(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20241112BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241112BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20241112BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241112BHJP
H04N 1/21 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B41J29/38 301
G03G21/00 388
B41J29/42 F
H04N1/00 127B
H04N1/00 Z
H04N1/21
(21)【出願番号】P 2021000476
(22)【出願日】2021-01-05
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】浦川 豊
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-196155(JP,A)
【文献】特開2007-018102(JP,A)
【文献】特開2011-086227(JP,A)
【文献】特開2007-076333(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0310853(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 21/00
B41J 29/42
H04N 1/00
H04N 1/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントユニットと、ユーザインタフェースと、コントローラと、可搬型メモリを着脱可能なポートを有するメモリインタフェースと、を備え、前記メモリインタフェースは前記ポートを複数有し、
前記コントローラは、
蓄積印刷機能に係る処理を実行可能であり、前記蓄積印刷機能は、受信されたジョブデータに応じた印刷データを専用メモリに記憶しておき、前記ユーザインタフェースで受付けた操作に応じて、前記専用メモリに記憶された前記印刷データを前記プリントユニットに印刷させる機能であり、前記専用メモリは、前記可搬型メモリのうち、前記蓄積印刷機能において前記印刷データが記憶されるメモリであり、
前記コントローラは、
前記複数のポートのうちいずれかのポートを、前記蓄積印刷機能に係る処理において、前記専用メモリが装着される専用ポートとして設定する設定処理と、
前記複数のポートのいずれかに前記可搬型メモリが装着された場合に、前記専用メモリが前記専用ポートとして設定されていないポートに装着されたか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理により、前記専用メモリが前記専用ポートとして設定されていないポートに装着されたと判断された場合に、報知を行う報知処理と、
を実行する画像形成装置。
【請求項2】
前記報知処理には、前記複数のポートのうち、どのポートが前記専用ポートとして設定されているポートであるかを前記ユーザインタフェースにより表示することを含む請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記設定処理は、前記報知処理の実行後に、現在、前記専用メモリが装着されている前記ポートを、前記専用ポートとして設定する処理を含む請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記報知処理には、前記複数のポートを含む選択候補を前記ユーザインタフェースに表示させることを含み、
前記設定処理は、前記報知処理により表示された前記選択候補の中から、現在、前記専用メモリが装着されている前記ポートを選択する指示を受付けた場合に、現在、前記専用メモリが装着されている前記ポートを前記専用ポートに設定する処理を含む請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
内部メモリを備え、
前記蓄積印刷機能に係る処理には、前記印刷データを前記内部メモリに記憶しておき、前記ユーザインタフェースを介して受付けた操作に応じて、前記内部メモリに記憶された前記印刷データを前記プリントユニットに印刷させる処理を含み、
前記報知処理には、前記内部メモリを前記選択候補として前記ユーザインタフェースに表示させることを含み、
前記設定処理では、前記内部メモリを選択する指示を受付けた場合に、前記内部メモリを、前記印刷データの記憶先に設定し、現在、前記専用ポートとして設定されているポートに対して前記専用ポートとしての設定を解除する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記設定処理により、前記専用メモリが装着された前記ポートを前記専用ポートとして設定する場合に、現在、前記専用ポートとして設定されているポートを前記専用ポートとして使用できなくなる旨を、前記ユーザインタフェースに表示させる請求項3~5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記報知処理では、前記専用メモリが前記複数のポートのうち、いずれかのポートに装着され、かつ前記専用ポートが未設定である場合に、前記専用メモリを使用する機能の候補として、前記蓄積印刷機能とは異なる機能に係る処理を前記ユーザインタフェースに表示させることを含む請求項1~6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記報知処理では、前記専用ポートとは異なるポートに、前記専用メモリとして設定された前記可搬型メモリと異なる前記可搬型メモリが装着
された場合に、前記蓄積印刷機能に係る処理に関する第1選択肢と、前記蓄積印刷機能とは異なる機能に係る処理である第2選択肢と、を前記ユーザインタフェースに表示させる処理を含み、前記第1選択肢は、前記専用メモリに設定されていない可搬型メモリを前記専用メモリとして設定し、かつ前記専用メモリに設定されていない可搬型メモリが装着された前記ポートを前記専用ポートとして設定する指示を受付ける選択肢であり、
前記設定処理では、
前記第1選択肢が選択指示された場合に、前記専用メモリに設定されていない可搬型メモリを、前記専用メモリに設定し、前記専用メモリに設定されていない可搬型メモリが装着された前記ポートを前記専用ポートに設定する処理を含み、
前記第2選択肢が選択指示された場合に、前記専用メモリに設定されていない可搬型メモリを、前記選択指示を受付けた異なる処理で用いる前記可搬型メモリに設定する処理を含む請求項1~7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記設定処理は、前記可搬型メモリに識別情報を記憶することで、前記識別情報が記憶された前記可搬型メモリを、前記専用メモリに設定し、
前記判断処理では、前記識別情報が記憶されている前記可搬型メモリを、前記専用メモリとして設定されている可搬型メモリとして判断する請求項1~8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記設定処理では、前記識別情報と対になる判定情報を記憶し、前記専用ポートとしての設定として設定情報を記憶し、前記設定情報は、前記複数のポートのうち、どのポートが前記専用ポートであるのかを示す情報であり、
前記判断処理では、前記判定情報と対になる前記識別情報が記憶されている前記可搬型メモリを、前記専用メモリとして設定されている可搬型メモリとして判断する請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記設定処理により、前記可搬型メモリを専用メモリとして設定する場合に、前記専用メモリとして設定される可搬型メモリと対になる
暗号化キーを作成し、
前記専用メモリに記憶される前記印刷データの管理情報を作成し、作成された前記管理情報を前記暗号化キーで暗号化し、暗号化された前記管理情報を前記専用メモリとして設定される前記可搬型メモリに記憶させ、前記判定情報は前記暗号化キーであり、前記識別情報は前記管理情報であり、
前記判断処理では、暗号化された前記管理情報を前記暗号化キーで復号化できた場合に、前記可搬型メモリを、前記専用メモリとして設定されている可搬型メモリと判断し、
前記コントローラは、
前記管理情報を更新する場合に、前記暗号化キーにより暗号化された前記管理情報を復号化し、復号化された前記管理情報を更新し、更新後の前記管理情報を前記暗号化キーで暗号化する請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記報知処理には、前記設定情報に基づいて、前記複数のポートのうち、どのポートが前記専用ポートとして設定されているかを表示することを含む請求項10又は11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記設定処理は、前記可搬型メモリに記憶された前記識別情報を無効化することで、前記専用メモリとしての設定を解除する請求項9~12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記設定処理では、前記設定情報を無効化することで、前記専用ポートとしての設定を解除する請求項10~
12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型メモリに記憶された印刷データを印刷する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、受信されたジョブデータに応じた印刷データを、自装置に接続された可搬型メモリに記憶しておき、ユーザインタフェースを介して受付けた操作に応じて、印刷データを印刷する画像形成装置が記載されている。具体的には、画像形成装置のコントローラは、ジョブデータに、可搬型メモリを記憶先に指示する情報が含まれている場合に、ジョブデータから印刷データを作成し、作成された印刷データを可搬型メモリに記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1については、可搬型メモリを着脱可能なポートを複数備える構成について、十分な記載がない。また、印刷データを記憶させるための可搬型メモリをポートに装着したときの処理についても十分な記載がない。例えば、印刷データ記憶用の可搬型メモリを、印刷データ記憶用のポート以外に接続した場合の画像形成装置の処理について、記載がない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、可搬型メモリを着脱可能なポートを複数備える画像形成装置において、ユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明では、プリントユニットと、ユーザインタフェースと、コントローラと、可搬型メモリを着脱可能なポートを有するメモリインタフェースと、を備える画像形成装置に関する発明である。メモリインタフェースはポートを複数有している。画像形成装置のコントローラは、蓄積印刷機能に係る処理を実行可能であり、蓄積印刷機能は、受信されたジョブデータに応じた印刷データを専用メモリに記憶しておき、ユーザインタフェースで受付けた操作に応じて、専用メモリに記憶された印刷データをプリントユニットに印刷させる機能であり、専用メモリは、可搬型メモリのうち、蓄積印刷機能において印刷データが記憶されるメモリである。コントローラは、複数のポートのうちいずれかのポートを、蓄積印刷機能に係る処理おいて、専用メモリが装着される専用ポートとして設定する設定処理を実行し、複数のポートのいずれかに可搬型メモリが装着された場合に、専用メモリが専用ポートとして設定されていないポートに装着されたか否かを判断する判断処理と、判断処理により、専用メモリが専用ポートとして設定されていないポートに装着されたと判断された場合に、報知を行う報知処理と、を実行する。
【0007】
上記構成では、コントローラは、蓄積印刷機能に係る処理において、印刷データの保存先となる専用メモリと、この専用メモリが装着される専用ポートとを設定することができる。これにより、ユーザの嗜好に応じて、専用ポートを柔軟に設定することができる。一方で、専用ポートに設定されていないポートに専用メモリを装着している場合に、報知が行われるため、ユーザは、専用ポートに設定されていないポートに専用メモリを装着したことを認識することができ、例えば、専用メモリを、専用ポートに装着し直すことができる。その結果、複数のポートを有する画像形成装置において、ユーザの利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、USBメモリに記憶された印刷データを印刷可能な画像形成装置において、ユーザの利便性を向上させた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】ジョブデータの記憶先を設定する処理の手順を示すフローチャート。
【
図6】USBメモリがポートに装着されたことを契機に実行される処理の手順を示すフローチャート。
【
図12】蓄積印刷機能に係る処理のうち、印刷データの保存の手順を説明するフローチャート。
【
図13】蓄積印刷機能に係る処理のうち、印刷データの印刷の手順を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態係に係る画像形成装置を、MFP10により説明する。MFPは、Multifunction peripheralの略称である。
図1,
図2に示すMFP10は、ネットワーク200に接続されており、ネットワーク200を通じてPC24と通信可能である。ネットワーク200は、LANや、インターネットである。なお、インターネットは無線接続の他、有線接続であってもよい。ネットワーク200は、MFP10とPC24とを繋ぐUSB配線であってもよい。
【0011】
図2に示すように、MFP10は、メモリIF11,12、コントローラ13、内部メモリ14、プリントユニット15、読取ユニット16、ユーザIF17、通信IF18、FAXユニット19、及びバス20を備えている。これら各部は、バス20に接続されており、互いに通信可能である。なお、「IF」は、Interfaceの略称である。
【0012】
ユーザIF17は、MFP10を直接操作するユーザと、コントローラ13との間に介在するインタフェースであり、例えば、タッチパネルや、物理キーである操作キーを有している。通信IF18は、MFP10をネットワーク200に接続するインタフェースである。プリントユニット15は、シートやディスクなどの被記録媒体に画像を印刷する。プリントユニット15の記録方式としては、インクジェット方式や、電子写真方式などを採用することができる。また、MFP10は、複数の動作を組み合わせた複合動作を実行可能であってもよい。
【0013】
メモリIF11,12は、USB(Universal Serial Busの略)規格に準拠した通信を行うインタフェースである。メモリIF11,12は、USBメモリ23と着脱可能なポート21,22を有している。USB規格は、特に限定されないが、USB2.0規格やUSB3.0規格などを採用することができる。なお、USBメモリ23は、可搬型であり、ポートを介してMFP10と着脱可能なメモリであればよく、USB接続が可能なHDD、USB接続されたカードリーダで通信可能なメモリカードであってもよい。この場合、メモリIF11,12は、ポートとして、メモリカードを着脱可能なカードスロットを備えている。
【0014】
図1に示すようにメモリIF12が有するポート22は、MFP10の筐体40において、ユーザIF17が配置される側の部位であるフロント部41に位置している。具体的には、筐体40においてユーザIF17が配置される側を前面側とした場合に、フロント部41は、この前面側と筐体40の側面のうち前側の部分とを含む部分である。具体的には、フロント部41は、筐体40を前後に延びる方向である奥行方向で2等分した場合に、ユーザIF17が備えられている部分ともいえる。また、フロント部41は、筐体40を、略立方体ととらえた場合に、略立方体のユーザIF17が備えられている前面と、前面に接する側面の大部分であって、前面と接する部分を含む部分ともいえる、言い換えると、フロント部は、ユーザが、MFP10のユーザIF17に相対した状態で位置している場合に、ポート22にUSBメモリ23が装着されていることを目視しやすい部分である。本実施形態では、ポート22は、フロント部41のうち、筐体側面に位置している。メモリIF11が有するポート21は、MFP10の筐体40において、ユーザIF17を基準とした場合に、フロント部と反対側の領域であるリア部に位置している。具体的には、リア部42は、筐体40を奥行方向で2等分した場合に、ユーザIF17が備えられていない部分ともいえる。また、リア部42は、筐体40において前面の対面、いわゆる背面と、前面に接する側面のフロント部41に含まれない部分と、を含む部分ともいえる。言い換えると、リア部は、ユーザが、MFP10のユーザIFに相対した状態で、ポート21にUSBメモリ23が装着されていることを目視しづらい領域である。
【0015】
コントローラ13は、CPUや、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略)等により構成されている。内部メモリ14は、RAM、ROM、SSD、HDD等が組み合わされて構成されている。各種プログラムの実行時に用いられる、コントローラ13が備えるバッファも、内部メモリ14の一部とみなしてよい。なお、内部メモリ14は、コントローラ13が読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コントローラ13が読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0016】
内部メモリ14には、コントローラ13が実行可能なプログラムとして、制御プログラムが記憶されている。本実施形態では、主に、プログラムに記述された命令に従ったコントローラ13の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、コントローラ13の処理を表している。なお「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、コントローラ13が要求することなくデータを受信するという処理も、「コントローラ13がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コントローラに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。
【0017】
内部メモリ14のデータ記憶領域には、管理情報30、暗号化キー31、設定情報32、認証DB33が記憶されている。管理情報30、暗号化キー31、設定情報32及び認証DB33の詳細については後述する。なお、後述するように、「管理情報30」は、USBメモリ23にも記憶されるため、内部メモリ14に記憶される管理情報30と、USBメモリ23に記憶される管理情報30とを区別する場合は、符号の末尾に「a,b」のアルファベットを付す。
【0018】
次に、PC24の構成を説明する。PC24は、不図示の通信IF、メモリ、コントローラを備えている。各部の構成は、MFP10が備える通信IF、メモリ、コントローラと同様である。PC24は、メモリに記憶されたアプリケーションプログラムの機能により、ジョブデータJDを作成することができる。ジョブデータJDは、MFP10に印刷を実行させるためのデータである。本実施形態では、ジョブデータJDには、プリンタジョブ言語(PJL:Printer Job Languageの略)で記述されたPJLデータと、ページ記述言語(PDL:Page Description Languageの略)で記述されたページ記述言語データ(PDLデータ)とが含まれる。PDLデータは、例えば、PS(Post Scriptの略)データ、PCL(Printer Command Languageの略)データ、JPEG(Joint Photographic Experts Groupの略)データ、GDI(Graphic Device Interfaceの略)データなどを含む。
【0019】
図3を用いて、蓄積印刷機能における、保存先のメモリを設定する処理の手順を説明する。蓄積印刷機能は、受信されたジョブデータJDに応じた印刷データを記憶先として設定されたメモリに記憶しておき、ユーザIF17を介して受付けた操作に応じて、記憶先として設定されたメモリに記憶された印刷データをプリントユニット15に印刷させる機能である。蓄積印刷機能には、PINコード付きのジョブデータJDを対象とする第1蓄積印刷機能と、ユーザ名付きのジョブデータJDを対象とする第2蓄積印刷機能とがある。MFP10の工場出荷時には第1蓄積印刷機能が有効になっている。第2蓄積印刷機能の有効無効は、外部からの指示によって切り替え可能である。コントローラ13は、ユーザによる指示により、第2蓄積印刷機能を有効に切り替えると、第1蓄積印刷機能を無効にする。逆に、コントローラ13は、ユーザによる指示により、第2蓄積印刷機能を無効に切り替えると、第1蓄積印刷機能を有効にする。蓄積印刷機能では、USBストレージ処理が有効化されている場合、印刷データをUSBメモリ23に蓄積保存させることができる。一方で、USBストレージ処理が無効化されている場合、印刷データを内部メモリ14に蓄積保存させることができる。
【0020】
図3では、ポート22を、保存先のUSBメモリ23が装着されるポートとして設定する場合を例に説明を行う。
図3に示す処理は、コントローラ13が、
図4に示す待受画面60に対する操作により、蓄積印刷機能の設定画面に遷移する指示を受付けた場合に実行する処理である。なお、待受画面60は、MFP10の各種機能に対する選択指示を受付ける画面であり、MFP10の電源が投入された後や、MFP10の各処理が実行された後、指示を待受けるためにユーザIF17に表示される。
【0021】
まずは、USBストレージ処理が無効化された状態から有効化された状態に切換えられる場面を例に説明を行う。ステップ10(以下、「ステップ」を、単に「S」と記載)では、USBストレージ処理が有効化されているか否かを判断する。具体的には、ユーザIF17に表示された待受画面60を、蓄積印刷機能の設定画面に遷移させた後、この設定画面でUSBストレージ処理を有効化する指示を受け付けた場合、S10を肯定判定する。
【0022】
S11では、印刷データの保存先となるUSBメモリ23が装着されるポートを設定する。具体的には、ユーザIF17に対する操作に応じて、
図5に示す保存先設定画面70を表示させる。保存先設定画面70には、印刷データの保存先の選択指示を受付ける指定ボタン71,72,73が含まれている。指定ボタン71、72、73はそれぞれ、印刷データの保存先として、内部メモリ14又はポート21、22を選択指示する場合に操作されるボタンである。また、現在の保存先に対応する指定ボタンは、他の指定ボタンと比べて表示色が異なっている。なお、図中、表示色の差異を斜線で示している。指定ボタン71,72,73に対する操作に応じて、設定情報32を更新する。設定情報32は、印刷データの保存先として設定されたUSBメモリ23が装着されるポート(サイド、リア)又は内部メモリ14を示す情報である。
【0023】
S12では、S11での設定前に保存先として設定されている内部メモリ14に、印刷データが記憶されているか否かを判断する。否定判定の場合、S23に進む。一方、肯定判定の場合、S13に進み、メモリを初期化するための確認画面を、ユーザIF17に表示させる。
【0024】
S14では、確認画面でYESボタンが操作されたか否かを判断する。S14を肯定判定する場合、S15に進み、内部メモリ14に記憶された印刷データを削除する。USBストレージ処理の保存先として設定されたメモリには、特定のユーザ、または、特定のユーザが所属するグループの印刷データを記憶する、という使い方が想定されている。そのため、新たに保存される印刷データを、以前に印刷データの保存先として使われていたときの印刷データと混在しないことが望ましいためである。一方、S14を否定判定する場合、
図3の処理を終了する。この場合、コントローラ13は、今回、S11で設定された保存先を設定変更することなく、現状の保存先となるメモリの設定を維持する。なお、コントローラ13は、USBストレージ処理の有効化時において、内部メモリ14内の印刷データ等を削除せずに、後述する有効化後に保存先となるUSBメモリ23へ移動させてもよい。
【0025】
S23では、S11で設定されたポートに、USBメモリ23が装着されているか否かを判断する。具体的には、内部メモリ14に記憶されている設定情報32で示されるポートにUSBメモリ23が装着されているか否かを判断する。S23を否定判定すると、S30に進み、未装着エラーを表示する。例えば、USBメモリ23をS11で設定されたポートに装着することを促すメッセージとクローズボタンとを含むエラー画面を、ユーザIF17に表示させる。なお、S30で表示された未装着エラー画面で、クローズボタンの選択指示を検出すると、未装着エラー画面を消去し、
図3の処理を終了する。
【0026】
S23を肯定判定し、S24に進むと、S11で設定されたポートに装着されたUSBメモリ23の残容量が判定値TH以上であるか否かを判断する。これは、USBストレージ処理で使用されるUSBメモリ23の残容量が少ない場合、印刷データを十分に蓄積保存できなくなることが懸念されるためである。また、USBメモリ23の残容量が少ない場合、USBメモリ23の単位記憶領域当たりの書き込み回数や読み出し回数が増加し、USBメモリ23の故障を招く可能性が高くなるためである。S23での判断に用いらえる判定値THは、例えば、8GBである。
【0027】
S24を肯定判定すると、S25に進み、ポートに装着されたUSBメモリ23を初期化する。例えば、USBメモリ23内の全データを削除する。USBメモリ23の記憶領域をフォーマットしてもよい。なお、S25でのUSBメモリ23の初期化に先立ち、USBメモリ23を初期化することを確認する確認画面を表示するものであってもよい。初期化のための確認画面において、初期化の選択指示を受付けた場合に、S25に進み、初期化の選択指示を受付けない場合は、
図3の処理を終了するものであってもよい。
【0028】
S26では、USBストレージ処理を有効化する。USBストレージ処理を有効化する場合、USBストレージ処理の状態を示す有効化判定フラグを、有効化されていることを示す値に設定し内部メモリ14に記憶する。また、設定情報32を、内部メモリ14に記憶する。S27では、暗号化キー31を作成する。暗号化キー31は、ポートに装着されるUSBメモリ23に記憶される印刷データ及び管理情報30の暗号化及び復号化に用いられる情報である。USBストレージ処理を有効にする都度、新たな暗号化キーを生成する。以下では、専用ポートとして設定されたポートを、単に「専用ポート」とも称す。
【0029】
S28では、ポートに装着されたUSBメモリ23に識別情報34を記憶する。識別情報34は、この識別情報34を記憶されたUSBメモリ23が、USBストレージ処理において、印刷データの保存先として設定されていることを示す情報である。具体的には、管理情報30bを作成し、S27で作成された暗号化キー31により管理情報30bを暗号化することで、識別情報34を作成する。なお、S28で暗号化される管理情報30bには、印刷データに関する情報は何ら記録されていない。以下では、USBメモリ23のうち、識別情報34が記憶されることで保存先に設定されたUSBメモリ23を、単に、「専用メモリ」とも称す。
【0030】
S29では、内部メモリ14に、S28で識別情報34を作成するのに用いた暗号化キー31を記憶する。即ち、暗号化キー31は、識別情報34と対となる情報である。S29の処理を終了すると、
図3の処理を終了する。本実施形態では、コントローラ13が、S28,S29で実行する処理が、設定処理の一例である。
【0031】
次に、USBストレージ処理が有効化された状態から無効化された状態に切換えられる場面を例に説明を行う。S10を否定判定すると、S16に進み、現在、USBストレージ処理で使用中のポートにUSBメモリ23が装着されているか否かを判断する。S16を肯定判断すると、S17に進み、ポートに装着されたUSBメモリ23を初期化することを確認する確認画面を表示する。確認画面には、USBメモリ23内のデータを全て削除し、印刷データの保存先としての役割を無効化する旨のメッセージと、USBメモリ23の初期化の選択指示を受付けるOKボタンと、初期化の非指示を受付けるキャンセルボタンとが含まれる。
【0032】
S18で、確認画面のOKボタンが操作されたことを検出すると、S21に進み、現在ポートに装着されているUSBメモリ23を初期化する。S21の処理はS25の処理と同様である。S22では、USBストレージ処理を無効化する。具体的には、内部メモリ14に記憶された有効化判定フラグを、USBストレージ処理が無効化されたことを示す値に変更する。これにより、MFP10に対して、USBストレージ処理が無効化された状態となり、印刷データの保存先は内部メモリ14に設定される。なお、S22において、USBメモリ23内のデータのうち、印刷データや管理情報30のみを削除してもよい。また、S22での、USBストレージ処理の無効化時に、USBメモリ23内の印刷データや管理情報30を削除せずに、印刷データや管理情報30を内部メモリ14へ移動させてもよい。
【0033】
USBストレージ処理を無効化したときのS22と同様に、第1,第2蓄積印刷機能間での有効無効が切り替えられる場合も、無効化された機能でのUSBストレージ処理によりUSBメモリ23に蓄積されていた印刷データを削除する。第1、第2蓄積印刷機能では、後述するS87で必要とされる情報(ユーザ名、PINコード)が異なるため、USBメモリ23に印刷データを残したままだと、例えば、印刷できないままの印刷データが残ってしまうなど、弊害があるためである。なお、この場合において、専用ポートや専用メモリを示す情報は削除されない。これにより、第1,第2蓄積印刷機能間での有効無効が切り替えられた後も、既に設定されているUSBストレージ処理をそのまま利用することができる。
【0034】
S16を否定判定する場合、S19に進み、確認画面をユーザIF17に表示する。S19で表示される確認画面では、ポートにUSBメモリ23が接続されていない旨を示すメッセージや、USBストレージ処理の無効化の有無の選択指示を受付けるボタンが含まれている。
【0035】
S20で、確認画面のOKボタンが操作されたか否かを判断する。S20を肯定判定すると、S22に進み、USBストレージ処理を無効化する。そして、
図3の処理を終了する。なお、S20を否定判定する場合は、
図3の処理を終了する。
【0036】
次に、USBメモリ23がポートに装着されたことを契機に実行される処理の手順を、
図6を用いて説明する。
図6に示す処理は、コントローラ13により実行される処理である。なお、USBメモリ23がポート21,22に装着され状態で、MFP10の電源がオンされた場合も、USBメモリ23の装着が検知されるため、
図6の処理が開始される。
【0037】
S40では、ユーザIF17に、待受画面60(
図4)が表示されているか否かを判断する。S40を否定判定する場合、
図6の処理を一旦終了する。これは、ユーザIF17に待受画面60が表示されていない場面では、コントローラ13が何らかの処理を実行中であるため、実行途中の処理が終了するまでは、後述する保存先となるメモリの変更や、USBメモリ23を使用する機能の変更を行わないためである。S40を肯定判定すると、S41に進む。
【0038】
S41では、現在、USBストレージ処理は有効化されているか否かを判断する。具体的には、有効化判定フラグを参照し、現在、USBストレージ処理は有効化されているか否かを判断する。S41を肯定判定すると、S42に進み、今回、ポートに装着されたUSBメモリ23に、暗号化キー31と対となる識別情報34が記憶されているか否かを判断する。具体的には、今回ポートに装着されたUSBメモリ23に暗号化された管理情報30bが記憶されており、かつ内部メモリ14に記憶されている暗号化キー31を用いて、管理情報30bを復号化できるか否かを判断する。暗号化キー31により管理情報30bを復号化できる場合、S42を肯定判定する。
【0039】
S42を肯定判定すると、S43に進み、今回USBメモリ23が装着されたポートは、専用ポートであるか否かを判断する。具体的には、設定情報32を参照して、今回USBメモリ23が装着されたポートは、専用ポートであるか否かを判断すればよい。S43を肯定判定する場合、
図6の処理を終了する。MFP10は、専用メモリを、専用ポートから外した後に、再度、専用ポートに装着しても、蓄積印刷機能において印刷データを記憶させることが可能となっている。すなわち、S43を肯定判定する場合、ユーザは、専用メモリをいったん外して、装着しなおしただけ、ということが想定できる。
【0040】
S43を否定判定すると、S44に進み、
図7に示す報知画面75をユーザIF17に表示させる。S44で表示される報知画面75では、USBストレージで使用するポートを変更する保存先変更画面に遷移するか否かを確認するメッセージ76が表示される。また、このメッセージ76には、保存先のメモリを変更した場合、以前、専用ポートとして設定されていたポートは、USBストレージ処理で使用できなくなる旨のメッセージが含まれている。報知画面75において、NOボタン73が選択指示された場合、S45を否定判定し、
図6の処理を終了する。一方、報知画面75において、YESボタン72が選択指示された場合、S45を肯定判定してS46に進む。本実施形態では、コントローラが、S42,S43で実行する処理が判断処理の一例である。
【0041】
S46では、保存先設定画面70をユーザIF17に表示させる。上述のように、保存先設定画面70は、印刷データの保存先として、ポート21,22及び内部メモリ14のいずれかに変更する指示を受付ける画面である。
図8で示される保存先設定画面70では、現在、印刷データの保存先として設定されているポート22に応じた指定ボタン73の表示色が、他の指定ボタン71,72と異なっている。保存先設定画面70は、複数のポート21,22のうち、どのポートが専用ポートとして設定されているポートであるかを表示している。本実施形態では、コントローラ13が実行するS44及びS46の処理が、専用メモリが専用ポートに設定されていないポートに装着された場合に実行される報知処理の一例である。
【0042】
S47では、S46において保存先設定画面70で受付けた選択指示により、内部メモリ14以外のポート21,22が選択指示された場合、S48に進む。S48では、印刷データの保存先として、S46で選択指示されたポートに装着されたUSBメモリ23を保存先とするUSBストレージ処理を設定する。具体的には、ユーザが、保存先設定画面70上で、現在、専用メモリが装着されたポートに対して選択指示を行った場合、現在、専用メモリが装着されているポート21を専用ポートに設定する。このとき、既に専用ポートとして設定されているポート22に対しては、専用ポートとしての設定を解除する。これら専用ポートの設定と解除とに応じて、設定情報32を更新する。
【0043】
一方、S47を否定判定する場合、S49に進み、印刷データの保存先として内部メモリ14を設定する。このとき、既に専用ポートとして設定されているポート22に対しては、専用ポートとしての設定を解除することで、USBストレージ処理を無効化する。S48又はS49の処理が終了すると、
図6の処理を終了する。本実施形態では、コントローラ13が実行するS48及びS49の処理が、専用メモリが専用ポートに設定されていないポートに装着された場合に実行される設定処理の一例である。
【0044】
S42を否定判定すると、S50に進む。S50では、今回、USBメモリ23が装着されたポートは専用ポートとして設定されているか否かを判断する。具体的には、内部メモリ14に記憶された設定情報32を参照して、現在、専用ポートとして設定されているポートを判断すればよい。
【0045】
S50を肯定判定すると、S51に進み、S46と同様の保存先設定画面70をユーザIF17に表示させる。これは、ユーザが、専用ポートに設定されたポートに、専用メモリとして設定されていないUSBメモリ23を誤って装着した可能性があるためである。
【0046】
S52では、S51で表示された保存先設定画面70において、内部メモリ14以外が選択指示されたか否かを判断する。S51で表示された保存先設定画面70において、ポート21,22のいずれかが選択指示された場合、S52を肯定判定し、S53に進む。S53では、保存先設定画面70で選択指示されたポートに装着されたUSBメモリ23を保存先とするUSBストレージ処理を設定する。S53で表示された保存先設定画面70において、今回USBメモリ23が装着されたポートが選択指示された場合、このポートを専用メモリに設定することができる。この場合においても、既に専用ポートとして設定されているポートに対して、専用ポートとしての設定を解除する。S53の処理を終了すると、
図6の処理を終了する。一方、内部メモリ14が選択指示された場合、S52を否定判定し、
図6の処理を終了する。これは、現在、既に、USBストレージ処理が有効化されているためである。
【0047】
S50を否定判定した場合、S54に進み、既に、専用ポートに専用メモリが装着されているか否かを判断する。S54を肯定判定する場合、S55に進み、
図9に示す機能表示画面をユーザIF17に表示させる。なお、S54において、専用ポートに、今回ポートに装着されたUSBメモリ23とは異なるUSBメモリ23が装着されているかの判断を行ってもよい。
【0048】
図9に示す機能表示画面80には、今回装着されたUSBメモリ23を使用する処理の選択指示を受付け可能な指示ボタン81,82が表示される。指示ボタン81は、今回装着されたUSBメモリ23を使用する処理として、「Scan to USB」を選択指示する場合に、操作されるボタンである。「Scan to USB」は、不図示の原稿台に配置された原稿画像を読取ユニット16に読取らせることでスキャンデータを生成し、生成されたスキャンデータをポートに装着されたUSBメモリ23に記憶する処理である。指示ボタン82は、USBメモリ23を使用する機能として、「Direct Print」を選択指示する場合に、操作されるボタンである。「DirectPrint機能」は、ポート21,22にUSBメモリ23が装着された場合に、装着されたUSBメモリ23に記憶された画像データの一覧をユーザIF17に表示し、表示された一覧から選択指示された画像データをプリントユニット15に印刷させる処理である。即ち、S55では、USBメモリ23を使用する機能として、「USBストレージ処理」を選択することができない。これは、専用ポートに、既に、USBメモリ23が装着されていれば、ユーザは、今回装着したUSBメモリ23を、USBストレージ処理で使用する可能性が低いためである。
【0049】
一方、S54を否定判定する場合、S56に進み、
図10に示す機能表示画面をユーザIF17に表示させる。
図10に示す機能表示画面80には、今回装着されたUSBメモリ23を使用する機能の選択指示を受付け可能な指示ボタン81,82,83が表示される。指示ボタン83は、USBメモリ23を使用する機能として、「USBストレージ処理」を選択指示する場合に操作されるボタンである。本実施形態では、機能表示画面80に表示される、「USBストレージ処理」が、蓄積印刷機能に係る処理における第1選択肢の一例である。機能表示画面80に表示される、「Scan to USB」及び「Direct Print」が、蓄積印刷機能と異なる機能に係る処理における第2選択肢の一例である。本実施形態では、コントローラ13がS55及びS56で実行する処理が、専用メモリとして設定されていないUSBメモリ23が専用ポートに設定されていないポートに装着された場合に実行される報知処理の一例である。
【0050】
S55又はS56の処理を終了すると、S57に進み、指示ボタンに対する選択操作を検出したか否かを判断する。S57を肯定判定すると、S58に進み、機能表示画面80で選択された処理を行う。具体的には、USBストレージ処理が再度、選択指示された場合、今回、ポートに装着されたUSBメモリ23を、専用メモリに設定し、今回USBメモリ23が装着されたポートを専用ポートに設定する。なお、この場合において、既に専用ポートとして設定されているポートに対しては、専用ポートとしての設定を解除する。一方、指示ボタン82,83が選択指示された場合に、今回、ポートに装着されたUSBメモリ23を、選択指示を受付けた異なる機能に係る処理で用いるための操作画面に表示を切り替え、選択された処理を実行する。S58を終了すると、
図6の処理を終了する。
【0051】
S56で表示された機能表示画面80で、指示ボタン81が操作された場合、コントローラ13は、「Scan to USB」におけるスキャン画面をユーザIF17に表示させる。スキャン画面で、スキャン指示を受付けた場合、読取ユニット16に原稿をスキャンさせ、今回、ポートに装着されたUSBメモリ23にスキャンデータを記憶させる処理を行う。この場合において、スキャン画面をユーザIF17に表示した後に、USBメモリ23をポートに装着してもよい。コントローラ13は、ポートに装着されたUSBメモリ23に識別情報34が記憶されている場合、例えば、
図11に示す警告画面85をユーザIF17に表示させてもよい。警告画面85では、USBメモリ23にスキャンデータを保存することで、USBストレージ処理で使用可能な記憶容量が減少することを示すメッセージが表示される。例えば、コントローラ13は、警告画面85を表示した後、「USBストレージ処理」を終了してもよい。これ以外にも、コントローラ13は、警告画面85をユーザIF17に表示したうえで、スキャン指示を受け付けてもよい。
【0052】
一方、機能表示画面80において指示ボタン82が操作された場合、コントローラ13は、「Direct Print」において、USBメモリ23に記憶されている画像データ、例えばJPGデータ、PDFデータなどの選択肢をユーザIF17に表示し、ユーザに選択させて印刷する。このとき、USBメモリ23に、後述するS68での処理により暗号化されて保存された印刷データが含まれている場合、この印刷データを印刷の対象としない。また、ユーザIF17に選択肢としても表示しない。
【0053】
次に、蓄積印刷機能が有効化されている状態において、MFP10がジョブデータJDを受信したことを契機に実行される処理を、
図12を用いて説明する。具体的には、第1蓄積印刷機能が有効な場合、コントローラ13は、PINコードが付加されたジョブデータJDを受信したことを検出すると、
図12のフローを開始する。第2蓄積印刷機能が有効な場合、コントローラ13は、ユーザ名が付加されたジョブデータJDを受信したことを検出すると、
図12のフローを開始する。
【0054】
S60では、USBストレージ処理が有効化されているか否か判断する。上述のように、内部メモリ14に記憶された有効化判定フラグに基づいて、USBストレージ処理が有効化されているか否かを判断する。S60を肯定判定すると、S64に進む。
【0055】
S64では、専用ポートに、USBメモリ23が装着されているか否かを判断する。S64を肯定判定すると、S65に進み、専用ポートに装着されたUSBメモリ23に識別情報34が記憶されているか否かを判断する。S65を肯定判定すると、S66に進み、受信されたジョブデータJDを対象とするRIP処理を実行する。具体的には、ジョブデータJDに含まれるPDLデータを、PJLデータにより示される内容に従いラスタライズすることで印刷データを作成する。
【0056】
S67では、S66で作成された印刷データを圧縮した後、圧縮された印刷データを暗号化する。このとき、
図3のS27で作成された暗号化キーを用いて、印刷データを暗号化する。S68では、S67で暗号化された印刷データを、専用ポートとして設定されたポートに装着されたUSBメモリ23(即ち、専用メモリ)に蓄積保存する。S68の処理では、印刷データを「Direct Print」において処理できない形式で暗号化する。
【0057】
S69では、印刷データを記憶したUSBメモリ23から管理情報30bを読み出して復号化し、復号化された管理情報30bに、今回受信されたジョブデータJDに応じた情報を追加する。具体的には、USBメモリ23に記憶された管理情報30bを、暗号化キーを用いて復号化する。第1蓄積印刷機能が有効化されている場合、ジョブデータJDに含まれるPINコードに関連付けて、ジョブ名、データ名及び受信日時が1つのレコードとして管理情報30bに記憶させる。一方、第2蓄積印刷機能が有効化されている場合、ジョブデータJDに含まれるユーザ名に関連付けて、ジョブ名、データ名、更には受信日時が1つのレコードとして管理情報30bに記憶させる。これにより、MFP10は、管理情報30bの各レコードと、内部メモリ14に記憶された印刷データとを対応付けて管理することができる。
【0058】
S64を否定判定する場合、S70に進み、USBメモリ23が未装着であることを示すエラー画面をユーザIF17に表示させる。S70で表示されるエラー画面では、例えば、専用ポートにUSBメモリ23が装着されていないためジョブデータJDを蓄積保存できない旨を示すメッセージが表示される。このエラー画面上で、クローズボタンが操作された場合、エラー画面が非表示となる。なお、S70で、エラー画面をユーザIF17に表示させることに代えて、ジョブデータJDの送信元のPC24に表示させてもよい。この場合において、コントローラ13は、PC24と通信を行い、エラー画面に応じた画像データと、エラー画面の表示要求とをPC24に送信すればよい。
【0059】
S71では、今回受信されたジョブデータを破棄する。S71の処理が終了すると、
図12の処理を終了する。なお、S71で、今回受信されたジョブデータJDを破棄することに代えて、ユーザの指示に応じて、受信されたジョブデータJDを内部メモリ14に記憶するものであってもよい。
【0060】
S60を否定判定すると、S61に進み、ジョブデータJDを印刷データに変換するためにRIP処理を実行する。S61で実行するRIP処理は、S66で実行する処理と同様である。
【0061】
S62では、今回生成された印刷データを、内部メモリ14に記憶することで、印刷データを蓄積保存する。即ち、S62では、S68と違い、暗号化された印刷データを保存しない。S62で、印刷データを圧縮してデータ量を削減してから内部メモリ14に記憶してもよい。S63では、内部メモリ14に記憶されている管理情報30aに、今回作成された印刷データに応じた情報を追加する。S63においても、第2蓄積印刷機能の有効無効に応じて、ユーザ名又はPINコードに関連付けて、ジョブ名、データ名、更には受信日時が1つのレコードとして管理情報30aに記憶される。
【0062】
次に、内部メモリ14又はUSBメモリ23に蓄積保存された印刷データを印刷する手順を、
図13を用いて説明する。
図13に示す処理は、ユーザIF17対して、印刷データに対する印刷指示を受付けたことを契機に、コントローラ13により実行される処理である。具体的には、ユーザIF17に表示された待受画面60にて、印刷指示操作を受け付けた場合に、
図13に示す処理を開始する。第2蓄積印刷機能が有効である場合、さらに、ユーザIFを介して、MFP10に対するログイン操作を受け付け、コントローラ13がログイン認証に成功したと判断すると、
図13に示す処理を開始する。
【0063】
S81では、USBストレージ処理が有効化されているか否かを、有効化判定フラグの値により判断する。S81を否定判定した場合、S82に進み、内部メモリ14に記憶された管理情報30aを読み出す。上述のように、第1蓄積印刷機能が有効化されており、USBストレージ処理が無効化されている場合、管理情報30aはPINコードが付加された印刷データのリストである。一方、第2蓄積印刷機能が有効化されており、USBストレージ処理が無効化されている場合、管理情報30aは、ユーザ名が付加された印刷データのリストである。
【0064】
一方、S81を肯定判定すると、S83に進み、専用ポートにUSBメモリ23が装着されているか否か判断する。S83を肯定判定すると、専用ポートに装着されたUSBメモリ23に識別情報34が記憶されているか否かを判断する。
【0065】
S84を肯定判定すると、S85に進み、専用メモリに記憶されている管理情報30bを暗号化キー31により復号化して読み出す。具体的には、管理情報30bを内部メモリ14から読み出し、暗号化キー31を用いて復号化し、内部メモリ14に記憶する。
【0066】
S87では、S82又はS85で読み出した管理情報30を用いて、現在の機能(第1蓄積印刷機能又は第2蓄積印刷機能)に対応する印刷データがメモリに記憶されているか否かを判断する。具体的には、第1蓄積印刷機能が有効化されていれば、ユーザに対して、PINコードを入力させる画面をユーザIF17に表示させ、ユーザにより入力されたPINコードと同じPINコードが管理情報30に記憶されているか否かを判断する。一方、第2蓄積印刷機能が有効化されていれば、ログインユーザのユーザ名が管理情報30に記憶されているか否かを判断する。S87を否定判定すると、
図13に示す処理を終了する。なお、第2蓄積印刷機能が有効化されている場合、待機画面からログイン操作を受け付けたことを契機に
図13に示す処理を開始してもよい。また、ログイン操作を受け付け済の状態で、待受画面60にて、印刷指示操作を受け付けた場合に、
図13に示す処理を開始してもよい。また、ログイン操作の受付を、S87にて行ってもよい。また、第2蓄積印刷機能が有効化されている場合のPINコードの入力を受け付けてから、
図13の処理を開始し、S87では受付を省略してもよい。
【0067】
一方、S87を肯定判定するとS88に進み、S81でUSBストレージ処理が有効化されていると判断しているか否かを判断する。S88を肯定判定すると、S90に進み、S88を否定判定すると、S89に進む。S89,S90では、管理情報30を参照することで、専用メモリに記憶されている印刷データのうち、PINコード又はログインユーザのユーザ名に関連づけられた印刷データを選択し、その印刷データを印刷する。S90では、暗号化キー31を用いて、専用メモリに記憶された印刷データを復号化する。そして、プリントユニット15に対して、復号化された印刷データを印刷させる。
【0068】
S89又はS90の処理を終了すると、S91に進む。S91では、S89又はS90でプリントユニット15に印刷させた印刷データを削除する。具体的には、印刷データそのものや、印刷処理において発生した一時データを削除する。S92では、印刷された印刷データに関連する情報(レコード)を管理情報30から削除し、管理情報30を更新する。なお、S92の処理は、入力されたPINコードが対応付けられた印刷データ、または、ログインユーザの印刷データを全て印刷した後に、実行してもよい。
【0069】
S92の処理を終了すると、S87に戻る。S87を肯定判定する場合、S88~S92の処理を繰り返す。その後、ログインユーザの印刷データを全て印刷した場合、S87を否定判定し、
図13に示す処理を終了する。なお、S92からS87に戻る場合において、第1蓄積印刷機能が有効化されている場合、ユーザにより既にPINコードが入力されているため、S87でPINコードの入力を再度受付けなくともよい。
【0070】
S83において、専用ポートにUSBメモリ23が装着されていないと判断した場合、S86に進む。また、S84を否定判定した場合も、S86に進む。S86では、USBメモリ23が装着されていないことを示すエラー画面を表示する。このエラー画面では、専用ポートに専用メモリが装着されていないため印刷データを読み出せない旨のメッセージが表示される。例えば、S86で表示されたエラー画面のクローズボタンが操作された場合、エラー画面は非表示となる。S86の処理を実行すると、
図13に示す処理を終了する。
【0071】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。コントローラ13は、ポート21,22のいずれかにUSBメモリ23が装着された場合に、専用ポートとして設定されていないポートに専用メモリが装着されていれば、報知を行う。これにより、ユーザは、USBメモリ23の装着状態を認識することができ、例えば、専用メモリの装着のやり直しを行うことができる。その結果、複数のポートを有する画像形成装置において、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0072】
コントローラ13は、保存先設定画面70で、現在、ポートが専用ポートとして設定されているポートであるかをユーザIF17により表示させる。これにより、事前に設定されている専用ポートがどのポートであるのかがユーザIF17により表示されるため、例えば、ユーザが、専用メモリを専用ポートに装着し直すのを補助することができる。
【0073】
コントローラ13は、報知画面75の表示後に表示される保存先設定画面70での選択指示を受付けたことにより、現在、専用メモリが装着されているポートを、専用ポートとして設定する。これにより、ユーザが専用メモリを、専用ポートに設定されていないポートに装着したことを認識した後に、現在、専用メモリが装着されているポートを専用ポートに設定することができるため、ユーザの嗜好に合わせて、柔軟に印刷データの記憶先を設定することができる。
【0074】
コントローラ13は、保存先設定画面70に表示された選択候補の中から、現在、専用メモリが装着されているポートに対する選択指示を受付けた場合に、現在、専用メモリが装着されているポートを専用ポートに設定する。これにより、ユーザによる選択指示を受付けた後に、専用ポートの設定が行われるため、不意にポートの設定が変更されてしまうのを防止することができる。
【0075】
コントローラ13は、保存先設定画面70で内部メモリ14を保存先に設定する選択指示を受付けた場合に、内部メモリ14を、印刷データの保存先に設定し、現在、専用ポートとして設定されているポートに対して専用ポートとしての設定を解除する。これにより、印刷データの保存先を内部メモリ14に変更することができるため、USBストレージ処理で用いられるメモリを柔軟に設定することができる。
【0076】
コントローラ13は、専用メモリが装着されたポートを専用ポートとして設定する場合に、現在、専用ポートとして設定されているポートを専用ポートとして使用できなくなる旨を、ユーザインタフェースに表示させる。これにより、ユーザに、現在、専用ポートとして設定されているポートが、専用ポートとして使用できなくなることを認識させることができる。
【0077】
コントローラ13は、専用ポートとは異なるポートに、専用メモリとして設定されていないUSBメモリ23が装着された場合に、「USBストレージ処理」と、「Scan to USB」と、「Direct Print」とを選択肢としてユーザIF17に表示させる。コントローラ13は、「USBストレージ処理」が選択指示された場合に、専用メモリに設定されていないUSBメモリ23を、専用メモリに設定し、専用メモリに設定されていないUSBメモリ23が装着されたポートを専用ポートに設定する。一方、「Scan to USB」と、「Direct Print」とが選択指示された場合に、専用メモリに設定されていないUSBメモリ23が装着されたポートを、選択指示を受付けた処理で用いるUSBメモリ23に設定する。これにより、ユーザの利便性をいっそう向上させることができる。
【0078】
本明細書で開示される技術は、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができる。コントローラ13は、専用メモリが複数のポートのうち、いずれかのポートに装着され、かつ専用ポートが未設定である場合に、専用メモリを使用する処理の候補として、蓄積印刷機能とは異なる機能に係る処理をユーザIF17に表示させてもよい。この場合において、
図6のS42で、今回装着されたUSBメモリ23に識別情報34が記憶されていると判断された場合に、S43に進み、印刷データの保存先として、内部メモリ14が設定されているか否か(即ち、専用ポートが設定されているか否か)を判断する。S43を否定判定する場合、S46に進み、専用メモリを使用する処理の候補として、蓄積印刷機能とは異なる機能に係る処理が表示される。「蓄積印刷機能とは異なる機能に係る処理」とは、「Scan to USB」、「Direct Print」である。これにより、ユーザの利便性をいっそう向上させることができる。
【0079】
説明した実施形態では、専用メモリが専用ポートに設定されていないポートに装着された場合において、コントローラ13は、
図6のS46で保存先設定画面図をユーザIF17に表示させて、ユーザによる印刷データの保存先の選択指示を受付けた。これに代えて、コントローラ13は、
図6のS43を否定判定すると、ユーザによる選択指示を受付けることなくS48に進み、専用メモリが装着されたポートを専用ポートに設定してもよい。この場合、S44~S47,S49の処理を省略すればよい。
【0080】
図6のS51において、保存先設定画面70の表示に代えて、
図14に示す確認画面90を表示してもよい。確認画面90は、USBストレージ処理で使用するUSBメモリ23を変更する旨を示すメッセージ91と、YESボタン92及びNOボタン93が表示される。コントローラ13は、S51で表示された確認画面90で、YESボタン92が操作されたことを検出すると、S53に進み、今回ポートに装着されたUSBメモリ23をUSBストレージ処理で使用する保存先に設定する。一方、コントローラ13は、確認画面90で、NOボタン93が操作されたことを検出すると、
図6の処理を終了すればよい。
【0081】
画像形成装置として、MFP10を例に説明したことは一例である。これ以外にも、画像形成装置は、読取ユニット16を備えていないプリンタであってもよい。
上述の各実施形態では、ポート22、フロント部における側面側に配置されていた。これに代えて、ポート22は、フロント部における前面側、即ち、ユーザIF17が配置される側と同じ側に配置されていてもよい。また、MFP10は、ポートを3つ以上備えていてもよい。
図6のS42では、暗号化キー31により復号化可能な管理情報30が、USBメモリ23に記憶されているか否かを判断した。これに代えて、
図3のS27で、判定情報としてユニークな数値を生成し、USBメモリ23に記憶してもよい。S28では、識別情報として、S27で生成した数値と同じ数値を内部メモリ14に記憶してもよい。
図6のS42では、USBメモリ23に記憶された数値と、内部メモリ14に記憶された数値とが一致するか否かで判断してもよい。この場合、一致すると判断した場合、S43に進み、一致しないと判断した場合、S50に進めばよい。
コントローラ13は、印刷データを暗号化せずにUSBメモリ23へ記憶しても良い。この場合において、
図12のS67及び
図13のS90を省略すればよい。
【符号の説明】
【0082】
10…MFP、11,12…メモリIF、13…コントローラ、15…プリントユニット、17…ユーザIF、21,22…ポート、23…USBメモリ