(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】サポートプログラムおよび印刷システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241112BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G06F3/12 325
G06F3/12 305
G06F3/12 328
G06F3/12 353
G06F3/12 357
B41J29/38 202
(21)【出願番号】P 2021045319
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】成田 建樹
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-175330(JP,A)
【文献】特開2019-119089(JP,A)
【文献】特開2019-032598(JP,A)
【文献】特開2018-067260(JP,A)
【文献】特開2016-134128(JP,A)
【文献】特開2007-180965(JP,A)
【文献】特開2016-068312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、前記情報処理装置と接続するプリンタに対応し、前記情報処理装置のオペレーティングシステムにあらかじめ組み込まれた汎用印刷プログラムをサポートするサポートプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記プリンタからデフォルトの印刷設定を取得する取得処理を実行させ、前記プリンタには、前記デフォルトの印刷設定が記憶されており、前記プリンタは、印刷設定を初期状態に戻す指示を受け付けた場合、現在設定されている印刷設定を、前記デフォルトの印刷設定に変更するものであり、
さらに前記コンピュータに、
前記情報処理装置に組み込まれている編集アプリケーションプログラムから出力された表示指示であって、前記汎用印刷プログラムに対して前記プリンタでの印刷に用いる印刷設定を受け付ける設定画面を表示する前記表示指示があった場合に、前記設定画面を前記情報処理装置のユーザインタフェースを用いて表示する表示処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記取得処理にて取得した前記デフォルトの印刷設定を、前記設定画面に反映させる反映処理を実行させる、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載するサポートプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記表示指示があった場合に、前記反映処理も実行させ、
前記表示処理では、前記取得処理にて取得した前記デフォルトの印刷設定が前記反映処理にて反映された前記設定画面を、前記ユーザインタフェースを用いて表示する、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項3】
請求項1に記載するサポートプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記設定画面に表示される所定の操作子への操作が行われた場合に、前記反映処理を実行させる、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載するサポートプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記取得処理にて取得した前記デフォルトの印刷設定を、前記情報処理装置のメモリに記憶するキャッシュ処理を実行させ、
前記反映処理では、
前記メモリに前記デフォルトの印刷設定が記憶されていない場合、前記取得処理を実行させ、前記取得処理の実行後、取得した前記デフォルトの印刷設定を、前記設定画面に反映させ、さらに前記キャッシュ処理を実行させ、
前記メモリに前記デフォルトの印刷設定が記憶されている場合、前記取得処理にて取得した前記デフォルトの印刷設定を前記メモリから読み出し、読み出した前記デフォルトの印刷設定を、前記設定画面に反映させる、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載するサポートプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記情報処理装置に組み込まれている前記編集アプリケーションプログラムから出力された印刷指示であって、前記汎用印刷プログラムに対して画像の印刷を前記プリンタに行わせる前記印刷指示があった場合に、前記印刷指示での印刷対象となる画像データを前記汎用印刷プログラムから受け取り、受け取った前記画像データについて前記設定画面で設定された印刷設定に従って画像を加工する画像加工処理を実行させ、前記デフォルトの印刷設定には、前記画像加工処理にて画像に加工が施される項目が含まれる、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載するサポートプログラムにおいて、
前記設定画面で設定された印刷設定のうち、前記画像加工処理にて加工が施される前記項目とは、前記汎用印刷プログラムから受け取った前記画像データからラスタ画像を生成する際に前記ラスタ画像のRGB値を補正する設定である、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項7】
請求項5に記載するサポートプログラムにおいて、
前記設定画面で設定された印刷設定のうち、前記画像加工処理にて加工が施される前記項目とは、記汎用印刷プログラムから受け取った前記画像データからラスタ画像を生成する際に画像の濃度を下げる設定である、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項8】
請求項5に記載するサポートプログラムにおいて、
前記設定画面で設定された印刷設定のうち、前記画像加工処理にて加工が施される前記項目とは、特定のRGB値についてRGB値をCMYK値に変換する際の変換テーブルを補正する設定である、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項9】
情報処理装置と、プリンタと、を備える印刷システムであって、
前記プリンタには、デフォルトの印刷設定が記憶されており、
前記プリンタは、
印刷設定を初期状態に戻す指示を受け付けた場合、現在設定されている印刷設定を、前記デフォルトの印刷設定に変更し、
前記情報処理装置は、
前記プリンタから前記デフォルトの印刷設定を取得し、
さらに前記情報処理装置は、
前記情報処理装置に組み込まれている編集アプリケーションプログラムから出力された表示指示であって、前記情報処理装置のオペレーティングシステムにあらかじめ組み込まれた汎用印刷プログラムに対して前記プリンタでの印刷に用いる印刷設定を受け付ける設定画面を表示する前記表示指示があった場合に、前記設定画面を前記情報処理装置のユーザインタフェースを用いて表示し、
さらに前記情報処理装置は、
取得した前記デフォルトの印刷設定を、前記設定画面に反映させる、
ことを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、プリンタの制御をサポートするサポートプログラムおよび印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタドライバを利用せず、オペレーティングシステム(OS)に標準に組み込まれている印刷プログラムによってプリンタを制御する技術が実用化されている。この技術では、OSがプリンタとOS標準の印刷プログラムとの関連付けを行い、以後、そのプリンタに対する印刷指示を受け付けた場合に、プリンタドライバを用いずに、OS標準の印刷プログラムによる印刷が可能になる。
【0003】
また、プリンタは、所定の印刷設定を記憶し、その印刷設定を印刷時に利用する技術が知られている。例えば特許文献1には、所定の印刷設定が登録可能であり、印刷ジョブの設定と登録された印刷設定とが異なっている場合に、プリンタの操作パネルにおいて、印刷を継続するか否かを問い合わせる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリンタに記憶される所定の印刷設定には、ユーザ操作によって登録されるユーザ任意の印刷設定の他、あらかじめ工場出荷時から記憶され、ユーザ操作による変更ができないデフォルトの印刷設定がある。プリンタは、例えば印刷設定のリセット指示を受け付けた場合に、印刷設定をこのデフォルトの印刷設定に変更する。デフォルトの印刷設定に含まれる設定項目には、モデルごとに決められている項目の他、例えばオプション部品の装着状況や国ごとの特別な仕向に基づいてカスタマイズされる項目もある。
【0006】
一方、情報処理装置において、OS標準の印刷プログラムによって印刷設定を受け付ける場合、プリンタに記憶されるデフォルトの印刷設定は参照されず、例えばOS標準の印刷プログラムに設定されているデフォルトの印刷設定が初期表示される。そのため、例えばプリンタのデフォルトの印刷設定がカスタマイズされている場合、そのカスタマイズされたデフォルトの印刷設定が、情報処理装置での印刷設定の入力の際に反映され難い。その結果、情報処理装置からプリンタにそのカスタマイズされたデフォルトの印刷設定で印刷を指示するには、情報処理装置においてユーザがそのカスタマイズされたデフォルトの印刷設定となるように印刷設定を変更する手間が生じる。
【0007】
本明細書は、OS標準の汎用印刷プログラムが組み込まれた情報処理装置において、プリンタに記憶されたデフォルトの印刷設定での印刷を指示する場合の、印刷設定の手間を軽減する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の解決を目的としてなされたサポートプログラムは、情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、前記情報処理装置と接続するプリンタに対応し、前記情報処理装置のオペレーティングシステムにあらかじめ組み込まれた汎用印刷プログラムをサポートするサポートプログラムであって、前記コンピュータに、前記プリンタからデフォルトの印刷設定を取得する取得処理を実行させ、前記プリンタには、前記デフォルトの印刷設定が記憶されており、前記プリンタは、印刷設定を初期状態に戻す指示を受け付けた場合、現在設定されている印刷設定を、前記デフォルトの印刷設定に変更するものであり、さらに前記コンピュータに、前記情報処理装置に組み込まれている編集アプリケーションプログラムから出力された表示指示であって、前記汎用印刷プログラムに対して前記プリンタでの印刷に用いる印刷設定を受け付ける設定画面を表示する前記表示指示があった場合に、前記設定画面を前記情報処理装置のユーザインタフェースを用いて表示する表示処理を実行させ、さらに前記コンピュータに、前記取得処理にて取得した前記デフォルトの印刷設定を、前記設定画面に反映させる反映処理を実行させる、ことを特徴とする。
【0009】
上記構成を有するサポートプログラムは、あらかじめプリンタに記憶されているデフォルトの印刷設定を取得し、情報処理装置で表示される設定画面に反映させる。つまり、設定画面に表示される印刷設定をプリンタのデフォルトの印刷設定とし、そのデフォルトの印刷設定での印刷指示を受け付け可能にする。これにより、サポートプログラムが組み込まれた情報処理装置では、プリンタのデフォルトの印刷設定での印刷を指示したい場合の、印刷設定を行うためのユーザの手間を軽減することができる。
【0010】
上記装置の機能を実現するための印刷システム、制御方法、コンピュータプログラム、および当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0011】
本明細書に開示される技術によれば、OS標準の汎用印刷プログラムが組み込まれた情報処理装置において、プリンタに記憶されたデフォルトの印刷設定での印刷を指示する場合の、印刷設定の手間を軽減する技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】PCの電気的構成の概略を示すブロック図である。
【
図2】各プログラムによる印刷動作の手順の例を示すシーケンス図である。
【
図4】画面操作受付処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図5】反映判定処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図6】各プログラムによる印刷動作の手順の別例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本形態のサポートプログラムを利用するパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本明細書は、印刷機能を有するプリンタと、プリンタに接続されるPCにて実行されるサポートプログラムと、を含む印刷システムを開示する。
【0014】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。本形態の印刷システム100は、
図1に示すように、PC1とプリンタ2とを含む。PC1は「情報処理装置」の一例である。プリンタ2は、印刷機能を有する装置である。PC1とプリンタ2とは、通信可能に接続されている。本形態のプリンタ2は、例えば、PC1等から印刷データを受信して、受信した印刷データに基づく印刷を実行する。
【0015】
本形態のPC1は、
図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含むコントローラ10を備えている。CPU11は「コンピュータ」の一例である。また、PC1は、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、を備え、これらがコントローラ10に電気的に接続されている。なお、
図1中のコントローラ10は、PC1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にPC1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0016】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ12には、各種のアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」とする)を含む、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。メモリ12は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。CPU11が備えるバッファも、メモリの一例である。なお、メモリ12の一例は、PC1に内蔵されるROM、RAM、HDD等に限らず、CPU11が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体、例えば、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体であっても良い。
【0017】
ユーザIF13は、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。なお、ユーザIF13は、情報を表示可能なディスプレイと、入力受付機能を有するマウスやキーボード等と、の組であっても良いし、表示機能と入力受付機能とを備えるタッチパネルであっても良い。
【0018】
通信IF14は、プリンタ2等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF14の通信規格は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、USBなどである。PC1は、複数の通信規格に対応する複数の通信IF14を備えていてもよい。
【0019】
PC1のメモリ12には、
図1に示すように、汎用印刷プログラム41を含むオペレーティングシステム(以下、「OS」とする)21と、補助プログラム42と、編集アプリ43と、が記憶されている。補助プログラム42は「サポートプログラム」の一例である。編集アプリ43は「編集アプリケーションプログラム」の一例である。OS21は、例えば、Windows(登録商標)、macOS(登録商標)、Linux(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)である。
【0020】
汎用印刷プログラム41は、ユーザの指示に基づいて、プリンタ2等の各種のプリンタに印刷を実行させるためのOS標準のプログラムである。本形態の汎用印刷プログラム41は、印刷対象の画像データに基づいて、中間画像データを生成する機能を含むプログラムである。
【0021】
汎用印刷プログラム41は、各種のプリンタのベンダによって提供される複数種類のモデルのプリンタが共通に利用できる機能をサポートしている。汎用印刷プログラム41は、各種のプリンタが固有に備える機能の全てに対応するものではなく、サポートする機能は汎用的なものに限られる。
【0022】
補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41の処理に付随してOS21からの指示に基づいて処理を実行するプログラムまたはプログラム群であり、対象のハードウェアの制御をサポートするアプリである。本形態の補助プログラム42は、PC1に接続されているプリンタ2のモデルに対応するものであり、例えば、汎用印刷プログラム41を使用してプリンタ2に印刷を実行させる指示を受け付けた場合に、汎用印刷プログラム41から起動される。補助プログラム42は、例えば、ハードウェアサポートアプリ(略称、HSA)と呼ばれる。
【0023】
補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41から複数種の命令を受け付け可能であり、受け付けた命令に基づいて、各種の処理を実行する。なお、補助プログラム42は、それぞれが実行命令を受け付ける複数のプログラムの組み合わせであっても良いし、1つのプログラムであって命令に応じてそれぞれ異なる処理を実行できるプログラムであっても良い。
【0024】
補助プログラムは、プリンタのベンダによってプリンタのタイプごとに用意されるプログラムであっても良い。例えば、インクジェットプリンタ用の補助プログラムやレーザプリンタ用の補助プログラムが、それぞれ用意されても良い。PC1のOS21は、例えば、新たなプリンタがPC1に接続された場合、接続されたプリンタのタイプに応じて、適切な補助プログラムをサーバ等からダウンロードして自装置に組み込む。そして、OS21は、組み込んだ補助プログラムの識別情報を新たに接続されたプリンタのプリンタ情報に対応付けて、メモリ12に記憶させる。なお、プリンタのタイプごとに限らず、プリンタのモデルごとやプリンタのモデルのシリーズごとに用意される補助プログラムが有っても良い。
【0025】
編集アプリ43は、例えば、画像データや文書データの作成や編集を行うためのアプリである。編集アプリ43は、例えば、マイクロソフト(登録商標)製のワードやパワーポイントなどであっても良いし、プリンタ2のベンダから提供されるアプリであっても良い。編集アプリ43は、プリンタ2に所定の動作を行わせる指示を含むユーザ操作を受け付ける。具体的には、編集アプリ43は、ユーザIF13を介して、例えば、プリンタ2に印刷を実行させる印刷実行指示を受け付ける。
【0026】
プリンタ2は、自装置のメモリにデフォルトの印刷設定を記憶している。プリンタ2は、自装置の操作パネルや、プリンタ2を管理する管理デバイスを介して、印刷設定を変更できる。プリンタ2は、図示しない操作パネルや管理デバイス等を介して印刷設定を初期状態に戻す指示を受け付けた場合に、自装置に現在設定されている印刷設定を、デフォルトの印刷設定に変更する。デフォルトの印刷設定は、工場出荷時から或いはユーザに納入される前にあらかじめプリンタ2の不揮発性メモリに記憶されている既定の印刷設定である。デフォルトの印刷設定については、後述する。
【0027】
次に、本形態の補助プログラム42の動作を含む印刷の手順について、
図2のシーケンス図を参照して説明する。
図2は、編集アプリ43等の印刷指示を受け付けるアプリにて、汎用印刷プログラム41を使用してプリンタ2に印刷させる印刷実行指示を受け付けた場合であって、プリンタ2に対応する補助プログラム42がPC1に組み込まれている場合の動作について示している。
【0028】
なお、本形態における処理およびフローチャートの各処理ステップは、基本的に、補助プログラム42などのプログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を示す。CPU11による処理は、OS21のAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OS21の詳細な記載を省略して各プログラムの動作を説明する。また、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。
【0029】
編集アプリ43は、ユーザの指示に基づいて、文章や図表等の作成や編集を受け付ける。編集アプリ43は、選択中の文章等の印刷に関する指示を受け付けると(A01)、ユーザによる指示を受け付けるための印刷画面をユーザIF13に表示する(A02)。編集アプリ43は、印刷画面にて、例えば、印刷実行指示、基本的な印刷設定の指示、詳細な印刷設定の受け付け開始の指示を受け付ける。
【0030】
編集アプリ43は、表示中の印刷画面にてプリンタ2が選択された状態で、詳細な印刷設定の受け付け開始の指示を受け付けた場合(A03)、受け付けた詳細設定指示の情報をOS21に渡す。OS21は、汎用印刷プログラム41を使用する印刷に関する詳細設定の指示を受け付けた場合、汎用印刷プログラム41を実行させ、汎用印刷プログラム41に詳細な印刷設定の受け付け開始指示を渡す(A04)。詳細な印刷設定の受け付け開始指示は「表示指示」の一例である。汎用印刷プログラム41は、詳細な印刷設定の受け付け開始指示を受け付けると、選択中のプリンタであるプリンタ2に対応する補助プログラム42に詳細な印刷設定の受け付け実行指示を渡す(A05)。
【0031】
補助プログラム42は、実行指示に応じて、プリンタ2での印刷に用いる印刷設定を受け付けるための詳細設定画面をユーザIF13に表示させる(A11)。詳細設定画面は「設定画面」の一例である。A11の処理は「表示処理」の一例である。詳細設定画面の一例を
図3に示す。
図3(A)は、デフォルトの印刷設定を反映する前を示し、
図3(B)は、デフォルトの印刷設定を反映した後を示す。
【0032】
例えば
図3(A)に示すように、詳細設定画面230には、印刷設定の項目が表示される。その印刷設定の項目には、汎用印刷プログラム41が対応できないプリンタ2特有の印刷設定の項目が、含まれる。そのため、詳細設定画面230では、汎用印刷プログラム41では対応できない印刷設定を設定できる。なお、詳細設定画面230に表示される印刷設定の項目には、さらに、汎用印刷プログラム41が対応できる印刷設定の項目が、含まれていてもよい。各項目には、補助プログラム42に現在設定されている設定値(以下「PC側現在値」とする)が表示されている。各項目は、複数の設定値を選択可能に表示したり、任意に入力したりできるようにして、設定値を変更できるようになっている。各項目には、汎用印刷プログラム41では設定できない設定値でも、プリンタ2が対応可能な設定値であれば、設定できる。
【0033】
詳細設定画面230には、設定ボタン232と、戻るボタン233と、リセットボタン234が表示されている。設定ボタン232は、印刷設定を確定する指示を受け付けるための操作子である。戻るボタン233は、印刷設定を確定せずに前の画面に戻る指示を受け付けるための操作子である。リセットボタン234は、詳細設定画面230に表示される印刷設定に、プリンタ2に記憶されているデフォルトの印刷設定を反映させる指示を受け付けるための操作子である。リセットボタン234は「所定の操作子」の一例である。
【0034】
図2に戻り、詳細設定画面230を表示した補助プログラム42は、画面操作受付処理を行う(A12)。画面操作受付処理では、詳細設定画面230の操作をユーザIF13を介して受け付ける。画面操作受付処理について、
図4のフローチャートを参照して説明する。画像操作受付処理は、PC1のCPU11によって実行される。
【0035】
CPU11は、詳細設定画面230が操作されたか否かを判断する(S1)。CPU11は、詳細設定画面230に表示される操作子が操作されない場合、待機する(S1:NO)。
【0036】
CPU11は、例えば、
図3(A)に示す詳細設定画面230に表示される何れかの項目について変更する操作を受け付けると(Y1:YES、S3:YES)、その項目についての設定を入力操作に応じて変更し(S11)、S1に戻る。例えば、CPU11は、ユーザIF13を介して、詳細設定画面230の給紙トレイの設定表示が「トレイ1」から「増設トレイ」に変更された場合、給紙トレイの印刷設定を「トレイ1」から「増設トレイ」に変更する。
【0037】
CPU11は、
図3(A)の詳細設定画面230に表示されるリセットボタン234がユーザIF13を介して操作されると(S1:YES、S3:NO、S5:YES)、反映処理を実行する(S13)。反映処理は、詳細設定画面230に表示される印刷設定を、プリンタ2に記憶されているデフォルトの印刷設定とする処理である。反映処理について
図5のフローチャートを参照して説明する。反映処理は、PC1のCPU11によって実行される。
【0038】
CPU11は、プリンタ2のデフォルトの印刷設定が、補助プログラム42が使用できるメモリ12内の不揮発性領域に記憶されているか、つまり、キャッシュ済みであるか否かを判断する(S21)。CPU11は、プリンタ2のデフォルトの印刷設定が、補助プログラム42が使用できるメモリ12内の不揮発性領域に記憶されていない場合、キャッシュ済みでないと判断する(S21:NO)。この場合、CPU11は、通信IF14を用いてデフォルトの印刷設定の送信をプリンタ2に要求する(S23)。
【0039】
プリンタ2は、PC1からの要求に応じて、自装置の不揮発性メモリに記憶されているデフォルトの印刷設定を取得する。そして、プリンタ2は、取得したデフォルトの印刷設定を、要求を送信したPC1に応答する。CPU11は、プリンタ2から送信されたデフォルトの印刷設定を通信IF14を介して受信するまで待機している(S25:NO)。
【0040】
なお、PC1(補助プログラム42)とプリンタ2との通信は、例えば、MIB(Management Information Baseの略)を使って、補助プログラム42が直接プリンタ2と通信しても良いし、OS21を介して行っても良い。OS21を介して行う場合、補助プログラム42とプリンタ2とは、例えば、IPP(internet printing protocolの略)等のOS21の通信規約に応じた通信を行う。
【0041】
CPU11は、プリンタ2から送信されたデフォルトの印刷設定を通信IF14を介して受信すると(S25:YES)、そのプリンタ2から受信したデフォルトの印刷設定を、詳細設定画面230に表示される印刷設定に、反映させる(S27)。詳細設定画面230が
図3(A)に示された状態であって、例えば、受信したデフォルトの印刷設定において給紙トレイの設定値が「増設トレイ」であった場合、
図3(B)に示すように、給紙トレイの設定が「トレイ1」から「増設トレイ」に変更される。S23,S25の処理は「取得処理」の一例である。S27の処理は「反映処理」の一例である。
【0042】
印刷設定には、画像に加工を施す項目(以下「画像加工項目」とする)や、画像に加工を施さない項目(以下「画像非加工項目」)が含まれる。画像加工項目には、例えば、色補正や、トナーセーブや、Nin1などの集約印刷や、ウォータマークなどの合成印刷など、が該当する。画像非加工項目には、例えば、給紙トレイや、排紙トレイや、両面印刷や、カラー印刷や、エコモードや、蓄積印刷など、が該当する。
【0043】
デフォルトの印刷設定は、前述したように、工場出荷時から等のあらかじめプリンタ2の不揮発性メモリに記憶されている既定の印刷設定であり、ユーザ操作によって容易に変更できる印刷設定ではない。
【0044】
デフォルトの印刷設定は、予めモデルごとに決められているが、幾つかの項目については、オプション品の装着状況や国ごとの特別な仕向などに基づいてカスタマイズされていることがある。
【0045】
例えば、給紙トレイについては、通常、「トレイ1」がデフォルト印刷設定になる。しかしながら、増設トレイなどの特別なオプション部品が装着された状態でプリンタ2が出荷される場合、当該プリンタ2は、給紙トレイのデフォルト設定が「増設トレイ」にカスタマイズされることがある。この場合、詳細設定画面230は、例えば、
図3(A)に示すように、給紙トレイのPC側現在値が「トレイ1」であっても、デフォルトの印刷設定が反映されることで、
図3(B)に示すように、給紙トレイの設定が「増設トレイ」に変更される。
【0046】
また例えば、両面印刷については、通常、「しない」がデフォルトの印刷設定となる。しかしながら、米国あるいは欧州では、環境に優しい印刷が求められる。プリンタ2の仕向先が米国あるいは欧州である場合、当該プリンタ2は、両面印刷のデフォルト設定が「する」にカスタマイズされることがある。この場合、詳細設定画面230は、例えば、
図3(A)に示すように、両面印刷のPC側現在値が「しない」であっても、デフォルトの印刷設定が反映されることで、
図3(B)に示すように、両面印刷の設定が「する」に変更される。
【0047】
また例えば、エコモードについては、通常、「オフ」がデフォルトの印刷設定となる。しかしながら、プリンタ2の仕向先が、環境に優しい印刷が求められる米国あるいは欧州である場合、当該プリンタ2は、エコモードのデフォルト設定が「オン」にカスタマイズされることがある。エコモードは、印刷時に用紙を搬送する搬送速度を遅くし、印刷時に発生する騒音を低減するモードである。この場合、詳細設定画面230は、例えば、
図3(A)に示すように、エコモードのPC側現在値が「オフ」であっても、デフォルトの印刷設定が反映されることで、
図3(B)に示すように、エコモードの設定が「オフ」に変更される。
【0048】
また例えば、色補正については、通常、「しない」がデフォルトの印刷設定となる。しかしながら、中国やアラビアでは、赤色を好みの色にカスタマイズする要望がある。プリンタ2の仕向先が中国あるいはアラビアである場合、当該プリンタ2は、色補正のデフォルト設定が「する」にカスタマイズされることがある。補助プログラム42は、RGB値をCMYK値に変換する際の変換テーブルを備えている。さらに、補助プログラム42は、特定色について好みの色合い(明るさ、RGB値など)の設定を受け付ける。色補正は、特定色(例えば、赤色)について、その好みの色合いに基づいて変換テーブルを補正する設定である。特定色は、赤に限らず、青でも緑でもよい。詳細設定画面230は、例えば、
図3(A)に示すように、色補正のPC側現在値が「しない」であっても、デフォルトの印刷設定が反映されることで、
図3(B)に示すように、色補正の設定が「する」に変更される。
【0049】
よって、オプション品の装着状況や仕向先に応じてカスタマイズされたデフォルトの印刷設定をユーザが把握していない場合でも、カスタマイズされたデフォルトの印刷設定を詳細設定画面230に一括表示できる。そのため、カスタマイズされたデフォルトの印刷設定を使用したい場合に、そのデフォルトの印刷設定に合わせるために、ユーザが印刷設定を個々に行う手間が軽減される。
【0050】
また、プリンタ2が、蓄積印刷に対応する場合、デフォルトの印刷設定には蓄積印刷に関する設定が含まれる。蓄積印刷は、PC1などの外部デバイスから受信した印刷データをすぐには印刷せずに、自装置のメモリに蓄積し、操作パネルを介して印刷実行指示を受け付けた場合に、蓄積した印刷データを印刷する印刷方法である。また、蓄積印刷は、ユーザIDやパスワードなどのユーザ情報を入力させ、ユーザ認証に成功した場合に印刷実行指示を受け付けて印刷を行うセキュア印刷であってもよい。例えば、
図3(A)に示すように、蓄積印刷のPC側現在値が「オフ」であるのに対し、蓄積印刷のデフォルトの印刷設定が「オン」である場合、
図3(B)に示すように、蓄積印刷の設定が「オフ」から「オン」に変更される。これにより、ユーザは、プリンタ2から離れた場所にあるPC1からでも、プリンタ2の蓄積印刷の設定を確認できるようになる。
【0051】
図5に示すように、CPU11は、デフォルトの印刷設定を反映させた後、S25にてプリンタ2から受信したデフォルトの印刷設定を、補助プログラム42が使用できるメモリ12内の不揮発性領域に記憶し(S29)、反映処理を終了する。S29の処理は「キャッシュ処理」の一例である。なお、S27とS29の処理は逆順でも、同時でもよい。
【0052】
これに対して、CPU11は、プリンタ2のデフォルトの印刷設定が、補助プログラム42が使用できるメモリ12内の不揮発性領域に記憶されている場合、キャッシュ済みであると判断する(S21:YES)。この場合、CPU11は、補助プログラム42が使用できるメモリ12内の不揮発性領域から、デフォルトの印刷設定を読み出す(S31)。これにより、補助プログラム42はデフォルトの印刷設定を取得する。S31の処理は「取得処理」の一例である。
【0053】
それから、CPU11は、メモリ12から読み出したデフォルトの印刷設定を、詳細設定画面230に表示されている印刷設定の項目に、反映させ(S33)、反映処理を終了する。S33の処理はS27の処理と同様なので説明を省略する。S33の処理は「反映処理」の一例である。
【0054】
図4に戻り、反映処理を終了したCPU11は、S1に戻る。CPU11は、
図3(A)および
図3(B)の詳細設定画面230に表示される設定ボタン232がユーザIF13を介して操作されると(S1:YES、S3:NO、S5:NO、S7:YES)、詳細設定画面230に表示される印刷設定を確定し(S15)、画面操作受付処理を終了する。確定した印刷設定は、例えば、補助プログラム42が使用できるメモリ12内の不揮発性領域に記憶される。これにより、確定された印刷設定の各値を、次回の詳細な印刷設定を行う場合にPC側現在値として表示できる。なお、確定した印刷設定はメモリ12の揮発性領域に記憶されてもよい。
【0055】
なお、CPU11は、
図3(A)および
図3(B)の詳細設定画面230に表示される戻るボタン233がユーザIF13を介して操作されると(S1:YES、S3:NO、S5:NO、S7:NO、S9:YES)、画面操作受付処理を終了する。また、CPU11は、各項目の変更操作及びボタン232~234の操作と異なる操作があった場合(S1:YES、S3:NO、S5:NO、S7:NO、S9:NO)、その他処理を実行し(S17)、画面操作受付処理を終了する。
【0056】
補助プログラム42は、画面操作受付処理を終了すると、詳細設定画面230を閉じ、汎用印刷プログラム41に終了通知を渡す。このとき、補助プログラム42は詳細設定画面230を介して受け付けた印刷設定を、汎用印刷プログラム41に渡す。汎用印刷プログラム41は、編集アプリ43に終了通知と、補助プログラム42から受け取った印刷設定と、を渡す。
【0057】
編集アプリ43は、印刷画面にてユーザによる印刷実行指示を受け付けると(A61)、印刷指示を汎用印刷プログラム41に渡す(A62)。汎用印刷プログラム41は、印刷指示にて、印刷対象となる画像データを示す情報と、印刷設定を示す情報と、を取得する。印刷設定には、詳細設定画面230を介して受け付けた印刷設定が含まれる。
【0058】
汎用印刷プログラム41は、受け取った印刷指示に含まれる画像データの形式を中間画像データの形式に変換することで中間画像データを生成し(A63)、中間画像データを含む印刷ジョブを生成する。編集アプリ43に含まれる画像データは種々のタイプのものであり、汎用印刷プログラム41は、受け取った画像データを、印刷データの生成に適した中間画像データに変換する。なお、印刷指示に含まれる画像データが印刷データの生成に適したデータであれば、中間画像データの生成を省略し、そのまま中間画像データとしても良い。中間画像データは、例えば、XPSデータである。
【0059】
汎用印刷プログラム41は、さらに、補助プログラム42に実行指示を出力し(A64)、補助プログラム42を動作させる。実行指示では、生成された中間画像データと印刷設定の情報とが補助プログラム42に渡される。印刷設定には、詳細設定画面230を介して受け付けた印刷設定が含まれる。
【0060】
補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41から受け取った実行指示に基づいて印刷データを生成する(A71)。印刷データは、中間画像データに基づいてラスタライズを実行することで生成される。印刷データは、プリンタ2にて印刷に使用できる形式のデータであり、例えば、プリンタ2のモデルに専用のPDLデータである。印刷データは「ラスタ画像」の一例である。補助プログラム42は、中間画像データから印刷データを生成する際に、画像に加工が施される項目の設定に従って印刷画像を加工する。A71の処理は「画像加工処理」の一例である。
【0061】
例えば、集約印刷が「2in1」に設定されている場合、補助プログラム42は、2枚の画像を1枚に集約するように中間画像データを加工する。また例えば、合成印刷が「する」に設定され、合成画像として「社外秘」の画像が選択されている場合、補助プログラム42は、「社外秘」の画像を中間画像データに合成する加工を行う。そして、補助プログラム42は、加工した中間画像データをラスタライズし、印刷データを生成する。
【0062】
また例えば、補助プログラム42は、色補正が「する」に設定されている場合、特定色(例えば特定の赤色)について変換テーブルを補正する。そして、補助プログラム42は、中間画像データをラスタライズして印刷データを生成する際に、印刷画像で指定された特定色のRGB値を補正後の変換テーブルに基づいてCMYK値に変換する。
【0063】
また例えば、補助プログラム42は、色補正が「する」に設定され、明るさやRGB値など色合いの設定を受け付けた場合、中間画像データをラスタライズして印刷データを生成する際に、設定された色合いに応じて印刷画像で指定された色のRGB値を補正する。また例えば、補助プログラム42は、トナーセーブが「オン」に設定されている場合、中間画像データをラスタライズして印刷データを生成する際に、印刷画像の濃度を下げる。
【0064】
さらに例えば、印刷設定が、画像非加工項目である給紙トレイ、排紙トレイ、両面印刷、カラー印刷、エコモード、蓄積印刷の設定を含む場合、補助プログラム42は、それらの設定に基づく印刷動作をプリンタ2に行わせるためのコマンドを付加した印刷データを生成する。
【0065】
このように、プリンタ2に対応する補助プログラム42にてラスタライズすることで、汎用印刷プログラム41にてラスタライズする場合に比較して自由度が大きく、プリンタ2での印刷に適した印刷データが生成される可能性が高い。なお、補助プログラム42によって生成される印刷データは、プリンタ2のモデル以外のプリンタでの印刷にも使用できる形式のデータであっても良い。
【0066】
補助プログラム42が印刷データを生成する代わりに、汎用印刷プログラム41が印刷データの生成を行っても良い。つまり、補助プログラム42は、印刷を実行すると判定した場合、汎用印刷プログラム41に印刷実行の情報を渡しても良い。その場合、汎用印刷プログラム41は、A63にて生成した中間画像データをラスタライズして印刷データを生成する。そして、汎用印刷プログラム41は、生成した印刷データを補助プログラム42に渡す。
【0067】
汎用印刷プログラム41によって生成される印刷データは、各種のプリンタにて印刷に使用できる形式の印刷データであり、例えば、PWGRasterデータ、または、PDFデータである。汎用印刷プログラム41によってラスタライズするとすれば、補助プログラム42の処理が少なく、処理時間増大の回避が見込まれ、また、補助プログラム42のプログラムサイズが抑えられる。
【0068】
補助プログラム42は、A71にて生成した印刷データを、印刷の実行を指示する印刷コマンドとともにプリンタ2に送信する(A72)。また、補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41から印刷データを受け取った場合、汎用印刷プログラム41から受け取った印刷データを、印刷の実行を指示する印刷コマンドとともにプリンタ2に送信する。印刷データと印刷コマンドとを受信したプリンタ2は、受信した印刷コマンドに基づいて、印刷データの画像の印刷を実行する(A73)。これにより、印刷物が生成される。補助プログラム42は、さらに、印刷データの送信を終了したことを汎用印刷プログラム41に通知する。
【0069】
なお、プリンタ2への印刷データ等の送信は、汎用印刷プログラム41が行っても良い。つまり、補助プログラム42は、生成した印刷データを、プリンタ2を送信先としてPC1から送信されるように、汎用印刷プログラム41に渡しても良い。汎用印刷プログラム41は、補助プログラム42から受け取った印刷データをプリンタ2に送信する。
【0070】
以上、詳細に説明したように、本形態の補助プログラム42によれば、あらかじめプリンタ2に記憶されているデフォルトの印刷設定を取得し、PC1で表示される詳細設定画面230に反映させる。つまり、詳細設定画面230に表示される印刷設定をプリンタ2のデフォルトの印刷設定とし、そのデフォルトの印刷設定での印刷指示を受け付け可能にする。これにより、補助プログラム42が組み込まれたPC1では、プリンタ2のデフォルトの印刷設定での印刷を指示したい場合の、印刷設定を行うためのユーザの手間を軽減することができる。
【0071】
また、本形態の補助プログラム42は、詳細設定画面230に表示されるリセットボタン234への操作を受け付けたことに応じて、プリンタ2のデフォルトの印刷設定を反映する。これにより、ユーザは、プリンタ2本体でのデフォルトの印刷設定を使いたい場合に、リセットボタン234を操作し、詳細設定画面230に表示される印刷設定を、デフォルトの印刷設定とすることができるようになる。よって、プリンタ2本体でのデフォルトの印刷設定を使いたい場合に、その印刷設定を行うためのユーザの手間を軽減できる。
【0072】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本形態の印刷システムは、デフォルトの印刷設定を詳細設定画面に反映させるタイミングを除き、第1実施形態の印刷システムと同様に構成されている。よって、本形態では、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、第1実施形態と共通する構成や処理は図面に第1実施形態と同じ符号を使用し、説明を適宜省略する。
【0073】
図6のシーケンス図に示すように、補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41が編集アプリ43から受け付け開始指示を受け付けて出力した実行指示を受け付けると(A05)、通信IF14を介してプリンタ2にデフォルトの印刷設定の送信を要求する(A101)。プリンタ2は、要求に応じて、不揮発性メモリからデフォルトの印刷設定を読み出して取得し(A102)、PC1に応答する。補助プログラム42は、プリンタ2から送信されたデフォルトの印刷設定を、通信IF14を介して受信すると(A103)、そのデフォルトの印刷設定を、PC1に設定されているPC側現在値に反映させる(A104)。その後、補助プログラム42は、デフォルトの印刷設定を反映した詳細設定画面230(例えば
図3(B)参照)をユーザIF13に表示させ(A105)、詳細な印刷設定を受け付ける(A106)。
【0074】
このように、本形態の補助プログラム42は、始めからデフォルトの印刷設定が反映された詳細設定画面230(例えば
図3(B)参照)をユーザIF13に表示させる。これにより、PC1での印刷設定の初期設定を、プリンタ2のデフォルトの印刷設定とすることができるようになる。よって、ユーザは、そのデフォルトの印刷設定での印刷を指示したい場合、印刷設定を変更する必要が無く、ユーザが印刷設定を行う手間が軽減される。
【0075】
なお、本明細書に開示される実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本明細書に開示される技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、PC1に接続される装置は、プリンタに限らず、複合機、複写機、FAX装置、等印刷機能を有する装置であればよい。また、PC1に接続されるプリンタの数は、図示の例に限らず、2台以上でも良い。
【0076】
例えば、
図3に示す詳細設定画面230はいずれも一例であり、これに限らない。例えば、詳細設定画面230に表示される印刷設定の項目は、図示のものに限らない。また例えば、詳細設定画面230に表示する項目は、デフォルトの印刷設定を反映する前と後で異なってもよい。例えば、反映前の詳細設定画面には、ユーザが設定可能な印刷設定のみを表示し、反映後の詳細設定画面には、ユーザが設定できない印刷設定を含め、プリンタ2に設定可能な印刷設定を全て表示してもよい。
【0077】
例えば、
図5のS21、S29、S31、S33の処理を省略してもよい。ただし、S21、S29、S31、S33の処理が存在すれば、補助プログラム42は、プリンタ2から取得したデフォルトの印刷設定をメモリ12に記憶しておくので、デフォルトの印刷設定を取得するためのプリンタ2との通信回数が減り、デフォルトの印刷設定を詳細設定画面230に速やかに反映できる。
【0078】
印刷設定に従って画像を加工する画像加工処理は、補助プログラム42が行わず、汎用印刷プログラム41やプリンタ2が行うようにしてもよい。この場合、補助プログラム42は、画像加工項目のデフォルト設定をプリンタ2から取得しなくてもよい。ただし、印刷設定の設定項目のうち少なくとも補助プログラム42が画像を加工する項目についてデフォルトの印刷設定をプリンタ2から取得することで、プリンタ2本体のデフォルトの印刷設定に応じた画像加工処理をPC1側で行うことができ、プリンタ2のコストを抑えることができる。
【0079】
上記実施形態では、補助プログラム42の動作として、印刷動作のみを詳細に記載しているが、補助プログラム42は、さらに他の役割を有していても良い。また、本形態の処理を実行するプログラムは、補助プログラム42に限らず、汎用印刷プログラム41を用いた印刷を行う際に、OS21または汎用印刷プログラム41から指示を受け付けるプログラムであればよい。例えば、マイクロソフト社が仕様公開した印刷ワークフロー アプリ(Print workflow)でも良い。
【0080】
また、補助プログラム42の実行タイミングは、実施の形態の例に限らない。例えば、OS21から直接実行指示されて実行されても良く、または、常駐される補助プログラム42であっても良い。常駐される場合には、補助プログラム42は、実行命令を受けて前述した動作を行うとすれば良い。
【0081】
また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0082】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 PC
2 プリンタ
11 CPU
13 ユーザIF
100 印刷システム