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特許7585744情報処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241112BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G06F3/12 356
G06F3/12 344
G06F3/12 311
B41J21/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020198275
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086329
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 亮太郎
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-220838(JP,A)
【文献】特開2014-068196(JP,A)
【文献】特開2003-320740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J5/00-5/52;21/00-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて、前記画像データをRIP処理した印刷データと、前記印刷データよりもデータ容量の小さいプレビューデータと、を生成する処理部と、
前記プレビューデータを記憶する記憶部と、を有し、
前記処理部は、
前記画像データをRIP処理することによりラスターデータを生成するとともに前記ラスターデータのピクセルごとの色に関する情報を解析し、当該情報に基づいて前記ラスターデータの色が1ピクセルごとにプロセスカラーであるか特色であるかの判別を行い、前記ラスターデータを用いて、前記判別の結果に関する情報としてピクセルごとにプロセスカラーと特色とを区別した色に関する情報を含む前記プレビューデータを生成し、
前記印刷データに基づく印刷画像のプレビューの更新を受け付けた場合、前記記憶部から読み込んだ前記プレビューデータを用いて、前記プレビューに用いるデータを更新する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記プレビューデータに基づく画像を前記プレビューとして表示部に表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記プレビューの更新を受け付け、かつ、前記印刷画像の印刷設定が変更された場合、前記記憶部から読み込んだ前記プレビューデータのほか、前記印刷設定に関する印刷設定情報を用いて、前記プレビューに用いるデータを変更する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記印刷設定情報は、色置換の設定に関する色置換情報を含み、
前記処理部は、前記プレビューの更新を受け付け、かつ、色置換の設定が変更された場合、前記記憶部から読み込んだ前記プレビューデータと、前記色置換情報と、に基づいて、前記プレビューに用いるデータを変更する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記プレビューの更新を受け付け、かつ、色置換の設定が変更された場合、前記記憶部から読み込んだ前記プレビューデータから前記色置換情報の示す色置換の入力色に対応するピクセルを探索し、その探索の結果を用いて、前記プレビューに用いるデータを変更する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記印刷設定情報は、プロファイルの設定に関するプロファイル情報を含み、
前記処理部は、前記プレビューの更新を受け付け、かつ、プロファイルの設定が変更された場合、前記記憶部から読み込んだ前記プレビューデータと、前記プロファイル情報と、に基づいて、前記プレビューに用いるデータを変更する、
請求項3から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記プレビューの更新を受け付け、かつ、プロファイルの設定が変更された場合、前記記憶部から読み込んだ前記プレビューデータの色値を入力値として前記プロファイル情報の示すプロファイルによりプロファイル変換し、その変換の結果を用いて、前記プレビューに用いるデータを変更する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
画像データをラスタライズ処理することによりラスターデータを生成するとともに前記ラスターデータのピクセルごとの色に関する情報を解析することと、
当該情報に基づいて前記ラスターデータの色が1ピクセルごとにプロセスカラーであるか特色であるかの判別を行い、前記ラスターデータを用いて、前記判別の結果に関する情報としてピクセルごとにプロセスカラーと特色とを区別した色に関する情報を含み、かつ、印刷データよりもデータ容量の小さいプレビューデータを生成することと、
前記プレビューデータを記憶部に記憶することと、
前記印刷データに基づく印刷画像のプレビューの更新を受け付けた場合、前記記憶部から読み込んだ前記プレビューデータを用いて、前記プレビューに用いるデータを更新することと、をコンピューターに実行させる
画像処理方法。
【請求項9】
画像データをラスタライズ処理することによりラスターデータを生成するとともに前記ラスターデータのピクセルごとの色に関する情報を解析することと、
当該情報に基づいて前記ラスターデータの色が1ピクセルごとにプロセスカラーであるか特色であるかの判別を行い、前記ラスターデータを用いて、前記判別の結果に関する情報としてピクセルごとにプロセスカラーと特色とを区別した色に関する情報を含み、かつ、印刷データよりもデータ容量の小さいプレビューデータを生成することと、
前記プレビューデータを記憶部に記憶することと、
前記印刷データに基づく印刷画像のプレビューの更新を受け付けた場合、前記記憶部から読み込んだ前記プレビューデータを用いて、前記プレビューに用いるデータを更新することと、をコンピューターに実行させる、
画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式または電子写真方式等の方式のプリンターでの印刷のための各種処理を行う情報処理装置が知られている。この種の情報処理装置は、例えば、画像編集ソフトウエアにより作成されたラスター形式等の画像データをプリンターでの印刷に適するよう印刷データに変換し、当該印刷データをプリンターに入力する。当該変換には、ラスタライズ処理を含むRIP(Raster image processor)処理等の処理が用いられる。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、画像データに基づいて、印刷データのほか、プレビューデータを生成し、当該プレビューデータに基づく画像を印刷画像のプレビューとして表示させる。ここで、プレビューデータの生成には、印刷設定の内容がプレビューの表示に反映されるよう、画像データおよび印刷設定データが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-38526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、印刷設定が変更された場合、その変更内容をプレビューの表示に反映させるには、前述のような画像データおよび印刷設定データの双方を用いたプレビューデータの生成を再度行う必要がある。ここで、RIP処理等の処理は、長時間を要する。このため、特許文献1に記載の技術では、印刷設定の変更後の内容を反映したプレビューを迅速に表示することができず、この結果、ユーザビリティに欠けるという課題がある。この課題は、画像データのデータサイズが大きくなるほど顕著となり、例えば、商業印刷において改善が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置の一態様は、画像データに基づいて、前記画像データをRIP処理した印刷データと、前記印刷データよりもデータ容量の小さいプレビューデータと、を生成する処理部と、前記プレビューデータを記憶する記憶部と、を有し、前記処理部は、印刷画像のプレビューの更新を受け付けた場合、前記記憶部から読み込んだ前記プレビューデータを用いて、前記プレビューに用いるデータを更新する。
【0007】
本発明の画像処理方法の一態様は、画像データをラスタライズ処理したラスターデータを用いて、印刷データよりもデータ容量の小さいプレビューデータを生成することと、前記プレビューデータを記憶部に記憶することと、前記印刷データに基づく印刷画像のプレビューの更新を受け付けた場合、前記記憶部から読み込んだ前記プレビューデータを用いて、前記プレビューに用いるデータを更新することと、を含む。
【0008】
本発明の画像処理プログラムの一態様は、画像データをラスタライズ処理したラスターデータを用いて、印刷データよりもデータ容量の小さいプレビューデータを生成することと、前記プレビューデータを記憶部に記憶することと、前記印刷データに基づく印刷画像のプレビューの更新を受け付けた場合、前記記憶部から読み込んだ前記プレビューデータを用いて、前記プレビューに用いるデータを更新することと、をコンピューターに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る情報処理装置を用いるシステムの構成例を示す概略図である。
図2】実施形態に係る画像処理方法を示すフローチャートである。
図3】プレビューデータの生成方法を示すフローチャートである。
図4】プレビューデータのピクセルごとの情報の一例を示す図である。
図5】印刷データの生成およびプレビュー表示のための画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法または縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0011】
1.実施形態
1-1.情報処理装置1を用いるシステム100の概要
図1は、実施形態に係る情報処理装置1を用いるシステム100の構成例を示す概略図である。システム100は、印刷に関する各種処理を行うシステムである。本実施形態のシステム100は、印刷を行う印刷機能と、印刷の設定を行う設定機能と、を有する。当該設定機能は、印刷画像のプレビューを表示するプレビュー機能を含んでおり、当該プレビューには、印刷の設定の内容が反映される。なお、印刷機能は、必要に応じてシステム100に実装されればよく、省略されてもよい。
【0012】
図1に示すように、システム100は、情報処理装置1と、「表示部」の一例である表示装置200と、印刷装置300と、入力装置400と、を有する。情報処理装置1は、表示装置200、印刷装置300および入力装置400のそれぞれに対して有線または無線により通信可能に接続される。なお、印刷装置300は、省略されてもよいし、インターネットを含むネットワークを介して通信可能に接続されてもよい。
【0013】
表示装置200は、情報処理装置1による制御のもとで表示を行う装置である。より具体的には、表示装置200は、例えば、印刷装置300での印刷のための各種設定のための画像を表示したり、後述のプレビューデータD3に基づく画像をプレビューとして表示したりする。例えば、表示装置200は、液晶表示パネルまたは有機EL(electro-luminescence)表示パネル等の各種の表示パネルを含む表示装置である。なお、表示装置200は、情報処理装置1と別体でも一体でもよい。
【0014】
印刷装置300は、情報処理装置1による制御のもとで印刷媒体に対して印刷を行う装置である。より具体的には、印刷装置300は、情報処理装置1から入力される後述の印刷データD2に基づく画像を印刷媒体に印刷する。印刷媒体は、特に限定されず、例えば、各種紙、各種布または各種フィルム等である。印刷装置300の印刷方式は、特に限定されず、例えば、インクジェット方式または電子写真方式等の方式である。図示しないが、印刷装置300は、例えば、インクジェット方式または電子写真方式等の方式のプリンターエンジンと、印刷媒体を所定方向に搬送する搬送機構と、これらの駆動を情報処理装置1からの情報等に基づいて制御する制御回路と、を有する。
【0015】
本実施形態の印刷装置300は、複数色のインクまたはトナー等の色材を用いて印刷を行う。当該複数色としては、例えば、シアン、マゼンタ、イエローおよび黒等のプロセスカラーが挙げられる。また、当該複数色には、蛍光色または金属色等の特色が含まれてもよい。なお、色材の色の数は、特に限定されず、任意である。
【0016】
入力装置400は、ユーザーからの操作を受け付ける機器である。例えば、入力装置400は、タッチパッド、タッチパネルまたはマウス等のポインティングデバイスを含んで構成される。ここで、入力装置400は、タッチパネルを含んで構成される場合、表示装置200を兼ねてもよい。
【0017】
情報処理装置1は、入力装置400への操作に応じて、印刷装置300の印刷と表示装置200の表示とに必要な各種処理を適宜に行うコンピューターである。具体的には、情報処理装置1は、外部から入力される画像データD1に基づいて、印刷装置300での印刷に用いる印刷データD2等のデータを生成したり、表示装置200での表示に用いるプレビューデータD3等のデータを生成したりする。
【0018】
また、情報処理装置1は、プレビューの更新機能を有しており、プレビューの更新を受け付けると、画像データD1を用いずに、プレビューデータD3を用いて、表示装置200でのプレビューに用いるデータを変更する。ここで、プレビューデータD3の処理負荷は、画像データD1に比べて小さい。このため、プレビューの更新にプレビューデータD3を用いることにより、画像データD1を用いてプレビューを更新する場合に比べて、プレビューの更新を迅速に行うことができる。また、情報処理装置1は、印刷装置300での印刷の各種設定を変更可能であり、その変更内容を反映したプレビューを表示装置200に表示させる。以下、情報処理装置1の構成について説明する。
【0019】
1-2.情報処理装置1の構成
図1に示すように、情報処理装置1は、処理装置10と、「記憶部」の一例である記憶装置20と、通信装置40と、を有する。これらは、互いに通信可能に接続される。
【0020】
処理装置10は、情報処理装置1の各部を制御する機能、および各種データを処理する機能を有する装置である。処理装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含んで構成される。なお、処理装置10は、単一のプロセッサーで構成されてもよいし、複数のプロセッサーで構成されてもよい。また、処理装置10の機能の一部または全部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで実現してもよい。
【0021】
記憶装置20は、処理装置10が実行する各種プログラム、および処理装置10が処理する各種データを記憶する装置である。記憶装置20は、例えば、ハードディスクドライブまたは半導体メモリーを含んで構成される。なお、記憶装置20の一部または全部は、情報処理装置1の外部の記憶装置またはサーバー等に設けてもよい。
【0022】
本実施形態の記憶装置20には、画像処理プログラムPGと画像データD1と印刷データD2とプレビューデータD3と印刷設定情報D4とが記憶される。画像処理プログラムPGは、後述の画像処理方法を情報処理装置1に実行させるプログラムである。
【0023】
画像データD1は、画像編集ソフトウエアにより作成された画像データである。具体的には、画像データD1は、例えば、PostScript、PDF(Portable Document Format)、XPS(XML Paper Specification)等のページ記述言語によるファイル形式または各種ベクター形式の画像データ、または、印刷装置300での出力解像度等の処理条件に一致しないラスター形式の画像データ等である。
【0024】
印刷データD2は、印刷装置300で処理可能な形式の画像データである。具体的には、印刷データD2は、例えば、印刷装置300での出力解像度等の処理条件に一致するラスター形式の画像データである。
【0025】
プレビューデータD3は、表示装置200でのプレビューの表示に用いる画像データである。プレビューデータD3は、表示装置200で処理されるデータそのものであってもよいし、表示装置200で処理されるデータを生成するための元データまたは中間データであってもよい。
【0026】
特に、プレビューデータD3は、画像データD1および印刷データD2のそれぞれと比べて表示装置200での表示にするのに要する処理負荷の小さい画像データである。具体的には、プレビューデータD3は、印刷データD2よりも容量の小さい画像データである。このため、プレビューの表示にプレビューデータD3を用いることにより、画像データD1または印刷データD2を用いる場合に比べて、プレビューを表示させるのに要する時間を短くすることができる。
【0027】
プレビューデータD3のファイル形式は、特に限定されないが、ベクター形式に比べてプレビューの表示の際の処理負荷が小さくて済むという観点から、後に詳述する図4に示すように、ピクセルごとに色値等の情報を記述した形式、例えば、ラスター形式またはそれに準じた形式であることが好ましい。ここで、後に詳述するように、プレビューデータD3には、ピクセルごとにプロセスカラーと特色とを区別した色に関する情報が含まれる。このため、特色に関する設定が変更されても、画像データD1を用いずにプレビューデータD3を用いてプレビューの適切な更新を行うことができる。
【0028】
印刷設定情報D4は、印刷装置300での印刷の各種設定に関する情報である。図1に示す例では、印刷設定情報D4は、色置換情報D4aとプロファイル情報D4bとを含む。また、印刷設定情報D4には、色置換情報D4aおよびプロファイル情報D4bの設定情報のほか、設定の変更履歴に関する変更履歴情報が含まれる。
【0029】
色置換情報D4aは、画像データD1または印刷データD2に含まれる色の一部または全部を他の色に置換したことを示す情報である。プロファイル情報D4bは、画像データD1に適用される入力プロファイル等のプロファイルの設定に関する情報である。例えば、当該プロファイルは、画像データD1に埋め込まれるか、または、画像処理プログラムPGに実装されており、ある色空間における色値を入力値として他の色空間における色値に出力値として変換する変換テーブルを含む。当該プロファイルの形式は、特に限定されないが、例えば、ICC(International Color Consortium)の規定に準拠する。なお、印刷設定情報D4に含まれる情報は、色置換情報D4aおよびプロファイル情報D4bに限定されない。例えば、印刷設定情報D4は、色置換情報D4aおよびプロファイル情報D4b以外の設定情報が含まれてもよい。
【0030】
通信装置40は、表示装置200、印刷装置300および入力装置400等の外部装置に通信可能に接続されるインターフェイスである。例えば、通信装置40は、USB(Universal Serial Bus)およびLAN(Local Area Network)等のインターフェイスを含んで構成される。なお、通信装置40は、例えば、Wi-FiまたはBluetooth等により外部装置に無線接続されてもよいし、LAN(Local Area Network)またはインターネット等を介して外部装置に接続されてもよい。なお、HDMI、Wi-FiおよびBluetoothは、それぞれ、登録商標である。
【0031】
以上の構成の情報処理装置1において、処理装置10は、記憶装置20から画像処理プログラムPGを読み込んで実行する。この実行により、処理装置10は、処理部11として機能する。処理部11は、入力装置400を通じてユーザーからの指示を受け付ける機能と、表示装置200および印刷装置300の動作を制御する機能と、を有する。
【0032】
処理部11は、画像データD1に基づいて、印刷データD2およびプレビューデータD3を生成する。印刷データD2およびプレビューデータD3のそれぞれの生成には、画像データD1に対するラスタライズ処理を含むRIP処理が用いられる。当該RIP処理には、前述の印刷設定情報D4の示す設定が適宜に適用される。なお、本明細書において、「ラスタライズ処理」とは、ベクター形式のデータをラスター形式のデータに変換する処理のほか、ラスター形式のデータを解像度等の異なるラスター形式のデータに変換する処理も含む概念である。
【0033】
プレビューデータD3の生成には、前述のRIP処理のほか、後に詳述する図3に示すように、当該RIP処理の際の解析により得られるピクセルごとの色に関する情報をプレビューデータD3に記録する処理が用いられる。なお、プレビューデータD3の生成に用いるRIP処理は、印刷データD2の生成に用いるRIP処理と同一工程による処理でもよいし別工程による処理でもよい。プレビューデータD3の生成に用いるRIP処理が印刷データD2の生成に用いるRIP処理と別工程による処理である場合、これらの処理の内容が異なってもよい。例えば、プレビューデータD3の生成に用いるRIP処理で得られるラスターデータの解像度は、印刷データD2の生成に用いるRIP処理で得られるラスターデータの解像度と異なってよく、好ましくは、印刷データD2の生成に用いるRIP処理で得られるラスターデータの解像度よりも小さい。
【0034】
また、処理部11は、後に詳述する図5に示すように、印刷装置300での印刷およびその設定に用いる画像を表示装置200に表示させる。当該画像は、入力装置400を介してユーザーからの指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)用の画像である。
【0035】
1-3.情報処理装置1の動作
図2は、実施形態に係る画像処理方法を示すフローチャートである。当該画像処理方法は、情報処理装置1を用いて行われる。処理部11は、まず、ステップS1において、プレビューデータD3を生成する。生成されたプレビューデータD3は、記憶装置20に記憶される。なお、プレビューデータD3の生成については、後述の図3に基づいて詳述する。
【0036】
次に、ステップS2において、処理部11は、プレビューデータD3に基づく画像をプレビューとして表示装置200に表示させる。その後、ステップS3において、処理部11は、プレビューの更新を受け付けたか否かを判断する。
【0037】
プレビューの更新を受け付けない場合、ステップS9において、処理部11は、終了の指示があるか否かを判断し、終了の指示がない場合、ステップS2に移行し、一方、終了の指示がある場合、処理を終了する。
【0038】
一方、プレビューの更新を受け付けた場合、ステップS4において、処理部11は、記憶装置20からプレビューデータD3を読み込む。その後、ステップS5において、処理部11は、プロファイルの設定に変更があったか否かを判断する。この判断は、例えば、印刷設定情報D4に含まれる変更履歴情報に基づいて行われる。
【0039】
プロファイルの設定に変更があった場合、ステップS6において、処理部11は、プレビューデータD3およびプロファイル情報D4bを用いて、プレビューに用いるデータを更新し、その後、ステップS9に移行する。一方、プロファイルの設定に変更がない場合、ステップS7において、処理部11は、色置換の設定に変更があったか否かを判断する。この判断は、例えば、印刷設定情報D4に含まれる変更履歴情報に基づいて行われる。
【0040】
色置換の設定に変更があった場合、ステップS8において、処理部11は、プレビューデータD3および色置換情報D4aを用いて、プレビューに用いるデータを更新し、その後、ステップS9に移行する。一方、色置換尾設定に変更がない場合、処理部11は、ステップS8を実行せずに、ステップS9に移行する。
【0041】
以上の画像処理方法では、前述のステップS1が、画像データD1をラスタライズ処理したラスターデータを用いて、印刷データD2よりもデータ容量の小さいプレビューデータD3を生成する。また、前述のステップS1は、「記憶部」の一例である記憶装置20にプレビューデータD3を記憶する。さらに、前述のステップS3~ステップS8は、印刷データD2に基づく印刷画像のプレビューの更新を受け付けた場合、記憶装置20から読み込んだプレビューデータD3を用いて、当該プレビューに用いるデータを更新する。以下、前述のステップS1について詳述する。
【0042】
図3は、プレビューデータD3の生成方法を示すフローチャートである。図3では、画像データD1をラスタライズ処理し、当該ラスタライズ処理により得られるn個のピクセルからなるラスターデータを用いてプレビューデータD3を生成する例が示される。また、図3では、n個のピクセルのうち、k個目のピクセルがピクセル(k)と表記される。nは、1以上の自然数である。kは、1以上n以下の自然数である。
【0043】
前述のステップS1では、まず、ステップS11において、処理部11は、画像データD1をラスタライズ処理する。当該ラスタライズ処理により、n個のピクセルで構成されるラスターデータが生成される。また、当該ラスタライズ処理では、当該ラスターデータのピクセルごとに色に関する情報が解析される。当該ラスターデータは、当該解析の情報とともに、記憶装置20に記憶される。ここで、nは、1以上の自然数であればよく、特に限定されないが、表示装置200の表示解像度と同等以上の解像度のピクセル数に対応する数であり、かつ、印刷データD2の解像度と同等以下の解像度のピクセル数に対応する数であることが好ましい。なお、当該ラスターデータは、印刷データD2でもよい。
【0044】
次に、ステップS12において、処理部11は、kを1に設定する。その後、ステップS13において、処理部11は、ピクセル(k)の色が特色であるか否かを判断する。この判断は、前述のステップS11のラスタライズ処理での色に関する解析の情報に基づいて行われる。
【0045】
ピクセル(k)の色が特色である場合、ステップS14において、処理部11は、当該ラスターデータのピクセル(k)の情報に特色を示す特色情報を記録する。一方、ピクセル(k)の色が特色でない場合、ステップS15において、処理部11は、当該ラスターデータのピクセル(k)の情報にプロセスカラーを示すプロセスカラー情報を記録する。
【0046】
このようなステップS15およびステップS16の後、ステップS16において、処理部11は、kをk+1に設定する。その後、ステップS17において、処理部11は、k=nであるか否かを判断する。k=nでない場合、処理部11は、前述のステップS13に戻る。一方、k=nである場合、処理部11は、前述の図2に示すステップS2に移行する。
【0047】
以上のステップS11~S17により、n個のピクセルからなり、かつ、ピクセルごとに色に関する情報を含むプレビューデータD3が生成される。
【0048】
図4は、プレビューデータD3のピクセルごとの情報D3aの一例を示す図である。図4では、1番目のピクセル(1)の情報D3aにプロセスカラーを示す情報が記録され、n番目のピクセル(n)の情報D3aに特色を示す情報が記録される例が示される。また、図4では、プロセスカラーがCMYKであり、かつ、特色が蛍光色である場合が例示される。
【0049】
図4に示す例では、ピクセルの情報D3aが7個のチャネルを用いて表される。具体的には、ピクセルがプロセスカラーを用いる場合、1チャネル目にはシアンの使用率が記録され、2チャネル目にはマゼンタの使用率が記録され、3チャネル目にはイエローの使用率が記録され、4チャネル目にはブラックの使用率が記録され、5チャネル目には画像データD1のデータ形式がベクター形式であるかラスター形式であるかの情報と入力の色空間の情報とが記録され、6チャネル目および7チャネル目のそれぞれには補助データが記録される。
【0050】
一方、ピクセルが特色を用いる場合、1チャネル目および2チャネル目のそれぞれには特色のIDが記録され、3チャネル目には階調が記録され、4チャネル目は予備用のチャネルであり、5チャネル目には画像データD1のデータ形式がベクター形式であるかラスター形式であるかの情報と入力の色空間の情報とが記録され、6チャネル目および7チャネル目のそれぞれは空きチャネルである。
【0051】
以上のように、プレビューデータD3には、ピクセルごとに、色に関する情報D3aが記録される。なお、プレビューデータD3のピクセルごとの情報D3aは、図4に示す例に限定されない。
【0052】
図5は、印刷データの生成およびプレビュー表示のための画像GUの一例を示す図である。情報処理装置1は、画像処理プログラムPGの実行により、例えば、図5に示すように、前述のプレビューデータD3に基づくプレビュー画像GPを含むGUI用の画像GUをアプリケーションウィンドウとして表示装置200に表示させる。なお、図5では、プレビュー画像GPが「ABC」の文字を示す場合が例示されるが、プレビュー画像GPの内容は、図5に示す例に限定されず、任意である。
【0053】
画像GUには、プレビュー画像GPのほか、ボタンBT1~BT5および表示欄DS1~DS3が含まれる。
【0054】
ボタンBT1は、画像データD1を入力するためのボタンである。ボタンBT1の操作により加えられた1以上の画像データD1は、表示欄DS1に表示される。表示欄DS1に複数の画像データD1が表示される場合、当該複数の画像データD1のうちの1つを選択することが可能である。
【0055】
ボタンBT2は、表示欄DS1に表示された画像データD1を削除するためのボタンである。このボタンの操作により、表示欄DS1から画像データD1の表示が削除される。ここで、表示欄DS1に複数の画像データD1が表示される場合、選択された画像データD1が表示欄DS1から削除される。
【0056】
ボタンBT3は、画像データD1をRIP処理するためのボタンである。このボタンの操作により、表示欄DS1に表示された画像データD1について、前述の図2のステップS1およびステップS2の処理が実行される。当該処理により、印刷データD2およびプレビューデータD3が生成されるとともに、プレビューデータD3に基づくプレビュー画像GPが表示欄DS2に表示される。ここで、表示欄DS1に複数の画像データD1が表示される場合、選択された画像データD1について当該処理が実行される。
【0057】
ボタンBT4は、印刷データD2に基づく画像を印刷するためのボタンである。このボタンの操作により、印刷データD2に基づく画像の印刷が印刷装置300で行われる。ここで、ボタンBT3の操作がまだ行われていない場合、前述のRIP処理を行った後に印刷装置300での印刷が行われる。また、表示欄DS1に複数の画像データD1が表示される場合、選択された画像データD1の印刷が実行される。
【0058】
ボタンBT5は、プレビュー画像GPの更新を行うためのボタンである。このボタンの操作により、表示欄DS1に表示された画像データD1について、前述の図2のステップS3~S8の処理が実行される。当該処理により、プレビュー画像GPが更新される。
【0059】
表示欄DS3には、択一的に選択可能なタブT1およびタブT2が含まれる。タブT1が選択される場合、表示欄DS3には、プロファイルの設定を含むカラー設定のための画像が表示される。当該画像への操作により、プロファイルの設定が変更可能である。タブT2が選択される場合、表示欄DS3には、色置換の設定のための画像が表示される。当該画像への操作により、色置換の設定が変更可能である。
【0060】
以上の情報処理装置1は、前述のように、処理部11と、「記憶部」の一例である記憶装置20と、を有する。処理部11は、画像データD1に基づいて、画像データD1をラスタライズ処理した印刷データD2と、印刷データD2よりもデータ容量の小さいプレビューデータD3と、を生成する。記憶装置20は、プレビューデータD3を記憶する。
【0061】
特に、処理部11は、印刷データD2に基づく印刷画像のプレビューの更新を受け付けた場合、記憶装置20から読み込んだプレビューデータD3を用いて、当該プレビューに用いるデータを更新する。このため、当該更新に画像データD1を用いる場合に比べて、印刷画像のプレビューを迅速に表示することができる。
【0062】
本実施形態では、前述のように、処理部11は、「表示部」の一例である表示装置200に、プレビューデータD3に基づく画像であるプレビュー画像GPを当該プレビューとして表示させる。このため、表示装置200に印刷画像のプレビューを表示させることができる。
【0063】
また、前述のように、処理部11は、画像データD1をRIP処理したラスターデータの色が1ピクセルごとにプロセスカラーであるか特色であるかの判別を行い、当該ラスターデータを用いて、当該判別の結果に関する情報D3aを含むプレビューデータD3を生成する。このため、画像データD1の示す画像の色に特色が用いられる場合、画像データD1のラスタライズ処理により特色が代替カラーに置き換えられても、特色を用いるピクセルの情報をプレビューデータD3に保持することができる。この結果、特色を用いるピクセルについて、プレビューの更新前に印刷設定の変更があっても、画像データD1を用いずに印刷画像のプレビューを正確に表示することができる。
【0064】
ここで、前述のように、処理部11は、プレビューの更新を受け付け、かつ、印刷画像の印刷設定が変更された場合、記憶装置20から読み込んだプレビューデータD3のほか、印刷設定に関する印刷設定情報D4を用いて、プレビューに用いるデータを変更する。このため、プレビューの更新前に印刷設定が変更されても、印刷設定の変更内容を反映したプレビューを表示することができる。
【0065】
本実施形態では、前述のように、印刷設定情報D4は、色置換の設定に関する色置換情報D4aを含む。処理部11は、プレビューの更新を受け付け、かつ、色置換の設定が変更された場合、記憶装置20から読み込んだプレビューデータD3と、色置換情報D4aと、に基づいて、プレビューに用いるデータを変更する。このため、プレビューの更新前に色置換の設定が変更されても、当該設定の変更内容を反映したプレビューを表示することができる。
【0066】
ここで、前述のように、処理部11は、プレビューの更新を受け付け、かつ、色置換の設定が変更された場合、記憶装置20から読み込んだプレビューデータD3から色置換情報D4aの示す色置換の入力色に対応するピクセルを探索し、その探索の結果を用いて、プレビューに用いるデータを変更する。このため、当該探索を行わない場合に比べて、色置換の設定の変更内容を反映したプレビューを迅速に表示することができる。
【0067】
また、前述のように、印刷設定情報D4は、プロファイルの設定に関するプロファイル情報D4bを含む。処理部11は、プレビューの更新を受け付け、かつ、プロファイルの設定が変更された場合、記憶装置20から読み込んだプレビューデータD3と、プロファイル情報D4bと、に基づいて、プレビューに用いるデータを変更する。このため、プレビューの更新前にプロファイルの設定が変更されても、当該設定の変更内容を反映したプレビューを表示することができる。
【0068】
ここで、前述のように、処理部11は、プレビューの更新を受け付け、かつ、プロファイルの設定が変更された場合、記憶装置20から読み込んだプレビューデータD3の色値を入力値としてプロファイル情報D4bの示すプロファイルによりプロファイル変換し、その変換の結果を用いて、プレビューに用いるデータを変更する。このため、当該プロファイル変換を行わない場合に比べて、プロファイルの設定の変更内容を反映したプレビューを迅速に表示することができる。
【0069】
2.変形例
以上の例示における各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。なお、以下の例示から任意に選択される2以上の態様は、互いに矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0070】
前述の形態では、パーソナルコンピューター等のコンピューターに画像処理プログラムPGをインストールする構成が例示されるが、当該構成に限定されない。例えば、画像処理プログラムPGは、プリンター等の出力デバイス、タブレット端末またはスマートフォン等の携帯機器にインストールされてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…情報処理装置、10…処理装置、11…処理部、20…記憶装置(記憶部)、40…通信装置、100…システム、200…表示装置(表示部)、300…印刷装置、400…入力装置、BT1…ボタン、BT2…ボタン、BT3…ボタン、BT4…ボタン、BT5…ボタン、D1…画像データ、D2…印刷データ、D3…プレビューデータ、D3a…情報、D4…印刷設定情報、D4a…色置換情報、D4b…プロファイル情報、DS1…表示欄、DS2…表示欄、DS3…表示欄、GP…プレビュー画像、GU…画像、PG…画像処理プログラム、S1…ステップ、S11…ステップ、S12…ステップ、S13…ステップ、S14…ステップ、S15…ステップ、S16…ステップ、S17…ステップ、S2…ステップ、S3…ステップ、S4…ステップ、S5…ステップ、S6…ステップ、S7…ステップ、S8…ステップ、S9…ステップ、T1…タブ、T2…タブ。
図1
図2
図3
図4
図5