(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】座標変換方法、装置及びデータ処理装置
(51)【国際特許分類】
G01S 13/91 20060101AFI20241112BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G01S13/91
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2021010509
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】202010123838.5
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ワン・レェフェイ
(72)【発明者】
【氏名】底 欣
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ジャオユィ
(72)【発明者】
【氏名】ティアン・ジュン
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-162977(JP,A)
【文献】特開2015-026127(JP,A)
【文献】特開平10-187930(JP,A)
【文献】特開平11-086183(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101975951(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105893931(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42,
G01S 13/00-13/95,
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標変換装置であって、
レーダの偏向角を決定する決定部と、
前記偏向角に基づいて、前記レーダにより検出された物体のレーダ座標を回転座標に変換する第1変換部と、
前記レーダの高さに基づいて、前記物体の回転座標を水平座標に変換する第2変換部と、
前記レーダのワールド座標系に対する向きに基づいて、前記物体の水平座標をワールド座標に変換する第3変換部と、を含
み、
前記ワールド座標は、電子地図を生成するための前記ワールド座標系における前記物体の座標であり、
前記レーダ座標は、レーダ座標系における前記物体の座標値であり、
前記回転座標は、回転座標系における前記物体の座標値であり、前記回転座標系において、垂直軸が車線に平行であり、
前記水平座標は、水平座標系における前記物体の座標値であり、前記水平座標系は、前記回転座標系が前記ワールド座標系に投影された座標系であり、
前記決定部は、
前記レーダにより検出された物体のレーダ座標を含むレーダデータを取得する取得部と、
前記レーダデータから、物体の移動軌跡が直進車線の範囲内にあるレーダデータを選択するフィルタリング部と、
選択されたレーダデータに基づいて軌跡線を推定する推定部と、
前記軌跡線に基づいて前記レーダの偏向角を計算する計算部と、を含む、装置。
【請求項2】
前記推定部は、最小二乗法により前記軌跡線を推定し、或いは
前記推定部は、ランダムサンプルコンセンサス法により前記軌跡線を推定する、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記軌跡線の関数はv=a+buであり、ここで、(u,v)は
前記レーダ座標系における任意の点を表し、
前記レーダの偏向角は、α=arctan(-1/b)である、請求項
1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1変換部は、以下の式に従って、前記物体のレーダ座標を回転座標に変換し、
【数1】
ここで、(u,v)は
前記レーダ座標系における任意の点を表し、(u’,v’)は
前記回転座標系における任意の点を表す、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第2変換部は、以下の式に従って、前記物体の回転座標を水平座標に変換し、
【数2】
ここで、(u’,v’)は
前記回転座標系における任意の点を表し、hは前記レーダの高さであり、(u”,v”)は水平座標系における任意の点を表す、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記水平座標系の水平軸が前記ワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該水平軸の方向が前記ワールド座標系のx軸の方向と同一であり、前記水平座標系の垂直軸が前記ワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向が前記ワールド座標系のy軸の方向と同一である場合、前記第3変換部は、以下の式に従って、前記物体の水平座標をワールド座標に変換し、
【数3】
ここで、(x
1,y
1)は前記レーダの前記ワールド座標系における座標であり、(u”,v”)は
前記水平座標系における任意の点を表し、
前記水平座標系の水平軸が前記ワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該水平軸の方向が前記ワールド座標系のy軸の方向と同一であり、前記水平座標系の垂直軸が前記ワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向が前記ワールド座標系のx軸の方向と反対である場合、前記第3変換部は、以下の式に従って、前記物体の水平座標をワールド座標に変換し、
【数4】
ここで、(x
2,y
2)は前記レーダの前記ワールド座標系における座標であり、(j”,k”)は
前記水平座標系における任意の点を表し、
前記水平座標系の水平軸が前記ワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該水平軸の方向が前記ワールド座標系のx軸の方向と反対であり、前記水平座標系の垂直軸が前記ワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向が前記ワールド座標系のy軸の方向と反対である場合、前記第3変換部は、以下の式に従って、前記物体の水平座標をワールド座標に変換し、
【数5】
ここで、(x
3,y
3)は前記レーダの前記ワールド座標系における座標であり、(m”,n”)は
前記水平座標系における任意の点を表し、
前記水平座標系の水平軸が前記ワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該水平軸の方向が前記ワールド座標系のy軸の方向と反対であり、前記水平座標系の垂直軸が前記ワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向が前記ワールド座標系のx軸の方向と同一である場合、前記第3変換部は、以下の式に従って、前記物体の水平座標をワールド座標に変換し、
【数6】
ここで、(x
4,y
4)は前記レーダの前記ワールド座標系における座標であり、(t”,s”)は
前記水平座標系における任意の点を表す、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
座標変換方法であって、
レーダの偏向角を決定するステップと、
前記偏向角に基づいて、前記レーダにより検出された物体のレーダ座標を回転座標に変換するステップと、
前記レーダの高さに基づいて、前記物体の回転座標を水平座標に変換するステップと、
前記レーダのワールド座標系に対する向きに基づいて、前記物体の水平座標をワールド座標に変換するステップと、を含
み、
前記ワールド座標は、電子地図を生成するための前記ワールド座標系における前記物体の座標であり、
前記レーダ座標は、レーダ座標系における前記物体の座標値であり、
前記回転座標は、回転座標系における前記物体の座標値であり、前記回転座標系において、垂直軸が車線に平行であり、
前記水平座標は、水平座標系における前記物体の座標値であり、前記水平座標系は、前記回転座標系が前記ワールド座標系に投影された座標系であり、
前記レーダの偏向角を決定するステップは、
前記レーダにより検出された物体のレーダ座標を含むレーダデータを取得するステップと、
前記レーダデータから、物体の移動軌跡が直進車線の範囲内にあるレーダデータを選択するステップと、
選択されたレーダデータに基づいて軌跡線を推定するステップと、
前記軌跡線に基づいて前記レーダの偏向角を計算するステップと、を含む、方法。
【請求項8】
プロセッサと、メモリと、を含むデータ処理装置であって、
前記メモリには、コンピュータプログラムが記憶され、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行する際に、
レーダの偏向角を決定するステップと、
前記偏向角に基づいて、前記レーダにより検出された物体のレーダ座標を回転座標に変換するステップと、
前記レーダの高さに基づいて、前記物体の回転座標を水平座標に変換するステップと、
前記レーダのワールド座標系に対する向きに基づいて、前記物体の水平座標をワールド座標に変換するステップと、を含む、座標変換方法を実現するように構成され
、
前記ワールド座標は、電子地図を生成するための前記ワールド座標系における前記物体の座標であり、
前記レーダ座標は、レーダ座標系における前記物体の座標値であり、
前記回転座標は、回転座標系における前記物体の座標値であり、前記回転座標系において、垂直軸が車線に平行であり、
前記水平座標は、水平座標系における前記物体の座標値であり、前記水平座標系は、前記回転座標系が前記ワールド座標系に投影された座標系であり、
前記レーダの偏向角を決定するステップは、
前記レーダにより検出された物体のレーダ座標を含むレーダデータを取得するステップと、
前記レーダデータから、物体の移動軌跡が直進車線の範囲内にあるレーダデータを選択するステップと、
選択されたレーダデータに基づいて軌跡線を推定するステップと、
前記軌跡線に基づいて前記レーダの偏向角を計算するステップと、を含む、データ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標変換(coordinates transformation)の技術分野に関し、特に座標変換方法、装置及びデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
協調車両インフラストラクチャシステム(Cooperative Vehicle Infrastructure System:CVIS)は、高度道路交通システム(Intelligent Transportation System:ITS)のサブシステムであり、路側センシング検知(roadside sensing)及び無線通信技術を用いて車両及び道路情報を取得する。自分の検知システムのみに依存する自動運転車両に比べて、路側センシングを備えたCVISは、拡張されたカバレッジ(extended coverage)及びより多くの次元(more dimensions)を有する追加情報を提供する。現在、カメラとレーダとのセンシング融合はCVISの発展トレンドであり、融合結果は電子地図を生成するために用いられてもよい。
【0003】
電子地図の座標はワールド座標と称され、該座標は物体(object)の実世界における位置を反映する。レーダ座標系では、レーダの位置はレーダ座標系の原点(origin)である。レーダ座標からワールド座標への座標変換は、電子地図を生成する過程で解決されるべき問題(issue)である。
【0004】
道路交差点のワールド座標系及びレーダ座標系は
図1に示す。ワールド座標系のx軸及びy軸は、それぞれ東西方向の道路及び南北方向の道路に平行であり、ワールド座標系の原点は、2つの車線の中心線の交点である。
図1に示す4つのレーダは、それぞれ北向き、西向き、南向き、東向きに設置されている。レーダのレーダ座標系は、それぞれu軸とv軸、k軸とj軸、m軸とn軸、s軸とt軸により構成されている。
【0005】
図1は、理想的な状況を示し、レーダ2及びレーダ4の水平軸(k軸及びs軸)、並びにレーダ1及びレーダ3の垂直軸(v軸及びn軸)がワールド座標系のx軸に垂直であり、レーダ1及びレーダ3の水平軸(u軸及びm軸)、並びにレーダ2及びレーダ4の垂直軸(j軸及びt軸)がワールド座標系のy軸に垂直である。
図2は、理想的な状況でのレーダ座標系の一例を示す。この場合、レーダ1により検出された車両軌跡は、道路の車線及びレーダ座標系の垂直軸(v軸)に平行である。
【0006】
なお、上述した技術背景の説明は、本発明の技術案を明確、完全に理解させるための説明であり、当業者を理解させるために記述されているものである。これらの技術案は、単なる本発明の背景技術部分として説明されたものであり、当業者により周知されたものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の発明者の発見によると、路側のレーダは、通常、道路の交差点の高いクロスバーに設置されている。実際の状況では、設置上の原因により、レーダは偏向角(α)がある。偏向角(α)は、
図3に示すように、理想的な状況でのレーダ座標系の垂直軸v’(垂直軸は車線に平行である)と実際の状態でのレーダ座標系の垂直軸vとの角度である。座標変換の際にレーダの偏向角が考慮されないと、座標変換は不正確になってしまう。また、
図4に示すように、レーダは一定の高さ(h)があり、ワールド座標系は水平面の座標を反映しているため、座標変換の際にレーダの高さも考慮する必要がある。
【0008】
本発明の実施例は、レーダ座標をワールド座標に効果的に変換することができる座標変換方法、装置及びデータ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例の第1態様では、座標変換方法であって、レーダの偏向角を決定するステップと、前記偏向角に基づいて、前記レーダにより検出された物体のレーダ座標を回転座標に変換するステップと、前記レーダの高さに基づいて、前記物体の回転座標を水平座標に変換するステップと、前記レーダのワールド座標系に対する向きに基づいて、前記物体の水平座標をワールド座標に変換するステップと、を含む、方法を提供する。
【0010】
本発明の実施例の第2態様では、座標変換装置であって、レーダの偏向角を決定する決定部と、前記偏向角に基づいて、前記レーダにより検出された物体のレーダ座標を回転座標に変換する第1変換部と、前記レーダの高さに基づいて、前記物体の回転座標を水平座標に変換する第2変換部と、前記レーダのワールド座標系に対する向きに基づいて、前記物体の水平座標をワールド座標に変換する第3変換部と、を含む、装置を提供する。
【0011】
本発明の実施例の第3態様では、プロセッサと、メモリと、を含むデータ処理装置であって、前記メモリには、コンピュータプログラムが記憶され、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行する際に、レーダの偏向角を決定するステップと、前記偏向角に基づいて、前記レーダにより検出された物体のレーダ座標を回転座標に変換するステップと、前記レーダの高さに基づいて、前記物体の回転座標を水平座標に変換するステップと、前記レーダのワールド座標系に対する向きに基づいて、前記物体の水平座標をワールド座標に変換するステップと、を含む、座標変換方法を実現するように構成されている、データ処理装置を提供する。
【0012】
本発明の実施例の有利な効果は以下の通りである。本発明の実施例の方法によれば、座標変換を行う際にレーダの偏向角(α)及び高さ(h)を考慮することで、レーダ座標をワールド座標に効果的に変換することができる。
【0013】
本発明の特定の実施形態は、後述の説明及び図面に示すように、詳細に開示され、本発明の原理を採用されることが可能な方式を示している。なお、本発明の実施形態は、範囲上には限定されるものではない。本発明の実施形態は、添付されている特許請求の範囲の主旨及び内容の範囲内、各種の変更、修正、及び均等的なものが含まれる。
【0014】
ある一つの実施形態に説明及び又は示されている特徴は、同一又は類似の方式で一つ又は多くの他の実施形態に使用されてもよく、他の実施形態における特徴と組み合わせてもよく、他の実施形態における特徴を代替してもよい。
【0015】
なお、用語「含む/有する」は、本文に使用される際に、特徴、要素、ステップ又は構成要件の存在を意味し、一つ又は複数の他の特徴、要素、ステップ又は構成要件の存在又は追加を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例の図面又は実施形態に説明されている要素及び特徴は、1つ又は複数の他の図面又は実施形態に示す要素及び特徴と組み合わせてもよい。図面において、類似する符号は複数の図面における対応する構成部を表し、複数の態様に用いられる対応構成部を表してもよい。
【0017】
ここで含まれる図面は、本発明の実施例を理解させるためのものであり、本明細書の一部を構成し、本発明の実施例を例示するためのものであり、文言の記載と合わせて本発明の原理を説明する。なお、ここに説明される図面は、単なる本発明の実施例を説明するためのものであり、当業者にとって、これらの図面に基づいて他の図面を容易に得ることができる。
【
図1】ワールド座標系と理想的な状況での4つのレーダ座標系の概略図である。
【
図2】理想的な状況でのレーダ座標系の概略図である。
【
図3】実際の状況での偏向角を有するレーダ座標系の概略図である。
【
図4】実際の状況での高さを有するレーダ座標系の概略図である。
【
図5】本発明の実施例に係る座標変換方法の1つの概略図である。
【
図6】本発明の実施例に係るレーダの偏向角の決定の一例の概略図である。
【
図7】選択されたレーダデータの一例の概略図である。
【
図9】本発明の実施例に係る座標変換装置の1つの概略図である。
【
図10】本発明の実施例に係る座標変換装置の決定部の1つの概略図である。
【
図11】本発明の実施例に係るデータ処理装置の1つの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の上記及びその他の特徴は、図面及び下記の説明により明確になる。明細書及び図面では、本発明の特定の実施形態、即ち本発明の原則に従う一部の実施形態を表すものを公開している。なお、本発明は説明される実施形態に限定されず、本発明は、特許請求の範囲内の全ての修正、変形されたもの、及び均等なものを含む。
【0019】
本発明の実施例では、用語「第1」、「第2」は異なる要素を名称で区分するためのものであり、これらの要素の空間的配列又は時間的順序などを意味するものではなく、これらの要素はこれらの用語に限定されない。用語「及び/又は」は列挙された用語の1つ又は複数のうち何れか及びその組み合わせを含む。用語「包括」、「含む」、「有する」は説明された特徴、要素、素子又は部材の存在を意味するが、他の1つ又は複数の特徴、要素、素子又は部材の存在又は追加を排除するものではない。
【0020】
本発明の実施例では、単数形の「一」、「該」等は複数形を含み、「一種」又は「一類」を意味し、「1つ」に限定するものではない。また、用語「前記」は、文脈上明確に指示されない限り、単数形及び複数形両方を含む。また、文脈上明確に指示されない限り、用語「応じて」は「少なくとも部分的に応じて」を意味し、用語「に基づいて」は「少なくとも部分的に基づいて」を意味する。
【0021】
本発明の実施例では、
図3に示すように、理想的なレーダ座標系(u’軸及びv’軸)は回転座標系(rotated coordinate system)と称される。また、本発明の実施例では、
図4に示すように、ワールド座標系に投影された座標系(u”軸及びv”軸)は水平座標系(horizontal coordinate system)と称される。
【0022】
図1の例では、ワールド座標系のx軸及びy軸は東西方向及び南北方向にそれぞれ対応し、レーダの設置方向はワールド座標系を基準にするものである。本発明はこれに限定されず、ワールド座標系のx軸及びy軸は、東西方向及び南北方向に対して角度のオフセットを有してもよい。この場合、レーダの設置方向も対応する角度だけオフセットされる。例えば、ワールド座標系のx軸が東西方向に対して45度だけオフセットされている場合、理想的な状況下でのレーダ座標系(回転座標系)も45度だけオフセットされ、レーダの偏向角は該45度に対してオフセットされた角度である。説明の便宜上、本発明では、ワールド座標系のx軸及びy軸が東西方向及び南北方向にそれぞれ対応することを一例にする。
【0023】
以下は、図面を参照しながら本発明の実施例の各態様を説明する。これらの態様は単なる例示的なものであり、本発明の実施例を限定するものではない。
【0024】
<実施例1>
本発明の実施例は座標変換方法を提供する。
図5は本発明の実施例に係る座標変換方法の1つの概略図である。
図5に示すように、該方法は以下のステップを含む。
【0025】
ステップ501:レーダの偏向角を決定する。
【0026】
ステップ502:該偏向角に基づいて、該レーダにより検出された物体のレーダ座標を回転座標に変換する。
【0027】
ステップ503:該レーダの高さに基づいて、該物体の回転座標を水平座標に変換する。
【0028】
ステップ504:該レーダのワールド座標系に対する向きに基づいて、該物体の水平座標をワールド座標に変換する。
【0029】
本発明の実施例では、レーダ座標は、レーダ座標系においてレーダにより検出された物体の座標値を意味し、回転座標は、回転座標系においてレーダにより検出された物体の座標値を意味する。レーダ座標系は、レーダの実際の設置状況での座標系を意味し、例えば
図3に示す水平軸u及び垂直軸vを意味する。回転座標系は、レーダの理想的な設置状況での座標系を意味し、例えば
図3に示す水平軸u’及び垂直軸v’を意味し、垂直軸v’は車線に平行である。
図3に示すように、レーダ座標系の垂直軸vと回転座標系の垂直軸v’とは偏向角αがある。言い換えれば、レーダの実際の設置位置は、理想的な設置位置に対して角度αだけオフセットされている。
【0030】
本発明の実施例によれば、まず、物体のレーダ座標を回転座標に角度αだけ回転させ、次に、物体の回転座標を水平座標に投影し、最後に、物体の水平座標をワールド座標に変換し、該レーダにより検出された物体のワールド座標を取得し、該物体のワールド座標に基づいて電子地図を生成することができる。これによって、座標変換を行う際にレーダの偏向角及び高さを考慮することで、レーダ座標をワールド座標に効果的に変換することができる。
【0031】
ステップ501において、幾つかの態様では、レーダデータに基づいてレーダの偏向角を決定してもよく、レーダデータはレーダにより検出された物体のレーダ座標を含み、レーダデータは、レーダにより検出された物体の速度などの他の情報をさらに含む。幾つかの態様では、該レーダにより検出された物体のレーダ座標を用いて、レーダの偏向角を決定してもよい。
【0032】
図6は本発明の実施例に係るレーダの偏向角の決定の一例の概略図である。
図6に示すように、該方法は以下のステップを含む。
【0033】
ステップ601:該レーダにより検出された物体のレーダ座標を含むレーダデータを取得する。
【0034】
ステップ602:該レーダデータから、物体の移動軌跡が直進車線の範囲内にあるレーダデータを選択する。
【0035】
ステップ603:選択されたレーダデータに基づいて軌跡線を推定する。
【0036】
ステップ604:該軌跡線に基づいて該レーダの偏向角を計算する。
【0037】
本発明の実施例では、物体の移動軌跡は、レーダデータに基づいて算出されてもよい。本発明は、レーダデータに基づいて物体の移動軌跡を計算する方法に限定されない。物体の移動軌跡及び直進車線の範囲に基づいて、該物体の移動軌跡が直進車線の範囲内にあるか否かを決定してもよい。
【0038】
例えば、レーダデータにより、車線に沿った車両の軌跡(即ち、物体の移動軌跡が直進車線の範囲内にある)及び交差点で転向した車両の軌跡(即ち、物体の軌跡が直進車線の範囲内にない)を取得してもよい。レーダの偏向角を推定するために、本発明では、交差点で転向した車両の軌跡をフィルタリングにより除去する。即ち、車線に沿って走行した車両の軌跡を保留し、該軌跡は物体のレーダ座標により表される。幾つかの態様では、ワールド座標系のx軸及びy軸が道路の中心線である場合、水平軸の値(水平座標)が車線幅の半分よりも大きく、且つ垂直軸の値(垂直座標)が車線幅よりも小さいレーダデータ(レーダ座標)をフィルタリングにより除去してもよい。これによって、物体の移動軌跡が直進車線の範囲内にあるレーダデータを取得する。
【0039】
図6の方法によれば、背景物体がフィルタリングにより除去された多数のレーダデータ(即ち、移動物体のレーダデータ)のレコードのみを用いて偏向角を推定することで、手動で測定する必要がなく、レーダの偏向角を取得することができる。
【0040】
図7は選択されたレーダデータRDの一例の概略図である。本発明の実施例では、該レーダデータRDに基づいて軌跡線TLを推定してもよく、該軌跡線TLはレーダの偏向角を計算するために用いられてもよい。本発明は、レーダデータRDに基づいて軌跡線TLを推定する方法に限定されない。
【0041】
例えば、幾つかの態様では、レーダデータRDについて、まずu、vの相関関係の分析を行い、u及びvは、それぞれ該レーダデータにおける物体の横座標及び縦座標の値である。uとvとの間に相関関係がある場合、軌跡線関数をv=a+buに設定し、最小二乗法を用いて軌跡線TLを推定し、或いは、RANSAC(RANdom SAmple Consensus:ランダムサンプルコンセンサス)法を用いて軌跡線TLを推定し、或いは、他の方法を用いて軌跡線TLを推定し、推定された該軌跡線TLに基づいてレーダの偏向角を計算する。最小二乗法及びRANSAC法の原理について、関連技術を参照してもよく、ここでその説明を省略する。さらに、uとvの間に相関関係がない場合、軌跡線TLがv軸に平行であり、或いはu軸に平行であること、即ち偏向角がなく、或いは偏向角が90度であることを意味する。
【0042】
本発明の実施例では、Spearman(スピアマン法)、Pearson(ピアソン)法又は他の方法を用いて相関関係の分析を行ってもよい。Spearman(スピアマン法)又はPearson(ピアソン)法の原理は、関連技術を参照してもよく、ここでその説明を省略する。
【0043】
図8は推定された軌跡線TLの一例の概略図である。
図8に示すように、理想的な状況では、レーダ座標系の垂直軸v’が軌跡線TLに平行であり、言い換えれば、軌跡線TLが理想的な状況での回転座標系の垂直軸v’に平行である。レーダ座標系での軌跡線の関数がv=a+buで表され、u及びvがそれぞれ物体のレーダ座標系における水平座標及び垂直座標であると仮定すると、レーダの偏向角は、α=arctan(-1/b)で表されてもよい。
【0044】
ステップ502において、回転座標系がレーダ座標系の回転角度αから取得されるため、レーダの偏向角αに基づいて、物体のレーダ座標を回転座標に変換してもよく、例えば、
図3に示すように、レーダ座標(u,v)を回転座標(u’,v’)に変換する。幾つかの態様では、レーダ座標(u,v)を回転座標(u’,v’)に変換する変換式は、以下の式で表されてもよい。
【数1】
【0045】
ここで、(u,v)はレーダ座標系における任意の点を表し、u及びvはそれぞれ物体のレーダ座標系における横座標の値及び縦座標の値であり、(u’,v’)は回転座標系における(u,v)の座標のペアを表し、u’及びv’はそれぞれ物体の回転座標系における横座標の値及び縦座標の値である。以上は単なる一例を説明し、本発明の実施原理に従って想到可能なレーダ座標(u,v)から回転座標(u’,v’)への他の変換方法も本発明の保護範囲に含まれる。
【0046】
ステップ503において、物体の回転座標、即ち理想的な状況でのレーダ座標が取得されると、該回転座標を水平座標に投影してもよく、例えば、
図4に示すように、回転座標(u’,v’)を水平座標(u”,v”)に変換する。幾つかの態様では、回転座標(u’,v’)を水平座標(u”,v”)に変換する変換式は、以下の式で表されてもよい。
【数2】
【0047】
ここで、(u’,v’)は回転座標系における任意の点を表し、u’及びv’はそれぞれ物体の回転座標系における横座標の値及び縦座標の値である。hはレーダの高さであり、手動で測定されてもよいし、レーダの設置データから取得されてもよいが、本発明はその取得方法に限定されない。(u”,v”)は水平座標系における(u’,v’)の座標のペアを表し、u”及びv”はそれぞれ物体の水平座標系における横座標の値及び縦座標の値である。以上は単なる一例を説明し、本発明の実施原理に従って想到可能な回転座標(u’,v’)から水平座標(u”,v”)への他の変換方法も本発明の保護範囲に含まれる。例えば、以下の式に従って、物体の回転座標を水平座標に投影してもよい。
【数3】
【0048】
ステップ504において、物体の水平座標が取得されると、平行移動により、該水平座標をワールド座標に平行移動させてもよい。レーダのワールド座標系に対する向きが異なるため、平行移動の方法も異なる。
【0049】
例えば、水平座標系の水平軸がワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該水平軸の方向がワールド座標系のx軸の方向と同一であり、水平座標系の垂直軸がワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向がワールド座標系のy軸の方向と同一である場合、
図1に示すレーダ1のように、レーダのワールド座標(x,y)は以下のように表されてもよい。
【数4】
【0050】
ここで、(x1,y1)はレーダのワールド座標系における座標であり、(u”,v”)は水平座標系における任意の点を表し、u”及びv”はそれぞれ物体の水平座標系における横座標の値及び縦座標の値である。
【0051】
また、例えば、水平座標系の水平軸がワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該水平軸の方向がワールド座標系のy軸の方向と同一であり、水平座標系の垂直軸がワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向がワールド座標系のx軸の方向と反対である場合、
図1に示すレーダ2のように、レーダのワールド座標(x,y)は以下のように表されてもよい。
【数5】
【0052】
ここで、(x2,y2)はレーダのワールド座標系における座標であり、(j”,k”)は水平座標系における任意の点を表し、j”及びk”はそれぞれ物体の水平座標系における横座標の値及び縦座標の値である。
【0053】
また、例えば、水平座標系の水平軸がワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該水平軸の方向がワールド座標系のx軸の方向と反対であり、水平座標系の垂直軸がワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向がワールド座標系のy軸の方向と反対である場合、
図1に示すレーダ3のように、レーダのワールド座標(x,y)は以下のように表されてもよい。
【数6】
【0054】
ここで、(x3,y3)はレーダのワールド座標系における座標であり、(m”,n”)は水平座標系における任意の点を表し、m”及びn”はそれぞれ物体の水平座標系における横座標の値及び縦座標の値である。
【0055】
また、例えば、水平座標系の水平軸がワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該水平軸の方向がワールド座標系のy軸の方向と反対であり、水平座標系の垂直軸がワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向がワールド座標系のx軸の方向と同一である場合、
図1に示すレーダ4のように、レーダのワールド座標(x,y)は以下のように表されてもよい。
【数7】
【0056】
ここで、(x4,y4)はレーダのワールド座標系における座標であり、(t”,s”)は水平座標系における任意の点を表す、t”及びs”はそれぞれ物体の水平座標系における横座標の値及び縦座標の値である。
【0057】
以上の例では、レーダ座標系における原点のワールド座標系における座標、例えば(x1,y1)、(x2,y2)、(x3,y3)、(x4,y4)は、手動で測定されてもよいし、レーダの設置データから取得されてもよいが、本発明はその取得方法に限定されない。
【0058】
なお、以上は本発明に関連する各ステップ又はプロセスのみを説明し、本発明はこれに限定されない。該方法は、他のステップ又はプロセスをさらに含んでもよく、これらのステップ又はプロセスの具体的な内容について、従来技術を参照してもよい。
【0059】
路側レーダは、通常、交差点の高いクロスバーに設置されている。電子地図を生成するために、レーダ座標をワールド座標に変換する必要がある。通常、実際の設置によりレーダの偏向角がある。本発明の実施例に係る路側レーダの実際の設置に基づく座標変換方法によれば、レーダの偏向角及びレーダの高さに基づいて座標変換を行うことで、レーダ座標をワールド座標に効果的に変換することができる。
【0060】
<実施例2>
本実施例は座標変換装置を提供する。該装置の問題解決の原理は実施例1の方法と同様であるため、その具体的な実施は実施例1の方法の実施を参照してもよく、同様な内容について説明を省略する。
【0061】
図9は本発明の実施例に係る座標変換装置の1つの概略図である。
図9に示すように、本発明の実施例に係る座標変換装置900は、決定部901、第1変換部902、第2変換部903及び第3変換部904を含む。
【0062】
決定部901は、レーダの偏向角を決定する。第1変換部902は、決定部901により決定された偏向角に基づいて、レーダにより検出された物体のレーダ座標を回転座標に変換する。第2変換部903は、レーダの高さに基づいて、物体の回転座標を水平座標に変換する。第3変換部904は、レーダのワールド座標系に対する向きに基づいて、物体の水平座標をワールド座標に変換する。
【0063】
図10は決定部901の1つの概略図である。
図10に示すように、幾つかの態様では、決定部901は、取得部1001、フィルタリング部1002、推定部1003及び計算部1004を含む。取得部1001は、レーダにより検出された物体のレーダ座標を含むレーダデータを取得する。フィルタリング部1002は、レーダデータから、物体の移動軌跡が直進車線の範囲内にあるレーダデータを選択する。推定部1003は、選択されたレーダデータに基づいて軌跡線を推定する。計算部1004は、軌跡線に基づいてレーダの偏向角を計算する。
【0064】
幾つかの態様では、推定部1003は、最小二乗法により軌跡線を推定する。
【0065】
幾つかの態様では、推定部1003は、RANSAC法により軌跡線を推定する。
【0066】
幾つかの態様では、軌跡線の関数はv=a+buで表され、(u,v)はレーダ座標系における任意の点を表し、u及びvはそれぞれ物体のレーダ座標系における横座標の値及び縦座標の値であり、レーダの偏向角は、α=arctan(-1/b)である。
【0067】
幾つかの態様では、第1変換部902は、以下の式に従って、物体のレーダ座標を回転座標に変換する。
【数8】
【0068】
ここで、(u,v)はレーダ座標系における任意の点を表し、u及びvはそれぞれ物体のレーダ座標系における横座標の値及び縦座標の値であり、(u’,v’)は回転座標系における任意の点を表し、u’及びv’はそれぞれ物体の回転座標系における横座標の値及び縦座標の値である。
【0069】
幾つかの態様では、第2変換部903は、以下の式に従って、物体の回転座標を水平座標に変換する。
【数9】
【0070】
ここで、(u’,v’)は回転座標系における任意の点を表し、u’及びv’はそれぞれ物体の回転座標系における横座標の値及び縦座標の値であり、hはレーダの高さであり、(u”,v”)は水平座標系における任意の点を表し、u”及びv”はそれぞれ物体の水平座標系における横座標の値及び縦座標の値である。
【0071】
幾つかの態様では、水平座標系の水平軸がワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該水平軸の方向がワールド座標系のx軸の方向と同一であり、水平座標系の垂直軸がワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向がワールド座標系のy軸の方向と同一である場合、第3変換部904は、以下の式に従って、物体の水平座標をワールド座標に変換する。
【数10】
【0072】
ここで、(x1,y1)はレーダのワールド座標系における座標であり、(u”,v”)は水平座標系における任意の点を表し、u”及びv”はそれぞれ物体の水平座標系における横座標の値及び縦座標の値である。
【0073】
幾つかの態様では、水平座標系の水平軸がワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該水平軸の方向がワールド座標系のy軸の方向と同一であり、水平座標系の垂直軸がワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向がワールド座標系のx軸の方向と反対である場合、第3変換部904は、以下の式に従って、物体の水平座標をワールド座標に変換する。
【数11】
【0074】
ここで、(x2,y2)はレーダのワールド座標系における座標であり、(j”,k”)は水平座標系における任意の点を表し、j”及びk”はそれぞれ物体の水平座標系における横座標の値及び縦座標の値である。
【0075】
幾つかの態様では、水平座標系の水平軸がワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該水平軸の方向がワールド座標系のx軸の方向と反対であり、水平座標系の垂直軸がワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向がワールド座標系のy軸の方向と反対である場合、第3変換部904は、以下の式に従って、物体の水平座標をワールド座標に変換する。
【数12】
【0076】
ここで、(x3,y3)はレーダのワールド座標系における座標であり、(m”,n”)は水平座標系における任意の点を表し、m”及びn”はそれぞれ物体の水平座標系における横座標の値及び縦座標の値である。
【0077】
幾つかの態様では、水平座標系の水平軸がワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該水平軸の方向がワールド座標系のy軸の方向と反対であり、水平座標系の垂直軸がワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向がワールド座標系のx軸の方向と同一である場合、第3変換部904は、以下の式に従って、前記物体の水平座標をワールド座標に変換する。
【数13】
【0078】
ここで、(x4,y4)はレーダのワールド座標系における座標であり、(t”,s”)は水平座標系における任意の点を表す、t”及びs”はそれぞれ物体の水平座標系における横座標の値及び縦座標の値である。
【0079】
本発明の実施例によれば、レーダの偏向角及びレーダの高さに基づいて座標変換を行うことで、レーダ座標をワールド座標に効果的に変換することができる。
【0080】
<実施例3>
本発明の実施例3はデータ処理装置を提供する。該データ処理装置は、例えばコンピュータ、サーバ、ワークステーション、ラップトップコンピュータ、スマートフォンなどであってもよいが、本発明の実施例はこれらに限定されない。
【0081】
図11は本発明の実施例に係るデータ処理装置の1つの概略図である。
図11に示すように、本発明の実施例に係るデータ処理装置1100は、少なくとも1つのインターフェース(
図11に図示せず)、プロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU))1101、及びメモリ1102を含む。メモリ1102は、プロセッサ1101に接続される。メモリ1102は、様々なデータを記憶してもよく、座標変換を行うためのプログラム1103をさらに記憶してもよい。プロセッサ1101の制御により該プログラム1103を実行する。また、メモリ1102は、様々な所定値及び所定条件などを記憶してもよい。
【0082】
1つの態様では、実施例2の座標変換装置900の機能はプロセッサ1101に統合されてもよい。ここで、プロセッサ1101は、実施例1に記載された座標変換方法を実現するように構成されてもよい。
【0083】
例えば、該プロセッサ1101は、レーダの偏向角を決定し、該偏向角に基づいて、該レーダにより検出された物体のレーダ座標を回転座標に変換し、該レーダの高さに基づいて、該物体の回転座標を水平座標に変換し、該レーダのワールド座標系に対する向きに基づいて、該物体の水平座標をワールド座標に変換するように構成されてもよい。
【0084】
もう1つの態様では、実施例2の座標変換装置900はプロセッサ1101とそれぞれ配置されてもよく、例えば、座標変換装置900はプロセッサ1101に接続されたチップであり、プロセッサ1101の制御により座標変換装置900の機能を実現するように構成されてもよい。
【0085】
なお、データ処理装置1100は、ディスプレイ1105及び入力出力(I/O)装置1104などをさらに含んでもよく、或いは
図11に示す全ての構成部を含まなくてもよい。例えば、データ処理装置1100は、入力画像フレームを取得するカメラ(図示せず)をさらに含んでもよい。また、データ処理装置1100は、
図11に示していない構成部を含んでもよく、従来技術を参考してもよい。
【0086】
本発明の実施例では、プロセッサ1101は、コントローラ又は動作制御部とも称され、マイクロプロセッサ又は他のプロセッサデバイス及び/又は論理デバイスを含んでもよい。プロセッサ1101は、入力を受け付け、データ処理装置1100の各部の動作を制御する。
【0087】
本発明の実施例では、メモリ1102は、例えば、バッファ、フラッシュメモリ、ハードドライブ、リムーバブルメディア、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又は他の適切なデバイスのうちの1つ以上であってもよい。メモリ1102は、様々な情報を記憶してもよく、関連情報を実行するためのプログラムをさらに記憶してもよい。また、プロセッサ1101は、メモリ1102に記憶されたプログラムを実行し、情報の記憶又は処理を実現してもよい。他の部材の機能は従来技術と同様であり、ここでその説明を省略する。データ処理装置1100の構成要素は、本発明の範囲から逸脱することなく、専用のハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせにより実現されてもよい。
【0088】
本発明の実施例のデータ処理装置によれば、レーダの偏向角及びレーダの高さに基づいて座標変換を行うことで、レーダ座標をワールド座標に効果的に変換することができる。
【0089】
本発明の実施例は、データ処理装置においてプログラムを実行する際に、該データ処理装置に実施例1に記載の方法を実行させる、コンピュータ読み取り可能なプログラムを提供する。
【0090】
本発明の実施例は、データ処理装置に実施例1に記載の方法を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムが記憶されている、記憶媒体をさらに提供する。
【0091】
本発明の以上の装置及び方法は、ハードウェアにより実現されてもよく、ハードウェアとソフトウェアを結合して実現されてもよい。本発明はコンピュータが読み取り可能なプログラムに関し、該プログラムは論理部により実行される時に、該論理部に上述した装置又は構成要件を実現させる、或いは該論理部に上述した各種の方法又はステップを実現させることができる。本発明は上記のプログラムを記憶するための記憶媒体、例えばハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、DVD、フラッシュメモリ等に関する。
【0092】
本発明の実施例を参照しながら説明した方法/装置は、ハードウェア、プロセッサにより実行されるソフトウェアモジュール、又は両者の組み合わせで実施されてもよい。例えば、図面に示す機能的ブロック図における1つ若しくは複数、又は機能的ブロック図の1つ若しくは複数の組み合わせは、コンピュータプログラムフローの各ソフトウェアモジュールに対応してもよいし、各ハードウェアモジュールに対応してもよい。これらのソフトウェアモジュールは、図面に示す各ステップにそれぞれ対応してもよい。これらのハードウェアモジュールは、例えばフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)を用いてこれらのソフトウェアモジュールをハードウェア化して実現されてもよい。
【0093】
ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、モバイルハードディスク、CD-ROM又は当業者にとって既知の任意の他の形の記憶媒体に位置してもよい。プロセッサが記憶媒体から情報を読み取ったり、記憶媒体に情報を書き込むように該記憶媒体をプロセッサに接続してもよいし、記憶媒体がプロセッサの構成部であってもよい。プロセッサ及び記憶媒体はASICに位置する。該ソフトウェアモジュールは移動端末のメモリに記憶されてもよいし、移動端末に挿入されたメモリカードに記憶されてもよい。例えば、機器(例えば移動端末)が比較的に大きい容量のMEGA-SIMカード又は大容量のフラッシュメモリ装置を用いる場合、該ソフトウェアモジュールは該MEGA-SIMカード又は大容量のフラッシュメモリ装置に記憶されてもよい。
【0094】
図面に記載されている一つ以上の機能ブロック及び/又は機能ブロックの一つ以上の組合せは、本発明に記載されている機能を実行するための汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理装置、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又はそれらの任意の適切な組み合わせで実現されてもよい。図面に記載されている一つ以上の機能ブロック及び/又は機能ブロックの一つ以上の組合せは、例えば、コンピューティング機器の組み合わせ、例えばDSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサの組み合わせ、DSP通信と組み合わせた1つ又は複数のマイクロプロセッサ又は他の任意の構成で実現されてもよい。
【0095】
以上、具体的な実施形態を参照しながら本発明を説明しているが、上記の説明は、例示的なものに過ぎず、本発明の保護の範囲を限定するものではない。本発明の趣旨及び原理を離脱しない限り、本発明に対して各種の変形及び変更を行ってもよく、これらの変形及び変更も本発明の範囲に属する。
【0096】
また、上述の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
座標変換方法であって、
レーダの偏向角を決定するステップと、
前記偏向角に基づいて、前記レーダにより検出された物体のレーダ座標を回転座標に変換するステップと、
前記レーダの高さに基づいて、前記物体の回転座標を水平座標に変換するステップと、
前記レーダのワールド座標系に対する向きに基づいて、前記物体の水平座標をワールド座標に変換するステップと、を含む、方法。
(付記2)
レーダの偏向角を決定するステップは、
前記レーダにより検出された物体のレーダ座標を含むレーダデータを取得するステップと、
前記レーダデータから、物体の移動軌跡が直進車線の範囲内にあるレーダデータを選択するステップと、
選択されたレーダデータに基づいて軌跡線を推定するステップと、
前記軌跡線に基づいて前記レーダの偏向角を計算するステップと、を含む、付記1に記載の方法。
(付記3)
選択されたレーダデータに基づいて軌跡線を推定するステップは、
最小二乗法により前記軌跡線を推定するステップ、又は
ランダムサンプルコンセンサス法により前記軌跡線を推定するステップ、を含む、付記2に記載の方法。
(付記4)
前記軌跡線の関数はv=a+buであり、ここで、(u,v)はレーダ座標系における任意の点を表し、u及びvはそれぞれ前記物体のレーダ座標系における横座標の値及び縦座標の値であり、
前記レーダの偏向角は、α=arctan(-1/b)である、付記2に記載の方法。
(付記5)
レーダ座標を回転座標に変換する変換式は、以下の式であり、
【数14】
【0097】
ここで、(u,v)はレーダ座標系における任意の点を表し、u及びvはそれぞれ前記物体のレーダ座標系における横座標の値及び縦座標の値であり、(u’,v’)は回転座標系における任意の点を表し、u’及びv’はそれぞれ前記物体の回転座標系における横座標の値及び縦座標の値である、付記1に記載の方法。
(付記6)
回転座標を水平座標に変換する変換式は、以下の式であり、
【数15】
【0098】
ここで、(u’,v’)は回転座標系における任意の点を表し、u’及びv’はそれぞれ前記物体の回転座標系における横座標の値及び縦座標の値であり、hは前記レーダの高さであり、(u”,v”)は水平座標系における任意の点を表し、u”及びv”はそれぞれ前記物体の水平座標系における横座標の値及び縦座標の値である、付記1に記載の方法。
(付記7)
前記水平座標系の水平軸が前記ワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該水平軸の方向が前記ワールド座標系のx軸の方向と同一であり、前記水平座標系の垂直軸が前記ワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向が前記ワールド座標系のy軸の方向と同一である場合、前記第3変換部は、以下の式に従って、前記物体の水平座標をワールド座標に変換し、
【数16】
【0099】
ここで、(x
1,y
1)は前記レーダの前記ワールド座標系における座標であり、(u”,v”)は水平座標系における任意の点を表し、u”及びv”はそれぞれ前記物体の水平座標系における横座標の値及び縦座標の値であり、
前記水平座標系の水平軸が前記ワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該水平軸の方向が前記ワールド座標系のy軸の方向と同一であり、前記水平座標系の垂直軸が前記ワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向が前記ワールド座標系のx軸の方向と反対である場合、前記第3変換部は、以下の式に従って、前記物体の水平座標をワールド座標に変換し、
【数17】
【0100】
ここで、(x
2,y
2)は前記レーダの前記ワールド座標系における座標であり、(j”,k”)は水平座標系における任意の点を表し、j”及びk”はそれぞれ前記物体の水平座標系における横座標の値及び縦座標の値であり、
前記水平座標系の水平軸が前記ワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該水平軸の方向が前記ワールド座標系のx軸の方向と反対であり、前記水平座標系の垂直軸が前記ワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向が前記ワールド座標系のy軸の方向と反対である場合、前記第3変換部は、以下の式に従って、前記物体の水平座標をワールド座標に変換し、
【数18】
【0101】
ここで、(x
3,y
3)は前記レーダの前記ワールド座標系における座標であり、(m”,n”)は水平座標系における任意の点を表し、m”及びn”はそれぞれ前記物体の水平座標系における横座標の値及び縦座標の値であり、
前記水平座標系の水平軸が前記ワールド座標系のy軸に平行であり、且つ該水平軸の方向が前記ワールド座標系のy軸の方向と反対であり、前記水平座標系の垂直軸が前記ワールド座標系のx軸に平行であり、且つ該垂直軸の方向が前記ワールド座標系のx軸の方向と同一である場合、前記第3変換部は、以下の式に従って、前記物体の水平座標をワールド座標に変換し、
【数19】
【0102】
ここで、(x4,y4)は前記レーダの前記ワールド座標系における座標であり、(t”,s”)は水平座標系における任意の点を表す、t”及びs”はそれぞれ前記物体の水平座標系における横座標の値及び縦座標の値である、付記1に記載の方法。