(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】穀物乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 9/06 20060101AFI20241112BHJP
F26B 25/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
F26B9/06 B
F26B25/00 A
(21)【出願番号】P 2020212231
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100158702
【氏名又は名称】岡野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】福本 亮
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-052892(JP,A)
【文献】特開2015-190721(JP,A)
【文献】特開2013-002776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 9/06
F26B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物を乾燥処理する静置式の乾燥部と、前記乾燥部の乾燥運転を制御する制御部と、を備える穀物乾燥装置において、
前記制御部は、荷受す
る穀物が多い場合に前記穀物の
乾燥の促進を図るべく乾燥速度を優先して前記乾燥部の乾燥運転を制御する第1モードと、
高温による穀物の品質劣化を防止すべく前記穀物の
乾燥の促進よりも品質保持を優先して前記乾燥部の乾燥運転を制御する第2モードと、を
手動で選択可能に備え
、
前記乾燥部は、穀物が投入される貯留手段と、前記貯留手段に乾燥用空気を送風する送風手段と、外気を加温するバーナ手段と、を備え、
前記制御部は、
前記第1モードにおいて、前記乾燥用空気の目標湿度を予め設定し、前記外気の湿度が前記乾燥用空気の前記目標湿度よりも高い場合、前記目標湿度に基づいて前記バーナ手段により前記外気を加温し、前記加温した外気を前記乾燥用空気として前記送風手段により前記貯留手段に送風し、
前記第2モードにおいて、前記乾燥用空気の前記外気の温度からの目標上昇温度及び前記乾燥用空気の下限湿度を予め設定し、前記外気の湿度が前記乾燥用空気の前記下限湿度よりも高い場合、前記目標上昇温度に基づいて前記バーナ手段により前記外気を加温し、前記加温した外気を前記乾燥用空気として前記送風手段により前記貯留手段に送風することを特徴とする穀物乾燥装置。
【請求項2】
穀物を乾燥処理する静置式の乾燥部と、前記乾燥部の乾燥運転を制御する制御部と、を備える穀物乾燥装置において、
前記制御部は、荷受する穀物が多い場合に前記穀物の乾燥の促進を図るべく乾燥速度を優先して前記乾燥部の乾燥運転を制御する第1モードと、高温による穀物の品質劣化を防止すべく前記穀物の乾燥の促進よりも品質保持を優先して前記乾燥部の乾燥運転を制御する第2モードと、を自動で選択可能に備え、
前記乾燥部は、穀物が投入される貯留手段と、前記貯留手段に乾燥用空気を送風する送風手段と、外気を加温するバーナ手段と、を備え、
前記制御部は、
前記第1モードにおいて、前記乾燥用空気の目標湿度を予め設定し、前記外気の湿度が前記乾燥用空気の前記目標湿度よりも高い場合、前記目標湿度に基づいて前記バーナ手段により前記外気を加温し、前記加温した外気を前記乾燥用空気として前記送風手段により前記貯留手段に送風し、
前記第2モードにおいて、前記乾燥用空気の前記外気の温度からの目標上昇温度及び前記乾燥用空気の下限湿度を予め設定し、前記外気の湿度が前記乾燥用空気の前記下限湿度よりも高い場合、前記目標上昇温度に基づいて前記バーナ手段により前記外気を加温し、前記加温した外気を前記乾燥用空気として前記送風手段により前記貯留手段に送風することを特徴とする穀物乾燥装置。
【請求項3】
前記制御部は、
荷受装置で荷受する穀物の荷受情報と、前記乾燥部で乾燥処理する穀物の乾燥処理情報に基づいて、前記第1モードと前記第2モードのいずれかを自動で選択し、前記乾燥部の乾燥運転を制御する請求項2に記載の穀物乾燥装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1モードにおいて、前記外気の温度及び湿度と前記乾燥用空気の前記目標湿度に基づいて目標送風温度を算出し、前記乾燥用空気の温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ手段により前記外気を加温し、
前記第2モードにおいて、前記外気の温度と前記乾燥用空気の前記目標上昇温度に基づいて目標送風温度を算出し、前記乾燥用空気の温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ手段により前記外気を加温する請求項
1乃至3のいずれかに記載の穀物乾燥装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1モードにおいて、前記乾燥用空気の上限温度を予め設定し、前記目標送風温度が前記上限温度を超える場合には、前記乾燥用空気の温度が前記上限温度となるよう前記バーナ手段により前記外気を加温する請求項
4に記載の穀物乾燥装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1モードにおいて、前記乾燥用空気の下限温度を予め設定し、前記目標送風温度が前記下限温度を下回る場合には、前記乾燥用空気の温度が前記下限温度となるよう前記バーナ手段により前記外気を加温する請求項
4又は5に記載の穀物乾燥装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1モードにおいて、前記外気の湿度が前記乾燥用空気の前記目標湿度を下回った場合、前記バーナ手段による前記外気の加温を一時的に停止する請求項
1乃至6のいずれかに記載の穀物乾燥装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第2モードにおいて、前記乾燥用空気の湿度が前記下限湿度を下回った場合、前記乾燥用空気の温度がその時点の温度となるよう前記バーナ手段により前記外気を加温する請求項
4に記載の穀物乾燥装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第2モードにおいて、前記乾燥用空気の下限温度を予め設定し、前記目標送風温度が前記下限温度を下回る場合には、前記乾燥用空気の温度が前記下限温度となるよう前記バーナ手段により前記外気を加温する請求項
4又は8に記載の穀物乾燥装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第2モードにおいて、前記外気の湿度が前記乾燥用空気の前記下限湿度を下回った場合、前記バーナ手段による前記外気の加温を一時的に停止する請求項
1、2、3、4、8又は9に記載の穀物乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯留ビンやラック式乾燥機等の静置式の穀物乾燥装置に関し、カントリーエレベータやライスセンターの呼称で知られる穀物の共同乾燥施設で使用して好適な穀物乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、穀物乾燥装置として貯留ビンやラック式乾燥機等の静置式乾燥機は周知である(特許文献1,2を参照)。
貯留ビンの場合、荷受した穀物を前記貯留ビンに投入し、前記貯留ビンの床下から乾燥用空気を送風して前記穀物を乾燥させる。
また、ラック式乾燥機の場合、荷受した穀物をコンテナに投入し、ラックに収容された前記コンテナの下部から乾燥用空気を送風して穀物を乾燥させる。
【0003】
ところで、穀物の乾燥施設等では、穀物の収穫適期に荷受が集中し、その中でも天候が崩れるとの気象予報時や人手が確保しやすい週末に荷受予約が集中する。
そのため、前記静置式乾燥機において、荷受した穀物の乾燥を捌ききれず、荷受繁忙期に効率的に対応できない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-102253号公報
【文献】特開2002-350051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、荷受が多い場合に穀物の乾燥の促進を図ることができる穀物乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、
穀物を乾燥処理する静置式の乾燥部と、前記乾燥部の乾燥運転を制御する制御部と、を備える穀物乾燥装置において、
前記制御部が、穀物の乾燥速度と品質保持のいずれかであって、荷受する穀物が多い場合に前記穀物の乾燥の促進を図るべく前記乾燥速度を優先して前記乾燥部の乾燥運転を制御する第1モード(乾燥優先モード)と、高温による穀物の品質劣化を防止すべく前記穀物の乾燥の促進よりも前記品質保持を優先して前記乾燥部の乾燥運転を制御する第2モード(品質優先モード)と、を手動で選択可能に備えることを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明は、
穀物を乾燥処理する静置式の乾燥部と、前記乾燥部の乾燥運転を制御する制御部と、を備える穀物乾燥装置において、
前記制御部が、穀物の乾燥速度と品質保持のいずれかであって、荷受する穀物が多い場合に前記穀物の乾燥の促進を図るべく前記乾燥速度を優先して前記乾燥部の乾燥運転を制御する第1モード(乾燥優先モード)と、高温による穀物の品質劣化を防止すべく前記穀物の乾燥の促進よりも前記品質保持を優先して前記乾燥部の乾燥運転を制御する第2モード(品質優先モード)と、を自動で選択可能に備えることを特徴とする。
【0007】
本発明は、
前記乾燥部が、穀物が投入される貯留手段と、前記貯留手段に乾燥用空気を送風する送風手段と、外気を加温するバーナ手段と、を備え、
前記制御部が、
前記第1モードにおいて、前記乾燥用空気の目標湿度を予め設定し、前記外気の湿度が前記乾燥用空気の前記目標湿度よりも高い場合、前記目標湿度に基づいて前記バーナ手段により前記外気を加温し、前記加温した外気を前記乾燥用空気として前記送風手段により前記貯留手段に送風し、
前記第2モードにおいて、前記乾燥用空気の前記外気の温度からの目標上昇温度及び前記乾燥用空気の下限湿度を予め設定し、前記外気の湿度が前記乾燥用空気の前記下限湿度よりも高い場合、前記目標上昇温度に基づいて前記バーナ手段により前記外気を加温し、前記加温した外気を前記乾燥用空気として前記送風手段により前記貯留手段に送風する。
【0008】
ここで、本発明において、「湿度」は「相対湿度」を意味する。
【0009】
本発明は、
前記静置式の乾燥部が貯留ビンであって、前記貯留ビンは、前記貯留手段として通風床の上に穀物が投入される貯留タンクを有し、前記送風手段と前記バーナ手段を付随して備え、前記送風手段により前記貯留タンクの下方から穀物に前記乾燥用空気を送風することが好ましい。
【0010】
本発明は、
前記静置式の乾燥部がラック式乾燥機であって、前記ラック式乾燥機は、前記貯留手段として金網等の通風中底の上に穀物が投入された状態でラックに収納されるコンテナを有し、前記送風手段と前記バーナ手段を付随して備え、前記送風手段により前記コンテナの下方から穀物に前記乾燥用空気を送風することが好ましい。
【0011】
本発明は、
前記制御部が、
前記第1モードにおいて、前記外気の温度及び湿度と前記乾燥用空気の前記目標湿度に基づいて目標送風温度を算出し、前記乾燥用空気の温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ手段により前記外気を加温し、
前記第2モードにおいて、前記外気の温度と前記乾燥用空気の前記目標上昇温度に基づいて目標送風温度を算出し、前記乾燥用空気の温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ手段により前記外気を加温することが好ましい。
【0012】
本発明は、
前記制御部が、
前記第1モードにおいて、前記外気の温度及び湿度を定期的(例えば1分毎)に読み込むことで、前記外気の温度及び湿度の変化に対応して前記目標送風温度を定期的に算出することが好ましい。
【0013】
また、本発明は、
前記制御部が、
前記第2モードにおいて、前記外気の温度を定期的(例えば1分毎)に読み込むことで、前記外気の温度の変化に対応して前記目標送風温度を定期的に算出することが好ましい。
【0014】
本発明は、
前記制御部が、
前記第1モードにおいて、前記乾燥用空気の上限温度を予め設定し、前記目標送風温度が前記上限温度を超える場合には、前記乾燥用空気の温度が前記上限温度となるよう、前記上限温度を目標温度として前記バーナ手段により前記外気を加温することが好ましい。
【0015】
本発明は、
前記制御部が、
前記第1モードにおいて、前記乾燥用空気の下限温度を予め設定し、前記目標送風温度が前記下限温度を下回る場合には、前記乾燥用空気の温度が前記下限温度となるよう、前記下限温度を目標温度として前記バーナ手段により前記外気を加温することが好ましい。
【0016】
本発明は、
前記制御部が、
前記第1モードにおいて、外気の温度の上昇等により前記外気の湿度が前記乾燥用空気の前記目標湿度を下回った場合、前記バーナ手段による前記外気の加温を一時的に停止することが好ましい。
【0017】
本発明は、
前記制御部が、
前記第2モードにおいて、前記乾燥用空気の湿度が前記下限湿度を下回った場合、前記乾燥用空気の温度がその時点の温度となるよう、即ち、前記乾燥用空気の湿度が前記下限湿度を下回った時点の温度を維持するよう、前記乾燥用空気の湿度が前記下限湿度を下回った時点の温度を目標温度として前記バーナ手段により前記外気を加温することが好ましい。
【0018】
本発明は、
前記制御部が、
前記第2モードにおいて、前記乾燥用空気の湿度が前記下限湿度を超えた場合、再度、前記乾燥用空気の温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ手段により前記外気を加温することが好ましい。
【0019】
本発明は、
前記制御部が、
前記バーナ手段の燃焼量(燃料消費量)が例えば20%上昇した場合、前記乾燥用空気の湿度が前記下限湿度を超えたものと判断することが好ましい。
【0020】
本発明は、
前記制御部が、
前記第2モードにおいて、前記乾燥用空気の下限温度を予め設定し、前記目標送風温度が前記下限温度を下回る場合には、前記乾燥用空気の温度が前記下限温度となるよう、前記下限温度を目標温度として前記バーナ手段により前記外気を加温することが好ましい。
【0021】
本発明は、
前記制御部が、
前記第2モードにおいて、前記外気の湿度が前記乾燥用空気の前記下限湿度を下回った場合、前記バーナ手段による前記外気の加温を一時的に停止することが好ましい。
【0022】
本発明は、
前記制御部が、
荷受装置で荷受する穀物の荷受情報と、前記乾燥部で乾燥処理する穀物の乾燥処理情報に基づいて、前記第1モードと前記第2モードのいずれかを自動で選択し、前記乾燥部の乾燥運転を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の穀物乾燥装置は、穀物を乾燥処理する静置式の乾燥部と、前記乾燥部の乾燥運転を制御する制御部と、を備える穀物乾燥装置において、前記制御部が、穀物の乾燥速度と品質保持のいずれかであって、荷受する穀物が多い場合に前記穀物の乾燥の促進を図るべく前記乾燥速度を優先して前記乾燥部の乾燥運転を制御する第1モード(乾燥優先モード)と、高温による穀物の品質劣化を防止すべく前記穀物の乾燥の促進よりも前記品質保持を優先して前記乾燥部の乾燥運転を制御する第2モード(品質優先モード)と、を手動で選択可能に備えるので、前記乾燥部での穀物の乾燥処理に際し、乾燥速度の優先と品質保持の優先を状況に応じて使い分けることができる。
したがって、本発明の穀物乾燥装置によれば、荷受が多い場合に乾燥速度を優先する第1モードを選択することで穀物の乾燥の促進を図ることができる。
また、本発明の穀物乾燥装置は、穀物を乾燥処理する静置式の乾燥部と、前記乾燥部の乾燥運転を制御する制御部と、を備える穀物乾燥装置において、前記制御部が、穀物の乾燥速度と品質保持のいずれかであって、荷受する穀物が多い場合に前記穀物の乾燥の促進を図るべく前記乾燥速度を優先して前記乾燥部の乾燥運転を制御する第1モード(乾燥優先モード)と、高温による穀物の品質劣化を防止すべく前記穀物の乾燥の促進よりも前記品質保持を優先して前記乾燥部の乾燥運転を制御する第2モード(品質優先モード)と、を自動で選択可能に備えるので、前記乾燥部での穀物の乾燥処理に際し、乾燥速度の優先と品質保持の優先を状況に応じて使い分けることができる。
したがって、本発明の穀物乾燥装置によれば、荷受が多い場合に乾燥速度を優先する第1モードを選択することで穀物の乾燥の促進を図ることができる。
【0024】
本発明の穀物乾燥装置は、前記乾燥部が、穀物が投入される貯留手段と、前記貯留手段に乾燥用空気を送風する送風手段と、外気を加温するバーナ手段と、を備え、前記制御部が、前記第1モードにおいて、前記乾燥用空気の目標湿度を予め設定し、前記外気の湿度が前記乾燥用空気の前記目標湿度よりも高い場合、前記目標湿度に基づいて前記バーナ手段により前記外気を加温し、前記加温した外気を前記乾燥用空気として前記送風手段により前記貯留手段に送風するので、穀物の過乾燥を防止し、前記穀物の品質を保持する一方で、加温した乾燥用空気の作用により穀物中の水分が表面に移動しやすくなり、かつ、加温により乾燥用空気の湿度が下がり空気中に取り込める水分量が増加するため、穀物の乾燥効率が向上する。
そして、本発明の穀物乾燥装置は、前記制御部が、前記第1モードにおいて、加温により乾燥用空気の湿度を制御するので、前記乾燥用空気として最適な乾き空気を送風することができるため、穀物の乾燥の促進を図ることができる。
【0025】
また、本発明の穀物乾燥装置は、前記制御部が、前記第2モードにおいて、前記乾燥用空気の前記外気の温度からの目標上昇温度及び前記乾燥用空気の下限湿度を予め設定し、前記外気の湿度が前記乾燥用空気の前記下限湿度よりも高い場合、前記目標上昇温度に基づいて前記バーナ手段により前記外気を加温し、前記加温した外気を前記乾燥用空気として前記送風手段により前記貯留手段に送風するので、穀物の過乾燥を防止し、前記穀物の品質を保持する一方で、加温した乾燥用空気の作用により穀物中の水分が表面に移動しやすくなり、かつ、加温により乾燥用空気の湿度が下がり空気中に取り込める水分量が増加するため、穀物の乾燥効率が向上する。
そして、本発明の穀物乾燥装置は、前記制御部が、前記第2モードにおいて、加温による乾燥用空気の上昇温度を制御するので、穀物の歪みによる割れ等、高温による穀物の品質劣化を防止することができる。
【0026】
本発明の穀物乾燥装置は、前記制御部が、前記第1モードにおいて、前記外気の温度及び湿度と前記乾燥用空気の前記目標湿度に基づいて目標送風温度を算出し、前記乾燥用空気の温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ手段により前記外気を加温することとすれば、前記外気の温度及び湿度の変化に対応して前記乾燥用空気の温度(湿度)を適切に制御することができる。
【0027】
また、本発明の穀物乾燥装置は、前記制御部が、前記第2モードにおいて、前記外気の温度と前記乾燥用空気の前記目標上昇温度に基づいて目標送風温度を算出し、前記乾燥用空気の温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ手段により前記外気を加温することとすれば、前記外気の温度変化に対応して前記乾燥用空気の温度を適切に制御することができる。
【0028】
本発明の穀物乾燥装置は、前記制御部が、前記第1モードにおいて、前記乾燥用空気の上限温度を予め設定し、前記目標送風温度が前記上限温度を超える場合には、前記乾燥用空気の温度が前記上限温度となるよう、前記上限温度を目標温度として前記バーナ手段により前記外気を加温することとすれば、穀物の歪みによる割れ等、高温による穀物の品質劣化を防止することができる。
【0029】
本発明の穀物乾燥装置は、前記制御部が、前記第1モードにおいて、前記乾燥用空気の下限温度を予め設定し、前記目標送風温度が前記下限温度を下回る場合には、前記乾燥用空気の温度が前記下限温度となるよう、前記下限温度を目標温度として前記バーナ手段により前記外気を加温することとすれば、寒冷地において乾燥用空気の送風温度の低下を防止することができる。
【0030】
本発明の穀物乾燥装置は、前記制御部が、前記第1モードにおいて、外気の温度の上昇等により前記外気の湿度が前記乾燥用空気の前記目標湿度を下回った場合、前記バーナ手段による前記外気の加温を一時的に停止することとすれば、穀物の過乾燥を防止し、前記穀物の品質を保持することができる。
【0031】
本発明の穀物乾燥装置は、前記制御部が、前記第2モードにおいて、前記乾燥用空気の湿度が前記下限湿度を下回った場合、前記乾燥用空気の温度がその時点の温度となるよう、即ち、前記乾燥用空気の湿度が前記下限湿度を下回った時点の温度を維持するよう、前記乾燥用空気の湿度が前記下限湿度を下回った時点の温度を目標温度として前記バーナ手段により前記外気を加温することとすれば、穀物の過乾燥を防止し、前記穀物の品質を保持することができる。
【0032】
本発明の穀物乾燥装置は、前記制御部が、前記第2モードにおいて、前記乾燥用空気の湿度が前記下限湿度を超えた場合、再度、前記乾燥用空気の温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ手段により前記外気を加温することとすれば、穀物の乾燥時間を短縮することができる。
【0033】
本発明の穀物乾燥装置は、前記制御部が、前記バーナ手段の燃焼量(燃料消費量)が所定割合(例えば20%)上昇した場合、前記乾燥用空気の湿度が前記下限湿度を超えたものと判断することとすれば、前記乾燥用空気の送風温度及び送風湿度の乱高下を防止することができる。
【0034】
本発明の穀物乾燥装置は、前記制御部が、前記第2モードにおいて、前記乾燥用空気の下限温度を予め設定し、前記目標送風温度が前記下限温度を下回る場合には、前記乾燥用空気の温度が前記下限温度となるよう、前記下限温度を目標温度として前記バーナ手段により前記外気を加温することとすれば、寒冷地において乾燥用空気の送風温度の低下を防止することができる。
【0035】
本発明の穀物乾燥装置は、前記制御部が、前記第2モードにおいて、外気の温度の上昇等により前記外気の湿度が前記乾燥用空気の前記下限湿度を下回った場合、前記バーナ手段による前記外気の加温を一時的に停止することとすれば、穀物の過乾燥を防止し、前記穀物の品質を保持することができる。
【0036】
本発明の穀物乾燥装置は、前記制御部が、荷受装置で荷受する穀物の荷受情報と、前記乾燥部で乾燥処理する穀物の乾燥処理情報に基づいて、前記第1モードと前記第2モードのいずれかを自動で選択し、前記乾燥部の乾燥運転を制御することとすれば、施設の運営状況に合わせて乾燥部の乾燥運転を自動制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図2】乾燥優先モードにおけるバーナの燃焼制御フロー図(その1)である。
【
図3】乾燥優先モードにおけるバーナの燃焼制御フロー図(その2)である。
【
図4】品質優先モードにおけるバーナの燃焼制御フロー図(その1)である。
【
図5】品質優先モードにおけるバーナの燃焼制御フロー図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は穀物乾燥装置の概略説明図を示す。
本発明の実施の形態における穀物乾燥装置は、穀物を静置状態で乾燥処理する静置式の乾燥装置であり、ここでは周知の貯留ビンを例とする。
前記貯留ビン1は、通風床11の上に穀物が投入される貯留タンク12、前記通風床11の下に送風室13を有する。
前記貯留ビン1の一側には、前記送風室13から前記貯留タンク12に乾燥用空気を送風する送風ファン2と、外気を加温するバーナ3が付設される。
【0039】
前記貯留ビン1において、前記送風ファン2により前記送風室13に送風される乾燥用空気は、前記通風床11を通過し、前記貯留タンク12に貯留される穀物の間を通風して上部の開口から排風される。
【0040】
本発明の実施の形態において、前記貯留ビン1は、前記バーナ3の燃焼をON/OFF(燃焼/停止)制御し、前記バーナ3を燃焼制御する制御装置4を備える。
前記制御装置4は、前記貯留タンク12に投入される穀物の乾燥処理に際し、前記穀物の乾燥速度を優先して乾燥運転を制御する乾燥優先モードと、前記穀物の品質保持を優先して乾燥運転を制御する品質優先モードの2つの乾燥運転モードを選択可能に備える。
【0041】
前記制御装置4は、前記乾燥優先モードにおいて、予め設定される乾燥用空気の目標湿度に基づいて前記バーナ3を燃焼制御し、外気を加温することを基本とする。
また、前記制御装置4は、前記品質優先モードにおいて、予め設定される乾燥用空気の外気からの目標上昇温度に基づいて前記バーナ3を燃焼制御し、外気を加温することを基本とする。
【0042】
前記貯留ビン1は、前記制御装置4の操作パネル5を備え、前記操作パネル5には乾燥優先ボタン51と品質優先ボタン52が設けられ、作業員が前記操作パネル5を操作することにより前記乾燥優先モードと前記品質優先モードを選択することができる。
【0043】
図2及び
図3は、乾燥優先モードにおけるバーナの燃焼制御フロー図を示す。
(1)ステップS1~S3:
作業員は、前記バーナ3の運転に先立ち、前記制御装置4に乾燥用空気の目標湿度、上限温度及び下限温度を入力設定する。
なお、本発明の実施の形態において、「湿度」は「相対湿度」を意味する。
【0044】
(2)ステップS4~S9:
前記バーナ3の運転を開始するとともに、温度センサ及び湿度センサにより測定される外気の温度及び湿度を前記制御装置4に読み込み、前記外気の温度、前記外気の湿度、及び前記目標湿度から前記乾燥用空気の目標送風温度を算出する。
【0045】
そして、前記外気の湿度が前記目標湿度よりも高い場合、前記送風ファン2により送風される前記乾燥用空気の送風温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ3を燃焼制御して前記外気を加温する。
【0046】
ここでは、前記外気の温度及び湿度を前記制御装置4に定期的(例えば1分毎)に読み込み、前記外気の温度及び湿度の変化に対応して前記目標送風温度を定期的に算出することで、前記乾燥用空気の送風温度(湿度)を適切に制御することができる。
【0047】
ここで、前記目標送風温度は、前記外気の温度及び前記外気の湿度から前記外気の水蒸気圧(hPa)を求め、前記外気の水蒸気圧と前記目標湿度から加温後の飽和水蒸気圧(hPa)を求めることで算出することができる。
【0048】
即ち、外気温度(℃)から外気の飽和水蒸気圧(hPa)、前記外気温度及び前記飽和水蒸気圧から飽和水蒸気量(g/m3)、前記飽和水蒸気量及び外気湿度(相対湿度%)から容積絶対湿度(g/m3)、前記容積絶対湿度と前記外気温度における空気密度(Kg/m3)から重量絶対湿度(Kg/Kg)を求め、前記重量絶対湿度から水蒸気圧(hPa)を求める。そして、前記水蒸気圧及び前記目標湿度から加温後の飽和水蒸気圧(hPa)を求め、前記加温後の飽和水蒸気圧から目標送風温度を求めることができる。
【0049】
例えば、外気温度20℃、外気湿度60%、目標湿度40%と仮定した場合、前記外気の温度及び前記外気の湿度から前記外気の水蒸気圧は13.84hPaと求まり、前記外気の水蒸気圧と前記目標湿度から加温後の飽和水蒸気圧は34.6hPaと求まるので、前記目標送風温度は26.5℃と算出することができる。
【0050】
(3)ステップS10~S12:
ステップS9において前記外気を加温中、前記目標送風温度が前記上限温度を所定時間(例えば3分)継続して超える場合には、前記上限温度を目標温度として前記バーナ3を燃焼制御し前記外気を加温する。これにより、穀物の歪みによる割れ等、高温による穀物の品質劣化を防止することができる。
そして、その後、前記目標送風温度が前記上限温度を所定時間(例えば3分)継続して下回った場合には、再び、前記乾燥用空気の送風温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ3を燃焼制御して前記外気を加温する(ステップS9)。これにより、穀物の乾燥時間を短縮することができる。
【0051】
(4)ステップS13~S15:
ステップS9において前記外気を加温中、前記目標送風温度が前記下限温度を所定時間(例えば3分)継続して下回る場合には、前記下限温度を目標温度として前記バーナ3を燃焼制御し前記外気を加温する。これにより、寒冷地において乾燥用空気の送風温度の低下を防止することができる。
そして、その後、前記目標送風温度が前記下限温度を所定時間(例えば3分)継続して超えた場合には、再び、前記乾燥用空気の送風温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ3を燃焼制御して前記外気を加温する(ステップS9)。
【0052】
(5)ステップS16~S18:
ステップS9において前記外気を加温中、外気の温度の上昇等により前記外気の湿度が前記目標湿度を所定時間(例えば3分)継続して下回った場合、前記バーナ3の燃焼を一時的に停止する。これにより、穀物の過乾燥を防止し、前記穀物の品質を保持することができる。
そして、その後、前記外気の湿度が前記目標湿度を所定時間(例えば3分)継続して超えた場合には、再び、前記乾燥用空気の送風温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ3を燃焼制御して前記外気を加温する(ステップS9)。
【0053】
(6)ステップS19~S21:
ステップS9において前記外気を加温中、作業員は、穀物水分や施設の運営状況等に鑑み、前記バーナ3の運転を任意のタイミングで停止することができる。
【0054】
本発明の実施の形態における穀物乾燥装置(貯留ビン1)は、前記制御装置4が、前記乾燥優先モードにおいて、前記乾燥用空気の目標湿度を予め入力設定し、前記外気の温度、前記外気の湿度、及び前記目標湿度から前記乾燥用空気の目標送風温度を算出し、外気の湿度が前記目標湿度よりも高い場合、前記乾燥用空気の送風温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ3を燃焼制御して前記外気を加温し、前記加温した外気を前記乾燥用空気として前記送風ファン2により前記送風室13から前記貯留タンク12に送風するので、穀物の過乾燥を防止し、前記穀物の品質を保持する一方で、加温した乾燥用空気の作用により穀物中の水分が表面に移動しやすくなり、かつ、加温により乾燥用空気の湿度が下がり空気中に取り込める水分量が増加するため、穀物の乾燥効率が向上する。
そして、本発明の実施の形態における穀物乾燥装置は、前記制御装置4が、前記乾燥優先モードにおいて、加温により乾燥用空気の湿度を制御するので、前記乾燥用空気として最適な乾き空気を送風することができるため、穀物の乾燥の促進を図ることができる。
【0055】
図4及び
図5は、品質優先モードにおけるバーナの燃焼制御フロー図を示す。
(1)ステップS31~S33:
作業員は、前記バーナ3の運転に先立ち、前記制御装置4に乾燥用空気の外気の温度からの目標上昇温度、前記乾燥用空気の送風湿度の下限湿度、及び前記乾燥用空気の送風温度の下限温度を入力設定する。
【0056】
(2)ステップS34~S37:
前記バーナ3の運転を開始するとともに、温度センサ及び湿度センサにより測定される外気の温度及び湿度を前記制御装置4に読み込み、前記外気の温度及び前記目標上昇温度から前記乾燥用空気の目標送風温度を算出する。
【0057】
そして、前記外気の湿度が前記乾燥用空気の送風湿度の前記下限湿度よりも高い場合、前記送風ファン2により送風される前記乾燥用空気の送風温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ3を燃焼制御して前記外気を加温する。
【0058】
なお、ここで、前記外気の温度及び湿度を前記制御装置4に定期的(例えば1分毎)に読み込み、前記外気の温度変化に対応して前記目標送風温度を定期的に算出することとすれば、前記乾燥用空気の送風温度を適切に制御することができる。
【0059】
(3)ステップS38~S40:
ステップS37において前記外気を加温中、前記乾燥用空気の送風湿度が前記下限湿度を所定時間(例えば3分)継続して下回った場合には、前記乾燥用空気の送風温度がその時点の温度となるよう、即ち、前記乾燥用空気の送風湿度が前記下限湿度を下回った時点の温度を維持するよう前記バーナ3を燃焼制御し前記外気を加温する。これにより、穀物の過乾燥を防止し、前記穀物の品質を保持することができる。
そして、その後、前記乾燥用空気の送風湿度が前記下限湿度を所定時間(例えば3分)超えた場合、再度、前記乾燥用空気の送風温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ3を燃焼制御して前記外気を加温する(ステップS37)。これにより、穀物の乾燥時間を短縮することができる。
【0060】
ここで、ステップS40では、前記バーナ3の燃焼量(燃料消費量)の上昇(例えば20%上昇)が所定時間(例えば3分)継続した場合、前記乾燥用空気の送風湿度が前記下限湿度を超えたものと判断する。これにより、前記乾燥用空気の送風温度及び送風湿度の乱高下を防止することができる。
【0061】
(4)ステップS41~S43:
ステップS37において前記外気を加温中、前記目標送風温度が前記下限温度を所定時間(例えば3分)継続して下回る場合には、前記下限温度を目標温度として前記バーナ3を燃焼制御し前記外気を加温する。これにより、寒冷地において乾燥用空気の送風温度の低下を防止することができる。
そして、その後、前記目標送風温度が前記下限温度を所定時間(例えば3分)継続して超えた場合には、再び、前記乾燥用空気の送風温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ3を燃焼制御して前記外気を加温する(ステップS37)。
【0062】
(5)ステップS44~S46:
ステップS37において前記外気を加温中、外気の温度の上昇等により前記外気の湿度が前記乾燥用空気の送風湿度の前記下限湿度を所定時間(例えば3分)継続して下回った場合、前記バーナ3の燃焼を一時的に停止する。これにより、穀物の過乾燥を防止し、前記穀物の品質を保持することができる。
そして、その後、前記外気の湿度が前記乾燥用空気の送風湿度の前記下限湿度を所定時間(例えば3分)継続して超えた場合には、再び、前記乾燥用空気の送風温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ3を燃焼制御して前記外気を加温する(ステップS37)。
【0063】
(6)ステップS47~S49:
ステップS37において前記外気を加温中、作業員は、穀物水分や施設の運営状況等に鑑み、前記バーナ3の運転を任意のタイミングで停止することができる。
【0064】
本発明の実施の形態における穀物乾燥装置(貯留ビン1)は、前記制御装置4が、前記品質優先モードにおいて、前記乾燥用空気の前記外気の温度からの目標上昇温度及び前記乾燥用空気の送風湿度の下限湿度を予め入力設定し、前記外気の温度及び前記目標上昇温度湿度から前記乾燥用空気の目標送風温度を算出し、前記外気の湿度が前記乾燥用空気の送風湿度の前記下限湿度よりも高い場合、前記乾燥用空気の送風温度が前記目標送風温度となるよう前記バーナ3を燃焼制御して前記外気を加温し、前記加温した外気を前記乾燥用空気として前記送風ファン2により前記送風室13から前記貯留タンク12に送風するので、穀物の過乾燥を防止し、前記穀物の品質を保持する一方で、加温した乾燥用空気の作用により穀物中の水分が表面に移動しやすくなり、かつ、加温により乾燥用空気の湿度が下がり空気中に取り込める水分量が増加するため、穀物の乾燥効率が向上する。
そして、本発明の実施の形態における穀物乾燥装置は、前記制御装置4が、前記品質優先モードにおいて、加温による乾燥用空気の上昇温度を制御するので、穀物の歪みによる割れ等、高温による穀物の品質劣化を防止することができる。
【0065】
本発明の実施の形態における穀物乾燥装置は、前記バーナ3の燃焼をON/OFF(燃焼/停止)制御する制御装置4を備え、前記制御装置4が、前記貯留タンク12に投入される穀物の乾燥処理に際し、前記穀物の乾燥速度を優先して乾燥運転を制御する乾燥優先モードと、前記穀物の品質保持を優先して乾燥運転を制御する品質優先モードの2通りの乾燥運転モードを選択可能に備えるので、例えば、通常は品質優先モードを選択し、品質保持を優先して乾燥運転を制御する一方、荷受が多い場合は乾燥優先モードを選択し、乾燥速度を優先して乾燥運転を制御するなど、穀物の乾燥処理に際し、乾燥速度の優先と品質保持の優先を状況に応じて使い分けることができる。
したがって、本発明の実施の形態における穀物乾燥装置によれば、荷受が多い場合に乾燥速度を優先する乾燥優先モードを選択することで穀物の乾燥の促進を図ることができる。
【0066】
上記本発明の実施の形態において、前記制御装置4の前記2通りの乾燥運転モードは、作業員が前記操作パネル5を操作することにより手動で選択可能とするものであったが、荷受装置で荷受する穀物の今後の荷受情報や、前記貯留ビン1で乾燥処理する穀物の現在の乾燥処理情報等に基づいて、前記制御装置4が前記乾燥優先モードと前記品質優先モードのいずれかを自動で選択して前記穀物乾燥装置の乾燥運転を制御することもできる。これにより、施設の運営状況に合わせて前記穀物乾燥装置の乾燥運転を自動制御することができる。
【0067】
上記本発明の実施の形態では、静置式の穀物乾燥装置として周知の貯留ビンを例として説明したが、これに限定されるものでなく、例えば、荷受した穀物をコンテナに投入し、ラックに収容された前記コンテナの下部から乾燥用空気を送風して穀物を乾燥させる周知のラック式乾燥機にも適用することができる。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて構成を適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の穀物乾燥装置は、穀物の乾燥処理に際し、乾燥速度の優先と品質保持の優先を状況に応じて使い分けることができるものであり、荷受が多い場合に乾燥速度を優先して穀物の乾燥の促進を図ることができるため、穀物共同乾燥施設等において好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 貯留ビン(穀物乾燥装置)
11 通風床
12 貯留タンク
13 送風室
2 送風ファン
3 バーナ
4 制御装置
5 操作パネル
51 乾燥優先ボタン
52 品質優先ボタン