(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】アスファルトフィニッシャ
(51)【国際特許分類】
E01C 19/48 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
E01C19/48 A
(21)【出願番号】P 2020534765
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2019030410
(87)【国際公開番号】W WO2020027313
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-13
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2018146897
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】榊原 晃
【合議体】
【審判長】古屋野 浩志
【審判官】澤田 真治
【審判官】蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】実開平7-31907(JP,U)
【文献】特開2013-79571(JP,A)
【文献】特開2012-241454(JP,A)
【文献】実開平6-60608(JP,U)
【文献】実開平7-4166(JP,U)
【文献】特開2002-160575(JP,A)
【文献】特開2006-62545(JP,A)
【文献】特開2017-166310(JP,A)
【文献】中国実用新案公告第205951811(CN,U)
【文献】独国特許出願公開第102015008315(DE,A1)
【文献】実開平4-122709(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00-19/52
E02F 9/24
E02F 9/26
B60Q 1/00-1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機能を有するトラクタと、
前記トラクタの前側に配置され、
車幅方向に前記トラクタからはみ出す、開状態に移行可能なホッパと、
前記トラクタの後側に配置され、
車幅方向に前記トラクタからはみ出す、
車幅方向に伸縮可能な
伸縮スクリードを含むスクリードと、
前記スクリードの前部に設けられ、
車幅方向に前記トラクタからはみ出す、
車幅方向に伸縮可能な
伸縮モールドボードを含むモールドボードと、
前記トラクタの幅からはみ出
す前記スクリー
ドに含まれるはみ出し部
である前記伸縮スクリードと、
前記伸縮スクリードの伸縮方向に沿って前記
伸縮スクリードの縁部に連続的に或いは断続的に配置され、道路の施工中に発光して前記
伸縮スクリードの縁部の視認性を高めて前記
伸縮スクリードの伸縮具合を外方から認識させ
、且つ、前記伸縮スクリードと前記伸縮スクリードの端部に取り付けられたサイドプレートと前記伸縮モールドボードとによって囲まれた舗装材、又は、前記伸縮モールドボードとスクリュとの間にある舗装材を照らしてアスファルトフィニッシャの周囲で作業する作業者が前記舗装材の量を確認できるようにする複数の注意灯と、を備える、
アスファルトフィニッシャ。
【請求項2】
前記注意灯は、前記伸縮スクリードの前側の
地面においてスクリュによって敷き拡げられた前記舗装材、及び
、前記伸縮スクリードの後側の
地面において前記伸縮スクリードによって締め固められた前記舗装材を照らすように配置されている、
請求項
1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項3】
走行機能を有するトラクタと、
前記トラクタの前側に配置され、車幅方向に前記トラクタからはみ出す、開状態に移行可能なホッパと、
前記トラクタの後側に配置され、車幅方向に前記トラクタからはみ出す、車幅方向に伸縮可能な伸縮スクリードを含むスクリードと、
前記スクリードの前部に設けられ、車幅方向に前記トラクタからはみ出す、車幅方向に伸縮可能な伸縮モールドボードを含むモールドボードと、
前記トラクタの幅からはみ出す前記モールドボードに含まれるはみ出し部である前記伸縮モールドボードと、
前記伸縮モールドボードの伸縮方向に沿って前記伸縮モールドボード
の縁部に連続的に或いは断続的に配置され
、道路の施工中に発光して前記伸縮モールドボードの縁部の視認性を高めて前記伸縮モールドボードの伸縮具合を外方から認識させ、且つ、前記伸縮スクリードと前記伸縮スクリードの端部に取り付けられたサイドプレートと前記伸縮モールドボードとによって囲まれた舗装材、又は、前記伸縮モールドボードとスクリュとの間にある舗装材を照らしてアスファルトフィニッシャの周囲で作業する作業者が前記舗装材の量を確認できるようにする複数の注意灯と、を備える、
アスファルトフィニッシャ。
【請求項4】
作業灯を備え、
前記注意灯は、前記作業灯が点灯したときに点灯するように
、且つ、前記作業灯の発光色と同じ発光色で発光するように構成されている、
請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アスファルトフィニッシャに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明設備を備えたアスファルトフィニッシャが知られている(特許文献1参照。)。この照明設備は、夜間作業の際に作業箇所を照射できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の照明設備は、バケット及びスクリード等のようなトラクタの幅からはみ出す部分を照射するようには構成されていない。そのため、トラクタの幅からはみ出す部分は、周囲から見えにくいおそれがある。
【0005】
そこで、トラクタの幅からはみ出す部分の視認性を向上できるアスファルトフィニッシャの提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るアスファルトフィニッシャは、走行機能を有するトラクタと、前記トラクタの前側に配置され、車幅方向に前記トラクタからはみ出す、開状態に移行可能なホッパと、前記トラクタの後側に配置され、車幅方向に前記トラクタからはみ出す、車幅方向に伸縮可能な伸縮スクリードを含むスクリードと、前記スクリードの前部に設けられ、車幅方向に前記トラクタからはみ出す、車幅方向に伸縮可能な伸縮モールドボードを含むモールドボードと、前記トラクタの幅からはみ出す前記スクリードに含まれるはみ出し部である前記伸縮スクリードと、前記伸縮スクリードの伸縮方向に沿って前記伸縮スクリードの縁部に連続的に或いは断続的に配置され、道路の施工中に発光して前記伸縮スクリードの縁部の視認性を高めて前記伸縮スクリードの伸縮具合を外方から認識させ、且つ、前記伸縮スクリードと前記伸縮スクリードの端部に取り付けられたサイドプレートと前記伸縮モールドボードとによって囲まれた舗装材、又は、前記伸縮モールドボードとスクリュとの間にある舗装材を照らしてアスファルトフィニッシャの周囲で作業する作業者が前記舗装材の量を確認できるようにする複数の注意灯と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上述の手段により、トラクタの幅からはみ出す部分の視認性を向上させるアスファルトフィニッシャが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】アスファルトフィニッシャの側面図である。
【
図1B】アスファルトフィニッシャの上面図である。
【
図1C】アスファルトフィニッシャの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1A~
図1Cは、本発明の実施形態に係る道路機械の一例であるアスファルトフィニッシャ100を示す。具体的には、
図1Aはアスファルトフィニッシャ100の側面図であり、
図1B及び
図1Cはアスファルトフィニッシャ100の上面図である。
図1Bにおける最も粗いドットパターンAPは既設舗装体等の表面を示し、クロスパターンNPは新設舗装体を示す。
【0010】
アスファルトフィニッシャ100は、主に、トラクタ1、ホッパ2、及びスクリード3で構成されている。以下では、トラクタ1から見たホッパ2の方向(+X方向)を前方とし、トラクタ1から見たスクリード3の方向(-X方向)を後方とする。
【0011】
トラクタ1は、アスファルトフィニッシャ100を走行させるための機構である。本実施形態では、トラクタ1は、後輪走行用モータを用いて後輪5を回転させ、且つ、前輪走行用モータを用いて前輪6を回転させてアスファルトフィニッシャ100を移動させる。後輪走行用モータ及び前輪走行用モータは油圧ポンプから作動油の供給を受けて回転する。後輪5及び前輪6はクローラで置き換えられてもよい。
【0012】
コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100を制御する制御装置である。本実施形態では、コントローラ50は、CPU、揮発性記憶装置、及び不揮発性記憶装置を含む演算処理装置で構成され、トラクタ1に搭載されている。コントローラ50の各種機能は、不揮発性記憶装置に格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。
【0013】
ホッパ2は、舗装材を受け入れるための機構である。本実施形態では、ホッパ2は、トラクタ1の前側に設置され、ホッパウイング2Wを含む。ホッパウイング2Wは、ホッパシリンダ24によってY軸方向(車幅方向)に開閉可能となるように構成されている。
【0014】
具体的には、ホッパウイング2Wは、左ホッパウイング2WL及び右ホッパウイング2WRを含み、ホッパシリンダ24は、左ホッパシリンダ24L及び右ホッパシリンダ24Rを含む。そして、左ホッパウイング2WLは、左ホッパシリンダ24LによってY軸方向(車幅方向)に開閉可能となるように構成され、右ホッパウイング2WRは、右ホッパシリンダ24RによってY軸方向(車幅方向)に開閉可能となるように構成されている。ホッパウイング2Wが開くと、トラクタ1の幅(Y軸方向長さ)からホッパウイング2Wがはみ出すため、アスファルトフィニッシャ100の幅(Y軸方向長さ)は大きくなる。
【0015】
アスファルトフィニッシャ100は、通常、ホッパウイング2Wを全開状態にしてダンプトラックの荷台から舗装材(例えばアスファルト混合物である。)を受け入れる。
図1A~
図1Cは、ホッパウイング2Wの全開状態を示している。ホッパ2内の舗装材が減少するとホッパウイング2Wが閉じられ、ホッパウイング2Wの内壁付近にあった舗装材がホッパ2の中央部に集められる。ホッパ2の中央部にあるコンベアCVがトラクタ1の後側に舗装材を給送できるようにするためである。トラクタ1の後側に給送された舗装材は、スクリュSCによってトラクタ1の後側且つスクリード3の前側で車幅方向に敷き拡げられる。本実施形態では、スクリュSCは、エクステンションスクリュが左右に連結された状態にある。
【0016】
スクリード3は、舗装材を敷き均すための機構である。本実施形態では、スクリード3は、主に、前側スクリード30、及び、後側伸縮スクリード31を含む。スクリード3は、トラクタ1によって牽引される浮動スクリードであり、レベリングアーム3Aを介してトラクタ1に連結されている。スクリード3は、スクリードリフトシリンダ25の伸縮によってレベリングアーム3Aと共に上下動される。
【0017】
前側スクリード30は左前側スクリード30L及び右前側スクリード30Rを含み、後側伸縮スクリード31は左後側伸縮スクリード31L及び右後側伸縮スクリード31Rを含む。左後側伸縮スクリード31Lはスクリード伸縮シリンダ26Lを用いて車幅方向に伸縮され、右後側伸縮スクリード31Rはスクリード伸縮シリンダ26Rを用いて車幅方向に伸縮される。後側伸縮スクリード31が伸長すると、トラクタ1の幅(Y軸方向長さ)から後側伸縮スクリード31がはみ出すため、アスファルトフィニッシャ100の幅(Y軸方向長さ)は大きくなる。
【0018】
舗装体を締め固めるため、左前側スクリード30Lは左前側バイブレータ27Lによって振動させられ、右前側スクリード30Rは右前側バイブレータ27Rによって振動させられる。同様に、左後側伸縮スクリード31Lは左後側バイブレータ28Lによって振動させられ、右後側伸縮スクリード31Rは右後側バイブレータ28Rによって振動させられる。
【0019】
レベリングシリンダ23は、アスファルト混合物の敷き均し厚さを調整するためにレベリングアーム3Aの前端部分を上下動させる油圧シリンダである。
【0020】
スクリード3の端部にはサイドプレート40が取り付けられている。サイドプレート40は、スクリュSCによって敷き拡げられる舗装材PVの車幅方向への過度の拡がりを制限する。
図1A及び
図1Bは、スクリュSCによって敷き拡げられる舗装材PVを細かいドットパターンで示している。サイドプレート40は、右後側伸縮スクリード31Rから前方に延びる右サイドプレート40Rと、左後側伸縮スクリード31Lから前方に延びる左サイドプレート40Lとを含む。
【0021】
トラクタ1の側部にはリテーニングプレート42が取り付けられている。リテーニングプレート42は、スクリュSCの回転によってトラクタ1(特に後輪5)の近傍で舗装材PVが前方に飛び散るのを防止する。本実施形態では、リテーニングプレート42は、トラクタ1の右側面に取り付けられる右リテーニングプレート42Rと、トラクタ1の左側面に取り付けられる左リテーニングプレート42Lとを含む。左リテーニングプレート42Lは、トラクタ1の左側面に回動可能(折り畳み可能)に取り付けられている。右リテーニングプレート42Rについても同様である。
【0022】
スクリード3の前部には伸縮モールドボード43が取り付けられている。伸縮モールドボード43は、スクリード3の前方に滞留する舗装材PVの量を調整するための機構である。本実施形態では、伸縮モールドボード43は、不図示の油圧アクチュエータにより、後側伸縮スクリード31の伸縮に合わせて伸縮するように構成されている。舗装材PVは、伸縮モールドボード43の下端と路盤RBとの間の隙間を通ってスクリード3の下に至る。本実施形態では、伸縮モールドボード43は、右後側伸縮スクリード31Rの前方に取り付けられた右伸縮モールドボード43Rと、左後側伸縮スクリード31Lの前方に取り付けられた左伸縮モールドボード43Lとを含む。左伸縮モールドボード43Lは、左サイドプレート40L及び左後側伸縮スクリード31Lとは無関係に、Z軸方向に高さ調節ができるように構成されている。左伸縮モールドボード43Lを上下に移動させることで、左後側伸縮スクリード31Lの前方に滞留する舗装材の量を調整できるようにするためである。右伸縮モールドボード43Rについても同様である。
【0023】
スクリード3の後部にはステップ32が取り付けられている。ステップ32は、作業者が利用できる踏み台である。本実施形態では、ステップ32は、前側スクリード30の後部に取り付けられた中央ステップ32Cと、右後側伸縮スクリード31Rの後部に取り付けられた右ステップ32Rと、左後側伸縮スクリード31Lの後部に取り付けられた左ステップ32Lとを含む。
【0024】
アスファルトフィニッシャ100は、作業灯W1~W4を備えている。本実施形態では、作業灯W1~W4は、典型的には、トラクタ1に搭載された発電機12(オルタネータ)が発電した電力を用いて所定の空間を照らす。発電機12は、トラクタ1に搭載された駆動源としてのエンジン11によって駆動される。但し、作業灯W1~W4は、トラクタ1に搭載されたバッテリ等の蓄電池13の電力を用いて所定の空間を照らしてもよい。
【0025】
本実施形態では、作業灯W1~W4は、LEDランプである。但し、作業灯W1~W4は、HIDランプ又はハロゲンランプ等であってもよい。作業灯W1~W4は、典型的には、スイッチSWによって点灯・消灯が切り換えられるように構成されている。スイッチSWは、典型的には、
図1Aに示すように、運転席の前方に設置された操作パネルに含まれている。但し、スイッチSWは、スクリード3に設置された操作ボックスSB(
図2参照。)等、アスファルトフィニッシャ100の他の部分に設けられていてもよい。作業灯W1~W4は、1つのスイッチSWによって点灯・消灯が切り換えられるように構成されていてもよく、別々のスイッチSWによって個別に点灯・消灯が切り換えられるように構成されていてもよい。
【0026】
作業灯W1は、アスファルトフィニッシャ100の前方(進行方向)を照らす前照灯である。作業灯W1は、
図1Bに示すように、トラクタ1の前端部の左端に設置された左ヘッドライトW1Lと、トラクタ1の前端部の右端に設置された右ヘッドライトW1Rと、を含む。
【0027】
作業灯W2は、ホッパ2の内部を照らす。作業灯W2は、
図1Bに示すように、トラクタ1の前端部の中央部に設置され、
図1Cの粗いドットパターンで示すホッパ2の内側の範囲R1を照らす。
【0028】
作業灯W3は、後側伸縮スクリード31の前方の空間を照らす。作業灯W3は、
図1A及び
図1Bに示すように、トラクタ1の側壁に設置されている。具体的には、作業灯W3は、左サイドライトW3L及び右サイドライトW3Rを含む。左サイドライトW3Lは、
図1Cの粗いドットパターンで示す、左後側伸縮スクリード31Lの前方にある範囲R2を照らす。右サイドライトW3Rは、
図1Cの粗いドットパターンで示す、右後側伸縮スクリード31Rの前方にある範囲R3を照らす。
【0029】
作業灯W4は、後側伸縮スクリード31の後方の空間を照らす。作業灯W4は、
図1A及び
図1Bに示すように、キャノピCPの後端に設置されている。具体的には、作業灯W4は、左バックライトW4L及び右バックライトW4Rを含む。左バックライトW4Lは、
図1Cの粗いドットパターンで示す、左後側伸縮スクリード31Lの後方にある範囲R4を照らす。右バックライトW4Rは、
図1Cの粗いドットパターンで示す、右後側伸縮スクリード31Rの後方にある範囲R5を照らす。
【0030】
アスファルトフィニッシャ100は、トラクタ1の幅からはみ出すはみ出し部に連続的に或いは断続的に配置される発光部を備えている。本実施形態では、はみ出し部は、ホッパ2、後側伸縮スクリード31、及び伸縮モールドボード43等を含む。発光部は、注意灯E1~E3を含む。
【0031】
本実施形態では、注意灯E1~E3は、典型的には、作業灯W1~W4と同様に、発電機12(オルタネータ)が発電した電力を用いて発光する。但し、注意灯E1~E3は、トラクタ1に搭載された蓄電池13の電力を用いて発光してもよい。
【0032】
注意灯E1~E3は、本実施形態では、LEDリボンライトである。但し、注意灯E1~E3は、フィラメントランプ又はキセノンランプ等であってもよい。注意灯E1~E3は、典型的には、作業灯W1~W4が点灯したときに点灯するように構成されている。本実施形態では、注意灯E1~E3は、スイッチSWによって作業灯W1~W4が点灯されたときに点灯し、スイッチSWによって作業灯W1~W4が消灯されたときに消灯するように構成されている。但し、注意灯E1~E3は、作業灯W1~W4とは無関係に点灯・消灯が切り換えられてもよい。例えば、注意灯E1~E3は、不図示の照度センサの出力に基づいて周囲が暗くなったと判断したときに自動的に点灯するように構成されていてもよい。
【0033】
注意灯E1~E3のそれぞれは、常時点灯、同時点滅、又は順次点滅等、任意の点灯・点滅モードで発光するように構成されていてもよい。常時点灯は、例えば、注意灯E2を構成する複数のLED発光体の全てを継続的に点灯させる点灯モードを表す。同時点滅は、例えば、注意灯E2を構成する複数のLED発光体のそれぞれを同じタイミングで点滅させる点滅モードを表す。順次点滅は、注意灯E2を構成する複数のLED発光体のそれぞれを異なるタイミングで且つ所定の順番で点滅させる点滅モードを表す。点灯・点滅モードは、はみ出し部のはみ出し具合又ははみ出し速度等に応じて変化するように構成されていてもよい。はみ出し速度は、例えば、ホッパ2の開閉速度、後側伸縮スクリード31の伸縮速度、又は、伸縮モールドボード43の伸縮速度等を含む。
【0034】
注意灯E1は、はみ出し部としてのホッパウイング2Wの視認性を高める発光部である。注意灯E1は、
図1Bに示すように、左ホッパウイング2WLの縁部の端面に沿って設置された左リボンライトE1Lと、右ホッパウイング2WRの縁部の端面に沿って設置された右リボンライトE1Rと、を含む。左リボンライトE1Lは、信号線S1Lを介してコントローラ50に接続され、右リボンライトE1Rは、信号線S1Rを介してコントローラ50に接続されている。なお、注意灯E1は、ホッパウイング2Wの外壁の縁部に近い部分に設置されていてもよい。
【0035】
この構成により、ホッパ2に舗装材を供給するダンプトラックの運転者は、夜間作業の際にアスファルトフィニッシャ100に向かって後進するとき、ホッパウイング2Wの開閉具合を容易に認識できる。また、施工中の道路に隣接する既設道路を走行する車両の運転者は、夜間走行中にアスファルトフィニッシャ100に前方(+X側)から接近するとき、ホッパウイング2Wの開閉具合を容易に認識できる。
【0036】
注意灯E2は、はみ出し部としての後側伸縮スクリード31の前方からの視認性を高める発光部である。注意灯E2は、
図1Bに示すように、左後側伸縮スクリード31Lの上面の前縁に沿って設置された左前リボンライトE2Lと、右後側伸縮スクリード31Rの上面の前縁に沿って設置された右前リボンライトE2Rと、を含む。左前リボンライトE2Lは、信号線S2Lを介してコントローラ50に接続され、右前リボンライトE2Rは、信号線S2Rを介してコントローラ50に接続されている。
【0037】
左前リボンライトE2Lは、
図1Cの細かいドットパターンで示す、左後側伸縮スクリード31Lの前方にある範囲R2Aを照らす。範囲R2Aは、範囲R2の一部である。右前リボンライトE2Rは、
図1Cの細かいドットパターンで示す、右後側伸縮スクリード31Rの前方にある範囲R3Aを照らす。範囲R3Aは、範囲R3の一部である。
【0038】
この構成により、施工中の道路に隣接する既設道路を走行する車両の運転者は、夜間走行中にアスファルトフィニッシャ100に前方(+X側)から接近するとき、後側伸縮スクリード31の伸縮具合を容易に認識できる。また、注意灯E2は、作業灯W3による照明を補助する補助灯としても機能し得る。
【0039】
注意灯E3は、はみ出し部としての後側伸縮スクリード31の後方からの視認性を高める発光部である。注意灯E3は、
図1Bに示すように、左後側伸縮スクリード31Lの上面の後縁に沿って設置された左後リボンライトE3Lと、右後側伸縮スクリード31Rの上面の後縁に沿って設置された右後リボンライトE3Rと、を含む。左後リボンライトE3Lは、信号線S3Lを介してコントローラ50に接続され、右後リボンライトE3Rは、信号線S3Rを介してコントローラ50に接続されている。
【0040】
左後リボンライトE3Lは、
図1Cの細かいドットパターンで示す、左後側伸縮スクリード31Lの後方にある範囲R4Aを照らす。範囲R4Aは、範囲R4の一部である。右後リボンライトE3Rは、
図1Cの細かいドットパターンで示す、右後側伸縮スクリード31Rの後方にある範囲R5Aを照らす。範囲R5Aは、範囲R5の一部である。
【0041】
この構成により、施工中の道路に隣接する既設道路を走行する車両の運転者は、夜間走行中にアスファルトフィニッシャ100に後方(-X側)から接近するとき、後側伸縮スクリード31の伸縮具合を容易に認識できる。また、注意灯E3は、作業灯W4による照明を補助する補助灯としても機能し得る。
【0042】
次に、
図2及び
図3を参照し、後側伸縮スクリード31について説明する。
図2は、右後側伸縮スクリード31Rの斜視図である。
図3は、右後側伸縮スクリード31Rを-Y側(右側)から見たときの右後側伸縮スクリード31Rの側面図である。但し、
図3は、明瞭化のため、右サイドプレート40Rの図示を省略している。右後側伸縮スクリード31Rに関する以下の説明は、左後側伸縮スクリード31Lにも適用される。
【0043】
右後側伸縮スクリード31Rは、
図2及び
図3に示すように、主に、シャフトカバーUF、ガイドシャフトGS、ストライクオフ33、及びスクリードプレート35で構成されている。そして、右後側伸縮スクリード31Rの-Z側部分(底部)は、
図3に示すように、主に、ストライクオフ33及びスクリードプレート35で構成されている。
【0044】
シャフトカバーUFは、右後側伸縮スクリード31Rの上端部を構成する部材である。本実施形態では、シャフトカバーUFは、略直方体をなし、ガイドシャフトGSの上部を覆うように構成されている。
【0045】
ガイドシャフトGSは、右後側伸縮スクリード31Rの伸縮を案内するように構成されている。本実施形態では、ガイドシャフトGSは、上側ガイドシャフトGS1及び下側ガイドシャフトGS2を含む。
【0046】
ストライクオフ33は、スクリュSCによって敷き拡げられ且つ右伸縮モールドボード43Rによって量が調整された舗装材PVを右後側伸縮スクリード31Rの下に呑み込む(押し込む)ための部材である。本実施形態では、ストライクオフ33は、Y軸方向(車幅方向)における右後側伸縮スクリード31Rの全長にわたって延びる。また、スクリードプレート35の-Z側面(底面)に対して傾斜する傾斜面をその下部に備えている。ストライクオフ33の傾斜面とスクリードプレート35の底面は舗装材呑み込み角度を形成する。
【0047】
スクリードプレート35は、バイブレータによって振動させられる後側伸縮スクリード31の底部を構成する部材であり、路盤RBとストライクオフ33の間を通って呑み込まれた舗装材PVを締め固める。本実施形態では、スクリードプレート35は、車幅方向における後側伸縮スクリード31の全長にわたって延びる。
【0048】
操作ボックスSBは、アスファルトフィニッシャ100の後方で作業する作業者がアスファルトフィニッシャ100を操作するために用いる装置である。本実施形態では、操作ボックスSBは、不図示のレバースイッチ、プッシュスイッチ、及びモニタ等を含み、レベリングシリンダ23の伸縮具合、後側伸縮スクリード31の伸縮具合、及び、コンベアCVの撒き出し速度(動作速度)等を作業者が調節できるように構成されている。
【0049】
右前リボンライトE2Rは、右後側伸縮スクリード31Rを構成する略直方体のシャフトカバーUFの上面の前縁(+X側の縁)で、伸縮方向(Y軸方向)に沿って配置されている。具体的には、右前リボンライトE2Rは、15個のLED発光体が所定の等間隔で断続的に配置された構成を有する。各LED発光体は、同じサイズを有する。但し、各LED発光体は、不等間隔で断続的に配置されていてもよく、伸縮方向において各LED発光体が繋がるように連続的に配置されていてもよい。また、各LED発光体は、互いに異なるサイズを有していてもよい。また、右前リボンライトE2Rは、1つの細長いLED発光体で構成されていてもよい。左前リボンライトE2Lについても同様である。
【0050】
右前リボンライトE2Rは、任意の発光色で発光するように構成されていてもよい。本実施形態では、右前リボンライトE2Rは、右サイドライトW3Rと同じ発光色で発光するように構成されている。但し、右前リボンライトE2Rは、右サイドライトW3Rとは異なる発光色で発光するように構成されていてもよい。左前リボンライトE2Lについても同様である。
【0051】
右前リボンライトE2Rは、シャフトカバーUFの前面(+X側の面)に配置されていてもよく、シャフトカバーUFの下面の前縁に配置されていてもよい。また、右前リボンライトE2Rは、右後側伸縮スクリード31Rを構成する他の部材(望ましくは伸縮方向に延びる細長い部材)に配置されていてもよい。左前リボンライトE2Lについても同様である。
【0052】
右前リボンライトE2Rは、望ましくは、作業者等が正面側(+X側)から見たときに他の部材の陰に隠れてしまわないように、比較的高い位置に配置されている。本実施形態では、右前リボンライトE2Rの地面からの高さH1は、
図3に示すように、右リテーニングプレート42Rの地面からの高さH2よりも高く、且つ、右伸縮モールドボード43Rの地面からの高さH3よりも高い。左前リボンライトE2Lについても同様である。
【0053】
右後リボンライトE3Rは、右後側伸縮スクリード31RのシャフトカバーUFの上面の後縁(-X側の縁)で、伸縮方向(Y軸方向)に沿って配置されている。具体的には、右後リボンライトE3Rは、右前リボンライトE2Rと同様に、15個のLED発光体が所定の等間隔で断続的に配置された構成を有する。各LED発光体は、同じサイズを有する。但し、各LED発光体は、不等間隔で断続的に配置されていてもよく、伸縮方向において各LED発光体が繋がるように連続的に配置されていてもよい。また、各LED発光体は、互いに異なるサイズを有していてもよい。また、右後リボンライトE3Rは、1つの細長いLED発光体で構成されていてもよい。左後リボンライトE3Lについても同様である。
【0054】
右後リボンライトE3Rは、任意の発光色で発光するように構成されていてもよい。本実施形態では、右後リボンライトE3Rは、右バックライトW4Rと同じ発光色で発光するように構成されている。但し、右後リボンライトE3Rは、右バックライトW4Rとは異なる発光色で発光するように構成されていてもよい。左後リボンライトE3Lについても同様である。
【0055】
右後リボンライトE3Rは、シャフトカバーUFの後面(-X側の面)に配置されていてもよく、シャフトカバーUFの下面の後縁に配置されていてもよい。また、右後リボンライトE3Rは、右後側伸縮スクリード31Rを構成する他の部材(望ましくは伸縮方向に延びる細長い部材)に配置されていてもよい。左後リボンライトE3Lについても同様である。
【0056】
右後リボンライトE3Rは、作業灯が背面側(-X側)から見たときに他の部材の陰に隠れてしまわないように、比較的高い位置に配置されている。本実施形態では、右後リボンライトE3Rの地面からの高さH4は、
図3に示すように、右ステップ32Rの地面からの高さH5よりも高い。左後リボンライトE3Lについても同様である。
【0057】
右前リボンライトE2R及び右後リボンライトE3Rは何れも、右後側伸縮スクリード31Rがスクリードカバー3C内に収納されるのを妨げないように、右後側伸縮スクリード31Rに取り付けられている。そのため、本実施形態では、右前リボンライトE2R及び右後リボンライトE3Rは、右後側伸縮スクリード31Rと共にスクリードカバー3C内に収納されるように構成されている。すなわち、発光部としての注意灯E3は、後側伸縮スクリード31が収縮状態の場合には、スクリードカバー3C内に収容されるように構成されている。但し、右前リボンライトE2R及び右後リボンライトE3Rは、右後側伸縮スクリード31Rに対して容易に着脱できるように構成されていてもよい。例えば、各LED発光体は、容易に着脱できるように構成されていてもよい。この場合、右前リボンライトE2R及び右後リボンライトE3Rは、右後側伸縮スクリード31Rがスクリードカバー3C内に収納される際に、右後側伸縮スクリード31Rから取り外されてもよい。左前リボンライトE2L及び左後リボンライトE3Lについても同様である。
【0058】
上述のように、アスファルトフィニッシャ100は、トラクタ1と、トラクタ1の幅からはみ出すはみ出し部と、はみ出し部に連続的に或いは断続的に配置される発光部と、を備えている。はみ出し部は、例えば、ホッパ2、後側伸縮スクリード31、又は伸縮モールドボード43等である。発光部は、例えば、注意灯E1~E3等である。
【0059】
この構成により、アスファルトフィニッシャ100は、トラクタ1の幅からはみ出す部分の視認性を向上させることができる。そのため、アスファルトフィニッシャ100を外から見ている者は、夜間であっても、ホッパ2、後側伸縮スクリード31、又は伸縮モールドボード43等のはみ出し部の存在を容易に確認できる。その結果、アスファルトフィニッシャ100は、作業に関する安全性を高めることができる。
【0060】
発光部としての注意灯E2及びE3は、望ましくは、後側伸縮スクリード31の伸縮方向に沿って連続的に或いは断続的に配置されている。この構成により、アスファルトフィニッシャ100を外から見ている者は、後側伸縮スクリード31が車幅方向に連続的に延びていること、すなわち、アスファルトフィニッシャ100の本体に繋がっていることを容易に認識できる。そのため、この構成は、例えば、アスファルトフィニッシャ100を外から見ている者が、アスファルトフィニッシャ100の本体と後側伸縮スクリード31の端部との間に隙間(空間)が存在すると誤って認識してしまうのを防止できる。
【0061】
はみ出し部は、車幅方向に伸縮可能な後側伸縮スクリード31であってもよい。この場合、発光部としての注意灯E2及びE3は、後側伸縮スクリード31の前側の空間及び後側の空間を照らすように配置されていてもよい。この構成により、アスファルトフィニッシャ100は、作業灯W3及びW4のみで照らす場合よりも、後側伸縮スクリード31の前側の空間及び後側の空間を明るく照らすことができる。その結果、例えば、アスファルトフィニッシャ100の周囲で作業する作業者は、夜間であっても、スクリュSCの周囲に抱え込まれている舗装材PVの量を容易に確認することができる。
【0062】
はみ出し部は、車幅方向に伸縮可能な伸縮モールドボード43であってもよい。この場合、発光部は、伸縮モールドボード43の伸縮方向に沿って伸縮モールドボード43に連続的に或いは断続的に配置されていてもよい。この構成により、アスファルトフィニッシャ100は、伸縮モールドボード43の視認性を向上させることができる。
【0063】
はみ出し部は、車幅方向に開閉可能なホッパ2であってもよい。具体的には、はみ出し部は、車幅方向に開閉可能なホッパウイング2Wであってもよい。この場合、発光部としての注意灯E1は、ホッパウイング2Wの端面に沿って連続的に或いは断続的に配置されていてもよい。この構成により、アスファルトフィニッシャ100は、ホッパ2の視認性を向上させることができる。
【0064】
アスファルトフィニッシャ100は、典型的には、作業灯W1~W4を備えている。そのため、発光部としての注意灯E1~E3は、作業灯W1~W4が点灯したときに点灯するように構成されていてもよい。この構成により、操作者は、作業灯W1~W4を点灯させたときに、注意灯E1~E3を確実に点灯させることができる。そのため、夜間作業の際の注意灯E1~E3の点灯し忘れを確実に防止できる。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施形態が説明された。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に限定されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0066】
例えば、上述の実施形態では、発光部は、ホッパウイング2Wの縁部の端面に沿って設置された注意灯E1と、後側伸縮スクリード31の上面の前縁に沿って設置された注意灯E2と、後側伸縮スクリード31の上面の後縁に沿って設置された注意灯E3と、を含む。しかしながら、発光部は、スクリードカバー3Cの前後に配置される注意灯を含んでいてもよい。例えば、発光部は、スクリードカバー3Cの上面の前縁に沿って設置された注意灯と、スクリードカバー3Cの上面の後縁に沿って設置された注意灯と、を含んでいてもよい。
【0067】
本願は、2018年8月3日に出願した日本国特許出願2018-146897号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0068】
1・・・トラクタ 2・・・ホッパ 2W・・・ホッパウイング 2WL・・・左ホッパウイング 2WR・・・右ホッパウイング 3・・・スクリード 3A・・・レベリングアーム 5・・・後輪 6・・・前輪 11・・・エンジン 12・・・発電機 13・・・蓄電池 23・・・レベリングシリンダ 24・・・ホッパシリンダ 25・・・スクリードリフトシリンダ 26L、26R・・・スクリード伸縮シリンダ 27L・・・左前側バイブレータ 27R・・・右前側バイブレータ 28L・・・左後側バイブレータ 28R・・・右後側バイブレータ 30・・・前側スクリード 31・・・後側伸縮スクリード 32・・・ステップ 33・・・ストライクオフ 35・・・スクリードプレート 40・・・サイドプレート 42・・・リテーニングプレート 43・・・伸縮モールドボード 50・・・コントローラ 100・・・アスファルトフィニッシャ CP・・・キャノピ CV・・・コンベア E1~E3・・・注意灯 PV・・・舗装材 RB・・・路盤 S1L、S1R、S2L、S2R、S3L、S3R・・・信号線 SC・・・スクリュ SW・・・スイッチ UF・・・シャフトカバー W1~W4・・・作業灯