IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -窓構造体 図1
  • -窓構造体 図2
  • -窓構造体 図3
  • -窓構造体 図4
  • -窓構造体 図5
  • -窓構造体 図6
  • -窓構造体 図7
  • -窓構造体 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】窓構造体
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/14 20060101AFI20241112BHJP
   E06B 1/70 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
E06B7/14
E06B1/70 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020214575
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100545
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】木村 岳史
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋輝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亮介
(72)【発明者】
【氏名】緒方 舞
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-322246(JP,A)
【文献】特開平10-292745(JP,A)
【文献】特開2020-041295(JP,A)
【文献】特開2016-169480(JP,A)
【文献】特開2006-097399(JP,A)
【文献】特開2010-070912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
E06B 7/00-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に沿う配置方向に沿って延びており、上面、屋外側の第1側面、及び屋内側の第2側面を有する窓台部と、
上記配置方向に沿って延びるサッシ下枠、及び上下方向に沿って延びており、その下端部が当該配置方向における当該上記サッシ下枠の端部と連結されたサッシ縦枠を有するサッシ枠と、
上記サッシ枠と上記窓台部とに挟まれる防水部材と、を備えており、
上記サッシ下枠は、
上記窓台部の上方に位置しており、窓が嵌るレールを有する下枠本体と、
上記下枠本体から延出されており、上記窓台部の上記第1側面の上部を覆う被覆体と、を有しており、
上記防水部材は、
上記窓台部の上面及び上記下枠本体に挟まれる第1本体と、
上記窓台部の上記第1側面及び上記被覆体に挟まれる第2本体と、を有しており、
上記第1本体によって、或いは当該第1本体及び上記下枠本体によって、上記配置方向及び上下方向に交差する幅方向に延びる第1排水路が形成されており、
上記第2本体によって、或いは当該第2本体及び上記被覆体によって、上下方向に延びており、かつ上記第1排水路と連続する第2排水路が形成されており、
上記第1本体は、主面が水平方向に沿う第1板状部を有しており、
上記第1排水路は、上記第1板状部の上記主面である上面から凹む第1凹部によって形成されており、
上記第2本体は、第1主面及び第2主面が上下方向及び上記配置方向に沿っており、その上端において上記第1板状部と接続する第2板状部を有しており、
上記第2排水路は、上記第2板状部の屋外側の主面である上記第1主面から凹む第2凹部によって形成されており、
上記第1本体は、
上記第1凹部の下方に位置しており、かつ上記第1板状部の下面から突出する第1突部をさらに有しており、
上記第2本体は、上記第2凹部の側方に位置しており、かつ上記第2板状部の上記第2主面から突出する第2突部をさらに有しており、
上記窓台部は、
上面から凹んでおり、上記第1突部が嵌る第1嵌合凹部と、
上記第1側面から凹んでおり、上記第2突部が嵌る第2嵌合凹部と、を有する窓構造体。
【請求項2】
水平方向に沿う配置方向に沿って延びており、上面、屋外側の第1側面、及び屋内側の第2側面を有する窓台部と、
上記配置方向に沿って延びるサッシ下枠、及び上下方向に沿って延びており、その下端部が当該配置方向における当該上記サッシ下枠の端部と連結されたサッシ縦枠を有するサッシ枠と、
上記サッシ枠と上記窓台部とに挟まれる防水部材と、を備えており、
上記サッシ下枠は、
上記窓台部の上方に位置しており、窓が嵌るレールを有する下枠本体と、
上記下枠本体から延出されており、上記窓台部の上記第1側面の上部を覆う被覆体と、を有しており、
上記防水部材は、
上記窓台部の上面及び上記下枠本体に挟まれる第1本体と、
上記窓台部の上記第1側面及び上記被覆体に挟まれる第2本体と、を有しており、
上記第1本体によって、或いは当該第1本体及び上記下枠本体によって、上記配置方向及び上下方向に交差する幅方向に延びる第1排水路が形成されており、
上記第2本体によって、或いは当該第2本体及び上記被覆体によって、上下方向に延びており、かつ上記第1排水路と連続する第2排水路が形成されており、
上記第1本体は、主面が水平方向に沿う第1板状部を有しており、
上記第2本体は、第1主面及び第2主面が上下方向及び上記配置方向に沿っており、その上端において上記第1板状部と接続する第2板状部を有しており、
上記サッシ下枠は、
上記下枠本体の下面から突出しており、かつ上記幅方向に沿って延びており、上記第1板状部の上面に当接して当該第1板状部とともに上記第1排水路を形成する第1凸条と、
上記被覆体の屋内側の側面から突出しており、かつ上下方向に沿って延びており、上記第2板状部の屋外側の主面である上記第1主面に当接して当該第2板状部とともに上記第2排水路を形成する第2凸条と、を有する窓構造体。
【請求項3】
上記第2排水路は、上記サッシ下枠の上記被覆体の下端よりも下方まで延びている、請求項1または2に記載の窓構造体。
【請求項4】
上記防水部材の上記第1本体或いは上記サッシ下枠の上記下枠本体は、上記第1排水路と屋内とを隔てる遮蔽部を有する、請求項1からのいずれかに記載の窓構造体。
【請求項5】
上記サッシ枠の周囲に位置する壁部材の屋外側の面に貼り付けられており、一部が上記防水部材の上記第2本体と上記サッシ下枠の上記被覆体との間に位置し且つ当該第2本体の屋外側の面に当接しており、上記第2排水路から排出された水が流れる流水面を有する排水部材をさらに備える、請求項1からのいずれかに記載の窓構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓台及びサッシ枠を備える窓構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
窓台と、当該窓台に支持されたサッシ枠と、を備える窓構造体が知られている。サッシ枠は、矩形枠状であって、サッシ下枠と、サッシ上枠と、左右一対のサッシ縦枠と、をねじ等によって連結して組み立てられる。
【0003】
防水シートが、壁部材の屋外側の面に貼り付けられる。防水シートは、外壁パネルによって覆われる。窓を流れる雨水は、サッシ枠を伝って外壁パネルの外面に流れる。
【0004】
一方、特許文献1は、採光窓を開示する。この採光窓は、矩形枠状の木製下枠と、この木製下枠に取り付けられる矩形枠状の化粧上枠と、この化粧上枠の開口を閉塞する窓ガラスと、を備える。化粧上枠は、矩形枠状の木製下枠の主面の外周部を覆っている。木製下枠の主面の内周部は、窓ガラスによって覆われている。木製下枠は、この主面から凹む排水溝を有している。排水溝は、矩形枠状の木製下枠の内側から外側に向かって延びている。窓ガラスの内面で結露した水は、窓ガラスの縁部を覆う木製下枠に流れ込む。木製下枠に流れ込んだ水は、排水溝を通じて木製下枠の内側から外側に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-68174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の窓構造体において、窓を流れた雨水がサッシ横枠とサッシ縦枠との連結部からサッシ枠と窓台との間に浸入すると、窓台が腐朽するおそれが生じる。
【0007】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、雨水による窓台の腐朽を防止可能な窓構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係る窓構造体は、水平方向に沿う配置方向に沿って延びており、上面、屋外側の第1側面、及び屋内側の第2側面を有する窓台部と、上記配置方向に沿って延びるサッシ下枠、及び上下方向に沿って延びており、その下端部が当該配置方向における当該上記サッシ下枠の端部と連結されたサッシ縦枠を有するサッシ枠と、上記サッシ枠と上記窓台部とに挟まれる防水部材と、を備える。上記サッシ下枠は、上記窓台部の上方に位置しており、窓が嵌るレールを有する下枠本体と、上記下枠本体から延出されており、上記窓台部の上記第1側面の上部を覆う被覆体と、を有する。上記防水部材は、上記窓台部の上面及び上記下枠本体に挟まれる第1本体と、上記窓台部の上記第1側面及び上記被覆体に挟まれる第2本体と、を有する。上記第1本体によって、或いは当該第1本体及び上記下枠本体によって、上記配置方向及び上下方向に交差する幅方向に延びる第1排水路が形成されており、上記第2本体によって、或いは当該第2本体及び上記被覆体によって、上下方向に延びており、かつ上記第1排水路と連続する第2排水路が形成されている。
【0009】
サッシ下枠とサッシ縦枠との連結部からサッシ下枠と防水部材との間に浸入した雨水は、防水部材により、窓台部との接触を防止される。また、浸入した雨水は、第1排水路によって屋外側へ流れて第2排水路に至り、第2排水路を下方に流れて屋外に排出される。したがって、浸入した雨水がサッシ下枠と防水部材との間に留まって窓台部の周囲が多湿になることが防止される。その結果、窓台部の腐朽が防止される。
【0010】
(2) 上記第1本体は、主面が水平方向に沿う第1板状部を有しており、上記第1排水路は、上記第1板状部の上記主面である上面から凹む第1凹部によって形成されており、上記第2本体は、第1主面及び第2主面が上下方向及び上記配置方向に沿っており、その上端において上記第1板状部と接続する第2板状部を有しており、上記第2排水路は、上記第2板状部の屋外側の主面である上記第1主面から凹む第2凹部によって形成されていてもよい。
【0011】
第1排水路及び第2排水路は、防水部材によって形成されるから、市販品(汎用)のサッシ枠を使用することができる。
【0012】
(3) 上記第1本体は、上記第1凹部の下方に位置しており、かつ上記第1板状部の下面から突出する第1突部をさらに有しており、上記第2本体は、上記第2凹部の側方に位置しており、かつ上記第2板状部の上記第2主面から突出する第2突部をさらに有しており、上記窓台部は、上面から凹んでおり、上記第1突部が嵌る第1嵌合凹部と、上記第1側面から凹んでおり、上記第2突部が嵌る第2嵌合凹部と、を有していてもよい。
【0013】
第1嵌合凹部及び第2嵌合凹部が窓台部に設けられることにより、防水部材に第1突部及び第2突部を設けることができ、第1突部及び第2突部により、第1凹部及び第2凹部の深さを、第1突部及び第2突部が設けられない場合よりも深くすることができる。第1凹部及び第2凹部の深さを深くすることにより、浸入した雨水が第1排水路及び第2排水路から溢れることが防止される。その結果、窓台部の腐朽をさらに確実に防止することができる。
【0014】
(4) 上記第1本体は、主面が水平方向に沿う第1板状部を有しており、上記第2本体は、第1主面及び第2主面が上下方向及び上記配置方向に沿っており、その上端において上記第1板状部と接続する第2板状部を有しており、上記サッシ下枠は、上記下枠本体の下面から突出しており、かつ上記幅方向に沿って延びており、上記第1板状部の上面に当接して当該第1板状部とともに上記第1排水路を形成する第1凸条と、上記被覆体の屋内側の側面から突出しており、かつ上下方向に沿って延びており、上記第2板状部の屋外側の主面である上記第1主面に当接して当該第2板状部とともに上記第2排水路を形成する第2凸条と、を有していてもよい。
【0015】
浸入した雨水は、第1凸条と第1板状部とが形成するコーナー(入隅)からなる第1排水路を流れる。第1排水路を流れた水は、第2凸条と第2板状部とが形成するコーナー(入隅)からなる第2排水路を流れる。
【0016】
(5) 上記第2排水路は、上記サッシ下枠の上記被覆体の下端よりも下方まで延びていてもよい。
【0017】
第2排水路は、サッシ下枠の被覆体の下端よりも下方まで延びるている。すなわち、第2排水路の下部は被覆体によって覆われていない。したがって、第2排水路の全部が被覆体によって覆われている場合よりも、浸入した雨水が容易に屋外に排水される。
【0018】
(6) 上記防水部材の上記第1本体或いは上記サッシ下枠の上記下枠本体は、上記第1排水路と屋内とを隔てる遮蔽部を有していてもよい。
【0019】
遮蔽部によって第1排水路と屋内とが隔てられるから、浸入した雨水が屋内に排出されることが防止される。
【0020】
(7) 本発明に係る窓構造体は、上記サッシ枠の周囲に位置する壁部材の屋外側の面に貼り付けられており、一部が上記防水部材の上記第2本体と上記サッシ下枠の上記被覆体との間に位置しており、上記第2排水路から排出された水が流れる流水面を有する排水部材をさらに備えていてもよい。
【0021】
第2排水路から排出された水は、排水部材の流水面を下方に向かって流れる。したがって、排出された雨水が壁部材を腐朽させることが防止される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、窓台部の腐朽を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1(A)は、窓構造体30を含む建築物10の一部の斜視図であり、図1(B)は、窓構造体30を含む建築物10の模式的な断面図である。
図2図2は、窓構造体30の斜視図である。
図3図3は、窓構造体30の分解斜視図である。
図4図4は、サッシ枠100を取り外した状態の窓構造体30の斜視図である。
図5図5(A)は、図2におけるVA-VA断面図であり、図5(B)は、図2におけるVB-VB断面図である。
図6図6(A)、(B)、(C)は、変形例1に係る説明図であり、図6(D)、(E)、(F)は、変形例2に係る説明図であり、図6(G)、(H)、(I)は、変形例3に係る説明図である。
図7図7は、変形例4に係るサッシ下枠101の斜視図である。
図8図8(A)は、変形例4に係る窓構造体30の横断面図であり、図8(B)は、変形例4に係る窓構造体30の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0025】
図1は、本実施形態に係る窓構造体30を備える建築物10の一部の斜視図でる。建築物10は、基礎と、基礎に支持された複数の柱及び梁などの構造材と、構造材に支持された壁部材21及び窓構造体30と、外壁パネル23と、を備える。
【0026】
外壁パネル23は、板状であって、壁部材21に貼り付けられている。すなわち、外壁パネル23は、壁部材21を覆っている。壁パネル23は、例えばコンクリート製である。
【0027】
壁部材21は、矩形状の開口24を有する。この開口に窓構造体30が設けられている。
【0028】
図2に示されるように、窓構造体30は、窓台部31と、防水部材50と、防水シート25(図4)と、サッシ枠100と、を備える。
【0029】
図1(B)及び図4に示されるように、防水シート25は、壁部材21の屋外側の面である外面22、窓台部31、及び柱14に貼り付けられており、壁部材21、窓台部31、及び柱14と、外壁パネル23(図1)との間に位置している。防水シート25は、雨水が壁部材21や柱14と接触して壁部材21や柱14が腐朽することを防止する。防水シート25は、排水部材の一例である。
【0030】
窓台部31は、一の部材で構成されていてもよいし、複数の部材で構成されていてもよい。図3に示す例では、窓台部31は、木製の窓台37と、窓台37に貼り付けられた下地材38とで構成されている。下地材38は、例えば木製である。ただし、下地材38は、石膏ボードなど、木製以外であってもよい。すなわち、窓台部31は、少なくとも一部が木製である。本実施形態では、下地材38は、例えば複数の木製の板材を貼り合わせた合板、すなわち木製として記載する。
【0031】
窓台部31は、左右方向12に沿って延びる四角柱状であって、水平方向に沿う上面32、上下方向11及び左右方向12に沿う一対の側面33、34、下面35、及び左右一対の端面36を有する。左右方向12は、建築物10の外壁面(図1)及び水平方向に沿う方向である。左右方向12は、配置方向の一例である。以下では、一対の側面33、34のうち、屋外側の側面を第1側面33と記載し、屋内側の側面を第2側面34と記載して説明する。
【0032】
窓台37は、構造材である柱14に支持されている。具体的には、窓台37は、端面36を柱14の側面15に当接させて配置され、金具やねじなどによって柱14に固定されている。
【0033】
窓台部31は、上面32から凹む第1嵌合凹部41と、第1側面33から凹む第2嵌合凹部42とを、左右方向12における両端部にそれぞれ有している。図3では、窓台部31の左端部に設けられた第1嵌合凹部41及び第2嵌合凹部42のみが示されている。
【0034】
第1嵌合凹部41は、上下方向11及び左右方向12に直交する方向である前後方向13に沿って延びている。第1嵌合凹部41は、窓台部31の上面32、端面36、及び第1側面33に開口しており、第2側面34に開口していない。第1嵌合凹部41は、例えば、作業者が窓台部31を削ることによって窓台部31に形成される。第1嵌合凹部41は、後述の防水部材50の第1突部62を嵌め込まれる。なお、以下では、屋外側を前とし、屋内側を後として説明する。前後方向13は、幅方向の一例である。
【0035】
第2嵌合凹部42は、上下方向11に沿って延びている。第2嵌合凹部42は、窓台部31の上面32、端面36、及び第1側面33に開口しており、下面35に開口していない。第2嵌合凹部42は、例えば、作業者が窓台部31を削ることによって窓台部31に形成される。第2嵌合凹部42は、防水部材50の第2突部72を嵌め込まれる。
【0036】
上述の防水シート25の一部は、窓台部31の第1側面33の下部に、第2嵌合凹部42の開口を閉塞しないように貼り付けられている。例えば、防水シート25は、第2嵌合凹部42よりも下において窓台部31の第1側面33に貼り付けられている。或いは、防水シート25は、窓台部31の第1側面33に貼り付けられた後、作業者によって、第2嵌合凹部42の開口を覆う部分を切り取られる。
【0037】
防水部材50は、雨水が柱14や窓台部31と接触することを防止するための部材である。防水部材50は、例えば樹脂成型品である。
【0038】
防水部材50は、第1本体51、第2本体52、及び第3本体53を備える。なお、図3において一点鎖線の円で囲まれた図は、防水部材50の裏面側の斜視図である。
【0039】
第1本体51は、第1板状部61、第1突部62、第1凹部63、及び遮蔽部64を有する。
【0040】
第1板状部61は、主面が水平方向に沿う板状である。図5(A)に示されるように、第1板状部61の一方の主面である下面65は、窓台部31の上面32に当接している。
【0041】
図3の一点鎖線内の図に示されるように、第1突部62は、第1板状部61の下面65から下向きに突出している。第1突部62は、前後方向13に沿って延びている。図5に示されるように、第1突部62は、窓台部31の第1嵌合凹部41に嵌っている。
【0042】
図3に示されるように、第1凹部63は、第1板状部61の上面66から凹んでいる。第1凹部63は、前後方向13に沿って延びている。図5に示されるように、第1凹部63は、第1突部62の上方に位置しており、第1突部62の内部に形成されている。すなわち、第1凹部63は、第1突部62によって、第1板状部61の厚み以上とされることができる。また、第1突出部62を設けることにより、第1凹部63の形成が容易になる。
【0043】
第1凹部63によって、雨水を前方(屋外側)に流す第1排水路が形成されている。すなわち、第1排水路は、前後方向13に沿って延びている。
【0044】
図3に示されるように、遮蔽部64は、第1凹部63の後面を区画している。遮蔽部64は、第1凹部63に流入した雨水が後方(屋内側)に流出することを防止する。
【0045】
第2本体52は、第2板状部71、第2突部72、及び第2凹部73を有する。
【0046】
第2板状部71は、第1主面75及び第2主面76が上下方向11及び左右方向12に沿う板状である。図4に示されるように、第2板状部71の第2主面76は、窓台部31の第1側面33、柱14の前面16、及び防水シート25に当接している。すなわち、防水シート25の一部は、第2板状部71と窓台部31との間に位置している。
【0047】
図3に示されるように、第2突部72は、第2板状部71の第2主面76から後向きに突出している。第2突部72は、上下方向11に沿って延びている。図5(B)に示されるように、第2突部72は、窓台部31の第2嵌合凹部42に嵌っている。
【0048】
図3に示されるように、第2凹部73は、第2板状部71の第1主面75から凹んでいる。第2凹部73は、上下方向11に沿って延びている。第2凹部73は、第1凹部63と連通している。第2凹部73は、第2突部72の前方に位置しており、第2突部72の内部に形成されている。すなわち、第2凹部73は、第2突部72によって、第2板状部71の厚み以上とされることができる。また、第2突出部72を設けることにより、第2凹部73の形成が容易になる。
【0049】
第2凹部73によって、雨水を下方に流す第2排水路が形成されている。第2排水路は、第1凹部63が形成する第1排水路と繋がっており、かつ上下方向11に沿って延びている。第2凹部73を下方に流れた雨水は、防水シート25(図4)の屋外側の表面を伝って下方に流れる。すなわち、防水シート25は、第1排水路及び第2排水路によって排水された雨水が壁部材21と接触することを防止する。防水シート25の屋外側の表面は、流水面の一例である。
【0050】
第3本体53は、主面が上下方向11及び前後方向13に沿う板状である。第3本体53は、下端において第1本体51と接続しており、前端において第2本体52と接続している。図4に示されるように、第3本体53の主面(左側面)は、柱14の側面15に当接している。
【0051】
図1に示されるように、サッシ枠100は、矩形枠状である。サッシ枠100は、アルミなどの金属製であってもよいし、合成樹脂製であってもよい。
【0052】
サッシ枠100は、サッシ下枠101と、サッシ上枠102と、左右一対のサッシ縦枠103、104とを、ねじなどによって互いに圧接させて組み立てられる。すなわち、サッシ枠100は、サッシ下枠101とサッシ上枠102とを連続一体に成形したものではなく、或いはサッシ下枠101とサッシ上枠102と互いに溶着して連続一体にしたものでもなく、サッシ下枠101とサッシ上枠102とをねじなどによって互いに圧接するなどして組み立てたものである。以下では、サッシ下枠101とサッシ上枠102とが互いに圧接する部分を連結部と記載して説明する。なお、サッシ上枠102とサッシ縦枠103、104とは、連続一体であってもよい。
【0053】
図2に示されるように、サッシ下枠101は、窓台部31の上方に位置する下枠本体110と、窓台部31の第1側面33の上部を覆う被覆体120と、を有する。
【0054】
下枠本体110は、左右方向12に沿って延びる筒状の筒状部111と、筒状部111の上面から上向きに突出する複数のレール112と、筒状部111の下面から下向きに突出する複数の当接リブ113と、を有する。
【0055】
複数のレール112は、左右方向12に沿って延びている。レール112は、窓17(図1)を左右方向12にスライド可能に支持している。具体的には、図1(B)に示されるように、窓17は、窓ガラス18と、窓ガラス18に取り付けられた窓枠19とを備えている。レール112は、窓枠19に設けられた凹部と嵌合している。
【0056】
図3に示されるように、複数の当接リブ113は、左右方向12に沿って延びている。図5に示されるように、当接リブ113の先端(下端)は、防水部材50の第1本体51の上面66に当接している。すなわち、サッシ下枠101は、複数の当接リブ113において、防水部材50を介して窓台部31に支持されている。
【0057】
図3に示されるように、被覆体120は、板状部121と、板状部121から突出する当接リブ122とを備える。板状部121は、下枠本体110の筒状部111の下面の前端部から下向きに突出している。板状部121の主面は、上下方向11及び左右方向12に沿っている。当接リブ122は、板状部121の屋内側の主面(後面)から後方に向かって突出しており、かつ左右方向12に沿って延びている。図5(B)に示されるように、当接リブ122の先端(後端)は、防水部材50の第2本体52の第1主面75に当接している。
【0058】
サッシ下枠101は、当接リブ113、122が防水部材50に当接することによって上下方向11及び前後方向13において位置決めされ、左右方向12の端面が防水部材50の第3本体53に当接することによって左右方向12において位置決めされた後、ねじなどを用いて窓台部31に固定される。具体的には、筒状部111及び被覆体120が、当接リブ113、122が防水部材50を押圧するように、ねじを用いて窓台部31にそれぞれ固定される。
【0059】
次に、図5を参照して、サッシ下枠101と防水部材50との間に浸入した水が屋外に排出されることについて説明する。
【0060】
窓17(図1)を流れた雨水は、図5(A)の矢印が示すように、サッシ下枠101とサッシ縦枠103との連結部から、サッシ下枠101と防水部材50との間に浸入する。浸入した雨水は、防水部材50によって、木製の柱14及び窓台部31との接触を防止される。
【0061】
浸入した雨水は、防水部材50の第1凹部63に流れ込み、第1凹部63を前方に向かって流れる。その際、雨水は、遮蔽部64によって後方に向かって流れることを防止される。
【0062】
第1凹部63内を前方に向かって流れた雨水は、第2凹部73に至り、第2凹部73を下方に向かって流れる。そして、図5(B)の矢印が示すように、防水シート25の表面に排出される。排出された雨水は、防水シート25(図4)の表面を伝って地面まで流れ落ちる。すなわち、サッシ下枠101と防水部材50との間に浸入した雨水は、屋外に排出される。
【0063】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、サッシ下枠101とサッシ縦枠103との連結部からサッシ下枠101と防水部材50との間に浸入した雨水は、防水部材50により、窓台部31及び柱14との接触を防止される。また、浸入した雨水は、第1凹部63及び第2凹部73によって形成される排水路によって屋外に排出される。したがって、浸入した雨水がサッシ下枠101と防水部材50との間に留まって窓台部31(窓台37及び下地材38)及び柱14の周囲が多湿になることが防止される。その結果、窓台部31及び柱14の腐朽が防止される。
【0064】
また、本実施形態では、排水路を形成する第1凹部63及び第2凹部73は、防水部材50に形成されているから、市販品(汎用)のサッシ枠100を使用することができる。その結果、窓構造体30の歩留まりが良くなる。
【0065】
また、本実施形態では、第1嵌合凹部41及び第2嵌合凹部42が窓台部31に設けられることにより、防水部材50に第1突部62及び第2突部72を設けることができる。そして、第1突部62及び第2突部72により、第1凹部63及び第2凹部73の深さを、第1突部62及び第2突部72が設けられない場合よりも深くすることができる。第1凹部63及び第2凹部73の深さを深くすることにより、浸入した雨水が第1凹部63及び第2凹部73から溢れることが防止される。その結果、窓台部31の腐朽をさらに確実に防止することができる。
【0066】
また、本実施形態では、サッシ下枠101の被覆体120は、第2排水路を形成する第2凹部73の下部の開口を覆っていないから、第2凹部73の全部が被覆体120によって覆われている場合よりも、浸入した雨水が容易に屋外に排水され得る。
【0067】
また、本実施形態では、防水部材50に遮蔽部64が設けられているから、第1凹部63に流れ込んだ雨水が屋内側へ流れることが防止される。
【0068】
また、本実施形態では、防水シート25の一部は、防水部材50の第2本体52とサッシ下枠101の被覆体120との間に位置するから、第2凹部73から排水された雨水は、防水シート25を伝って地面まで流れる。したがって、排水された雨水が壁部材21を腐朽させることが防止される。
【0069】
[変形例1]
本変形例では、図3に示される第1突部62及び第1凹部63と、第2突部72及び第2凹部73とに代えて、図6(A)、(B)、(C)に示される第1突部131及び第1凹部132と、第2突部133及び第2凹部134と、が防水部材50に設けられた例を説明する。
【0070】
図6(C)に示されるように、第1突部131は、外形の断面形状が半円弧状或いは半楕円弧状である。第1凹部132は、第1突部131の内部に位置する。同様に、第2突部133は、外形の断面形状が半円弧状或いは半楕円弧状である。第2凹部134は、第2突部133の内部に位置する。また、第1突部131及び第1凹部132は、前後方向13に沿って延びており、第2突部133及び第2凹部134は、上下方向11に沿って延びている。第1突部131は、窓台部31の第1嵌合凹部41に嵌っており、第2突部133は、窓台部31の第2嵌合凹部42(図3)に嵌っている。
【0071】
サッシ下枠101とサッシ縦枠103との連結部からサッシ下枠101と防水部材50との間に浸入した雨水は、第1凹部132及び第2凹部134によって形成される排水路によって屋外に排出される。したがって、浸入した雨水がサッシ下枠101と防水部材50との間に留まって窓台部31及び柱14の周囲が多湿になることが防止される。その結果、窓台部31及び柱14の腐朽が防止される。
【0072】
[変形例2]
本変形例では、図3に示される第1突部62及び第1凹部63と、第2突部72及び第2凹部73とに代えて、図6(D)、(E)、(F)に示される第1凹部135及び第2凹部136が防水部材50に設けられた例を説明する。
【0073】
図6(C)に示されるように、第1凹部135は、防水部材50の厚みを第1板状部61の厚みよりも薄くすることによって形成されている。同様に、第2凹部136は、防水部材50の厚みを第2板状部71の厚みよりも薄くすることによって形成されている。なお、本変形例では、窓台部31には、第1嵌合凹部41及び第2嵌合凹部42(図3)は設けられていない。
【0074】
サッシ下枠101とサッシ縦枠103との連結部からサッシ下枠101と防水部材50との間に浸入した雨水は、第1凹部135及び第2凹部136によって形成される排水路によって屋外に排出される。したがって、浸入した雨水がサッシ下枠101と防水部材50との間に留まって窓台部31及び柱14の周囲が多湿になることが防止される。その結果、窓台部31及び柱14の腐朽が防止される。
【0075】
また、本変形例では、窓台部31に第1嵌合凹部41及び第2嵌合凹部42を設けることなく第1排水路(第1凹部135)及び第2排水路(第2凹部136)が形成されるから、作業者が窓台部31を削る手間を省くことができる。
【0076】
[変形例3]
本変形例では、図3に示される第1突部62及び第1凹部63と、第2突部72及び第2凹部73とに代えて、図6(G)、(H)、(I)に示される第1凹部137及び第2凹部138が防水部材50に設けられた例を説明する。
【0077】
図6(I)に示されるように、第1凹部137は、防水部材50の第1板状部61の上面66から凹む断面形状がV字状の凹みである。同様に、第2凹部136は、第2板状部71の第1主面75から凹む断面形状がV字状の凹みである。なお、本変形例では、窓台部31には、第1嵌合凹部41及び第2嵌合凹部42(図3)は設けられていない。
【0078】
サッシ下枠101とサッシ縦枠103との連結部からサッシ下枠101と防水部材50との間に浸入した雨水は、第1凹部137及び第2凹部138によって形成される排水路によって屋外に排出される。したがって、浸入した雨水がサッシ下枠101と防水部材50との間に留まって窓台部31及び柱14の周囲が多湿になることが防止される。その結果、窓台部31及び柱14の腐朽が防止される。
【0079】
また、本変形例では、窓台部31に第1嵌合凹部41及び第2嵌合凹部42を設けることなく第1排水路(第1凹部137)及び第2排水路(第2凹部138)が形成されるから、作業者が窓台部31を削る手間を省くことができる。
【0080】
[変形例4]
本変形例では、図3に示される第1突部62及び第1凹部63と、第2突部72及び第2凹部73とに代えて、図7及び図8に示される第1凸条141及び第2凸条142がサッシ下枠101に設けられた例を説明する。
【0081】
図7に示されるように、第1凸条141は、筒状部111の下面から下向きに突出している。また、第1凸条141は、前後方向13に沿って延びている。第2凸条142は、被覆体120の板状部121の後面から後方に向かって突出している。また、第2凸条142は、上下方向11に沿って延びている。
【0082】
図8に示されるように、第1凸条141の先端(下端)は、防水部材50の第1板状部61の上面66に当接している。第1凸条141及び防水部材50の第1板状部61が形成するコーナー(入隅)は、前後方向13に沿って延びる第1排水路を形成する。
【0083】
第2凸条142の先端(後端)は、防水部材50の第2板状部71の前面に当接している。第2凸条142及び防水部材50の第2板状部71が形成するコーナー(入隅)は、上下方向11に沿って延びる第2排水路を形成する。
【0084】
サッシ下枠101とサッシ縦枠103との連結部からサッシ下枠101と防水部材50との間に浸入した雨水は、第1凸条141と防水部材50の第1板状部61とが形成する第1排水路、及び第2凸条142と防水部材50の第2板状部71とが形成する第2排水路によって屋外に排出される。したがって、浸入した雨水がサッシ下枠101と防水部材50との間に留まって窓台部31及び柱14の周囲が多湿になることが防止される。その結果、窓台部31及び柱14の腐朽が防止される。
【0085】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、横長の窓17(図1)に用いられる窓構造体30を説明した。しかしながら、窓構造体30は、縦長の窓に用いられてもよい。
【0086】
上述の実施形態では、窓17が嵌るレール112(図3)が筒状部111に設けられた例を説明した。すなわち、筒状部111を備えるサッシ下枠101を説明した。しかしながら、サッシ下枠101におけるレール112を保持する部分は、板状であってもよいし、他の形状であってもよい。また、上述の実施形態では、サッシ下枠101の被覆体120が板状である例を説明した。しかしながら、被覆体120は、筒状など、板状以外の形状であってもよい。すなわち、本発明は、種々のサッシ下枠101に用いることができる。
【0087】
上述の実施形態では、防水シート25が、壁部材21の屋外側の面である外面22、窓台部31、及び柱14に貼り付けられた例を説明した。しかしながら、防水シート25に代えて、合成樹脂製の薄板や鋼板などの面材が、壁部材21の外面22、窓台部31、及び柱14に貼り付けられていてもよい。第2凹部73を下方に流れた雨水は、当該面材の屋外側の表面を伝って下方に流れる。すなわち、当該面材は、第1排水路及び第2排水路によって排水された雨水が壁部材21と接触することを防止する。当該面材は、排水部材の一例である。当該面材の屋外側の面は、流水面の一例である。
【符号の説明】
【0088】
10・・・建築物
11・・・上下方向
12・・・左右方向(配置方向)
13・・・前後方向(幅方向)
14・・・柱
17・・・窓
21・・・壁部材
23・・・外壁パネル
25・・・防水シート
30・・・窓構造体
31・・・窓台部
32・・・上面
33・・・第1側面
34・・・第2側面
37・・・窓台
38・・・下地材
41・・・第1嵌合凹部
42・・・第2嵌合凹部
50・・・防水部材
51・・・第1本体
52・・・第2本体
53・・・第3本体
61・・・第1板状部
62、131・・・第1突部
63、132、135、137・・・第1凹部
71・・・第2板状部
72、133・・・第2突部
73、134、136、138・・・第2凹部
75・・・第1主面
76・・・第2主面
100・・・サッシ枠
101・・・サッシ下枠
103、104・・・サッシ縦枠
141・・・第1凸条
142・・・第2凸条
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8