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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/42 20060101AFI20241112BHJP
   A61F 13/51 20060101ALI20241112BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20241112BHJP
   A61F 13/533 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61F13/42 C
A61F13/51
A61F13/532 200
A61F13/533 100
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021023454
(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公開番号】P2022125711
(43)【公開日】2022-08-29
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹下 雄貴
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-500096(JP,A)
【文献】特開2012-115378(JP,A)
【文献】特開2009-225966(JP,A)
【文献】特開平11-104172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の排泄物に含まれる水分を吸収可能であり、孔状または非肌面側から肌面側に凹む凹状の溝を有する吸収体と、
前記溝または前記溝の長手方向の延長線上の位置と少なくとも一部が重なり、前記溝の幅が変化した場合に前記一部が非肌面側へ出現する表示部と、を備え、
前記表示部は、前記一部の出現によって形態が変化する、
吸収性物品。
【請求項2】
前記表示部は、前記着用者の腹部または背部に設けられ、
前記溝は、前記着用者の少なくとも股下部に設けられ、前記股下部から前記腹部または前記背部への方向である長手方向に延在する、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記溝と厚み方向において一部が重なり、前記吸収体よりも非肌面側に前記表示部を有するシート状部材を更に備え、
前記溝は、前記吸収性物品の幅方向に並び、
前記溝が前記腹部または前記背部まで延在するか、または前記シート状部材の一部が前記溝に侵入することで非肌面側からみて窪みが形成され、さらに前記窪みが前記腹部または前記背部まで延在する、
請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記表示部の一部は、厚み方向において前記溝と重ならない部分、または前記腹部及び前記背部のうちの少なくとも何れか一方まで延在する前記窪みが形成されない部分に設けられる、
請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記溝は、前記着用者に装着された場合の前記吸収性物品の腹部側の第1端部から長手方向において第1間隔を空けて設けられ、
前記溝は、幅方向において第2間隔を空けて設けられる、
請求項3又は4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記溝の長手方向の第2端部よりも長手方向の先端側の前記シート状部材を幅方向の外側に引張可能な第1伸縮性部材を更に備える、
請求項3から5のうち何れか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記表示部は、前記着用者が受ける印象の変化に関連する部分が、前記溝と重なる部分、または前記腹部または前記背部まで延在する前記窪みに表示される、
請求項3から6のうち何れか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記溝の長手方向の第3端部は前記表示部と厚み方向において重なり、
前記第3端部の幅方向に伸長された状態で設けられ、
収縮により前記第3端部の幅方向の外側の側部を引張可能な第2伸縮性部材を更に備える、
請求項1から7のうち何れか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ、尿パッド、生理用品等の吸収性物品が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-175885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば吸収性物品に備わる吸収体が所定量以上の水分を保持すると、吸収体から水分が染み出ることが考えられる。よって、尿漏れが生じる可能性がある。そこで、このような状況になる前に吸収性物品を交換することが考えられる。しかしながら、吸収体の水分の保持量を認識することは困難である。よって、吸収性物品の交換を適時に行うことは困難と考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、吸収性物品の水分の吸収度合いを認識可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、吸収体に溝を設け、さらに溝と厚み方向において重なる部分に非肌面側から視認可能な表示部を設けることとした。
【0007】
詳細には、本発明は、着用者の排泄物に含まれる水分を吸収可能であり、孔状または非肌面側から肌面側に凹む凹状の溝を有する吸収体と、前記溝または前記溝の長手方向の延長線上の位置と少なくとも一部が重なり、前記溝の幅が変化した場合に前記一部が非肌面側へ出現する表示部と、を備え、前記表示部は、前記一部の出現によって形態が変化する、
吸収性物品である。
【0008】
上記一側面に係る吸収性物品において、前記着用者の腹部または背部に設けられ、前記溝は、前記着用者の少なくとも股下部に設けられ、前記股下部から前記腹部または前記背部への方向である長手方向に延在してもよい。
【0009】
上記一側面に係る吸収性物品において、前記溝と厚み方向において一部が重なり、前記吸収体よりも非肌面側に前記表示部を有するシート状部材を更に備え、前記溝は、前記吸収性物品の幅方向に並び、前記溝が前記腹部または前記背部まで延在するか、または前記シート状部材の一部が前記溝に侵入することで非肌面側からみて窪みが形成され、さらに前記窪みが前記腹部または前記背部まで延在してもよい。
【0010】
上記一側面に係る吸収性物品において、前記表示部の一部は、厚み方向において前記溝と重ならない部分、または前記腹部及び前記背部のうちの少なくとも何れか一方まで延在する前記窪みが形成されない部分に設けられてもよい。
【0011】
上記一側面に係る吸収性物品において、前記溝は、前記着用者に装着された場合の前記吸収性物品の腹部側の第1端部から長手方向において第1間隔を空けて設けられ、前記溝は、幅方向において第2間隔を空けて設けられてもよい。
【0012】
上記一側面に係る吸収性物品において、前記溝の長手方向の第2端部よりも長手方向の先端側の前記シート状部材を幅方向の外側に引張可能な第1伸縮性部材を更に備えてもよい。
【0013】
上記一側面に係る吸収性物品において、前記表示部は、前記着用者が受ける印象の変化に関連する部分が、前記溝と重なる部分、または前記腹部または前記背部まで延在する前記窪みに表示されてもよい。
【0014】
上記一側面に係る吸収性物品において、前記溝の長手方向の第3端部は前記表示部と厚み方向において重なり、前記第3端部の幅方向に伸長された状態で設けられ、収縮により前記第3端部の幅方向の外側の側部を引張可能な第2伸縮性部材を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、吸収性物品の水分の吸収度合いを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係るおむつの外観斜視図である。
図2図2は、おむつを非肌面側から見た展開図の一例である。
図3図3は、着用者が排尿する前後でのカバーシートの形態の変化の概要を例示する。
図4図4は、第1変形例に係るカバーシートの概要を例示する。
図5図5は、第2変形例に係るカバーシートの概要を例示する。
図6図6は、第3変形例に係るカバーシートの概要を例示する。
図7図7は、第4変形例に係るカバーシートの概要を例示する。
図8図8は、第5変形例に係るカバーシートの概要を例示する。
図9図9は、第6変形例に係るカバーシートの概要を例示する。
図10図10は、第7変形例に係るカバーシートの概要を例示する。
図11図11は、第8変形例に係るカバーシートの概要を例示する。
図12図12は、第9変形例に係るカバーシートの概要を例示する。
図13図13は、第10変形例に係るカバーシートの概要を例示する。
図14図14は、第11変形例に係るカバーシートの概要を例示する。
図15図15は、第12変形例に係るカバーシートの概要を例示する。
図16図16は、第13変形例に係るカバーシートの概要を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0018】
<実施形態>
本実施形態では、パンツ型使い捨ておむつ(本願でいう「吸収性物品」の一例であり、以下、単に「おむつ」という)について、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃(長手方向の一側)と後身頃(長手方向の他側)との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、紙おむつが着用者に装着された状態(以下「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(装着された
状態で内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(装着された状態で外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
【0019】
図1は、本実施形態に係るおむつの外観斜視図である。おむつ1は、装着状態において着用者の陰部を覆う股下領域に対応する部位である股下領域1Bと、股下領域1Bの前側に位置し、着用者の前身頃に対応する部位である前身頃領域1Fと、股下領域1Bの後ろ側に位置し、着用者の後身頃に対応する部位である後身頃領域1Rと、を有する。
【0020】
おむつ1では、肌面側からトップシート、吸収体、バックシート、およびカバーシート4の順に積層されている(図1ではカバーシート4のみを図示)。トップシートは、その一部又は全部において液透過性を有する。そのため、おむつ1が装着された状態において、着用者から排泄された液体は着用者の肌に接触し得るトップシートを透過する。そしてトップシートよりも非肌面側に配置される吸収体に吸収される。トップシートの材料としては、例えば、織布、不織布、多孔質フィルムが使用できる。また、トップシートは親水性を有していてもよい。
【0021】
吸収体は、液体を吸収して保持することができる吸収体が前身頃領域1Fから後身頃領域1Rにかけて股下領域1B付近を中心として配置される(詳細は後述する)。吸収体は、例えばパルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した短繊維の隙間に、水を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ親水性ポリマーであるSAP(高吸収性重合体:Super Absorbent Polymer)等の粒状の吸収性樹脂が保持されている。そして、吸収体では、このような構造が液透過性のシートによって包まれている。
【0022】
カバーシート4は、例えば、排泄物の漏れを抑制するために、液不透過性の熱可塑性樹脂からなる不織布をその材料として用いることができる。液不透過性の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等が例示できる。カバーシート4は、単層構造に限らず、インナカバーシートおよびアウターカバーシートを有する多層構造であってもよい。また、カバーシート4(本開示の「シート状部材」の一例)の前身頃領域1Fには顔41(本開示の「表示部」の一例)が描かれている(詳細は後述する)。
【0023】
バックシートは、カバーシート4と同様に、排泄物の漏れを抑制するために液不透過性の熱可塑性樹脂を材料として形成されたシートである。バックシートは、着用状態での蒸れを抑えるため、透湿性を併せもつ材料で構成されることが好ましい。
【0024】
また、おむつ1には、おむつ1と着用者の肌との間に液体の流出経路となる隙間が形成されるのを抑制するべく、着用者の腹囲を取り巻く部位にウェストギャザー3が設けられている。また、おむつ1には、同様の目的で着用者の大腿部を取り巻く部位に立体ギャザー3BL,3BRが設けられる。立体ギャザー3BL,3BRとウェストギャザー3は、糸ゴムの弾性力で着用者の肌に密着する。よって、着用者の陰部から排出される液体は、おむつ1から殆ど漏出することなくおむつ1の吸収体に吸収される。また、おむつ1は、着用者の腹囲と大腿部を取り巻く状態で着用者の身体に固定される。おむつ1がこのような形態で着用者の身体に固定されるので、着用者はおむつ1を着用した状態で立ち歩き可能である。
【0025】
また、おむつ1には、後身頃領域1Rのウェストギャザー3よりも股下側にタミーギャザー2が設けられる。タミーギャザー2は、おむつ1の外装体であるカバーシート4に、伸長された状態の糸ゴムが幅方向に貼り付けられることで形成される。
【0026】
なお、図1に示されるおむつ1は、前身頃領域1F、股下領域1B、および後身頃領域1Rが夫々別体に形成され、これら3つの領域が長手方向に並べられて互いに溶着されている。なお、おむつ1は、前身頃領域1F、股下領域1B、および後身頃領域1Rが一体に形成されてもよい。
【0027】
図2は、おむつ1を非肌面側から見た展開図の一例である。なお、展開図では、カバーシート4の記載は省略されている。図2に示されるように、吸収体6にはスリット61(本開示の「孔状の溝」の一例)が設けられている。スリット61は、長手方向に延在する。また、スリット61は幅方向に例えば20mm程度(本開示の「第2間隔」の一例)離間して2つ並んで設けられる。なお、図2でいう長手方向の中央部は、吸収体6がおむつ1として組み立てられた場合に股下領域1Bに相当する。そして、図2でいう上側が前身頃領域1Fに、下側が後身頃領域1Rに夫々相当する。
【0028】
またスリット61は、ウェストギャザー3の前身頃領域1F側の長手方向の端部から長手方向において離間して配置される。スリット61の端部62(本開示の「第1端部」、「第2端部」、および「第3端部」の一例)とウェストギャザー3との離間距離は、例えば該離間領域64が男性器を被覆可能な長さである(本開示の「第1間隔」の一例)。また、スリット61の端部62および離間領域64の幅方向の外側には、例えばタミーギャザー2を形成する糸ゴム63(本開示の「第1伸縮性部材」および「第2伸縮性部材」の一例)が設けられている。糸ゴム63はおむつ1の幅方向に伸長された状態でカバーシートに溶着される。なお、離間領域64と重なるカバーシートには、顔41が描かれる。また、糸ゴム63は端部62から幅方向において離間して配置されているが、端部62から離間せずに配置されてもよい。また、糸ゴム63の代替部材として伸縮性シートが設けられてもよい。
【0029】
なお、本実施形態においては、主としてウエスト第1領域RW1に形成される第1収縮部S1とウエスト第2領域RW2に形成される第2収縮部S2によってウェストギャザー3が形成されている。ウェストギャザー3は、第1糸ゴム4F1,4R1及び第2糸ゴム4F2,4R2の収縮力によって、着用者のウエスト回りにおけるおむつ1のフィット性を向上させる。ウェストギャザー3の第1収縮部S1には、複数の第1糸ゴム4F1,4R1が互いに平行に、且つ一定間隔A1で配置されている。また、ウェストギャザー3の第2収縮部S2には、複数の第2糸ゴム4F2,4R2が互いに平行且つ一定の間隔A2を空けて設けられている。なお、ここでいう糸ゴム同士の間隔とは、隣の糸ゴム同士がおむつ1の長手方向に離間する寸法を意味する。
【0030】
また、本実施形態において、ウエスト第1領域RW1の第1糸ゴム4F1,4R1及びウエスト第2領域RW2の第2糸ゴム4F2,4R2は、カバーシート4の全幅区間に亘って延在している。そのため、おむつ1の完成後において、第1糸ゴム4F1,4R1及び第2糸ゴム4F2,4R2は、胴開口部に沿って周回する実質的に環状の伸縮部材を形成する。言い換えると、おむつ1の完成後において、ウェストギャザー3(第1収縮部S1、第2収縮部S2)が胴回り方向の全周に亘って形成される。
【0031】
また、タミーギャザー2に配置される糸ゴム63は、互いに平行に、且つ一定の間隔A3を空けて設けられている。そして、本実施形態では、タミーギャザー2の糸ゴム63の間隔A3が、ウェストギャザー3の第2収縮部S2における第2糸ゴム4F2,4R2の間隔A2よりも大きな寸法に設定されており、これにより、胴開口部を広げておむつ1を装着する際、着用者の腰骨に当接する部位となるタミーギャザー2を、ウェストギャザー3よりも相対的に広げやすくしている。
【0032】
図3は、着用者が排尿する前後でのおむつ1のカバーシート4の形態の変化の概要を例示する。図3(A)は、排尿前のおむつ1の状態の一例である。図3(B)は排尿後のおむつ1の状態の一例である。なお、図3は、着用者に装着された状態のおむつ1の前身頃領域1Fを正面から見た場合の図の一例である。
【0033】
吸収体6に設けられたスリット61(図2参照。図3においては図示しない)は、股下領域1Bを中心として前身頃領域1Fおよび後身頃領域1Rに向かって延在する。そして、吸収体6のスリット61は、カバーシート4の前身頃領域1Fに付された顔41の一部と重なる。より詳細には、スリット61は、顔41の唇の幅方向の両端42(本開示の「着用者が受ける印象の変化に関連する部分」の一例)と重なる。
【0034】
このようなおむつ1が着用者に装着されると、着用者の両足によっておむつ1が幅方向に締め付けられる。よって、図3(A)に示されるように、スリット61と重なるカバーシート4はスリット61の内部に食い込むことになる。なお、図3(A)では、スリット61と重なり、スリット61の内部に食い込むカバーシート4の部分を食い込み50(本開示の「シート状部材の一部が溝に侵入することで非肌面側からみて形成される窪み」の一例)とし、長手方向に延びる黒い太線で表している。このようにスリット61の内部にカバーシート4の一部が食い込むと、顔41の唇の両端42は、非肌面側から見た場合に視認することが困難となる。
【0035】
また、食い込み50の長手方向の延長線上に位置する領域65は、スリット61と重なっていない。しかしながら、領域65は、カバーシート4の食い込みに影響されて幅方向内側に折り畳まれた状態となる。このような折り畳まれた状態のカバーシート4の部分を折り畳み54(本開示の「腹部または前記背部まで延在する窪み」の一例)とし、図3(A)では長手方向に延びる黒い太線で表している。そして、折り畳み54には、顔41の目56が描かれている。よって、吸収体6が尿を吸収する前においては顔41の目56も着用者が視認することは困難となる。
【0036】
また、領域65と厚み方向に重なる吸収体6の離間領域64(図2参照。図3においては図示しない)は、糸ゴム63により幅方向の外側に引張されている。よって、カバーシート4の領域65も股下領域1Bから前身頃領域1Fへ向かうに連れて幅方向外側に引張される。よって、図3(A)に示されるように食い込み50と折り畳み54とは、非直線状となる。
【0037】
また、吸収体6の離間領域64は男性器を被覆する。よって、離間領域64が非肌面側に突出する。よって、離間領域64と重なるカバーシート4の領域65、および2本のスリット61の間に位置するカバーシート4の領域51は、離間領域64と連動して非肌面側に盛り上がることになる。
【0038】
一方、着用者から排泄された尿が吸収体6に吸収されると、吸収体6は膨潤する。よって、吸収体6の膨潤に応じてカバーシート4は幅方向外側に引張される。よって、吸収体6に設けられたスリット61の幅は広がり、また深さは浅くなる。よって、スリット61の内部に食い込んでいたカバーシート4の食い込み50は、幅方向に引張されることで非肌面側に露出することになる。よって、図3(B)に示されるように、顔41の唇の両端42が視認可能となる。また、領域65に形成されていた折り畳み54もカバーシート4の幅方向外側への引張により解消される。よって、顔41の目56も視認可能となる。
【0039】
[作用・効果]
上記のようなおむつ1によれば、おむつ1を前身頃領域1Fに対して正面から見た人にとっては、吸収体6が尿を吸収するに従い、顔41の唇の幅が徐々に延びていく変化を視
認できる。また、顔41の目56が徐々に現れることも視認できる。よって、着用者は、おむつ1の水分の吸収度合いを認識することができる。
【0040】
また、上記のようなおむつ1によれば、吸収体6が尿を吸収するに従い顔41の表情が変化する。よって、着用者が子供である場合、子供の興味を惹きつけることができる。よって、子供の興味が顔41に向いている間に親はおむつ1の交換をスムーズに行うことができる。
【0041】
また、上記のようなおむつ1によれば、おむつ1が男性着用者に装着された場合、離間領域64が男性器を被覆することで、離間領域64が非肌面側に突出し、その結果としてカバーシート4の領域51も非肌面側に盛り上がることになる(図3(A)参照)。また、股下領域1Bにおいて着用者の両足によってスリット61同士が互いに近づく方向に押し曲げられることによっても、領域51は非肌面側に盛り上がることになる。よって、領域51と重なる肌面側のトップシートが着用者の肌に触れることは抑制される。よって、領域51に着用者の汗が浸透し、変色することは抑制される。よって、領域51に描かれた顔41が意図せず変色することは抑制される。また、領域51が非肌面側に盛り上がることで、吸収体6が尿を吸収する前において顔41の形状は歪むことになる。よって、尿の吸収前後での顔41の表情の変化は大きくなる。よって、着用者は、おむつ1の水分の吸収度合いを容易に認識することができる。
【0042】
また、上記のようなおむつ1によれば、吸収体6の離間領域64およびスリット61の端部62は、タミーギャザー2の糸ゴム63により常時幅方向外側に引張される(図2参照)。よって、吸収体6が尿を吸収した場合であっても端部62の幅の変化は抑制される。つまり、スリット61の幅が変化する領域(長手方向中央)と変化しない領域(端部62)とを発生させることができる。よって、カバーシート4に生じる食い込み50の食い込み度合いを長手方向中央と端部62に重なる部分とで異ならせるようにすることができる。また、吸収体6の尿の吸収に応じた離間領域64の幅方向の伸長も抑制される。よって、カバーシート4に描かれた顔41の表情または動きを正確にコントロールすることができる。
【0043】
また、上記のようなおむつ1によれば、カバーシート4に生じる食い込み50と折り畳み54とは、非直線状に繋がる(図3(A)参照)。よって、スリット61を非直線状としなくても非直線状の窪みをカバーシート4上に発生させることができる。よって、図3に示されるように唇の両端42と目56とが長手方向に直線状に配置されていなくとも、吸収体6の尿の吸収前後において顔41の表情の変化を作ることができる。
【0044】
[第1変形例]
図4は、第1変形例に係るおむつ1Aのカバーシート4Aの概要を例示する。図4(A)は、着用者が排尿する前のおむつ1Aの状態の一例である。一方、図4(B)は、着用者が排尿した後のおむつ1Aの状態の一例である。なお、図4は、着用者に装着された状態のカバーシート4Aの前身頃領域1Fを正面から見た場合の図である。また、以降の変形例では、実施形態においてカバーシート4の折り畳み54は形成されてもされなくともよい。
【0045】
変形例に係るおむつ1Aでは、吸収体6Aのスリット61Aの数は1つであり、長手方向に延在する(図4においては図示しない)。また、スリット61Aは、吸収体6Aの幅方向の中央部分に設けられている。また、おむつ1Aでは、カバーシート4Aの前身頃領域1Fに顔41Aが描かれている。そして、顔41Aの口(本開示の「着用者が受ける印象の変化に関連する部分」の一例)は、スリット61Aと重なる。
【0046】
このようなおむつ1Aが着用者に装着されると、着用者の両足によっておむつ1Aが幅方向に締め付けられる。よって、図4(A)に示されるように、カバーシート4Aには、スリット61Aに食い込む食い込み50Aが発生する。よって、顔41Aの口は、非肌面側から見た場合に視認することが困難となる。
【0047】
一方、着用者から排泄された尿を吸収体6Aが吸収すると、吸収体6Aは膨潤する。よって、カバーシート4Aは幅方向に引張される。また、吸収体6Aに設けられたスリット61Aの幅は広くなり、深さは浅くなる。よって、カバーシート4Aが幅方向に引張されることで食い込み50Aは解消される。よって、顔41Aの口55Aが視認可能となる。よって、おむつ1Aを前身頃領域1Fに対して正面から見た人は、吸収体6Aが尿を吸収するに従い、顔41Aの口55が徐々に開いていくことを視認できる。よって、おむつ1Aは、実施形態に係るおむつ1と同様の効果を奏することができる。
【0048】
[第2変形例]
図5は、第2変形例に係るおむつ1Bのカバーシート4Bの概要を例示する。図5(A)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Bの状態の一例である。一方、図5(B)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Bの状態の一例である。
【0049】
図5(A)に示されるように、おむつ1Bは、おむつ1Aと同様の顔41Bがカバーシート4Bの前身頃領域1Fに描かれている。しかしながら、おむつ1Bでは、吸収体6Bに設けられるスリット61Bが吸収体6Bの長手方向ではなく幅方向に延在する(図示しない)。そして、スリット61Bは、顔41Bの口55B(本開示の「着用者が受ける印象の変化に関連する部分」の一例)と重なる。そして、スリット61Bと重なるカバーシート4Bは、着用者がおむつ1Bを装着した場合にスリット61Bの内部に食い込むことで食い込み50Bを形成する。よって、顔41Bの口は、非肌面側から見た場合に視認することが困難となる。
【0050】
このようなおむつ1Bによれば、図5(B)に示されるように吸収体6Bが尿を吸収すると、吸収体6Bは膨潤する。ここで、吸収体6Bの膨潤に応じてカバーシート4Bは長手方向にも引張される。よって、食い込み50Bは、おむつ1Bの長手方向に引張されることで解消される。よって、顔41Bの口が視認可能となる。よって、おむつ1Bを前身頃領域1Fに対して正面から見た人は、吸収体6Bが尿を吸収するに従い、顔41Bの口55Bが徐々に開いていくことを視認できる。このようなおむつ1Bによっても、実施形態に係るおむつ1と同様の効果を奏することができる。
【0051】
[第3変形例]
図6は、第3変形例に係るおむつ1Cのカバーシート4Cの概要を例示する。第3変形例に係るおむつ1Cは、吸収体6Cにスリット61Cが1本設けられる。図6(A)および図6(B)は、1本のスリット61Cが吸収体6Cの長手方向に延在する場合のカバーシート4Cの概要図である。図6(A)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Cの状態の一例である。一方、図6(B)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Cの状態の一例である。一方、図6(C)および図6(D)は、1本のスリット61Cが吸収体6Cの幅方向に延在する場合のカバーシート4Cの概要図である。図6(C)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Cの状態の一例である。一方、図6(D)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Cの状態の一例である。
【0052】
実施形態に係るおむつ1では、スリット61は長手方向において顔41の一部と重なっている。しかしながら、第3変形例に係るおむつ1Cでは、スリット61Cが顔41Cを横断あるいは縦断するように設けられる。このようなおむつ1Cによれば、おむつ1Cを前身頃領域1Fに対して正面から見た人にとっては、吸収体6Cが尿を吸収するに従い、
顔41Cの表情が大きく変化する印象を受けることになる。よって、着用者は、おむつ1Cの水分の吸収度合いを容易に認識することができる。
【0053】
[第4変形例]
図7は、第4変形例に係るおむつ1Dのカバーシート4Dの概要を例示する。第4変形例に係るおむつ1Dは、第3変形例と同様に吸収体6Dの長手方向あるいは幅方向にスリット61Dが1本設けられる。図7(A)および図7(B)は、1本のスリット61Dが吸収体6Dの長手方向に延在する場合のカバーシート4Dの概要図である。図7(A)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Dの状態の一例である。一方、図7(B)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Dの状態の一例である。一方、図7(C)および図7(D)は、1本のスリット61Dが吸収体6Dの幅方向に延在する場合のカバーシート4Dの概要図である。図7(C)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Dの状態の一例である。一方、図7(D)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Dの状態の一例である。
【0054】
第4変形例に係るおむつ1Dでは、スリット61Dが顔41Dを横断あるいは縦断するように設けられる。加えて、顔41Dは、スリット61Dに食い込むカバーシート4Dの食い込み50Dに描かれている。よって、尿吸収前においては、顔41Dは外部に露出していない(図7(A)および図7(C)参照)。このようなおむつ1Dによれば、おむつ1Dを前身頃領域1Fに対して正面から見た人にとっては、吸収体6Dが尿を吸収するに従い、カバーシート4Dのデザインが大きく変化する印象を受けることになる。よって、おむつ1Dの水分の吸収度合いを容易に認識することができる。
【0055】
[第5変形例]
図8は、第5変形例に係るおむつ1Eのカバーシート4Eの概要を例示する。図8(A)および図8(B)に示されるカバーシート4Eには、唇の幅方向端部に図形52Aが付された顔41Eがカバーシート4Eに描かれている。図8(A)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Eの状態の一例である。一方、図8(B)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Eの状態の一例である。また、図8(C)および図8(D)に示されるカバーシート4Eには、頬の部分に図形52Bが付された顔41Eが描かれている。図8(C)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Eの状態の一例である。一方、図8(E)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Eの状態の一例である。
【0056】
このようなおむつ1Eによればおむつ1Eを前身頃領域1Fに対して正面から見た人は、吸収体6Eが尿を吸収するに従い、顔41Eに付された図形52A、52B(図8(B)および図8(D)参照)を新たに視認できるようになる。よって、顔41Eの表情が大きく変化する印象を受けることになる。よって、おむつ1Eの水分の吸収度合いを容易に認識することができる。
【0057】
[第6変形例]
図9は、第6変形例に係るおむつ1Zのカバーシート4Zの概要を例示する。第6変形例に係るおむつ1Zでは、顔41の代替として動物あるいはキャラクターがカバーシート4Fに描かれる。図9(A)および図9(B)は、顔41の代替として動物の絵が描かれたカバーシート4Zの概要図である。図9(A)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Zの状態の一例である。一方、図9(B)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Zの状態の一例である。また、図9(C)および図9(D)は、顔41の代替としてキャラクターの絵が描かれたカバーシート4Zの概要図である。図9(C)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Zの状態の一例である。一方、図9(D)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Zの状態の一例である。
【0058】
図9(A)および図9(B)に示されるおむつ1Fの場合、動物の胴体43がスリット61Fに食い込んでいるカバーシート4Zの食い込み50Zに描かれている。そして、動物の尻尾44がスリット61Zに食い込んでいないカバーシート4Zの部分に描かれている。このようなおむつ1Zによれば、おむつ1Zを前身頃領域1Fに対して正面から見た人は、吸収体6Zが尿を吸収するに従い、動物の部位のうち、大きな部分である胴体43を新たに視認できるようになる。よって、カバーシート4Zに付された動物全体の形態が大きく変化する印象を受けることになる。よって、おむつ1Zの水分の吸収度合いを認識することができる。
【0059】
また、図9(C)および図9(D)に示されるおむつ1Zの場合、キャラクター40が手に保持している物体45がスリット61Zに食い込んでいるカバーシート4Zの食い込み50Zに描かれている。このようなおむつ1Zによれば、おむつ1Zを前身頃領域1Fに対して正面から見た人にとっては、吸収体6Zが尿を吸収するに従い、物体45を新たに視認できるようになる。よって、カバーシート4Zに付されたキャラクター40の印象が大きく変化する印象を受けることになる。よって、おむつ1Zの水分の吸収度合いを認識することができる。
【0060】
[第7変形例]
図10は、第7変形例に係るおむつ1Gのカバーシート4Gの概要を例示する。第7変形例に係るおむつ1Gでは、顔41の代替として2種類の絵が描かれる。図10(A)および図10(B)は、顔41の代替として2つのキャラクターの絵が描かれたカバーシート4Gの概要図である。図10(A)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Gの状態の一例である。一方、図10(B)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Gの状態の一例である。また、図10(C)および図10(D)は、顔41の代替として模様およびキャラクターの絵が描かれたカバーシート4Gの概要図である。図10(C)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Gの状態の一例である。一方、図10(D)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Gの状態の一例である。
【0061】
図10(A)および図10(B)に示されるおむつ1Gの場合、キャラクター46Aがスリット61Gに食い込んでいるカバーシート4Gの食い込み50Gに描かれている。そして、キャラクター46Bがスリット61Gに食い込んでいないカバーシート4Gの部分に描かれている。このようなおむつ1Gによれば、おむつ1Gを前身頃領域1Gに対して正面から見た人は、吸収体6Gが尿を吸収するに従いキャラクター46Aを新たに視認可能となる。よって、カバーシート4Gに付された絵が大きく変化する印象を受けることになる。よって、おむつ1Gの水分の吸収度合いを容易に認識することができる。
【0062】
また、図10(C)および図10(D)に示されるおむつ1Gの場合、キャラクター48がスリット61Gに食い込んでいるカバーシート4Gの食い込み50Gに描かれている。そして、食い込み50Gを幅方向に跨ぐように模様47がカバーシート4Gに付されている。このようなおむつ1Gによれば、おむつ1Gを前身頃領域1Gに対して正面から見た人は、吸収体6Gが尿を吸収するに従い、模様47の内部からキャラクター48が現れるような印象を受ける。よって、おむつ1Zの水分の吸収度合いを容易に認識することができる。
【0063】
[第8変形例]
図11は、第8変形例に係るおむつ1Hのカバーシート4Hの概要を例示する。第8変形例に係るおむつ1Hでは、顔41の代わりに文字がカバーシート4Hに付されている。
【0064】
より詳細には、図11(A)および図11(B)は、顔41の代替として文字「A」および模様が付されたカバーシート4Hの概要図である。図11(A)は、着用者が排尿す
る前のカバーシート4Hの状態の一例である。一方、図11(B)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Hの状態の一例である。また、図11(C)および図11(D)は、顔41の代替として数個の文字「A」~「D」が付されたカバーシート4Hの概要図である。図11(C)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Hの状態の一例である。一方、図11(D)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Hの状態の一例である。
【0065】
図11(A)および図11(B)に示されるおむつ1Hの場合、文字「A」がスリット61Hに食い込んでいるカバーシート4Hの食い込み50Hに描かれている。そして、文字「A」を幅方向に跨ぐように模様53が付されている。このようなおむつ1Hによれば、おむつ1Hを前身頃領域1Fに対して正面から見た人は、吸収体6Hが尿を吸収するに従い、模様53の内部から文字「A」が新たに出現するような印象を受ける。よって、おむつ1Hの水分の吸収度合いを容易に認識することができる。
【0066】
また、図11(C)および図11(D)に示されるおむつ1Hの場合、カバーシート4Hには、文字「A」~「D」が付されている。そして、それらの文字のうち、文字「C」が食い込み50Hに付されている。このようなおむつ1Hによれば、おむつ1Hを前身頃領域1Fに対して正面から見た人は、吸収体6Hが尿を吸収するに従い、新たに文字「C」が出現するような印象を受ける。よって、おむつ1Hの水分の吸収度合いを容易に認識することができる。なお、食い込み50Hには、文字の代わりに数字または記号が描かれていてもよい。
【0067】
[第9変形例]
図12は、第9変形例に係るおむつ1Iのカバーシート4Iの概要を例示する。第9変形例に係るおむつ1Iには、顔41の代替として模様がカバーシート4Iに描かれている。図12(A)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Iの状態の一例である。一方、図12(B)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Iの状態の一例である。
【0068】
図12(A)および図12(B)に示されるおむつ1Iの場合、長手方向に延在する模様41Iがスリット61Iに食い込んでいるカバーシート4Iの食い込み50Iに含まれる。このようなおむつ1Iによれば、吸収体6Iが尿を吸収する前において、模様41Iは外部に露出しない。一方、吸収体6Iが尿を吸収するに従い、おむつ1Iを前身頃領域1Fに対して正面から見た人は、模様41Iを新たに視認することができる。よって、カバーシート4Iの前身頃領域1Fのデザインが大きく変化する印象を受けることになる。よって、おむつ1Iの水分の吸収度合いを容易に認識することができる。
【0069】
[第10変形例]
図13は、第10変形例に係るおむつ1Jのカバーシート4Jの概要を例示する。第10変形例に係るおむつ1Jでは、顔41の代わりに模様がカバーシート4Jに付されている。
【0070】
より詳細には、図13(A)および図13(B)は、顔41の代替として星型の模様が付されたカバーシート4Jの概要図である。図13(A)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Jの状態の一例である。一方、図13(B)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Jの状態の一例である。また、図13(C)および図13(D)は、顔41の代替として十字型の模様が付されたカバーシート4Jの概要図である。図13(C)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Jの状態の一例である。一方、図13(D)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Jの状態の一例である。
【0071】
図13(A)および図13(B)に示されるおむつ1Jの場合、スリット61Jがおむつ1Jの幅方向に延在するように設けられている。そして、星型の模様がスリット61J
に食い込んでいるカバーシート4Jの食い込み50Jに描かれている。なお、星型の模様の一部は、食い込み50Jからはみ出るように描かれている。
【0072】
このようなおむつ1Jによれば、図13(A)に示されるように尿吸収前においては三角形状の図形が3つ視認できる。そして、図13(B)に示されるように尿を吸収するに従い星型の図形が視認されるようになる。よって、おむつ1Jを前身頃領域1Fに対して正面から見た人にとっては、カバーシート4Jの前身頃領域1Fに描かれた模様が大きく変化する印象を受けることになる。よって、おむつ1Jの水分の吸収度合いを容易に認識することができる。
【0073】
また、図13(C)および図13(D)に示されるおむつ1Jの場合、スリット61Jがおむつ1Jの幅方向に延在するように設けられている。そして、十字型の模様がスリット61Jに食い込んでいるカバーシート4Jの食い込み50Jに描かれている。なお、十字型の模様の一部は、食い込み50Jからはみ出るように描かれている。
【0074】
このようなおむつ1Jによれば、図13(C)に示されるように尿吸収前においては矩形状の図形が2つ視認できる。そして、図13(D)に示されるように尿を吸収するに従い十字型の図形が視認されるようになる。よって、おむつ1Jを前身頃領域1Fに対して正面から見た人にとっては、カバーシート4Jの前身頃領域1Fに描かれた模様が大きく変化する印象を受けることになる。よって、おむつ1Jの水分の吸収度合いを容易に認識することができる。
【0075】
[第11変形例]
図14は、第11変形例に係るおむつ1Kのカバーシート4Kの概要を例示する。第11変形例に係るおむつ1Kでは、顔41の代わりに飛翔している状態のキャラクターがカバーシート4Kに描かれている。
【0076】
より詳細には、図14(A)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Kの状態の一例である。一方、図14(B)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Kの状態の一例である。図14(A)および図14(B)に示されるおむつ1Kの場合、スリット61Kがおむつ1Kの長手方向に延在するように設けられている。そして、飛翔している状態のキャラクターがスリット61Kに食い込んでいるカバーシート4Kの食い込み50Kに描かれている。
【0077】
このようなおむつ1Kによれば、図14(A)に示されるように尿吸収前においては、おむつ1Kを前身頃領域1Fに対して正面から見た人はキャラクターを視認できない。そして、図14(B)に示されるように尿を吸収するに従いキャラクターを視認できるようになる。また、キャラクターは、飛翔しているように視認できる。よって、おむつ1Kを前身頃領域1Fに対して正面から見た人にとっては、カバーシート4Kの前身頃領域1Fに描かれたキャラクターの形態が大きく変化する印象を受けることになる。よって、おむつ1Kの水分の吸収度合いを容易に認識することができる。
【0078】
[第12変形例]
図15は、第12変形例に係るおむつ1Lのカバーシート4Lの概要を例示する。第12変形例に係るおむつ1Lでは、顔41の代わりに植物がカバーシート4Lに描かれている。
【0079】
より詳細には、図15(A)は、着用者が排尿する前のカバーシート4Lの状態の一例である。一方、図15(B)は、着用者が排尿した後のカバーシート4Lの状態の一例である。おむつ1Lでは、幅方向に延在する複数のスリット61Lが設けられている。そし
て、スリット61Lを縦断するようにカバーシート4Lに植物が描かれている。
【0080】
このようなおむつ1Lによれば、図15(A)に示されるように尿吸収前においては植物の花や葉っぱが描かれたカバーシート4Lの部分が複数のスリット61Lに食い込む(食い込み50L)ことで隠れることになる。そして、図15(B)に示されるように尿を吸収するに従い植物の全体像が視認可能となる。よって、おむつ1Lを前身頃領域1Fに対して正面から見た人にとっては、カバーシート4Lの前身頃領域1Fに描かれた植物の形態が大きく変化する印象を受けることになる。よって、おむつ1Lの水分の吸収度合いを容易に認識することができる。
【0081】
[第13変形例]
図16は、第13変形例に係るおむつ1Mのカバーシート4Mの概要を例示する。第13変形例に係るおむつ1Mでは、スリット61Mに食い込んでいるカバーシート4Mの食い込み50Mに顔41が描かれていない。おむつ1Mでは、スリット61Mと重ならないカバーシート4Mの領域49に文字等が付される。
【0082】
より詳細には、図16(A)は、文字および模様が、幅方向に並ぶスリット61Mの間のカバーシート4Mの領域49Aに付された場合の概要図である。また、図16(B)は、文字および模様が、長手方向のスリット61Mの端部よりも長手方向先端の領域49Bに付された場合の概要図である。
【0083】
図16(A)に示されるおむつ1Mによれば、尿吸収前においてスリット61Mにカバーシート4Mの一部が食い込むことになる(食い込み50M)。しかしながら、文字および模様が付された領域49A(本開示の「厚み方向において溝と重ならない部分」の一例)は、食い込み50Mに挟まれた場所に位置するため、外部から視認可能な状態である。また、このような領域49Aは、尿吸収後においても外部から視認可能な状態であるため、領域49Aに付された文字および模様は継続的に外部から視認可能である。つまり、このようなおむつ1Mによれば、吸収体6Mの尿の吸収に関わらず、着用者は領域49Aに付された文字および模様を視認することができる。よって、このようなおむつ1Mによれば、尿の吸収に関わらず情報を表示させておきたい場合に有用である。なお、食い込み50Mが生じるカバーシート4Mには、図示しないが実施形態や変形例のように顔41が描かれる。
【0084】
また、図16(C)に示されるおむつ1Mによれば、領域49Bは、尿吸収前においてスリット61に食い込んだカバーシート4Kの食い込み50Mよりも離れた場所に位置する。なお、領域49Bには、実施形態に係るおむつ1のように折り畳み54が形成されていない。よって、尿吸収前において領域49Bに付された文字および模様は外部から視認可能な状態である。また、尿吸収後においても文字および模様は継続的に外部から視認可能である。つまり、このようなおむつ1Mによれば、吸収体6Mの尿の吸収に関わらず、着用者は領域49Bに付された文字および模様を視認することができる。よって、このようなおむつ1Mによれば、尿の吸収に関わらず情報を表示させておきたい場合に有用である。なお、領域49Bは、本開示の「厚み方向において溝と重ならない部分」および「腹部及び背部のうちの少なくとも何れか一方まで延在する窪みが形成されない部分」の一例である。また、食い込み50Mが生じるカバーシート4Mには、図示しないが実施形態や変形例のように顔41などが描かれる。
【0085】
[その他変形例]
スリット8の代わりに肌面側から非肌面側に凹む凹部が吸収体6の非肌面側の長手方向に延在してもよい。また、顔41はカバーシート4の後身頃領域1Rに描かれていてもよい。また、顔41は、カバーシート4に限定されず、外部から視認可能な部材に描かれて
いればよい。
【0086】
また、実施形態では、スリット61とウェストギャザー3との間に離間領域64が設けられていたが、離間領域64は設けられなくともよい。つまり、スリット61は、ウェストギャザー3の近傍まで延在してもよい。また、スリット61は股下領域1Bから前身頃領域1Fあるいは後身頃領域1Rのいずれか一方向に延在してもよい。また、実施形態では、スリット61と顔41の一部とが重なっているが、スリット61と顔41とは重なっていなくともよく、実施形態の折り畳み54が形成される位置に顔41の全部が描かれていてもよい。また、折り畳み54は後身頃領域1Rに形成されてもよい。また、スリット61の本数および向きは上記に記載された例に限定されない。すなわち、スリット61に食い込むカバーシート4の食い込みの数や向きなどは上記の例に限定されない。
【0087】
また、タミーギャザー2が配置されていなくともよく、タミーギャザー2の代わりにスリット61の端部62を幅方向外側に引張する伸縮性部材が設けられていてもよい。また、タミーギャザー2の代わりにカバーシート4の離間領域64を幅方向外側に引張する伸縮性部材が設けられていてもよい。また、タミーギャザー2を形成する糸ゴム63の一部は、吸収体6が貼り付けられているシート状部材(例えばバックシート)に溶着されてもよい。このような場合、糸ゴム63と吸収体6とは間接的に接着することになる。また、糸ゴム63は、吸収体6に溶着されていなくともよい。
【0088】
また、おむつ1は前身頃領域1Fに対して後身頃領域1Rがテープを介して固定されるテープ型のおむつであってもよい。
【0089】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせる事ができる。
【符号の説明】
【0090】
1:おむつ
1B :股下領域
1F :前身頃領域
1R :後身頃領域
2 :タミーギャザー
3 :ウェストギャザー
3BL :立体ギャザー
3BR :立体ギャザー
4 :カバーシート
4F1、4F2 :糸ゴム
6 :吸収体
8 :スリット
40 :キャラクター
41 :顔
42 :両端
43 :胴体
44 :尻尾
45 :物体
46 :キャラクター
47 :模様
48 :キャラクター
49 :領域
50 :食い込み
51 :領域
52 :図形
53 :模様
54 :折り畳み
55 :口
56 :目
61 :スリット
62 :端部
63 :糸ゴム
64 :離間領域
65 :領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16