(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】開閉体制御装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/73 20150101AFI20241112BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20241112BHJP
B60R 25/31 20130101ALI20241112BHJP
【FI】
E05F15/73
B60J5/04 C
B60R25/31
(21)【出願番号】P 2021023488
(22)【出願日】2021-02-17
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 浩司
(72)【発明者】
【氏名】田村 拓也
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/041955(WO,A1)
【文献】特開2012-172367(JP,A)
【文献】特表2017-512268(JP,A)
【文献】特開2016-196798(JP,A)
【文献】特開2012-121384(JP,A)
【文献】米国特許第10921900(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05F 15/00-15/79
B60J 5/00- 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する車体と、前記開口部を開閉する開閉体と、前記開閉体を作動する駆動部と、ユーザのジェスチャ操作を検出する検出装置と、を備える車両に適用される開閉体制御装置であって、
無線通信によって、前記ユーザの所持する携帯機の位置を取得する位置取得部と、
前記携帯機が前記検出装置の検出エリアに存在する状況下において、前記ジェスチャ操作が実施されたか否かを判定する操作判定部と、
前記ユーザが前記ジェスチャ操作を実施したと判定される場合に、前記ジェスチャ操作の内容を基に前記開閉体を作動させる開閉体制御部と、を備え
、
前記検出装置は、カメラであり、前記検出エリアは、前記カメラの撮影エリアであって、
前記操作判定部は、前記携帯機が前記車両に接近しながら、前記ジェスチャ操作が実施されたか否かを判定する
開閉体制御装置。
【請求項2】
開口部を有する車体と、前記開口部を開閉する開閉体と、前記開閉体を作動する駆動部と、ユーザのジェスチャ操作を検出する検出装置と、を備える車両に適用される開閉体制御装置であって、
無線通信によって、前記ユーザの所持する携帯機の位置を取得する位置取得部と、
前記携帯機が前記検出装置の検出エリアに存在する状況下において、前記ジェスチャ操作が実施されたか否かを判定する操作判定部と、
前記ユーザが前記ジェスチャ操作を実施したと判定される場合に、前記ジェスチャ操作の内容を基に前記開閉体を作動させる開閉体制御部と、を備え、
前記検出装置は、カメラであり、前記検出エリアは、前記カメラの撮影エリアであって、
前記携帯機の位置に基づいて、前記撮影エリアよりも狭い認識エリアを設定するエリア設定部を備え、
前記操作判定部は、前記携帯機が前記認識エリアに存在する状況下において、前記ジェスチャ操作が実施されたか否かを判定するものであり、
前記カメラは、向きを調整可能に構成され、
前記撮影エリアに前記携帯機が存在しない場合、前記撮影エリアに前記携帯機が存在するように前記カメラの向きを調整するカメラ制御部を備える
開閉体制御装置。
【請求項3】
前記開口部は、前記車体において異なる位置に開口する第1開口部及び第2開口部を有し、
前記開閉体は、前記第1開口部を開閉する第1開閉体と、前記第2開口部を開閉する第2開閉体と、を有し、
前記開閉体制御部は、前記携帯機が前記第2開閉体よりも前記第1開閉体に接近している場合には、前記ジェスチャ操作の内容を基に前記第1開閉体を作動させ、前記携帯機が前記第1開閉体よりも前記第2開閉体に接近している場合には、前記ジェスチャ操作の内容を基に前記第2開閉体を作動させる
請求項
1又は請求項
2に記載の開閉体制御装置。
【請求項4】
前記車両は、前記車両の周囲を照らす照明装置を備えるものであり、
前記車両の周囲の明るさに応じて、前記照明装置を制御する照明制御部を備える
請求項
1~請求項
3の何れか一項に記載の開閉体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、開閉体制御装置の一例として、車両の窓ガラスに設けられたセンサ電極と、センサ電極及び車体の間の静電容量を検出する静電容量検出回路と、を備える車両用窓センサが記載されている。車両用窓センサは、ユーザが手を窓ガラスに接触させた場合、言い換えればユーザの操作を検出した場合に、ドアをアンロックさせたり、ドアを開作動させたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような車両用窓センサは、ドアを誤作動させないようにする点で、改善の余地が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する開閉体制御装置は、開口部を有する車体と、前記開口部を開閉する開閉体と、前記開閉体を作動する駆動部と、ユーザのジェスチャ操作を検出する検出装置と、を備える車両に適用される開閉体制御装置であって、無線通信によって、前記ユーザの所持する携帯機の位置を取得する位置取得部と、前記携帯機が前記検出装置の検出エリアに存在する状況下において、前記ジェスチャ操作が実施されたか否かを判定する操作判定部と、前記ユーザが前記ジェスチャ操作を実施したと判定される場合に、前記ジェスチャ操作の内容を基に前記開閉体を作動させる開閉体制御部と、を備える。
【0006】
上記構成の開閉体制御装置は、携帯機が検出エリアに存在していること及びユーザがジェスチャ操作を実施していることの双方が成立する場合に開閉体を作動させる。言い換えれば、開閉体制御装置は、携帯機が検出エリアに存在していなければ、ユーザがジェスチャ操作を実施していても、開閉体を作動させない。このため、開閉体制御装置は、開閉体の誤作動を抑制できる。
【0007】
上記開閉体制御装置において、前記検出装置は、カメラであり、前記検出エリアは、前記カメラの撮影エリアであって、前記携帯機の位置に基づいて、前記撮影エリアよりも狭い認識エリアを設定するエリア設定部を備え、前記操作判定部は、前記携帯機が前記認識エリアに存在する状況下において、前記ジェスチャ操作が実施されたか否かを判定することが好ましい。
【0008】
上記構成の開閉体制御装置は、携帯機を所持するユーザの現在の位置との関係で認識エリアを設定する。言い換えれば、開閉体制御装置は、開閉体の正面の位置など、車両との関係で認識エリアを設定しない。このため、ユーザは、任意の位置でジェスチャ操作を実施することで、開閉体を作動できる。したがって、開閉体制御装置は、ユーザの利便性を向上できる。
【0009】
上記開閉体制御装置において、前記検出装置は、カメラであり、前記検出エリアは、前記カメラの撮影エリアであって、前記操作判定部は、前記携帯機が前記車両に接近しながら、前記ジェスチャ操作が実施されたか否かを判定することが好ましい。
【0010】
上記構成の開閉体制御装置は、携帯機を所持するユーザがジェスチャ操作を実施しつつ車両に接近する場合に、開閉体を作動させる。このため、開閉体制御装置は、ユーザがジェスチャ操作を実施したと誤判定したとしても、ユーザが車両に接近していなければ、開閉体を作動させない。したがって、開閉体制御装置は、開閉体を誤作動させることを抑制できる。
【0011】
上記開閉体制御装置において、前記開口部は、前記車体において異なる位置に開口する第1開口部及び第2開口部を有し、前記開閉体は、前記第1開口部を開閉する第1開閉体と、前記第2開口部を開閉する第2開閉体と、を有し、前記開閉体制御部は、前記携帯機が前記第2開閉体よりも前記第1開閉体に接近している場合には、前記ジェスチャ操作の内容を基に前記第1開閉体を作動させ、前記携帯機が前記第1開閉体よりも前記第2開閉体に接近している場合には、前記ジェスチャ操作の内容を基に前記第2開閉体を作動させることが好ましい。
【0012】
上記構成の開閉体制御装置は、ユーザが接近している開閉体に応じて、作動対象となる開閉体を切り替えることができる。つまり、ユーザは、作動対象となる開閉体に応じて異なるジェスチャ操作を使い分ける必要がない。したがって、開閉体制御装置は、ユーザの利便性を高めることができる。
【0013】
上記開閉体制御装置において、前記カメラは、向きを調整可能に構成され、前記撮影エリアに前記携帯機が存在しない場合、前記撮影エリアに前記携帯機が存在するように前記カメラの向きを調整するカメラ制御部を備えることが好ましい。
【0014】
上記構成の開閉体制御装置は、認識エリアをより広範な撮影エリアの中から設定できる。言い換えれば、開閉体制御装置は、カメラの向きが固定されている場合と比較して、ユーザのジェスチャ操作を検出できるエリアを広げることができる。
【0015】
上記開閉体制御装置において、前記車両は、前記車両の周囲を照らす照明装置を備えるものであり、前記車両の周囲の明るさに応じて、前記照明装置を制御する照明制御部を備えることが好ましい。
【0016】
車両の周囲が暗い場合には、カメラが撮影する画像の画質が低下しやすい。この点、上記構成の開閉体制御装置は、照明装置によって車両の周囲を照らすことができるため、車両の周囲が暗くても、カメラが撮影する画像の画質が低下しにくい。その結果、開閉体制御装置は、ユーザのジェスチャ操作の誤検出を抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
上記構成の開閉体制御装置は、開閉体の誤作動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態のドア制御装置を備える車両の模式図。
【
図2】第1実施形態のドア制御装置の制御構成を示すブロック図。
【
図3】第1実施形態のドア制御装置が実施する処理の流れを説明するフローチャート。
【
図4】第2実施形態のドア制御装置を備える車両の模式図。
【
図5】第2実施形態のドア制御装置の制御構成を示すブロック図。
【
図6】第2実施形態のドア制御装置が実施する処理の流れを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る開閉体制御装置(以下、「ドア制御装置」ともいう。)を備える車両について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1及び
図2に示すように、車両10は、車体20と、ドア30と、ドア駆動部40と、ドアロック装置50と、ドアロック駆動部60と、カメラ70と、照明装置80と、車載通信機90と、ドア制御装置100と、を備える。
【0021】
図1に示すように、車体20は、側方に開口する第1開口部21及び第2開口部22と、後方に開口する第3開口部23と、を有する。第1開口部21は、第2開口部22よりも前方に位置している。第1開口部21及び第2開口部22は、ユーザが車両10に乗降する際に通過する部位である。第3開口部23は、ユーザが荷室に対して荷物を出し入れする部位である。第1開口部21、第2開口部22及び第3開口部23は、「開口部」の一例に相当する。
【0022】
ドア30は、第1開口部21を開閉するフロントドア31と、第2開口部22を開閉するリヤドア32と、第3開口部23を開閉するバックドア33と、有する。フロントドア31は、前端部が不図示のヒンジを介して車体20に連結されるスイングドアである。フロントドア31は、第1開口部21を全閉する全閉位置及び第1開口部21を全開する全開位置の間で変位する。リヤドア32は、前後方向に延びる不図示のレールに支持されるスライドドアである。リヤドア32は、第2開口部22を全閉する全閉位置及び第2開口部22を全開する全開位置の間で変位する。バックドア33は、上端部が不図示のヒンジを介して車体20に連結される跳ね上げ式のドアである。バックドア33は、第3開口部23を全閉する全閉位置及び第3開口部23を全開する全開位置の間で変位する。ドア30は、「開閉体」の一例に相当する。
【0023】
図2に示すように、ドア駆動部40は、フロントドア31を駆動する第1ドア駆動部41と、リヤドア32を駆動する第2ドア駆動部42と、バックドア33を駆動する第3ドア駆動部43と、を有する。第1ドア駆動部41、第2ドア駆動部42及び第3ドア駆動部43は、例えば、モータと、モータの動力をドア30に伝達する伝達機構と、を含んで構成される。以降の説明では、ドア30を全閉位置から全開位置に向けて作動させることを「開作動」ともいい、ドア30を全開位置から全閉位置に向けて作動させることを「閉作動」ともいう。ドア駆動部40は、「駆動部」の一例に相当する。
【0024】
図1に示すように、ドアロック装置50は、フロントドア31を車体20に拘束する第1ドアロック装置51と、リヤドア32を車体20に拘束する第2ドアロック装置52と、バックドア33を車体20に拘束する第3ドアロック装置53と、を有する。第1ドアロック装置51は、全閉位置に位置するフロントドア31を車体20に拘束するロック状態及び全閉位置に位置するフロントドア31を車体20に拘束しないアンロック状態に切り替わる。第2ドアロック装置52は、全閉位置に位置するリヤドア32を車体20に拘束するロック状態及び全閉位置に位置するリヤドア32を車体20に拘束しないアンロック状態に切り替わる。第3ドアロック装置53は、全閉位置に位置するバックドア33を車体20に拘束するロック状態及び全閉位置に位置するバックドア33を車体20に拘束しないアンロック状態に切り替わる。
【0025】
図2に示すように、ドアロック駆動部60は、第1ドアロック装置51の状態を切り替える第1ドアロック駆動部61と、第2ドアロック装置52の状態を切り替える第2ドアロック駆動部62と、第3ドアロック装置53の状態を切り替える第3ドアロック駆動部63と、を有する。ドアロック駆動部60は、モータと、モータの動力をドアロック装置50に伝達する伝達機構と、を含んで構成される。以降の説明では、ドアロック装置50をロック状態からアンロック状態に移行させることをアンロック作動ともいい、ドアロック装置50をアンロック状態からロック状態に移行させることをロック作動ともいう。ドアロック駆動部60は、「駆動部」の一例に相当する。
【0026】
カメラ70は、車両10の側方のエリアを撮影エリアとするサイドカメラ71と、車両10の後方のエリアを撮影するバックカメラ72と、を有する。カメラ70は、向きを調整可能に構成されている。言い換えれば、カメラ70は、向きを変えることにより、撮影エリアを調整できる。以降の説明では、
図1に示すように、現時点でカメラ70が撮影可能なエリアを「第1撮影エリアA1」ともいい、カメラ70の向きを調整することでカメラ70が撮影可能なエリアを「第2撮影エリアA2」ともいう。つまり、第1撮影エリアA1は、第2撮影エリアA2よりも小さい。カメラ70は「検出装置」の一例に相当し、第1撮影エリアA1は、「検出エリア」の一例に相当する。
【0027】
本実施形態において、サイドカメラ71は、サイドミラーに設置されるが、他の実施形態において、サイドカメラ71は、フロントドア31及びリヤドア32に設置したり、車体20における第1開口部21及び第2開口部22よりも上部に設置したりできる。本実施形態において、バックカメラ72は、バックドア33に設置されるが、他の実施形態において、バックカメラ72は、車体20における第3開口部23よりも下部に設置することもできる。カメラ70は、後述するユーザのジェスチャ操作を検出するために設けた専用のカメラであってもよいし、車両10の周囲を検出するために設けたカメラであってもよい。カメラ70は、撮影した映像をドア制御装置100に出力する。
【0028】
照明装置80は、車両10の周囲を照らすライトである。照明装置80は、少なくとも、サイドカメラ71の撮影エリア及びバックカメラ72の撮影エリアを照らすことができることが好ましい。この点で、照明装置80は、サイドカメラ71の付近に設置したり、バックカメラ72の付近に設置したりすることが好ましい。
【0029】
車載通信機90は、第1アンテナ91と、第1通信制御部92と、を有する。車載通信機90と通信する携帯機200は、第2アンテナ201と、第2通信制御部202と、を有する。車載通信機90は、車載の通信機であり、携帯機200は、ユーザが所持する通信機である。つまり、携帯機200は、車両10の電子キー及びスマートフォンなどである。携帯機200は、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスであってもよい。
【0030】
第1アンテナ91は、LF(Low Frequency)帯の信号を送信するアンテナと、UHF(Ultra High Frequency)帯の信号を受信するアンテナと、UWB(Ultra Wide Band)帯の信号を送受信するアンテナと、を含んでいる。第1アンテナ91は、車体20に対し、異なる場所に2つ以上設置することが好ましい。第2アンテナ201は、LF帯の信号を受信するアンテナと、UHF帯の信号を送信するアンテナと、UWB帯の信号を送受信するアンテナと、を含んでいる。
【0031】
第1通信制御部92及び第2通信制御部202は、相互に信号を送受信することで、相互に認証を行う。以下、認証方法について簡単に説明する。第1通信制御部92は、所定の制御サイクルで第1アンテナ91から、車載通信機90を識別する情報を含むLF帯の信号を送信する。第2通信制御部202は、第1アンテナ91から送信されるLF帯の信号を受信すると、当該信号を解析する。そして、第2通信制御部202は、受信した信号に、携帯機200と紐付いた車両10に搭載された車載通信機90であることを示す情報が含まれていれば、車載通信機90を認証する。第2通信制御部202は、車載通信機90を認証した後、第2アンテナ201から、携帯機200を識別する情報を含むUHF帯の信号を送信する。第1通信制御部92は、第2アンテナ201から送信されるUHF帯の信号を受信すると、当該信号を解析する。そして、第1通信制御部92は、受信した信号に、車載通信機90と紐付いた携帯機200であることを示す情報が含まれていれば、携帯機200を認証する。こうして、車載通信機90及び携帯機200は、相互に認証を行う。以降の説明では、車載通信機90及び携帯機200が相互認証を行うときのエリアを「相互認証エリア」ともいう。本実施形態において、相互認証エリアは、第2撮影エリアA2よりも大きなエリアである。
【0032】
また、第1通信制御部92は、第2通信制御部202と相互に信号を送受信することで、携帯機200の位置を推定する。以下、位置推定方法について簡単に説明する。第1通信制御部92は、第1アンテナ91からUWB帯の信号を送信する。続いて、第2通信制御部202は、第1アンテナ91からのUWB帯の信号を受信すると、第2アンテナ201からUWB帯の信号を送信する。その後、第1通信制御部92は、第2アンテナ201からのUWB帯の信号を受信する。第1通信制御部92は、車両10に設置される複数の第1アンテナ91との関係で、上記の信号の送受信を行う。最後に、第1通信制御部92は、信号の送受信に掛かった時間である信号到来時間と、信号を受信した方向である信号到来方向と、に基づいて、携帯機200の位置を推定する。
【0033】
以下、ドア制御装置100について詳しく説明する。
図2に示すように、ドア制御装置100は、位置取得部101と、カメラ制御部102と、照明制御部103と、エリア設定部104と、操作判定部105と、ドア制御部106と、を備える。本実施形態では、ドア制御部106が「開閉体制御部」の一例に相当する。
【0034】
位置取得部101は、車載通信機90及び携帯機200を相互に通信させることで、携帯機200の位置を取得する。言い換えれば、位置取得部101は、無線通信により、携帯機200を所持するユーザの位置を取得する。
【0035】
カメラ制御部102は、カメラ70の向きを調整する。詳しくは、カメラ制御部102は、携帯機200が第1撮影エリアA1外であって第2撮影エリアA2内に位置するとき、携帯機200が第1撮影エリアA1内に収まるようにカメラ70の向きを調整する。カメラ制御部102は、携帯機200が第1撮影エリアA1内に収まる場合であっても、携帯機200が第1撮影エリアA1の端に位置する場合であれば、携帯機200が第1撮影エリアA1の中心に位置するようにカメラ70の向きを調整してもよい。
【0036】
照明制御部103は、車両10が停止するとともにカメラ70が起動されている状況下において、照明装置80のオンオフを制御する。詳しくは、照明制御部103は、カメラ70の撮影に適さない程度に車両10の周囲が暗い場合、照明装置80をオンにし、カメラ70の撮影に影響を与えない程度に車両10の周囲が明るい場合、照明装置80をオフにする。照明制御部103は、例えば、日の出及び日没の時刻を基準に、時間帯に応じて照明装置80のオンオフを切り替えてもよい。また、車両10が照度センサを備える場合、照明制御部103は、照度センサの検出結果に基づいて、照明装置80のオンオフを切り替えてもよい。
【0037】
エリア設定部104は、携帯機200の位置に基づいて、第1撮影エリアA1よりも狭い認識エリアA3を設定する。認識エリアA3は、携帯機200を所持するユーザを含むエリアとすることが好ましい。このため、認識エリアA3は、例えば、携帯機200の位置を中心とした半径50cm程度の円形のエリアとすればよい。他の実施形態において、認識エリアA3は、楕円状のエリアであってもよいし、矩形状のエリアであってもよい。
【0038】
操作判定部105は、カメラ70が撮影した画像に基づいて、ユーザが事前に設定されたジェスチャ操作を認識エリアA3内で実施したか否かを判定する。ジェスチャ操作は、ユーザが足及び手などの身体の一部を動かすことで実施される。例えば、ユーザの足を用いたジェスチャ操作は、ユーザが踵を中心に爪先を振る動作である。また、ユーザの手を用いたジェスチャ操作は、ユーザが手を挙げたり、手を振ったりする動作である。
【0039】
詳しくは、操作判定部105は、ジェスチャ操作に用いられるユーザの身体の一部を特定する特定処理と、特定したユーザの身体の一部がジェスチャ操作と対応した動作をしたか否かを判定する判定処理と、を実施する。操作判定部105は、特定処理において、機械学習した学習済みモデルを用いて、ユーザの身体の一部を特定すればよい。ここで、学習済みモデルとは、事前に撮影した画像とユーザの身体の一部とを対応付けた教師データを用いて機械学習することで得られる学習済みモデルである。また、操作判定部105は、判定処理において、オプティカルフローを用いて、特定したユーザの身体の一部の動きがジェスチャ操作に合致したものか否かを判定すればよい。
【0040】
ドア制御部106は、ユーザがジェスチャ操作を実施したと判定される場合、ドア30を作動させる。ドア30の作動内容には、ドア30をロック作動すること、ドア30をアンロック作動すること、ドア30を閉作動すること及びドア30を開作動することが含まれる。なお、ドア制御部106は、運転席及びドア30に設けられるスイッチが操作される場合及び携帯機200に設けられるスイッチが操作される場合にも、ドア30を作動させる。
【0041】
ドア制御部106は、ジェスチャ操作を実施するユーザの位置に応じて、作動対象となるドア30を決定する。ドア制御部106は、ユーザが車両10の右側の第1撮影エリアA1でジェスチャ操作を実施した場合、右側のフロントドア31及び右側のリヤドア32の一方を作動させる。詳しくは、ドア制御部106は、右側のフロントドア31及び右側のリヤドア32のうち、ユーザが最も接近しているドアを作動させる。同様に、ドア制御部106は、ユーザが車両10の左側の第1撮影エリアA1でジェスチャ操作を実施した場合、左側のフロントドア31及び左側のリヤドア32の一方を作動させる。詳しくは、ドア制御部106は、左側のフロントドア31及び左側のリヤドア32のうち、ユーザが最も接近しているドアを作動させる。ドア制御部106は、ユーザが車両10の後方の第1撮影エリアA1でジェスチャ操作を実施した場合、バックドア33を作動させる。こうして、ドア制御部106は、ユーザがジェスチャ操作を実施したとき、5つのドアのうち、ユーザが最も接近しているドアを作動させる。本実施形態では、フロントドア31及びリヤドア32がそれぞれ「第1開閉体及び第2開閉体」の一例に相当する。
【0042】
なお、ドア制御部106は、ユーザがジェスチャ操作を実施した場合に、特定のドアをアンロックさせるだけでもよいし、特定のドアをアンロックさせるとともに開作動させてもよい。特に、フロントドア31及びバックドア33は、ドアの作動範囲にジェスチャを実施するユーザが存在する可能性がある。このため、ドア制御部106は、携帯機200がフロントドア31及びバックドア33の作動範囲に存在する場合、フロントドア31の作動及びバックドア33の作動を制限することが好ましい。例えば、ドア制御部106は、フロントドア31及びバックドア33をアンロック作動させても、フロントドア31及びバックドア33を開閉作動させないことが好ましい。
【0043】
他の実施形態において、ドア制御部106は、ユーザが実施するジェスチャ操作の内容によって、作動させるドア30を決定してもよい。また、ドア制御部106は、ユーザがジェスチャ操作を実施した場合に作動させるドア30をフロントドア31に限定したり、リヤドア32に限定したりしてもよい。さらに、ジェスチャ操作と作動対象となるドア30と作動内容との対応関係をユーザが適宜に設定できるように、ドア制御部106を構成してもよい。
【0044】
次に、
図3に示すフローチャートを参照して、停止中の車両10の特定のドアをユーザが作動させようとするときに、ドア制御装置100が実施する処理の流れについて説明する。本処理は、車載通信機90及び携帯機200の間で相互に認証が完了した後に実施される処理である。
【0045】
図3に示すように、ドア制御装置100は、車載通信機90及び携帯機200の間でUWB帯の信号を送受信させることで、携帯機200の位置を取得する(S11)。その後、ドア制御装置100は、携帯機200が第2撮影エリアA2に存在しているか否かを判定する(S12)。携帯機200が第2撮影エリアA2に存在していない場合(S12:NO)、言い換えれば、携帯機200を所持するユーザが車両10の付近に存在していない場合、ドア制御装置100は、本処理を一旦終了する。
【0046】
一方、携帯機200が第2撮影エリアA2に存在している場合(S12:YES)、言い換えれば、携帯機200を所持するユーザが車両10の付近に存在している場合、ドア制御装置100は、カメラ70を起動する(S13)。このとき、カメラ70による撮影に適さない程度に車両10の周囲が暗い場合、ドア制御装置100は、照明装置80をオンにすることが好ましい。
【0047】
その後、ドア制御装置100は、携帯機200の位置を取得する(S14)。続いて、ドア制御装置100は、携帯機200が第1撮影エリアA1に存在しているか否かを判定する(S15)。携帯機200が第1撮影エリアA1に存在する場合(S15:YES)、ドア制御装置100は、ステップS17に処理を移行する。一方、携帯機200が第1撮影エリアA1に存在していない場合(S15:NO)、ドア制御装置100は、携帯機200が第1撮影エリアA1に収まるように、カメラ70の向きを調整する(S16)。その後、ドア制御装置100は、ステップS17に処理を移行する。
【0048】
続いて、ドア制御装置100は、携帯機200の位置を基準として、認識エリアA3を設定する(S17)。ドア制御装置100にとって、認識エリアA3を設定することは、ユーザのジェスチャ操作を検出可能な状態であることを意味する。このため、ドア制御装置100は、ユーザのジェスチャ操作を検出可能な状態に移行したことを、ユーザに報知してもよい。報知方法としては、例えば、携帯機200を振動させたり、携帯機200から音を出力させたりすることが挙げられる。
【0049】
そして、ドア制御装置100は、認識エリアA3において、ユーザのジェスチャ操作を検出できたか否かを判定する(S18)。ユーザのジェスチャ操作を検出できた場合(S18:YES)、ドア制御装置100は、作動対象となるドア30を作動させる(S19)。その後、ドア制御装置100は、カメラ70を停止し(S20)、本処理を終了する。
【0050】
ステップS18において、ジェスチャ操作を検出できない場合(S18:NO)、ドア制御装置100は、携帯機200が第2撮影エリアA2に存在しているか否かを判定する(S21)。携帯機200が第2撮影エリアA2に存在している場合(S21:YES)、言い換えれば、携帯機200を所持するユーザが車両10の周囲で移動した場合、ドア制御装置100は、ステップS14に処理を移行する。一方、携帯機200が第2撮影エリアA2に存在していない場合(S21:NO)、言い換えれば、携帯機200を所持するユーザが車両10から離れた場合、ドア制御装置100は、カメラ70を停止し(S22)、本処理を終了する。
【0051】
本実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、フロントドア31を開作動させようとするユーザは、携帯機200を所持した状態でフロントドア31に接近する。その後、ユーザは、事前に定められたジェスチャ操作を実施する。すると、フロントドア31がアンロック作動された後に開作動される。このとき、ユーザは、サイドカメラ71の撮影エリア内でジェスチャ操作を実施すればよく、例えば、フロントドア31の正面でジェスチャ操作を実施する必要はない。
【0052】
第1実施形態の効果について説明する。
(1)ドア制御装置100は、携帯機200が第1撮影エリアA1に存在していること及びユーザがジェスチャ操作を実施していることの双方が成立する場合にドア30を作動させる。言い換えれば、ドア制御装置100は、携帯機200が第1撮影エリアA1に存在していなければ、ユーザがジェスチャ操作を実施していても、ドア30を作動させない。このため、ドア制御装置100は、携帯機200を所持しないユーザのジェスチャ操作に基づいて、ドア30を作動させることを抑制できる。また、ドア制御装置100は、例えば、車両10の周囲でユーザでない物体が動くことで、ジェスチャ操作を誤判定した場合、ドア30を作動させることを抑制できる。このため、ドア制御装置100は、ドア30の誤作動を抑制できる。
【0053】
(2)ドア制御装置100は、携帯機200を所持するユーザの現在の位置との関係で認識エリアA3を設定する。言い換えれば、ドア制御装置100は、ドア30の正面の位置など、車両10との関係で認識エリアA3を設定しない。このため、ユーザは、任意の位置でジェスチャ操作を実施することで、ドア30を作動できる。したがって、ドア制御装置100は、ユーザの利便性を向上できる。また、ドア制御装置100は、広い撮影エリアではなく、狭い認識エリアA3でユーザのジェスチャ操作が実施されたか否かを判定する。このため、ドア制御装置100は、ユーザのジェスチャ操作を誤検出するおそれを低減できる。
【0054】
(3)ドア制御装置100は、ユーザが接近しているドア30に応じて、作動対象となるドア30を切り替えることができる。つまり、ユーザは、作動対象となるドア30に応じて異なるジェスチャ操作を使い分ける必要がない。したがって、ドア制御装置100は、ユーザの利便性を高めることができる。
【0055】
(4)ドア制御装置100は、カメラ70の向きを調整する。このため、ドア制御装置100は、認識エリアA3をより広範な撮影エリアの中から設定できる。言い換えれば、ドア制御装置100は、カメラ70の向きが固定されている場合と比較して、ユーザのジェスチャ操作を検出できるエリアを広げることができる。
【0056】
(5)車両10の周囲が暗い場合には、カメラ70が撮影する画像の画質が低下しやすい。この点、ドア制御装置100は、照明装置80によって車両10の周囲を照らすことができるため、車両10の周囲が暗くても、カメラ70が撮影する画像の画質が低下しにくい。その結果、ドア制御装置100は、ユーザのジェスチャ操作の誤検出を抑制できる。
【0057】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係るドア制御装置100Aについて、図面を参照しつつ説明する。第2実施形態において、第1実施形態と共通する部材構成について同一の符号を付して、の説明を省略する。第2実施形態に係るドア制御装置100Aは、第1実施形態と比較して、カメラ制御部102及びエリア設定部104を備えない点が異なる。また、操作判定部105Aの処理内容が異なる。
【0058】
図4及び
図5に示すように、ドア制御装置100Aは、位置取得部101と、照明制御部103と、操作判定部105Aと、ドア制御部106と、を備える。
第2実施形態において、操作判定部105Aは、位置取得部101が取得した携帯機200の位置に基づいて、携帯機200が時間経過とともに車両10に接近しているか否かを判定する。そして、操作判定部105Aは、携帯機200が車両10に接近しながら、ユーザがジェスチャ操作を実施したか否かを判定する。ユーザの実施するジェスチャ操作は、歩行しながら行うことのできるジェスチャ操作である。一例として、ジェスチャ操作は、片手を上方に挙げた状態を維持したり、手を握った状態を維持したりする動作である。以上より、操作判定部105Aは、ジェスチャ操作の対象となるユーザの身体の一部が携帯機200の移動方向にのみ移動するか否か判定することにより、携帯機200が車両10に接近しながら、ユーザがジェスチャ操作を実施したか否かを判定する。
【0059】
操作判定部105Aは、例えば、機械学習した学習済みモデルを用いて、ユーザの手の位置を特定すればよい。ここで、学習済みモデルとは、事前に撮影した画像とユーザの身体の一部とを対応付けた教師データを用いて機械学習することで得られる学習済みモデルである。
【0060】
なお、第2実施形態において、カメラ70の向きは調整不能である。このため、固定された撮影エリアを「第1撮影エリアA1」という。
次に、
図6に示すフローチャートを参照して、停止中の車両10のドア30をユーザが作動させようとするときに、ドア制御装置100Aが実施する処理の流れについて説明する。本処理は、車載通信機90及び携帯機200の間で相互に認証が完了した後に実施される処理である。
【0061】
図2に示すように、ドア制御装置100Aは、車載通信機90及び携帯機200の間でUWB帯の信号を送受信させることで、携帯機200の位置を取得する(S11)。その後、ドア制御装置100Aは、携帯機200が第1撮影エリアA1に存在しているか否かを判定する(S12)。携帯機200が第1撮影エリアA1に存在していない場合(S12:NO)、言い換えれば、携帯機200を所持するユーザが車両10の付近に存在していない場合、ドア制御装置100Aは、本処理を一旦終了する。一方、携帯機200が第1撮影エリアA1に存在している場合(S12:YES)、言い換えれば、携帯機200を所持するユーザが車両10の付近に存在している場合、ドア制御装置100Aは、カメラ70を起動する(S13)。このとき、カメラ70による撮影に適さない程度に車両10の周囲が暗い場合、ドア制御装置100Aは、照明装置80をオンにすることが好ましい。
【0062】
ドア制御装置100Aは、ユーザのジェスチャ操作を検出できたか否かを判定する(S14)。ジェスチャ操作を検出できない場合(S14:NO)、ドア制御装置100Aは、ジェスチャ操作を検出できるまで待機する。一方、ジェスチャ操作を検出できた場合(S14:YES)、ドア制御装置100Aは、携帯機200の位置を取得する(S15)。その後、ドア制御装置100Aは、ユーザのジェスチャ操作を検出できたか否かを再度判定する(S16)。
【0063】
ジェスチャ操作を継続して検出できなくなった場合(S16:NO)、ドア制御装置100Aは、ステップS14に処理を移行する。一方、ジェスチャ操作を継続して検出できる場合(S16:YES)、ドア制御装置100Aは、携帯機200の位置を取得する(S17)。そして、ドア制御装置100Aは、ステップS14が肯定判定されてからの携帯機200の移動量MVが移動量判定値MVth以上か否かを判定する(S18)。
【0064】
ここで移動量MVは、携帯機200を所持するユーザがジェスチャ操作を行った状態で、どれだけ車両10に接近したかを示す量である。また、移動量判定値MVthは、例えば、数十cm~数mの間で事前に設定されることが好ましい。移動量判定値MVthを小さくすると、ユーザがジェスチャ操作を実施した状態で車両10に接近する量が少なくて良い分、ユーザの利便性が向上する。一方、移動量判定値MVthを大きくすると、ユーザがジェスチャ操作を実施した状態で車両10に接近する量が多くなる分、ジェスチャ操作の判定精度が高まる。また、移動量MVは、車両10に接近する場合に正の値を取り、車両10から遠ざかる場合に負の値を取る。
【0065】
ユーザの移動量MVが移動量判定値MVth未満の場合、ドア制御装置100Aは、ステップS16に処理を移行する。ただし、ドア制御装置100Aは、移動量MVが減少傾向を示す場合、すなわち、ユーザが車両10から離れる場合には、本処理を終了することが好ましい。一方、ユーザの移動量MVが移動量判定値MVth以上の場合、ドア制御装置100Aは、作動対象となるドア30を作動させる(S19)。その後、ドア制御装置100Aは、カメラ70を停止し(S20)、本処理を終了する。
【0066】
本実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、フロントドア31を開作動させようとするユーザは、携帯機200を所持した状態かつジェスチャ操作を実施した状態で、フロントドア31に接近する。すると、フロントドア31がアンロック作動された後に開作動される。
【0067】
第2実施形態の効果について説明する。第2実施形態は、第1実施形態の効果(1),(3)に加え、以下の効果を得ることができる。
(6)ドア制御装置100Aは、携帯機200を所持するユーザがジェスチャ操作を実施しつつ車両10に接近する場合に、ドア30を作動させる。このため、ドア制御装置100Aは、ユーザがジェスチャ操作を実施したと誤判定したとしても、ユーザが車両10に接近していなければ、ドア30を作動させない。したがって、ドア制御装置100Aは、ドア30を誤作動させることを抑制できる。
【0068】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・ドア制御装置100,100Aは、車載通信機90及び携帯機200の相互認証が完了した後に、カメラ70を起動してもよい。
【0069】
・ドア制御装置100,100Aは、携帯機200の位置の時間変化に基づいて、携帯機200が車両10に接近しているか否かを判定してもよい。そして、ドア制御装置100は、携帯機200が車両10に接近した後に、ユーザがジェスチャ操作を実施したと判定できる場合にドア30を作動させてもよい。また、ドア制御装置100は、ユーザがジェスチャ操作を実施したと判定できた後に、携帯機200が車両10に接近する場合に、ドア30を作動させてもよい。つまり、携帯機200の車両10に対する接近判定とユーザのジェスチャの実施判定とは、別のタイミングであってもよい。
【0070】
・ドア制御装置100Aは、携帯機200の車両10に対する接近判定の後に、ユーザのジェスチャ操作の実施判定を行う場合、例えば、ドア30の窓ガラスに設置される静電センサを「検出装置」として使用することができる。この場合、ドア制御装置100Aは、携帯機200が車両10に接近し、静電センサの静電容量値が所定の変化をしたときに、ドア30を作動させる。つまり、ドア制御装置100Aは、ドア30の窓ガラスに雨粒が付着するなどして、静電センサの静電容量値が所定の変化をしたとしても、携帯機200が車両10に接近していなければ、ドア30を作動させない。したがって、ドア制御装置100Aは、静電センサのみでドア30の作動判定を行う場合に比較して、ドア30を誤作動させるおそれを低減できる。なお、この場合の静電センサの検出エリアは、静電センサに手などの身体の一部を接近させることのできるときのユーザの位置をいう。
【0071】
・第2実施形態において、ドア制御装置100Aは、車両10に対する携帯機200の接近方向に基づいて、作動するドア30を決定してもよい。例えば、ドア制御装置100Aは、携帯機200の接近方向にフロントドア31が存在している場合には、作動対象となるドア30をフロントドア31とし、携帯機200の接近方向にリヤドア32が存在している場合には、作動対象となるドア30をリヤドア32とすればよい。これによれば、ドア制御装置100Aは、ユーザがフロントドア31に接近する状況下であって、ユーザがフロントドア31よりもバックドア33に近い位置で、ジェスチャを実施する場合、フロントドア31を作動できる。
【0072】
・第2実施形態において、ドア制御装置100Aは、車両10に対する携帯機200の接近方向に基づいて、ユーザの進路を予測してもよい。この場合、ドア制御装置100Aは、ユーザの予測進路とフロントドア31の開作動時の作動軌跡とが交錯する場合には、フロントドア31の開作動を制限してもよい。
【0073】
・第1通信制御部92及び第2通信制御部202は、Wi-Fi及びBluetooth(登録商標)を用いて、相互に認証を行ってもよい。
・第1通信制御部92及び第2通信制御部202は、BLE(Bluetooth Low Energy)を用いて、車載通信機90及び携帯機200の間の距離を測定してもよい。
【0074】
・照明装置80は、車両10が備えるヘッドライト、バックライト及びルームライトなどであってもよい。
・作動対象となるドア30は、車両10の他の開閉体であってもよい。例えば、開閉体は、ドア30の窓ガラスとしたり、サンルーフパネルとしたり、フューエルリッドとしたりすることもできる。
【0075】
・ドア制御装置100,100A、通信制御部92,202は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア(特定用途向け集積回路:ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路又はこれらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、すなわち記憶媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【符号の説明】
【0076】
10…車両
20…車体
21~23…開口部
30…ドア
31…フロントドア(開閉体の一例)
32…リヤドア(開閉体の一例)
33…バックドア(開閉体の一例)
40(41~43)…ドア駆動部
50(51~53)…ドアロック装置
60(61~63)…ドアロック駆動部
70(71,72)…カメラ
80…照明装置
90…車載通信機
100,100A…ドア制御装置
101…位置取得部
102…カメラ制御部
103…照明制御部
104…エリア設定部
105,105A…操作判定部
106…ドア制御部
200…携帯機
A1…第1撮影エリア
A2…第2撮影エリア
A3…認識エリア