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7585763透析情報管理システム、透析情報管理方法および透析情報管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】透析情報管理システム、透析情報管理方法および透析情報管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20241112BHJP
   G16H 40/20 20180101ALI20241112BHJP
【FI】
G16H10/00
G16H40/20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020210768
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022097281
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】岡谷 紀和
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-271874(JP,A)
【文献】特開2006-301809(JP,A)
【文献】特開2018-151956(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0113891(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液透析治療に関するデータベースとして、血液透析患者に関する患者情報と、血液透析患者のそれぞれについての血液透析治療の予約時期情報および血液透析治療の実施時期情報の少なくとも一方を含む治療時期情報と、前記データベースに対して行われた入力操作に関する入力操作情報を含む操作履歴情報と、を含むデータベースが記憶された記憶部と、
前記治療時期情報と前記操作履歴情報との少なくとも一方に基づいて、前記データベース内における前記患者情報の並び替えを実行し、並び替えられた前記データベース内における前記患者情報のうちの上位の患者情報を、前記データベースから操作の対象となる患者情報として出力する推定部と、
前記推定部により出力された前記患者情報をディスプレイに表示させる表示制御部と、を備え、
それぞれの血液透析患者についての前記入力操作情報は、複数の血液透析患者のうち当該血液透析患者に関して前記データベースに対して入力操作がなされた順番を表す入力順番情報を含み、
それぞれの血液透析患者についての前記予約時期情報は、前記血液透析治療が行われる予定の曜日である曜日情報を含み、
前記推定部は、
前記ディスプレイに現在表示されている前記患者情報を上位にしないように、かつ、前記入力順番情報を参照して前回入力操作してから経過時間が短いか又は長い前記データベース内における前記患者情報が上位になるような第1の並び替え、及び、
前記ディスプレイに現在表示されている前記患者情報を上位にしないように、かつ、前記曜日情報を参照して、前記データベース内において現在の曜日が前記曜日情報に含まれる前記患者情報が上位になるような第2の並び替え、の少なくとも一方の並び替えを実行し、
並び替えられた前記データベース内における前記患者情報のうちの上位の患者情報を、前記データベースから次の操作の対象となる患者情報として出力する、透析情報管理システム。
【請求項2】
前記予約時期情報は、前記血液透析治療が行われる曜日の情報を含み、
前記推定部は、前記データベースのうちの、前記血液透析治療が行われる曜日に現在の曜日が含まれる患者情報を、前記操作の対象となる患者情報として推定して出力する、請求項1に記載の透析情報管理システム。
【請求項3】
前記操作履歴情報は、前記入力操作情報に関連付けて、当該入力操作を行った操作者の操作者IDを含み、
前記データベースに対して入力操作を行おうとする操作者の操作者IDを取得するログイン処理部を、さらに備え、
前記推定部は、前記ログイン処理部で取得された操作者IDに関連付られた入力操作情報を参照することにより、前記データベースから操作の対象となる患者情報を推定して出力する、請求項1または2に記載の透析情報管理システム。
【請求項4】
前記推定部の機能を用いるか否かを表すオン/オフ情報を操作者毎に選択させ、操作者IDに関連付けて前記データベースに記憶するオン/オフ設定部を、さらに備え、
前記推定部は、前記ログイン処理部で取得された操作者IDに関連付けられたオン/オフ情報がオンである場合に、前記データベースから操作の対象となる患者情報を推定して出力する、請求項3に記載の透析情報管理システム。
【請求項5】
前記実施時期情報は、血液透析患者が治療を開始した時刻の情報と、当該血液透析患者が治療を終了した時刻の情報と、を含み、
前記入力操作情報は、前記データベースに対して入力操作がなされた時点が、治療前、治療中、および治療後、のいずれの時期であるかを示す入力時期情報を含み、
前記推定部は、現在の時刻が治療前か治療中か治療後かのいずれの時期に該当するかを示す情報と、前記入力時期情報とに基づいて、前記データベースから操作の対象となる患者情報を推定して出力する、請求項1~4のいずれか1項に記載の透析情報管理システム。
【請求項6】
前記推定部は、前記治療時期情報と前記操作履歴情報との少なくとも一方に基づいて、前記データベースから操作の対象となる複数の患者情報を推定するとともに、推定された前記複数の患者情報に対応する操作対象リストを出力し、
前記表示制御部は、前記ディスプレイに前記操作対象リストを表示させる、請求項1~5のいずれか1項に記載の透析情報管理システム。
【請求項7】
前記推定部は、前記操作対象リストのうちの操作の対象となる可能性が高い患者情報を抽出し、
前記表示制御部は、前記操作対象リストを前記ディスプレイに表示するとともに、当該ディスプレイにおいて、前記操作対象リストのうちの前記操作の対象となる可能性が高い患者情報を強調表示する、請求項6に記載の透析情報管理システム。
【請求項8】
血液透析患者の血液透析治療に関する情報を管理する透析情報管理方法であって、
血液透析治療に関するデータベースに、血液透析患者に関する患者情報と、血液透析患者のそれぞれについての血液透析治療の予約時期情報および血液透析治療の実施時期情報の少なくとも一方を含む治療時期情報と、前記データベースに対して行われた入力操作に関する入力操作情報を含む操作履歴情報と、を記憶する工程と、
前記治療時期情報と前記操作履歴情報との少なくとも一方に基づいて、前記データベース内における前記患者情報の並び替えを実行し、並び替えられた前記データベース内における前記患者情報のうちの上位の患者情報を、前記データベースから操作の対象となる患者情報として出力する工程と、
出力された前記患者情報をディスプレイに表示させる工程と、を備え、
それぞれの血液透析患者についての前記入力操作情報は、複数の血液透析患者のうち当該血液透析患者に関して前記データベースに対して入力操作がなされた順番を表す入力順番情報を含み、
それぞれの血液透析患者についての前記予約時期情報は、前記血液透析治療が行われる予定の曜日である曜日情報を含み、
前記出力する工程は、
前記ディスプレイに現在表示されている前記患者情報を上位にしないように、かつ、前記入力順番情報を参照して前回入力操作してから経過時間が短いか又は長い前記データベース内における前記患者情報が上位になるような第1の並び替え、及び、
前記ディスプレイに現在表示されている前記患者情報を上位にしないように、かつ、前記曜日情報を参照して、前記データベース内において現在の曜日が前記曜日情報に含まれる前記患者情報が上位になるような第2の並び替え、の少なくとも一方の並び替えを実行し、
並び替えられた前記データベース内における前記患者情報のうちの上位の患者情報を、前記データベースから次の操作の対象となる患者情報として出力することを含む、コンピュータが行う透析情報管理方法。
【請求項9】
コンピュータのプロセッサに、
血液透析治療に関するデータベースに、血液透析患者に関する患者情報と、血液透析患者のそれぞれについての血液透析治療の予約時期情報および血液透析治療の実施時期情報の少なくとも一方を含む治療時期情報と、前記データベースに対して行われた入力操作に関する入力操作情報を含む操作履歴情報と、を記憶する処理と、
前記治療時期情報と前記操作履歴情報との少なくとも一方に基づいて、前記データベース内における前記患者情報の並び替えを実行し、並び替えられた前記データベース内における前記患者情報のうちの上位の患者情報を、前記データベースから操作の対象となる患者情報として出力する処理と、
出力された前記患者情報をディスプレイに表示させる処理と、を実行させ、
それぞれの血液透析患者についての前記入力操作情報は、複数の血液透析患者のうち当該血液透析患者に関して前記データベースに対して入力操作がなされた順番を表す入力順番情報を含み、
それぞれの血液透析患者についての前記予約時期情報は、前記血液透析治療が行われる予定の曜日である曜日情報を含み、
前記出力する処理は、
前記ディスプレイに現在表示されている前記患者情報を上位にしないように、かつ、前記入力順番情報を参照して前回入力操作してから経過時間が短いか又は長い前記データベース内における前記患者情報が上位になるような第1の並び替え、及び、
前記ディスプレイに現在表示されている前記患者情報を上位にしないように、かつ、前記曜日情報を参照して、前記データベース内において現在の曜日が前記曜日情報に含まれる前記患者情報が上位になるような第2の並び替え、の少なくとも一方の並び替えを実行し、
並び替えられた前記データベース内における前記患者情報のうちの上位の患者情報を、前記データベースから次の操作の対象となる患者情報として出力する処理を含む、透析情報管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透析情報管理システム、透析情報管理方法および透析情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、患者への治療を円滑に進めるために、複数の患者の患者情報が集約された患者リストが設けられ、患者リストを医療スタッフが閲覧可能とする診療支援システムが開示されている(特許文献1)。例えば、特許文献1に開示された診療支援システムは、患者リストに含まれる患者名の表示順をソートする機能を備えている。このソート機能により、手術申込の予定日や診療プロセスの進行状況に応じて、操作者が閲覧しようとする患者情報の患者名を、患者リストの上位に表示させるなど、患者リストの表示順を並べ替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-185820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された表示リストにおける患者情報(患者名)の表示順の並べ替えは、あくまでシステムの操作者が自ら操作して患者情報の表示順を並べ替えるものである。患者の数が多い場合には、患者情報を並べ替えた後、さらに操作者が検索や絞り込み等の操作を行う必要があり、操作者の作業負担は大きいものとなる。
【0005】
本開示の目的は、操作者が所望の患者情報を閲覧する際に、操作者の作業負担を軽減することが可能な透析情報管理システム、透析情報管理方法、および透析情報管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本開示の第1の態様に係る透析情報管理システムは、血液透析治療に関するデータベースとして、血液透析患者に関する患者情報と、血液透析患者のそれぞれについての血液透析治療の予約時期情報および血液透析治療の実施時期情報の少なくとも一方を含む治療時期情報と、データベースに対して行われた入力操作に関する入力操作情報を含む操作履歴情報と、を含むデータベースが記憶された記憶部と、治療時期情報と操作履歴情報との少なくとも一方に基づいて、データベースから操作の対象となる患者情報を推定して出力する推定部と、推定部により出力された患者情報をディスプレイに表示させる表示制御部と、を備える。
【0007】
第2の態様に係る血液透析治療に関する情報を管理するための透析情報管理方法であって、血液透析患者の血液透析治療に関する情報を管理する透析情報管理方法であって、血液透析治療に関するデータベースに、血液透析患者に関する患者情報と、血液透析患者のそれぞれについての血液透析治療の予約時期情報および血液透析治療の実施時期情報の少なくとも一方を含む治療時期情報と、データベースに対して行われた入力操作に関する入力操作情報を含む操作履歴情報と、を記憶する工程と、治療時期情報と操作履歴情報との少なくとも一方に基づいて、データベースから操作の対象となる患者情報を推定して出力する工程と、出力された患者情報をディスプレイに表示させる工程と、を備える。
【0008】
第3の態様に係る血液透析治療に関する情報を管理するための透析情報管理プログラムであって、血液透析治療に関するデータベースに、血液透析患者に関する患者情報と、血液透析患者のそれぞれについての血液透析治療の予約時期情報および血液透析治療の実施時期情報の少なくとも一方を含む治療時期情報と、データベースに対して行われた入力操作に関する入力操作情報を含む操作履歴情報と、を記憶する処理と、治療時期情報と操作履歴情報との少なくとも一方に基づいて、データベースから操作の対象となる患者情報を推定して出力する処理と、出力された患者情報をディスプレイに表示させる処理と、をコンピュータのプロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
上記第1~第3の態様の構成によれば、操作の対象となる患者情報が推定されるとともに、推定された患者情報がディスプレイに表示されるので、操作者による患者情報を並べ替える操作や患者情報を絞り込むための操作が不要になる。この結果、操作者が所望の患者情報を閲覧する際に、操作者の作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態による透析情報管理システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】一実施形態による患者リストの表示を説明するための図である。
図3】一実施形態によるデータベースの構成を説明するための図である。
図4】一実施形態による操作端末の構成を示すブロック図である。
図5】一実施形態によるサーバの構成を示すブロック図である。
図6】一実施形態による制御部の構成を示す機能ブロック図である。
図7】一実施形態によるデータベースの一例を示す図である。
図8】一実施形態によるデータベースにおける来院日時履歴データベースを説明するための図である。
図9】一実施形態によるデータベースにおける治療終了日時履歴データベースを説明するための図である。
図10】一実施形態によるデータベースにおける現在の状況を示す情報を説明するための図である。
図11】一実施形態によるデータベースにおける操作履歴データベースを説明するための図である。
図12】一実施形態による推定用情報におけるソートパターンを説明するための図である。
図13】一実施形態による推定用情報における機能設定を説明するための図である。
図14】一実施形態による患者リストの作成の第1の例を説明するための図である。
図15】一実施形態による患者リストの作成の第2の例を説明するための図である。
図16】患者リストの作成の第1の例における表示部の推定処理前の表示を説明するための図である。
図17】患者リストの作成の第2の例における表示部の推定処理前の表示を説明するための図である。
図18】患者リストの作成の第2の例における表示部の推定処理後の表示を説明するための図である。
図19】一実施形態による患者リストの作成の第3の例を説明するための図である。
図20】患者リストの作成の第4の例における表示部の表示を説明するための図である。
図21】患者リストの作成の第4の例を説明するための図である。
図22】一実施形態による透析情報管理システムの制御処理を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
[透析情報管理システムの概要]
図1および図2は、本実施形態に係る透析情報管理システム100の概略構成を示す図である。図1に示すように、透析情報管理システム100は、複数の血液透析装置1において実施される血液透析治療に関する情報を管理するためのシステムである。具体的には、透析情報管理システム100は、操作端末2と、サーバ3とを備える。血液透析装置1と、操作端末2と、サーバ3とは、例えば無線または有線のLAN等のネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。
【0013】
図2に示すように、本実施形態による透析情報管理システム100は、医療スタッフおよび事務スタッフが操作端末2を操作する際に、サーバ3のデータベース34a(後述)のうちから次に操作される対象となる患者情報D1を推定して、推定した患者情報D1または推定した患者のリストである患者リストE2を操作端末2の表示部24(ディスプレイ)に表示させるように構成されている。
【0014】
図3は、データベース34aの概要を説明するための図である。ここで、データベース34aには、患者情報D1と、治療時期情報D2と、操作履歴情報D3と、透析条件情報D4とが格納されている。患者情報D1は、血液透析患者に関する情報であり、患者ID、氏名、カナ、性別、生年月日、住所等の患者の個人情報を含む。治療時期情報D2は、血液透析患者のそれぞれについての血液透析治療の予約時期情報D21と、血液透析患者のそれぞれについての血液透析治療の実施時期情報D22とを含む。例えば、予約時期情報D21は、後述するように、来院する予定の曜日の情報を含む。実施時期情報D22は、例えば、過去の来院日時および過去の治療終了日時を含む。操作履歴情報D3は、データベース34aに対して行われた入力操作に関する入力操作情報D31と、データベース34aに対して入力操作を行った操作者を識別するための操作者IDとを含む。入力操作情報D31は、操作者IDに関連付けられた状態でデータベース34aに記憶されている。
【0015】
図2に示すように、サーバ3は、治療時期情報D2と操作履歴情報D3とのうちの少なくとも一方の情報に基づいて、データベース34aから操作の対象となる複数の患者情報D1を推定して出力する。そして、操作端末2の表示部24には、サーバ3により推定され出力された患者情報D1のリストである患者リストE2が表示される。また、患者リストE2のうちの操作される可能性が高い患者情報D1(図2では、患者ID「P005」、氏名「高橋三郎」)については強調表示(部分E2a)が行われる。強調表示の方法の例としては、周辺に対して背景色の色彩を変える、文字の大きさを他の患者情報よりも大きくする、文字を他の患者情報よりも太い字にする方法が挙げられる。
【0016】
上記の構成によれば、操作の対象となる患者情報D1が推定されるとともに、推定された患者リストE2が表示部24に表示される。これにより、例えば、医師が、患者への処置に対する指示を行う場合、看護師が患者に対して行った処置を記録する場合、または、事務スタッフが、患者の個人情報の記載を更新する場合に、自身が操作または閲覧しようとする患者情報D1(患者リストE2)を表示部24に表示させることができる。この結果、医師や看護師を含むスタッフは、データベース34aから患者を探す作業が必要なくなるので、スタッフの作業負担を軽減することができる。
【0017】
そして、治療時期情報D2に基づいて、患者情報D1を推定する場合には、例えば、現在の時期と、治療の予約時期または治療の実施時期に関わりのある患者情報D1が表示されるので、操作者(スタッフ)は、容易に操作の対象となる患者情報D1を閲覧することができる。また、操作履歴情報D3に基づいて、患者情報D1を推定する場合には、過去のデータベース34aに対して行われた入力操作情報D31に基づいて、操作の対象となる可能性が高い患者情報D1を適切に推定することができる。
【0018】
また、推定された複数の患者情報D1が患者リストE2として表示部24に表示されるので、単一の患者情報D1が表示される場合に比べて、操作者(スタッフ)が閲覧または操作を希望する患者情報D1が表示される可能性を向上させることができる。さらに、操作の対象となる可能性が高い患者情報D1が強調表示されるので、操作者(スタッフ)は、操作の対象となる可能性が高い患者情報D1(強調表示E2a)を容易に視認することができる。
【0019】
[透析情報管理システムの各部の構成および血液透析装置の構成]
次に、図1および図3図7を参照して、透析情報管理システム100の各部の構成および血液透析装置1の構成を説明する。血液透析装置1(図1参照)は、例えば、透析室に配置されている。例えば、血液透析装置1は、患者が横たわるベッドの横(近傍)に設置されている。血液透析装置1は、操作者により設定された透析条件に従って、血液透析治療を行う装置である。透析条件の情報である透析条件情報D4は、サーバ3のデータベース34aに格納されている。なお、透析条件とは、透析時間、血液流量、使用薬剤およびその投与量や投与条件といった、透析治療において患者毎に設定される種々の条件である。
【0020】
(操作端末の構成)
操作端末2は、例えば、パーソナルコンピュータである。そして、操作端末2は、医療スタッフや事務スタッフにより操作される。操作端末2は、透析治療において、医療スタッフや事務スタッフによる入力操作に基づいて、サーバ3のデータベース34aの参照(表示)や更新を行うように構成されている。なお、操作端末2は、例えば診察室に設置されるが、診察室以外の任意の場所(例えば、病院の受付、ナースステーション、透析室等)に設置されていても良い。また、操作端末2を、タブレット等のモバイル機器で構成しても良い。ここで、本開示では、「入力操作」とは、文字情報を新たに入力することに限られず、情報を更新する操作や削除する操作、患者情報D1を選択または抽出する操作、および、機能の内容(図2の「医師指示」、「看護記録」、「透析記録」のアイコン)を選択する操作を含む、広い概念を意味するものとする。
【0021】
また、操作端末2は、医療スタッフまたは事務スタッフが、透析情報管理システム100の操作を許可するためのユーザ認証を行う。例えば、医療スタッフまたは事務スタッフは、自身のIDである操作者IDおよびパスワードを、操作端末2に入力する。操作端末2またはサーバ3(後述するログイン処理部31e)は、入力された操作者IDおよびパスワードに基づいて、ユーザ認証を行う。操作端末2またはサーバ3では、ユーザ認証が完了すると、認証した担当者がログインした状態となる。例えば、図2では、操作者ID「N005」の者がログインしている状態の例を示している。なお、ユーザ認証としては、ICカード等の読取、または、生体認証などの任意の方法を用いることができる。
【0022】
図4は、操作端末2の構成を示すブロック図である。図4に示すように、操作端末2は、制御部21と、入力部22と、通信部23と、表示部24とを含む。制御部21は、操作端末2における制御処理を実行するプロセッサー(制御回路)である。入力部22は、外部からの入力を受ける入力デバイスであり、例えば、タッチパネルやタッチペン、ボタンキー、キーボード、マウスなどである。通信部23は、有線および/または無線ネットワークを介して、血液透析装置1およびサーバ3との通信を行うためのインタフェースである。表示部24は、制御部21の指令に基づいて、画像を表示するディスプレイであり、例えば、液晶ディスプレイである。
【0023】
(サーバの構成)
図5は、サーバ3の構成を示すブロック図である。図5に示すように、サーバ3は、制御部31と、メモリ32と、通信部33と、記憶部34とを備える。サーバ3は、医療施設内に設置されるオンプレミスサーバとして構成されてもよいし、互いに異なる場所に設置され複数のコンピュータにより仮想的に構成されるクラウドサーバとして構成されてもよい。
【0024】
制御部31は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてサーバ3全体を制御するプロセッサー(制御回路)である。さらに、制御部31は、メモリ32に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。メモリ32は、読み取り可能な記憶媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などで構成される。メモリ32には、例えば、制御部31が各部を制御するためのプログラム等が格納されている。通信部33は、有線および/または無線ネットワークを介して、血液透析装置1および操作端末2との通信を行うためのインタフェースである。記憶部34には、データベース34aと推定用情報34bとが格納されている。推定用情報34bは、後に詳しく説明するが、操作の対象となる患者情報D1を推定するために、複数の患者情報D1を自動的に並び替える際のソートパターンの情報、または、機械学習による学習済モデルが含まれる。
【0025】
図6は、制御部31の構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、制御部31は、記憶制御部31a、表示制御部31b、推定制御部31c、オン/オフ設定部31dと、ログイン処理部31eとを含む。記憶制御部31aは、操作端末2に対する操作者に基づいて、データベース34aの更新と、推定用情報34bの更新とを行う。表示制御部31bは、データベース34aに対する入力操作の画面(図2参照)を操作端末2の表示部24に表示させるとともに、患者リストE2を表示部24に表示させる機能を有する。推定制御部31cは、ある操作者がログインした際に、操作の対象となる可能性が高い患者情報D1を推定してデータベース34aから抽出し、患者リストE2を生成する機能を有する。オン/オフ設定部31dは、推定制御部31cの機能を用いるか否かを表すオン/オフ情報を操作者毎に選択させ、操作者IDに関連付けてデータベース34aに記憶する機能を有する。ログイン処理部31eは、データベース34aに対して入力操作を行おうとする(ログインしようとする)操作者を識別するための操作者IDを取得して、ログイン処理(上記したユーザ認証)を行う機能を有する。
【0026】
図7は、データベース34aの一部の例を説明するための図である。図7に示すように、データベース34aには、患者情報D1が格納されている。また、患者情報D1には、上述したが、患者ID、氏名、カナ、性別、生年月日および住所等の個人情報が含まれる。また、データベース34aには、治療時期情報D2の予約時期情報D21として、来院曜日の情報が患者情報D1に関連付けられて記憶されている。ここで、透析治療患者の場合、一般的に、患者毎に通院する曜日が予め決まっており、来院する曜日の予約がなされている。「来院曜日情報」とは、透析治療患者の来院予定の曜日を示している。例えば、来院曜日は、火曜、木曜、土曜の週3回、または、月曜、水曜、金曜の週3回である。また、来院曜日の情報には、時間帯の情報が含まれる。例えば、図7の患者ID「P001」の患者の場合、例えば、火曜の「午前」、木曜の「午後」、土曜の「午前」に透析治療を行う予約がなされている。なお、図7では、「P001」以外の患者の時間帯の情報の図示を省略しているが、他の患者においても同様に、来院予約(曜日および時間帯)の情報がデータベース34aに記憶されている。
【0027】
また、データベース34aには、操作履歴情報D3の入力操作情報D31と、操作者IDとが患者情報D1に関連付けられた情報で記憶されている。入力操作情報D31は、例えば、更新する操作や削除する操作をどの患者に行ったかを示す情報、どの患者情報D1を選択または抽出する操作を行ったかを示す情報、および、どの機能の内容(図2の「医師指示」、「看護記録」、「透析記録」のアイコン)を選択する操作を行ったかを示す情報を含む。入力操作情報D31は、操作者IDに関連付けられた状態でデータベース34aに記憶されている。なお、図7では、医師指示の情報として、例えば、医師が、操作端末2から、「前回は血圧が下がりすぎたから今回は薬剤を少なめにする」など、透析治療における薬剤の投与量等の変更内容等を入力した例を示している。入力内容が、変更履歴を入力した操作者の情報(操作者ID)および入力日時を表す情報等と共に、データベース34aに格納される。また、このコメントには、操作者が看護師の場合、実施した処置の内容、透析治療中の患者の様子についての所見が含まれていてもよい。また、予め記憶部34に格納された複数の定型文から、操作者が選択操作することにより、コメントがデータベース34aに入力されてもよい。
【0028】
また、データベース34aには、透析条件情報D4が患者情報D1に関連付けられた状態で記憶されている。また、データベース34aには、患者が来院している場合、患者情報D1に関連付けてベッド番号の情報が格納される。ベッド番号とは、透析治療の当日、透析患者に割り当てられたベッドの番号であり、例えば透析患者が透析治療の受付を行った際に登録される。
【0029】
ここで、操作履歴情報D3は、少なくとも所定の期間、累積的に保存されている。これにより、データベース34aは、前回の来院時の操作内容情報、前々回の来院時の操作内容情報など、過去の操作内容情報を遡って参照することが可能に構成されている。その他の情報として、データベース34aには、治療状況のデータが含まれる。ただし、データベース34aに含まれるものは、上述の内容に限定されない。
【0030】
(次に操作される患者情報の推定に関する構成)
図8図19を参照して、本実施形態における透析情報管理システム100による次に操作される患者情報D1の推定に関する構成について説明する。次に操作される患者情報D1の推定は、制御部31の推定制御部31cにより、データベース34aと推定用情報34bとに基づいて行われる。
【0031】
〈データベースの詳細〉
ここで、図8に示すように、データベース34aの治療時期情報D2の実施時期情報D22には、来院日時が含まれる。サーバ3は、例えば、患者の「治療前体重測定」の結果が入力された時点を、「来院日時」として取得し、当該患者の患者IDと関連付けて、データベース34aに記録する。これにより、データベース34aに、各患者の来院日時の履歴が、少なくとも一定期間にわたって蓄積記録される。
【0032】
なお、以下において、「治療前」とは、患者の「治療前体重測定」の結果が入力された時点(すなわち「来院日時」)よりも前の期間を意味する。また、「治療後」とは、患者の「治療後体重測定」の結果が入力された時点よりも後の期間を意味する。また、「治療中」とは、患者の「治療前体重測定」の結果が入力された時点以降、患者の「治療後体重測定」の結果が入力された時点以前の期間を意味する。
【0033】
図9に示すように、実施時期情報D22には、治療終了日時の情報が含まれる。治療終了日時の情報とは、患者の透析治療(来院した日における治療)が終了した日時および曜日と、当該患者の患者IDとが関連付けられた情報である。ここで、サーバ3は、例えば、患者の「治療後体重測定」の結果が入力された時点を、「治療終了日時」として取得する。
【0034】
図10に示すように、データベース34aの予約時期情報D21には、当日の来院予約のある各患者の現状を表すステータス情報も含まれる。ステータス情報は、未来院の患者については「来院待ち」、来院済みの患者については来院時刻を表す。
【0035】
図11に示すように、データベース34aには、このデータベース34aに対して行われた入力操作に関する操作履歴情報D3が記憶されている。操作履歴情報D3は、医師や看護師等がデータベース34aにアクセスして何らかの入力操作を行う都度、その入力操作が行われた日時、操作対象となったデータの患者ID、および、操作内容が、操作者IDと関連付けられて、データベース34a(記憶部34)に記憶される。なお、操作履歴情報D3には、操作者により入力操作されていないことも、情報として含まれる。また、図11に示すように、操作履歴情報D3の入力操作情報D31は、入力操作が行われた時期が、「治療前」、「治療中」または「治療後」のうちのいずれであったかを示す入力時期情報を含む。
【0036】
詳細には、図11に示すように、治療前には、医師(操作者IDが「D003」の医師)が操作端末2を用いて、医師指示をサーバ3のデータベース34aに入力する場合がある。また、治療前には、事務スタッフ(操作者IDが「G005」のスタッフ)が操作端末2を用いて、患者情報を更新するために、サーバ3のデータベース34aに情報を入力する場合がある。また、治療中には、透析治療に加えて、看護師による処置や、医師により回診が行われる場合がある。この場合、看護師(操作者IDが「N005」の看護師)が操作端末2を用いて、看護記録(処置した内容の記録)をサーバ3のデータベース34aに入力する場合がある。また、医師(操作者IDが「D004」の医師)が操作端末2を用いて、回診に基づく医師指示をサーバ3のデータベース34aに入力する場合がある。また、治療後には、看護師(操作者IDが「N005」の看護師)が操作端末2を用いて、透析記録(透析治療中のバイタル情報など)をサーバ3のデータベース34aに入力する場合がある。また、医師(操作者IDが「D003」の医師)が操作端末2を用いて、回診に基づく医師指示をサーバ3のデータベース34aに入力する場合がある。このように、透析情報管理システム100においては、透析治療に関与する操作者として、治療時期の各々において様々な職種のスタッフが、データベース34aに対して様々な操作を行う。
【0037】
〈推定用情報またの構成〉
図12は、推定用情報34bの一例を説明するための図である。推定用情報34bとは、推定制御部31cが、操作の対象となる患者情報D1を推定してデータベース34aから抽出する際に用いられる情報である。例えば、推定用情報34bは、自動で患者情報D1のソート(並び替え)を行うパターンの情報、または、機械学習による学習済モデルを含む。
【0038】
例えば、図12に示すように、ソートパターン「A11」として、操作者が操作している当日の曜日が「木曜」の場合、推定制御部31cは、推定用情報34bおよび予約時期情報D21に基づいて、当日の曜日または前回の曜日から逆順に患者情報D1を自動的にソートする。例えば、現在が「木曜」の場合、前回「火曜」が来院曜日となっている患者情報D1が上位となるように患者情報D1を自動的にソートする。この構成によれば、推定を行う日の曜日が、血液透析治療が行われる曜日(「火曜」「木曜」「土曜」)となる患者情報D1を抽出することができる。この結果、血液透析治療が行われない(「月曜」「水曜」「金曜」の)患者情報D1がディスプレイに表示されない分、例えば、医師が火曜に来院した患者のデータに入力操作を行おうとする場合に、容易に所望の患者データを発見することが可能となる。
【0039】
また、推定制御部31cは、ソートパターン「A12」として、ログインしている日の前日に操作者が操作した患者情報D1が上位になるように自動的にソートする。また、推定制御部31cは、ソートパターン「A21」として、操作者が前回入力操作してから経過時間が短い患者情報D1が上位になるように自動的にソートする(入力操作した順番に基づいて、ソートする)。この構成によれば、入力操作された順番に応じて、次の操作の対象となる患者情報D1が推定される。これにより、例えば、看護師が、患者に対して処置を行った順に、看護記録を入力しようとする際に、過去の入力順番に基づいた推定により患者リストE2が表示部24に表示される。これにより、看護師は、表示された順に入力を行えばよいので、操作の度に患者情報D1を探す操作が不要になる。
【0040】
また、推定制御部31cは、ソートパターン「A22」として、操作履歴情報D3を参照して、操作者によってまだ入力操作が行われていない患者情報D1が上位になるように自動的にソートする。そして、推定制御部31cは、入力操作が行われていない患者情報D1よりも下位において、操作者が前回入力操作してから経過時間が長い患者情報D1が上位になるように自動的にソートする。また、推定制御部31cは、入力操作が行われていない患者がいない場合には、操作者が前回入力操作してから経過時間が長い患者情報D1が上位になるように自動的にソートする。これにより、例えば、初診の患者であって今までに操作者(例えば、医師)が入力操作を行ったことがない患者の患者情報D1が上位に表示されるので、初診患者(今までに入力操作を行ったことがない患者)を探す手間が不要になる。
【0041】
また、ソートパターン「A23」として、操作内容に整合する時期に入力された患者情報D1が上位になるように自動的にソートされる。言い換えると、操作内容(例えば、「看護記録」)に対応する時期が、上記入力時期情報を参照して、治療前、治療中、治療後のうちの対応する時期(「治療中」および「治療後」)に入力操作された患者情報D1が上位になるように自動的にソートされる。ここで、血液透析治療では、治療前、治療中、治療後のいずれであるかによって、医療スタッフが対応する患者の順番や処置の順番が変わる。例えば、看護師がシステムを操作する時期によって、看護師が閲覧したいと考える対象(患者情報D1)が変化する。そこで、上記の構成によれば、現在の時刻が、上記のどの期間であるかを判断するとともに、判断された時期に基づいて推定するので、より適切に推定された患者情報を操作者が閲覧することができる。例えば、「看護記録」が、「治療中」または「治療後」に入力されるものであるとすると、「治療中」または「治療後」に入力された患者情報D1が上位になるように自動的にソートされる。
【0042】
また、ソートパターン「A24」として、実施時期情報D22に基づいて、来院日時が早い患者情報D1が上位になるように自動的にソートされる。ここで、透析治療の場合、患者が来院する順番は、曜日ごとに略同じ順番となる。この構成によれば、患者が来院した順番に患者情報D1が自動的にソートされるので、操作者が、患者が来院した順番にデータベース34aに入力操作する場合に、作業負担をより一層低減することができる。
【0043】
図13は、推定用情報34bとして、推定制御部31cの機能を用いるか否かの情報(オン/オフ情報)と操作者IDとが関連付けられた情報の例を示している。図13に示すように、推定制御部31cは、ログインしている操作者IDに対応する「オン/オフ情報」を参照し、当該情報が「オン(推定制御部31cの機能を用いる)」である場合、操作の対象となる患者情報D1を推定する処理を実施し、当該情報が「オフ(推定制御部31cの機能を用いない)」場合、操作の対象となる患者情報D1を推定する処理を実施しない。この構成によれば、複数の操作者のうち、推定制御部31cの機能を用いることを希望する操作者のみに、推定制御部31cの機能を適用することができる。この結果、複数の操作者において、推定機能の要否が分かれる場合でも、複数の操作者皆が透析情報管理システム100を利用することができる。
【0044】
図14は、操作者IDが「N005」が、ログインした状態で、「木曜」の時刻「9:33」に「透析記録」のアイコン(図16参照)を選択した場合に、表示部24に表示される患者リストE2の例を示している。図14に示すように、推定制御部31cは、「A11」によるソートにより、前回来院した曜日「火曜」の患者情報D1が上位にソートされる。そして、操作者「N005」が操作した患者情報D1が上位にソートされる。「A23」によるソートにより、「透析記録」は、治療中か治療後に入力される情報であるので、治療中または治療後に対応する状態(図10および図11参照)の患者情報D1が上位になるようにソートされる。例えば、「N005」は、「推定制御部31cの機能を用いる」ものとする。なお、現在表示されている患者情報D1(入力操作中の患者情報D1)は、上位にはソートされない。これらの結果、次に操作される対象として推定される患者情報D1として、例えば、「P003」、「P005」、「P008」および「P009」が抽出され、図2に示すように、表示部24に、ソート前の患者リストE1に対して患者リストE2がポップアップ画像(別ウィンドウ画像)として表示される。そして、「P005」は、操作の対象となる可能性が高い患者情報D1として、強調表示される。なお、患者リストE1は、患者ID「P005」とともに、患者の氏名が表示されてもよく、患者ID「P005」に代えて、患者の氏名のみが表示されてもよい。
【0045】
図15は、操作者IDが「D003」が、ログインした状態で、「木曜」の時刻「9:12」に「医師指示」のアイコン(図17参照)を選択した場合に、表示部24に表示される患者リストE2の例を示している。図15に示すように、推定制御部31cは、「A11」によるソートにより、前回来院した曜日「火曜」の患者情報D1が上位にソートされる。そして、操作者「D003」が操作した患者情報D1が上位にソートされる。「A21」によるソートにより、前回「D003」が操作してから経過時間が短い順に患者情報D1がソートされる。なお、現在表示されている患者情報D1(入力操作中の患者情報D1)は、上位にはソートされない。また、「D003」は、「推定制御部31cの機能を用いる」ものとする。これらの結果、次に操作される対象として推定される患者情報D1として、例えば、「P003」、「P005」、「P003」および「P008」が抽出され、図18に示すように、表示部24に、ソート前の患者リストE1に対して患者リストE2がポップアップ画像(別ウィンドウ画像)として表示される。そして、図15に示すように、「P003」は、操作の対象となる可能性が高い患者情報D1として、強調表示される。なお、患者リストE2のうちの「P003」は2回推定されているが、重複するため、図18の表示部24上では、「P003」のうちの一方は表示されない。
【0046】
図19は、操作者IDが「D003」が、ログインした状態で、「木曜」の時刻「9:33」に「透析記録」のアイコン(図17参照)を選択した場合に、表示部24に表示される患者リストE2の例を示している。図19に示すように、推定制御部31cは、「A11」によるソートにより、前回来院した曜日「火曜」の患者情報D1が上位にソートされる。そして、操作者「D003」が操作した患者情報D1が上位にソートされる。「A24」によるソートにより、来院した順番に患者情報D1がソートされる。なお、現在表示されている患者情報D1(入力操作中の患者情報D1)は、上位にはソートされない。また、「D003」は、「推定制御部31cの機能を用いる」ものとする。これらの結果、推定される患者情報D1として、例えば、「P003」、「P002」、および「P008」が抽出され、表示部24に、ソート前の患者リストE1に対して患者リストE2がポップアップ画像(別ウィンドウ画像)として表示される。そして、「P003」は、操作の対象となる可能性が高い患者情報D1として、強調表示される。
【0047】
図20及び図21は、操作者IDが「D003」が、ログインした状態で、「木曜」の時刻「12:50」に「医師指示」のアイコン(図17参照)を選択した場合に、表示部24に表示される患者リストE2の例を示している。図21に示すように、推定制御部31cは、操作者「D003」が操作した患者情報D1が上位にソートされる。そして「A22」によるソートにより、「D003」の医師が今までに入力操作を行ったことがない患者の患者情報D1が上位にソートされ、前回「D003」が操作してから経過時間が長い順に患者情報D1がソートされる。例えば、「P020」の患者は、初診であり、当該患者の患者情報D1に対して「D003」の医師は、入力操作を行ったことがないものとする。また、「D003」は、「推定制御部31cの機能を用いる」ものとする。これらの結果、次に操作される対象として推定される患者情報D1として、例えば、「P020」、「P018」、及び「P017」が抽出され、図20に示すように、表示部24に、ソート前の患者リストE1に対して患者リストE2がポップアップ画像(別ウィンドウ画像)として表示される。そして、図20に示すように、「P020」(木村三郎)は、操作の対象となる可能性が高い患者情報D1として、強調表示される。
【0048】
[透析情報管理方法]
図22を参照して、本実施形態による透析情報管理方法を説明する。図22は、透析情報管理システム100の制御部31による制御処理のフロー図である。なお、データベース34aには、予め(ステップS1よりも前に)、患者情報D1と、治療時期情報D2と、操作履歴情報D3とが記憶されている。
【0049】
ステップS1において、操作者がログインを行う。すなわち、操作者により、操作者IDおよびパスワードが入力される。
【0050】
ステップS2において、入力操作の画面(図16または図17)が表示部24に表示され、推定される前の患者リストE1が表示部24に表示される。
【0051】
ステップS3において、推定制御部31cの機能を用いるか否か(オンかオフか)が判断される。推定制御部31cの機能を用いる場合(オンの場合)、ステップS4に進み、推定制御部31cの機能を用いない場合(オフの場合)、ステップS6に進む。
【0052】
ステップS4において、次の操作の対象となる複数の患者情報D1が推定されるとともに、患者リストE2が作成される。そして、ステップS5において、次の操作の対象として推定された患者情報D1の患者リストE2が表示部24に表示される。また、患者リストE2のうちの操作の対象として可能性の高い患者情報D1は、強調表示される。
【0053】
ステップS6において、操作者により入力された情報である入力操作情報D31が取得される。そして、ステップS7において、入力操作情報D31が操作者IDと関連付けられた情報が操作履歴情報D3として、データベース34aおよび推定用情報34bに記憶される。これにより、データベース34aおよび推定用情報34bが更新される。
【0054】
以上の方法によれば、操作の対象となる患者情報D1が推定されるとともに、推定された患者情報D1が表示部24に表示されるので、操作者による患者情報D1を並べ替える操作や患者情報D1を絞り込むための操作が不要になる。この結果、操作者が所望の患者情報D1を閲覧する際に、操作者の作業負担を軽減することができる。
【0055】
[変形例]
以上、上述した実施形態は本発明を実施するための例示にすぎない。よって、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態では、操作の対象となる患者情報D1を推定するために、治療時期情報D2と、操作履歴情報D3との両方を使用する例を示したが、これに限られない。すなわち、操作の対象となる患者情報D1を推定するために、治療時期情報D2と、操作履歴情報D3とのうちの少なくとも一方を用いていればよい。
【0057】
また、上記実施形態では、操作端末2の表示部24に、患者リストE2が表示される例を示したが、これに限られない。例えば、サーバ3に表示部が設けられている場合には、当該表示部に患者リストE2を表示させてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、血液透析治療が行われる曜日の例として、「火曜」、「木曜」、「土曜」と、「月曜」、「水曜」、「金曜」とを挙げたが、これに限られない。例えば、「月曜」、「木曜」でもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、治療前、治療中、および、治療後のいずれであるかを、体重測定の結果が入力されたことに基づいて、決定される例を示したが、これに限られない。例えば、操作者が操作端末2に対する操作(例えば、「治療開始」または「治療終了」を入力する操作)に基づいて、治療前、治療中、および、治療後のいずれであるかが決定されてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、操作の対象となる患者情報D1を複数推定して患者リストE2を作成する例を示したが、これに限られない。すなわち、操作の対象となる患者情報D1を1つのみ推定して、1つの患者情報D1を表示部24に表示してもよい。
【0061】
また、上記実施形態で説明した各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
【0062】
なお、本開示は、以下のように説明することもできる。
【0063】
第1の構成に係る透析情報管理システムは、血液透析治療に関するデータベースとして、血液透析患者に関する患者情報と、血液透析患者のそれぞれについての血液透析治療の予約時期情報および血液透析治療の実施時期情報の少なくとも一方を含む治療時期情報と、データベースに対して行われた入力操作に関する入力操作情報を含む操作履歴情報と、を含むデータベースが記憶された記憶部と、治療時期情報と操作履歴情報との少なくとも一方に基づいて、データベースから操作の対象となる患者情報を推定して出力する推定部と、推定部により出力された患者情報をディスプレイに表示させる表示制御部と、を備える(第1の構成)。
【0064】
上記第1の構成によれば、操作の対象となる患者情報が推定されるとともに、推定された患者情報がディスプレイに表示されるので、操作者による患者情報を並べ替える操作や患者情報を絞り込むための操作が不要になる。この結果、操作者が所望の患者情報を閲覧する際に、操作者の作業負担を軽減することができる。ここで、治療時期情報に基づいて、患者情報を推定する場合には、例えば、現在の時期と、治療の予約時期または治療の実施時期に関わりのある患者情報が表示されるので、操作者は、容易に操作の対象となる患者情報を閲覧することができる。また、操作履歴情報に基づいて、患者情報を推定する場合には、過去のデータベースに対して行われた入力操作情報に基づいて、操作の対象となる可能性が高い患者情報を適切に推定することができる。
【0065】
第1の構成において、予約時期情報は、血液透析治療が行われる曜日の情報を含んでいてもよく、推定部は、データベースのうちの、血液透析治療が行われる曜日に現在の曜日が含まれる患者情報を、操作の対象となる患者情報として推定して出力するように構成されていてもよい(第2の構成)。
【0066】
ここで、血液透析患者に対して、一週間のうちの決められた曜日(例えば、火曜、木曜、土曜)に血液透析治療が実施されることが一般的である。この点に対して、上記第2の構成によれば、データベースのうちから、血液透析治療が行われる曜日に現在の曜日(治療当日の曜日)が含まれる患者情報を抽出することができる。この結果、血液透析治療が行われない患者情報がディスプレイに表示されない分、操作者は、所望の患者情報を容易に認識することができる。
【0067】
第1または第2の構成において、操作履歴情報は、入力操作情報に関連付けて、当該入力操作を行った操作者の操作者IDを含み、データベースに対して入力操作を行おうとする操作者の操作者IDを取得するログイン処理部を、さらに備え、推定部は、ログイン処理部で取得された操作者IDに関連付られた入力操作情報を参照することにより、データベースから操作の対象となる患者情報を推定して出力する(第3の構成)。
【0068】
上記第3の構成によれば、データベースに対して入力操作を行おうとする操作者(ログインしている操作者)に合わせて、データベースから操作の対象となる患者情報を推定することができる。この結果、操作者自身の過去の操作履歴に基づいた適切な患者情報を推定することができる。
【0069】
第3の構成において、推定部の機能を用いるか否かを表すオン/オフ情報を操作者毎に選択させ、操作者IDに関連付けてデータベースに記憶するオン/オフ設定部を、さらに備え、推定部は、ログイン処理部で取得された操作者IDに関連付けられたオン/オフ情報がオンである場合に、データベースから操作の対象となる患者情報を推定して出力する(第4の構成)。
【0070】
上記第5の構成によれば、複数の操作者のうち、推定部の機能を用いることを希望する操作者のみに、推定部の機能を適用することができる。この結果、複数の操作者において、推定機能の要否が分かれる場合でも、複数の操作者が本システムを利用することができる。
【0071】
第1~第4のいずれかの構成において、それぞれの血液透析患者についての入力操作情報は、複数の血液透析患者のうち当該血液透析患者に関してデータベースに対して入力操作がなされた順番を表す入力順番情報を含み、推定部は、ディスプレイに現在表示されている患者情報と、入力順番情報とに基づいて、データベースから次の操作の対象となる患者情報を推定して出力する(第5の構成)。
【0072】
上記第5の構成によれば、入力操作された順番に応じて、次の操作の対象となる患者の患者情報が推定される。これにより、複数の患者のデータに対して順次操作する場合に、操作者は、操作の度に患者情報をデータベースから抽出して選び出す作業が不要になる。
【0073】
第1~第5のいずれかの構成において、実施時期情報は、血液透析患者が治療を開始した時刻の情報と、当該血液透析患者が治療を終了した時刻の情報と、を含み、入力操作情報は、データベースに対して入力操作がなされた時点が、治療前、治療中、および治療後、のいずれの時期であるかを示す入力時期情報を含み、推定部は、現在の時刻が治療前か治療中か治療後かのいずれの時期に該当するかを示す情報と、入力時期情報とに基づいて、データベースから操作の対象となる患者情報を推定して出力する(第6の構成)。
【0074】
ここで、血液透析治療では、治療前、治療中、治療後のいずれであるかによって、医療スタッフが対応する患者の順番や処置の順番が変わる。すなわち、操作者(医療スタッフ)がシステムを操作する時期によって、操作者が閲覧したいと考える対象(患者情報)が変化する。そこで、上記第6の構成によれば、現在の時刻が、上記のどの期間であるかを判断するとともに、判断された時期に基づいて患者情報を推定するので、より適切に推定された患者情報を操作者が閲覧することができる。
【0075】
第1~第6のいずれかの構成において、推定部は、治療時期情報と操作履歴情報との少なくとも一方に基づいて、データベースから操作の対象となる複数の患者情報を推定するとともに、推定された複数の患者情報に対応する操作対象リストを出力するように構成されていてもよく、表示制御部は、ディスプレイに操作対象リストを表示させるように構成されていてもよい(第7の構成)。
【0076】
上記第7の構成によれば、推定された複数の患者情報が操作対象リストとしてディスプレイに表示されるので、単一の患者情報が表示される場合に比べて、操作者が閲覧または操作を希望する患者情報が表示される可能性を向上させることができる。
【0077】
第7の構成において、推定部は、操作対象リストのうちの操作の対象となる可能性が高い患者情報を抽出するように構成されていてもよく、表示制御部は、操作対象リストをディスプレイに表示するとともに、当該ディスプレイにおいて、操作対象リストのうちの操作の対象となる可能性が高い患者情報を強調表示するように構成されていてもよい(第8の構成)。
【0078】
上記第8の構成によれば、複数の患者情報がディスプレイに表示されている場合でも、操作の対象となる可能性が高い患者情報が強調表示されるので、操作者は、操作の対象となる可能性が高い患者情報を容易に視認することができる。
【0079】
第9の構成に係る透析情報管理方法は、血液透析患者の血液透析治療に関する情報を管理する透析情報管理方法であって、血液透析治療に関するデータベースに、血液透析患者に関する患者情報と、血液透析患者のそれぞれについての血液透析治療の予約時期情報および血液透析治療の実施時期情報の少なくとも一方を含む治療時期情報と、データベースに対して行われた入力操作に関する入力操作情報を含む操作履歴情報と、を記憶する工程と、治療時期情報と操作履歴情報との少なくとも一方に基づいて、データベースから操作の対象となる患者情報を推定して出力する工程と、出力された患者情報をディスプレイに表示させる工程と、を備える(第9の構成)。
【0080】
上記第9の構成によれば、上記第1の構成と同様に、操作者が所望の患者情報を閲覧する際に、操作者の作業負担を軽減することができる。
【0081】
第10の構成に係る透析情報管理プログラムは、血液透析治療に関するデータベースに、血液透析患者に関する患者情報と、血液透析患者のそれぞれについての血液透析治療の予約時期情報および血液透析治療の実施時期情報の少なくとも一方を含む治療時期情報と、データベースに対して行われた入力操作に関する入力操作情報を含む操作履歴情報と、を記憶する処理と、治療時期情報と操作履歴情報との少なくとも一方に基づいて、データベースから操作の対象となる患者情報を推定して出力する処理と、出力された患者情報をディスプレイに表示させる処理とを、コンピュータのプロセッサに実行させる(第10の構成)。
【0082】
上記第10の構成によれば、上記第1の構成と同様に、操作者が所望の患者情報を閲覧する際に、操作者の作業負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0083】
24…表示部、31…制御部、31a…記憶制御部、31b…表示制御部、31c…推定制御部、31d…オン/オフ設定部、31e…ログイン処理部、34…記憶部、34a…データベース、100…透析情報管理システム、D1…患者情報、D2…治療時期情報、D21…予約時期情報、D22…実施時期情報、D3…操作履歴情報、D31…入力操作情報、E2…患者リスト、E2a…強調表示
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22