(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20241112BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20241112BHJP
G06Q 30/0251 20230101ALI20241112BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241112BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20241112BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20241112BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0969
G06Q30/0251
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
(21)【出願番号】P 2020178640
(22)【出願日】2020-10-26
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】神谷 和宏
(72)【発明者】
【氏名】谷野 亘
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-003418(JP,A)
【文献】特開2015-075971(JP,A)
【文献】国際公開第2006/109555(WO,A1)
【文献】特開2005-308589(JP,A)
【文献】特開2018-081054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G08G 1/00 - 99/00
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
G16Z 99/00
G16Y 10/00 - 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提供の対象となる情報提供地点を取得する地点取得手段と、
複数のユーザを対象として各ユーザが移動する目的地を取得する目的地取得手段と、
前記複数のユーザに含まれるいずれかのユーザである対象ユーザが、目的地までの移動途中でユーザが立ち寄る
候補となる前記情報提供地点の周辺を通過すると判定される場合に、前記複数のユーザの内、前記対象ユーザ以外で前記対象ユーザが周辺を通過する前記情報提供地点と同一の前記情報提供地点の周辺を目的地までの移動途中で通過し且つ前記対象ユーザと目的地への移動に対する進捗状況が共通する他のユーザを探索する探索手段と、
前記対象ユーザと探索された他のユーザとを含めてグループを形成するグループ形成手段と、
前記グループ単位で、該グループに含まれる複数のユーザが周辺を通過する前記情報提供地点に関する情報を提供する情報提供手段と、を有
し、
前記情報提供手段は、
情報提供の対象となる前記情報提供地点の位置に基づいて、前記目的地までの移動行程に対して前記情報提供地点に関する情報提供を行う区間として情報提供区間を設定し、
前記グループに含まれる複数のユーザのいずれか或いは全員が前記情報提供区間に到達したことを契機に、前記グループ単位で前記グループに含まれる複数のユーザを対象に前記情報提供地点に関する情報を提供する情報提供システム。
【請求項2】
情報提供の対象となる情報提供地点を取得する地点取得手段と、
複数のユーザを対象として各ユーザが移動する目的地を取得する目的地取得手段と、
前記複数のユーザに含まれるいずれかのユーザである対象ユーザが、目的地までの移動途中でユーザが立ち寄る候補となる前記情報提供地点の周辺を通過すると判定される場合に、前記複数のユーザの内、前記対象ユーザ以外で前記対象ユーザが周辺を通過する前記情報提供地点と同一の前記情報提供地点の周辺を目的地までの移動途中で通過し且つ前記対象ユーザと目的地が共通する他のユーザを探索する探索手段と、
前記対象ユーザと探索された他のユーザとを含めてグループを形成するグループ形成手段と、
前記グループ単位で、該グループに含まれる複数のユーザが周辺を通過する前記情報提供地点に関する情報を提供する情報提供手段と、を有
し、
前記情報提供手段は、
情報提供の対象となる前記情報提供地点の位置に基づいて、前記目的地までの移動行程に対して前記情報提供地点に関する情報提供を行う区間として情報提供区間を設定し、
前記グループに含まれる複数のユーザのいずれか或いは全員が前記情報提供区間に到達したことを契機に、前記グループ単位で前記グループに含まれる複数のユーザを対象に前記情報提供地点に関する情報を提供する情報提供システム。
【請求項3】
前記複数のユーザを対象として各ユーザの今後の移動経路を取得する移動経路取得手段を有し、
前記探索手段は、前記対象ユーザが周辺を通過する前記情報提供地点と同一の前記情報提供地点の周辺を目的地までの移動途中で通過する他のユーザとして、該情報提供地点の周辺エリア内に目的地がある他のユーザ、又は該情報提供地点の周辺エリア内に今後の移動経路の一部が含まれる他のユーザ、を探索する請求項1又は請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記地点取得手段は、ユーザが移動する目的地のジャンルに対応するジャンルの前記情報提供地点を取得する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項5】
目的地のジャンルには前記情報提供地点のジャンルが複数対応付けられ、
前記地点取得手段は、目的地までの距離によって異なるジャンルの前記情報提供地点を取得する請求項4に記載の情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地へ移動するユーザに対して情報を提供する情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザが目的地への移動を希望した場合において、目的地の場所を案内したり、目的地までの経路の案内を行うことによって、ユーザが所望の目的地に容易に到着できるようにした各種端末について提供されている。このような端末としては、車両に搭載されたナビゲーション装置に加えて、近年は携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。
【0003】
更に近年において上記端末では、目的地の場所や目的地への経路の案内を行う以外に、目的地への移動を考えているユーザや移動を開始したユーザにとって有益と思われる各種情報を提供することも行われている。例えば特開2019-101452号公報には、ユーザの属性(例えば年齢、車種等)やユーザの行動(乗車時、目的地設定時、降車時等)に対して広告情報の配信条件を予め設定しておき、目的地まで移動するユーザが配信条件を満たした場合に、該当する広告情報を提供する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-101452号公報(第5-7頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、目的地へ移動するユーザに対して提供すべき情報、即ちユーザにとって有益となる情報の内容は、ユーザが向かう目的地の種類や目的地への移動の進捗状況によって異なる。例えば目的地への移動の進捗状況としては目的地設定時、移動開始直後、目的地到着直前、目的地到着時点等があるが、目的地到着直前で寄り道の情報を提供したとしてもユーザにとっては不要な情報となる。そこで、上記特許文献1では一ユーザ毎にユーザの現在の状況を特定し、そのユーザの状況に応じた広告情報を抽出して配信しているが、このような情報の配信の方法では一ユーザ毎に配信対象となる広告情報を管理し、且つ一ユーザ毎に広告情報の配信処理を行う必要があり、極めて効率が悪かった。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、同一の情報提供地点の周辺を通過するユーザの内、目的地への移動に対する進捗状況が共通する複数のユーザをグルーピングすることによって、グループ単位で配信対象となる情報の管理、並びに情報の配信処理を可能とし、ユーザにとって有益な情報を効率よく提供することを可能にした情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る第1の情報提供システムは、情報提供の対象となる情報提供地点を取得する地点取得手段と、複数のユーザを対象として各ユーザが移動する目的地を取得する目的地取得手段と、前記複数のユーザに含まれるいずれかのユーザである対象ユーザが、目的地までの移動途中でユーザが立ち寄る候補となる前記情報提供地点の周辺を通過すると判定される場合に、前記複数のユーザの内、前記対象ユーザ以外で前記対象ユーザが周辺を通過する前記情報提供地点と同一の前記情報提供地点の周辺を目的地までの移動途中で通過し且つ前記対象ユーザと目的地への移動に対する進捗状況が共通する他のユーザを探索する探索手段と、前記対象ユーザと探索された他のユーザとを含めてグループを形成するグループ形成手段と、前記グループ単位で、該グループに含まれる複数のユーザが周辺を通過する前記情報提供地点に関する情報を提供する情報提供手段と、を有し、前記情報提供手段は、情報提供の対象となる前記情報提供地点の位置に基づいて、前記目的地までの移動行程に対して前記情報提供地点に関する情報提供を行う区間として情報提供区間を設定し、前記グループに含まれる複数のユーザのいずれか或いは全員が前記情報提供区間に到達したことを契機に、前記グループ単位で前記グループに含まれる複数のユーザを対象に前記情報提供地点に関する情報を提供する。
尚、「目的地」は実世界の目的地であっても良いし、VR(virtual reality)により構築された仮想空間上の目的地であっても良い。「情報提供地点」についても同様であり実世界の地点であっても良いし、VR(virtual reality)により構築された仮想空間上の地点であっても良い。
また、「複数のユーザ単位で、・・・情報を提供する」とは、情報提供装置側が一の処理で複数のユーザに対して情報を配信する(即ち送信先に複数のユーザを指定して送信を行う)こと、或いは同時又は略同時に複数のユーザに対して情報を配信すること等が該当する。
【0008】
また、本発明に係る第2の情報提供システムは、情報提供の対象となる情報提供地点を取得する地点取得手段と、複数のユーザを対象として各ユーザが移動する目的地を取得する目的地取得手段と、前記複数のユーザに含まれるいずれかのユーザである対象ユーザが、目的地までの移動途中でユーザが立ち寄る候補となる前記情報提供地点の周辺を通過すると判定される場合に、前記複数のユーザの内、前記対象ユーザ以外で前記対象ユーザが周辺を通過する前記情報提供地点と同一の前記情報提供地点の周辺を目的地までの移動途中で通過し且つ前記対象ユーザと目的地が共通する他のユーザを探索する探索手段と、前記対象ユーザと探索された他のユーザとを含めてグループを形成するグループ形成手段と、前記グループ単位で、該グループに含まれる複数のユーザが周辺を通過する前記情報提供地点に関する情報を提供する情報提供手段と、を有し、前記情報提供手段は、情報提供の対象となる前記情報提供地点の位置に基づいて、前記目的地までの移動行程に対して前記情報提供地点に関する情報提供を行う区間として情報提供区間を設定し、前記グループに含まれる複数のユーザのいずれか或いは全員が前記情報提供区間に到達したことを契機に、前記グループ単位で前記グループに含まれる複数のユーザを対象に前記情報提供地点に関する情報を提供する。
尚、「目的地が共通する」とは必ずしも目的地の地理的な位置が同一である必要はなく、例えば同じジャンルを目的地とする場合であっても良いし、更に同じグループのフランチャイズ等のチェーンストア、同じオーナーや親会社によって運営される店舗群、関連のあるグループ会社、親会社(本店)とその子会社(支店、営業所)、同じ宗派の寺院等を目的地とする場合であっても良い。
【発明の効果】
【0009】
前記構成を有する本発明に係る第1の情報提供システムによれば、ユーザが立ち寄る候補となる同一の情報提供地点の周辺を通過するユーザの内、目的地への移動に対する進捗状況が共通する複数のユーザ、即ち提供する情報の内容や提供のタイミングを共通化できる複数のユーザをグルーピングすることによって、グループ単位で配信対象となる情報の管理、並びに情報の配信処理を可能となる。その結果、ユーザにとって有益な情報を効率よく提供することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る第2の情報提供システムによれば、ユーザが立ち寄る候補となる同一の情報提供地点の周辺を通過するユーザの内、目的地が共通する複数のユーザ、即ち提供する情報の内容や提供のタイミングを共通化できる複数のユーザをグルーピングすることによって、グループ単位で配信対象となる情報の管理、並びに情報の配信処理を可能となる。その結果、ユーザにとって有益な情報を効率よく提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る情報提供システムを示した概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る情報提供システムの構成を示したブロック図である。
【
図3】配信情報DBに記憶される広告情報の一例を示した図である。
【
図4】ユーザ道程DBに記憶されるユーザ道程情報の一例を示した図である。
【
図5】本実施形態に係る通信端末の制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図6】本実施形態に係るユーザグルーピング処理プログラムのフローチャートである。
【
図7】通信端末のディスプレイに対して表示される目的地入力画面を示した図である。
【
図8】通信端末のディスプレイに対して表示されるユーザ情報登録画面を示した図である。
【
図9】移動する目的地を決定したユーザのその後の行動の推移を時系列に沿って示した図である。
【
図10】移動期間におけるステップの区分方法を示した図である。
【
図11】目的地と情報提供地点のジャンルの対応関係の一例について示した図である。
【
図12】複数のユーザをグルーピングする例を示した図である。
【
図13】複数のユーザをグルーピングする例を示した図である。
【
図14】本実施形態に係る情報提供処理プログラムのフローチャートである。
【
図15】広告情報の出力態様の一例を示した図である。
【
図16】移動期間におけるユーザの行動の推移と出力対象として設定される広告情報の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る情報提供システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る情報提供システム1の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る情報提供システム1を示した概略構成図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る情報提供システム1は、情報提供センタ2が有する情報提供サーバ(情報提供装置)3と、広告等の情報提供の対象となる情報提供地点4と、複数のユーザ5が夫々所持する通信端末6と、を基本的に有する。また、情報提供サーバ3と通信端末6は通信ネットワーク網7を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、通信端末6としては例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等がある。また、以下の説明ではユーザ5が移動する場合には車両で移動することを前提とするが、車両以外の移動手段で移動しても良いし、徒歩で移動しても良い。また、複数のユーザ5はそれぞれ異なる移動手段で移動していても良いし、同じ移動手段(例えばバス、電車)で移動していても良い。
【0014】
ここで、情報提供サーバ3は、情報提供システム1における情報の送受信を管理するサーバ装置である。具体的に情報提供サーバ3は通信端末6との間で通信を行うことによってユーザ5が目的地へ移動する場合に、ユーザ5が移動する目的地や目的地までの移動経路を取得する。更に、複数のユーザ5の内から同一の情報提供地点4の周辺を通過するユーザの内、目的地が共通し且つ目的地への移動に対する進捗状況が共通する複数のユーザ、即ち提供する情報を共通化できる複数のユーザをグルーピングする。尚、「目的地が共通する」とは必ずしも目的地の地理的な位置が同一である必要はなく、例えば同じジャンルを目的地とする場合であっても良いし、更に同じグループのフランチャイズ等のチェーンストア、同じオーナーや親会社によって運営される店舗群、関連のあるグループ会社、親会社(本店)とその子会社(支店、営業所)、同じ宗派の寺院等を目的地とする場合であっても良い。また、グルーピングされるユーザ5は同じ移動手段で移動する顔見知りのユーザ同士である必要はなく、異なる移動手段で移動する面識のないユーザ同士であっても良い。
【0015】
また、情報提供サーバ3は、全国各地の情報提供地点4に関する情報を配信情報DB8に記憶する。尚、本実施形態では特に情報提供地点4を広告する広告情報をユーザ5に提供する情報として配信情報DB8に記憶するが、情報提供地点4に関する情報であれば広告情報以外であっても良い。そして、情報提供サーバ3は、グルーピングされた複数のユーザ5が所持する通信端末6に対して、通信ネットワーク網7を介して配信情報DB8に記憶された広告情報を提供(配信)する。情報提供サーバ3による広告情報の提供(配信)はグループ単位で行われる。また、情報提供サーバ3からの情報提供以外に同じグループにグルーピングされた通信端末6間でのテキスト、音声、映像の送受信を可能にしても良い。尚、情報提供サーバ3は情報提供地点毎に存在しても良いし、一のサーバが複数の情報提供地点に関する広告情報を配信するようにしても良い。
【0016】
また、情報提供地点4は、本実施形態の情報提供システム1において広告情報の提供対象となる地点である。具体的な施設であっても良いし観光スポット等の施設が特定されない地点であっても良い。但し本実施形態では、ジャンルや規模については限定されないが、商品やサービスを顧客に対して有料で提供する施設とする。情報提供地点4は、自らの施設の新たな広告情報を生成したり、広告情報の更新を行う場合には、必要な情報を情報提供サーバ3に対して配信し、情報提供サーバ3が備える配信情報DB8を更新する。
【0017】
一方、通信端末6は、ユーザ5が所持し、ユーザ5がスケジュールを入力することによってスケジュールを登録及び管理する機能やナビ機能等を備えた情報端末が用いられ、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等が該当する。特に通信端末6がスマートフォン等のアプリケーションを実行可能な端末である場合には、アプリケーションの一つとして目的地を入力することによってユーザが目的地までの移動の道程において広告情報の提供を受けることが可能となるアプリケーションプログラムがインストールされている。尚、これらの広告情報の提供を受ける機能は、目的地までの移動案内を行うナビ機能の一部としても良いし、ナビ機能とは異なるアプリケーションプログラムにより実行されても良い。
【0018】
また、通信ネットワーク網7は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局は通信端末6との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網7の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある通信端末6の通信を情報提供サーバ3との間で中継する役割を持つ。
【0019】
続いて、情報提供システム1における情報提供サーバ3の構成について
図2を用いてより詳細に説明する。情報提供サーバ3は、
図2に示すようにサーバ制御部11と、サーバ制御部11に接続された情報記録手段としての配信情報DB8と、ユーザ道程DB13と、地図情報DB14と、サーバ側通信装置15とを備える。
【0020】
サーバ制御部11は、情報提供サーバ3の全体の制御を行う制御ユニット(MCU、MPU等)であり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、後述のユーザグルーピング処理プログラム(
図6)、情報提供処理プログラム(
図14)等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。尚、サーバ制御部11は、後述の通信端末6の制御部とともに処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、地点取得手段は、情報提供の対象となる情報提供地点を取得する。目的地取得手段は、複数のユーザを対象として各ユーザが移動する目的地を取得する。ユーザ特定手段は、複数のユーザの内から目的地までの移動において同一の情報提供地点の周辺を通過し、且つユーザの目的地への移動に対する進捗状況が共通する複数のユーザを特定する。更に、複数のユーザの内から目的地までの移動において同一の情報提供地点の周辺を通過し、且つ目的地が共通する複数のユーザについても特定する。情報提供手段は、ユーザ特定手段により特定された複数のユーザ単位で、該複数のユーザが周辺を通過する情報提供地点に関する情報を提供する。
【0021】
また、配信情報DB8は、前述したように全国各地の情報提供の対象となる地点である情報提供地点4に関する広告情報を格納した記憶手段である。広告情報としては、通信端末6において広告として出力される音声、画像、動画等のデータ(内容としては取り扱う商品の情報、イベントに関する情報、購入商品のサポートやアフターサービスの情報等)に加えて、情報提供地点4(広告主)を特定する為の情報(地図上の広告対象施設の位置座標、ジャンル、ID等)についても含む。更に広告情報には、広告情報毎に該広告情報により広告の対象となっている商品又はサービスを特定する情報について付加されている。但し、商品に関する広告以外(例えばセールの情報、施設紹介等)の広告情報については商品やサービスを特定する情報については付加されない。
【0022】
例えば
図3は配信情報DB8に記憶される広告情報の一例を示した図である。
図3に示す例では、情報提供地点4の一つである施設A(ジャンル:商業施設)が提供する広告情報として”2233”の広告情報があり、”2233”は『商品A』の広告であることを示す。また、施設B(ジャンル:飲食店)が提供する広告情報として”2234”の広告情報があり、”2234”は『商品B』の広告であることを示す。また、施設C(ジャンル:公園)が提供する広告情報として”2235”の広告情報があり、”2235”は『商品C』の広告であることを示す。尚、通信端末6において広告を出力する形態としては様々な形態があるが、以下の実施例では広告として通信端末6において音声を出力する場合を例に挙げて説明する。
【0023】
また、広告情報の配信手段としては、上述したように予め収録及び生成して配信情報DB8に格納しておいた音声データや映像データを所定の出力タイミングで通信端末6へ配信することも可能であるが、リアルタイムで人が話す内容を配信しても良い。即ち、グルーピングされた複数のユーザに対して情報提供を行う担当のコンシェルジュを設定し、施設や商品を説明するコンシェルジュの音声や映像を配信しても良い。
【0024】
一方、ユーザ道程DB13は、情報提供サーバ3と通信可能に接続された通信端末6を所持する各ユーザ5の“目的地への道程に関する情報”を記憶する記憶手段である。具体的には、ユーザ5が目的地への移動を開始する移動開始地点の座標、目的地への移動を開始する日時、ユーザ5がこれから移動することを希望する目的地(或いは現在移動中の目的地)に関する情報が記憶され、特に目的地の位置座標、名称、ジャンル等が記憶される。また、通信端末6において目的地までの移動経路が設定されている場合には、設定された移動経路についても今後のユーザの行動を示すものとしてユーザに紐づけられてユーザ道程DB13に記憶される。例えば
図4はユーザ道程DB13に記憶されるユーザ道程情報の一例を示した図である。
【0025】
図4に示す例では例えば『ID:10001』のユーザ5は、『○○モール(ジャンル:ショッピングモール)』を目的地としており、2020年の10月21日の12時半に(x1,y1)から移動を開始する予定、或いは移動を開始したことを示している。同様に他のユーザの目的地までの道程に関する情報についても記憶されている。尚、ユーザ5がこれから移動することを希望する目的地(或いは現在移動中の目的地)は、後述のように通信端末6のディスプレイに表示された目的地入力画面51(
図7参照)において必要事項を入力することによって登録することが可能であり、登録された内容は通信端末6から情報提供サーバ3へと適宜送信され、更にユーザに紐づけられてユーザ道程DB13に格納される。移動開始地点、移動開始日時、移動計画、移動経路についても同様に通信端末6から取得される。
【0026】
そして、ユーザ道程DB13に記憶されたユーザ道程情報は、ユーザのグルーピングを行う際に、同一の情報提供地点4の周辺を通過するユーザの特定、並びに目的地が共通し且つ目的地への移動に対する進捗状況が共通するユーザを特定する為に用いられる。
【0027】
また、地図情報DB14は、地図情報が記憶される記憶手段である。地図情報は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。
【0028】
そして、サーバ制御部11は、通信端末6から経路探索要求を受信した場合には、上記地図情報DB14に格納された地図情報を用いて出発地から目的地までの経路探索を行うことも可能である。具体的には、通信端末6において目的地が設定された場合に、通信端末6から情報提供サーバ3へと出発地や目的地等の経路探索に必要な情報が経路探索要求とともに送信される。そして経路探索要求を受信した情報提供サーバ3は、情報提供サーバ3の有する地図情報を用いて経路探索を行い、出発地から目的地までの推奨経路を特定する。その後、特定された推奨経路を要求元の通信端末6へと送信する。そして、通信端末6は受信した推奨経路を案内経路に設定し、案内経路に従って移動案内を行う。それによって、経路探索時点において通信端末6が有する地図情報が古いバージョンの地図情報であったり、通信端末6が地図情報自体を有さない場合であっても、情報提供サーバ3が有する最新バージョンの地図情報に基づいて適切な案内経路を設定することが可能となる。
【0029】
但し、通信端末6が地図情報を有する場合には上記経路探索処理を情報提供サーバ3でなく通信端末6で行うことも可能である。また、上記経路探索処理は情報提供サーバ3ではなく、地図情報を備える他のサーバで行うようにしても良い。その場合には情報提供サーバ3において地図情報DB14は必ずしも必要でない。
【0030】
一方、サーバ側通信装置15は情報の送受信対象となる通信端末6と通信ネットワーク網7を介して通信を行う為の通信装置である。また、通信端末6以外にインターネット網等に対する通信も可能である。
【0031】
次に、ユーザ5が所有する通信端末6の概略構成について
図5を用いて説明する。
図5は本実施形態に係る通信端末6の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、以下では特に通信端末6がスマートフォンである場合を例に挙げて説明する。
【0032】
図5に示すように通信端末6はデータバスBUSに、CPU31と、通信端末6を所持するユーザ5に関するユーザ情報(ユーザID等)やウェブの閲覧履歴やユーザの移動履歴等が記憶されたメモリ32と、通信ネットワーク網7の基地局との間で信号の送受信を行う送受信回路部(RF)33と、送受信回路部33において受信したRF(Radio Frequency)信号をベースバンド信号に変換するとともにベースバンド信号をRF信号に変換するベースバンド処理部34と、マイクロホン35及びスピーカ36等とのインターフェイスである入出力部37と、液晶表示パネル等で構成されたディスプレイ38と、タッチパネルやハードボタン等から構成される入力操作部39と、GPS40と、カメラ41とが接続されることにより構成されている。
【0033】
ここで、通信端末6に内蔵されるCPU31は、メモリ32に格納されている動作プログラムに従って種々の動作を実行する通信端末6の制御手段であり、メモリ32とともに通信端末制御部42を構成する。また、通信端末制御部42の各種処理内容は必要に応じてディスプレイ38に表示される。
【0034】
また、メモリ32は通信端末6を所持するユーザ5に関するユーザ情報(ユーザID等)、ユーザによるウェブの閲覧履歴、GPS40やその他のセンサに基づいて検出された位置情報の履歴であるユーザの移動履歴、スケジュール情報等が記憶された記憶媒体である。また、後述のユーザグルーピング処理プログラム(
図6)、情報提供処理プログラム(
図14)を含む各種アプリケーションプログラムについても記憶される。また、メモリ32は、ハードディスク、メモリーカード等により構成しても良い。
【0035】
また、スピーカ36は、通話の音声出力以外に、ナビ機能の実行時においては通信端末制御部42からの指示に基づいて案内経路(ユーザの移動予定経路)に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する。特に本実施形態では後述のように情報提供サーバ3から取得した広告情報を出力する際にも用いられる。
【0036】
また、ディスプレイ38は、筐体の一面に配設されており、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。そして、通信端末6にインストールされている各種アプリケーションを実行する為のトップ画面や、実行されたアプリケーションに係る画面(インターネット画面、メール画面、ナビ画面等)や、画像、動画等の各種情報が表示される。
【0037】
また、入力操作部39は、ディスプレイ38の前面に設けられたタッチパネルや筐体に配置されたハードボタン等によって構成されている。そして、通信端末制御部42は、タッチパネルやハードボタンの押下等により出力される電気信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。また、本実施形態では、ユーザのスケジュールの登録や目的地を入力する際にも操作される。尚、入力操作部39は、番号/文字入力キー、表示された内容を選択するためのカーソルを動かすカーソルキー、選択を確定する決定キー等の各種キー等により構成することもできる。
【0038】
また、GPS40は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、通信端末6(即ちユーザ5)の現在位置及び現在日時を検出可能とする。また、GPS40以外にも通信端末6の現在位置や方位を検出する為の他の装置(例えばジャイロセンサ等)を備える構成としても良い。
【0039】
また、カメラ41は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラにより構成される小型の撮像装置であり、通信端末6の背面側に内蔵される。そして、専用のアプリケーションプログラムが起動された状態で、ユーザが入力操作部39を操作することによって周辺を撮像することが可能となる。尚、カメラ41で撮像された撮像画像は、メモリ32に格納される。
【0040】
続いて、前記構成を有する情報提供システム1において、情報提供サーバ3及び通信端末6が実行するユーザグルーピング処理プログラムについて
図6に基づき説明する。
図6は本実施形態に係るユーザグルーピング処理プログラムのフローチャートである。ここで、ユーザグルーピング処理プログラムは、通信端末6において目的地までの移動の道程において広告情報の提供を受ける為の所定のアプリケーションプログラムが起動された後に実行され、複数のユーザの内から目的地や目的地までの移動の進捗状況が共通する複数のユーザを特定し、特定された複数のユーザのグルーピング(グループ分け)を行うプログラムである。尚、以下の
図6及び
図14にフローチャートで示されるプログラムは、情報提供サーバ3や通信端末6が備えているRAMやROMに記憶されており、CPU21或いはCPU31により実行される。
【0041】
先ず、
図6に基づいて通信端末6のCPU31が実行するユーザグルーピング処理プログラムについて説明する。ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU31は、目的地までの移動の道程において広告情報の提供を受ける為の所定のアプリケーションプログラム(以下、情報提供アプリという)を起動する。尚、情報提供アプリの起動についてはユーザ5が通信端末6で所定の操作を行う以外に、例えば目的地の候補となる施設のポスターやパンフレットに記載されている二次元コードを通信端末6で読み取ることによっても起動することが可能である。また、情報提供アプリを起動するタイミングはユーザが目的地への移動を開始する前でも可能であるし、目的地への移動を開始した後でも可能である。情報提供アプリは予め情報提供サーバ3等からダウンロードされて通信端末6にインストールされていることを前提とする。
【0042】
ここで、通信端末6において情報提供アプリが起動されると、ディスプレイ38には
図7に示す目的地入力画面51が表示される。目的地入力画面51では目的地を検索する為のキーワードを入力する検索スペース52や、ユーザの目的地の候補となる候補地点の一覧53が表示される。尚、目的地入力画面51に表示される候補地点の一覧53は、例えばユーザの現在位置周辺にあって目的地として選ばれ易い地点を抽出しても良いし、ユーザが過去に目的地に設定した地点から抽出しても良い。また、情報提供アプリがポスターやパンフレットに記載されている二次元コードを通信端末6で読み取ることによって起動された場合には、ポスターやパンフレットに掲載されている地点を表示するのが望ましい。
【0043】
そして、ユーザが目的地入力画面51においていずれかの地点を目的地として選択すると、ディスプレイ38には続いて目的地確認画面54が表示される。
図7に示すように目的地確認画面54では現在選択されている地点の詳細情報(移動に必要な所要時間、住所、営業時間等)に加えて周辺の地図画像についても表示される。そして、ユーザは目的地確認画面54の表示内容を確認した上で、確認ボタン55を押下すると目的地の入力が完了し、ユーザが移動する目的地が決定される。
【0044】
その後、ディスプレイ38には続いてユーザ情報登録画面56が表示される。
図8に示すようにユーザ情報登録画面56では今回の目的地への移動を行う自ユーザに関するユーザ情報を登録することが可能であり、例えばパーティー名(同じグループに属するユーザ間で情報を共有する際に自ユーザを識別するニックネーム)や同行者の人数等を登録することが可能である。そして、ユーザはユーザ情報登録画面56において必要事項を入力した上で、登録ボタン57を押下するとユーザ情報の登録が完了する。但し、これらの情報の登録については必須ではない。
【0045】
そして、S2においてCPU31は、通信端末6において上述のように受け付けたユーザの操作に基づいて目的地の入力やユーザ情報の登録を行う。尚、上記目的地の入力とユーザ情報の登録については必ずしも同時に行う必要は無い。また上記目的地の入力とユーザ情報の登録については、目的地の移動開始と同時である必要は無く、目的地の移動を開始する前であっても、目的地への移動を開始した後であっても良い。例えば、目的地への移動を開始する数日前や数時間前に目的地の入力やユーザ情報の登録を予め行うことも可能であるし、目的地への移動を開始して目的地にある程度近づいたタイミングで目的地の入力やユーザ情報の登録を行うことも可能である。前記S2で入力された目的地やユーザ情報はメモリ32に一旦格納される。
【0046】
その後、S3においてCPU31は、前記S2で入力された“ユーザが移動する目的地”と“ユーザ情報”を特定する目的地情報を情報提供サーバ3へと送信する。ここで、目的地情報には、目的地情報の送信元の通信端末6を特定する端末IDと、前記S2で入力された“ユーザが移動する目的地”及び“ユーザ情報”を特定する情報(例えば目的地の座標、ID、施設名、パーティー名など)と、ユーザが目的地への移動を開始する(或いは開始した)地点と日時が含まれている。尚、ユーザが目的地への移動を開始する(或いは開始した)地点と日時については、ユーザが入力しても良いし、登録されたスケジュールやユーザの移動履歴に基づいて通信端末6側で判定しても良い。また、前記S2の目的地の入力やユーザ情報の登録をユーザが目的地への移動開始前に行う場合については、ユーザが目的地への移動を開始するタイミングでディスプレイ38に表示された出発ボタン(図示せず)を操作するようにしても良い。それによって、出発ボタンを押した時点の通信端末6の位置が“ユーザが目的地への移動を開始する地点”として特定され、出発ボタンを押した日時が“ユーザが目的地への移動を開始する日時”として特定される。その後、特定された“ユーザが目的地への移動を開始する地点”と“ユーザが目的地への移動を開始する日時”とを情報提供サーバ3へと送信するようにしても良い。
【0047】
そして、情報提供サーバ3は後述のように通信端末6から送信された目的地情報に基づいて、提供する情報を共通化できる複数のユーザをグルーピングする(S12~S17)。更に、後述の情報提供処理プログラム(
図14)ではグルーピングされた複数のユーザ単位、即ちグループ単位でユーザが周辺を通過する情報提供地点4に関する情報の提供が行われる。詳細については後述する。
【0048】
尚、グルーピングされたユーザについては、通信端末6を介してグルーピングされたことを通知する案内についても行われる。但し、ユーザはグループへの参加を拒否することも可能である。また、目的地までの移動の途中でグループから抜けることも可能である。
【0049】
次に、情報提供サーバ3のCPU21が実行するユーザグルーピング処理プログラムについて説明する。尚、以下のS11~S17の各処理は、通信端末6からの対応する情報を受信したタイミングで開始される。従って、各ステップの実施順序は必ずしもステップ番号の小さい順に実施されるとは限らない。
【0050】
先ず、S11においてCPU21は、通信端末6から送信される目的地情報を受信する。尚、目的地情報には、目的地情報の送信元の通信端末6を特定する端末IDと、前記S2で入力された“ユーザが移動する目的地”及び“ユーザ情報”を特定する情報(例えば目的地の座標、ID、施設名、パーティー名など)と、ユーザが目的地への移動を開始する(或いは開始した)地点と日時とが含まれている。
【0051】
次に、S12においてCPU31は、前記S11で受信した情報に基づいてユーザが移動する目的地のジャンルを特定し、目的地や移動開始地点や移動開始日時とともにユーザ道程DB13(
図4)にユーザの“目的地への道程に関する情報”として格納する。また、同行する他のユーザ等の具体的な移動計画が取得できる場合にはそれらの移動計画についても通信端末6から取得してユーザ道程DB13に格納する。更に、通信端末6において目的地までの移動経路が設定されている場合については、その移動経路についても通信端末6から取得してユーザ道程DB13に格納する。
【0052】
その後、S13においてCPU21は、ユーザが目的地までの移動を完了するまで(目的地への移動開始前や、目的地への到着後の一定期間も含む)の道程を時系列に沿って複数のステップ(区間)に区分する。以下にS13の処理の詳細について具体例を挙げて説明する。
【0053】
例えば
図9は移動する目的地を決定したユーザのその後の行動の推移を時系列に沿って示した図である。
図9に示すように移動する目的地を決定したユーザのその後の行動は大きく以下の(1)~(3)に分けることが可能である。
(1)ユーザ5が移動する目的地を決定した後から実際に移動を開始するまでの期間であり、ユーザ5が目的地への移動を行うための“準備期間(準備行程)”。
(2)ユーザ5が目的地への移動を開始した後から目的地への移動が完了するまでの期間であり、ユーザ5が目的地への移動を実際に行う移動期間(移動行程)。
(3)ユーザ5が目的地に到着した後から一定期間経過するまでの到着期間。
【0054】
従って、前記S13においてユーザが目的地までの移動を完了するまでの道程を複数のステップに区分する際には、先ず大きく準備期間と移動期間と到着期間の3つにステップを区分する。更に、移動期間については移動の進捗状況によって更に細かいステップに区分する。具体的に移動期間のステップの区分についてはユーザ毎に異なり、ユーザの目的地までの距離又は目的地までの所要時間によって区分するステップの数が変化する。尚、ユーザの目的地までの距離と目的地までの所要時間についてはユーザの移動開始位置と目的地の位置と目的地までの経路によって算出される。更に、目的地までの経路については通信端末6において目的地までの経路が設定されている場合にはその経路を用い、通信端末6において目的地までの経路が設定されていない場合には情報提供サーバ3が備える地図情報を用いて、目的地までの推奨経路を探索し、ユーザが移動する経路として用いる。
【0055】
そして、移動期間のステップの区分は、ユーザの目的地までの距離又は目的地までの所要時間が長い程、区分するステップの数も増える。従って、ユーザの目的地までの距離又は目的地までの所要時間が特に短い場合には、移動期間のステップを区分せずに1のステップとしても良い。
【0056】
更に、ステップの区分基準は移動期間の全期間で同一ではなく、移動開始地点又は目的地との位置関係で変化する。例えば
図10は移動期間を3つのステップに区分する例を示す。
図10に示すようにユーザが目的地への移動を開始した当初については、ユーザが目的地への移動を開始してからの移動距離又は経過時間に基づいてステップを区分する。例えばユーザが目的地への移動を開始してからの経過時間が30分の時点で区分し、それまでの区間を第1ステップとする。一方で、ユーザが目的地へ近づいた状況では、目的地までの距離又は目的地までの所要時間に基づいてステップを区分する。例えばユーザの目的地までの所要時間が残り30分となった時点で区分し、それまでを第2ステップとし、それ以後を第3ステップとする。
【0057】
尚、
図9及び
図10に示す例では移動期間のみ複数のステップに更に区分しているが、準備期間や到着期間について更に複数のステップに区分することも可能である。また、ユーザが目的地への移動の開始と同時或いは移動開始後に情報提供アプリを起動した場合については準備期間が存在しないので、ユーザが目的地までの移動を完了するまでの道程は移動期間と到着期間のみが対象となる。また、目的地に到着した時点でユーザへの情報提供を終了するのであれば、ユーザが目的地までの移動を完了するまでの道程から到着期間は除いても良い。
【0058】
続いて、S14においてCPU21は、ユーザが現在位置するステップ、即ち目的地への移動に対する進捗状況を取得する。具体的には情報提供サーバ3は通信端末6から所定間隔でユーザの現在位置情報を取得しており、それらのユーザの現在位置の履歴と前記S13で複数のステップに区分した“ユーザが目的地までの移動を完了するまでの道程”と地図情報とに基づいてユーザが現在位置するステップを取得する。
【0059】
具体的には、ユーザが目的地は登録しているが目的地への移動を開始する前である場合には、準備期間のステップに位置すると判定する。一方で、ユーザが既に目的地に到着している場合には、到着期間のステップに位置すると判定する。また、ユーザが目的地への移動中である場合については、更にユーザが目的地への移動を開始してからの移動距離又は経過時間、或いは目的地までの距離又は目的地までの所要時間を算出し、移動期間のどのステップ(
図10では第1~第3ステップ)に位置するかを判定する。
【0060】
尚、上記S12~S14の処理については、情報提供アプリが起動されて前記S3で目的地情報を送信した全ての通信端末6を対象にして順次行われる。その結果、情報提供アプリを起動して目的地へと移動する全てのユーザについて、目的地と目的地への移動に対する進捗状況とが取得されることとなる。特定された各ユーザの目的地と目的地への移動に対する進捗状況についてはユーザ道程DB13に格納される。更に、上記S14の処理は一定間隔で行われ、ユーザの目的地への移動に対する進捗状況は最新の状態へと更新される。
【0061】
その後、S15においてCPU21は、全国各地にある広告情報の提供の対象となる情報提供地点4の内、特に前記S11で受信した目的地情報の送信元の通信端末6を所持するユーザに対して情報を提供する対象となる情報提供地点4を取得する。
【0062】
ここで、前記S11で受信した目的地情報の送信元の通信端末6を所持するユーザに対して情報を提供する対象となる情報提供地点4は、該ユーザの目的地に対応するジャンルの情報提供地点4とする。
図11に目的地と情報提供地点4のジャンルの対応関係の一例について示す。
【0063】
図11に示すように例えばユーザの目的地のジャンルが『観光地』である場合には、目的地周辺(例えば目的地から5km以内)に関しては『観光地』の情報提供地点4を情報提供の対象とする。目的地に到着した後に観光するスポットに関する情報としてユーザにとって有益であるからである。一方で、目的地周辺以外に関しては『カフェ』の情報提供地点4を情報提供の対象とする。目的地までの移動中に休憩場所として立ち寄るスポットに関する情報としてユーザにとって有益であるからである。
【0064】
また、
図11に示すように例えばユーザの目的地のジャンルが『飲食店』である場合には、目的地周辺(例えば目的地から5km以内)に関しては『公園』の情報提供地点4を情報提供の対象とする。目的地である飲食店でテイクアウトした商品を飲食可能なスポットに関する情報としてユーザにとって有益であるからである。一方で、目的地周辺以外に関しては『映画館』の情報提供地点4を情報提供の対象とする。目的地で飲食した後の立ち寄るスポットに関する情報としてユーザにとって有益であるからである。
【0065】
また、
図11に示すように例えばユーザの目的地のジャンルが『スタジアム』である場合には、目的地周辺(例えば目的地から5km以内)に関しては『飲食店』の情報提供地点4を情報提供の対象とする。目的地でスポーツ観戦した後に飲食可能なスポットに関する情報としてユーザにとって有益であるからである。一方で、目的地周辺以外に関しては同じく『飲食店』の情報提供地点4を情報提供の対象とする。目的地でのスポーツ観戦中に飲食する物を予めテイクアウトで入手する為のスポットに関する情報としてユーザにとって有益であるからである。
【0066】
また、
図11に示すように例えばユーザの目的地のジャンルが『海水浴場』である場合には、目的地周辺(例えば目的地から5km以内)に関しては『温浴施設』の情報提供地点4を情報提供の対象とする。目的地で海水浴した後に入浴可能なスポットに関する情報としてユーザにとって有益であるからである。一方で、目的地周辺以外に関しては『ドラッグストア』の情報提供地点4を情報提供の対象とする。目的地での海水浴に用いるグッズを購入する為のスポットに関する情報としてユーザにとって有益であるからである。
【0067】
尚、
図11に示す例では目的地周辺と目的地周辺以外で夫々一のジャンルのみを設定しているが、複数種類のジャンルを設定しても良い。また、情報の提供後にユーザが情報提供地点4に実際に立ち寄ったか否かの結果を蓄積し、学習することによって設定するジャンルを適宜更新するようにしても良い。
【0068】
続いて、S16においてCPU21は、ユーザ道程DB13を参照し、前記S11で受信した目的地情報の送信元の通信端末6を所持するユーザについて、同一の情報提供地点4の周辺を通過し、更に目的地が共通し且つ目的地への移動に対する進捗状況が共通する他のユーザが存在するか否かを判定する。尚、前記S16で通過の判定対象となるのは前記S15で取得された情報提供地点4、即ちユーザに情報の提供の対象となる情報提供地点4である。
【0069】
また、「目的地が共通する」とは本実施形態では地理的な位置が異なっていてもよく、同じジャンルの目的地である場合を意味するが、同じ地理的な位置にある同一地点を目的地とする場合に目的地が共通するとしても良い。また、「目的地への移動に対する進捗状況が共通する」とは、前記S14で特定されたステップが同一であることを意味する。例えば
図10に示すように移動期間のステップが区分された場合において、第1ステップ(移動開始から30分以内)に該当する複数のユーザは、目的地への移動に対する進捗状況が共通するユーザとなる。尚、移動期間のステップの区分数がユーザ間で異なる場合の比較については、類似する区分に位置すれば「目的地への移動に対する進捗状況が共通する」とみなすのが望ましい。
【0070】
一方、「同一の情報提供地点4の周辺を通過する」とは、以下の(A)又は(B)のいずれかの条件を満たす場合とする。
(A)異なるユーザの目的地までの移動経路の少なくとも一部が、同じ情報提供地点4の周辺エリア(例えば3km以内)にある場合。
(B)異なるユーザの目的地が、同じ情報提供地点4の周辺エリア(例えば3km以内)にある場合をいう。
尚、目的地までの移動経路については通信端末6において目的地までの経路が設定されている場合にはその経路を用い、通信端末6において目的地までの経路が設定されていない場合には情報提供サーバ3が備える地図情報を用いて、目的地までの推奨経路を探索し、ユーザが移動する経路として用いる。また、周辺エリアの大きさは基本的に固定とするが情報提供地点4のジャンルによって変更しても良い。
【0071】
そして、前記S11で受信した目的地情報の送信元の通信端末6を所持するユーザについて、同一の情報提供地点4の周辺を通過し、更に目的地が共通し且つ目的地への移動に対する進捗状況が共通する他のユーザが存在すると判定された場合(S16:YES)には、S17へと移行する。
【0072】
S17でCPU21は、前記S11で受信した目的地情報の送信元の通信端末6を所持するユーザについて、同一の情報提供地点4の周辺を通過し、更に目的地が共通し且つ目的地への移動に対する進捗状況が共通する他のユーザとグルーピングする。例えば
図12に示す例では4人のユーザA~Dが共通する目的地へと移動する場合であって、且つ目的地の周辺以外に情報提供の対象となる情報提供地点4が存在する場合の例を示す。ユーザAとユーザBについては同一の情報提供地点4の周辺を通過し、更に目的地も共通し、且つ目的地への移動の進捗状況も出発直後で共通していることから同じグループにグルーピングされる。一方、ユーザCについてはユーザA及びユーザBと同一の情報提供地点4の周辺を通過し、更に目的地も共通するが、目的地への移動の進捗状況が異なることから同じグループにグルーピングされない。また、ユーザDについてはユーザA及びユーザBと目的地が共通し、且つ目的地への移動の進捗状況も出発直後で共通しているが、同一の情報提供地点4の周辺を通過しないので同じグループにグルーピングされない。
【0073】
一方で、
図13に示す例では4人のユーザA~Dが共通する目的地へと移動する場合であって、且つ目的地の周辺に情報提供の対象となる情報提供地点4が存在する場合の例を示す。ユーザAとユーザBとユーザDについては同一の情報提供地点4の周辺を通過し、更に目的地も共通し、且つ目的地への移動の進捗状況も出発直後で共通していることから同じグループにグルーピングされる。一方、ユーザCについてはユーザA、ユーザB及びユーザDと同一の情報提供地点4の周辺を通過し、更に目的地も共通するが、目的地への移動の進捗状況が異なることから同じグループにグルーピングされない。
【0074】
そして、後述の情報提供処理プログラム(
図14)では上記グルーピングされた複数のユーザ単位、即ちグループ単位でユーザが周辺を通過する情報提供地点4に関する情報の提供が行われる。詳細については後述する。
【0075】
一方、前記S16において前記S11で受信した目的地情報の送信元の通信端末6を所持するユーザについて、同一の情報提供地点4の周辺を通過し、更に目的地が共通し且つ目的地への移動に対する進捗状況が共通する他のユーザが存在しないと判定された場合(S16:NO)には、該当のユーザについてはグルーピングを行うことなく当該ユーザグルーピング処理プログラムを終了する。
【0076】
続いて、前記構成を有する情報提供システム1において、情報提供サーバ3及び通信端末6が実行する情報提供処理プログラムについて
図14に基づき説明する。
図14は本実施形態に係る情報提供処理プログラムのフローチャートである。ここで、情報提供処理プログラムは、通信端末6において目的地までの移動の道程において広告情報の提供を受ける為の所定のアプリケーションプログラムが起動された後に実行され、目的地へと移動するユーザに対して広告情報を提供するプログラムである。
【0077】
先ず、
図14に基づいて通信端末6のCPU31が実行する情報提供処理プログラムについて説明する。S21においてCPU31は、情報提供サーバ3から配信された広告情報を受信する。ここで、前記S21で受信する広告情報は、ユーザが周辺を通過する情報提供地点4に関する広告情報であり、特に情報提供サーバ3によって出力タイミングを満たしたと判定された広告情報である。また、出力タイミングを満たしたか否かの判定は、情報提供サーバ3で生成された後述の出力パターン情報と、通信端末6から定期的に情報提供サーバ3へと配信される通信端末6の現在位置情報とに基づいて判定される。尚、出力タイミングを満たしたか否かの判定は情報提供サーバ3ではなく通信端末6で行っても良い。その場合には、情報提供サーバ3で生成された出力パターン情報を通信端末6が予め取得するようにする。
【0078】
続いてS22においてCPU31は、スピーカ36を用いて情報提供サーバ3から配信された広告情報を出力する。例えば、
図15に示す例ではナビ機能によりユーザの移動案内が行われている状態での広告情報の出力例を示す。
図15に示すようにディスプレイ38において移動案内画面66が表示されている状態で、提供タイミングになるとスピーカ36から広告情報の音声が出力される。尚、広告情報としては音声以外に動画や静止画をディスプレイ38に表示することにより行うことも可能であるが、移動案内中においてはできる限り移動案内を妨げない態様で出力するのが望ましい。尚、広告情報が出力されていない間においては、例えば音楽等をスピーカ36から出力するようにしても良い。
【0079】
また、広告情報の出力態様としては、上述したように予め収録及び生成して情報提供サーバ3に格納しておいた音声データや映像データを出力することも可能であるが、リアルタイムで人が話す内容を出力しても良い。即ち、グルーピングされた複数のユーザ(グルーピングされていないユーザについては一ユーザ)に対して情報提供を行う担当のコンシェルジュを設定し、施設や商品を説明するコンシェルジュの音声や映像を出力しても良い。更に、同じグループに属するユーザ間でユーザによる映像情報、テキスト情報、音声情報の各種情報の送受信を可能にしても良い。例えば、電子メールやチャットなどのテキスト情報を互いに送受信可能にしても良い。
【0080】
尚、特にユーザが目的地までの移動案内を希望する場合には、情報提供サーバ3が有する地図情報を用いて探索した出発地から目的地までの推奨経路(以下、センタールートという)を特定する情報(例えばセンタールートに含まれるリンク列)について情報提供サーバ3から受信するようにする。そして、目的地までの移動中においてナビ機能を実行して
図15に示すような移動案内画面66を表示し、センタールートに基づいて設定された案内経路に沿った移動案内が行われる。しかしながら、ユーザが目的地までの移動案内を希望しない場合については、基本的に移動案内画面66は表示されない。その場合においても広告情報の出力タイミングを満たした際には広告情報の音声を出力する。
【0081】
その後、S23においてCPU31は、ユーザが目的地までの移動を終了したか否か、即ちユーザが目的地に到着したか否かを判定する。具体的には、通信端末6の現在位置が目的地から所定距離以内(例えば50m以内)となった場合に目的地に到達したと判定する。
【0082】
そして、ユーザが目的地までの移動を終了した、即ちユーザが目的地に到着したと判定された場合(S23:YES)には、当該情報提供処理プログラムを終了する。それに対して、ユーザが目的地までの移動を継続している、即ちユーザが目的地に到着していないと判定された場合(S23:NO)にはS21へと戻り、継続して広告情報の提供を行う。また、目的地の到着後もしばらくの間(例えば到着後10分以内)については情報の提供について継続して行うことが望ましい。
【0083】
次に、情報提供サーバ3のCPU21が実行する情報提供処理プログラムについて説明する。尚、以下のS31~S36の各処理は、通信端末6からの対応する情報を受信したタイミングで開始される。従って、各ステップの実施順序は必ずしもステップ番号の小さい順に実施されるとは限らない。
【0084】
ここでCPU21は、前述のユーザグルーピング処理プログラム(
図6)においてグルーピングされた複数のユーザ単位、即ちグループ単位で以下のS31以降の処理を実行する。但し、情報提供アプリが起動されているにもかかわらずグルーピングされていないユーザ(即ち同一の情報提供地点4の周辺を通過し、更に目的地が共通し且つ目的地への移動に対する進捗状況が共通する他のユーザが存在しないユーザ)が存在する場合については、該当のユーザについてはユーザ単位で実行する。
【0085】
先ず、S31においてCPU21は、処理対象のグループに属するユーザ(或いは処理対象のユーザ、以下同じ)が周辺を通過する情報提供地点4を特定する。尚、同じグループに属する複数のユーザは前述したように同一の情報提供地点4の周辺を通過する(S16、
図12、
図13)。前記S31で特定された情報提供地点4が、処理対象のグループに属するユーザに対して情報提供の対象となる情報提供地点4となる。尚、前記S31で特定される情報提供地点4は複数の場合もある。
【0086】
次にS32においてCPU21は、処理対象のグループに属するユーザに対して提供する対象となる広告情報の選択を行うとともに、選択された広告情報毎に出力するタイミングを設定した“出力パターン情報”を生成する。ここで、“出力パターン情報”は、ユーザが目的地への移動を開始した後から目的地への移動が完了するまでの移動期間(移動行程)において、出力対象となる広告情報の内容と広告情報を出力するタイミングを夫々設定した情報となる。
【0087】
以下に上記S32で生成される“出力パターン情報”について具体例を挙げて説明する。例えば、
図16に示す例ではユーザが目的地まで移動する間に情報提供地点Aを通過し、目的地が情報提供地点Bの周辺にある場合、即ち情報提供地点Aと情報提供地点Bが情報提供の対象である場合について説明する。
【0088】
例えば
図16に示す例では、CPU21は移動期間を移動開始時点から順に3つの区間A~Cに区分する。区間Aは移動開始直後の区間であり、区間Bは中間点付近の情報提供地点Aに接近した状態の区間であり、区間Cは目的地、即ち情報提供地点Bに接近した状態の区間である。尚、区間A~Cの区分は距離に基づいて行っても良いし、時間に基づいて行っても良い。そして、先ず最初の区間Aでは、ユーザは目的地にはそれほど大きな関心は無く、寄り道する場所を探すと推定される。従って、区間Aに対しては寄り道の候補となる「情報提供地点Aに関する広告情報」を出力対象に設定する。次の区間Bでは、引き続き近傍にある「情報提供地点Aに関する広告情報」を出力対象に設定する一方で、ユーザは目的地に対する関心が徐々に大きくなると推定されるので、目的地到着後に訪れる候補となる「情報提供地点Bに関する広告情報」についても出力対象に設定する。最後の区間Cでは、既に通過した「情報提供地点Aに関する広告情報」については出力対象から除く一方で、ユーザは目的地に対する関心が更に大きくなると推定されるので、目的地到着後に訪れる候補となる「情報提供地点Bに関する広告情報」について出力対象に設定する。
【0089】
続いて、S33においてCPU21は、処理対象のグループに属するユーザの通信端末6から定期的に取得するユーザの現在位置と前記S32で生成した“出力パターン情報”に基づいて、広告情報をユーザに対して出力するタイミングを満たしたか否かを判定する。例えば、
図16に示す“出力パターン情報”の例では、処理対象のグループに属するユーザのいずれか或いは全員が移動を開始したタイミングを、区間Aに対して出力対象に設定された広告情報の出力タイミングとする。また、処理対象のグループに属するユーザのいずれか或いは全員が区間Bに到達したタイミングを、区間Bに対して出力対象に設定された広告情報の出力タイミングとする。また、処理対象のグループに属するユーザのいずれか或いは全員が区間Cに到達したタイミングを、区間Cに対して出力対象に設定された広告情報の出力タイミングとする。
【0090】
そして、広告情報をユーザに対して出力するタイミングを満たしたと判定された場合(S33:YES)には、S34へと移行する。それに対して、広告情報をユーザに対して出力するタイミングを満たしていないと判定された場合(S33:NO)には、S36へと移行する。
【0091】
S34においてCPU21は、前記S32で生成した“出力パターン情報”に基づいて処理対象のグループに属するユーザの通信端末6が出力タイミングを満たしたと判定した広告情報を、配信情報DB8から抽出する。尚、該当する広告情報が複数ある場合には、複数の広告情報を抽出しても良いし、例えばユーザ情報(年齢、性別、過去の購入履歴等)を考慮して、ユーザに最も効果的な広告情報を抽出しても良い。
【0092】
続いて、S35においてCPU21は、前記S34で抽出した広告情報を、処理対象のグループに属するユーザの通信端末6に対して送信する。尚、広告情報の送信は処理対象のグループに属する複数のユーザ単位、即ちグループ単位で行う。より具体的には、情報提供サーバ3側が一の処理で処理対象のグループに属する複数のユーザの通信端末6に対して情報を送信する(即ち送信先に複数のユーザを指定して送信を行う)。その結果、同時又は略同時に処理対象のグループに属する複数のユーザに対して広告情報が送信される。
【0093】
広告情報を受信した通信端末6では、前述したように通信端末6において広告情報が出力されることとなる(
図15)。
【0094】
その後、S36においてCPU21は、処理対象のグループに属するユーザが目的地までの移動を終了したか否か、即ちユーザが目的地に到着したか否かを判定する。具体的には、通信端末6から定期的に取得するユーザの現在位置と目的地の座標とを比較し、処理対象のグループに属するユーザ情報の送信元の通信端末6の現在位置が目的地から所定距離以内(例えば50m以内)となった場合に目的地に到達したと判定する。
【0095】
そして、処理対象のグループに属するユーザが目的地までの移動を終了した、即ちユーザが目的地に到着したと判定された場合(S36:YES)には、当該情報提供処理プログラムを終了する。それに対して、処理対象のグループに属するユーザが目的地までの移動を継続している、即ちユーザが目的地に到着していないと判定された場合(S36:NO)にはS33へと戻り、継続して広告情報の提供を行う。尚、グループに属する複数のユーザの内、一部のユーザのみ目的地に到着した場合については、目的地に到着していないユーザの通信端末6のみを対象としてS33以降の処理を継続して行っても良い。また、目的地の到着後もしばらくの間(例えば到着後10分以内)については前記S33~S35による情報の提供について継続して行うことが望ましい。
【0096】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る情報提供システム1、情報提供サーバ3及び情報提供サーバ3で実行されるコンピュータプログラムでは、情報提供の対象となる情報提供地点を取得し(S15)、複数のユーザを対象として各ユーザが移動する目的地を取得し(S11、S12)、複数のユーザの内から目的地までの移動において同一の情報提供地点の周辺を通過し、且つユーザの目的地への移動に対する進捗状況が共通する複数のユーザを特定する(S17)とともに、特定された複数のユーザ単位で、該複数のユーザが周辺を通過する情報提供地点に関する情報を提供する(S34、S35)ので、提供する情報の内容や提供のタイミングを共通化できる複数のユーザをグルーピングすることによって、グループ単位で配信対象となる情報の管理、並びに情報の配信処理を可能となる。その結果、ユーザにとって有益な情報を効率よく提供することが可能となる。
また、複数のユーザの内から目的地までの移動において同一の情報提供地点の周辺を通過し、且つ目的地が共通する複数のユーザを特定する(S17)とともに、特定された複数のユーザ単位で、該複数のユーザが周辺を通過する情報提供地点に関する情報を提供する(S34、S35)ので、提供する情報の内容や提供のタイミングを共通化できる複数のユーザをグルーピングすることによって、グループ単位で配信対象となる情報の管理、並びに情報の配信処理を可能となる。その結果、ユーザにとって有益な情報を効率よく提供することが可能となる。
また、目的地までの移動において同一の情報提供地点の周辺を通過する場合には、複数のユーザの目的地が同一の情報提供地点の周辺エリア内にある場合と、複数のユーザの移動経路の少なくとも一部が同一の情報提供地点の周辺エリア内にある場合と、の少なくとも一方を含むので、目的地までの移動途中でユーザが立ち寄る候補となる情報提供地点に関する情報と、目的地への到着後に訪れる候補となる情報提供地点に関する情報とをユーザに提供することが可能となる。
また、ユーザが移動する目的地のジャンルに対応するジャンルの情報提供地点を取得する(S15)ので、ユーザが移動する目的地のジャンルを考慮して、ユーザが必要とする情報を適切に提供することが可能となる。
また、目的地のジャンルには情報提供地点のジャンルが複数対応付けられ、目的地までの距離によって異なるジャンルの情報提供地点を取得する(S15)ので、ユーザが移動する目的地のジャンルとともに、ユーザが目的地までの移動の途中に立ち寄る可能性の高い情報提供地点のジャンルと目的地の到着後に訪れる可能性の高い情報提供地点のジャンルについても考慮することによって、ユーザが必要とする情報を適切に提供することが可能となる。
【0097】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば本発明を企業の展示会でのユーザの移動に適用することも可能である。その場合に「目的地」や「情報提供地点」は企業の出展ブースであっても良いし、出展ブース内にある具体的な展示物であっても良い。また、出力される広告情報は、展示会全体の広告情報であっても良いし、出展する企業に関する広告情報でもよいし、出展ブースに対する広告情報でも良いし、出展ブースに出展された展示物に対する広告情報でもよい。
【0098】
また、本実施形態では、実際にユーザ自身が車等の移動手段を用いて出発地から目的地まで移動する場合においてユーザに対して広告情報を提供することを前提としているが、ユーザの移動は現実世界の移動ではなく仮想空間上での仮想の移動を対象としても良い。即ち、VR(Virtual Reality)を使って仮想空間上を移動するユーザのアバターが仮想空間の出発地から目的地へ移動する場合においてアバターを操作するユーザに対して広告情報を提供するようにしても良い。その場合には通信端末6はVRシステムを構成可能な専用のVRヘッドセット、スマートフォン、PCが該当する。尚、仮想空間上のアバターの操作はVRヘッドセットを使う場合にはリモコンやゲームパッドで行う。PCの場合には、マウスやキーボードで行う。スマートフォンの場合には、タッチパネルで行う。そして、このようなVRに本発明を適用する場合には、前記S11ではユーザのアバターの仮想空間上の出発地や目的地を通信端末6から取得するようにする。また、前記S15では仮想空間上にあって広告を行う情報提供地点(例えばバーチャルモール内のショップ、バーチャルの展示会の出展ブースや展示物)を特定する。また、ユーザの目的地への移動の進捗状況はユーザのアバターの仮想空間内での目的地への移動の進捗状況となる。
【0099】
例えば具体例として、VRによる仮想空間が企業の展示会である場合には、目的地や情報提供地点は仮想空間上にある企業の出展ブースであっても良いし、出展ブース内にある具体的な展示物であっても良い。また、例えば目的地が企業の出展ブースである場合に、アバターを操作するユーザに対して提供される広告情報は、展示会全体の広告情報であっても良いし、出展する企業に関する広告情報でも良いし、出展ブースに対する広告情報でも良いし、出展ブースに出展された展示物に対する広告情報でも良い。
【0100】
また、他の具体例として、VRによる仮想空間がバーチャルモールである場合には、例えばアバターを操作するユーザに対して提供される広告情報は、バーチャルモール全体の広告情報であっても良いし、バーチャルモールに出店するショップに関する広告情報でも良いし、バーチャルモールに出店するショップが扱う商品に対する広告情報でも良い。
【0101】
また、本実施形態では複数のユーザ5の内から同一の情報提供地点4の周辺を通過するユーザの内、目的地が共通し且つ目的地への移動に対する進捗状況が共通する複数のユーザをグルーピングしているが、目的地が共通することは条件から除き、同一の情報提供地点4の周辺を通過し且つ目的地への移動に対する進捗状況が共通する複数のユーザをグルーピングしても良い。或いは、目的地への移動に対する進捗状況が共通することを条件から除き、同一の情報提供地点4の周辺を通過し且つ目的地が共通する複数のユーザをグルーピングしても良い。
【0102】
また、本実施形態では
図16に示すように移動期間を区間A~Cの3つの区間に区分し、各区間に対して出力対象とする広告情報を設定しているが、区分する区間の数は2以下あるいは4以上としても良い。また、必ずしもすべての区間に対して出力対象とする広告情報を設定する必要はなく、一部の区間に対してのみ出力対象とする広告情報を設定しても良い。
【0103】
また、本実施形態ではユーザに対して出力対象としているのは、広告主である情報提供地点4が商品や興行物などを広く知らせ、人の関心を引きつけること目的として発する広告情報であるが、ユーザの行動を支援できるのであれば広告情報以外の情報を出力しても良い。例えば広告目的でなく施設の場所を案内する情報であっても良い。
【0104】
また、本実施形態では、ユーザの目的地の入力操作に基づいて今回の移動におけるユーザの目的地を設定しているが、ユーザの過去の行動履歴等に基づいてユーザの目的地を推測して設定しても良い。例えば、過去に同じ曜日の同じ時間帯にユーザが頻繁に同一の施設を訪れている場合には、今回の移動の目的地についても同施設であると推測できる。また、夕方以降にショッピングモール等の自宅以外の施設から移動を開始する場合には自宅を目的地と推測することも可能である。
【0105】
また、本実施形態では、ユーザが車両に乗車している状態であることを前提とするが、車両以外の移動手段に乗車している状態であっても良いし、徒歩で移動している状態であっても良い。
【0106】
また、本実施形態ではグループに属する複数のユーザは、夫々異なる移動手段で共通する目的地へ移動することを前提としているが、グループに属する複数のユーザが同一の移動手段で共通する目的地へ移動することを前提としても良い。例えば、旅行会社が企画する同じツアー旅行に参加する参加者達が同じグループに属する態様が考えられる。
【0107】
また、本実施形態では、通信端末6をスマートフォンに適用した例について説明したが、情報提供サーバ3から配信された情報を出力する機能を有していれば他の種類の通信端末に対して適用することも可能である。例えば携帯電話機、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等に適用することが可能である。また、ナビゲーション装置以外に適用する場合には、ユーザが車で移動する以外の状況、例えば徒歩で移動する状況においても実施可能である。
【0108】
また、本実施形態では、S31~S35の広告情報の選択や抽出に関する処理を情報提供サーバ3が行う構成としているが、通信端末6が行っても良い。
【符号の説明】
【0109】
1…情報提供システム、3…情報提供サーバ、4…情報提供地点、5…ユーザ、6…通信端末、8…配信情報DB、11…サーバ制御部、21…CPU、22…RAM、23…ROM