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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】プリントヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020184305
(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公開番号】P2022074346
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】中野 修一
(72)【発明者】
【氏名】土岐 正▲寛▼
(72)【発明者】
【氏名】河西 駿介
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-248860(JP,A)
【文献】特開2020-175559(JP,A)
【文献】特開2018-199314(JP,A)
【文献】特開2020-082475(JP,A)
【文献】特開2017-114020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出部を具備するプリントヘッドであって、
前記プリントヘッドの交換、または、
前記プリントヘッドに接続されるハードウェアの交換が必要な第1エラーが発生してい
るか否かを判定する第1判定処理、並びに、
前記プリントヘッドの交換、及び、
前記プリントヘッドに接続されるハードウェアの交換が不要な第2エラーが発生してい
るか否かを判定する第2判定処理を行う判定部と、
前記判定部における判定の結果に応じて発光する発光部と、
を備え
前記発光部は、
前記第1判定処理における判定の結果が肯定の場合に点灯し、
前記第2判定処理における判定の結果が肯定の場合に点滅する、
ことを特徴とするプリントヘッド。
【請求項2】
前記第2エラーは、
前記プリントヘッドに対する電源の供給を一時的に停止させることで回復可能なエラー
である、
ことを特徴とする、請求項に記載のプリントヘッド。
【請求項3】
前記判定部は、
前記プリントヘッドにおける温度が基準温度以上となる第3エラーが発生しているか否
かを判定する第3判定処理を行い、
前記発光部は、
前記第3判定処理における判定の結果が肯定の場合、
前記第2判定処理における判定の結果が肯定の場合とは異なる速度で点滅する、
ことを特徴とする、請求項またはに記載のプリントヘッド。
【請求項4】
前記発光部は、
前記第2判定処理における判定の結果が肯定の場合、
前記第3判定処理における判定の結果が肯定の場合よりも短い間隔で点滅する、
ことを特徴とする、請求項に記載のプリントヘッド。
【請求項5】
前記判定部は、
前記吐出部の故障が発生しているか否かを検査する検査部を備え、
前記第1エラーは、
前記吐出部の故障を含み、
前記発光部は、
前記第1判定処理における判定の結果が肯定の場合であって前記吐出部に故障が発生し
ている場合における点灯強度を、
前記第1判定処理における判定の結果が肯定の場合であって前記吐出部に故障が発生し
ていない場合における点灯強度よりも強くする、
ことを特徴とする、請求項乃至のうち何れか1項に記載のプリントヘッド。
【請求項6】
液体を吐出する吐出部を具備するプリントヘッドであって、
前記プリントヘッドの交換、または、
前記プリントヘッドに接続されるハードウェアの交換が必要な第1エラーが発生してい
るか否かを判定する第1判定処理、並びに、
前記プリントヘッドの交換、及び、
前記プリントヘッドに接続されるハードウェアの交換が不要な第2エラーが発生してい
るか否かを判定する第2判定処理を行う判定部と、
複数の発光素子を具備し、
前記判定部における判定の結果に応じた個数の発光素子を発光させる発光部と、
を備え
前記発光部は、
前記第1判定処理における判定の結果が肯定の場合に、
前記第2判定処理における判定の結果が肯定の場合よりも多くの発光素子を発光させる

ことを特徴とするプリントヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンター等の印刷装置は、プリントヘッドを駆動信号により駆動することにより、プリントヘッドに充填されているインク等の液体を吐出させ、記録用紙等の媒体に画像を形成する印刷処理を実行する。このような印刷装置において、プリントヘッドに不具合が生じると、印刷処理において媒体に形成される画像の画質が低下する。このため、従来から、プリントヘッドの状態を示す情報をプリントヘッドから取得し、当該取得した情報に基づいて、プリントヘッドの状態を検査するとともに、当該検査結果を示す電気信号である検査結果信号を出力する検査回路に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-114049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、プリントヘッドの状態の検査結果を印刷装置のユーザに報知するための報知装置を、プリントヘッドの外部に設けることになる。このため、従来の技術においては、報知装置が、プリントヘッドの状態の検査結果を取得できない場合が存在した。これにより、従来の技術においては、プリントヘッドの検査結果が、報知されない恐れが存在した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係るプリントヘッドは、液体を吐出する吐出部を具備するプリントヘッドであって、前記プリントヘッドの交換、または、前記プリントヘッドに接続されるハードウェアの交換が必要な第1エラーが発生しているか否かを判定する第1判定処理、並びに、前記プリントヘッドの交換、及び、前記プリントヘッドに接続されるハードウェアの交換が不要な第2エラーが発生しているか否かを判定する第2判定処理を行う判定部と、前記判定部における判定の結果に応じて発光する発光部と、を備える、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成の一例を示すブロック図である。
図2】インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
図3】ヘッドユニット3の概略的な構造の一例を示す断面図である。
図4】吐出部D[m]の概略的な構造の一例を示す断面図である。
図5】ヘッドユニット3におけるノズルNの配置の一例を示す平面図である。
図6】駆動信号生成回路GR-Pの構成の一例を示すブロック図である。
図7】入力信号Aa及び変調信号Msの一例を説明するための説明図である。
図8】印刷部30の構成の一例を示すブロック図である。
図9】印刷部30に供給される信号の一例を示すタイミングチャートである。
図10】個別指定信号Sd[m]の一例を示す説明図である。
図11】吐出判定回路42の動作の一例を説明するための説明図である。
図12】発光制御回路51の動作の一例を示すフローチャートである。
図13】変形例1.1に係るヘッドユニット3Aの概略的な構造の一例を示す断面図である。
図14】変形例1.2に係るインクジェットプリンター1Bの構成の一例を示すブロック図である。
図15】第2実施形態に係るインクジェットプリンター1Cの構成の一例を示すブロック図である。
図16】印刷部30C及び発音部55の構成の一例を示すブロック図である。
図17】ヘッドユニット3Cの概略的な構造の一例を示す断面図である。
図18】変形例2.1に係るヘッドユニット3Dの概略的な構造の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
<<1.第1実施形態>>
本実施形態では、インクを吐出して記録用紙Pに画像を形成するインクジェットプリンターを例示して、印刷装置を説明する。なお、本実施形態において、インクとは「液体」の一例であり、記録用紙Pとは「媒体」の一例である。
【0009】
<<1.1.インクジェットプリンターの機能の概要>>
以下、図1を参照しつつ、本実施形態に係るインクジェットプリンター1の機能構成の一例について説明する。
【0010】
図1は、インクジェットプリンター1の構成の一例を示す機能ブロック図である。インクジェットプリンター1には、パーソナルコンピューターまたはデジタルカメラ等のホストコンピューターから、インクジェットプリンター1が形成すべき画像を示す印刷データImgが供給される。インクジェットプリンター1は、ホストコンピューターから供給される印刷データImgの示す画像を記録用紙Pに形成する処理である、印刷処理を実行する。
【0011】
図1に例示するように、インクジェットプリンター1は、インクジェットプリンター1の各部を制御する制御ユニット2と、インクを吐出する吐出部Dが設けられたヘッドユニット3と、吐出部Dを駆動するための駆動信号Comを生成する駆動信号生成ユニット8と、ヘッドユニット3に対する記録用紙Pの相対位置を変化させるための搬送ユニット7と、インクジェットプリンター1の各部に電源を供給する電源ユニット9と、を備える。なお、本実施形態において、ヘッドユニット3は、「プリントヘッド」の一例である。
【0012】
図1に例示するように、ヘッドユニット3は、Q個のヘッドモジュールHMを備える。ここで、値Qは、「Q≧1」を満たす自然数である。なお、以下では、Q個のヘッドモジュールHMのうち、q番目のヘッドモジュールHMを、ヘッドモジュールHM[q]と称する場合がある。ここで、変数qは、「1≦q≦Q」を満たす自然数である。また、以下では、インクジェットプリンター1の構成要素または信号等が、Q個のヘッドモジュールHMのうち、ヘッドモジュールHM[q]に対応する場合は、当該構成要素または信号等を表わすための符号に、添え字[q]を付すことがある。なお、本実施形態では、一例として、「Q=4」の場合を例示して説明する。
本実施形態において、各ヘッドモジュールHMは、M個の吐出部Dを備える。ここで、値Mは、「M≧1」を満たす自然数である。なお、以下では、ヘッドモジュールHMに設けられたM個の吐出部Dのうち、m番目の吐出部Dを、吐出部D[m]と称する場合がある。ここで、変数mは、「1≦m≦M」を満たす自然数である。また、以下では、インクジェットプリンター1の構成要素または信号等が、M個の吐出部Dのうち、吐出部D[m]に対応する場合は、当該構成要素または信号等を表わすための符号に、添え字[m]を付すことがある。
【0013】
制御ユニット2は、1または複数のCPUを含んで構成される。但し、制御ユニット2は、CPUの代わりに、または、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを備えるものでよい。ここで、CPUとは、Central Processing Unitの略称であり、FPGAとは、field-programmable gate arrayの略称である。制御ユニット2は、印刷信号SI、及び、波形指定信号dCom等の、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御するための信号を生成する。
ここで、波形指定信号dComとは、駆動信号Comの波形を規定するデジタルの信号である。また、駆動信号Comとは、吐出部Dを駆動するためのアナログの信号である。また、印刷信号SIとは、吐出部Dの動作の種類を指定するためのデジタルの信号である。具体的には、印刷信号SIは、吐出部Dに対して駆動信号Comを供給するか否かを指定することで、吐出部Dの動作の種類を指定する信号である。
【0014】
本実施形態において、制御ユニット2は、ヘッドモジュールHM毎に、印刷信号SIを供給する。すなわち、制御ユニット2は、ヘッドモジュールHM[q]に対して、印刷信号SI[q]を供給する。
【0015】
本実施形態において、駆動信号生成ユニット8は、ヘッドモジュールHM[1]~HM[Q]と1対1に対応するQ個の駆動信号生成回路GR[q]を備える。駆動信号生成回路GR[q]は、ヘッドモジュールHM[q]に設けられた吐出部Dを駆動するための駆動信号Com[q]を生成する。駆動信号生成回路GR[q]は、「生成部」の一例である。
なお、本実施形態では、駆動信号Com[q]が、駆動信号Com-A[q]と、駆動信号Com-B[q]と、を含む場合を想定する。以下では、駆動信号Com-A[q]及び駆動信号Com-B[q]を、駆動信号Com-P[q]と総称する場合がある。
また、本実施形態では、駆動信号生成回路GR[q]が、駆動信号Com-A[q]を生成する駆動信号生成回路GR-A[q]と、駆動信号Com-B[q]を生成する駆動信号生成回路GR-B[q]と、を含む場合を想定する。以下では、駆動信号生成回路GR-A[q]及び駆動信号生成回路GR-B[q]を、駆動信号生成回路GR-P[q]と総称する場合がある。
また、本実施形態では、波形指定信号dCom[q]が、駆動信号Com-A[q]の波形を規定する波形指定信号dCom-A[q]と、駆動信号Com-B[q]の波形を規定する波形指定信号dCom-B[q]と、を含む場合を想定する。以下では、波形指定信号dCom-A[q]及び波形指定信号dCom-B[q]を、波形指定信号dCom-P[q]と総称する場合がある。
駆動信号生成回路GR-P[q]は、DA変換回路を含み、波形指定信号dCom-P[q]に基づいて、波形指定信号dCom-P[q]により規定される波形を有する駆動信号Com-P[q]を生成する。
【0016】
印刷処理が実行される場合、制御ユニット2は、まず、ホストコンピューターから供給される印刷データImg等の各種データに基づいて、印刷信号SI等のヘッドユニット3を制御するための信号と、波形指定信号dCom等の駆動信号生成ユニット8を制御するための信号と、搬送ユニット7を制御するための信号と、を生成する。そして、制御ユニット2は、印刷処理において、ヘッドユニット3に対する記録用紙Pの相対位置を変化させるように搬送ユニット7を制御しつつ、印刷信号SI等の各種信号に基づいて吐出部Dが駆動されるように駆動信号生成ユニット8及びヘッドユニット3を制御する。これにより、制御ユニット2は、印刷処理において、吐出部Dからのインクの吐出の有無、インクの吐出量、及び、インクの吐出タイミング等を調整し、印刷データImgに対応する画像が記録用紙Pに形成されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御する。
【0017】
図1に例示するように、ヘッドモジュールHM[q]は、印刷部30と、判定部40と、発光部50と、温度センサーTMと、を備える。
このうち、印刷部30は、供給回路31と、吐出ヘッド32と、検出回路33と、を備える。なお、吐出ヘッド32は、「ヘッド部」の一例である。
【0018】
供給回路31は、印刷信号SI[q]に基づいて、駆動信号Com[q]を吐出部D[m]に供給するか否かを切り替える。なお、以下では、駆動信号Com[q]のうち、吐出部D[m]に供給される駆動信号Com[q]を、供給駆動信号Vin[m]と称する場合がある。また、供給回路31は、印刷信号SI[q]に基づいて、吐出部D[m]が具備する圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]の電位を示す検出電位信号Vout[m]を、検出回路33に供給するか否かを切り替える。以下では、吐出部D[m]から検出回路33に対して検出電位信号Vout[m]が供給される場合、当該吐出部D[m]を、検査対象吐出部DSと称する。また、吐出部D[m]が、検査対象吐出部DSに該当しない場合、当該吐出部D[m]を、検査対象外吐出部DPと称する。なお、圧電素子PZ[m]及び上部電極Zu[m]については、図4において後述する。
また、供給回路31は、制御ユニット2から取得した各種信号を含む供給信号VSを、判定部40に対して出力する。ここで、供給信号VSとは、印刷信号SI[q]、クロック信号CL、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、期間指定信号Tsigを含む信号である。なお、クロック信号CL、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、期間指定信号Tsigについては、後述する。
【0019】
検出回路33は、検査対象吐出部DSから供給回路31を介して供給される検出電位信号Vout[m]に基づいて、検出信号VX[m]を生成する。具体的には、検出回路33は、例えば、検出電位信号Vout[m]を増幅しノイズ成分を除去することで検出信号VX[m]を生成する。
【0020】
温度センサーTMは、ヘッドモジュールHM[q]の温度を検出し、当該検出の結果を示す、温度信号VTを生成する。
【0021】
判定部40は、信号判定回路41と、吐出判定回路42と、温度判定回路43と、を備える。
【0022】
信号判定回路41は、供給信号VSに基づいて、制御ユニット2からヘッドユニット3に対して、各種信号が正常に供給されているか否か、すなわち、制御ユニット2からヘッドユニット3に対する各種信号の供給に係る信号供給異常が生じていない状態であるか否かを判定し、当該判定の結果を示す信号判定結果情報BSを出力する。ここで、信号供給異常とは、制御ユニット2とヘッドユニット3とを電気的に接続する配線において断線が生じ、制御ユニット2からヘッドユニット3に対して各種信号の供給ができない状態、及び、制御ユニット2からヘッドユニット3に対して供給される各種信号に対してノイズが重畳し、制御ユニット2からヘッドユニット3に対して供給される各種信号の示す情報が正確ではない状態の総称である。
【0023】
吐出判定回路42は、検出信号VXに基づいて、検査対象吐出部DSにおけるインクの吐出状態が正常であるか否か、すなわち、検査対象吐出部DSにおいて吐出異常が生じていない状態であるか否かを判定し、当該判定の結果を示す吐出判定結果情報BXを出力する。ここで、吐出異常とは、吐出部Dにおけるインクの吐出状態が異常となること、つまり、吐出部Dが具備するノズルNからインクを正確に吐出することのできない状態の総称である。例えば、吐出異常とは、吐出部Dからインクを吐出できない状態、吐出部Dが駆動信号Comにより規定されるインクの吐出量とは異なる量のインクを吐出する状態、及び、吐出部Dが駆動信号Comにより規定されるインクの吐出速度とは異なる速度でインクを吐出する状態、等を含む。
【0024】
温度判定回路43は、温度信号VTに基づいて、ヘッドモジュールHM[q]の温度が正常であるか否か、すなわち、ヘッドモジュールHM[q]において温度異常が生じていない状態であるか否かを判定し、当該判定の結果を示す温度判定結果情報BTを出力する。ここで、温度異常とは、ヘッドモジュールHM[q]の温度が基準温度以上となることである。
【0025】
なお、以下では、信号判定結果情報BS、吐出判定結果情報BX、及び、温度判定結果情報BTを含む情報を、判定結果情報BBと称する場合がある。
【0026】
発光部50は、発光制御回路51と、1または複数の発光素子52と、を備える。なお、本実施形態では、発光部50が、2個の発光素子52を具備する場合を、一例として想定する。
【0027】
発光素子52は、例えば、発光ダイオードである。本実施形態において、発光素子52は、570nm以上の波長を有する可視光線を発することができる。例えば、発光素子52は、赤色の光またはオレンジ色の光を発することができてもよい。なお、本実施形態では、インクジェットプリンター1において利用されるインクとして、任意の種類のインクを採用できる場合を想定する。例えば、インクジェットプリンター1において利用されるインクとして、紫外線の照射された場合に硬化する紫外線硬化インクを採用してもよい。また、インクジェットプリンター1において利用されるインクとして、光耐性の弱いジスアゾ系の色材を含むインクを採用してもよい。
【0028】
発光制御回路51は、判定結果情報BBに基づいて、2個の発光素子52の一方または両方を発光させるための発光制御信号CtLを生成する。
【0029】
<<1.2.インクジェットプリンターの構造>>
以下、図2乃至図5を参照しつつ、インクジェットプリンター1の構造の一例について説明する。
【0030】
図2は、インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
【0031】
図2に例示するように、本実施形態では、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである場合を想定する。具体的には、インクジェットプリンター1は、印刷処理を実行する場合、副走査方向に記録用紙Pを搬送しつつ、副走査方向に交差する主走査方向にヘッドユニット3を往復動させながら、吐出部Dからインクを吐出させることで、記録用紙P上に、印刷データImgに応じたドットを形成する。
以下では、+X方向とその逆方向である-X方向とを「X軸方向」と総称し、X軸方向に交差する+Y方向とその逆方向である-Y方向とを「Y軸方向」と総称し、X軸方向及びY軸方向に交差する+Z方向とその逆方向である-Z方向とを「Z軸方向」と総称する。そして、本実施形態では、図2に例示するように、上流側である-X側から下流側である+X側に向かう+X方向を副走査方向とし、+Y方向及び-Y方向を主走査方向とする。
【0032】
図2に例示するように、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、筐体100と、筐体100内をY軸方向に往復動可能であり、ヘッドユニット3を搭載するキャリッジ110と、を備える。
本実施形態では、図2に例示するように、キャリッジ110が、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの、4色のインクと1対1に対応する4個のインクカートリッジ120を格納している場合を想定する。また、上述のとおり、本実施形態では、一例として、インクジェットプリンター1が、4個のインクカートリッジ120と1対1に対応する4個のヘッドモジュールHMを備える場合を想定する。各吐出部Dは、当該吐出部Dが設けられたヘッドモジュールHMに対応するインクカートリッジ120からインクの供給を受ける。これにより、各吐出部Dは、供給されたインクを内部に充填し、充填したインクを、当該吐出部Dに設けられたノズルNから吐出することができる。なお、インクカートリッジ120は、キャリッジ110の外部に設けられてもよい。
【0033】
また、上述のとおり、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、搬送ユニット7を備える。搬送ユニット7は、印刷処理が実行される場合に、キャリッジ110をY軸方向に往復動させるとともに、記録用紙Pを+X方向に搬送することで、記録用紙Pのヘッドユニット3に対する相対位置を変化させ、記録用紙Pの全体に対するインクの着弾を可能とする。搬送ユニット7は、キャリッジ110をY軸方向に往復自在に支持するキャリッジガイド軸76と、キャリッジ110をY軸方向に往復動させるための搬送機構71と、を具備する。このため、搬送ユニット7は、ヘッドユニット3をキャリッジ110と共に、キャリッジガイド軸76に沿ってY軸方向に往復動させることができる。また、搬送ユニット7は、キャリッジ110の-Z側に設けられたプラテン75と、プラテン75上の記録用紙Pを+X方向に搬送する搬送機構73と、を備える。
【0034】
図3は、XZ平面に平行な平面でヘッドユニット3を切断した、ヘッドユニット3の概略的な一部断面図の一例である。
【0035】
図3に例示するように、ヘッドユニット3は、吐出ヘッド32を固定するための固定版61と、吐出ヘッド32を収納するための下枠部62と、インクカートリッジ120から吐出ヘッド32にインクを供給するための流路が設けられた流路部材63と、供給回路31、検出回路33、信号判定回路41、吐出判定回路42、温度判定回路43、及び、発光制御回路51等の、各種回路が形成される回路基板60と、上述した2個の発光素子52と、を備える。
【0036】
固定版61は、例えば、高剛性の金属で形成された平板材であり、開口610が形成される。ヘッドモジュールHM[q]の具備する吐出ヘッド32は、+Z方向に見た場合に、当該吐出ヘッド32に設けられたM個の吐出部D[1]~D[M]の具備するM個のノズルNが、開口610から視認可能となるように、固定版61に固定される。
下枠部62は、固定版61の+Z側において、例えば接着剤等により固定版61に固定される。下枠部62は、例えば、樹脂材料で形成された構造体であり、開口620が形成される。開口620の内部には、接続部601と支持部602とが設けられる。
【0037】
支持部602は、吐出ヘッド32を支持するための構造体である。支持部602は、例えば、樹脂材料で形成される。支持部602には、インクカートリッジ120から吐出ヘッド32にインクを供給するための流路が設けられる。吐出ヘッド32は、支持部602の-Z側において、例えば接着剤等により支持部602に固定される。
接続部601は、支持部602の+Z側において、例えば接着剤等により支持部602に固定される。接続部601は、例えば、樹脂材料で形成される。接続部601には、インクカートリッジ120から吐出ヘッド32にインクを供給するための流路が設けられる。
【0038】
回路基板60は、接続部601の+Z側において、例えば接着剤等により接続部601に固定される。回路基板60は、例えば、ガラスエポキシ樹脂から構成される。上述のとおり、回路基板60の+Z側には、供給回路31、検出回路33、信号判定回路41、吐出判定回路42、温度判定回路43、及び、発光制御回路51が形成される。また、回路基板60の+Z側であって、Y軸方向における回路基板60の端部には、2個の発光素子52が形成される。具体的には、回路基板60の+Z側であって、-X方向における回路基板60の端部には、発光素子52-1が形成される。また、回路基板60の+Z側であって、+X方向における回路基板60の端部には、発光素子52-2が形成される。
【0039】
流路部材63は、例えば、プラスチック等の樹脂材料で形成された構造体であり、外枠部631と、上枠部632と、連通部641と、フィルター部642と、バルブ部643と、を備える。
【0040】
外枠部631は、下枠部62及び回路基板60の+Z側において、例えば接着剤等により下枠部62及び回路基板60に固定される。外枠部631には、外枠部631をZ軸方向に貫通する開口66と、外枠部631の-Z側の表面における2個の凹部65と、が設けられる。具体的には、外枠部631の-Z側の表面であって、開口66よりも-X側には、凹部65-1が設けられ、また、外枠部631の-Z側の表面であって、開口66よりも+X側には、凹部65-2が設けられる。
【0041】
連通部641は、回路基板60の+Z側において、回路基板60に固定される。連通部641には、インクカートリッジ120から吐出ヘッド32にインクを供給するための流路が設けられる。
フィルター部642は、連通部641の+Z側において、例えば接着剤等により連通部641に固定される。フィルター部642には、インクカートリッジ120から吐出ヘッド32にインクを供給するための流路が設けられる。また、図示は省略するが、フィルター部642には、フィルター部642に設けられた流路を流れるインクから、気泡及び異物を除去するためのフィルターが設けられる。
バルブ部643は、フィルター部642の+Z側において、例えば接着剤等によりフィルター部642に固定される。バルブ部643には、インクカートリッジ120から吐出ヘッド32にインクを供給するための流路が設けられる。また、図示は省略するが、バルブ部643には、インクカートリッジ120から供給されるインクの圧力を調整する調整弁が設けられる。
上枠部632は、外枠部631及びバルブ部643の+Z側において、例えば接着剤等により外枠部631及びバルブ部643に固定される。上枠部632には、インクカートリッジ120から吐出ヘッド32にインクを供給するための流路が設けられる。
【0042】
2個の発光素子52は、回路基板60の+Z側において、回路基板60に固定される。具体的には、2個の発光素子52は、回路基板60の+Z側の表面のうち、X軸方向における回路基板60の端部であって、凹部65の内部に設けられる。
より具体的には、発光素子52-1は、回路基板60の+Z側の表面のうち、-X方向における回路基板60の端部であって、凹部65-1の内部に設けられる。また、発光素子52-2は、回路基板60の+Z側の表面のうち、+X方向における回路基板60の端部であって、凹部65-2の内部に設けられる。すなわち、各発光素子52は、流路部材63が備える外枠部631と、回路基板60との間に設けられる。なお、回路基板60は、流路部材63と、吐出ヘッド32との間に設けられる。
【0043】
また、外枠部631には、凹部65-1及び開口54-1を接続する導光管53-1が設けられる。
ここで、導光管53-1とは、発光素子52-1の発する光を、開口54-1へと導く構成要素である。例えば、導光管53-1は、光ファイバーであってもよい。
また、開口54-1とは、発光素子52-1から発せられて導光管53-1により導かれた光を、ヘッドユニット3の外部へと出射するための要素である。なお、本実施形態において、開口54-1は、外枠部631を+X方向に見たときに視認可能な部分に設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、開口54-1は、上枠部632を+X方向に見たときに視認可能な部分に設けられてもよい。この場合、導光管53-1は、外枠部631及び上枠部632において、凹部65-1及び開口54-1を接続するように設けられればよい。すなわち、開口54-1は、流路部材63を+X方向に見たときに視認可能な側面部分に設けられればよい。なお、開口54-1は、Z軸方向において、吐出ヘッド32と開口54-1との間に発光素子52-1が位置するように設けられる。
なお、本実施形態において、開口54-1から出射された光は、方向L1に進行する。但し、開口54-1から出射された光は、方向L1を中心に拡散するように進行してもよい。ここで、方向L1とは、Y軸方向に見たときに、-X方向に平行な方向である。但し、方向L1とは、Y軸方向に見たときに、-X方向と+Z方向との間の方向であってもよい。
【0044】
また、外枠部631には、凹部65-2及び開口54-2を接続する導光管53-2が設けられる。
ここで、導光管53-2とは、発光素子52-2の発する光を、開口54-2へと導く構成要素である。例えば、導光管53-2は、光ファイバーであってもよい。
また、開口54-2とは、発光素子52-2から発せられて導光管53-2により導かれた光を、ヘッドユニット3の外部へと出射するための要素である。なお、本実施形態において、開口54-2は、外枠部631を-X方向に見たときに視認可能な部分に設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、開口54-2は、上枠部632を-X方向に見たときに視認可能な部分に設けられてもよい。この場合、導光管53-2は、外枠部631及び上枠部632において、凹部65-2及び開口54-2を接続するように設けられればよい。すなわち、開口54-2は、流路部材63を-X方向に見たときに視認可能な側面部分に設けられればよい。なお、開口54-2は、Z軸方向において、吐出ヘッド32と開口54-2との間に発光素子52-2が位置するように設けられる。
なお、本実施形態において、開口54-2から出射された光は、方向L2に進行する。但し、開口54-2から出射された光は、方向L2を中心に拡散するように進行してもよい。ここで、方向L2とは、+X方向に見たときに、+X方向に平行な方向である。但し、方向L2とは、Y軸方向に見たときに、+X方向と+Z方向との間の方向であってもよい。
また、本実施形態において、開口54-1及び開口54-2は、「側面開口」の一例である。
【0045】
図4は、吐出部D[m]を含むように吐出ヘッド32を切断した、吐出ヘッド32の概略的な断面図の一例を示す図である。
【0046】
図4に例示するように、吐出部D[m]は、圧電素子PZ[m]と、内部にインクが充填されたキャビティ322と、キャビティ322に連通するノズルNと、振動板321と、を備える。なお、本実施形態において、圧電素子PZ[m]は、「駆動素子」の一例である。吐出部D[m]は、圧電素子PZ[m]が供給駆動信号Vin[m]により駆動されることにより、キャビティ322内のインクをノズルNから-Z方向に吐出させる。キャビティ322は、キャビティプレート324と、ノズルNが形成されたノズルプレート323と、振動板321と、により区画される空間である。キャビティ322は、インク供給口326を介してリザーバ325と連通している。リザーバ325は、インク取入口327を介して、吐出部D[m]に対応するインクカートリッジ120と連通している。圧電素子PZ[m]は、上部電極Zu[m]と、下部電極Zd[m]と、上部電極Zu[m]及び下部電極Zd[m]の間に設けられた圧電体Zm[m]と、を有する。下部電極Zd[m]は、電位VBSに設定された給電線Lbと電気的に接続される。そして、上部電極Zu[m]に供給駆動信号Vin[m]が供給されて、上部電極Zu[m]及び下部電極Zd[m]の間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子PZ[m]が+Z方向または-Z方向に変位し、その結果、圧電素子PZ[m]が振動する。振動板321には、下部電極Zd[m]が接合されている。このため、圧電素子PZ[m]が供給駆動信号Vin[m]により駆動されて振動すると、振動板321も振動する。そして、振動板321の振動によりキャビティ322の容積及びキャビティ322内の圧力が変化し、キャビティ322内に充填されたインクがノズルNより-Z方向に吐出される。
なお、本実施形態では、吐出ヘッド32において、1個のリザーバ325が、M個の吐出部D[1]~D[M]に対して共通に設けられている場合を想定する。換言すれば、本実施形態において、吐出ヘッド32に設けられたM個の吐出部D[1]~D[M]は、一個のリザーバ325を介して連通する。
【0047】
図5は、+Z方向にヘッドユニット3を平面視した場合の、ヘッドユニット3が具備する4個の吐出ヘッド32と、当該4個の吐出ヘッド32に設けられた合計4M個のノズルNの配置の一例を説明するための説明図である。
【0048】
図5に例示するように、ヘッドユニット3に設けられた各吐出ヘッド32には、ノズル列NLが設けられる。ここで、ノズル列NLとは、所定方向に列状に延在するように設けられた複数のノズルNである。本実施形態では、各ノズル列NLが、X軸方向に延在するように配置されたM個のノズルNから構成される場合を、一例として想定する。
【0049】
<<1.3.駆動信号生成回路>>
以下、図6及び図7を参照しつつ、駆動信号生成回路GR-Pの一例について説明する。
【0050】
図6は、駆動信号生成回路GR-Pの回路構成の一例を示す図である。
【0051】
図6に例示するように、駆動信号生成回路GR-Pは、波形指定信号dCom-Pに基づいて、駆動信号Com-Pを生成する。なお、上述のとおり、駆動信号生成回路GR-Pは、駆動信号生成回路GR-A及び駆動信号生成回路GR-Bの総称であり、波形指定信号dCom-Pは、波形指定信号dCom-A及び波形指定信号dCom-Bの総称であり、駆動信号Com-Pは、駆動信号Com-A及び駆動信号Com-Bの総称である。
【0052】
駆動信号生成回路GR-Pは、第1に、制御ユニット2から供給されるデジタルの波形指定信号dComをアナログの入力信号に変換し、第2に、当該入力信号に基づいて変調信号を生成し、第3に、当該変調信号を増幅して増幅信号を生成し、第4に、当該増幅信号を平滑化することで、駆動信号Com-Pを生成する。
【0053】
図6に例示するように、駆動信号生成回路GR-Pは、LSI80、トランジスターTrH及びTrLを含むトランジスター対81、並びに、抵抗やコンデンサー等の各種素子を含んで構成される。ここで、LSIとは、Large Scale Integrationの略称である。
【0054】
図6に例示するように、LSI80には、入力端子Tn-inを介して、制御ユニット2から波形指定信号dCom-Pが入力される。LSI80は、波形指定信号dCom-Pに基づいて、トランジスターTrH及びTrLの各々のゲートにゲート信号を入力する。なお、本実施形態では、一例として、トランジスターTrH及びTrLがNチャンネル型のFETの場合を想定する。ここで、FETとは、Field Effect Transistorの略称である。
【0055】
図6に例示するように、LSI80は、DAC802、減算器804、加算器806、減衰器808、積分減衰器812、コンパレーター820、及び、ゲートドライバー830、を含む。ここで、DACとは、Digital to Analog Converterの略称である。
DAC802は、駆動信号Com-Pの波形を規定する波形指定信号dCom-Pを、アナログの入力信号Aaに変換し、当該入力信号Aaを減算器804の入力端(-)に供給する。なお、入力信号Aaの電圧振幅は、例えば0~2ボルト程度であり、この電圧を約20倍に増幅したものが、駆動信号Com-Pとなる。つまり、入力信号Aaは、駆動信号Com-Pの増幅前の信号である。
【0056】
積分減衰器812は、端子Tn1を介して帰還された駆動信号Com-Pを減衰したうえで積分した信号Axを、減算器804の入力端(+)に供給する。
減算器804は、入力端(+)の電圧から入力端(-)の電圧を減算した電圧を示す信号Abを、加算器806に供給する。
なお、DAC802からコンパレーター820に至る回路の電源電圧は、低振幅の3.3ボルトである。つまり、入力信号Aaの電圧は最大でも2ボルト程度である。これに対し、駆動信号Com-Pの電圧は40ボルトを超える場合がある。このため、積分減衰器812において、駆動信号Com-Pの電圧を減衰させて、信号Axの振幅範囲を、DAC802からコンパレーター820に至る回路における信号の振幅範囲に合わせている。
【0057】
減衰器808は、端子Tn2を介して帰還された駆動信号Com-Pの高周波成分を減衰した信号Ayを、加算器806に供給する。なお、減衰器808における減衰は、積分減衰器812と同様に、信号Ayの振幅範囲を、DAC802からコンパレーター820に至る回路における信号の振幅範囲に合わせるためである。
【0058】
加算器806は、信号Abの示す電圧と信号Ayの示す電圧とを加算した電圧を示す信号Asを、コンパレーター820に供給する。信号Asの電圧は、端子Tn1に供給された信号の減衰電圧から、入力信号Aaの電圧を差し引いて、端子Tn2に供給された信号の減衰電圧を加算した電圧である。このため、信号Asの電圧は、出力端子Tn-outから出力される駆動信号Com-Pの減衰電圧から、入力信号Aaの電圧を指し引いた偏差を、当該駆動信号Com-Pの高周波成分で補正した信号ということができる。
【0059】
コンパレーター820は、信号Asをパルス変調した信号である、変調信号Msを出力する。具体的には、コンパレーター820は、信号Asが電圧上昇時であれば、閾値電圧Vth1以上になったときにHレベルとなり、信号Asが電圧下降時であれば、閾値電圧Vth2を下回ったときにLレベルとなる変調信号Msを出力する。ここで、閾値電圧は、『Vth1>Vth2』という関係に設定されている。
なお、上述した、減算器804、加算器806、及び、コンパレーター820は、入力信号Aaをパルス変調して変調信号Msを生成する、変調回路801の一例である。
【0060】
ゲートドライバー830は、変調信号Msを高論理振幅に変換した第1ゲート信号を、トランジスターTrHのゲート電極に端子TnH及び抵抗RHを介して供給し、変調信号Msの論理レベルを反転した信号を高論理振幅に変換した第2ゲート信号を、トランジスターTrLのゲート電極に端子TnL及び抵抗RLを介して供給する。このため、トランジスターTrH及びTrLのゲート電極に供給されるゲート信号の論理レベルは互いに排他的な関係となる。なお、ゲートドライバー830が出力する2つのゲート信号の論理レベルが同時にHレベルとならないようにタイミング制御してもよい。すなわち、ここでいう排他的とは、トランジスターTrH及びTrLのゲート電極に供給されるゲート信号の論理レベルが、同時にHレベルになることがないこと、換言すれば、トランジスターTrH及びTrLが同時にオンすることがないこと、を意味する。
【0061】
なお、本実施形態における変調信号Msは例示であり、変調信号は、波形指定信号dComに応じてトランジスターTrH及びTrLを駆動する信号であればよい。つまり、変調信号は、変調信号Msに限定されるものではなく、変調信号Msの論理レベルを反転させた信号や、トランジスターTrH及びTrLが同時にオンすることがないようにタイミング制御された信号を含む。
【0062】
図6に例示するように、トランジスターTrH及びTrLのうち、高位側のトランジスターTrHのドレイン電極には、電圧Vhが印加される。ここで、電圧Vhは、例えば、42ボルトである。また、低位側のトランジスターTrLのソース電極は、グラウンドに接地される。トランジスターTrH及びTrLの各々はゲート信号がHレベルであればオンする。このため、トランジスターTrHのソース電極とトランジスターTrLのドレイン電極とを接続するノードNdには、変調信号Msを増幅した増幅信号Azが現れることになる。換言すれば、トランジスターTrH及びTrLは、変調信号Msを増幅した増幅信号Azを出力する。
なお、以下では、変調信号Msを増幅して増幅信号Azを生成する回路を、増幅回路800と称する場合がある。本実施形態では、増幅回路800は、ゲートドライバー830と、トランジスターTrH及びTrLを具備するトランジスター対81と、を含む。
【0063】
図6に例示するように、駆動信号生成回路GR-Pは、増幅信号Azを平滑化して駆動信号Com-Pを生成するLPF82を備える。ここで、LPFとは、Low Pass Filterの略称である。また、本実施形態において、LPF82は、「平滑回路」の一例である。
LPF82は、インダクターL0と、コンデンサーC0とを備える。インダクターL0は、一端がノードNdに電気的に接続されており、他端が出力端子Tn-outに電気的に接続されている。コンデンサーC0は、一端が出力端子Tn-outに電気的に接続されており、他端はグラウンドに接地されている。
【0064】
図6に例示するように、駆動信号生成回路GR-Pは、出力端子Tn-outに出力される駆動信号Com-Pをプルアップして端子Tn1に帰還するプルアップ回路83を備える。プルアップ回路83は、一端が出力端子Tn-outに電気的に接続され、他端が端子Tn1に電気的に接続される抵抗R1と、一端が端子Tn1に電気的に接続され、他端に電圧Vhが印加される抵抗R2と、を含む。
【0065】
図6に例示するように、駆動信号生成回路GR-Pは、駆動信号Com-Pの高周波成分を、直流成分をカットして端子Tn2に帰還させるBPF84を備える。ここで、BPFとは、Band Pass Filterの略称である。BPF84は、抵抗R3と、一端が出力端子Tn-outに電気的に接続され、他端が抵抗R3の一端に電気的に接続されるコンデンサーC1と、一端が抵抗R3の一端に電気的に接続され、他端がグラウンドに接地される抵抗R4と、一端が抵抗R3の他端に電気的に接続され、他端がグラウンドに接地されるコンデンサーC2と、一端が抵抗R3の他端に電気的に接続され、他端が端子Tn2に電気的に接続されるコンデンサーC3と、を備える。
このうち、コンデンサーC1及び抵抗R4は、駆動信号Com-Pのうち、カットオフ周波数以上の高周波成分を通過させるHPFとして機能する。ここで、HPFとは、High Pass Filterの略称である。なお、当該HPFのカットオフ周波数は、例えば約9MHzに設定される。
また、抵抗R3及びコンデンサーC2は、駆動信号Com-Pのうち、カットオフ周波数以下の低周波成分を通過させるLPFとして機能する。なお、当該LPFのカットオフ周波数は、例えば約160MHzに設定される。本実施形態では、BPF84において、HPFのカットオフ周波数がLPFのカットオフ周波数よりも低く設定される。このため、BPF84は、駆動信号Com-Pのうち、HPFのカットオフ周波数以上であり且つLPFのカットオフ周波数以下の所定帯域の周波数成分を通過させる。
また、BPF84は、コンデンサーC3を備えるため、駆動信号Com-PのうちHPF及びLPFを通過した所定帯域の信号から、直流成分をカットした信号を、端子Tn2に帰還させる。
【0066】
図6に例示するように、駆動信号生成回路GR-Pは、ノードNdにおける増幅信号Azを、LPF82によって平滑化することで、駆動信号Com-Pを生成する。駆動信号Com-Pは、積分減衰器812により積分・減算されたうえで、減算器804に帰還される。よって、帰還の遅延、すなわち、LPF82における遅延と積分減衰器812における遅延との和と、帰還の伝達関数で定まる周波数で自励発振することになる。
ただし、端子Tn1を介した帰還経路の遅延量が大きいために、端子Tn1を介した帰還のみでは、駆動信号Com-Pの波形の精度を十分に確保できる程度に、自励発振の周波数を高くすることができない。
これに対して、本実施形態では、端子Tn1を介した経路とは別に、端子Tn2を介して、駆動信号Com-Pの高周波成分を帰還する経路を設けるため、駆動信号生成回路GR-Pの全体でみたときの遅延を小さくすることができる。すなわち、本実施形態では、信号Abに、駆動信号Com-Pの高周波成分である信号Ayを加算した信号Asの周波数が、端子Tn2を介した経路が存在しない場合と比較して高くすることができるため、駆動信号Com-Pの精度を十分に確保することが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態では、自励発振の周波数、すなわち、変調信号Msの周波数を、1MHz以上8MHz以下とする。変調信号Msをこのような周波数とすることにより、駆動信号Com-Pの波形の精度を十分に確保することと、トランジスターTrH及びTrLにおけるスイッチング損失の抑制と、の両立を図ることができる。
【0068】
図7は、入力信号Aaと、信号Asと、変調信号Msとの関係を示す図である。
【0069】
図7に例示するように、信号Asは三角波であり、その発振周波数は、入力信号Aaの電圧に応じて変動する。具体的には、信号Asの発振周波数は、入力信号Aaの電圧が中間値である場合に最も高くなり、入力信号Aaの電圧が中間値から高くなるにつれて低くなり、また、入力信号Aaの電圧が中間値から低くなるにつれて低くなる。
また、信号Asの示す三角波の傾斜は、入力信号Aaの電圧が中間値付近であれば、電圧の上昇である「上り」と、電圧の下降である「下り」とが略同じとなる。このため、信号Asをコンパレーター820によって閾値電圧Vth1及びVth2と比較した結果である変調信号Msのデューティー比は、ほぼ50%となる。入力信号Aaの電圧が中間値から高くなると、信号Asの下りの傾斜が緩くなる。このため、変調信号MsがHレベルとなる期間が相対的に長くなりデューティー比が大きくなる。一方、入力信号Aaの電圧が中間値から低くなるにつれて、信号Asの上りの傾斜が緩くなる。このため、変調信号MsがHレベルとなる期間が相対的に短くなりデューティー比が小さくなる。
このため、変調信号Msは、変調信号Msのデューティー比が、入力信号Aaの電圧の中間値でほぼ50%となり、入力信号Aaの電圧が中間値よりも高くなるにつれて大きくなり、入力信号Aaの電圧が中間値よりも低くなるにつれて小さくなるような変調信号となる。
【0070】
ゲートドライバー830は、トランジスターTrHを、変調信号MsがHレベルであればオンさせ、変調信号MsがLレベルであればオフさせる。また、ゲートドライバー830は、トランジスターTrLを、変調信号MsがHレベルであればオフさせ、変調信号MsがLレベルであればオンさせる。
従って、トランジスターTrH及びTrLを電気的に接続するノードNdにおける増幅信号Azを、LPF82で平滑化した駆動信号Com-Pの電圧は、変調信号Msのデューティー比が大きくなるにつれて高くなり、デューティー比が小さくなるにつれて低くなる。
このため、駆動信号Com-Pは、アナログの入力信号Aaの有する波形を拡大した波形を有することになる。
【0071】
<<1.4.印刷部の構成>>
以下、図8を参照しつつ、印刷部30の構成の一例について説明する。
【0072】
図8は、印刷部30の構成の一例を示すブロック図である。
【0073】
上述のとおり、印刷部30は、供給回路31と、吐出ヘッド32と、検出回路33と、を備える。なお、図8では、一例として、吐出ヘッド32に4個の吐出部Dが設けられる場合、つまり、「M=4」の場合を例示している。
【0074】
また、図8に例示するように、印刷部30は、駆動信号生成ユニット8から駆動信号Com-Aが供給される配線Lc1と、駆動信号生成ユニット8から駆動信号Com-Bが供給される配線Lc2と、検出電位信号Vout[m]を検出回路33に供給するための配線Lsと、電位VBSに設定された給電線Lbと、を備える。
【0075】
図8に例示するように、供給回路31は、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個のスイッチWa[1]~Wa[M]と、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個のスイッチWb[1]~Wb[M]と、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個のスイッチWs[1]~Ws[M]と、各スイッチの接続状態を指定する接続状態指定回路310と、を備える。接続状態指定回路310は、制御ユニット2から供給される印刷信号SI、ラッチ信号LAT、期間指定信号Tsig、及び、チェンジ信号CHの、少なくとも一部の信号に基づいて、スイッチWa[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号Qa[m]と、スイッチWb[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号Qb[m]と、スイッチWs[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号Qs[m]と、を生成する。
ここで、スイッチWa[m]は、接続状態指定信号Qa[m]に基づいて、配線Lc1と、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチWa[m]は、接続状態指定信号Qa[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。スイッチWa[m]がオンする場合、配線Lc1に供給される駆動信号Com-Aが、供給駆動信号Vin[m]として、吐出部D[m]の上部電極Zu[m]に供給される。
また、スイッチWb[m]は、接続状態指定信号Qb[m]に基づいて、配線Lc2と、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチWb[m]は、接続状態指定信号Qb[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。スイッチWb[m]がオンする場合、配線Lc2に供給される駆動信号Com-Bが、供給駆動信号Vin[m]として、吐出部D[m]の上部電極Zu[m]に供給される。
また、スイッチWs[m]は、接続状態指定信号Qs[m]に基づいて、配線Lsと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチWs[m]は、接続状態指定信号Qs[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。スイッチWs[m]がオンする場合、吐出部D[m]の上部電極Zu[m]の電位が、検出電位信号Vout[m]として、配線Lsを介して検出回路33に供給される。
【0076】
検出回路33は、配線Lsから供給される検出電位信号Vout[m]に基づいて、検出電位信号Vout[m]の波形に応じた波形を有する検出信号VX[m]を生成する。
【0077】
<<1.5.印刷部の動作>>
以下、図9及び図10を参照しつつ、印刷部30の動作の一例について説明する。
【0078】
本実施形態において、インクジェットプリンター1が、印刷処理を実行する場合、インクジェットプリンター1の動作期間として、1または複数の単位期間TPが設定される。本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、各単位期間TPにおいて、印刷処理のために各吐出部D[m]を駆動することができる。
【0079】
図9は、単位期間TPにおいて、印刷部30に供給される各種信号の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【0080】
図9に例示するように、制御ユニット2は、パルスPLLを有するラッチ信号LATを出力する。これにより、制御ユニット2は、パルスPLLの立ち上がりから次のパルスPLLの立ち上がりまでの期間として、単位期間TPを規定する。
また、制御ユニット2は、単位期間TPにおいて、パルスPLCを有するチェンジ信号CHを出力する。そして、制御ユニット2は、単位期間TPを、パルスPLLの立ち上がりからパルスPLCの立ち上がりまでの制御期間TQ1と、パルスPLCの立ち上がりからパルスPLLの立ち上がりまでの制御期間TQ2と、に区分する。
また、制御ユニット2は、単位期間TPにおいて、パルスPLT1及びパルスPLT2を有する期間指定信号Tsigを出力する。そして、制御ユニット2は、単位期間TPを、パルスPLLの立ち上がりからパルスPLT1の立ち上がりまでの制御期間TT1と、パルスPLT1の立ち上がりからパルスPLT2の立ち上がりまでの制御期間TT2と、パルスPLT2の立ち上がりからパルスPLLの立ち上がりまでの制御期間TT3と、に区分する。
【0081】
本実施形態に係る印刷信号SIは、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個の個別指定信号Sd[1]~Sd[M]を含む。個別指定信号Sd[m]は、インクジェットプリンター1が印刷処理を実行する場合に、各単位期間TPにおける吐出部D[m]の駆動の態様を指定する。
制御ユニット2は、図9に例示するように、各単位期間TPに先立って、個別指定信号Sd[1]~Sd[M]を含む印刷信号SIを、クロック信号CLに同期させて接続状態指定回路310に供給する。そして、接続状態指定回路310は、当該単位期間TPにおいて、個別指定信号Sd[m]に基づいて、接続状態指定信号Qa[m]、接続状態指定信号Qb[m]、及び、接続状態指定信号Qs[m]を生成する。
【0082】
なお、本実施形態では、吐出部D[m]が、単位期間TPにおいて、大ドットと、大ドットよりも小さい中ドットと、中ドットよりも小さい小ドットとのうち、何れかのドットを形成可能である場合を想定する。
そして、本実施形態では、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて、吐出部D[m]を、大ドットに相当する量のインクを吐出する検査対象外吐出部DPである大ドット形成吐出部DP-1として指定する値「1」と、中ドットに相当する量のインクを吐出する検査対象外吐出部DPである中ドット形成吐出部DP-2として指定する値「2」と、小ドットに相当する量のインクを吐出する検査対象外吐出部DPである小ドット形成吐出部DP-3として指定する値「3」と、インクを吐出しない検査対象外吐出部DPであるドット非形成吐出部DP-Bとして指定する値「4」と、検査対象吐出部DSとして指定する値「5」との、5つの値のうち、何れか1つの値をとることができる場合を想定する。
【0083】
図9に例示するように、本実施形態において、駆動信号Com-Aは、制御期間TQ1に設けられた波形PP1と、制御期間TQ2に設けられた波形PP2と、を有する。このうち、波形PP1は、基準電位V0から、基準電位V0よりも低電位の電位VL1、及び、基準電位V0よりも高電位の電位VH1を経て、基準電位V0に戻る波形である。波形PP1を有する供給駆動信号Vin[m]が吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]から、インク量ξ1に相当するインクが吐出されるように、波形PP1が定められる。また、波形PP2は、基準電位V0から、基準電位V0よりも低電位の電位VL2、及び、基準電位V0よりも高電位の電位VH2を経て、基準電位V0に戻る波形である。波形PP2を有する供給駆動信号Vin[m]が吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]から、インク量ξ2に相当するインクが吐出されるように、波形PP2が定められる。
本実施形態において、インク量ξ1は、中ドットに相当するインク量である。また、インク量ξ2は、インク量ξ1よりも少ないインク量であって、小ドットに相当するインク量である。また、インク量ξ1とインク量ξ2との合計は、大ドットに相当するインク量である。
なお、本実施形態では、一例として、吐出部D[m]に供給される供給駆動信号Vin[m]の電位が高電位の場合に、低電位の場合と比較して、吐出部D[m]の備えるキャビティ322の容積が小さくなる場合を想定する。このため、吐出部D[m]が波形PP1または波形PP2を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動される場合、供給駆動信号Vin[m]の電位が低電位から高電位に変化することで、吐出部D[m]内のインクがノズルNから吐出される。
【0084】
図9に例示するように、本実施形態において、駆動信号Com-Bは、単位期間TPに設けられた波形PSを有する。ここで、波形PSは、制御期間TT1において、基準電位V0から、基準電位V0よりも高電位の電位VS1を経て、基準電位V0よりも低電位の電位VS2に変化し、制御期間TT2において、電位VS2を維持し、制御期間TT3において、電位VS2から基準電位V0に変化する波形である。
なお、本実施形態では、一例として、波形PSを有する供給駆動信号Vin[m]が吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]からインクが吐出されないように、波形PSが定められている場合を想定する。例えば、本実施形態では、一例として、吐出部D[m]が波形PSを有する供給駆動信号Vin[m]により駆動される場合、供給駆動信号Vin[m]の電位が電位VS1である場合の吐出部D[m]のキャビティ322の容積が、供給駆動信号Vin[m]の電位が電位VS2である場合の吐出部D[m]のキャビティ322の容積よりも小さくなるように、波形PSが定められている場合を想定する。
【0085】
図10は、単位期間TPにおける、個別指定信号Sd[m]と、接続状態指定信号Qa[m]、接続状態指定信号Qb[m]、及び、接続状態指定信号Qs[m]との関係を説明するための説明図である。
【0086】
図10に例示するように、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を大ドット形成吐出部DP-1として指定する値「1」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号Qa[m]を、制御期間TQ1及び制御期間TQ2に亘りハイレベルに設定する。この場合、スイッチWa[m]が単位期間TPに亘りオンする。このため、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、波形PP1及び波形PP2を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動され、大ドットに相当する量のインクを吐出する。
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を中ドット形成吐出部DP-2として指定する値「2」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号Qa[m]を、制御期間TQ1においてハイレベルに設定する。この場合、スイッチWa[m]が制御期間TQ1においてオンする。このため、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、波形PP1を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動され、中ドットに相当する量のインクを吐出する。
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を小ドット形成吐出部DP-3として指定する値「3」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号Qa[m]を、制御期間TQ2においてハイレベルに設定する。この場合、スイッチWa[m]が制御期間TQ2においてオンする。このため、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、波形PP2を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動され、小ドットに相当する量のインクを吐出する。
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]をドット非形成吐出部DP-Bとして指定する値「4」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号Qa[m]、接続状態指定信号Qb[m]、及び、接続状態指定信号Qs[m]を、単位期間TPに亘りローレベルに設定する。この場合、スイッチWa[m]、スイッチWb[m]、及び、スイッチWs[m]が、単位期間TPに亘りオフする。このため、吐出部D[m]には、単位期間TPにおいて供給駆動信号Vin[m]が供給されず、吐出部D[m]からはインクが吐出しない。
【0087】
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を検査対象吐出部DSとして指定する値「5」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号Qb[m]を、制御期間TT1及び制御期間TT3においてハイレベルに設定し、接続状態指定信号Qs[m]を、制御期間TT2においてハイレベルに設定する。この場合、スイッチWb[m]が、制御期間TT1及び制御期間TT3においてオンし、スイッチWs[m]が、制御期間TT2においてオンする。このため、検査対象吐出部DSとして指定された吐出部D[m]が、制御期間TT1において、波形PSを有する供給駆動信号Vin[m]により駆動された結果として、吐出部D[m]に振動が生じ、当該振動は、制御期間TT2においても残留する。そして、制御期間TT2において、吐出部D[m]に残留する振動により、吐出部D[m]に設けられた上部電極Zu[m]の電位が変化する。そして、制御期間TT2において、上部電極Zu[m]の電位が、スイッチWs[m]を介して、検出電位信号Vout[m]として検出回路33に供給される。
すなわち、制御期間TT2において吐出部D[m]から検出される検出電位信号Vout[m]の波形は、制御期間TT2において吐出部D[m]に残留する振動の波形を示す。そして、制御期間TT2において吐出部D[m]から検出される検出電位信号Vout[m]に基づいて生成される検出信号VX[m]の波形は、制御期間TT2において吐出部D[m]に残留する振動の波形を示す。
【0088】
<<1.6.判定部の動作>>
以下、図11を参照しつつ、判定部40の動作の一例について説明する。
【0089】
図11は、吐出判定回路42の動作の一例を説明するための説明図である。
【0090】
吐出判定回路42は、検出信号VX[m]の示す波形の周期NTC[m]と振幅VM[m]とに基づいて、検査対象吐出部DSとして駆動された吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定する。
【0091】
上述のとおり、検出信号VX[m]の波形は、検査対象吐出部DSとして駆動された吐出部D[m]に残留する振動の波形を示す。
一般的に、吐出部D[m]に残留する振動は、吐出部D[m]の有するノズルNの形状、吐出部D[m]の有するキャビティ322に充填されたインクの重量、及び、吐出部D[m]の有するキャビティ322に充填されたインクの粘度、等により決定される振動周期を有する。そして、一般的に、吐出部D[m]のキャビティ322に気泡が混入しているために吐出異常が生じている場合には、吐出状態が正常な場合と比較して、吐出部D[m]に残留する振動の周期NTC[m]が短くなる。また、一般的に、吐出部D[m]のノズルN付近に紙粉等の異物が付着しているために吐出異常が生じている場合には、吐出状態が正常な場合と比較して、吐出部D[m]に残留する振動の周期NTC[m]が長くなる。また、一般的に、吐出部D[m]のキャビティ322内のインクが増粘しているために吐出異常が生じている場合には、吐出状態が正常な場合と比較して、吐出部D[m]に残留する振動の周期NTC[m]が長くなる。このように、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態に応じて、吐出部D[m]に残留する振動の周期NTC[m]が変動する。このため、吐出部D[m]に残留する振動の周期NTC[m]に基づいて、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定することができる。
また、一般的に、吐出部D[m]の圧電素子PZ[m]が故障しているために吐出異常が発生している場合には、吐出状態が正常な場合と比較して、吐出部D[m]に残留する振動の振幅が小さくなる。このため、吐出部D[m]に残留する振動の振幅VM[m]に基づいて、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定することができる。
上述のとおり、検出信号VX[m]の波形は、検査対象吐出部DSとして駆動された吐出部D[m]に残留する振動の波形を示す。すなわち、検出信号VX[m]の波形が有する周期NTC[m]は、検査対象吐出部DSとして駆動された吐出部D[m]に残留する振動の周期となる。よって、検出信号VX[m]の周期NTC[m]に基づいて、検査対象吐出部DSとして駆動された吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定することができる。また、検出信号VX[m]の波形が有する振幅VM[m]は、検査対象吐出部DSとして駆動された吐出部D[m]に残留する振動の振幅に応じた大きさの振幅となる。よって、検出信号VX[m]の振幅VM[m]に基づいて、検査対象吐出部DSとして駆動された吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定することができる。
【0092】
本実施形態において、吐出判定回路42は、検出信号VX[m]に基づいて、検出信号VX[m]の周期NTC[m]と、検出信号VX[m]の振幅VM[m]とを、測定する。
そして、吐出判定回路42は、図11に例示するように、周期NTC[m]と、閾値Tth-L及び閾値Tth-Hの一方または両方とを比較し、且つ、振幅VM[m]と、閾値VMthとを比較することで、検査対象吐出部DSとして駆動された吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定し、当該判定の結果を示す吐出判定結果情報BXを生成する。
ここで、閾値Tth-Lは、吐出部D[m]の吐出状態が正常である場合における吐出部D[m]に生じる振動の周期NTC[m]と、吐出部D[m]のキャビティ322に気泡が混入した場合における吐出部D[m]に生じる振動の周期NTC[m]との、境界の推定値である。また、閾値Tth-Hは、閾値Tth-Lよりも大きい値であって、吐出部D[m]の吐出状態が正常である場合における吐出部D[m]に生じる振動の周期NTC[m]と、吐出部D[m]のノズルN付近に異物が付着した場合、または、吐出部D[m]のキャビティ322内のインクが増粘した場合において吐出部D[m]に生じる振動の周期NTC[m]との、境界の推定値である。また、閾値VMthは、吐出部D[m]の吐出状態が正常である場合における吐出部D[m]に生じる振動の振幅VM[m]と、吐出部D[m]の圧電素子PZ[m]が故障した場合における吐出部D[m]に生じる振動の振幅VM[m]との、境界の推定値である。
【0093】
図11に例示するように、吐出判定回路42は、振幅VM[m]が、「Vth≦VM[m]」を満たし、且つ、周期NTC[m]が、「Tth-L≦NTC[m]≦Tth-H」を満たす場合、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態が正常であると判定する。この場合、吐出判定回路42は、吐出判定結果情報BXに対して、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態が正常であることを示す値「1」を設定する。
また、吐出判定回路42は、振幅VM[m]が、「Vth≦VM[m]」を満たし、且つ、周期NTC[m]が、「NTC[m]<Tth-L」を満たす場合、吐出部D[m]のキャビティ322に気泡が混入しているために吐出異常が生じていると判定する。この場合、吐出判定回路42は、吐出判定結果情報BXに対して、吐出部D[m]において気泡に起因する吐出異常が生じている旨を示す値「2」を設定する。
また、吐出判定回路42は、振幅VM[m]が、「Vth≦VM[m]」を満たし、且つ、周期NTC[m]が、「Tth-H<NTC[m]」を満たす場合、吐出部D[m]のノズルN付近に紙粉等の異物が付着しているため、または、吐出部D[m]のキャビティ322内のインクが増粘しているために吐出異常が生じていると判定する。この場合、吐出判定回路42は、吐出判定結果情報BXに対して、吐出部D[m]において異物または増粘に起因する吐出異常が生じている旨を示す値「3」を設定する。
また、吐出判定回路42は、振幅VM[m]が、「VM[m]<Vth」を満たす場合、吐出部D[m]の圧電素子PZ[m]が故障しているために吐出異常が発生していると判定する。この場合、吐出判定回路42は、吐出判定結果情報BXに対して、吐出部D[m]の圧電素子PZ[m]における故障に起因する吐出異常が生じている旨を示す値「4」を設定する。
【0094】
以上のように、吐出判定回路42は、検出信号VX[m]の示す周期NTC[m]及び振幅VM[m]に基づいて、吐出判定結果情報BXを生成する。以下では、吐出異常のうち、吐出部D[m]における圧電素子PZ[m]の故障を、「吐出部故障」と称する場合がある。なお、本実施形態において、吐出判定回路42は、吐出部D[m]において故障が発生しているか否かを検査する「検査部」の一例である。
【0095】
信号判定回路41は、供給信号VSに基づいて、制御ユニット2からヘッドユニット3に対する各種信号の供給状態を判定する。
【0096】
具体的には、信号判定回路41は、電源ユニット9からヘッドユニット3に電力が供給されている期間において、制御ユニット2からヘッドユニット3に対して、印刷信号SI[q]、クロック信号CL、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、期間指定信号Tsigの一部または全部が、一定時間以上、供給が無い場合、制御ユニット2及びヘッドユニット3を電気的に接続する配線が断線しているために信号供給異常が発生していると判定する。この場合、信号判定回路41は、信号判定結果情報BSに対して、制御ユニット2及びヘッドユニット3を電気的に接続する配線が断線していることに起因する信号供給異常が生じている旨を示す値「1」を設定する。
また、信号判定回路41は、制御ユニット2及びヘッドユニット3を電気的に接続する配線に断線が生じていない場合であって、印刷信号SI[q]、クロック信号CL、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、期間指定信号Tsigの一部または全部において、信号の内容に不整合が存在する場合、制御ユニット2からヘッドユニット3に供給される信号の示す情報が不正確であるために信号供給異常が発生していると判定する。この場合、信号判定回路41は、信号判定結果情報BSに対して、制御ユニット2からヘッドユニット3に供給される信号の示す情報が不正確であるために信号供給異常が発生している旨を示す値「2」を設定する。なお、制御ユニット2からヘッドユニット3に供給される信号の内容に不整合が存在する場合とは、例えば、クロック信号CL、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、期間指定信号Tsigの有するパルスの間隔が、予め定められた間隔とは異なる場合であってもよい。また、制御ユニット2からヘッドユニット3に供給される信号の内容に不整合が存在する場合とは、例えば、印刷信号SIが、チェックサム等の誤り検出情報を含む場合に、印刷信号SIの示す内容と、誤り検出情報との間に不整合が生じる場合であってもよい。
また、信号判定回路41は、制御ユニット2及びヘッドユニット3を電気的に接続する配線に断線が生じていない場合であって、制御ユニット2からヘッドユニット3に供給される信号の示す情報が不正確ではない場合において、制御ユニット2からヘッドユニット3に供給される信号の示す情報が正確であると判定する。この場合、信号判定回路41は、信号判定結果情報BSに対して、制御ユニット2からヘッドユニット3に供給される信号の示す情報が正確である旨を示す値「3」を設定する。
【0097】
以上のように、信号判定回路41は、供給信号VSに基づいて、信号判定結果情報BSを生成する。以下では、信号供給異常のうち、制御ユニット2及びヘッドユニット3を電気的に接続する配線の断線を、「配線故障」と称する場合がある。
【0098】
温度判定回路43は、温度信号VTに基づいて、ヘッドモジュールHMの温度が正常な範囲であるか否かを判定する。
【0099】
具体的には、温度判定回路43は、温度信号VTの示す温度が、基準温度TTth以上である場合、ヘッドモジュールHMの温度が正常な範囲ではない温度異常が発生していると判定する。この場合、温度判定回路43は、温度判定結果情報BTに対して、ヘッドモジュールHMにおいて温度異常が生じている旨を示す値「1」を設定する。
また、温度判定回路43は、温度信号VTの示す温度が、基準温度TTth未満である場合、ヘッドモジュールHMの温度が正常な範囲であると判定する。この場合、温度判定回路43は、温度判定結果情報BTに対して、ヘッドモジュールHMにおいて温度異常が生じていない旨を示す値「2」を設定する。
以上のように、温度判定回路43は、温度信号VTに基づいて、温度判定結果情報BTを生成する。
【0100】
なお、本実施形態において、吐出部故障は、吐出ヘッド32またはヘッドユニット3の交換が必要なエラーの一例であり、配線故障は、ヘッドユニット3に接続されるハードウェアの交換が必要なエラーの一例である。すなわち、吐出部故障及び配線故障は、「第1エラー」の一例である。なお、以下では、吐出部故障及び配線故障を、「ハードウェアエラー」と称する場合がある。また、以下では、判定部40が行う各種判定処理のうち、吐出部故障が生じているか否かを判定する処理、及び、配線故障が生じているか否かを判定する処理を、「ハードウェアエラー判定処理」と総称する場合がある。なお、ハードウェアエラー判定処理は、「第1判定処理」の一例である。
また、本実施形態において、信号供給異常のうち、配線故障以外の信号供給異常は、電源ユニット9からヘッドユニット3に対する電源の供給を一時的に停止させることで回復可能である場合を想定する。すなわち、本実施形態において、配線故障以外の信号供給異常は、「第2エラー」の一例である。なお、以下では、配線故障以外の信号供給異常を、「一時的エラー」と称する場合がある。また、以下では、判定部40が行う各種判定処理のうち、一時的エラーが生じているか否かを判定する処理を、「一時的エラー判定処理」と総称する場合がある。なお、一時的エラー判定処理は、「第2判定処理」の一例である。
また、本実施形態において、温度異常は、「第3エラー」の一例である。また、以下では、判定部40が行う各種判定処理のうち、温度異常が生じているか否かを判定する処理を、「温度異常判定処理」と総称する場合がある。なお、温度異常判定処理は、「第3判定処理」の一例である。
【0101】
<<1.7.発光部の動作>>
以下、図12を参照しつつ、発光部50の動作の一例について説明する。
【0102】
図12は、発光部50のうち、発光制御回路51の動作の一例を示すフローチャートである。
【0103】
図12に例示するように、発光制御回路51は、判定結果情報BBのうち吐出判定結果情報BX及び信号判定結果情報BSに基づいて、ヘッドモジュールHMにおいて、ハードウェアエラーが生じているか否かを判定する(S100)。
ステップS100における判定の結果が肯定の場合、発光制御回路51は、判定結果情報BBのうち吐出判定結果情報BXに基づいて、ヘッドモジュールHMにおいて、吐出部故障が生じているか否かを判定する(S102)。
ステップS102における判定の結果が肯定の場合、発光制御回路51は、発光素子52-1及び発光素子52-2の両方の発光素子52を、相対的に強い光度で点灯させる(S104)。
ステップS102における判定の結果が否定の場合、発光制御回路51は、発光素子52-1及び発光素子52-2の両方の発光素子52を、相対的に弱い光度で点灯させる(S106)。
【0104】
ステップS100における判定の結果が否定の場合、発光制御回路51は、判定結果情報BBのうち信号判定結果情報BSに基づいて、ヘッドモジュールHMにおいて、一時的エラーが生じているか否かを判定する(S110)。
ステップS110における判定の結果が肯定の場合、発光制御回路51は、判定結果情報BBのうち吐出判定結果情報BXに基づいて、ヘッドモジュールHMにおいて、吐出異常が生じているか否かを判定する(S112)。
ステップS112における判定の結果が肯定の場合、発光制御回路51は、発光素子52-1及び発光素子52-2のうち一方の発光素子52を、相対的に強い光度で、短い間隔で高速に点滅させる(S114)。
ステップS112における判定の結果が否定の場合、発光制御回路51は、発光素子52-1及び発光素子52-2のうち一方の発光素子52を、相対的に弱い光度で、短い間隔で高速に点灯させる(S116)。
【0105】
ステップS110における判定の結果が否定の場合、発光制御回路51は、判定結果情報BBのうち温度判定結果情報BTに基づいて、ヘッドモジュールHMにおいて、温度異常が生じているか否かを判定する(S120)。
ステップS120における判定の結果が肯定の場合、発光制御回路51は、判定結果情報BBのうち吐出判定結果情報BXに基づいて、ヘッドモジュールHMにおいて、吐出異常が生じているか否かを判定する(S122)。
ステップS122における判定の結果が肯定の場合、発光制御回路51は、発光素子52-1及び発光素子52-2のうち一方の発光素子52を、相対的に強い光度で、長い間隔で低速に点滅させる(S124)。
ステップS122における判定の結果が否定の場合、発光制御回路51は、発光素子52-1及び発光素子52-2のうち一方の発光素子52を、相対的に弱い光度で、長い間隔で低速に点灯させる(S126)。
【0106】
ステップS120における判定の結果が否定の場合、発光制御回路51は、発光素子52-1及び発光素子52-2の両方の発光素子52を、消灯させる(S128)。
【0107】
<<1.8.第1実施形態の纏め>>
以上のように、本実施形態に係るヘッドユニット3は、インクを吐出する吐出部Dを具備するヘッドユニット3であって、ヘッドユニット3の交換、または、ヘッドユニット3に接続される配線の交換が必要なハードウェアエラーが発生しているか否かを判定するハードウェアエラー判定処理、並びに、ヘッドユニット3の交換、または、ヘッドユニット3に接続される配線の交換が不要な一時的エラーが発生しているか否かを判定する一時的エラー判定処理、を行う判定部40と、判定部40における判定の結果に応じて発光する発光部50と、を備える、ことを特徴としてもよい。
すなわち、本実施形態によれば、判定部40が、ヘッドユニット3に設けられるため、判定部40が、ヘッドユニット3の外部に設けられる態様と比較して、判定部40が、ヘッドユニット3の状態を示す情報を正確に取得することが可能となり、ヘッドユニット3のユーザが、ヘッドユニット3の不具合を正確に認識することを可能とする。
また、本実施形態によれば、発光部50が、ヘッドユニット3に設けられるため、発光部50が、ヘッドユニット3の外部に設けられる態様と比較して、判定部40から出力される判定結果情報BBにノイズが重畳する可能性を低減することが可能となり、ヘッドユニット3のユーザが、ヘッドユニット3の不具合を正確に認識することを可能とする。
また、本実施形態によれば、判定部40及び発光部50が、ヘッドユニット3に設けられるため、ヘッドユニット3の外部からヘッドユニット3に接続される配線に不具合が生じ、ヘッドユニット3からヘッドユニット3の外部に対して信号を供給できない場合であっても、ヘッドユニット3のユーザが、ヘッドユニット3の不具合を正確に認識することを可能とする。
【0108】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3において、発光部50は、ハードウェアエラー判定処理における判定の結果が肯定の場合に点灯し、また、一時的エラー判定処理における判定の結果が肯定の場合に点滅する、ことを特徴としてもよい。
このため、本実施形態によれば、ヘッドユニット3のユーザが、ヘッドユニット3を目視することにより、ヘッドユニット3において発生している不具合の内容を把握することが可能となる。
【0109】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3において、一時的エラーは、ヘッドユニット3に対する電源の供給を一時的に停止することで回復可能なエラーである、ことを特徴としてもよい。
このため、本実施形態によれば、ヘッドユニット3のユーザが、ヘッドユニット3を目視することにより、ヘッドユニット3において発生している不具合の解消方法を把握することが可能となる。
【0110】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3において、判定部40は、ヘッドユニット3における温度が基準温度TTth以上となる温度異常が発生しているか否かを判定する温度異常判定処理を行い、発光部50は、温度異常判定処理における判定の結果が肯定の場合、一時的エラー判定処理における判定の結果が肯定の場合とは異なる速度で点滅する、ことを特徴としてもよい。
このため、本実施形態によれば、ヘッドユニット3のユーザが、ヘッドユニット3を目視することにより、ヘッドユニット3において発生している不具合の解消方法を把握することが可能となる。
【0111】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3において、発光部50は、一時的エラー判定処理における判定の結果が肯定の場合、温度異常判定処理における判定の結果が肯定の場合よりも短い間隔で点滅する、ことを特徴としてもよい。
このため、本実施形態によれば、ヘッドユニット3のユーザが、ヘッドユニット3を目視することにより、ヘッドユニット3において発生している不具合の解消方法を把握することが可能となる。
【0112】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3において、判定部40は、吐出部Dの故障が発生しているか否かを検査する吐出判定回路42を備え、ハードウェアエラーは、吐出部Dの故障を含み、発光部50は、ハードウェアエラー判定処理における判定の結果が肯定の場合であって吐出部Dに故障が発生している場合における点灯強度を、ハードウェアエラー判定処理における判定の結果が肯定の場合であって吐出部Dに故障が発生していない場合における点灯強度よりも、強くする、ことを特徴としてもよい。
このため、本実施形態によれば、ヘッドユニット3のユーザが、ヘッドユニット3を目視することにより、ヘッドユニット3において発生している不具合の内容を把握することが可能となる。
【0113】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3は、インクを吐出する吐出部Dを具備するヘッドユニット3であって、ヘッドユニット3の交換、または、ヘッドユニット3に接続される配線の交換が必要なハードウェアエラーが発生しているか否かを判定するハードウェアエラー判定処理、並びに、ヘッドユニット3の交換、または、ヘッドユニット3に接続される配線の交換が不要な一時的エラーが発生しているか否かを判定する一時的エラー判定処理、を行う判定部40と、判定部40における判定の結果に応じた個数の発光素子52を発光する発光部50と、を備える、ことを特徴としてもよい。
このため、本実施形態によれば、ヘッドユニット3のユーザが、ヘッドユニット3を目視することにより、ヘッドユニット3において発生している不具合の内容を把握することが可能となる。
【0114】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3において、発光部50は、ハードウェアエラー判定処理における判定の結果が肯定の場合に、一時的エラー判定処理における判定の結果が肯定の場合よりも多くの発光素子52を発光させる、ことを特徴としてもよい。
このため、本実施形態によれば、ヘッドユニット3のユーザが、ヘッドユニット3を目視することにより、ヘッドユニット3において発生している不具合の内容を把握することが可能となる。
【0115】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3は、駆動信号Comにより駆動される圧電素子PZを具備し、圧電素子PZの駆動に応じてインクを吐出する吐出ヘッド32と、吐出ヘッド32にインクを供給するための液体流路が設けられた流路部材63と、駆動信号Comを圧電素子PZに供給する供給回路31が設けられ、吐出ヘッド32及び流路部材63の間に配置された回路基板60と、回路基板60及び流路部材63の間に配置された発光素子52と、を備え、流路部材63には、発光素子52の発する光を、流路部材63の外部へと導く導光管53が設けられる、ことを特徴としてもよい。
すなわち、本実施形態によれば、発光素子52と吐出ヘッド32との間に回路基板60が設けられるため、発光素子52が回路基板60と吐出ヘッド32との間に設けられる態様と比較して、吐出ヘッド32から吐出されるインク、及び、吐出ヘッド32の内部に貯留されるインクに対して、発光素子52の発する光が照射される可能性を低くすることができる。このため、本実施形態によれば、発光素子52が回路基板60と吐出ヘッド32との間に設けられる態様と比較して、発光素子52の発する光がインクに対して与える影響を低減させることが可能となり、インクが変質してしまう可能性を低減することが可能となる。
また、本実施形態において、流路部材63には、発光素子52の発する光を、流路部材63の外部へと導く導光管53が設けられるため、流路部材63に導光管53が設けられず、発光素子52の発する光が、流路部材63に照射される態様と比較して、流路部材63の内部に貯留されるインクに対して、発光素子52の発する光が照射される可能性を低くすることができる。このため、本実施形態によれば、流路部材63に導光管53が設けられない態様と比較して、発光素子52の発する光がインクに対して与える影響を低減させることが可能となり、インクが変質してしまう可能性を低減することが可能となる。
また、本実施形態によれば、発光素子52が、ヘッドユニット3に設けられるため、ヘッドユニット3の外部からヘッドユニット3に接続される配線に不具合が生じ、ヘッドユニット3からヘッドユニット3の外部に対して信号を供給できない場合であっても、ヘッドユニット3のユーザに対して、発光素子52を用いて、ヘッドユニット3の不具合を報知することを可能とする。
【0116】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3は、ヘッドユニット3またはヘッドユニット3に接続される配線に係るハードウェアエラーが発生しているか否かを判定する判定部40を備え、発光素子52は、判定部40における判定の結果に応じて発光する、ことを特徴としてもよい。
すなわち、本実施形態によれば、判定部40が、ヘッドユニット3に設けられるため、判定部40が、ヘッドユニット3の外部に設けられる態様と比較して、判定部40が、ヘッドユニット3の状態を示す情報を正確に取得することが可能となり、ヘッドユニット3のユーザが、ヘッドユニット3の不具合を正確に認識することを可能とする。
また、本実施形態によれば、発光素子52が、ヘッドユニット3に設けられるため、発光素子52が、ヘッドユニット3の外部に設けられる態様と比較して、判定部40から出力される判定結果情報BBにノイズが重畳する可能性を低減することが可能となり、ヘッドユニット3のユーザが、ヘッドユニット3の不具合を正確に認識することを可能とする。
また、本実施形態によれば、判定部40及び発光素子52が、ヘッドユニット3に設けられるため、ヘッドユニット3の外部からヘッドユニット3に接続される配線に不具合が生じ、ヘッドユニット3からヘッドユニット3の外部に対して信号を供給できない場合であっても、ヘッドユニット3のユーザが、ヘッドユニット3の不具合を正確に認識することを可能とする。
【0117】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3において、回路基板60は、ガラスエポキシ樹脂から形成される、ことを特徴としてもよい。
【0118】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3において、流路部材63は、プラスチックから形成される、ことを特徴としてもよい。
【0119】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3において、流路部材63は、流路部材63を吐出ヘッド32からのインクの吐出方向である-Z方向に直交する方向に見た場合に視認可能な部分である、側面部分を備え、導光管53は、発光素子52の発する光を、側面部分に設けられた開口54から、流路部材63の外部へと導く、ことを特徴としてもよい。
すなわち、本実施形態において、導光管53は、発光素子52の発する光を、側面部分に設けられた開口54から、流路部材63の外部へと導くため、発光素子52の発する光が、流路部材63を吐出ヘッド32からのインクの吐出方向とは反対の方向に見た場合に視認可能な部分である、下面部分に導かれる態様と比較して、吐出ヘッド32から吐出されるインク、及び、吐出ヘッド32の内部に貯留されるインクに対して、発光素子52の発する光が照射される可能性を低くすることができる。このため、本実施形態によれば、発光素子52の発する光が下面部分に導かれる態様と比較して、発光素子52の発する光がインクに対して与える影響を低減させることが可能となり、インクが変質してしまう可能性を低減することが可能となる。
【0120】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3において、発光素子52は、回路基板60の端部に設けられる、ことを特徴としてもよい。
このため、本実施形態によれば、発光素子52が回路基板60の中央部分に設けられる態様と比較して、発光素子52の発する光がインクに対して与える影響を低減させることが可能となり、インクが変質してしまう可能性を低減することが可能となる。
【0121】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3において、発光素子52は、発光ダイオードを含んで構成される、ことを特徴としてもよい。
【0122】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3において、発光素子52の発する光は、570nm以上の波長を有する可視光線である、ことを特徴としてもよい。
このため、本実施形態によれば、吐出ヘッド32から吐出されるインクとして、紫外線硬化インクを採用する場合において、発光素子52の発する光が570nm未満の波長を有する態様と比較して、発光素子52の発する光がインクに対して与える影響を低減させることが可能となり、インクが変質してしまう可能性を低減することが可能となる。
【0123】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3において、吐出ヘッド32から吐出されるインクは、紫外線が照射された場合に硬化する、ことを特徴としてもよい。
【0124】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3において、吐出ヘッド32から吐出されるインクには、ジスアゾ系の色材が含まれる、ことを特徴としてもよい。
【0125】
<<1.9.第1実施形態の変形例>>
以上の実施形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0126】
<<変形例1.1>>
上述した実施形態において、導光管53は、発光素子52の発する光を、流路部材63の側面部分に設けられた開口54から、流路部材63の外部へと導くが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、導光管は、発光素子52の発する光を、流路部材63を-Z方向に見た場合に視認可能な部分である、上側部分に設けられた開口から、流路部材63の外部へと導くように設けられてもよい。
【0127】
図13は、本変形例に係るヘッドユニット3Aを、XZ平面に平行な平面で切断した、ヘッドユニット3Aの概略的な一部断面図の一例である。なお、本変形例に係るインクジェットプリンターは、ヘッドユニット3の代わりにヘッドユニット3Aを備える点において、第1実施形態に係るインクジェットプリンター1と相違する。
【0128】
図13に例示するように、ヘッドユニット3Aは、導光管53-1及び導光管53-2の代わりに、導光管53A-1及び導光管53A-2を備える点において、第1実施形態に係るヘッドユニット3と相違する。
【0129】
ここで、導光管53A-1とは、発光素子52-1の発する光を、開口54A-1へと導く構成要素である。例えば、導光管53A-1は、光ファイバーであってもよい。
また、開口54A-1とは、発光素子52-1から発せられて導光管53A-1により導かれた光を、ヘッドユニット3の外部へと出射するための要素である。なお、本変形例において、開口54A-1は、上枠部632を-Z方向に見たときに視認可能な部分に設けられる。この場合、導光管53A-1は、外枠部631及び上枠部632において、凹部65-1及び開口54A-1を接続するように設けられればよい。但し、本変形例はこのような態様に限定されるものではない。例えば、開口54A-1は、外枠部631を-Z方向に見たときに視認可能な部分に設けられてもよい。この場合、導光管53A-1は、外枠部631において、凹部65-1及び開口54A-1を接続するように設けられればよい。すなわち、開口54A-1は、流路部材63を-Z方向に見たときに視認可能な上側部分に設けられればよい。なお、開口54A-1は、Z軸方向において、吐出ヘッド32と開口54A-1との間に発光素子52-1が位置するように設けられる。
なお、本実施形態において、開口54A-1から出射された光は、方向L1zに進行する。但し、開口54A-1から出射された光は、方向L1zを中心に拡散するように進行してもよい。ここで、方向L1zとは、Y軸方向に見たときに、+Z方向に平行な方向である。但し、方向L1zとは、Y軸方向に見たときに、+X方向または-X方向と+Z方向との間の方向であってもよい。
【0130】
また、導光管53A-2とは、発光素子52-2の発する光を、開口54A-2へと導く構成要素である。例えば、導光管53A-2は、光ファイバーであってもよい。
また、開口54A-2とは、発光素子52-2から発せられて導光管53A-2により導かれた光を、ヘッドユニット3の外部へと出射するための要素である。なお、本変形例において、開口54A-2は、上枠部632を-Z方向に見たときに視認可能な部分に設けられる。この場合、導光管53A-2は、外枠部631及び上枠部632において、凹部65-2及び開口54A-2を接続するように設けられればよい。但し、本変形例はこのような態様に限定されるものではない。例えば、開口54A-2は、外枠部631を-Z方向に見たときに視認可能な部分に設けられてもよい。この場合、導光管53A-2は、外枠部631において、凹部65-2及び開口54A-2を接続するように設けられればよい。すなわち、開口54A-2は、流路部材63を-Z方向に見たときに視認可能な上側部分に設けられればよい。なお、開口54A-2は、Z軸方向において、吐出ヘッド32と開口54A-2との間に発光素子52-1が位置するように設けられる。
なお、本実施形態において、開口54A-2から出射された光は、方向L2zに進行する。但し、開口54A-2から出射された光は、方向L2zを中心に拡散するように進行してもよい。ここで、方向L2zとは、Y軸方向に見たときに、+Z方向に平行な方向である。但し、方向L2zとは、Y軸方向に見たときに、+X方向または-X方向と+Z方向との間の方向であってもよい。
また、本実施形態において、開口54A-1及び開口54A-2は、「上側開口」の一例である。
【0131】
このように、本変形例に係るヘッドユニット3Aにおいて、流路部材63は、流路部材63を吐出ヘッド32からのインクの吐出方向である-Z方向に見た場合に視認可能な部分である、上側部分を備え、導光管53Aは、発光素子52の発する光を、上側部分に設けられた開口54Aから、流路部材63の外部へと導く、ことを特徴としてもよい。
すなわち、本変形例において、導光管53Aは、発光素子52の発する光を、上側部分に設けられた開口54Aから、流路部材63の外部へと導くため、発光素子52の発する光が下面部分に導かれる態様と比較して、吐出ヘッド32から吐出されるインク、及び、吐出ヘッド32の内部に貯留されるインクに対して、発光素子52の発する光が照射される可能性を低くすることができる。このため、本実施形態によれば、発光素子52の発する光が下面部分に導かれる態様と比較して、発光素子52の発する光がインクに対して与える影響を低減させることが可能となり、インクが変質してしまう可能性を低減することが可能となる。
【0132】
<<変形例1.2>>
上述した実施形態及び変形例において、駆動信号生成回路GRは、ヘッドユニット3またはヘッドユニット3Aの外部に設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。駆動信号生成回路GRは、ヘッドユニットに設けられてもよい。
【0133】
図14は、本変形例に係るインクジェットプリンター1Bの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0134】
図14に例示するように、インクジェットプリンター1Bは、ヘッドユニット3の代わりにヘッドユニット3Bを備える点において、第1実施形態に係るインクジェットプリンター1と相違する。
また、ヘッドユニット3Bは、ヘッドモジュールHMの代わりに、ヘッドモジュールHM-Bを備える点において、第1実施形態に係るヘッドユニット3と相違する。
また、ヘッドモジュールHM-Bは、駆動信号生成回路GRを備える点において、第1実施形態に係るヘッドモジュールHMと相違する。
【0135】
以上のように、本変形例によれば、駆動信号生成回路GRがヘッドユニット3Bに搭載されるため、インクジェットプリンターにヘッドユニット3Bを組み入れる際に、インクジェットプリンターに駆動信号生成回路GRを設ける必要が無くなる。すなわち、本変形例によれば、駆動信号生成回路GRがヘッドユニット3Bに搭載されるため、ヘッドユニット3Bをインクジェットプリンターに組み入れる際の設計や、ヘッドユニット3Bを組み入れることを前提としたインクジェットプリンターの製造が容易となる。
【0136】
<<2.第2実施形態>>
以下、本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0137】
<<2.1.インクジェットプリンターの機能の概要>>
以下、図15及び図16を参照しつつ、第2実施形態に係るインクジェットプリンター1Cの機能構成の一例について説明する。
なお、第1実施形態に係るインクジェットプリンター1が、光を用いて、ヘッドユニット3の状態を報知したのに対して、第2実施形態に係るインクジェットプリンター1Cは、音を用いて、ヘッドユニットの状態を報知することを特徴とする。
【0138】
図15は、インクジェットプリンター1Cの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0139】
図15に例示するように、インクジェットプリンター1Cは、ヘッドユニット3の代わりに、ヘッドユニット3Cを備える点において、第1実施形態に係るインクジェットプリンター1と相違する。
また、ヘッドユニット3Cは、ヘッドモジュールHMの代わりに、ヘッドモジュールHM-Cを備える点において、第1実施形態に係るヘッドユニット3と相違する。
また、ヘッドモジュールHM-Cは、駆動信号生成回路GRを備える点と、印刷部30の代わりに、印刷部30Cを備える点と、発光部50の代わりに、発音部55を備える点と、において、第1実施形態に係るヘッドモジュールHMと相違する。
また、印刷部30Cは、供給回路31の代わりに、供給回路31Cを備える点において、第1実施形態に係る印刷部30と相違する。
【0140】
図15に例示するように、発音部55は、発音制御回路56と、1または複数の発音素子57と、を備える。なお、本実施形態では、発音部55が、2個の発音素子57を具備する場合を、一例として想定する。
発音素子57は、例えば、圧電素子である。なお、本実施形態では、発音素子57及び圧電素子PZを区別するために、圧電素子PZを「第1駆動素子」と称し、発音素子57を「第2駆動素子」と称する場合がある。
発音制御回路56は、判定結果情報BBに基づいて、2個の発音素子57の一方または両方に発音させるための発音制御信号CtSを生成する。
【0141】
図16は、印刷部30Cの具備する供給回路31C、吐出ヘッド32、及び、検出回路33と、発音部55の具備する発音制御回路56、及び、発音素子57との構成の一例を示すブロック図である。
【0142】
図16に例示するように、発音素子57は、上部電極ZPuと、下部電極ZPdと、上部電極ZPu及び下部電極ZPdの間に設けられた圧電体ZPmと、を備える。下部電極ZPdは、給電線Lbに電気的に接続される。また、上部電極ZPuには、発音制御回路56による制御に基づいて、駆動信号Comが供給される。すなわち、上部電極ZPuに対する駆動信号Comの供給に伴い、上部電極ZPu及び下部電極ZPdの間に電圧が印加される。そして、発音素子57は、上部電極ZPu及び下部電極ZPdの間に印加された電圧に応じて変位し、当該変位の結果、発音素子57が振動する。そして、発音素子57は、駆動信号Comにより振動させられることにより、音を発する。
【0143】
また、発音制御回路56は、スイッチWPと、スイッチWPの接続状態を指定する接続状態指定回路560と、を備える。接続状態指定回路560は、判定結果情報BBに基づいて、スイッチWPのオンオフを指定する発音制御信号CtSを生成する。スイッチWPは、発音制御信号CtSに基づいて、配線Lc1と、発音素子57に設けられた上部電極ZPuとの導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチWPは、発音制御信号CtSがハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。スイッチWPがオンする場合、配線Lc1に供給される駆動信号Com-Aが、発音素子57の上部電極ZPuに供給され、発音素子57が発音する。
なお、本実施形態において、接続状態指定回路560は、判定結果情報BBが、ヘッドモジュールHM-Cにおいて、ハードウェアエラー、一時的エラー、及び、温度異常のうち、少なくとも1つの不具合が発生していることを示す場合に、発音制御信号CtSをハイレベルに設定することで、発音素子57を発音させる。他方、接続状態指定回路560は、判定結果情報BBが、ヘッドモジュールHM-Cにおいて、ハードウェアエラー、一時的エラー、及び、温度異常のうち、何れの不具合も発生していないことを示す場合に、発音制御信号CtSをローレベルに設定することで、発音素子57を発音しない状態に設定する。
【0144】
図16に例示するように、供給回路31Cは、接続状態指定回路310の代わりに、接続状態指定回路310Cを備える点において、第1実施形態に係る供給回路31と相違する。
ここで、接続状態指定回路310Cは、判定結果情報BBが、ヘッドモジュールHM-Cにおいて、ハードウェアエラー、一時的エラー、及び、温度異常のうち、何れの不具合も発生していないことを示す場合においては、接続状態指定回路310と同様に動作する。他方、接続状態指定回路310Cは、判定結果情報BBが、ヘッドモジュールHM-Cにおいて、ハードウェアエラー、一時的エラー、及び、温度異常のうち、少なくとも1つの不具合が発生していることを示す場合において、接続状態指定信号Qa[m]、接続状態指定信号Qb[m]、及び、接続状態指定信号Qs[m]をローレベルに設定し、駆動信号Comによる圧電素子PZの駆動を停止させる。
【0145】
このように、本実施形態によれば、ヘッドユニット3Cに設けられた駆動信号生成回路GRが具備する増幅回路800を用いて生成された駆動信号Comにより、圧電素子PZと、発音素子57とを、排他的に駆動する。このため、本実施形態によれば、ヘッドユニット3Cにおいて、圧電素子PZを駆動する駆動信号生成回路GRとは別個に発音素子57を駆動する回路を設ける態様と比較して、ヘッドユニット3Cの構成を簡素化することが可能となる。
また、本実施形態によれば、判定部40が、ヘッドユニット3Cに設けられるため、判定部40が、ヘッドユニット3Cの外部に設けられる態様と比較して、判定部40が、ヘッドユニット3Cの状態を示す情報を正確に取得することが可能となり、ヘッドユニット3Cのユーザが、ヘッドユニット3Cの不具合を正確に認識することを可能とする。
また、本実施形態によれば、発音部55が、ヘッドユニット3Cに設けられるため、発音部55が、ヘッドユニット3Cの外部に設けられる態様と比較して、判定部40から出力される判定結果情報BBにノイズが重畳する可能性を低減することが可能となり、ヘッドユニット3Cのユーザが、ヘッドユニット3Cの不具合を正確に認識することを可能とする。
また、本実施形態によれば、判定部40及び発音部55が、ヘッドユニット3Cに設けられるため、ヘッドユニット3Cの外部からヘッドユニット3Cに接続される配線に不具合が生じ、ヘッドユニット3Cからヘッドユニット3Cの外部に対して信号を供給できない場合であっても、ヘッドユニット3Cのユーザが、ヘッドユニット3Cの不具合を正確に認識することを可能とする。
【0146】
<<2.2.インクジェットプリンターの構造>>
以下、図17を参照しつつ、第2実施形態に係るインクジェットプリンター1Cの構造の一例について説明する。
【0147】
図17は、本実施形態に係るヘッドユニット3Cを、XZ平面に平行な平面で切断した、ヘッドユニット3Cの概略的な一部断面図の一例である。
【0148】
図17に例示するように、ヘッドユニット3Cは、発光素子52-1及び発光素子52-2の代わりに、発音素子57-1及び発音素子57-2を備える点と、導光管53-1及び導光管53-2の代わりに、導音管58-1及び導音管58-2を備える点と、において、第1実施形態に係るヘッドユニット3と相違する。
【0149】
ここで、導音管58-1とは、発音素子57-1の発する音を、開口59-1へと導く構成要素である。
また、開口59-1とは、発音素子57-1から発せられて導音管58-1により導かれた音を、ヘッドユニット3Cの外部へと放音するための要素である。なお、本実施形態において、開口59-1は、外枠部631を+X方向に見たときに視認可能な部分に設けられる。この場合、導音管58-1は、外枠部631において、凹部65-1及び開口59-1を接続するように設けられればよい。但し、本実施形態はこのような態様に限定されるものではない。例えば、開口59-1は、上枠部632を+X方向に見たときに視認可能な部分に設けられてもよい。この場合、導音管58-1は、外枠部631及び上枠部632において、凹部65-1及び開口59-1を接続するように設けられればよい。すなわち、開口59-1は、流路部材63を+X方向に見たときに視認可能な側面部分に設けられればよい。なお、開口59-1は、Z軸方向において、吐出ヘッド32と開口59-1との間に発音素子57-1が位置するように設けられてもよい。
なお、本実施形態において、開口59-1から放音された音は、方向L1に進行する。但し、開口59-1から放音された音は、方向L1を中心に拡散するように進行してもよい。
【0150】
<<2.3.第2実施形態の纏め>>
以上のように、本実施形態に係るヘッドユニット3Cは、入力信号Aaを増幅して駆動信号Comを生成する駆動信号生成回路GRと、駆動信号Comによる駆動される圧電素子PZを具備し、圧電素子PZの駆動に応じてインクを吐出する吐出部Dと、駆動信号Comを、圧電素子PZに供給するか否かを切り替えるスイッチWaを具備する供給回路31と、駆動信号Comにより駆動される発音素子57、及び、駆動信号Comを、発音素子57に供給するか否かを切り替えるスイッチWPを具備し、発音素子57の駆動に応じて音を発する発音部55と、を備え、スイッチWa及びスイッチWPは、排他的にオンする、ことを特徴としてもよい。
このように、本実施形態によれば、ヘッドユニット3Cに設けられた駆動信号生成回路GRの生成した駆動信号Comにより、圧電素子PZと、発音素子57とを、排他的に駆動する。このため、本実施形態によれば、ヘッドユニット3Cにおいて、圧電素子PZを駆動する駆動信号生成回路GRとは別個に発音素子57を駆動する回路を設ける態様と比較して、ヘッドユニット3Cの構成を簡素化することが可能となる。
また、本実施形態によれば、発音素子57が、ヘッドユニット3に設けられるため、ヘッドユニット3の外部からヘッドユニット3に接続される配線に不具合が生じ、ヘッドユニット3からヘッドユニット3の外部に対して信号を供給できない場合であっても、ヘッドユニット3のユーザに対して、発音素子57を用いて、ヘッドユニット3の不具合を報知することを可能とする。
【0151】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3Cにおいて、駆動信号生成回路GRは、入力信号Aaをパルス変調して変調信号Msを生成する変調回路801と、変調信号Msを増幅して増幅信号Azを生成する増幅回路800と、増幅信号Azを平滑化して駆動信号Comを生成するLPF82と、を備える、ことを特徴としてもよい。
【0152】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3Cは、吐出部Dからの液体の吐出状態を判定する判定部40を備え、発音部55は、判定部40における判定の結果に応じて音を発する、ことを特徴としてもよい。
本実施形態によれば、判定部40が、ヘッドユニット3Cに設けられるため、判定部40が、ヘッドユニット3Cの外部に設けられる態様と比較して、判定部40が、ヘッドユニット3Cの状態を示す情報を正確に取得することが可能となり、ヘッドユニット3Cのユーザが、ヘッドユニット3Cの不具合を正確に認識することを可能とする。
また、本実施形態によれば、発音部55が、ヘッドユニット3Cに設けられるため、発音部55が、ヘッドユニット3Cの外部に設けられる態様と比較して、判定部40から出力される判定結果情報BBにノイズが重畳する可能性を低減することが可能となり、ヘッドユニット3Cのユーザが、ヘッドユニット3Cの不具合を正確に認識することを可能とする。
また、本実施形態によれば、判定部40及び発音部55が、ヘッドユニット3Cに設けられるため、ヘッドユニット3Cの外部からヘッドユニット3Cに接続される配線に不具合が生じ、ヘッドユニット3Cからヘッドユニット3Cの外部に対して信号を供給できない場合であっても、ヘッドユニット3Cのユーザが、ヘッドユニット3Cの不具合を正確に認識することを可能とする。
【0153】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3Cにおいて、圧電素子PZは、圧電素子である、ことを特徴としてもよい。
【0154】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3Cにおいて、発音素子57は、圧電素子である、ことを特徴としてもよい。
【0155】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3Cは、吐出部Dにインクを供給するための液体流路が設けられた流路部材63と、吐出部Dが設けられた吐出ヘッド32と、スイッチWaが設けられ、吐出ヘッド32及び流路部材63の間に配置された回路基板60と、を備え、発音素子57は、流路部材63と回路基板60との間に設けられる、ことを特徴としてもよい。
本実施形態によれば、発音素子57と吐出ヘッド32との間に回路基板60が設けられるため、発音素子57が吐出ヘッド32と回路基板60との間に設けられる態様と比較して、ヘッドユニット3Cのユーザが、発音素子57の発する音を容易に認識することが可能となる。
【0156】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3Cは、駆動信号Comにより駆動される圧電素子PZを具備し、圧電素子PZの駆動に応じてインクを吐出する吐出ヘッド32と、吐出ヘッド32にインクを供給するための液体流路が設けられた流路部材63と、駆動信号Comを圧電素子PZに供給する供給回路31Cが設けられ、吐出ヘッド32及び流路部材63の間に配置された回路基板60と、回路基板60及び流路部材63の間に配置された発音素子57と、を備え、流路部材63には、発音素子57の発する音を、流路部材63の外部へと導く導音管58が設けられる、ことを特徴としてもよい。
本実施形態によれば、流路部材63に導音管58が設けられるため、流路部材63に導音管58が設けられない態様と比較して、ヘッドユニット3Cのユーザが、発音素子57の発する音を容易に認識することが可能となる。
また、本実施形態によれば、流路部材63に導音管58が設けられるため、発音素子57が、ヘッドユニット3Cの外側に露出するように配置されるという制約を設けることなく、ヘッドユニット3Cのユーザが、発音素子57の発する音を認識可能にすることができる。すなわち、本実施形態によれば、ヘッドユニット3Cのユーザによる発音素子57の発する音の認識可能性に影響を及ぼすことなく、発音素子57の配置の自由度を高めることができる。
また、本実施形態によれば、発音素子57が、ヘッドユニット3Cに設けられるため、ヘッドユニット3Cの外部からヘッドユニット3Cに接続される配線に不具合が生じ、ヘッドユニット3Cからヘッドユニット3Cの外部に対して信号を供給できない場合であっても、ヘッドユニット3Cのユーザに対して、発音素子57を用いて、ヘッドユニット3Cの不具合を報知することを可能とする。
【0157】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3Cは、ヘッドユニット3Cまたはヘッドユニット3Cに接続される配線に係るエラーが発生しているか否かを判定する判定部40を備え、発音素子57は、判定部40における判定の結果に応じて音を発する、ことを特徴としてもよい。
本実施形態によれば、判定部40が、ヘッドユニット3Cに設けられるため、判定部40が、ヘッドユニット3Cの外部に設けられる態様と比較して、判定部40が、ヘッドユニット3Cの状態を示す情報を正確に取得することが可能となり、ヘッドユニット3Cのユーザが、ヘッドユニット3Cの不具合を正確に認識することを可能とする。
また、本実施形態によれば、発音素子57が、ヘッドユニット3Cに設けられるため、発音素子57が、ヘッドユニット3Cの外部に設けられる態様と比較して、判定部40から出力される判定結果情報BBにノイズが重畳する可能性を低減することが可能となり、ヘッドユニット3Cのユーザが、ヘッドユニット3Cの不具合を正確に認識することを可能とする。
また、本実施形態によれば、判定部40及び発音素子57が、ヘッドユニット3Cに設けられるため、ヘッドユニット3Cの外部からヘッドユニット3Cに接続される配線に不具合が生じ、ヘッドユニット3Cからヘッドユニット3Cの外部に対して信号を供給できない場合であっても、ヘッドユニット3Cのユーザが、ヘッドユニット3Cの不具合を正確に認識することを可能とする。
【0158】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3Cにおいて、回路基板60は、ガラスエポキシ樹脂から形成される、ことを特徴としてもよい。
【0159】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3Cにおいて、流路部材63は、プラスチックから形成される、ことを特徴としてもよい。
【0160】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3Cにおいて、流路部材63は、流路部材63を吐出ヘッド32からのインクの吐出方向に直交する方向に見た場合に視認可能な部分である、側面部分を備え、導音管58は、発音素子57の発する音を、側面部分に設けられた開口59から、流路部材63の外部へと導く、ことを特徴としてもよい。
すなわち、本実施形態において、導音管58は、発音素子57の発する音を、側面部分に設けられた開口59から、流路部材63の外部へと導くため、発音素子57の発する音が、流路部材63を吐出ヘッド32からのインクの吐出方向とは反対の方向に見た場合に視認可能な部分である、下面部分に導かれる態様と比較して、ヘッドユニット3Cのユーザが、発音素子57の発する音を容易に認識することが可能となる。
【0161】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3Cにおいて、発音素子57は、回路基板60の端部に設けられる、ことを特徴としてもよい。
このため、本実施形態によれば、発音素子57が、回路基板60の中央部分に設けられる態様と比較して、ヘッドユニット3Cのユーザが、発音素子57の発する音を容易に認識することが可能となる。
【0162】
また、本実施形態に係るヘッドユニット3Cにおいて、発音素子57は、圧電素子である、ことを特徴としてもよい。
【0163】
<<2.4.第2実施形態の変形例>>
以上の実施形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0164】
<<変形例2.1>>
上述した実施形態において、導音管58は、発音素子57の発する音を、流路部材63の側面部分に設けられた開口59から、流路部材63の外部へと導くが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、導音管は、発音素子57の発する音を、流路部材63を-Z方向に見た場合に視認可能な部分である、上側部分に設けられた開口から、流路部材63の外部へと導くように設けられてもよい。
【0165】
図18は、本変形例に係るヘッドユニット3Dを、XZ平面に平行な平面で切断した、ヘッドユニット3Dの概略的な一部断面図の一例である。なお、本変形例に係るインクジェットプリンターは、ヘッドユニット3Cの代わりにヘッドユニット3Dを備える点において、第2実施形態に係るインクジェットプリンター1Cと相違する。
【0166】
図18に例示するように、ヘッドユニット3Dは、導音管58-1及び導音管58-2の代わりに、導音管58D-1及び導音管58D-2を備える点において、第2実施形態に係るヘッドユニット3Cと相違する。
【0167】
ここで、導音管58D-1とは、発音素子57-1の発する音を、開口59D-1へと導く構成要素である。
また、開口59D-1とは、発音素子57-1から発せられて導音管58D-1により導かれた音を、ヘッドユニット3Dの外部へと放音するための要素である。なお、本変形例において、開口59D-1は、上枠部632を-Z方向に見たときに視認可能な部分に設けられる。この場合、導音管58D-1は、外枠部631及び上枠部632において、凹部65-1及び開口59D-1を接続するように設けられればよい。但し、本変形例はこのような態様に限定されるものではない。例えば、開口59D-1は、外枠部631を-Z方向に見たときに視認可能な部分に設けられてもよい。この場合、導音管58D-1は、外枠部631において、凹部65-1及び開口59D-1を接続するように設けられればよい。すなわち、開口59D-1は、流路部材63を-Z方向に見たときに視認可能な上側部分に設けられればよい。なお、開口59D-1は、Z軸方向において、吐出ヘッド32と開口59D-1との間に発音素子57-1が位置するように設けられる。
なお、本実施形態において、開口59D-1から放音された音は、方向L1zに進行する。但し、開口59D-1から放音された音は、方向L1zを中心に拡散するように進行してもよい。
【0168】
また、導音管58D-2とは、発音素子57-2の発する音を、開口59D-2へと導く構成要素である。
また、開口59D-2とは、発音素子57-2から発せられて導音管58D-2により導かれた音を、ヘッドユニット3Dの外部へと放音するための要素である。なお、本変形例において、開口59D-2は、上枠部632を-Z方向に見たときに視認可能な部分に設けられる。この場合、導音管58D-2は、外枠部631及び上枠部632において、凹部65-2及び開口59D-2を接続するように設けられればよい。但し、本変形例はこのような態様に限定されるものではない。例えば、開口59D-2は、外枠部631を-Z方向に見たときに視認可能な部分に設けられてもよい。この場合、導音管58D-2は、外枠部631において、凹部65-2及び開口59D-2を接続するように設けられればよい。すなわち、開口59D-2は、流路部材63を-Z方向に見たときに視認可能な上側部分に設けられればよい。なお、開口59D-2は、Z軸方向において、吐出ヘッド32と開口59D-2との間に発音素子57-2が位置するように設けられる。
なお、本実施形態において、開口59D-2から放音された音は、方向L2zに進行する。但し、開口59D-2から放音された音は、方向L2zを中心に拡散するように進行してもよい。
また、本実施形態において、開口59D-1及び開口59D-2は、「上側開口」の一例である。
【0169】
このように、本変形例に係るヘッドユニット3Dにおいて、流路部材63は、流路部材63を吐出ヘッド32からのインクの吐出方向である-Z方向に見た場合に視認可能な部分である、上側部分を備え、導音管58Dは、発音素子57の発する音を、上側部分に設けられた開口59Dから、流路部材63の外部へと導く、ことを特徴としてもよい。
すなわち、本変形例において、導音管58Dは、発音素子57の発する音を、上側部分に設けられた開口59Dから、流路部材63の外部へと導くため、発音素子57の発する音が下面部分に導かれる態様と比較して、ヘッドユニット3Dのユーザが、発音素子57の発する音を容易に認識することが可能となる。
【0170】
<<3.その他の変形例>>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0171】
<<変形例3.1>>
上述した実施形態及び変形例では、インクジェットプリンターがシリアルプリンターである場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクジェットプリンターは、ヘッドユニットにおいて、複数のノズルNが、記録用紙Pの幅よりも広く延在するように設けられた、所謂ラインプリンターであってもよい。
【0172】
<<変形例3.2>>
上述した実施形態及び変形例では、インクジェットプリンターは、圧電素子PZを振動させることによりノズルNからインクを吐出させるものであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、キャビティ322に設けられた発熱体を発熱させることによりキャビティ322内に気泡を生じさせてキャビティ322内部の圧力を高め、これによりインクを吐出させる、所謂サーマル方式であってもよい。
【符号の説明】
【0173】
1…インクジェットプリンター、2…制御ユニット、3…ヘッドユニット、7…搬送ユニット、8…駆動信号生成ユニット、9…電源ユニット、30…印刷部、31…供給回路、32…吐出ヘッド、33…検出回路、40…判定部、41…信号判定回路、42…吐出判定回路、43…温度判定回路、50…発光部、51…発光制御回路、52…発光素子、D…吐出部、GR…駆動信号生成回路、HM…ヘッドモジュール、TM…温度センサー。
図1
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