(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ベッドサイド端末
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20241112BHJP
H01Q 1/52 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61B5/00 D
H01Q1/52
(21)【出願番号】P 2020200664
(22)【出願日】2020-12-03
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 英明
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 康史
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-538015(JP,A)
【文献】国際公開第2011/111120(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
H01Q 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末基板と、無線モジュールと、アンテナとを備えたベッドサイド端末であって、
前記端末基板と、前記無線モジュールと、前記アンテナとを
前記ベッドサイド端末の厚さ方向の位置が揃った状態で配設し、
前記無線モジュールと前記端末基板とを接続する配線を前記アンテナと直交する方向に架設することを特徴とするベッドサイド端末。
【請求項2】
タブレットを更に備え、
前記タブレットを
前記ベッドサイド端末の厚さ方向の位置が揃った状態で配設するとともに、当該タブレットを前記アンテナと互いに離隔させた状態で配設することを特徴とする請求項1に記載のベッドサイド端末。
【請求項3】
近距離無線通信を行う通信装置を更に備え、
前記通信装置を
前記ベッドサイド端末の厚さ方向の位置が揃った状態で配設するとともに、当該通信装置を前記タブレットと前記アンテナとの間に配設することを特徴とする請求項2に記載のベッドサイド端末。
【請求項4】
前記配線は、USB配線であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のベッドサイド端末。
【請求項5】
前記配線は、同軸であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のベッドサイド端末。
【請求項6】
前記無線モジュールは、サブギガ帯の電波を用いて無線通信を行うことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のベッドサイド端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドサイド端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等の医療機関においては、患者の呼吸数、呼吸波形、心拍数、心拍波形等の生体情報を、電波センサーを用いて継続的に測定し、異常の有無を監視するシステムが使用されている。このシステムでは、生体情報の測定データを、ベッドサイドに設けられたベッドサイド端末などに表示させることで、医師や看護師等の医療従事者が測定データを確認することができる。
【0003】
このベッドサイド端末としては、例えば、データ入手部が入手した体温データの数値と体温計の体温表示とが互いに異なることが推定できた場合に、当該データ入手部が入手した体温データを使用者に確認させることを促す表示を行うベッドサイド端末などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、ベッドサイド端末は、病室の壁に埋め込んで使用するタイプや、床頭台上、ベッドボード、サイドレールなどに設置して使用するタイプ等があるが、いずれのタイプにおいても、看護師や患者などの移動、作業に支障を来すことがないようにすることを目的として、端末自体を薄型にすることが好ましい。ベッドサイド端末を薄型にする場合は、例えば、端末基板、無線モジュール、無線アンテナ等を同一平面上に配置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように端末基板、無線モジュール、無線アンテナ等を同一平面上に配置することでベッドサイド端末を薄型にした場合、ノイズの影響を受けやすくなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、ベッドサイド端末の薄型化を図るとともにノイズの影響を受け難くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のベッドサイド端末は、
端末基板と、無線モジュールと、アンテナとを備えたベッドサイド端末であって、
前記端末基板と、前記無線モジュールと、前記アンテナとを前記ベッドサイド端末の厚さ方向の位置が揃った状態で配設し、
前記無線モジュールと前記端末基板とを接続する配線を前記アンテナと直交する方向に架設することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のベッドサイド端末において、
タブレットを更に備え、
前記タブレットを前記ベッドサイド端末の厚さ方向の位置が揃った状態で配設するとともに、当該タブレットを前記アンテナと互いに離隔させた状態で配設することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のベッドサイド端末において、
近距離無線通信を行う通信装置を更に備え、
前記通信装置を前記ベッドサイド端末の厚さ方向の位置が揃った状態で配設するとともに、当該通信装置を前記タブレットと前記アンテナとの間に配設することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載のベッドサイド端末において、
前記配線は、USB配線であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載のベッドサイド端末において、
前記配線は、同軸であることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載のベッドサイド端末において、
前記無線モジュールは、サブギガ帯の電波を用いて無線通信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ベッドサイド端末の薄型化を図るとともにノイズの影響を受け難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】生体情報監視システムのシステム構成図である。
【
図2】ベッドサイド端末の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】ベッドサイド端末を構成する各部の筐体内における位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0017】
〔生体情報監視システムの構成〕
図1に、生体情報監視システム100のシステム構成を示す。
図1に示すように、生体情報監視システム100は、ナースステーションに設けられたステーションサーバー10と、病室内の各ベッドに設けられたベッドサイド端末30と、を備えて構成されている。生体情報監視システム100は、病院等の医療施設内で利用される。ステーションサーバー10とベッドサイド端末30とは、無線通信により相互にデータ通信可能となっている。医療施設内の無線通信は、通信に用いる周波数が医療機器と干渉しないサブギガ帯であることが望ましい。
【0018】
ステーションサーバー10は、ベッドサイド端末30により収集された各患者の測定データ(生体情報)を一元管理する。ステーションサーバー10の表示部13は、複数の患者の生体情報を監視するためのモニタリング画面を表示する。生体情報としては、呼吸数、心拍数、体温、SpO2等が挙げられる。ナースステーションでは、ステーションサーバー10で各患者の容体の変化を把握することができる。
【0019】
また、ステーションサーバー10には、外付HDD(Hard Disk Drive)20、UPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)21、プリンター22が接続されている。
外付HDD20は、ステーションサーバー10において管理される各患者の生体情報等のデータを記憶する。
UPS21は、二次電池等の電力を蓄積する装置を内蔵し、停電等により外部からの電力供給が途絶えても、一定時間決められた出力で電力を供給することができる装置である。
プリンター22は、用紙上に測定データを印刷するものであり、ステーションサーバー10の表示部13に表示される各種測定データ等を印刷する。
【0020】
ベッドサイド端末30は、各患者のベッドサイドに設置され、当該端末30に接続されているパルスオキシメーター41や呼吸センサー42から患者の生体情報を取得し、測定結果を表示する。また、ベッドサイド端末30は、ICカード51を読み取って医療従事者の識別情報を取得したり、体温計等のNFC(Near Field Communication)対応の測定器52から患者の生体情報を取得したりする。ベッドサイド端末30は、生体情報の測定データをステーションサーバー10に送信する。
【0021】
〔ベッドサイド端末の構成〕
図2に、ベッドサイド端末30の機能的構成を示す。
図2に示すように、ベッドサイド端末30は、タブレット31、無線通信部32、I/F部33、NFCリーダー34等を備えて構成されており、各部はバスにより接続されている。
【0022】
タブレット31は、制御部(図示省略)、操作部(図示省略)、表示部31A、計時部(図示省略)、記憶部(図示省略)等を備えて構成されている。
【0023】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、ベッドサイド端末30の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、記憶部に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0024】
操作部は、各種スイッチ、表示部31A上に設けられる図示しないタッチセンサ等を有して構成されており、例えば、医療従事者の入力操作を受け付けて、操作内容を電気信号に変換して制御部に出力する。
【0025】
表示部31Aは、LCD(Liquid Crystal Display)等のモニターを備えて構成されており、制御部から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。例えば、表示部31Aは、パルスオキシメーター41や呼吸センサー42から取得された生体情報(測定値、測定波形等)を表示する画面を表示する。
【0026】
計時部は、計時回路(RTC:Real Time Clock)を有し、この計時回路により現在日時を計時して制御部に出力する。
【0027】
記憶部は、不揮発性の半導体メモリー等で構成されており、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。記憶部には、ベッドサイド端末30に対応する患者の生体情報が記憶されている。また、記憶部には、ベッドサイド端末30に対応する患者の患者識別情報(患者名、患者ID)が記憶されている。
【0028】
無線通信部32は、後述する無線アンテナ(アンテナ)32Aや無線モジュール32B等を備えて構成されており、無線通信により、ステーションサーバー10とデータの送受信を行うための無線インターフェースである。
【0029】
I/F部33は、パルスオキシメーター41や呼吸センサー42等の外部機器と接続するためのインターフェースである。I/F部33は、例えば、パルスオキシメーター41や呼吸センサー42から患者の生体情報信号を受信する。
【0030】
NFCリーダー(通信装置)34は、医療従事者が所持するICカード51から医療従事者の識別情報を取得する。また、NFCリーダー34は、NFC対応の測定器52から患者の生体情報を取得する。例えば、NFCリーダー37により取得された情報は、タブレット31の計時部から取得された現在日時と対応付けられて、ステーションサーバー10に送信される。
【0031】
〔ベッドサイド端末の内部構造〕
図3に、ベッドサイド端末30を構成する各部の筐体内における位置関係を示す。なお、
図3では、ベッドサイド端末30の厚さ方向をZ方向とするXYZ直交座標系により当該ベッドサイド端末30を構成する各部の位置関係を説明する。
【0032】
図3に示すように、ベッドサイド端末30は、薄型にすることを目的として、タブレット31、無線アンテナ32A、無線モジュール32B、NFCリーダー34、ベッドサイド端末基板(端末基板)35等が同一のXY平面上に配設、すなわちベッドサイド端末30の厚さ方向(Z軸方向)の位置が揃った状態で配設されている。
【0033】
ここで、ベッドサイド端末基板35には、I/F部33を構成する各種のコネクタ、並びに、タブレット31、無線モジュール32B、及びNFCリーダー34のそれぞれと電気的に接続するためのコネクタ等が搭載されている。
【0034】
無線アンテナ32Aは、いわゆるモノポールアンテナであり、その軸方向(長手方向)が上記XY平面のY軸と平行となるように配設されている。また、無線アンテナ32Aは、筐体内の左端に配設されている。
【0035】
無線モジュール32Bは、無線通信に必要な各種機能を備えた電子部品であり、無線アンテナ32Aの基部の右隣に配設されている。無線モジュール32Bと無線アンテナ32Aとの接続は、無線アンテナ32Aの基部に設けられているプラグ32A1を介してなされている。ここで、無線モジュール32Bは、サブギガ帯(1GHzをやや下回る周波数帯であって、特に日本では一般的に920MHz帯を指す)の電波を用いてステーションサーバー10との間で無線通信を行う。
【0036】
ベッドサイド端末基板35は、無線モジュール32Bの右隣に配設されている。また、ベッドサイド端末基板35は、USB配線(配線)C1を介して無線モジュール32Bと接続されている。ここで、USB配線C1は、無線アンテナ32Aの軸方向(Y軸方向)、すなわち無線の偏波方向と直交する方向(X軸方向)に架設されている。これにより、USB配線C1から発せられている電波と、無線モジュール32Bによる無線通信で用いられるサブギガ帯の電波と、が相互に影響を受けることを抑制している。なお、ベッドサイド端末基板35と無線モジュール32Bとを接続する配線(ケーブル)は、上述のUSB配線C1に限らず同軸ケーブルであってもよい。
【0037】
タブレット31は、ベッドサイド端末基板35の上方に配設されている。タブレット31は、USB配線C2を介してベッドサイド端末基板35と接続されている。
【0038】
NFCリーダー34は、タブレット31の左隣に配設されており、無線アンテナ32Aとタブレット31との間に挟まれた状態で配設されている。この結果、無線アンテナ32Aとタブレット31とを互いに離隔することで、タブレット31から発せられる電波が無線アンテナ32Aに与える影響を低減できるようにしている。
また、NFCリーダー34は、USB配線C3を介してベッドサイド端末基板35と接続されている。
【0039】
以上のように、本実施形態に係るベッドサイド端末30は、ベッドサイド端末基板(端末基板)35と、無線モジュール32Bと、無線アンテナ(アンテナ)32Aとを同一の平面上に配設し、無線モジュール32Bとベッドサイド端末基板35とを接続するUSB配線C1を無線アンテナ32Aと直交する方向に架設している。
したがって、本実施形態に係るベッドサイド端末30によれば、ベッドサイド端末基板35と、無線モジュール32Bと、無線アンテナ32Aとを同一の平面上に配設することで、ベッドサイド端末30の薄型化を図ることができる。また、USB配線C1を無線アンテナ32Aの軸方向(Y軸方向)、すなわち無線の偏波方向と直交する方向(X軸方向)に架設することで、USB配線C1から発せられている電波と、無線モジュール32Bによる無線通信で用いられる電波と、が相互に影響を受けることを抑制することができるので、ノイズの影響を受け難くすることができる。
【0040】
また、本実施形態に係るベッドサイド端末30は、タブレット31を更に備え、タブレット31を上記の平面上に配設するとともに無線アンテナ32Aと互いに離隔させた状態で配設している。
したがって、本実施形態に係るベッドサイド端末30によれば、タブレット31を無線アンテナ32Aと互いに離隔させた状態で配設することで、タブレット31から発せられる電波が無線アンテナ32Aに与える影響を低減することができる。
【0041】
また、本実施形態に係るベッドサイド端末30は、NFCリーダー(通信装置)34を更に備え、NFCリーダー34を上記の平面上に配設するとともにタブレット31と無線アンテナ32Aとの間に配設している。
したがって、本実施形態に係るベッドサイド端末30によれば、タブレット31と無線アンテナ32Aとの間のスペースにNFCリーダー34を配設することで、当該スペースを有効に活用することができるので、ベッドサイド端末30のコンパクト化を図ることができる。
【0042】
また、本実施形態に係るベッドサイド端末30によれば、無線モジュール32Bとベッドサイド端末基板35とを接続する配線がUSB配線C1であるため、このUSB配線C1から発せられる電波が無線モジュール32Bによる無線通信の帯域に入るとノイズの影響をうけやすくなってしまうが、上記のようにUSB配線C1を無線アンテナ32Aの軸方向と直交する方向に架設することで、USB配線C1から発せられる電波と、無線モジュール32Bによる無線通信で用いられる電波と、が相互に影響を受けることを抑制することができるので、ノイズの影響を受け難くすることができる。
【0043】
また、本実施形態に係るベッドサイド端末30によれば、無線モジュール32Bは、サブギガ帯の電波を用いて無線通信を行っているため、USB配線C1から発せられる電波による影響を特に受けやすい状況にあるが、上記のようにUSB配線C1を無線アンテナ32Aの軸方向と直交する方向に架設することで、ノイズの影響を受け難くすることができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0045】
100 生体情報監視システム
10 ステーションサーバー
30 ベッドサイド端末
31 タブレット
32 無線通信部
32A 無線アンテナ(アンテナ)
32B 無線モジュール
33 I/F部
34 NFCリーダー(通信装置)
35 ベッドサイド端末基板(端末基板)
C1 USB配線(配線)
C2 USB配線
C3 USB配線