(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】電気光学装置、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20241112BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G02F1/1368
G09F9/30 370
G09F9/30 310
(21)【出願番号】P 2021028269
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】杉本 陽平
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-013518(JP,A)
【文献】特開2001-066631(JP,A)
【文献】特開2004-363300(JP,A)
【文献】登録実用新案第3197990(JP,U)
【文献】特開2007-187964(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0246042(US,A1)
【文献】特開平01-081262(JP,A)
【文献】特開2003-152086(JP,A)
【文献】特開2000-010120(JP,A)
【文献】特開平04-367828(JP,A)
【文献】特開平05-034709(JP,A)
【文献】国際公開第2013/187173(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1343-1/1345
1/135-1/1368
G09F9/30-9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向
に沿って延在する走査線と、
前記第1方向と交差する第2方向
に沿って延在するデータ線と、
平面視において、前記走査線と重なる位置に前記第1方向に沿って延在する一方のソー
スドレイン領域およびチャネル領域と、前記データ線と重なる位置に前記第2方向に沿っ
て延在する他方のソースドレイン領域と、を含む第1半導体層を有するトランジスターと
、
平面視において、前記データ線と重なる位置に前記第2方向に沿って延在する凹部を有
する基板と、
前記凹部内に前記第2方向に沿って配置され、各々が前記他方のソースドレイン領域の
一部を含んで構成された第1容量素子及び第2容量素子と、
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学装置であって、
前記凹部の前記第1方向における幅は、前記データ線の前記第1方向における幅よりも
狭いことを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電気光学装置であって
、
前記第1容量素子の一部及び前記第2容量素子の一部は、前記凹部の側面及び底面に沿
って配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電気光学装置であって、
前記基板側から前記第1容量素子と前記第2容量素子とが順に配置されており、
前記第1容量素子は、前記基板側から、第1容量電極、第1容量絶縁層、第2容量電極
を含んで構成され、
前記第2容量素子は、前記基板側から、前記第2容量電極、第2容量絶縁層、第3容量
電極を含んで構成され、
前記第2容量電極は
、前記他方のソースドレイン領域の一部であることを特徴とする電
気光学装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電気光学装置であって、
前記走査線と離間
して配置され、前記第1容量電極と前記第3容量電極とを電気的に接
続する中継電極を備え、
前記第1容量電極及び前記第3容量電極
には共通電位が印加され、
前記第2容量電極は、画素電極と電気的に接続されていることを特徴とする電気光学装
置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の電気光学装置であって、
前記第3容量電極は
、前記トランジスターのゲート電極と離間して配置されていること
を特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項4又は請求項5に記載の電気光学装置であって、
前記第1容量電極は、前記第1半導体層より前記基板側
に配置された第2半導体層で構
成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記第1半導体層は、前記走査線及び前記データ線に
沿って配置されていることを特徴
とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画素電極に画像信号を供給するためのトランジスターと、画像信号を一定期間だけ保持するための保持容量と、を備えた電気光学装置としての液晶装置が開示されている。例えば、トランジスター及び保持容量は、同じ半導体層の一部によって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、高開口率化に伴い保持容量が小さくなりやすく、表示品位に影響を与えかねないという課題がある。即ち、高開口率化と、更なる保持容量の確保が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電気光学装置は、第1方向に沿って延在する走査線と、前記第1方向と交差する第2方
向に沿って延在するデータ線と、平面視において、前記走査線と重なる位置に前記第1方
向に沿って延在する一方のソースドレイン領域およびチャネル領域と、前記データ線と重
なる位置に前記第2方向に沿って延在する他方のソースドレイン領域と、を含む第1半導
体層を有するトランジスターと、平面視において、前記データ線と重なる位置に前記第2
方向に沿って延在する凹部を有する基板と、前記凹部内に前記第2方向に沿って配置され
、各々が前記他方のソースドレイン領域の一部を含んで構成された第1容量素子及び第2
容量素子と、を備える。
【0006】
電子機器は、上記に記載の電気光学装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】電気光学装置としての液晶装置の構成を示す概略平面図。
【
図2】
図1に示す液晶装置のH-H’線に沿う断面図。
【
図6】液晶装置の製造方法のうち、素子基板の製造方法を示す工程フロー図。
【
図34】電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の各図においては、必要に応じて、相互に直交する座標軸としてXYZ軸を付し、各矢印が指す方向を+方向とし、+方向と反対の方向を-方向とする。なお、+Z方向を上方、-Z方向を下方ということもあり、+Z方向から見ることを平面視あるいは平面的という。さらに、以下の説明において、例えば基板に対して、「基板上に」との記載は、基板の上に接して配置される場合、基板の上に他の構造物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接して配置され、一部が他の構造物を介して配置される場合のいずれかを表すものとする。
【0009】
本実施形態では、電気光学装置として、画素ごとにトランジスターとしての薄膜トランジスター(Thin Film Transistor)を備えたアクティブ駆動型の液晶装置を例示する。なお、以降、薄膜トランジスターをTFTと略していう。この液晶装置は、例えば、後述する電子機器としての投射型表示装置において、光変調装置として好適に用いることが可能である。
【0010】
まず、
図1~
図3を参照しながら、液晶装置100の構成について説明する。
【0011】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の液晶装置100は、素子基板10と、素子基板10と対向配置された対向基板20と、素子基板10と対向基板20との間に挟持された液晶を含む液晶層50と、を備えている。
【0012】
素子基板10の基板10sには、例えば、ガラス基板、石英基板などの基板が用いられる。対向基板20の基板20sには、例えば、ガラス基板、石英基板などの透明基板が用いられる。
【0013】
素子基板10は、平面視における形状が対向基板20よりも大きい。素子基板10と対向基板20とは、対向基板20の外縁に沿って配置されたシール材40を介して接合されている。素子基板10と対向基板20との隙間に、正または負の誘電異方性を有する液晶が封入されて、液晶層50が設けられている。
【0014】
シール材40の内側には、マトリクス状に配列した複数の画素Pを含む表示領域Eが設けられている。シール材40と表示領域Eとの間には、表示領域Eを取り囲んで見切り部24が設けられている。表示領域Eの周囲には、表示に寄与しない、図示しないダミー画素領域が設けられている。
【0015】
素子基板10には、複数の外部接続端子104が配列した端子部が設けられている。該端子部に沿った第1辺部とシール材40との間にデータ線駆動回路101が設けられている。また、第1辺部に対向する第2辺部に沿ったシール材40と表示領域Eとの間に検査回路103が設けられている。
【0016】
第1辺部と直交し、互いに対向する第3辺部および第4辺部に沿ったシール材40と表示領域Eとの間には、走査線駆動回路102が設けられている。また、第2辺部のシール材40と検査回路103との間には、2つの走査線駆動回路102をつなぐ複数の配線107が設けられている。
【0017】
これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102につながる配線は、第1辺部に沿って配列した複数の外部接続端子104に接続されている。なお、検査回路103の配置は上記に限定されない。
【0018】
ここで、本明細書では、第1辺部に沿う方向が第1方向としての±X方向である。また、第1方向と交差する第2方向は、第1辺部と直交し、互いに対向する第3辺部および第4辺部に沿う方向である±Y方向となる。また、±X方向および±Y方向と直交し、素子基板10および対向基板20の法線方向が±Z方向となる。
【0019】
図2に示すように、基板10sの液晶層50側の表面には、画素Pごとに設けられた透光性の画素電極15およびスイッチング素子である、トランジスターとしてのTFT30と、信号配線と、これらを被覆する配向膜18とが設けられている。TFT30および画素電極15は、画素Pの構成要素である。素子基板10は、基板10s、基板10s上に設けられた画素電極15、TFT30、信号配線および配向膜18を含む。画素電極15は、TFT30に対応して設けられる。
【0020】
基板20sの液晶層50側の表面には、見切り部24と、これを被覆して成膜された絶縁層25と、絶縁層25を被覆して設けられた共通電極としての対向電極21と、対向電極21を被覆する配向膜22とが設けられている。本実施形態における対向基板20は、少なくとも見切り部24、対向電極21、及び配向膜22を含む。なお、本実施形態では、共通電極を対向電極21として対向基板20側に配置した例を示したが、これに限定されない。
【0021】
図1に示すように、見切り部24は、表示領域Eを取り囲むと共に、平面的に走査線駆動回路102および検査回路103と重なる位置に設けられている。これにより、対向基板20側からこれらの回路に入射する光が遮蔽されて、光の入射による回路の誤動作が防止される。また、不必要な迷光が表示領域Eに入射しないように遮蔽されて、表示領域Eの表示において高いコントラストが確保される。
【0022】
絶縁層25は、例えば、光透過性を有する酸化シリコンなどの無機材料から成る。絶縁層25は、見切り部24を被覆すると共に、液晶層50側の表面が平坦となるように設けられている。
【0023】
対向電極21は、例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電膜から成り、絶縁層25を被覆すると共に、対向基板20の四隅に設けられた上下導通部106に電気的に接続されている。上下導通部106は、素子基板10側の配線に電気的に接続されている。
【0024】
画素電極15を被覆する配向膜18、及び対向電極21を被覆する配向膜22は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。配向膜18,22の形成材料としては、酸化シリコンなどの無機配向膜、ポリイミドなどの有機配向膜が挙げられる。
【0025】
このような液晶装置100は、例えば透過型であって、電圧が印加されない時の画素Pの透過率が、電圧印加時の透過率よりも大きいノーマリーホワイトモードや、電圧が印加されない時の画素Pの透過率が、電圧印加時の透過率よりも小さいノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。素子基板10と対向基板20とを含む液晶パネルにおいて、光の入射側と出射側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されている。
【0026】
本実施形態では、以降、配向膜18,22として前述した無機配向膜と、負の誘電異方性を有する液晶とを用い、ノーマリーブラックモードの光学設計が適用された例について説明する。
【0027】
次に、
図3を参照しながら、液晶装置100の電気的な構成について説明する。
【0028】
図3に示すように、液晶装置100は、少なくとも表示領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する信号配線として、走査線3、データ線6、データ線6に沿って平行に配置された容量線8を、それぞれ複数有している。走査線3は、第1方向としての±X方向に延在している。データ線6は、第1方向と交差する第2方向としての±Y方向に延在している。なお、
図3では、容量線8が延在する方向を±Y方向としたが、これに限定されない。
【0029】
走査線3、データ線6、及び容量線8と、これらの信号配線類とにより区分された領域に、画素電極15、TFT30、及び容量素子16が設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。画素電極15、TFT30、及び容量素子16は、画素Pごとに配置されている。
【0030】
走査線3は、TFT30のゲートに電気的に接続される。データ線6は、TFT30における一方のソースドレイン領域であるデータ線側ソースドレイン領域に電気的に接続されている。走査線3は、同一行に設けられたTFT30のオン、オフを一斉に制御する機能を有している。画素電極15は、TFT30における他方のソースドレイン領域である画素電極側ソースドレイン領域に電気的に接続される。TFT30のソースドレイン領域を含む半導体層については後述する。
【0031】
データ線6は、上述したデータ線駆動回路101に電気的に接続されて、データ線駆動回路101から供給される画像信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3は、上述した走査線駆動回路102に電気的に接続されて、走査線駆動回路102から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを各画素Pに供給する。
【0032】
データ線駆動回路101からデータ線6に供給される画像信号D1から画像信号Dnは、この順番に線順次にて供給されてもよく、互いに隣り合う複数のデータ線6同士に対してグループごとに供給されてもよい。走査線駆動回路102は、走査線3に対して、走査信号SC1から走査信号SCmを所定のタイミングでパルス的に線順次にて供給する。
【0033】
液晶装置100においては、スイッチング素子であるTFT30は、走査信号SC1から走査信号SCmの入力によって一定期間だけオン状態とされる。これにより、データ線6から供給される画像信号D1から画像信号Dnが、所定のタイミングで画素電極15に書き込まれる。そして、画素電極15を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号D1から画像信号Dnは、画素電極15と、液晶層50を介して対向配置された対向電極21との間で一定期間保持される。
【0034】
保持された画像信号D1から画像信号Dnがリークするのを防止するため、画素電極15と対向電極21との間に設けられた液晶容量に対して、並列に容量素子16が電気的に接続される。半導体層および容量素子16の詳細については後述する。
【0035】
ここで、
図3では図示を省略しているが、データ線6には、上述した検査回路103が接続される。そのため、液晶装置100の製造工程において、検査回路103を介して上記画像信号を検出し、液晶装置100の動作不具合などを確認することが可能である。
【0036】
次に、
図4を参照しながら、液晶装置100における画素Pの構成について説明する。
【0037】
図4に示すように、液晶装置100における画素Pは、表示領域Eにおいて±X方向及び±Y方向にマトリクス状に配置されている。画素Pは、例えば、平面視で略四角形の開口領域OPを有している。開口領域OPは、±X方向および±Y方向に延在し、格子状に設けられた遮光性の非開口領域CLに囲まれている。
【0038】
±X方向に延在する非開口領域CLには、上述した走査線3が設けられている。走査線3には遮光性の導電部材が用いられており、走査線3によって非開口領域CLの一部が構成されている。
【0039】
±Y方向に延在する非開口領域CLには、上述したデータ線6が設けられている。データ線6にも遮光性の導電部材が用いられており、データ線6によって非開口領域CLの一部が構成されている。
【0040】
非開口領域CLは、素子基板10に設けられた、走査線3、データ線6、TFT30、及び容量線8などによって構成される。さらに、非開口領域CLは、対向基板20において、
図2に示した見切り部24と同層に設けられ、格子状にパターニングされたブラックマトリクスである遮光部を含んでもよい。
【0041】
±X方向に延在する非開口領域CLにおいて、各画素Pに対応する±X方向の中程には、上述したTFT30を±Y方向に挟んでコンタクトホールが設けられている。そのため、上記コンタクトホールが設けられた領域は、非開口領域CLの±Y方向の幅が、他と比べて大きくなっている。また、±Y方向に延在する非開口領域CLにおいて、隣り合う画素Pの間には、容量素子16が設けられている。上記コンタクトホールや容量素子16を含む画素Pの詳細な構造については後述する。
【0042】
画素Pごとに、平面視で略正方形の画素電極15が設けられている。画素電極15は、外縁が非開口領域CLと重なるように開口領域OPに設けられている。画素電極15は、画素Pに対応して、マトリクス状に複数配置されている。
【0043】
本実施形態の液晶装置100は、上述したように透過型であって、対向基板20側から光が入射することを前提としている。そのため、素子基板10は、TFT30に対して、直接的に入射する光のみならず、入射光に由来する回折光や反射光などをも低減する構造を備えている。また、液晶装置100は保持容量が増大した容量素子16を備えている。
【0044】
なお、液晶装置100への光の入射方向は、対向基板20側からに限定されず、素子基板10側からとしてもよい。また、液晶装置100は、入射する光を画素Pごとに集光させるマイクロレンズなどの集光手段を、光が入射する側の基板に備える構成であってもよい。
【0045】
次に、
図5を参照しながら、液晶装置100の素子基板10を断面視したときの構成について説明する。なお、
図5では、
図4におけるA1-A2線、C1-C2線、及びB1-B2線の各々を含み、±Z方向に沿う3つの断面を並べて示している。また、
図5では、配向膜18の図示を省略している。
【0046】
図5に示すように、液晶装置100の素子基板10は、基板10s、走査線3、半導体層30S及びゲート電極30Gを含むTFT30、容量素子16、データ線6、及び複数の層間絶縁層を備えている。素子基板10の基板10sは、凹部としてのトレンチTRを有している。基板10s上には、複数の層として、第1層から第6層が積層されている。
【0047】
素子基板10における複数の層は、下方から順に、走査線3を含む第1層、半導体層30Sを含む第2層、ゲート電極30Gを含む第3層、データ線6を含む第4層、容量配線としての容量線8を含む第5層、画素電極15を含む第6層を有している。
【0048】
第1層と第2層との間には第1層間絶縁層11a及び第1容量絶縁層16bが、第2層と第3層との間にはゲート絶縁層11b及び第2容量絶縁層16cが、第3層と第4層との間には第2層間絶縁層11cが、第4層と第5層との間には第3層間絶縁層12が、第5層と第6層との間には第4層間絶縁層13が、それぞれ設けられている。これによって、各層間における短絡の発生が防止される。
【0049】
基板10s上の第1層には、走査線3及び中継電極3aが設けられている。走査線3及び中継電極3aは、平面視にて
図4に示した非開口領域CLに設けられている。走査線3は、±X方向に延在する部位と該部位から±Y方向に突出する部位とを有し、中継電極3aは、走査線3の-Y方向に離間して設けられている(
図8参照)。
【0050】
走査線3には、遮光性および導電性を有する公知の形成材料が採用可能である。そのため、走査線3は、主に下方から第1半導体層としての半導体層30Sに入射する光を遮光する機能を有している。本実施形態では、走査線3及び中継電極3aの形成材料としてタングステンシリサイドを用いる。走査線3及び中継電極3aの厚さは、例えば約150nmである。なお、本明細書においては、±Z方向における各層の厚さを単に厚さともいう。
【0051】
走査線3及び中継電極3aと半導体層30Sとの間には、第1層間絶縁層11a及び第1容量絶縁層16bが設けられている。第1層間絶縁層11aは、走査線3とTFT30とを絶縁する。第1層間絶縁層11aの形成材料には、例えば、酸化シリコン(None-doped Silicate Glass:NSG)や窒化シリコンなどが挙げられる。本実施形態では、第1層間絶縁層11aの形成材料として酸化シリコンを用いる。第1層間絶縁層11aの厚さは、例えば約200nmである。また、中継電極3aの一部は、第2半導体層である第1容量電極16aに接触している。第1容量電極16aは、第1層間絶縁層11a及び基板10sの一部に形成されたトレンチTRを含む部分及び第1容量電極16aとの接触部に設けられている。第1容量電極16aは導電性のポリシリコン層であり、例えば約50nmの厚さである。
【0052】
第1層、第2層及び第3層には、TFT30、第1容量素子16A、及び第2容量素子16Bが設けられている。TFT30は、第2層に設けられた半導体層30Sと、第3層に設けられたゲート電極30Gと、を有している。TFT30の半導体層30Sには、LDD(Lightly Doped Drain)構造が形成されている。
【0053】
半導体層30Sは、平面視にて
図4に示した非開口領域CLに設けられている。詳しくは、半導体層30Sは、非開口領域CLにおける±X方向と±Y方向とが交差する部位に対応して、±X方向から±Y方向に屈曲している(
図12参照)。半導体層30Sのうち、一方のソースドレイン領域s1、一方のLDD領域s2、チャネル領域s3、他方のLDD領域s4、および一部の他方のソースドレイン領域s5は、平面視にて走査線3と重なる位置に±X方向に沿って延在している。
【0054】
半導体層30Sのうち、他方のソースドレイン領域s5は、平面視にて±X方向から±Y方向へと屈曲して±Y方向に沿って延在している。他方のソースドレイン領域s5において、±Y方向に延在する部位の一部は、平面視にてデータ線6と重なる位置にあり、後述するトレンチTRの内部にも設けられている。±Y方向に延在する他方のソースドレイン領域s5の一部は、第1容量素子16A及び第2容量素子16Bの共通の容量電極として第2容量電極30s5を構成する。第2容量電極30s5は、第1半導体層の一部である。
【0055】
半導体層30Sは、チャネル領域s3を挟んで電気的に抵抗が高いLDD領域s2,s4を有している。これにより、オフ時のリーク電流が抑制される。オフ時におけるリーク電流抑制の観点では、第1容量素子16A及び第2容量素子16Bや画素電極15が電気的に接続される他方のソースドレイン領域s5とチャネル領域s3との接合部分に、LDD領域s4が含まれる構成とすればよい。半導体層30Sは、例えば、非晶質シリコン膜に、結晶化処理が施されたポリシリコン膜から成る。半導体層30Sの厚さは、例えば約50nmである。
【0056】
半導体層30Sを被覆してゲート絶縁層11bが設けられている。ゲート絶縁層11bは、半導体層30Sとゲート電極30Gとの間にあって、半導体層30Sとゲート電極30Gとを絶縁する。ゲート絶縁層11bは、例えば、2種類の酸化シリコンから成る2重構造である。ゲート絶縁層11bの厚さは、特に限定されないが、例えば約75nmである。
【0057】
ゲート絶縁層11bの一部、及び他方のソースドレイン領域s5の一部を被覆して第2容量絶縁層16cが設けられている。第2容量絶縁層16cのうち、平面視にてチャネル領域s3と重なる部位は、ゲート絶縁層11bと共に、半導体層30Sとゲート電極30Gとを絶縁する。第2容量絶縁層16cのうち他方のソースドレイン領域s5と重なる部位は、容量素子16の誘電体層として機能する。第2容量絶縁層16cのうち半導体層30Sとゲート電極30Gとの間にある部分は、ゲート絶縁層11bと共にゲート絶縁膜と機能するが、ゲート絶縁層11bだけでゲート絶縁膜を構成してもよい。
【0058】
第2容量絶縁層16cには、誘電体材料が用いられる。誘電体材料としては、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタルなどが挙げられ、これらの膜を単層または組み合わせて用いる。第2容量絶縁層16cの厚さは、ゲート絶縁層11bの厚さよりも薄いことが好ましく、例えば約20nmである。
【0059】
第3層には、半導体層30Sのチャネル領域s3とZ方向に対向して、ゲート電極30Gが設けられている。ゲート電極30Gは、第1ゲート電極g1及び第2ゲート電極g2から成る。第1ゲート電極g1は、チャネル領域s3の上方に、ゲート絶縁層11b及び第2容量絶縁層16cを介して配置される。第2ゲート電極g2は、第1ゲート電極g1の上方に配置される。また、トレンチTRを含む部分の第1容量電極16aとZ方向に対向して、ゲート電極30Gと離間した第3容量電極16d、4が設けられている。第3容量電極16d及び第3容量電極4は、それぞれ、第1ゲート電極g1及び第2ゲート電極g2に対応する。
【0060】
第1ゲート電極g1の形成材料には、導電性のポリシリコン、金属シリサイド、金属あるいは金属化合物などを用いる。本実施形態では、第1ゲート電極g1は、導電性のポリシリコン膜とタングステンシリサイド膜との2層構造である。第1ゲート電極g1の厚さは、例えば約150nmである。
【0061】
ここで、本実施形態においては、以降、導電性のポリシリコン膜とは、燐原子が注入されて導電性が付与されたポリシリコン膜を指すこととする。なお、注入される原子は燐原子に限定されない。
【0062】
第2ゲート電極g2の形成材料には、タングステンシリサイドなどの遮光性を有する金属化合物を用いる。第2ゲート電極g2の厚さは、例えば約60nmである。
【0063】
第2ゲート電極g2は、一対の第2コンタクトホールCNT1を介して走査線3と電気的に接続されている。一対の第2コンタクトホールCNT1は、第1層間絶縁層11a、第1容量絶縁層16b、ゲート絶縁層11b、第2容量絶縁層16c、第1ゲート電極g1を貫通している。一対の第2コンタクトホールCNT1は、半導体層30Sの一部を挟んで±Y方向に対向して配置されている(
図20参照)。
【0064】
トレンチTRは、上述した非開口領域CLにおいて、平面視で画素Pの+X方向側に沿って設けられている。トレンチTRは、平面視にて略長方形状の凹部である。トレンチTRは、XY平面に沿う底面と±Z方向に沿う側面とを含み、上方が開かれている。
【0065】
トレンチTR内には、上述した第1容量素子16Aと第2容量素子16Bとが、基板10s側から順に設けられている。第1容量素子16Aは、第1容量電極16a、第1容量絶縁層16b、第2容量電極30s5によって構成されている。第2容量素子16Bは、第2容量電極30s5、第2容量絶縁層16c、第3容量電極16d,4によって構成されている。第1容量電極16aと第3容量電極16d,4とは、中継電極3aを介して電気的に接続され、共通電位が印加される。第2容量電極30s5は、電気的に画素電極と接続される。第1容量素子16A及び第2容量素子16Bは、保持容量を増大させて、画素電極15における電位保持特性を向上させる機能を有している。
【0066】
上記した第1容量素子16A及び第2容量素子16Bを構成する各層は、トレンチTRの側面及び底面を覆って設けられ、さらに保持容量を増大させている。なお、第1容量素子16A及び第2容量素子16Bは、トレンチTR内に加えて、トレンチTRの上方の縁にも一部が設けられている。
【0067】
ゲート電極30G及び第3容量電極4などの上方には、これらを被覆して第2層間絶縁層11cが設けられている。第2層間絶縁層11cは、TFT30と平面的に重なる位置にも設けられている。第2層間絶縁層11cは、例えば、TEOS(Tetraethyl Orthosilicate)膜、NSG膜、燐(P)を含むPSG(Phosphosilicate Glass)膜、ホウ素(B)を含むBSG(Borosilicate Glass)膜、ホウ素と燐とが含まれるBPSG(Borophosphosilicate Glass)膜などのシリコン系酸化膜の1種類以上を用いて設けられる。本実施形態では、第2層間絶縁層11cの形成材料として酸化シリコンを用いる。第2層間絶縁層11cの厚さは、例えば約400nmである。
【0068】
第2層間絶縁層11cには、コンタクトホールCNT2,CNT3が設けられている。コンタクトホールCNT2,CNT3は、第2層間絶縁層11c及びゲート絶縁層11bを貫通して半導体層30Sに到達している。詳しくは、コンタクトホールCNT2は、半導体層30Sの一方のソースドレイン領域s1と、上層のデータ線6とを電気的に接続する。コンタクトホールCNT3は、半導体層30Sの他方のソースドレイン領域s5と、後述する第2中継層7とを電気的に接続する。
【0069】
第3層上の第4層には、第2層間絶縁層11cなどを覆って、データ線6および第2中継層7が設けられている。データ線6は、上述したように、画素Pの非開口領域CLにおいて±Y方向に延在している。データ線6は、コンタクトホールCNT2を介して、半導体層30Sの一方のソースドレイン領域s1と電気的に接続される。
【0070】
第2中継層7は、平面視にて独立した島状に設けられている。第2中継層7は、コンタクトホールCNT3を介して、半導体層30Sの他方のソースドレイン領域s5と電気的に接続される。
【0071】
データ線6及び第2中継層7の形成材料としては、導電性を有する低抵抗配線材料であれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)などの金属やその金属化合物が挙げられる。本実施形態では、データ線6および第2中継層7は、チタン(Ti)層/窒化チタン(TiN)層/アルミニウム(Al)層/窒化チタン(TiN)層の4層構造である。データ線6及び第2中継層7の厚さは、例えば約350nmである。
【0072】
データ線6及び第2中継層7などを被覆して第3層間絶縁層12が設けられている。第3層間絶縁層12には、例えば、第1層間絶縁層11aと同様な形成材料が採用される。本実施形態では、第3層間絶縁層12に酸化シリコンを用いる。第3層間絶縁層12の厚さは、特に限定されないが、例えば約400nmである。
【0073】
第3層間絶縁層12には、コンタクトホールCNT4,CNT5が設けられている。コンタクトホールCNT4は、第2層間絶縁層11c及び第3層間絶縁層12を貫通して、第2容量素子16Bの第3容量電極4と、第3層間絶縁層12の上方の容量線8とを電気的に接続する。
【0074】
コンタクトホールCNT5は、第3層間絶縁層12を貫通して、第2中継層7と、第3層間絶縁層12の上層の第1中継層9とを電気的に接続する。
【0075】
第4層上の第5層には、容量線8及び第1中継層9が設けられている。容量線8は、平面視にて、±Y方向に延在するデータ線6と重なる。容量線8は、図示を省略するが、上述した対向基板20の上下導通部106と電気的に接続される。そのため、容量線8は、対向電極21と電気的に接続されて共通電位が与えられる。これにより、容量線8によって、データ線6や走査線3の電位の影響が画素電極15に及ぶことが抑えられる。容量線8は、コンタクトホールCNT4を介して、第2容量素子16Bの第3容量電極16d,4とも電気的に接続される。
【0076】
第1中継層9は、平面視にて独立した島状に設けられている(
図22参照)。第1中継層9は、コンタクトホールCNT5を介して、第2中継層7と電気的に接続される。
【0077】
容量線8及び第1中継層9の形成材料としては、データ線6と同様に、導電性を有する低抵抗配線材料であれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)などの金属やその金属化合物が挙げられる。本実施形態では、容量線8及び第1中継層9は、チタン(Ti)層/窒化チタン(TiN)層/アルミニウム(Al)層/窒化チタン(TiN)層の4層構造である。容量線8及び第1中継層9の厚さは、例えば約250nmである。
【0078】
容量線8及び第1中継層9を被覆して第4層間絶縁層13が設けられている。第4層間絶縁層13の形成材料としては、例えば、第1層間絶縁層11aと同様なシリコン系酸化膜が挙げられる。本実施形態では、第4層間絶縁層13に酸化シリコンを用いる。第4層間絶縁層13の厚さは、例えば約300nmである。
【0079】
第4層間絶縁層13には、第1コンタクトホールCNT6が設けられている。第1コンタクトホールCNT6は、第1中継層9と、第4層間絶縁層13の上層の画素電極15とを電気的に接続する。第1コンタクトホールCNT6は、平面視にて、一対の第2コンタクトホールCNT1のうちの+Y方向の一方と重なっている(
図20及び
図33参照)。
【0080】
第5層上の第6層には、画素電極15が設けられている。画素電極15は、第1コンタクトホールCNT6、第1中継層9、コンタクトホールCNT5、第2中継層7、及びコンタクトホールCNT3を介して、容量素子16A,16Bの共通の容量電極を兼ねる、他方のソースドレイン領域s5と電気的に接続される。画素電極15は、例えばITOやIZOなどの透明導電膜を成膜した後、パターニングすることによって設けられる。本実施形態では、画素電極15にITOを用いる。画素電極15の厚さは、例えば約145nmである。
【0081】
図示を省略するが、画素電極15を被覆して配向膜18が設けられている。素子基板10の配向膜18、及び上述した対向基板20の配向膜22は、酸化シリコンなどの無機材料を、斜方向などの所定の方向から蒸着して柱状に成長させたカラムの集合体から成る。また、
図2に示した液晶層50に含まれる液晶分子は、配向膜18,22に対して負の誘電異方性を有している。
【0082】
次に、
図6~
図33を参照しながら、液晶装置100の製造方法について説明する。
【0083】
【0084】
ここで、上記の模式断面図では、
図5と同様にして、
図4に示した線分A1-A2、線分C1-C2、および線分B1-B2に対応する3つの断面を並べて示している。さらに、上記の概略平面図では、
図4に示した1個の開口領域OPの周辺を拡大して示している。なお、以降、特に断りがない限り、概略平面図の説明においては平面視した状態を述べることとする。
【0085】
本実施形態の液晶装置100の製造方法は、以下に述べる素子基板10の製造方法を含み、素子基板10の製造方法に備わる工程以外では公知の技術が採用可能である。そのため、以下の説明では、素子基板10の製造方法についてのみ述べることとする。また、素子基板10の製造方法においても、特に断りがない限り公知の技術が採用可能である。
【0086】
図6に示すように、本実施形態の素子基板10の製造方法は、工程S1から工程S12を有する。以下、工程S1から工程S12の各工程について説明する。なお、
図6に示した工程フローは一例であって、これに限定されるものではない。
【0087】
工程S1では、
図7及び
図8に示すように、基板10s上に走査線3、中継電極3a、及びトレンチTRを形成する。まず、基板10s上に走査線3及び中継電極3aを設ける。走査線3は、±X方向に延在する部位と、上記部位から±Y方向に突出する部位とを有する。±Y方向に突出する部位には、一対の第2コンタクトホールCNT1が設けられる(
図19A、
図20参照)。走査線3の形成には、例えば、フォトリソグラフィー法によるパターニング形成を用いる。
【0088】
次に、走査線3、中継電極3a、及び基板10sの上に、第1層間絶縁層11aをベタ状に形成する。第1層間絶縁層11aの形成には、例えば、モノシラン(SiH4)、2塩化シラン(SiH2Cl2)、オルト珪酸テトラエチエル(TEOS)、アンモニア(NH3などの処理ガスを用いた、常圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法、減圧CVD法、あるいはプラズマCVD法などを用いる。
【0089】
次いで、第1層間絶縁層11a及び基板10sにトレンチTRを設ける。詳しくは、
図8に示すように、トレンチTRは、±X方向に隣り合う画素Pの間にあって、非開口領域CLに収まるような略長方形である。トレンチTRは、特に限定されないが、例えば±Z方向の深さが約3μmであり、±X方向の幅が約1μmである。トレンチTRの形成には、例えば、ハードマスクを用いた湿式エッチングを用いる。
【0090】
このとき、トレンチTRの+Y方向に、中継電極3aの一部が露出するようなハードマスクを用いてエッチングを行う。これにより、トレンチTRに隣接して中継電極3aの一部が露出する。中継電極3aは、後に、第1容量電極16aと電気的に接続される部分である。そして工程S2へ進む。
【0091】
工程S2では、
図9及び
図10に示すように、第1層間絶縁層11a及びトレンチTRの内部を含む基板10s上に、第1容量電極16a及び絶縁層16b1を設ける。第1容量電極16aは、ポリシリコン層であり、形成には減圧CVD法などを用いる。その後、ポリシリコン層をパターニングして第1容量電極16aを設ける。
【0092】
具体的には、第1容量電極16aは、±X方向から±Y方向に屈曲して設けられる。図示を省略するが、第1容量電極16aは、非開口領域CLと重ねられて配置される。また、屈曲して設けられた第1容量電極16aと離れて、島状の第1容量電極16a1が設けられる。島状の第1容量電極16a1は、後に形成される一方のソースドレイン領域s1と重なる部分である。
【0093】
また、絶縁層16b1は、後工程にて第1容量素子16Aの第1容量絶縁層16bとなる層である。絶縁層16b1は、第1容量電極16a及び第1層間絶縁層11aを覆うように、ベタ状に設ける。具体的には、窒化シリコンを用いて、減圧CVD法やプラズマCVD法などによって絶縁層16b1を設ける。そして工程S3へ進む。
【0094】
工程S3では、
図11及び
図12に示すように、トレンチTR内を含む絶縁層16b1上にポリシリコン層を設ける。ポリシリコン層は、非晶質のポリシリコン膜であり、形成には減圧CVD法などを用いる。ポリシリコン層をパターニングして半導体層30Sを設ける。
【0095】
半導体層30Sは、±X方向から±Y方向に屈曲して設けられる。図示を省略するが、半導体層30Sは、非開口領域CLと重ねられて配置される。そして工程S4へ進む。
【0096】
工程S4では、
図13及び
図14に示すように、半導体層30S上に、ゲート絶縁層11bをベタ状に設ける。ゲート絶縁層11bとして、例えば、2種類の酸化シリコンからなる2重構造を採用する場合には、ポリシリコン膜を熱酸化して得られる第1酸化シリコン膜を設けた後、減圧CVD法を用いて700℃から900℃の高温条件下で第2酸化シリコン膜を設ける。このとき、トレンチTR内もゲート絶縁層11bで覆われる。そして工程S5に進む。
【0097】
工程S5では、
図15A、
図15B、
図16に示すように、第1容量素子16A及び第2容量素子16Bの共通の容量電極である他方のソースドレイン領域s5を形成する。まず、
図16に示すように、トレンチTR内及びトレンチTRの縁を除く領域にレジストREを形成する。レジストREが配置されない領域は、半導体層30Sの他方のソースドレイン領域s5のうち、共通の容量電極として機能する第2容量電極30s5に相当する。
【0098】
次いで、半導体層30Sに対してイオン注入を行う。まず、レジストREが配置されていない領域である、トレンチTR内およびトレンチTRの縁の半導体層30S、及び第1容量電極16aに導電性を付与する。このとき、不純物としてのイオンは、上記半導体層30Sに対して、ゲート絶縁層11bを介して注入される。また、イオンは、上記第1容量電極16aに対して、絶縁層16b1を介して注入される。これにより、
図15Aに示すように、トレンチTR内及びトレンチTRの縁の半導体層30Sが、他方のソースドレイン領域s5となる。また、第1容量電極16aに導電性が付与される。注入されるイオンは、例えば、燐(P)である。
【0099】
次いで、
図15Bに示すように、湿式エッチングによって、レジストREが配置されていない、トレンチTR内及びトレンチTRの縁のゲート絶縁層11bを除去する。その後、レジストREを全て除去する。そして、工程S6に進む。
【0100】
工程S6では、
図17及び
図18に示すように、絶縁層16c1を形成する。絶縁層16c1は、後工程にて第2容量絶縁層16cとなる層である。具体的には、トレンチTR内及びトレンチTRの縁における他方のソースドレイン領域s5上と、ゲート絶縁層11b上とに、ベタ状に絶縁層16c1を設ける。具体的には、窒化シリコンを用いて、減圧CVD法やプラズマCVD法などによって絶縁層16c1を設ける。そして工程S7へ進む。
【0101】
工程S7では、
図19A、
図19B、
図20に示すように、第2導電層16y及び第3導電層4xを形成する。第2導電層16yは、後工程にて第1ゲート電極g1及び第3容量電極16dとなる層である。第3導電層4xは、後工程にて第2ゲート電極g2及び第3容量電極4となる層である。
【0102】
まず、絶縁層16c1上に、第2導電層16yをベタ状に設ける。具体的には、減圧CVD法によって多結晶シリコン膜を設けた後、該多結晶シリコン膜に燐を注入してから拡散させて、導電性のポリシリコン膜とする。第2導電層16y中の燐原子の濃度は、1×1019個/cm3以上とする。このとき、第2導電層16yによってトレンチTR内が埋め込まれるようにする。
【0103】
次いで、半導体層30Sを挟んで±Y方向に対向する一対の第2コンタクトホールCNT1を設ける。一対の第2コンタクトホールCNT1は、第2導電層16y、絶縁層16c1、ゲート絶縁層11b、および第1層間絶縁層11aを貫通して、走査線3まで到達する。また、中継電極3aの一部を露出させるための第2コンタクトホールCNT7を設ける。第2コンタクトホールCNT7は、第2導電層16y、絶縁層16c1、ゲート絶縁層11b、および第1層間絶縁層11aを貫通して、中継電極3aまで到達する。一対の第2コンタクトホールCNT1及び第2コンタクトホールCNT7の形成には、例えば、乾式エッチングを用いる。
【0104】
次いで、第2導電層16y上、一対の第2コンタクトホールCNT1及び第2コンタクトホールCNT7に第3導電層4xをベタ状に設ける。このとき、第3導電層4xが走査線3と電気的に接続する。また、第3導電層4xが中継電極3aと電気的に接続する。これにより、第1容量電極16aと、後の工程で形成される第3容量電極16dとが、中継電極3a及び第2コンタクトホールCNT7を介して電気的に接続される。そして工程S8へ進む。
【0105】
工程S8では、
図21に示すように、ゲート電極30Gなどを形成する。具体的には、乾式エッチングを用いて、絶縁層16c1、第2導電層16y、及び第3導電層4xをパターニングする。
【0106】
これにより、ゲート絶縁層11b上に、第1ゲート電極g1及び第2ゲート電極g2から成るゲート電極30Gが設けられる。このとき、平面視にて、ゲート電極30G及び第3容量電極4以外の領域では、窒化シリコンの絶縁層16c1を除去する。すなわち、半導体層30S上において、半導体層30Sのゲート電極30G及びゲート電極30G下方の第2容量絶縁層16cと重ならない領域では、窒化シリコンが設けられていないことになる。これにより、半導体層30Sにおける水素化が容易となる。
【0107】
上記パターニングによって、他方のソースドレイン領域s5の一部である第2容量電極30s5、第2容量絶縁層16c、第3容量電極16d及び第3容量電極4から成る第2容量素子16Bも設けられる。
【0108】
図22に示すように、ゲート電極30Gは、平面視にて島状に配置され、一対の第2コンタクトホールCNT1と重なる部位と、図示しない半導体層30Sと重なる部位を有している。
【0109】
第3容量電極4は、±Y方向に延在する非開口領域CLと重なるように、±Y方向に延在して設けられる。第3容量電極4は、上方に設けられるデータ線6と重なる、±Y方向に延在する本体部4aと、本体部4aから-X方向に突出する突出部4bとを有している。突出部4bは、半導体層30Sのうち±X方向に延在する部位と重なる。第2容量絶縁層16c及び第3容量電極16dの一部は、第3容量電極4と重なるように配置される。そして、工程S9へ進む。
【0110】
工程S9では、
図23に示すように、イオン注入によって半導体層30Sに、一方のソースドレイン領域s1、LDD領域s2,s4、チャネル領域s3、及び一部の他方のソースドレイン領域s5を形成する。具体的には、半導体層30Sに対して、中濃度のイオン注入、及びそれに続く高濃度のイオン注入を実施する。
【0111】
まず、中濃度のイオン注入によって、チャネル領域s3を±X方向に挟むLDD領域s2,s4を設ける。次いで、
図24に示すレジストREのパターンにて、半導体層30SのLDD領域s2,s4およびチャネル領域s3をマスクして、それ以外の半導体層30Sに高濃度のイオン注入を施す。これによって、ソースドレイン領域s1,s5が設けられる。そして工程S10へ進む。
【0112】
工程S10では、第2層間絶縁層11cなどを形成する。まず、第2ゲート電極g2、第3容量電極4、及び上方に露出したゲート絶縁層11b上に、第2層間絶縁層11cを設ける。第2層間絶縁層11cである酸化シリコンの形成方法としては、例えば、モノシラン、2塩化シラン、TEOS、TEB(Triethyl Borate)などを用いた、常圧CVD法、減圧CVD法、あるいはプラズマCVD法などが挙げられる。
【0113】
次いで、約1000℃の加熱によって、不純物活性化アニールを施す。その後、水素プラズマ処理を実施する。これにより、半導体層30Sの欠陥が水素で終端されスイッチング素子の特性が向上する。
【0114】
次いで、
図25及び
図26に示すように、乾式エッチングによりコンタクトホールCNT2,CNT3を形成する。コンタクトホールCNT2,CNT3は、ゲート絶縁層11bおよび第2層間絶縁層11cを貫通して、半導体層30Sまで到達する。平面視にて、コンタクトホールCNT2は一方のソースドレイン領域s1と重なり、コンタクトホールCNT3はLDD領域s4と隣り合う他方のソースドレイン領域s5の部位と重なる。そして工程S11へ進む。
【0115】
工程S11では、データ線6、第2中継層7を形成する。このとき、
図27に示すように、データ線6及び第2中継層7によって、それぞれ、コンタクトホールCNT2,CNT3を埋めるようにして設ける。
【0116】
図28に示すように、データ線6は、±Y方向に延在して設けられ、図示しない他方のソースドレイン領域s5のうち±Y方向に延在する部位と重なる。すなわち、データ線6は、トレンチTR、第1容量素子16A、及び第2容量素子16Bと平面視で重なるように、±Y方向に延在して設けられる。データ線6は、±X方向に延在する非開口領域CLと重なる、+X方向に突出した部位を有している。該部位にはコンタクトホールCNT2が設けられる。
【0117】
第2中継層7は、データ線6とは独立した島状に設けられる。第2中継層7は、±X方向に延在し、下方の半導体層30Sの一部と重なる本体部7aと、本体部7aから±Y方向に突出する突出部7bと、を有している。
【0118】
データ線6と半導体層30Sの一方のソースドレイン領域s1とは、コンタクトホールCNT2を介して電気的に接続される。第2中継層7と半導体層30Sの他方のソースドレイン領域s5とは、コンタクトホールCNT3を介して電気的に接続される。そして工程S12へ進む。
【0119】
工程S12では、データ線6より上層を形成する。まず、データ線6、第2中継層7、及び上方に露出した第2層間絶縁層11c上に、第3層間絶縁層12をベタ状に設ける。第3層間絶縁層12は、例えば、酸化シリコン膜を用い、プラズマCVD法によって設けられる。
【0120】
次いで、
図29及び
図30に示すように、乾式エッチングによってコンタクトホールCNT4,CNT5を設ける。コンタクトホールCNT4は、第3層間絶縁層12及び第2層間絶縁層11cを貫通して、第2容量素子16Bの第3容量電極4まで到達する。コンタクトホールCNT5は、第3層間絶縁層12を貫通して、第2中継層7まで到達する。
【0121】
次いで、容量線8、第1中継層9を形成する。このとき、
図31に示すように、容量線8及び第1中継層9によって、それぞれ、コンタクトホールCNT4,CNT5を埋めるようにして設ける。
【0122】
容量線8は、コンタクトホールCNT4を介して、第3容量電極4及び第3容量電極16dと電気的に接続される。第1中継層9は、コンタクトホールCNT5、第2中継層7、及びコンタクトホールCNT3を介して、半導体層30Sの他方のソースドレイン領域s5と電気的に接続される。
【0123】
図32に示すように、容量線8は、±Y方向に延在する非開口領域CLと重なるように、±Y方向に延在して設けられる。容量線8は、下方に設けられるデータ線6と重なる、±Y方向に延在する本体部8aと、本体部8aから-X方向に突出する突出部8bと、本体部8aから突出部8bと反対側の+X方向に突出する他の突出部8cと、を有している。突出部8bは、半導体層30Sのうち±X方向に延在する部位と重なる。突出部8bには、コンタクトホールCNT4が設けられる。他の突出部8cは、半導体層30Sと+X方向に隣り合う、図示しない他の半導体層30Sと重なる。
【0124】
第1中継層9は、容量線8とは独立した島状に設けられ、コンタクトホールCNT5と重なっている。第1中継層9は、±X方向に延在し、下方の半導体層30Sの一部と重なる本体部9aと、本体部9aから±Y方向に突出する突出部9bと、を有している。
【0125】
次いで、容量線8、第1中継層9、及び上方に露出した第3層間絶縁層12上に、第4層間絶縁層13をベタ状に設ける。第4層間絶縁層13は、例えば、酸化シリコン膜を用い、プラズマCVD法によって設けられる。第4層間絶縁層13を設けた後、下層の構成に起因する凹凸を緩和するために、CMP(Chemical&Mechanical Polishing)処理などの平坦化処理を施す。
【0126】
次いで、乾式エッチングによって、第4層間絶縁層13を貫通して第1中継層9を露出させる第1コンタクトホールCNT6を設ける。その後、
図33に示すように、第4層間絶縁層13上に開口領域OPと対応する画素電極15を設ける。このとき、第1コンタクトホールCNT6を埋めるように設ける。これにより、画素電極15は、第1コンタクトホールCNT6、第1中継層9、コンタクトホールCNT5、第2中継層7、及びコンタクトホールCNT3を介して、半導体層30Sの他方のソースドレイン領域s5と電気的に接続される。
【0127】
素子基板10の製造方法のうち、以降の工程には公知の技術が採用可能であり、説明を省略する。以上に述べた製造方法により、素子基板10および液晶装置100が製造される。
【0128】
次に、
図34を参照しながら、電子機器としての投射型表示装置1000の構成を説明する。
【0129】
図34に示すように、電子機器としての投射型表示装置1000は、光源としてのランプユニット1001、色分離光学系としてのダイクロイックミラー1011,1012、電気光学装置である3個の液晶装置1B,1G,1R、3個の反射ミラー1111,1112,1113、3個のリレーレンズ1121,1122,1123、色合成光学系としてのダイクロイックプリズム1130、投射光学系としての投射レンズ1140を備えている。
【0130】
ランプユニット1001では、例えば、放電型の光源を採用している。光源の方式はこれに限定されず、発光ダイオード、レーザーなどの固体光源を採用してもよい。
【0131】
ランプユニット1001から射出された光は、2個のダイクロイックミラー1011,1012によって、各々異なる波長域の3色の色光に分離する。3色の色光とは、略赤色の光、略緑色の光、略青色の光である。以降の説明において、上記略赤色の光を赤色光Rともいい、上記略緑色の光を緑色光Gともいい、上記略青色の光を青色光Bともいう。
【0132】
ダイクロイックミラー1011は、赤色光Rを透過させると共に、赤色光Rよりも波長が短い、緑色光Gおよび青色光Bを反射させる。ダイクロイックミラー1011を透過した赤色光Rは、反射ミラー1111で反射され、液晶装置1Rに入射する。ダイクロイックミラー1011で反射された緑色光Gは、ダイクロイックミラー1012によって反射された後、液晶装置1Gに入射する。ダイクロイックミラー1011で反射された青色光Bは、ダイクロイックミラー1012を透過して、リレーレンズ系1120へ射出される。
【0133】
リレーレンズ系1120は、リレーレンズ1121,1122,1123、反射ミラー1112,1113を有している。青色光Bは、緑色光Gや赤色光Rと比べて光路が長いため、光束が大きくなりやすい。そのため、リレーレンズ1122を用いて光束の拡大を抑えている。リレーレンズ系1120に入射した青色光Bは、反射ミラー1112で反射されると共に、リレーレンズ1121によってリレーレンズ1122の近傍で収束される。そして、青色光Bは、反射ミラー1113およびリレーレンズ1123を経て、液晶装置1Bに入射する。
【0134】
投射型表示装置1000における、光変調装置である液晶装置1R,1G,1Bには、上記実施形態の電気光学装置としての液晶装置100が適用されている。また、液晶装置1R,1G,1Bとして、本実施形態以外の液晶装置を適用してもよい。
【0135】
液晶装置1R,1G,1Bのそれぞれは、投射型表示装置1000の上位回路と電気的に接続される。これにより、赤色光R、緑色光G、青色光Bの階調レベルを指定する画像信号がそれぞれ外部回路から供給され、上位回路で処理される。これにより、液晶装置1R,1G,1Bが駆動されて、それぞれの色光が変調される。
【0136】
液晶装置1R,1G,1Bによって変調された赤色光R、緑色光G、青色光Bは、ダイクロイックプリズム1130に3方向から入射する。ダイクロイックプリズム1130は、入射した赤色光R、緑色光G、青色光Bを合成する。ダイクロイックプリズム1130において、赤色光Rおよび青色光Bは90度に反射され、緑色光Gは透過する。そのため、赤色光R、緑色光G、青色光Bは、カラー画像を表示する表示光として合成され、投射レンズ1140に向かって射出される。
【0137】
投射レンズ1140は、投射型表示装置1000の外側を向いて配置されている。表示光は、投射レンズ1140を介して拡大されて射出され、投射対象であるスクリーン1200に投射される。
【0138】
本実施形態では、電子機器として投射型表示装置1000を例示したが、本発明の電気光学装置が適用される電子機器はこれに限定されない。例えば、投射型のHUD(Head-Up Display)、直視型のHMD(Head Mounted Display)、パーソナルコンピューター、デジタルカメラ、液晶テレビなどの電子機器に適用されてもよい。
【0139】
以上述べたように、本実施形態の液晶装置100は、第1方向に延在する走査線3と、第1方向と交差する第2方向に延在するデータ線6と、走査線3と重なる位置に配置された第1半導体層としての半導体層30Sを有するトランジスター30と、データ線6と重なる位置に配置された容量素子16と、を備え、容量素子16は、平面視で重なって配置された第1容量素子16Aと第2容量素子16Bとを含み、第1容量素子16A及び第2容量素子16Bは、半導体層30Sの一部を含んで構成されている。
【0140】
この構成によれば、データ線6に沿って第1容量素子16Aと第2容量素子16Bとが重なって配置されているので、高開口率化のまま、容量素子16の保持容量を増やすことができる。よって、表示品位を高めることができる。
【0141】
また、液晶装置100において、基板10sを備え、基板10sは、データ線6と重なる位置に凹部としてのトレンチTRを有し、第1容量素子16Aの一部及び第2容量素子16Bの一部は、トレンチTRの側面及び底面に沿って配置されている。この構成によれば、トレンチTRの側面や底面に第1容量素子16A及び第2容量素子16Bの一部が配置されているので、平坦面に容量素子16を配置する場合と比較して、平面視での面積を増やすことなく、保持容量を増やすことができる。さらに、第1容量素子16Aの一部及び第2容量素子16Bを重ねて構成することにより、トレンチTRの深さを深くすることなく、保持容量を増やすことができる。
【0142】
また、液晶装置100において、半導体層30Sの一部には不純物としてのイオンが注入され、第1容量素子16A及び第2容量素子16Bの共通の容量電極(即ち、他方のソースドレイン領域s5)として機能する。この構成によれば、2つの容量素子16A,16Bにおいて共通の容量電極を有するので、積層する膜の数をより少なくすることが可能となり、プロセスを少なくできる。
【0143】
また、容量素子16は、基板10s側から第1容量素子16Aと第2容量素子16Bとが順に配置されており、第1容量素子16Aは、基板10s側から、第1容量電極16a、第1容量絶縁層16b、第2容量電極としての他方のソースドレイン領域s5を含んで構成され、第2容量素子16Bは、基板10s側から、第2容量電極としての他方のソースドレイン領域s5、第2容量絶縁層16c、第3容量電極16dを含んで構成され、第2容量電極としての他方のソースドレイン領域s5は、共通の容量電極である。この構成によれば、共通の容量電極である第2容量電極としての他方のソースドレイン領域s5によって2つの容量素子16A,16Bの一部を構成するので、積層する膜の数をより少なくすることが可能となり、プロセスを少なくできる。即ち、積層した並列容量を容易に構成することができる。
【0144】
また、液晶装置100において、第1容量電極16aと第3容量電極16dとは、走査線3と離間した中継電極3aを介して電気的に接続されており、第1容量電極16a及び第3容量電極16dに共通電位が印加され、第2容量電極30s5は、画素電極15と電気的に接続されている。この構成によれば、基板10sに一番近い第1容量電極16aと、基板10sから一番離れた第3容量電極16dと、の2つの電極に共通電位を用いるので、第1容量電極16a及び第3容量電極16dにそれぞれ別々の電位を供給する場合と比較して、構成を簡単にすることができる。また、第2容量電極30s5と画素電極15の接続が容易になる。また、第3容量電極16d、4は、ゲート電極30Gと離間して配置されているので、共通電位を容易に供給される。
【0145】
また、液晶装置100において、第1容量電極16aは、第2半導体層としてのポリシリコン層で構成されている。この構成によれば、第1容量電極16a及び第2容量電極としての他方のソースドレイン領域s5を構成する2つのポリシリコン層に同時に不純物としてのイオンを注入することにより、同時に導電性を有する電極を形成することが可能となり、半導体(即ち、TFT30)としての機能と、電極としての機能と、の両方に活用することができる。
【0146】
また、第1半導体層としての半導体層30Sは、走査線3及びデータ線6に沿って繋がって配置されている。この構成によれば、TFT30を構成する半導体層30Sと、容量素子16A,16Bを構成する共通の容量電極とを、同じ層で形成することができる。よって、プロセスの工程数を少なくすることができる。
【0147】
また、本実施形態の電子機器は、上記に記載の液晶装置100を備えるので、表示品位を向上させることが可能な電子機器を提供することができる。
【0148】
以下、上記した実施形態の変形例を説明する。
【0149】
上記した液晶装置100の素子基板10の構成に限定されず、
図35に示す構成にしてもよい。
図35は、変形例の液晶装置100Aの素子基板10Aの構成を示す断面図である。
図35に示すように、変形例の素子基板10Aは、第1容量素子16Aを構成する第1容量電極16aの端部16az、第1容量絶縁層16bの端部16bz、他方のソースドレイン領域s5の端部s5zが、同じ位置に揃って形成されている。更に、端部16az,16bz,s5zが、第2コンタクトホールCNT7の近傍まで延在して形成されている。
【0150】
これによれば、第1容量素子16Aを構成する各層の端部16az,16bz,s5zが揃って第2コンタクトホールCNT7の近くまで延在して形成されているので、上記実施形態と比較して、より大きい保持容量を得ることができる。なお、端部16az,16bz,s5zを揃えて形成する方法としては、半導体層30Sをパターニングするタイミングで、第1容量絶縁層16b及び第1容量電極16aも同時にエッチングすることによって形成することができる。
【符号の説明】
【0151】
3…走査線、3a…中継電極、4…第3容量電極、4a…本体部、4b…突出部、4x…第3導電層、6…データ線、7…第2中継層、7a…本体部、7b…突出部、8…容量線、8a…本体部、8b…突出部、8c…突出部、9…第1中継層、9a…本体部、9b…突出部、10,10A…素子基板、10s…基板、11a…第1層間絶縁層、11b…ゲート絶縁層、11c…第2層間絶縁層、12…第3層間絶縁層、13…第4層間絶縁層、15…画素電極、16…容量素子、16A…第1容量素子、16a…第2半導体層としての第1容量電極、16az…端部、16B…第2容量素子、16b…第1容量絶縁層、16bz…端部、16c…第2容量絶縁層、16d…第3容量電極、16c1…絶縁層、16y…第2導電層、18…配向膜、20…対向基板、20s…基板、21…対向電極、22…配向膜、24…見切り部、25…絶縁層、30…TFT、30G…ゲート電極、30S…第1半導体層としての半導体層、30s5…第2容量電極、40…シール材、50…液晶層、100…液晶装置、100A…液晶装置、101…データ線駆動回路、102…走査線駆動回路、103…検査回路、104…外部接続端子、106…上下導通部、107…配線、1000…投射型表示装置、1001…ランプユニット、1011,1012…ダイクロイックミラー、1111,1112,1113…反射ミラー、1120…リレーレンズ系、1121,1122,1123…リレーレンズ、1130…ダイクロイックプリズム、1140…投射レンズ、1200…スクリーン。