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特許7585872固形化物破壊防止方法及びダスト固形化装置
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  • 特許-固形化物破壊防止方法及びダスト固形化装置 図1
  • 特許-固形化物破壊防止方法及びダスト固形化装置 図2
  • 特許-固形化物破壊防止方法及びダスト固形化装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】固形化物破壊防止方法及びダスト固形化装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 9/28 20060101AFI20241112BHJP
   B09B 3/32 20220101ALI20241112BHJP
【FI】
B30B9/28 H ZAB
B09B3/32
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021029642
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022130956
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇
(72)【発明者】
【氏名】大木 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 功
(72)【発明者】
【氏名】西川 心太郎
(72)【発明者】
【氏名】林 由幸
(72)【発明者】
【氏名】正木 徳諒
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04166716(US,A)
【文献】特開2008-194723(JP,A)
【文献】特開平03-012280(JP,A)
【文献】特開2011-036955(JP,A)
【文献】国際公開第2005/120818(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 9/28-9/32
B09B 3/00-3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の開口と第2の開口とが貫通する成形孔が設けられた成形部材と、前記成形孔内に対して、前記第1の開口から進出及び退避するように駆動される第1のロッドと、前記成形孔内に対して、前記第2の開口から進出及び退避するように駆動される第2のロッドと、を備え、前記成形孔内のダストを前記第1のロッドと前記第2のロッドとにより圧縮し、固形化物を成形するダスト固形化装置における固形化物破壊防止方法であって、
前記成形孔内にダストを導入すること、
前記成形孔内に前記第2のロッドを進出させて所定の位置で停止させること、
前記成形孔内に前記第1のロッドを進出させ、前記第1のロッドと前記第2のロッドとの間でダストを圧縮し、固形化物を成形すること、
前記第1のロッドと前記第2のロッドとの間に前記固形化物を挟持した状態で、前記第1のロッド及び前記第2のロッドを前記第1の開口方向又は前記第2の開口方向に移動させた後もとの位置に戻すように往復運動させること、を含む、固形化物破壊防止方法。
【請求項2】
前記往復運動が複数回行われる、請求項1に記載の固形化物破壊防止方法。
【請求項3】
前記ダストの前記導入と、前記固形化物の前記成形と、前記往復運動と、を1サイクルとして、複数サイクルにより所定の厚さを有する前記固形化物を成形する、請求項1又は請求項2に記載の固形化物破壊防止方法。
【請求項4】
第1の開口と第2の開口とが貫通する成形孔が設けられた成形部材と、
前記成形孔内に対して、前記第1の開口から進出及び退避するように駆動される第1のロッドと、
前記成形孔内に対して、前記第2の開口から進出及び退避するように駆動される第2のロッドと、
前記第1のロッド及び前記第2のロッドの動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記成形孔内に前記第2のロッドを進出させて所定の位置で停止するように前記第2のロッドの位置調整を行う第2のロッド位置調整部と、
前記成形孔内に前記第1のロッドを進出させ、固形化物を成形するために、前記第1のロッドと前記第2のロッドとの間でダストを圧縮する運動を行う圧縮運動制御部と、
前記圧縮する運動後に成形された前記固形化物を前記第1のロッドと前記第2のロッドとの間に挟持した状態で、前記第1のロッド及び前記第2のロッドを前記第1の開口方向又は前記第2の開口方向に移動させた後もとの位置に戻す往復運動を行う往復運動制御部と、
を含むダスト固形化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形化物破壊防止方法及びダスト固形化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料等のレーザー加工、プラズマ加工、および溶接などの際に発生するヒュームを含むダストは、作業者が吸引すると健康に深刻な被害を与える恐れがある。
そのため、作業環境を清浄に保つため集塵装置を作動させて、ダストを作業環境から除去することが行われている。
ここで集塵装置に収集されたダストは、かさ密度が小さい状態であり、この状態のままでは取り扱いが難しいため、ダストを圧縮して固形化し、扱いやすい状態(例えば、ペレット状)に加工することが行われる。
扱いやすい状態に加工されたダストは、再溶融等の処理を行うことで再利用可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-140799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、一端がゲートにて封止されたダストタンクにおいて、他端に摺動可能に設置された押し金型をピストン運動させてダストを高圧で圧縮して固形化した後、ゲートを開放し、押し金型を前進させて固形化物を機外に排出する技術が開示されている。
しかし、ダストを固形化する際、ダストタンク又は押し金型にダストが固着する場合がある。
その状態で固形化物をダストタンクから排出する際、固形化物が破壊する場合があった。
また、長さの長い固形化物を成形した場合、壁面との摩擦係数が高くなり、固形化物を排出できない場合があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、成形孔内のダストを圧縮して固形化するに際し、固形化物の破壊を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決して目的を達成する本発明の一側面は、ダスト固形化装置における固形化物破壊防止方法である。
ダスト固形化装置は、第1の開口と第2の開口とが貫通する成形孔が設けられた成形部材と、成形孔内に対して、第1の開口から進出及び退避するように駆動される第1のロッドと、成形孔内に対して、第2の開口から進出及び退避するように駆動される第2のロッドと、を備え、成形孔内のダストを第1のロッドと第2のロッドとにより圧縮し、固形化物を成形する。
固形化物破壊防止方法は、成形孔内にダストを導入すること、成形孔内に第2のロッドを進出させて所定の位置で停止させること、成形孔内に第1のロッドを進出させ、第1のロッドと第2のロッドとの間でダストを圧縮し、固形化物を成形すること、第1のロッドと第2のロッドとの間に固形化物を挟持した状態で、第1のロッド及び第2のロッドを第1の開口方向又は第2の開口方向に移動させた後もとの位置に戻すように往復運動させること、を含む。
【0006】
上記の固形化物破壊防止方法は、第1のロッドおよび第2のロッドによってダストを挟持し、圧力をかけてダストを固形化した後、第1のロッドと第2のロッドで固形化物を挟持した状態で固形化物を往復運動させる。
これにより、固形化物の排出前に、成形孔に対する固形化物の摺動性を確保することができる。
従って、固形化物を良好に排出することができる。
【0007】
本発明の一態様は、往復運動が複数回行われることを含む。
成形室の内壁に対する固形化物の摺動性をより確実に確保することができる。
【0008】
本発明の一態様は、ダストの導入と、固形化物の成形と、往復運動と、を1サイクルとして、複数サイクルにより所定の厚さを有する固形化物を成形することを含む。
所定の厚さの固形化物(ペレット)を成形することができる。
【0009】
本発明の別の側面は、第1の開口と第2の開口とが貫通する成形孔が設けられた成形部材と、成形孔内に対して、第1の開口から進出及び退避するように駆動される第1のロッドと、成形孔内に対して、第2の開口から進出及び退避するように駆動される第2のロッドと、第1のロッド及び第2のロッドの動作を制御する制御部と、を備え、制御部は、成形孔内に第2のロッドを進出させて所定の位置で停止するように第2のロッドの位置調整を行う第2のロッド位置調整部と、成形孔内に第1のロッドを進出させ、固形化物を成形するために、第1のロッドと第2のロッドとの間でダストを圧縮する運動を行う圧縮運動制御部と、圧縮動作後に成形された固形化物を第1のロッドと第2のロッドとの間に挟持した状態で、第1のロッド及び第2のロッドを第1の開口方向又は第2の開口方向に移動させた後もとの位置に戻す往復運動を行う往復運動制御部と、を含むダスト固形化装置である。
【0010】
上記のダスト固形化装置は、第1のロッドおよび第2のロッドによってダストを挟持し、圧力をかけてダストを固形化した後、第1のロッドと第2のロッドで固形化物を挟持した状態で固形化物を往復運動させる構成である。
これにより、固形化物の排出前に、成形室の壁面に対する固形化物の摺動性を確保することができる。
従って、固形化物を良好に排出することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、成形孔内のダストを圧縮して固形化するに際し、固形化物の破壊を防止することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係るダスト固形化装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、制御部の構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
ただし、本発明は、以下の実施形態の記載によって限定解釈されるものではない。
【0014】
<実施形態>
図1は、本実施形態に係るダスト固形化装置1の概略構成を示す図である。
図1に示すダスト固形化装置1は、貯留槽11と、貯留槽11の下部に配置されたダスト固形化部12と、制御部13と、を備える。
【0015】
貯留槽11は、傾斜側壁110を備え、上方から落下するダストを貯留する。
【0016】
ダスト固形化部12は、成形孔122が設けられた成形部材121と、第1のロッドである加圧ロッド123と、第2のロッドである閉止ロッド124と、成形された固形化物が排出される排出孔125と、加圧ロッド123を動作させる加圧シリンダ126と、閉止ロッド124を動作させる閉止シリンダ127と、を備える。
成形孔122は、加圧ロッド123と閉止ロッド124との間に配置され、加圧ロッド123及び閉止ロッド124を挿入可能な貫通孔である。
【0017】
成形部材121は、貯留槽11内下部のダストが流入するように成形孔122が設けられた部材である。
成形孔122は、加圧ロッド123と閉止ロッド124との間に配置され、第1の開口1221と第2の開口1222とが貫通する、加圧ロッド123及び閉止ロッド124を挿入可能な貫通孔である。
加圧ロッド123は、成形孔122内に第1の開口1221から進出及び退避可能な第1のロッドである。
閉止ロッド124は、成形孔122内に第2の開口1222から進出及び退避可能な第2のロッドであり、固形化物の成形時には成形孔122内に一定寸法進出して停止し、静止するロッドである。
加圧ロッド123は、成形孔122内に進出及び退避するように駆動され、成形孔122から退避すると貯留槽11内下部のダストが成形孔122内に流入する。
加圧ロッド123は、成形孔122内に進出して成形孔122内に流入したダストを押し込む。
成形孔122内では加圧ロッド123の加圧面と閉止ロッド124の加圧面とによりダストが押し固められて圧縮されることで、ペレット状の固形化物が成形される。
排出孔125は、成形された固形化物を落下させて排出するための孔である。
成形された固形化物は、加圧ロッド123と閉止ロッド124との間に挟持され、排出孔125まで搬送されて排出される。
加圧シリンダ126は、加圧ロッド123を往復運動させる駆動源である。
閉止シリンダ127は、閉止ロッド124を往復運動させる駆動源である。
加圧シリンダ126及び閉止シリンダ127の各々は、エアシリンダ若しくは油圧シリンダのように駆動源として油圧等の圧縮性流体を用いるもの、又は電動シリンダのように駆動源として電気を用いるもの等、適宜選択することができる。
【0018】
なお、本発明は、図1に示す形態に限定されるものではなく、加圧ロッド123及び加圧シリンダ126と閉止ロッド124及び閉止シリンダ127との位置は、入れ替えてもよい。
また、加圧ロッド123及び閉止ロッド124の長軸方向を横切る断面形状は、円形であってもよいし、正六角形等の多角形であってもよい。
【0019】
図1に示すダスト固形化装置1は、制御部13によって動作を制御される。
制御部13は、具体的には、加圧シリンダ126及び閉止シリンダ127に動作指令を出力することで、加圧ロッド123及び閉止ロッド124の動作を制御する。
【0020】
図2は、制御部13の構成を示す機能ブロック図である。
制御部13は、第2のロッド位置調整部131と、第1のロッド動作制御部132と、圧縮運動制御部133と、往復運動制御部134と、を含む。
第2のロッド位置調整部131は、成形孔122内に第2のロッドである閉止ロッド124を進出させて所定位置で停止するように閉止ロッド124の位置調整を行う。
ここで、閉止ロッド124の所定位置は、予め設定された位置である。
第1のロッド動作制御部132は、第1のロッドである加圧ロッド123を第1の開口1221から退避させるように動作を制御する。
圧縮運動制御部133は、成形孔122内に第1のロッドである加圧ロッド123を進出させ、固形化物を成形するために、加圧ロッド123と閉止ロッド124との間でダストを圧縮する運動を行うように制御する。
なお、第1のロッド動作制御部132は、圧縮運動制御部133に含まれていてもよい。
往復運動制御部134は、ダストを圧縮する運動後に、成形された固形化物を加圧ロッド123と閉止ロッド124との間に挟持した状態で、加圧ロッド123及び閉止ロッド124を第1の開口1221の方向又は第2の開口1222の方向に移動させた後もとの位置に戻す往復運動を行うように制御する。
制御部13の各構成は、MPU(Micro-Processing Unit)及びCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、半導体メモリ及び磁気ディスク等の記録媒体と、により実現することができる。
【0021】
図3は、制御部13の動作を示すフローチャートである。
固形化処理を開始すると、まず、第2のロッド位置調整部131は、成形孔122内に第2のロッドである閉止ロッド124を進出させて所定の位置で停止させる(S1)。
第1のロッド動作制御部132は、第1のロッドである加圧ロッド123を第1の開口1221から退避させるように動作を制御し(S2)、これにより、成形孔122内にはダストが導入される。
圧縮運動制御部133は、成形孔122内に加圧ロッド123を進出させ、加圧ロッド123と閉止ロッド124との間でダストを圧縮し、固形化物を成形する(S3)。
往復運動制御部134は、加圧ロッド123と閉止ロッド124との間に固形化物を挟持した状態で、加圧ロッド123と閉止ロッド124との間隔を保持して第1の開口1221の方向又は第2の開口1222の方向に移動させた後もとの位置に戻すように加圧ロッド123及び閉止ロッド124を往復運動させ(S4)、固形化処理を終了する。
【0022】
例えば、成型孔122にダストが固着している場合、固着を解消して排出するために、より強い力により加圧ロッド123で押し出す必要がある。
その際、固着が解消された瞬間に強い衝撃力が固形化物に印加されて固形化物が破壊されることがある。
本実施形態では、固形物が加圧ロッド123及び閉止ロッド124により挟持された状態を保ったままS4の往復運動が行われるので、固着が解消された際にも成形性を維持することができる。
【0023】
又は、例えば、固形化物が長い場合、成型孔122に対する固形化物の摩擦係数が高いため、排出する際に強い力により加圧ロッド123で押し出しても、排出途中で詰まる場合がある。
本実施形態では、排出前に固形化物を成型孔に対して摺動させるので、排出途中で固形化物が詰まることを防ぐことができる。
【0024】
なお、S4の往復運動が複数回行われると、固形化物の成形孔122の壁面への摺動性をより確実に確保することができるため、好ましい。
また、閉止ロッド124が所定位置で停止した状態で、加圧ロッド123の成形孔122からの退避動作(S2)による成形孔122へのダストの導入と、固形化物の圧縮による成形(S3)と、加圧ロッド123及び閉止ロッド124の往復運動(S4)と、を1サイクルとして、複数サイクルを経ることで、所定の厚さを有する固形化物において、排出前に成形孔122に対する摺動性を確保することができる。
その結果、排出時に固形化物が破壊されない、又は成形孔122に詰まらされないようにすることが可能である。
【0025】
以上説明したように、本実施形態によれば、成形孔内のダストを圧縮して固形化するに際し、排出前に成形孔に対する固形化物の摺動性を予め確保できるので、成形孔内の壁面に固形化物が固着していても、排出前に固着状態を解消することができる。
その結果、排出時において固形化物が破壊されることを防止することができる。
【0026】
また、固形化物が長い場合、成形孔に対する固形化物の摩擦抵抗が大きく、排出途中で固形化物が詰まる場合があるが、本実施形態により、排出時において固形化物が詰まることを防止することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 ダスト固形化装置
11 貯留槽
12 ダスト固形化部
121 成形部材
122 成形孔
1221 第1の開口
1222 第2の開口
123 加圧ロッド
124 閉止ロッド
125 排出孔
126 加圧シリンダ
127 閉止シリンダ
13 制御部
131 第2のロッド位置調整部
132 第1のロッド動作制御部
133 圧縮運動制御部
134 往復運動制御部

図1
図2
図3