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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20241112BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/13357
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020208400
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2022095210
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真一
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-148653(JP,A)
【文献】中国実用新案第207096631(CN,U)
【文献】特開2005-043716(JP,A)
【文献】特開2005-321614(JP,A)
【文献】特開2004-117659(JP,A)
【文献】特開2010-060591(JP,A)
【文献】特開2005-062777(JP,A)
【文献】特開2010-085548(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0356672(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形の底板と、前記底板を囲むようにして前記底板の4個の辺にそれぞれ設けられた第1乃至第4側部と、前記第1乃至第4側部にそれぞれ設けられた第1乃至第4段差とを有するフレームと、
前記底板上に配置された照明装置と、
前記第1乃至第4段差上に設けられ、四角形を有する粘着部材と、
前記照明装置の上方かつ前記粘着部材上に設けられた液晶表示パネルと、
を具備し、
前記第1段差は、前記第1側部が延びる方向に沿って延び、直線状に構成された第1溝を有し、
前記第1溝は、前記粘着部材との間に空洞を有するようにして、前記粘着部材によって全体が覆われる
液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1溝は、前記第1側部の両端部まで延びる
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第2段差は、前記第2側部が延びる方向に沿って延び、直線状に構成された第2溝を有し、
前記第3段差は、前記第3側部が延びる方向に沿って延び、直線状に構成された第3溝を有し、
前記第2及び第3溝は、前記粘着部材との間に空洞を有するようにして、前記粘着部材によって全体が覆われる
請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
四角形のケースと、
前記ケースの内側の4個に側面にそれぞれ設けられた第1乃至第4側部と、前記第1乃至第4側部にそれぞれ設けられた第1乃至第4段差とを有するフレームと、
前記ケース上かつ前記フレームの内側に配置された照明装置と、
前記第1乃至第4段差上に設けられ、四角形を有する粘着部材と、
前記照明装置の上方かつ前記粘着部材上に設けられた液晶表示パネルと、
を具備し、
前記第1段差は、前記第1側部が延びる方向に沿って延び、直線状に構成された第1溝を有し、
前記第1溝は、前記粘着部材との間に空洞を有するようにして、前記粘着部材によって全体が覆われる
液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1溝は、前記第1側部の両端部まで延びる
請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第2段差は、前記第2側部が延びる方向に沿って延び、直線状に構成された第2溝を有し、
前記第3段差は、前記第3側部が延びる方向に沿って延び、直線状に構成された第3溝を有し、
前記第4段差は、前記第4側部が延びる方向に沿って延び、直線状に構成された第4溝を有し、
前記第2乃至第4溝は、前記粘着部材との間に空洞を有するようにして、前記粘着部材によって全体が覆われる
請求項4又は5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記フレームは、樹脂で構成される
請求項1乃至6の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記粘着部材は、両面テープで構成される
請求項1乃至7の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置として液晶表示装置が知られている。液晶表示装置は、照明装置としてのバックライト、及び液晶表示パネルを備える。バックライト及び液晶表示パネルは、この順に積層される。
【0003】
バックライト及び液晶表示パネルは、四角形の樹脂フレームに収容されて固定される。液晶表示パネルは、両面テープによって樹脂フレームの段差部分に粘着される。
【0004】
樹脂フレームは、温度変化(例えば+80度や-20度)で常温時に対して伸びたり縮んだりする。一方、液晶表示パネルは、その主要部がガラス材料で構成されるため、樹脂フレームに比べて寸法変化はかなり小さい。
【0005】
このような構造の場合、高温時もしくは低温時には、樹脂フレームと液晶表示パネルとの間に寸法差が生じる。この寸法差に起因して液晶表示パネルに外力が加わり、この外力が液晶層に伝わる。この結果、液晶表示パネルの表示にムラが発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-230963号公報
【文献】特表2018-513420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、表示ムラを低減することが可能な液晶表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様によると、四角形の底板と、前記底板を囲むようにして前記底板の4個の辺にそれぞれ設けられた第1乃至第4側部と、前記第1乃至第4側部にそれぞれ設けられた第1乃至第4段差とを有するフレームと、前記底板上に配置された照明装置と、前記第1乃至第4段差上に設けられ、四角形を有する粘着部材と、前記照明装置の上方かつ前記粘着部材上に設けられた液晶表示パネルとを具備し、前記第1段差は、前記第1側部が延びる方向に沿って延びる第1溝を有し、前記第1溝は、前記粘着部材によって覆われる、液晶表示装置が提供される。
【0009】
本発明の第2態様によると、前記第1溝は、前記第1側部の両端部まで延びる、第1態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0010】
本発明の第3態様によると、前記第2段差は、前記第2側部が延びる方向に沿って延びる第2溝を有し、前記第3段差は、前記第3側部が延びる方向に沿って延びる第3溝を有し、前記第2及び第3溝は、前記粘着部材によって覆われる、第1又は第2態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0011】
本発明の第4態様によると、四角形のケースと、前記ケースの内側の4個に側面にそれぞれ設けられた第1乃至第4側部と、前記第1乃至第4側部にそれぞれ設けられた第1乃至第4段差とを有するフレームと、前記ケース上かつ前記フレームの内側に配置された照明装置と、前記第1乃至第4段差上に設けられ、四角形を有する粘着部材と、前記照明装置の上方かつ前記粘着部材上に設けられた液晶表示パネルとを具備し、前記第1段差は、前記第1側部が延びる方向に沿って延びる第1溝を有し、前記第1溝は、前記粘着部材によって覆われる、液晶表示装置が提供される。
【0012】
本発明の第5態様によると、前記第1溝は、前記第1側部の両端部まで延びる、第4態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0013】
本発明の第6態様によると、前記第2段差は、前記第2側部が延びる方向に沿って延びる第2溝を有し、前記第3段差は、前記第3側部が延びる方向に沿って延びる第3溝を有し、前記第4段差は、前記第4側部が延びる方向に沿って延びる第4溝を有し、前記第2乃至第4溝は、前記粘着部材によって覆われる、第4又は第5態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0014】
本発明の第7態様によると、前記フレームは、樹脂で構成される、第1乃至第6態様の何れかに係る液晶表示装置が提供される。
【0015】
本発明の第8態様によると、前記粘着部材は、両面テープで構成される、第1乃至第7態様の何れかに係る液晶表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、表示ムラを低減することが可能な液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1実施形態に係る液晶表示装置の平面図である。
図2図2は、液晶表示パネルを除いた液晶表示装置の平面図である。
図3図3は、液晶表示パネル及び粘着部材を除いた液晶表示装置の平面図である。
図4図4は、図1のA-A´線に沿った液晶表示装置の断面図である。
図5図5は、図1のB-B´線に沿った液晶表示装置の断面図である。
図6図6は、段差に設けられた溝の一部領域を抽出した図である。
図7図7は、第2実施形態に係る液晶表示装置の平面図である。
図8図8は、液晶表示パネルを除いた液晶表示装置の平面図である。
図9図9は、液晶表示パネル及び粘着部材を除いた液晶表示装置の平面図である。
図10図10は、図7のA-A´線に沿った液晶表示装置の断面図である。
図11図11は、図7のB-B´線に沿った液晶表示装置の断面図である。
図12図12は、第3実施形態に係る液晶表示装置の平面図である。
図13図13は、第4実施形態に係る液晶表示装置の平面図である。
図14図14は、図13のA-A´線に沿った液晶表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
[1] 第1実施形態
以下に、表示装置として液晶表示装置を例に挙げて説明する。
【0020】
[1-1] 液晶表示装置1の構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の平面図である。図2は、液晶表示パネル20を除いた液晶表示装置1の平面図であり、粘着部材31を中心に説明するための図である。図3は、液晶表示パネル20及び粘着部材31を除いた液晶表示装置1の平面図であり、フレーム30に形成された溝32を中心に説明するための図である。図4は、図1のA-A´線に沿った液晶表示装置1の断面図である。図5は、図1のB-B´線に沿った液晶表示装置1の断面図である。図1のA-A´線に沿った方向がX方向、X方向に直交する方向がY方向である。
【0021】
液晶表示装置1は、照明装置10、液晶表示パネル20、フレーム30、及び粘着部材31を備える。照明装置10は、バックライトとも呼ばれる。以下に、フレーム30、照明装置10、液晶表示パネル20、及び粘着部材31の順に、これらの構成について説明する。
【0022】
(フレーム30の構成)
フレーム30は、照明装置10及び液晶表示パネル20を収容するとともに、照明装置10及び液晶表示パネル20を所望の位置に固定する。フレーム30の外形は、四角形(例えば長方形)である。フレーム30は、樹脂で構成される。
【0023】
フレーム30は、四角形のケース形状を有する。フレーム30は、四角形の底板30Aと、底板30Aを囲むようにして底板30Aの4個の辺にそれぞれ設けられた4個の側部とを有する。フレーム30の4個の側部にはそれぞれ、段差30B-1~30B-4が設けられる。図2に示すように、段差30B-1は、フレーム30の左側の側部に設けられ、段差30B-2は、フレーム30の右側の側部に設けられ、段差30B-3は、フレーム30の上側の側部に設けられ、段差30B-4は、フレーム30の下側の側部に設けられる。
【0024】
フレーム30のうち段差30B-1~30B-4より下の開口部のサイズは、照明装置10のサイズと同じか若干大きく設定され、この部分の開口部には、照明装置10がはめ込まれる。段差30B-1~30B-4には、液晶表示パネル20が載置される。フレーム30のうち段差30B-1~30B-4より上の開口部のサイズは、液晶表示パネル20のサイズと同じか若干大きく設定され、この部分の開口部には、液晶表示パネル20がはめ込まれる。
【0025】
フレーム30は、図1の下側の側部に開口部30Cを有する。開口部30Cは、後述するフレキシブルプリント配線板を引き出すために用いられる。
【0026】
(照明装置10の構成)
照明装置10は、サイドライト型(エッジライト型)のバックライトからなる。照明装置10は、反射シート11、導光板12、光学フィルム13、複数の発光素子14、及びフレキシブルプリント配線板(FPC:Flexible Printed Circuit)15を備える。
【0027】
照明装置10は、フレーム30の底板30A上に載置される。反射シート11、導光板12、及び光学フィルム13は、この順に積層される。反射シート11は、フレーム30の底板30Aに接する。
【0028】
複数の発光素子14の各々は、白色光を発光する。発光素子14は、例えばLED(light-emitting diode)で構成される。
【0029】
複数の発光素子14は、フレキシブルプリント配線板15の底面に設けられる。発光素子14は、フレキシブルプリント配線板15に半田などで実装され、フレキシブルプリント配線板15内に設けられた配線に電気的に接続される。発光素子14には、フレキシブルプリント配線板15を介して電源が供給される。実際の製造では、フレキシブルプリント配線板15の底面を上にした状態で発光素子14を接着し、発光素子14がフレキシブルプリント配線板15の下に来るようにして液晶表示装置1に実装される。発光素子14は、導光板12の側面に向き合うように配置され、導光板12の側面に向けて光を出射する。
【0030】
フレキシブルプリント配線板15は、プリント基板の一種であり、フレキシブルプリント回路基板とも呼ばれる。フレキシブルプリント配線板15は、薄く柔らかい絶縁性のあるベースフィルムと、導電性金属とを貼り合わせた基材に電気回路を形成したフィルム状のプリント基板である。フレキシブルプリント配線板15は、粘着部材(図示せず)によって導光板12に粘着される。図3に示すように、フレキシブルプリント配線板15は、X方向に延び、発光素子14が実装される実装部分と、この実装部分からY方向に延びる配線部分とから構成される。フレキシブルプリント配線板15は、フレーム30の開口部30Cから外に引き出される。
【0031】
反射シート11は、導光板12の下部から漏れた光を再度、導光板12に向けて反射する。なお、図3では、照明装置10に含まれる反射シート11の図示を省略している。反射シート11のサイズは、おおよそ導光板12と同じである。
【0032】
導光板12は、発光素子14から出射された光を液晶表示パネル20の面内に均一に照射するための光学部材である。導光板12は、アクリル樹脂やポリカーボネートなどの透光性材料で構成される。
【0033】
光学フィルム13は、導光板12から出射された光の輝度を向上させるとともに、光の輝度を均一化する機能を有する。例えば、光学フィルム13は、プリズムシートと、拡散シートとが積層されて構成される。プリズムシートは、正面方向(液晶表示パネル20に向かう方向)に光を集光し、正面の輝度を向上させる機能を有する。拡散シートは、表示画面内の光の輝度をより均一化させる機能を有する。
【0034】
(液晶表示パネル20の構成)
液晶表示パネル20は、基板21、22、偏光板23、24、ドライバ25、及びフレキシブルプリント配線板26を備える。
【0035】
基板21、22は、透明基板で構成され、例えばガラス基板で構成される。基板21、22間には、液晶層、電極、及びカラーフィルターなどが配置される。図4及び図5では、基板21、22間の部材について図示を省略している。偏光板23は、基板21の一方の主面に積層される。偏光板24は、基板22の一方の主面に積層される。
【0036】
基板21のY方向の端部には、ドライバ25が配置される。ドライバ25は、液晶表示パネル20に含まれる複数の画素を駆動する回路である。ドライバ25は、IC(Integrated Circuit:集積回路)で構成される。
【0037】
基板21のY方向の端部には、フレキシブルプリント配線板26が接続される。フレキシブルプリント配線板26は、ドライバ25に電気的に接続される。フレキシブルプリント配線板26は、フレーム30の開口部30Cから外に引き出される。
【0038】
(粘着部材31の構成)
粘着部材31は、フレーム30、照明装置10、及び液晶表示パネル20を相互に粘着する機能を有する。粘着部材31は、四角形の枠形状を有する。粘着部材31は、フレーム30の段差30B-1~30B-4上に設けられるとともに、照明装置10に部分的に重なるように設けられる。粘着部材31は、底面及び上面に粘着材(粘着層)を有する。粘着部材31は、例えば両面テープで構成される。
【0039】
粘着部材31の底面は、フレーム30の段差30B-1~30B-4に粘着されるとともに、照明装置10に部分的に粘着される。具体的には、粘着部材31の底面は、照明装置10の光学フィルム13に粘着される。
【0040】
粘着部材31の上面は、液晶表示パネル20に粘着される。具体的には、粘着部材31の上面は、液晶表示パネル20の偏光板23に粘着される。
【0041】
[1-2] 段差30B-1~30B-3の溝の構成
図3に示すように、フレーム30の3個の段差30B-1~30B-3にはそれぞれ、溝32-1~32-3が設けられる。図6は、段差30B-1、30B-3に設けられた溝32-1、32-3の一部領域を抽出した図である。図6は、図3の左上の端部を抽出した図である。図6(a)が平面図、図6(b)が図6(a)のC-C´線に沿った断面図である。なお、図6(b)の断面図には、液晶表示パネル20(基板21、22、及び偏光板23、24)、及び粘着部材31も図示している。
【0042】
溝32-1は、段差30B-1が延びる方向(Y方向)に沿って延び、また、段差30B-1のY方向における両端付近まで延びる。溝32-2は、段差30B-2が延びる方向(Y方向)に沿って延び、また、段差30B-2のY方向における両端付近まで延びる。溝32-3は、段差30B-3が延びる方向(X方向)に沿って延び、また、段差30B-3のX方向における両端付近まで延びる。溝32-1は、段差30B-1のX方向における中央付近に配置される。溝32-2、32-3についても同様である。
【0043】
溝32-1~32-3の幅はそれぞれ、段差30B-1~30B-3の幅より狭い。溝32-1~32-3の深さは、0.2mm以上0.3mm以下程度である。
【0044】
溝32-1~32-3は、粘着部材31によって覆われる。溝32-1~32-3は、液晶表示パネル20の下方に配置される。
【0045】
粘着部材31は、フレーム30の段差30B-1~30B-4の端まで形成され、液晶表示パネル20に粘着固定している。フレーム30は、樹脂で構成される。フレーム30は、温度変化(例えば+80度や-20度)で常温時に対して伸びたり縮んだりする。一方、液晶表示パネル20は主要部がガラス材料であるため、フレーム30に比べて寸法変化はかなり小さい。このような構造の場合、高温時もしくは低温時に、液晶表示パネル20とフレーム30との間に寸法差が発生する。
【0046】
本実施形態では、フレーム30の3個の段差30B-1~30B-3にはそれぞれ、溝32-1~32-3が設けられる。粘着部材31とフレーム30(具体的には、段差30B-1~30B-3)との接触面積が減ることで、液晶表示パネル20とフレーム30との粘着面積を減らすことができる。よって、液晶表示パネル20とフレーム30との粘着強度が小さくなる。これにより、高温時もしくは低温時に液晶表示パネル20とフレーム30との間に寸法差が発生した場合、液晶表示パネル20とフレーム30との間に粘着ずれが発生する。この粘着ずれにより、液晶表示パネル20への外力を小さくすることができる。
【0047】
なお、段差に形成する溝の本数は、3本に限定されず、1本であってもよいし、2本であってもよい。溝を設ける位置は、任意に設定可能である。
【0048】
[1-3] 第1実施形態の効果
以上詳述したように第1実施形態では、液晶表示装置1は、フレーム30、照明装置10、粘着部材31、及び液晶表示パネル20を備える。フレーム30は、四角形の底板30Aと、底板30Aを囲むようにして底板30Aの4個の辺にそれぞれ設けられた第1乃至第4側部と、第1乃至第4側部にそれぞれ設けられた4個の段差30B-1~30B-4とを有する。照明装置10は、フレーム30の底板30A上に配置される。粘着部材31は、段差30B-1~30B-4上に設けられ、四角形を有する。液晶表示パネル20は、照明装置10の上方かつ粘着部材31上に設けられる。段差30B-1~30B-3はそれぞれ、対応する側部が延びる方向に沿って延びる溝32-1~32-3を有する。溝32-1~32-3は、粘着部材31によって覆われる。
【0049】
従って第1実施形態によれば、粘着部材31とフレーム30(具体的には、段差30B-1~30B-3)との接触面積が減ることで、液晶表示パネル20とフレーム30との粘着面積を減らすことができ、また、液晶表示パネル20とフレーム30との粘着強度を小さくすることができる。これにより、高温時もしくは低温時に液晶表示パネル20とフレーム30との間に寸法差が発生した場合、液晶表示パネル20とフレーム30との間に粘着ずれが発生する。この粘着ずれにより、液晶表示パネル20への外力を小さくすることができる。これにより、液晶表示パネル20の表示ムラを低減することができる。
【0050】
また、フレーム30に溝を設けることで、粘着部材31の幅を細くすることなく、液晶表示パネル20とフレーム30との粘着面積を小さくすることができる。これにより、量産時において、液晶表示パネル20と粘着部材31との位置ばらつきが発生した場合でも、比較的ばらつきの少ない粘着面積を確保することができる。結果として、液晶表示装置1の品質を向上させることができ、また歩留まりを向上させることができる。
【0051】
[2] 第2実施形態
第2実施形態は、第1実施形態と異なる構造を有するフレーム30を用いた液晶表示装置の構成例である。
【0052】
図7は、本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置1の平面図である。図8は、液晶表示パネル20を除いた液晶表示装置1の平面図であり、粘着部材31を中心に説明するための図である。図9は、液晶表示パネル20及び粘着部材31を除いた液晶表示装置1の平面図であり、フレーム30に形成された溝32を中心に説明するための図である。図10は、図7のA-A´線に沿った液晶表示装置1の断面図である。図11は、図7のB-B´線に沿った液晶表示装置1の断面図である。
【0053】
液晶表示装置1は、ケース33を備える。ケース33は、四角形を有し、底板と4個の側部とを有する。ケース33は、照明装置10、液晶表示パネル20、及びフレーム30を収容する。ケース33は、照明装置10のフレキシブルプリント配線板15と、液晶表示パネル20のフレキシブルプリント配線板26とを外部に引き出すための開口部33Aを有する。
【0054】
ケース33の底板上には、フレーム30が設けられる。フレーム30は、四角形の枠形状を有し、4個の側部を有する。フレーム30の4個の側部は、ケース33の内側の側面に設けられる。フレーム30の中央は開口されている。すなわち、第2実施形態のフレーム30は、第1実施形態のフレーム30と異なり、底板を有していない。フレーム30の4個の側部にはそれぞれ、段差30B-1~30B-4が設けられる。
【0055】
フレーム30のうち段差30B-1~30B-4より下の開口部には、照明装置10がはめ込まれる。照明装置10に含まれる反射シート11、導光板12、及び光学フィルム13は、この順に積層される。反射シート11は、ケース33の底板に接する。
【0056】
フレキシブルプリント配線板15には、複数の発光素子14が実装される。図11に示すように、フレキシブルプリント配線板15は、ケース33の側部に沿って配置され、ケース33の開口部33A付近で折り曲げられて外部に引き出される。フレキシブルプリント配線板15は、図示せぬ粘着材でケース33に部分的に固定される。
【0057】
発光素子14は、導光板12の側面に向き合うように配置され、導光板12の側面に向けて光を出射可能なように配置される。フレーム30のうち段差30B-4を有する側部の底面は、発光素子14より上に位置するとともに、導光板12に接する。
【0058】
フレーム30の4個の段差30B-1~30B-4にはそれぞれ、溝32-1~32-4が設けられる。第2実施形態では、溝32-4が新たに設けられている。3個の溝32-1~32-3の構成は、第1実施形態と同じである。溝32-4は、段差30B-4が延びる方向(X方向)に沿って延び、また、段差30B-4のX方向における両端付近まで延びる。
【0059】
溝32-1~32-4の幅はそれぞれ、段差30B-1~30B-4の幅より狭い。溝32-1~32-4の深さは、0.2mm以上0.3mm以下程度である。
【0060】
粘着部材31は、フレーム30の段差30B-1~30B-4上に設けられるとともに、照明装置10に部分的に重なるように設けられる。溝32-1~32-4は、粘着部材31によって覆われる。
【0061】
液晶表示パネル20は、フレーム30のうち段差30B-1~30B-4より上の開口部内に配置される。また、液晶表示パネル20は、粘着部材31に粘着される。
【0062】
上記のように構成された液晶表示装置1では、段差30B-4にも溝32-4が形成される。段差30B-4においても、粘着部材31とフレーム30との接触面積を低減することができる。これにより、高温時もしくは低温時に液晶表示パネル20とフレーム30との間に寸法差が発生した場合でも、液晶表示パネル20への外力を小さくすることができる。溝32-1~32-3の作用効果については、第1実施形態と同じである。
【0063】
なお、段差に形成する溝の本数は、4本に限定されず、1~3本のいずれであってもよい。溝を設ける位置は、任意に設定可能である。
【0064】
[3] 第3実施形態
第3実施形態は、溝32の他の構成例である。溝32は、2個以上に分断されていてもよい。
【0065】
図12は、本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置1の平面図である。図12は、液晶表示パネル20及び粘着部材31を除いた液晶表示装置1の平面図であり、フレーム30に形成された溝32を中心に説明するための図である。液晶表示パネル20及び粘着部材31の構成は、第1実施形態と同じである。
【0066】
段差30B-3には、2個の溝32-3が設けられる。2個の溝32-3はそれぞれ、X方向に延びる。2個の溝32-3は、粘着部材31によって覆われる。その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0067】
第3実施形態によれば、各々の溝32-3の長さを短くできるので、製造工程を容易にすることができる。その他の効果は、第1実施形態と同じである。
【0068】
なお、段差30B-3に形成される溝は、3個以上に分断されていてもよい。
【0069】
また、溝32-1、32-2についても、溝32-3と同様に、2個以上に分断されていてもよい。
【0070】
[4] 第4実施形態
第4実施形態では、粘着部材31の4辺のうち一部の幅を細くして、粘着部材31とフレーム30との接触面積を小さくするようにしている。
【0071】
図13は、本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置1の平面図である。図13は、液晶表示パネル20を除いた液晶表示装置1の平面図であり、粘着部材31を中心に説明するための図である。液晶表示パネル20を含む液晶表示装置1の平面図は、図1と同じである。図14は、図13のA-A´線に沿った液晶表示装置1の断面図である。図14には、液晶表示パネル20を含めて図示している。
【0072】
図14に示すように、粘着部材31の4個の辺うちY方向に延びる2個の辺31-1、31-2の幅は、狭くなっている。粘着部材31の辺31-1の幅は、フレーム30の段差30B-1の幅より狭い。粘着部材31の辺31-1の幅は、フレーム30の段差30B-1の幅の半分以下であることが望ましい。同様に、粘着部材31の辺31-2の幅は、フレーム30の段差30B-2の幅より狭く、フレーム30の段差30B-2の幅の半分以下であることが望ましい。
【0073】
第4実施形態では、段差30B-1、30B-2には、溝が形成されていない。その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0074】
第4実施形態によれば、フレーム30の段差30B-1、30B-2において、粘着部材31とフレーム30との接触面積を低減することができる。これにより、高温時もしくは低温時に液晶表示パネル20とフレーム30との間に寸法差が発生した場合でも、液晶表示パネル20への外力を小さくすることができる。
【0075】
また、粘着部材31の4個の辺うちX方向に延びる2個の辺の幅は、太くなっている。よって、液晶表示パネル20とフレーム30との粘着強度を確保することができる。
【0076】
なお、粘着部材31の4個の辺うち幅を狭くする辺の配置は、任意に設定可能である。また、粘着部材31の4個の辺うち幅を狭くする辺の数は、1~3本のいずれであってもよい。
【0077】
上記各実施形態では、表示装置として液晶表示装置を例に挙げて説明しているが、液晶表示装置以外の表示装置に適用可能である。すなわち、フレームの外周に両面テープを用いて表示パネルを貼り付けるタイプの表示装置に適用可能である。
【0078】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0079】
1…液晶表示装置、10…照明装置、11…反射シート、12…導光板、13…光学フィルム、14…発光素子、15…フレキシブルプリント配線板、20…液晶表示パネル、21,22…基板、23,24…偏光板、25…ドライバ、26…フレキシブルプリント配線板、30…フレーム、30A…底板、30B-1~30B-4…段差、30C…開口部、31…粘着部材、32-1~32-4…溝、33…ケース、33A…開口部。
図1
図2
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