(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】加工管理システム、加工管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2021004752
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】松村 遼
(72)【発明者】
【氏名】武坂 英明
(72)【発明者】
【氏名】村田 斉彬
(72)【発明者】
【氏名】佐川 旭
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-296592(JP,A)
【文献】特開2009-211740(JP,A)
【文献】特開2006-202010(JP,A)
【文献】特開平4-52773(JP,A)
【文献】特開2005-267404(JP,A)
【文献】特開2007-109095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークごとに生産に必要な複数の加工工程が記憶された記憶部と、
前記ワークを撮像して得られた画像を入力して当該画像に対応する前記加工工程を進捗状況として出力するように予め機械学習により学習された学習済みモデルを格納する学習済みモデル格納部と、
前記複数の加工工程のうち、加工機で次に実行すべき第1の加工工程を特定する特定部と、
前記第1の加工工程を実行する前に、前記加工機で加工されようとしている前記ワーク
を撮像して得られた画像を前記学習済みモデルに入力して前記学習済みモデルから出力された、前記ワークの前記加工工程の進捗状況を取得する取得部と、
特定された前記第1の加工工程と取得された前記進捗状況とを用いて、前記加工機が前記ワークを前記第1の加工工程で加工可能か否かを判定する判定部と、
を有する加工管理システム。
【請求項2】
前記判定部によって前記加工機が前記ワークを前記第1の加工工程で加工可能ではないと判定された場合に、アラームを発する報知部、
をさらに有する請求項
1に記載の加工管理システム。
【請求項3】
前記ワークの生産計画を管理する管理装置、
をさらに有する請求項
1又は2に記載の加工管理システム。
【請求項4】
前記記憶部は、前記管理装置に設けられている、
請求項
3に記載の加工管理システム。
【請求項5】
前記特定部は、前記管理装置によって出力された加工指示を用いて前記第1の加工工程を特定する、
請求項
3又は4に記載の加工管理システム。
【請求項6】
前記加工管理システムは、複数の種類の前記ワークを加工する生産ラインにおける加工を管理し、
前記記憶部には、複数の種類の前記ワークそれぞれの前記加工工程が記憶されている、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の加工管理システム。
【請求項7】
ワークの生産に必要な複数の加工工程のうち、加工機で次に実行すべき第1の加工工程を特定し、
前記第1の加工工程を実行する前に、
前記ワークを撮像して得られた画像を入力して当該画像に対応する前記加工工程を進捗状況として出力するように予め機械学習により学習された学習済みモデルに、前記加工機で加工されようとしている前記ワーク
を撮像して得られた画像を入力して、前記学習済みモデルから出力された、前記ワークの前記加工工程の進捗状況を取得し、
特定された前記第1の加工工程と取得された前記進捗状況とを用いて、前記加工機が前記ワークを前記第1の加工工程で加工可能か否かを判定する、
加工管理方法。
【請求項8】
ワークの生産に必要な複数の加工工程のうち、加工機で次に実行すべき第1の加工工程を特定するステップと、
前記第1の加工工程を実行する前に、
前記ワークを撮像して得られた画像を入力して当該画像に対応する前記加工工程を進捗状況として出力するように予め機械学習により学習された学習済みモデルに、前記加工機で加工されようとしている前記ワーク
を撮像して得られた画像を入力して、前記学習済みモデルから出力された、前記ワークの前記加工工程の進捗状況を取得するステップと、
特定された前記第1の加工工程と取得された前記進捗状況とを用いて、前記加工機が前記ワークを前記第1の加工工程で加工可能か否かを判定するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工管理システム、加工管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、機械システムを開示する。特許文献1にかかる機械システムは、ワークの加工工程を動画撮影するカメラと、動画撮影によって得られた動画像データをメモリに記憶させる情報処理装置とを備える。情報処理装置は、加工工程において異常が発生すると、異常が発生した時刻を含む予め定められた設定時間の動画像データを保護する。これにより、ワークの加工工程における異常を後から確認可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワークの加工工程は複数であることが多い。このような場合、複数の加工工程のそれぞれが決まった加工機で実行されないこと、又は各加工機が異なる加工工程を実行することがある。そして、このような場合では、ある加工機が次に実行しようとする加工工程と、その加工機に搬送されたワークに対して次に実行すべき加工工程とが異なってしまうおそれがある。このような状態で加工を行ってしまうと、加工ミスが発生するおそれがある。ここで、特許文献1にかかる技術では、ワークの加工工程における加工の異常を後から確認できるが、加工ミスの発生を抑制することは困難である。
【0005】
本発明は、加工ミスの発生を抑制することが可能な加工管理システム、加工管理方法及びプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる加工管理システムは、ワークごとに生産に必要な複数の加工工程が記憶された記憶部と、前記複数の加工工程のうち、加工機で次に実行すべき第1の加工工程を特定する特定部と、前記第1の加工工程を実行する前に、前記加工機で加工されようとしている前記ワークの状態から前記ワークの前記加工工程の進捗状況を取得する取得部と、特定された前記第1の加工工程と取得された前記進捗状況とを用いて、前記加工機が前記ワークを前記第1の加工工程で加工可能か否かを判定する判定部と、を有する。
【0007】
また、本発明にかかる加工管理方法は、ワークの生産に必要な複数の加工工程のうち、加工機で次に実行すべき第1の加工工程を特定し、前記第1の加工工程を実行する前に、前記加工機で加工されようとしている前記ワークの状態から前記ワークの前記加工工程の進捗状況を取得し、特定された前記第1の加工工程と取得された前記進捗状況とを用いて、前記加工機が前記ワークを前記第1の加工工程で加工可能か否かを判定する。
【0008】
また、本発明にかかるプログラムは、ワークの生産に必要な複数の加工工程のうち、加工機で次に実行すべき第1の加工工程を特定するステップと、前記第1の加工工程を実行する前に、前記加工機で加工されようとしている前記ワークの状態から前記ワークの前記加工工程の進捗状況を取得するステップと、特定された前記第1の加工工程と取得された前記進捗状況とを用いて、前記加工機が前記ワークを前記第1の加工工程で加工可能か否かを判定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0009】
加工機がワークを第1の加工工程で加工可能でない場合に加工を行ってしまうと、加工ミスが生じる可能性が高い。これに対し、本発明は、ワークの加工前に、ワークの進捗状況を取得して、第1の加工工程で加工可能か否かを判定する。したがって、本発明は、加工ミスの発生を抑制することが可能となる。
【0010】
また、好ましくは、前記取得部は、前記ワークを撮像して得られた画像を用いて、前記進捗状況を取得する。
本発明では、ワークの画像を用いてワークの形状から進捗状況を判定することができる。ここで、加工工程が進むにつれて、ワークの形状は変化する。そして、ワークの形状は、加工工程と、比較的、精度よく対応し得る。したがって、本発明は、より正確に、ワークの進捗状況を判定することが可能となる。
【0011】
また、好ましくは、前記取得部は、前記ワークの重量を用いて、前記進捗状況を取得する。
本発明では、ワークの重量を用いて、進捗状況を取得するように構成されている。ここで、加工工程が進むにつれて、ワークの重量は変化する可能性が高い。また、ワークの重量を計測することは、比較的容易である。したがって、本発明は、より簡易に、ワーク80の進捗状況を判定することが可能となる。
【0012】
また、好ましくは、前記判定部によって前記加工機が前記ワークを前記第1の加工工程で加工可能ではないと判定された場合に、アラームを発する報知部をさらに有する。
報知部がアラームを発することにより、周囲の作業者に、加工不可状態というトラブルが発生したことを知らせることが可能となる。
【0013】
また、好ましくは、前記ワークの生産計画を管理する管理装置をさらに有する。
このような構成により、複数のワークが複数の加工機で加工される場合でも、加工機の空き状況等を考慮して、効率的にワークの加工及び製品の生産を行うための生産計画を行うことができる。したがって、本発明は、効率的にワークの加工及び製品の生産を行うことが可能となる。
【0014】
また、好ましくは、前記記憶部は、前記管理装置に設けられている。
このような構成により、加工機ごとに記憶部を設けておくことが不要となる。
【0015】
また、好ましくは、前記特定部は、前記管理装置によって出力された加工指示を用いて前記第1の加工工程を特定する。
このような構成により、どの加工機でどの加工工程を実行するのかを、容易に管理することが可能となる。
【0016】
また、好ましくは、前記加工管理システムは、複数の種類の前記ワークを加工する生産ラインにおける加工を管理し、前記記憶部には、複数の種類の前記ワークそれぞれの前記加工工程が記憶されている。
複数の種類のワークを加工する生産ラインでは、ワークの搬送経路が変化し、複雑となり得る。したがって、加工機がワークを第1の加工工程で加工可能でない状態が発生しやすい。このような生産ラインであっても、本発明は、加工ミスの発生を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、加工ミスの発生を抑制することが可能な加工管理システム、加工管理方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態1にかかる加工管理システムを示す図である。
【
図2】実施の形態1にかかる加工管理システムの各装置が有する情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】実施の形態1にかかる加工管理システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】実施の形態1にかかる工程記憶部によって格納される加工工程テーブルを例示する図である。
【
図5】実施の形態1にかかる進捗取得部の構成を示す図である。
【
図6】実施の形態1にかかる加工管理システムによって実行される加工管理方法を示すフローチャートである。
【
図7】本実施の形態にかかる作用を説明するための図である。
【
図8】本実施の形態にかかる作用を説明するための図である。
【
図9】実施の形態2にかかる進捗取得部の構成を示す図である。
【
図10】実施の形態2にかかる重量テーブル格納部に格納された重量テーブルを例示する図である。
【
図11】実施の形態2にかかる加工管理システムによって実行される加工管理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0020】
図1は、実施の形態1にかかる加工管理システム1を示す図である。加工管理システム1は、複数の設備10と、管理装置200と、1つ以上の移動端末300とを有する。設備10それぞれは、加工機20と、検出装置30と、制御装置100とを有する。
図1では、加工管理システム1は、設備10A~10Cの3つの設備10を有している。しかしながら、設備10の数は2以上の任意の数であり得る。
【0021】
加工管理システム1は、例えば、1つのワーク80に対して複数の加工工程を行う工場に設けられている。つまり、本実施の形態では、ワーク80ごとに生産に必要な複数の加工工程がある。ここで、加工工程は、例えば、切出し、鍛造、圧造、切削、研削、研磨、焼入れ、焼戻し、表面処理等であるが、これらに限定されない。また、加工管理システム1は、例えば、複数の種類のワーク80を加工する生産ラインの加工管理を行ってもよい。また、加工管理システム1は、多品種少量生産の製品を生産する生産ラインの加工管理を行ってもよい。なお、「複数の種類のワーク」において、異なる種類のワークとは、そのワークを加工して最終的に生産される製品の種類が異なることを意味する。そして、異なる種類の製品とは、歯車とロッドといったように、製品のカテゴリが異なる場合もあるし、品番が互いに異なる複数の歯車である場合もある。
【0022】
管理装置200は、各制御装置100と、有線又は無線のネットワーク2を介して通信可能に接続されている。また、管理装置200は、移動端末300と無線通信を行うことが可能なように接続されている。管理装置200は、例えばサーバであってもよい。あるいは、管理装置200は、例えば、製品の生産を管理する生産管理PCであってもよい。管理装置200は、例えばコンピュータ等の情報処理装置を有する。管理装置200は、製品の生産計画を行う。つまり、管理装置200は、ワーク80の生産計画を管理する。そして、管理装置200は、各設備10の加工機20がどのワーク80に対してどの加工工程を実行すべきかを管理する。詳しくは後述する。
【0023】
移動端末300は、ワーク80を各設備10(加工機20)に搬送する作業者によって所持される。移動端末300は、例えばスマートフォン又はタブレット端末である。移動端末300は、例えばコンピュータ等の情報処理装置を有する。移動端末300は、管理装置200から、自身の移動端末300を所持している作業者が搬送するワーク80をどの加工機20(設備10)に搬送すべきかを示す、移動指示を受信する。詳しくは後述する。なお、以後、「移動端末300を所持している作業者が搬送するワーク80」を、単に「移動端末300に対応するワーク80」と称することがある。また、「ワーク80を搬送する作業者によって所持される移動端末300」を、単に「ワーク80に対応する移動端末300」と称することがある。
【0024】
図1では、設備10Aは、加工機20Aと、検出装置30Aと、制御装置100Aとを有する。設備10Aにおいて、加工機20Aは、制御装置100Aの制御によって、ワーク80Aを加工する。設備10Bは、加工機20Bと、検出装置30Bと、制御装置100Bとを有する。設備10Bにおいて、加工機20Bは、制御装置100Bの制御によって、ワーク80Bを加工する。設備10Cは、加工機20Cと、検出装置30Cと、制御装置100Cとを有する。設備10Cにおいて、加工機20Cは、制御装置100Cの制御によって、ワーク80Cを加工する。なお、便宜上、加工機20A~20C(設備10A~10C)で、それぞれワーク80A~80Cが加工されるとしているが、ワーク80A~80Cは、互いに別のワーク80であるとは限らない。例えば、加工機20Aで加工されたワーク80が、次に、加工機20Bで加工される場合もある。また、ワーク80A~80Cの種類は、同じである場合もあるし、異なる場合もある。
【0025】
加工機20は、例えば、汎用の加工機器である。加工機20は、例えば、NC(numerical control)工作機械、又は産業用ロボット等であってもよい。加工機20は、管理装置200からの指示に応じた加工工程を実行する。ここで、本実施の形態では、加工機20は、予め定められた加工工程を常に実行するわけではない。言い換えると、例えば加工機20Aがある加工工程Aを常に実行するわけではなく、加工機20Bがある加工工程Bを常に実行するわけではない。加工機20Aが加工工程A及び加工工程Bを実行する可能性があり、加工機20Bが加工工程A及び加工工程Bを実行する可能性がある。
【0026】
検出装置30は、対応する設備10(加工機20)で加工される前のワーク80の状態を検出する。言い換えると、検出装置30は、対応する設備10(加工機20)に搬送されたワーク80の状態を検出する。さらに言い換えると、検出装置30は、対応する加工機20で加工されようとしているワーク80の状態を検出する。そして、検出装置30は、検出された状態を示す状態データを、制御装置100に送信する。ここで、検出装置30は、対応する設備10(加工機20)で加工される前の加工工程で加工された状態を検出する。
【0027】
なお、実施の形態1にかかる検出装置30は、カメラ等の撮像装置である。実施の形態1にかかる検出装置30は、対応する設備10(加工機20)に搬送されたワーク80を撮影する。そして、実施の形態1にかかる検出装置30は、ワーク80の画像を示す画像データを、状態データとして、制御装置100に送信する。なお、実施の形態1にかかる検出装置30(撮像装置)は、モノクロ画像を撮像してもよいし、カラー画像(RGB画像)を撮像してもよい。この場合、実施の形態1にかかる検出装置30(撮像装置)は、二次元画像を撮像する。また、実施の形態1にかかる検出装置30(撮像装置)は、三次元画像又は距離画像を撮像して、三次元画像データ(点群データ)を取得してもよい。この場合、実施の形態1にかかる検出装置30(撮像装置)は、例えば、ライダ(LiDAR;Light Detection and Ranging)等の三次元カメラであってもよい。
【0028】
制御装置100は、例えばコンピュータ等の情報処理装置を有する。制御装置100は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)であってもよい。また、制御装置100は、加工機20と一体であってもよい。また、制御装置100は、加工機20に内蔵されていてもよい。制御装置100は、対応する設備10の加工機20を制御して、実行すべき加工工程を、加工機20に実行させる。ここで、制御装置100は、管理装置200から加工指示を受信する。制御装置100は、加工指示に応じて、加工機20を制御する。ここで、加工指示は、例えば、ワーク80の識別情報と、実行すべき加工工程と、加工工程に対応する加工プログラムとを有する。そして、制御装置100が加工プログラムを実行することによって、加工機20は、対応する加工工程を実行してもよい。この場合、加工プログラムが実行されることによって、加工機20の工具及びモータ等が、実行すべき加工工程に応じた動作を行う。
【0029】
ここで、本実施の形態では、制御装置100は、ワーク80の状態から加工工程の進捗状況を取得し、進捗状況と、対応する加工機20で次に実行すべき加工工程とを用いて、加工不可状態が発生していないかを判定する。なお、「加工不可状態」とは、加工機20がワーク80を次に実行すべき加工工程(第1の加工工程)で加工してはいけない状態である。加工不可状態では、ある加工機20が次に実行しようとする加工工程(第1の加工工程)と、その加工機20に搬送されたワーク80に対して次に実行すべき加工工程とが異なってしまうため、加工を行ってはいけない。制御装置100は、進捗状況と第1の加工工程とに基づいて、加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能か否かを判定する。したがって、制御装置100は、加工不可状態が発生しているか否かを判定する判定装置としての機能を有する。そして、制御装置100は、加工不可状態が発生している場合には、アラームを報知する。一方、制御装置100は、加工不可状態が発生していない場合には、加工機20に第1の加工工程を実行させるように制御を行う。制御装置100のこれらの動作の詳細については後述する。
【0030】
ここで、加工不可状態の例として、「工程飛ばし」及び「搬送ミス」がある。「工程飛ばし」とは、実行すべき加工工程(第1の加工工程)までに実行されるべき加工工程が実行されていないことをいう。例えば、加工工程Aの次に加工工程Bが実行されるワーク80について、加工機20で加工工程Bを実行しようとするときに、加工工程Aが実行されていなかった場合、加工工程Aの工程飛ばしが発生している。そして、加工工程Aが既に実行された前提で加工工程Bを実行してしまうと、意図しない位置にワーク80が存在する可能性があるので、加工機20及びワーク80に不具合が生じる可能性がある。また、「搬送ミス」は、加工機20に搬送すべきワーク80を作業者等が誤ってしまうことである。この場合、誤って加工機20に搬送されたワーク80は、次に加工機20で実行しようする加工工程(第1の加工工程)で加工されるべきでない。したがって、誤って加工機20に搬送されたワーク80に対して第1の加工工程を実行してしまうと、加工してはいけない加工を行ってしまう可能性があるので、加工機20及びワーク80に不具合が生じる可能性がある。なお、「工程飛ばし」と「搬送ミス」は、互いに独立した概念ではなく、搬送ミスによって工程飛ばしが発生することもある。なお、上述したように、加工不可状態で加工を行ってしまうと、加工ミスが発生し、ワーク80及び加工機20に異常が発生する可能性があるので、加工不可状態は、「異常誘発状態」又は「加工ミス誘発状態」であるとも言える。
【0031】
図2は、実施の形態1にかかる加工管理システム1の各装置が有する情報処理装置50のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置50は、CPU51(Central Processing Unit)、ROM52(Read Only Memory)、RAM53(Random Access Memory)、I/O54(Input/Output)及びUI55(User Interface)を有する。
【0032】
CPU51は、制御処理及び演算処理等を行う処理デバイス(プロセッサ)としての機能を有する。ROM52は、CPU51によって実行される制御プログラム及び演算プログラム等を記憶するストレージとしての機能を有する。ROM52は、データベースを含み得る。RAM53は、処理データ等を一時的に記憶するメモリとしての機能を有する。I/O54は、通信装置及び入出力装置であり、外部からデータ及び信号を入力し、外部にデータ及び信号を出力する。UI55は、例えばキーボード等の入力デバイスと、例えばディスプレイ等の出力デバイスとから構成される。なお、UI55は、入力デバイスと出力デバイスとが一体となったタッチパネルとして構成されてもよい。また、UI55は、マイク及びスピーカを有してもよい。
【0033】
図3は、実施の形態1にかかる加工管理システム1の構成を示す機能ブロック図である。管理装置200は、構成要素として、工程記憶部210と、生産計画部220と、移動指示送信部230と、移動終了受信部232と、加工指示送信部240と、加工実績受信部242とを有する。移動端末300は、構成要素として、移動指示受信部310と、移動先表示部312と、移動終了通知部314とを有する。制御装置100は、構成要素として、加工指示受信部110と、工程特定部112と、進捗取得部120と、判定部130と、報知部140と、加工制御部150と、加工実績送信部152とを有する。
【0034】
なお、管理装置200の各構成要素の1つ以上は、管理装置200とは別の装置(例えば制御装置100又は移動端末300)によって実現されてもよい。また、管理装置200の各構成要素は、物理的に1つの装置によって実現されることに限定されず、例えばクラウドコンピューティング等により複数の装置によって実現されてもよい。つまり、管理装置200は、物理的に複数の装置で構成されてもよい。このことは、制御装置100及び移動端末300についても同様である。
【0035】
なお、これらの構成要素は、CPU51がROM52に記憶されたプログラムを実行することによって実現可能である。つまり、管理装置200が有する情報処理装置50のCPU51がROM52に記憶されたプログラムを実行することによって、上述した管理装置200の構成要素が実現され得る。また、移動端末300が有する情報処理装置50のCPU51がROM52に記憶されたプログラムを実行することによって、上述した移動端末300の構成要素が実現され得る。また、制御装置100が有する情報処理装置50のCPU51がROM52に記憶されたプログラムを実行することによって、上述した制御装置100の構成要素が実現され得る。
【0036】
また、制御装置100、管理装置200及び移動端末300は、必要なプログラムを任意の不揮発性記録媒体に記録しておき、必要に応じてそのプログラムをインストールするようにしてもよい。なお、制御装置100、管理装置200及び移動端末300の各構成要素は、上記のようにソフトウェアによって実現されることに限定されず、何らかの回路素子等のハードウェアによって実現されてもよい。また、制御装置100、管理装置200及び移動端末300の各構成要素は、例えばFPGA(field-programmable gate array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、上記の各構成要素から構成されるプログラムを実現してもよい。
【0037】
管理装置200の工程記憶部210(記憶部)は、管理装置200が有する情報処理装置50のROM52を用いて実現されてもよい。工程記憶部210は、ワーク80ごとに生産に必要な複数の加工工程を記憶する。工程記憶部210は、例えば、ワーク80の種類ごとに、どの加工工程が必要かを示す加工工程テーブルを格納する。なお、工程記憶部210は、各加工工程と、各加工工程を実行可能な機能を有する加工機20の識別情報と、各加工工程を実行するために使用される加工プログラムの識別情報とを対応付けてもよい。
【0038】
図4は、実施の形態1にかかる工程記憶部210によって格納される加工工程テーブルを例示する図である。
図4に例示する加工工程テーブルは、ワークX、ワークY及びワークZに必要な加工工程を示している。ここで、ワーク80は、ワークX、ワークY及びワークZのいずれかであり得る。なお、
図4には、ワーク80の種類が3種類(ワークX、ワークY及びワークZ)である場合が例示されているが、これに限定されない。ワーク80の種類の数は任意である。加工管理システム1で加工されるワーク80の種類は、1種類でもよいし、2種類でもよいし、4種類以上であってもよい。
図4の例では、工程記憶部210には、複数の種類のワーク80それぞれの加工工程が記憶されている。
【0039】
図4に例示する加工工程テーブルは、ワークXには加工工程X1~加工工程X6が必要であることを示している。また、
図4に例示する加工工程テーブルは、ワークYには加工工程Y1~加工工程Y5が必要であることを示している。また、
図4に例示する加工工程テーブルは、ワークZには加工工程Z1~加工工程Z4が必要であることを示している。なお、ワークごとに、実行される加工工程における動作が異なり得る。
【0040】
管理装置200の生産計画部220(
図3)は、各ワーク80をどの加工機20で加工するかを計画する。つまり、生産計画部220は、各ワーク80について、どの加工工程をどの加工機20で実行するかを計画する。ここで、生産計画部220は、各加工機20の空き状況、及び、各加工機20が実行可能な加工工程に応じて、生産計画を行ってもよい。例えば、ワークXに対応するワーク80について加工機20Aが加工工程X1を実行中であり、次の加工工程X2を実行可能な機能を加工機20B及び加工機20Cが有しているとする。そして、加工機20Bが加工を行っておらず、加工機20Cが他のワーク80の加工を行っているとする。この場合、生産計画部220は、ワークXに対応するワーク80について、次の加工工程X2を、加工機20Bで実行すると決定する。なお、生産計画部220は、管理者の操作によって、生産計画を行ってもよい。
【0041】
管理装置200の移動指示送信部230は、生産計画部220による生産計画に応じて、処理対象(加工対象)のワーク80に対応する移動端末300に、そのワーク80をどの加工機20(設備10)に搬送すべきかを指示する移動指示を送信する。移動指示送信部230は、管理装置200が有する情報処理装置50のI/O54により、移動指示を送信する。なお、移動指示は、ワーク80の識別情報(ワークID)と、対応するワーク80の移動先の加工機20に関する情報(加工機情報)とを含み得る。加工機情報は、加工機20の識別情報(加工機ID)と、加工機20の位置情報とを含んでもよい。
【0042】
移動端末300の移動指示受信部310は、管理装置200から、移動指示を受信する。移動指示受信部310は、移動端末300が有する情報処理装置50のI/O54により、移動指示を受信する。
【0043】
移動端末300の移動先表示部312は、受信された移動指示で示される、移動先の加工機20に関する加工機情報を表示する。移動先表示部312は、移動端末300が有する情報処理装置50のUI55によって、加工機情報を表示する。移動先表示部312は、出力デバイスであるUI55に、加工機情報を表示させる。移動先表示部312は、画面に加工機情報を表示してもよいし、音声によって加工機情報を出力してもよい。
【0044】
移動端末300を所持している作業者は、移動端末300に表示された加工機情報から、自身が搬送しているワーク80をどの加工機20に搬送すべきかを把握できる。作業者は、ワーク80を加工機20に搬送すると、移動端末300を操作して、ワーク80の搬送が終了した旨を入力する。
【0045】
移動端末300の移動終了通知部314は、上記の作業者の操作に応じて、ワーク80の搬送が終了したことを示す移動終了通知を、管理装置200に送信する。移動終了通知部314は、移動端末300が有する情報処理装置50のI/O54により、移動終了通知を送信する。
【0046】
管理装置200の移動終了受信部232は、移動端末300から移動終了通知を受信する。移動終了受信部232は、管理装置200が有する情報処理装置50のI/O54により、移動終了通知を受信する。
【0047】
管理装置200の加工指示送信部240は、生産計画部220による生産計画に応じて、処理対象(加工対象)のワーク80に実行されるべき加工工程を実行すべき加工機20に対応する制御装置100に、加工指示を送信する。加工指示送信部240は、管理装置200が有する情報処理装置50のI/O54により、加工指示を送信する。加工指示は、例えば、ワーク80の識別情報(ワークID)と、加工機20の識別情報(加工機ID)と、実行すべき加工工程の識別情報と、加工工程に対応する加工プログラムとを有する。例えば、生産計画においてワークXに対応するワーク80について次の加工工程X2を加工機20Bで実行すると決定されたとする。この場合、加工指示送信部240は、加工機20Bに対応する制御装置100Bに、加工指示を送信する。そして、このときの加工指示は、ワークXに対応するワーク80のワークIDと、加工機20Bの加工機IDと、加工工程X2の識別情報と、加工工程X2を実行する加工プログラムとを有する。
【0048】
制御装置100は、対応する加工機20において加工工程が終了した場合に、加工工程が終了した旨を示す加工実績通知を、管理装置200に送信する。管理装置200の加工実績受信部242は、制御装置100から加工実績通知を受信する。加工実績受信部242は、管理装置200が有する情報処理装置50のI/O54により、加工実績通知を受信する。これにより、生産計画部220は、加工実績通知を送信した制御装置100に対応する加工機20が加工を行っていない待機状態となったことを把握する。そして、生産計画部220は、別のワーク80及び別の加工工程について、生産計画を行う。
【0049】
以下、制御装置100の各構成要素について説明する。なお、各構成要素の説明において、対応する制御装置100に対応する加工機20のことを、単に、「対応する加工機20」と称することがある。
【0050】
加工指示受信部110は、管理装置200から、対応する加工機20に対する加工指示を受信する。加工指示受信部110は、制御装置100が有する情報処理装置50のI/O54により、加工指示を受信する。
【0051】
工程特定部112(特定部)は、受信された加工指示から、次に実行すべき工程を特定する。具体的には、工程特定部112は、複数の加工工程のうち、加工対象のワーク80に対して対応する加工機20で次に実行すべき加工工程(第1の加工工程)を特定する。さらに具体的には、工程特定部112は、加工指示に含まれる加工工程の識別情報から、対応する加工機20で次に実行すべき加工工程を特定する。なお、工程特定部112は、加工指示を用いて第1の加工工程を特定する必要はない。例えば、生産ラインの作業者の操作等によって、第1の加工工程を特定してもよい。
【0052】
進捗取得部120(取得部)は、第1の加工工程でワーク80を加工する前に、対応する加工機20で加工されようとしているワーク80の状態から加工工程の進捗状況を取得する。具体的には、進捗取得部120は、検出装置30から、対応する加工機20で加工されようとしているワーク80の状態データを取得する。進捗取得部120は、制御装置100が有する情報処理装置50のI/O54又はUI55により、状態データを取得してもよい。進捗取得部120は、状態データを使用して、ワーク80の進捗状況(どの加工工程まで終了しているか)を取得(特定)する。
【0053】
ここで、上述したように、実施の形態1では、状態データは、ワーク80の形状を撮像して得られた画像データである。また、実施の形態1では、状態データが示す「状態」は、ワーク80の画像であり、すなわち、ワーク80の形状である。そして、実施の形態1にかかる進捗取得部120は、ワーク80を撮像して得られた画像(画像データ)を用いて、進捗状況を取得する。具体的には、進捗取得部120は、予め準備された学習済みモデル(学習器)を用いて、進捗状況を取得する。なお、学習済みモデルは、機械学習アルゴリズムを用いて生成される。機械学習アルゴリズムは、例えば、CNN(Convolutional Neural Network;畳み込みニューラルネットワーク)であるが、これに限定されない。
【0054】
図5は、実施の形態1にかかる進捗取得部120の構成を示す図である。実施の形態1にかかる進捗取得部120は、画像取得部121と、進捗特定部122と、学習済みモデル格納部123とを有する。学習済みモデル格納部123は、予め準備された学習済みモデルを格納している。学習済みモデルについては後述する。
【0055】
画像取得部121は、撮像装置である検出装置30から、対応する加工機20に搬送されたワーク80を撮影して得られた画像データを取得する。なお、画像取得部121は、撮像装置である検出装置30によって撮影されて得られた画像データを、作業者の操作によって取得してもよい。
【0056】
進捗特定部122は、学習済みモデル格納部123に格納された学習済みモデルを用いて、画像データに対応するワーク80の進捗状況を特定(取得)する。具体的には、進捗特定部122は、ワーク80の画像データを学習済みモデルに入力する。進捗特定部122は、学習済みモデルの出力から、進捗状況を特定する。ここで、画像データを学習済みモデルに入力すると、学習済みモデルは、その画像データに対応する加工工程を、進捗状況として出力する。これにより、進捗特定部122は、ワーク80の進捗状況を特定(取得)できる。
【0057】
ここで、上述したように、学習済みモデルは、機械学習アルゴリズムを用いて生成される。具体的には、ワーク80が撮影された時点における直前の加工工程を正解ラベルとしたワーク80の多数の画像データを教師データとして、機械学習アルゴリズムに入力する。これにより、機械学習アルゴリズムは、ワーク80の画像データに対応する進捗状況を学習する。そして、進捗状況を学習した機械学習アルゴリズムが、学習済みモデルとして生成される。
【0058】
例えば、
図4の例において、加工工程X1が終了したワークXを撮影して得られた画像データImX1を多数準備する。そして、進捗状況「加工工程X1」を正解ラベルとした画像データImX1を教師データとして、機械学習アルゴリズムを用いて機械学習を行う。これにより、機械学習アルゴリズムは、加工工程X1が終了したワークXの画像の特徴を学習する。同様に、加工工程X2が終了したワークXを撮影して得られた画像データImX2を多数準備する。そして、進捗状況「加工工程X2」を正解ラベルとした画像データImX2を教師データとして、機械学習アルゴリズムを用いて機械学習を行う。これにより、機械学習アルゴリズムは、加工工程X2が終了したワークXの画像の特徴を学習する。
【0059】
このような処理を同じ種類のワークの他の加工工程、及び他の種類のワークの加工工程においても行うことによって、機械学習アルゴリズムは、画像データと進捗状況との対応を学習する。このようにして得られた学習済みモデルは、ワーク80の画像データを入力すると、そのワーク80について直前に実行された加工工程を、そのワーク80の進捗状況として出力する。言い換えると、学習済みモデルは、ワーク80の画像データを入力すると、そのワーク80についてどの加工工程まで終了しているかを出力する。
【0060】
さらに、学習済みモデルは、ワーク80の画像データを入力すると、そのワーク80が、どの種類のワーク(
図4の例ではワークX,Y,Xのいずれか)のどの加工工程まで終了しているかを出力し得る。例えば、
図4の例において、撮影されたワーク80がワークYであり、4番目の加工工程まで終了していた場合、学習済みモデルは、進捗状況として「加工工程Y4」を出力する。また、
図4の例において、撮影されたワーク80がワークZであり、2番目の加工工程まで終了していた場合、学習済みモデルは、進捗状況として「加工工程Z2」を出力する。
【0061】
判定部130(
図3)は、加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能か否かを判定する。言い換えると、判定部130は、加工不可状態が発生しているか否かを判定する。具体的には、判定部130は、工程特定部112によって特定された第1の加工工程と、進捗取得部120によって取得された進捗状況(加工工程)とを用いて、加工不可状態が発生しているか否かを判定する。さらに具体的には、判定部130は、「第1の加工工程の1つ前の加工工程」と「進捗状況」とを照合してもよい。そして、判定部130は、両者が一致する場合は、加工不可状態が発生していないと判定する。つまり、判定部130は、加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能であると判定する。一方、判定部130は、両者が一致しない場合は、加工不可状態が発生していると判定する。つまり、判定部130は、加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能ではないと判定する。例えば、
図4の例において、第1の加工工程が加工工程X3である場合、判定部130は、加工工程X3の1つの前の加工工程X2と、進捗取得部120によって取得された進捗状況とを照合する。そして、判定部130は、進捗状況が「加工工程X2」であるときに、加工不可状態が発生していないと判定する。つまり、判定部130は、進捗状況が「加工工程X2」であるときに、加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能であると判定する。
【0062】
また、判定部130は、「第1の加工工程」と「進捗状況の1つ後の加工工程」とを照合してもよい。そして、判定部130は、両者が一致する場合は、加工不可状態が発生していないと判定する。つまり、判定部130は、加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能であると判定する。一方、判定部130は、両者が一致しない場合は、加工不可状態が発生していると判定する。つまり、判定部130は、加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能ではないと判定する。例えば、
図4の例において、第1の加工工程が加工工程X3である場合、判定部130は、加工工程X3と、進捗取得部120によって取得された進捗状況の1つ後の加工工程とを照合する。そして、判定部130は、進捗状況が「加工工程X2」であるときに、加工不可状態が発生していないと判定する。つまり、判定部130は、進捗状況が「加工工程X2」であるときに、加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能であると判定する。
【0063】
また、判定部130は、「進捗状況」が「第1の加工工程」の1つ前の加工工程か否かを判定してもよい。そして、判定部130は、「進捗状況」が「第1の加工工程」の1つ前の加工工程である場合は、加工不可状態が発生していないと判定する。つまり、判定部130は、加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能であると判定する。一方、判定部130は、「進捗状況」が「第1の加工工程」の1つ前の加工工程でない場合は、加工不可状態が発生していると判定する。つまり、判定部130は、加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能ではないと判定する。例えば、
図4の例において、第1の加工工程が加工工程X3である場合、判定部130は、進捗取得部120によって取得された進捗状況が加工工程X3の1つ前の加工工程であるか否かを判定する。そして、判定部130は、進捗状況が「加工工程X2」であるときに、「進捗状況」が第1の加工工程の1つ前の加工工程であるので、加工不可状態が発生していないと判定する。つまり、判定部130は、進捗状況が「加工工程X2」であるときに、加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能であると判定する。
【0064】
報知部140は、判定部130によって加工不可状態が発生した、つまり加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能ではないと判定された場合に、アラームを発する。具体的には、報知部140は、加工不可状態が発生したと判定された場合に、加工不可状態が発生した旨を、対応する加工機20の付近の作業者に知らせるアラームを発する。報知部140がアラームを発することにより、周囲の作業者に、加工不可状態というトラブルが発生したことを知らせることが可能となる。
【0065】
報知部140は、制御装置100が有する情報処理装置50のUI55を制御して、アラームを発する。例えば、報知部140は、制御装置100のディスプレイにアラームを表示してもよい。また、例えば、報知部140は、制御装置100のスピーカにアラームを示す音声を出力させてもよい。また、例えば、報知部140は、制御装置100又は加工機20に設けられた警告ランプを点灯又は点滅させてもよい。
【0066】
また、報知部140は、工程飛ばしによって実行されなかった加工工程を、作業者に知らせてもよい。この場合、報知部140は、「第1の加工工程」と「進捗状況」とから、工程飛ばしにより実行されなかった加工工程を判定してもよい。例えば、第1の加工工程が「加工工程X3」であって、進捗状況が「加工工程X1」であるときに、報知部140は、「加工工程X2」が実行されていないと判定する。そして、報知部140は、「加工工程X2を飛ばしています」旨を示すアラームを報知してもよい。
【0067】
また、報知部140は、搬送ミスによって搬送されたワーク80、及び搬送されるべきワーク80を、作業者に知らせてもよい。この場合、報知部140は、「第1の加工工程」と「進捗状況」とから、搬送ミスにより搬送されたワーク80、及び搬送されるべきワーク80を判定してもよい。例えば、第1の加工工程が「加工工程X3」であって、進捗状況が「加工工程Y3」であるときに、報知部140は、搬送ミスにより搬送されたワーク80が「ワークY」であり、搬送されるべきワーク80が「ワークX」であると判定する。そして、報知部140は、「搬送されたワークが誤っています。正しいワークXを搬送してください」旨を示すアラームを報知してもよい。
【0068】
加工制御部150は、判定部130によって加工不可状態が発生していない、つまり加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能であると判定された場合に、対応する加工機20がワーク80を加工するように、加工機20を制御する。具体的には、加工制御部150は、ワーク80に対して第1の加工工程を実行するように、対応する加工機20を制御する。さらに具体的には、加工制御部150は、管理装置200から受信された加工指示に含まれる加工プログラムを実行して、対応する加工機20に第1の加工工程を実行させる。
【0069】
加工実績送信部152は、対応する加工機20において加工工程(第1の加工工程)が終了した場合に、加工実績通知を、管理装置200に送信する。加工実績送信部152は、制御装置100が有する情報処理装置50のI/O54により、加工実績通知を送信する。加工実績通知は、加工工程が終了した旨を示す。また、加工実績通知は、どの加工工程が終了したかを示す。
【0070】
図6は、実施の形態1にかかる加工管理システム1によって実行される加工管理方法を示すフローチャートである。
図6の処理は、主に、制御装置100によって実行される。また、
図6に示す処理(加工管理処理)は、各制御装置100(設備10,加工機20)ごとに実行される。つまり、
図6に示す処理(加工管理処理)は、各制御装置100(設備10,加工機20)それぞれについて独立して実行される。したがって、
図6に示す処理は、複数の制御装置100(加工機20)それぞれについて、並行して実行されてもよい。以下の説明では、適宜、制御装置100A(加工機20A)についての加工管理処理について説明するが、他の制御装置100(加工機20A)についても同様である。
【0071】
加工指示受信部110は、管理装置200から、加工機20Aに対する加工指示を受信する(ステップS102)。工程特定部112は、受信された加工指示から、加工機20Aにおいて次に実行すべき工程(第1の加工工程)を特定する(ステップS104)。進捗取得部120は、加工機20Aに搬送されたワーク80Aの画像データを取得する(ステップS106)。具体的には、検出装置30Aは、加工機20Aに搬送されたワーク80Aを撮影し、ワーク80が撮影された画像データを生成する。そして、進捗取得部120の画像取得部121は、ワーク80Aの画像データを検出装置30Aから取得する。
【0072】
進捗取得部120は、学習済みモデル(学習器)を用いて、ワーク80Aの加工工程の進捗状況を取得する(ステップS108)。具体的には、上述したように、進捗取得部120の進捗特定部122は、学習済みモデルにワーク80Aの画像データを入力して出力された加工工程から、ワーク80Aの進捗状況を特定する。
【0073】
判定部130は、S104の処理で特定された第1の加工工程と、S108の処理で取得された進捗状況とを用いて、加工機20Aがワーク80Aを第1の加工工程で加工不可であるか否かを判定する(ステップS110)。加工不可であると判定された場合(S110のYES)、報知部140は、アラームを報知する(ステップS112)。一方、加工可能であると判定された場合(S110のNO)、加工制御部150は、ワーク80Aの加工(第1の加工工程)を行うように、加工機20Aを制御する(ステップS114)。加工機20Aにおいてワーク80Aの加工(第1の加工工程)が終了すると、加工実績送信部152は、加工実績通知を管理装置200に送信する(ステップS116)。
【0074】
図7及び
図8は、本実施の形態にかかる作用を説明するための図である。
図7は、比較例にかかる量産ライン90を示す図である。量産ライン90では、加工機92-1~92-5が、それぞれ、ワーク94に対して加工工程#1~#5を実行する。これにより、量産品である製品96が生産される。なお、加工工程#n(nは1以上5以下の整数)は、n番目の加工工程である。ここで、量産ライン90では、各加工機92で実行される加工工程は、予め決まっている。したがって、ワーク94の搬送経路も、予め決まっている。このような状況では、加工不可状態が発生する可能性は低い。
【0075】
図8は、本実施の形態にかかる加工管理システム1を多品種少量生産ラインに適用した場合の、ワーク80の搬送経路を例示する図である。一点鎖線は、ワーク80Dの搬送経路を示し、太い実線は、ワーク80Eの搬送経路を示す。
【0076】
ワーク80Dについては、1番目の加工工程が加工機20Aで実行され、2番目の加工工程が加工機20Bで実行され、3番目の加工工程が加工機20Cで実行され、4番目の加工工程が加工機20Bで実行され、5番目の加工工程が加工機20Cで実行される。これにより、製品82Dが生産される。一方、ワーク80Eについては、1番目の加工工程が加工機20Aで実行され、2番目の加工工程が加工機20Bで実行され、3番目及び4番目の加工工程が加工機20Aで実行され、5番目の加工工程が加工機20Cで実行される。これにより、製品82Eが生産される。なお、製品82Dは、製品82Eと、同じ種類の製品であってもよいし、異なる種類の製品であってもよい。
【0077】
このように、多品種少量生産ラインでは、複数の汎用の加工機20が複数の種類のワーク80を加工することが多い。ここで、生産の効率化のため、管理装置200は、上述したように、加工を行っていない(つまり待機状態である)加工機20が加工工程を実行するように、生産計画を行う。したがって、多品種少量生産ラインでは、異なる種類の製品はもちろん、同じ種類の製品であっても、加工機20(設備10)の稼働状況により、ワーク80の搬送経路が変化する。また、ある加工工程を実行した加工機20の近くの加工機20で次の加工工程が実行されるわけではないので、搬送経路は複雑となり得る。したがって、多品種少量生産ラインでは、量産ラインの場合と比較して、加工不可状態が発生しやすい。
【0078】
例えば、加工機20Cではワーク80Dについて3番目の加工工程及び5番目の加工工程を実行できるが、2番目の加工工程の後で、3番目の加工工程ではなく5番目の加工工程を実行してしまう可能性がある。この場合、3番目及び5番目の加工工程を実行していないので、工程飛ばしが発生している。また、例えば、加工機20Aではワーク80Eについて3番目の加工工程及び4番目の加工工程を実行できるが、2番目の加工工程の後で4番目の加工工程を実行してしまう可能性がある。この場合、3番目の加工工程を実行していないので、工程飛ばしが発生している。
【0079】
また、例えば、加工機20Bがワーク80Dについて2番目の加工工程を実行しようとする場合、ワーク80Dが加工機20Bに搬送されるべきであるが、作業者等のミスにより、ワーク80Eが加工機20Bに搬送されてしまう可能性がある。この場合、搬送ミスが発生している。また、例えば、加工機20Aがワーク80Eについて3番目の加工工程を実行しようとする場合、ワーク80Eは、加工機20Aに搬送されるべきであるが、ワーク80Eが加工機20Cに搬送されてしまう可能性がある。この場合、搬送ミスが発生している。
【0080】
加工不可状態が発生してもそれに気付かずに加工を行ってしまうと、正しくワーク80が加工されないので、加工ミスが発生するおそれがある。また、正しくワーク80が加工されないので、製品不良が発生するおそれがある。また、加工されるべき形状にワーク80が加工されていない可能性があるので、ワーク80と加工機20の工具とが干渉して工具が破損するおそれがある。例えば、工程飛ばしが発生して、ある加工工程(例えばめねじ加工)の前に穴あけ加工が実行されていなければいけないのに穴あけ加工がなされていないとする。この場合にその加工工程を実行してしまうと、穴が空いている前提で工具(例えばタップ工具等)を動作させたときに、ワーク80の穴が空いているはずの箇所と工具とが干渉するため、工具が破損するおそれがある。
【0081】
これに対し、本実施の形態にかかる加工管理システム1を多品種少量生産ラインに適用することによって、上述したように、加工ミスの発生を抑制することが可能となる。すなわち、本実施の形態にかかる加工管理システム1は、加工機20に搬送されたワーク80の状態から進捗状況を取得して、その加工機20で次に実行すべき加工工程との照合を行って、加工不可状態が発生しているか否かを判定するように構成されている。言い換えると、本実施の形態にかかる加工管理システム1は、第1の加工工程と進捗状況とを用いて、加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能か否かを判定するように構成されている。そして、加工不可状態が発生している場合は、ワーク80の加工は行われない。ここで、加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能でない場合に加工を行ってしまうと、加工ミスが生じる可能性が高い。これに対し、本実施の形態にかかる加工管理システム1は、ワーク80の加工前に、ワーク80の進捗状況を取得して、第1の加工工程で加工可能か否かを判定する。したがって、加工ミスの発生を抑制することが可能となる。また、加工ミスの発生を抑制できるので、上述した製品不良及び加工機20の工具の破損の発生を抑制することが可能となる。
【0082】
また、実施の形態1にかかる加工管理システム1は、ワーク80を撮像して得られた画像(画像データ)を用いて、進捗状況を取得するように構成されている。これにより、実施の形態1にかかる加工管理システム1は、ワーク80の画像を用いてワーク80の形状から進捗状況を判定することができる。ここで、加工工程が進むにつれて、ワーク80の形状は変化する。そして、ワーク80の形状は、加工工程と、比較的、精度よく対応し得る。したがって、実施の形態1にかかる加工管理システム1は、より正確に、ワーク80の進捗状況を判定することが可能となる。
【0083】
また、本実施の形態にかかる加工管理システム1では、管理装置200がワーク80の生産計画を管理するように構成されている。これにより、複数のワーク80が複数の加工機20で加工される場合でも、加工機20の空き状況等を考慮して、効率的にワーク80の加工及び製品の生産を行うための生産計画を行うことができる。したがって、効率的にワーク80の加工及び製品の生産を行うことが可能となる。
【0084】
また、本実施の形態にかかる加工管理システム1では、工程記憶部210が管理装置200に設けられている。これにより、加工機20(制御装置100)ごとに工程記憶部210を設けておくことが不要となる。したがって、制御装置100のリソースを節約することが可能となる。また、ワーク80ごとに生産に必要な複数の加工工程を、管理装置200で一括して管理することが可能となる。
【0085】
また、本実施の形態にかかる加工管理システム1では、管理装置200が、加工指示を生成して、制御装置100に加工指示を送信するように構成されている。そして、制御装置100が、管理装置200によって出力された加工指示を用いて第1の加工工程を特定するように構成されている。これにより、どの加工機20でどの加工工程を実行するのかを、容易に管理することが可能となる。
【0086】
また、本実施の形態にかかる加工管理システム1は、複数の種類のワーク80を加工する生産ライン(多品種少量生産ライン等)における加工を管理するように構成されている。そして、工程記憶部210には、複数の種類のワーク80それぞれの加工工程が記憶されている。複数の種類のワーク80を加工する生産ラインでは、ワーク80の搬送経路が変化し、複雑となり得る。したがって、加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能でない状態が発生しやすい。このような生産ラインであっても、本実施の形態にかかる加工管理システム1は、加工ミスの発生を抑制することが可能となる。言い換えると、複数の種類のワーク80を加工する生産ラインのような加工不可状態が発生しやすい生産ラインに本実施の形態にかかる加工管理システム1を適用することが、より効果的である。
【0087】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2においては、状態データが、実施の形態1と異なる。なお、実施の形態2にかかる加工管理システム1の構成については、
図1~
図3に示したものと実質的に同様であるので、説明を省略する。特に、
図3に示した加工管理システム1の構成要素のうち、進捗取得部120以外の構成要素については、実施の形態1にかかるものと実質的に同様であるので、説明を省略する。
【0088】
実施の形態2にかかる状態データは、ワーク80の重量を示す重量データである。また、実施の形態2では、状態データが示す「状態」は、ワーク80の重量である。そして、実施の形態2にかかる検出装置30は、計量装置である。実施の形態2にかかる検出装置30は、例えば、ロードセル等の重量センサであってもよい。あるいは、実施の形態2にかかる検出装置30は、例えば、重量値を表示する重量計(例えば台秤又はバネ秤等)であってもよい。
【0089】
実施の形態2にかかる検出装置30は、対応する設備10(加工機20)に搬送されたワーク80の重量を計測する。そして、実施の形態2にかかる検出装置30は、ワーク80の重量を示す重量データを、状態データとして、制御装置100に送信する。なお、検出装置30は、重量データを制御装置100に送信しなくてもよい。計量装置である検出装置30がワーク80の重量を表示するようにし、表示された重量を、作業者が、制御装置100に入力するようにしてもよい。
【0090】
実施の形態2にかかる進捗取得部120(取得部)は、実施の形態1と同様に、第1の加工工程でワーク80を加工する前に、ワーク80の状態から加工工程の進捗状況を取得する。ここで、上述したように、実施の形態2では、状態データは、ワーク80の重量を示す重量データである。そして、実施の形態2にかかる進捗取得部120は、ワーク80の重量(重量データ)を用いて、進捗状況を取得する。
【0091】
図9は、実施の形態2にかかる進捗取得部120の構成を示す図である。実施の形態2にかかる進捗取得部120は、重量取得部125と、進捗特定部126と、重量テーブル格納部127とを有する。重量テーブル格納部127は、予め準備された重量テーブルを格納している。重量テーブルについては後述する。
【0092】
重量取得部125は、対応する加工機20に搬送されたワーク80の重量を取得する。重量取得部125は、計量装置である検出装置30から、ワーク80の重量を示す重量データを受信することで、ワーク80の重量を取得してもよい。この場合、重量取得部125は、制御装置100が有する情報処理装置50のI/O54により、重量データを受信してもよい。あるいは、重量取得部125は、作業者が制御装置100に重量値を入力することによって、ワーク80の重量を取得してもよい。この場合、重量取得部125は、制御装置100が有する情報処理装置50のUI55により、重量データを受信してもよい。
【0093】
図10は、実施の形態2にかかる重量テーブル格納部127に格納された重量テーブルを例示する図である。
図10には、
図4に例示したワークX,Y,Zについての重量テーブルが示されている。重量テーブルは、各加工工程と、その加工工程におけるワーク80の重量とを対応付けている。重量テーブルは、例えば、各加工工程が終了した時点におけるワーク80の重量を作業者が予め計測することによって、あるいは、各加工工程における重量の設計値を参照することによって、予め生成され得る。
【0094】
図10に例示した重量テーブルは、加工工程X1と重量Gx1±αx1とを対応付けている。つまり、
図10の例では、ワークXについて、加工工程X1が終了した時点での重量がGx1±αx1であることを示している。同様に、
図10に例示した重量テーブルは、加工工程X2と重量Gx2±αx2とを対応付けている。つまり、
図10の例では、ワークXについて、加工工程X2が終了した時点での重量がGx2±αx2であることを示している。また、
図10に例示した重量テーブルは、加工工程X3と重量Gx3±αx3とを対応付けている。つまり、
図10の例では、ワークXについて、加工工程X3が終了した時点での重量がGx3±αx3であることを示している。また、
図10に例示した重量テーブルは、加工工程X4と重量Gx4±αx4とを対応付けている。つまり、
図10の例では、ワークXについて、加工工程X4が終了した時点での重量がGx4±αx4であることを示している。また、
図10に例示した重量テーブルは、加工工程X5と重量Gx5±αx5とを対応付けている。つまり、
図10の例では、ワークXについて、加工工程X5が終了した時点での重量がGx5±αx5であることを示している。また、
図10に例示した重量テーブルは、加工工程X6と重量Gx6±αx6とを対応付けている。つまり、
図10の例では、ワークXについて、加工工程X6が終了した時点での重量がGx6±αx6であることを示している。
【0095】
また、
図10に例示した重量テーブルは、加工工程Y1と重量Gy1±αy1とを対応付けている。つまり、
図10の例では、ワークYについて、加工工程Y1が終了した時点での重量がGy1±αy1であることを示している。同様に、
図10に例示した重量テーブルは、加工工程Y2と重量Gy2±αy2とを対応付けている。つまり、
図10の例では、ワークYについて、加工工程Y2が終了した時点での重量がGy2±αy2であることを示している。また、
図10に例示した重量テーブルは、加工工程Y3と重量Gy3±αy3とを対応付けている。つまり、
図10の例では、ワークYについて、加工工程Y3が終了した時点での重量がGy3±αy3であることを示している。また、
図10に例示した重量テーブルは、加工工程Y4と重量Gy4±αy4とを対応付けている。つまり、
図10の例では、ワークYについて、加工工程Y4が終了した時点での重量がGy4±αy4であることを示している。また、
図10に例示した重量テーブルは、加工工程Y5と重量Gy5±αy5とを対応付けている。つまり、
図10の例では、ワークYについて、加工工程Y5が終了した時点での重量がGy5±αy5であることを示している。
【0096】
また、
図10に例示した重量テーブルは、加工工程Z1と重量Gz1±αz1とを対応付けている。つまり、
図10の例では、ワークZについて、加工工程Z1が終了した時点での重量がGz1±αz1であることを示している。同様に、
図10に例示した重量テーブルは、加工工程Z2と重量Gz2±αz2とを対応付けている。つまり、
図10の例では、ワークZについて、加工工程Z2が終了した時点での重量がGz2±αz2であることを示している。また、
図10に例示した重量テーブルは、加工工程Z3と重量Gz3±αz3とを対応付けている。つまり、
図10の例では、ワークZについて、加工工程Z3が終了した時点での重量がGz3±αz3であることを示している。また、
図10に例示した重量テーブルは、加工工程Z4と重量Gz4±αz4とを対応付けている。つまり、
図10の例では、ワークZについて、加工工程Z4が終了した時点での重量がGz4±αz4であることを示している。
【0097】
ここで、αx1~αx6、αy1~αy5及びαz1~αz4は、許容差(公差、誤差)である。また、ワークは、加工工程が進むごとに、切削等によって重量が減少することが多い。したがって、Gx1>Gx2>Gx3>Gx4>Gx5>Gx6であり得る。同様に、Gy1>Gy2>Gy3>Gy4>Gy5であり得る。また、Gz1>Gz2>Gz3>Gz4であり得る。
【0098】
進捗特定部126は、重量テーブル格納部127に格納された重量テーブルを用いて、重量データに対応するワーク80の進捗状況を特定(取得)する。具体的には、進捗特定部126は、重量取得部125によって取得された重量gが、重量テーブルにおいてどの加工工程に対応するかを判定する。そして、進捗特定部126は、重量gに対応する加工工程を、そのワーク80の進捗状況と特定する。
【0099】
例えば、ワーク80の重量gがGx-αx1<g<Gx1+αx1である場合、進捗特定部126は、そのワーク80の進捗状況を、「加工工程X1」と特定する。つまり、この場合、進捗特定部126は、そのワーク80がワークXであり、1番目の加工工程X1が終了したと判定する。また、例えば、ワーク80の重量gがGy2-αy2<g<Gy2+αy2である場合、進捗特定部126は、そのワーク80の進捗状況を、「加工工程Y2」と特定する。つまり、この場合、進捗特定部126は、そのワーク80がワークYであり、2番目の加工工程Y2が終了したと判定する。また、例えば、ワーク80の重量gがGz3-αz3<g<Gz3+αz3である場合、進捗特定部126は、そのワーク80の進捗状況を、「加工工程Z3」と特定する。つまり、この場合、進捗特定部126は、そのワーク80がワークZであり、3番目の加工工程Z3が終了したと判定する。
【0100】
なお、ある加工工程に対応する重量が、他の加工工程に対応する重量とほとんど同じ場合も考えられる。そのような場合は、検出装置30は、重量以外の情報を検出してもよい。そして、進捗取得部120は、重量データと重量以外の情報との組み合わせによって、進捗状況を取得してもよい。例えば、検出装置30は、ワーク80の重心位置を検出してもよい。そして、重量テーブルは、重量が同じ加工工程については、重量と重心位置との組み合わせを対応付けてもよい。そして、進捗取得部120は、重量データと重心位置との組み合わせによって、進捗状況を取得してもよい。これにより、進捗状況の取得の精度の向上、及び、加工不可状態の判定の精度の向上を図ることができる。
【0101】
図11は、実施の形態2にかかる加工管理システム1によって実行される加工管理方法を示すフローチャートである。
図11の処理は、主に、制御装置100によって実行される。また、
図11に示す処理(加工管理処理)は、各制御装置100(設備10,加工機20)ごとに実行される。つまり、
図11に示す処理(加工管理処理)は、各制御装置100(設備10,加工機20)それぞれについて独立して実行される。したがって、
図11に示す処理は、複数の制御装置100(加工機20)それぞれについて、並行して実行されてもよい。以下の説明では、適宜、制御装置100A(加工機20A)についての加工管理処理について説明するが、他の制御装置100(加工機20A)についても同様である。
【0102】
加工指示受信部110は、管理装置200から、加工機20Aに対する加工指示を受信する(ステップS202)。工程特定部112は、受信された加工指示から、加工機20Aにおいて次に実行すべき工程(第1の加工工程)を特定する(ステップS204)。進捗取得部120は、加工機20Aに搬送されたワーク80Aの重量(重量データ)を取得する(ステップS206)。具体的には、検出装置30Aは、加工機20Aに搬送されたワーク80Aの重量を計測する。進捗取得部120の重量取得部125は、検出装置30Aによって計測されたワーク80Aの重量を取得する。
【0103】
進捗取得部120は、重量テーブルを参照して、ワーク80Aの加工工程の進捗状況を取得する(ステップS208)。具体的には、上述したように、進捗取得部120の進捗特定部126は、重量テーブルを用いて、ワーク80の重量に対応する加工工程から、ワーク80Aの進捗状況を特定する。
【0104】
判定部130は、S204の処理で特定された第1の加工工程と、S208の処理で特定された進捗状況とを用いて、加工不可であるか否かを判定する(ステップS210)。加工不可であると判定された場合(S210のYES)、報知部140は、アラームを報知する(ステップS212)。一方、加工可能であると判定された場合(S210のNO)、加工制御部150は、ワーク80Aの加工(第1の加工工程)を行うように、加工機20Aを制御する(ステップS214)。加工機20Aにおいてワーク80Aの加工(第1の加工工程)が終了すると、加工実績送信部152は、加工実績通知を管理装置200に送信する(ステップS216)。
【0105】
上述したように、実施の形態2にかかる加工管理システム1は、ワーク80の重量を用いて、進捗状況を取得するように構成されている。ここで、加工工程が進むにつれて、ワーク80の重量は変化する可能性が高い。また、ワーク80の重量を計測することは、比較的容易である。したがって、実施の形態2にかかる加工管理システム1は、より簡易に、ワーク80の進捗状況を判定することが可能となる。なお、加工工程(進捗状況)を特定するための情報として、実施の形態1にかかるワーク80の画像を用いた場合の方が、ワーク80の重量を用いた場合よりも、加工工程の特定の精度が良好である可能性がある。したがって、加工工程(進捗状況)の特定の精度という点では、実施の形態1にかかる方法の方が優れている可能性がある。
【0106】
(変形例)
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述したフローチャートの各ステップの順序は、適宜変更可能である。また、フローチャートの各ステップの1つ以上は、省略されてもよい。例えば、
図6に示したフローチャートにおいて、S102及びS116の処理は、なくてもよい。
図11についても同様である。
【0107】
また、上述した実施の形態では、加工管理システム1は、複数の種類のワークを加工する生産ラインに適用されとしたが、本実施の形態にかかる加工管理システム1は、複数の種類のワークを加工する生産ラインに適用される必要はない。例えば、
図8に例示した生産ラインにおいて1つの種類のワークを加工する生産ラインにも、本実施の形態にかかる加工管理システム1は、適用可能である。また、例えば、
図7に例示した生産ラインにおいて作業者がワークを搬送するような生産ラインにも、本実施の形態にかかる加工管理システム1は、適用可能である。一方、複数の種類のワークを加工する生産ラインだと、ワークの搬送経路が複雑となるため、工程飛ばし又は搬送ミスといった加工不可状態が発生しやすい。したがって、本実施の形態にかかる加工管理システム1を、複数の種類のワークを加工する生産ラインに適用することは、非常に有効である。
【0108】
また、上述した実施の形態では、ある加工工程が終了した直後のワーク80について、その終了した加工工程(直前に終了した加工工程)を進捗状況としているが、このような構成に限られない。ある加工工程が終了した直後のワーク80について、その終了した加工工程(直前に終了した加工工程)の次の加工工程を、進捗状況としてもよい。この場合、判定部130は、第1の加工工程と進捗状況とを照合して、両者が一致するか否かを判定することによって、加工機20がワーク80を第1の加工工程で加工可能か否かを判定してもよい。また、この場合、実施の形態1では、ある加工工程が終了した直後のワーク80の画像データについて、その次の加工工程を正解ラベルとして、学習を行ってもよい。また、実施の形態2では、重量テーブルは、ワーク80の重量と、その重量になるようにワーク80を加工した加工工程の次の加工工程とを対応付けてもよい。
【0109】
また、上述した実施の形態では、管理装置200から送信される加工指示が、加工工程を実行するための加工プログラムを含むとしているが、このような構成に限られない。加工指示は、加工プログラムを含まなくてもよい。この場合、各制御装置100に予め加工プログラムを格納しておき、加工指示は実行すべき加工プログラムの識別情報のみを含んでもよい。この場合、加工制御部150は、加工指示に含まれる加工プログラムの識別情報を参照して、制御装置100に格納された加工プログラムを実行するようにしてもよい。これにより、加工指示のデータ量が削減されるので、通信負荷が減少する。一方、加工指示が加工プログラムを含むようにすることで、制御装置100が予め加工プログラムを記憶しておく必要がなくなる。このような構成は、加工機20が汎用の加工機であり、どの加工工程を実行するのか事前に全く定まっていない場合に、特に効果的である。
【0110】
また、上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0111】
1 加工管理システム
2 ネットワーク
20 加工機
30 検出装置
50 情報処理装置
80 ワーク
100 制御装置
110 加工指示受信部
112 工程特定部
120 進捗取得部
121 画像取得部
122 進捗特定部
123 モデル格納部
125 重量取得部
126 進捗特定部
127 重量テーブル格納部
130 判定部
140 報知部
150 加工制御部
152 加工実績送信部
200 管理装置
210 工程記憶部
220 生産計画部
230 移動指示送信部
232 移動終了受信部
240 加工指示送信部
242 加工実績受信部
300 移動端末
310 移動指示受信部
312 移動先表示部
314 移動終了通知部