(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】交通情報システムおよび交通情報提供方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20241112BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2021028566
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 康史
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-331889(JP,A)
【文献】特開2010-009367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/01
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を走行する車両に搭載されたDSRC車載装置が発する電波を検知する第一DSRC基地局と、
前記第一DSRC基地局にネットワークを介して通信可能に接続され、前記第一DSRC基地局が電波を検知した
ことが前記ネットワークを介して通知されると、
レーダーによる測定範囲に在る前記DSRC車載装置を搭載した車両の位置および速度を測定して走行ログデータを収集し、収集した前記走行ログデータに基づいて交通情報を更新するレーダー基地局と、を備え、
前記走行ログデータは、前記車両の情報を含むものであり、
前記道路において前記第一DSRC基地局により前記DSRC車載装置が発する電波が検知されるときの該DSRC車載装置を搭載した車両の位置と同じまたは下流側に前記レーダーによる測定範囲が位置するように設けられ、
前記第一DSRC基地局は、
前記交通情報が更新された後、
前記DSRC車載装置が発する電波を
新たに検知したら、
前記ネットワークを介して前記レーダー基地局から、更新された前記交通情報を取得して前記交通情報を、
この新たに検知した電波を発している前記DSRC車載装置に送信する
交通情報システム。
【請求項2】
前記第一DSRC基地局よりも下流側で、道路を走行する車両に搭載されたDSRC車載装置が発する電波を検知する第二DSRC基地局を備え、
前記第二DSRC基地局は、
前記レーダー基地局に前記ネットワークを介して通信可能に接続されており、
前記DSRC車載装置が発する電波を検知したら、
前記ネットワークを介して前記レーダー基地局から、更新された前記交通情報を取得して前記交通情報を、検知した電波を発している前記DSRC車載装置に送信する
請求項1に記載の交通情報システム。
【請求項3】
道路上のガントリーまたは道路の路側に設置された第一DSRC基地局で、前記道路を走行する車両に搭載されたDSRC車載装置が発する電波を検知するステップと、
前記道路上のガントリーまたは前記道路の路側に
、前記道路において前記第一DSRC基地局により前記DSRC車載装置が発する電波が検知されるときの該DSRC車載装置を搭載した車両の位置と同じまたは下流側にレーダーによる測定範囲が位置するように設置されたレーダー基地局で、前記第一DSRC基地局が電波を検知した
ことがネットワークを介して通知されると、
前記レーダーによる測定範囲に在る前記DSRC車載装置を搭載した車両の位置および速度を測定して走行ログデータを収集し、
前記車両の情報を含む収集した前記走行ログデータに基づいて交通情報を更新するステップと、
前記第一DSRC基地局で、前記交通情報が更新された後、前記DSRC車載装置が発する電波を
新たに検知したら、
前記ネットワークを介して前記レーダー基地局から、更新された前記交通情報を取得して前記交通情報を、
この新たに検知した電波を発している前記DSRC車載装置に送信するステップと、を備えた
交通情報提供方法。
【請求項4】
前記第一DSRC基地局よりも下流側の前記道路上のガントリーまたは前記道路の路側に設置された第二DSRC基地局で、前記DSRC車載装置が発する電波を検知したら、
前記ネットワークを介して前記レーダー基地局から、更新された前記交通情報を取得して前記交通情報を、検知した電波を発している前記DSRC車載装置に送信するステップを備えた
請求項3に記載の交通情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、DSRCを用いた交通情報システムおよび交通情報提供方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、交通事故を防ぐための所望の動作を各車両にさせるように、交通情報を各車両に提供する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、上位装置が全車線に関する交通情報を生成し、情報提供判定装置が情報提供用DSRC路側機から広域に伝搬する電波を用いて交通情報を発信し、車両がこの交通情報を受信する。また、光感知器は狭域にしか伝搬しない光波を用いて車線情報を発信し、車両はこの車線情報を受信する。そして、車両は車線情報が示す走行車線についての交通情報を抽出し、当該車両のカーナビゲーションシステムの警告メッセージの出力制御を行い、ドライバに減速や車線変更を促す。さらに、評価装置はログ収集用DSRC路側機を介して車両の走行ログデータを収集して評価を行い、情報提供判定装置からの情報提供を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、車両が光波を受信したことをトリガーに走行ログデータを収集し、車両が収集した走行ログデータをログ収集用DSRC路側機で基地局へ送信し、基地局側の評価装置で走行ログデータを処理して交通情報を更新し、更新された交通情報を情報提供用DSRC路側機からその他の車両に提供している。つまり、車両で収集した走行ログデータを基地局へ送信しており、そこで情報の遅延が生じるため、車両への交通情報の提供に遅延が発生するという課題があった。
【0006】
本開示は、以上のような課題を解決するためになされたもので、交通情報の提供の遅延を抑制した交通情報システムおよび交通情報提供方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る交通情報システムは、道路を走行する車両に搭載されたDSRC車載装置が発する電波を検知する第一DSRC基地局と、前記第一DSRC基地局にネットワークを介して通信可能に接続され、前記第一DSRC基地局が電波を検知したことが前記ネットワークを介して通知されると、レーダーによる測定範囲に在る前記DSRC車載装置を搭載した車両の位置および速度を測定して走行ログデータを収集し、収集した前記走行ログデータに基づいて交通情報を更新するレーダー基地局と、を備え、前記走行ログデータは、前記車両の情報を含むものであり、前記道路において前記第一DSRC基地局により前記DSRC車載装置が発する電波が検知されるときの該DSRC車載装置を搭載した車両の位置と同じまたは下流側に前記レーダーによる測定範囲が位置するように設けられ、前記第一DSRC基地局は、前記交通情報が更新された後、前記DSRC車載装置が発する電波を新たに検知したら、前記ネットワークを介して前記レーダー基地局から、更新された前記交通情報を取得して前記交通情報を、この新たに検知した電波を発している前記DSRC車載装置に送信するものである。
【0008】
本開示に係る交通情報提供方法は、道路上のガントリーまたは道路の路側に設置された第一DSRC基地局で、前記道路を走行する車両に搭載されたDSRC車載装置が発する電波を検知するステップと、前記道路上のガントリーまたは前記道路の路側に、前記道路において前記第一DSRC基地局により前記DSRC車載装置が発する電波が検知されるときの該DSRC車載装置を搭載した車両の位置と同じまたは下流側にレーダーによる測定範囲が位置するように設置されたレーダー基地局で、前記第一DSRC基地局が電波を検知したことがネットワークを介して通知されると、前記レーダーによる測定範囲に在る前記DSRC車載装置を搭載した車両の位置および速度を測定して走行ログデータを収集し、前記車両の情報を含む収集した前記走行ログデータに基づいて交通情報を更新するステップと、前記第一DSRC基地局で、前記交通情報が更新された後、前記DSRC車載装置が発する電波を新たに検知したら、前記ネットワークを介して前記レーダー基地局から、更新された前記交通情報を取得して前記交通情報を、この新たに検知した電波を発している前記DSRC車載装置に送信するステップと、を備えた方法である。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る交通情報システムおよび交通情報提供方法によれば、第一DSRC基地局が電波を検知したら、車両ではなくレーダー基地局が車両の走行ログデータを収集し、その収集した走行ログデータに基づいて交通情報を更新し、交通情報が更新された後、第一DSRC基地局が電波を検知したら、更新された交通情報を、検知した電波を発しているDSRC基地局に送信する。そのため、従来よりも車両への交通情報の提供の遅延を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る交通情報システムの構成を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る交通情報システムの各基地局の設置例を示す図である。
【
図3】実施の形態に係る交通情報システムの各基地局が設置された片側2車線の道路で車両Aおよび車両Bが走行している様子を示す図である。
【
図4】実施の形態に係る交通情報システムの制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本開示が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0012】
実施の形態.
図1は、実施の形態に係る交通情報システム100の構成を示す図である。
実施の形態に係る交通情報システム100は、交差点における危険情報、信号機の灯色情報、信号無視した車両の情報、従道路から接近する車両の情報などを車両に提供することで、交差点、T字路などの車両、歩行者の安全を高めることを目的としたシステムである。車両へは、DSRC(Dedicated Short Range Communication)で交通情報が提供されることで、ドライバへ各種警告が行われる。なお、DSRCは、車両通信に特化した短距離無線通信技術であり、通信距離は数10mにとどまるものの、他の短距離無線と比較して速いのが特徴である。また、交通情報システム100では、レーダーで車両の位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。なお、レーダーは、天候および昼夜など外部環境による性能の劣化がなく、また、特に24GHz帯ミリ波レーダーは、近~中距離の障害物検知に適しているのが特徴である。
【0013】
実施の形態に係る交通情報システム100は、
図1に示すように、第二DSRC基地局10と、第一DSRC基地局20と、レーダー基地局30とを備えている。また、第二DSRC基地局10と、第一DSRC基地局20と、レーダー基地局30とは、互いにネットワークNを介して通信可能に接続されている。また、各車両には、DSRC車載装置40が搭載されている。
【0014】
第二DSRC基地局10は、道路上のガントリーまたは道路の路側に設置されるものであり、無線部11と、制御部12とを備えている。無線部11は、電波を搬送波として各車両に搭載されたDSRC車載装置40と通信を行うものである。制御部12は、無線部11を制御するものである。制御部12は、例えば、専用のハードウェア、またはメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、プロセッサともいう)で構成されている。
【0015】
第一DSRC基地局20は、道路上のガントリーまたは道路の路側に設置されるものであり、無線部21と、制御部22とを備えている。無線部21は、電波を搬送波として各車両に搭載されたDSRC車載装置40と通信を行うものである。制御部22は、無線部21を制御するものである。制御部22は、例えば、専用のハードウェア、またはメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、プロセッサともいう)で構成されている。
【0016】
レーダー基地局30は、道路上のガントリーまたは道路の路側に設置されるものであり、無線部31と、ログ収集部32と、評価処理部33と、制御部34とを備えている。無線部31は、レーダー波を送受信するものである。ログ収集部32は、走行ログデータを収集するものである。ここで、走行ログデータとは、車両の位置および速度に基づく車両の走行情報を示すデータである。評価処理部33は、走行ログデータを処理するものである。具体的には、評価処理部33は、ログ収集部32が収集した走行ログデータが示す車両の走行情報を評価して、交通情報を更新する。ここで、交通情報とは、渋滞情報、工事情報、事故情報、交差点における危険情報、信号機の灯色情報、信号無視した車両の情報、および、従道路から接近する車両の情報などである。制御部34は、無線部31、ログ収集部32、および、評価処理部33を制御するものである。制御部34は、例えば、専用のハードウェア、またはメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、プロセッサともいう)で構成されている。
【0017】
DSRC車載装置40は、車両に搭載されるものであり、無線部41と、制御部42とを備えている。無線部41は、電波を搬送波として第二DSRC基地局10および第一DSRC基地局20と通信を行うものである。制御部42は、無線部41を制御するものである。制御部42は、例えば、専用のハードウェア、またはメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、プロセッサともいう)で構成されている。
【0018】
図2は、実施の形態に係る交通情報システム100の各基地局の設置例を示す図である。
図3は、実施の形態に係る交通情報システム100の各基地局が設置された片側2車線の道路で車両Aおよび車両Bが走行している様子を示す図である。
【0019】
図2および
図3に示すように、第二DSRC基地局10は、交差点または交差点手前の道路の路側に設置されている。第一DSRC基地局20は、第二DSRC基地局10が設置されている位置よりも上流側の道路の路側に設置されている。つまり、上流側に設置されているのが第一DSRC基地局20で、下流側に設置されているのが第二DSRC基地局10である。レーダー基地局30は、第二DSRC基地局10が設置されている位置と第一DSRC基地局20が設置されている位置との間、かつ、第一DSRC基地局20寄りの道路の路側に設置されている。また、DSRC車載装置40は、各車両に搭載されている。なお、レーダー基地局30が設置される位置は、上記に限定されない。例えば、レーダー基地局30は、第一DSRC基地局20が設置されている位置よりも上流側の道路の路側、あるいは第二DSRC基地局10が設置されている位置よりも下流側の道路の路側などに設置されていてもよい。
【0020】
第一DSRC基地局20は、車両が接近しているか否かを常時検知している。具体的には、第一DSRC基地局20が、車両に搭載されているDSRC車載装置40が発する電波の有無を判定し、電波有りと判定したら車両が接近していることを検知する。なお、第一DSRC基地局20は、電波を受信し、かつ、その受信した電波の強度が基準値以上である場合に、電波有りと判定し、それ以外の場合は電波無しと判定する。なお、第二DSRC基地局10についても同様に、車両が接近しているか否かを常時検知している。そして、第一DSRC基地局20が、車両が接近していることを検知したら、そのことをトリガーとしてレーダー基地局30が、車両の位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。レーダー基地局30は、収集した走行ログデータが示す車両の走行情報を評価して、交通情報を更新する。そして、第二DSRC基地局10が車両の接近を検知したら、第二DSRC基地局10は、検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載した車両へ交通情報を提供する。さらに、第一DSRC基地局20が他の車両の接近を検知したら、検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載したその他の車両へ交通情報を提供する。
【0021】
図3に示す例では、片側2車線の道路を車両A、車両Bが走行しており、車両Aは、車両Bよりも前方かつ左側車線を走行している。また、この車線の路側には、第一DSRC基地局20、レーダー基地局30、第二DSRC基地局10が設置されており、車両A、車両Bは、第一DSRC基地局20、レーダー基地局30、第二DSRC基地局10の順でそれらの脇を通過する方向に走行している。また、対向車線の道路を車両Cが走行している。このときの交通情報システム100の各構成要素の動作について以下で説明する。
【0022】
まず、車両Aが第一DSRC基地局20の脇を通過する際に、第一DSRC基地局20が、車両Aに搭載されているDSRC車載装置40が発する電波を受信する。そして、第一DSRC基地局20が、車両Aが接近していることを検知したら、そのことをトリガーとしてレーダー基地局30が、車両Aの位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。このとき、車両Aは、前方の交差点で右折するため、右側車線へ車線変更した。レーダー基地局30は、収集した走行ログデータが示す車両Aの走行情報を評価して、交通情報を更新する。そして、第二DSRC基地局10が車両Aの接近を検知したら、第二DSRC基地局10は、検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載した車両Aへ交通情報を提供する。また、第一DSRC基地局20が車両Aの後方を走行する車両Bの接近を検知したら、第一DSRC基地局20は、検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載した車両Bへ交通情報を提供する。このとき、交通情報には、車両Cが交差点を通過するのを車両Aが交差点で待つことによる前方での渋滞情報が含まれ、車両Bに前方注意を促す。なお、車両Bが直進希望の場合を考慮して、車両Bに左側車線への車線変更を促してもよい。
【0023】
従来では、車両が走行ログデータを収集し、DSRC基地局に送信してから収集した走行ログデータを処理し、交通情報を更新していた。一方、実施の形態では、レーダー基地局30が車両の位置および速度を測定して走行ログデータを収集し、収集した走行ログデータを処理し、交通情報を更新するので、情報の遅延が少なく、新しい交通情報あるいは交通状況に応じた走行支援を行うことができる。
【0024】
図4は、実施の形態に係る交通情報システム100の制御フローを示す図である。
以下、実施の形態に係る交通情報システム100の制御フローを、
図4を用いて説明する。
【0025】
(ステップS1)
第一DSRC基地局20は、電波を検知したかどうかを判定する。第一DSRC基地局20が電波を検知したと判定した場合(YES)、処理はステップS2に進む。一方、第一DSRC基地局20が電波を検知していないと判定した場合(NO)、処理はステップS1を繰り返す。
【0026】
(ステップS2)
レーダー基地局30は、第一DSRC基地局20が検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載した車両(以下、車両Aと称する)の位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。その後、処理はステップS3に進む。
【0027】
(ステップS3)
レーダー基地局30は、収集した走行ログデータを処理し、交通情報を更新する。その後、処理はステップS4に進む。
【0028】
(ステップS4)
第一DSRC基地局20は、電波を検知したかどうかを判定する。第一DSRC基地局20が電波を検知したと判定した場合(YES)、処理はステップS5に進む。一方、第一DSRC基地局20が電波を検知していないと判定した場合(NO)、処理はステップS4を繰り返す。
【0029】
(ステップS5)
第一DSRC基地局20は、検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載した車両(以下、車両Bと称する)へ、更新された交通情報を提供する。ここで、車両Bは、車両Aの後方を走行する車両である。
【0030】
このようにすると、第一DSRC基地局20が先行する車両Aからの電波を検知したことをトリガーとして、レーダー基地局30によって更新された車両Aの走行ログデータを含む交通情報を、後方の車両Bが取得することができる。
【0031】
なお、ステップS4~S5と同様に、第二DSRC基地局10は、電波を検知したかどうかを判定し、第二DSRC基地局10が電波を検知したと判定した場合、第二DSRC基地局10は、検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載した車両Aへ交通情報を提供してもよい。
【0032】
以上、実施の形態に係る交通情報システム100は、道路を走行する車両に搭載されたDSRC車載装置40が発する電波を検知する第一DSRC基地局20と、第一DSRC基地局20が電波を検知したら、第一DSRC基地局20が検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載した車両の位置および速度を測定して走行ログデータを収集し、収集した走行ログデータに基づいて交通情報を更新するレーダー基地局30と、を備え、第一DSRC基地局20は、交通情報が更新された後、DSRC車載装置40が発する電波を検知したら、更新された交通情報を、検知した電波を発しているDSRC車載装置40に送信するものである。
【0033】
また、実施の形態に係る交通情報提供方法は、道路上のガントリーまたは道路の路側に設置された第一DSRC基地局20で、道路を走行する車両に搭載されたDSRC車載装置40が発する電波を検知するステップと、道路上のガントリーまたは道路の路側に設置されたレーダー基地局30で、第一DSRC基地局20が電波を検知したら、第一DSRC基地局20が検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載した車両の位置および速度を測定して走行ログデータを収集し、収集した走行ログデータに基づいて交通情報を更新するステップと、第一DSRC基地局20で、交通情報が更新された後、DSRC車載装置40が発する電波を検知したら、更新された交通情報を、検知した電波を発しているDSRC車載装置40に送信するステップと、を備えた方法である。
【0034】
実施の形態に係る交通情報システム100および交通情報提供方法によれば、第一DSRC基地局20が電波を検知したら、車両ではなくレーダー基地局30が車両の走行ログデータを収集し、その収集した走行ログデータに基づいて交通情報を更新する。そして、交通情報が更新された後、第一DSRC基地局20が電波を検知したら、更新された交通情報を、検知した電波を発しているDSRC車載装置40に送信する。そのため、従来よりも車両への交通情報の提供の遅延を抑制することができる。
【0035】
また、実施の形態に係る交通情報システム100において、第一DSRC基地局20よりも下流側で、道路を走行する車両に搭載されたDSRC車載装置40が発する電波を検知する第二DSRC基地局10を備え、第二DSRC基地局10は、DSRC車載装置40が発する電波を検知したら、交通情報を、検知した電波を発しているDSRC車載装置40に送信するものである。
【0036】
また、実施の形態に係る交通情報提供方法は、第一DSRC基地局20よりも下流側の道路上のガントリーまたは道路の路側に設置された第二DSRC基地局10で、DSRC車載装置40が発する電波を検知したら、交通情報を、検知した電波を発しているDSRC車載装置40に送信するステップを備えた方法である。
【0037】
実施の形態に係る交通情報システム100および交通情報提供方法によれば、走行ログデータ収集のトリガーとなった車両の後方を走行する別の車両に交通情報を提供するとともに、走行ログデータ収集のトリガーとなった車両自体にも交通情報を提供することができるので、前後の車両で渋滞回避などを行うことができる。
【0038】
なお、実施の形態に係る交通情報システム100では、二つのDSRC基地局と一つのレーダー基地局とを備えた構成であるが、それに限定されず、DSRC基地局の数を三つ以上備えてもよいし、レーダー基地局を二つ以上備えてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 第二DSRC基地局、11 無線部、12 制御部、20 第一DSRC基地局、21 無線部、22 制御部、30 レーダー基地局、31 無線部、32 ログ収集部、33 評価処理部、34 制御部、40 DSRC車載装置、41 無線部、42 制御部、100 交通情報システム。