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特許7585885スピーカーグリルアッセンブリ及び携帯型無線通信機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】スピーカーグリルアッセンブリ及び携帯型無線通信機器
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20241112BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20241112BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H04R1/00 311
H04R1/02 104Z
H04M1/02 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021034576
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022135019
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小貫 裕市
【審査官】川▲崎▼ 博章
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-165378(JP,A)
【文献】特開2018-011112(JP,A)
【文献】特開2013-120959(JP,A)
【文献】特表2020-530953(JP,A)
【文献】特開2018-160816(JP,A)
【文献】特開2006-101287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
H04R 1/02
H04M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に延びる複数のスリットが形成されたスピーカーグリルを有するフロントパネルと、
前記フロントパネルの内面側に、少なくとも前記複数のスリットを含めた所定の範囲を覆う防塵シートと、を備え、
前記フロントパネルは、前記フロントパネルの内面に前記複数のスリットと交差するように延びる排水溝が形成され、形成された前記排水溝の底面は前記複数のスリットによって分割されることにより複数の内底面となり、
前記防塵シートの前記フロントパネルの内面と対向する面には、前記複数のスリットとそれぞれ対向する位置に複数のスリット対向部と、前記複数の内底面とそれぞれ対向する位置に複数の排水溝対向部と、を有し、
各排水溝対向部と水との接触角は、各スリット対向部と水との接触角よりも小さい、
スピーカーグリルアッセンブリ。
【請求項2】
前記防塵シートは、メッシュ状で高撥水の第1シートと低撥水の第2シートとの二層構造であり、
前記防塵シートは、前記フロントパネルの内面から、前記第2シート、次に前記第1シートの順に位置し、
前記第2シートは、各スリット対向部において開口している、
請求項1に記載のスピーカーグリルアッセンブリ。
【請求項3】
前記スリットの内壁面は、前記フロントパネルの下方側に位置する面から上方に向けて凸となるV字に形成されている、
請求項1又は2に記載のスピーカーグリルアッセンブリ。
【請求項4】
前記排水溝は、前記防塵シートから外側にかけて延在している、
請求項1から3までの何れか1項に記載のスピーカーグリルアッセンブリ。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか1項に記載のスピーカーグリルアッセンブリと、
スピーカーと、
を備えた、
携帯型無線通信機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカーグリルアッセンブリ及び携帯型無線通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、BEEP音を用いてスピーカーグリル内に侵入した水を排出する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6040561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、BEEP音を出力して内部に侵入した水を排水するまで、音道しての機能は損なわれたままとなる。
【0005】
本発明の目的は、スピーカーグリルに設けた防塵シートの音道としての機能と、スピーカーグリルの排水性と、を両立する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、互いに平行に延びる複数のスリットが形成されたスピーカーグリルを有するフロントパネルと、前記フロントパネルの内面側に、少なくとも前記複数のスリットを含めた所定の範囲を覆う防塵シートと、を備え、前記フロントパネルは、前記フロントパネルの内面に前記複数のスリットと交差するように延びる排水溝が形成され、形成された前記排水溝の底面は前記複数のスリットによって分割されることにより複数の内底面となり、前記防塵シートの前記フロントパネルの内面と対向する面には、前記複数のスリットとそれぞれ対向する位置に複数のスリット対向部と、前記複数の内底面とそれぞれ対向する位置に複数の排水溝対向部と、を有し、各排水溝対向部と水との接触角は、各スリット対向部と水との接触角よりも小さい、スピーカーグリルアッセンブリが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スピーカーグリルに設けた防塵シートの音道としての機能と、スピーカーグリルの排水性と、を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ハンディ型トランシーバの斜視図である。
図2】ハンディ型トランシーバの分解斜視図である。
図3】ハンディ型トランシーバの別の角度から見た分解斜視図である。
図4】スピーカーグリルアッセンブリの分解斜視図である。
図5】スピーカーグリルの背面図である。
図6図5のVI-VI線断面図である。
図7図5のVII-VII線断面図である。
図8】スピーカーグリルの背面図であって、スピーカーグリルにグリル側両面テープを重ねた状態を示す図である。
図9】スピーカーグリルの背面図であって、スピーカーグリルに低撥水シートを重ねた状態を示す図である。
図10】スピーカーグリルアッセンブリの背面図である。
図11図10のIX-IX線断面図である。
図12図11のA部拡大図である。
図13図12に対応する図であって、比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本開示の一実施形態を説明する。図1は、ハンディ型トランシーバ1の斜視図を示している。図2及び図3は、ハンディ型トランシーバ1の分解斜視図を示している。ハンディ型トランシーバ1は、双方向通話可能な無線通信機器の一具体例である。
【0010】
図1から図3に示すように、ハンディ型トランシーバ1は、フロントパネル2と、防塵シート3と、スピーカー4と、制御基盤5と、リアパネル6と、バッテリーカバー7と、を含む。フロントパネル2とリアパネル6は、ハンディ型トランシーバ1の筐体8を構成している。
【0011】
フロントパネル2は、典型的には樹脂製であって、スピーカー4と対向するように配置されたスピーカーグリル9を含む。図1には、スピーカーグリル9を二点鎖線で示している。スピーカーグリル9は、フロントパネル2の一部であって、互いに平行となる複数のスリット10を有する板体である。本実施形態においてスピーカーグリル9は、4つのスリット10を有している。図1から図3に示すように、スピーカーグリル9は、スピーカー4とフロントパネル2の内面側で対向するグリル内面9aと、グリル内面9aと反対側つまりフロントパネル2の外観側のグリル外面9bと、を有する。
【0012】
以下、図1に示すように、複数のスリット10が延びる方向を「幅方向」と称する。複数のスリット10が列を成す方向を「上下方向」と称する。そして、スピーカーグリル9の板厚方向であって、幅方向及び上下方向の何れにも直交する方向を「前後方向」と称する。図1に示すスピーカーグリル9のグリル外面9bは、スピーカーグリル9の前面に相当しており、図3に示すスピーカーグリル9のグリル内面9aは、スピーカーグリル9の背面に相当している。
【0013】
フロントパネル2は、上面2a及び下面2bを有する。スピーカーグリル9は、フロントパネル2の上面2a寄りに形成されている。以下、下面2bから上面2aを見る方向を「上方」とし、その反対を「下方」と称する。ハンディ型トランシーバ1は、典型的には、上面2aを上にして使用される。
【0014】
図2及び図3に示すように、ハンディ型トランシーバ1は、フロントパネル2、防塵シート3、スピーカー4、制御基盤5、リアパネル6、バッテリーカバー7をこの記載順に前後方向で重ねることで構成されている。
【0015】
フロントパネル2とリアパネル6は、互いに連結されることで、防塵シート3及びスピーカー4、制御基盤5を収容する。スピーカー4は、制御基盤5に支持される。制御基盤5は、前後方向でフロントパネル2とリアパネル6に挟まれることでフロントパネル2とリアパネル6によって支持される。
【0016】
図3に示すように、防塵シート3は、複数のスリット10を覆うようにグリル内面9aに接着される。図2及び図3に示すように、防塵シート3は、グリル側両面テープ11と、低撥水シート12と、積層用両面テープ13と、高撥水シート14と、を含む。グリル側両面テープ11及び低撥水シート12、積層用両面テープ13、高撥水シート14は、フロントパネル2からスピーカー4に向かってこの記載順に重ねられる。防塵シート3は、機能的には低撥水シート12と高撥水シート14との二層構造である。
【0017】
低撥水シート12は、低撥水性を有するシートであって、典型的にはポリエチレンテレフタレート製のシートである。低撥水シート12と水との接触角は、典型的には90度未満である。低撥水シート12の厚みは典型的には0.2mmから1.0mmである。
【0018】
高撥水シート14は、高撥水性を有するシートであって、典型的にはポリエチレンやポリプロピレン製のシートである。高撥水シート14と水との接触角は、典型的には90度以上である。高撥水シート14の厚みは典型的には0.2mmから1.0mmである。そして、高撥水シート14は、メッシュ状に構成されている。これにより、高撥水シート14は、複数のスリット10を通るような小さい異物がスピーカー4の振動板を汚染することを防止する防塵機能を発揮すると共に、メッシュ状の構成によりスピーカー4にとっての音道としても機能する。更に、高撥水シート14は、高撥水性を備えることで、高撥水シート14の表面に水の膜が形成され難く、高撥水シート14の有する音道としての機能が損なわれることがない。
【0019】
グリル側両面テープ11は、低撥水シート12をスピーカーグリル9のグリル内面9aに接着するためのものである。積層用両面テープ13は、高撥水シート14を低撥水シート12に接着するためのものである。グリル側両面テープ11及び積層用両面テープ13に代えて接着剤を用いてもよい。
【0020】
本実施形態において、フロントパネル2のスピーカーグリル9と防塵シート3は、スピーカーグリルアッセンブリ100を構成している。
【0021】
次に、図4から図7を参照して、スピーカーグリル9の構造を詳細に説明する。図4は、スピーカーグリルアッセンブリ100の分解斜視図である。図5は、スピーカーグリル9の背面図である。図6は、図5のVI-VI線断面図である。図7は、図5のVII-VII線断面図である。
【0022】
図6及び図7に示すように、複数のスリット10は、スピーカーグリル9の板厚方向、即ち、前後方向でスピーカーグリル9を貫通するように形成されている。
【0023】
図5及び図6に示すように、フロントパネル2の内面には排水溝15が形成されている。詳細には、スピーカーグリル9のグリル内面9aには、複数のスリット10と交差するように上下方向に延びる排水溝15が形成されている。具体的には、排水溝15は、複数のスリット10の内周壁を貫通するように延びている。従って、各スリット10の内部空間と排水溝15の内部空間は互いに繋がっている。排水溝15の内底面は、複数のスリット10によって分割されている。従って、図6に示すように、排水溝15は、複数のスリット10によって分割された複数の内底面15aを有する。複数の内底面15aは、何れも、前後方向に対して直交する面である。
【0024】
図5及び図6に示すように、スピーカーグリル9は、複数の薄肉部16を含む。複数の薄肉部16は、複数のスリット10と上下方向において交互に位置する部分である。図6に示すように、複数の薄肉部16は、前後方向で排水溝15と隣り合う部分である。即ち、複数の薄肉部16は、排水溝15の存在により薄肉となった部分である。従って、各薄肉部16の板厚は、スピーカーグリル9のうち排水溝15が形成されていない部分の板厚よりも小さい。以下、説明の便宜上、複数の薄肉部16を上方に向かって順に薄肉部16a、薄肉部16b、薄肉部16c、薄肉部16d、薄肉部16eと称する。図6に示すように、薄肉部16a、薄肉部16b、薄肉部16c、薄肉部16dは、何れも上方に向かうにつれて更に薄肉となるように形成されている。具体的には、薄肉部16a、薄肉部16b、薄肉部16c、薄肉部16dは、何れも上方に向かって凸となるV字部17を有する。つまりスリット10の内壁面は、フロントパネルの下方側に位置する面から上方に向けて凸となるV字に形成されている。以上の構成により、薄肉部16aと薄肉部16bの間のスリット10に水の膜が形成され難くなるし、仮に薄肉部16aと薄肉部16bの間のスリット10に水の膜が形成されても当該膜が破れ易い。薄肉部16bと薄肉部16cの間のスリット10、薄肉部16cと薄肉部16dの間のスリット10、薄肉部16dと薄肉部16eの間のスリット10についても同様である。従って、複数のスリット10の音道としての機能が損なわれることがない。なお、薄肉部16a、薄肉部16b、薄肉部16c、薄肉部16dは、何れも下方に向かうにつれて更に薄肉となるように形成されてもよい。
【0025】
次に、図4図8から図13を参照して、防塵シート3について詳細に説明する。
【0026】
図4に示すように、防塵シート3は、典型的には、グリル側両面テープ11及び低撥水シート12、積層用両面テープ13、高撥水シート14をこの記載順に重ね合わせて一体化した状態で、フロントパネル2のスピーカーグリル9のグリル内面9aに貼り付けられる。
【0027】
しかし、説明の便宜上、図8では、グリル側両面テープ11のみをスピーカーグリル9と重ねて示すことで、グリル側両面テープ11の形状を説明する。同様に、図9では、低撥水シート12のみをスピーカーグリル9と重ねて示すことで、低撥水シート12の形状を説明する。
【0028】
図8には、スピーカーグリル9にグリル側両面テープ11を重ねた状態を示している。図8に示すように、グリル側両面テープ11は、複数のスリット10を取り囲むと共に、下方に向かって開口するU字状に形成されている。即ち、グリル側両面テープ11は、排水溝15よりも幅方向で一方側に位置して上下方向に延びる第1テープ部11aと、排水溝15よりも幅方向で他方側に位置して上下方向に延びる第2テープ部11bと、第1テープ部11aの上端及び第2テープ部11bの上端を連結する第3テープ部11cと、を含む。要するに、グリル側両面テープ11は、複数のスリット10および排水溝15と前後方向で極力対向しないように、複数のスリット部10および排水溝15を除いた範囲に形成されている。
【0029】
図9には、スピーカーグリル9に低撥水シート12を重ねた状態を示している。図9に示すように、低撥水シート12は、複数のスリット10の音道としての機能を阻害しないように、複数のスリット10にそれぞれ対応する複数の開口18を有する。低撥水シート12は、排水溝15の複数の内底面15aと前後方向で対向する複数の対向部19を含む。複数の開口18と複数の対向部19は、上下方向で交互に位置している。複数の対向部19は、薄肉部16aと対向する対向部19a、薄肉部16bと対向する対向部19b、薄肉部16cと対向する対向部19c、薄肉部16dと対向する対向部19dを含む。積層用両面テープ13の形状は、低撥水シート12の形状と同一であるから説明を省略する。
【0030】
図10には、スピーカーグリルアッセンブリ100の背面図を示している。図10に示すように、高撥水シート14は、複数のスリット10を覆うように配置されている。また、排水溝15は、防塵シート3の外周縁3aの内側から外側にかけて延びている。従って、排水溝15は、防塵シート3によって覆われない露出部15bを有する。
【0031】
図11には、図10のIX-IX線断面図である。図11では、防塵シート3を構成するすべての構成要素の厚みを強調して描いている。
【0032】
図11に示すように、防塵シート3は、複数のスリット10と前後方向でそれぞれ対向する複数のスリット対向部20と、排水溝15の複数の内底面15aと前後方向でそれぞれ対向する複数の排水溝対向部21と、を含む。複数の排水溝対向部21は、複数の薄肉部16と前後方向でそれぞれ対向している。複数のスリット対向部20と複数の排水溝対向部21は、上下方向に沿って交互に位置している。
【0033】
各スリット対向部20は、高撥水シート14のみから成る一層構造である。従って、各スリット対向部20の、スピーカーグリル9側のスリットグリル対向面20aは、高撥水シート14のスピーカーグリル9側の面に相当している。従って、各スリット対向部20のスリットグリル対向面20aと水との接触角は、高撥水シート14と水との接触角に等しい。
【0034】
各排水溝対向部21は、高撥水シート14と積層用両面テープ13、低撥水シート12から成る三層構造である。従って、各排水溝対向部21のスピーカーグリル9側の排水溝グリル対向面21aは、低撥水シート12のスピーカーグリル9側の面に相当している。従って、各排水溝対向部21の排水溝グリル対向面21aと水との接触角は、低撥水シート12と水との接触角に等しい。
【0035】
以上により、図12に示すように、各排水溝対向部21の排水溝グリル対向面21aと水との接触角θ1は、各スリット対向部20のスリットグリル対向面20aと水との接触角θ2よりも小さい。従って、スピーカーグリル9に設けた防塵シート3の音道としての機能とスピーカーグリル9の排水性とを両立することができる。以下、図12及び図13を参照して、この技術的効果を詳細に説明する。
【0036】
図12に示すように、各スリット10を通じてスピーカーグリル9の外部から侵入した水は、各スリット対向部20のスリットグリル対向面20aに付着すると、スリットグリル対向面20aの撥水性により、球形に近い水滴Wとなる。即ち、各スリット対向部20のスリットグリル対向面20aが水によって膜状に覆われ難い。従って、複数のスリット対向部20の音道としての機能が損なわれることがない。
【0037】
一方で、各スリット10を通じてスピーカーグリル9の外部から侵入した水は、各排水溝対向部21の排水溝グリル対向面21aに付着すると、スリットグリル対向面20aの親水性により、なだらかな丘状に広がる水滴Wとなる。即ち、各排水溝対向部21の排水溝グリル対向面21aに付着した水滴Wが排水溝15の対応する内底面15aに同時に接触し難い。水滴Wの前後方向における厚みWdが抑えられるからである。
【0038】
ここで、図13を参照されたい。図13には、本実施形態の比較例を示している。図13に示すように、比較例では、高撥水シート14と排水溝15の複数の内底面15aが前後方向で向かい合っている。即ち、高撥水シート14と複数の薄肉部16が前後方向で向かい合っている。従って、高撥水シート14の撥水性により高撥水シート14に付着した球形に近い水滴Wは、前後方向での厚みが大きいので、何れかの薄肉部16にも同時に接触し易い。水滴Wが高撥水シート14と何れかの薄肉部16に対して同時に接触すると水滴Wに上下方向での振動が加わっても排水溝15に沿って排水されず、その場に留まり易くなる。
【0039】
これに対し、図12に戻り、本実施形態では、各排水溝対向部21の排水溝グリル対向面21aに付着した水滴Wが排水溝15の内面に同時に接触し難いので、水滴Wの排水溝15を経由した排水が促進されることになる。即ち、スピーカーグリル9の高い排水性が実現される。そして、図11に示す排水溝15を経由して下方に移動した水滴Wは、排水溝15の露出部15bからハンディ型トランシーバ1の筐体8内に移動し、図示しない排水路を経由してハンディ型トランシーバ1の外部に排出される。
【0040】
なお、図12に示すように、各排水溝対向部21の排水溝グリル対向面21aに付着した水滴Wの前後方向における厚みWdが抑えられるので、水滴Wが各排水溝対向部21の排水溝グリル対向面21aと排水溝15の何れかの内底面15aに同時に接触しないように排水溝15を深く形成しておく必要がなくなり、その分、ハンディ型トランシーバ1全体の前後方向におけるコンパクト性に寄与する。
【0041】
以上に、本開示の好適な実施形態を説明したが、上記実施形態は、以下の特徴を有する。
【0042】
スピーカーグリルアッセンブリ100は、互いに平行に延びる複数のスリット10が形成されたスピーカーグリル9を有するフロントパネル2と、フロントパネル2の内面側に、少なくとも複数のスリット10を含めた所定の範囲を覆う防塵シート3と、を備える。フロントパネル2は、フロントパネル2の内面に複数のスリット10と交差するように延びる排水溝15が形成され、形成された排水溝15の底面は複数のスリット10によって分割されることにより複数の内底面15aとなる。防塵シート3のフロントパネル2の内面と対向する面には、複数のスリット10とそれぞれ対向する位置に複数のスリット対向部20と、複数の内底面15aとそれぞれ対向する位置に複数の排水溝対向部21と、を有する。各排水溝対向部21と水との接触角θ1は、各スリット対向部20と水との接触角θ2よりも小さい。以上の構成によれば、各スリット対向部20が水によって膜状に覆われ難くなるので複数のスリット対向部20の音道としての機能が損なわれることがなく、また、各排水溝対向部21に付着した水滴Wが排水溝15の対応する内底面15aに同時に接触し難くなるので、各排水溝対向部21に付着した水滴Wの排出が促進される。従って、スピーカーグリル9に設けた防塵シート3の音道としての機能と、スピーカーグリル9の排水性と、を両立することができる。
【0043】
図1から図4に示すように、スピーカーグリルアッセンブリ100は、スピーカーグリル9と防塵シート3を備える。スピーカーグリル9は、スピーカー4と対向するように配置される。スピーカーグリル9には、互いに平行に延びる複数のスリット10が形成されている。スピーカーグリル9は、スピーカー4と対向するグリル内面9aと、グリル内面9aと反対側のグリル外面9bと、を有する。防塵シート3は、複数のスリット10を覆うようにグリル内面9aに接着される。図5から図7に示すように、グリル内面9aには、複数のスリット10と交差するように延びる排水溝15が形成されている。排水溝15は、複数のスリット10によって分割された複数の内底面15aを有する。図11に示すように、防塵シート3は、複数のスリット10とそれぞれ対向する複数のスリット対向部20と、排水溝15の複数の内底面15aとそれぞれ対向する複数の排水溝対向部21と、を含む。複数のスリット対向部20と複数の排水溝対向部21は、排水溝15の長手方向に沿って交互に位置している。図12に示すように、各排水溝対向部21のスピーカーグリル9側の排水溝グリル対向面21aと水との接触角θ1は、各スリット対向部20のスピーカーグリル9側のスリットグリル対向面20aと水との接触角θ2よりも小さい。
【0044】
以上の構成によれば、各スリット対向部20のスリットグリル対向面20aが水によって膜状に覆われ難くなるので複数のスリット対向部20の音道としての機能が損なわれることがなく、また、各排水溝対向部21の排水溝グリル対向面21aに付着した水滴Wが排水溝15の対応する内底面15aに同時に接触し難くなるので、排水溝グリル対向面21aに付着した水滴Wの排出が促進される。従って、スピーカーグリル9に設けた防塵シート3の音道としての機能と、スピーカーグリル9の排水性と、を両立することができる。
【0045】
また、図11に示すように、防塵シート3は、メッシュ状の高撥水シート14(第1シート)と、高撥水シート14に重ねられる低撥水シート12(第2シート)と、を含む。防塵シート3は、低撥水シート12が高撥水シート14とスピーカーグリル9の間に位置するようにグリル内面9aに接着されている。各スリット対向部20において、高撥水シート14は低撥水シート12に覆われることなくスピーカーグリル9側に露出している。各排水溝対向部21において、高撥水シート14は低撥水シート12に覆われている。以上の構成によれば、防塵シート3の部分的に異なる接触角を安価に実現できる。
【0046】
なお、上記実施形態のように防塵シート3を多層構造とすることに代えて、防塵シート3を単層構造としてもよい。この場合、防塵シート3と水との接触角が部位毎に異なるように、防塵シート3に対して部位毎に異なる表面処理を行ってもよい。
【0047】
また、図6に示すように、スピーカーグリル9は、スピーカーグリル9の板厚方向において排水溝15と隣り合い、複数のスリット10と排水溝15の長手方向において交互に位置する、複数の薄肉部16を有する。複数の薄肉部16は、排水溝15の長手方向において隣り合う薄肉部16c(第1の薄肉部)と薄肉部16d(第2の薄肉部)を含む。薄肉部16cは、薄肉部16dに近づくにつれて更に薄肉となるように形成されている。以上の構成によれば、薄肉部16cと薄肉部16dの間のスリット10に水の膜が形成され難くなる。その他のスリット10についても同様である。従って、複数のスリット10の音道としての機能が損なわれることがない。
【0048】
また、図10に示すように、排水溝15は、防塵シート3の外周縁3aの内側から外側にかけて延びている。以上の構成によれば、防塵シート3が排水溝15からの排水を妨げない。
【0049】
ハンディ型トランシーバ1(携帯型無線通信機器)は、上記のスピーカーグリルアッセンブリ100と、スピーカー4と、を備えている。
【符号の説明】
【0050】
1 ハンディ型トランシーバ
2 フロントパネル
2a 上面
2b 下面
3 防塵シート
3a 外周縁
4 スピーカー
5 制御基盤
6 リアパネル
7 バッテリーカバー
8 筐体
9 スピーカーグリル
9a グリル内面
9b グリル外面
10 スリット
11 グリル側両面テープ
11a 第1テープ部
11b 第2テープ部
11c 第3テープ部
12 低撥水シート
13 積層用両面テープ
14 高撥水シート
15 排水溝
15a 内底面
15b 露出部
16 薄肉部
16a 薄肉部
16b 薄肉部
16c 薄肉部
16d 薄肉部
16e 薄肉部
17 V字部
18 開口
19 対向部
19a 対向部
19b 対向部
19c 対向部
19d 対向部
20 スリット対向部
20a スリットグリル対向面
21 排水溝対向部
21a 排水溝グリル対向面
100 スピーカーグリルアッセンブリ
θ1 接触角
θ2 接触角
W 水滴
Wd 厚み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
図13