(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】通信装置、エレベーター通信装置、及び、通信方法
(51)【国際特許分類】
H04L 25/02 20060101AFI20241112BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H04L25/02 301B
H04L25/02 V
H04L12/28 200
(21)【出願番号】P 2020216859
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】高梨 浩也
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-195780(JP,A)
【文献】国際公開第2010/137365(WO,A1)
【文献】特開平05-316124(JP,A)
【文献】米国特許第10572438(US,B1)
【文献】米国特許第09691191(US,B1)
【文献】特開2010-258990(JP,A)
【文献】特開2020-015626(JP,A)
【文献】特表2012-529221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/02
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信線を介して他の通信装置とCAN通信プロトコルに基づいてデータを送受信する通信装置であって、
データの送受信を制御する制御部と、
前記制御部から出力される送信データと、当該送信データに対する応答として前記他の通信装置から出力される受信データとを入力とし、前記送信データ
のACKビットに設定される信号と前記受信データに含まれるACK
ビットに設定される確認応答信号から通信経路の遅延時間を算出する遅延時間算出部と、
前記遅延時間と閾値とを比較し、遅延判定情報を出力する遅延判定部とを備える通信装置。
【請求項2】
前記閾値は通信不具合が発生する遅延時間の限界値よりも短い遅延時間に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記遅延時間算出部は、論理演算部を備え、前記送信データと論理が反転された前記受信データとの論理積を取ることにより、
前記ACKビットに設定される信号と前記確認応答信号から遅延時間を算出するための遅延時間パルスを抽出することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記遅延時間算出部は、カウンタ部を備え、通信速度のビット時間と比較して
速いクロックによって遅延時間パルスの時間幅を計測することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信装置が複数の前記他の通信装置と接続される場合、前記通信装置は、通信経路の遅延時間を計測するために、
前記確認応答信号を応答する他の通信装置を特定するリッスンオンリ要求を送信することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記遅延判定部は前記遅延時間と前記閾値との比較を複数回繰り返し、複数回の比較結果に基づく判定によって遅延判定情報を出力することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記遅延判定部は、通信経路の設置情報から予測される遅延時間と前記遅延時間算出部により算出される遅延時間との差と、閾値とを比較することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記遅延判定部は、第1の閾値及び当該第1の閾値よりも長い遅延時間に基づいて設定される第2の閾値と、前記遅延時間算出部により算出される遅延時間とを比較し、
前記制御部は、前記遅延時間が前記第1の閾値以上である場合と、前記遅延時間が前記第2の閾値以上である場合で、異なる制御処理を実行することを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記遅延時間が前記閾値以上となった遅延原因を推定する遅延原因推定部を備え、
前記遅延原因が一時的な特性劣化に起因する場合、前記制御部は通信速度を調整する請求項1から8の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の通信装置をエレベーター制御に適用したエレベーター通信装置。
【請求項11】
通信線を介して他の通信装置とCAN通信プロトコルに基づいてデータを送受信する通信方法であって、
送信データと、当該送信データに対する応答として前記他の通信装置から出力される受信データとを入力とし、前記送信データ
のACKビットに設定される信号と前記受信データに含まれるACK
ビットに設定される確認応答信号から通信経路の遅延時間を算出するステップと、
前記遅延時間と閾値とを比較するステップと、
前記遅延時間と前記閾値との比較に基づいて、遅延判定情報を出力するステップとを含む通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載ネットワークで普及しているネットワークプロトコルの1つとしてCAN(Controller Area Network)通信方式がある。同通信方式は産業機器、農業機械、医療機器、鉄道、エレベーターなどにも広く普及している。
【0003】
CAN通信方式では、論理値“0”と“1”の2値のデジタル信号を差動信号に変換し、2線式の通信バスライン(CAN_Hライン(以下、Hライン)とCAN_Lライン(以下、Lライン))を介して伝送する。Hライン、Lラインをそれぞれ伝送する差動信号は電圧レベルによってドミナントとレセッシブの2つの状態を表現する。ISO11898で規格化されるプロトコルにおいては、Hラインの信号の電圧がハイレベル、Lラインの信号の電圧がローレベルで、HラインとLラインの電位差が所定値を超えればドミナントとして論理値“0”を表し、Hラインの信号の電圧がローレベル、Lラインの信号の電圧がハイレベルで、HラインとLラインの電位差が所定値以下(同電位を含む)であればレセッシブとして論理値“1”を表す。
【0004】
CAN通信システムの稼働時に通信が何らかの原因によって停止してしまうと、上述した車載機器などの用途においては、安全性に影響を与える場合がある。このため、通信システムが稼働中に意図せず停止することがないように、通信不具合の予兆を検知する方法が提案されている。
【0005】
従来提案されている方法では、通信装置のCANトランシーバーが送受信する信号を通信線上に設けた監視回路に入力して異常検出を行う。監視回路に入力されるHラインとLラインの信号のそれぞれのハイレベル、ローレベルとなる電圧値に対して、異常の有無を判定する電圧判定値を設定し、電圧値と電力判定値との比較によって異常(素子破壊に至る予兆)を検出する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来技術においては、HラインとLラインのそれぞれの電圧値と異常の有無を判定する電圧判定値との比較により、CANトランシーバーの異常有無を判定し、素子破壊に至る予兆を検出する。しかしながら、CAN通信システムにおいては、通信経路の遅延によって通信不具合が発生する場合がある。従来技術は、CANトランシーバーの劣化を検知するものの、通信経路の遅延を検出する仕組みにはなっていない。
【0008】
通信経路の遅延の原因としては、例えば、通信線が設置された環境の温度変化に加え、通信線が電源線などの他の配線と共に通信ケーブルにまとめられた場合、他の配線が負荷状況に応じて発熱し、通信線の温度が上昇することがある。通信線の温度が上昇するとインピーダンスが増加して遅延が発生する。またエレベーターなどの耐用年数の長い機器にCAN通信方式を適用する場合、長期間の使用によって通信線が経年劣化し、インピーダンスが増加して遅延が発生する。
【0009】
本開示は、CAN通信システムにおいて、通信経路の遅延に起因する通信不具合の予兆を検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る通信装置は、通信線を介して他の通信装置とCAN通信プロトコルに基づいてデータを送受信する通信装置であって、データの送受信を制御する制御部と、制御部から出力される送信データと、当該送信データに対する応答として他の通信装置から出力される受信データとを入力とし、送信データのACKビットに設定される信号と受信データに含まれるACKビットに設定される確認応答信号から通信経路の遅延時間を算出する遅延時間算出部と、遅延時間と閾値とを比較し、遅延判定情報を出力する遅延判定部とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、CAN通信システムにおいて、通信経路の遅延に起因する通信不具合の予兆を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施の形態1に係る通信システムの構成例を示す図
【
図2】本実施の形態1に係るCANトランシーバーの構成例を示す図
【
図3】本実施の形態1に係るCAN通信方式で使用されるデータフレーム構造の一例を示す図
【
図4】本実施の形態1に係る遅延時間算出部が実行する論理演算の真理値表
【
図5】本実施の形態1に係る遅延時間算出部の論理演算結果を模式的に示す図
【
図6】本実施の形態1に係る遅延時間算出部と遅延判定部の構成例を示す図
【
図7】本実施の形態1に係る遅延時間パルスの時間幅と閾値の関係を示す図
【
図8】本実施の形態1に係る通信システムの構成の変形例を示す図
【
図9】本実施の形態1に係る通信システムの構成の変形例を示す図
【
図10】本実施の形態1に係る第1の通信装置の動作を説明するフローチャート
【
図11】本実施の形態2に係る第1の通信装置の動作を説明するフローチャート
【
図12】本実施の形態3に係る通信システムの構成例を示す図
【
図13】本実施の形態3に係る遅延時間と使用時間の関係を模式的に示す図
【
図14】本実施の形態3に係る第1の通信装置の動作を説明するフローチャート
【
図15】本実施の形態1から3に係る第1の通信装置のハードウェア図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示の実施の形態について添付の図面を用いて説明する。各図では、同一又は相当する部分に同一の符号を付している。重複する説明は、適宜簡略化あるいは省略する。なお、以下に説明される実施の形態により本開示が限定されるものではない。
【0014】
実施の形態1.
図1は本開示の一実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。第1の通信装置1は通信線8を介して第2の通信装置11と接続されている。第1の通信装置1は通信制御基板2を有しており、通信制御基板2は、制御部3、CANコントローラー4、CANトランシーバー5を有する。通信制御基板2は更に通信経路の遅延に起因する通信不具合の予兆検出のために遅延時間算出部6、遅延判定部7を有する。
【0015】
第2の通信装置11は同様に通信制御基板12を有し、通信制御基板12は制御部13、CANコントローラー14、CANトランシーバー15を有する。なお、
図1では説明を簡単にするために第1の通信装置1と第2の通信装置11が接続された構成が開示されているが、第1の通信装置1が第2の通信装置11以外の他の複数の通信装置と接続されていても良い。また第1の通信装置1と第2の通信装置11の各部の構成は、第1の通信装置1側に遅延時間算出部6と遅延判定部7が備えられている以外は同じとする。また、第1の通信装置1をマスターとして、それが他の複数の通信装置と接続されている場合(すなわち、1対多通信である場合)、第1の通信装置1によって特定された通信装置が第1の通信装置1に対して応答するリッスンオンリ機能を利用することも可能である。以降の実施の形態においても1対多通信である場合に同様に適用できる。リッスンオンリ機能については後述する。
【0016】
通信線8は2線式の通信バスライン(Hライン81、Lライン82)であり、一般的にはツイストペアケーブルが用いられる。通信線8は電源線などの他の配線とまとめられて通信ケーブルとして設置されても良い。
【0017】
制御部3は、CANコントローラー4を備える。CANコントローラー4はCANトランシーバー5を介して第2の通信装置11との間でのデータの送受信を制御する。また制御部3は遅延判定部7から出力される遅延判定情報に基づいて通信経路の遅延を検知する。
【0018】
制御部3は、マイクロコンピュータであり、プロセッサ31及びメモリ32を備えている。プロセッサ31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)である。メモリ32は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)であり、ソフトウェアプログラムやログデータなどを記憶する。メモリ32に記憶されたソフトウェアプログラムをプロセッサ31が実行することにより、第1の通信装置1の少なくとも1つの回路の機能が実現される。なお、メモリ32は図示されるような制御部3に内蔵される態様に限られない。第1の通信装置1とデータの入出力が可能な外部記憶装置であっても良い。
【0019】
図2はCANトランシーバー5の構成例を示す図である。CANトランシーバー5は送信バッファ51、受信バッファ52、トランジスタ53、54、入出力ポート55(Hライン用)、56(Lライン用)を有する。送信バッファ51は、CANコントローラー4から受け取った2値のデジタルデータである送信データ(TxD)を差動信号に変換し、トランジスタ53、54側に出力する。トランジスタ53、54は、それぞれHライン81、Lライン82を伝送する差動信号が所定の電位となるようにそれら信号の電圧を調整する。電圧を調整された差動信号は、入出力ポート55、56から出力され、通信線8を介して第2の通信装置11のCANトランシーバー15に伝送される。また入出力ポート55、56は第2の通信装置11から送信された差動信号を受信する。受信バッファ52は、差動信号を2値のデジタルデータである受信データ(RxD)に変換してCANコントローラー4に出力する。
【0020】
次に、第1の通信装置1のCANコントローラー4から送信されるデータが正常に第2の通信装置11のCANコントローラー14で受信できたことを確認するACK(Acknowledge)機能について説明する。
図3は、CAN通信方式で使用されるデータフレーム構造の一例を示す図である。本開示において「データフレーム」は、通信装置間でデータを送受信する際のフォーマットであり、伝送される信号のまとまりを意味する。当該フレーム構造は一例であり、ACK信号相当の信号が送受信されるCAN通信方式であれば本開示を適用することができる。
【0021】
データフレームには、SOF(Start Of Frame)、ID(Identifier)、RTR(Remote Transmission Request)、コントロールフィールド、データフィールド、CRC(Cyclic Redundancy Check)シーケンス、CRCデリミタ、ACK(Acknowledge)スロット、ACKデリミタ、EOF(End Of Frame)が含まれている。図中に示される数字は、各部で使用可能なビット長を示している。なお、ITM(Intermission)はデータフレームには含まれない。ITMの後はバスアイドル状態となる。
【0022】
CANコントローラー4は、SOF、ID、コントロールフィールド、データフィールドのデータからCRC演算をし、演算結果をCRCシーケンスに格納して送信する。ACKスロットには1ビット長のACK信号(以下、ACKビットと呼ぶ)が含まれている。CANコントローラー4は、ACKビットをレセッシブ(“1”)にして送信する。
【0023】
第2の通信装置11のCANコントローラー14は、CANコントローラー4がデータフレームのACKスロットのACKビットを送信しているタイミングで、CANコントローラー4に対して応答をする。CANコントローラー14は、受信したデータフレームの内容について同様にCRC演算を行う。演算結果がCRCシーケンスに格納されているCANコントローラー4で演算した結果と一致している場合、CANコントローラー14はACKビットをドミナント(“0”)にして非同期でCANコントローラー4に応答する。
【0024】
CANプロトコルでは、通信線8上の信号はレセッシブよりもドミナントの方が優先度が高いため、CANコントローラー4がACKビットをレセッシブに設定したとしても、CANコントローラー14がこれをドミナントに設定することによって、CANコントローラー4が監視しているデータフレーム中のACKビットもドミナントとなる。したがって、CANコントローラー4はデータフレーム中のACKビットがドミナントであることを確認することによって、第2の通信装置11が正常にデータを受信したことを認識する。
【0025】
次に、通信経路の遅延を検出する方法について説明する。
【0026】
CANコントローラー4とCANトランシーバー5の間の分岐2aにより、CANコントローラー4から送信される送信データは、遅延時間算出部6に入力される。また第2の通信装置11から受信したデータは、CANトランシーバー5を介して、CANコントローラー4に入力されると共に、分岐2bによって受信データとして遅延時間算出部6に入力される。なお、当該受信データはACKビットを除いてCANコントローラー4が送信したデータであるので、通信経路で異常がない限りは、ACKスロットの前までのビットはCANコントローラー4が送信したデータと同じになる。
【0027】
遅延時間算出部6は、送信データと受信データを入力として論理演算する。
図4は、遅延時間算出部6が実行する論理演算の真理値表である。遅延時間算出部6は、2値の信号ビットについて、電圧が高い状態をレセッシブ(“H”)、低い状態をドミナント(“L”)として
図4の真理値表のとおり論理演算を実行し、演算結果Qを遅延判定部7に出力する。以下の論理式に示されるように、送信データと論理を反転した受信データとの論理積を取ることにより、演算結果Qが出力される。
【0028】
【数1】
図5は、遅延時間算出部6の論理演算を模式的に示す図である。縦軸を電圧、横軸を時間として、(a)送信データ、(b)受信データ、(c)論理演算結果が示される。前述の通り、第2の通信装置11が正常にデータを受信してACKビットをドミナントに設定して応答した場合、遅延時間算出部6に入力される送信データと受信データのACKスロットの前までのビットは同じであるから、
図4に示す真理値表に従う論理演算の結果、これらのビットの電圧レベルはドミナント(“L”)となる。
【0029】
一方、ACKビットについては、第1の通信装置1が送信する送信データのACKビットはレセッシブ(“H”)であるのに対し、第2の通信装置11からの応答は、ドミナント(“L”)である。この応答は、第1の通信装置1がACKビットを送信しているタイミングで、第2の通信装置11から非同期で応答されるものであるため、受信データのACKビットに一部レセッシブ(“H”)となる期間が生じる。
図5(c)に示されるように、送信データと受信データのACKビットの論理演算結果Qとして、レセッシブ(“H”)となる期間の信号が抽出される。以降の説明において、この抽出される信号を遅延時間パルスと呼ぶ。
【0030】
図6は、遅延時間算出部6と遅延判定部7の構成例を示す図である。遅延時間算出部6は論理演算部61によって上述の論理演算を行い、抽出した遅延時間パルスをカウンタ部62に出力する。カウンタ部62は通信速度のビット時間と比較して
速いクロック(例えば、通信速度の100倍程度)を用いて遅延時間パルスをサンプリングすることで、その時間幅を精度良く計測する。ここでの
速いクロックとは、通信経路の遅延時間を算出するため、遅延時間パルスの時間幅をある程度の精度を持って計測することが可能な程度のクロックを意味するものであり、適宜選択することができる。遅延時間パルスは、時間幅が短くなると、遅延が増加していることを示す。遅延時間算出部6は遅延時間パルスの時間幅から遅延時間を算出し、遅延判定部7に出力する。ACKビットの時間幅から遅延時間パルスの時間幅を差し引いたものが通信経路の遅延時間であるので、遅延時間パルスの時間幅自体も遅延時間と同等に扱うことができる。したがって、遅延時間算出部6は算出される遅延時間として遅延時間パルスの時間幅自体を遅延判定部7に出力しても良い。或いは、通信経路の開通又は保全後の通信経路の状態を起点とした遅延時間又は遅延時間パルスの時間幅の変動を、算出される遅延時間として出力しても良い。
【0031】
遅延時間はCANコントローラー4がレセッシブのACKビットを送信してからCANコントローラー14によって設定されるドミナントのACKビットを受信するまでの時間長に依存する。遅延判定部7又は制御部3は遅延時間の変動から通信経路の遅延に起因する通信不具合の予兆を継続的に監視している。遅延判定部7はメモリ32に保持されている閾値を読み出し、比較部71において遅延時間と閾値とを比較し、遅延判定情報を出力する。
【0032】
通信不具合の予兆を検出するため、閾値は通信不具合が発生する遅延時間の限界値よりも短い遅延時間に基づいて設定される。ここでの短い遅延時間は、通信システムの安定動作を考慮して、限界値からある程度の余裕を持って設定される。
図7は、
図5のデータ列からACKスロットのACKビットの部分を抜き出したものであり、遅延時間パルスの時間幅と閾値の関係を模式的に示している。矢印で示されるA-B、A-C、A-Dの区間は、それぞれ遅延時間に対応する。区間A-Bは通信経路が開通した時、又は、保全により部品交換され開通時と同程度の状態の時の遅延時間に対応する。区間A-Dは遅延時間の限界値を示しており、これよりも遅延時間が長くなると通信不具合が発生する。区間A-Cは上述の閾値に対応し、限界値よりも短い遅延時間で、安定的に通信可能な範囲の許容値として設定される。このため、遅延時間が閾値に到達した状態でも、安定的な通信の継続は保証される。
【0033】
遅延判定部7は遅延時間算出部6により算出される遅延時間(遅延時間パルスの時間幅、又は、通信経路の開通又は保全後の通信経路の状態を起点とした遅延時間又は遅延時間パルスの時間幅の変動も含む)と閾値を比較し、遅延判定情報を出力する。遅延判定情報は遅延時間と閾値を比較した結果が示され、遅延時間が閾値未満であること、又は、遅延時間が閾値以上であるとの情報が含まれる。遅延時間が閾値以上と遅延判定部7が判定した場合、出力される遅延判定情報によって、制御部3は通信経路の遅延に起因する通信不具合の予兆を検知する。なお、遅延時間が閾値以上であることを条件としているが、閾値以上であるとの条件は閾値を超えているとの条件を含んでいることから、当該条件を遅延時間が閾値を超えていることに置き換えても良く、それらに実質的な差はない。以降の説明においても同様に、遅延時間が閾値以上であることを条件としているが、遅延時間が閾値を「超えている」ことを条件としても良い。
【0034】
付加的な構成として、第1の通信装置1をマスターとして、それが他の複数の通信装置と接続されている場合(すなわち、1対多通信である場合)に利用できるリッスンオンリ機能について説明する。この機能は、通信経路の遅延時間を計測するために、第1の通信装置1からリッスンオンリ要求を送信することにより、ACKビットを応答する他の通信装置を特定する。
図8に示す通信システムの変形例において、第1の通信装置1に対して上述の第2の通信装置に相当する通信装置101、102、103が接続されているとする。第1の通信装置1から通信装置101、102に対してリッスンオンリ要求が出されると、通信装置101、102は通常の通信モードからリッスンオンリモードに移行する。このモードでは通信装置101、102は第1の通信装置1から送信されるデータを受け取ってもACKビットを応答しなくなる。通信装置103は通常の通信モードであるので、第1の通信装置1から送信されるデータを受け取った場合、前述のようにACKビットをレセッシブ状態からドミナント状態にして応答する。すなわち、1対多通信において第1の通信装置1に接続されている複数の通信装置に対して、この機能を利用することにより、第1の通信装置1は指定した通信装置からACKビットを抽出することができる。リッスンオンリ機能は指定した通信装置以外の通信を一部制限してしまうため、テスト運行時、メンテナンス時などの通信に影響がでない状況での利用がより望ましい。
【0035】
付加的な構成として、
図9に示すように第1の通信装置1はフェイルランプの点灯、制御盤のディスプレイに警告を表示する処理を実行する報知部9を設けても良い。
図9は通信システムの変形例を示す図である。遅延時間が閾値以上であると遅延判定部7が判定した場合、制御部3は報知部9に指令を出力し、報知部9は通信経路の遅延に起因する通信不具合の予兆を外部に知らせる。または遅延判定部7が直接に報知部9に指令を出しても良い。これにより、通信を計画的に停止し、通信経路の遅延の原因となる部品の交換などを行う予兆保全が可能となる。
【0036】
また付加的な構成として、遅延時間と閾値との比較において、遅延判定部7は複数回比較を繰り返し、複数回の比較結果に基づく判定により遅延判定情報を出力する。遅延時間パルスの時間幅の変動及びカウンタ部62の計測誤差などにより誤判定が生じる可能性があり、複数回の比較に基づいて判定することにより、通信経路の遅延に起因する不具合の予兆を検知する精度を高めることができる。
【0037】
また付加的な構成として、通信経路の設置情報から予測される遅延時間と遅延時間算出部6により算出される遅延時間との差と、閾値とを比較しても良い。例えば、通信経路の設置情報から算出される遅延時間の予測値と遅延時間算出部6により算出される遅延時間の差が20%未満であることを閾値とし、遅延判定部7が遅延時間の予測値と算出された遅延時間の差が閾値以上であると判定した場合、通信が継続できている場合であっても通信経路に遅延に起因する通信不具合の予兆があると検知する。これにより、経年劣化などの特性劣化原因によって、遅延時間が閾値に到達するまで累積的に増加する前に、通信不具合の予兆を検知できる。例えば、通信経路の開通後又は保全を実行した後の初期不良を早期に発見することに繋がる。
【0038】
通信経路の設置情報に含まれる情報としては、例えば、通信線8の長さ、通信速度などの通信システムの基本的情報、通信線8がまとめられた通信ケーブルの設置環境、負荷状況に応じた通信ケーブルの想定される温度変動幅、及び、基本的情報、温度変動及び使用時間と、これらから予測される遅延時間を対応付けたテーブルなどが挙げられる。そして、実際の通信ケーブルの長さ、通信速度、温度の測定値と通信ケーブルの使用時間の情報と設置情報とに基づいて遅延時間を予測する。上記以外の遅延時間に関係するパラメータを含めても良い。なお、上記のテーブルについては、例えば、理論的な予測、又は、通信システムから得られる実際のデータの統計的な分析に基づいて、設置情報と当該設置情報から予測される遅延時間の関係を予め算出し、メモリ32に保持しておくことができる。また通信システムから得られる実際のデータから特徴量を抽出して機械学習を行い、通信経路の設置情報から遅延時間の予測値を推定する学習済みモデルを予め生成してメモリ32に保持しておいても良い。
【0039】
次に、
図10のフローチャートを用いて第1の通信装置1の動作を説明する。第1の通信装置1が第2の通信装置11に向けて出力した送信データと、第2の通信装置11からの応答である受信データが入力される(S101)。当該送信データ及び当該受信データのACKビットから遅延時間パルスが抽出され(S102)、遅延時間パルスの時間幅が計測される(S103)。
【0040】
計測された遅延時間パルスの時間幅に基づいて算出される遅延時間と閾値の比較が行われ、遅延時間が閾値以上であるかが判定される(S104)。遅延時間が閾値未満と判定された場合、ステップS101からS103の処理が繰り返される。遅延時間が閾値以上と判定された場合、このまま使用を継続して更に遅延時間が増加すると通信不具合が発生する可能性があるため、出力される遅延判定情報によって、通信経路の遅延に起因する通信不具合の予兆が検知される(S105)。
【0041】
なお、
図1、
図9において遅延時間算出部6と遅延判定部7と制御部3を別の構成としているが、制御部3に遅延時間算出部6と遅延判定部7が含まれる構成であっても良い。遅延判定部7は閾値をメモリ32から読み出すのではなく、自身で記憶手段を有して閾値を保持しても良い。
【0042】
以上説明した通り、実施の形態1に係る第1の通信装置1は、通信線8を介して他の通信装置とCAN通信プロトコルに基づいてデータを送受信する通信装置であって、データの送受信を制御する制御部3と、制御部3から出力される送信データと、当該送信データに対する応答として他の通信装置から出力される受信データとを入力とし、送信データと受信データに含まれるACK信号から通信経路の遅延時間を算出する遅延時間算出部6と、遅延時間と閾値とを比較し、遅延判定情報を出力する遅延判定部7とを有する。このような構成により、通信経路の遅延に起因する不具合の予兆を検知することが可能となる。
【0043】
特に、エレベーターにおいては、通信ケーブルが前述した他の用途と比較して長く、数100メートルに及ぶものがあり、また耐用年数も長いことから温度変動及び経年劣化などによる通信経路の遅延の影響を受け易い。このため、通信経路の遅延に起因する不具合の予兆を検知する本開示は、エレベーターの制御盤と、かご又は乗場の操作機器との間で通信するエレベーター通信装置に好適である。以下に説明する実施の形態についても同様に、開示される通信装置をエレベーター制御に適用し、エレベーター通信装置とすることができる。
【0044】
実施の形態2.
実施の形態2に係る第1の通信装置1について説明する。本開示に係る第1の通信装置1は遅延時間算出部6により算出される遅延時間と、第1の閾値と第2の閾値とを比較する。
【0045】
本実施の形態においては、遅延時間の限界値よりも短い遅延時間に基づいて、第1の閾値、第2の閾値を設定する。第2の閾値は実施の形態1で説明した閾値に相当し、第1の閾値よりも長い遅延時間に基づいて設定される。すなわち、第2の閾値は遅延時間の許容値に対して設定され、第1の閾値は、遅延時間が第2の閾値に達する前に、通信経路の遅延に起因する通信不具合の予兆を予備的に検知するために設定される。なお、2つの閾値を設定することに限定されず、3つ以上の閾値を設定することも可能である。
【0046】
遅延判定部7は、遅延時間算出部6により算出される遅延時間と第1の閾値を比較し、遅延時間が第1の閾値以上であると判定した場合、制御部3に第1遅延判定情報を出力する。そして、遅延判定部7は、遅延時間算出部6により算出される遅延時間と第2の閾値を比較し、遅延時間が第2の閾値以上であると判定した場合、制御部3に第2遅延判定情報を出力する。制御部3は遅延時間が第1の閾値以上である場合、第1の閾値に応じて設定される制御処理を実行する。制御部3は、遅延時間が第1の閾値以上である場合と、遅延時間が第2の閾値以上である場合で、異なる制御処理を実行する。
【0047】
第1の閾値に応じて設定される制御処理の例として、制御部3は、遅延時間が第2の閾値に到達した時の保全に活用するためにログデータの収集条件を変更する。制御部3は遅延時間が第1の閾値に到達して以降、遅延時間又は遅延時間パルスの時間幅、通信線8の周囲温度、通信ケーブルの負荷状況などのログの記録を開始する。或いは、遅延時間が第1の閾値に到達する以前にログを取得している場合、制御部3は、ログを取得する周期を短くする。保全に活用するログデータを得つつ、不具合が生じる可能性が低い状況でのデータ収集を減らすことで、ログデータを記録するメモリ32の記憶資源を効率的に活用することができる。特に、第1の通信装置1がマスターとして複数の他の通信装置との通信を管理している場合、これらの通信装置から収集されるログデータの容量は大きくなるため、このような設定は有効である。ログデータは第1の通信装置1のメモリ32又は図示しない外部の記憶装置に保存しても良い。
【0048】
また報知部9により保守員に遅延時間が第1の閾値以上となったことを伝えても良い。遅延時間が第2の閾値未満であるが、第1の閾値以上である状態において、通信経路の遅延に起因する通信不具合の予兆を予備的に検知することにより、保全が必要となる時期の予見性を高め、より計画的な保全の準備が可能となる。また前回の保全から第1の閾値に達するまでの期間が短い場合、通信経路に何らかの不具合が発生している可能性があり、遅延時間が第2の閾値に達する前に、保全を実施して不良個所を早期に発見することが可能となる。
【0049】
次に、
図11のフローチャートを用いて第1の通信装置1の動作を説明する。なお、実施の形態1の
図10と共通するステップは、同じステップ番号を付して重複する説明を省略する。
【0050】
遅延時間パルスの時間幅が計測された後(S103)、遅延時間が第1の閾値以上か判定される(S201)。遅延時間が第1の閾値未満と判定された場合、ステップS101の前に戻り、遅延時間の監視が継続される。遅延時間が第1の閾値以上と判定された場合、出力される第1遅延判定情報によって、上述に例示した第1の閾値に応じて設定される制御処理が実行される(S202)。
【0051】
次に遅延時間が第2の閾値以上か判定される(S203)。遅延時間が第2の閾値未満と判定された場合、ステップS101の前に戻り、遅延時間の監視が継続される。遅延時間が第2の閾値以上と判定された場合、このまま使用を継続して遅延時間が増加すると通信不具合が発生する可能性があるため、出力される第2遅延判定情報によって、通信経路の遅延に起因する通信不具合の予兆が検知される(S105)。なお、ステップS201の後にステップS203を実行し、又は、ステップS201とステップS203の判定を並行して実行し、その後にステップS202及びステップS105が実行されても良い。
【0052】
以上説明した通り、実施の形態2に係る通信装置1は、遅延判定部7は遅延時間算出部6により算出される遅延時間と少なくとも第1の閾値と第2の閾値とを比較し、制御部3は、遅延時間が第1の閾値以上である場合と、遅延時間が前記第2の閾値以上である場合とで、異なる制御処理を実行する構成としている。このような構成により、通信経路の遅延に起因する不具合の予兆を予備的に検知し、保全又は保全の準備をすることができる。
【0053】
実施の形態3.
実施の形態3に係る第1の通信装置1について説明する。本実施の形態においては、
図12に示すように第1の通信装置1は遅延原因推定部10を備える。遅延原因推定部10は、遅延時間が閾値以上となった場合に、遅延原因を推定する。
【0054】
遅延原因が経年劣化である場合、遅延時間は設置されてからの使用時間に応じて増加する。一方、遅延原因が、通信ケーブルの温度変動又は不規則的なノイズなどに起因する場合、それに応じて遅延時間が一時的に変動することがある。例えば、通信ケーブルが一時的に過負荷の状態になり、通信ケーブルにまとめられた通信線8の温度が上昇してしまうと、通信線8のインピーダンスの増加により遅延時間が増加する。しかし、過負荷が解消されると通信ケーブルの温度が下がり、遅延時間は減少する。
【0055】
遅延原因推定部10は遅延時間が閾値以上となった原因を推定し、遅延原因が温度変動などの一時的な特性劣化であるかを推定する。一時的な特性劣化であると推定される場合、制御部3はシステムの通信に影響が出ない範囲で通信速度を調整する。具体的には、マスターである第1の通信装置1からボーレートの設定変更情報をローカルである第2の通信装置11に送信し、マスターとローカルが共に制御部3、13のプロセッサ31、131を自己リセットすることで、通信速度を落とすことで遅延に対する裕度を増加させて通信を継続させる。
【0056】
図13を用いて、遅延原因推定部10の原因推定方法の一例を説明する。遅延原因推定部10はログデータから遅延時間と使用時間の関係を参照する。
図13は横軸を通信経路が開通された後又は保全後の通信経路の使用時間、縦軸を遅延時間とし、各使用時間での通信経路の遅延時間をプロットしている。通信経路の遅延の原因として、温度変動などの一時的な特性劣化と、経年劣化による一時的でない特性劣化の影響が混在する。そのため、
図13に示すように各使用時間における遅延時間は一時的な特性劣化の影響によるバラツキが生じる。遅延原因推定部10は通信ケーブルの温度、負荷状況、環境ノイズの測定値などから、一時的な特性劣化に起因する遅延の影響が少ない使用時間のデータを抽出し、それらを直線又は曲線で近似することで一時的な特性劣化の影響を除いた遅延時間の傾向を予測する。なお、
図13に示すような抽出したデータを曲線で近似するのではなく、ある程度の幅を持つバンドで近似しても良い。このような一時的な特性劣化の影響を除いた遅延時間の傾向の予測は、前述の通信経路の設置情報から予測される遅延時間を参照して行われても良い。
【0057】
一時的な特性劣化の影響を除いた遅延時間が閾値に達するのが使用時間t2であると予測される状態で、使用時間t2より前の使用時間t1で閾値に達した場合、遅延原因推定部10はその時点の通信ケーブルの温度、負荷状況などのデータを参照して、遅延時間が閾値以上となった原因が一時的な特性劣化に起因するものかを推定する。例えば、閾値に達した時、通信ケーブルが過負荷の状態であるなど一時的な温度上昇がある場合、一時的な特性劣化と推定する。
【0058】
図14のフローチャートを用いて第1の通信装置1の動作を説明する。なお、実施の形態1の
図9と共通するステップは、同じステップ番号を付して重複する説明を省略する。
【0059】
ステップS104において遅延時間が閾値以上と判定された場合、遅延原因が推定される(S301)。次に、推定結果に基づいて遅延原因が一時的な特性劣化に起因するのか否かが判断される(S302)。遅延原因が一時的な特性劣化に起因するものである場合、通信速度が調整される(S303)。通信速度が調整された後、ステップS101の前に戻り、遅延時間の監視が継続される。一方、遅延原因が一時的な特性劣化に起因するものではない場合、遅延原因は主に経年劣化に起因するものと推定されるから、このまま使用を継続して遅延時間が増加すると通信不具合が発生する可能性があるため、出力される遅延判定情報によって、通信経路の遅延に起因する通信不具合の予兆が検知される(S105)。
【0060】
以上説明した通り、実施の形態3に係る通信装置1は、遅延時間が閾値以上となった原因を推定する遅延原因推定部10を備え、推定された遅延原因が一時的な特性劣化である場合に、制御部3は通信速度を調整する構成としている。このような構成により、遅延に対する裕度を増やすことによって安定的な通信を継続することができる。
【0061】
実施の形態1において、制御部3のプロセッサ31がメモリ32に記憶されたソフトウェアプログラムを読み出して、第1の通信装置1の各部の機能が実現されても良いことを説明したが、実施の形態2、3においても同様である。また、
図15に示すように制御部3を含む第1の通信装置1の各機能部が単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせた処理回路33として実現されても良い。また、第1の通信装置1の一部の機能がソフトウェアプログラムにより実現され、残りの機能が専用の処理回路33によって実現されるものであっても良い。
【0062】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示の第1の通信装置の構成は、実施の形態1から実施の形態3で説明した形態には限られない。本開示の第1の通信装置1と、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、適宜、組み合わせる等、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 第1の通信装置、2 通信制御基板、3 制御部、31 プロセッサ、32 メモリ、4 CANコントローラー、5 CANトランシーバー、6 遅延時間算出部、7 遅延判定部、8 通信線、9 報知部、10 遅延原因推定部、11 第2の通信装置