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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/60 20190101AFI20241112BHJP
   G07D 11/26 20190101ALI20241112BHJP
【FI】
G07D11/60
G07D11/26
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021009423
(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公開番号】P2022113295
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】金井 浩一
(72)【発明者】
【氏名】佐瀬 富之
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-113450(JP,A)
【文献】特開2009-251806(JP,A)
【文献】特開2013-041572(JP,A)
【文献】特開昭62-069393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16
G07D 9/00-13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣の入出金機能を有する貨幣処理装置であって、
発生させる疑似的なエラーの内容の入力方法をユーザに選択させる指定画像と、前記ユーザの選択に基づいて前記指定画像から遷移する画像であって、前記貨幣の種別、及び前記エラーが発生した際の前記貨幣処理装置の動作内容を含む内容を前記ユーザに入力させる第1の画像、前記貨幣処理装置の構造を示し、前記貨幣処理装置にて前記エラーが発生したとされる位置を前記ユーザに入力させる第2の画像、及び前記エラーの各々と個別に対応付けられたエラーコードを前記ユーザに入力させる第3の画像とを生成する入力画像生成部と、
前記貨幣を搬送する搬送部に設けられたセンサからの実際のエラー発生信号に替えて疑似的な前記エラーの発生信号に基づいて、前記ユーザが入力した内容に基づく疑似的な前記エラーの解消方法を前記ユーザに誘導する画像を順次生成する誘導画像生成部と、を備える、貨幣処理装置。
【請求項2】
前記貨幣を搬送する搬送部をさらに備え、
前記搬送部は、前記ユーザが入力した内容に基づいて、前記貨幣を前記エラーが発生したとされる位置に搬送する、請求項に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記搬送部は、前記貨幣に替えて、前記貨幣を模倣した模擬媒体を前記エラーが発生したとされる位置に搬送する、請求項に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記入力画像生成部は、前記エラーが発生したとされる位置に前記貨幣又は前記模擬媒体のいずれを前記搬送部が搬送するのかを前記ユーザに選択させる画像を生成する、請求項に記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙幣及び硬貨等の貨幣を扱う貨幣処理装置として様々な装置が普及している。
【0003】
例えば、飲食店、又は小売店などの店舗では、顧客から受け取った現金を投入することで、投入された現金から購入商品の代金を差し引いた釣銭を自動的に出金する釣銭機が普及している。
【0004】
このような釣銭機では、エラー等が発生した際に、迅速にエラーを解消することが求められる。そのため、例えば、下記の特許文献1には、エラー解除体験モードを搭載することによって、営業時間外等にユーザがエラー解除操作をあらかじめ体験することが可能な貨幣処理機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-41572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、貨幣処理装置にて発生するエラーは、エラーの内容によってはエラー解除の際に貨幣処理装置にダメージを与える可能性がある。このようなエラーとしては、例えば、貨幣の入金処理又は出金処理の際に貨幣が装置内で詰まってしまう搬送エラー(いわゆるジャム)、及びユニットが外れた状態になっているユニット外れエラー等がある。したがって、ユーザにエラー解除操作をあらかじめ体験させるためであっても、エラーを故意に発生させることは抵抗があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、エラーを疑似的に発生させることが可能な、新規かつ改良された貨幣処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、貨幣の入出金機能を有する貨幣処理装置であって、発生させる疑似的なエラーの内容の入力方法をユーザに選択させる指定画像と、前記ユーザの選択に基づいて前記指定画像から遷移する画像であって、前記貨幣の種別、及び前記エラーが発生した際の前記貨幣処理装置の動作内容を含む内容を前記ユーザに入力させる第1の画像、前記貨幣処理装置の構造を示し、前記貨幣処理装置にて前記エラーが発生したとされる位置を前記ユーザに入力させる第2の画像、及び前記エラーの各々と個別に対応付けられたエラーコードを前記ユーザに入力させる第3の画像とを生成する入力画像生成部と、前記貨幣を搬送する搬送部に設けられたセンサからの実際のエラー発生信号に替えて疑似的な前記エラーの発生信号に基づいて、前記ユーザが入力した内容に基づく疑似的な前記エラーの解消方法を前記ユーザに誘導する画像を順次生成する誘導画像生成部と、を備える、貨幣処理装置が提供される。
【0014】
前記貨幣を搬送する搬送部をさらに備え、前記搬送部は、前記ユーザが入力した内容に基づいて、前記貨幣を前記エラーが発生したとされる位置に搬送してもよい。
【0015】
前記搬送部は、前記貨幣に替えて、前記貨幣を模倣した模擬媒体を前記エラーが発生したとされる位置に搬送してもよい。
【0016】
前記入力画像生成部は、前記エラーが発生したとされる位置に前記貨幣又は前記模擬媒体のいずれを前記搬送部が搬送するのかを前記ユーザに選択させる画像を生成してもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、エラーを疑似的に発生させることが可能な貨幣処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る貨幣処理装置の外観を模式的に示す斜視図である。
図2】紙幣入出金部の構成を模式的に示す図である。
図3】硬貨入出金部の構成を模式的に示す図である。
図4】同実施形態に係る貨幣処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図5】貨幣処理装置の第1の動作例を示すフローチャート図である。
図6】第1の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図7】第1の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図8】第1の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図9】第1の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図10】第1の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図11】貨幣処理装置の第2の動作例を示すフローチャート図である。
図12】第2の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図13】第2の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図14】第2の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図15】第2の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図16】第2の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図17】第2の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図18】第2の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図19】第2の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図20】第2の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図21】貨幣処理装置の第3の動作例を示すフローチャート図である。
図22】第3の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図23】第3の動作例の各ステップにて表示入力部に表示される画像の一例を示す図である。
図24】第3の動作例の各ステップにて表示入力部表示される画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
<1.貨幣処理装置の構成>
まず、図1図3を参照して、本発明の一実施形態に係る貨幣処理装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る貨幣処理装置の外観を模式的に示す斜視図である。図2は、紙幣入出金部の構成を模式的に示す図である。図3は、硬貨入出金部の構成を模式的に示す図である。
【0021】
図1に示すように、貨幣処理装置1は、紙幣入出金部100と、硬貨入出金部200と、表示入力部330と、を備える。
【0022】
貨幣処理装置1は、紙幣及び硬貨などの貨幣の入出金処理を行う装置である。貨幣処理装置1は、例えば、スーパーマーケット、量販店、又はショッピングセンタなどの小売店の精算所に設置され、顧客が購入した商品の代金の入金処理、及び釣銭の出金処理を行う装置である。貨幣処理装置1は、通常、レジ係員等のユーザによって操作される。
【0023】
紙幣入出金部100は、紙幣の入出金処理を行うユニットである。紙幣入出金部100は、例えば、入出金口11から投入された紙幣を収納し、かつ収納された紙幣を釣銭として入出金口11から排出することができる。
【0024】
硬貨入出金部200は、硬貨の入出金処理を行うユニットである。硬貨入出金部200は、例えば、硬貨投入口21から入金された硬貨を収納し、かつ収納された硬貨を釣銭として硬貨排出口23から排出することができる。
【0025】
表示入力部330は、紙幣入出金部100及び硬貨入出金部200の稼働状況等の情報を示す画像をユーザに提示すると共に、ユーザからの指示の入力を受け付ける入出力装置である。表示入力部330は、例えば、液晶ディスプレイと、タッチパネルとを重ねて配置することで構成されてもよい。表示入力部330は、例えば、硬貨又は紙幣の入金、出金、両替、又は計数などに関する指示をユーザから受け付けることができる。
【0026】
なお、貨幣処理装置1は、図示しない制御端末(いわゆるPOS端末)と通信可能に接続される。制御端末は、図示しないホストサーバと通信可能に接続され、表示部にて様々な情報を表示することができる。例えば、制御端末の表示部は、貨幣処理装置1の表示入力部330にて表示される画像を表示してもよい。
【0027】
図2に示すように、紙幣入出金部100は、筐体102の内部に、搬送路105と、入出金口11と、入金認識部120と、出金認識部130と、収納庫140と、回収カセット150とを備える。
【0028】
搬送路105は、対向する搬送ベルトの間に紙幣を挟持して正逆可能に搬送する。搬送路105は、入出金口11、収納庫140、及び回収カセット150の間で紙幣を搬送することができる。搬送路105には、紙幣の通過を検知するセンサ161,162,163,164,165がそれぞれ設けられる。
【0029】
入出金口11は、入金された紙幣の投入口であると共に、出金される紙幣の出金口である。入出金口11は、搬送路105の一端に設けられる。
【0030】
入出金口11には、紙幣の通過を検知するセンサ112が設けられる。センサ112は、入出金口11に投入された紙幣が集積される集積部と入出金口11と接続された搬送路105との間に設けられる。これにより、センサ112は、入出金口11の集積部から搬送路105に繰り出された紙幣、及び搬送路105から入出金口11へ搬送された紙幣の通過をそれぞれ検知することができる。
【0031】
また、入出金口11には、開閉可能なシャッター104が設けられる。シャッター104は、ユーザが紙幣を投入する時、又は収納庫140から出金された紙幣をユーザに引き渡す時に開状態となり、その他の時には閉状態となる。
【0032】
入金認識部120は、紙幣の入金時に用いられるセンサ及び鑑別部である。入金認識部120は、入出金口11から投入された紙幣を収納庫140に収納する際に機能し、紙幣が通過したことをセンサ機能により検知するとともに、鑑別機能により紙幣を鑑別する。
【0033】
出金認識部130は、紙幣の出金時に用いられるセンサ及び鑑別部である。出金認識部130は、収納庫140に収納された紙幣を回収カセット150に回収したり、入出金口11へ紙幣を出金したりする際に機能し、紙幣が通過したことをセンサ機能により検知するとともに、鑑別機能により紙幣を鑑別する。
【0034】
収納庫140は、入金認識部120により正常と判定された紙幣を収納する。収納庫140は、搬送路105の他端に設けられる。収納庫140は、例えば、千円紙幣(「千券」ともいう)を収納する千券収納庫142と、五千円紙幣(「五千券」ともいう)を収納する五千券収納庫144と、一万円紙幣(「万券」ともいう)を収納する万券収納庫146とを含んでもよい。収納庫140の各々には、紙幣の通過を検知するセンサ141,143,145がそれぞれ設けられる。
【0035】
回収カセット150は、紙幣入出金部100から紙幣を回収する際に、収納庫140から搬送された紙幣を収納する。回収カセット150は、搬送路105の一端に入出金口11とは分岐して設けられる。回収カセット150には、出金認識部130の鑑別にて(又は入金認識部120による再鑑別にて)正常と判定された紙幣が収納される。また、回収カセット150の内部には、リジェクト庫152が設けられる。リジェクト庫152には、出金認識部130の鑑別(又は入金認識部120による再鑑別)の結果、異常と判定された紙幣(いわゆるリジェクト紙幣)が収納される。回収カセット150には、紙幣の通過を検知するセンサ151が設けられる。
【0036】
ここで、搬送路105は、入出金口11と収納庫140との間で紙幣を相互に搬送可能に設けられる。紙幣の入金時、入金認識部120の鑑別にて正常と判定された紙幣は、紙幣の金種に応じて紙幣の搬送方向を切り替える切替ブレード107、108によって金種に応じた収納庫140へ搬送される。一方、紙幣の出金時、出金認識部130の鑑別にて正常と判定された紙幣は、紙幣の搬送方向を切り替える切替ブレード106によって入出金口11へ搬送される。
【0037】
搬送路105は、回収カセット150と収納庫140との間でも紙幣を搬送可能に設けられる。紙幣入出金部100からの紙幣の回収時、収納庫140から繰り出された紙幣は、出金認識部130で鑑別された後、入金認識部120を通過して回収カセット150へ搬送される。このとき、切替ブレード106による搬送先の切り替えによって、正常と判定された紙幣は回収カセット150側に搬送され、異常と判定されたリジェクト候補紙幣は入出金口11側へ搬送される。その後、入出金口11側に一時的に収納されたリジェクト候補紙幣は、入金認識部120にて再鑑別された後、リジェクト庫152へ搬送される。
【0038】
図3に示すように、硬貨入出金部200は、硬貨投入口21と、入金搬送部212と、鑑別部217と、選別部219と、金種別収納部220と、硬貨排出口23と、出金繰出部210と、を備える。
【0039】
硬貨投入口21は、入金される硬貨が投入される部位である。硬貨投入口21に投入された硬貨は、1枚ずつに分離されて入金搬送部212に繰り出される。硬貨投入口21には、硬貨の投入を検知するセンサ265が設けられる。
【0040】
入金搬送部212は、硬貨投入口21に投入された硬貨を搬送路213に沿って硬貨投入口21から金種別収納部220の上に搬送する。搬送路213は、一端が硬貨投入口21に接続され、他端が金種別収納部220の内部に設けられた全金種分の収納庫232の上に跨るように、鉤状形状にて設けられる。すなわち、搬送路213は、硬貨の搬送の上流部分が硬貨投入口21から硬貨入出金部200の奥行き方向に略直線状に延在し、かつ下流部分が上流部分に対して略直角方向に曲がって硬貨入出金部200の幅方向に延在するように設けられる。入金搬送部212には、硬貨の通過を検知するセンサ263,264が設けられる。
【0041】
入金搬送部212は、例えば、無端状に設けられた2本の搬送ベルト215a,215bにて構成される。搬送ベルト215aは、硬貨投入口21に投入された硬貨を搬送路213の上流部分の途中まで搬送する搬送機構である。搬送ベルト215bは、硬貨を搬送路213の上流部分の途中から搬送路213の下流部分(すなわち、金種別収納部220の内部に設けられた各金種の収納庫232の上)まで搬送する搬送機構である。搬送ベルト215a,215bは、それぞれ搬送路213の上に配置される。
【0042】
鑑別部217は、硬貨の種類、及び硬貨の真偽を鑑別する。鑑別部217は、例えば、硬貨の搬送に影響しないように、硬貨を搬送する搬送路213から離間して配置される。
【0043】
選別部219は、鑑別部217で正常と判定され、金種別収納部220の上に搬送された硬貨を金種別に選別する。具体的には、選別部219は、硬貨を金種別に選別し、金種別収納部220の内部に設けられた収納庫232に金種ごとに落下させる。選別部219には、金種別収納部220の内部に設けられた収納庫232への硬貨の落下を金種ごとに検知する複数のセンサ262が設けられる。
【0044】
なお、選別部219は、鑑別部217で異常と判定された硬貨を選別して硬貨排出口23に搬送する搬送ベルト(図示せず)の上に落下させることも可能である。これにより、硬貨入出金部200は、異常と判定された硬貨(いわゆるリジェクト硬貨)を硬貨排出口23から外部に排出することができる。
【0045】
金種別収納部220は、硬貨を金種別に収納する。金種別収納部220は、硬貨を収納する機能、及び硬貨を出金する機能を備える収納出金部として機能する。金種別収納部220の内部は、複数枚の仕切り版231によって複数の収納庫232に仕切られる。
【0046】
収納庫232の各々には、固有の金種が割り当てられる。硬貨入出金部200では、各金種の硬貨がそれぞれ割り当てられた収納庫232の中に収納される。例えば、金種別収納部220は、1円、5円、10円、50円、100円、及び500円の6種の金種に合わせて、6個の収納庫232に仕切られてもよい。
【0047】
出金繰出部210は、収納庫232の各々に収納されている硬貨を釣銭用硬貨として硬貨排出口23に繰り出す。出金繰出部210は、例えば、硬貨排出口23の近傍で釣銭用の硬貨を堰き止めるガイド(図示せず)と、ガイドによって堰き止められた硬貨を1枚ずつ分離して硬貨排出口23に繰り出すローラ(図示せず)と、硬貨排出口23に繰り出された硬貨を検知するセンサ261と、を備える。
【0048】
硬貨排出口23は、釣銭用の硬貨、及びリジェクトされた硬貨が排出される部位である。硬貨排出口23は、例えば、出金トレイとして、硬貨入出金部100の前面側から前方向に突出するように設けられてもよい。硬貨排出口23には、硬貨の排出を検知するセンサ266が設けられる。
【0049】
<2.技術的特徴>
続いて、図4を参照して、本実施形態に係る貨幣処理装置1の技術的特徴について説明する。図4は、本実施形態に係る貨幣処理装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0050】
図4に示すように、貨幣処理装置1は、制御部300と、入力画像生成部310と、誘導画像生成部320と、表示入力部330と、搬送部340と、を備える。貨幣処理装置1にて発生し得るエラー(障害)は、種々あるが、本実施形態に係る貨幣処理装置1は、特に、貨幣が装置内で詰まってしまう搬送エラーを対象とする。貨幣処理装置1は、ユーザに入力された内容に基づく貨幣の搬送エラーを疑似的に発生させることで、ユーザに搬送エラーを解消する手順を体験させることができる。
【0051】
制御部300は、表示入力部330を介して入力されたユーザの指示に基づいて、貨幣処理装置1の動作全般を制御する。例えば、制御部300は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って貨幣処理装置1内の動作全般を制御する。制御部300は、CPU(Central Processing Unit)及びマイクロプロセッサ等の電子回路にて構成されてもよい。制御部300は、制御プログラム及び演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)などをさらに含んでもよい。
【0052】
制御部300は、表示入力部330を介して入力された内容の搬送エラーが疑似的に発生したことを示す信号を生成する。生成された信号は、例えば、誘導画像生成部320に出力される。これにより、制御部300は、疑似的に発生させた搬送エラーの解消方法を誘導する画像を誘導画像生成部320に生成させることができる。
【0053】
入力画像生成部310は、疑似的に発生させる貨幣の搬送エラーの内容をユーザに入力させる画像を生成する。例えば、入力画像生成部310は、下記の入力画像を生成することで、疑似的に発生させる搬送エラーの具体的な内容をユーザに入力させてもよい。
【0054】
例えば、入力画像生成部310は、疑似的な搬送エラーが発生した貨幣の種別(すなわち、紙幣か硬貨か)と、疑似的な搬送エラーが発生した際の貨幣処理装置1の動作内容(すなわち、入金時か出金時か)とをユーザに入力させる画像を生成してもよい。具体的には、入力画像生成部310は、紙幣入金、紙幣出金、硬貨入金、又は硬貨出金のいずれで疑似的な搬送エラーが発生したのかをユーザに入力させる画像を生成してもよい。
【0055】
また、入力画像生成部310は、貨幣処理装置1内で疑似的な搬送エラーが発生した位置をユーザに入力させる画像を生成してもよい。具体的には、入力画像生成部310は、搬送エラーを監視するセンサの識別番号をユーザに入力させる画像を生成してもよい。これによれば、ユーザは、搬送エラーを監視するセンサの位置を用いて、貨幣処理装置1内で疑似的な搬送エラーが発生した位置を入力することができる。また、入力画像生成部310は、貨幣処理装置1の構造を示す画像を生成してもよい。これによれば、ユーザは、貨幣処理装置1の構造を示す画像に対して、貨幣処理装置1内で疑似的な搬送エラーが発生した位置を直接入力することができる。
【0056】
さらに、入力画像生成部310は、疑似的に発生した搬送エラーに対応付けられたエラーコードをユーザに入力させる画像を生成してもよい。具体的には、入力画像生成部310は、搬送エラーを含む各種エラーを特定するために各種エラーと個別に対応付けられたエラーコードをユーザに入力させる画像を生成してもよい。これによれば、ユーザは、疑似的に発生した搬送エラーの内容をエラーコードによって特定することができる。
【0057】
誘導画像生成部320は、実際に発生した、又は疑似的に発生した搬送エラーの解消方法をユーザに誘導する画像を順次生成する。具体的には、誘導画像生成部320は、搬送部340(すなわち、紙幣入出金部100の搬送路105、及び硬貨入出金部200の搬送路213)の各部に設けられたセンサから出力された搬送エラーの発生を示す信号に基づいて、実際に発生した搬送エラーの解消方法をユーザに誘導する画像を順次生成してもよい。同様に、誘導画像生成部320は、制御部300にて生成された疑似的な搬送エラーの発生を示す信号に基づいて、疑似的な搬送エラーの解消方法をユーザに誘導する画像を順次生成してもよい。
【0058】
すなわち、誘導画像生成部320は、ユーザが入力した内容に基づく疑似的な搬送エラーの解消方法をユーザに誘導する画像を順次生成してもよい。これによれば、誘導画像生成部320は、実際に搬送エラーが発生せずとも、制御部300から搬送エラーが疑似的に発生したことを示す信号を受け取ることで、搬送エラーを解消させる方法をユーザに誘導する画像を生成することができる。
【0059】
例えば、誘導画像生成部320は、搬送エラーの解消方法をユーザに誘導する画像として、貨幣処理装置1の筐体の開放方法を示す画像、貨幣処理装置1の各構成の取り外し方法を示す画像、搬送エラーが発生した箇所へのアクセス方法を示す画像、又は搬送エラーの原因を取り除く方法を示す画像などを生成してもよい。
【0060】
表示入力部330は、入力画像生成部310及び誘導画像生成部320にて生成された画像を表示する。また、表示入力部330は、表示画像に含まれるボタン等の画像の押下を検出することで、表示入力部330へのユーザの入力を受け付ける。表示入力部330は、例えば、液晶ディスプレイと、タッチパネルとを重ねて配置することで構成されてもよい。
【0061】
搬送部340は、紙幣及び硬貨を含む貨幣の搬送を制御する。具体的には、搬送部340は、紙幣入出金部100の搬送路105、及び硬貨入出金部200の搬送路213を含み、搬送路105による紙幣の搬送、及び搬送路213による硬貨の搬送を制御する。
【0062】
搬送部340は、ユーザが入力した内容に基づく疑似的な搬送エラーが発生したとされる位置に貨幣等を搬送することで、実際の搬送エラーと同様の状況を作り出すことも可能である。このような場合、ユーザは、搬送エラーの原因となる貨幣等を搬送部340から取り除く体験をすることができる。具体的には、ユーザは、搬送部340から貨幣を取り除く際の貨幣の引き抜き方向、及び貨幣に加える力の加減などを体験することができる。
【0063】
また、搬送部340は、実際の貨幣に替えて、貨幣を模した模擬媒体を疑似的な搬送エラーが発生したとされる位置に搬送してもよい。具体的には、貨幣処理装置1は、表示入力部330を介してユーザに模擬媒体の投入を要求し、搬送部340は、ユーザが投入した模擬媒体を搬送部340にて疑似的な搬送エラーが発生したとされる位置に搬送してもよい。これによれば、貨幣処理装置1は、疑似的な搬送エラーの解消をユーザに体験させる際に、実際の貨幣を汚損してしまうことを防止することができる。
【0064】
ユーザが模擬媒体を投入する箇所は、発生させる疑似的な搬送エラーの内容に応じて変化する。例えば、疑似的な搬送エラーの発生が貨幣の入金時である場合、ユーザが模擬媒体を投入する箇所は、入出金口11又は硬貨投入口21である。一方、疑似的な搬送エラーの発生が貨幣の出金時、又は貨幣の回収時等である場合、ユーザが模擬媒体を投入する箇所は、収納庫140、回収カセット150、又は収納庫232である。
【0065】
なお、搬送部340が疑似的な搬送エラーが発生したとされる位置に搬送する媒体が実際の貨幣であるのか、又は模擬媒体であるのかは、ユーザによって選択されてもよい。例えば、入力画像生成部310は、疑似的な搬送エラーが発生したとされる位置に貨幣又は模擬媒体のいずれを搬送するのかをユーザに選択させる画像を生成してもよい。このような場合、ユーザは、自身が求める体験に応じて、疑似的な搬送エラーの発生に使用する媒体を実際の貨幣、又は模擬媒体から選択することができる。
【0066】
上記の構成を備える貨幣処理装置1によれば、ユーザは、実際に貨幣の搬送エラーを発生させずとも、任意に発生させた疑似的な搬送エラーによって、搬送エラーを解消する方法を体験することができる。したがって、貨幣処理装置1は、搬送エラーからの復旧操作を低リスクでユーザに習熟させることが可能である。
【0067】
<3.貨幣処理装置の動作>
(3.1.第1の動作例)
次に、図5図10を参照して、貨幣処理装置1の第1の動作例について説明する。図5は、貨幣処理装置1の第1の動作例を示すフローチャート図である。図6図10は、第1の動作例の各ステップにて表示入力部330に表示される画像の一例を示す図である。
【0068】
図5に示すように、第1の動作例では、まず、貨幣処理装置1は、図6に示すようなメニュー画像400を表示入力部330に表示させる(S101)。
【0069】
図6に示すメニュー画像400には、貨幣処理装置1で実行可能な各処理の実行を指示する「入金」ボタン401、「出金」ボタン402、「両替」ボタン403、「計数」ボタン404、及び「エラー復旧練習」ボタン405が含まれる。「入金」ボタン401は、計数した貨幣を収納庫に搬送する取引を指示するボタンである。「出金」ボタン402は、指定した金種及び枚数の貨幣を収納庫から外部に搬送する取引を指示するボタンである。「両替」ボタン403は、計数した貨幣を収納庫に搬送し、かつ計数した貨幣と同じ金額の貨幣を指定された金種及び枚数で収納庫から外部に搬送する取引を指示するボタンである。「計数」ボタン404は、計数した貨幣を収納庫に搬送し、その後、搬送した貨幣を収納庫から外部に搬送する取引を指示するボタンである。「エラー復旧練習」ボタン405は、疑似的に搬送エラーを発生させることを指示するボタンである。
【0070】
「エラー復旧練習」ボタン405が押下された場合、貨幣処理装置1は、図7に示すようなエラー種別選択画像410を表示入力部330に表示させる(S102)。エラー種別選択画像410は、例えば、発生させる疑似的な搬送エラーの種別を入力させる画像であり、入力画像生成部310にて生成される。
【0071】
図7に示すエラー種別選択画像410には、「紙幣入金」ボタン411、「硬貨入金」ボタン412、「紙幣出金」ボタン413、及び「硬貨出金」ボタン414が含まれる。「紙幣入金」ボタン411、「硬貨入金」ボタン412、「紙幣出金」ボタン413、及び「硬貨出金」ボタン414は、発生させる疑似的な搬送エラーの内容を貨幣及び動作の種別にて選択させるボタンである。
【0072】
「紙幣入金」ボタン411、「硬貨入金」ボタン412、「紙幣出金」ボタン413、又は「硬貨出金」ボタン414のいずれかが押下された場合、貨幣処理装置1は、押下されたボタンに対応する搬送エラーが疑似的に発生したことを示す信号を制御部300にて生成する(S103)。以下では、「紙幣入金」ボタン411が押下された場合を例示して説明する。
【0073】
その後、貨幣処理装置1は、図8に示すような誘導画像420を表示入力部330に表示させる(S104)。誘導画像420は、例えば、紙幣入出金部100のユニットの引き出しをユーザに誘導する画像であり、誘導画像生成部320にて生成される。図8に示す誘導画像420には、疑似的に発生させた搬送エラーに対応するユニットを引き出す旨の指示が含まれる。
【0074】
誘導画像にて指示された操作がユーザによって実行されたか否かは、指示した操作に対応する箇所に設けられたスイッチ又はセンサの状態を所定時間監視することで検知される。一方、誘導画像にてスイッチ又はセンサの状態で判断することが困難な操作を指示する場合、貨幣処理装置1は、指示された操作の実行完了を貨幣処理装置1に知らせるボタンを表示入力部330に表示し、ユーザに該ボタンの押下を誘導する。
【0075】
例えば、図8では、貨幣処理装置1は、紙幣入出金部100のユニットに設けられたスイッチ又はセンサの状態を監視することで、紙幣入出金部100のユニットを引き出す操作がユーザによって行われたか否かを検知することができる。ユーザによって紙幣入出金部100のユニットが引き出されたことを検知した場合、貨幣処理装置1は、ユーザに次の操作を誘導する。
【0076】
なお、指示した操作がユーザによって実行されたことが所定時間内に検知されない場合、
貨幣処理装置1は、操作の実行を指示する誘導画像を追加で表示する。誘導画像を追加で表示した後、貨幣処理装置1は、さらに所定時間監視を行う。所定時間内に操作の実行が検知されない場合、貨幣処理装置1は、エラー復旧の練習を中止する。
【0077】
ただし、スイッチ又はセンサの故障等によりユーザの操作が検知されない場合があり得る。そのため、貨幣処理装置1は、図8で示す誘導画像420などに「キャンセル」ボタンを配置し、「キャンセル」ボタンが押下された場合にエラー復旧の練習を中止してもよい。また、貨幣処理装置1は、図8で示す誘導画像420などに「スキップ」ボタンを配置し、「スキップ」ボタンが押下された場合に次の誘導画像に遷移するようにしてもよい。
【0078】
次に、貨幣処理装置1は、図9に示すような誘導画像430を表示入力部330に表示させる(S105)。誘導画像430は、例えば、紙幣入出金部100にて搬送エラーが発生したとされる箇所にユーザを誘導する画像であり、誘導画像生成部320にて生成される。図9に示す誘導画像430には、紙幣入出金部100の搬送路105を開放させる旨の指示が含まれる。
【0079】
図9では、貨幣処理装置1は、搬送路105に設けられたスイッチ又はセンサの状態を監視することで、搬送路105を開放する操作がユーザによって行われたか否かを検知することができる。ユーザによって搬送路105が開放されたことを検知した場合、貨幣処理装置1は、ユーザに次の操作を誘導する。
【0080】
続いて、貨幣処理装置1は、図10に示すような誘導画像440を表示入力部330に表示させる(S106)。誘導画像440は、例えば、搬送エラーの解消を誘導する画像であり、誘導画像生成部320にて生成される。図10に示す誘導画像440には、搬送路105に存在する搬送エラーの原因となる紙幣(いわゆる、ジャム紙幣)を除去したのち、「復旧」ボタン441を押下する旨の指示が含まれる。
【0081】
「復旧」ボタン441が押下された場合、貨幣処理装置1は、搬送路105に貨幣が残留しているか否かを確認する(S107)。搬送路105に貨幣が滞留している場合(S107/Yes)、貨幣処理装置1は、ステップS104に戻って、ステップS104~ステップS106の動作を繰り返し実行することで、残留している貨幣を除去するようにユーザに促す。一方、搬送路105に貨幣が滞留していない場合(S107/No)、貨幣処理装置1は、イニシャル処理を実行する(S108)。イニシャル処理は、貨幣処理装置1の各部の状態を電源投入時等の初期状態にリセットする処理である。
【0082】
このように貨幣処理装置1は、ステップS108のイニシャル処理の前にステップS107にて残留貨幣の有無を確認することで、搬送路105を含む搬送部340に残留している貨幣(又は異物等)がイニシャル処理によって収納庫に搬送されることを防止することができる。これによれば、貨幣処理装置1は、エラー復旧の練習によって、収納されている貨幣の数が変動すること、又は異物により障害が発生することを抑制することができる。
【0083】
第1の動作例では、貨幣を使用せずに疑似的にエラーを発生させるため、通常であれば搬送部340に貨幣が残留していることはない。しかしながら、実際に発生したエラーの対応時と同様にユーザの誘導、及び装置動作を行うために、貨幣処理装置1は、搬送部340での貨幣の残留確認の動作を実行する。
【0084】
なお、ユーザがエラー復旧の練習中に搬送部340等に誤って貨幣又は異物を落としてしまった場合、又は収納庫を開放する際に搬送部340等に誤って貨幣又は異物を落としてしまった場合、ステップS107では「残留あり」(S107/Yes)と判断される。このような場合、貨幣処理装置1は、「残留なし」(S107/No)と判断されるまで、ステップS104~ステップS106の動作を繰り返し実行する。
【0085】
以上の第1の動作例によれば、貨幣処理装置1は、疑似的に発生させた搬送エラーによって、搬送エラーからの復旧操作をユーザに体験させることが可能である。
【0086】
(3.2.第2の動作例)
続いて、図11図20を参照して、貨幣処理装置1の第2の動作例について説明する。図11は、貨幣処理装置1の第2の動作例を示すフローチャート図である。図12図20は、第2の動作例の各ステップにて表示入力部330に表示される画像の一例を示す図である。
【0087】
図11に示すように、第2の動作例では、まず、貨幣処理装置1は、図6に示すようなメニュー画像400を表示入力部330に表示させる(S201)。メニュー画像400については、第1の動作例で説明したとおりであるため、ここでの説明は省略する。
【0088】
メニュー画像400にて「エラー復旧練習ボタン」405が押下された場合、貨幣処理装置1は、図12に示すような選択方法指定画像450を表示入力部330に表示させる(S202)。選択方法指定画像450は、例えば、発生させる疑似的な搬送エラーの内容の入力方法をユーザに選択させる画像であり、入力画像生成部310にて生成される。
【0089】
図12に示す選択方法指定画像450には、「エラー詳細指定」ボタン451、「エラーコード入力」ボタン452、及び「装置画像から指定」ボタン453が含まれる。なお、「装置画像から指定」ボタン453が設けられる場合には、表示入力部330は、表示部への接触による入力が可能なタッチパネルで構成されているものとする。
【0090】
「エラー詳細指定」ボタン451は、発生させる疑似的な搬送エラーの内容を特定するために、貨幣の種別、搬送エラーの発生位置、及び搬送エラーの発生時の動作種別(すなわち、動作の内容)などの搬送エラーの詳細をユーザが入力することを選択するボタンである。「エラー詳細指定」ボタン451が押下された場合(S203/エラー詳細指定)、貨幣処理装置1は、図13図15に示すようなエラー詳細指定画像460,470,480を表示入力部330に順次表示させる(S204)。
【0091】
図13に示すエラー詳細指定画像460には、「紙幣」ボタン461及び「硬貨」ボタン462が含まれる。エラー詳細指定画像460は、疑似的な搬送エラーが発生した貨幣の種別をユーザに入力させる画像であり、入力画像生成部310にて生成される。具体的には、「紙幣」ボタン461が押下された場合、紙幣入出金部100が疑似的なエラーの発生対象となる。「硬貨」ボタン462が押下された場合、硬貨入出金部200が疑似的なエラーの発生対象となる。
【0092】
図14に示すエラー詳細指定画像470には、搬送部340の各部に設けられたセンサの識別番号を選択する選択ボタン471,472,473,474が含まれる。エラー詳細指定画像470は、疑似的な搬送エラーが発生したとする位置を特定するセンサの識別番号をユーザに入力させる画像であり、入力画像生成部310にて生成される。
【0093】
図15に示すエラー詳細指定画像480には、「入金」ボタン481及び「出金」ボタン482が含まれる。エラー詳細指定画像480は、疑似的な搬送エラーが発生した際の貨幣処理装置1の動作種別をユーザに入力させる画像であり、入力画像生成部310にて生成される。
【0094】
これによれば、制御部300は、エラー詳細指定画像460,470,480にて入力された情報に基づいて、発生させる疑似的な搬送エラーの内容を特定することができる。
【0095】
「エラーコード入力」ボタン452は、発生させる疑似的な搬送エラーの内容を特定するために、搬送エラーの各々と対応付けられたエラーコードをユーザが入力することを選択するボタンである。「エラーコード入力」ボタン452が押下された場合(S203/エラーコード)、貨幣処理装置1は、図16に示すようなエラーコード入力画像490を表示入力部330に表示させる(S205)。
【0096】
図16に示すエラーコード入力画像490には、搬送エラーの各々と対応付けられたエラーコードの入力欄491、エラーコードの入力に用いるテンキーボタン492、及び入力欄491に入力された内容を確定する「確定」ボタン493が含まれる。エラーコード入力画像490は、発生させる疑似的な搬送エラーの内容を特定するエラーコードをユーザに入力させる画像であり、入力画像生成部310にて生成される。
【0097】
また、入力画像生成部310は、エラーコードの一覧表に遷移する「一覧表」ボタンをエラーコード入力画像490に設けてもよい。エラーコードの一覧表は、エラーコードと、エラーコードに対応するエラーの内容とが記載された一覧表である。ユーザは、「一覧表」ボタンを押下することで、疑似的に発生させるエラーに対応する、入力すべきエラーコードを確認することが可能である。
【0098】
これによれば、制御部300は、エラーコード入力画像490にて入力された情報に基づいて、発生させる疑似的な搬送エラーの内容を特定することができる。
【0099】
「装置画像から指定」ボタン453は、発生させる疑似的な搬送エラーの内容を特定するために、装置の内部構造を示す画像にユーザが搬送エラーの発生位置を直接入力することを選択するボタンである。具体的には、タッチパネルに表示された装置の内部構造を示す画像に対して、ユーザに押下(タッチ)させることで、搬送エラーの発生位置をユーザに直接入力させることができる。
【0100】
「装置画像から指定」ボタン453が押下された場合(S203/装置画像)、貨幣処理装置1は、図17図18図20に示すようなエラー指定画像500,510,530、又は図17図19図20に示すようなエラー指定画像500,520,530を表示入力部330に順次表示させる(S206)。
【0101】
図17に示すエラー指定画像500には、貨幣処理装置1の全体像を示す画像501が含まれる。エラー指定画像500は、紙幣入出金部100又は硬貨入出金部200のいずれで疑似的な搬送エラーが発生したかをユーザに入力させる画像であり、入力画像生成部310にて生成される。ユーザは、貨幣処理装置1でエラー復旧の練習を所望する箇所をタッチすることで、疑似的な搬送エラーが発生した箇所を入力する。
【0102】
図18に示すエラー指定画像510には、紙幣入出金部100の内部構造を示す画像511が含まれる。エラー指定画像510は、紙幣入出金部100内のいずれの位置で疑似的な搬送エラーが発生したかをユーザに入力させる画像であり、入力画像生成部310にて生成される。図18に示すエラー指定画像510は、図17に示す画像501にてユーザがタッチした箇所が紙幣入出金部100である場合に表示される。
【0103】
図19に示すエラー指定画像520には、硬貨入出金部200の内部構造を示す画像521が含まれる。エラー指定画像520は、硬貨入出金部200内のいずれの位置で疑似的な搬送エラーが発生したかをユーザに入力させる画像であり、入力画像生成部310にて生成される。図19に示すエラー指定画像520は、図17に示す画像501にてユーザがタッチした箇所が硬貨入出金部200である場合に表示される。
【0104】
図20に示すエラー指定画像530には、「入金」ボタン531及び「出金」ボタン532が含まれる。エラー指定画像530は、疑似的な搬送エラーが発生した際の貨幣処理装置1の動作種別を入力させる画像であり、入力画像生成部310にて生成される。
【0105】
これによれば、制御部300は、エラー指定画像500,510,530、又はエラー指定画像500,520,530にて入力された情報に基づいて、発生させる疑似的な搬送エラーの内容を特定することができる。
【0106】
ステップS204、ステップS205、又はステップS206にて疑似的な搬送エラーの内容が特定された場合、貨幣処理装置1は、特定された内容の搬送エラーが疑似的に発生したことを示す信号を制御部300にて生成する(S207)。
【0107】
続いて、第1の動作例におけるステップS104~ステップS106と同様に、ステップS208~ステップS210にて搬送エラーの解消方法をユーザに誘導する画像が表示入力部330に表示される。具体的には、貨幣処理装置1は、図8図10に示すような誘導画像420,430,440を表示入力部330に順次表示させる。
【0108】
その後、図10に示す誘導画像440にて「復旧」ボタン441が押下された場合、貨幣処理装置1は、搬送部340に貨幣が残留しているか否かを確認する(S211)。搬送部340に貨幣が残留している場合(S211/Yes)、貨幣処理装置1は、ステップS208~ステップS210の動作を繰り返し実行し、残留している貨幣の除去をユーザに促す。搬送部340に貨幣が残留していない場合(S211/No)、貨幣処理装置1は、イニシャル処理を実行する(S212)。イニシャル処理は、貨幣処理装置1の各部の状態を電源投入時等の初期状態にリセットする処理である。このようにステップS212のイニシャル処理の前にステップS211にて残留している貨幣の有無を確認することで、貨幣処理装置1は、搬送部340等に残留している貨幣(又は異物等)がステップS212のイニシャル処理によって収納庫等に搬送されることを防止することができる。これによれば、貨幣処理装置1は、収納されている貨幣の数が変動すること、又は異物によって障害が発生することを抑制することができる。
【0109】
第2の動作例では、貨幣を使用せずに疑似的にエラーを発生させるため、通常であれば搬送部340に貨幣が残留していることはない。しかしながら、実際に発生したエラーの対応時と同様にユーザの誘導、及び装置動作を行うために、貨幣処理装置1は、搬送部340での貨幣の残留確認の動作を実行する。
【0110】
なお、ユーザがエラー復旧の練習中に搬送部340等に誤って貨幣又は異物を落としてしまった場合、又は収納庫を開放する際に搬送部340等に誤って貨幣又は異物を落としてしまった場合、ステップS211では「残留あり」(S211/Yes)と判断される。このような場合、貨幣処理装置1は、「残留なし」(S211/No)と判断されるまで、ステップS208~ステップS210の動作を繰り返し実行する。
【0111】
以上の第2の動作例によれば、貨幣処理装置1は、疑似的に発生させる搬送エラーの内容をより詳細にユーザに選択させることが可能である。したがって、貨幣処理装置1は、ユーザの要望に沿った搬送エラーからの復旧操作をユーザに体験させることが可能である。
【0112】
(3.3.第3の動作例)
次に、図21図24を参照して、本実施形態に係る貨幣処理装置1の第3の動作例について説明する。図21は、貨幣処理装置1の第3の動作例を示すフローチャート図である。図22図24は、第3の動作例の各ステップにて表示入力部330に表示される画像の一例を示す図である。
【0113】
図21に示すように、第3の動作例では、まず、貨幣処理装置1は、図6に示すようなメニュー画像400を表示入力部330に表示させる(S301)。メニュー画像400については、第1の動作例で説明したとおりであるため、ここでの説明は省略する。
【0114】
メニュー画像400にて「エラー復旧練習ボタン」405が押下された場合、貨幣処理装置1は、図22に示すような媒体使用選択画像540を表示入力部330に表示させる(S302)。媒体使用選択画像540は、例えば、疑似的な搬送エラーが発生したとされる位置に貨幣等の媒体を搬送するか否かをユーザに選択させる画像であり、入力画像生成部310にて生成される。
【0115】
図22に示す媒体使用選択画像540には、「媒体を使用する」ボタン541、及び「媒体を使用しない」ボタン542が含まれる。「媒体を使用しない」ボタン542が押下された場合、貨幣処理装置1は、第1の動作例で説明したステップS102~ステップS107の動作、又は第2の動作例で説明したステップS202~ステップS212の動作を実行する。
【0116】
一方、「媒体を使用する」ボタン541が押下された場合、貨幣処理装置1は、第1の動作例におけるステップS102、又は第2の動作例におけるステップS202~ステップS206と同様に、発生させる疑似的な搬送エラーの内容をユーザに入力させる画像を表示入力部330に表示させる(S303)。
【0117】
例えば、貨幣処理装置1は、図7に示すエラー種別選択画像410を表示入力部330に表示させることで、発生させる疑似的な搬送エラーの内容をユーザに入力させてもよい。また、貨幣処理装置1は、図12図20に示す選択方法指定画像450と、エラー詳細指定画像460,470,480、エラーコード入力画像490、又はエラー指定画像500,510,520,530とを表示入力部330に表示させることで、発生させる疑似的な搬送エラーの内容をユーザに入力させてもよい。
【0118】
その後、貨幣処理装置1は、発生させる疑似的な搬送エラーの内容に基づいて、疑似的な搬送エラーが発生したとされる位置に搬送する媒体が紙幣であるのか硬貨であるのかを判断する(S304)。
【0119】
搬送する媒体が紙幣である場合、貨幣処理装置1は、図23に示すような投入誘導画像550を表示入力部330に表示させる(S305)。投入誘導画像550は、例えば、紙幣入出金部100への紙幣の投入をユーザに誘導する画像であり、誘導画像生成部320にて生成される。図23に示す投入誘導画像550には、紙幣を投入する旨の指示が含まれる。
【0120】
搬送する媒体が硬貨である場合、貨幣処理装置1は、図24に示すような投入誘導画像560を表示入力部330に表示させる(S306)。投入誘導画像560は、例えば、硬貨入出金部200への硬貨の投入をユーザに誘導する画像であり、誘導画像生成部320にて生成される。図24に示す投入誘導画像560には、硬貨を投入する旨の指示が含まれる。
【0121】
続いて、媒体が投入されたことがセンサ等にて検出された場合、貨幣処理装置1は、搬送エラーが疑似的に発生したことを示す信号を制御部300にて生成する(S307)。さらに、貨幣処理装置1は、投入された媒体を疑似的な搬送エラーが発生したとされる位置に搬送する。
【0122】
続いて、第1の動作例におけるステップS104~ステップS106と同様に、ステップS308~ステップS310にて搬送エラーの解消方法をユーザに誘導する画像が表示入力部330に表示される。具体的には、貨幣処理装置1は、図8図10に示すような誘導画像420,430,440を表示入力部330に順次表示させる。
【0123】
その後、図10に示す誘導画像440にて「復旧」ボタン441が押下された場合、貨幣処理装置1は、搬送部340に貨幣が残留しているか否かを確認する(S311)。搬送部340に貨幣が残留している場合(S311/Yes)、貨幣処理装置1は、ステップS308~ステップS310の動作を繰り返し実行し、残留している貨幣の除去をユーザに促す。搬送部340に貨幣が残留していない場合(S311/No)、貨幣処理装置1は、イニシャル処理を実行する(S312)。イニシャル処理は、貨幣処理装置1の各部の状態を電源投入時等の初期状態にリセットする処理である。このようにステップS312のイニシャル処理の前にステップS311にて残留している貨幣の有無を確認することで、貨幣処理装置1は、搬送部340等に残留している貨幣(又は異物等)がステップS312のイニシャル処理によって収納庫等に搬送されることを防止することができる。これによれば、貨幣処理装置1は、収納されている貨幣の数が変動すること、又は異物によって障害が発生することを抑制することができる。
【0124】
第3の動作例では、ステップS302で媒体の使用を選択した場合、搬送部340等に媒体が残留する可能性がある。さらに、ユーザがエラー復旧の練習中に搬送部340等に誤って異物を落としてしまったり、又は収納庫を開放する際に搬送部340等に誤って貨幣又は異物を落としてしまったりすることがあり得る。したがって、第3の動作例では、貨幣処理装置1は、ステップS311にて媒体の残留を確認し、「残留あり」(S311/Yes)の場合には、ステップS308~ステップS311の動作を実行する。
【0125】
以上の第3の動作例によれば、貨幣処理装置1は、貨幣を用いて疑似的に搬送エラーを発生させることができる。したがって、貨幣処理装置1は、ユーザに搬送エラーからの復旧操作をより効果的に体験させることが可能である。
【0126】
なお、第3の動作例では、疑似的な搬送エラーが発生したとされる位置に搬送する媒体として、実際の貨幣に替えて、貨幣を模した模擬媒体を用いることも可能である。このような場合、貨幣処理装置1は、ステップS302の後段にて、疑似的な搬送エラーが発生したとされる位置に搬送する媒体として実際の貨幣を用いるのか、模擬媒体を用いるのかをユーザに選択させる画像を表示入力部330に表示させてもよい。疑似的な搬送エラーが発生したとされる位置に搬送する媒体として模擬媒体を用いることが選択された場合、ユーザは、ステップS305又はステップS306の段階で模擬媒体を貨幣処理装置1に投入してもよい。
【0127】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0128】
例えば、上記の第1~3の動作例では、搬送エラーを疑似的に発生させる例について説明したが、本発明は上記例示に限定されない。本発明によれば、貨幣処理装置1は、収納庫の貨幣が不足した場合に貨幣の補充を誘導する「貨幣不足エラー」、ユニットが外れた状態になっている場合にユニットの装着を誘導する「ユニット外れエラー」、又は制御端末(いわゆるPOS端末)と貨幣処理装置1との間で通信エラーが発生した場合に通信環境の確認を誘導する「通信エラー」等の貨幣処理装置1で発生しうる全てのエラーについて、ユーザにエラー復旧の動作を練習させることができる。
【0129】
具体的には、貨幣処理装置1は、疑似的に発生させるエラーの種類に応じて、エラーを解消するための操作を指示する誘導画像を表示する。その後、貨幣処理装置1は、誘導画像にて指示した操作がユーザによって実行されたか否かを、指示した内容に対応する箇所に設けられたスイッチ又はセンサの状態を所定時間監視することで検知する。これにより、貨幣処理装置1は、上述したようなエラーに対して、ユーザにエラー復旧の動作を練習させることができる。
【0130】
なお、エラー復旧の練習の際に表示される誘導画像は、実際に貨幣処理装置1の運用中に発生したエラー(障害)を復旧させる際に表示する誘導画像と同じであってもよい。また、誘導画像を表示する順番、及び貨幣処理装置1の動作(例えば、図5のステップS107の残留確認動作、及びステップS108のイニシャル動作)は、実際に貨幣処理装置1の運用中に発生したエラー(障害)を復旧させる際の順番及び動作と同じであってもよい。
【0131】
さらに、本発明に係る技術は、釣銭機以外の貨幣処理装置に適用することも可能である。例えば、本発明に係る技術は、現金自動預け払い機(Automatic Teller Machine:ATM)、又は入出金機などの貨幣を取り扱う貨幣処理装置全般に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0132】
1 貨幣処理装置
11 入出金口
100 紙幣入出金部
21 硬貨投入口
23 硬貨排出口
200 硬貨入出金部
102 筐体
104 シャッター
105 搬送路
106,107 切替ブレード
112,141,151,161 センサ
120 入金認識部
130 出金認識部
140 収納庫
142 千券収納庫
144 五千券収納庫
146 万券収納庫
150 回収カセット
152 リジェクト庫
210 出金繰出部
212 入金搬送部
213 搬送路
215a,215b 搬送ベルト
217 鑑別部
219 選別部
220 金種別収納部
231 仕切り版
232 収納庫
261,262,263,265,266 センサ
300 制御部
310 入力画像生成部
320 誘導画像生成部
330 表示入力部
340 搬送部
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