(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】充電設備
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241112BHJP
B60L 53/31 20190101ALI20241112BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 P
H02J7/00 S
B60L53/31
(21)【出願番号】P 2021021615
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 慶幸
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/165236(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/215423(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/011859(WO,A1)
【文献】特開2019-170050(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0009112(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 53/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に形成された凹部の底面に設置され、車両に搭載された蓄電装置の充電が可能な可動式の充電設備であって、
前記蓄電装置と接続可能な接続機器を含む可動部と、
前記可動部が地面下に収納された第1状態と、前記可動部が地面上に露出し、前記蓄電装置と前記接続機器との接続が可能な第2状態との間で前記可動部を昇降させる昇降装置と、
前記可動部の上方の障害物を検出する検出装置と、
前記昇降装置の動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第1状態であって、かつ、前記検出装置の検出結果を用いて前記可動部の上方に障害物があると判定される場合、前記可動部の上昇を禁止
し、
前記検出装置は、前記可動部の移動量に相当する状態量を検出し、
前記制御装置は、前記昇降装置を用いて前記第1状態の前記可動部に対して上昇する力を作用させるときに、前記検出結果に基づく前記可動部の移動量がしきい値よりも小さいと前記可動部の上方に前記障害物があると判定する、充電設備。
【請求項2】
前記充電設備は、前記充電設備の外部の機器との通信が可能な通信装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記可動部の上昇を禁止するときに、前記可動部の上昇を許可するか否かを問い合わせる情報を前記機器に送信し、
前記機器から前記可動部の上昇を許可する旨の情報を受信する場合に、前記可動部の上昇の禁止を解除する、請求項1に記載の充電設備。
【請求項3】
前記検出装置は、前記可動部の上面に載置される前記障害物の重量を検出し、
前記制御装置は、前記検出装置を用いて検出される前記障害物の重量がしきい値よりも大きいと前記可動部の上方に前記障害物があると判定する、請求項1または2に記載の充電設備。
【請求項4】
前記検出装置は、前記可動部の上方の障害物との距離を検出し、
前記制御装置は、前記検出装置を用いて検出される距離がしきい値よりも小さいと前記可動部の上方に前記障害物があると判定する、請求項1~
3のいずれかに記載の充電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載の蓄電装置を充電する可動式の充電設備の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載される蓄電装置を充電するための充電設備は、車両等の外部の駐車場や歩道に設置されるが、設置スペースを占有するため、歩行や車両の走行の妨げになる場合がある。そのため、充電設備を可動式とし、たとえば、地面下に収納させる技術が公知である。
【0003】
たとえば、特開2011-109807号公報(特許文献1)には、地面から立ち上がった状態になることができるとともに、地面下に収納された状態になるよう昇降可能に設置される充電用ポールが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような昇降可能な可動式の充電設備においては、利便性を向上させるために自動的に充電設備を地面から立ち上がった状態にすることが考えられる。しかしながら、自動的に充電設備を上昇させる場合において、地面下に収納された状態の充電設備の上方に障害物があると、充電設備に障害物が接触することで昇降させる機構に負担がかかり、充電設備が故障する虞がある。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、上方に障害物がある場合に故障を抑制する充電設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に係る充電設備は、地面に形成された凹部の底面に設置され、車両に搭載された蓄電装置の充電が可能な可動式の充電設備である。この充電設備は、蓄電装置と接続可能な接続機器を含む可動部と、可動部が地面下に収納された第1状態と、可動部が地面上に露出し、蓄電装置と接続機器との接続が可能な第2状態との間で可動部を昇降させる昇降装置と、可動部の上方の障害物を検出する検出装置と、昇降装置の動作を制御する制御装置とを備える。制御装置は、第1状態であって、かつ、検出装置の検出結果を用いて可動部の上方に障害物があると判定される場合、可動部の上昇を禁止する。
【0008】
このようにすると、可動部の上方に障害物があると判定されるときには、可動部の上昇が禁止されるので、昇降装置に負担がかかることが抑制される。その結果、充電設備の故障を抑制することができる。
【0009】
ある実施の形態においては、充電設備は、充電設備の外部の機器との通信が可能な通信装置をさらに備える。制御装置は、可動部の上昇を禁止するときに、可動部の上昇を許可するか否かを問い合わせる情報を機器に送信する。制御装置は、機器から可動部の上昇を許可する旨の情報を受信する場合に、可動部の上昇の禁止を解除する。
【0010】
このようにすると、ユーザの要求に応じて可動部を第1状態から第2状態になるように昇降装置の動作を制御することができる。
【0011】
さらにある実施の形態においては、検出装置は、可動部の上面に載置される障害物の重量を検出する。制御装置は、検出装置を用いて検出される障害物の重量がしきい値よりも大きいと可動部の上方に障害物があると判定する。
【0012】
このようにすると、可動部の上方に障害物があるか否かを検出装置を用いて精度高く判定することができる。
【0013】
さらにある実施の形態においては、検出装置は、可動部の移動量に相当する状態量を検出する。制御装置は、昇降装置を用いて第1状態の可動部に対して上昇する力を作用させるときに、検出結果に基づく可動部の移動量がしきい値よりも小さいと可動部の上方に障害物があると判定する。
【0014】
このようにすると、可動部の上方に障害物があるか否かを検出装置を用いて精度高く判定することができる。
【0015】
さらにある実施の形態においては、検出装置は、可動部の上方の障害物との距離を検出する。制御装置は、検出装置を用いて検出される距離がしきい値よりも小さいと可動部の上方に障害物があると判定する。
【0016】
このようにすると、可動部の上方に障害物があるか否かを検出装置を用いて精度高く判定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によると、上方に障害物がある場合に故障を抑制する充電設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】電動車両と、可動部が地面下に収納された状態の充電スタンドとの構成の一例を示す図である。
【
図2】電動車両と、可動部が地面上に露出した状態の充電スタンドとの構成の一例を示す図である。
【
図3】充電スタンドと駐車スペースとのレイアウトの一例を示す図である。
【
図4】充電スタンドと駐車スペースとのレイアウトの他の一例を示す図である。
【
図5】充電スタンドの上面に重量物が載置されている場合を説明するための図である。
【
図6】充電スタンドの制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】充電スタンドの制御装置の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【
図8】変形例における充電スタンドの制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】変形例における充電スタンドの制御装置で実行される処理の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0020】
以下では、本開示の実施の形態に係る充電設備である充電スタンド300の構成を一例として説明する。
図1は、電動車両200と、可動部300a(後述)が地面下に収納された状態の充電スタンド300の構成の一例を示す図である。
図2は、電動車両200と、可動部300aが地面上に露出した状態の充電スタンド300の構成の一例を示す図である。
【0021】
図1および
図2に示すように、充電スタンド300は、上端の位置が地面と略同じ位置となり、可動部300aが地面下に収納された第1状態(
図1参照)と、上端が地面上の所定位置まで上昇し、可動部300aが露出した第2状態(
図2参照)との間で昇降可能に構成される。
【0022】
充電スタンド300は、たとえば、円筒形状の筐体を有し、地面に形成される凹部の底面に設置される。地面に形成される凹部は、充電スタンド300の筐体の外周面と所定の間隙を有するように形成され、深さが第1状態の充電スタンド300の鉛直方向の長さと同程度になるように形成される。
【0023】
充電スタンド300は、可動部300aと、固定部300bとを含む。可動部300aの上部には、コネクタ302を収納可能な収納スペースが形成される。コネクタ302には、他方端が電源350に接続されるケーブル304の一方端が接続される。電源350は、たとえば、商用電源等によって構成される交流電源である。ケーブル304は、たとえば、カール部を有する形状的な伸縮部あるいは巻き取り構造を有する構造的な伸縮部を有し、コネクタ302が持ち出された場合には、駐車スペースに駐車された電動車両200のインレット220まで伸縮可能に構成される。
【0024】
可動部300aの上面には、重量センサ310が設けられる。重量センサ310は、可動部300aの上面に重量物が載置されているか否かを検出するための検出装置である。具体的には、重量センサ310は、可動部300aの上面に作用する重量を検出する。重量センサ310は、重量を示す信号を制御装置308に送信する。
【0025】
固定部300bは、地面に形成される凹部の底面に固定される。なお、固定部300bは、地面に形成される凹部内のいずれかに固定されればよく、特に凹部の底面に固定されることに限定されるものではない。
【0026】
固定部300bは、可動部300aを上下方向に昇降する昇降装置306と、昇降装置306の動作を制御する制御装置308と、移動量センサ312とを含む。
【0027】
昇降装置306は、可動部300aを昇降させるアクチュエータを含む。昇降装置306は、たとえば、可動部300aに固定されたラックギヤに噛み合わされたピニオンギヤを電動アクチュエータを用いて回転させることにより可動部300aを昇降させる、ラックピニオン式の機構を有していてもよいし、ピストンに接続されるロッドを可動部300aに固定して、固定部300bに固定されるシリンダ本体に供給される油圧を増減することにより可動部300aを昇降させる、油圧シリンダを用いた機構を有していてもよいし、可動部300aと固定部300bとの間で磁力による反発力を発生させて可動部300aを昇降させる機構を有していてもよい。
【0028】
昇降装置306は、たとえば、ストッパ機構等により可動部300aが第1状態に相当する位置を超えて下降しないように構成され、また、第2状態に相当する位置を超えて上昇しないように構成される。
【0029】
移動量センサ312は、可動部300aの移動量を検出する。移動量センサ312は、たとえば、昇降装置306による可動部300aの昇降量を可動部300aの移動量として検出する。移動量センサ312は、検出した可動部300aの移動量を示す信号を制御装置308に送信する。移動量センサ312は、たとえば、アクチュエータの作動量などの昇降量に相当する状態量を検出し、制御装置308は、検出された状態量から昇降量を取得してもよい。
【0030】
制御装置308は、CPU(Central Processing Unit)308aと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等によって構成されるメモリ308bと、外部の機器の通信可能な通信部308cとを含む。制御装置308は、メモリ308bに記憶された情報や、通信部308cを経由して受信した情報や、重量センサ310や、移動量センサ312、その他図示しないセンサ類から取得した情報に基づいて充電スタンド300に設けられる電気機器(たとえば、昇降装置306)を制御する。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理をCPU300aによって実行する構成に限られず、専用ハードウェア(電子回路)で構築する構成とすることも可能である。
【0031】
通信部308cは、充電スタンド300の外部の機器と各種情報等を通信可能に構成される。
図1および
図2には、通信部308cと電動車両200とが通信可能であることが一例として示されるが、通信部308cは、たとえば、管理サーバ(図示せず)と通信可能に構成されてもよいし、電動車両200(具体的には、後述する通信装置204)と通信可能に構成されてもよいし、充電スタンド300で充電を行なうユーザが所有する携帯端末(図示せず)と通信可能に構成されてもよいし、あるいは、他の充電スタンド300と通信可能に構成されてもよい。
【0032】
通信部308cは、たとえば、有線通信により管理サーバや他の充電スタンド300と通信可能に構成されてもよい。あるいは、通信部308cは、たとえば、無線通信により管理サーバ、電動車両200、携帯端末あるいは他の充電スタンド300と通信可能に構成されてもよい。
【0033】
制御装置308は、たとえば、上昇制御の実行条件が成立する場合に、充電スタンド300が第1状態から第2状態に切り替わるように昇降装置306における上昇制御を実行する。上昇制御の実行条件は、たとえば、充電スタンド300が第1状態であるという条件と、充電スタンド300おける上昇制御の実行要求(以下、上昇要求と記載する)があるという条件とを含む。上昇要求は、たとえば、管理サーバ、電動車両200、携帯端末、あるいは、他の充電スタンド300から受信してもよい。
【0034】
あるいは、制御装置308は、たとえば、下降制御の実行条件が成立する場合に、充電スタンド300が第2状態から第1状態に切り替わるように昇降装置306における下降制御を実行する。下降制御の実行条件は、たとえば、充電スタンド300が第2状態であるという条件と、充電スタンド300における下降制御の実行要求(以下、下降要求と記載する)があるという条件とを含む。下降要求は、たとえば、管理サーバ、電動車両200、携帯端末、あるいは、他の充電スタンド300から受信してもよい。
【0035】
図1および
図2には、充電スタンド300によって充電が可能な駐車スペースに駐車される電動車両200の構成の一例がさらに示されている。
図1および
図2に示すように、電動車両200は、たとえば、プラグインハイブリッド自動車および電気自動車などの蓄電装置を搭載した車両が含まれる。なお、電動車両200の構成は、充電スタンド300から電力供給を受けることが可能な構成を有していればよく、特に上述のように列挙した車両に限定されるものではなく、たとえば、外部給電用の蓄電装置を搭載した車両であってもよい。
【0036】
電動車両200は、ECU(Electronic Control Unit)202と、充電器212と、バッテリ214と、インバータ216と、モータジェネレータ218と、インレット220とを含む。
【0037】
ECU202は、CPUと、ROMやRAM等によって構成されるメモリとを含む。ECU202は、メモリに記憶された情報や、図示しないセンサ類から取得した情報に基づいて電動車両200に設けられる電気機器(たとえば、充電器212あるいはインバータ216)を制御する。
【0038】
通信装置204は、電動車両200の外部の機器と各種情報等を通信可能に構成される。通信装置204は、たとえば、管理サーバ(図示せず)と通信可能に構成されてもよいし、充電スタンド300で充電を行なうユーザが所有する携帯端末(図示せず)と通信可能に構成されてもよいし、あるいは、他の充電スタンド300と通信可能に構成されてもよい。
【0039】
充電器212は、インレット220から交流電力が供給される場合に、供給された交流電力を直流電力に変換してバッテリ214に供給する。充電器212が動作することによってバッテリ214が充電される。充電器212は、たとえば、ECU202からの制御信号により制御される。
【0040】
バッテリ214は、たとえば、再充電可能に構成された電力貯蔵要素であり、代表的には、ニッケル水素電池あるいは液体または固体の電解質を含むリチウムイオン電池等の二次電池が適用される。あるいは、バッテリ214は、電力を貯蔵できる蓄電装置であればよく、たとえば、バッテリ214に代えて大容量のキャパシタが用いられてもよい。
【0041】
インバータ216は、たとえば、バッテリ214の直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータ218に供給する。また、インバータ216は、たとえば、モータジェネレータ218から交流電力(回生電力)を直流電力に変換してバッテリ214に供給して、バッテリ214を充電する。
【0042】
モータジェネレータ218は、インバータ216からの電力供給を受けて駆動輪222に回転力を与える。駆動輪222は、モータジェネレータ218によって与えられた回転力によって回転し、電動車両200を走行させる。
【0043】
インレット220は、電動車両200の外装部分にリッド等のカバー(図示せず)とともに設けられる。インレット220は、外部の充電設備(たとえば、充電スタンド300)から充電電力の供給を受ける受電部である。インレット220は、充電スタンド300のコネクタ302が取り付け可能な形状を有する。インレット220およびコネクタ302の双方には接点が内蔵されており、インレット220にコネクタ302が取り付けられると接点同士が接触して、インレット220とコネクタ302とが電気的に接続される。このとき、電動車両200のバッテリ214は、充電スタンド300から供給される電力を用いた充電が可能な状態になる。
【0044】
充電スタンド300は、駐車場内の複数の駐車スペースに隣接する歩道や道路に設定された複数の駐車スペースに隣接する歩道等に設置される場合がある。
図3は、充電スタンド300と駐車スペース400とのレイアウトの一例を示す図である。
図3に示すように、駐車場内において複数箇所の駐車スペース400が仕切り線402によって横並びに設定される場合には、各駐車スペース400に隣接した位置に充電スタンド300が設置される。
図3には、駐車スペース400の長手方向の一方端(
図3の紙面右側)に歩道500が設けられる構成が一例として示される。この場合、充電スタンド300は、歩道500に沿って設置されることとなる。複数の駐車スペース400のいずれかに電動車両200を駐車する場合であって、充電スタンド300が第2状態である場合には、ユーザは、充電スタンド300からコネクタ302を持ち出して電動車両200のインレット220に接続する。
【0045】
図4は、充電スタンド300と駐車スペース410とのレイアウトの他の一例を示す図である。
図4に示すように、道路に沿って複数箇所の駐車スペース410が仕切り線412により縦列方向に設定される場合にも、各駐車スペース410に隣接した位置に充電スタンド300が設置される。
図5には、歩道510に沿って駐車スペース410が設定される構成が一例として示される。この場合、充電スタンド300は、歩道510に沿って設置されることとなる。複数の駐車スペース410のいずれかに電動車両200を駐車する場合であって、充電スタンド300が第2状態である場合には、ユーザは、直近の充電スタンド300からコネクタ302を持ち出して電動車両200のインレット220に接続する。
【0046】
なお、充電スタンド300が第1状態である場合には、ユーザは、携帯端末を用いて充電スタンド300に上昇要求を送信したり、管理サーバを経由して充電スタンド300に上昇要求を送信したりする。充電スタンド300の制御装置308は、上昇要求を受けることによって第2状態になるように昇降装置306を制御する。
【0047】
上述のような昇降可能な可動式の充電スタンド300においては、利便性を向上させるために昇降装置306を用いて自動的に充電スタンド300を地面から露出された状態にすることが考えられる。
【0048】
しかしながら、自動的に充電スタンド300を上昇させる場合において、地面下に収納された状態の充電スタンド300の上方に障害物がある場合がある。
図5は、充電スタンド300の上面に重量物600が載置されている場合を説明するための図である。
図5に示すように、たとえば、ユーザが重量物600を充電スタンド300の上面に載置する場合や、あるいは、車両が歩道に乗り上げてタイヤが充電スタンド300の上面に位置する場合がある。このような状態で充電スタンド300を昇降させると、昇降装置306に負担がかかり、充電スタンド300が故障する虞がある。
【0049】
そこで、本実施の形態においては、充電スタンド300の制御装置308が、可動部300aが地面下に収納された第1状態であって、かつ、可動部300aの上方に障害物があると判定される場合、可動部300aの上昇を禁止するものとする。
【0050】
このようにすると、可動部300aの上方に障害物があると判定されるときには、可動部300aの上昇が禁止されるので、昇降装置306に負担がかかることが抑制される。その結果、充電スタンド300の故障を抑制することができる。
【0051】
以下、
図6を参照して、制御装置308で実行される制御処理の一例について説明する。
図6は、制御装置308で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、制御装置308により、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0052】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、制御装置308は、上昇制御の実行要求があるか否かを判定する。制御装置308は、たとえば、現在時刻が上昇制御を実行する時間帯内である場合に、上昇制御の実行要求があると判定してもよい。あるいは、制御装置308は、管理サーバ、電動車両200、携帯端末、あるいは、他の充電スタンド300等の外部の機器から上昇制御の実行要求を示す情報を通信部308cを経由して受信する場合に上昇制御の実行要求があると判定してもよい。上昇制御の実行要求があると判定される場合(S100にてYES)、処理はS102に移される。
【0053】
S102にて、制御装置308は、可動部300aの上面に作用する重量(以下、上面重量と記載する)を取得する。制御装置308は、たとえば、重量センサ310を用いて検出される重量を上面重量として取得する。
【0054】
S104にて、制御装置308は、取得した上面重量がしきい値Waよりも大きいか否かを判定する。上面重量がしきい値Waよりも大きいと判定される場合(S104にてYES)、処理はS106に移される。
【0055】
S106にて、制御装置308は、可動部300aの上方に障害物があることにより上昇制御を禁止する。
【0056】
S108にて、制御装置308は、通知制御を実行する。通知制御は、管理サーバ、電動車両200、あるいは、携帯端末に対して可動部300aの上昇を許可するか否かを問い合わせる情報を送信する制御を含む。
【0057】
S110にて、制御装置308は、外部の機器から可動部300aの上昇を許可する旨の情報を受信するか否かを判定する。ユーザが、たとえば、携帯端末や電動車両200の入力装置に対して外部の機器から可動部300aの上昇を許可する旨の情報を入力すると、携帯端末や電動車両200は、入力された情報を管理サーバを経由したり、あるいは、充電スタンド300に直接的に送信する。制御装置308は、たとえば、上昇制御を禁止した時点から予め定められた時間が経過するまでに当該情報を受信する場合に、外部の機器から可動部300aの上昇を許可する旨の情報を受信すると判定する。外部の機器から可動部300aの上昇を許可する旨の情報を受信すると判定される場合(S110にてYES)、処理はS112に移される。
【0058】
S112にて、制御装置308は、上昇制御を実行する。制御装置308は、可動部300aが第2状態に相当する位置まで上昇するように昇降装置306を制御する。なお、外部の機器から可動部300aの上昇を許可する旨の情報を受信しないと判定される場合(S110NO)、この処理は終了される。
【0059】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態における制御装置308の動作の一例について
図7を参照しつつ説明する。
図7は、充電スタンド300の制御装置308の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図7の縦軸は、重量物の有無、充電スタンド300に対する上昇要求の有無、および、充電スタンド300の昇降状態を示す。
図7の横軸は、時間を示す。
図7のLN1は、重量物の有無の変化の一例を示す。
図7のLN2は、重量物の有無の変化の他の一例を示す。
図7のLN3は、充電スタンド300に対する上昇要求の有無の変化を示す。
図7のLN4は、充電スタンド300の昇降状態の変化の一例を示す。
図7のLN5は、充電スタンド300の昇降状態の変化の他の一例を示す。充電スタンド300は、たとえば、下降状態(第1状態)である場合を想定する。
【0060】
たとえば、時間T(0)にて、
図7のLN1に示すように、充電スタンド300の可動部300aの上面に荷物等の重量がしきい値Waよりも重い重量物が載置され、その状態が時間T(0)以降に維持されるものとする。
【0061】
このとき、時間T(2)にて、
図7のLN3に示すように、上昇制御の実行要求がある場合には(S100にてYES)、上面重量が取得される(S102)。そして、取得された上面重量がしきい値Waよりも大きいため(S104にてYES)、上昇制御が禁止され(S106)、通知制御が実行される(S108)。そのため、
図7のLN5に示すように、充電スタンド300の下降状態が維持される。通知制御が実行されることによって、可動部の上昇を許可するか否かを問い合わせる情報がユーザに送信される。そして、ユーザが重量物を取り除くなどして可動部300aの上昇を許可する旨の情報を充電スタンド300に送信する場合には、上昇制御が実行され、当該情報を送信しない場合には、下降状態が維持されることとなる。
【0062】
一方、
図7のLN2に示すように、時間T(0)にて、充電スタンド300の可動部300aの上面に荷物等の重量がしきい値Waよりも重い重量物が載置され、その後時間T(1)にて、載置された状態が取り除かれるものとする。
【0063】
このとき、時間T(2)にて、
図7のLN3に示すように、上昇制御の実行要求がある場合には(S100にてYES)、上面重量が取得され(S102)、取得された上面重量がしきい値Wa以下であるため(S104にてNO)、上昇制御が実行される(S110)。そのため、
図7のLN4に示すように、充電スタンド300は、第1状態から第2状態に切り替えられる。
【0064】
以上のようにして、本実施の形態に係る充電設備である充電スタンド300によると、可動部300aの上方に障害物があると判定されるときには、可動部300aの上昇が禁止されるので、昇降装置306に負担がかかることが抑制される。その結果、充電スタンド300の故障を抑制することができる。したがって、上方に障害物がある場合に故障を抑制する充電設備を提供することができる。
【0065】
さらに、可動部300aの上昇を禁止するときに、可動部300aの上昇を許可するか否かを問い合わせる情報が外部の機器に送信され、外部の機器から可動部300aの上昇を許可する旨の情報を受信する場合に、可動部300aの上昇の禁止が解除されるので、ユーザの要求に応じて可動部300aを第1状態から第2状態になるように昇降装置306の動作を制御することができる。
【0066】
さらに、可動部の上方に障害物があるか否かを重量センサ310を用いて精度高く判定することができる。
【0067】
以下、変形例について記載する。
上述の実施の形態では、電源350は、交流電源であるとして説明したが、電源350は、直流電源であってもよい。この場合において、電動車両200は、たとえば、充電器212を省略した構成であってもよい。
【0068】
さらに上述の実施の形態では、コネクタ302が可動部300aの上部の収納スペースに収納される構成を一例として説明したが、たとえば、可動部300aの上部側面には、ソケットが露出して設けられてもよい。このようにすると、ユーザは、別途用意した充電ケーブルを用いて充電スタンド300のソケットと電動車両200のインレット220とを接続することによって電動車両200に搭載されたバッテリ214を充電することができる。あるいは、可動部300aの上部には、電動車両200の底面に設けられるインレットに接続可能な端子部が設けられる構成であってもよい。このようにすると、可動部300aが第2状態になることで電動車両200のインレットと充電スタンドとを電気的に接続された状態になるため、ユーザが電動車両200のインレットと充電スタンドとを接続する作業をすることなく、電動車両200に搭載されたバッテリ214の充電を行なうことができる。
【0069】
さらに上述の実施の形態では、充電スタンド300の筐体は、円筒形状を有する場合を一例として説明したが、特に昇降動作が可能な形状であればよく、特に円筒形状に限定されるものではない。たとえば、充電スタンド300の筐体は、直方形状を有していてもよい。
【0070】
さらに上述の実施の形態では、重量センサ310の検出結果を用いて可動部300aの上方に障害物があるか否かを判定するものとして説明したが、可動部300aの上方に障害物があるか否かを検出するセンサとしては重量センサ310に特に限定されるものではなく、たとえば、可動部300aの上方に重量センサ310に代えて設けられ、上方の障害物との距離を測定する測定装置であってもよい。測定装置は、たとえば、超音波センサやカメラ等を含む。すなわち、制御装置308は、第1状態の可動部300aの上方の障害物との距離を測定し、測定された障害物との距離がしきい値よりも小さいと可動部の上方に障害物があると判定してもよい。
【0071】
この場合、制御装置308は、
図8のフローチャートに示す処理を実行する。
図8は、変形例における受電スタンドの制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図8のフローチャートは、
図6のフローチャートと比較して、S102の処理に代えて上述の測定装置を用いて障害物との距離を取得する処理をS152の処理として実行し、S104の処理に代えて障害物との距離がしきい値以下であるか否かを判定する処理としてS154の処理を実行する点で異なる。それ以外の処理については、
図6のフローチャートに示される処理と同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。このようにしても、可動部300aの上方に障害物があるか否かを精度高く判定できるとともに、障害物があると判定されるときには、可動部300aの上昇が禁止されるので、昇降装置306に負担がかかることが抑制される。
【0072】
さらに上述の実施の形態では、重量センサ310の検出結果を用いて可動部300aの上方に障害物があるか否かを判定するものとして説明したが、可動部300aの上方に障害物があるか否かを検出するセンサとしては重量センサ310に特に限定されるものではなく、たとえば、移動量センサ312であってもよい。すなわち、制御装置308は、第1状態の可動部300aに対して上昇する力を作用させるときに、移動量センサ312によって可動部300aが移動していないことが検出されると、可動部300aの上方に障害物があると判定してもよい。
【0073】
図9は、変形例における充電スタンドの制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0074】
S200にて、制御装置308は、上昇制御の実行要求があるか否かを判定する。判定方法については、
図6のフローチャートのS100の処理における判定方法と同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。上昇制御の実行要求があると判定される場合(S200にてYES)、処理はS202に移される。
【0075】
S202にて、制御装置308は、上昇制御を実行する。すなわち、制御装置308は、第1状態から第2状態に切り替えられるように昇降装置306を制御する。
【0076】
S204にて、制御装置308は、上昇制御を実行した時点から予め定められた時間が経過したか否かを判定する。予め定められた時間は、たとえば、可動部300aの上面に重量物が載置されることによって可動部300aが上昇できない状態であっても、昇降装置306において故障が発生しない程度の負担になるように設定される時間であって、実験等によって適合される。予め定められた時間が経過したと判定される場合(S204にてYES9、処理はS206に移される。なお、予め定められた時間が経過していないと判定される場合(S204にてNO)、処理はS204に戻される。
【0077】
S206にて、制御装置308は、可動部300aの上昇量がしきい値La以下であるか否かを判定する。制御装置308は、移動量センサ312の検出結果を用いて可動部300aの上昇量を取得する。また、しきい値Laは、たとえば、上昇制御を予め定められた時間だけ継続した場合に上昇し得る範囲の下限値であって、実験等によって適合される予め定められた値である。可動部300aの上昇量がしきい値La以下であると判定される場合(S206にてYES)、処理はS208に移される。
【0078】
S208にて、制御装置308は、上昇制御を禁止する。このとき、制御装置308は、たとえば、第1状態になるように昇降装置306を制御してもよい。
【0079】
S210にて、制御装置308は、上昇制御を継続する。制御装置308は、第2状態になるように昇降装置306を制御する。
【0080】
以上のような変形例における制御装置308の動作について説明する。充電スタンド300の可動部300aの上面に人や荷物等の重量物が載置されるものとする。このとき、上昇制御の実行要求がある場合には(S200にてYES)、上昇制御が実行される(S202)。そして、上昇制御が実行された時点から予め定められた時間が経過するときに(S204にてYES)、上昇量がしきい値La以下であるか否かが判定される(S206)。載置された重量物によって可動部300aが上昇しない場合には、上昇量がしきい値La以下であると判定される(S206にてYES)。そして、上昇制御が禁止される(S208)。
【0081】
このようにしても、可動部300aの上面に重量物が載置されているときには、可動部300aの上昇が禁止されるので、昇降装置306に負担がかかることが抑制される。その結果、充電スタンド300の故障を抑制することができる。
【0082】
なお、上記した変形例は、その全部または一部を適宜組み合わせて実施してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
200 電動車両、204 通信装置、212 充電器、214 バッテリ、216 インバータ、218 モータジェネレータ、220 インレット、222 駆動輪、300 充電スタンド、300a 可動部、300b 固定部、302 コネクタ、304 ケーブル、306 昇降装置、308 制御装置、308a CPU、308b メモリ、308c 通信部、310 重量センサ、312 移動量センサ、350 電源、400,410 駐車スペース、402,412 仕切り線、500,510 歩道、600 重量物。