(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】水処理システム
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20241112BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20241112BHJP
C02F 1/70 20230101ALI20241112BHJP
C02F 1/28 20230101ALI20241112BHJP
【FI】
C02F1/44 A
C02F1/32
C02F1/70 Z
C02F1/28 D
(21)【出願番号】P 2020197996
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】村中 貴志
(72)【発明者】
【氏名】森 優希
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-059732(JP,A)
【文献】特開2011-036809(JP,A)
【文献】特開平09-271772(JP,A)
【文献】特開2007-125493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
C02F 1/32
B01D 53/22
61/00-71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透膜を有し、供給水を処理水と濃縮水とに分離する逆浸透膜装置と、
前記逆浸透膜装置に前記供給水を供給する給水ラインと、
前記給水ラインに設けられる保安フィルタと、
前記給水ラインの前記保安フィルタよりも上流側に設けられ、前記供給水に紫外線を照射する紫外発光ダイオードを有する紫外線殺菌装置と、
前記逆浸透膜装置におけるバイオファウリングの発生し易さを示すバイオファウリング指標を検出するバイオファウリング指標検出部と、
前記バイオファウリング指標検出部の検出値に応じて前記紫外線殺菌装置に前記紫外発光ダイオードを点灯又は点滅させることによって発光時間を変化させることで前記紫外発光ダイオードの光量を変化させる照射制御部と、
前記給水ラインに設けられる給水ポンプと、
前記逆浸透膜装置から流出する濃縮水の一部を前記給水ラインの前記給水ポンプの上流側に還流させる循環水ラインと、
を備え
、
前記保安フィルタは、前記給水ラインの前記循環水ラインの合流点よりも上流側に設けられ、
前記紫外線殺菌装置と前記逆浸透膜装置の間にタンクを有しない、水処理システム。
【請求項2】
前記逆浸透膜装置は、前記供給水から主に前記処理水を生成する通常運転を行うことができ、
前記照射制御部は、前記バイオファウリング指標の値が大きくなった場合、前記逆浸透膜装置の前記通常運転中に前記紫外発光ダイオードを点灯又は点滅させる、請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
前記給水ラインに設けられる活性炭ろ過装置又は還元剤注入装置をさらに備え、
前記紫外線殺菌装置は、前記活性炭ろ過装置又は還元剤注入装置よりも下流側に設けられる、請求項1
又は2に記載の水処理システム。
【請求項4】
前記バイオファウリング指標は、前記供給水の水質、前記処理水の水温及び前記逆浸透膜装置の雰囲気温度の少なくともいずれかを用いて導出される値である、請求項1から
3のいずれかに記載の水処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
逆浸透膜を用いて水を清浄化する水処理システムが広く利用されている。供給水中に微生物が含まれる場合、逆浸透膜の表面に微生物が繁殖してスライム(バイオフィルムともいう)を生成することで、逆浸透膜装置の処理能力を低下させたり、逆浸透膜の破損の原因となったりすることがある。また、逆浸透膜装置の上流側に濁質等を除去する保安フィルタを設けることもあるが、保安フィルタにおいても微生物が繁殖し、これが逆浸透膜での微生物の繁殖を促進する結果となるおそれがある。
【0003】
供給水にスライムコントロール剤を添加する方法もあるが、スライムコントロール材に含まれる塩素は、逆浸透膜にダメージを与え得る。このため、逆浸透膜装置に供給する前に活性炭ろ過装置や還元剤を用いて塩素を除去する必要がある。
【0004】
また、供給水タンクに紫外線殺菌装置を設けた水処理システムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。紫外線殺菌装置を用いて供給水に紫外線を照射することにより供給水中の微生物を不活化することができるので、逆浸透膜装置における微生物の繁殖を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ある程度の量の供給水を貯留する供給水タンクにおいて紫外線を照射して供給水中の微生物を十分に不活化させるためには、紫外線の出力を大きくする必要がある。このため、逆浸透膜装置に微生物が進入することを完全に防止することは難しい。
【0007】
従って、本発明は、逆浸透膜装置における微生物の繁殖を抑制できる水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る水処理システムは、逆浸透膜を有し、供給水を処理水と濃縮水とに分離する逆浸透膜装置と、前記逆浸透膜装置に前記供給水を供給する給水ラインと、前記給水ラインに設けられる給水ポンプと、前記逆浸透膜装置から流出する濃縮水の一部を前記給水ラインの前記給水ポンプの上流側に還流させる循環水ラインと、前記給水ラインの前記循環水ラインの合流点と前記給水ポンプとの間に設けられ、前記供給水に紫外線を照射する紫外光源を有する紫外線殺菌装置と、バイオファウリングの発生し易さを示すバイオファウリング指標を検出するバイオファウリング指標検出部と、前記バイオファウリング指標検出部の検出値に応じて前記紫外線殺菌装置に前記紫外光源を点灯させる照射制御部と、を備える。
【0009】
上述の水処理システムにおいて、前記逆浸透膜装置は、前記供給水から主に前記処理水を生成する通常運転を行うことができ、前記照射制御部は、前記バイオファウリング指標の値が大きくなった場合、前記逆浸透膜装置の前記通常運転中に前記紫外光源を点灯又は点滅させてもよい。
【0010】
上述の水処理システムにおいて、前記逆浸透膜装置は、前記供給水の流量に対する前記濃縮水の流量の比率を増大させることにより前記逆浸透膜に付着した濁質を洗い流すフラッシング運転を行うことができ、前記照射制御部は、前記バイオファウリング指標の値が大きくなった場合、前記逆浸透膜装置の前記フラッシング運転中に前記紫外光源を点灯又は点滅させてもよい。
【0011】
上述の水処理システムにおいて、前記供給水の流量に対する前記処理水の流量の比率である回収率を検出する回収率検出部をさらに備え、前記照射制御部は、前記回収率に応じて前記紫外線の光量を変化させてもよい。
【0012】
上述の水処理システムにおいて、前記バイオファウリング指標は、前記処理水の水質、前記処理水の水温及び雰囲気温度の少なくともいずれかを用いて導出される値であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、逆浸透膜装置における微生物の繁殖を抑制できる水処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る水処理システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の水処理システム1の構成を示す図である。
【0016】
本実施形態の水処理システム1は、逆浸透膜を有し、供給水を処理水と濃縮水とに分離する逆浸透膜装置10と、逆浸透膜装置10に供給水を供給する給水ライン20と、逆浸透膜装置10から流出する処理水を需要先に案内する処理水ライン30と、逆浸透膜装置10から流出する濃縮水の一部を給水ライン20に還流させる循環水ライン40と、各構成要素の動作を制御する制御装置50と、を備える。
【0017】
逆浸透膜装置10は、逆浸透膜を用いて供給水を膜分離することにより、逆浸透膜を透過した処理水と逆浸透膜を透過しなかった濃縮水とに分離する。水処理システム1は、逆浸透膜装置10の雰囲気温度、つまり逆浸透膜装置10の周囲の空気の温度を検出する雰囲気温度センサ11を備えてもよい。
【0018】
給水ライン20には、供給水から残留塩素を除去する塩素除去装置21と、供給水に紫外線を照射する紫外線殺菌装置22と、供給水中の異物を除去する保安フィルタ23と、供給水を加圧して逆浸透膜装置10に供給するための給水ポンプ24と、が設けられる。また、給水ライン20には、塩素除去装置21に導入される供給水の残留塩素濃度を測定する残留塩素濃度計25と、塩素除去装置21と逆浸透膜装置10との間で供給水の水質を検出する水質検出器26と、塩素除去装置21と逆浸透膜装置10との間で供給水の温度を検出する供給水温度センサ27と、逆浸透膜装置10に供給される供給水の流量を検出する供給水流量計28と、が設けられる。
【0019】
塩素除去装置21は、供給水中の塩素イオンを除去し、塩素イオンによって逆浸透膜装置10の逆浸透膜にダメージを与えることを防止する。塩素除去装置21としては、活性炭ろ過装置又は還元剤注入装置が用いられる。
【0020】
紫外線殺菌装置22は、給水ライン20の循環水ライン40の合流点と給水ポンプ24との間に設けられ、供給水に紫外線を照射する紫外光源を有する。紫外光源としては、複数の紫外発光ダイオードを有するダイオードアレイ光源が好適に用いられる。
【0021】
紫外線殺菌装置22は、供給水に紫外線を照射することによって、供給水中に存在する微生物を不活化する。これにより、逆浸透膜装置10に進入した微生物が逆浸透膜の膜面で繁殖することによるスライムの生成を抑制できるので、スライムによって逆浸透膜が閉塞するバイオファウリングを防止できる。
【0022】
なお、紫外線殺菌装置22において微生物を完全に不活化できない場合や、紫外線殺菌装置22の休止中に供給水が紫外線殺菌装置22を通過する場合がある。これらの場合には、紫外線殺菌装置22から逆浸透膜装置10までの流路や逆浸透膜装置10の内部に微生物が進入し得る。継続的な微生物の進入がなければ逆浸透膜の膜面での微生物の繁殖が促進されることはないが、紫外線殺菌装置22から逆浸透膜装置10までの流路が長くなると、例えば配管の継手等においても微生物が繁殖し得るため、紫外線殺菌装置22から逆浸透膜装置10までの流路を短くすることが望ましい。
【0023】
紫外線殺菌装置22は、塩素除去装置21の下流側に配設されることが好ましい。これによって、塩素除去装置21において例えば活性炭又は還元剤の中に微生物が含まれることによって供給水に微生物が混入した場合にも、紫外線殺菌装置22によって塩素除去装置21で混入した微生物を不活化することができるので、逆浸透膜装置10におけるバイオファウリングを防止できる。
【0024】
紫外線殺菌装置22は、給水ポンプ24及び保安フィルタ23の上流側に配設されることが好ましい。紫外線殺菌装置22を給水ポンプ24の上流側に配設することで、紫外線殺菌装置22に高い耐圧性能が要求されないため、紫外線殺菌装置22の設計が容易となる。また、紫外線殺菌装置22を保安フィルタ23の上流側に配設することで、保安フィルタ23において微生物が繁殖することを防止することができる。これにより、保安フィルタ23がバイオファウリングによって詰まること、及び保安フィルタ23で繁殖した微生物が逆浸透膜装置10に流入して逆浸透膜にバイオファウリングによる詰りを生じさせることを防止できる。
【0025】
保安フィルタ23は、精密濾過膜等によって供給水中の不溶物質を除去する。保安フィルタ23を設けることにより、逆浸透膜装置10の不溶物質による詰りを防止できるので、逆浸透膜装置10の逆洗浄の間隔を大きくすることができる。
【0026】
残留塩素濃度計25は、塩素除去装置21の上流側に設けられる。水質検出器26は、供給水の残留塩素濃度とは異なる水質、例えばTOC(全有機炭素)、COD(化学的酸素要求量)、濁度等の微生物の繁殖に影響を与える水質を検出する。水質検出器26及び供給水温度センサ27は、紫外線殺菌装置22よりも上流側に設けられればよく、例として、図示するように給水ライン20の塩素除去装置21よりも上流側に設けられ得る。
【0027】
処理水ライン30には処理水の流量を検出する処理水流量計31と、処理水の電気伝導度を検出する電気伝導度センサ32と、が設けられる。
【0028】
循環水ライン40は、濃縮水の一部を給水ライン20に還流させると共に、残部を系外に排出する。このため、循環水ライン40は、逆浸透膜装置10から流出する濃縮水を案内する流出部41と、流出部41から濃縮水の一部を給水ライン20に導く返送部42と、流出部41から濃縮水の残部を排出する排出部43と、を有する。
【0029】
返送部42は、給水ライン20の保安フィルタ23と給水ポンプ24との間に接続され得る。このように、保安フィルタ23が給水ライン20の循環水ライン40の合流点よりも上流側に設けられることにより、保安フィルタ23の流量が大きくならないので、保安フィルタ23の容量を小さくできる。また、返送部42が保安フィルタ23よりも上流側に設けられる紫外線殺菌装置22の下流側に接続されることによって、紫外線殺菌装置22が紫外線を照射すべき供給水の流量が小さくなるので、消費電力を抑制しつつ、効率的に微生物を不活化できる。
【0030】
循環水ライン40には、流出部41に設けられ、逆浸透膜装置10から流出する濃縮水の流量を調整する濃縮水流量調整弁44と、排出部43に設けられ、系外に排出される濃縮水の流量を調整する排出流量調整弁45と、が設けられる。
【0031】
制御装置50は、逆浸透膜装置10に供給水から主に処理水を生成する通常運転を行わせる通常運転制御部51と、逆浸透膜装置10にフラッシング運転を行わせるフラッシング制御部52と、供給水の流量に対する処理水の流量の比率である回収率を検出する回収率検出部53と、逆浸透膜装置10におけるバイオファウリングの発生し易さを示すバイオファウリング指標を検出するバイオファウリング指標検出部54と、バイオファウリング指標検出部54の検出値に応じて紫外線殺菌装置22に紫外光源を点灯させる照射制御部55と、を有する。
【0032】
制御装置50は、例えばCPU、メモリ、入出力インターフェイス等を有するコンピュータ装置に適切なプログラムを実行させることにより実現できる。上述の制御装置50の各構成要素は、制御装置50の機能を類別したものであって、物理構造及びプログラム構造において明確に区別できるものでなくてもよい。
【0033】
通常運転制御部51は、処理水を得るための通常運転を制御する。例として、通常運転制御部51は、電気伝導度センサ32の検出値を設定値に保持するよう、濃縮水流量調整弁44の開度をフィードバック制御するよう構成され得る。
【0034】
フラッシング制御部52は、例えば通常運転終了時に供給水の流量に対する濃縮水の流量の比率を増大させることにより逆浸透膜に付着した濁質を洗い流すために行われるフラッシング運転を制御する。例として、フラッシング制御部52は、濃縮水流量調整弁44を全開にすることにより、逆浸透膜装置10の回収率、つまり供給水の流量に対する処理水の流量を低下させる。これによって、逆浸透膜を透過する水量に比して逆浸透膜の膜面に沿って流れる水量が大きくなるため、膜面に付着した濁質を剥離して循環水ライン40に流出させられる。
【0035】
フラッシング制御部52によるフラッシング運転は、一般的に、通常運転を停止する際に行われる。これは、逆浸透膜装置10の内部に濃縮された水が滞留すると、水が流れているときよりも水中の無機成分が析出し易くなるため、逆浸透膜装置10の内部に滞留する水の濃縮度合いを可能な限り小さくすることが望まれるからである。また、フラッシング運転は、停止時間が一定時間に達したとき等にも行われ得る。これは、長時間の停止により析出した無機成分を押し出して逆浸透膜の膜面に析出した無機成分が定着することを抑制するためである。
【0036】
回収率検出部53は、供給水流量計28及び処理水流量計31の検出値に基づいて、逆浸透膜装置10の回収率を算出するよう構成され得る。
【0037】
バイオファウリング指標検出部54は、逆浸透膜装置10の内部における微生物の活性状態を検出した結果に基づいてバイオファウリング指標を導出するものであってもよいが、比較的簡単かつ確実にバイオファウリングの発生し易さを確認できるよう、処理水の水質(残留塩素濃度計25の検出値、水質検出器26の検出値等)、逆浸透膜装置10の内部の水温及び雰囲気温度の少なくともいずれかに基づいてバイオファウリングの発生し易さを示すバイオファウリング指標の値を導出するよう構成されることが好ましい。
【0038】
残留塩素濃度計25が検出する塩素除去装置21の上流側における残留塩素濃度は、逆浸透膜装置10に浸入する微生物の量の目安となるため、その数値が小さい程バイオファウリングが発生し易くなるものと評価することができる。水質検出器26が検出するTOC、BOD、COD及び濁度は、微生物が繁殖に利用し得る栄養素の量の目安となるため、その数値が大きい程バイオファウリングが発生し易くなるものと評価することができる。供給水温度センサ27が検出する供給水の温度及び雰囲気温度センサ11が検出する雰囲気温度は、微生物の活性の目安となる。供給水が加熱されていない一般的な温度範囲では、供給水の温度が高くなる程バイオファウリングが発生し易くなるものと評価することができる。バイオファウリング指標検出部54は、いずれか1つの検出値をそのままバイオファウリング指標としてもよく、1又は複数の検出値からバイオファウリング指標を算出してもよい。
【0039】
照射制御部55は、バイオファウリング指標検出部54の検出値に応じて紫外線殺菌装置22に紫外光源を点灯させる。このように、照射制御部55がバイオファウリング指標の値に応じて紫外光源を点灯又は点滅させることでスライムによって保安フィルタ23及び逆浸透膜装置10におけるバイオファウリングの発生を抑制しつつ、不必要な紫外線の照射を行わないので消費電力を抑制できる。
【0040】
具体例として、照射制御部55は、バイオファウリング指標の値が大きくなった場合、具体的には、バイオファウリング指標が所定値を超える場合に逆浸透膜装置10の通常運転中に紫外光源を点灯又は点滅させてもよく、バイオファウリング指標が所定値を超える場合に逆浸透膜装置10のフラッシング運転中に紫外光源を点灯又は点滅させてもよく、バイオファウリング指標が所定値を超える場合に逆浸透膜装置10の通常運転及びフラッシング運転の両方で紫外光源を点灯又は点滅させてもよい。
【0041】
照射制御部55がバイオファウリング指標の値に応じて通常運転中に紫外光源を点灯又は点滅させることによって、過剰な電力を消費することなく保安フィルタ23ひいては逆浸透膜装置10に新たに流入する微生物の量を低減できるので、保安フィルタ23及び逆浸透膜装置10におけるバイオファウリングの発生を効率よく抑制できる。また、照射制御部55がバイオファウリング指標の値に応じてフラッシング運転中に紫外光源を点灯又は点滅させることによって、過剰な電力を消費することなく運転停止中に逆浸透膜装置10の内部に滞留する水中の微生物の量を低減できるので、運転停止中のスライムの生成によるバイオファウリングを抑制できる。
【0042】
照射制御部55は、紫外線殺菌装置22の紫外線の光量を、バイオファウリング指標の値に応じて変化させてもよい。具体的には、照射制御部55は、紫外線殺菌装置22の紫外光源の発光強度をバイオファウリング指標の値に応じて変化させてもよく、紫外光源の発光時間(デューティ比)をバイオファウリング指標の値に応じて変化させてもよい。
【0043】
また、照射制御部55は、回収率検出部53が検出した逆浸透膜装置10の回収率に応じて紫外線の光量を変化させてもよい。逆浸透膜装置10の回収率が高い場合には循環水ライン40から給水ライン20に還流される濃縮水の流量が小さくなるため、紫外線殺菌装置22を通過する水の流量が低下する。このため、逆浸透膜装置10の回収率が高い場合には紫外線殺菌装置22における紫外線の光量を小さくすることで、微生物の繁殖を効果的に抑制しつつ、消費電力を抑制できる。
【0044】
以上、本発明の水処理システムの好ましい各実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0045】
本発明の水処理システムにおいて、上述の実施形態で説明した全てのセンサが必要とされるわけではなく、採用する制御に必要とされないものは省略してもよく、採用する制御に応じて異なるセンサを設けてもよい。また、水質検出器及び供給水温度センサは、塩素除去装置と紫外線殺菌装置との間又は保紫外線殺菌装置と安フィルタとの間に配設されてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 水処理システム
10 逆浸透膜装置
20 給水ライン
21 塩素除去装置
22 紫外線殺菌装置
23 保安フィルタ
24 給水ポンプ
25 残留塩素濃度計
26 水質検出器
27 供給水温度センサ
28 供給水流量計
30 処理水ライン
31 処理水流量計
32 電気伝導度センサ
40 循環水ライン
41 流出部
42 返送部
43 排出部
44 濃縮水流量調整弁
45 排出流量調整弁
50 制御装置
51 通常運転制御部
52 フラッシング制御部
53 回収率検出部
54 バイオファウリング指標検出部
55 照射制御部