とスキャナー筐体17との位置関係を規定するための位置決め突部235a(被係合部の一例)を有している。
【0054】
位置決め突部235aは、棒本体部235bの下端面に突設されている。位置決め突部235aは、棒本体部235bよりも小径の円柱状部であって棒本体部235bと同軸に形成されている。各位置決め突部235aは、原稿搬送装置200の組立て完了状態において、図11に示すように、ベース部材210の前側貫通孔210c及び後側貫通孔210dを貫通して、ベース部材210の下面から下側に突出している。そして、この突出した位置決め突部235aがそれぞれ、スキャナー筐体17の各係合凹部17d,17e(図4参照)に係合することで、原稿搬送装置200がスキャナー筐体17の上面に沿った平面内(本実施形態では水平面内)において位置決めされる。
【0055】
[原稿搬送装置の組立て作業及びスキャナー筐体への組付け作業について]
以上のように構成された原稿搬送装置200を組立てる際には、先ず、搬送ハウジング220(図5参照)に対してCIS取付フレーム230を上側から装着する。このとき、CIS取付フレーム230の一対の位置決め棒235を、搬送ハウジング220の前側貫通孔220d及び後側貫通孔220e(図9参照)に貫通させる。これにより、前側の位置決め棒235が前側貫通孔220dに嵌合し、後側の位置決め棒235が後側貫通孔220eに対して前後方向に遊びを持って嵌合する。こうして、CIS取付フレーム230が搬送ハウジング220に対して位置決めされた状態で装着される。この結果、CIS取付フレーム230と搬送ハウジング220とからなる第一アッセンブリA1(図5参照)が完成する。第一アッセンブリA1が完成した状態では、一対の位置決め棒235が第一アッセンブリA1の搬送ハウジング220の下面から下側に突出した状態になる(図示省略)。
【0056】
次いで、この第一アッセンブリA1をベース部材210に対して上側から組付ける。このとき、CIS取付フレーム230の一対の位置決め棒235を、ベース部材210の前側貫通孔210c及び後側貫通孔210d(図8参照)に貫通させる。これにより、前側の位置決め棒235が前側貫通孔210cに嵌合し、後側の位置決め棒235が後側貫通孔210dに対して前後方向に遊びを持って嵌合する。こうして、前記第一アッセンブリA1がベース部材210に対して位置決めされた状態で装着される。この結果、ベース部材210と第一アッセンブリA1とからなる第二アッセンブリA2が完成する。第二アッセンブリA2が完成した状態では、図11に示すように一対の位置決め棒235の位置決め突部235aがベース部材210の下面から突出する。
【0057】
次いで、第二アッセンブリA2を構成するベース部材210に一対のヒンジ機構30を組付ける。ここで、ヒンジ機構30の組付けに際しては、図7に示すように、ベース部材210の取付面210aに形成された貫通孔210bにヒンジ機構30の静止支持部32及び脚部33を上側から挿通するとともに、挿通した脚部33をスキャナー筐体17の脚部挿入孔17c(図4参照)に嵌挿する。この状態でヒンジ機構30の回動ブラケット部31a(図7参照)をベース部材210の取付面210aに当接させる。そして、回動ブラケット部31aを取付面210aに対して螺子211で仮固定する。
【0058】
この仮固定では、螺子211を完全に締め込まずにある程度緩んだ状態にしておく。これにより、第二アッセンブリA2(原稿搬送装置200にカバー20a~20cを装着していない状態のアッセンブリ)が、ヒンジ機構30の回動ブラケット部31aに対して、取付孔31bと螺子211(図7参照)の軸部の遊びの分だけ前後左右に移動可能になる。
【0059】
回動ブラケット部31aと第二アッセンブリA2との仮固定が終了した後は、ヒンジ機構30の脚部33をスキャナー筐体17の脚部挿入孔17cに対して嵌挿する。この状態で、第二アッセンブリA2を、ヒンジ機構30のヒンジ軸(図示省略)回りに回動させて閉位置(ベース部材210の原稿押さえ面210hがコンタクトガラス18に当接する位置)に移動させる。そうすると、ベース部材210の下面から突出する前記一対の位置決め突部235a(図11参照)がそれぞれ、前記スキャナー筐体17の前側係合凹部17d及び後側係合凹部17e(図4参照)に係合する。これにより、スキャナー筐体17に対する第二アッセンブリA2の前後左右の位置決めなされる。この状態で、前記螺子211(図7参照)を完全に締め込むことで、ヒンジ機構30の回動ブラケット部31aが第二アッセンブリA2のベース部材210に対して移動不能に固定(本固定)される。
【0060】
ベース部材210と回動ブラケット部31aとの本固定が完了した後は、前カバー20a、後カバー20b、及び開閉カバー20cを搬送ハウジング220の外側に装着すればよい。こうして、原稿搬送装置200の組立て作業及びスキャナー筐体17への組付け作業が完了する
【0061】
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態の画像読取装置300は、スキャナー筐体17と、一対のヒンジ機構30と、原稿搬送装置200とを備えている。原稿搬送装置200は、一対のヒンジ機構30により水平方向に延びる軸線Bの回りに回動可能に支持されていて、前記スキャナー筐体17の上面を開閉可能に覆うとともに、閉位置においてコンタクトガラス18の上面の画像読取位置Rに原稿シートSを搬送するように構成されている。そして、前記スキャナー筐体17は、その上面における前記コンタクトガラス18の外側に位置する部分に前側係合凹部17d及び後側係合凹部17eを有している。原稿搬送装置200は、閉位置において前側係合凹部17d及び後側係合凹部17eに係合する一対の位置決め突部235a(図11参照)を有している。原稿搬送装置200は、前側係合凹部17d及び後側係合凹部17eと一対の位置決め突部235aとの係合によって、前記コンタクトガラス18の上面に沿った平面内(本実施形態では水平面内)において位置決めされる。前記原稿搬送装置200は、前記一対のヒンジ機構30に対して前記平面内における位置を調整可能に固定される。
【0062】
この構成によれば、上述したように、原稿搬送装置200をスキャナー筐体17に組付ける際に、原稿搬送装置200を閉位置に移動させると、原稿搬送装置200の一対の位置決め突部235aとスキャナー筐体17の各係合凹部17d,17eとが係合して原稿搬送装置200の位置決めがなされる。したがって、原稿搬送装置200による原稿搬送方向が予め定めた方向(主走査方向に直交する副走査方向)に対して傾くのを防止することができる。したがって、画像読取装置300により読取った原稿画像が背景画像に対して傾く等の不具合を防止することができる。
【0063】
また、原稿搬送装置200は、一対のヒンジ機構30に対して位置調整可能に固定されるので、原稿搬送装置200の位置決めが完了した後にヒンジ機構30を原稿搬送装置200に固定することができる。したがって、原稿搬送装置200の一対の位置決め突部235aとスキャナー筐体17の各係合凹部17d,17eとの係合時に、ヒンジ機構30に無理な荷重が作用してヒンジ機構30が破損するのを防止することができる。
【0064】
また、原稿搬送装置200は、閉位置においてスキャナー筐体17の上面を覆うベース部材210(図5参照)と、該ベース部材210の上面に装着され、原稿搬送用の機器を収容する搬送ハウジング220と、原稿搬送路22に沿って搬送される原稿シートSの裏面画像を読取るコンタクトイメージセンサー29と、前記搬送ハウジング220の内部に上側から装着され、前記コンタクトイメージセンサー29が取付けられるCIS取付フレーム230とを有している。CIS取付フレーム230は、上下方向に延びる一対の位置決め棒235を有している。一対の位置決め棒235は、搬送ハウジング220に設けられた一対の貫通孔220d,220e及びベース部材210に設けられた一対の貫通孔210c,210dを貫通する(図10参照)。前記一対の位置決め突部235aは、各位置決め棒235の下端部に形成されていて、原稿搬送装置200が閉位置にある状態で前記ベース部材210の下面から下側に突出する。
【0065】
この構成によれば、CIS取付フレーム230に形成された一対の位置決め棒235が、搬送ハウジング220の各貫通孔220d,220e、及びベース部材210の各貫通孔210c,210dを貫通することで、これら三つの部材(ベース部材210,搬送ハウジング220及びCIS取付フレーム230)が予め定めた正規の位置関係に規定される。また、一対の位置決め棒235の下端部の位置決め突部235aが、スキャナー筐体17の各係合凹部17d,17eに係合することで、前記三つの部材(原稿搬送装置200)と、スキャナー筐体17との位置関係が正規の位置関係に規定される。したがって、原稿搬送装置200に搭載されたコンタクトイメージセンサー29の受光素子配列方向、及び、読取ユニット19の受光素子配列方向を共に、正規の方向(原稿搬送方向に対して直交する方向)に規定することができる。よって、原稿搬送装置200に設けられたコンタクトイメージセンサー29による読取画像(原稿シートSの裏面画像)と、スキャナー筐体17内に収容された読取ユニット19による読取画像(原稿シートSの表面画像)との位置関係にずれが生じるのを防止することができる。
【0066】
また、前記実施形態では、ヒンジ機構30の回動ブラケット部31aは、原稿搬送装置200のベース部材210に対して、原稿押さえ面側とは反対側から(上側から)固定可能に構成されている(図7参照)。
【0067】
この構成によれば、スキャナー筐体17に原稿搬送装置200を組付ける際に、原稿搬送装置200の位置決め突部235aとスキャナー筐体17の各凹部17d,17eとが係合することで一旦定まった両者(スキャナー筐体17と原稿搬送装置200)の位置関係を崩さずに、ヒンジ機構30の固定作業を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上説明したように、本発明は、画像読取装置及び該画像読取装置を備えた画像形成装置について有用である。
【符号の説明】
【0069】
B :軸線
S :原稿
X :画像形成装置
17 :スキャナー筐体
17d :前側係合凹部(位置決め係合部)
17e :後側係合凹部(位置決め係合部)
18 :コンタクトガラス
19 :読取ユニット(光学読取部)
29 :コンタクトイメージセンサー
30 :ヒンジ機構
31 :回動部
32 :静止支持部
33 :脚部
34 :脚部
200 :原稿搬送装置
210 :ベース部材
210c :前側貫通孔(位置決め孔)
210d :後側貫通孔(位置決め孔)
211 :螺子
220 :搬送ハウジング
220d :前側貫通孔(位置決め孔)
220e :後側貫通孔(位置決め孔)
230 :CIS取付フレーム
235 :位置決め棒
235a :位置決め突部(被係合部)
300 :画像読取装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11