(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】調光フィルム及び調光フィルム製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1345 20060101AFI20241112BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G02F1/1345
G02F1/13 505
(21)【出願番号】P 2021026118
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2024-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山川 昌哉
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-184737(JP,A)
【文献】国際公開第2019/194278(WO,A1)
【文献】特開2018-022154(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0256121(US,A1)
【文献】特開2011-232626(JP,A)
【文献】特開2001-222016(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107703663(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1345
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の透明樹脂基材と、前記第1の透明樹脂基材の上に形成された第1の透明導電膜と、を有する第1の透明導電性樹脂基材と、
第2の透明樹脂基材と、前記第2の透明樹脂基材の上に形成された第2の透明導電膜と、を有する第2の透明導電性樹脂基材と、
前記第1の透明導電膜と前記第2の透明導電膜とを対向させて配置された前記第1の透明導電性樹脂基材と第2の透明導電性樹脂基材との間に挟持された、液晶を含む調光層と、
第1の導電性接着材層を有する第1の電極基板と、
第2の導電性接着材層を有する第2の電極基板と、を備え、
前記調光層の厚み方向を垂直方向とし、前記垂直方向において、第1の透明導電性樹脂基材側を上側、第2の透明導電性樹脂基材側を下側と定義したとき、
前記第2の透明導電性樹脂基材は平面視で略矩形状であり、
前記第2の透明導電性樹脂基材は、前記第2の透明導電性樹脂基材の下面短辺の上にあり、前記第2の透明導電性樹脂基材の下面長辺方向を向く、互いに向かい合う第1側面、第2側面を有し、
前記第1側面を上方に延長した平面を第1側面平面、前記第2側面を上方に延長した平面を第2側面平面と定義したとき、
前記調光層において、平面視で、前記第1側面平面から前記調光層の中心方向へ凹む第1調光層凹部と、前記第2側面平面から前記調光層の中心方向へ凹む第2調光層凹部を有し、
前記第1
の透明導電性樹脂基材は、前記第1調光層凹部の上で、前記第1側面平面に向かって出島状にせり出して形成されるせり出し部を有し、
前記第1調光層凹部において、第1の透明導電性樹脂基材の前記せり出し部と、第2の透明導電性樹脂基材の間に、第1の導電性接着材層が積層された第1の電極基板が配置され、前記第1の電極基板の前記第1の導電性接着材層が、第1の透明導電性樹脂基材の前記せり出し部の第1の透明導電膜に電気的に接合され、
前記第2調光層凹部において、第2
の透明導電性樹脂基材の上に、第2の導電性接着材層が積層された第2の電極基板が配置され、前記第2の電極基板の前記第2の導電性接着材層が、前記第2の透明導電性樹脂基材の第2の透明導電膜に電気的に接合され、
第1調光層凹部において第1の電極基板以外の部分と、第1調光層凹部付近の第1の透明導電性樹脂基材の端面と前記第2の透明導電性樹脂基材の端面とを、非導電性の封止材により封止され、
第2調光層凹部において第2の電極基板以外の部分と、第2調光層凹部付近の第1の透明導電性樹脂基材の端面と前記第2の透明導電性樹脂基材の端面とを、非導電性の封止材により封止されていることを特徴とする、調光フィルム。
【請求項2】
請求項1記載の調光フィルムの製造方法であって、
液晶を含む前記調光層を、前記第1の透明導電膜と前記第2の透明導電膜とを対向させて配置された前記第1の透明導電性樹脂基材と第2の透明導電性樹脂基材との間に、挟持する工程と、
前記第1側面平面から、前記第1の透明導電性樹脂基材上面の中心に向かって凹む、前記第1の透明導電性樹脂基材から前記調光層上層までの深さの、平面視でコの字状の陥没部を形成し、
前記第2側面平面から、前記第1の透明導電性樹脂基材上面の中心に向かって凹む、前記第1の透明導電性樹脂基材から前記調光層上層までの深さの、平面視でコの字状もしくは矩形状の陥没部を形成するカッティング工程と
前記カッティング工程により、前記第2の透明導電性樹脂基材の第1側面付近において、平面視でコの字状の陥没部で露出した調光層と、前記陥没部に囲まれた前記第1の透明導電性樹脂基材のせり出し部下の調光層を溶解し拭き取り、第1調光層凹部を形成する工程と、
前記第2の透明導電性樹脂基材の第2側面付近において、陥没部が、平面視でコの字状である場合には、露出した調光層と、前記陥没部に囲まれた前記第1の透明導電性樹脂基材のせり出し部の前記第1の透明導電性樹脂基材の下の調光層を、溶解し拭き取るか、あるいは、前記第1の透明導電性樹脂基材から前記調光層上層までの深さの陥没部が矩形状である場合には、露出した調光層を、溶解し拭き取る第2調光層凹部を形成する工程と、
前記第1調光層凹部において、第1の透明導電性樹脂基材の前記せり出し部と、第2の透明導電性樹脂基材の間に、第1の導電性接着材層が積層された第1の電極基板が配置され、前記第1の電極基板の前記第1の導電性接着材層が、第1の透明導電性樹脂基材の前記
せり出し
部の第1の透明導電膜に電気的に接合され、
前記第2調光層凹部で、第2
の透明導電性樹脂基材の上に、第2の導電性接着材層が積層された第2の電極基板が配置され、前記第2の電極基板の前記第2の導電性接着材層が、前記第2の透明導電性樹脂基材の第2の透明導電膜に電気的に接合される、熱圧着工程と、
第1調光層凹部において第1の電極基板以外の部分と、第1調光層凹部付近の第1の透明導電性樹脂基材の端面と前記第2の透明導電性樹脂基材の端面とを、非導電性の封止材により封止し、
第2調光層凹部において第2の電極基板以外の部分と、第2調光層凹部付近の第1の透明導電性樹脂基材の端面と前記第2の透明導電性樹脂基材の端面とを、非導電性の封止材により封止する封止工程とを、有することを特徴とする調光フィルムの製造方法。
【請求項3】
一対の透明導電膜と、
前記一対の透明導電膜の間に挟持された液晶を含む調光層と、各透明導電膜に電気的接続され外部からの電源電圧を各透明導電膜に印加する一対の電極基板と、を有する調光フィルムであって、
少なくとも一方の透明導電膜は、前記電極基板が接合される接合領域を有し、
前記接合領域は、前記電極基板の少なくとも電気的接点部を覆い該電気的接点部と電気的接続される接続部と、前記接続部の一部を囲む状態で形成される切り欠き部と、を有し、
前記電気的接点部は、前記電極基板が前記切り欠き部を介して該接続部と他の前記透明導電膜間に挿入された状態で、前記接続部と電気的接続されることを特徴とする調光フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光フィルムと調光フィルム製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリマーと液晶材料との複合体による光散乱効果を利用した調光フィルムの開発が行われてきた。
【0003】
この調光フィルムにおけるポリマーマトリクス内では、液晶材料が相分離または分散する構造をとる。
【0004】
この構造により、ポリマーと液晶材料の屈折率をマッチングし、該複合体に電圧を印加して液晶材料の配向を変化させる(駆動する)ことによって、光を透過させる透過モードと、光を散乱させる散乱モードとを制御することができる。
【0005】
調光フィルムは、通常、複合体を含む調光層を、一対の透明導電性樹脂基材間に挟持して構成される(特許文献1参照)。
【0006】
調光フィルムに、調光層を駆動するための電源に接続するための引き出し用の導電材を付けたものが、部材としてある。
【0007】
この導電材付き調光フィルムの製造方法は、次のようにして行われる。
1)調光層を、導電性を有する面を有する2枚の透明導電性樹脂基材に挟持し調光フィルムを形成する。
2)2枚の透明導電性樹脂基材の一方(A側とする)で、他方の透明導電性樹脂基材(B側とする)の導電性を有する面上の導電材貼り付け予定部上を切断・除去する。
3)A側の透明導電性樹脂基材の除去部分を除去した後に露出した調光層を剥ぎ落すなどして除去する。
4)調光層を除去して露出したB側の透明導電性樹脂基材の導電材貼り付け予定部を溶剤で拭き取り洗浄する。
5)溶剤洗浄の後、B側の透明導電性樹脂基材の導電材貼り付け予定部に導電性接着材を介して導電性テープなどの導電材を貼り付ける。
6)調光フィルムの天地を反転する。
7)B側の透明導電性樹脂基材で、A側の透明導電性樹脂基材の導電性を有する面上の導電材貼り付け予定部上を切断・除去する。
8)B側の透明導電性樹脂基材の除去部分を除去した後に露出した調光層を剥ぎ落すなどして除去する。
9)調光層を除去して露出したA側の透明導電性樹脂基材の導電性を有する面上の導電材貼り付け予定部を溶剤で拭き取り洗浄する。
10)溶剤洗浄の後、A側の透明導電性樹脂基材の導電材貼り付け予定部に導電性接着材を介して導電性テープなどの導電材を貼り付ける(特許文献2参照)。
【0008】
上記で示したように、導電材付き調光フィルムの駆動用電極部の製造では、透過導電性樹脂基材及び調光層の除去を両面で実施する必要がある。これらの加工作業を実施する場合、一方の面に電極部を加工した後に、天地を反転する作業を介して現れた他方の面に、同様の加工を施す必要がある。そのため、反転作業の際に、調光フィルムの折れや傷が発生するおそれがある。また調光フィルムの大型化にともない、上記の反転作業の作業負荷がさらに大きくなるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2019-158911号公報
【文献】特許第6019745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
調光フィルムの駆動用電極部の生成において、調光フィルムの折れや傷が発生するおそれがあり作業負荷が大きくなるフィルムの反転作業を必要としない調光フィルムおよび調光フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る調光フィルムは、第1の透明樹脂基材と、前記第1の透明樹脂基材の上に形成された第1の透明導電膜と、を有する第1の透明導電性樹脂基材と、第2の透明樹脂基材と、前記第2の透明樹脂基材の上に形成された第2の透明導電膜と、を有する第2の透明導電性樹脂基材と、前記第1の透明導電膜と前記第2の透明導電膜とを対向させて配置された前記第1の透明導電性樹脂基材と第2の透明導電性樹脂基材との間に挟持された、液晶を含む調光層と、第1の導電性接着材層を有する第1の電極基板と、第2の導電性接着材層を有する第2の電極基板と、を備え、前記調光層の厚み方向を垂直方向とし、前記垂直方向において、第1の透明導電性樹脂基材側を上側、第2の透明導電性樹脂基材側を下側と定義したとき、前記第2の透明導電性樹脂基材は平面視で略矩形状であり、前記第2の透明導電性樹脂基材は、前記第2の透明導電性樹脂基材の下面短辺の上にあり、前記第2の透明導電性樹脂基材の下面長辺方向を向く、互いに向かい合う第1側面、第2側面を有し、前記第1側面を上方に延長した平面を第1側面平面、前記第2側面を上方に延長した平面を第2側面平面と定義したとき、前記調光層において、平面視で、前記第1側面平面から前記調光層の中心方向へ凹む第1調光層凹部と、前記第2側面平面から前記調光層の中心方向へ凹む第2調光層凹部を有し、前記第1透明導電性樹脂基材は、前記第1調光層凹部の上で、前記第1側面平面に向かって出島状にせり出して形成されるせり出し部を有し、前記第1調光層凹部において、第1の透明導電性樹脂基材の前記せり出し部と、第2の透明導電性樹脂基材の間に、第1の導電性接着材層が積層された第1の電極基板が配置され、前記第1の電極基板の前記第1の導電性接着材層が、第1の透明導電性樹脂基材の前記せり出し部の第1の透明導電膜に電気的に接合され、前記第2調光層凹部において、第2透明導電性樹脂基材の上に、第2の導電性接着材層が積層された第2の電極基板が配置され、前記第2の電極基板の前記第2の導電性接着材層が、前記第2の透明導電性樹脂基材の第2の透明導電膜に電気的に接合され、第1調光層凹部において第1の電極基板以外の部分と、第1調光層凹部付近の第1の透明導電性樹脂基材の端面と前記第2の透明導電性樹脂基材の端面とを、非導電性の封止材により封止され、第2調光層凹部において第2の電極基板以外の部分と、第2調光層凹部付近の第1の透明導電性樹脂基材の端面と前記第2の透明導電性樹脂基材の端面とを、非導電性の封止材により封止されていることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る調光フィルムの製造方法は、液晶を含む前記調光層を、前記第1の透明導電膜と前記第2の透明導電膜とを対向させて配置された前記第1の透明導電性樹脂基材と第2の透明導電性樹脂基材との間に、挟持する工程と、前記第1側面平面から、前記第1の透明導電性樹脂基材上面の中心に向かって凹む、前記第1の透明導電性樹脂基材から前記調光層上層までの深さの、平面視でコの字状の陥没部を形成し、前記第2側面平面から、前記第1の透明導電性樹脂基材上面の中心に向かって凹む、前記第1の透明導電性樹脂基材から前記調光層上層までの深さの、平面視でコの字状もしくは矩形状の陥没部を形成するカッティング工程と、前記カッティング工程により、前記第2の透明導電性樹脂基材の第1側面付近において、平面視でコの字状の陥没部で露出した調光層と、前記陥没部に囲まれた前記第1の透明導電性樹脂基材のせり出し部下の調光層を溶解し拭き取り、第1調光層凹部を形成する工程と、前記第2の透明導電性樹脂基材の第2側面付近において、陥没部が、平面視でコの字状である場合には、露出した調光層と、前記陥没部に囲まれた前記第1の透明導電性樹脂基材のせり出し部の前記第1の透明導電性樹脂基材の下の調光層を、溶解し拭き取るか、あるいは、前記第1の透明導電性樹脂基材から前記調光層上層までの深さの陥没部が矩形状である場合には、露出した調光層を、溶解し拭き取る第2調光層凹部を形成する工程と、前記第1調光層凹部において、第1の透明導電性樹脂基材の前記せり出し部と、第2の透明導電性樹脂基材の間に、第1の導電性接着材層が積層された第1の電極基板が配置され、前記第1の電極基板の前記第1の導電性接着材層が、第1の透明導電性樹脂基材の前記せり出し部分の第1の透明導電膜に電気的に接合され、前記第2調光層凹部で、第2透明導電性樹脂基材の上に、第2の導電性接着材層が積層された第2の電極基板が配置され、前記第2の電極基板の前記第2の導電性接着材層が、前記第2の透明導電性樹脂基材の第2の透明導電膜に電気的に接合される、熱圧着工程と、第1調光層凹部において第1の電極基板以外の部分と、第1調光層凹部付近の第1の透明導電性樹脂基材の端面と前記第2の透明導電性樹脂基材の端面とを、非導電性の封止材により封止し、第2調光層凹部において第2の電極基板以外の部分と、第2調光層凹部付近の第1の透明導電性樹脂基材の端面と前記第2の透明導電性樹脂基材の端面とを、非導電性の封止材により封止する封止工程とを、有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
調光フィルムの駆動用電極部の生成において、調光フィルムの折れや傷が発生するリスクがあり作業負荷が大きくなるフィルムの反転作業を必要とすることがない調光フィルムおよび調光フィルムの製造方法を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る調光フィルムの模式的説明図である。
図1(a)は模式的平面図であり、
図1(b)は
図1(a)のAA断面模式図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における調光フィルムの構造を理解するために便宜上、
図1において封止材を省略した模式的説明図である。
図2(a)は模式的平面図であり、
図2(b)は
図2(a)のAA断面模式図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る調光フィルムの構造を理解するために便宜上、
図2において第1の導電性接着材層を有する第1の電極基板と、第2の導電性接着材層を有する第2の電極基板と、第1の透明導電性樹脂基材を省略した模式的説明図である。
図3(a)は模式的平面図であり、
図3(b)は
図3(a)のAA断面模式図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る調光フィルムの製造方法において、第1の透明導電性樹脂基材と第2の透明導電性樹脂基材との間に、調光層を挟持する過程の後の状態を示す模式的説明図である。
図4(a)は模式的平面図であり、
図4(b)は
図4(a)のAA断面模式図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る調光フィルムの製造方法において、第1側面平面から凹む、平面視でコの字状の陥没部と、第2側面平面から凹む、平面視でコの字状の陥没部を形成するカッティングをする過程の後の状態を示す模式的説明図である。
図5(a)は模式的平面図であり、
図5(b)は
図5(a)のAA断面模式図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る調光フィルムの製造方法において、用意された第1の導電性接着材層が積層された第1の電極基板と、第2の導電性接着材層が積層された第2の電極基板を示す模式的説明図である。
図6(a)は模式的平面図であり、
図6(b)は
図6(a)のAA断面模式図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る調光フィルムの製造方法において、第1調光層凹部と、第2調光層凹部を形成する過程の後の状態を示す模式的説明図である。
図7(a)は模式的平面図であり、
図7(b)は
図7(a)のAA断面模式図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る調光フィルムの製造方法において、第1調光層凹部で、第1の電極基板の第1の導電性接着材層が、第1の透明導電性樹脂基材のせり出し部分の第1の透明導電膜に電気的に接合され、第2調光層凹部で、第2の電極基板の第2の導電性接着材層が、第2の透明導電性樹脂基材の第2の透明導電膜に電気的に接合される、熱圧着をする過程の後の状態を示す模式的説明図である。
図8(a)は模式的平面図であり、
図8(b)は
図8(a)のAA断面模式図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る調光フィルムの製造方法において、第1調光層凹部において第1の電極基板付近を非導電性の封止材により封止し、第2調光層凹部で第2の電極基板付近を、非導電性の封止材により封止する過程の後の状態を示す模式的説明図である。
図9(a)は模式的平面図であり、
図9(b)は
図9(a)のAA断面模式図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る調光フィルムの模式的説明図である。
図10(a)は模式的平面図であり、
図10(b)は
図10(a)のAA断面模式図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態における調光フィルムの構造を理解するための便宜上、
図10において封止材を省略した模式的説明図である。
図11(a)は模式的平面図であり、
図11(b)は
図11(a)のAA断面模式図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係る調光フィルムの製造方法において、第1の透明導電性樹脂基材と第2の透明導電性樹脂基材との間に、調光層を挟持する過程の後の状態を示す模式的説明図である。
図12(a)は模式的平面図であり、
図12(b)は
図12(a)のAA断面模式図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係る調光フィルムの製造方法において、第1側面平面から凹む、平面視でコの字状の陥没部を形成し、第2側面平面から凹む、平面視で矩形状の陥没部を形成するカッティングをする過程の後の状態を示す模式的説明図である。
図13(a)は模式的平面図であり、
図13(b)は
図13(a)のAA断面模式図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係る調光フィルムの製造方法において、用意された第1の導電性接着材層が積層された第1の電極基板と、第2の導電性接着材層が積層された第2の電極基板を示す模式的説明図である。
図14(a)は模式的平面図であり、
図14(b)は
図14(a)のAA断面模式図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る調光フィルムの製造方法において、第1調光層凹部と、第2調光層凹部を形成する過程の後の状態を示す模式的説明図である。
図15(a)は模式的平面図であり、
図15(b)は
図15(a)のAA断面模式図である。
【
図16】本発明の第2の実施形態に係る調光フィルムの製造方法において、第1調光層凹部で、前記第1の電極基板の第1の導電性接着材層が、第1の透明導電性樹脂基材のせり出し部分の第1の透明導電膜に電気的に接合され、第2調光層凹部で、第2の電極基板の第2の導電性接着材層が、第2の透明導電性樹脂基材の第2の透明導電膜に電気的に接合される、熱圧着をする過程の後の状態を示す模式的説明図である。
図16(a)は模式的平面図であり、
図16(b)は
図16(a)のAA断面模式図である。
【
図17】本発明の第2の実施形態に係る調光フィルムの製造方法において、第1調光層凹部で第1の電極基板付近を、非導電性の封止材により封止し、第2調光層凹部で、第2の電極基板付近を、非導電性の封止材により封止する過程の後の状態を示す模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る調光フィルムについて
図1~
図3を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る調光フィルムの模式的説明図であり、
図1(a)は模式的平面図であり、
図1(b)は
図1(a)のAA断面模式図である。
図2は本発明の第1の実施形態に係る調光フィルムの構造を理解するために便宜上、
図1において封止材
を省略した模式的説明図であり、
図2(a)は模式的平面図であり、
図2(b)は
図2(a)のAA断面模式図である。
図3は本発明の第1の実施形態に係る調光フィルムの構造を理解するために便宜上、
図2において第1の導電性接着材層を有する第1の電極基板と、第2の導電性接着材層を有する第2の電極基板と、第1の透明導電性樹脂基材を省略した模式的説明図である。
図3(a)は模式的平面図であり、
図3(b)は
図3(a)のAA断面模式図である。
【0016】
本発明の実施形態の調光フィルム100は、第1の透明導電性樹脂基材5と第2の透明導電性樹脂基材6と、第1の電極基板7と第2の電極基板8と、調光層1と、を有する。
【0017】
第1の透明導電性樹脂基材5は、第1の透明樹脂基材3aと、第1の透明樹脂基材3aの上に形成された第1の透明導電膜4aとを有する。
【0018】
第2の透明導電性樹脂基材6は、第2の透明樹脂基材3bと、前記第2の透明樹脂基材の上に形成された第2の透明導電膜4bとを有する。
【0019】
調光層1は第1の透明導電膜3aと第2の透明導電膜4bとを対向させて配置された第1の透明導電性樹脂基材5と第2の透明導電性樹脂基材6との間に挟持されている。調光層1は、ポリマー中に分散された液晶材料を含む。
【0020】
第1の電極基板7は第1の導電性接着材層10を積層し、第2の電極基板8は第2の導電性接着材層11を積層している。
【0021】
ここで、調光層の厚み方向を垂直方向とし、垂直方向において、第1の透明導電性樹脂基材5の側を上側、第2の透明導電性樹脂基材6の側を下側と定義する。
【0022】
第2の透明導電性樹脂基材6は平面視で略矩形状である。
【0023】
第2の透明導電性樹脂基材6は、第2の透明導電性樹脂基材6の下面短辺の上にあり、第2の透明導電性樹脂基材6の下面長辺方向を向く、互いに向かい合う第1側面15、第2側面16を有する。
【0024】
また、第1側面15を上方に延長した平面を第1側面平面17、第2側面16を上方に延長した平面を第2側面平面18と定義する。
【0025】
調光層1において、平面視で、第1側面平面17から調光層1の中心方向へ凹む第1調光層凹部20と、前記第2側面平面18から調光層1の中心方向へ凹む第2調光層凹部21を有する。
【0026】
第1の透明導電性樹脂基材5は、第1調光層凹部20の上で、第1側面平面17に向かって出島状にせり出して形成されるせり出し部50を有する。
【0027】
第1調光層凹部20において、第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部50と、第2の透明導電性樹脂基材6の間に、第1の導電性接着材層10が積層された第1の電極基板7が配置され、第1の電極基板7の第1の導電性接着材層10が、第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部50の第1の透明導電膜4aに電気的に接合される。
【0028】
第1の透明導電性樹脂基材5は、第2調光層凹部21の上で、第2側面平面18に向かって出島状にせり出して形成されるせり出し部51を有する。
【0029】
第2調光層凹部21において、第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部51と、第2の透明導電性樹脂基材6の間に、第2の導電性接着材層11が積層された第2の電極基板8が配置され、第2の電極基板8の第2の導電性接着材層11が、第2の透明導電性樹脂基材6上の第2の透明導電膜4bに電気的に接合される。
【0030】
第1調光層凹部20において第1の電極基板7以外の部分と、第1調光層凹部20付近の第1の透明導電性樹脂基材5の端面と第2の透明導電性樹脂基材6の端面とを、非導電性の封止材により封止されている。これにより、第1の電極基板7の第1の透明導電性樹脂基材5の第1の透明導電膜4aへの電気的接続位置及びその近傍における気密性と水密性が担保されている。
【0031】
第2調光層凹部21において第2の電極基板8以外の部分と、第2調光層凹部21付近の第1の透明導電性樹脂基材5の端面と第2の透明導電性樹脂基材6の端面とを、非導電性の封止材により封止されている。これにより、第2の電極基板8の、第2の透明導電性樹脂基材6の第2の透明導電膜4bへの電気的接続位置及びその近傍における気密性と水密性が担保されている。
【0032】
(第1の実施形態の調光フィルムの製造方法)
本発明の第1の実施形態に係る調光フィルムの製造方法を
図4~
図9を参照して説明する。
図4から
図9は本発明の第1の実施形態に係る調光フィルムの製造方法を説明する模式的説明図である。
【0033】
まず、
図4を参照して、第1の透明導電性樹脂基材と第2の透明導電性樹脂基材との間に、調光層を挟持する工程を説明する。
図4(a)は模式的平面図であり、
図4(b)は
図4(a)のAA断面模式図である。ポリマー中に分散された液晶材料を含む調光層1と、第1の透明樹脂基材3aに第1の透明導電膜4aが積層されている第1の透明導電性樹脂基材5と、第2の透明導電4bに膜第2の透明導電膜4bが積層されている第2の透明導電性樹脂基材6を用意する。第1の透明導電膜4aと第2の透明導電膜4bとを対向させて配置された第1の透明導電性樹脂基材5と第2の透明導電性樹脂基材6との間に、調光層1を挟持する。厚みdのフィルムが形成される。
【0034】
ここで、調光層1の厚み方向を垂直方向とし、垂直方向において、第1の透明導電性樹脂基材5の側を上側、第2の透明導電性樹脂基材6の側を下側と定義する。
図4(a)に示されるように、第1の透明導電性樹脂基材5と第2の透明導電性樹脂基材6は、平面視で略矩形状である。第2の透明導電性樹脂基材6は、第2の透明導電性樹脂基材6の下面短辺の上にあり、第2の透明導電性樹脂基材6の下面長辺方向を向く、互いに向かい合う第1側面15、第2側面16を有し、第1側面15を上方に延長した平面を第1側面平面17、第2側面16を上方に延長した平面を第2側面平面18と定義する。
【0035】
次に、
図5を参照して、第1側面平面17から凹む、平面視でコの字状の陥没部40と、第2側面平面18から凹む、平面視でコの字状の陥没部41を形成するカッティング工程を説明する。
図5(a)は模式的平面図であり、
図5(b)は
図5(a)のAA断面模式図である。第1側面平面17から、第1の透明導電性樹脂基材3aの上面の中心に向かって凹む、第1の透明導電性樹脂基材5から調光層1の上層までの深さの、平面視でコの字状の陥没部40を形成するカッティングを行い、第2側面平面18から、第1の透明導電性樹脂基材3aの上面の中心に向かって凹む、第1の透明導電性樹脂基材5から調光層1の上層までの深さの、平面視でコの字状の陥没部を形成するカッティングを行う。
【0036】
図6は、後の工程で使う第1の導電性接着材層が積層された第1の電極基板と、第2の導電性接着材層が積層された第2の電極基板の説明である。
図6(a)は模式的平面図で
あり、
図6(b)は
図6(a)のAA断面模式図である。
【0037】
次に、
図7を参照して、第1調光層凹部と、第2調光層凹部を形成する工程を説明する。
図7(a)は模式的平面図であり、
図7(b)は
図7(a)のAA断面模式図である。前記カッティング工程により、第2の透明導電性樹脂基材6の第1側面15の付近において、平面視でコの字状の陥没部40(
図5)で露出した調光層1と、陥没部40(
図5)に囲まれた第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部50の下の調光層1を溶解し拭き取り、第1調光層凹部20を形成し、第2の透明導電性樹脂基材6の第2側面16の付近において、平面視でコの字状の陥没部41(
図5)で、露出した調光層1と、陥没部41(
図5)に囲まれた第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部51の第1の透明導電性樹脂基材5の下の調光層1を、溶解し拭き取り第2調光層凹部21を形成する。
【0038】
次に、
図8を参照して、第1の透明導電性樹脂基材に、第1の電極基板を電気的に接続し、第2の透明導電性樹脂基材に、第2の電極基板を電気的に接続するための熱圧着工程を説明する。
図8(a)は模式的平面図であり、
図8(b)は
図8(a)のAA断面模式図である。
【0039】
第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部50と第2の透明導電性樹脂基材6に挟まれた第1調光層凹部20に、
図6で説明した第1の導電性接着材層10が積層された第1の電極基板7を、第1の導電性接着材層10が上になるように挿入する。
【0040】
第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部51と第2の透明導電性樹脂基材6に挟まれた第2調光層凹部21に、
図6で説明した第2の導電性接着材層11が積層された第1の電極基板8を、第2の導電性接着材層11が下になるように挿入する。
第1の導電性接着材層が積層された第1の電極基板7が挿入されている、第1調光層凹部20の上下に位置する第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部50と第2の透明導電性樹脂基材6を、上下両側から熱圧着することによって、第1の電極基板7の第1の導電性接着材層10が、第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部分50の第1の透明導電膜4aに電気的に接続される。
【0041】
第2の導電性接着材層が積層された第2の電極基板8が挿入されている、第2調光層凹部21の上下に位置する第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部51と第2の透明導電性樹脂基材6を、上下両側から熱圧着することによって、第2の電極基板8の第2の導電性接着材層11が、第2の透明導電性樹脂基材6の第2の透明導電膜4bに電気的に接続される。
【0042】
調光層1が第1の透明導電性樹脂基材5と第2の透明導電性樹脂基材6で挟持され、調光層1の上面は、電気的に第1の導電性接着材層に通じ、さらに第1の電極基板7に接続され取り出し部60に連なり、調光層1の下面は、電気的に第2の導電性接着材層に通じ、さらに第2の電極基板8に接続され取り出し部61に連なる調光フィルム100が形成された。
【0043】
次に、
図9を参照して、第1調光層凹部において第1の電極基板付近を非導電性の封止材により封止し、第2調光層凹部で第2の電極基板付近を、非導電性の封止材により封止する工程を説明する。
図9(a)は模式的平面図であり、
図9(b)は
図9(a)のAA断面模式図である。
【0044】
第1調光層凹部20において第1の電極基板7以外の部分と、第1調光層凹部20の付近における第1の透明導電性樹脂基材5の端面と第2の透明導電性樹脂基材6の端面とを
、非導電性の封止材により封止し、第1の電極基板7の第1の透明導電性樹脂基材5の第1の透明導電膜4aへの電気的接続位置及びその近傍における気密性と水密性が担保されるようにした。
【0045】
第2調光層凹部21において第2の電極基板8以外の部分と、第2調光層凹部21の付近における第1の透明導電性樹脂基材5の端面と第2の透明導電性樹脂基材6の端面とを、非導電性の封止材により封止し、第2の電極基板8の、第2の透明導電性樹脂基材6の第2の透明導電膜4bへの電気的接続位置及びその近傍における気密性と水密性が担保されるようにした。
【0046】
上記工程により、調光層1が第1の透明導電性樹脂基材5と第2の透明導電性樹脂基材6で挟持され、調光層1の上面は、電気的に第1の導電性接着材層10に通じ、さらに第1の電極基板7に接続され取り出し部60に連なり、第1の透明導電性樹脂基材5への第1の電極基板7の電気的接続部分の周りが、封止され、調光層1の下面は、電気的に第2の導電性接着材層11に通じ、さらに第2の電極基板8に接続され取り出し部61に連なり、第2の透明導電性樹脂基材6への第2の電極基板8の電気的接続部分の周りが、封止される調光フィルム100が形成された。
【0047】
第1の電極基板7とそれに連なる取り出し部60と、第2の電極基板8とそれに連なる取り出し部61が調光フィルム100の駆動用電極となる。
【0048】
上記構造をもつ調光フィルム100の製造方法において、電極部を形成するために、調光層1が第1の透明導電性樹脂基材5と第2の透明導電性樹脂基材6で挟持されたフィルムへ陥没部40と陥没部41を形成するためのカッティングは、前記フィルムの上側である片側からで行える。また陥没部40と陥没部41で露出した調光層1を溶解し拭き取り第1調光層凹部20と第2調光層凹部21を形成するのも、上側である片側からで行える。
すなわち透過導電性樹脂基材及び調光層の除去を、フィルムの片面側で実施できる。従来のように、透過導電性樹脂基材及び調光層の除去を、フィルムの両面で実施する必要がなく、調光フィルムの反転作業にともなう調光フィルムの折れや傷が発生するおそれがない。また調光フィルムの大型化にともなう上記の反転作業の作業負荷の増大を防ぐことが可能になった。
【0049】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る調光フィルムについて
図10と
図11を参照して説明する。
図10は本発明の第2の実施形態に係る調光フィルムの模式的説明図であり、
図10(a)は模式的平面図であり、
図10(b)は
図10(a)のAA断面模式図である。
図11は本発明の第2の実施形態に係る調光フィルムの構造を理解するために便宜上、
図10において封止材を省略した模式的説明図であり、
図11(a)は模式的平面図であり、
図11(b)は
図11(a)のAA断面模式図である。
【0050】
本発明の実施形態の調光フィルム100は、第1の透明導電性樹脂基材5と第2の透明導電性樹脂基材6と、第1の電極基板7と第2の電極基板8と、調光層1と、を有する。
【0051】
第1の透明導電性樹脂基材5は、第1の透明樹脂基材3aと、第1の透明樹脂基材3aの上に形成された第1の透明導電膜4aとを有する。
【0052】
第2の透明導電性樹脂基材6は、第2の透明樹脂基材3bと、前記第2の透明樹脂基材の上に形成された第2の透明導電膜4bとを有する。
【0053】
調光層1は第1の透明導電膜3aと第2の透明導電膜4bとを対向させて配置された第1の透明導電性樹脂基材5と第2の透明導電性樹脂基材6との間に挟持されている。調光層1は、ポリマー中に分散された液晶材料を含む。
【0054】
第1の電極基板7は第1の導電性接着材層10を積層し、第2の電極基板8は第2の導電性接着材層11を積層している。
【0055】
ここで、調光層の厚み方向を垂直方向とし、垂直方向において、第1の透明導電性樹脂基材5の側を上側、第2の透明導電性樹脂基材6の側を下側と定義する。
【0056】
第2の透明導電性樹脂基材6は平面視で略矩形状である。
【0057】
第2の透明導電性樹脂基材6は、第2の透明導電性樹脂基材6の下面短辺の上にあり、第2の透明導電性樹脂基材6の下面長辺方向を向く、互いに向かい合う第1側面15、第2側面16を有する。
【0058】
また、第1側面15を上方に延長した平面を第1側面平面17、第2側面16を上方に延長した平面を第2側面平面18と定義する。
【0059】
調光層1において、平面視で、第1側面平面17から調光層1の中心方向へ凹む第1調光層凹部20と、前記第2側面平面18から調光層1の中心方向へ凹む第2調光層凹部21を有する。
【0060】
第1の透明導電性樹脂基材5は、第1調光層凹部20の上で、第1側面平面17に向かって出島状にせり出して形成されるせり出し部50を有する。
【0061】
第1調光層凹部20において、第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部50と、第2の透明導電性樹脂基材6の間に、第1の導電性接着材層10が積層された第1の電極基板7が配置され、第1の電極基板7の第1の導電性接着材層10が、第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部50の第1の透明導電膜4aに電気的に接続される。
【0062】
第2調光層凹部21において、第2の導電性接着材層11が積層された第2の電極基板8が、第2の導電性接着材層11を下にして、第2の透明導電性樹脂基材6の上に配置され、第2の電極基板8の第2の導電性接着材層11が、第2の透明導電性樹脂基材6上の第2の透明導電膜4bに電気的に接続される。
【0063】
第1調光層凹部20において第1の電極基板7以外の部分と、第1調光層凹部20付近の第1の透明導電性樹脂基材5の端面と第2の透明導電性樹脂基材6の端面とを、非導電性の封止材により封止されている。これにより、第1の電極基板7の第1の透明導電性樹脂基材5の第1の透明導電膜4aへの電気的接続位置及びその近傍における気密性と水密性が担保されている。
【0064】
第2調光層凹部21において第2の電極基板8以外の部分と、第2調光層凹部21付近の第1の透明導電性樹脂基材5の端面と第2の透明導電性樹脂基材6の端面とを、非導電性の封止材により封止されている。これにより、第2の電極基板8の、第2の透明導電性樹脂基材6の第2の透明導電膜4bへの電気的接続位置及びその近傍における気密性と水密性が担保されている。
【0065】
(第2の実施形態の調光フィルムの製造方法)
本発明の第2の実施形態に係る調光フィルムの製造方法を
図12~
図17を参照して説
明する。
図12から
図17は本発明の第2の実施形態に係る調光フィルムの製造方法を説明する模式的説明図である。
【0066】
まず、
図12を参照して、第1の透明導電性樹脂基材と第2の透明導電性樹脂基材との間に、調光層を挟持する工程を説明する。
図12(a)は模式的平面図であり、
図12(b)は
図12(a)のAA断面模式図である。ポリマー中に分散された液晶材料を含む調光層1と、第1の透明樹脂基材3aに第1の透明導電膜4aが積層されている第1の透明導電性樹脂基材5と、第2の透明導電4bに膜第2の透明導電膜4bが積層されている第2の透明導電性樹脂基材6を用意する。第1の透明導電膜4aと第2の透明導電膜4bとを対向させて配置された第1の透明導電性樹脂基材5と第2の透明導電性樹脂基材6との間に、調光層1を挟持する。厚みdのフィルムが形成される。
【0067】
ここで、調光層1の厚み方向を垂直方向とし、垂直方向において、第1の透明導電性樹脂基材5の側を上側、第2の透明導電性樹脂基材6の側を下側と定義する。
図12(a)に示されるように、第1の透明導電性樹脂基材5と第2の透明導電性樹脂基材6は、平面視で略矩形状である。第2の透明導電性樹脂基材6は、第2の透明導電性樹脂基材6の下面短辺の上にあり、第2の透明導電性樹脂基材6の下面長辺方向を向く、互いに向かい合う第1側面15、第2側面16を有し、第1側面15を上方に延長した平面を第1側面平面17、第2側面16を上方に延長した平面を第2側面平面18と定義する。
【0068】
次に、
図13を参照して、第1側面平面17から凹む、平面視でコの字状の陥没部40と、第2側面平面18から凹む、平面視で矩形状の陥没部41を形成するカッティング工程を説明する。
図13(a)は模式的平面図であり、
図13(b)は
図13(a)のAA断面模式図である。第1側面平面17から、第1の透明導電性樹脂基材3aの上面の中心に向かって凹む、第1の透明導電性樹脂基材5から調光層1の上層までの深さの、平面視でコの字状の陥没部40を形成するカッティングを行い、第2側面平面18から、第1の透明導電性樹脂基材3aの上面の中心に向かって凹む、第1の透明導電性樹脂基材5から調光層1の上層までの深さの、平面視で矩形状の陥没部を形成するカッティングを行う。
【0069】
図14は、後の工程で使う第1の導電性接着材層が積層された第1の電極基板と、第2の導電性接着材層が積層された第2の電極基板の説明である。
図14(a)は模式的平面図であり、
図14(b)は
図14(a)のAA断面模式図である。
【0070】
次に、
図15を参照して、第1調光層凹部と、第2調光層凹部を形成する工程を説明する。
図15(a)は模式的平面図であり、
図15(b)は
図15(a)のAA断面模式図である。前記カッティング工程により、第2の透明導電性樹脂基材6の第1側面15の付近において、平面視でコの字状の陥没部40(
図13)で露出した調光層1と、陥没部40(
図13)に囲まれた第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部50の下の調光層1を溶解し拭き取り、第1調光層凹部20を形成し、第2の透明導電性樹脂基材6の第2側面16の付近において、平面視で矩形状の陥没部41(
図13)で、露出した調光層1を、溶解し拭き取り第2調光層凹部21を形成する。
【0071】
次に、
図16を参照して、第1の透明導電性樹脂基材に、第1の電極基板を電気的に接続し、第2の透明導電性樹脂基材に、第2の電極基板を電気的に接続するための熱圧着工程を説明する。
図16(a)は模式的平面図であり、
図16(b)は
図16(a)のAA断面模式図である。
【0072】
第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部50と第2の透明導電性樹脂基材6に挟まれた第1調光層凹部20に、
図14で説明した第1の導電性接着材層10が積層された第1の電極基板7を、第1の導電性接着材層10が上になるように挿入する。
【0073】
第2調光層凹部21において、第2の透明導電性樹脂基材6の上に、
図14で説明した第2の導電性接着材層11が積層された第1の電極基板8を、第2の導電性接着材層11が下になるように配置する。
【0074】
第1の導電性接着材層が積層された第1の電極基板7が挿入されている、第1調光層凹部20の上下に位置する第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部50と第2の透明導電性樹脂基材6を、上下両側から熱圧着することによって、第1の電極基板7の第1の導電性接着材層10が、第1の透明導電性樹脂基材5のせり出し部分50の第1の透明導電膜4aに電気的に接続される。
【0075】
第2調光層凹部21において、配置されている第2の導電性接着材層が積層された第2の電極基板8と、第2調光層凹部21の下に位置する第2の透明導電性樹脂基材6を、上下両側から熱圧着することによって、第2の電極基板8の第2の導電性接着材層11が、第2の透明導電性樹脂基材6の第2の透明導電膜4bに電気的に接続される。
【0076】
調光層1が第1の透明導電性樹脂基材5と第2の透明導電性樹脂基材6で挟持され、調光層1の上面は、電気的に第1の導電性接着材層に通じ、さらに第1の電極基板7に接続され取り出し部60に連なり、調光層1の下面は、電気的に第2の導電性接着材層に通じ、さらに第2の電極基板8に接続され取り出し部61に連なる調光フィルム100が形成された。
【0077】
次に、
図17を参照して、第1調光層凹部において第1の電極基板付近を非導電性の封止材により封止し、第2調光層凹部で第2の電極基板付近を、非導電性の封止材により封止する工程を説明する。
図17(a)は模式的平面図であり、
図17(b)は
図17(a)のAA断面模式図である。
【0078】
第1調光層凹部20において第1の電極基板7以外の部分と、第1調光層凹部20の付近における第1の透明導電性樹脂基材5の端面と第2の透明導電性樹脂基材6の端面とを、非導電性の封止材により封止し、第1の電極基板7の第1の透明導電性樹脂基材5の第1の透明導電膜4aへの電気的接続位置及びその近傍における気密性と水密性が担保されるようにした。
【0079】
第2調光層凹部21において第2の電極基板8以外の部分と、第2調光層凹部21の付近における第1の透明導電性樹脂基材5の端面と第2の透明導電性樹脂基材6の端面とを、非導電性の封止材により封止し、第2の電極基板8の、第2の透明導電性樹脂基材6の第2の透明導電膜4bへの電気的接続位置及びその近傍における気密性と水密性が担保されるようにした。
【0080】
上記工程により、調光層1が第1の透明導電性樹脂基材5と第2の透明導電性樹脂基材6で挟持され、調光層1の上面は、電気的に第1の導電性接着材層10に通じ、さらに第1の電極基板7に接続され取り出し部60に連なり、第1の透明導電性樹脂基材5への第1の電極基板7の電気的接続部分の周りが、封止され、調光層1の下面は、電気的に第2の導電性接着材層11に通じ、さらに第2の電極基板8に接続され取り出し部61に連なり、第2の透明導電性樹脂基材6への第2の電極基板8の電気的接続部分の周りが、封止される調光フィルム100が形成された。
【0081】
第1の電極基板7とそれに連なる取り出し部60と、第2の電極基板8とそれに連なる取り出し部61が調光フィルム100の駆動用電極となる。
【0082】
上記構造をもつ調光フィルム100の製造方法において、電極部を形成するために、調光層1が第1の透明導電性樹脂基材5と第2の透明導電性樹脂基材6で挟持されたフィルムへ陥没部40と陥没部41を形成するためのカッティングは、前記フィルムの上側である片側からで行える。また陥没部40と陥没部41で露出した調光層1を溶解し拭き取り第1調光層凹部20と第2調光層凹部21を形成するのも、上側である片側からで行える。
すなわち透過導電性樹脂基材及び調光層の除去を、フィルムの片面側で実施できる。従来のように、透過導電性樹脂基材及び調光層の除去を、フィルムの両面で実施する必要がなく、調光フィルムの反転作業にともなう調光フィルムの折れや傷が発生するおそれがない。また調光フィルムの大型化にともなう上記の反転作業の作業負荷の増大を防ぐことが可能になった。
【0083】
調光フィルムへの電極取りつけにおいて、反転作業をする必要のない調光フィルムおよび調光フィルムの製造方法を提供することが可能になった。
1・・・調光層
3a・・・第1の透明樹脂基材(第1の透明導電性樹脂基材中)
3b・・・第2の透明樹脂基材(第2の透明導電性樹脂基材中)
4a・・・第1の透明導電膜(第1の透明導電性樹脂基材中)
4b・・・第2の透明導電膜(第2の透明導電性樹脂基材中)
5・・・第1の透明導電性樹脂基材
6・・・第2の透明導電性樹脂基材
7・・・第1の電極基板
8・・・第2の電極基板
10・・・第1の導電性接着材層
11・・・第2の導電性接着材層
15・・・第1側面
16・・・第2側面
17・・・第1側面平面
18・・・第2側面平面
20・・・第1調光層凹部
21・・・第2調光層凹部
30・・・封止材
40・・・陥没部
41・・・陥没部
50・・・せり出し部
51・・・せり出し部
60・・・取り出し部
61・・・取り出し部
100・・・調光フィルム
d・・・厚み