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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】車載蓄電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20241112BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241112BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20241112BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241112BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H02J7/04 C
H02J7/00 P
H02J7/04 A
B60L53/30
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021031751
(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公開番号】P2022132978
(43)【公開日】2022-09-13
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今出 侑希
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-124033(JP,A)
【文献】特開2015-033193(JP,A)
【文献】国際公開第2016/031075(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
B60L 53/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、
蓄電装置と、
外部電源からの電力を用いて充電装置により前記蓄電装置に充電する外部充電の際には、前記外部充電用の電流指令を前記充電装置に送信する制御装置と、
を備える車載蓄電システムであって、
前記制御装置は、前記外部充電の際には、充電開始時以降に、前記電流指令の変化に伴う前記蓄電装置の電流の変化に基づいて前記充電装置の応答速度を推定し、前記充電装置の応答速度を推定した以降に前記電流指令を低下させるときには、前記電流指令の変化速度が前記充電装置の応答速度以下となるように前記電流指令を設定し、
前記制御装置は、前記外部充電の際には、前記蓄電装置の蓄電割合に基づくベース電流指令に基づいて前記電流指令を設定し、前記外部充電の際における前記充電装置の応答速度を推定した以降に前記ベース電流指令を低下させるときに、前記ベース電流指令の変化速度の絶対値が前記充電装置の応答速度に対して一時的に超過する一時超過を生じるときには、前記ベース電流指令の変化速度の絶対値が前記充電装置の応答速度に対して超過した後に前記充電装置の応答速度以下に復帰する復帰時刻と、前記復帰時刻の前記ベース電流指令と、前記充電装置の応答速度と、に基づいて制限開始時刻を設定し、前記制限開始時刻に至った以降は、前記充電装置の応答速度を用いて前記電流指令を徐々に低下させる、
車載蓄電システム。
【請求項2】
請求項記載の車載蓄電システムであって、
前記制御装置は、前記外部充電の際には、前記電流指令が変化したときの前記蓄電装置の電流の変化速度を前記充電装置の応答速度として推定する、
車載蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、充電禁止電圧よりも低い充電目標電圧と蓄電装置の電圧との差に基づいて充電可能電力を算出すると共に充電可能電力に基づいて電流指令を算出する充電制御部と、充電制御部からの指令に基づいて蓄電装置に充電を行なう充電装置と、を備える充電システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この充電システムでは、充電制御部は、蓄電装置の電圧が充電目標電圧に到達する以降は、蓄電装置の電圧が充電目標電圧に維持されるように電流指令を算出する。また、充電制御部は、蓄電装置の電圧が、充電目標電圧よりも高く且つ充電禁止電圧よりも低い電圧範囲内で定めた許容電圧領域内に所定時間以上に亘って存在するときや、蓄電装置の電圧が充電禁止電圧に到達したときには、蓄電装置の充電を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6308301号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の充電システムでは、充電装置の応答速度が低い場合、電流指令を低下させるときに、電流指令の低下に対する蓄電装置の電流の低下の追従性が低くなりやすい。この追従性が低くなると、蓄電装置の電圧が、許容電圧領域内に留まったり、充電禁止電圧に至ったり(過電圧が生じたり)し、蓄電装置の充電を途中停止する可能性が高くなる。
【0005】
本発明の車載蓄電システムは、充電装置の応答速度が低い場合でも、蓄電装置の充電をより適切に行なえるようにすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車載蓄電システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の車載蓄電システムは、
車両に搭載され、
蓄電装置と、
外部電源からの電力を用いて充電装置により前記蓄電装置に充電する外部充電の際には、前記外部充電用の電流指令を前記充電装置に送信する制御装置と、
を備える車載蓄電システムであって、
前記制御装置は、前記外部充電の際には、充電開始時以降に、前記電流指令の変化に伴う前記蓄電装置の電流の変化に基づいて前記充電装置の応答速度を推定し、前記充電装置の応答速度を推定した以降は、前記充電装置の応答速度を考慮して前記電流指令を設定する、
ことを要旨とする。
【0008】
本発明の車載蓄電システムでは、外部電源からの電力を用いて充電装置により蓄電装置に充電する外部充電の際には、外部充電用の電流指令を充電装置に送信する。この場合に、外部充電の際には、充電開始時以降に、電流指令の変化に伴う蓄電装置の電流の変化に基づいて充電装置の応答速度を推定し、充電装置の応答速度を推定した以降は、充電装置の応答速度を考慮して電流指令を設定する。これにより、充電装置の応答速度が比較的低い場合でも、電流指令を低下させるときに、電流指令の低下に対する蓄電装置の電流の低下の追従性が低くなるのを抑制することができ、蓄電装置の過電圧や過充電などの不都合を生じるのを抑制することができる。この結果、蓄電装置の充電をより適切に行なうことができる。ここで、充電装置は、車両外部に配置されるものとしてもよいし、車両内部に配置される(車両が備える)ものとしてもよい。前者の場合、後者の場合に比して、制御装置と充電装置との通信遅れにより充電装置の応答速度が低くなりやすいことから、本発明の意義がより大きい。
【0009】
本発明の車載蓄電システムにおいて、前記制御装置は、前記外部充電の際における前記充電装置の応答速度を推定した以降に前記電流指令を低下させるときには、前記電流指令の変化速度が前記充電装置の応答速度以下となるように前記電流指令を設定するものとしてもよい。こうすれば、充電装置の応答速度を推定した以降に電流指令を低下させるときに、電流指令の変化速度が充電装置の応答速度よりも大きくなるのを抑制することができる。これにより、充電装置の応答速度が比較的低い場合でも、電流指令を低下させるときに、蓄電装置の過電圧や過充電などの不都合を生じるのを抑制することができる。
【0010】
この場合、前記制御装置は、前記外部充電の際には、前記蓄電装置の蓄電割合に基づくベース電流指令に基づいて前記電流指令を設定し、前記制御装置は、前記外部充電の際における前記充電装置の応答速度を推定した以降に前記ベース電流指令を低下させるときに、前記ベース電流指令の変化速度の絶対値が前記充電装置の応答速度に対して一時的に超過する一時超過を生じるときには、前記ベース電流指令の変化速度の絶対値が前記充電装置の応答速度に対して超過した後に前記充電装置の応答速度以下に復帰する復帰時刻と、前記復帰時刻の前記ベース電流指令と、前記充電装置の応答速度と、に基づいて制限開始時刻を設定し、前記制限開始時刻に至った以降は、前記充電装置の応答速度を用いて前記電流指令を徐々に低下させるものとしてもよい。こうすれば、電流指令を低下させるときに、電流指令をより適切に設定することができる。
【0011】
本発明の車載蓄電システムにおいて、前記制御装置は、前記外部充電の際には、前記電流指令が変化したときの前記蓄電装置の電流の変化速度を前記充電装置の応答速度として推定するものとしてもよい。こうすれば、充電装置の応答速度をより適切に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例としての車載蓄電システムを備える電気自動車20および充電スタンド80の構成の概略を示す構成図である。
図2】車両ECU60により実行される電流指令設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図3】車両ECU60により実行される応答速度推定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図4】外部充電の開始時の電流指令Ic*およびバッテリ36の電流Ibの様子の一例を示す説明図である。
図5】一時超過を生じる場合のベース電流指令Icbs、ベース電流変化速度Vicbsの絶対値、充電スタンド80の応答速度Vchの様子の一例を示す説明図である。
図6】外部充電の際のベース電流指令Icbs、電流指令Ic*、ベース電流変化速度Vicbsの絶対値、電流指令変化速度Vic*の絶対値、充電スタンド80の応答速度Vchの様子の一例を示す説明図である。
図7】外部充電中の電流指令Ic*およびバッテリ36の電流Ibの様子の一例を示す説明図である。
図8】変形例の電気自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例
【0014】
図1は、本発明の一実施例としての車載蓄電システムを備える電気自動車20および充電スタンド80の構成の概略を示す構成図である。図示するように、実施例の電気自動車20は、走行用のモータ32と、インバータ34と、蓄電装置としてのバッテリ36と、駆動用電力ライン38と、システムメインリレー40と、充電用電力ライン50と、車両コネクタ52と、充電用リレー54と、車両用電子制御ユニット(以下、「車両ECU」という)60とを備える。実施例の車載蓄電システムとしては、バッテリ36および車両ECU60が該当する。
【0015】
モータ32は、例えば同期発電電動機として構成されており、モータ32の回転子は、駆動輪DWにデファレンシャルギヤを介して連結された駆動軸DSに接続されている。インバータ34は、モータ32に接続されると共に駆動用電力ライン38に接続されている。モータ32は、インバータ34の図示しない複数のスイッチング素子のスイッチング制御により、回転駆動される。
【0016】
バッテリ36は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、駆動用電力ライン38に接続されている。システムメインリレー40は、駆動用電力ライン38に設けられており、インバータ34側とバッテリ36側との接続および接続の解除を行なう。
【0017】
充電用電力ライン50は、一端部が駆動用電力ライン38のシステムメインリレー40よりもインバータ34側に接続され、他端部が車両コネクタ52に接続されている。車両コネクタ52は、自宅や充電ステーションなどで充電スタンド80のスタンドコネクタ82と接続可能に構成されている。充電用リレー54は、充電用電力ライン50に設けられており、車両コネクタ52側と駆動用電力ライン38側との接続および接続の解除を行なう。
【0018】
車両ECU60は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロプロセッサを備える。車両ECU60には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力される。車両ECU60に入力される信号としては、例えば、モータ32のロータの回転位置を検出する回転位置センサ(例えばレゾルバ)32aからのモータ32のロータの回転位置θmを挙げることができる。バッテリ36の端子間に取り付けられた電圧センサ36aからのバッテリ36の電圧Vbや、バッテリ36の出力端子に取り付けられた電流センサ36bからのバッテリ36の電流Ib、バッテリ36に取り付けられた温度センサ36cからのバッテリ36の温度Tbも挙げることができる。車両コネクタ52に設けられた接続センサ53からの接続信号も挙げることができる。なお、車両ECU60は、車両の駆動制御装置としても機能するため、車両ECU60には、走行制御に必要な情報も入力されている。これらの情報としては、例えば、スタートスイッチからのスタート信号や、シフトレバーの操作位置を検出するシフトポジションセンサからのシフトポジション、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサからのアクセル開度、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサからのブレーキペダルポジション、車速センサからの車速を挙げることができる。
【0019】
車両ECU60からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力される。車両ECU60から出力される信号としては、例えば、インバータ34の複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号や、システムメインリレー40への制御信号、充電用リレー54への制御信号を挙げることができる。車両ECU60は、電流センサ36bからのバッテリ36の電流Ibに基づいてバッテリ36の蓄電割合SOCを演算する。車両ECU60は、自宅や充電ステーションなどで充電スタンド80のスタンド用電子制御ユニット(以下、「スタンドECU」という)86と無線通信可能となっている。
【0020】
充電スタンド80は、スタンドコネクタ82と、充電器84と、スタンドECU86とを備える。スタンドコネクタ82は、電気自動車20の車両コネクタ52と接続可能に構成されている。充電器84は、家庭用電源や商業用電源などの交流電源として構成された外部電源90とスタンドコネクタ82とに接続されており、車両コネクタ52とスタンドコネクタ82とが接続されてバッテリ36の充電が指示されたときに、外部電源90からの交流電力を直流電力に変換すると共に電力(電圧や電流)を調節して電気自動車20に供給する。
【0021】
スタンドECU86は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロプロセッサを備える。スタンドECU86には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力される。スタンドECU86に入力される信号としては、例えば、充電器84の出力側の端子間に取り付けられた電圧センサ85aからの充電器84の出力電圧Vcや、充電器84の出力端子に取り付けられた電流センサ85bからの充電器84の出力電流Icを挙げることができる。スタンドECU86からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力される。スタンドECU86から出力される信号としては、例えば、充電器84への制御信号を挙げることができる。スタンドECU86は、電気自動車20の車両ECU60と無線通信可能となっている。
【0022】
こうして構成された実施例の電気自動車20では、自宅や充電ステーションなどでシステムオフで停車しているときに、車両コネクタ52とスタンドコネクタ82とが接続されると、接続センサ53から車両ECU60に接続信号が送信され、車両ECU60が車両コネクタ52とスタンドコネクタ82との接続を検知する。続いて、ユーザにより、外部電源90(充電スタンド80)からの電力を用いてバッテリ36を充電する外部充電が指示されると、車両ECU60は、最初に、システムメインリレー40および充電用リレー54をオンにする。そして、車両ECU60は、外部充電用の電流指令Ic*をスタンドECU86に送信し、スタンドECU86は、充電器84の出力電流Icが電流指令Ic*となるように充電器84を制御する。このようにして外部充電が行なわれる。そして、車両ECU60は、バッテリ36の蓄電割合SOCが所定割合Sch(例えば、80%~95%程度)に至ると、外部充電の終了指令をスタンドECU86に送信し、スタンドECU86は、これを受信すると、充電器84を停止する。このようにして外部充電が終了される。その後に、車両ECU60は、システムメインリレー40および充電用リレー54をオフにする。
【0023】
次に、こうして構成された実施例の電気自動車20の動作、特に、外部充電の際に車両ECU60により電流指令Ic*を設定する処理について説明する。図2は、車両ECU60により実行される電流指令設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、外部充電の際に繰り返し実行される。
【0024】
図2の電流指令設定ルーチンが実行されると、バッテリ36の蓄電割合SOCや温度Tbなどのデータを入力する(ステップS100)。ここで、バッテリ36の蓄電割合SOCは、電流センサ36bにより検出されるバッテリ36の電流Ibに基づいて演算された値が入力される。バッテリ36の温度Tbは、温度センサ36cにより検出された値が入力される。
【0025】
こうしてデータを入力すると、入力したバッテリ36の蓄電割合SOCおよび温度Tbに基づいて、将来(直近の時刻t1~時刻t1よりもある程度後の時刻t2)の各時刻tのベース電流指令Icbs[t]を設定する(ステップS110)。ここで、各時刻tのベース電流指令Icbs[t]は、各時刻tの電流指令Ic*[t]のベース値であり、例えば、バッテリ36の蓄電割合SOCおよび温度Tbをベース電流指令設定用マップに適用して設定することができる。ベース電流指令設定用マップは、バッテリ36の蓄電割合SOCおよび温度Tbと各時刻tのベース電流指令Icbs[t]との関係として予め実験や解析により設定され、車両ECU60のROMやフラッシュメモリに記憶されている。
【0026】
続いて、時刻t1~t2における各時刻tのベース電流指令Icbs[t]に基づいて、時刻t1~t2のうち時刻t1を除く各時刻tのベース電流変化速度Vicbs[t]を設定する(ステップS120)。ここで、各時刻tのベース電流変化速度Vicbs[t]は、各時刻tのベース電流指令Icbs[t]の単位時間当たりの変化量であり、例えば、時刻tのベース電流指令Icbs[t]から時刻(t-Δt1)のベース電流指令Icbs[t-Δt1]を減じた値を時刻tと時刻(t-Δt1)との時間間隔Δt1で除して演算することができる。
【0027】
そして、外部充電の際の充電スタンド80の応答速度Vchを推定済みであるか否かを判定する(ステップS130)。ここで、充電スタンド80の応答速度Vchは、車両ECU60からスタンドECU86に電流指令Ic*を送信してからスタンドECU86により充電器84が制御されてバッテリ36の電流Ibに反映されるまでの応答遅れに関する速度であり、図3の応答速度推定ルーチンにより演算される。以下、図2の電流指令設定ルーチンの説明を中断し、図3の応答速度推定ルーチンについて説明する。
【0028】
図3の応答速度推定ルーチンは、外部充電の実行が指示されたときに実行が開始される。このルーチンが実行されると、車両ECU60は、最初に、電流指令Ic*を入力する(ステップS300)。ここで、電流指令Ic*は、車両ECU60により、値0が設定されまたは図2の電流指令設定ルーチンにより設定され、直前に充電スタンド80のスタンドECU86に送信された値が入力される。
【0029】
続いて、電流指令Ic*から前回の電流指令(前回Ic*)を減じた値を電流指令Ic*の取得間隔としての時間間隔Δt2で除して電流指令変化速度Vic*を演算し(ステップS310)、演算した電流指令変化速度Vic*の絶対値を閾値Vicrefと比較する(ステップS320)。ここで、時間間隔Δt2は、上述の時間間隔t1と同一とした。閾値Vicrefは、電流指令Ic*がある程度大きく変化したか否かを判定するための閾値である。実施例では、外部充電の開始時に、電流指令Ic*を値0から比較的大きい正の値Ic1にステップ状に変化させるものとした。したがって、ステップS320の処理は、外部充電の開始前であるか開始時であるかを判定する処理である。ステップS320で電流指令変化速度Vic*の絶対値が閾値Vicref未満であるときには、外部充電の開始前であると判断し、ステップS300に戻る。
【0030】
ステップS320で電流指令変化速度Vic*の絶対値が閾値Vicref以上であるときには、外部充電の開始時であると判断し、時間tdの計時を開始する(ステップS330)。続いて、ステップS300の処理と同様に電流指令Ic*を入力すると共に、バッテリ36の電流Ibを入力する(ステップS340)。ここで、バッテリ36の電流Ibは、電流センサ36bにより検出された値が入力される。
【0031】
そして、電流指令Ic*からバッテリ36の電流Ibを減じて電流差分ΔIを演算し(ステップS350)、演算した電流差分ΔIの絶対値を閾値ΔIrefと比較する(ステップS360)。ここで、閾値ΔIrefは、バッテリ36の電流Ibが電流指令Ic*に十分に接近したか否かを判定するための閾値である。電流差分ΔIの絶対値が閾値ΔIrefよりも大きいときには、バッテリ36の電流Ibが電流指令Ic*に未だに十分に接近していないと判断し、ステップS340に戻る。
【0032】
ステップS360で電流差分ΔIの絶対値が閾値ΔIref以下であるときには、バッテリ36の電流Ibが電流指令Ic*に十分に接近したと判断し、ステップS310で演算した電流指令変化速度Vic*の絶対値を時間tdで除した値を充電スタンド80の応答速度Vchとして推定して(ステップS370)、本ルーチンを終了する。
【0033】
図4は、外部充電の開始時の電流指令Ic*およびバッテリ36の電流Ibの様子の一例を示す説明図である。図4の例では、時刻t11に電流指令Ic*を値0から正の値Ic1にステップ状に変化させて、その後の時刻t12にバッテリ36の電流Ibが電流指令Ic*に十分に接近している。この場合、値Ic1から値0を減じた値が電流指令変化速度Vic*に相当すると共に時間(t12-t11)が時間tdに相当する。したがって、値Ic1を時間(t12-t11)で除して得られるバッテリ36の電流Ibの立ち上がり速度を充電スタンド80の応答速度Vchとして演算することになる。
【0034】
図2の電流指令設定ルーチンの説明に戻る。ステップS130で充電スタンド80の応答速度Vchを推定済みでないと判定したときには、直近の時刻t1のベース電流指令Icbs[t1]を電流指令Ic*に設定してスタンドECU86に送信して(ステップS200)、本ルーチンを終了する。なお、上述したように、外部充電の開始時には、電流指令Ic*を値0から比較的大きい正の値Ic1にステップ状に変化させる。
【0035】
ステップS130で充電スタンド80の応答速度Vchを推定済みであると判定したときには、充電スタンド80の応答速度Vchを入力する(ステップS140)。続いて、時刻t1~t2における各時刻tのベース電流指令Icbs[t]を時系列順に見て、ベース電流指令Icbs(電流指令Ic*)を低下させるか否かを予測し(ステップS150)、ベース電流指令Icbs(電流指令Ic*)を低下させると予測したときには、時刻t1~t2における各時刻tのベース電流変化速度Vicbs[t]を時系列順に見て、ベース電流変化速度Vicbsの絶対値が充電スタンド80の応答速度Vchに対して一時的に超過する一時超過を生じるか否かを予測する(ステップS160)。ステップS150でベース電流指令Icbs(電流指令Ic*)を低下させないと予測したときや、ステップS150でベース電流指令Icbsを低下させると予測し且つステップS160で一時超過を生じないと予測したときには、直近の時刻t1のベース電流指令Icbs[t1]を電流指令Ic*に設定してスタンドECU86に送信して(ステップS200)、本ルーチンを終了する。
【0036】
ここで、ステップS150の処理は、例えば、時系列順に、各時刻tのベース電流指令Icbs[t]をそれぞれ時刻(t-Δt1)のベース電流指令Icbs[t-Δt1]と比較することにより行なうことができる。ステップS160の処理は、例えば、時系列順に、各時刻tのベース電流変化速度Vicbs[t]をそれぞれ充電スタンド80の応答速度Vchと比較することにより行なうことができる。外部充電では、バッテリ36の蓄電割合SOCが所定割合Schに接近すると、バッテリ36の過電圧や過充電を抑制するためなどの理由により、ベース電流指令Icbsを低下させる。このときに、ベース電流変化速度Vicbsの絶対値が一時的に大きくなる。充電スタンド80の応答速度Vchが比較的低い場合、一時超過を生じる可能性がある。ステップS150,S160の処理は、これを考慮した処理である。図5は、一時超過を生じる場合のベース電流指令Icbs、ベース電流変化速度Vicbsの絶対値、充電スタンド80の応答速度Vchの様子の一例を示す説明図である。以下、一時超過を生じるときの処理について、図5を参照しながら説明する。
【0037】
ステップS150でベース電流指令Icbs(電流指令Ic*)を低下させると予測し且つステップS160で一時超過を生じると予測したときには、復帰時刻Treおよび復帰時電流Icreを設定する(ステップS170)。ここで、復帰時刻Treは、ベース電流変化速度Vicbsの絶対値が充電スタンド80の応答速度Vchに対して超過した後に応答速度Vch以下に復帰する時刻であり、復帰時電流Icreは、復帰時刻Treのベース電流指令Icbs[Tre]である。この処理は、例えば、時刻t1~t2における各時刻tのベース電流変化速度Vicbs[t]をそれぞれ充電スタンド80の応答速度Vchと比較することにより行なうことができる。図5の例では、時刻t21を復帰時刻Treに設定し、時刻t21のベース電流指令Icbs[t21]を復帰時電流Icreに設定することになる。
【0038】
続いて、復帰時刻Treと復帰時電流Icreと充電スタンド80の応答速度Vchと時刻t1~t2および時刻t1よりも前の各時刻tのベース電流指令Icbs[t]とに基づいて、制限開始時刻Tlisを設定する(ステップS180)。ここで、時刻t1よりも前の各時刻tのベース電流指令Icbs[t]は、過去に本ルーチンを実行したときに設定された値が用いられる。制限開始時刻Tlisは、電流指令Ic*をベース電流指令Icbsに対して制限する制限処理を開始すべき時刻である。ステップS180の処理は、例えば、復帰時刻Treと復帰時電流Icreと充電スタンド80の応答速度Vchとを用いて式(1)により時刻tの制限電流Ili[t]を演算すると共に時刻tの制限電流Ili[t]とベース電流指令Icbs[t]とを比較する処理を、復帰時刻Treから逆時系列順に時刻tを変更しながら実行し、制限電流Iliがベース電流指令Icbs未満である条件を満たす最も早い時刻を制限開始時刻Tlisに設定することにより行なうことができる。制限電流Iliは、式(1)から分かるように、逆時系列順に充電スタンド80の応答速度Vchの傾きで増加する。図5の例では、式(1)に対応する破線の直線Lにおける各時刻tの電流値を制限電流Ili[t]に設定し、制限電流Iliがベース電流指令Icbs未満である条件を満たす最も早い時刻t22を制限開始時刻Tlisに設定することになる。
【0039】
Ili[t]=Icre-Vch・(t-Tre) (1)
【0040】
さらに、制限開始時刻Tlisから直近の時刻t1を減じた値を値0とを比較する(ステップS190)。この処理は、上述の制限処理を開始するか否かを判定する処理である。制限開始時刻Tlisから時刻t1を減じた値が正であるときには、制限処理を開始しないと判断し、直近の時刻t1のベース電流指令Icbs[t1]を電流指令Ic*に設定してスタンドECU86に送信して(ステップS200)、本ルーチンを終了する。
【0041】
ステップS190で制限開始時刻Tlisから時刻t1を減じた値が値0以下であるときには、制限処理を開始すると判断し、前回の電流指令Ic*から充電スタンド80の応答速度Vchを減じた値を電流指令Ic*に設定してスタンドECU86に送信し(ステップS210)、電流指令Ic*を復帰時電流Icreと比較する(ステップS220)。電流指令Ic*が復帰時電流Icreよりも大きいときには、ステップS210に戻る。こうしてステップS210,S220を繰り返し実行することにより、制限処理として、電流指令Ic*を応答速度Vchずつ低下させることになる。このときの電流指令Ic*は、上述の制限電流Iliに略対応する。したがって、充電スタンド80の応答速度Vchを推定した以降にベース電流指令Icbs(電流指令Ic*)を低下させるときに、電流指令変化速度Vic*(図3の応答速度推定ルーチンのステップS310の処理と同様に演算可能)の絶対値が充電スタンド80の応答速度Vchよりも大きくなるのを抑制することができる。これにより、充電スタンド80の応答速度Vchが比較的低い場合でも、電流指令Ic*を低下させるときに、電流指令Ic*の低下に対するバッテリ36の電流Ibの低下の追従性が低くなるのを抑制することができ、バッテリ36の過電圧や過充電などの不都合を生じるのを抑制することができる。この結果、バッテリ36の充電をより適切に行なうことができる。
【0042】
ステップS220で電流指令Ic*が復帰時電流Icre以下に至ると、制限処理を終了して、本ルーチンを終了する。ベース電流指令Icbs(電流指令Ic*)の低下中に電流指令Ic*が復帰時電流Icre以下になったときを考えると、次回に本ルーチンが実行されたときには、基本的には、ステップS100~S160,S200の処理を実行することになる。なお、電流指令Ic*が復帰時電流Icre以下に至る前にバッテリ36の蓄電割合SOCが所定割合Schに至ったときには、上述のように外部充電を終了させることにより、制限処理を終了する。
【0043】
図6は、外部充電の際のベース電流指令Icbs、電流指令Ic*、ベース電流変化速度Vicbsの絶対値、電流指令変化速度Vic*の絶対値、充電スタンド80の応答速度Vchの様子の一例を示す説明図である。ここで、電流指令変化速度Vic*は、図3の応答速度推定ルーチンのステップS310の処理と同様に演算される。図中、時刻t21(復帰時刻Tre)やベース電流指令Icbs[t21](復帰時電流Icre)、時刻t22(制限開始時刻Tlis)については、図5と同様である。
【0044】
図示するように、外部充電の際において、制限開始時刻Tlisよりも前は、ベース電流指令Icbsを電流指令Ic*に設定し、制限開始時刻Tlis以降は、電流指令Ic*を前回値から充電スタンド80の応答速度Vchずつ低下させ、復帰時刻Tre以降は、ベース電流指令Icbsを電流指令Ic*に設定する。したがって、充電スタンド80の応答速度Vchを推定した以降に、電流指令変化速度Vic*の絶対値が充電スタンド80の応答速度Vchよりも大きくなるのを抑制することができる。これにより、充電スタンド80の応答速度Vchが比較的低い場合でも、電流指令Ic*を低下させるときに、電流指令Ic*の低下に対するバッテリ36の電流Ibの低下の追従性が低くなるのを抑制することができ、バッテリ36の過電圧や過充電などの不都合を生じるのを抑制することができる。この結果、バッテリ36の充電をより適切に行なうことができる。なお、外部充電の開始時など、電流指令Ic*を増加させるときには、バッテリ36の電流Ibが電流指令Ic*よりも小さい(電流Ibが電流指令Ic*に対して遅れて増加する)ため、電流指令変化速度Vic*が充電スタンド80の応答速度Vchよりも大きくなっても、バッテリ36の過電圧や過充電などの不都合を生じるとは考えにくい。
【0045】
以上説明した実施例の電気自動車20では、外部充電の際には、車両ECU60は、ベース電流指令Icbsに基づく電流指令Ic*をスタンドECU86に送信し、スタンドECU86は、電流指令Ic*に基づいて充電器84を制御する。この場合に、車両ECU60は、外部充電の開始時(電流指令Ic*を値0から値Ic1に増加させたとき)のバッテリ36の立ち上がり速度を充電スタンド80の応答速度Vchとして演算し、その後に、ベース電流指令Icbsを低下させると予測し且つ一時超過を生じると予測したときには、電流指令変化速度Vic*が充電スタンド80の応答速度Vchとなるように電流指令Ic*を設定する。これにより、充電スタンド80の応答速度Vchが比較的低い場合でも、電流指令Ic*を低下させるときに、電流指令Ic*の低下に対するバッテリ36の電流Ibの低下の追従性が低くなるのを抑制することができ、バッテリ36の過電圧や過充電などの不都合を生じるのを抑制することができる。この結果、バッテリ36の充電をより適切に行なうことができる。
【0046】
実施例の電気自動車20では、図4に示したように、外部充電の開始時、即ち、電流指令Ic*を値0から比較的大きい正の値Ic1にステップ状に変化させるときのバッテリ36の電流Ibの立ち上がり速度を充電スタンド80の応答速度Vchとして演算するものとした。しかし、図7に示すように、外部充電の開始後に、応答速度Vchの演算用に、電流指令Ic*を値Ic1から値Ic2(0≦Ic2<Ic1)に低下させてから値Ic1に戻し、電流指令変化速度Vic*(=Ic2-Ic1)の絶対値を時間td(=t14-t13)で除して得られるバッテリ36の電流Ibの立ち下がり速度を充電スタンド80の応答速度Vchとして演算するものとしてもよい。上述したように、ベース電流指令Icbsを低下させるときの一時超過を課題としていることから、実施例のようにバッテリ36の電流Ibの立ち上がり速度を充電スタンド80の応答速度Vchとして演算するよりも、変形例のようにバッテリ36の電流Ibの立ち下がり速度を充電スタンド80の応答速度Vchとして演算するのが好ましい。なお、値Ic2は、バッテリ36の電流Ibが電流指令Ic*に対して遅れて低下したときにバッテリ36の保護を確保できる範囲内で設定される。
【0047】
実施例の電気自動車20では、外部充電の際に、ステップS180で制限開始時刻Tlisを設定し、ステップS190で制限開始時刻Tlisから時刻t1を減じた値(Tlis-t1)が正であるときには、制限処理を開始せずに、ステップS190で値(Tlis-t1)が値0以下になったときに、制限処理を開始するものとした。しかし、上述の式(1)を用いて時刻t1の制限電流Ili[t]を演算し、時刻t1の制限電流Ili[t1]がベース電流指令Icbs[t1]以上であるときには、制限処理を開始せずに、制限電流Ili[t1]がベース電流指令Icbs[t1]未満になったときに、制限処理を開始するものとしてもよい。
【0048】
実施例の電気自動車20では、外部充電の際に、ベース電流指令Icbsを低下させると予測し且つ一時超過を生じると予測したときには、電流指令変化速度Vic*が充電スタンド80の応答速度Vchとなるように電流指令Ic*を設定するものとした。しかし、このときには、電流指令変化速度Vic*が応答速度Vch以下となるように電流指令Ic*を設定するものであればよく、例えば、電流指令変化速度Vic*が応答速度Vchよりも若干低い変化速度となるように電流指令Ic*を設定するものとしてもよい。
【0049】
実施例の電気自動車20では、直流電力による充電(DC充電)用の充電用電力ライン50や車両コネクタ52、充電用リレー54を備えるものとした。しかし、図8の変形例の電気自動車120に示すような構成としてもよい。図8の電気自動車120は、充電用電力ライン50や車両コネクタ52、充電用リレー54を備えずに、交流電力による充電(AC充電)用の充電装置68を備える点で、図1の電気自動車20とは異なる。充電装置68は、充電用電力ライン70や車両コネクタ72、充電器74、充電用電子制御ユニット(以下、「充電ECU」という)76を備える
【0050】
充電用電力ライン70は、一端部が駆動用電力ライン38のシステムメインリレー40よりもバッテリ36側に接続され、他端部が車両コネクタ72に接続されている。車両コネクタ72は、自宅や充電ステーションなどの交流の外部電源90に接続された電源コネクタと接続可能に構成されている。充電器74は、充電用電力ライン70に設けられ、外部電源からの交流電力を直流電力に変換すると共に電圧(電力)を調節してバッテリ36側に供給可能に構成されている。
【0051】
充電ECU76は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロプロセッサを備える。充電ECU76には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力される。充電ECU76に入力される信号としては、例えば、車両コネクタ72に設けられた接続センサ73からの接続信号を挙げることができる。充電ECU76からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力される。充電ECU76から出力される信号としては、例えば、充電器74への制御信号を挙げることができる。充電ECU76は、車両ECU60と通信可能となっている。
【0052】
こうして構成された変形例の電気自動車120では、自宅や充電ステーションなどでシステムオフで停車しているときに、車両コネクタ72と電源コネクタ92とが接続されると、接続センサ73から充電ECU76を介して車両ECU60に接続信号が送信され、充電ECU76および車両ECU60が車両コネクタ52とスタンドコネクタ82との接続を検知する。続いて、ユーザにより、外部電源90からの電力を用いてバッテリ36を充電する外部充電が指示されると、車両ECU60は、外部充電用の電流指令Ic2*を充電ECU76に送信し、充電ECU76は、充電器74の出力側の電流Ic2が電流指令Ic2*となるように充電器74を制御する。このようにして外部充電が行なわれる。そして、車両ECU60は、バッテリ36の蓄電割合SOCが上述の所定割合Schに至ると、外部充電の終了指令を充電ECU76に送信し、充電ECU76は、これを受信すると、充電器74を停止する。このようにして外部充電が終了される。
【0053】
この変形例の電気自動車120では、図3の応答速度推定ルーチンや図2の電流指令設定ルーチンと同様のルーチンを実行して、充電装置68の応答速度Vch2を演算したり電流指令Ic2*を設定したりすることにより、実施例と同様の効果を奏することができる。
【0054】
実施例の電気自動車20では、DC充電用の充電用電力ライン50や車両コネクタ52,充電用リレー54を備えるものとした。また、変形例の電気自動車120では、AC充電用の充電装置68(充電用電力ライン70や車両コネクタ72、充電器74)を備えるものとした。しかし、DC充電用の充電用電力ライン50や車両コネクタ52,充電用リレー54およびAC充電用の充電装置68(充電用電力ライン70や車両コネクタ72、充電器74)を備えるものとしてもよい。
【0055】
実施例や変形例の電気自動車20,120では、蓄電装置としてバッテリ36を用いるものとした。しかし、蓄電装置としてキャパシタを用いるものとしてもよい。
【0056】
実施例では、モータ32やバッテリ36を備える電気自動車20に搭載される車載蓄電システムの形態とした。しかし、電気自動車20以外の車両、例えば、電気自動車20と同様の構成に加えてエンジンを備えるハイブリッド自動車や、電気自動車20と同様の構成に加えて燃料電池を備える燃料電池自動車などに搭載される車載蓄電システムの形態としてものとしてもよい。
【0057】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、バッテリ36が「蓄電装置」に相当し、車両ECU60が「制御装置」に相当する。
【0058】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0059】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、車載蓄電システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
20 電気自動車、32 モータ、34 インバータ、36 バッテリ、36a 電圧センサ、36b 電流センサ、36c 温度センサ、38 駆動用電力ライン、40 システムメインリレー、50 充電用電力ライン、52 車両コネクタ、53 接続センサ、54 充電用リレー、60 車両ECU、68 充電装置、70 充電用電力ライン、72 車両コネクタ、73 接続センサ、74 充電器、76 充電ECU、80 充電スタンド、82 スタンドコネクタ、84 充電器、85a 電圧センサ、85b 電流センサ、86 スタンドECU、90 外部電源、92 電源コネクタ、120 電気自動車。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8