(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】射出成形機管理システム
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20241112BHJP
B29C 45/42 20060101ALN20241112BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/42
(21)【出願番号】P 2020187945
(22)【出願日】2020-11-11
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】美濃羽 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】土本 和彦
(72)【発明者】
【氏名】樋口 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 祐二
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-102548(JP,A)
【文献】特開2000-029955(JP,A)
【文献】特開2007-164442(JP,A)
【文献】特公平08-013491(JP,B2)
【文献】特開2004-355534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/76
B29C 45/42
B22D 17/32
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形によって成形品を成形する射出成形機と、前記射出成形の後工程を行う周辺装置と、前記射出成形機および前記周辺装置と通信可能に接続される制御装置と、を備える射出成形機管理システムであって、
予め定められた生産単位毎に
、前記射出成形機と前記周辺装置とに共通の共通識別子を生成し、前記周辺装置に前記共通識別子を送信する生成部を備え、
前記共通識別子には、前記射出成形に関する成形データ、および、前記後工程に関する後工程データが関連付けられる、射出成形機管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の射出成形機管理システムであって、
前記射出成形機は、前記生成部を有する、射出成形機管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の射出成形機管理システムであって、
前記生成部は、前記共通識別子を、前記制御装置を介すことなく前記周辺装置に送信する、射出成形機管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の射出成形機管理システムであって、
前記制御装置は、前記生成部を有し、
前記生成部は、前記共通識別子を、前記射出成形機および前記周辺装置に送信する、射出成形機管理システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の射出成形機管理システムであって、
前記周辺装置は、前記射出成形機によって成形される前記成形品を前記射出成形機から取り出す取出機と、前記成形品を加工する加工機と、前記成形品を検査する検査装置と、のいずれかである、射出成形機管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、射出成形機管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の管理システムについて、例えば、特許文献1には、取出機等の周辺機器が接続された射出成形機と、射出成形機と接続されたホストコンピューター部とを備えるシステムが開示されている。このシステムでは、ホストコンピューター部が、射出成形機に係るデータと周辺機器に係るデータとを収集できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上記のシステムにおいて、ある成形品を射出成形した際の射出成形機に係るデータと、その成形品の加工や検査等の後処理を周辺機器で行った際の周辺機器に係るデータとを、それらのデータが取得された時刻毎に記録することが可能である。しかしながら、例えば、射出成形工程と後処理工程との間の時間差に基づき、これらのデータを用いて、成形品に不良が生じた原因を特定しようとしても、通常、理論的な時間差と、実際の時間差は一致しない場合が多く、原因の特定は困難である。また、手作業によって上記データを関連付けておき、関連付けられたデータに基づいて不良原因の特定等を行おうとしても、迅速にミスなくデータの関連付けを行うことは現実的ではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、射出成形によって成形品を成形する射出成形機と、前記射出成形の後工程を行う周辺装置と、前記射出成形機および前記周辺装置と通信可能に接続される制御装置と、を備える射出成形機管理システムが提供される。この射出成形機管理システムは、予め定められた生産単位毎に共通識別子を生成し、前記周辺装置に前記共通識別子を送信する生成部を備え、前記共通識別子には、前記射出成形に関する成形データ、および、前記後工程に関する後工程データが関連付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の射出成形機管理システムの構成を示す概略ブロック図。
【
図2】第1実施形態の成形品製造処理の前半部分を示す工程図。
【
図3】第1実施形態の成形品製造処理の後半部分を示す工程図。
【
図4】第2実施形態の射出成形機管理システムの構成を示す概略ブロック図。
【
図5】第2実施形態の成形品製造処理を示す工程図。
【
図6】第3実施形態の成形品製造処理を示す工程図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における射出成形機管理システム10の構成を示す概略ブロック図である。射出成形機管理システム10は、射出成形によって成形品を成形する射出成形機100と、成形品を取り出す取出機200と、成形品を加工する加工機300と、成形品を検査する検査装置400と、制御装置500とを備える。なお、取出機200と、加工機300と、検査装置400とは、射出成形機100の周辺装置である。周辺装置とは、射出成形機100による射出成形の後工程を行う装置や機器のことを表す。
【0008】
図1には、射出成形機管理システム10によって製造される成形品の流れが、実線矢印で示されている。射出成形機管理システム10は、射出成形機100によって成形品を成形し、成形した成形品を各周辺装置によって後処理することによって、成形品を製造する。
【0009】
射出成形機100は、第1制御部110と、それぞれ図示しない、射出部と、キャビティーを有する型部と、型部を型締めする型締装置とを備える。なお、第1制御部110は、1つまたは複数のプロセッサーと、主記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースとを備えるコンピューターによって構成されている。第1制御部110は、複数のコンピューターによって構成されてもよい。また、後述する周辺装置の制御部についても、第1制御部110と同様の構成である。
【0010】
第1制御部110は、射出成形機100の各部を制御して射出成形を行い、成形品を成形する。より具体的には、第1制御部110は、射出部を制御して溶融した材料を型部に射出し、型締装置を制御して型部を型締めすることによって、キャビティーの形状に応じた形状を有する成形品を成形する。なお、本実施形態では、型部のキャビティー数は1である。すなわち、1回の射出成形によって、1つの成形品が成形される。
【0011】
第1制御部110は、射出成形において、成形品の射出成形に関するデータである成形データを、図示しない各種センサー等を用いて取得する。本実施形態では、第1制御部110は、成形データとして、射出される材料の圧力および温度の時系列データや、型締め力の時系列データ、時刻情報等を取得する。なお、時系列データとは、予め定められた期間、センサー値を連続して取得することで得られるデータである。
【0012】
本実施形態の取出機200は、第2制御部210と、取出ロボットと、切断機とによって構成される。取出ロボットは、射出成形機100の型部から成形品を取り出すロボットである。切断機は、型部で成形品とともに成形されるスプルーやランナーを、切断によって成形品から除去する機器である。本実施形態の取出ロボットは、射出成形機100のエジェクターピンによって型部から離型された成形品を、取出ロボットのアームの先端に取り付けられたエンドエフェクターによって直接把持して取り出す。その後、切断機によって、スプルーやランナーを成形品から除去し、スプルーやランナーが除去された成形品を、次の加工機300による加工工程へと送る。他の実施形態では、取出ロボットは、例えば、成形品を吸引して把持するロボット等であってもよい。また、取出機200は、切断機を備えていなくてもよい。
【0013】
本実施形態の第2制御部210は、取出ロボットおよび切断機の動作を制御する。また、第2制御部210は、成形品の取出に関するデータである取出データを、図示しない各種センサー等を用いて取得する。本実施形態では、第2制御部210は、取出データとして、成形品を取り出す際の振動の時系列データや、スプルーやランナーを除去する際の振動の時系列データ、時刻情報等を取得する。
【0014】
本実施形態の加工機300は、第3制御部310と、加工部とによって構成される。加工部は、成形品の仕上げ加工を行うために用いられる。本実施形態の加工部は、成形品を研磨することによって成形品のバリの除去等の仕上げ加工を行う研磨工具である。他の実施形態では、加工部は、例えば、成形品への超音波の照射や、成形品への研磨剤の噴射によって、成形品のバリの除去等の仕上げ加工を行う機器であってもよい。
【0015】
本実施形態の第3制御部310は、射出成形機100の型部から取り出された成形品を、加工部を制御して研磨することによって、成形品のバリ等を除去する。また、第3制御部310は、成形品の加工に関するデータである加工データを、図示しない各種センサーを用いて取得する。加工データには、例えば、成形品を加工する際に研磨工具にかかる圧力の時系列データや、振動の時系列データ、時刻情報等が含まれる。なお、他の実施形態では、上述した取出機200がスプルーやランナーの除去を行わない場合、加工機300がスプルーやランナーの除去を行ってもよい。この場合、第3制御部310は、スプルーやランナーを除去した際の振動の時系列データ等を加工データとして取得してもよい。
【0016】
本実施形態の検査装置400は、第4制御部410とカメラとによって構成される。第4制御部410は、カメラを制御して成形品を撮影し、撮影した成形品の画像を解析することによって、成形品の外観検査を行う。また、第4制御部410は、成形品の検査に関するデータである検査データを取得する。検査データには、例えば、外観検査の結果や、時刻情報等が含まれる。なお、成形品の後工程に関するデータを後工程データと呼ぶこともある。従って、上述した取出データと、加工データと、検査データとは、後工程データである。
【0017】
制御装置500は、1つまたは複数のプロセッサーと、主記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースとを備えるコンピューターによって構成されている。なお、制御装置500は、複数のコンピューターによって構成されてもよい。
【0018】
制御装置500は、射出成形機および周辺装置と通信可能に接続されている。
図1に示すように、本実施形態では、制御装置500と、射出成形機100と、各周辺装置とはネットワークNTを介して、相互に通信可能に構成されている。なお、ネットワークNTのうち、第1制御部110と制御装置500とをつなぐ通信路を第1通信路31と呼び、第2制御部210と制御装置500とをつなぐ通信路を第2通信路32と呼び、第3制御部310と制御装置500とをつなぐ通信路を第3通信路33と呼び、第4制御部410と制御装置500とをつなぐ通信路を第4通信路34と呼ぶこともある。また、ネットワークNTのうち、第1制御部110と第2制御部210とをつなぐ通信路を第5通信路35と呼び、第2制御部210と第3制御部310とをつなぐ通信路を第6通信路36と呼び、第3制御部310と第4制御部410とをつなぐ通信路を第7通信路37と呼ぶこともある。本実施形態の制御装置500は、ネットワークを介して、射出成形機100や周辺装置と通信することによって、射出成形機100や周辺装置の稼働情報の把握や、射出成形機100や周辺装置とのデータの送受信、射出成形機100や周辺装置への制御プログラムの送信等を行う。なお、ネットワークNTは、例えば、LANであってもよいし、WANであってもよいし、インターネットであってもよい。
【0019】
射出成形機管理システム10は、生成部20を備える。生成部20は、予め定められた生産単位毎に共通識別子を生成し、周辺装置に共通識別子を送信する。また、本実施形態では、第1制御部110が生成部20として機能する。すなわち、本実施形態の射出成形機100は、生成部20を備える。
【0020】
生産単位とは、射出成形機管理システム10における品質管理の単位を表す。本実施形態では、生産単位として、ショットと、トレイと、ボックスと、ロットとを用いる。ショットとは、射出成形機100によって成形される成形品1個を表す単位である。トレイとは、複数のショットに相当する単位である。ボックスとは、複数のトレイに相当する単位である。ロットとは、複数のボックスに相当する単位である。従って、品質管理の単位は、ショット、トレイ、ボックス、ロットの順に大きくなる。なお、本実施形態では、ロット毎に成形品の形状等の仕様が定められている。また、本実施形態では、各生産単位は、それぞれ数字として表される。数字で表された各生産単位を、それぞれ、ショット番号、トレイ番号、ボックス番号、ロット番号と呼ぶこともある。
【0021】
図2は、本実施形態の成形品製造処理の前半部分を示す工程図である。
図3は、本実施形態の成形品製造処理の後半部分を示す工程図である。成形品製造処理とは、射出成形機管理システム10において成形品を製造するために実行される処理である。
図2には、成形品製造処理において、射出成形機100の第1制御部110によって実行される処理と、取出機200の第2制御部210によって実行される処理と、制御装置500によって実行される処理とが併記されている。また、
図3には、成形品製造処理において、制御装置500によって実行される処理と、加工機300の第3制御部310によって実行される処理と、検査装置400の第4制御部410によって実行される処理とが併記されている。
【0022】
上述したように、射出成形機管理システム10において成形品を製造する場合、まず、射出成形機100によって成形品を成形する。
図2のステップS110にて、第1制御部110は、成形条件として、成形品を製造するための成形プログラム、および、その成形品を製造する数量を取得する。第1制御部110は、例えば、図示しない射出成形機100の入力装置等を介してユーザーによって入力されたロット番号に基づいて、成形プログラムを取得する。また、第1制御部110は、例えば、図示しない射出成形機100の入力装置等を介してユーザーによって入力された数量を取得する。なお、ステップS110で取得される成形品の数量のことを、以下では、予定数量とも呼ぶ。
【0023】
成形プログラムは、射出成形機100において射出成形を1回行うためのプログラムであり、射出部や型締装置等の制御値の変更タイミングや、制御値の大きさ等が指定されている。また、本実施形態の成形プログラムには、後述するカウント処理と、共通識別子の生成処理と、共通識別子の送信処理とを実行する命令が含まれている。成形プログラムは、例えば、予め制御装置500から第1制御部110へと送信され、第1制御部110に備えられた記憶装置に記録されている。また、本実施形態の成形プログラムは、ロット番号毎に予め作成されている。
【0024】
第1制御部110は、以下のステップS120からステップS160の工程を、ステップS110で取得する成形プログラムに従って実行する。なお、以下では、1トレイが20ショットに対応し、10トレイが1ボックスに対応する成形品を製造する例を用いて、各工程を説明する。
【0025】
ステップS120にて、第1制御部110は、カウント処理を実行する。カウント処理とは、次に射出成形を実行した場合の生産単位をカウントする処理を指す。カウント処理は、後述する共通識別子の生成処理を行うために実行される処理である。本実施形態では、第1制御部110は、カウント処理において、ショット番号の増加と、ショット番号の増加によるトレイ番号の増加と、ボックス番号の増加とをカウントする。例えば、ステップS120を実行した時点でのショット番号が0である場合、第1制御部110は、次のショット番号を1、次のトレイ番号を1、次のボックス番号を1とカウントする。また、ステップS120を実行した時点でのショット番号が20である場合、第1制御部110は、次のショット番号を、20に1を加算した21とカウントする。更に、上述したように本実施形態の1トレイは20ショットに対応するため、第1制御部110は、次のトレイ番号を2とカウントする。また、この場合、第1制御部110は、次のボックス番号を、引き続き1とカウントする。
【0026】
ステップS130にて、第1制御部110は、成形プログラムに従って、射出成形機100の射出部および型締装置を制御して、射出成形を行う。これによって、射出成形機100の型部に材料が射出され、型部内で成形品が成形される。また、第1制御部110は、ステップS130において、各種センサー等によって、成形品を射出成形した際の成形データを取得する。
【0027】
ステップS140にて、第1制御部110は、共通識別子を生成する。本実施形態では、第1制御部110は、1ショット番号毎に1つの共通識別子を生成する。より具体的には、第1制御部110は、ステップS140にて、ステップS120でカウントした生産単位に基づいて、共通識別子として、ロット番号とボックス番号とトレイ番号とショット番号とを反映した10桁の番号を生成する。より詳しくは、この共通識別子の1桁目がロット番号に対応し、2桁目および3桁目がボックス番号に対応し、4桁目から6桁目がトレイ番号に対応し、7桁目から10桁目がショット番号に対応する。例えば、ある成形品の共通識別子が「1010020021」であった場合、その成形品は、ロット番号が1であり、ボックス番号が1であり、トレイ番号が2であり、ショット番号が21である成形品であることを表している。共通識別子が各生産単位を反映していることによって、ある成形品の共通識別子から、その成形品のショット番号だけでなく、トレイ番号や、ボックス番号、ロット番号を容易に知ることができる。また、共通識別子の生成は、例えば、型部内の成形品に所定時間圧力をかけたまま待機する、いわゆる保圧動作中に行われてもよい。この場合、共通識別子の生成によるタイムロスが低減されるため、より効率的に成形品を製造できる。
【0028】
ステップS150にて、第1制御部110は、生成した共通識別子を、第5通信路35を介して、取出機200の第2制御部210に送信する。更に、ステップS150にて、第1制御部110は、生成した共通識別子と、ステップS130で取得した成形データとを、第1通信路31を介して制御装置500へと送信する。
【0029】
ステップS160にて、第1制御部110は、予定数量の成形品の成形が完了したか否かを判定する。第1制御部110は、予定数量の成形品の成形が完了していないと判定した場合、ステップS120に処理を戻し、次の成形品を成形するために、再度、成形プログラムに従って、ステップS120からステップS150の処理を実行する。第1制御部110は、予定数量の成形品の成形が完了したと判定した場合、射出成形機100における成形品の製造処理を終了させる。
【0030】
ステップS151にて、制御装置500は、ステップS150において第1制御部110から制御装置500へと送信された共通識別子と、成形データとを受信し、両データを関連付けて制御装置500の記憶装置に記録する。例えば、ステップS130で成形品M1が成形された場合、制御装置500は、ステップS151において、成形品M1の共通識別子と、成形品M1の成形データとを受信し、両者を関連付けて制御装置500の記憶装置に記録する。
【0031】
ステップS152にて、取出機200の第2制御部210は、ステップS150において第1制御部110から送信された共通識別子を受信する。ステップS153にて、第2制御部210は、取出機200を構成する取出ロボットを制御して、ステップS130で成形された成形品を、射出成形機100の型部から取り出し、次いで、切断機によってスプルーやランナーを除去する。また、第2制御部210は、ステップS153において、上述したように、取出機200の各種センサー等を用いて、成形品を取り出した際の取出データを取得する。なお、ステップS152において、ある成形品M1の共通識別子が受信されていた場合、ステップS153において、射出成形機100の型部から成形品M1が取り出される。
【0032】
ステップS154にて、第2制御部210は、ステップS152において取得した成形品の共通識別子と、ステップS153において取り出した成形品に係る取出データとを、第2通信路32を介して制御装置500へと送信する。
【0033】
ステップS155にて、制御装置500は、ステップS154において第2制御部210から送信された共通識別子と、取出データとを受信し、両データを関連付けて制御装置500の記憶装置に記録する。例えば、ステップS153で成形品M1が取り出された場合、制御装置500は、ステップS155において、成形品M1の共通識別子と、成形品M1の取出データとを受信し、両者を関連付けて制御装置500の記憶装置に記録する。これによって、成形品M1の共通識別子には、成形品M1に係る成形データと取出データとが関連付けられる。
【0034】
図3のステップS156にて、制御装置500は、
図2のステップS155において取得した共通識別子を、第3通信路33を介して加工機300の第3制御部310へと送信する。
【0035】
図3のステップS170にて、第3制御部310は、ステップS156において制御装置500から送信された共通識別子を受信する。次に、ステップS171にて、第3制御部310は、ステップS153において取り出された成形品を、加工機300の加工部を制御することによって加工する。また、第3制御部310は、ステップS170において、上述したように、加工機300の各種センサー等を用いて、成形品を加工した際の取出データを取得する。なお、ステップS170において、ある成形品M1の共通識別子が受信されていた場合、ステップS171において、成形品M1が加工される。
【0036】
ステップS172にて、第3制御部310は、ステップS170において取得した成形品の共通識別子と、ステップS171において加工した成形品に係る加工データとを、第3通信路33を介して制御装置500へと送信する。
【0037】
なお、第3制御部310は、ステップS170の共通識別子の受信と、ステップS171の成形品M1の加工とを、1回ずつ交互に行わなくてもよい。例えば、第3制御部310は、成形品M1の加工をしている間に、成形品M1の次に成形された成形品M2の共通識別子と、成形品M2の次に成形された成形品M3の共通識別子とを受信してもよい。この場合、第3制御部310は、成形品をショット番号順に加工して、各成形品を加工した際の加工データを取得し、共通識別子を受信した順に、かつ、加工データを取得した順に制御装置500に送信する。この場合、例えば、取り出しが完了した成形品をショット番号順に配列させておき、配列した順に加工機300が成形品を加工することによって、成形品をショット番号順に加工できる。
【0038】
ステップS173にて、制御装置500は、ステップS172において第3制御部310から送信された共通識別子と、加工データとを受信し、両データを関連付けて制御装置500の記憶装置に記録する。例えば、ステップS171で成形品M1が加工された場合、制御装置500は、ステップS173において、成形品M1の共通識別子と、成形品M1の加工データとを受信し、両者を関連付けて制御装置500の記憶装置に記録する。これによって、成形品M1の共通識別子には、成形品M1に係る成形データと取出データと、加工データとが関連付けられる。
【0039】
ステップS174にて、制御装置500は、ステップS174において取得した共通識別子を、第4通信路34を介して検査装置400の第4制御部410へと送信する。
【0040】
ステップS180にて、第4制御部410は、ステップS174において制御装置500から送信された共通識別子を受信する。次に、ステップS181にて、第4制御部410は、ステップS172において加工された成形品を、検査装置400に設けられたカメラを制御することによって検査し、成形品の検査データを取得する。なお、ステップS180において、成形品M1の共通識別子が取得されていた場合、ステップS181において、成形品M1が検査される。なお、第4制御部410は、第3制御部310と同様に、ステップS180の共通識別子の受信と、ステップS181の成形品M1の加工とを、1回ずつ交互に行わなくてもよい。
【0041】
ステップS182にて、第4制御部410は、ステップS180において取得した成形品の共通識別子と、ステップS181において検査した成形品の検査データとを、第4通信路34を介して制御装置500へと送信する。
【0042】
ステップS183にて、制御装置500は、ステップS182において第4制御部410から送信された共通識別子と、検査データとを受信し、両データを関連付けて制御装置500の記憶装置に記録する。例えば、ステップS181で成形品M1が検査された場合、制御装置500は、ステップS183において、成形品M1の共通識別子と、成形品M1の検査データとを取得し、両者を関連付けて制御装置500の記憶装置に記録する。これによって、成形品M1の共通識別子には、成形品M1に係る成形データと取出データと、加工データと、検査データとが関連付けられる。なお、制御装置500は、図示しない表示装置に、関連付けられたデータを表示してもよい。この場合、制御装置500は、例えば、共通識別子に関連付けられた各データを一覧として表示してもよいし、ユーザーから入力された共通識別子に応じて、その共通識別子に関連付けられた各データを表示してもよい。
【0043】
なお、第1制御部110は、成形品製造処理において、例えば、ロット番号が変更される際に、生産単位のカウントを0に戻す処理である初期化処理を実行してもよい。例えば、本実施形態では、第1制御部110は、予定数量の成形品の成形の完了後や、最初のカウント処理の開始前に、ショット番号とトレイ番号とボックス番号とのカウントを0に上書きすることによって、ロット番号が変更される際に、これらの番号のカウントを0に戻すことができる。これによって、ロット番号毎にショット番号とトレイ番号とボックス番号とが1からカウントされ、共通識別子がそのカウントを反映した番号として生成される。そのため、ロット番号が変更される際に初期化処理を実行しない場合と比較して、ロット内における成形品の製造順や個数等を、共通識別子からより把握しやすくなり、ロット毎の品質管理をより行いやすくなる。
【0044】
以上で説明した本実施形態の射出成形機管理システム10は、予め定められた生産単位毎に共通識別子を生成し、周辺装置に共通識別子を送信する生成部20を備える。また、共通識別子には、成形データおよび後工程データが関連付けられる。そのため、共通識別子に基づいて、成形データと後工程データとを適切に関連付けることができる。従って、例えば、成形品の不良が発生した場合に、共通識別子に基づいて関連付けられた成形データと後工程データとを参照することによって、時刻や工程間の時間差に基づいて不良の原因を特定する場合よりも不良の原因を特定しやすくなるため、成形品の製造における品質管理や生産管理の効率が向上する。具体的には、例えば、不良の原因を特定した場合、その原因を解消できるように射出成形機100の成形プログラムや各周辺装置の制御値等を変更することによって、製造される成形品の品質や歩留まり率を向上できる。また、本実施形態のように、成形データや後工程データに時刻情報が含まれる場合、ある成形品の共通識別子に基づいて、その成形品が成形された時刻や、後処理された時刻を容易に参照できるため、成形品の不良が発生したタイミングを容易に把握できる。
【0045】
また、本実施形態では、射出成形機100が生成部20を備える。そのため、生成部20が射出成形機100とは異なる制御装置500等に設けられている場合と比較して、生成部20が射出成形機100における生産単位に関する情報を取得しやすいため、簡易な制御によって、生成部20が予め定められた生産単位毎に共通識別子を生成できる。
【0046】
また、本実施形態では、周辺装置は、取出機200と、加工機300と、検査装置400とのいずれかである。そのため、周辺装置が取出機200と加工機300と検査装置400とのいずれかであっても、共通識別子に基づいて、成形データと後工程データとを適切に関連付けることができる。
【0047】
なお、他の実施形態では、生成部20は、共通識別子を、ショット番号毎ではなく、例えば、トレイ番号毎やボックス番号毎に生成してもよい。例えば、生成部20がトレイ番号毎に共通識別子を生成する場合、射出成形機100の第1制御部110は、1トレイに相当する20ショット分の成形データを、1トレイ分の成形データとして取得する。また、第1制御部110は、1トレイ分の射出成形を行っている途中または1トレイ分の射出成形を完了させた後、取出機200等の周辺装置の制御部に、共通識別子を送信する。更に、第1制御部110は、1トレイ分の射出成形を完了させた後、制御装置500に、共通識別子と1トレイ分の成形データとを送信する。同様に、周辺装置の制御部は、1トレイに相当する後工程分の後工程データを、1トレイ分の後工程データとして取得し、制御装置500に、共通識別子と後工程データとを送信する。制御装置500は、受信した共通識別子と、成形データや後工程データとを関連付けて、制御装置500の記憶装置に記録する。このような形態によっても、共通識別子に基づいて、成形データと後工程データとを適切に関連付けることができる。なお、この場合、周辺装置の制御部は、1トレイ分の成形品のうち1つ目の成形品が周辺装置に到達する前に、そのトレイ分の共通識別子を受信すると好ましい。これによって、周辺装置の制御部は、ある1トレイ分の成形品の後工程データの取得を開始する前に、その1トレイに対応する共通識別子を受信できるため、共通識別子以外の識別子等を用いることなく、1トレイ分の後工程データと、その後工程データに対応する共通識別子とを、制御装置500に送信できる。そのため、より簡易に成形品製造処理を実行できる。また、例えば、生成部20がボックス番号毎に共通識別子を生成する場合も上記と同様である。
【0048】
また、他の実施形態では、射出成形機管理システム10は、それぞれ異なるロット番号の成形品を成形する2以上の射出成形機100を備えていてもよい。この場合、
図3のステップS171において、第3制御部310は、成形品をロット番号順に、又は、ロット番号が同一であればショット番号順に加工して、各成形品を加工した際の加工データを取得し、共通識別子の番号が小さい順に、かつ、加工データを取得した順に制御装置500に送信する。例えば、ある射出成形機100によってロット番号1およびショット番号3の成形品が成形され、他の射出成形機100によってロット番号2およびショット番号2の成形品が成形された場合、第3制御部310は、ロット番号1およびショット番号3の成形品を、ロット番号2およびショット番号2の成形品よりも先に加工する。この場合、例えば、取り出しが完了した成形品をロット番号順、又は、ロット番号が同一であればショット番号順に配列させておき、配列した順に加工機300が成形品を加工することによって、成形品をロット番号順、又は、ロット番号が同一であればショット番号順に加工できる。なお、検査装置400の第4制御部410も、同様に成形品の検査と、共通識別子および検査データの送信を行うことができる。
【0049】
B.第2実施形態:
図4は、第2実施形態における射出成形機管理システム10bの構成を示す概略ブロック図である。本実施形態では、第1実施形態と異なり、第1制御部110bではなく、制御装置500bが生成部20を備えている。なお、本実施形態の射出成形機管理システム10bの構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
【0050】
図4に示すように、本実施形態の制御装置500bは、生成部20を備えている。より具体的には、本実施形態では、制御装置500bが生成部20として機能する。
【0051】
図5は、第2実施形態における成形品製造処理を示す工程図である。
図5には、成形品製造処理において、射出成形機100の第1制御部110bによって実行される処理と、取出機200の第2制御部210によって実行される処理と、制御装置500bによって実行される処理とが併記されている。なお、
図5において、加工機300の第3制御部310によって実行される処理と、検査装置400の第4制御部410によって実行される処理とは省略されている。
【0052】
ステップS210にて、制御装置500bは、成形条件を取得する。なお、ステップS210において取得される成形条件は、
図2のステップS110において第1制御部110によって取得される成形条件と同様に、予定数量および成形プログラムである。なお、本実施形態の成形プログラムには、カウント処理と、共通識別子の生成処理と、共通識別子の送信処理とは含まれていない。ステップS220にて、制御装置500bは、取得した成形条件を、第1通信路31を介して射出成形機100の第1制御部110bに送信する。ステップS221にて、第1制御部110bは、制御装置500bから送信された成形条件を受信する。
【0053】
ステップS230にて、制御装置500bは、共通識別子を生成する。本実施形態の制御装置500bは、ステップS230において、ステップS210で取得した成形条件に含まれる予定数量分、1ショット毎の共通識別子を予め生成する。例えば、予定数量が1000ショットであれば、制御装置500bは、ステップS230において、1000個の共通識別子を生成する。ステップS240にて、制御装置500bは、ステップS230で生成した全ての共通識別子を、第1通信路31と第2通信路32と第3通信路33と第4通信路34とを介して、第1制御部110bおよび全ての周辺装置の制御部に送信する。より具体的には、制御装置500bは、ステップS240において、共通識別子を昇順に配列させたデータである共通識別子データを第1制御部110bおよび各周辺装置の制御部に送信する。
【0054】
ステップS241にて、第1制御部110bは、制御装置500bから送信される共通識別子データを受信する。同様に、ステップS242にて、取出機200の第2制御部210は、制御装置500bから送信された共通識別子データを受信する。
【0055】
ステップS243にて、第1制御部110bは、
図2のステップS130と同様に射出成形を行う。ステップS244にて、第1制御部110bは、第1通信路31を介して、制御装置500bに、共通識別子と、ステップS243で取得した成形データとを送信する。より具体的には、第1制御部110bは、ステップS243で取得した成形データと、共通識別子データに含まれる未送信の共通識別子のうち最小値の共通識別子とを、制御装置500bに送信する。
【0056】
ステップS245にて、制御装置500bは、第1制御部110bから送信された共通識別子と成形データとを受信し、両データを関連付けて制御装置500bの記憶装置に記録する。
【0057】
ステップS246にて、第2制御部210は、
図2のステップS153と同様の方法で、ステップS243で射出成形された成形品を取り出す。ステップS247にて、第2制御部210は、第2通信路32を介して、制御装置500bに、共通識別子と、ステップS246で取得した取出データとを送信する。より具体的には、第2制御部210は、ステップS246で取得した成形データと、共通識別子データに含まれる未送信の共通識別子のうち最小値の共通識別子とを、制御装置500bに送信する。これによって、ステップS247では、上述したステップS244において制御装置500bへと送信される共通識別子と同じ共通識別子が、制御装置500bへと送信される。
【0058】
ステップS248にて、制御装置500bは、第2制御部210から送信された共通識別子と取出データとを受信し、両データを関連付けて制御装置500bの記憶装置に記録する。これによって、ステップS245において成形データが関連付けられた共通識別子に、更に取出データが関連付けられる。
【0059】
ステップS249にて、第1制御部110bは、予定数量の成形品の成形が完了したか否かを判定する。第1制御部110bは、予定数量の成形品の成形が完了していないと判定した場合、ステップS243に処理を戻し、次の成形品の成形を開始する。第1制御部110bは、予定数量の成形品の成形が完了したと判定した場合、射出成形機100における製造品の製造処理を終了させる。
【0060】
ステップS250にて、第2制御部210は、予定数量の成形品の取り出しが完了したか否かを判定する。第2制御部210は、予定数量の成形品の成形が完了していないと判定した場合、ステップS246に処理を戻し、次の成形品が成形された場合、その成形品を取り出す。第2制御部210は、予定数量の成形品の取り出しが完了したと判定した場合、取出機200における製造品の製造処理を終了させる。
【0061】
ステップS251にて、制御装置500bは、ステップS230で生成した全ての共通識別子に、成形データおよび各後工程データが関連付けられたか否かを判定する。制御装置500bは、全ての共通識別子についてデータの関連付けが完了していないと判定した場合、ステップS245に処理を戻す。制御装置500bは、全ての共通識別子についてデータの関連付けが完了したと判定した場合、制御装置500bにおける成形品製造処理を終了する。
【0062】
なお、
図5では、上述したように、成形品製造処理において、加工機300の第3制御部310と、検査装置400の第4制御部410とによって実行される処理は省略されているが、第3制御部310や第4制御部410も、第2制御部210と同様に、制御装置500bから共通識別子データを受信した後、後工程として成形品の加工や検査を行い、共通識別子と後工程データとを制御装置500bに送信できる。制御装置500bは、第3制御部310や第4制御部410から送信された後工程データを共通識別子と関連付けることができる。
【0063】
以上で説明した第2実施形態の射出成形機管理システム10bによっても、共通識別子に基づいて、成形データと後工程データとを適切に関連付けることができる。特に、本実施形態では、制御装置500bが生成部20を有し、生成部20は、生成した共通識別子を、射出成形機100および周辺装置に送信する。そのため、射出成形機100と周辺装置とを個別に通信可能に構成しない場合であっても、共通識別子を周辺装置に送信できる。
【0064】
C.第3実施形態:
図6は、第3実施形態における成形品製造処理を示す工程図である。
図6には、成形品製造処理において、射出成形機100の第1制御部110によって実行される処理と、取出機200の第2制御部210によって実行される処理と、加工機300の第3制御部310によって実行される処理とが併記されている。
図6において、検査装置400の第4制御部410によって実行される処理と、制御装置500によって実行される処理は省略されている。なお、
図6の各工程のうち、
図2の各工程と同様の工程には、
図2の各工程と同じ符号が付されている。また、本実施形態の射出成形機管理システム10の構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
【0065】
本実施形態の第1制御部110は、第1実施形態と同様に、生成部20として機能する。本実施形態の第1制御部110は、成形品製造処理において、第1実施形態と異なり、制御装置500を介すことなく、共通識別子を周辺装置に送信する。
【0066】
ステップS154bにて、取出機200の第2制御部210は、
図2のステップS154と異なり、制御装置500に共通識別子と取出データとを送信するのに加え、第6通信路36を介して、加工機300の第3制御部310に共通識別子を送信する。
【0067】
ステップS170bにて、第3制御部310は、
図3のステップS170と異なり、制御装置500からではなく、第2制御部210から送信された共通識別子を受信する。更に、ステップS172bにて、第3制御部310は、
図3のステップS172と異なり、制御装置500に共通識別子と取出データとを送信するのに加え、第7通信路37を介して、検査装置400の第4制御部410に共通識別子を送信する。
【0068】
図6では、上述したように、第4制御部410によって実行される処理は省略されているが、第4制御部410は、
図3のステップS180と異なり、制御装置500からではなく、第3制御部310から送信された共通識別子を受信する。更に、第4制御部410は、ステップS181と同様に成形品の検査を行い、ステップS182と同様に制御装置500に共通識別子と後工程データとを送信する。このように、射出成形機100および周辺装置が、それぞれ自身の工程の次の工程を行う周辺装置に共通識別子を送信することで、制御装置500を介することなく、各周辺装置に共通識別子を送信できる。
【0069】
以上で説明した第3実施形態の射出成形機管理システム10によっても、共通識別子に基づいて、成形データと後工程データとを適切に関連付けることができる。特に、本実施形態では、射出成形機100が生成部20を有し、生成部20は、生成した共通識別子を、制御装置500を介すことなく周辺装置に送信する。これによって、制御装置500から周辺装置へのデータの送信回数を削減できるため、制御装置500の処理負荷を小さくできる。
【0070】
D.他の実施形態:
(D-1)上記実施形態において、射出成形機100は、成形品に共通識別子を表すバーコードや刻印等の印字を付す印字部を備えていてもよい。例えば、取出機200による成形品の取り出し後に、印字部によって成形品にレーザー刻印を行ってもよい。この場合、加工機300や検査装置400が、印字から共通識別子の読み取りを行うカメラ等を備えていてもよい。このような形態によれば、例えば、印字から読み取った共通識別子に基づいて、その共通識別子が付された成形品の成形データや後工程データを容易に参照できるため、品質管理や生産管理の効率がより向上する。
【0071】
(D-2)上記実施形態において、射出成形機管理システム10は、生成部20から共通識別子を送信される周辺装置として、取出機200と、加工機300と、検査装置400とを備えている。これに対して、射出成形機管理システム10は、周辺装置として、上記のうちいずれか2つのみや、いずれか1つのみを備えていてもよい。また、射出成形機管理システム10は、上記以外の機器や装置等を、周辺装置として備えていてもよい。また、生成部20から共通識別子を送信されない機器や装置等を備えていてもよい。
【0072】
(D-3)上記実施形態では、生産単位は、ショット、トレイ、ボックス、および、ロットである。これに対して、生産単位は、ショット、トレイ、ボックス、および、ロットでなくてもよく、各生産単位の名称や、各生産単位同士の個数の対応関係は、任意であってよい。この場合、各生産単位は、例えば、品質管理を行うのに適した単位として定められると好ましい。
【0073】
(D-4)上記実施形態では、射出成形機100の型部のキャビティー数は1である。これに対して、型部のキャビティー数は1でなくてもよく、2以上であってもよい。この場合、1回の射出成形によって2個以上の成形品が成形されるため、生成部20は、上記実施形態と同様にショット番号毎に共通識別子を生成する場合、1回の射出成形毎に2つ以上の共通識別子を生成する。この場合、1回の射出成形によって成形される2個以上の成形品を、例えば、型部のキャビティーの位置によって区別できる。例えば、左右に配列した2つのキャビティーを有する型部を用いて射出成形を行う場合、射出成形機100の第1制御部110や周辺装置の制御部は、左側のキャビティーで成形された成形品を、右側のキャビティーで成形された成形品よりも小さい番号の共通識別子に対応する成形品として取り扱うことで、1回の射出成形によって成形される2個の成形品を区別できる。
【0074】
(D-5)上記実施形態では、共通識別子は、10桁の番号である。これに対して、共通識別子は、10桁の番号でなくてもよい。例えば、共通識別子は、他の桁数の番号であってもよいし、アルファベット等の記号や、記号と番号との組み合わせによって表される識別子であってもよい。また、上記形態と同様に共通識別子がショット番号毎に生成される場合、共通識別子は、ショット番号より大きい生産単位であるトレイ番号や、ボックス番号、ロット番号を反映したものでなくてもよい。例えば、共通識別子は、ショット番号のみを反映させた番号等であってもよいし、ショット番号とボックス番号とのみを反映させた番号等であってもよい。更に、共通識別子は、成形品を製造する日付を反映したものであってもよく、例えば、成形品を製造する年月日を表す番号等と、ショット番号とを反映させた番号等であってもよい。また、第1制御部110は、この形態で初期化処理を実行する場合、例えば、日付が変更される際に、ショット番号のカウントを0に戻してもよい。この場合、日付毎にショット番号が1からカウントされ、共通識別子がそのカウントを反映した番号として生成されるため、日付毎の品質管理をより行いやすくなる。
【0075】
(D-6)上記実施形態では、生成部20として機能する射出成形機100の第1制御部110は、成形プログラムに従ってカウント処理と、共通識別子の生成処理と、共通識別子の送信処理とを実行している。これに対して、第1制御部110は、これらの処理を、成形プログラムに従って実行しなくてもよい。例えば、第1制御部110は、これらの処理を含まない成形プログラムと、これらの処理とを別々に実行してもよい。また、第1制御部110がカウント処理を行うタイミングは、共通識別子の生成処理を実行する前の任意のタイミングであってもよく、例えば、共通識別子の生成処理を実行する直前であってもよい。
【0076】
(D-7)上記実施形態では、制御装置500は、ネットワークNTを介して、射出成形機100および周辺装置と通信可能に接続されている。これに対して、制御装置500は、ネットワークNTを介して、射出成形機100および周辺装置と通信可能に接続されていなくてもよく、例えば、一部の機器や全部の機器と、個別の通信線を介して通信可能に接続されていてもよい。また、射出成形機100や各周辺装置が、個別の通信線を介して通信可能に接続されていてもよい。
【0077】
E.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0078】
(1)本開示の第1の形態によれば、射出成形によって成形品を成形する射出成形機と、前記射出成形の後工程を行う周辺装置と、前記射出成形機および前記周辺装置と通信可能に接続される制御装置と、を備える射出成形機管理システムが提供される。この射出成形機管理システムは、予め定められた生産単位毎に共通識別子を生成し、前記周辺装置に前記共通識別子を送信する生成部を備え、前記共通識別子には、前記射出成形に関する成形データ、および、前記後工程に関する後工程データが関連付けられる。
このような形態によれば、共通識別子に基づいて、成形データと後工程データとを適切に関連付けることができる。従って、例えば、成形品の不良が発生した場合に、共通識別子に基づいて関連付けられた成形データと後工程データとを参照することによって、成形品の不良の原因を特定しやすくなるため、成形品の製造における品質管理や生産管理の効率が向上する。
【0079】
(2)上記形態では、前記射出成形機は、前記生成部を有していてもよい。このような形態によれば、生成部が制御装置等に設けられている場合と比較して、生成部が射出成形機における生産単位に関する情報を取得しやすいため、簡易な制御によって、生成部が予め定められた生産単位毎に共通識別子を生成できる。
【0080】
(3)上記形態では、前記生成部は、前記共通識別子を、前記制御装置を介すことなく前記周辺装置に送信してもよい。このような形態によれば、制御装置から周辺装置へのデータの送信回数を削減できるため、制御装置の処理負荷を小さくできる。
【0081】
(4)上記形態では、前記制御装置は、前記生成部を有し、前記生成部は、前記共通識別子を、前記射出成形機および前記周辺装置に送信してもよい。このような形態によれば、射出成形機と周辺装置とを個別に通信可能に構成しない場合であっても、共通識別子を周辺装置に送信できる。
【0082】
(5)上記形態では、前記周辺装置は、前記射出成形機によって成形される前記成形品を前記射出成形機から取り出す取出機と、前記成形品を加工する加工機と、前記成形品を検査する検査装置と、のいずれかであってもよい。このような形態によれば、周辺装置が取出機と加工機と検査装置とのいずれかであっても、共通識別子に基づいて、成形データと後工程データとを適切に関連付けることができる。
【符号の説明】
【0083】
10,10b…射出成形機管理システム、20…生成部、31…第1通信路、32…第2通信路、33…第3通信路、34…第4通信路、35…第5通信路、36…第6通信路、37…第7通信路、100…射出成形機、110,110b…第1制御部、200…取出機、210…第2制御部、300…加工機、310…第3制御部、400…検査装置、410…第4制御部、500,500b…制御装置