(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
B65H 18/10 20060101AFI20241112BHJP
B65H 18/12 20060101ALI20241112BHJP
B41J 11/68 20060101ALI20241112BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20241112BHJP
B65H 23/198 20060101ALI20241112BHJP
B41J 11/02 20060101ALI20241112BHJP
B65H 20/24 20060101ALI20241112BHJP
B41J 2/01 20060101ALN20241112BHJP
【FI】
B65H18/10
B65H18/12
B41J11/68
B41J11/42
B65H23/198
B41J11/02
B65H20/24
B41J2/01 305
(21)【出願番号】P 2021024179
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 健司
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-157450(JP,A)
【文献】特開2006-103939(JP,A)
【文献】特開平09-205913(JP,A)
【文献】特開2008-062363(JP,A)
【文献】特開2018-154071(JP,A)
【文献】特開2007-302928(JP,A)
【文献】特開平06-128875(JP,A)
【文献】米国特許第5826474(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 18/10
B65H 18/12
B41J 11/68
B41J 11/42
B65H 23/198
B41J 11/02
B65H 20/24
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻回された媒体を支持し回転することで前記媒体を繰り出す繰り出し軸と、
正転及び逆転が可能な駆動ローラーと、従動ローラーと、前記駆動ローラーと前記従動ローラーとに懸架され前記繰り出し軸から繰り出された前記媒体を支持する無端状の搬送ベルトと、を含み、前記駆動ローラーを正転することで前記搬送ベルトに支持された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送ベルトに支持された前記媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、
前記繰り出し軸に支持された前記媒体から切り離された前記搬送方向と直交する幅方向における前記媒体の両端部である耳部を巻き取る耳部巻き取り軸と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記耳部巻き取り軸は、前記搬送方向において前記繰り出し軸を基準として前記搬送部とは反対側の位置に配置されることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷装置において、
前記耳部巻き取り軸を回転するモーターと、前記媒体を検出する媒体検出センサーと、を備え、
前記媒体検出センサーは、前記搬送方向における前記耳部巻き取り軸と前記繰り出し軸との間の位置で所定の高さにおいて前記媒体を検出し、
前記モーターは、前記媒体検出センサーの前記媒体の検出及び非検出の切り替わるタイミングに応じて前記耳部巻き取り軸の回転及び停止を切り替えることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の印刷装置において、
前記耳部巻き取り軸を回転するモーターと、前記耳部巻き取り軸で巻き取られる前記耳部の巻き取り径を検出する巻き取り径検出センサーと、前記繰り出し軸に支持される前記媒体のロール径を検出するロール径検出センサーと、を備え、
前記モーターは、前記巻き取り径検出センサーにより検出された前記巻き取り径と、前記ロール径検出センサーにより検出された前記ロール径と、に基づいて、前記搬送方向における前記耳部巻き取り軸と前記繰り出し軸との間の位置において、鉛直方向における前記耳部の高さが所定の高さを保つように前記耳部巻き取り軸の回転を制御可能であることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の印刷装置において、
前記耳部巻き取り軸を回転するモーターと、前記耳部巻き取り軸で巻き取られる前記耳部の巻き取り径を検出する巻き取り径検出センサーと、前記駆動ローラーの回転速度を算出する算出部と、を備え、
前記モーターは、前記巻き取り径検出センサーにより検出された前記巻き取り径と、前記算出部により算出された前記駆動ローラーの回転速度と、に基づいて、前記搬送方向における前記耳部巻き取り軸と前記繰り出し軸との間の位置において、鉛直方向における前記耳部の高さが所定の高さを保つように前記耳部巻き取り軸の回転を制御可能であることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記耳部巻き取り軸として、前記幅方向における前記媒体の一方側の端部である第1耳部を巻き取る第1耳部巻き取り軸と、前記幅方向における前記媒体の他方側の端部である第2耳部を巻き取る第2耳部巻き取り軸と、を有し、
前記媒体の前記搬送方向と交差する方向の長さである幅に応じて、前記第1耳部巻き取り軸及び前記第2耳部巻き取り軸の少なくとも一方の位置を変更可能であることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記耳部巻き取り軸は、前記搬送方向において前記繰り出し軸と前記搬送部との間の位置に配置されることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項7に記載の印刷装置において、
前記媒体は、前記搬送方向において前記繰り出し軸と前記搬送部との間で弛んだ状態で配置され、
前記耳部巻き取り軸は、前記媒体上に載置されることを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の印刷装置において、
前記耳部巻き取り軸を移動可能に支持するガイドレールを備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記繰り出し軸に支持された前記媒体において前記耳部と前記耳部以外の本体部との境界部分に切れ目を入れる刃部を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
ロール状に巻回された媒体を支持し回転することで前記媒体を繰り出す繰り出し軸と、
正転及び逆転が可能な駆動ローラーと、従動ローラーと、前記駆動ローラーと前記従動ローラーとに懸架され前記繰り出し軸から繰り出された前記媒体を支持する無端状の搬送ベルトと、を含み、前記駆動ローラーを正転することで前記搬送ベルトに支持された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送ベルトに支持された前記媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、
前記繰り出し軸に支持された前記媒体から切り離された前記搬送方向と直交する幅方向における前記媒体の両端部である耳部を巻き取る耳部巻き取り軸と、
を備える印刷装置の印刷方法であって、
前記繰り出し軸に支持された前記媒体における前記耳部の一部を、前記媒体における前記耳部以外の本体部から、基端側が前記本体部に接続された状態で切り離し、
前記本体部から切り離された前記耳部の先端側の一部を前記耳部巻き取り軸に固定するとともに、前記本体部を前記搬送ベルトに支持させることで、
前記印刷ヘッドによって印刷を行う際、前記駆動ローラーの回転による前記媒体の搬送と、前記繰り出し軸の回転による前記媒体の繰り出しと、前記耳部の前記本体部からの切り離しと、前記耳部巻き取り軸の回転による前記耳部の巻き取りと、を実行することを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロール状の媒体に印刷することが可能な様々な構成の印刷装置が使用されている。このうち、複数のローラーに架橋される無端状の搬送ベルトを用いて媒体を搬送しつつ該媒体に印刷する構成の印刷装置がある。このような構成の印刷装置においては、ロール状の媒体の幅方向の端部である耳部が搬送ベルト上で捲れるなどして印刷ヘッドと接触し、印刷不良や印刷ヘッドの破損などを招く虞がある。そこで、例えば、特許文献1に開示されるように、印刷装置にロール状の媒体をセットする前にロール状の媒体の耳部を切り離してから、該媒体を使用することなどが行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されるように、印刷装置とは別にロール状の媒体の耳部を切り離す専用の装置を用意することとすると、作業効率が悪く、該専用の装置を用意するコストがかかるとともに、該専用の装置を設置する場所を用意する必要がある。そこで、本発明は、別途専用の装置を用意することなくロール状の媒体の耳部を切り離すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の印刷装置は、ロール状に巻回された媒体を支持し回転することで前記媒体を繰り出す繰り出し軸と、正転及び逆転が可能な駆動ローラーと、従動ローラーと、前記駆動ローラーと前記従動ローラーとに懸架され前記繰り出し軸から繰り出された前記媒体を支持する無端状の搬送ベルトと、を含み、前記駆動ローラーを正転することで前記搬送ベルトに支持された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送ベルトに支持された前記媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、前記繰り出し軸に支持された前記媒体から切り離された前記搬送方向と直交する幅方向における前記媒体の両端部である耳部を巻き取る耳部巻き取り軸と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するための本発明の印刷方法は、ロール状に巻回された媒体を支持し回転することで前記媒体を繰り出す繰り出し軸と、正転及び逆転が可能な駆動ローラーと、従動ローラーと、前記駆動ローラーと前記従動ローラーとに懸架され前記繰り出し軸から繰り出された前記媒体を支持する無端状の搬送ベルトと、を含み、前記駆動ローラーを正転することで前記搬送ベルトに支持された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送ベルトに支持された前記媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、前記繰り出し軸に支持された前記媒体から切り離された前記搬送方向と直交する幅方向における前記媒体の両端部である耳部を巻き取る耳部巻き取り軸と、を備える印刷装置の印刷方法であって、前記繰り出し軸に支持された前記媒体における前記耳部の一部を、前記媒体における前記耳部以外の本体部から、基端側が前記本体部に接続された状態で切り離し、前記本体部から切り離された前記耳部の先端側の一部を前記耳部巻き取り軸に固定するとともに、前記本体部を前記搬送ベルトに支持させることで、前記印刷ヘッドによって印刷を行う際、前記駆動ローラーの回転による前記媒体の搬送と、前記繰り出し軸の回転による前記媒体の繰り出しと、前記耳部の前記本体部からの切り離しと、前記耳部巻き取り軸の回転による前記耳部の巻き取りと、を実行することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施例1に係る印刷装置の概略側面図。
【
図2】本発明の実施例1に係る印刷装置の概略平面図。
【
図3】本発明の実施例1に係る印刷装置の概略背面図。
【
図4】本発明の実施例2に係る印刷装置の概略側面図。
【
図5】本発明の実施例3に係る印刷装置の概略側面図。
【
図6】本発明の実施例4に係る印刷装置の概略平面図。
【
図7】本発明の実施例5に係る印刷装置の概略平面図。
【
図8】本発明の実施例6に係る印刷装置の概略側面図。
【
図9】本発明の実施例6に係る印刷装置の概略平面図。
【
図10】本発明の実施例6に係る印刷装置の概略背面図。
【
図11】本発明の実施例7に係る印刷装置の概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の印刷装置は、ロール状に巻回された媒体を支持し回転することで前記媒体を繰り出す繰り出し軸と、正転及び逆転が可能な駆動ローラーと、従動ローラーと、前記駆動ローラーと前記従動ローラーとに懸架され前記繰り出し軸から繰り出された前記媒体を支持する無端状の搬送ベルトと、を含み、前記駆動ローラーを正転することで前記搬送ベルトに支持された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送ベルトに支持された前記媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、前記繰り出し軸に支持された前記媒体から切り離された前記搬送方向と直交する幅方向における前記媒体の両端部である耳部を巻き取る耳部巻き取り軸と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、繰り出し軸に支持された媒体から切り離された耳部を巻き取る耳部巻き取り軸を備える。このため、別途専用の装置を用意することなくロール状の媒体の耳部を切り離し、耳部が切り離された媒体に印刷することができる。
【0010】
本発明の第2の態様の印刷装置は、前記第1の態様において、前記耳部巻き取り軸は、前記搬送方向において前記繰り出し軸を基準として前記搬送部とは反対側の位置に配置されることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、耳部巻き取り軸は、搬送方向において繰り出し軸を基準として搬送部とは反対側の位置に配置される。このため、切り離された耳部を容易に回収することができる。
【0012】
本発明の第3の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、前記耳部巻き取り軸を回転するモーターと、前記媒体を検出する媒体検出センサーと、を備え、前記媒体検出センサーは、前記搬送方向における前記耳部巻き取り軸と前記繰り出し軸との間の位置で所定の高さにおいて前記媒体を検出し、前記モーターは、前記媒体検出センサーの前記媒体の検出及び非検出の切り替わるタイミングに応じて前記耳部巻き取り軸の回転及び停止を切り替えることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、媒体検出センサーは搬送方向における耳部巻き取り軸と繰り出し軸との間の位置で所定の高さにおいて媒体を検出し、モーターは媒体検出センサーの媒体の検出及び非検出の切り替わるタイミングに応じて耳部巻き取り軸の回転及び停止を切り替える。このため、好適に耳部を巻き取ることができ、耳部巻き取り軸の回転量が少なすぎて耳部の巻き取り不良が生じることや、耳部巻き取り軸の回転量が多すぎて繰り出し軸における媒体の繰り出し不良が生じることなどを、抑制することができる。
【0014】
本発明の第4の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、前記耳部巻き取り軸を回転するモーターと、前記耳部巻き取り軸で巻き取られる前記耳部の巻き取り径を検出する巻き取り径検出センサーと、前記繰り出し軸に支持される前記媒体のロール径を検出するロール径検出センサーと、を備え、前記モーターは、前記巻き取り径検出センサーにより検出された前記巻き取り径と、前記ロール径検出センサーにより検出された前記ロール径と、に基づいて、前記搬送方向における前記耳部巻き取り軸と前記繰り出し軸との間の位置において、鉛直方向における前記耳部の高さが所定の高さを保つように前記耳部巻き取り軸の回転を制御可能であることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、モーターは、巻き取り径検出センサーにより検出された巻き取り径と、ロール径検出センサーにより検出されたロール径と、に基づいて、耳部巻き取り軸の回転を制御可能である。このため、好適に耳部を巻き取ることができ、耳部巻き取り軸の回転量が少なすぎて耳部の巻き取り不良が生じることや、耳部巻き取り軸の回転量が多すぎて繰り出し軸における媒体の繰り出し不良が生じることなどを、抑制することができる。
【0016】
本発明の第5の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、前記耳部巻き取り軸を回転するモーターと、前記耳部巻き取り軸で巻き取られる前記耳部の巻き取り径を検出する巻き取り径検出センサーと、前記駆動ローラーの回転速度を算出する算出部と、を備え、前記モーターは、前記巻き取り径検出センサーにより検出された前記巻き取り径と、前記算出部により算出された前記駆動ローラーの回転速度と、に基づいて、前記搬送方向における前記耳部巻き取り軸と前記繰り出し軸との間の位置において、鉛直方向における前記耳部の高さが所定の高さを保つように前記耳部巻き取り軸の回転を制御可能であることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、モーターは、巻き取り径検出センサーにより検出された巻き取り径と、算出部により算出された駆動ローラーの回転速度と、に基づいて、耳部巻き取り軸の回転を制御可能である。このため、好適に耳部を巻き取ることができ、耳部巻き取り軸の回転量が少なすぎて耳部の巻き取り不良が生じることや、耳部巻き取り軸の回転量が多すぎて繰り出し軸における媒体の繰り出し不良が生じることなどを、抑制することができる。
【0018】
本発明の第6の態様の印刷装置は、前記第1から第5のいずれか1つの態様において、前記耳部巻き取り軸として、前記幅方向における前記媒体の一方側の端部である第1耳部を巻き取る第1耳部巻き取り軸と、前記幅方向における前記媒体の他方側の端部である第2耳部を巻き取る第2耳部巻き取り軸と、を有し、前記媒体の前記搬送方向と交差する方向の長さである幅に応じて、前記第1耳部巻き取り軸及び前記第2耳部巻き取り軸の少なくとも一方の位置を変更可能であることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、耳部巻き取り軸として第1耳部巻き取り軸と第2耳部巻き取り軸とを有し、媒体の幅に応じて第1耳部巻き取り軸及び第2耳部巻き取り軸の少なくとも一方の位置を変更可能である。すなわち、媒体の幅が変われば該媒体の幅方向における耳部の位置も変わるが、媒体の幅に応じて耳部巻き取り軸を適正な位置に配置することができる。したがって、適正な位置で耳部を巻き取ることができ、耳部の巻き取り不良を抑制することができる。
【0020】
本発明の第7の態様の印刷装置は、前記第1の態様において、前記耳部巻き取り軸は、前記搬送方向において前記繰り出し軸と前記搬送部との間の位置に配置されることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、耳部巻き取り軸は搬送方向において繰り出し軸と搬送部との間の位置に配置される。このため、ロール状の媒体を繰り出し軸に容易にセットすることができる。
【0022】
本発明の第8の態様の印刷装置は、前記第7の態様において、前記媒体は、前記搬送方向において前記繰り出し軸と前記搬送部との間で弛んだ状態で配置され、前記耳部巻き取り軸は、前記媒体上に載置されることを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、媒体は搬送方向において繰り出し軸と搬送部との間で弛んだ状態で配置され、耳部巻き取り軸は媒体上に載置される。このため、装置構成を簡略化できる。
【0024】
本発明の第9の態様の印刷装置は、前記第7または第8の態様において、前記耳部巻き取り軸を移動可能に支持するガイドレールを備えることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、耳部巻き取り軸を移動可能に支持するガイドレールを備える。このため、耳部巻き取り軸が所望の位置から外れた位置に配置されて耳部の切り離し不良などが生じることを抑制することができる。
【0026】
本発明の第10の態様の印刷装置は、前記第1から第9のいずれか1つの態様において、前記繰り出し軸に支持された前記媒体において前記耳部と前記耳部以外の本体部との境界部分に切れ目を入れる刃部を備える。
【0027】
本態様によれば、繰り出し軸に支持された媒体の耳部と本体部との境界部分に切れ目を入れる刃部を備える。このため、耳部と本体部とを好適に切り離すことができる。
【0028】
本発明の第11の態様の印刷方法は、ロール状に巻回された媒体を支持し回転することで前記媒体を繰り出す繰り出し軸と、正転及び逆転が可能な駆動ローラーと、従動ローラーと、前記駆動ローラーと前記従動ローラーとに懸架され前記繰り出し軸から繰り出された前記媒体を支持する無端状の搬送ベルトと、を含み、前記駆動ローラーを正転することで前記搬送ベルトに支持された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送ベルトに支持された前記媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、前記繰り出し軸に支持された前記媒体から切り離された前記搬送方向と直交する幅方向における前記媒体の両端部である耳部を巻き取る耳部巻き取り軸と、を備える印刷装置の印刷方法であって、前記繰り出し軸に支持された前記媒体における前記耳部の一部を、前記媒体における前記耳部以外の本体部から、基端側が前記本体部に接続された状態で切り離し、前記本体部から切り離された前記耳部の先端側の一部を前記耳部巻き取り軸に固定するとともに、前記本体部を前記搬送ベルトに支持させることで、前記印刷ヘッドによって印刷を行う際、前記駆動ローラーの回転による前記媒体の搬送と、前記繰り出し軸の回転による前記媒体の繰り出しと、前記耳部の前記本体部からの切り離しと、前記耳部巻き取り軸の回転による前記耳部の巻き取りと、を実行することを特徴とする。
【0029】
本態様によれば、繰り出し軸に支持された媒体から切り離された耳部を耳部巻き取り軸で巻き取りながら印刷することができる。このため、別途専用の装置を用意することなくロール状の媒体の耳部を切り離し、耳部が切り離された媒体に印刷することができる。
【0030】
[実施例1]
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。最初に、本発明の実施例1にかかる印刷装置1の概要について
図1から
図3を参照して説明する。
【0031】
図1などで表されるように、本実施例の印刷装置1は、回転方向C1に回転することで媒体Mを搬送方向Aに搬送可能な搬送ベルト5を備えている。また、ロール状に巻かれた媒体MのロールMrがセットされた状態で回転することで媒体Mを繰り出すことが可能な繰り出し軸2を備えている。搬送ベルト5は、従動ローラー9a、ブレーキローラー9b及び従動ローラー9cからなるローラー群9を介して繰り出し軸2から繰り出された、媒体Mを搬送方向Aに搬送可能な構成となっている。搬送ベルト5は、搬送方向Aの上流側に位置する従動ローラー3と、搬送方向Aの下流側に位置する駆動ローラー4と、に架け渡された無端ベルトである。駆動ローラー4及び従動ローラー3は搬送ベルト5の内側表面5bに接触する配置で搬送ベルト5を懸架し、搬送ベルト5と駆動ローラー4と従動ローラー3とで搬送部20を構成している。なお、ローラー群9や繰り出し軸2や後述する耳部巻き取り軸10などを含めて搬送部20を構成していると見なすこともできる。駆動ローラー4は不図示のモーターの駆動力により回転方向C1及び回転方向C2に回転することが可能であり、駆動ローラー4を回転方向C1に回転させることで搬送ベルト5も回転方向C1に回転し、駆動ローラー4を回転方向C2に回転させることで搬送ベルト5も回転方向C2に回転する。なお、媒体Mを搬送方向Aに搬送する際の回転方向を正転とし、媒体Mを搬送方向Aとは反対方向に逆搬送する際の回転方向を逆転とした場合、回転方向C1は駆動ローラー4並びに搬送ベルト5及び従動ローラー3の正転方向に対応し、回転方向C2は駆動ローラー4並びに搬送ベルト5及び従動ローラー3の逆転方向に対応する。
【0032】
ここで、搬送ベルト5は外側表面である支持面5aに粘着剤が塗られた粘着性ベルトである。
図1で表されるように、粘着剤が塗られた支持面5aに媒体Mが貼り付けられた状態で、媒体Mは搬送ベルト5に支持されて搬送される。搬送ベルト5における媒体Mの支持領域は、従動ローラー3と駆動ローラー4とで架橋された上側の領域である。また、駆動ローラー4は上記のように不図示のモーターの駆動力により回転するローラーであり、従動ローラー3は駆動ローラー4を回転させることに伴う搬送ベルト5の回転に従動することで回転するローラーである。
【0033】
ローラー群9を介して繰り出し軸2から搬送ベルト5に繰り出された媒体Mは、押圧ローラー6により押圧されて支持面5aに貼り付けられる。押圧ローラー6は搬送方向Aと交差する幅方向Bに延設され、搬送方向Aに沿う移動方向Dに移動可能となっている。搬送ベルト5に向けて媒体Mを押圧ローラー6で押し付けながら移動方向Dに移動させることにより、媒体Mを確りと支持面5aに貼り付けることができる。押圧ローラー6が幅方向Bに亘り媒体Mを搬送ベルト5に押し当てることで、皺などの発生が抑制された状態で媒体Mが搬送ベルト5に対して貼り付けられる。
【0034】
また、印刷装置1は、幅方向Bに往復移動可能なキャリッジ7と、キャリッジ7に取り付けられた印刷ヘッド8と、を備えている。印刷ヘッド8は、搬送方向Aに搬送される媒体Mにインクを吐出する、所謂インクジェットヘッドである。印刷ヘッド8と対向する領域において、搬送ベルト5により支持された媒体Mにインクが吐出されて、媒体Mに画像が形成される。
【0035】
このように、本実施例の印刷装置1は、搬送方向Aと交差する幅方向Bにキャリッジ7を往復移動させながら、搬送される媒体Mに印刷ヘッド8からインクを吐出して画像を形成することが可能である。このような構成のキャリッジ7を備えていることにより、本実施例の印刷装置1は、所定の搬送量で媒体Mを搬送方向Aに搬送させることと、媒体Mを停止した状態でキャリッジ7を幅方向Bに移動させながらインクを吐出させることと、を繰り返し、媒体Mに所望の画像を形成する。
【0036】
なお、本実施例の印刷装置1は、媒体Mの所定量の搬送とキャリッジ7の往復移動とを交互に繰り返して印刷を行う所謂シリアルプリンターであるが、媒体Mの幅方向Bに沿ってライン状にノズルが形成されたラインヘッドを使用して、連続的に媒体Mを搬送しながら連続的に印刷を行う所謂ラインプリンターであってもよい。さらには、熱転写方式の印刷ヘッドなど、インクジェット方式以外の印刷ヘッドを備える構成であってもよい。
【0037】
画像が形成された媒体Mは、本実施例の印刷装置1から排出されると、本実施例の印刷装置1よりも後段に設けられた、媒体Mに吐出されたインクの成分を揮発させる乾燥装置や画像が形成された媒体Mを巻き取る巻取装置などに送られる。
【0038】
なお、本実施例の印刷装置1は、ロール状に巻かれた媒体Mを、幅方向Bにおける両端部である耳部Meと耳部Me以外の本体部Mbとに分離し、本体部Mbに対して印刷を行うとともに耳部Meを巻き取ることが可能な構成となっている。詳細には、上記のように搬送方向Aにおける繰り出し軸2の下流側に搬送部20を備えているとともに、搬送方向Aにおける繰り出し軸2の上流側に耳部Meを巻き取る耳部巻き取り軸10を備えている。以下に、耳部巻き取り軸10の構成及び本実施例の印刷装置1を用いて行う耳部Meを巻き取りながら印刷する印刷方法について説明する。
【0039】
ここで、本実施例の印刷装置1においては、媒体Mとして、被捺染材を好ましく用いることができる。被捺染材とは、捺染の対象となる布地や、衣服や、その他の服飾製品等のことを言う。布地には、綿、絹、羊毛等の天然繊維やナイロン等の化学繊維あるいはこれらを混ぜた複合繊維の織物、編物、不織布等が含まれる。また、衣服や、その他の服飾製品には、縫製後のTシャツ、ハンカチ、スカーフ、タオル、手提げ袋、布製のバッグ、カーテン、シーツ、ベッドカバー等のファニチャー類等の他、縫製前の状態のパーツとして存在する裁断前後の布地等も含まれる。
【0040】
被捺染材のロールMrは、輸送中などにおいて耳部Meが変形及び毛羽立ちなどが発生しやすい。そこで、耳部Meが変形及び毛羽立ちなどが発生した状態でそのまま印刷を行うと、耳部Meと印刷ヘッド8とが接触し、印刷不良や印刷ヘッド8の損傷などを招く虞がある。このため、本実施例の印刷装置1は、耳部Meを分離し、耳部Meが除去された本体部Mbのみに印刷を行うことが可能な構成としている。
【0041】
ただし、本実施例の印刷装置1は、媒体Mとして、上記被捺染材の他、普通紙、上質紙、及び光沢紙などのインクジェット印刷用専用紙等を用いることができる。また、媒体Mとしては、例えば、インクジェット印刷用に表面処理をしていない、すなわち、インク吸収層を形成していないプラスチックフィルム、並びに紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているもの及びプラスチックフィルムが接着されているものも用いることができる。当該プラスチックとしては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、及びポリプロピレンが挙げられる。本実施例の印刷装置1は、このような媒体を使用する場合など、耳部Meを分離する必要がない場合においては、耳部巻き取り軸10を用いず、耳部Meを分離することなく印刷を行うことも可能である。
【0042】
図2及び
図3で表されるように、本実施例の印刷装置1は、耳部巻き取り軸10として、第1耳部巻き取り軸10aと第2耳部巻き取り軸10bとを備えている。耳部Meは、幅方向Bにおける両端部にあるが、第1耳部巻き取り軸10aは幅方向Bにおける一方側の端部の第1耳部Me1を巻き取り、第2耳部巻き取り軸10bは幅方向Bにおける他方側の端部の第2耳部Me2を巻き取る。なお、耳部巻き取り軸10を回転させるモーター11として、第1耳部巻き取り軸10aを回転させる第1モーター11aと、第2耳部巻き取り軸10bを回転させる第2モーター11bと、が設けられている。
【0043】
本実施例の印刷装置1を用いて耳部Meを巻き取りながら印刷する場合、印刷を行う前に、繰り出し軸2にセットされた媒体Mから耳部Meを作業者が引き裂き耳部Meの先端を耳部巻き取り軸10に貼り付けておく。なお、被捺染材は、布帛の織り目に沿って簡単に搬送方向Aに沿う方向に一直線に引き裂くことができる。
図1から
図3は、繰り出し軸2にセットされた媒体Mから耳部Meが引き裂かれ、耳部Meの先端が耳部巻き取り軸10に貼り付けられた状態を表している。
図1から
図3で表される状態となっていることで、印刷を行うことに伴い、繰り出し軸2が回転して媒体MはロールMrから本体部Mbと耳部Meとに分離されて繰り出し軸2から搬送方向Aにおいて各々逆方向に排出され、このうちの本体部Mbのみが搬送ベルト5に繰り出され、耳部Meが耳部巻き取り軸10に巻き取られる。
【0044】
また、
図1及び
図2で表されるように、本実施例の印刷装置1は、媒体Mを検出する媒体検出センサー12を備えている。媒体検出センサー12は鉛直方向において所定の高さに配置されており、媒体検出センサー12が媒体Mを検出していない状態のときにモーター11は駆動して耳部Meを耳部巻き取り軸10に巻き取り、媒体検出センサー12が媒体Mを検出するとモーター11は停止する。上記のように、本実施例の印刷装置1は、印刷の際、媒体Mの搬送と停止とを繰り返す間欠搬送するが、該間欠搬送における1回分の媒体Mの搬送に伴って、例えば、耳部Meは
図1における位置M1から位置M2に移動する。媒体検出センサー12は耳部Meが位置M1に位置されたときに媒体Mを検出する配置となっている。すなわち、耳部Meが位置M1に来るとモーター11が停止して耳部Meは位置M1に留まる。そして、次の間欠搬送における1回分の媒体Mの搬送に伴い耳部Meが位置M1から位置M2に移動すると、耳部Meが媒体検出センサー12の検出位置から外れ、媒体検出センサー12が媒体Mを検出しなくなることでモーター11が駆動する。そして、モーター11の駆動に伴って耳部Meが耳部巻き取り軸10に巻き取られることで、耳部Meが位置M2から位置M1へと向かって移動する。このような構成となっているため、本実施例の印刷装置1は、印刷に伴ってこのような動作を繰り返し、耳部Meが位置M1と位置M2との間を上下方向Eに往復移動する。
【0045】
ここで、一旦まとめると、本実施例の印刷装置1は、ロール状に巻回された媒体Mを支持し回転することで媒体を繰り出す繰り出し軸2を備えている。また、正転及び逆転が可能な駆動ローラー4と、従動ローラー3と、駆動ローラー4と従動ローラー3とに懸架され繰り出し軸2から繰り出された媒体を支持する無端状の搬送ベルト5と、を含み、駆動ローラー4を正転することで搬送ベルト5に支持された媒体Mを搬送方向Aに搬送する搬送部20を備えている。また、搬送ベルト5に支持された媒体Mに印刷を行う印刷ヘッド8を備えている。そして、繰り出し軸2に支持された媒体Mから切り離された幅方向Bにおける媒体Mの両端部である耳部Meを巻き取る耳部巻き取り軸10を備えている。このように、本実施例の印刷装置1は、繰り出し軸2に支持された媒体Mから切り離された耳部Meを巻き取る耳部巻き取り軸10を備えているため、別途専用の装置を用意することなくロール状の媒体Mの耳部Meを切り離し、耳部Meが切り離された媒体Mに印刷することができる。
【0046】
また、本実施例の印刷装置1を用いた印刷方法として、以下の手順を実行することができる。最初に、
図1及び
図2で表されるように、作業者が、繰り出し軸2に支持された媒体Mにおける耳部Meの一部を、媒体Mにおける耳部Me以外の本体部Mbから、基端側が本体部Mbに接続された状態で切り離す。そして、本体部Mbから切り離された耳部Meの先端側の一部を例えば粘着テープなどを用いて耳部巻き取り軸10に固定するとともに、本体部Mbを搬送ベルト5に支持させる。その後、印刷ヘッド8によって印刷を行うが、その際、駆動ローラー4の回転による媒体Mの搬送と、繰り出し軸2の回転による媒体Mの繰り出しと、耳部Meの本体部Mbからの切り離しと、耳部巻き取り軸10の回転による耳部Meの巻き取りと、を合わせて実行するとともに、これらを繰り返す。このような印刷方法を実行することで、別途専用の装置を用意することなくロール状の媒体Mの耳部Meを切り離し、耳部Meが切り離された媒体Mに印刷することができる。
【0047】
また、
図1及び
図2で表されるように、本実施例の印刷装置1においては、耳部巻き取り軸10は、搬送方向Aにおいて繰り出し軸2を基準として搬送部20とは反対側の位置に配置されている。すなわち、本実施例の印刷装置1は、搬送方向Aにおいて印刷装置1の最上流側に耳部巻き取り軸10が配置されている。このため、搬送方向Aにおいて印刷装置1の最上流側から、切り離された耳部Meを回収することができる。このため、本実施例の印刷装置1は、切り離された耳部Meを容易に回収することができる。
【0048】
また、上記のように、本実施例の印刷装置1は、耳部巻き取り軸10を回転するモーター11と、媒体Mを検出する媒体検出センサー12と、を備えている。そして、媒体検出センサー12は、
図1及び
図2で表されるように、搬送方向Aにおける耳部巻き取り軸10と繰り出し軸2との間の位置で所定の高さにおいて媒体Mを検出する構成となっている。ここで、上記のように、モーター11は、媒体検出センサー12が媒体Mを検出していない状態のときに駆動し、媒体検出センサー12が媒体Mを検出すると停止する。すなわち、モーター11は、媒体検出センサー12の媒体Mの検出及び非検出の切り替わるタイミングに応じて耳部巻き取り軸10の回転及び停止を切り替える。本実施例の印刷装置1は、このような構成となっていることで、好適に耳部Meを巻き取ることができ、耳部巻き取り軸10の回転量が少なすぎて耳部Meの巻き取り不良が生じることや、耳部巻き取り軸10の回転量が多すぎて繰り出し軸2における媒体Mの繰り出し不良が生じることなどを、抑制することができる。なお、媒体検出センサー12が媒体Mを検出しても停止しない構成とすることも可能であるが、モーター11のオーバーヒートや耳部Meが過度に引っ張られて千切れることを抑制するため、本実施例のような構成とすることが望ましい。
【0049】
なお、本実施例の印刷装置1においては、印刷に伴い媒体Mを搬送方向Aに搬送させる際、繰り出し軸2は回転方向C2に回転し、耳部巻き取り軸10は回転方向C1に回転する。このため、
図1で表される配置となるように、ロールMrを繰り出し軸2にセットするとともに耳部Meの先端側の一部を耳部巻き取り軸10に貼り付ける。そして、媒体Mの間欠搬送に伴う繰り出し軸2の回転方向C2への回転に伴って耳部Meは位置M1から位置M2に向けて下方に移動し、耳部巻き取り軸10の回転方向C1への回転に伴って耳部Meは位置M2から位置M1に向けて上方に移動する。ただし、このような構成に限定されない。例えば、繰り出し軸2や耳部巻き取り軸10の回転方向を変えるとともにロールMrの配置や耳部Meの先端の耳部巻き取り軸10への貼り付け位置などを変えて耳部Meの移動方向を本実施例とは上下逆方向に変えてもよい。そして、耳部Meの移動方向などを変えることに伴って、媒体検出センサー12が媒体Mを検出していない状態のときにモーター11が停止し、媒体検出センサー12が媒体Mを検出するとモーター11が駆動する構成などとしてもよい。
【0050】
[実施例2]
次に、実施例2の印刷装置1について、
図4を用いて説明する。なお、
図4は実施例1の印刷装置1における
図1に対応する図であり、
図4において上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1は、媒体検出センサー12の代わりに巻き取り径検出センサー13とロール径検出センサー14とを備えていること以外は、実施例1の印刷装置1と同様の構成をしている。
【0051】
図4で表されるように、本実施例の印刷装置1は、実施例1の印刷装置1と同様、耳部巻き取り軸10を回転するモーター11を備えている。また、耳部巻き取り軸10で巻き取られる耳部Meの巻き取り径を検出する巻き取り径検出センサー13と、繰り出し軸2に支持される媒体MのロールMrのロール径を検出するロール径検出センサー14と、を備えている。そして、本実施例の印刷装置1においては、モーター11は、巻き取り径検出センサー13により検出された巻き取り径と、ロール径検出センサー14により検出されたロール径と、に基づいて、搬送方向Aにおける耳部巻き取り軸10と繰り出し軸2との間の位置において、鉛直方向における耳部Meの高さが所定の高さを保つように耳部巻き取り軸10の回転を制御可能な構成となっている。ここで所定の高さとは、例えば
図4における位置M2の高さである。このため、本実施例の印刷装置1は、実施例1の印刷装置1と同様、好適に耳部Meを巻き取ることができ、耳部巻き取り軸10の回転量が少なすぎて耳部Meの巻き取り不良が生じることや、耳部巻き取り軸10の回転量が多すぎて繰り出し軸2における媒体Mの繰り出し不良が生じることなどを、抑制することができる構成となっている。
【0052】
[実施例3]
次に、実施例3の印刷装置1について、
図5を用いて説明する。なお、
図5は実施例1の印刷装置1における
図1に対応する図であり、
図5において上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1は、ロール径検出センサー14の代わりに算出部17を備えていること以外は、実施例2の印刷装置1と同様の構成をしている。
【0053】
本実施例の印刷装置1は、
図5で表されるように、駆動ローラー4の回転速度を算出する算出部17を備えている。そして、モーター11は、巻き取り径検出センサー13により検出された巻き取り径と、算出部17により算出された駆動ローラー4の回転速度と、に基づいて、搬送方向Aにおける耳部巻き取り軸10と繰り出し軸2との間の位置において、鉛直方向における耳部Meの高さが所定の高さを保つように耳部巻き取り軸10の回転を制御可能である。ここで所定の高さとは、例えば
図5における位置M2の高さである。このため、本実施例の印刷装置1は、実施例1及び実施例2の印刷装置1と同様、好適に耳部Meを巻き取ることができ、耳部巻き取り軸10の回転量が少なすぎて耳部Meの巻き取り不良が生じることや、耳部巻き取り軸10の回転量が多すぎて繰り出し軸2における媒体Mの繰り出し不良が生じることなどを、抑制することができる。なお、「回転速度」とは、所定時間においてどれだけ回転したかを表す意味であり、例えば、回転速度が速いとは、回転中の速度が速い場合のほか、間欠的に回転する際の停止時間が短い場合なども含む意味である。
【0054】
[実施例4]
次に、実施例4の印刷装置1について、
図6を用いて説明する。なお、
図6は実施例1の印刷装置1における
図2に対応する図であり、
図6において上記実施例1から実施例3と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1は、耳部Meと本体部Mbとの境界部分に切れ目を入れる刃部15を備えていること以外は、実施例1の印刷装置1と同様の構成をしている。
【0055】
本実施例の印刷装置1は、
図6で表されるように、繰り出し軸2に支持された媒体Mにおいて耳部Meと本体部Mbとの境界部分に切れ目を入れる刃部15を備えている。詳細には、刃部15として、幅方向Bにおける媒体Mの一方側の端部である第1耳部Me1と本体部Mbとの境界部分に切れ目を入れる第1刃部15aと、幅方向Bにおける媒体Mの他方側の端部である第2耳部Me2と本体部Mbとの境界部分に切れ目を入れる第2刃部15bと、を有している。このため、本実施例の印刷装置1は、耳部Meと本体部Mbとを好適に切り離すことができる。
【0056】
なお、実施例1から実施例4の印刷装置1は、耳部巻き取り軸10として、幅方向Bにおける媒体Mの一方側の端部である第1耳部Me1を巻き取る第1耳部巻き取り軸10aと、幅方向Bにおける媒体Mの他方側の端部である第2耳部Me2を巻き取る第2耳部巻き取り軸10bと、を有する。そして、使用する媒体Mの搬送方向Aと交差する方向の長さである幅に応じて、第1耳部巻き取り軸10a及び第2耳部巻き取り軸10bの位置を変更可能である。
【0057】
実施例1から実施例4の印刷装置1のように、耳部巻き取り軸10として第1耳部巻き取り軸10aと第2耳部巻き取り軸10bとを有し、媒体Mの幅に応じて第1耳部巻き取り軸10a及び第2耳部巻き取り軸10bの少なくとも一方の位置を変更可能な構成とすることが好ましい。使用する媒体Mの幅が変われば該媒体Mの幅方向Bにおける耳部Meの位置も変わるが、媒体Mの幅に応じて耳部巻き取り軸10を適正な位置に配置することができることで、適正な位置で耳部Meを巻き取ることができ、耳部Meの巻き取り不良を抑制することができるためである。ただし、このような構成に限定されない。
【0058】
[実施例5]
次に、実施例5の印刷装置1について、
図7を用いて説明する。なお、
図7は実施例1の印刷装置1における
図2に対応する図であり、
図7において上記実施例1から実施例4と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1は、第1耳部Me1を巻き取る耳部巻き取り軸と第2耳部Me2を巻き取る耳部巻き取り軸とが1つの耳部巻き取り軸10cで構成されていること以外は、実施例1の印刷装置1と同様の構成をしている。本実施例のように、第1耳部Me1を巻き取る耳部巻き取り軸と第2耳部Me2を巻き取る耳部巻き取り軸とが1つの耳部巻き取り軸10で構成されていてもよい。
【0059】
[実施例6]
次に、実施例6の印刷装置1について、
図8から
図10を用いて説明する。なお、
図8は実施例1の印刷装置1における
図1に対応する図であり、
図9は実施例1の印刷装置1における
図2に対応する図であり、
図10は実施例1の印刷装置1における
図3に対応する図である。
図8から
図10において上記実施例1から実施例5と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0060】
本実施例の印刷装置1においては、
図8から
図10で表されるように、耳部巻き取り軸10としての幅方向Bに延設される1本の耳部巻き取り軸10dは、搬送方向Aにおいて繰り出し軸2と搬送部20との間の位置に配置されている。別の観点から説明すると、搬送方向Aにおいて印刷装置1の最上流側に繰り出し軸2は配置されている。このため、搬送方向Aにおいて印刷装置1の最上流側から媒体MのロールMrを繰り出し軸2にセットすることができる。このため、本実施例の印刷装置1は、媒体MのロールMrを繰り出し軸2に容易にセットすることができる。
【0061】
また、本実施例の印刷装置1においては、
図8で表されるように、媒体Mは搬送方向Aにおいて繰り出し軸2と搬送部20との間で弛んだ状態で配置され、耳部巻き取り軸10は媒体M上に載置される。このような構成とすることにより、耳部巻き取り軸10は、媒体M上の弛んだ領域内において、自重により転がりながら耳部Meを巻き取ることができる。したがって、本実施例の印刷装置1は、このような構成としていることにより、装置構成を簡略化している。なお、使用する媒体Mの種類により本体部Mbと耳部Meとを分離しやすいものと分離しにくいものがあるが、繰り出し軸2と搬送部20との間の媒体Mの弛ませ方の度合いや耳部巻き取り軸10の重量を変えることで、本体部Mbと耳部Meとを好適に分離させることができる。
【0062】
[実施例7]
次に、実施例7の印刷装置1について、
図11を用いて説明する。なお、
図11は実施例1の印刷装置1における
図1に対応する図であり、
図11において上記実施例1から実施例6と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1は、ガイドレール16を備えていること以外は、実施例6の印刷装置1と同様の構成をしている。
【0063】
図11で表されるように、本実施例の印刷装置1は、耳部巻き取り軸10を移動可能に支持するガイドレール16を備えている。このため、本実施例の印刷装置1は、耳部巻き取り軸10が所望の位置から外れた位置に配置されて耳部Meの切り離し不良などが生じることを抑制することができる。
【0064】
なお、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0065】
1…印刷装置、2…繰り出し軸、3…従動ローラー、4…駆動ローラー、5…搬送ベルト、5a…支持面、5b…内側表面、6…押圧ローラー、7…キャリッジ、8…印刷ヘッド、9…ローラー群、9a…従動ローラー、9b…ブレーキローラー、9c…従動ローラー、10…耳部巻き取り軸、10a…第1耳部巻き取り軸、10b…第2耳部巻き取り軸、10c…耳部巻き取り軸、10d…耳部巻き取り軸、11…モーター、11a…第1モーター、11b…第2モーター、12…媒体検出センサー、13…巻き取り径検出センサー、14…ロール径検出センサー、15…刃部、15a…第1刃部、15b…第2刃部、16…ガイドレール、17…算出部、20…搬送部、M…媒体、Mb…本体部、Me…耳部、Mr…ロール、M1…位置、M2…位置