(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】可変容量回路、回路装置及び発振器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20241112BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20241112BHJP
H03B 5/32 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H01L27/04 C
H03B5/32 J
H01L27/04 V
(21)【出願番号】P 2021015509
(22)【出願日】2021-02-03
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【氏名又は名称】西河 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】田中 敦嗣
(72)【発明者】
【氏名】樋口 哲平
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07375594(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0049119(US,A1)
【文献】特開2010-272800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 27/04
H03B 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量値が制御データに基づいて可変に制御される可変容量回路であって、
複数のキャパシターを含むキャパシターアレイと、
前記制御データに基づきオン又はオフにされる複数のスイッチを有し、第1ノードとグランドノードとの間に前記キャパシターアレイと直列に設けられるスイッチアレイと、
を含み、
前記キャパシターアレイは、
複数のMIM(Metal-Insulator-Metal)キャパシターが並列接続された第1キャパ
シターと、
複数のMIMキャパシターが直列接続された第2キャパシターと、
を含み、
前記スイッチアレイは、
前記第1ノードと前記グランドノードとの間に、前記第1キャパシターと直列接続される第1スイッチと、
前記第1ノードと前記グランドノードとの間に、前記第2キャパシターと直列接続される第2スイッチと、
を含み、
前記第1キャパシターと前記第1キャパシターの寄生容量とによる前記第1ノードと前記グランドノードとの間の容量値を第1容量値とし、前記第2キャパシターと前記第2キャパシターの寄生容量とによる前記第1ノードと前記グランドノードとの間の容量値を第2容量値としたとき、
前記第1スイッチがオンであるときの前記第1容量値と前記第1スイッチがオフであるときの前記第1容量値の、前記制御データの1LSB当たりにおける第1容量差と、前記第2スイッチがオンであるときの前記第2容量値と前記第2スイッチがオフであるときの前記第2容量値の、前記制御データの1LSB当たりにおける第2容量差とが近づくように、
平面視において、前記第1キャパシターの電極である第1電極、前記第1キャパシターを囲む第1グランドシールド、前記第2キャパシターの電極である第2電極、及び前記第2キャパシターを囲む第2グランドシールドの少なくとも1つの形状パターンが設定されていることを特徴とする可変容量回路。
【請求項2】
請求項1に記載された可変容量回路において、
前記第1容量差と前記第2容量差が近づくように、
前記第1電極と前記第1グランドシールドとの第1配置関係、及び前記第2電極と前記第2グランドシールドとの第2配置関係の少なくとも一方が設定されていることを特徴とする可変容量回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された可変容量回路において、
前記平面視における、前記第1電極と前記第1グランドシールドとの間の第1方向での距離をLA1とし、前記第2電極と前記第2グランドシールドとの間の前記第1方向での距離をLA2としたとき、
LA2>LA1であることを特徴とする可変容量回路。
【請求項4】
容量値が制御データに基づいて可変に制御される可変容量回路であって、
複数のキャパシターを含むキャパシターアレイと、
前記制御データに基づきオン又はオフにされる複数のスイッチを有し、第1ノードとグランドノードとの間に前記キャパシターアレイと直列に設けられるスイッチアレイと、
を含み、
前記キャパシターアレイは、
複数のMIMキャパシターが並列接続された第1キャパシターと、
複数のMIMキャパシターが直列接続された第2キャパシターと、
を含み、
前記スイッチアレイは、
前記第1ノードと前記グランドノードとの間に、前記第1キャパシターと直列接続される第1スイッチと、
前記第1ノードと前記グランドノードとの間に、前記第2キャパシターと直列接続される第2スイッチと、
を含み、
平面視における、前記第1キャパシターの第1電極と前記第1キャパシターを囲む第1グランドシールドとの間の第1方向での距離をLA1とし、前記第2キャパシターの第2電極と前記第2キャパシターを囲む第2グランドシールドとの間の前記第1方向での距離をLA2としたとき、
LA2>LA1であることを特徴とする可変容量回路。
【請求項5】
請求項3又は4に記載された可変容量回路において、
前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記平面視における、前記第1電極と前記第1グランドシールドとの間の前記第2方向での距離をLB1とし、前記第2電極と前記第2グランドシールドとの間の前記第2方向での距離をLB2としたとき、
LB2>LB1であることを特徴とする可変容量回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載された可変容量回路において、
前記第1電極は、
前記平面視における形状が凸状となる第1部分と、
前記平面視における形状が凸状となる第2部分と、
を有し、
前記第1グランドシールドは、
側面が前記第1部分の側面に対向し、前記平面視における形状が凹状となる第3部分と、
側面が前記第2部分の側面に対向し、前記平面視における形状が凹状となる第4部分と、
を有することを特徴とする可変容量回路。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載された可変容量回路において、
前記第1電極は、一端が前記グランドノードに接続される前記第1スイッチの他端に接続される電極であることを特徴とする可変容量回路。
【請求項8】
請求項7に記載された可変容量回路において、
前記第2電極は、一端が前記グランドノードに接続される前記第2スイッチの他端に接続される電極であることを特徴とする可変容量回路。
【請求項9】
請求項7に記載された可変容量回路において、
前記第2電極は、直列接続される前記複数のMIMキャパシターの中間接続ノードに接続される電極であることを特徴とする可変容量回路。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載された可変容量回路において、
前記第1キャパシターは、前記平面視の方向にスタックされ且つ並列接続された第1MIMキャパシター及び第2MIMキャパシターを含み、
前記第2キャパシターは、前記平面視の方向にスタックされ且つ直列接続された第3MIMキャパシター及び第4MIMキャパシターを含むことを特徴とする可変容量回路。
【請求項11】
請求項10に記載された可変容量回路において、
前記第1グランドシールドは、前記平面視において前記第1MIMキャパシターと前記第2MIMキャパシターを囲み、
前記第2グランドシールドは、前記平面視において前記第3MIMキャパシターと前記第4MIMキャパシターを囲むことを特徴とする可変容量回路。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載された可変容量回路において、
前記キャパシターアレイの複数のキャパシターは、容量値がバイナリーに重み付けされていることを特徴とする可変容量回路。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載された可変容量回路を有する発振回路を含み、
前記発振回路は、前記可変容量回路の前記容量値により発振周波数が制御され、
前記第1ノードは、前記発振回路の発振ノードであることを特徴とする回路装置。
【請求項14】
請求項13に記載された回路装置と、
前記発振回路により駆動されることで発振する振動子と、
を含むことを特徴とする発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変容量回路、回路装置及び発振器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、MIM(Metal-Insulator-Metal)キャパシターを用いた可変容量回路が知られている。例えば特許文献1には、MIMキャパシターを用いたキャパシターアレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなMIMキャパシターを用いたキャパシターアレイにより、可変容量回路を実現する場合に、キャパシターと電極とグランドとの間の寄生容量が原因となって、可変容量回路における容量値変化の線形性が悪化するという問題があることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、容量値が制御データに基づいて可変に制御される可変容量回路であって、複数のキャパシターを含むキャパシターアレイと、前記制御データに基づきオン又はオフにされる複数のスイッチを有し、第1ノードとグランドノードとの間に前記キャパシターアレイと直列に設けられるスイッチアレイと、を含み、前記キャパシターアレイは、複数のMIM(Metal-Insulator-Metal)キャパシターが並列接続された第1キャパシターと、複数のMIMキャパシターが直列接続された第2キャパシターと、を含み、前記スイッチアレイは、前記第1ノードと前記グランドノードとの間に、前記第1キャパシターと直列接続される第1スイッチと、前記第1ノードと前記グランドノードとの間に、前記第2キャパシターと直列接続される第2スイッチと、を含み、前記第1キャパシターと前記第1キャパシターの寄生容量とによる前記第1ノードと前記グランドノードとの間の容量値を第1容量値とし、前記第2キャパシターと前記第2キャパシターの寄生容量とによる前記第1ノードと前記グランドノードとの間の容量値を第2容量値としたとき、前記第1スイッチがオンであるときの前記第1容量値と前記第1スイッチがオフであるときの前記第1容量値の、前記制御データの1LSB当たりにおける第1容量差と、前記第2スイッチがオンであるときの前記第2容量値と前記第2スイッチがオフであるときの前記第2容量値の、前記制御データの1LSB当たりにおける第2容量差とが近づくように、平面視において、前記第1キャパシターの電極である第1電極、前記第1キャパシターを囲む第1グランドシールド、前記第2キャパシターの電極である第2電極、及び前記第2キャパシターを囲む第2グランドシールドの少なくとも1つの形状パターンが設定されている可変容量回路に関係する。
【0006】
また本開示の一態様は、容量値が制御データに基づいて可変に制御される可変容量回路であって、複数のキャパシターを含むキャパシターアレイと、前記制御データに基づきオン又はオフにされる複数のスイッチを有し、第1ノードとグランドノードとの間に前記キャパシターアレイと直列に設けられるスイッチアレイと、を含み、前記キャパシターアレイは、複数のMIMキャパシターが並列接続された第1キャパシターと、複数のMIMキャパシターが直列接続された第2キャパシターと、を含み、前記スイッチアレイは、前記第1ノードと前記グランドノードとの間に、前記第1キャパシターと直列接続される第1スイッチと、前記第1ノードと前記グランドノードとの間に、前記第2キャパシターと直列接続される第2スイッチと、を含み、前記平面視における、前記第1キャパシターの第1電極と前記第1キャパシターを囲む第1グランドシールドとの間の第1方向での距離をLA1とし、前記第2キャパシターの第2電極と前記第2キャパシターを囲む第2グランドシールドとの間の前記第1方向での距離をLA2としたとき、LA2>LA1である可変容量回路に関係する。
【0007】
また本開示の一態様は、上記に記載された可変容量回路と、前記可変容量回路の前記容量値により発振周波数が制御される発振回路と、を含み、前記第1ノードは、前記発振回路の発振ノードである回路装置に関係する。
【0008】
また本開示の一態様は、上記に記載の回路装置と、前記発振回路により駆動されることで発振する振動子と、を含む発振器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】並列接続MIMキャパシターの寄生容量を増加させる手法の説明図。
【
図7】直列接続MIMキャパシターの寄生容量を減少させる手法の説明図。
【
図10】キャパシターとスイッチのレイアウト配置例。
【
図11】容量値変化の線形性の悪化についての説明図。
【
図12】並列接続MIMキャパシターのスイッチオン時とスイッチオフ時における等価回路図。
【
図13】直列接続MIMキャパシターのスイッチオン時とスイッチオフ時における等価回路図。
【
図14】直列接続MIMキャパシターのスイッチオン時とスイッチオフ時における等価回路図。
【
図15】並列接続MIMキャパシターと直列接続MIMキャパシターの容量値や容量差の一例。
【
図16】並列接続MIMキャパシターの寄生容量を増加させる手法の説明図。
【
図17】並列接続MIMキャパシターの寄生容量を増加させる手法の説明図。
【
図18】並列接続MIMキャパシターの寄生容量を増加させる手法の説明図。
【
図19】直列接続MIMキャパシターの寄生容量を増加させる手法の説明図。
【
図20】直列接続MIMキャパシターの寄生容量を増加させる手法の説明図。
【
図21】直列接続MIMキャパシターの寄生容量を増加させる手法の説明図。
【
図22】可変容量回路の全体的なレイアウト配置例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲の記載内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1.可変容量回路
図1に本実施形態の可変容量回路30の構成例を示す。容量値が制御データDCNに基づいて可変に制御される可変容量回路30は、キャパシターアレイ32とスイッチアレイ34を含む。具体的には可変容量回路30は、複数のキャパシターCn~C1を含むキャパシターアレイ32と、制御データDCNに基づきオン又はオフにされる複数のスイッチSWn~SW1を有し、第1ノードN1とグランドノードNGとの間にキャパシターアレイ32と直列に設けられるスイッチアレイ34を含む。例えばキャパシターCnとスイッチSWn、第1キャパシターCjと第1スイッチSWj、第2キャパシターCiと第2スイッチSWi、キャパシターC1とスイッチSW1が、第1ノードN1とグランドノードNGとの間に直列に設けられる。ここでi、jは、1以上でn以下の異なる整数である。
【0012】
そしてキャパシターアレイ32は、複数のMIMキャパシターが並列接続された第1キャパシターCjと、複数のMIMキャパシターが直列接続された第2キャパシターCiを含む。MIMキャパシターはMetal-Insulator-Metalの構造のキャパシターである。例えば第1キャパシターCjでは、複数のMIMキャパシターとしてMIMキャパシターCM1、CM2が並列接続されている。第2キャパシターCiでは、複数のMIMキャパシターとしてMIMキャパシターCM3、CM4が直列接続されている。なお
図1では、第1キャパシターCjは2つのMIMキャパシターCM1、CM2が並列接続されているが、並列接続されるMIMキャパシターの数は3以上であってもよい。また第2キャパシターCiは2つのMIMキャパシターCM3、CM4が直列接続されているが、直列接続されるMIMキャパシターの数は3以上であってもよい。
【0013】
またスイッチアレイ34は、第1ノードN1とグランドノードNGとの間に、第1キャパシターCjと直列接続される第1スイッチSWjと、第1ノードN1とグランドノードNGとの間に、第2キャパシターCiと直列接続される第2スイッチSWiを含む。なお
図1ではグランドノードNG側にスイッチSWn~SW1が設けられ、第1ノードN1側にキャパシターCn~C1が設けられる構成となっているが、グランドノードNG側にキャパシターCn~C1が設けられ、第1ノードN1側にスイッチSWn~SW1が設けられる構成であってもよい。
【0014】
図2に第1キャパシターCjの構成例を示す。第1キャパシターCjは、平面視の方向にスタックされ且つ並列接続されたMIMキャパシターCM1、CM2を含む。MIMキャパシターCM1は第1MIMキャパシターであり、MIMキャパシターCM2は第2MIMキャパシターである。平面視の方向は、後述する
図23の回路装置20である半導体チップの基板に直交する方向である。
図2に示すように、第1キャパシターCjは、並列接続されるMIMキャパシターCM1、CM2が平面視の方向に縦積みされた構成となっている。第1キャパシターCjは、第1電極EDj、ECj、EBjを有する。第1電極EDj、ECj、EBjは、各々、金属層ALD、ALC、ALBにより形成される。ALDは上層の金属層であり、ALBは下層の金属層であり、ALCはADLとALBの間の金属層である。金属層ALD、ALC、ALBは例えばアルミ又はアルミ合金等の金属層である。なお
図2では後述の
図6の電極TP1、TP2の図示が省略されている。そして第1キャパシターCjの第1電極ECjは、第1ノードN1に接続され、第1電極EDj、EBjは、一端がグランドノードNGに接続される第1スイッチSWjの他端に接続される。即ち、第1電極EDj、EBjは、第1スイッチSWjの他端のノードであるノードNjに接続される。
【0015】
第1キャパシターCjの周囲には、グランド電圧に設定された第1グランドシールドGSjが設けられる。具体的には
図4に示すように第1グランドシールドGSjは第1キャパシターCjを囲むように設けられる。第1グランドシールドGSjは、金属層ALD、ALC、ALBと、金属層ALCと金属層ALDを接続するビアコンタクトVCDと、金属層ALBと金属層ALCを接続するビアコンタクトVBCにより形成される。なお
図4では第1グランドシールドGSjが第1キャパシターCjの全周を囲んでいるが、本実施形態はこれに限定されず、全周のうちの一部の領域において第1グランドシールドGSjが非存在の領域があってもよい。
【0016】
そして
図2では、第1方向DR1における第1グランドシールドGSjと第1キャパシターCjの電極である第1電極EDj、ECj、EBjとの距離をLA1としている。また第1方向DR1に直交する第2方向DR2における第1電極EDj、ECj、EBjとの距離をLB1としている。例えば、第1方向はX方向であり、第2方向はY方向である。この場合に平面視の方向はZ方向になる。なお第1キャパシターCjにおけるMIMキャパシターの並列接続数は2個には限定されず、3個以上であってもよい。
【0017】
図3に第2キャパシターCiの構成例を示す。第2キャパシターCiは、平面視の方向にスタックされ且つ直列接続されたMIMキャパシターCM3、CM4を含む。MIMキャパシターCM3は第3MIMキャパシターであり、MIMキャパシターCM4は第4MIMキャパシターである。
図3に示すように、第2キャパシターCiは、直列接続されるMIMキャパシターCM3、CM4が平面視の方向に縦積みされた構成となっている。第2キャパシターCiは、第2電極EDi、ECi、EBiを有する。第2電極EDi、ECi、EBiは、各々、金属層ALD、ALC、ALBにより形成される。なお
図3では後述の
図7の電極TP3、TP4の図示が省略されている。そして第2キャパシターCiの第2電極EDiは、第1ノードN1に接続され、第2電極EBiは、一端がグランドノードNGに接続される第2スイッチSWiの他端に接続される。即ち、第2電極EBiは、第2スイッチSWiの他端のノードであるノードNiに接続される。
【0018】
第2キャパシターCiの周囲には、グランド電圧に設定された第2グランドシールドGSiが設けられる。具体的には
図4に示すように第2グランドシールドGSiは第2キャパシターCiを囲むように設けられる。第2グランドシールドGSiは、金属層ALD、ALC、ALBと、金属層ALCとALDを接続するビアコンタクトVCDと、金属層ALBとALCを接続するビアコンタクトVBCにより形成される。なお
図4では第2グランドシールドGSiが第2キャパシターCiの全周を囲んでいるが、本実施形態はこれに限定されず、全周のうちの一部の領域において第2グランドシールドGSiが非存在の領域があってもよい。
【0019】
そして
図3では、第1方向DR1における第2グランドシールドGSiと第2キャパシターCiの電極である第2電極EDi、ECi、EBiとの距離をLA2としている。また第1方向DR1に直交する第2方向DR2における第2グランドシールドGSiと第2電極EDi、ECi、EBiとの距離をLB2としている。
【0020】
なお第2キャパシターCiにおけるMIMキャパシターの直列接続数は2個には限定されず、3個以上であってもよい。例えば
図5に4つのMIMキャパシターCM3、CM4、CM5、CM6が直列接続された第2キャパシターCiの構成を示す。
図5では、第2キャパシターCiの第2電極EDXiは金属層ALDにより形成され、第1ノードN1に接続される。第2キャパシターCiの第2電極EBXiは金属層ALBにより形成され、金属層ALDにより形成される第2電極EDYiに接続される。第2キャパシターCiの第2電極EBYiは金属層ALBにより形成され、第2スイッチSWiの他端のノードNiに接続される。
【0021】
さて、
図1に示すように、第1キャパシターCj、第2キャパシターCiにおいてはグランドノードNGとの間に寄生容量CPj、CPiが生じる。
図12~
図14で詳細に説明するようにこれらの寄生容量CPj、CPiの容量値は、第1スイッチSWj、第2スイッチSWiがオンであるときと、オフであるときとで異なっている。ここで第1キャパシターCjと、第1キャパシターCjの寄生容量CPjとによる第1ノードN1とグランドノードNGとの間の容量値を第1容量値とする。第1容量値は、第1キャパシターCjの容量値とその寄生容量CPjの容量値を合算したものに対応する。また第2キャパシターCiと、第2キャパシターCiの寄生容量CPiとによる第1ノードN1とグランドノードNGとの間の容量値を第2容量値とする。第2容量値は、第2キャパシターCiの容量値とその寄生容量CPiの容量値を合算したものに対応する。
【0022】
そして第1スイッチSWjがオンであるときの第1容量値と、第1スイッチSWjがオフであるときの第1容量値の、制御データDCNの1LSB当たりにおける容量差を第1容量差とする。即ち、第1キャパシターCjと寄生容量CPjとによる第1ノードN1とグランドノードNGとの間の第1容量値についての、第1スイッチSWjがオンであるときとオフであるときの1LSB分の容量差を第1容量差とする。また第2スイッチSWiがオンであるときの第2容量値と、第2スイッチSWiがオフであるときの第2容量値の、制御データDCNの1LSB当たりにおける容量差を第2容量差とする。即ち、第2キャパシターCiと寄生容量CPiとによる第1ノードN1とグランドノードNGとの間の第2容量値についての、第2スイッチSWiがオンであるときとオフであるときの1SB分の容量差を第2容量差とする。これらの第1容量差、第2容量差の詳細については後述の
図15で具体的に説明する。
【0023】
このときに本実施形態では、上記の第1容量差と第2容量差とが近づくように、平面視において、
図2に示す第1キャパシターCjの第1電極EDj、ECj、EBjと、第1電極EDj、ECj、EBjを囲む第1グランドシールドGSjと、
図3に示す第2キャパシターCiの第2電極EDi、ECi、EBiと、第2電極EDi、ECi、EBiを囲む第2グランドシールドGSiの少なくとも1つの形状パターンが設定されている。即ち、第1容量差と第2容量差とが近づくように、第1電極EDj、ECj、EBj、第1グランドシールドGSj、第2電極EDi、ECi、EBi、及び第2グランドシールドGSiの少なくとも1つの形状パターンが設定されている。例えば第1容量差と第2容量差が近づくように、
図2に示す第1電極EDj、ECj、EBjと第1グランドシールドGSjとの第1配置関係、
図3に示す第2電極EDi、ECi、EBiと第2グランドシールドGSiとの第2配置関係の少なくとも一方が設定されている。第1配置関係は、第1電極EDj、ECj、EBjと第1グランドシールドGSjの距離関係や、第1電極EDj、ECj、EBjの側面と、当該側面に対向する第1グランドシールドGSjの側面との対向面積の関係などである。第2配置関係は、第2電極EDi、ECi、EBiと第2グランドシールドGSiの距離関係や、第2電極EDi、ECi、EBiの側面と、当該側面に対向する第2グランドシールドGSiの側面との対向面積の関係などである。
【0024】
具体的には、並列接続MIMの第1キャパシターCjについては、その寄生容量CPjが増加するように、第1電極EDj、ECj、EBj及び第1グランドシールドGSjの少なくとも1つの形状パターンが設定されたり、第1電極EDj、ECj、EBjと第1グランドシールドGSjとの第1配置関係が設定される。一方、直列接続MIMの第2キャパシターCiについては、その寄生容量CPiが減少するように、第2電極EDi、ECi、EBi及び第2グランドシールドGSiの少なくとも1つの形状パターンが設定されたり、第2電極EDi、ECi、EBiと第2グランドシールドGSiとの第2配置関係が設定される。なお本実施形態では、複数のMIMキャパシターが並列接続されたキャパシターを、適宜、並列接続MIMのキャパシターと記載し、複数のMIMキャパシターが直列接続されたキャパシターを、適宜、直列接続MIMのキャパシターと記載する。
【0025】
例えば
図2に示すように、第1電極EDj、ECj、EBjと、第1グランドシールドGSjとの間の第1方向DR1での距離をLA1とする。また
図3に示すように、第2電極EDi、ECi、EBiと、第2グランドシールドGSiとの間の第1方向DR1での距離をLA2とする。このときに、
図6、
図7の第1キャパシターCj、第2キャパシターCiの断面図に示すように、LA2>LA1の関係が成り立つようにする。
【0026】
即ち、
図6に示すように並列接続MIMの第1キャパシターCjについては、第1電極EDj、ECj、EBjと第1グランドシールドGSjとの間の第1方向DR1での距離LA1を小さくすることで、寄生容量CPjを増加させる。一方、
図7に示すように直列接続MIMの第2キャパシターCiについては、第2電極EDi、ECi、EBiと第2グランドシールドGSiとの間の第1方向DR1での距離LA2を大きくすることで、寄生容量CPiを減少させる。このようにLA2>LA1とすることで、並列接続MIMの第1キャパシターCjの寄生容量CPjを増加させる一方で、直列接続MIMの第2キャパシターCiの寄生容量CPiを減少させる。このようにすれば、並列接続MIMの第1キャパシターCjについての第1スイッチSWjがオンであるときとオフであるときの1LSB当たりの第1容量差と、直列接続MIMの第2キャパシターCiについての第2スイッチSWiがオンであるときとオフであるときの1LSB当たりの第2容量差が近づくようになる。これにより、制御データDCNの変化に対して可変容量回路30の容量値を線形に変化させることが可能になる。
【0027】
また
図2に示すように、第1電極EDj、ECj、EBjと第1グランドシールドGSjとの間の第2方向DR2での距離をLB1とする。また
図3に示すように、第2電極EDi、ECi、EBiと第2グランドシールドGSiとの間の第2方向DR2での距離をLB2とする。このときに、LB2>LB1の関係が成り立つようにする。
【0028】
即ち、
図6に示すように並列接続MIMの第1キャパシターCjについては、第1電極EDj、ECj、EBjと第1グランドシールドGSjとの間の第2方向DR2での距離LB1を小さくすることで、寄生容量CPjを増加させる。一方、
図7に示すように直列接続MIMの第2キャパシターCiについては、第2電極EDi、ECi、EBiと第2グランドシールドGSiとの間の第2方向DR2での距離LB2を大きくすることで、寄生容量CPiを減少させる。このようにすれば、並列接続MIMの第1キャパシターCjについての第1スイッチSWjがオンであるときとオフであるときの1LSB当たりの第1容量差と、直列接続MIMの第2キャパシターCiについての第2スイッチSWiがオンであるときとオフであるときの1LSB当たりの第2容量差が近づくようになる。これにより、制御データDCNの変化に対して可変容量回路30の容量値を線形に変化させることが可能になる。
【0029】
2.詳細な構成例
図8に本実施形態の可変容量回路30の詳細な構成例を示す。
図8に示すように、容量値が制御データDCNに基づいて可変に制御される可変容量回路30は、キャパシターアレイ32とスイッチアレイ34を含む。そしてキャパシターアレイ32は、複数のキャパシターC18~C1を含む。スイッチアレイ34は、制御データDCNに基づきオン又はオフにされる複数のスイッチSW18~SW1を有し、第1ノードN1とグランドノードNGとの間にキャパシターアレイ32と直列に設けられる。
【0030】
そして、上位ビット側のキャパシターC18~C8は、その容量値が同一であり、サーモメーター式のコードの制御データDCNにより、そのスイッチSW18~SW8のオン、オフが制御される。一方、下位ビット側のキャパシターC7~C1は、その容量値がバイナリーに重み付けされており、バイナリーのコードの制御データDCNにより、そのスイッチSW7~SW1のオン、オフが制御される。
【0031】
キャパシターC18~C4は、複数のMIMキャパシターが並列接続された並列接続MIMのキャパシターであり、
図1、
図2の第1キャパシターCjに対応する。キャパシターC4の容量値を1Cとした場合に、キャパシターC7、C6、C5の容量値は、各々、8C、4C、2Cとなっており、バイナリーに重み付けされている。具体的には、キャパシターC7は、8個のキャパシターC4を並列接続したものに対応し、キャパシターC6は、4個のキャパシターC4を並列接続したものに対応し、キャパシターC5は、2個のキャパシターC4を並列接続したものに対応する。またキャパシターC18~C8の各々は、16個のキャパシターC4を並列接続したものに対応する。またキャパシターC4のスイッチSW4は、8個のトランジスターを並列接続することで構成される。キャパシターC18~C5のスイッチSW18~SW5も同様である。
【0032】
一方、キャパシターC3、C2、C1は、複数のMIMキャパシターが直列接続された直列接続MIMのキャパシターであり、
図1、
図3の第2キャパシターCiに対応する。キャパシターC4の容量値を1Cとした場合に、キャパシターC3、C2、C1の容量値は、各々、(1/2)×C、(1/4)×C、(1/8)×Cであり、バイナリーに重み付けされている。具体的には、キャパシターC3は、2個のMIMキャパシターを直列接続した2つのキャパシターを並列接続することで構成される。キャパシターC2は、
図3に示すように2個のMIMキャパシターを直列接続することで構成される。キャパシターC1は、
図5に示すように4個のMIMキャパシターを直列接続することで構成される。またスイッチSW3、SW2は、各々、4個、2個のトランジスターを並列接続することで構成され、スイッチSW1は1個のトランジスターにより構成される。
【0033】
例えば
図9にキャパシターC5とスイッチSW5の具体的な構成例を示す。
図9に示すように、キャパシターC5は、2つのキャパシターC5A、C5Bを並列接続することで構成され、キャパシターC5A、C5Bの各々は、2つのMIMキャパシターを並列接続することで構成される。またスイッチSW5は、キャパシターC5AとグランドノードNGとの間に並列接続された8つのトランジスターTRと、キャパシターC5BとグランドノードNGとの間に並列接続された8つのトランジスターTRとにより構成される。トランジスターTRはユニットスイッチに対応する。
【0034】
例えば
図8のキャパシターC7~C1は容量値がバイナリーに重み付けされている。このため例えばキャパシターC1のスイッチSW1は1個のトランジスターにより構成し、キャパシターC2のスイッチSW2は2個のトランジスターにより構成し、キャパシターC3のスイッチSW2は4個のトランジスターにより構成するというように、各スイッチを構成するトランジスターの個数を、対応する各キャパシターの容量値に応じた個数に設定する。こうすることで、トランジスターのドレイン容量等の寄生容量が原因となって、可変容量回路30の容量値変化の線形性が悪化するのを防止できる。
【0035】
図10に
図9のキャパシターC5、SW5のレイアウト配置例を示す。
図10では紙面において左側に並列接続MIMのキャパシターC5Aが配置され、右側に並列接続MIMもキャパシターC5Bが配置される。そしてキャパシターC5Aの上側と下側に、キャパシターC5Aに接続される8個のトランジスターTRが配置される。またキャパシターC5Bの上側と下側に、キャパシターC5Bに接続される8個のトランジスターTRが配置される。そしてキャパシターC5A、C5BとスイッチSW5を構成する複数のトランジスターTRとを囲むようにグランドシールドGSが設けられている。
【0036】
本実施形態では
図1、
図8に示すように、並列接続MIMのキャパシターと直列接続MIMのキャパシターを組み合わせてキャパシターアレイ32を構成している。これらのキャパシターは複数のMIMキャパシターが例えば縦方向にスタックされたキャパシターである。複数のMIMキャパシターを直列接続することで、容量値が小さなキャパシターを実現できるようになる。従って、例えば下位ビット側のキャパシターとして、容量値をより小さくできる直列接続MIMのキャパシターを用いることで、可変容量回路30の容量値の分解能を向上できる。
【0037】
しかしながら、後述の
図12~
図14で説明するように、直列接続MIMのキャパシターは、並列接続MIMのキャパシターに比べて、グランドに対する寄生容量が大きくなる。このため制御データDCNの値である制御データ値に対する可変容量回路30の容量値の変化の線形性が悪化するという問題が発生する。例えば
図11のA1に示すように、可変容量回路30では制御データ値に対して容量値が線形に変化するように構成される。しかしながら
図11のA2に示す部分を拡大したA3に示すように、例えばA4、A5に示す範囲において制御データ値に対する容量値の線形性が崩れている。例えば
図11のA4の範囲は、キャパシターC4が非選択であり、キャパシターC3、C2、C1が選択された状態から、キャパシターC4が選択され、キャパシターC3、C2、C1が非選択となる状態に遷移した範囲である。即ち制御データDCNの下位4ビットが、0111から1000に遷移した範囲である。
図11のA5の範囲は、キャパシターC5が非選択であり、キャパシターC4、C3、C2、C1が選択された状態から、キャパシターC5が選択され、キャパシターC4、C3、C2、C1が非選択となる状態に遷移した範囲である。即ち制御データDCNの下位5ビットが、01111から10000に遷移した範囲である。このように容量値変化の線形性が悪化すると、例えば後述の
図23に示すように可変容量回路30を発振器4の回路装置20に用いた場合には、発振周波数の精度が劣化するなどの問題を招く。
【0038】
そして、このような容量値変化の線形性の悪化が発生するのは、スイッチオン時とスイッチオフ時とでグランド等に対する寄生容量が変化してしまうことが原因であることが判明した。例えば
図12に、
図8の並列接続MIMのキャパシターC18~C4についての、スイッチオン時における寄生容量CP1を含む等価回路図と、スイッチオフ時における寄生容量CP1、CPG1、CSWを含む等価回路図を示す。CP1はキャパシターの2つの電極間に生じる寄生容量であり、CPG1はキャパシターの電極とグランドとの間に生じる寄生容量であり、CSWは、スイッチのドレイン等に生じる寄生容量である。また
図13に、
図8の並列接続MIMのキャパシターC3、C2についての、スイッチオン時における寄生容量CP1、CP2、CPG2を含む等価回路図と、スイッチオフ時における寄生容量CP1、CP2、CPG1、CPG2、CSWを含む等価回路図を示す。CP1、CP2はキャパシターの2つの電極間に生じる寄生容量であり、CPG1、CPG2はキャパシターの電極とグランドとの間に生じる寄生容量である。なおCは1つのMIMキャパシターを示している。また
図14に、
図8の並列接続MIMのキャパシターC1についての、スイッチオン時における寄生容量CP1~CP4、CPG2~CPG4を含む等価回路図と、スイッチオフ時における寄生容量CP1~CP4、CPG1~CPG4、CSWを含む等価回路図を示す。CP1~CP4はキャパシターの2つの電極間に生じる寄生容量であり、CPG1~CPG4はキャパシターの電極とグランドとの間に生じる寄生容量である。このように並列接続MIMのキャパシターと直列接続MIMのキャパシターとでは、スイッチオン時やスイッチオフ時における寄生容量の場所や付き方が異なっている。
【0039】
ここで第1キャパシターCjである並列接続MIMのキャパシターについての第1ノードN1とグランドノードNGとの間の容量値を第1容量値とする。
図12に示すようにスイッチオン時における並列接続MIMのキャパシターC18~C4の第1ノードN1とグランドノードNGとの間の容量値である第1容量値は、2つのMIMキャパシター(C)が並列接続されたキャパシターC18~C4と、キャパシターC18~C4の寄生容量CP1とによる容量値である。またスイッチオフ時における並列接続MIMのキャパシターC18~C4の第1容量値は、キャパシターC18~C4と、キャパシターC18~C4の寄生容量CP1、CPG1、CSWとによる容量値である。
【0040】
また第2キャパシターCiである直列接続MIMのキャパシターについての第1ノードN1とグランドノードNGとの間の容量値を第2容量値とする。
図13に示すようにスイッチオン時における直列接続MIMのキャパシターC3、C2の第1ノードN1とグランドノードNGとの間の容量値である第2容量値は、2つのMIMキャパシター(C)が直列接続されたキャパシターC3、C2と、キャパシターC3、C2の寄生容量CP1、CP2、CPG2とによる容量値である。またスイッチオフ時における直列接続MIMのキャパシターC3、C2の第2容量値は、キャパシターC3、C2と、キャパシターC3、C2の寄生容量CP1、CP2、CPG1、CPG2、CSWとによる容量値である。また
図14に示すようにスイッチオン時における直列接続MIMのキャパシターC1の第1ノードN1とグランドノードNGとの間の第2容量値は、4つのMIMキャパシター(C)が直列接続されたキャパシターC1と、キャパシターC1の寄生容量CP1~CP4、CPG2~CPG4とによる容量値である。またスイッチオフ時における直列接続MIMのキャパシターC1の第2容量値は、キャパシターC1と、キャパシターC1の寄生容量CP1~CP4、CPG1~CPG4、CSWとによる容量値である。
【0041】
図15は、第1キャパシターCjである並列接続MIMのキャパシターC18~C4と、第2キャパシターCiである直列接続のMIMキャパシターC3~C1の容量値の一例である。
図15の1行目には、スイッチオン時における並列接続MIMのキャパシターC18~C4の第1ノードN1とグランドノードNGとの間の第1容量値と、スイッチオン時における直列接続MIMのキャパシターC3~C1の第1ノードN1とグランドノードNGとの間の第2容量値が示されている。ここで並列接続MIMのキャパシターC18~C4におけるスイッチオン、スイッチオフとは、第1スイッチSWjであるスイッチSW18~SW4がオン、オフになることである。また直列接続MIMのキャパシターC3~C1におけるスイッチオン、スイッチオフとは、第2スイッチSWiであるスイッチSW3~SW1がオン、オフになることである。
【0042】
また
図15の2行目には、スイッチオフ時における並列接続MIMのキャパシターC18~C4の第1ノードN1とグランドノードNGとの間の第1容量値と、スイッチオフ時における直列接続MIMのキャパシターC3~C1の第1ノードN1とグランドノードNGとの間の第2容量値が示されている。
【0043】
そして
図15の3行目には、並列接続MIMのキャパシターC18~C4についてのスイッチオン時の第1容量値とスイッチオフ時の第1容量値の、制御データDCNの1LSB当たりにおける第1容量差が示されている。
【0044】
キャパシターC4を例にとると、スイッチSW4がオンとなるスイッチオン時の第1容量値は117.62fFであり、スイッチオフ時の第1容量値は16.08fFである。そしてキャパシターC4の容量値はCであり、LSBに対応するキャパシターC1の容量値(1/8)×Cの8倍である。従って、キャパシターC4についてのスイッチオン時の第1容量値とスイッチオフ時の第1容量値の1LSB当たりの第1容量差は、(117.62-16.08)/8=12.69fFになる。またキャパシターC5を例にとると、スイッチSW5がオンとなるスイッチオン時の第1容量値は234.42fFであり、スイッチオフ時の第1容量値は30.58fFである。そしてキャパシターC5の容量値は2Cであり、LSBに対応するキャパシターC1の容量値(1/8)×Cの16倍である。従って、キャパシターC5についてのスイッチオン時の第1容量値とスイッチオフ時の第1容量値の1LSB当たりの第1容量差は、(234.42-30.58)/16=12.74fFになる。キャパシターC6、C7、C18~C8の1LSB当たりの第1容量差も、同様に、12.77fF、12.76fF、12.76fFと計算される。
【0045】
また
図15の3行目には、直列接続MIMのキャパシターC3~C1についてのスイッチオン時の第2容量値とスイッチオフ時の第2容量値の、制御データDCNの1LSB当たりにおける第2容量差が示されている。キャパシターC3を例にとると、スイッチSW3がオンとなるスイッチオン時の第2容量値は52.50fFであり、スイッチオフ時の第2容量値は16.93fFである。そしてキャパシターC3の容量値は(1/2)×Cであり、キャパシターC1の容量値の4倍である。従って、キャパシターC3についてのスイッチオン時の第2容量値とスイッチオフ時の第2容量値の1LSB当たりの第2容量差は、(52.50-16.93)/4=8.89fFになる。またキャパシターC2を例にとると、スイッチSW2がオンとなるスイッチオン時の第2容量値は26.28fFであり、スイッチオフ時の第2容量値は9.33fFである。そしてキャパシターC2の容量値は(1/4)×Cであり、キャパシターC1の容量値の2倍である。従って、キャパシターC2についてのスイッチオン時の第2容量値とスイッチオフ時の第2容量値の1LSB当たりの第2容量差は、(26.28-9.33)/2=8.48fFになる。またキャパシターC1についてのスイッチオン時の第2容量値とスイッチオフ時の第2容量値の1LSB当たりの第2容量差は、16.02-11.40=4.62fFになる。
【0046】
このように、並列接続MIMのキャパシターC18~C4のスイッチオン時とスイッチオフ時の第1容量差と、直列接続MIMのキャパシターC3~C1のスイッチオン時とスイッチオフ時の第2容量差とが、大きく異なっており、これが原因で、
図11のA4、A5に示すように容量値変化の線形性が悪化する。例えばキャパシターC4のスイッチSW4がオフであり、キャパシターC3~C1のスイッチSW3~SW1がオンである状態から、スイッチSW4がオンであり、スイッチSW3~SW1がオフである状態に遷移したときに、第1容量差と第2容量差の差分に対応する、容量値変化の線形性の悪化が発生する。例えば第1容量差と第2容量差の差分値が大きいほど、線形性の悪化の度合いが大きくなる。このように第1容量差と第2容量差とが大きく異なるのは、
図12~
図14に示すように、並列接続MIMのキャパシターと直列接続MIMのキャパシターとでは寄生容量の場所や付き方が異なっており、直列接続MIMのキャパシターではより多くの寄生容量が発生してしまうからである。
【0047】
そこで本実施形態では、
図15に示す並列接続MIMのキャパシターの第1容量差と、直列接続MIMのキャパシターの第2容量差とが近づくようにする手法を採用する。例えば第1容量差を小さくしたり、或いは第2容量差を大きくすることで、第1容量差と第2容量差が近づくようになり、容量値変化の線形性を向上できる。具体的には並列接続MIMのキャパシターについては、グランドに対する寄生容量の値を増加させる。これにより、例えばスイッチオフ時の容量値が大きくなることで、第1容量差が小さくなり、第1容量差と第2容量差が近づくため、容量値変化の線形性を向上できるようになる。また直列接続MIMのキャパシターについては、グランドに対する寄生容量の値を減少させる。これにより、例えばスイッチオフ時の容量値が小さくなることで、第2容量差が大きくなり、第1容量差と第2容量差が近づくため、容量値変化の線形性を向上できるようになる。
【0048】
このように本実施形態では、第1キャパシターである並列接続MIMのキャパシターと、並列接続MIMのキャパシターの寄生容量とによる第1ノードN1とグランドノードNGとの間の容量値を第1容量値としている。また第2キャパシターである直列接続MIMのキャパシターと、直列接続MIMのキャパシターの寄生容量とによる第1ノードN1とグランドノードNGとの間の容量値を第2容量値としている。そして並列接続MIMのキャパシターのスイッチである第1スイッチがオンであるときの第1容量値と、第1スイッチがオフであるときの第1容量値の、制御データDCNの1LSB当たりにおける容量差を第1容量差とする。また直列接続MIMのキャパシターのスイッチである第2スイッチがオンであるときの第2容量値と、第2スイッチがオフであるときの第2容量値の、制御データDCNの1LSB当たりにおける容量差を第2容量差とする。このときに本実施形態では、この第1容量差と第2容量差を近づける手法を採用する。
【0049】
具体的には本実施形態では、並列接続MIMのキャパシターの第1容量差と直列接続MIMのキャパシターの第2容量差を近づける手法として、
図2~
図7で説明した手法を採用する。例えば平面視において、並列接続MIMの第1キャパシターCjの第1電極EDj、ECj、EBjと、第1キャパシターCjを囲む第1グランドシールドGSjと、直列接続MIMの第2キャパシターCiの第2電極EDi、ECi、EBiと、第2キャパシターCiを囲む第2グランドシールドGSiの少なくとも1つの形状パターンが設定される。ここで、
図8、
図15ではキャパシターC18~C4が並列接続MIMの第1キャパシターCjである。またキャパシターC3~C1が直列接続MIMの第2キャパシターCiである。
【0050】
このようにすれば、第1電極EDj、ECj、EBj、第1グランドシールドGSj、第2電極EDi、ECi、EBi又は第2グランドシールドGSiの形状パターンを所定の形状パターンに設定することで、第1容量差と第2容量差を近づけることが可能になる。例えば、これらの電極やグランドシールドを、第1キャパシターCjの寄生容量の値を増加させたり、第2キャパシターCiの寄生容量の値を減少させるような形状パターンに設定することで、第1容量差と第2容量差を近づけることが可能になる。そして第1容量差と第2容量差が近づくことで、
図11のA4、A5に示すような線形性の悪化を抑制でき、容量値変化の線形性を向上できる可変容量回路30の実現が可能になる。
【0051】
更に具体的には本実施形態では、第1容量差と第2容量差が近づくように、第1電極EDj、ECj、EBjと第1グランドシールドGSjとの第1配置関係、第2電極EDi、ECi、EBiと第2グランドシールドGSiとの第2配置関係の少なくとも一方が設定される。例えば第1配置関係として、第1電極EDj、ECj、EBjと第1グランドシールドGSjの距離関係や側面の対向面積の関係などが設定される。また第2配置関係として、第2電極EDi、ECi、EBiと第2グランドシールドGSiの距離関係や側面の対向面積の関係などが設定される。このようにすれば、第1電極EDj、ECj、EBjと第1グランドシールドGSjとの第1配置関係や、第2電極EDi、ECi、EBiと第2グランドシールドGSiとの第2配置関係を所定の配置関係に設定することで、第1容量差と第2容量差を近づけることが可能になる。例えば、第1配置関係や第2配置関係を、第1キャパシターCjの寄生容量の値を増加させたり、第2キャパシターCiの寄生容量の値を減少させるような配置関係に設定することで、第1容量差と第2容量差を近づけることが可能になる。そして第1容量差と第2容量差が近づくことで、
図11のA4、A5に示すような線形性の悪化を抑制でき、容量値変化の線形性を向上できる可変容量回路30の実現が可能になる。
【0052】
次に第1容量差を第2容量差に近づける具体的な手法について
図16~
図21を用いて説明する。まず
図16~
図18を用いて、並列接続MIMの第1キャパシターCjの寄生容量を増加させることで、第1容量差を第2容量差に近づける手法について説明する。
【0053】
例えば
図16は本実施形態の手法を採用しなかった場合における第1キャパシターCjについての形状パターンや配置関係の例である。
図16では、第1電極EDjと第1グランドシールドGSjとの間の第1方向DR1での距離LA1や第2方向DR2での距離LB1が長くなっている。
【0054】
一方、
図17は本実施形態の手法を採用した場合における第1キャパシターCjについての形状パターンや配置関係の例である。
図17では、第1電極EDjと第1グランドシールドGSjとの間の第1方向DR1での距離LA1や第2方向DR2での距離LB1が、
図16に比べて短くなっている。このように距離LA1、LB1が短くなることで、グランドに対する寄生容量の値が増加する。例えば
図12の寄生容量CPG1の値が増加する。そして寄生容量の値が増加することで、
図15において、並列接続MIMの第1キャパシターCjのスイッチオフ時の第1容量値が増加し、これによりスイッチオン時の第1容量値とスイッチオフ時の第1容量値の容量差である第1容量差が減少する。並列接続MIMの第1キャパシターCjの第1容量差は、直列接続MIMの第2キャパシターCiの第2容量差よりも大きいため、このように第1容量差が減少することで、第1容量差と第2容量差が近づくようになる。これにより、
図11のA4、A5に示すような線形性の悪化を抑制でき、可変容量回路30の容量値変化の線形性を向上できるようになる。
【0055】
また
図18では、第1電極EDjと第1グランドシールドGSjを、平面視において側面同士が対応する櫛歯形状にすることで、隣接する側面の対向面積を増加させている。具体的には、第1電極EDjは、平面視における形状が凸状となる第1部分P1と、平面視における形状が凸状となる第2部分P2を有する。また第1グランドシールドGSjは、側面が第1電極EDjの第1部分P1の側面に対向し、平面視における形状が凹状となる第3部分P3と、側面が第1電極EDjの第2部分P2の側面に対向し、平面視における形状が凹状となる第4部分P4を有する。例えば第1電極EDjの凸状の第1部分P1は、第1グランドシールドGSjの凹状の第3部分P3と例えば3方向において側面が対向している。即ち凸状の第1部分P1を3方向において囲むように凹状の第3部分P3が形成されている。また第1電極EDjの凸状の第2部分P2は、第1グランドシールドGSjの凹状の第4部分P4と例えば3方向において側面が対向している。即ち凸状の第2部分P2を3方向において囲むように凹状の第4部分P4が形成されている。このようにすれば、第1電極EDjの側面と対向する第1グランドシールドGSjの側面の対向面積を増加させることができる。このように第1電極EDjと第1グランドシールドGSjの側面の対向面積が増加することで、グランドに対する寄生容量の値が増加する。例えば
図12の寄生容量CPG1の値が増加する。そして寄生容量の値が増加することで、並列接続MIMの第1キャパシターCjのスイッチオフ時の第1容量値が増加し、これによりスイッチオン時の第1容量値とスイッチオフ時の第1容量値の容量差である第1容量差が減少する。並列接続MIMの第1キャパシターCjの第1容量差は、直列接続MIMの第2キャパシターCiの第2容量差よりも大きいため、このように第1容量差が減少することで、第1容量差と第2容量差が近づくようになり、可変容量回路30の容量値変化の線形性を向上できるようになる。
【0056】
次に
図19~
図21を用いて、直列接続MIMの第2キャパシターCiの寄生容量を減少させることで、第1容量差を第2容量差に近づける手法について説明する。
【0057】
例えば
図19は本実施形態の手法を採用しなかった場合における第2キャパシターCiについての形状パターンや配置関係の例である。
図19では、第2電極EBi、ECi、EDiと第2グランドシールドGSiとの間の第1方向DR1での距離LA2や第2方向DR2での距離LB2が短くなっている。
【0058】
一方、
図20、
図21は本実施形態の手法を採用した場合における第2キャパシターCiについての形状パターンや配置関係の例である。
図20では、第2電極EBi、ECi、EDiと第2グランドシールドGSiとの間の第1方向DR1での距離LA2が、
図19に比べて長くなっている。
図21では、第2電極EBi、ECi、EDiと第2グランドシールドGSiとの間の第2方向DR2での距離LB2が、
図19に比べて長くなっている。このように距離LA2、LB2が長くなることで、グランドに対する寄生容量の値が減少する。例えば
図13の寄生容量CPG1、CPG2の値が減少する。そして寄生容量の値が減少することで、
図15において、直列接続MIMの第2キャパシターCiのスイッチオフ時の第2容量値が減少し、これによりスイッチオン時の第2容量値とスイッチオフ時の第2容量値の容量差である第2容量差が増加する。直列接続MIMの第2キャパシターCiの第2容量差は、並列接続MIMの第1キャパシターCjの第1容量差よりも小さいため、このように第2容量差が増加することで、第1容量差と第2容量差が近づくようになる。これにより、
図11のA4、A5に示すような線形性の悪化を抑制でき、可変容量回路30の容量値変化の線形性を向上できるようになる。
【0059】
このように本実施形態では、並列接続MIMの第1キャパシターCjにおいては、
図17に示すように、第1電極EDj等と第1グランドシールドGSjとの間の第1方向DR1での距離LA1を短くする。一方、直列接続MIMの第2キャパシターCiにおいては、
図20に示すように、第2電極EBi、ECi、EDiと第2グランドシールドGSiとの間の第1方向DR1での距離LA2を長くする。即ち、距離LA1、LA2についてLA2>LA1の関係が成り立つようにする。このようにLA2>LA1の関係が成り立てば、並列接続MIMの第1キャパシターCjにおいては
図17に示すように距離LA1が短くなることで、グランドに対する寄生容量の値が増加し、並列接続MIMの第1キャパシターCjのスイッチオフ時の第1容量値が増加する。これによりスイッチオン時の第1容量値とスイッチオフ時の第1容量値の容量差である第1容量差が減少し、並列接続MIMの第1キャパシターCjの第1容量差と直列接続MIMの第2キャパシターCiの第2容量差が近づくようになり、可変容量回路30の容量値変化の線形性を向上できるようになる。またLA2>LA1の関係が成り立てば、直列接続MIMの第2キャパシターCiにおいては
図20に示すように距離LA2が長くなることで、グランドに対する寄生容量の値が減少し、直列接続MIMの第2キャパシターCiのスイッチオフ時の第2容量値が減少する。これによりスイッチオン時の第2容量値とスイッチオフ時の第2容量値の容量差である第2容量差が増加し、並列接続MIMの第1キャパシターCjの第1容量差と直列接続MIMの第2キャパシターCiの第2容量差が近づくようになり、可変容量回路30の容量値変化の線形性を向上できるようになる。
【0060】
また本実施形態では、並列接続MIMの第1キャパシターCjにおいては、
図17に示すように、第1電極EDj等と第1グランドシールドGSjとの間の第2方向DR2での距離LB1を短くする。一方、直列接続MIMの第2キャパシターCiにおいては、
図21に示すように、第2電極EBi、ECi、EDiと第2グランドシールドGSiとの間の第2方向DR2での距離LB2を長くする。即ち、距離LB1、LB2についてLB2>LB1の関係が成り立つようにする。このようにLB2>LB1の関係が成り立てば、並列接続MIMの第1キャパシターCjにおいては
図17に示すように距離LB1が短くなることで、グランドに対する寄生容量の値が増加し、並列接続MIMの第1キャパシターCjのスイッチオフ時の第1容量値が増加する。これによりスイッチオン時の第1容量値とスイッチオフ時の第1容量値の第1容量差が減少し、第1容量差と第2容量差が近づくようになり、可変容量回路30の容量値変化の線形性を向上できるようになる。またLB2>LB1の関係が成り立てば、直列接続MIMの第2キャパシターCiにおいては
図21に示すように距離LB2が長くなることで、グランドに対する寄生容量の値が減少し、直列接続MIMの第2キャパシターCiのスイッチオフ時の第2容量値が減少する。これによりスイッチオン時の第2容量値とスイッチオフ時の第2容量値の第2容量差が増加し、第1容量差と第2容量差が近づくようになり、可変容量回路30の容量値変化の線形性を向上できるようになる。
【0061】
また
図17、
図18に示すように、並列接続MIMの第1キャパシターCjの第1電極EDjは、例えば一端がグランドノードNGに接続される第1スイッチSWjの他端に接続される電極である。このようにすれば、第1電極EDjの形状パターンを設定したり、第1電極EDjと第1グランドシールドGSjとの第1配置関係を設定することで、例えばグランドに対する寄生容量の値を増加させることが可能になる。例えば
図17に示すように第1電極EDjと第1グランドシールドGSjとの間の距離LA1、LB1を減少させて、グランドに対する寄生容量の値を増加させたり、
図18に示すように第1電極EDjと第1グランドシールドGSjを櫛歯形状にすることで、グランドに対する寄生容量の値を増加させることが可能になる。そして、このように第1キャパシターCjの寄生容量の値を増加させて、第1キャパシターCjの第1容量差を減少させることで、第1キャパシターCjの第1容量差と第2キャパシターCiの第2容量差を近づけることが可能になり、可変容量回路30の容量値変化の線形性を向上できるようになる。なお並列接続MIMの第1キャパシターCjの第1電極は、例えば金属層ALBにより形成される第1電極EBjなどであってもよい。このようにすれば第1電極EBjの形状パターンを設定したり、第1電極EBjと第1グランドシールドGSjとの第1配置関係を設定することで、グランドに対する寄生容量の値を増加させて、第1容量差と第2容量差を近づけることが可能になる。
【0062】
また
図20、
図21に示すように、直列接続MIMの第2キャパシターCiの第2電極EBiは、例えば一端がグランドノードNGに接続される第2スイッチSWiの他端に接続される電極である。このようにすれば、第2電極EBiの形状パターンを設定したり、第2電極EBiと第2グランドシールドGSiとの第2配置関係を設定することで、例えばグランドに対する寄生容量の値を減少させることが可能になる。例えば
図20、
図21に示すように第2電極EBiと第2グランドシールドGSiとの間の距離LA2、LB2を増加させることなどで、グランドに対する寄生容量の値を減少させることが可能になる。そして、このように第2キャパシターCiの寄生容量の値を減少させて、第2キャパシターCiの第2容量差を増加させることで、第1キャパシターCjの第1容量差と第2キャパシターCiの第2容量差を近づけることが可能になり、可変容量回路30の容量値変化の線形性を向上できるようになる。
【0063】
また直列接続MIMの第2キャパシターCiの第2電極は、
図3に示すように、直列接続される複数のMIMキャパシターCM3、CM4の中間接続ノードに接続される第2電極ECiであってもよい。即ち第2電極は、金属層ALCにより形成される第2電極ECiであってもよい。このようにすれば、第2電極ECiの形状パターンを設定したり、第2電極ECiと第2グランドシールドGSiとの第2配置関係を設定することで、例えばグランドに対する寄生容量の値を減少させることが可能になる。例えば
図20、
図21に示すように第2電極ECiと第2グランドシールドGSiとの間の距離LA2、LB2を増加させることなどで、グランドに対する寄生容量の値を減少させて、第1容量差と第2容量差を近づけることが可能になり、可変容量回路30の容量値変化の線形性を向上できるようになる。なお直列接続MIMの第2キャパシターCiの第2電極は、例えば金属層ALDにより形成される第2電極EDiであってもよい。このようにすれば第2電極EDiの形状パターンを設定したり、第2電極EDiと第2グランドシールドGSiとの第2配置関係を設定することで、グランドに対する寄生容量の値を減少させて、第1容量差と第2容量差を近づけることが可能になる。
【0064】
また
図2、
図17、
図18に示すように、並列接続MIMの第1キャパシターCjは、平面視の方向にスタックされ且つ並列接続されたMIMキャパシターCM1、CM2を含む。CM1は第1MIMキャパシターであり、CM2は第2MIMキャパシターである。また
図3、
図20、
図21に示すように、直列接続MIMの第2キャパシターCiは、平面視の方向にスタックされ且つ直列接続されたMIMキャパシターCM3、CM4を含む。CM3は第3MIMキャパシターであり、CM4は第4MIMキャパシターである。このように、縦方向である平面視の方向にスタックされたMIMキャパシターCM1、CM2により並列接続MIMの第1キャパシターCjを構成し、平面視の方向にスタックされたMIMキャパシターCM3、CM4により直列接続MIMの第2キャパシターCiを構成すれば、少ないレイアウト面積により、第1キャパシターCj、第2キャパシターCiを実現できるようになる。即ち、縦方向である平面視の方向にMIMキャパシターがスタックされることで、横方向での面積の増加を抑えながら、並列接続MIMの第1キャパシターCjや直列接続MIMの第2キャパシターCiを実現できるようになる。これにより可変容量回路30のレイアウト面積を小さくすることができ、例えば
図23に示すような可変容量回路30を含む回路装置20の小型化を実現できるようになる。
【0065】
また
図2、
図4に示すように、第1グランドシールドGSjは、平面視においてMIMキャパシターCM1とMIMキャパシターCM2を囲み、第2グランドシールドGSiは、平面視においてMIMキャパシターCM3とMIMキャパシターCM4を囲んでいる。このようにすれば、第1キャパシターCjを構成するMIMキャパシターCM1、CM2が第1グランドシールドGSjにより囲まれるようになり、MIMキャパシターCM1、CM2と第1グランドシールドGSjの外側の部材との間において無用な寄生容量が形成されてしまうのを防止できる。また第2キャパシターCiを構成するMIMキャパシターCM3、CM4が第2グランドシールドGSiにより囲まれるようになり、MIMキャパシターCM3、CM4と第2グランドシールドGSiの外側の部材との間において無用な寄生容量が形成されてしまうのを防止できる。
【0066】
また本実施形態では可変容量回路30のキャパシターアレイ32の複数のキャパシターは、容量値がバイナリーに重み付けされている。
図8を例にとればキャパシターC7、C6、C5、C4、C3、C2、C1は、その容量値が、8C、4C、2C、1C、(1/2)×C、(1/4)×C、(1/8)×Cというようにバイナリーに重み付けされている。このようにすれば、制御データDCNのバイナリーのコードにより、可変容量回路30の容量値をデジタル的に調整することが可能になる。なお可変容量回路30のキャパシターアレイ32は、例えば
図8のキャパシターC18~C8のように、容量値がバイナリーに重み付けされていないキャパシターを含んでいてもよい。
【0067】
図22に本実施形態の可変容量回路30のレイアウト配置例を示す。例えば
図22では、並列接続MIMのキャパシターC18~C8が、例えば第1方向DR1を長辺方向として、第2方向DR2に沿って並んで配置されている。また並列接続MIMのキャパシターC18~C8の例えば紙面において右下方向に、並列接続MIMのキャパシターC7~C4が、例えば第1方向DR1を長辺方向として配置されている。また並列接続MIMのキャパシターC18~C8の例えば紙面において左下方向に、直列接続MIMのキャパシターC3~C1が、例えば第1方向DR1を長辺方向として配置されている。並列接続MIMのキャパシターC18~C4では、例えば
図17に示すように距離LA1、LB1が小さくなるようにレイアウト配置されている。一方、直列接続MIMのキャパシターC1~C3では、例えば
図20、
図21に示すように距離LA2、LB2が大きくなるようにレイアウト配置されている。即ちLA2>LA1、LB2>LB1の関係が成り立つようなレイアウト配置が行われている。
【0068】
3.回路装置
図23に本実施形態の回路装置20の構成例を示す。本実施形態の回路装置20は発振回路40を含む。また回路装置20は、出力バッファー回路50、電源回路60、電源パッドPVDD、グランドパッドPGND、クロックパッドPCK、振動子接続用のパッドPX1、PX2を含むことができる。また本実施形態の発振器4は、振動子10と回路装置20を含む。振動子10は回路装置20に電気的に接続されている。例えば振動子10及び回路装置20を収納するパッケージの内部配線、ボンディグワイヤー又は金属バンプ等を用いて、振動子10と回路装置20は電気的に接続されている。
【0069】
振動子10は、電気的な信号により機械的な振動を発生する素子である。振動子10は、例えば水晶振動片などの振動片により実現できる。例えば振動子10は、カット角がATカットやSCカットなどの厚みすべり振動する水晶振動片、音叉型水晶振動片、或いは双音叉型水晶振動片などにより実現できる。例えば振動子10は、恒温槽を備えない温度補償型水晶発振器(TCXO)に内蔵されている振動子であってもよいし、恒温槽を備える恒温槽型水晶発振器(OCXO)に内蔵されている振動子であってもよい。或いは振動子10は、SPXO(Simple Packaged Crystal Oscillator)の発振器に内蔵される振動子であってもよい。なお本実施形態の振動子10は、例えば厚みすべり振動型、音叉型、又は双音叉型以外の振動片や、水晶以外の材料で形成された圧電振動片などの種々の振動片によっても実現できる。例えば振動子10として、SAW(Surface Acoustic Wave)共振子や、シリコン基板を用いて形成されたシリコン製振動子としてのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子等を採用してもよい。
【0070】
回路装置20は、例えば半導体プロセスにより製造されるIC(Integrated Circuit)であり、半導体基板上に回路素子が形成された半導体チップである。
図23では回路装置20は、発振回路40、出力バッファー回路50、電源回路60を含んでいる。
【0071】
発振回路40は振動子10を発振させる回路である。例えば発振回路40は、パッドPX1、PX2に電気的に接続され、振動子10を発振させることで発振信号OSCを生成する。パッドPX1は第1パッドであり、パッドPX2は第2パッドである。例えば発振回路40は、パッドPX1とパッドPX2との間に設けられた発振用の駆動回路と、キャパシターや抵抗などの能動素子により実現できる。駆動回路は、例えばCMOSのインバーター回路やバイポーラートランジスターにより実現できる。駆動回路は、発振回路40のコア回路であり、駆動回路が、振動子10を電圧駆動又は電流駆動することで、振動子10を発振させる。発振回路40としては、例えばインバーター型、ピアース型、コルピッツ型、又はハートレー型などの種々のタイプの発振回路を用いることができる。
【0072】
出力バッファー回路50は、発振信号OSCに基づくクロック信号CKQを出力する。例えば出力バッファー回路50は、発振信号OSCをバッファリングしてクロック信号CKQとしてクロックパッドPCKに出力する。そして、このクロック信号CKQが発振器4の外部端子TCKを介して外部に出力される。例えば出力バッファー回路50は、シングルエンドのCMOSの信号形式でクロック信号CKQを出力する。なお出力バッファー回路50が、CMOS以外の信号形式でクロック信号CKQを出力するようにしてもよい。例えば出力バッファー回路50は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)、PECL(Positive Emitter Coupled Logic)、HCSL(High Speed Current Steering Logic)、又は差動のCMOS(Complementary MOS)等の信号形式で、差動のクロック信号を外部に出力してもよい。
【0073】
電源回路60は、電源パッドPVDDからの電源電圧VDDやグランドパッドPGNDからのグランド電圧が供給されて、回路装置20の内部回路用の種々の電源電圧を内部回路に供給する。例えば電源回路60は、電源電圧VDDに基づくレギュレート電源電圧を発振回路40等に供給する。例えば電源回路60はレギュレーターを含み、このレギュレーターがレギュレート電源電圧を生成する。また電源回路60は、バイアス電流、バイアス電圧又はレギュレート電源電圧等の生成に用いられる基準電圧を生成する基準電圧生成回路を含むことができる。
【0074】
また回路装置20は、電源パッドPVDD、グランドパッドPGND、クロックパッドPCK、振動子接続用のパッドPX1、PX2を含む。これらのパッドは、例えば半導体チップである回路装置20の端子である。例えばパッド領域では、絶縁層であるパシベーション膜から金属層が露出しており、この露出した金属層により回路装置20のパッドが構成される。電源パッドPVDDは電源電圧VDDが入力されるパッドである。例えば外部の電源供給デバイスからの電源電圧VDDが電源パッドPVDDに供給される。グランドパッドPGNDは、グランド電圧であるGNDが供給される端子である。GNDはVSSと呼ぶこともでき、グランド電圧は例えば接地電位である。クロックパッドPCKは、クロック信号CKQが出力されるパッドである。例えば発振回路40での発振信号OSCに基づくクロック信号CKQがクロックパッドPCKから外部に出力される。電源パッドPVDD、グランドパッドPGND、クロックパッドPCKは、各々、発振器4の外部接続用の外部端子TVDD、TGND、TCKに電気的に接続される。例えばパッケージの内部配線、ボンディグワイヤー又は金属バンプ等を用いて電気的に接続される。そして発振器4の外部端子TVDD、TGND、TCKは外部デバイスに電気的に接続される。またパッドPX1、PX2は振動子10の接続用のパッドである。例えばパッドPX1は、振動子10の一端に電気的に接続され、パッドPX2は、振動子10の他端に電気的に接続される。例えば振動子10及び回路装置20を収納するパッケージの内部配線、ボンディグワイヤー又は金属バンプ等を用いて、振動子10と回路装置20のパッドPX1、PX2とが電気的に接続される。
【0075】
そして発振回路40は可変容量回路30を含み、この可変容量回路30の容量の調整により、発振周波数を調整できるようになっている。可変容量回路30は、
図1、
図8で説明したように、キャパシターアレイ32と、キャパシターアレイ32に直列に設けられるスイッチアレイ34とにより実現される。即ち可変容量回路30は、容量値がバイナリーに重み付けされた複数のキャパシターを有するキャパシターアレイ32と、各スイッチが、キャパシターアレイの各キャパシターとグランドノードNGとの間の接続のオン、オフを行う複数のスイッチを有するスイッチアレイ34とにより構成される。なお本実施形態における接続は電気的な接続である。電気的な接続は、電気信号が伝達可能に接続されていることであり、電気信号による情報の伝達が可能となる接続である。電気的な接続は受動素子等を介した接続であってもよい。
【0076】
以上のように本実施形態の回路装置20は、可変容量回路30を有する発振回路30を含み、発振回路30は、可変容量回路30の容量値により発振周波数が制御される。そして
図1、
図8等で説明した第1ノードN1は、発振回路40の発振ノードである。例えば第1ノードN1は、パッドPX1又はパッドPX2が接続されるノードであり、振動子10の一端又は他端が電気的に接続されるノードである。このように第1ノードN1が発振回路40の発振ノードとなるような可変容量回路30を設けることで、制御データDCNに基づいて可変容量回路30の容量値を制御することで、発振回路40の発振周波数を制御できるようになる。これにより例えば発振周波数の温度補償処理や発振周波数の微調整処理などを実現できるようになる。なお可変容量回路30として、パッドPX1に接続される第1可変容量回路とパッドPX2に接続される第2可変容量回路を設けてもよい。
【0077】
4.発振器
図24に本実施形態の発振器4の構造例を示す。本実施形態の発振器4は、回路装置20と、回路装置20の発振回路40により駆動されることで発振する振動子10を含む。具体的には発振器4は、振動子10と、回路装置20と、振動子10及び回路装置20を収容するパッケージ15を有する。パッケージ15は、例えばセラミック等により形成され、その内側に収容空間を有しており、この収容空間に振動子10及び回路装置20が収容されている。収容空間は気密封止されており、望ましくは真空に近い状態である減圧状態になっている。パッケージ15により、振動子10及び回路装置20を衝撃、埃、熱、湿気等から好適に保護することができる。
【0078】
パッケージ15はベース16とリッド17を有する。具体的にはパッケージ15は、振動子10及び回路装置20を支持するベース16と、ベース16との間に収容空間を形成するようにベース16の上面に接合されたリッド17とにより構成されている。そして振動子10は、ベース16の内側に設けられた段差部に端子電極を介して支持されている。また回路装置20は、ベース16の内側底面に配置されている。具体的には回路装置20は、能動面がベース16の内側底面に向くように配置されている。能動面は回路装置20の回路素子が形成される面である。また回路装置20の端子であるパッドにバンプBMPが形成されている。そして回路装置20は、導電性のバンプBMPを介してベース16の内側底面に支持される。導電性のバンプBMPは例えば金属バンプであり、このバンプBMPやパッケージ15の内部配線や端子電極などを介して、振動子10と回路装置20が電気的に接続される。また回路装置20は、バンプBMPやパッケージ15の内部配線を介して、発振器4の外部接続端子である外部端子18、19に電気的に接続される。外部端子18、19は、パッケージ15の外側底面に形成されている。外部端子18、19は、外部配線を介して外部デバイスに接続される。外部配線は、例えば外部デバイスが実装される回路基板に形成される配線などである。これにより外部デバイスに対してクロック信号などを出力できるようになる。
【0079】
なお
図24では、回路装置20の能動面が下方に向くように回路装置20がフリップ実装されているが、本実施形態はこのような実装には限定されない。例えば回路装置20の能動面が上方に向くように回路装置20を実装してもよい。即ち能動面が振動子10に対向するように回路装置20を実装する。或いは、発振器4は、ウェハレベルパッケージ(WLP)の発振器であってもよい。この場合には発振器4は、半導体基板と、半導体基板の第1面と第2面との間を貫通する貫通電極とを有するベースと、半導体基板の第1面に対して、金属バンプ等の導電性の接合部材を介して固定される振動子10と、半導体基板の第2面側に再配置配線層等の絶縁層を介して設けられる外部端子を含む。そして半導体基板の第1面又は第2面に、回路装置20となる集積回路が形成される。この場合には、振動子10及び集積回路が配置された複数のベースが形成された第1半導体ウェハーと、複数のリッドが形成された第2半導体ウェハーとを貼りつけることで、複数のベースと複数のリッドを接合し、その後にダイシングソー等によって発振器4の個片化を行う。このようにすれば、ウェハレベルパッケージの発振器4の実現が可能になり、高スループット、且つ、低コストでの発振器4の製造が可能になる。
【0080】
以上に説明したように本実施形態の可変容量回路は、容量値が制御データに基づいて可変に制御される可変容量回路であって、複数のキャパシターを含むキャパシターアレイと、制御データに基づきオン又はオフにされる複数のスイッチを有し、第1ノードとグランドノードとの間にキャパシターアレイと直列に設けられるスイッチアレイと、を含む。そしてキャパシターアレイは、複数のMIMキャパシターが並列接続された第1キャパシターと、複数のMIMキャパシターが直列接続された第2キャパシターと、を含む。またスイッチアレイは、第1ノードとグランドノードとの間に、第1キャパシターと直列接続される第1スイッチと、第1ノードとグランドノードとの間に、第2キャパシターと直列接続される第2スイッチと、を含む。そして第1キャパシターと第1キャパシターの寄生容量とによる第1ノードとグランドノードとの間の容量値を第1容量値とし、第2キャパシターと第2キャパシターの寄生容量とによる第1ノードとグランドノードとの間の容量値を第2容量値とする。また第1スイッチがオンであるときの第1容量値と第1スイッチがオフであるときの第1容量値の、制御データの1LSB当たりにおける第1容量差と、第2スイッチがオンであるときの第2容量値と第2スイッチがオフであるときの第2容量値の、制御データの1LSB当たりにおける第2容量差とする。このときに第1容量差と第2容量差が近づくように、平面視において、第1キャパシターの電極である第1電極、第1キャパシターを囲む第1グランドシールド、第2キャパシターの電極である第2電極、及び第2キャパシターを囲む第2グランドシールドの少なくとも1つの形状パターンが設定されている。
【0081】
このように本実施形態の可変容量回路は、複数のMIMキャパシターが並列接続された第1キャパシターと複数のMIMキャパシターが直列接続された第2キャパシターとを有するキャパシターアレイと、第1スイッチと第2スイッチとを有するスイッチアレイを含む。そして第1スイッチがオンである時とオフである時の第1キャパシターの第1容量値の1LSB当たりの第1容量差と、第2スイッチがオンである時とオフである時の第2キャパシターの第2容量値の1LSB当たりの第2容量差とが近づくように、第1キャパシターの第1電極、第1グランドシールド、第2キャパシターの第2電極及び第2グランドシールドの少なくとも1つの形状パターンが設定される。このようにすれば、第1電極、第1グランドシールド、第2電極又は第2グランドシールドの形状パターンを所定の形状パターンに設定することで、第1容量差と第2容量差を近づけることが可能になり、第1容量差と第2容量差が近づくことで、容量値変化の線形性の悪化を抑制できるようになる。従って、容量値変化の線形性を向上できる可変容量回路等の提供が可能になる。
【0082】
また本実施形態では、第1容量差と第2容量差が近づくように、第1電極と第1グランドシールドとの第1配置関係、及び第2電極と第2グランドシールドとの第2配置関係の少なくとも一方が設定されてもよい。
【0083】
このようにすれば、第1電極と第1グランドシールドとの第1配置関係や、第2電極と第2グランドシールドとの第2配置関係を所定の配置関係に設定することで、第1容量差と第2容量差を近づけることが可能になり、第1容量差と第2容量差が近づくことで、可変容量回路の容量値変化の線形性を向上できるようになる。
【0084】
また本実施形態では、平面視における、第1電極と第1グランドシールドとの間の第1方向での距離をLA1とし、第2電極と第2グランドシールドとの間の第1方向での距離をLA2としたとき、LA2>LA1であてもよい。
【0085】
このようにすれば、第1キャパシターにおいては、第1電極と第1グランドシールドとの間の第1方向での距離LA1が短くなることで、グランドに対する寄生容量の値が増加し、第2キャパシターにおいては、第2電極と第2グランドシールドとの間の第1方向での距離LA2が長くなることで、グランドに対する寄生容量の値が減少する。これにより第1キャパシターの第1容量差と第2キャパシターの第2容量差が近づくようになり、可変容量回路の容量値変化の線形性を向上できるようになる。
【0086】
また本実施形態の可変容量回路は、容量値が制御データに基づいて可変に制御される可変容量回路であって、複数のキャパシターを含むキャパシターアレイと、制御データに基づきオン又はオフにされる複数のスイッチを有し、第1ノードとグランドノードとの間にキャパシターアレイと直列に設けられるスイッチアレイと、を含む。そしてキャパシターアレイは、複数のMIMキャパシターが並列接続された第1キャパシターと、複数のMIMキャパシターが直列接続された第2キャパシターと、を含む。またスイッチアレイは、第1ノードとグランドノードとの間に、第1キャパシターと直列接続される第1スイッチと、第1ノードとグランドノードとの間に、第2キャパシターと直列接続される第2スイッチと、を含む。そして平面視における、第1キャパシターの第1電極と第1キャパシターを囲む第1グランドシールドとの間の第1方向での距離をLA1とし、第2キャパシターの第2電極と第2キャパシターを囲む第2グランドシールドとの間の第1方向での距離をLA2としたとき、LA2>LA1となる。
【0087】
このように本実施形態の可変容量回路は、複数のMIMキャパシターが並列接続された第1キャパシターと複数のMIMキャパシターが直列接続された第2キャパシターとを有するキャパシターアレイと、第1スイッチと第2スイッチとを有するスイッチアレイを含む。そして第1キャパシターの第1電極と第1グランドシールドとの間の第1方向での距離LA1と、第2キャパシターの第2電極と第2グランドシールドとの間の第1方向での距離をLA2について、LA2>LA1の関係が成り立つ。このようにすれば、第1キャパシターにおいては、第1電極と第1グランドシールドとの間の第1方向での距離LA1が短くなることで、グランドに対する寄生容量の値が増加し、第2キャパシターにおいては、第2電極と第2グランドシールドとの間の第1方向での距離LA2が長くなることで、グランドに対する寄生容量の値が減少する。これにより第1キャパシターの第1容量差と第2キャパシターの第2容量差が近づくようになり、可変容量回路の容量値変化の線形性を向上できるようになる。
【0088】
また本実施形態では、第1方向に直交する方向を第2方向とし、平面視における、第1電極と第1グランドシールドとの間の第2方向での距離をLB1とし、第2電極と第2グランドシールドとの間の第2方向での距離をLB2としたとき、LB2>LB1であってもよい。
【0089】
このようにすれば、第1キャパシターにおいては、第1電極と第1グランドシールドとの間の第2方向での距離LB1が短くなることで、グランドに対する寄生容量の値が増加し、第2キャパシターにおいては、第2電極と第2グランドシールドとの間の第2方向での距離LB2が長くなることで、グランドに対する寄生容量の値が減少する。これにより第1キャパシターの第1容量差と第2キャパシターの第2容量差が近づくようになり、可変容量回路の容量値変化の線形性を向上できるようになる。
【0090】
また本実施形態では、第1電極は、平面視における形状が凸状となる第1部分と、平面視における形状が凸状となる第2部分と、を有し、第1グランドシールドは、側面が第1部分の側面に対向し、平面視における形状が凹状となる第3部分と、側面が第2部分の側面に対向し、平面視における形状が凹状となる第4部分と、を有してもよい。
【0091】
このようにすれば、第1キャパシターにおいて、第1電極の側面と対向する第1グランドシールドの側面の対向面積を増加させることで、グランドに対する寄生容量の値が増加させて、第1キャパシターの第1容量差と第2キャパシターの第2容量差を近づけることが可能になる。
【0092】
また第1電極は、一端がグランドノードに接続される第1スイッチの他端に接続される電極であってもよい。
【0093】
このようにすれば、第1キャパシターの第1電極の形状パターンを設定したり、第1電極と第1グランドシールドとの第1配置関係を設定することで、グランドに対する寄生容量の値を増加させて、第1キャパシターの第1容量差と第2キャパシターの第2容量差を近づけることが可能になる。
【0094】
また本実施形態では、第2電極は、一端がグランドノードに接続される第2スイッチの他端に接続される電極であってもよい。
【0095】
このようにすれば、第2キャパシターの第2電極の形状パターンを設定したり、第2電極と第2グランドシールドとの第2配置関係を設定することで、グランドに対する寄生容量の値を減少させて、第1キャパシターの第1容量差と第2キャパシターの第2容量差を近づけることが可能になる。
【0096】
また本実施形態では、第2電極は、直列接続される複数のMIMキャパシターの中間接続ノードに接続される電極であってもよい。
【0097】
このようにすれば、第2キャパシターの第2電極の形状パターンを設定したり、第2電極と第2グランドシールドとの第2配置関係を設定することで、グランドに対する寄生容量の値を減少させて、第1キャパシターの第1容量差と第2キャパシターの第2容量差を近づけることが可能になる。
【0098】
また本実施形態では、第1キャパシターは、平面視の方向にスタックされ且つ並列接続された第1MIMキャパシター及び第2MIMキャパシターを含み、第2キャパシターは、平面視の方向にスタックされ且つ直列接続された第3MIMキャパシター及び第4MIMキャパシターを含んでもよい。
【0099】
このように、平面視の方向にスタックされた第1MIMキャパシター、第2MIMキャパシターにより第1キャパシターを構成し、平面視の方向にスタックされた第3MIMキャパシター、第4MIMキャパシターにより第2キャパシターを構成すれば、少ないレイアウト面積により、第1キャパシター、第2キャパシターを実現できるようになる。
【0100】
また本実施形態では、第1グランドシールドは、平面視において第1MIMキャパシターと第2MIMキャパシターを囲み、第2グランドシールドは、平面視において第3MIMキャパシターと第4MIMキャパシターを囲んでもよい。
【0101】
このようにすれば、第1キャパシターを構成する第1MIMキャパシター、第2MIMキャパシターが第1グランドシールドにより囲まれるようになり、第2キャパシターを構成する第3MIMキャパシター、第4MIMキャパシターが第2グランドシールドにより囲まれるようになり、第1グランドシールドや第2グランドシールドの外側の部材との間で無用な寄生容量が形成されてしまうのを防止できる。
【0102】
また本実施形態では、キャパシターアレイの複数のキャパシターは、容量値がバイナリーに重み付けされてもよい。
【0103】
このようにすれば、制御データのバイナリーのコードにより、可変容量回路の容量値をデジタル的に調整することが可能になる。
【0104】
また本実施形態は、上記に記載された可変容量回路を有する発振回路を含み、発振回路は、可変容量回路の容量値により発振周波数が制御され、第1ノードは、発振回路の発振ノードであってもよい。
【0105】
また本実施形態は、上記に記載された可変容量回路と、可変容量回路の容量値により発振周波数が制御される発振回路と、を含み、第1ノードは、発振回路の発振ノードである回路装置に関係する。
【0106】
このように第1ノードが発振回路の発振ノードとなるような可変容量回路を設けることで、制御データに基づいて可変容量回路の容量値を制御することで、発振回路の発振周波数を制御できるようになる。
【0107】
また本実施形態は、上記に記載された回路装置と、発振回路により駆動されることで発振する振動子と、を含む発振器に関係する。
【0108】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また可変容量回路、回路装置、発振器の構成・動作等も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0109】
4…発振器、10…振動子、15…パッケージ、16…ベース、17…リッド、18、19…外部端子、20…回路装置、30…可変容量回路、32…キャパシターアレイ、34…スイッチアレイ、40…発振回路、50…出力バッファー回路、60…電源回路、ALB、ALC、ALD…金属層、BMP…バンプ、Cj…第1キャパシター、Ci…第2キャパシター、C1~C18、C5A、C5B、Cn…キャパシター、CKQ…クロック信号、CM1~CM4…MIMキャパシター、CP1~CP4、CPG1~CPG4、CPj、CPi…寄生容量、DCN…制御データ、DR1…第1方向、DR2…第2方向、EBj、ECj、EDj…第1電極、EBi、ECi、EDi、EBXi、EBYi、EDXi、EDYi…第2電極、GS…グランドシールド、GSj…第1グランドシールド、GSi…第2グランドシールド、LA1、LA2、LB1、LB2…距離、N1…第1ノード、NG…グランドノード、Ni、Nj…ノード、OSC…発振信号、P1…第1部分、P2…第2部分、P3…第3部分、P4…第4部分、PCK…クロックパッド、PGND…グランドパッド、PVDD…電源パッド、PX1、PX2…パッド、SW1~SW16、SWn…スイッチ、SWj…第1スイッチ、SWi…第2スイッチ、TCK…外部端子、TGND…外部端子、TP1、TP2、TP3、TP4…電極、TR…トランジスター、TVDD…外部端子、VBC…ビアコンタクト、VCD…ビアコンタクト