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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/48 20180101AFI20241112BHJP
   F21S 41/141 20180101ALI20241112BHJP
   F21S 41/16 20180101ALI20241112BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20241112BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20241112BHJP
   F21S 43/19 20180101ALI20241112BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20241112BHJP
   F21V 29/74 20150101ALI20241112BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20241112BHJP
   F21W 102/30 20180101ALN20241112BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20241112BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20241112BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20241112BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241112BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20241112BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20241112BHJP
【FI】
F21S45/48
F21S41/141
F21S41/16
F21S41/19
F21S43/14
F21S43/19
F21V29/503
F21V29/74
F21W102:00
F21W102:30
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:35
F21Y115:10
F21Y115:30
F21W103:00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020195838
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2022084167
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 健二
(72)【発明者】
【氏名】清水 邦宏
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-074186(JP,A)
【文献】特開2019-053849(JP,A)
【文献】特開2012-038698(JP,A)
【文献】特開2018-029037(JP,A)
【文献】特開2019-125555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 45/48
F21S 41/141
F21S 41/16
F21S 41/19
F21S 43/14
F21S 43/19
F21V 29/503
F21V 29/74
F21W 102/00
F21W 102/30
F21W 103/55
F21W 103/10
F21W 103/35
F21Y 115/10
F21Y 115/30
F21W 103/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源が設置される設置面を有する放熱部材と、
前記放熱部材に組み付けられたソケットと、を備え、
前記ソケットは、前記光源の光軸方向の前側が取付面とされ、前記取付面の反対側で前記光軸方向の後側に前記放熱部材から伝えられた熱を外部に逃がすソケット放熱部を有し、
前記放熱部材は、前記設置面の反対側で前記ソケットに臨み、且つ前記光軸方向の後側に向いた放熱面に、前記ソケットに組み付けられたときに前記取付面に対向する対向部と、前記対向部よりもへこんで前記対向部と前記取付面との間よりも大きな隙間をあけて前記取付面に対向するへこみ部と、を有する
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
請求項1に記載された車両用灯具において、
前記放熱部材は、前記光軸方向から見たときに、前記光源が設置される位置の反対側に設定される光源対応領域と、前記光源対応領域以外の非光源対応領域と、を有し、
前記へこみ部は、前記非光源対応領域に形成されている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された車両用灯具において、
前記放熱部材は、前記設置面が設けられたベース部と、前記ベース部から前記ソケットに向かって突出し、表面が前記放熱面となる放熱フィン部と、を有し、
前記放熱フィン部は、所定の間隔をあけて並列された板状の複数の並列フィンと、前記複数の並列フィンの並列方向に架け渡された連結フィンと、を有し、
前記へこみ部の少なくとも一部は、前記複数の並列フィンと前記連結フィンとの交差位置の先端に形成されている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された車両用灯具において、
前記放熱部材は、前記設置面が設けられたベース部と、前記ベース部から前記ソケットに向かって突出し、表面が前記放熱面となる板状の放熱フィン部と、を有し、
前記へこみ部は、前記放熱フィン部の先端に形成されると共に、前記放熱フィン部の先端を平面視したときに矩形状を呈する
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された車両用灯具において、
前記設置面は、前記光源に電気的に接続された素子が実装された基板を固定する固定部が形成され、
前記放熱部材は、前記光軸方向から見たときに、前記固定部が形成された位置の反対側に設定される支持領域と、前記支持領域以外の非支持領域と、を有し、
前記へこみ部は、前記非支持領域に形成されている
ことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具では、高出力で高輝度の光源を用いることが求められており、光源からの熱を効率よく逃がす必要がある。そこで、光源が取り付けられる金属製の放熱部材をインサート金型の内部に装填した後、金型内に樹脂材料を注入するインサート成形で放熱部材に樹脂製のソケット(コネクタ部)を一体化し、放熱部材からソケットへ熱を伝達して放熱する車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-253774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の車両用灯具は、インサート成形で放熱部材にソケットを一体化するため、インサート金型の内部で放熱部材を支持する支持部材が必要である。そのため、支持部材を抜き取ることでソケットに貫通孔が形成されてしまい、光源が配置される灯室が外気に連通する問題があった。
【0005】
そこで、放熱部材をダイカスト成形品とし、放熱部材とは別に形成したソケットを組み付ける車両用灯具が考えられている。この場合であっても、放熱部材からソケットへの熱の伝達性能の低下を抑制し、放熱性の向上を図る必要がある。
【0006】
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、放熱部材による放熱性の向上を図ることができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の車両用灯具は、光源と、前記光源が設置される設置面を有する放熱部材と、前記放熱部材に組み付けられたソケットと、を備えている。そして、前記ソケットは、前記光源の光軸方向の前側が取付面とされ、前記取付面の反対側で前記光軸方向の後側に前記放熱部材から伝えられた熱を外部に逃がすソケット放熱部を有し、前記放熱部材は、前記設置面の反対側で前記ソケットに臨み、且つ前記光軸方向の後側に向いた放熱面に、前記ソケットに組み付けられたときに前記取付面に対向する対向部と、前記対向部よりもへこんで前記対向部と前記取付面との間よりも大きな隙間をあけて前記取付面に対向するへこみ部と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の車両用灯具によれば、放熱部材による放熱性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に係る車両用灯具としての実施例1の車両用灯具を示す説明図である。
図2】実施例1の光源ユニットを示す斜視図である。
図3】実施例1の光源ユニットを示す分解斜視図である。
図4】実施例1の放熱部材を放熱面側から見た斜視図である。
図5】実施例1の放熱部材を放熱面側から見た平面図である。
図6】(a)図5に示すA-A断面図である。(b)図5に示すB-B断面図である。
図7】実施例1のソケットを取付面側から見た斜視図である。
図8】実施例1のへこみ部によって放熱部材とソケットとの間に生じる空間を示す説明図である。
図9A】実施例1の放熱部材に生じたバリを示す説明図である。
図9B】実施例1の放熱部材に生じたエジェクタピン跡を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る車両用灯具の一例としての車両用灯具10の実施例1について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
(実施例1)
実施例1の車両用灯具10は、自動車等の車両の灯具として用いられるもので、例えば、ヘッドランプやフォグランプ、デイタイムランニングランプ、クリアランスランプ、ストップランプ、テールランプ、リアコンビランプ等の信号灯等に用いられる。以下の説明では、車両用灯具10において、光を照射する方向を光軸方向(図面ではZとし、照射する方を前側とする)とし、車両に搭載された状態での上下方向を上下方向(図面ではYとする)とし、光軸方向及び上下方向に直交する方向を幅方向(図面ではXとする)とする。
【0012】
車両用灯具10は、図1に示すように、ランプハウジング11と、ランプレンズ12と、リフレクタ13と、光源ユニット20と、を備える。
【0013】
ランプハウジング11は、色付きや塗装された樹脂材料等の光不透過性の部材で形成され、前方が開口し、後方が塞がれた中空形状とされている。ランプハウジング11は、塞がれた後端を貫通する取付穴11aが設けられている。取付穴11aの縁には、複数の切欠部及びストッパ部がほぼ等間隔に設けられている。
【0014】
ランプレンズ12は、透明樹脂材料やガラス等の光透過性の部材で形成され、ランプハウジング11の開放された前端を覆う。ランプレンズ12は、ランプハウジング11の開口部に封止された状態で固定され、水密性が確保される。車両用灯具10は、ランプハウジング11とランプレンズ12とに区画された灯室14を有している。
【0015】
リフレクタ13は、光源ユニット20から出射される光を配光制御する配光制御部であり、ランプハウジング11等に固定されて灯室14内に配置されている。リフレクタ13は、光源ユニット20の光源21(図2等参照)の近傍に焦点を有する湾曲形状とされ、内側に光を反射する反射面13aを有し、底部に取付穴13bが設けられている。取付穴13bは、リフレクタ13が灯室14内に配置された状態において、ランプハウジング11の取付穴11aと通じる位置関係とされている。なお、実施例1では、リフレクタ13をランプハウジング11とは別の部材として形成しているが、リフレクタ13とランプハウジング11とを一体の構成としてもよい。すなわち、ランプハウジング11の内側の面を反射面としてもよいし、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。また、リフレクタ(反射面)に替えて、光源ユニット20の光軸方向の前側に導光部材を設け、光源21とは異なる位置や大きさの異なる領域で光を出射するものとしてもよく、実施例1の構成に限定されない。導光部材を設けた場合であっても、車両用灯具10は、例えば、ヘッドランプや、フォグランプ、デイタイムランニングランプ、クリアランスランプ、ストップランプ、テールランプ、リアコンビランプ等の信号灯等として用いることができる。
【0016】
灯室14には、ランプハウジング11の取付穴11aとリフレクタ13の取付穴13bとに通されて、光源ユニット20が配置されている。光源ユニット20は、ランプハウジング11との間に封止部材(Oリング)15を介在させて、取付穴11aに着脱可能に取り付けられる。なお、光源ユニット20は、上下方向用光軸調整機構や左右方向用光軸調整機構を介して灯室14に設けられていてもよい。
【0017】
光源ユニット20は、図2及び図3に示すように、発光源である光源21と、光源21の熱を逃がす放熱部材22と、放熱部材22に組み付けられたソケット23と、光源21に電力を供給する給電部材24と、を備えている。
【0018】
光源21は、サブマウント基板31に発光チップ32が設けられたサブマウントタイプの発光素子として形成されている。サブマウント基板31の取付面31aは、光軸方向で前側から見てほぼ矩形状とされ、図2を正面視したときに、上半分に発光チップ32が取り付けられ、下側の2つの角部で対を為して一対の接続端子31bが設けられている。発光チップ32は、サブマウント基板31の電路を介して一対の接続端子31bに電気的に接続されている。一対の接続端子31b間に電力が供給されると、発光チップ32が点灯する。
【0019】
発光チップ32は、LED(Light Emitting Diode)、EL(有機EL)LDチップ(レーザーダイオードチップ)等の自発光半導体型光源であり、実施例1ではLEDチップとされている。発光チップ32は、光源ユニット20が組みつけられた状態で、リフレクタ13の焦点の近傍に配置されている。
【0020】
放熱部材22は、光源21で発生する熱をソケット23に伝達するヒートシンク部材である。放熱部材22は、熱伝達率の高い金属材料を溶かして高圧で金型に注入し、素早く凝固させて取り出す鋳造方法(ダイカスト)で形成されたダイカスト成形品である。実施例1の放熱部材22は、アルミ合金や亜鉛合金を原料とするアルミダイカスト成形品である。そして、放熱部材22は、図3及び図4に示すように、ベース部41と、放熱フィン部42と、を有する。
【0021】
ベース部41は、光軸方向に直交する板状に形成され、光軸方向の前側に臨む面が、光源21が設置される設置面43とされ、設置面43の反対側の面(光軸方向の後側に臨む面)から放熱フィン部42が突出している。設置面43には、凸面部43aと、凸面部43aよりも光軸方向の後側に凹む凹面部43bと、が形成されている。
【0022】
凸面部43aは、設置面43の中央領域を含むT字形状とされ、光源21は、凸面部43aの中央部分に設置される。なお、光源21は、熱伝導性を有する接着層33を介してサブマウント基板31が凸面部43aの中央部分に接着されることで、ベース部41に設置される。接着層33は、エポキシ系樹脂接着剤、シリコン系樹脂接着剤、アクリル系樹脂接着剤等の材質で、液状形態、流動状形態、テープ形態等の形態とされる。
【0023】
凹面部43bは、凸面部43aの中央部分を取り巻くU字形状とされ、一対のカシメ用突起45(固定部)と、一対の端子用穴46と、が形成されている。一対のカシメ用突起45は、凹面部43bから光軸方向に沿って前側に突出する円柱状を呈し、光源21を挟んで幅方向に並ぶ位置に対を為して形成されている。カシメ用突起45は、先端がかしめられることで、後述する回路基板47を凹面部43bに固定する。一対の端子用穴46は、ベース部41を貫通する貫通孔であり、給電部材24のピン端子24aを通すことが可能である。
【0024】
さらに、凹面部43bには、回路基板47(基板)が設けられている。
【0025】
回路基板47は、車両に搭載された制御回路からの制御信号を光源21に伝達し、光源21を制御するコンデンサ等の複数の素子S等が実装されている。また、回路基板47は、凸面部43aの中央部分を取り巻くU字形状であって、凸面部43aと凹面部43bとの高低差とほぼ等しい厚みに設定された板部材であり、凹面部43bに嵌り込む。すなわち、回路基板47は、凹面部43bに設けられたとき、素子Sが実装された面が凸面部43aとほぼ等しい高さ位置となる。
【0026】
回路基板47には、素子Sが実装されるほか、一対のカシメ用穴47a及び一対の端子接続穴47bが形成されると共に、一対の接続端子47cが設けられている。一対のカシメ用穴47aは、回路基板47を光軸方向に貫通する貫通孔であり、光源21を挟んで幅方向に並ぶ位置に対を為して形成されている。各カシメ用穴47aには、回路基板47を凹面部43bに設けたときにそれぞれカシメ用突起45が通る。一対の端子接続穴47bは、回路基板47を光軸方向に貫通する貫通孔である。各端子接続穴47bには、回路基板47を凹面部43bに設けたときにそれぞれ凹面部43bに形成された端子用穴46が対向する。これにより、各端子接続穴47bには、給電部材24のピン端子24aを通すことが可能とされている。また、各端子接続穴47bを通ったピン端子24aをハンダ等で固定することで、回路基板47の電路を介して素子Sや一対の接続端子47c等に給電部材24を電気的に接続することが可能となる。
【0027】
また、回路基板47は、粘着シート48を介して凹面部43bに接着される。粘着シート48には、一対のカシメ用切欠48aと、一対の端子接続切欠48bと、が形成されている。一対のカシメ用切欠48aは、一対のカシメ用穴47aに対応して設けられ、カシメ用突起45を通すことが可能とされている。一対の端子接続切欠48bは、一対の端子接続穴47bに対応して設けられ、ピン端子24aを通すことが可能とされている。
【0028】
回路基板47は、ワイヤボンディングにより設けられた一対のボンディングワイヤ49を介して光源21のサブマウント基板31と電気的に接続される。ボンディングワイヤ49は、サブマウント基板31の接続端子31bと、凹面部43bに取り付けられた回路基板47の各接続端子47cと、に架け渡される。各ボンディングワイヤ49は、実施例1では、超音波を用いたワイヤボンディングにより、一端が接続端子31bに接続され、他端が接続端子47cに接続される。なお、光源21のサブマウント基板31と回路基板47とは、電気的に接続されていればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0029】
放熱フィン部42は、ベース部41から光軸方向の後側、すなわちソケット23に向かって突出し、ソケット23に差し込まれる。そのため、ベース部41の光軸方向の後側面及び放熱フィン部42の表面の全ては、ソケット23に臨む放熱面44となる。放熱フィン部42は、複数の並列フィン51と、複数の連結フィン52と、を有する。
【0030】
複数の並列フィン51は、いずれも幅方向に沿った平らな板状とされており、平面51aを対向させた状態で上下方向に沿って所定の間隔を開けて並んで(並列して)いる。並列フィン51の枚数や厚みは、適宜設定すればよく、実施例1では、所定の厚みの四枚の並列フィン51が形成されている。
【0031】
複数の連結フィン52は、いずれも上下方向に沿った平らな板状とされており、複数の並列フィン51の並列方向に架け渡される。連結フィン52の枚数や厚みは、適宜設定すればよく、実施例1では、並列フィン51と同じ厚みの二枚の連結フィン52が形成されている。複数の連結フィン52は、各並列フィン51の幅方向の端部近傍位置と直角に交差し、一番上側の並列フィン51から中間の二枚の並列フィン51を経て、一番下側の並列フィン51に至るまで延びている。このため、実施例1の放熱フィン部42は、四枚の並列フィン51と二枚の連結フィン52とが格子状に組み合わされた形状になっている。
【0032】
さらに、実施例1では、一番上側の並列フィン51に、上方に向かって突出する複数(実施例1では4個)の補助フィン51bが形成されている。
【0033】
また、放熱部材22は、図4に示すように、一番下側の並列フィン51の下方位置に、ベース部41を貫通する一対の端子用穴46と、ベース部41から光軸方向の後側に突出する柱状の一対の位置決め突起53と、が形成されている。一対の端子用穴46は、幅方向に所定の間隔をあけて並んでおり、一対の位置決め突起53は、幅方向で一対の端子用穴46の外側に位置している。
【0034】
さらに、実施例1の放熱部材22は、設置面43の反対側から光軸方向に沿って放熱面44を見たとき、図5に示すように、光源対応領域71と、非光源対応領域72と、支持領域73と、非支持領域74と、を有している。つまり、放熱面44には、光源対応領域71と、非光源対応領域72と、支持領域73と、非支持領域74と、が設定されている。なお、図5において、光源対応領域71は、細い一点鎖線で囲むと共に、粗いドットを付して示す。また、非光源対応領域72は、太い一点鎖線で区画して示す。また、支持領域73は、細い二点鎖線で囲むと共に、細かいドットを付して示す。さらに、非支持領域74は、太い二点鎖線で区画して示す。
【0035】
ここで、光源対応領域71は、設置面43に光源21が設置される位置の反対側に設定される領域である。つまり、光源対応領域71は、光源21と光軸方向で同一直線上の領域であり、放熱面44の中でも、光源21が発する熱を最も受ける領域となる。なお、光源対応領域71として、光源21の反対側の領域に加え、光源21が発する熱の影響を受ける光源21の反対側領域を取り囲む所定の領域を含んでもよい。
【0036】
非光源対応領域72は、放熱面44のうち、光源対応領域71以外の領域、すなわち光源対応領域71を避けて設定された領域である。なお、非光源対応領域72には、図5に示すように、一番上側の並列フィン51と、一番下側の並列フィン51と、一対の連結フィン52と、を含んでいる。つまり、非光源対応領域72は、放熱部材22が有する放熱フィン部42のうち、少なくとも最も外側(放熱部材22の外周縁に近い位置)に設けられたフィンを含む。
【0037】
支持領域73は、カシメ用突起45が形成される位置の反対側に設定される領域である。つまり、支持領域73は、カシメ用突起45と光軸方向で同一直線状の領域であり、放熱面44の中でも、カシメ用突起45をかしめるときに最も強い力が作用する領域となる。なお、支持領域73として、カシメ用突起45の反対側の領域に加え、カシメ用突起45をかしめるときの力が作用するカシメ用突起45の反対側領域の周辺領域を含んでもよい。
【0038】
非支持領域74は、放熱面44のうち、支持領域73以外の領域、すなわち支持領域73を避けて設定された領域である。なお、非支持領域74には、図5に示すように、一番上側の並列フィン51と、一番下側の並列フィン51と、を含んでいる。つまり、非支持領域74は、放熱部材22が有する複数の並列フィン51のうち、少なくとも最も外側(放熱部材22の外周縁に近い位置)に設けられたフィンを含む。
【0039】
そして、放熱部材22は、図4図6(a)、(b)に示すように、放熱面44である放熱フィン部42の先端面に対向部54と、へこみ部55と、を有する。なお、「放熱フィン部42の先端面」とは、四枚の並列フィン51の光軸方向の後側に向いた端面及び二枚の連結フィン52の光軸方向の後側に向いた端面である。
【0040】
対向部54は、放熱フィン部42の先端面のうち、ソケット23が放熱部材22に組み付けられたときに、ソケット23の取付面63に対向する部分である。一方、へこみ部55は、放熱フィン部42の先端面のうち、対向部54よりも光軸方向の前側にへこんだ部分である。なお、実施例1では、放熱フィン部42の先端面のうち、へこみ部55を除いた部分が、全て対向部54になっている。
【0041】
そして、へこみ部55は、図5に示すように、非光源対応領域72と非支持領域74が重複する位置であって、少なくとも一部が並列フィン51と連結フィン52との交差位置に重なる位置に形成されている。すなわち、へこみ部55が形成される位置は、光源対応領域71及び支持領域73をそれぞれ避けた位置であって、並列フィン51と連結フィン52との交差位置に一部が重複する位置に設定される。この結果、へこみ部55は、光源21及びカシメ用突起45とは光軸方向で重ならないフィンの先端部に設けられる。
【0042】
また、へこみ部55は、図5に示すように、板状の並列フィン51に沿って幅方向に延びている。このため、へこみ部55は、放熱フィン部42の先端面を、設置面43の反対側から光軸方向に沿って見たとき(放熱フィン部42を後側から光軸方向に沿って平面視したとき)に、矩形状を呈する。
【0043】
なお、へこみ部55の数や、へこみ深さ(対向部54とへこみ部55との高低差)、面積(光軸方向に沿って見たときの面積)等は任意に設定することができる。実施例1では、放熱フィン部42のうち、最も外側(放熱部材22の外周縁に近い位置)に設けられたフィンである一番上側の並列フィン51及び一番下側の並列フィン51であって、二枚の連結フィン52と交差する位置の近傍の四カ所に、へこみ部55が形成されている。また、各へこみ部55のへこみ深さは同一であり、放熱部材22の成形時に生じるバリの高さよりも深くなるように設定されている。さらに、各へこみ部55の面積は、放熱部材22の成形に使用されるエジェクタピンの先端面積よりも大きくなるように各々設定されている。ただし、へこみ部55の数やへこみ深さ、面積等は、実施例1の構成に限定されず、放熱部材22の放熱性能や強度等を考慮して設定することができる。
【0044】
さらに、実施例1では、へこみ部55の内側に、エジェクタピン跡56が形成されている。「エジェクタピン跡56」とは、放熱部材22の成形時(ダイカスト成形時)に、エジェクタピンによって放熱部材22(ダイカスト成形品)を押圧したときに生じるへこみである。
【0045】
ソケット23は、放熱部材22から伝達された熱を外部に逃がす(放射させる)部材であり、熱伝導性を有する材料(例えば樹脂材料)で形成されている。ソケット23は、図3及び図7に示すように、ソケット本体部61と、ソケット放熱部62と、を有している。
【0046】
ソケット本体部61は、光軸方向の前側が取付面63とされ、その反対側(光軸方向の後側)がソケット放熱部62に連続する放熱面64とされている。取付面63には、外径がランプハウジング11の取付穴11aの内径より若干小さい円筒形状の周壁61aと、周壁61aから光軸方向に直交する面に沿って外側に突出するフランジ壁61bと、周壁61aの光軸方向の後側を閉鎖する底壁61cと、が設けられている。ソケット本体部61は、底壁61cにより取付面63側と放熱面64側とが区画されている。
【0047】
ソケット本体部61は、周壁61aから光軸方向に直交する方向の外側に突出する複数(実施例1では四個)の取付突起61dが形成されている。複数の取付突起61dは、周壁61aの周方向に沿って等間隔で設けられており、ランプハウジング11の取付穴11aの縁に設けられた切欠部に通すことができる。各取付突起61dは、上記の切欠部に通された後、ランプハウジング11に対してソケット本体部61の回転姿勢が変化することで、フランジ壁61bとの間に取付穴11aの周縁部及び封止部材15を挟み込む(図1参照)。つまり、各取付突起61dは、フランジ壁61bと協働し、封止部材15を介してソケット23(光源ユニット20)をランプハウジング11に着脱可能に取り付ける。
【0048】
ソケット本体部61は、取付面63における周壁61aの内方に、フィン溝部66と、設置穴67と、一対の位置決め穴68と、が設けられている。
【0049】
フィン溝部66は、放熱フィン部42を嵌め入れ可能な形状を呈し、放熱フィン部42を反転させた形状とされている。すなわち、フィン溝部66は、四枚の並列フィン51に適合する並列溝66aと、二枚の連結フィン52に適合する連結溝66bと、が格子状に組み合わされている。さらに、フィン溝部66は、複数の補助フィン51bに適合する補助溝66cを有している。このため、フィン溝部66は、放熱フィン部42と適切に噛み合うように放熱フィン部42を受け入れることができる。
【0050】
設置穴67は、給電部材24(図3参照)を設置する部分であり、底壁61cを光軸方向に貫通している。給電部材24は、電源側のコネクタ16(図1参照)が、機械的に着脱可能に且つ電気的に断続可能に接続され、コネクタ16からの電力を光源ユニット20に供給する。給電部材24は、一対のピン端子24aを有し、ピン端子24aが端子接続穴47bを介して回路基板47に電気的に接続されることで、素子S等に電力を供給する。設置穴67は、給電部材24の外形を模る形状にされており、絶縁材料を介して給電部材24を嵌め入れることで、その給電部材24の絶縁性を確保する。設置穴67は、放熱面64に設けられる取付箇所の内方と通じている。給電部材24は、設置穴67に設けられることで、光軸方向の後側の連結端子が取付箇所内に露出され、連結端子に電源側のコネクタ16(図1参照)が取り付けられると、連結端子がコネクタ16の連結端子に電気的に接続される。
【0051】
一対の位置決め穴68は、放熱部材22の一対の位置決め突起53に対応して対を為しており、各位置決め突起53を挿入可能な穴である。各位置決め穴68は、取付面63において、幅方向に沿って設置穴67の外側に位置されており、光軸方向の前側に開放している。各位置決め穴68は、対応する位置決め突起53が挿入されることで、放熱部材22とソケット23との相対的な位置を定める。このため、実施例1では、放熱部材22の一対の位置決め突起53が放熱側位置決め部となり、ソケット23の一対の位置決め穴68がソケット側位置決め部となる。なお、放熱側位置決め部とソケット側位置決め部とは、放熱部材22とソケット23との相対的な位置を定めるものであれば、位置や数は適宜設定すればよく、突起と穴とを入れ替えてもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0052】
ソケット放熱部62は、放熱部材22から伝えられた熱を外部に逃がす(放射させる)もので、複数のフィン69を有する。各フィン69は、幅方向に直交する平らな板状とされ、放熱面64から光軸方向の後側に突出しつつ幅方向に並列されている。放熱面64では、図1に示すように、フィン69が設けられていない箇所に、電源側のコネクタ16が挿入される取付箇所が設けられている。取付箇所は、コネクタ16が機械的に着脱可能に取り付けられるものであり、コネクタ16が取り付けられると、連結端子を設置穴67に設けられた給電部材24(図3等参照)の連結端子に電気的に接続させる。
【0053】
以下、実施例1の車両用灯具10の課題について説明する。
【0054】
実施例1の車両用灯具10において、放熱部材22はダイカスト成形品である。ダイカスト成形品は、離型する際、製品冷却時間や、鋳込みピストン及びエジェクタピンの突出速度等の影響により、表面にバリが生じることがある。特に、金型のつなぎ目には、金型を合わせたときに生じる微細なずれにより、バリが発生しやすい。また、エジェクタピンによって押圧される位置及びその周囲には、エジェクタピンからの力が直接作用するため、バリが発生しやすい。さらに、エジェクタピンが接する位置は、エジェクタピンの押圧力によってへこみ(エジェクタピン跡)が生じることがある。つまり、ダイカスト成形品である放熱部材22の表面には、バリやエジェクタピン跡による凹凸が生じることがある。
【0055】
これに対し、実施例1の車両用灯具10では、放熱部材22にソケット23が組み付けられている。そのため、光源21が発する熱は、放熱部材22からソケット23に伝達され、ソケット23から外部に放熱される。そのため、放熱部材22にソケット23を組み付けたとき、放熱部材22とソケット23との間に生じる隙間をできるだけ小さくし、熱の伝達性能を高めることが望ましい。しかしながら、ダイカスト成形品である放熱部材22の表面にバリやエジェクタピン跡56による凹凸が生じると、放熱部材22とソケット23との間に生じた隙間が大きくなり、放熱部材22からソケット23への熱の伝達性能が低下し、放熱性が低下することが考えられる。すなわち、ダイカスト成形品である放熱部材22と、放熱部材22に組み付けられたソケット23との間に生じる隙間を抑制する必要がある。
【0056】
以下、実施例1の車両用灯具10の作用を説明する。
【0057】
実施例1の車両用灯具10では、光源ユニット20を組み立てる際、まず、ソケット23の取付面63の設置穴67に、絶縁材料を介して給電部材24を嵌め入れる。また、光源21を放熱部材22に取り付ける。
【0058】
すなわち、放熱部材22のベース部41の設置面43において、凸面部43aの中央領域に接着層33を介して光源21を取り付け、凹面部43bに粘着シート48を介して回路基板47を取り付ける。このとき、粘着シート48及び回路基板47では、凹面部43bの一対のカシメ用突起45が、対応するカシメ用切欠48a及びカシメ用穴47aに通され、凹面部43bの一対の端子用穴46に対応する端子接続穴47b及び端子接続切欠48bが重ねられる。その後、一対のカシメ用突起45の先端を潰して塑性変形させ、回路基板47を凹面部43bに固定する。すなわち、カシメ用突起45の先端をかしめる。
【0059】
なお、一対のカシメ用突起45の先端をかしめるとき、放熱部材22は、放熱フィン部42の先端面を平坦な治具等に押し当てて支持し、光軸方向に沿って力が掛けられる。
【0060】
次に、一対のボンディングワイヤ49を、サブマウント基板31の接続端子31bと、回路基板47の接続端子47cの間に架け渡して配置する。そして、ボンディングワイヤ49の両端を、超音波を用いたワイヤボンディングにより接続端子31b及び接続端子47cにそれぞれ接続する。次に、ソケット23のソケット本体部61の取付面63に形成されたフィン溝部66に熱伝導グリースを塗布する。熱伝導グリースは、放熱フィン部42とフィン溝部66との間の隙間を低減し、放熱部材22からソケット23への熱の伝達性能を高めるものである。
【0061】
続いて、ソケット本体部61の周壁61a内において、一対の位置決め突起53を対応する位置決め穴68に挿入して放熱面64を取付面63に宛がい、放熱部材22をソケット23に圧入する。放熱部材22の圧入の際、適宜超音波を用いることができる。なお、超音波は、必ずしも用いなくてもよい。このとき、位置決め突起53と位置決め穴68との位置決めの作用により、放熱フィン部42がフィン溝部66に嵌め入れられると共に、ソケット23の設置穴67に設けられた給電部材24の各ピン端子24aがソケット本体部61の対応する端子用穴46を経て回路基板47の対応する端子接続穴47bに通される。
【0062】
その後、ハンダ等を用いて、各ピン端子24aを端子接続穴47bに電気的に接続し、光源ユニット20の組み立てが完了する。
【0063】
そして、光源ユニット20は、周壁61aを取り巻きつつフランジ壁61bに宛がって封止部材15が設けられた状態で、光源21側からランプハウジング11の取付穴11aに挿入され、ソケット23の各取付突起61dが取付穴11aの縁に設けられた切欠部に通される。その後、ランプハウジング11に対するソケット本体部61の回転姿勢が変化され、各取付突起61dが取付穴11aの縁に設けられたストッパ部に対向することで、光源ユニット20は、ランプハウジング11に取り付けられる。このとき、フランジ壁61bと取付穴11aの周縁部との間に、封止部材15が挟み込まれる。そして、ランプハウジング11にリフレクタ13及びランプレンズ12が取り付けられ、車両用灯具10が組み立てられる。
【0064】
このように、車両用灯具10では、光源ユニット20における光源21や回路基板47が、ランプハウジング11の取付穴11a及びリフレクタ13の取付穴13bを経て、灯室14内のリフレクタ13の反射面13a側に配置される。また、車両用灯具10は、ランプハウジング11に取り付けられた光源ユニット20のソケット23の取付箇所に電源側のコネクタ16(図1参照)が取り付けられることで、給電部材24を経て回路基板47に電力を供給可能となり、光源21を適宜点灯及び消灯することができる。
【0065】
そして、実施例1の車両用灯具10では、光源21を設置する設置面43を有するダイカスト成形品の放熱部材22に、樹脂材料で形成されたソケット23を組み付け、光源ユニット20が形成される。ここで、放熱部材22は、設置面43の反対側でソケット23に臨む放熱面44である放熱フィン部42の先端面に、ソケット23の取付面63に対向する対向部54と、対向部54よりも光軸方向の前側にへこんだへこみ部55と、を有している。
【0066】
つまり、実施例1の放熱部材22では、ソケット23に臨む放熱フィン部42の先端面(放熱面44)のうち、対向部54がソケット23の取付面63に対向する。これに対し、へこみ部55は対向部54よりへこんでいるため、ソケット23が放熱部材22に組み付けられたとき、対向部54と取付面63との間よりも大きな隙間をあけてソケット23の取付面63に対向する。これにより、図8に示すように、ソケット23が放熱部材22に組み付けられた状態では、放熱部材22とソケット23との間に、へこみ部55による空間Kを形成することができる。なお、図8では、対向部54と取付面63とが接し、空間Kが閉鎖されているように示しているが、これに限らない。例えば、対向部54と取付面63との間に隙間が生じていてもよいし、空間Kや対向部54と取付面63との間に図示しない熱伝導グリースが充填されてもよい。
【0067】
ここで、へこみ部55の数やへこみ深さ、面積等は、放熱部材22の放熱性能や強度等を考慮した上で任意に設定することができる。そのため、へこみ部55によって形成される空間Kは、放熱部材22とソケット23との間に意図せずに発生した隙間と異なり、放熱部材22の放熱性能や強度等を低下させることなく形成することができる。
【0068】
そして、放熱部材22とソケット23との間に空間Kを形成したことで、例えば、ダイカスト成形品である放熱部材22の離型時に、へこみ部55にバリBが発生した場合であれば、図9Aに示すように、バリBによって放熱面44に生じる凹凸をへこみ部55によって形成された空間Kに収めることができる。これにより、バリBにより対向部54とソケット23の取付面63との間に、意図しない隙間が生じることを抑制できる。
【0069】
また、放熱部材22の離型時にエジェクタピンによってへこみ部55の内側を押圧するように設定した場合であれば、図9Bに示すように、エジェクタピン跡56によって放熱面44に生じる凹凸をへこみ部55によって形成された空間Kに収めることができる。これにより、エジェクタピン跡56による凹凸が対向部54に形成されず、対向部54と取付面63との間に、意図しない隙間が生じることを抑制できる。
【0070】
つまり、実施例1の車両用灯具10では、エジェクタピンでへこみ部55の内側を押圧するように設定した上で放熱部材22を形成している。そのため、エジェクタピン跡56によって放熱面44に生じる凹凸がへこみ部55の内側に形成される(図6(a)、図6(b)参照)。このため、対向部54にエジェクタピン跡56による凹凸が形成されない。
【0071】
このように、放熱部材22の放熱面44が、ソケット23に対向する対向部54と、対向部54よりもへこんだへこみ部55と、を有することで、ダイカスト成形品である放熱部材22と、放熱部材22に組み付けられたソケット23との間に意図しない隙間が発生することを抑制できる。この結果、放熱部材22からソケット23への熱の伝達性能の低下を抑え、放熱性の低下を抑制することができる。
【0072】
また、実施例1の車両用灯具10では、光源21から発生した熱は、放熱部材22からソケット23へと伝達されて放熱される。
【0073】
これに対し、実施例1の車両用灯具10では、放熱部材22の放熱面44が、光源21の光軸方向の後側から見たときに、光源21が設置される位置の反対側に設定される光源対応領域71と、光源対応領域71以外の非光源対応領域72と、を有し、へこみ部55が非光源対応領域72に形成されている。
【0074】
ここで、光源対応領域71は、光源21が発する熱を最も受ける領域であり、非光源対応領域72よりも放熱性を高める必要がある。へこみ部55を非光源対応領域72に形成したことで、光源対応領域71に空間Kが形成されることがなく、光源対応領域71と取付面63との間に生じる隙間が大きくなることを抑制できる。これにより、光源対応領域71での熱の伝達性能の低下を抑え、放熱部材22の放熱性の低下を抑制することができる。
【0075】
特に、実施例1では、非光源対応領域72のうち、へこみ部55は、放熱フィン部42のうち、最も外側(放熱部材22の外周縁に近い位置)に設けられたフィン(一番上側の並列フィン51及び一番下側の並列フィン51)に形成されている。そのため、放熱フィン部42による放熱を阻害しにくく、放熱部材22の放熱性の低下を抑制できる。
【0076】
また、実施例の車両用灯具10では、放熱部材22が、ベース部41から光軸方向の後側に向かって突出した平らな板状である並列フィン51及び連結フィン52からなる放熱フィン部42を有している。そして、放熱部材22の離型時には、フィン先端をエジェクタピンで押圧する。そのため、エジェクタピンで押圧する位置によっては、並列フィン51や連結フィン52が撓むことがある。
【0077】
これに対し、実施例1では、板状の並列フィン51と連結フィン52とを格子状に組み合わせ、へこみ部55の少なくとも一部が、並列フィン51と連結フィン52との交差位置の先端に形成されている。これにより、放熱フィン部42の中でも比較的剛性が高い位置にへこみ部55を形成することができ、へこみ部55の内側をエジェクタピンで押圧するように設定しても、放熱フィン部42の撓みを抑制することができる。
【0078】
また、実施例1の車両用灯具10では、板状の並列フィン51の先端面にエジェクタピンを押し当てて離型する。ここで、板状の並列フィン51の先端面に平面視で先端が円形を呈するエジェクタピンを押し当てる場合、並列フィン51の厚み寸法(上下方向の寸法)によってエジェクタピンと並列フィン51との接触面積が制限される。そのため、エジェクタピンから放熱部材22に加えられる力が集中し、放熱部材22の変形(エジェクタピン跡56)が大きくなる可能性がある。
【0079】
これに対し、実施例1の車両用灯具10では、へこみ部55が、板状の並列フィン51に沿って幅方向に延び、放熱フィン部42の光軸方向に沿った平面視で矩形状を呈している。そのため、へこみ部55にエジェクタピンを押し当てて離型する際、先端が矩形を呈するエジェクタピンを使用しても、へこみ部55からエジェクタピンの先端がはみ出すことがない。これにより、並列フィン51の厚み寸法に拘らず、エジェクタピンと並列フィン51との接触面積を、並列フィン51の幅方向に延在することで拡大することができる。そして、エジェクタピンから放熱部材22に加えられる力を分散し、放熱部材22の変形(エジェクタピン跡56)を抑制することができる。
【0080】
さらに、実施例1の車両用灯具10では、設置面43に回路基板47を固定するための一対のカシメ用突起45が形成されている。そして、各カシメ用突起45の先端をかしめる際、放熱フィン部42の先端面が支持され、光軸方向に沿って力が掛けられる。すなわち、カシメ用突起45が形成される位置の反対側に設定される支持領域73は、カシメ用突起45のかしめ時に平坦な治具等によって支える必要がある。
【0081】
しかしながら、図9に示すように、放熱部材22とソケット23との間には、へこみ部55による空間Kが形成される。つまり、放熱部材22に平坦な治具等を押し当てた際、へこみ部55が形成された位置では、空間Kによって放熱部材22と治具等との間の隙間が大きくなり、かしめ時に掛かる力を支えることが難しい。
【0082】
これに対し、実施例1の車両用灯具10では、放熱部材22の放熱面44が、光源21の光軸方向の後側から見たときに、カシメ用突起45が形成された位置の反対側に設定される支持領域73と、支持領域73以外の非支持領域74と、を有し、へこみ部55が非支持領域74に形成されている。これにより、へこみ部55が、カシメ用突起45のかしめ時に平坦な治具等に押し当てて支持する必要がある支持領域73に形成されることがなく、支持領域73を平坦な治具等で適切に支持することができる。この結果、回路基板47の固定を精度よく行うことができる。
【0083】
以上、本開示の車両用灯具を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0084】
実施例1では、放熱部材22が、設置面43を有するベース部41から光軸方向の後側に向かって突出する放熱フィン部42を有し、放熱フィン部42の先端面に対向部54及びへこみ部55を形成する例を示した。しかしながら、これに限らず、設置面43の反対側でソケット23に臨む放熱面44であれば、対向部54及びへこみ部55を形成してもよい。すなわち、例えば、ベース部41の後側面に対向部54及びへこみ部55を形成してもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0085】
また、実施例1では、放熱フィン部42が、格子状に組み合わされた複数の並列フィン51と複数の連結フィン52を有する例を示した。しかしながら、これに限らず、例えば、放熱フィン部42は、幅方向又は上下方向等の任意の方向に沿って、所定間隔で並べられた複数の板状のフィンによって形成されてもよい。
【0086】
さらに、放熱部材22は、必ずしも放熱フィン部42を有する必要はなく、板形状等の任意の形状に形成してもよい。その場合であっても、光源21が設置される設置面43の反対側でソケット23に臨む放熱面44に、対向部54及びへこみ部55を有することで、放熱部材22と、放熱部材22に組み付けられたソケット23との間に意図しない隙間の発生を抑制することができる。この結果、放熱部材22の放熱性の向上を図ることができる。
【0087】
また、実施例1では、へこみ部55にエジェクタピン跡56が形成された例を示したが、エジェクタピン跡56は必ず形成されるものではない。そのため、エジェクタピン跡56は形成されなくてもよい。
【0088】
また、実施例1では、放熱フィン部42とフィン溝部66との間に熱伝導グリースを設けた例を示した。しかしながら、必ずしも熱伝導グリースを設けなくてもよく、実施例の構成に限定されない。
【0089】
また、実施例1では、サブマウントタイプの光源21を用いて、ワイヤボンディングに より設けられた一対のボンディングワイヤ49により、回路基板47と電気的に接続する例を示した。しかしながら、光源21を回路基板47に実装し、光源21及び光源21の制御用の素子S等が実装された回路基板47を放熱部材22に固定してもよい。
【符号の説明】
【0090】
10 車両用灯具
11 ランプハウジング
12 ランプレンズ
20 光源ユニット
21 光源
22 放熱部材
23 ソケット
24 給電部材
41 ベース部
42 放熱フィン部
43 設置面
44 放熱面
45 カシメ用突起(固定部)
51 並列フィン
51a 平面
52 連結フィン
54 対向部
55 へこみ部
56 エジェクタピン跡
71 光源対応領域
72 非光源対応領域
73 支持領域
74 非支持領域



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B