(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20241112BHJP
H05K 7/06 20060101ALI20241112BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20241112BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H02G3/16
H05K7/06 C
H05K5/03 D
H05K5/03 G
B60R16/02 610A
(21)【出願番号】P 2021030255
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】江島 巧
(72)【発明者】
【氏名】一色 麻衣子
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-191711(JP,A)
【文献】特開2012-205329(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0050563(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H05K 7/06
H05K 5/03
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の貫通孔から露出された端子に一面が接触されるバスバーと、前記バスバーの他面側から前記端子及び前記バスバーを覆うカバーとを備える車両用の電気接続箱であって、
前記カバーは回動可能に前記筐体の一壁に設けられており、
前記一壁への接離方向に移動して前記カバー
の開状態
を保持
及び解除する開保持部を備える電気接続箱。
【請求項2】
前記カバーに設けられ、前記カバーが開状態時に前記開保持部と係合する凹部を有する係合部を備える請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記一壁の厚み方向に搖動可能である搖動片を備え、
前記搖動片は、端部に前記開保持部を有し、前記バスバーと当接する突起を有している請求項1又は2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記一壁の厚み方向に搖動可能である搖動片を備え、
前記バスバーには前記搖動片と当接する突起が設けられている請求項1又は2に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記カバーは、
一壁が開放された角筒形状の周壁部と、
該周壁部の一端開口を開閉する蓋体とを有する請求項1から4のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記蓋体は、
回動可能に保持されており、
前記蓋体の所定角度以上の回動を制限するバネ部を有する請求項5に記載の電気接続箱。
【請求項7】
前記搖動片には、前記バスバーの前記突起に対応する位置に窪みが形成されている請求項4に記載の電気接続箱。
【請求項8】
筐体の貫通孔から露出された端子に一面が接触されるバスバーと、前記バスバーの他面側から前記端子及び前記バスバーを覆うカバーとを備える車両用の電気接続箱であって、
前記カバーは回動可能に前記筐体の一壁に設けられており、
前記カバーを開状態に保持する開保持部と、
前記一壁の厚み方向に搖動可能である搖動片を備え、
前記搖動片は、端部に前記開保持部を有し、前記バスバーと当接する突起を有している電気接続箱。
【請求項9】
筐体の貫通孔から露出された端子に一面が接触されるバスバーと、前記バスバーの他面側から前記端子及び前記バスバーを覆うカバーとを備える車両用の電気接続箱であって、
前記カバーは回動可能に前記筐体の一壁に設けられており、
前記カバーを開状態に保持する開保持部と、
前記一壁の厚み方向に搖動可能である搖動片を備え、
前記バスバーには前記搖動片と当接する突起が設けられている電気接続箱。
【請求項10】
前記カバーに設けられ、前記カバーが開状態時に前記開保持部と係合する凹部を有する係合部を備える請求項8又は9に記載の電気接続箱。
【請求項11】
前記カバーは、
一壁が開放された角筒形状の周壁部と、
該周壁部の一端開口を開閉する蓋体とを有する請求項8から10のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項12】
前記蓋体は、
回動可能に保持されており、
前記蓋体の所定角度以上の回動を制限するバネ部を有する請求項11に記載の電気接続箱。
【請求項13】
前記搖動片には、前記バスバーの前記突起に対応する位置に窪みが形成されている請求項9に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バスバーを備える車両用の電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、比較的大きな電流を導通させるためにバスバーを用いた回路を有する電気接続箱が車両に搭載されている。また、近年は、車両機能の拡大と共に、バスバーに流れる電流値も大きくなりつつある。
【0003】
特許文献1には、開閉できる蓋部を有する筐体を備えており、前記蓋部を開けて前記筐体の内部にバスバーを取り付けることが可能であり、バスバーを取り付けた後には前記蓋部を閉状態にすることができる電気接続箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気接続箱の多くでは、筐体を貫通する貫通孔を介して外側に露出された端子を有しており、前記筐体の外側からバスバーを前記端子に接続させることができる。また、端子が露出されることによる不具合の発生を抑制するために、前記端子を覆うカバーが設けられている。
【0006】
一方、前記カバーが閉じられた状態で、前記端子にバスバーを接続させる組み込み作業が行われる場合、作業者は斯かる組み込み作業に先立って前記カバーを開けるという面倒な動作を行う必要である。
また、端子及びバスバーの接続具合などを確認する作業者は、カバーを開けて斯かる確認作業を行い、その後、カバーを閉じることを忘れた場合は、端子が外側に露出されたままになるので、感電、漏電及び短絡等が発生するおそれがある。
【0007】
しかしながら、特許文献1に係る電気機器は、筐体の貫通孔を介して端子が露出された場合については考慮しておらず、このような問題に対して考慮されておらず、解決できない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、組み込み作業の作業性を高め、かつカバーの閉じ忘れを防止できる電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施形態に係る電気接続箱は、筐体の貫通孔から露出された端子に一面が接触されるバスバーと、前記バスバーの他面側から前記端子及び前記バスバーを覆うカバーとを備える車両用の電気接続箱であって、前記カバーは回動可能に前記筐体の一壁に設けられており、前記カバーを開状態に保持する開保持部を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、組み込み作業の作業性を高め、かつカバーの閉じ忘れを防止できる電気接続箱を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る電気接続箱の斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る電気接続箱の端子にバスバーが接続された状態を示す部分的拡大図である。
【
図3】実施形態1に係る電気接続箱において、カバーを全開した状態を示す斜視図である。
【
図4】実施形態1に係る電気接続箱において、カバーを全開した状態を示す平面図である。
【
図6】実施形態1に係る電気接続箱において、カバーが閉じられた状態を示す斜視図である。
【
図7】
図4からカバーを省いた状態を示す平面図である。
【
図8】実施形態1に係る電気接続箱において、蓋体が開状態である場合を示す斜視図である。
【
図9】
図8の黒塗り矢印方向から見た電気接続箱の側面図である。
【
図10】実施形態2に係る電気接続箱において、カバーを全開した状態を示す斜視図である。
【
図11】実施形態3に係る電気接続箱において、カバーが閉じられた状態を示す斜視図である。
【
図12】実施形態3に係る電気接続箱において、蓋体が開状態である場合を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0013】
(1)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、筐体の貫通孔から露出された端子に一面が接触されるバスバーと、前記バスバーの他面側から前記端子及び前記バスバーを覆うカバーとを備える車両用の電気接続箱であって、前記カバーは回動可能に前記筐体の一壁に設けられており、前記カバーを開状態に保持する開保持部を備える。
【0014】
本実施形態にあっては、前記カバーを開状態に保持する前記開保持部を有するので、例えば、作業者が前記カバーを回動させて開状態にした場合、前記開保持部によって前記カバーの開状態が保持される。
【0015】
(2)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記カバーに設けられ、前記カバーが開状態時に前記開保持部と係合する凹部を有する係合部を備える。
【0016】
本実施形態にあっては、前記カバーが開状態である場合、前記凹部に前記開保持部が係合する。よって前記カバーの開状態が保持される。
【0017】
(3)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記一壁の厚み方向に搖動可能である搖動片を備え、前記搖動片は、端部に前記開保持部を有し、前記バスバーと当接する突起を有している。
【0018】
本実施形態にあっては、前記搖動片の端部に前記開保持部が設けられており、前記搖動片は前記一壁の厚み方向に搖動可能である。前記バスバーが前記端子上に載置された場合、前記バスバーと前記突起が当接するので、前記搖動片が押され、この際、前記凹部と前記開保持部との係合が解錠される。
【0019】
(4)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記一壁の厚み方向に搖動可能である搖動片を備え、前記バスバーには前記搖動片と当接する突起が設けられている。
【0020】
本実施形態にあっては、前記搖動片の端部に前記開保持部が設けられており、前記搖動片は前記一壁の厚み方向に搖動可能である。前記バスバーが前記端子上に載置された場合、前記バスバーの突起が前記搖動片が当接するので、前記搖動片が押され、この際、前記凹部と前記開保持部との係合が解錠される。
【0021】
(5)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記カバーは、一壁が開放された角筒形状の周壁部と、該周壁部の一端開口を開閉する蓋体とを有する。
【0022】
本実施形態にあっては、前記カバーは角筒形状の前記周壁部と、該周壁部の一端開口を開閉する前記蓋体とを有するので、作業者は、必要に応じて、前記蓋体を開閉し、前記バスター及び前記端子の接続具合等をチェックできる。
【0023】
(6)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記蓋体は、回動可能に保持されており、前記蓋体の所定角度以上の回動を制限するバネ部を有する。
【0024】
本実施形態にあっては、前記蓋体が所定角度以上に回動することを制限するバネ部を有するので、例えば、作業者が前記蓋体を回動させて開ける場合、所定角度以上に回動させた場合、前記バネ部がそれ以上の回動を阻止し、且つ前記バネ部の復元力が前記蓋体を閉じる方向に付勢する。
【0025】
(7)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記搖動片には、前記バスバーの前記突起に対応する位置に窪みが形成されている。
【0026】
本実施形態にあっては、前記バスバーが正しく前記端子上に載置された場合、前記バスバーの突起が前記窪み内に挿入される。即ち、前記窪みは前記バスバーの位置決めを案内する。
【0027】
[本発明の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電気接続箱を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電気接続箱100の斜視図である。電気接続箱100は各種の電子部品が装着された、いわゆる車両用のジャンクションボックスである。
本実施形態では、便宜上、図に示す前後、左右、上下の各方向により、電気接続箱100の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」を定義する。以下では、このように定義される前後、左右、上下の各方向を用いて説明する。
【0029】
電気接続箱100は、例えば、EV(Electric Vehicle)の電池パックの外側に取り付けられる。電気接続箱100は、例えば、リレー等の電気部品が装着される筐体50を備える。筐体50は、例えば樹脂、金属等からなる。
【0030】
筐体50は、平面視略長方形である。筐体50は、四隅及び両長辺側の中間部を切り欠いて平坦部511が形成されている。即ち、筐体50には、六ケ所に平坦部511が形成されており、各平坦部511の中央部には貫通孔512が形成されている。例えば、平坦部511の貫通孔512にネジを挿通させてEVの電池パックのネジ孔に螺合させることによって、筐体50(電気接続箱100)を電池パックに取り付けることができる。
図1では、4つの平坦部511のみを示している。
【0031】
筐体50は天井板30(一壁)を有しており、天井板30の外側面には、リレー等の電気部品を装着するための装着部9が1箇所に設けられており、外部のヒューズ、コネクタ等と接続を行う接続部20が複数設けられている。
【0032】
また、天井板30には、2箇所に、天井板30を厚み方向に貫通する貫通孔31が形成されており、貫通孔31を介して端子70が露出される。端子70上には後述するようにバスバー40が固定される。端子70は、カバー10によって覆われている。
図1においては、バスバー40の図示を省略している。
【0033】
図2は、実施形態1に係る電気接続箱100の端子70にバスバー40が接続された状態を示す部分的拡大図である。
矩形の貫通孔31から端子70が露出され、バスバー40が端子70上に載置されてバスバー40の一面が端子70と接触している。ボルト60がバスバー40の貫通孔(図示せず)及び端子70の貫通孔71(
図3参照)を通して筐体50側のネジ孔72(
図5参照)に螺合している。これによって、端子70及びバスバー40が電気的に接続されている。
【0034】
また、カバー10は、樹脂等の絶縁性材料からなり、バスバー40の他面側からバスバー40及び端子70の接続部を覆っている。カバー10は回動可能に天井板30に取り付けられている。カバー10は、略筒形状の周壁部1と、周壁部1の一端開口に設けられた蓋体2とを有する。
【0035】
図3は、実施形態1に係る電気接続箱100において、カバー10を全開した状態を示す斜視図であり、
図4は、実施形態1に係る電気接続箱100において、カバー10を全開した状態を示す平面図であり、
図5は、
図4のV-V線による断面図であり、
図6は、実施形態1に係る電気接続箱100において、カバー10が閉じられた状態を示す斜視図である。
図3から
図6では、便宜上、バスバー40の図示を省略している。また、以下では、便宜上、カバー10が全開した状態を開状態と称し、カバー10が閉じられた状態を閉状態と称する。
【0036】
周壁部1は、閉状態時に貫通孔31を取り囲む四角筒部11を有する。四角筒部11は、バスバー40の出し入れができるように、前側の一壁が開放されている。四角筒部11の内面には、上下方向の略中間部に、リブ111が設けられている。リブ111は四角筒部11の内面から垂直に突設されている。
【0037】
四角筒部11では、前記一壁と隣合う両側壁のうち、一側壁に、2つの基部12が前後方向に隔てて夫々連設されている。基部12は、前記一側壁における蓋体2寄りの一端部に設けられており、一面が開放された筐体形状を成している。各基部12の先端面には、後述する第1回動軸38と係合する2つの軸係合部13が突設されている。
【0038】
各軸係合部13は、第1回動軸38に倣う凹部を有している。2つの軸係合部13は、それぞれ前後方向に隔てられ、且つ、それぞれの凹部の開放側が互いに反対側を向くように、上下方向に隔てられて設けられている。
【0039】
前後方向において、2つの基部12の間には、前後方向に延びる円柱部14(係合部)が設けられている。円柱部14には、前後方向の中間部に凹部141が形成されている。凹部141は矩形の開口を有している。カバー10が閉状態である場合、凹部141が真上を向くように、円柱部14が設けられている。
【0040】
また、円柱部14は、四角筒部11の前記一側壁から所定間隔を隔てて設けられている。上述の如く、円柱部14の前後両側には基部12が夫々配置されており、かつ、円柱部14が四角筒部11の前記一側壁から離れて配置されているので、円柱部14、2つの基部12及び四角筒部11の前記一側壁によって囲まれた空間18が形成されている。空間18は矩形を成している。なお、円柱部14、軸係合部13、基部12及び四角筒部11は一体形成されている。
【0041】
更に、円柱部14には、周面を切り欠いて形成され、前後方向に延びる、係止凹部142が設けられている(
図4及び
図5参照)。係止凹部142は空間18に向けて開放されており、後述する係止爪25を係止する。
【0042】
そして、四角筒部11では、前記一側壁と対向する他側壁に、後述する第2回動軸27を支持する4つの軸支持部16が連設されている。4つの軸支持部16は、前記他側壁における蓋体2寄りの一端部に設けられており、一対ずつ前後方向に隔てて設けられている。各軸支持部16は第2回動軸27に倣う凹部を有している。一対の軸支持部16は、それぞれ前後方向に隔てられ、且つ、それぞれの凹部の開放側が互いに反対側を向くように、上下方向に隔てられて設けられている。
【0043】
四角筒部11では、前記他側壁の他端部の中央に、後述する被係合部35と係合する係合爪15が設けられている。係合爪15は縦断面視三角形であり、左右方向の寸法が前記他側壁の一端部に近い程大きくなっている。また、前記他側壁には、前後方向において、一対の軸支持部16と係合爪15との間に、被係合部35と係合爪15との係合を案内する2つの案内リブ17が突設されている。案内リブ17は、前記他側壁の他端から一端に向けて延びている。
【0044】
ところで、天井板30には、四角筒部11の前記一側壁の近傍に、直方体形状の支持台36が2つ突設されている。2つの支持台36は前後方向に間隔を隔てて設けられている。斯かる間隔は、円柱部14の前後方向の寸法よりも大きい。
【0045】
各支持台36の先端面には、第1回動軸38を支持する支持突起37が2つ突設されている。2つの支持突起37は前後方向に隔てて設けられ、第1回動軸38の両端を支持している。第1回動軸38は前後方向に長尺の略丸棒状である。第1回動軸38は、一対の支持突起37の間で横架されている。
即ち、各支持台36には一対の支持突起37が設けられており、一対の支持突起37が一本の第1回動軸38を支持している。支持突起37及び第1回動軸38は一体形成されている。
【0046】
第1回動軸38に四角筒部11の軸係合部13が係合している。詳しくは、一本の第1回動軸38が2つの軸係合部13と係合している。
上述の如く、各基部12には2つの軸係合部13が設けられており、2つの軸係合部13はそれぞれの凹部の開放側が互いに反対側を向くように、上下方向に隔てられて設けられている。第1回動軸38は2つの軸係合部13の間に介在しており、2つの軸係合部13に回動可能に挟持されている。よって、カバー10(四角筒部11)が第1回動軸38周りを回動し、端子70及びバスバー40の接続部を開閉する。
【0047】
蓋体2は回動可能に四角筒部11に設けられており、蓋体2の回動によって、周壁部1の一端開口が開閉される。以下では、便宜上、蓋体2が閉じられた状態を閉状態と称し、蓋体2が閉じられていない場合を開状態と称する。
【0048】
蓋体2は、矩形である栓板21を有する。栓板21は周壁部1の一端開口と略等しい大きさを有している。栓板21の内面には、ガイドリブ22が突設されている。ガイドリブ22は、栓板21の辺縁から間隔を隔てて設けられており、蓋体2が閉状態である場合、四角筒部11に内接する。即ち、蓋体2が閉じられる際、栓板21の位置決めを案内する。
【0049】
栓板21の4つの辺縁のうち、四角筒部11の他側壁近傍の一辺縁には、蓋体2(栓板21)が所定角度以上に回動することを制限するバネ部26が連設されている。
バネ部26は、栓板21の前記一辺縁から延設され、前後方向に延びる直方体形状の基部262と、基部262の先端面に連設されたバネ263とを有する。バネ263は基部262の先端面から垂直に立ち上がり、先端部が栓板21側に湾曲している。バネ263の中央部には貫通孔261が形成されている。
【0050】
また、栓板21の前記一辺縁の両端部には、第2回動軸27を保持する保持リブ28が夫々連設されている。各保持リブ28は、四角筒部11の他側壁の他端部に向けて延びている。
【0051】
各保持リブ28とバネ部26の基部262との間には第2回動軸27が夫々設けられている。各第2回動軸27は、前後方向に長尺の略丸棒状であり、四角筒部11の他側壁から所定間隔を隔てて設けられている。各第2回動軸27の両端は保持リブ28と基部262とに保持されている。栓板21、保持リブ28、第2回動軸27及びバネ部26は一体形成されても良い。
【0052】
第2回動軸27は四角筒部11の軸支持部16に回動可能に保持されている。詳しくは、一本の第2回動軸27が2つの軸支持部16に保持されている。
上述の如く、軸支持部16は、一対ずつ前後方向に隔てて設けられており、一対の軸支持部16はそれぞれの凹部の開放側が互いに反対側を向くように、上下方向に隔てられて設けられている。第2回動軸27は2つの軸支持部16の間に介在しており、2つの軸支持部16に回動可能に挟持されている。よって、蓋体2(栓板21)が第2回動軸27周りを回動し、周壁部1の一端開口を開閉する。
【0053】
また、栓板21においては、前記一辺縁と対向する他辺縁に嵌合バネ24が設けられている。嵌合バネ24は、栓板21の前記他辺縁の中間に連設された嵌合部23を有する。嵌合部23は屈曲した板形状であり、縦断面視U字形状を成している。嵌合部23の両対向部のうち栓板21から遠方の外側対向部の端部には、取っ手241が連設されている。取っ手241は、断面視C字形状を成す。
【0054】
嵌合部23の前記外側対向部には、外側面の中央部に、円柱部14の係止凹部142に係止される係止爪25が突設されている。係止爪25は縦断面視三角形であり、左右方向の寸法が取っ手241に近い程大きくなっている。
【0055】
蓋体2が回動し、閉状態になる場合、嵌合バネ24は四角筒部11の空間18内に押し入れられる。この際、嵌合バネ24の前記外側対向部が円柱部14に面する。空間18に押し入れられる間、嵌合バネ24では、曲げ方向と逆方向への反力が作用する。よって、係止爪25が係止凹部142の位置に届くまで、嵌合バネ24が空間18内に押し入れられると、係止爪25は係止凹部142に係止される。これによって、蓋体2が閉状態になる。
【0056】
図7は、
図4からカバー10を省いた状態を示す平面図である。
天井板30には、貫通孔31の縁を取り囲むように、案内枠32が突設されている。案内枠32は、四角筒部11と同様、前側の一壁が開放された四角筒形状をなしている。案内枠32は、カバー10が閉状態になる際、四角筒部11に内接してカバー10を案内する。また、案内枠32は、後述する搖動片33の搖動の妨げにならないよう、四角筒部11の前記一側壁と内接する左側壁321の中央部が切り欠かれている。
【0057】
貫通孔31の縁部に、天井板30の厚み方向に搖動できる搖動片33が形成されている。搖動片33は、案内枠32の開放部近傍の貫通孔31の縁部(以下、開放部寄り縁部と称する)、及び左側壁321近傍の貫通孔31の縁部(以下、左側壁寄り縁部と称する)に形成されている。
【0058】
詳しくは、搖動片33は、前記開放部寄り縁部の中央部から前記左側壁寄り縁部の中央部まで貫通孔31の縁に沿って延び、前記左側壁寄り縁部の中央部から左側壁321の切り欠き部を通して延びる、クランク形状である。斯かるクランク形状の部分は、前記開放部寄り縁部の中央部を除いて切り取ることによって形成されている。即ち、搖動片33は、前記開放部寄り縁部の中央部側の基部のみが天井板30に連結されている。よって、搖動片33は天井板30の厚み方向に搖動でき、先端部に近い程搖動幅が増す(
図5の矢印参照)。
【0059】
搖動片33には、貫通孔31の隅付近の屈曲部に、接触突起331が突設されている。接触突起331は、バスバー40が端子70上に載置される際、バスバー40の一面と当接する位置に設けられている。
【0060】
また、搖動片33の先端部には、開状態のカバー10を保持する開保持部332が連設されている。開保持部332は縦断面視フック形状をなしており、先端部が天井板30と垂直に延びている(
図5参照)。開保持部332は、上下方向において、円柱部14の真下に配置されており、開保持部332の先端は円柱部14の周面と弾接している。即ち、開保持部332は円柱部14側に付勢されている。
【0061】
上述の如く、カバー10が閉状態である場合、凹部141が真上を向くように、円柱部14が設けられている。換言すれば、カバー10が開状態である場合、凹部141は真下を向く。また、上述の如く、開保持部332は円柱部14側に付勢されている。
よって、カバー10が開状態である場合、凹部141内に開保持部332の先端部が挿入され、開保持部332が凹部141と係合する(
図5参照)。このように、開保持部332が凹部141と係合した場合、カバー10の回動が制限されるので、カバー10の開状態が保持される。
【0062】
一方、上述の如く、搖動片33には、バスバー40が端子70上に載置される際、バスバー40の一面と当接する位置に、接触突起331が突設されている。よって、バスバー40が端子70上に載置され、上述の如く、バスバー40を筐体50にネジ止めする場合、接触突起331がバスバー40に押される。上述の如く、搖動片33は天井板30の厚み方向に搖動可能であるので、接触突起331がバスバー40に押された場合、搖動片33は下方、即ち、筐体50の内側に下がる。このように、搖動片33が下方に下がる際、搖動片33の先端部の開保持部332も下方に下がるので、開保持部332と凹部141との係合が解錠される。これによって、カバー10の回動が可能となる。
【0063】
ところで、天井板30には、
図6に示すように、カバー10が閉状態である時、四角筒部11の前記他側壁近傍に、被係合部35が突設されている。更に、被係合部35は、係合爪15と対応する位置に突設されている。被係合部35は、略倒立U字形状を成している。被係合部35は、中央部に、左右方向に被係合部35を貫通する貫通孔351を有している。
【0064】
カバー10が閉状態である時、上述の如く、被係合部35の貫通孔351に係合爪15が内嵌される。これによって、被係合部35が係合爪15と係合し、カバー10の閉状態を保持できる。
【0065】
図8は、実施形態1に係る電気接続箱100において、蓋体2が開状態である場合を示す斜視図であり、
図9は、実施形態1に係る電気接続箱100の側面図である。
図9は、
図8の黒塗り矢印方向から見た電気接続箱100の側面図である。
【0066】
蓋体2が閉状態である場合は、上述の如く、曲げ方向と逆方向への嵌合バネ24(嵌合部23)の反力によって、係止爪25が係止凹部142に係止されている(
図5参照)。作業者が嵌合バネ24の取っ手241を嵌合部23の曲げ方向に引っ張ることによって、係止爪25と係止凹部142との係止が解錠され、蓋体2が開状態になる。以降、蓋体2は自由に回動できる。
【0067】
実施形態1に係る電気接続箱100においては、蓋体2の開状態で、開角θを大きくする方向(
図9の矢印方向参照)に、蓋体2が回動すると、開角θが所定角度になった場合、バネ部26のバネ263が被係合部35と衝突する。ここで、開角θは、四角筒部11の一端と栓板21との間の角度である(
図9参照)。
【0068】
即ち、開角θが90度になる前に、バネ263が被係合部35と衝突し、それ以上、蓋体2が回動することはできなくなる。換言すれば、バネ部26は、蓋体2が90度以上に回動すること、つまり、開角θが90度以上になるまで蓋体2が回動することを制限する。蓋体2が90度以上に回動した場合、バネ部26(バネ263)が曲げられるので、バネ263には原型に戻ろうとする復元力が作用する。即ち、蓋体2が90度以上に回動した場合、バネ部26は蓋体2を閉じる方向に付勢する。
【0069】
以上のように、実施形態1に係る電気接続箱100は、カバー10が回動可能に設けられており、端子70及びバスバー40の接続部を開閉する。また、カバー10が開状態である場合、開保持部332が凹部141と係合し、カバー10の回動が制限され、カバー10の開状態が保持される。また、作業者がバスバー40を筐体50にネジ止めする組み込み作業のため、端子70上にバスバー40を載置することによって、開保持部332と凹部141との係合が解除される。
【0070】
換言すれば、作業者がバスバー40を端子70上に載置するまでは、カバー10の開状態が保持される。よって、バスバー40が端子70に接続されていない状態の電気接続箱100を、前記組み込み作業の工程に搬送する際、カバー10の開状態が保持される。従って、前記組み込み作業を実行する作業者が組み込み作業に先立ってカバー10を開ける操作を省くことができる。これによって、電気接続箱100の生産性を高めることができる。
【0071】
なお、組み込み作業時に、端子70上にバスバー40が載置されることによって、開保持部332と凹部141との係合が解除されるので、組み込み作業の後、作業者は、カバー10を回動させて被係合部35に係合爪15を嵌合させ、カバー10を閉状態にすれば良い。
【0072】
更に、実施形態1に係る電気接続箱100は、上述の如く、蓋体2が90度以上に回動することをバネ部26が制限する。蓋体2が90度以上に回動した場合、バネ部26は蓋体2を閉じる方向に付勢する。
即ち、実施形態1に係る電気接続箱100においては、作業者が蓋体2を90度未満に回動させた後に手を放した場合は、蓋体2の自重により、蓋体2が閉じられる。一方、作業者が蓋体2を90度以上に回動させた後に手を放した場合は、バネ部26により蓋体2が閉じられる。換言すれば、作業者が蓋体2を回動させた角度の大きさに関係なく、作業者が手を放した場合、蓋体2が閉じられる。
【0073】
例えば、端子70及びバスバー40の接続具合などを確認する作業者は、蓋体2を開けて斯かる確認作業を行い、その後、上述の如く、蓋体2を閉じて、嵌合バネ24を空間18内に押し入れることによって、蓋体2を閉状態にする。しかし、作業者が蓋体2を閉じることを忘れた場合、端子70が外側に露出されたままになるので、感電、漏電及び短絡等の不具合が発生するおそれがある。
【0074】
これに対して、実施形態1に係る電気接続箱100においては、たとえ、作業者が蓋体2を閉じることを忘れた場合であっても、作業者が手を放した場合、蓋体2が閉じられるので、上述の不具合を未然に防止できる。
【0075】
(実施形態2)
図10は、実施形態2に係る電気接続箱100において、カバー10を全開した状態を示す斜視図である。
図10においては、端子70にバスバー40Aが接続される場合を例視しており、便宜上、バスバー40Aが端子70から分離された状態を図示している。
【0076】
実施形態2に係る電気接続箱100は、実施形態1と同様、天井板30の貫通孔31を介して端子70が露出されており、端子70を覆うカバー10を備えている。カバー10は、回動可能に設けられており、周壁部1及び蓋体2を有する。蓋体2は、回動可能に設けられ、周壁部1の一端開口を開閉する。
【0077】
実施形態2に係る電気接続箱100では、バスバー40Aの一面の辺縁部に、搖動片33と当接する断面視矩形の当接突起41が突設されている。即ち、端子70上にバスバー40Aが載置された場合、バスバー40Aの当接突起41が搖動片33と当接する。
【0078】
また、実施形態2に係る電気接続箱100では、
端子70上にバスバー40Aが載置された場合、搖動片33においてバスバー40Aの当接突起41に対応する位置に、窪み334が凹設されている。平面視で窪み334は当接突起41より大きい矩形である。
【0079】
実施形態2に係る電気接続箱100では、実施形態1と同様、バスバー40Aを筐体50にネジ止めする組み込み作業のため、作業者がバスバー40Aを端子70上に載置するまでは、開保持部332が凹部141と係合し、カバー10の開状態が保持される。よって、バスバー40Aが端子70に接続されていない状態の電気接続箱100を、前記組み込み作業の工程に搬送する際、カバー10の開状態が保持される。従って、前記組み込み作業を実行する作業者が組み込み作業に先立ってカバー10を開ける操作を省くことができ、電気接続箱100の生産性を高めることができる。
【0080】
一方、組み込み作業時に、端子70上にバスバー40Aを載置された場合、バスバー40Aの当接突起41が搖動片33の窪み334に挿入され、搖動片33がバスバー40Aに押される。この場合、搖動片33は下方、即ち、筐体50の内側に下がる。この際、搖動片33の開保持部332も下方に下がるので、開保持部332と凹部141との係合が解錠される。よって、組み込み作業の後、作業者は、カバー10を回動させて閉状態にできる。
【0081】
また、端子70上にバスバー40Aを載置された場合、バスバー40Aの当接突起41が搖動片33の窪み334に挿入されるので、バスバー40Aの適切な位置決めが案内される。
【0082】
更に、実施形態2に係る電気接続箱100では、実施形態1と同様、作業者が蓋体2を回動させた角度の大きさに関係なく、作業者が手を放した場合、蓋体2が閉じられる。
よって、実施形態2に係る電気接続箱100においては、たとえ、作業者が蓋体2を開けた後、蓋体2を閉じることを忘れた場合であっても、作業者が手を放した場合、蓋体2が閉じられるので、端子70が外側に露出されたままになることがなく、感電、漏電及び短絡等の不具合が発生することを未然に防止できる。
【0083】
実施形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0084】
(実施形態3)
図11は、実施形態3に係る電気接続箱100において、カバー10が閉じられた状態を示す斜視図であり、
図12は、実施形態3に係る電気接続箱100において、蓋体2が開状態である場合を示す斜視図である。
図11及び
図12では、便宜上、バスバー40の図示を省略している。
【0085】
実施形態3に係る電気接続箱100は、実施形態1と同様、天井板30の貫通孔31を介して端子70が露出されており、端子70を覆うカバー10を備えている。カバー10は、回動可能に設けられており、周壁部1及び蓋体2を有する。蓋体2は、回動可能に設けられ、周壁部1の一端開口を開閉する。
【0086】
実施形態3に係る電気接続箱100では、栓板21の前記一辺縁に、第2回動軸27を保持する保持部29が2つ連設されている。2つの保持部29は、栓板21の前記一辺縁の中央と両端との間に夫々設けられている。各保持部29は、栓板21に沿って、前記一辺縁から延設された略直角三角形の基部を有している。2つの保持部29は各基部の斜辺が互いに対向するように設けられている。
【0087】
各保持部29は前記基部の外側縁に第2回動軸27を保持しる保持ブラケット291が連設されている。保持ブラケット291は略長方形板の形状をなしており、前記基部から下方に延びている。保持ブラケット291では、下端部の短辺の両角がR面取りされている。
【0088】
保持ブラケット291同士は対向し合っており、各保持ブラケット291の外側面には丸棒形状の第2回動軸27が取り付けられている。第2回動軸27は、後述する軸支持部19によって回動可能に支持されている。
例えば、栓板21、保持部29及び第2回動軸27は一体形成されている。
【0089】
四角筒部11では、前記一側壁と対向する他側壁に、第2回動軸27を支持する2つの軸支持部19が設けられている。軸支持部19は略直方体形状をなしており、四角筒部11の前記他側壁の両端部に設けられている。軸支持部19は、四角筒部11の前記他側壁において前後方向の両端部に夫々設けられている。軸支持部19は、四角筒部11の前記他側壁の一端から中間部に亘って設けられており、軸支持部19同士は前後方向において対向し合っている。
【0090】
各軸支持部19は、内側面と、該内側面と反対側の外側面とに夫々切り欠きが形成されている。軸支持部19の内側面に形成された切り欠き(以下、内側切り欠きと称する)は、内側面の上端から中間部に亘って形成されており、軸支持部19の外側面に形成された切り欠き(以下、外側切り欠きと称する)は、外側面の下端から中間部に亘って形成されている。
【0091】
各軸支持部19は、内側切り欠きの底及び外側切り欠きの底を貫く円形の貫通孔(図示せず)が形成されている。各第2回動軸27は、各軸支持部19の内側切り欠き側から斯かる貫通孔に挿入され、外側切り欠きから抜き出ている。即ち、各第2回動軸27は対応する軸支持部19の貫通孔に夫々回転可能に内嵌されている。
【0092】
また、各軸支持部19の内側面には、内側切り欠きよりも下方に、保持ブラケット291の回転を案内するバネリブ191(バネ部)が設けられている。バネリブ191は、軸支持部19の幅方向(左右方向)に延びている。バネリブ191は、四角筒部11の前記他側壁から遠ざかるにつれて徐々に上方に上がるように、即ち保持ブラケット291に近づくように形成されている。バネリブ191は四角筒部11の前記他側壁側の一端部のみが軸支持部19に固定されており、残り部分は開放されている。よって、バネリブ191では前記残り部分が上下方向、即ち保持ブラケット291との接離方向に搖動できる。
【0093】
天井板30の上面であって、各軸支持部19のバネリブ191の下方には、バネリブ191の搖動を制限する搖動制限部材39が突設されている。搖動制限部材39は平面視L字形状をなしている。搖動制限部材39の先端面は水平面である。バネリブ191が搖動する際、水平よりも下方へ搖動するときは、バネリブ191の底面が搖動制限部材39の先端面と当接する。よって、バネリブ191が水平よりも下方に下がることが制限される。
【0094】
このような構成を有する実施形態3に係る電気接続箱100においては、蓋体2の開状態で、開角θを大きくする方向(
図9の矢印方向参照)に、蓋体2が回動すると、開角θが所定角度になった場合、
保持ブラケット291の外側長辺部の側面がバネリブ191の上面と衝突する。ここで、開角θは、四角筒部11の一端と栓板21との間の角度である。
【0095】
詳しくは、開角θが90度になる前に、保持ブラケット291の側面がバネリブ191と衝突し、それ以上の蓋体2の回動が邪魔される(図12の破線円の部分参照)。換言すれば、バネリブ191は、蓋体2が90度以上に回動すること、つまり、開角θが90度以上になるまで蓋体2が回動することを制限する。
【0096】
作業者が更に蓋体2を回動させると、バネリブ191には復元力が作用し、蓋体2を閉じる方向に付勢する。この時、作業者が蓋体2から手を放すと、バネリブ191の復元力によってバネリブ191が搖動し、蓋体2を閉じられる。
【0097】
一方、ここでと止まらず、作業者が更に蓋体2を回動させようとすると、上述の如く、バネリブ191の底面が搖動制限部材39の先端面と当接する。よって、バネリブ191が水平よりも下方に下がることが制限され、それ以上蓋体2が回動できなくなる。
【0098】
従って、実施形態3に係る電気接続箱100においても、実施形態1と同様、たとえ、作業者が蓋体2を開けた後、蓋体2を閉じることを忘れた場合であっても、作業者が手を放した場合、蓋体2の回動角度の大きさに関係なく、蓋体2が閉じられる。よって、端子70が外側に露出されたままになることがなく、感電、漏電及び短絡等の不具合が発生することを未然に防止できる。
【0099】
実施形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0100】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0101】
1 周壁部
2 蓋体
9 装着部
10 カバー
11 四角筒部
12 基部
13 軸係合部
14 円柱部
15 係合爪
16 軸支持部
17 案内リブ
18 空間
19 軸支持部
20 接続部
21 栓板
22 ガイドリブ
23 嵌合部
24 嵌合バネ
25 係止爪
26 バネ部
27 第2回動軸
28 保持リブ
29 保持部
30 天井板
31 貫通孔
32 案内枠
33 搖動片
35 被係合部
36 支持台
37 支持突起
38 第1回動軸
39 搖動制限部材
40,40A バスバー
41 当接突起
50 筐体
60 ボルト
70 端子
71 貫通孔
72 ネジ孔
100 電気接続箱
111 リブ
141 凹部
142 係止凹部
191 バネリブ
241 取っ手
261 貫通孔
262 基部
263 バネ
321 左側壁
331 接触突起
332 開保持部
334 窪み
351 貫通孔
511 平坦部
512 貫通孔