(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】レーザマーカ
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20241112BHJP
B23K 26/082 20140101ALI20241112BHJP
【FI】
B23K26/00 B
B23K26/00 Q
B23K26/082
(21)【出願番号】P 2021037312
(22)【出願日】2021-03-09
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芦原 克充
(72)【発明者】
【氏名】加藤 豊
(72)【発明者】
【氏名】土道 和美
(72)【発明者】
【氏名】吉武 直毅
(72)【発明者】
【氏名】阪本 達典
(72)【発明者】
【氏名】横井 忠正
(72)【発明者】
【氏名】岸田 晃宏
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/077720(WO,A1)
【文献】特開平08-323486(JP,A)
【文献】特開2013-131751(JP,A)
【文献】特開2019-166543(JP,A)
【文献】特開2019-005795(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0351506(US,A1)
【文献】特開2014-050864(JP,A)
【文献】国際公開第2014/185880(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発振する発振器と、
前記発振器によって発振された前記レーザ光を出射することにより、印字データに基づいた印字をワークに行う出射部と、
前記出射部の移動に関する情報を検出するセンサと、
前記センサによって検出された前記情報に基づいて、前記出射部の状態を判定する判定部と、を備え、
前記判定部は、
前記センサによって検出された前記情報から得られる値が基準の移動量よりも大きい移動量を示す場合に、前記出射部の状態は異常であると判定し、
前記センサによって検出された前記情報から得られる値が基準の移動量よりも小さい移動量を示す場合に、前記出射部の状態は正常であると判定
し、
前記出射部は、印字中に前記レーザ光の出射を停止した後、前記判定部により前記出射部の状態が正常であると判定された場合に、前記レーザ光の出射を再開する、レーザマーカ。
【請求項2】
前記レーザマーカは、報知部をさらに備え、
前記報知部は、前記判定部によって判定された前記出射部の状態を報知する、請求項1に記載のレーザマーカ。
【請求項3】
前記報知部は、印字開始前に前記判定部により前記出射部の状態が正常であると判定される期間が所定期間継続した場合に、前記出射部の正常を報知する、請求項2に記載のレーザマーカ。
【請求項4】
前記報知部は、印字中に前記判定部により前記出射部の状態が異常であると判定された場合に、前記判定部により前記出射部の状態が異常であると判定されたタイミングで前記出射部の異常を報知する、請求項2または請求項3に記載のレーザマーカ。
【請求項5】
前記報知部は、印字中に前記判定部により前記出射部の状態が異常であると判定された場合に、印字が終了したタイミングで前記出射部の異常を報知する、請求項2または請求項3に記載のレーザマーカ。
【請求項6】
前記出射部は、印字中に前記判定部により前記出射部の状態が異常であると判定された場合に、前記レーザ光の出射を停止する、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のレーザマーカ。
【請求項7】
前記レーザマーカは、
前記出射部が前記レーザ光の出射を再開する場合の、前記出射部による印字の再開位置を決定する決定部と、
前記ワークを撮像する撮像部と、をさらに備え、
前記決定部は、前記撮像部による撮像画像に写る前記ワークの特徴部分を基に、前記出射部による印字の再開位置を決定する、請求項
1に記載のレーザマーカ。
【請求項8】
前記特徴部分は、印字結果である、請求項
7に記載のレーザマーカ。
【請求項9】
前記レーザマーカは、前記出射部が前記レーザ光の出射を再開する場合の、前記出射部による印字の再開位置を決定する決定部をさらに備え、
前記センサは、前記出射部の移動量を検出し、
前記決定部は、前記センサによって検出された前記移動量を基に、前記出射部による印字の再開位置を決定する、請求項
1に記載のレーザマーカ。
【請求項10】
前記レーザマーカは、
前記出射部が前記レーザ光の出射を再開する場合の、前記出射部による印字の再開位置を決定する決定部と、
前記ワークを撮像する撮像部と、をさらに備え、
前記センサは、前記出射部の移動量を検出し、
前記決定部は、前記撮像部による撮像画像に写る前記ワークの特徴部分、および、前記センサによって検出された前記出射部の前記移動量を基に、前記出射部による印字の再開位置を決定する、請求項
1に記載のレーザマーカ。
【請求項11】
前記レーザマーカは、ハンディータイプである、請求項1~請求項
10のいずれか1項に記載のレーザマーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザマーカに関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、レーザ光を用いて印字対象物(以下、「ワーク」とも称する)の表面に、文字や図形等(以下、文字や図形等を「マーク」とも称する)のマーキング(以下、「印字」とも称する)を行うレーザマーカが知られている(特許第6769146号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなレーザマーカは、通常であれば出射部が静止している状態で印字を行う。しかし、何かの拍子に出射部が揺れる場合がある。そのような場合には、マークが歪んでしまうとともに、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまう。マークが歪んでいる場合には、読み取りエラーとなることから、生産効率に悪影響を及ぼす。
【0005】
本開示の目的は、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができるレーザマーカを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示にかかるレーザマーカは、レーザ光を発振する発振器と、発振器によって発振されたレーザ光を出射することにより、印字データに基づいた印字をワークに行う出射部と、出射部の移動に関する情報を検出するセンサと、センサによって検出された情報に基づいて、出射部の状態を判定する判定部と、を備える。判定部は、センサによって検出された情報から得られる値が基準の移動量よりも大きい移動量を示す場合に、出射部の状態は異常であると判定し、センサによって検出された情報から得られる値が基準の移動量よりも小さい移動量を示す場合に、出射部の状態は正常であると判定する。
【0007】
これにより、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0008】
上述の開示において、好ましくは、レーザマーカは、報知部をさらに備える。報知部は、判定部によって判定された出射部の状態を報知する。
【0009】
これにより、ユーザは、出射部の状態を知ることができる。
【0010】
上述の開示において、好ましくは、報知部は、印字開始前に判定部により出射部の状態が正常であると判定される期間が所定期間継続した場合に、出射部の正常を報知する。
【0011】
これにより、ユーザは、レーザ光の出射開始を指示するタイミングを知ることができる。この報知を契機にユーザがレーザ光の出射開始を指示することにより、マークが歪むことを抑えることができる。その結果、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0012】
上述の開示において、好ましくは、報知部は、印字中に判定部により出射部の状態が異常であると判定された場合に、判定部により出射部の状態が異常であると判定されたタイミングで出射部の異常を報知する。
【0013】
これにより、ユーザは、マークが歪んでいることを認識することができる。したがって、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0014】
上述の開示において、好ましくは、報知部は、印字中に判定部により出射部の状態が異常であると判定された場合に、印字が終了したタイミングで出射部の異常を報知する。
【0015】
これにより、ユーザは、マークが歪んでいることを認識することができる。したがって、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0016】
上述の開示において、好ましくは、出射部は、印字中に判定部により出射部の状態が異常であると判定された場合に、レーザ光の出射を停止する。
【0017】
これにより、ユーザはレーザ光の出射停止の指示を入力する必要がないため、ユーザの手間を省くことができる。
【0018】
上述の開示において、好ましくは、出射部は、印字中にレーザ光の出射を停止した後、判定部により出射部の状態が正常であると判定された場合に、レーザ光の出射を再開する。
【0019】
これにより、ユーザはレーザ光の出射再開の指示を入力する必要がないため、ユーザの手間を省くことができる。
【0020】
上述の開示において、好ましくは、レーザマーカは、出射部がレーザ光の出射を再開する場合の、出射部による印字の再開位置を決定する決定部と、ワークを撮像する撮像部と、をさらに備える。決定部は、撮像部による撮像画像に写るワークの特徴部分を基に、出射部による印字の再開位置を決定する。
【0021】
これにより、出射部の位置がずれた場合であっても正しい位置から印字が再開されるため、印字品質が向上する。
【0022】
上述の開示において、好ましくは、特徴部分は、印字結果である。
【0023】
これにより、出射部の位置がずれた場合であっても、印字結果を基に出射部による印字の再開位置を決定することができる。
【0024】
上述の開示において、好ましくは、レーザマーカは、出射部がレーザ光の出射を再開する場合の、出射部による印字の再開位置を決定する決定部をさらに備える。センサは、出射部の移動量を検出する。決定部は、センサによって検出された移動量を基に、出射部による印字の再開位置を決定する。
【0025】
これにより、出射部の位置がずれた場合であっても正しい位置から印字が再開されるため、印字品質が向上する。
【0026】
上述の開示において、好ましくは、レーザマーカは、出射部がレーザ光の出射を再開する場合の、出射部による印字の再開位置を決定する決定部と、ワークを撮像する撮像部と、をさらに備る。センサは、出射部の移動量を検出する。決定部は、撮像部による撮像画像に写るワークの特徴部分、および、センサによって検出された出射部の移動量を基に、出射部による印字の再開位置を決定する。
【0027】
これにより、出射部の位置がずれた場合であっても正しい位置から印字が再開されるため、印字品質が向上する。
【0028】
上述の開示において、好ましくは、レーザマーカは、ハンディータイプである。
【0029】
これにより、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができるハンディータイプのレーザマーカを提供することができる。
【発明の効果】
【0030】
本開示によれば、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができるレーザマーカを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施の形態1に係るレーザマーカの構成例を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係るレーザマーカの制御部の構成を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係るレーザマーカの処理のうち印字開始前に行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態1に係るレーザマーカの処理のうち印字開始後に行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態1に係るレーザマーカの処理のうち印字開始後に行われる処理の他の例を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態2に係るレーザマーカの制御部の構成を示す図である。
【
図7】実施の形態2に係るレーザマーカの処理のうち印字開始後の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態3に係るレーザマーカの構成例を示す図である。
【
図9】実施の形態3に係るレーザマーカの制御部の構成を示す図である。
【
図10】実施の形態3に係るレーザマーカの処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】実施の形態4に係るレーザマーカの構成例を示す図である。
【
図12】実施の形態4に係るレーザマーカの制御部の構成を示す図である。
【
図13】実施の形態4に係るレーザマーカの処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】実施の形態5に係るレーザマーカの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0033】
[適用例]
まず、
図1を参照して、本発明が適用される場面の一例について説明する。本発明が適用される場面は、レーザマーカ100を用いてマーキングを行う場面である。
【0034】
レーザマーカ100は、マーキングヘッド20の移動に関する情報を検出するセンサ281を備える。レーザマーカ100は、センサ281によって検出された情報に基づいて、マーキングヘッド20の状態を判定する。マーキングヘッド20が揺れている状態でマーキングが行われた場合には、マークが歪む可能性が高い。そこで、レーザマーカ100は、マーキングヘッド20が揺れていると判断される場合に、マーキングヘッド20の状態は異常であると判定し、マーキングヘッド20が静止していると判断される場合に、マーキングヘッド20の状態は正常であると判定する。そして、レーザマーカ100は、判定結果を報知する。
【0035】
一例として、レーザマーカ100は、印字開始前に、マーキングヘッド20が静止していることに応じて正常報知を行う。他の例として、レーザマーカ100は、印字中にマーキングヘッド20が揺れたことに応じて異常報知を行う。前者の場合には、ユーザは正常報知の後に印字の開始を指示することにより、マークが歪むことを抑えることができる。後者の場合には、ユーザは異常報知により、マークが歪んでいることを認識することができる。ゆえに、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0036】
[実施の形態1]
レーザマーカには、据え置きタイプと、ハンディータイプとがある。据え置きタイプは、マーキングヘッドが据え置かれているタイプである。一方、ハンディータイプは、マーキングヘッドが据え置かれていないタイプであり、加工の際には、ユーザがマーキングヘッドを把持しなければならない。実施の形態1では、ハンディータイプのレーザマーカを例に説明する。
【0037】
図1は、実施の形態1に係るレーザマーカの構成例を示す図である。実施の形態1に係るレーザマーカ100は、ハンディータイプである。レーザマーカ100は、コントローラ10と、マーキングヘッド20と、ケーブル30とを含む。
【0038】
コントローラ10は、レーザ光を発振する発振器11と、制御部12とを含む。発振器11は、レーザ光源を含む。レーザ光源の種類は特に限定されないが、たとえば、レーザ光源に、ファイバレーザを用いることができる。レーザ光源は、YAGレーザなどの固体レーザ、あるいはCO2レーザなどのガスレーザであってもよい。レーザ光源からのレーザ光は、パルス光でもよいし、連続(CW)光であってもよい。
【0039】
制御部12は、レーザマーカ100を統括的に制御する。制御部12は、CPU(Central Processing Unit)等で構成される。CPUは、あらかじめ記憶されているプログラムを実行することで、レーザマーカ100として必要な機能を提供する。
【0040】
マーキングヘッド20は、ケーブル30によってコントローラ10に接続される。たとえば、ケーブル30は、発振器11からの光をマーキングヘッド20に伝送するための光ファイバケーブル、制御部12からの制御信号をマーキングヘッド20に伝送するための信号ケーブル、およびマーキングヘッド20に電力を供給するための電源ケーブル等を含むことができる。
【0041】
マーキングヘッド20は、発振器11によって発振されたレーザ光を出射することにより、印字データに基づいた印字をワーク1に行う「出射部」に相当する。印字データとは、レーザ光を出射する位置を示すデータであり、たとえば座標で表される。マーキングヘッド20は、走査機構21、入力部24、報知部25、遮蔽板27、およびセンサ281を含む。
【0042】
走査機構21は、発振器11により発振されたレーザ光を走査する。走査機構21は、ミラー22と、ミラー22を駆動する駆動部23とを含む。発振器11により発振されたレーザ光は、ミラー22において反射されて、ワーク1の表面に照射される。ワーク1は、印字対象物である。レーザ光が照射されることにより、ワーク1の表面には、文字、数字、図形、コード、または、これらの組み合わせが印字される。
【0043】
駆動部23は、制御部12からの制御信号に応答してミラー22を駆動する。これにより、レーザ光2がワーク1上を往復するように走査される。走査機構21は、たとえばガルバノミラーによって実現可能である。走査機構21によるレーザ光の走査の方向は、1次元方向、2次元方向、または、その両方であってもよい。
【0044】
入力部24は、レーザ光の出射開始の指示の入力を受け付ける。また、入力部24は、レーザ光の出射停止の指示の入力を受け付ける。入力部24には、ボタン、レバー、およびタッチパネルのうちいずれかを採用することができる。
【0045】
報知部25は、ユーザへマーキングヘッド20の状態を報知する。報知部25には、インジケータ、および、スピーカーのうち少なくとも一方が採用される。
【0046】
遮蔽板27は、マーキングヘッド20から出射されるレーザ光、および、ワーク1で反射したレーザ光からユーザを保護するために、レーザ光を遮蔽する。
【0047】
なお、マーキングヘッド20は、遮蔽板27を備えていなくてもよい。その場合には、ユーザは防護マスクや防護服を着用して、印字作業を行う。
【0048】
センサ281は、マーキングヘッド20の移動に関する情報を検出する。一例として、マーキングヘッド20の移動に関する情報は、マーキングヘッド20の加速度である。他の例として、マーキングヘッド20の移動に関する情報は、マーキングヘッド20の移動速度でもよい。また、マーキングヘッド20の移動に関する情報は、マーキングヘッド20の加速度の逆数や、マーキングヘッド20の移動速度の逆数等でもよい。レーザマーカ100は、センサ281によって検出された情報に基づいて、マーキングヘッド20の状態を判定する。なお、センサ281の位置は、マーキングヘッド20の移動に関する情報を検出できる位置であればよく、
図1に示す位置に限られない。
【0049】
また、
図1に示す例では、コントローラ10とマーキングヘッド20とが別体であるが、コントローラ10とマーキングヘッド20とが1つの筐体に収容されてもよい。また、各部品の配置は、一例にすぎず、
図1に示すものに限られない。また、CPUがプログラムを実行することにより提供される機能の一部または全部が、専用のハードウェア回路を用いて実装されてもよい。
【0050】
図2は、実施の形態1に係るレーザマーカの制御部の構成を示す図である。
図1に示すレーザマーカ100の制御部12は、発振器制御部121、マーキングヘッド制御部122、判定部123、および報知制御部124を含む。
【0051】
発振器制御部121は、発振器11の動作を制御する。発振器制御部121は、レーザ光の出射開始の指示が入力部24によって受け付けられたことに応じて、発振器11にレーザ光の発振を指示する。
【0052】
マーキングヘッド制御部122は、駆動部23の動作を制御する。マーキングヘッド制御部122は、レーザ光の出射開始の指示が入力部24によって受け付けられたことに応じて、駆動部23に駆動の開始を指示する。
【0053】
判定部123は、センサ281によって検出された、マーキングヘッド20(
図1参照)の移動に関する情報に基づいて、マーキングヘッド20の状態を判定する。マーキングヘッド20の状態は、マーキングヘッド20が揺れている状態(異常状態)と、マーキングヘッド20が静止している状態(正常状態)とに分けられる。マーキングヘッド20が揺れている状態でマーキングが行われた場合には、マークが歪む可能性が高い。
【0054】
レーザマーカ100は、マーキングヘッド20が揺れていると判断される場合に、マーキングヘッド20の状態は異常であると判定し、マーキングヘッド20が静止していると判断される場合に、マーキングヘッド20の状態は正常であると判定する。詳細には、判定部123は、センサ281によって検出された情報から得られる値と、基準の移動量を示す情報とを比較することにより、マーキングヘッド20が揺れているか否かを判定する。基準の移動量を示す情報は、レーザマーカ100にあらかじめ記憶されている。
【0055】
判定部123は、センサ281によって検出された情報から得られる値が基準の移動量と同じ移動量、もしくは、基準の移動量よりも大きい移動量を示す場合に、マーキングヘッド20が揺れていると判断し、マーキングヘッド20の状態は異常であると判定する。一方、判定部123は、センサ281によって検出された情報から得られる値が基準の移動量よりも小さい移動量を示す場合に、マーキングヘッド20が静止していると判断し、マーキングヘッド20の状態は正常であると判定する。
【0056】
一例として、判定部123は、センサ281によって検出されたマーキングヘッド20の加速度の値があらかじめ定められている閾値以上である場合に、マーキングヘッド20の状態は異常であると判定する。一方、判定部123は、センサ281によって検出されたマーキングヘッド20の加速度の値があらかじめ定められている閾値よりも小さい場合に、マーキングヘッド20の状態は正常であると判定する。
【0057】
他の例として、判定部123は、センサ281によって検出されたマーキングヘッド20の移動速度の値があらかじめ定められている閾値以上である場合に、マーキングヘッド20の状態は異常であると判定する。一方、判定部123は、センサ281によって検出されたマーキングヘッド20の移動速度の値があらかじめ定められている閾値よりも小さい場合に、マーキングヘッド20の状態は正常であると判定する。
【0058】
なお、判定部123は、センサ281によって検出された情報から得られる値が基準の移動量よりも大きい移動量を示す場合に、マーキングヘッド20が揺れていると判断し、マーキングヘッド20の状態は異常であると判定してもよい。その場合には、判定部123は、センサ281によって検出された情報から得られる値が基準の移動量と同じ移動量、もしくは、基準の移動量よりも小さい移動量を示す場合に、マーキングヘッド20が静止していると判断し、マーキングヘッド20の状態は正常であると判定する。
【0059】
判定部123は、判定結果を報知制御部124へ送信する。
【0060】
報知制御部124は、判定部123から判定結果を受信する。また、報知制御部124は、受信した判定結果に基づいて、報知部25の動作を制御する。詳細には、報知制御部124は、判定部123によって判定されたマーキングヘッド20の状態の報知を報知部25に対し指示する。
【0061】
図1~
図5を参照して、実施の形態1に係るレーザマーカの処理の一例を説明する。
図3は、実施の形態1に係るレーザマーカの処理のうち印字開始前に行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図3に示す処理は、たとえば、レーザマーカ100の電源がONになったことを契機に開始される。
【0062】
ステップS301において、レーザマーカ100(詳細には、判定部123)は、センサ281によって検出された、マーキングヘッド20の移動に関する情報に基づいて、マーキングヘッド20の状態が正常であるか否かを判定する。マーキングヘッド20の状態が正常である場合には(ステップS301においてYES)、レーザマーカ100は、処理をステップS302に移行する。
【0063】
ステップS302において、レーザマーカ100は、所定期間が経過したか否かを判定する。所定期間が経過した場合には(ステップS302においてYES)、レーザマーカ100は、処理をステップS303に移行する。一方、所定期間がまだ経過していない場合には(ステップS302においてNO)、レーザマーカ100は、処理をステップS304に移行する。
【0064】
ステップS303において、レーザマーカ100(詳細には、報知部25)は、マーキングヘッド20の正常を報知する。一例として、報知部25がインジケータである場合には、緑色のランプが点灯する。他の例として、報知部25がスピーカーである場合には、マーキングヘッド20の正常が音声で報知される。ステップS303の後、レーザマーカ100は、
図3に示す一連の処理を終了する。
【0065】
ステップS304において、レーザマーカ100(詳細には、判定部123)は、センサ281によって検出された、マーキングヘッド20の移動に関する情報に基づいて、マーキングヘッド20の状態が異常であるか否かを判定する。マーキングヘッド20の状態が異常である場合には(ステップS304においてYES)、レーザマーカ100は、処理をステップS301に戻す。一方、マーキングヘッド20の状態が正常である場合には(ステップS304においてNO)、レーザマーカ100は、処理をステップS302に戻す。
【0066】
図3に示す一連の処理により、報知部25は、印字開始前に判定部123により、マーキングヘッド20の状態が正常であると判定される期間が所定期間継続した場合に、マーキングヘッド20の正常を報知する。ユーザは、正常報知を契機にレーザ光の出射開始を指示することにより、マークが歪むことを抑えることができる。その結果、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0067】
図4は、実施の形態1に係るレーザマーカの処理のうち印字開始後に行われる処理の一例を示すフローチャートである。レーザマーカ100は、
図3に示す処理に替えて、もしくは、
図3に示す処理に加え、
図4に示す処理を行ってもよい。
図4に示す処理は、たとえば、印字が開始されたことを契機に開始される。
【0068】
ステップS401において、レーザマーカ100(詳細には、判定部123)は、センサ281によって検出された、マーキングヘッド20の移動に関する情報に基づいて、マーキングヘッド20の状態が異常であるか否かを判定する。マーキングヘッド20の状態が異常である場合には(ステップS401においてYES)、レーザマーカ100は、処理をステップS402に移行する。一方、マーキングヘッド20の状態が正常である場合には(ステップS401においてNO)、レーザマーカ100は、処理をステップS403に移行する。
【0069】
ステップS402において、レーザマーカ100(詳細には、報知部25)は、マーキングヘッド20の異常を報知する。一例として、報知部25がインジケータである場合には、赤色のランプが点灯する。他の例として、報知部25がスピーカーである場合には、マーキングヘッド20の異常が音声で報知される。ステップS402の後、レーザマーカ100は、
図4に示す一連の処理を終了する。
【0070】
ステップS403において、レーザマーカ100は、印字が終了したか否かを判定する。印字が終了した場合には(ステップS403においてYES)、レーザマーカ100は、
図4に示す一連の処理を終了する。一方、印字が終了していない場合には(ステップS403においてNO)、レーザマーカ100は、処理をステップS401に戻す。
【0071】
図4に示す一連の処理により、報知部25は、印字中に判定部123によりマーキングヘッド20の状態が異常であると判定された場合に、判定部123によりマーキングヘッド20の状態が異常であると判定されたタイミングでマーキングヘッド20の異常を報知する。これにより、ユーザは、マークが歪んでいることを認識することができる。また、ユーザは、入力部24を操作することにより、レーザ光の出射停止を指示することができる。ゆえに、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0072】
図5は、実施の形態1に係るレーザマーカの処理のうち印字開始後に行われる処理の他の例を示すフローチャートである。
図5に示す処理は、
図4に示す処理と同様に、たとえば、印字が開始されたことを契機に開始される。
【0073】
ステップS501において、レーザマーカ100(詳細には、判定部123)は、センサ281によって検出された、マーキングヘッド20の移動に関する情報に基づいて、マーキングヘッド20の状態が異常であるか否かを判定する。マーキングヘッド20の状態が異常である場合には(ステップS501においてYES)、レーザマーカ100は、処理をステップS502に移行する。一方、マーキングヘッド20の状態が正常である場合には(ステップS501においてNO)、レーザマーカ100は、処理をステップS504に移行する。
【0074】
ステップS502において、レーザマーカ100は、印字が終了したか否かを判定する。印字が終了した場合には(ステップS502においてYES)、レーザマーカ100は、処理をステップS503に移行する。
【0075】
ステップS503において、レーザマーカ100(詳細には、報知部25)は、マーキングヘッド20の異常を報知する。一例として、報知部25がインジケータである場合には、赤色のランプが点灯する。他の例として、報知部25がスピーカーである場合には、マーキングヘッド20の異常が音声で報知される。ステップS503の後、レーザマーカ100は、
図5に示す一連の処理を終了する。
【0076】
ステップS504において、レーザマーカ100は、印字が終了したか否かを判定する。印字が終了した場合には(ステップS504においてYES)、レーザマーカ100は、
図5に示す一連の処理を終了する。一方、印字が終了していない場合には(ステップS504においてNO)、レーザマーカ100は、処理をステップS501に戻す。
【0077】
図5に示す一連の処理により、報知部25は、印字中に判定部123によりマーキングヘッド20の状態が異常であると判定された場合に、印字が終了したタイミングでマーキングヘッド20の異常を報知する。これにより、ユーザは、マークが歪んでいることを認識することができるため、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0078】
このように、実施の形態1に従うレーザマーカ100は、マーキングヘッド20の移動に関する情報を検出するセンサ281を備える。レーザマーカ100は、センサ281によって検出された情報から得られる値が基準の移動量よりも大きい移動量を示す場合に、マーキングヘッド20の状態は異常であると判定し、センサ281によって検出された情報から得られる値が基準の移動量よりも小さい移動量を示す場合に、マーキングヘッド20の状態は正常であると判定する。
【0079】
これにより、マーキングヘッド20が揺れているか否かに基づいて、マーキングヘッド20の状態が判定されることから、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0080】
また、レーザマーカ100は、マーキングヘッド20の状態を報知する報知部25をさらに備える。報知部25は、印字開始前にマーキングヘッド20の状態が正常であると判定される期間が所定期間継続した場合に、マーキングヘッド20の正常を報知してもよい。ユーザがこの報知を契機にレーザ光の出射開始を指示することにより、マークが歪むことを抑えることができる。その結果、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0081】
報知部25は、印字中にマーキングヘッド20の状態が異常であると判定された場合に、マーキングヘッド20の状態が異常であると判定されたタイミングでマーキングヘッド20の異常を報知してもよい。これにより、ユーザは、マークが歪んでいることを認識することができるため、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0082】
報知部25は、印字中にマーキングヘッド20の状態が異常であると判定された場合に、印字が終了したタイミングでマーキングヘッド20の異常を報知してもよい。これにより、ユーザは、マークが歪んでいることを認識することができるため、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0083】
なお、レーザマーカ100は、センサ281に替えて、後述のセンサ282を備えるのでもよい。また、レーザマーカ100は、センサ281に追加して着座センサをさらに備えてもよい。着座センサとは、マーキングヘッド20と対象物とが接触(または近接)している状態にあることを検知するセンサである。着座センサは、光学式でも接触式でもよい。センサ281によって静止状態にあること、および、着座センサによって対象物に接触していることの、両者を満たした場合に、判定部123は、マーキングヘッド20の状態が正常であると判定すればよい。
【0084】
[実施の形態2]
実施の形態1に係るレーザマーカ100は、印字中にマーキングヘッド20の状態が異常であると判定した場合に、マーキングヘッド20の異常を報知した。これに対し、実施の形態2に係るレーザマーカは、印字中にマーキングヘッドの状態が異常であると判定した場合に、マーキングヘッドの異常を報知するとともに、レーザ光の出射を停止する。以下では、主に実施の形態1と異なる点について説明し、実施の形態1と同様の点については、その説明を繰り返さない。
【0085】
図6は、実施の形態2に係るレーザマーカの制御部の構成を示す図である。実施の形態2に係るレーザマーカ100Aの構成のうち上述のレーザマーカ100の構成と異なる点は、上述の制御部12に替えて制御部12Aを備える点である。制御部12Aは、発振器制御部121A、マーキングヘッド制御部122A、判定部123A、および報知制御部124Aを含む。
【0086】
発振器制御部121Aは、発振器11の動作を制御する。発振器制御部121Aは、レーザ光の出射開始の指示が入力部24によって受け付けられたことに応じて、発振器11にレーザ光の発振を指示する。また、発振器制御部121Aは、マーキングヘッド20(
図1参照)の状態が異常であることを示す通知を判定部123Aから受信したことに応じて、発振器11にレーザ光の発振の停止を指示する。
【0087】
マーキングヘッド制御部122Aは、駆動部23の動作を制御する。マーキングヘッド制御部122Aは、レーザ光の出射開始の指示が入力部24によって受け付けられたことに応じて、駆動部23に駆動の開始を指示する。また、マーキングヘッド制御部122Aは、マーキングヘッド20の状態が異常であることを示す通知を判定部123Aから受信したことに応じて、駆動部23に駆動の停止を指示する。
【0088】
マーキングヘッド20の状態が異常であることを示す通知を判定部123Aから受信したことに応じて、発振器制御部121Aが発振器11にレーザ光の発振の停止を指示し、マーキングヘッド制御部122Aが駆動部23に駆動の停止を指示することにより、マーキングヘッド20はレーザ光の出射を停止する。
【0089】
判定部123Aは、センサ281によって検出された、マーキングヘッド20の移動に関する情報に基づいて、マーキングヘッド20の状態を判定する。判定部123Aによる判定方法は、上述の判定部123による判定方法と同様である。判定部123Aは、判定結果を報知制御部124Aへ送信する。また、判定部123Aは、マーキングヘッド20の状態が異常であると判定した場合に、発振器制御部121A、および、マーキングヘッド制御部122Aに、マーキングヘッド20の状態が異常であることを通知する。
【0090】
報知制御部124Aは、上述の報知制御部124と同じである。
【0091】
図6および
図7を参照して、実施の形態2に係るレーザマーカの処理の一例を説明する。
図7は、実施の形態2に係るレーザマーカの処理のうち印字開始後の処理の一例を示すフローチャートである。
図7に示す処理は、たとえば、印字が開始されたことを契機に開始される。
【0092】
ステップS701において、レーザマーカ100A(詳細には、判定部123A)は、センサ281によって検出された、マーキングヘッド20(
図1参照)の移動に関する情報に基づいて、マーキングヘッド20の状態が異常であるか否かを判定する。マーキングヘッド20の状態が異常である場合には(ステップS701においてYES)、レーザマーカ100Aは、処理をステップS702に移行する。一方、マーキングヘッド20の状態が正常である場合には(ステップS701においてNO)、レーザマーカ100Aは、処理をステップS704に移行する。
【0093】
ステップS702において、レーザマーカ100A(詳細には、報知部25)は、マーキングヘッド20の異常を報知する。一例として、報知部25がインジケータである場合には、赤色のランプが点灯する。他の例として、報知部25がスピーカーである場合には、マーキングヘッド20の異常が音声で報知される。
【0094】
ステップS703において、レーザマーカ100A(詳細には、マーキングヘッド20)は、レーザ光の出射を停止する。ステップS703の後、レーザマーカ100Aは、
図7に示す一連の処理を終了する。
【0095】
ステップS704において、レーザマーカ100Aは、印字が終了したか否かを判定する。印字が終了した場合には(ステップS704においてYES)、レーザマーカ100Aは、
図7に示す一連の処理を終了する。一方、印字が終了していない場合には(ステップS704においてNO)、レーザマーカ100Aは、処理をステップS701に戻す。
【0096】
このように、実施の形態2に従えば、印字中に判定部123Aによりマーキングヘッド20の状態が異常であると判定された場合に、判定部123Aによりマーキングヘッド20の状態が異常であると判定されたタイミングでマーキングヘッド20の異常が報知される。これにより、ユーザは、マークが歪んでいることを認識することができるため、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0097】
また、実施の形態2に従えば、印字中に判定部123Aによりマーキングヘッド20の状態が異常であると判定された場合に、判定部123Aによりマーキングヘッド20の状態が異常であると判定されたタイミングで、レーザ光の出射が停止する。これにより、ユーザはレーザ光の出射停止の指示を入力する必要がない。したがって、ユーザの手間を省くことができる。
【0098】
なお、レーザマーカ100Aは、
図7に示す処理のうちステップS702を行わなくてもよい。すなわち、レーザマーカ100Aは、ステップS701においてYESの場合には、処理をステップS703に移行してもよい。このような場合であっても、レーザ光の出射が停止することから、ユーザはマーキングヘッド20の異常を認識することができる。ゆえに、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0099】
また、実施の形態2に係るレーザマーカ100Aは、印字開始前において、
図3に示す処理を行ってもよい。すなわち、報知部25は、印字開始前にマーキングヘッド20の状態が正常であると判定される期間が所定期間継続した場合に、マーキングヘッド20の正常を報知してもよい。ユーザがこの報知を契機にレーザ光の出射開始を指示することにより、マークが歪むことを抑えることができる。したがって、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0100】
なお、レーザマーカ100Aは、センサ281に替えて、後述のセンサ282を備えるのでもよい。また、レーザマーカ100Aは、センサ281に追加して着座センサをさらに備えてもよい。
【0101】
[実施の形態3]
実施の形態2に係るレーザマーカ100Aは、印字中にマーキングヘッド20の状態が異常であると判定した場合に、マーキングヘッド20の異常状態を報知するとともに、レーザ光の出射を停止した。これに対し、実施の形態3に係るレーザマーカは、レーザ光の出射を停止した場合に、マーキングヘッドの状態が正常になったことに応じて、レーザ光の出射を再開する。以下では、主に実施の形態2と異なる点について説明し、実施の形態2と同様の点については、その説明を繰り返さない。
【0102】
図8は、実施の形態3に係るレーザマーカの構成例を示す図である。実施の形態3に係るレーザマーカ100Bが上述のレーザマーカ100Aと異なる点は、撮像部26をさらに備える点と、上述の制御部12Aに替えて制御部12Bを備える点である。
【0103】
撮像部26は、ワーク1を撮像する。撮像部26は、カメラと照明とを含む。なお、上述の実施の形態と同様に、マーキングヘッド20Bは、遮蔽板27を備えていなくてもよい。その場合には、撮像部26は、少なくともカメラを含んでいればよく、照明を含んでいなくてもよい。
【0104】
図8に示す撮像部26の位置は、一例にすぎない。撮像部26の位置は、ワーク1を撮像できる位置であればよい。
【0105】
図9は、実施の形態3に係るレーザマーカの制御部の構成を示す図である。実施の形態3に係るレーザマーカ100Bの制御部12Bは、発振器制御部121B、マーキングヘッド制御部122B、判定部123B、報知制御部124B、および決定部125Bを含む。
【0106】
発振器制御部121Bは、発振器11の動作を制御する。発振器制御部121Bは、レーザ光の出射開始の指示が入力部24によって受け付けられたことに応じて、発振器11にレーザ光の発振を指示する。また、発振器制御部121Bは、マーキングヘッド20B(
図8参照)の状態が異常であることを示す通知を判定部123Bから受信したことに応じて、発振器11にレーザ光の発振の停止を指示する。また、発振器制御部121Bは、マーキングヘッド20Bの状態が正常であることを示す通知を判定部123Bから受信したことに応じて、発振器11にレーザ光の発振の再開を指示する。
【0107】
マーキングヘッド制御部122Bは、駆動部23の動作を制御する。マーキングヘッド制御部122Bは、レーザ光の出射開始の指示が入力部24によって受け付けられたことに応じて、駆動部23に駆動の開始を指示する。また、マーキングヘッド制御部122Bは、マーキングヘッド20Bの状態が異常であることを示す通知を判定部123Bから受信したことに応じて、駆動部23に駆動の停止を指示する。また、マーキングヘッド制御部122Bは、マーキングヘッド20Bの状態が正常であることを示す通知を判定部123Bから受信したことに応じて、駆動部23に駆動の再開を指示する。マーキングヘッド制御部122Bは、決定部125Bによって決定された再開位置から印字が行われるように、駆動部23を制御する。
【0108】
マーキングヘッド20Bの状態が異常であることを示す通知を判定部123Bから受信したことに応じて、発振器制御部121Bが発振器11にレーザ光の発振の停止を指示し、マーキングヘッド制御部122Bが駆動部23に駆動の停止を指示することにより、マーキングヘッド20Bはレーザ光の出射を停止する。
【0109】
マーキングヘッド20Bの状態が正常であることを示す通知を判定部123Bから受信したことに応じて、発振器制御部121Bが発振器11にレーザ光の発振の再開を指示し、マーキングヘッド制御部122Bが駆動部23に駆動の再開を指示することにより、マーキングヘッド20Bはレーザ光の出射を再開する。
【0110】
判定部123Bは、センサ281によって検出された、マーキングヘッド20Bの移動に関する情報に基づいて、マーキングヘッド20Bの状態を判定する。判定部123Bによる判定方法は、上述の判定部123による判定方法と同様である。判定部123Bは、判定結果を、発振器制御部121B、マーキングヘッド制御部122B、報知制御部124B、および決定部125Bへ送信する。
【0111】
報知制御部124Bは、上述の報知制御部124Aと同じである。
【0112】
決定部125Bは、マーキングヘッド20Bがレーザ光の出射を再開する場合の、マーキングヘッド20Bによる印字の再開位置を、撮像部26による撮像画像に写るワーク1(
図8参照)の特徴部分を基に決定する。決定部125Bによる決定方法は、2つある。第1の方法は、あらかじめワーク1の特徴部分と印字領域との相対位置が登録されている場合に、当該特徴部分に基づいて印字の再開位置を決定するというものである。ワーク1の特徴部分は、レーザマーカ100Bが印字位置を決定する際の基準となる部分であり、ワーク1のエッジ部分でもよいし、ワーク1にあらかじめ印字されているマークでもよいし、ワーク1の本来の模様等でもよい。第2の方法は、現時点におけるマーキングの印字結果に基づいて印字の再開位置を決定するというものである。現時点におけるマーキングの印字結果は、ワーク1の特徴部分の一例である。
【0113】
第1の方法は、ステップA1~A4を含む。決定部125Bは、レーザ光の出射が停止したことに応じて、マークのどの位置まで印字が完了したかを記憶する(ステップA1)。次いで、決定部125Bは、マーキングヘッド20Bの状態が正常であることを示す通知を判定部123Bから受信したことに応じて、撮像部26にワーク1の撮像を指示する(ステップA2)。次いで、決定部125Bは、撮像部26による撮像画像の中からワーク1の特徴部分を検出し、検出した特徴部分に基づいて印字領域を特定する(ステップA3)。次いで、決定部125Bは、マーキングヘッド20Bによる印字の再開位置を、ステップA3で特定した印字領域の中で、ステップA1で記憶した位置に対応する位置に決定する(ステップA4)。
【0114】
第2の方法は、ステップB1~B5を含む。決定部125Bは、レーザ光の出射が停止したことに応じて、マークのどの位置まで印字が完了したかを記憶する(ステップB1)。次いで、決定部125Bは、印字領域のうち印字が完了している領域のサンプル画像を生成する(ステップB2)。次いで、決定部125Bは、マーキングヘッド20Bの状態が正常であることを示す通知を判定部123Bから受信したことに応じて、撮像部26にワーク1の撮像を指示する(ステップB3)。次いで、決定部125Bは、ステップB2で生成したサンプル画像と、撮像部26による撮像画像とをマッチングさせることにより、印字領域を特定する(ステップB4)。次いで、決定部125Bは、マーキングヘッド20Bによる印字の再開位置を、ステップB4で特定した印字領域の中で、ステップB1で記憶した位置に対応する位置に決定する(ステップB5)。
【0115】
図8~
図10を参照して、実施の形態3に係るレーザマーカの処理の一例を説明する。
図10は、実施の形態3に係るレーザマーカの処理の一例を示すフローチャートである。
図10に示す処理は、マーキングヘッド20Bによる印字の再開位置を上述の第1の方法を用いて決定する場合に実行される。
図10に示す処理は、たとえば、印字が開始されたことを契機に開始される。
【0116】
ステップS1001において、レーザマーカ100B(詳細には、判定部123B)は、センサ281によって検出された、マーキングヘッド20Bの移動に関する情報に基づいて、マーキングヘッド20Bの状態が異常であるか否かを判定する。マーキングヘッド20Bの状態が異常である場合には(ステップS1001においてYES)、レーザマーカ100Bは、処理をステップS1002に移行する。一方、マーキングヘッド20Bの状態が正常である場合には(ステップS1001においてNO)、レーザマーカ100Bは、処理をステップS1009に移行する。
【0117】
ステップS1002において、レーザマーカ100B(詳細には、報知部25)は、マーキングヘッド20Bの異常を報知する。一例として、報知部25がインジケータである場合には、赤色のランプが点灯する。他の例として、報知部25がスピーカーである場合には、マーキングヘッド20Bの異常が音声で報知される。
【0118】
ステップS1003において、レーザマーカ100B(詳細には、マーキングヘッド20B)は、レーザ光の出射を停止する。
【0119】
ステップS1004において、レーザマーカ100B(詳細には、決定部125B)は、マークのどの位置まで印字が完了したかを記憶する。ステップS1004の処理は、上述のステップA1に相当する。
【0120】
ステップS1005において、レーザマーカ100B(詳細には、判定部123B)は、センサ281によって検出された、マーキングヘッド20Bの移動に関する情報に基づいて、マーキングヘッド20Bの状態が正常であるか否かを判定する。マーキングヘッド20Bの状態が正常である場合には(ステップS1005においてYES)、レーザマーカ100Bは、処理をステップS1006に移行する。
【0121】
ステップS1006において、レーザマーカ100B(詳細には、撮像部26)は、ワーク1を撮像する。ステップS1006の処理は、上述のステップA2に相当する。
【0122】
ステップS1007において、レーザマーカ100B(詳細には、決定部125B)は、マーキングヘッド20Bがレーザ光の出射を再開する場合の、マーキングヘッド20Bによる印字の再開位置を、ステップS1006の撮像により取得された撮像画像に写るワーク1の特徴部分を基に決定する。ステップS1007の処理は、上述の、ステップA3およびステップA4に相当する。
【0123】
ステップS1008において、レーザマーカ100B(詳細には、マーキングヘッド20B)は、レーザ光の出射を再開し、処理をステップS1001に戻す。
【0124】
ステップS1009において、レーザマーカ100Bは、印字が終了したか否かを判定する。印字が終了した場合には(ステップS1009においてYES)、レーザマーカ100Bは、
図10に示す一連の処理を終了する。一方、印字が終了していない場合には(ステップS1009においてNO)、レーザマーカ100Bは、処理をステップS1001に戻す。
【0125】
なお、決定部125Bがマーキングヘッド20Bによる印字の再開位置を上述の第2の方法により決定する場合には、ステップS1004において、決定部125Bは、マークのどの位置まで印字が完了したかを記憶する(ステップB1)とともに、印字が完了している領域のサンプル画像を生成する(ステップB2)。ステップS1006の処理は、上述のステップB3に相当する。ステップS1007の処理は、上述の、ステップB4およびステップB5に相当する。
【0126】
このように、実施の形態3に従えば、印字中に判定部123Bによりマーキングヘッド20Bの状態が異常であると判定された場合に、判定部123Bによりマーキングヘッド20Bの状態が異常であると判定されたタイミングでマーキングヘッド20Bの異常状態が報知される。これにより、ユーザは、マークが歪んでいることを認識することができるため、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0127】
また、実施の形態3に従えば、印字中に判定部123Bによりマーキングヘッド20Bの状態が異常であると判定された場合に、判定部123Bによりマーキングヘッド20Bの状態が異常であると判定されたタイミングで、レーザ光の出射が停止する。これにより、ユーザはレーザ光の出射停止の指示を入力する必要がない。したがって、ユーザの手間を省くことができる。
【0128】
また、実施の形態3に従えば、印字中にレーザ光の出射を停止した後、判定部123Bによりマーキングヘッド20Bの状態が正常であると判定された場合に、レーザ光の出射が再開される。これにより、ユーザはレーザ光の出射再開の指示を入力する必要がない。したがって、ユーザの手間を省くことができる。
【0129】
また、実施の形態3に従えば、マーキングヘッド20Bによる印字の再開位置が決定されるため、マーキングヘッド20Bの位置がずれた場合であっても正しい位置から印字が再開される。これにより、印字品質が向上する。
【0130】
なお、レーザマーカ100Bは、
図10に示す処理のうちステップS1002を行わなくてもよい。すなわち、レーザマーカ100Bは、ステップS1001においてYESの場合には、処理をステップS1003に移行してもよい。このような場合であっても、レーザ光の出射が停止することから、ユーザはマーキングヘッド20Bの異常を認識することができる。ゆえに、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0131】
また、実施の形態3に係るレーザマーカ100Bは、印字開始前において、
図3に示す処理を行ってもよい。すなわち、報知部25は、印字開始前にマーキングヘッド20Bの状態が正常であると判定される期間が所定期間継続した場合に、マーキングヘッド20Bの正常を報知してもよい。ユーザがこの報知を契機にレーザ光の出射開始を指示することにより、マークが歪むことを抑えることができる。したがって、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0132】
また、レーザマーカ100Bは、マーキングヘッド20Bの異常を報知した場合だけでなく、電断や外部からの通信指示等を契機にレーザ光の出射を停止してもよい。また、このような停止の後に、レーザマーカ100Bは、ステップS1004~ステップS1008を実施してもよい。
【0133】
また、レーザマーカ100Bは、センサ281に替えて、後述のセンサ282を備えるのでもよい。また、レーザマーカ100Bは、センサ281に追加して着座センサをさらに備えてもよい。
【0134】
[実施の形態4]
実施の形態3に係るレーザマーカ100Bは、撮像画像に写るワーク1の特徴部分を基に、マーキングヘッド20Bによる印字の再開位置を決定した。これに対し、実施の形態4に係るレーザマーカは、センサによって検出された移動量を基に、マーキングヘッドによる印字の再開位置を決定する。以下では、主に実施の形態3と異なる点について説明し、実施の形態3と同様の点については、その説明を繰り返さない。
【0135】
図11は、実施の形態4に係るレーザマーカの構成例を示す図である。実施の形態4に係るレーザマーカ100Cが上述のレーザマーカ100Bと異なる点は、3つある。1つ目は、撮像部を備えていない点である。2つ目は、センサ281に替えてセンサ282を備える点である。3つ目は、上述の制御部12Bに替えて制御部12Cを備える点である。
【0136】
レーザマーカ100Cは、マーキングヘッド20Cによる印字の再開位置の決定に撮像部による撮像画像を用いない。そのため、レーザマーカ100Cにおいては、撮像部は必須の構成ではない。
【0137】
センサ282は、「出射部の移動に関する情報を検出するセンサ」の一例である。センサ282は、マーキングヘッド20Cの移動量(並進移動量および回転移動量)を検出する。センサ282には、たとえば、光学式エンコーダ、または、ボール式のセンサを採用することができる。
【0138】
光学式エンコーダは、1つのセンサで回転まで検出することができる。一方、ボール式のセンサは、1つのセンサでは回転までは検出することができない。そのため、センサ282にボール式のセンサを採用する場合には、回転を検出できるように、マーキングヘッド20Cの前方Pと、マーキングヘッド20Cの後方Qとに1つずつセンサを設けることが好ましい。
【0139】
なお、センサ282に光学式エンコーダを採用する場合には、マーキングヘッド20Cの前方Pと、マーキングヘッド20Cの後方Qとのいずれか一方にセンサを設ければよい。また、ボール式のセンサは、鏡面や凹凸が無い面においても位置を検出することができる。したがって、ワーク1の加工面が鏡面である場合や、ワーク1の加工面に凹凸が無い場合には、センサ282にボール式のセンサを採用することが好ましい。
【0140】
なお、
図11に示すセンサ282の位置は、一例にすぎない。センサ282の位置は、マーキングヘッド20Cの移動量を検出できる位置であればよい。
【0141】
レーザマーカ100Cは、センサ282によって検出された移動量に基づいて、マーキングヘッド20Cの状態を判定する。また、レーザマーカ100Cは、センサ282によって検出された移動量に基づいて、マーキングヘッド20Cによる印字の再開位置を決定する。
【0142】
図12は、実施の形態4に係るレーザマーカの制御部の構成を示す図である。実施の形態4に係るレーザマーカ100Cの制御部12Cは、発振器制御部121C、マーキングヘッド制御部122C、判定部123C、報知制御部124C、および決定部125Cを含む。
【0143】
発振器制御部121C、マーキングヘッド制御部122C、および報知制御部124Cは、上述の発振器制御部121B、マーキングヘッド制御部122B、および報知制御部124Bと同じである。
【0144】
判定部123Cは、センサ282によって検出された移動量が基準の移動量と同じ、もしくは、基準の移動量よりも大きい場合に、マーキングヘッド20Cが揺れていると判断し、マーキングヘッド20Cの状態は異常であると判定する。一方、判定部123Cは、センサ282によって検出された移動量が基準の移動量よりも小さい場合に、マーキングヘッド20Cが静止していると判断し、マーキングヘッド20Cの状態は正常であると判定する。
【0145】
なお、判定部123Cは、センサ282によって検出された移動量が基準の移動量よりも大きい場合に、マーキングヘッド20Cが揺れていると判断し、マーキングヘッド20Cの状態は異常であると判定してもよい。その場合には、判定部123Cは、センサ282によって検出された移動量が基準の移動量と同じ、もしくは、基準の移動量よりも小さい場合に、マーキングヘッド20Cが静止していると判断し、マーキングヘッド20Cの状態は正常であると判定する。
【0146】
また、判定部123Cは、センサ282によって検出された移動量を基にマーキングヘッド20Cの一定時間の移動量の平均値を算出し、当該平均値が基準の移動量と同じ、もしくは、基準の移動量よりも大きい場合に、マーキングヘッド20Cの状態は異常であると判定してもよい。その場合には、判定部123Cは、センサ282によって検出された移動量を基に算出されたマーキングヘッド20Cの一定時間の移動量の平均値が基準の移動量よりも小さい場合に、マーキングヘッド20Cの状態は正常であると判定する。
【0147】
また、判定部123Cは、センサ282によって検出された移動量を基にマーキングヘッド20Cの一定時間の移動量の平均値を算出し、当該平均値が基準の移動量よりも大きい場合に、マーキングヘッド20Cの状態は異常であると判定してもよい。その場合には、判定部123Cは、センサ282によって検出された移動量を基に算出されたマーキングヘッド20Cの一定時間の移動量の平均値が基準の移動量と同じ、もしくは、基準の移動量よりも小さい場合に、マーキングヘッド20Cの状態は正常であると判定する。
【0148】
判定部123Cは、判定結果を、発振器制御部121C、マーキングヘッド制御部122C、報知制御部124C、および決定部125Cへ送信する。
【0149】
決定部125Cは、センサ282によって検出されたマーキングヘッド20Cの移動量を記憶する。決定部125Cは、マーキングヘッド20Cがレーザ光の出射を再開する場合の、マーキングヘッド20Cによる印字の再開位置を、センサ282によって検出されたマーキングヘッド20Cの移動量に基づいて決定する。決定部125Cによる決定方法は、ステップC1~C3を含む。
【0150】
決定部125Cは、レーザ光の出射が停止したことに応じて、マークのどの位置まで印字が完了したかを記憶する(ステップC1)。次いで、決定部125Cは、マーキングヘッド20Cの状態が正常であることを示す通知を判定部123Cから受信したことに応じて、印字データを座標変換する(ステップC2)。詳細には、決定部125Cは、レーザ光の出射が開始されてからレーザ光の出射が停止するまでの間にセンサ282によって検出されたマーキングヘッド20Cの移動量を基に、印字データを座標変換する。一例として、決定部125Cは、センサ282によって検出されたマーキングヘッド20Cの移動量がX軸方向に3ミリメートルである場合には、印字データをX軸方向に3ミリメートル移動するような座標変換を行う。次いで、決定部125Cは、マーキングヘッド20Cによる印字の再開位置を、ステップC2で座標変換された印字データによって示される印字領域の中で、ステップC1で記憶した位置に対応する位置に決定する(ステップC3)。
【0151】
図11~
図13を参照して、実施の形態4に係るレーザマーカの処理の一例を説明する。
図13は、実施の形態4に係るレーザマーカの処理の一例を示すフローチャートである。
図13に示す処理は、たとえば、印字が開始されたことを契機に開始される。
【0152】
ステップS1301において、レーザマーカ100C(詳細には、判定部123C)は、センサ282によって検出された、マーキングヘッド20Cの移動量に基づいて、マーキングヘッド20Cの状態が異常であるか否かを判定する。マーキングヘッド20Cの状態が異常である場合には(ステップS1301においてYES)、レーザマーカ100Cは、処理をステップS1302に移行する。一方、マーキングヘッド20Cの状態が正常である場合には(ステップS1301においてNO)、レーザマーカ100Cは、処理をステップS1308に移行する。
【0153】
ステップS1302において、レーザマーカ100C(詳細には、報知部25)は、マーキングヘッド20Cの異常を報知する。一例として、報知部25がインジケータである場合には、赤色のランプが点灯する。他の例として、報知部25がスピーカーである場合には、マーキングヘッド20Cの異常が音声で報知される。
【0154】
ステップS1303において、レーザマーカ100C(詳細には、マーキングヘッド20C)は、レーザ光の出射を停止する。
【0155】
ステップS1304において、レーザマーカ100C(詳細には、決定部125C)は、マークのどの位置まで印字が完了したかを記憶する。ステップS1304の処理は、上述のステップC1に相当する。
【0156】
ステップS1305において、レーザマーカ100C(詳細には、判定部123C)は、センサ282によって検出された、マーキングヘッド20Cの移動量に基づいて、マーキングヘッド20Cの状態が正常であるか否かを判定する。マーキングヘッド20Cの状態が正常である場合には(ステップS1305においてYES)、レーザマーカ100Cは、処理をステップS1306に移行する。
【0157】
ステップS1306において、レーザマーカ100C(詳細には、決定部125C)は、マーキングヘッド20Cがレーザ光の出射を再開する場合の、マーキングヘッド20Cによる印字の再開位置を、センサ282によって検出されたマーキングヘッド20Cの移動量に基づいて決定する。ステップS1306の処理は、上述の、ステップC2およびステップC3に相当する。
【0158】
ステップS1307において、レーザマーカ100C(詳細には、マーキングヘッド20C)は、レーザ光の出射を再開し、処理をステップS1301に戻す。
【0159】
ステップS1308において、レーザマーカ100Cは、印字が終了したか否かを判定する。印字が終了した場合には(ステップS1308においてYES)、レーザマーカ100Cは、
図13に示す一連の処理を終了する。一方、印字が終了していない場合には(ステップS1308においてNO)、レーザマーカ100Cは、処理をステップS1301に戻す。
【0160】
なお、実施の形態4に係るレーザマーカ100Cは、印字開始前において、
図3に示す処理を行ってもよい。すなわち、報知部25は、印字開始前にマーキングヘッド20Cの状態が正常であると判定される期間が所定期間継続した場合に、マーキングヘッド20Cの正常を報知してもよい。
【0161】
これにより、実施の形態4に従えば、実施の形態3と同様の効果を奏することができる。
【0162】
なお、レーザマーカ100Cは、
図13に示す処理のうちステップS1302を行わなくてもよい。すなわち、レーザマーカ100Cは、ステップS1301においてYESの場合には、処理をステップS1303に移行してもよい。このような場合であっても、レーザ光の出射が停止することから、ユーザはマーキングヘッド20Cの異常を認識することができる。ゆえに、マークが歪んでいるワークが後工程に流れてしまうことを抑えることができる。
【0163】
また、レーザマーカ100Cは、上述の撮像部26を備えていてもよい。そのような場合には、決定部125Cは、撮像部26による撮像画像に写るワーク1の特徴部分、および、センサ282によって検出されたマーキングヘッド20Cの移動量を基に、マーキングヘッド20Cによる印字の再開位置を決定してもよい。一例として、決定部125Cは、上述のステップB1~B5により決定した再開位置を、上述のステップC1~C3により決定した再開位置に基づいて補正する。このような方法で再開位置を決定することにより、レーザ光の出射が停止したタイミングで印字が完了している箇所が少ないような場合であっても、再開位置の精度を高めることができる。
【0164】
また、レーザマーカ100Cは、マーキングヘッド20Cの異常を報知した場合だけでなく、電断や外部からの通信指示等を契機にレーザ光の出射を停止してもよい。また、このような停止の後に、レーザマーカ100Cは、ステップS1304~ステップS1307を実施してもよい。
【0165】
また、レーザマーカ100Cは、センサ282に追加して着座センサをさらに備えてもよい。
【0166】
[実施の形態5]
実施の形態1~4に係るレーザマーカ100,100A,100B,100Cは、ハンディータイプであった。これに対し、実施の形態5に係るレーザマーカは、据え置きタイプである。以下では、主に実施の形態1と異なる点について説明し、実施の形態1と同様の点については、その説明を繰り返さない。
【0167】
図14は、実施の形態5に係るレーザマーカの構成例を示す図である。実施の形態5に係るレーザマーカ100Dは、据え置きタイプである。レーザマーカ100Dは、コントローラ10と、マーキングヘッド20Dと、ケーブル30とを含む。
【0168】
コントローラ10は、発振器11と制御部12とを含む。マーキングヘッド20Dは、ケーブル30によってコントローラ10に接続される。マーキングヘッド20Dは、走査機構21、報知部25、およびセンサ281を含む。走査機構21は、ミラー22と駆動部23とを含む。発振器11により発振されたレーザ光は、ミラー22において反射されて、ステージ301に置かれたワーク1の表面に照射される。
【0169】
レーザマーカ100Dは、上述のレーザマーカ100と同様の処理を行う。これにより、実施の形態5に従えば、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0170】
なお、
図14に示す例では、コントローラ10とマーキングヘッド20Dとが別体であるが、コントローラ10とマーキングヘッド20Dとが1つの筐体に収容されてもよい。また、各部品の配置は、一例にすぎず、
図14に示すものに限られない。
【0171】
また、マーキングヘッド20Dの状態は報知部25による報知に替えて、もしくは、報知部25による報知とともに、設定装置200の画面上に表示されてもよい。設定装置200は、ケーブル203によってレーザマーカ100Dと接続され、ユーザから加工条件や印字データ等の入力を受け付ける。
【0172】
また、レーザマーカ100Dは、上述のレーザマーカ100Aと同様の処理を行ってもよい。これにより、実施の形態2と同様の効果を奏することができる。
【0173】
また、レーザマーカ100Dは、上述の撮像部26を備え、上述のレーザマーカ100Bと同様の処理を行ってもよい。これにより、実施の形態3と同様の効果を奏することができる。
【0174】
また、レーザマーカ100Dは、センサ281に替えて上述のセンサ282を備え、上述のレーザマーカ100Cと同様の処理を行ってもよい。これにより、実施の形態4と同様の効果を奏することができる。
【0175】
以上、実施の形態および変形例について説明した。なお、上述の実施の形態および変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0176】
[付記]
上述した実施の形態は、以下のような技術思想を含む。
【0177】
[構成1]
レーザ光を発振する発振器(11)と、
前記発振器(11)によって発振された前記レーザ光を出射することにより、印字データに基づいた印字をワーク(1)に行う出射部(20,20B,20C,20D)と、
前記出射部(20,20B,20C,20D)の移動に関する情報を検出するセンサ(281,282)と、
前記センサ(281,282)によって検出された前記情報に基づいて、前記出射部(20,20B,20C,20D)の状態を判定する判定部(123,123A,123B,123C)と、を備え、
前記判定部(123,123A,123B,123C)は、
前記センサ(281,282)によって検出された前記情報から得られる値が基準の移動量よりも大きい移動量を示す場合に、前記出射部(20,20B,20C,20D)の状態は異常であると判定し、
前記センサ(281,282)によって検出された前記情報から得られる値が基準の移動量よりも小さい移動量を示す場合に、前記出射部(20,20B,20C,20D)の状態は正常であると判定する、レーザマーカ。
【0178】
[構成2]
前記レーザマーカ(100,100A,100B,100C,100D)は、報知部(25)をさらに備え、
前記報知部(25)は、前記判定部(123,123A,123B,123C)によって判定された前記出射部(20,20B,20C,20D)の状態を報知する、構成1に記載のレーザマーカ。
【0179】
[構成3]
前記報知部(25)は、印字開始前に前記判定部(123,123A,123B,123C)により前記出射部(20,20B,20C,20D)の状態が正常であると判定される期間が所定期間継続した場合に、前記出射部(20,20B,20C,20D)の正常を報知する、構成2に記載のレーザマーカ。
【0180】
[構成4]
前記報知部(25)は、印字中に前記判定部(123,123A,123B,123C)により前記出射部(20,20B,20C,20D)の状態が異常であると判定された場合に、前記判定部(123,123A,123B,123C)により前記出射部(20,20B,20C,20D)の状態が異常であると判定されたタイミングで前記出射部(20,20B,20C,20D)の異常を報知する、構成2または構成3に記載のレーザマーカ。
【0181】
[構成5]
前記報知部(25)は、印字中に前記判定部(123,123A,123B,123C)により前記出射部(20,20B,20C,20D)の状態が異常であると判定された場合に、印字が終了したタイミングで前記出射部(20,20B,20C,20D)の異常を報知する、構成2または構成3に記載のレーザマーカ。
【0182】
[構成6]
前記出射部(20)は、印字中に前記判定部(123A)により前記出射部(20)の状態が異常であると判定された場合に、前記レーザ光の出射を停止する、構成1~構成5のいずれか1項に記載のレーザマーカ。
【0183】
[構成7]
前記出射部(20B,20C)は、印字中に前記レーザ光の出射を停止した後、前記判定部(123B,123C)により前記出射部(20B,20C)の状態が正常であると判定された場合に、前記レーザ光の出射を再開する、構成1~構成6のいずれか1項に記載のレーザマーカ。
【0184】
[構成8]
前記レーザマーカ(100B)は、
前記出射部(20B)が前記レーザ光の出射を再開する場合の、前記出射部(20B)による印字の再開位置を決定する決定部(125B)と、
前記ワーク(1)を撮像する撮像部(26)と、をさらに備え、
前記決定部(125B)は、前記撮像部(26)による撮像画像に写る前記ワーク(1)の特徴部分を基に、前記出射部(20B)による印字の再開位置を決定する、構成7に記載のレーザマーカ。
【0185】
[構成9]
前記特徴部分は、印字結果である、構成8に記載のレーザマーカ。
【0186】
[構成10]
前記レーザマーカ(100C)は、前記出射部(20C)が前記レーザ光の出射を再開する場合の、前記出射部(20C)による印字の再開位置を決定する決定部(125C)をさらに備え、
前記センサ(282)は、前記出射部(20C)の移動量を検出し、
前記決定部(125C)は、前記センサ(282)によって検出された前記移動量を基に、前記出射部(20C)による印字の再開位置を決定する、構成7に記載のレーザマーカ。
【0187】
[構成11]
前記レーザマーカ(100C)は、
前記出射部(20C)が前記レーザ光の出射を再開する場合の、前記出射部(20C)による印字の再開位置を決定する決定部(125C)と、
前記ワーク(1)を撮像する撮像部(26)と、をさらに備え、
前記センサ(282)は、前記出射部(20C)の移動量を検出し、
前記決定部は(125C)、前記撮像部(26)による撮像画像に写る前記ワーク(1)の特徴部分、および、前記センサ(282)によって検出された前記出射部(20C)の前記移動量を基に、前記出射部(20C)による印字の再開位置を決定する、構成7に記載のレーザマーカ。
【0188】
[構成12]
前記レーザマーカ(100,100A,100B,100C)は、ハンディータイプである、構成1~構成11のいずれか1項に記載のレーザマーカ。
【0189】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0190】
1 ワーク、2 レーザ光、10 コントローラ、11 発振器、12,12A,12B,12C 制御部、20,20B,20C,20D マーキングヘッド、21 走査機構、22 ミラー、23 駆動部、24 入力部、25 報知部、26 撮像部、27 遮蔽板、30,203 ケーブル、100,100A,100B,100C,100D レーザマーカ、121,121A,121B,121C 発振器制御部、122,122A,122B,122C マーキングヘッド制御部、123,123A,123B,123C 判定部、124,124A,124B,124C 報知制御部、125B,125C 決定部、200 設定装置、281,282 センサ、301 ステージ。