(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】警告装置及び警告方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241112BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20241112BHJP
H04N 23/45 20230101ALI20241112BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20241112BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20241112BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241112BHJP
B60R 1/20 20220101ALI20241112BHJP
【FI】
G08G1/16 C
H04N7/18 J
H04N23/45
H04N23/60 500
H04N23/63
G06T7/00 650B
B60R1/20
(21)【出願番号】P 2021045681
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】酒井 康利
(72)【発明者】
【氏名】林 啓太
(72)【発明者】
【氏名】谷山 紘史
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/073722(WO,A1)
【文献】特開2014-197727(JP,A)
【文献】特開2020-043400(JP,A)
【文献】特開2012-131491(JP,A)
【文献】特開平10-206787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 30/00 - 60/00
B60K 35/00
B60R 1/00 - 1/04
B60R 1/08 - 1/31
B60R 21/00 - 21/017
B60R 99/00
H04N 5/222 - 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 - 23/76
H04N 23/90 - 23/959
H04N 7/18
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向を撮影する遠赤外線カメラが撮影した第1映像を取得する第1映像取得部と、
前記遠赤外線カメラと一致する方向を撮影する可視光カメラが撮影した第2映像を取得する第2映像取得部と、
前記第1映像取得部が取得した第1映像から、前記車両の運転者に対して警告対象となるオブジェクトを検出する検出部と、
前記車両の周囲の照度が低いときに、前記検出部が前記第1映像から警告対象となるオブジェクトを検出した場合、前記第1映像において検出したオブジェクトを示す範囲である第1オブジェクト範囲を特定するとともに、第1オブジェクト範囲に対応する第2映像における第2オブジェクト範囲を特定する範囲特定部と、
前記車両の運転者の視線の向きを検出する視線検出部と、
前記検出部が警告対象となるオブジェクトを検出した場合、前記第1オブジェクト範囲を描画した前記第1映像を前記車両の運転者が目視可能な表示部に表示させ、前記検出部が警告対象となるオブジェクトを検出した場合、且つ、前記車両の運転者が前記表示部を所定時間以上見た場合、または見返した場合、前記第2オブジェクト範囲を
示す枠線を描画した第2映像を
前記表示部に表示させる表示制御部と、
を有する警告装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、検出したオブジェクトに基づく警告を行う期間、前記第2オブジェクト範囲を
示す枠線を描画した第2映像を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の警告装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、彩度またはコントラストを低下させた第2映像に前記第2オブジェクト範囲を
示す枠線を描画させて前記表示部に表示させる、
請求項1
または2に記載の警告装置。
【請求項4】
車両の進行方向を撮影する遠赤外線カメラが撮影した第1映像を取得する第1映像取得ステップと、
前記遠赤外線カメラと一致する方向を撮影する可視光カメラが撮影した第2映像を取得する第2映像取得ステップと、
取得した第1映像から、前記車両の運転者に対して警告対象となるオブジェクトを検出する検出ステップと、
前記車両の周囲の照度が低いときに、前記第1映像から警告対象となるオブジェクトを検出した場合、前記第1映像において検出したオブジェクトを示す範囲である第1オブジェクト範囲を特定するとともに、第1オブジェクト範囲に対応する第2映像における第2オブジェクト範囲を特定する範囲特定ステップと、
前記車両の運転者の視線の向きを検出する視線検出ステップと、
前記検出ステップで警告対象となるオブジェクトを検出した場合、前記第1オブジェクト範囲を描画した前記第1映像を前記車両の運転者が目視可能な表示部に表示させ、前記検出ステップで警告対象となるオブジェクトを検出した場合、且つ、前記車両の運転者が前記表示部を所定時間以上見た場合、または見返した場合、前記第2オブジェクト範囲を
示す枠線を描画した第2映像を
前記表示部に表示させる表示ステップと、
を警告装置が実行する警告方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、遠赤外線カメラを用いて、車両の進行方向などに存在する歩行者等を検出し、車両の運転者に警告する警告装置及び警告方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の進行方向の安全確認のために、可視光カメラでは検出が難しい状況における検出対象物の検出に遠赤外線カメラを用いることが行われている。このような遠赤外線カメラを用いた対象物検出技術の例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の認識処理装置は、遠赤外線カメラが自車両の周囲を撮影した第1撮影データを取得する映像取得部と、自車両の周囲で駐停車している他車両を検出する他車両検出部と、第1撮影データの他車両に対応する領域の熱分布から、他車両の動作に基づく放熱を検出する熱検出部と、放熱を検出したときに、他車両近傍に対して優先的に人物認識を実行して人物を検出する人物検出部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、遠赤外線カメラは、歩行者等の発する熱の分布を映像として検出するため、車両の運転者は、遠赤外線カメラが検出した歩行者等を車両外に対する目視で確認できない場合がある。このような状況では、歩行者等が赤外線カメラにより検出されているにもかかわらず、車両の運転者は車両外に対する目視で歩行者の位置を確認できないため、表示画像を目視する時間や回数が増えてしまい、目視による進行方向の安全確認に支障が生じることがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の一態様は、車両の進行方向を撮影する遠赤外線カメラが撮影した第1映像を取得する第1映像取得部と、前記遠赤外線カメラと一致する方向を撮影する可視光カメラが撮影した第2映像を取得する第2映像取得部と、前記第1映像取得部が取得した第1映像から、前記車両の運転者に対して警告対象となるオブジェクトを検出する検出部と、前記検出部が警告対象となるオブジェクトを検出した場合、前記第1映像において検出したオブジェクトを示す範囲である第1オブジェクト範囲を特定するとともに、第1オブジェクト範囲に対応する第2映像における第2オブジェクト範囲を特定する範囲特定部と、前記第2オブジェクト範囲を描画した第2映像を前記車両の運転者が目視可能な表示部に表示させる表示制御部と、を有する警告装置である。
【0007】
また、本発明の別の態様は、車両の進行方向を撮影する遠赤外線カメラが撮影した第1映像を取得する第1映像取得ステップと、前記遠赤外線カメラと一致する方向を撮影する可視光カメラが撮影した第2映像を取得する第2映像取得ステップと、取得した第1映像から、前記車両の運転者に対して警告対象となるオブジェクトを検出する検出ステップと、警告対象となるオブジェクトを検出した場合、前記第1映像において検出したオブジェクトを示す範囲である第1オブジェクト範囲を特定するとともに、第1オブジェクト範囲に対応する第2映像における第2オブジェクト範囲を特定する範囲特定ステップと、前記第2オブジェクト範囲を描画した第2映像を前記車両の運転者が目視可能な表示部に表示させる表示ステップと、を警告装置が実行する警告方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遠赤外線カメラの映像から検出した歩行者等を、適切に車両の運転者に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる警告装置のブロック図である。
【
図2】実施の形態1にかかる警告装置における可視光カメラの撮影範囲と遠赤外線カメラの撮影範囲との違いを説明する図である。
【
図3】実施の形態1にかかる警告装置における警告表示を説明する図である。
【
図4】実施の形態1にかかる警告装置の動作を説明する図である。
【
図5】実施の形態1にかかる警告装置の動作の別の形態を説明する図である。
【
図6】実施の形態2にかかる警告装置のブロック図である。
【
図7】実施の形態2にかかる警告装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
また、以下で説明する機能ブロックの各構成は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。各機能(各処理)を、CPUやメモリ等を有する演算部(例えば、コンピュータ)により実現してもよい。例えば、記憶装置に実施形態における作成方法を行うためのプログラムを格納し、各機能を、記憶装置に格納されたプログラムをCPUで実行することにより実現してもよい。
【0012】
これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばハードディスクドライブ)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0013】
実施の形態1
実施の形態1にかかる警告装置1は、遠赤外線カメラが撮影した映像から歩行者等が検出された場合に、表示画面に遠赤外線カメラが撮影した映像と、検出した歩行者等を示す枠線などを表示することで、車両の運転者に警告を行う。
【0014】
図1に実施の形態1にかかる警告装置1のブロック図を示す。
図1に示すように、実施の形態1にかかる警告装置1は、警報制御装置10、遠赤外線カメラ11、可視光カメラ12、認識辞書記憶部13、表示部14を有する。警報制御装置10は、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)やCPU等のプログラムを実行可能な演算装置により実現される。また、マイクロコントローラユニットには、複数の演算部が含まれており、複数の演算部により並列してプログラム内の種々の処理が行えるものであってもよい。警報制御装置10内で実現される処理ブロックの詳細については後述する。
【0015】
遠赤外線カメラ11は、車両の前方、つまり車両の主たる進行方向を撮影するカメラであって、撮影範囲にある物から発せられる遠赤外線を受けて、撮影範囲に存在する物体の温度に応じた濃淡を有する画像、所謂熱画像を出力する。可視光カメラ12は、遠赤外線カメラ11と一致する方向を撮影するカメラであって、撮影範囲を可視光により撮影した映像を出力する。遠赤外線カメラ11と可視光カメラ12の撮影方向の一致とは、いずれのカメラも、車両の前方を撮影していることを意味する。また、遠赤外線カメラ11の撮影画角は、可視光カメラ12の撮影画角より狭いことが多いため、このような場合、可視光カメラ12の撮影画角の範囲内に、遠赤外線カメラ11の撮影画角の範囲が含まれる。
【0016】
認識辞書記憶部13は、後述する検出部23において検出する検出対象のオブジェクトの形状などの特徴を機械学習させた認識辞書を記憶する。認識辞書記憶部13は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置により構成される。表示部14は、車両の運転者に遠赤外線カメラ11と可視光カメラ12の少なくとも一方により撮影される映像を表示するものである。表示部14は、例えば、車両のダッシュボードに設置されるディスプレイ等が考えられる。
【0017】
警報制御装置10は、第1映像取得部21、第2映像取得部22、検出部23、範囲特定部24、表示制御部25を有する。警報制御装置10内の処理ブロックは、プログラムにより実現される処理ブロック、或いは、専用ハードウェアとして実装される処理ブロックである。また、第1映像取得部21、第2映像取得部22、検出部23、範囲特定部24、表示制御部25は、警報制御装置10内の処理、或いは、バスにより相互に情報の連携が可能なように構成される。
【0018】
第1映像取得部21は、車両の進行方向を撮影する遠赤外線カメラ11が撮影した第1映像を取得する。第2映像取得部22は、可視光カメラ12が撮影した第2映像を取得する。検出部23は、第1映像取得部が取得した第1映像から、車両の運転者に対して警告対象となるオブジェクトを検出する。車両の運転者に対して警告対象となるオブジェクトは、例えば、歩行者等の人物、人物が乗車している自転車、動物など、周辺温度との温度分布の差異によって検出される物体である。また、車両の運転者に対して警告対象となるオブジェクトは、上述した物体のうち、車両の進行方向である前方に存在し、車両の走行において注意が必要な位置に存在する物体を対象としてもよい。
【0019】
範囲特定部24は、検出部23が警告対象となるオブジェクトを検出した場合、第1映像における検出したオブジェクトを示す範囲である第1オブジェクト範囲を特定するとともに、第1オブジェクト範囲に対応する第2映像における第2オブジェクト範囲を特定する。範囲特定部24が特定する第1オブジェクト範囲は、第1映像において検出されたオブジェクトを囲う範囲であり、例えば、矩形の枠線などで示される。矩形の枠線は、検出されたオブジェクトの外形全体を囲う枠線であり、表示画面上におけるオブジェクトの存在に加えて、表示画面上における位置および大きさを示すことができる。第1オブジェクト範囲は、例えば検出したオブジェクトが人物である場合は、検出された人物を囲う縦横比が2:1の矩形の枠線で示される。範囲特定部24が特定する第2オブジェクト範囲は、第1映像において特定された第1オブジェクト範囲に対して、第2映像において同一の位置を示す範囲であり、例えば、第1オブジェクト範囲を示す枠線と同一形状の枠線などで示される。第1オブジェクト範囲および第2オブジェクト範囲は、上述した形態に限定されず、様々な形態が実施可能である。
【0020】
表示制御部25は、第2オブジェクト範囲を示す枠線等を描画した第2映像を車両の運転者が目視可能な表示部14に表示させる。また、表示制御部25では、第2映像を表示する際には、彩度またはコントラストを低下させた第2映像に第2オブジェクト範囲を描画させて表示部14に表示させることが好ましい。このように第2映像の彩度またはコントラストを低下させることで、第2オブジェクト範囲を示す枠線等が第2映像の表示に対して目立つため、車両の運転者が第2オブジェクトの位置を適切に確認することができる。
【0021】
ここで、遠赤外線カメラ11と可視光カメラ12との撮影範囲の違いについて説明する。そこで、
図2に実施の形態1にかかる警告装置1における可視光カメラの撮影範囲と遠赤外線カメラの撮影範囲との違いを説明する図を示す。
図2に示すように、実施の形態1にかかる警告装置1では、遠赤外線カメラ11と可視光カメラ12による撮影範囲は、車両の進行方向であって、一致する方向を撮影する。また、警告装置1では、遠赤外線カメラ11が撮影する遠赤外線カメラ撮影範囲IRは、可視光カメラ12が撮影する可視光カメラ撮影範囲OPよりも範囲が狭い。
図2に示す例では、可視光カメラ撮影範囲OPの中心と遠赤外線カメラ撮影範囲IRの中心が一致するように設定されている。可視光カメラ撮影範囲OPは、可視光カメラ12の撮影画角であってもよく、遠赤外線カメラ撮影範囲IRは、遠赤外線カメラ11の撮影画角であってもよい。可視光カメラ撮影範囲OPの座標は、遠赤外線カメラ撮影範囲IRと一致する範囲において、遠赤外線カメラ撮影範囲IRの座標と対応付けられている。このため、第1映像において特定された第1オブジェクト範囲に基づき、第2映像における第2オブジェクト範囲を特定することができる。
【0022】
続いて、実施の形態1にかかる警告装置1の動作について説明する。そこで、
図3に実施の形態1にかかる警告装置1における警告表示を説明する図を示す。
図3に示すように、実施の形態1にかかる警告装置1は、遠赤外線カメラ撮影範囲IRにおいて検出対象のオブジェクトOBJが検出されると、第1オブジェクト範囲OBJ_R1を特定し、可視光カメラ撮影範囲OP中において第1オブジェクト範囲OBJ_R1に対応する位置の第2オブジェクト範囲OBJ_R2を特定する。そして、可視光カメラ撮影範囲OPの映像である第2映像に第2オブジェクト範囲OBJ_R2を明示する表示を行うことで車両の運転者にオブジェクトOBJがあることを警告する。
【0023】
上記動作について、フローチャートを用いて説明する。
図4に実施の形態1にかかる警告装置1の動作を説明する図を示す。
図4に示すように、実施の形態1にかかる警告装置1は、動作を開始すると遠赤外線カメラ11及び可視光カメラ12による撮影を開始する(ステップS1)。ステップS1の動作の開始は、警告装置1を搭載している車両のエンジンなどの動力がオンになった場合などに開始される。また、遠赤外線カメラ11によるオブジェクト検出を、例えば、夜間やトンネルの中など車両周囲の照度が低いときに行う場合は、照度が夜間やトンネルの中を示す程度に低くなることで開始される。ステップS1の開始後または開始と同時に、警告装置1は、検出部23により、遠赤外線カメラ11及び第1映像取得部21が取得する第1映像から遠赤外線カメラ撮影範囲IR中のオブジェクトOBJの検出を開始する(ステップS2)。また、警告装置1は、表示制御部25により可視光カメラ12及び第2映像取得部22が取得する第2映像(例えば、可視光カメラ撮影範囲OPの映像)の表示部14への表示を開始する(ステップS3)。表示部14に表示される第2映像は、可視光カメラ撮影範囲OPから、遠赤外線カメラ撮影範囲IRに一致する箇所を表示してもよい。
【0024】
そして、検出部23が遠赤外線カメラ撮影範囲IR中にオブジェクトOBJの存在を検出した場合(ステップS4のYES)、範囲特定部24により第1オブジェクト範囲OBJ_R1に対応する第2オブジェクト範囲OBJ_R2の位置を特定する(ステップS5)。そして、警告装置1は、表示制御部25により、第2オブジェクト範囲OBJ_R2を示す第2映像を表示部14に表示する(ステップS6)。この第2オブジェクト範囲OBJ_R2を示す第2映像は、遠赤外線カメラ撮影範囲IRからオブジェクトOBJの存在がなくなる等の警告が必要な状態が解消される警告終了条件を満たすまで継続される(ステップS7)。そして、警告終了条件が満たされた後、表示制御部25は、第2オブジェクト範囲OBJ_R2を含まない第2映像を表示部14に表示する(ステップS8)。
【0025】
そして、実施の形態1にかかる警告装置1は、エンジンが停止される等の動作が終了状態になるまでステップS4~S8の処理を繰り返す。なお、実施の形態1にかかる警告装置1は、ステップS4において遠赤外線カメラ撮影範囲IR中にオブジェクトOBJが検出されない場合、遠赤外線カメラ撮影範囲IR中にオブジェクトOBJが検出されるまでステップS5~S8は実行せずにオブジェクトOBJの検出処理を継続する(ステップS4のNO、ステップS9のNO)。
【0026】
なお、実施の形態1にかかる警告装置1の動作は別の形態も考えられる。そこで、
図5に実施の形態1にかかる警告装置1の動作の別の形態を説明する図を示す。
図5に示すように、実施の形態1にかかる警告装置1の動作の別の形態は、
図4に示したフローチャートにおいて、第2映像を表示するステップS3、S8を、第1映像を表示するステップS10、S11に変更したものである。つまり、実施の形態1にかかる警告装置1の動作の別の形態では、オブジェクトOBJの未検出状態において、第1映像を表示部14に表示する。このように、実施の形態1にかかる警告装置1では、オブジェクトOBJの未検出の期間において、表示部14に第1映像を表示するか、第2映像を表示するのかは仕様により選択することができる。
【0027】
上記説明より、実施の形態1にかかる警告装置1では、遠赤外線カメラ撮影範囲IR中に警告対象のオブジェクトOBJが検出された場合に、第2映像にオブジェクトOBJの存在位置を示す第2オブジェクト範囲OBJ_R2を重ねて表示することで、運転者に知らせるべき警告を運転者にわかりやすく提示する。車両の運転者は、車両外の目視で警告対象のオブジェクトを確認できない場合であっても、車両外の景色と同様の第2映像に第2オブジェクト範囲OBJ_R2が描画されているため、適切に警告対象のオブジェクトの位置を把握することができる。また、運転者に警告対象のオブジェクトの位置を適切に把握させることで、表示画像を目視する時間や回数を減少させ、進行方向の目視に運転者の注意をより多く向けることができる。
【0028】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1にかかる警告装置1の別の形態となる警告装置2について説明する。なお、実施の形態2の説明では、実施の形態1で説明した構成用途と同じ構成要素には実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0029】
図6に実施の形態2にかかる警告装置2のブロック図を示す。
図6に示すように、実施の形態2にかかる警告装置2は、実施の形態1にかかる警告装置1に車室内撮影カメラ15を追加し、警報制御装置10を警報制御装置30に置き換えたものである。警報制御装置30は、警報制御装置10に第3映像取得部26及び視線検出部27を追加したものである。
【0030】
車室内撮影カメラ15は、車室内の運転者を撮影する。特に車室内撮影カメラ15は、運転者が表示部14に向ける視線がわかるように運転者を撮影するように設置される。第3映像取得部26は、車室内撮影カメラ15が撮影した映像を取得して視線検出部27に伝達する。視線検出部27は、車両の運転者の視線の向きを検出する。そして、表示制御部25は、検出部23が警告対象となるオブジェクトを検出した場合、第1オブジェクト範囲を描画した第1映像を表示部に表示させ、車両の運転者が表示部14を所定時間以上見た場合、または見返した場合、第2オブジェクト範囲を描画した第2映像を表示させる。所定時間とは、例えば3秒などである。また、見返した場合とは、車両の運転者が、第1オブジェクト範囲が描画されている第1映像が表示されている表示部14を見てから車両の前方を見た後、例えば3秒以内に再度第1オブジェクト範囲が描画されている第1映像が表示されている表示部14を見た場合などである。
【0031】
車両の運転者が、第1オブジェクト範囲が描画されている第1映像が表示されている表示部14を所定時間以上見た場合とは、表示部14に表示されている第1映像においては、警告対象となるオブジェクトを示す第1オブジェクト範囲が表示されているにも関わらず、車両外の目視で警告対象となるオブジェクトが確認できない場合である。また、車両の運転者が、第1オブジェクト範囲が描画されている第1映像が表示されている表示部14を見返した場合も同様である。
【0032】
ここで、
図7に実施の形態2にかかる警告装置2の動作を説明する図を示す。
図7は、運転者が表示部14を見返したときのみ第2オブジェクト範囲を描画した第2映像を表示させる場合の警告装置2の動作について説明したものである。
【0033】
図7に示すように、実施の形態2にかかる警告装置2の動作は、
図5に示した実施の形態1にかかる警告装置1の動作にステップS21の動作を追加したものである。ステップS21は、ステップS4において検出部23がオブジェクトOBJを検出した後に行われる。警告装置2では、オブジェクトOBJが未検出状態では表示部14に遠赤外線カメラ11により撮影された第1映像が映し出されており、第2オブジェクト範囲OBJ_R2を表示しなくても、運転者がオブジェクトOBJを認識できていれば、第2オブジェクト範囲OBJ_R2を含む第2映像を流す(ステップS5~S7の処理を行う)ことなく、第1映像の表示を継続する(ステップS21)。
【0034】
上記説明より、実施の形態2にかかる警告装置2では、運転者が第2映像によるオブジェクトOBJの確認が必要となった状態であることが判断された場合に、第2オブジェクト範囲が描画されている第2映像を表示することができる。
【0035】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1、2 警告装置
10、30 警報制御装置
11 遠赤外線カメラ
12 可視光カメラ
13 認識辞書記憶部
14 表示部
15 車室内撮影カメラ
21 第1映像取得部
22 第2映像取得部
23 検出部
24 範囲特定部
25 表示制御部
26 第3映像取得部
27 視線検出部
OP 可視光カメラ撮影範囲
IR 遠赤外線カメラ撮影範囲
OBJ オブジェクト
OBJ_R1 第1オブジェクト範囲
OBJ_R2 第2オブジェクト範囲