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特許7585857燃料電池ユニット、燃料電池ユニットの周辺機器収容部及び燃料電池ユニットの周辺機器収容ケース
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  • 特許-燃料電池ユニット、燃料電池ユニットの周辺機器収容部及び燃料電池ユニットの周辺機器収容ケース 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】燃料電池ユニット、燃料電池ユニットの周辺機器収容部及び燃料電池ユニットの周辺機器収容ケース
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/2465 20160101AFI20241112BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20241112BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20241112BHJP
【FI】
H01M8/2465
H01M8/04 Z
H01M8/2475
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021024539
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2022126456
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 太郎
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-310040(JP,A)
【文献】特開2010-257637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された燃料電池セルに空気が供給される空冷式の燃料電池スタックと、
前記燃料電池セルから突出する電圧測定用タブと、
前記燃料電池スタックの集電板から突出する電力取り出し用端子と、
前記電圧測定用タブに電気的に接続されて前記燃料電池セルの出力を監視するセル監視基盤と、
前記電力取り出し用端子に直列に接続される出力電流を計測する電流センサと、
出力電力の供給のON/OFFを切換えるメインリレーと、
前記セル監視基盤、前記電流センサ及び前記メインリレーを収容する筐体と、
前記筐体に設けられて前記筐体の外部の前記燃料電池スタックから前記電圧測定用タブが挿入される第1接続口と、
前記筐体に設けられて前記電力取り出し用端子が挿入される第2接続口と、
前記筐体内において前記第1接続口及び前記第2接続口が配置された領域と前記セル監視基盤、前記電流センサ、前記メインリレーが配置された領域とに区画する第1仕切板と、
前記電流センサ及び前記メインリレーが配置された領域と前記セル監視基盤が配置された基盤配置領域とに区画する第2仕切板と、を備え、
前記基盤配置領域は密閉されることを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項2】
前記第2仕切板は、
平坦部と、
前記平坦部に対して前記筐体の内側に突出した凹形状を有し前記セル監視基盤が格納される格納部と、を備える請求項1に記載の燃料電池ユニット。
【請求項3】
前記格納部の開口部を閉止する蓋板と、
前記格納部の周縁に設けられて前記蓋板と前記平坦部との境界線が平坦になるように形成される段差と、を備える請求項2に記載の燃料電池ユニット。
【請求項4】
空冷式の燃料電池ユニットの燃料電池スタックに電気的に接続されて前記燃料電池スタック内部の電圧を監視するセル監視基盤と、
前記燃料電池スタックの電力取り出し用端子に直列に接続される出力電流を計測する電流センサと、
前記燃料電池スタックの出力電力の供給のON/OFFを切換えるメインリレーと、
前記セル監視基盤、前記電流センサ及び前記メインリレーを収容する筐体と、
前記筐体に設けられて前記筐体の外部の前記燃料電池スタックの電圧測定用タブが挿入される第1接続口と、
前記筐体に設けられて前記電力取り出し用端子が挿入される第2接続口と、
前記筐体内において前記第1接続口及び前記第2接続口が配置された領域と前記セル監視基盤、前記電流センサ、前記メインリレーが配置された領域とに区画する第1仕切板と、
前記電流センサ及び前記メインリレーが配置された領域と前記セル監視基盤が配置された基盤配置領域とに区画する第2仕切板と、を備え、
前記基盤配置領域は密閉されることを特徴とする燃料電池ユニットの周辺機器収容部。
【請求項5】
空冷式の燃料電池ユニットを構成する燃料電池スタックの周辺機器であるセル監視基盤、電流センサ及びメインリレーを収容する燃料電池ユニットの周辺機器収納ケースであって、
前記周辺機器収納ケースに設けられて前記周辺機器収納ケースの外部の前記燃料電池スタックの電圧測定用タブが挿入される第1接続口と、
前記周辺機器収納ケースに設けられて前記燃料電池スタックの電力取り出し用端子が挿入される第2接続口と、
前記周辺機器収納ケース内において前記第1接続口及び前記第2接続口が配置された領域と前記セル監視基盤、前記電流センサ、前記メインリレーが配置される領域とに区画する第1仕切板と、
前記電流センサ及び前記メインリレーが配置される領域と前記セル監視基盤が配置される基盤配置領域とに区画する第2仕切板と、を備え、
前記基盤配置領域は密閉されることを特徴とする燃料電池ユニットの周辺機器収容ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空冷式の燃料電池ユニットの収容技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃料電池ユニットは、燃料電池セルが積層された燃料電池スタック及び燃料電池スタックを電源として用いるために必要な周辺機器から構成される。
従来から、水冷式の燃料電池ユニットは、所定のケースに収納され密閉されることで外部の水分から保護される。
しかし、空冷式の燃料電池ユニットは反応ガス及び冷却媒体として外気を利用するため、燃料電池スタックは外気に晒されていることが望ましい。周辺機器ごと1つのケースに収納することはせずに、周辺機器を収容する周辺機器収容ケースの外部に配置されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-167463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池スタックの周辺機器は、燃料電池スタックに近接して配置する必要がある。よって、室内や車内など湿度の高い屋内環境で動作させる場合、燃料電池スタックに導入される外気に含まれる水分が周辺機器収容ケース内に侵入を防止する必要がある。
【0005】
しかしながら、周辺機器との接続用に設けられた接続口は、燃料電池スタックの積層方向の厚さの公差による位置ズレに対応するため、実際に配線の通る余地以上に大きく設けられており、封止が困難であるという課題があった。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、最小限の防水処理で効率的に水蒸気の侵入を抑制することができる燃料電池ユニット、その周辺機器収容部及び燃料電池ユニットの周辺機器収容ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る燃料電池ユニットは、積層された燃料電池セルに空気が供給される空冷式の燃料電池スタックと、前記燃料電池セルから突出する電圧測定用タブと、前記燃料電池スタックの集電板から突出する電力取り出し用端子と、前記電圧測定用タブに電気的に接続されて前記燃料電池セルの出力を監視するセル監視基盤と、前記電力取り出し用端子に直列に接続される出力電流を計測する電流センサと、出力電力の供給のON/OFFを切換えるメインリレーと、前記セル監視基盤、前記電流センサ及び前記メインリレーを収容する筐体と、前記筐体に設けられて前記筐体の外部の前記燃料電池スタックから前記電圧測定用タブが挿入される第1接続口と、前記筐体に設けられて前記電力取り出し用端子が挿入される第2接続口と、前記筐体内において前記第1接続口及び前記第2接続口が配置された領域と前記セル監視基盤、前記電流センサ、前記メインリレーが配置された領域とに区画する第1仕切板と、前記電流センサ及び
前記メインリレーが配置された領域と前記セル監視基盤が配置された基盤配置領域とに区画する第2仕切板と、を備え、前記基盤配置領域は密閉されるものである。
【0008】
本発明の別の実施形態に係る燃料電池ユニットの周辺機器収容部は、空冷式の燃料電池ユニットの燃料電池スタックに電気的に接続されて前記燃料電池スタック内部の電圧を監視するセル監視基盤と、前記燃料電池スタックの電力取り出し用端子に直列に接続される出力電流を計測する電流センサと、前記燃料電池スタックの出力電力の供給のON/OFFを切換えるメインリレーと、前記セル監視基盤、前記電流センサ及び前記メインリレーを収容する筐体と、前記筐体に設けられて前記筐体の外部の前記燃料電池スタックの電圧測定用タブが挿入される第1接続口と、前記筐体に設けられて前記電力取り出し用端子が挿入される第2接続口と、前記筐体内において前記第1接続口及び前記第2接続口が配置された領域と前記セル監視基盤、前記電流センサ、前記メインリレーが配置された領域とに区画する第1仕切板と、前記電流センサ及び前記メインリレーが配置された領域と前記セル監視基盤が配置された基盤配置領域とに区画する第2仕切板と、を備え、前記基盤配置領域は密閉される。
【0009】
本発明の別の実施形態に係る燃料電池ユニットの周辺機器収容ケースは、 空冷式の燃料電池ユニットを構成する燃料電池スタックの周辺機器であるセル監視基盤、電流センサ及びメインリレーを収容する燃料電池ユニットの周辺機器収納ケースであって、前記周辺機器収納ケースに設けられて前記周辺機器収納ケースの外部の前記燃料電池スタックの電圧測定用タブが挿入される第1接続口と、前記周辺機器収納ケースに設けられて前記燃料電池スタックの電力取り出し用端子が挿入される第2接続口と、前記周辺機器収納ケース内において前記第1接続口及び前記第2接続口が配置された領域と前記セル監視基盤、前記電流センサ、前記メインリレーが配置される領域とに区画する第1仕切板と、前記電流センサ及び前記メインリレーが配置される領域と前記セル監視基盤が配置される基盤配置領域とに区画する第2仕切板と、を備え、前記基盤配置領域は密閉される。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、最小限の防水処理で効率的に水蒸気の侵入を抑制することができる燃料電池ユニット、その周辺機器収容ケース及びその周辺機器収容部が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る燃料電池ユニットにおいて周辺機器収容ケースの一部を透明化した斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る燃料電池ユニットを周辺機器収容部からみた正面図。
図3図1の燃料電池ユニットの斜視図において仕切板をさらに配置した図。
図4】本発明の実施形態に係る燃料電池ユニットを周辺機器収容ケースの基盤配置領域側から見た正面図。
図5図1の燃料電池ユニットの斜視図において蓋板を表示させた斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
まず、図1及び図2を用いて、実施形態に係る燃料電池ユニット100について概説する。
図1は、実施形態に係る燃料電池ユニット100において周辺機器収容ケース21の一部を透明化した斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係る燃料電池ユニット100を周辺機器収容部20からみた正面図である。
以下、燃料電池を「FC(Fuel cell)」として、燃料電池ユニット100を「FCユニット100」、燃料電池セル11を「FCセル11」、燃料電池スタック10を「FCスタック10」とよぶ。
【0014】
実施形態に係るFCユニット100は、例えば、燃料電池車等の移動体に搭載される燃料電池システムや定置型の燃料電池システムに利用される。FCユニット100は、図1に示されるように、FCスタック10と周辺機器収容部20とが例えば直行して端部同士で互いに固定される。
FCスタック10は、主に、FCセル11が数枚から数百枚が位置決めピン(図示を省略)に挿入されて積層された積層体で構成される。
なお、各図(図1図5)では、全体の配置構造が見通せるように、FCセル11を代表的な数枚のみ間隔をおいて図示している。
【0015】
FCスタック10は、このFCセル11の積層体が積層方向から2枚のエンドプレート13で挟まれエンドプレート13どうしが締結バー(図示を省略)でボルト留めされることで構成される。
また、積層方向最端部のFCセル11とエンドプレート13との間には、電力取り出し用端子16が設けられた集電板17が配置される。集電板17は、各FCセル11の発電電流を集電して電力取り出し用端子16から出力する。また、FCスタック10の幅広面には、空気供給用ファン18が設けられて、FCセル11に反応ガス及び冷却媒体を兼ねる空気15が供給される。また、1枚又はそれ以上のFCセル11には電圧測定用タブ19が設けられる。
【0016】
次に、周辺機器収容部20について説明する。
周辺機器収容部20は、図1に示されるように、周辺機器収容ケース(筐体)21に、主に、セル監視基盤24(図4)、電流センサ25、及びメインリレー26が収容されて構成される。
また、周辺機器収容ケース21には、周辺機器収容ケース21内の機器を外部の機器と接続するための複数の接続口(31~33)が設けられる。
【0017】
第1接続口31には、周辺機器収容ケース21の外部のFCスタック10から電圧測定用タブ19が挿入される。挿入された電圧測定用タブ19には配線23が接続される。
この配線23は、周辺機器収容ケース21内においてセル監視基盤24が設置される設置台27の内部通信ジャック38に接続される。セル監視基盤24は、FCセル11の出力を監視する。
【0018】
また、2か所設けられた第2接続口32には、出力電流を送電するバスバー36がそれぞれ1本ずつ周辺機器収容ケース21内から挿入される。このバスバー36は、集電板17の電力取り出し用端子16に接続される。
【0019】
また、バスバー36の一方には、電流センサ25が設けられて、FCスタック10の出力電流を計測する。
また、バスバー36の一方には、メインリレー26が設けられて、接点の開閉により電力の供給のON/OFFを切換える。メインリレー26を収容するリレーボックス39には、FCコンバータ46やこのFCコンバータ46を制御する制御装置42など他の電子機器も適宜収容される。
なお、図1ではメインリレー26と電流センサ25とは異なるバスバー36に設けられているが、同一のバスバー36に設けられてもよい。
【0020】
また、2か所設けられた第3接続口33には、モータなどの動力源へインバータ等を介して接続される電力出力ジャック30が周辺機器収容ケース21の外部から挿入される。
また、第4接続口34には、制御装置42に不図示の通信ケーブルで接続される外部通信ジャック29が挿入される。
【0021】
外部通信ジャック29は、制御装置42が例えば燃料電池車に搭載される不図示の制御機構との間で、通信を行なうための外部通信ケーブルを接続するジャックである。
また、制御装置42とセル監視基盤24とは、通信コネクタ48を介して通信可能に接続される。
なお、バスバー36には、FCスタック10の電圧の外部への出力を遮断するためのサービスプラグユニット49が設けられている。
【0022】
次に、図2図4を用いて、周辺機器収容ケース21内を仕切る仕切板51,52について説明する。
図2はFCユニット100をFCスタック10が正面になる方向から見た正面図である。
図2において、周辺機器収容ケース21の短幅面は図示せずに内部の第1仕切板51及びその周辺機器が見えるようにしている。
【0023】
第1仕切板51は、図2に示されるように、周辺機器収容ケース21内において第1接続口31及び第2接続口32が配置されたコネクティング領域60とセル監視基盤24、電流センサ25及びメインリレー26が配置された機器収容領域とに区画する。
第1仕切板51には、電力取り出し用端子16に接続されたバスバー36を機器収容領域に挿入する第4接続口34が設けられる。
また、第1仕切板51には、電圧測定用タブ19に接続された配線23を監視用コネクタ53に接続させるための第5接続口35が設けられる。
【0024】
コネクティング領域60は、外気の侵入を許容する領域である。空気供給用ファン18によりFCスタック10に送風された空気15の一部は、第1接続口31からコネクティング領域60に侵入する。
コネクティング領域60には周辺機器収容ケース21の底部等に水抜き孔54を設けて、侵入した空気15から結露が発生した場合に、水抜き孔54から結露した水を排出可能にすることが望ましい。
【0025】
また、図3は、図1のFCユニット100の斜視図において仕切板51,52をさらに配置した図である。
周辺機器収容ケース21の基盤配置領域70側の側面は、一部が取り外し可能な蓋構造になっている。図3では、後に詳述する蓋板56(図5)を外して示している。また、図2と同様に、周辺機器収容ケース21の天井面及び幅短面を破線で示すことで、コネクティング領域60及び送電領域80内が見えるようにしている。
【0026】
また、図4は、FCユニット100を周辺機器収容ケース21の基盤配置領域70側から見た正面図である。
図4では、図3と同様に、周辺機器収容ケース21の蓋板56外して基盤配置領域70が見えるようにするとともに、コネクティング領域60の壁板も不図示にしている。
【0027】
第2仕切板52は、機器収容領域をさらに電流センサ25及びメインリレー26が配置された送電領域80とセル監視基盤24が配置された基盤配置領域70とに区画する。
基盤配置領域70は、水蒸気を含む空気15の侵入厳禁な領域である。
【0028】
基盤配置領域70は、セル監視基盤24が空気15中の水分と触れることを抑制するため、シール材などで密封される。
基盤配置領域70を構成している部分の仕切板51,52及び周辺機器収容ケース21に設けられた全ての接続口(33,34)は、封止される。
また、第2仕切板52と第1仕切板51との当接部及び第2仕切板52と周辺機器収容ケース21との当接部もシール材などで完全に封止されることが望ましい。さらには、基盤配置領域70全体を樹脂で封入してもよい。
なお、後述するように、仕切板51,52の形状によって封止される接続口(31~36)は変わってくる。
【0029】
送電領域80は、水蒸気の侵入をできるだけ抑制するべき領域である。送電領域80の密封度合は任意に設定されるため、送電領域80を構成する各面に設けられた接続口(35,36,37)の封止は任意である。ただし、これらの接続口(35,36,37)は封止される方が望ましい。
【0030】
なお、送電領域80は、第1仕切板51でコネクティング領域60から仕切されているため、送電領域80への空気15の流入はある程度抑止される。
また、送電領域80は、呼吸孔により水蒸気の侵入を阻止して乾燥空気のみ侵入させるフッ素樹脂製の多孔質膜で用いられてもよい。
以上のように、防水性能が求められる程度に応じて領域を区分けることで、最低限の防水処理で適所に過剰のない適切な防水を施すことができる。
【0031】
次に、図3及び図5を用いて、利便性を高めるための仕切板51,52及び蓋板56について説明する。
また、図5は、図1のFCユニット100の斜視図において、蓋板56を表示した斜視図である。
【0032】
基盤配置領域70には高い密閉性が要求されるため、基盤配置領域70に種々の接続口34,35などが含まれると、厳密な封止作業が発生する。また、基盤配置領域70を広くすると周辺機器収容部20全体が大型になる。よって、基盤配置領域70をできるだけ小さくするとともに、できるだけ接続口34,35が含まれない形状にすることが望ましい。
そこで、第2仕切板52は、図3に示されるように、平坦部58と、平坦部58に対して周辺機器収容ケース21の内側に突出した凹形状を有しセル監視基盤24が格納される格納部59と、で形成する。
【0033】
第2仕切板52をこのような形状にすることで、基盤配置領域70内に接続口34,35が含まれなくなる。また、基盤配置領域70を必要限度まで小さくすることができる。
さらに、セル監視基盤24の配置を周辺機器収容ケース21の内側方向に配置できるため、セル監視基盤24の分だけ周辺機器収容ケース21が膨らむことがないため、周辺機器収容ケース21全体をコンパクトにすることができる。
【0034】
格納部59には、その開口部を閉止する蓋板56が設けられる。この蓋板56で周辺機器収容ケース21を開閉することで、周辺機器収容ケース21内部に容易にアクセスできる。
また、格納部59の周縁には、蓋板56と平坦部58との境界線が平坦になるように、蓋板56の厚みを吸収する段差71が形成されることが望ましい。蓋板56と平坦部58の境界に段差71がないため、蓋板56が出っ張らず、周辺機器収容ケース21をコンパクトにすることができる。
【0035】
以上のように、実施形態に係る燃料電池ユニット100によれば、区切られた領域(60,70,80)毎に適切な防水処理を施すことで、最小限の防水処理で効率的に水蒸気の侵入量を抑制することができる。
【0036】
また、仕切板51,52にセル監視基盤24や、電流センサ25、メインリレー26等の周辺機器を予め組み付けてから周辺機器収容ケース21内に配置することができる。よって、作業空間が限られている周辺機器収容ケース21内に順次周辺機器を組み付けるよりも、組付けの作業効率を向上させることができる。
【0037】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0038】
例えば、燃料電池スタックと周辺機器収容部とは直行させて接続されなくても、また端部同士で接続されていなくてもよい。例えば、燃料電池スタックと周辺機器収容部とは直線上に配置される構成や、燃料電池スタックが周辺機器収容部に載置された構成であってもよい。
また、車両など走行風を利用できる環境下では、空気供給用ファンは設けられなくてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…燃料電池スタック(FCスタック)、11…FCセル、13…エンドプレート、5…空気、16…電力取り出し用端子、17…集電板、18…空気供給用ファン、19…電圧測定用タブ、20…周辺機器収容部、21…周辺機器収容ケース、23…配線、24…セル監視基盤、25…電流センサ、26…メインリレー、27…設置台、29…外部通信ジャック、30…電力出力ジャック、31…第1接続口、32…第2接続口、33…第3接続口、34…第4接続口、35…第5接続口、36…バスバー、38…内部通信ジャック、39…リレーボックス、42…制御装置、46…FCコンバータ、48…通信コネクタ、49…サービスプラグユニット、51…第1仕切板(仕切板)、52…第2仕切板(仕切板)、53…監視用コネクタ、54…水抜き孔、56…蓋板、58…平坦部、59…格納部、60…コネクティング領域、70…基盤配置領域、71…段差、72…背面板、80…送電領域、100…燃料電池ユニット(FCユニット)。
図1
図2
図3
図4
図5