(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】回転角検出装置及び車両用送受電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/90 20160101AFI20241112BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20241112BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241112BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20241112BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/12
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
B60K1/04 Z
(21)【出願番号】P 2021047450
(22)【出願日】2021-03-22
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 央之
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-090254(JP,A)
【文献】特開2021-030892(JP,A)
【文献】特開2013-207999(JP,A)
【文献】特開2013-150430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/90
H02J 50/12
H02J 7/00
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上ユニットに対する車載ユニットの相対的な回転角を検出する回転角検出装置であって、
前記地上ユニットは、送電ユニット及び受電ユニットの一方であり、駐車スペースに配置され、
前記車載ユニットは、前記送電ユニット及び前記受電ユニットの他方であり、前記地上ユニットと対向可能な位置において車両に搭載され、
鉛直方向上方から前記地上ユニットを見下ろしたとき、前記地上ユニットは、前記地上ユニットに接近する前記車両の側を向く辺が直線形状を有し、
前記回転角検出装置は、
前記車両の左右方向に並ぶように、かつ駐車時に前記地上ユニットと対向可能な位置におい
て路面を向くように前記車両に搭載された第1及び第2測距センサと、
前記車両の車輪回転軸又は前記車輪回転軸と連動して回転する回転軸の回転角を検出する回転角センサと、
前記車両の鉛直方向軸を中心とした前記地上ユニットに対する前記車載ユニットの回転角であるヨー角を算出するプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記車両の駐車が開始された後に、前記第1及び前記第2測距センサの一方が前記地上ユニットと対向し始める第1タイミングを、前記第1及び前記第2測距センサの前記一方の出力の変化に基づいて取得し、
前記第1タイミングの検出後に、前記第1及び前記第2測距センサの他方が前記地上ユニットと対向し始める第2タイミングを、前記第1及び前記第2測距センサの前記他方の出力の変化に基づいて取得し、
前記回転角センサの出力に基づいて、前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの期間中の前記車両の移動距離を算出し、
算出した前記移動距離を前記第1測距センサと前記第2測距センサとの距離で除して得られる値のアークタンジェント値を、前記ヨー角として算出
し、
前記第1及び第2測距センサは、前記車載ユニットに設置されており、
前記回転角検出装置は、前記左右方向に並び、かつ前記路面を向くように前記車載ユニットに設置された第3及び第4測距センサをさらに備え、
前記第3測距センサは、前記車両の前後方向に所定距離だけ前記第1測距センサから離れて配置され、
前記第4測距センサは、前記前後方向に前記所定距離だけ前記第2測距センサから離れて配置されている
ことを特徴とする回転角検出装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第1測距センサにより検出される第1距離と前記第3測距センサにより検出される第3距離の平均値と、前記第2測距センサにより検出される第2距離と前記第4測距センサにより検出される第4距離の平均値との第1差分を算出し、
算出した前記第1差分を前記第1測距センサと前記第2測距センサとの前記距離で除して得られる値のアークサイン値を、前記車両の前後方向軸を中心とした前記地上ユニットに対する前記車載ユニットの回転角であるロール角として算出する
ことを特徴とする請求項
1に記載の回転角検出装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第1測距センサにより検出される第1距離と前記第2測距センサにより検出される第2距離の平均値と、前記第3測距センサにより検出される第3距離と前記第4測距センサにより検出される第4距離の平均値との第2差分を算出し、
算出した第2差分を前記第1測距センサと前記第3測距センサとの距離で除して得られる値のアークサイン値を、前記車両の左右方向軸を中心とした前記地上ユニットに対する前記車載ユニットの回転角であるピッチ角として算出する
ことを特徴とする請求項
1又は
2に記載の回転角検出装置。
【請求項4】
前記車載ユニットは、前記地上ユニットとの間で非接触での送受電を行うための送電コイル又は受電コイルを含み、
前記鉛直方向軸の方向から前記車載ユニットを見たとき、前記第1、第2、第3、及び第4測距センサは、前記車載ユニット内に配置された前記送電コイル又は前記受電コイルを囲むように配置されている
ことを特徴とする請求項
2又は
3に記載の回転角検出装置。
【請求項5】
前記回転角センサは、前記車両を駆動する電動モータの回転軸の回転角を検出するレゾルバである
ことを特徴とする請求項1~
4の何れか1つに記載の回転角検出装置。
【請求項6】
請求項1~
5の何れか1つに記載の回転角検出装置を備える
ことを特徴とする車両用送受電システム。
【請求項7】
前記車両用送受電システムは、前記送電ユニットと前記受電ユニットとの間で非接触での送受電を行うように構成されている
ことを特徴とする請求項
6に記載の車両用送受電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地上ユニットに対する車載ユニットの相対的な回転角を検出する回転角検出装置、及び車両用送受電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、非接触方式の車両用送受電システムが開示されている。この送受電システムでは、地上側の1次コイル(送電コイル)は、車両側の2次コイル(受電コイル)に非接触での送電を行う。そして、この送受電システムでは、1次コイルと2次コイルとの間の結合係数及び結合係数の時間変化に基づき、1次コイルに対する2次コイルの相対位置及び傾きが算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように、結合係数、すなわち、2つのコイルの電磁気的な結合の度合い及びその時間変化に基づく手法では、送受電システムにおける地上ユニットに対する車載ユニットの相対的な回転角を正確に検出することが難しいと考えられる。その一方で、当該回転角の検出は、簡素な構成を利用して行えることが求められる。
【0005】
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、地上ユニットに対する車載ユニットの相対的な回転角の検出を簡素な構成を利用して行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る回転角検出装置は、地上ユニットに対する車載ユニットの相対的な回転角を検出する。地上ユニットは、送電ユニット及び受電ユニットの一方であり、駐車スペースに配置されている。車載ユニットは、送電ユニット及び受電ユニットの他方であり、地上ユニットと対向可能な位置において車両に搭載されている。鉛直方向上方から地上ユニットを見下ろしたとき、地上ユニットは、地上ユニットに接近する車両の側を向く辺が直線形状を有する。
回転角検出装置は、第1及び第2測距センサと、回転角センサと、プロセッサと、を備える。第1及び第2測距センサは、車両の左右方向に並ぶように、かつ駐車時に地上ユニットと対向可能な位置において路面を向くように車両に搭載されている。回転角センサは、車両の車輪回転軸又は車輪回転軸と連動して回転する回転軸の回転角を検出する。プロセッサは、車両の鉛直方向軸を中心とした地上ユニットに対する車載ユニットの回転角であるヨー角を算出する。
プロセッサは、車両の駐車が開始された後に、第1及び第2測距センサの一方が地上ユニットと対向し始める第1タイミングを、第1及び第2測距センサの上記一方の出力の変化に基づいて取得する。プロセッサは、第1タイミングの検出後に、第1及び第2測距センサの他方が地上ユニットと対向し始める第2タイミングを、第1及び第2測距センサの上記他方の出力の変化に基づいて取得する。プロセッサは、回転角センサの出力に基づいて、第1タイミングから第2タイミングまでの期間中の車両の移動距離を算出する。そして、プロセッサは、算出した移動距離を第1測距センサと第2測距センサとの距離で除して得られる値のアークタンジェント値を、ヨー角として算出する。
第1及び第2測距センサは、車載ユニットに設置されている。
回転角検出装置は、上記左右方向に並び、かつ路面を向くように車載ユニットに設置された第3及び第4測距センサをさらに備える。
第3測距センサは、車両の前後方向に所定距離だけ第1測距センサから離れて配置されている。
第4測距センサは、上記前後方向に上記所定距離だけ第2測距センサから離れて配置されている。
【0009】
プロセッサは、第1測距センサにより検出される第1距離と第3測距センサにより検出される第3距離の平均値と、第2測距センサにより検出される第2距離と第4測距センサにより検出される第4距離の平均値との第1差分を算出してもよい。そして、プロセッサは、算出した第1差分を第1測距センサと第2測距センサとの距離で除して得られる値のアークサイン値を、車両の前後方向軸を中心とした地上ユニットに対する車載ユニットの回転角であるロール角として算出してもよい。
【0010】
プロセッサは、第1測距センサにより検出される第1距離と第2測距センサにより検出される第2距離の平均値と、第3測距センサにより検出される第3距離と第4測距センサにより検出される第4距離の平均値との第2差分を算出してもよい。そして、プロセッサは、算出した第2差分を第1測距センサと第3測距センサとの距離で除して得られる値のアークサイン値を、車両の左右方向軸を中心とした地上ユニットに対する車載ユニットの回転角であるピッチ角として算出してもよい。
【0011】
車載ユニットは、地上ユニットとの間で非接触での送受電を行うための送電コイル又は受電コイルを含んでもよい。そして、上記鉛直方向軸の方向から車載ユニットを見たとき、第1、第2、第3、及び第4測距センサは、車載ユニット内に配置された送電コイル又は受電コイルを囲むように配置されてもよい。
【0012】
回転角センサは、車両を駆動する電動モータの回転軸の回転角を検出するレゾルバであってもよい。
【0013】
本開示に係る車両用送受電システムは、上述の回転角検出装置を備える。車両用送受電システムは、送電ユニットと受電ユニットとの間で非接触での送受電を行うように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示に係る回転角検出装置及びそれを備える車両用送受電システムによれば、地上ユニットに対する車載ユニットのヨー角を、一対の測距センサ(第1及び第2測距センサ)と車両の回転角センサとによる簡素な構成を利用して検出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1に係る回転角検出装置が適用される車両用送受電システムの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図2】駐車スペースに向かう車両を鉛直方向(Z軸方向)の上方から見下ろした図である。
【
図3】地上ユニットに対する車載ユニットのヨー角αの定義を説明するための図である。
【
図4】実施の形態1に係る回転角検出装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図1に示す車載ユニットを車両の鉛直方向の下方側から見た斜視図である。
【
図6】実施の形態1に係るヨー角αの算出手法の概要を説明するための図である。
【
図7】実施の形態1に係るヨー角αの算出手法の概要を説明するための図である。
【
図8】実施の形態1に係るヨー角αの検出に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】地上ユニットに対する車載ユニットの相対位置及び相対回転角のずれ量に応じた運転者への通知に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態2に係る回転角検出装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】
図10に示す第3及び第4測距センサの配置場所を説明するための図である。
【
図12】実施の形態2に係るロール角βの算出手法を説明するための図である。
【
図13】実施の形態2に係るピッチ角γの算出手法を説明するための図である。
【
図14】実施の形態2に係るロール角β及びピッチ角γの検出に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る技術思想が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造やステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、本開示に係る技術思想に必ずしも必須のものではない。
【0017】
1.実施の形態1
1-1.車両用送受電システムの構成例
図1は、実施の形態1に係る回転角検出装置50が適用される車両用送受電システム1の構成の一例を概略的に示す図である。車両用送受電システム1は、地上側に設置された送電装置2と、車両3に搭載された受電装置4とを備えている。この送受電システム1は、例えば磁界共鳴方式を利用して、送電装置2から受電装置4に電力を伝送するように構成されている。ただし、非接触での電力伝送方式は、特に限定されず、電磁誘導方式等の他の方式が用いられてもよい。
【0018】
送電装置2は、車両3の駐車スペース5に設置されている。送電装置2は、送電ユニット(以下、「地上ユニット」とも称する)21を含む。送電装置2は、一例として、この地上ユニット21と送電スタンド22とによって構成されている。
【0019】
地上ユニット21はケース23を有する。ケース23は送電コイル24を収容している。送電スタンド22は、地上ユニット21と電気的に接続されている。送電スタンド22は、交流電源25と送電回路26とを含む。交流電源25は、送電回路26を介して地上ユニット21(送電コイル24)に電力を供給する。送電回路26は、インバータを含み、送電コイル24を流れる電流を制御する。
【0020】
図1に示すように、地上ユニット21は、路面6の上に置かれており、天面23aと路面6との間に段差27を有している。段差27の高さは、路面6と車両3の底面との隙間よりも小さい。なお、地上ユニット21は、後述の第1及び第2測距センサ34及び35によって検出可能な段差27を有するように路面6に配置されていればよく、例えば、路面6に埋設されていてもよい。また、段差27は、
図1に示すように路面6に対して天面23aが高い例に代え、路面6に対して天面23aが低くなるように形成されてもよい。また、送電スタンド22は、例えば、駐車スペース5の一端に設置されている。
【0021】
車両3に搭載された受電装置4は、受電ユニット(以下、「車載ユニット」とも称する)41を含む。受電装置4は、一例として、車載ユニット41と、受電回路42とによって構成されている。車載ユニット41は、地上ユニット21に対向可能な位置(すなわち、車両3の底部)において車両3に搭載されており、地上ユニット(送電ユニット)21から伝送された電力を受け取る。
【0022】
車載ユニット41はケース43を有する。ケース43は受電コイル44を収容している。受電コイル44は、送電コイル24と対向している状態において、送電コイル24から非接触で伝送される電力を受け取る。受電回路42は、受電コイル44が受け取った交流電力を整流して直流に変換する整流器を含む。
【0023】
車両3は、受電装置4とともに、駆動源としての電動モータ31と、電動モータ31に電力を供給するバッテリ32とを備えている。すなわち、車両3は電動車両である。具体的には、車両3は、例えばバッテリ電気自動車である。また、車両3の他の例は、駆動源として電動モータ31とともに内燃機関を備えるハイブリッド車両、及び燃料電池車両を含む。バッテリ32は、例えばリチウムイオン電池であり、受電回路42と接続されている。バッテリ32は、地上側の送電装置2から受電装置4を介して供給される電力によって充電される。
【0024】
また、車両3は、電子制御ユニット(ECU)33を備えている。ECU33は、車両3に関する各種処理を実行するコンピュータである。具体的には、ECU33によって実行される処理は、電動モータ31の制御に関する処理、送電装置2から受け取った電力の制御に関する処理、及び、後述の各種回転角(実施の形態1ではヨー角α)の検出に関する処理を含む。ECU33は、プロセッサ33a及び記憶装置33bを備えている。プロセッサ33aは、記憶装置33bに格納されているプログラムを読み出して実行する。これにより、プロセッサ33aによる上述の各種処理が実現される。なお、ECU33は複数であってもよい。例えば、ヨー角αの検出に関する処理が専用のECU(プロセッサ)によって行われてもよい。
【0025】
さらに、車両3は、ヨー角αの検出のために、一対の測距センサ(第1及び第2測距センサ)34及び35と、レゾルバ36とを備えている。これらの測距センサ34及び35の詳細については、
図5を参照して後述される。
【0026】
レゾルバ36は、電動モータ31の回転軸の回転角を検出する。電動モータ31の回転軸は、車両3の車輪7の回転軸と連動して回転する回転軸の一例に相当する。したがって、ECU33は、電動モータ31の回転角(より詳細には、当該回転角、電動モータ31と車輪7との間のギヤ比、及び車輪7(タイヤ)の半径)に基づいて車両3の移動距離を算出できる。レゾルバ36は、本開示に係る「回転角センサ」の一例に相当する。当該回転角センサは、レゾルバ36に代え、例えば、車輪7の回転軸の回転角を検出する車輪速センサであってもよい。付け加えると、電動モータ31の制御に必要な回転角を検出するために用いられるレゾルバ36は、一般的に、車輪速センサと比べ、高い精度で回転角を検出できる。
【0027】
1-2.回転角検出装置
図2は、駐車スペース5に向かう車両3を鉛直方向(Z軸方向)の上方から見下ろした図である。符号8は、駐車スペース5を区画する駐車枠線である。車両3の前後方向軸、左右方向軸、及び鉛直方向軸を、それぞれX軸、Y軸、及びZ軸と称する(
図2及び後述の
図5等参照)。より詳細には、
図2は、一例として後方駐車を示しているが、以下に説明されるヨー角αの算出手法は前方駐車時にも適用可能である。
【0028】
上述した送受電システム1のように非接触充電を行うシステムでは、非接触で送受電を行う際に、地上ユニットに対する車載ユニットの相対位置及び相対回転角をそれぞれ正確に検出することが要求される。これは、当該相対位置及び相対回転角のそれぞれが非接触充電を行える範囲内にあるか否かを判定するためである。具体的には、当該相対位置は、X軸方向位置、Y軸方向位置、及びZ軸方向位置であり、当該相対回転角は、ヨー角α(Z軸中心の回転角)、ロール角β(X軸中心の回転角)、及びピッチ角γ(Y軸中心の回転角)である。
【0029】
図3(A)及び3(B)を参照して、地上ユニット21に対する車載ユニット41のヨー角αの定義について説明する。
図3(A)及び3(B)も、
図2と同様に、Z軸方向から地上ユニット21及び車載ユニット41を見た図である。上述の
図2中に破線で示すように車両3が駐車スペース5に正しく駐車された時、車両3の前後方向軸(X軸)は駐車枠線8と平行となる。ここでは、地上ユニット21に対する車載ユニット41のヨー角αの特定のために、XY平面において駐車枠線8と平行な軸が地上ユニット21の基準軸L1として用いられる。また、車両3のX軸(前後方向軸)と平行な軸が車載ユニット41の基準軸L2として用いられる。
【0030】
図3(A)に示す例では、車両3は、前後方向軸(X軸)が駐車枠線8と平行な状態で駐車している。この場合、基準軸L1と基準軸L2とが平行となるので、ヨー角αはゼロとなる。一方、
図3(B)に示す例では、基準軸L2は基準軸L1に対して傾斜している。このため、基準軸L1に対する基準軸L2の傾斜角がヨー角αとして特定される。
【0031】
1-2-1.回転角検出装置の構成例
本実施形態では、上述の相対位置及び相対回転角のうちのヨー角αの検出手法について説明される。
図4は、実施の形態1に係る回転角検出装置50の構成を示すブロック図である。回転角検出装置50は、上述のECU33、第1及び第2測距センサ34、35、及びレゾルバ36によって構成されている。
【0032】
図5は、
図1に示す車載ユニット41を車両3の鉛直方向の下方側から見た斜視図である。車載ユニット41のケース43の底面43aは、路面6又は地上ユニット21と対向する。
図5に示すように、車載ユニット41は、この底面43aがXY平面と平行となるように車両3に搭載されている。
【0033】
第1及び第2測距センサ34、35のそれぞれは、Z軸方向の下方側を向くように、すなわち、路面6を向くように車載ユニット41に設置されており、路面6の側との距離D1及びD2を検出する。第1測距センサ34と第2測距センサ35とは、車両3の左右方向(Y軸方向)に並んで配置されている。
【0034】
より詳細には、第1測距センサ34と第2測距センサ35との距離(以下、「センサ間距離DS1」と称する)は、基準軸L1と垂直な方向における地上ユニット21の幅よりも短くなるように設定されている。これにより、車両3が地上ユニット21に対して基準軸L1と垂直な方向に大きく外れて駐車した場合は例外として、駐車の際に各測距センサ34、35のそれぞれが駐車時に地上ユニット21と対向可能な位置において路面6を向くことができる。
【0035】
駐車の際に第1測距センサ34が地上ユニット21の上に差し掛かると、第1測距センサ34により検出される距離D1は、路面6との距離から地上ユニット21との距離に変化する。したがって、駐車中に第1測距センサ34を用いて距離D1を計測することにより、第1測距センサ34が地上ユニット21と対向し始めるタイミングを検出できる。換言すると、段差27を検出できる。このことは、第2測距センサ35についても同様である。
【0036】
なお、
図5に示す例では、第1及び第2測距センサ34、35は、車載ユニット41に設置されている。しかしながら、第1及び第2測距センサ34、35は、駐車時に地上ユニット21と対向可能位置において路面6を向くように車両3に搭載されていれば、車載ユニット41以外の部位において車両3の底面に設置されていてもよい。付け加えると、
図3に示すように、Z軸方向の上方から見たとき、一例として、基準軸L1の方向及びその垂直方向のそれぞれにおける車載ユニット41の寸法は、地上ユニット21の寸法と比べて短い。
【0037】
1-2-2.ヨー角αの算出手法の概要
図6(A)及び6(B)、並びに
図7は、実施の形態1に係るヨー角αの算出手法の概要を説明するための図である。これらの図も、Z軸方向から地上ユニット21及び車載ユニット41を見た図である。また、これらの図は、地上側の基準軸L1に対して車両側の基準軸L2が傾斜した状態で駐車が行われているときを示している。
【0038】
ヨー角αの算出の前提となる地上ユニット21のケース23の形状について説明する。まず、
図6に示すように、ケース23の基本形状は、一例として四角形である。そのうえで、ヨー角αの算出のために、ケース23は、地上ユニット21に接近する車両3(車載ユニット41)の側を向く辺21aが「直線形状」を有している。より詳細には、辺21aは、基準軸L1と垂直な方向に延びる直線形状を有している。
【0039】
なお、ヨー角αの算出に関し、ここでいう辺21aの「直線形状」とは、必ずしも厳密な直線形状を有する例に限らず、実質的な直線形状を有する例を含む概念である。また、基準軸L1の双方向から車両3が駐車のために地上ユニット21に接近可能な駐車スペースの例では、当該双方向からの駐車時にヨー角αを検出するために、当該駐車スペースに設置される地上ユニット21のケース23は、辺21aとともに、辺21aの反対側の辺も「直線形状」を有してもよい。また、ここでいう「直線形状」を有する限り、ケース23は、四角形以外の任意の基本形状を有してもよい。
【0040】
図6(A)は、第2測距センサ35が地上ユニット21と対向し始める第1タイミングT1に対応している。この第1タイミングT1は、第2測距センサ35が辺21a(段差27)を通過することに伴う距離D2の変化に基づいて検出できる。第1タイミングT1の後に車両3の移動が継続すると、
図6(B)に示すように、もう一方の第1測距センサ34が地上ユニット21と対向し始める第2タイミングT2が到来する。この第2タイミングT2は、第1測距センサ34が辺21a(段差27)を通過することに伴う距離D1の変化に基づいて検出できる。
【0041】
図7は、
図6(A)及び(B)中の第1及び第2タイミングT1、T2のそれぞれにおける第1及び第2測距センサ34、35の位置と地上ユニット21(辺21a)の位置との関係を示している。ECU33は、上述したレゾルバ36の出力に基づいて、第1タイミングT1から第2タイミングT2までの期間中の車両3の移動距離DVを算出できる。また、センサ間距離DS1は既知の値である。そして、第1及び第2測距センサ34、35間を結ぶ直線の方向(すなわち、Y軸方向)と車両3の進行方向(すなわち、X軸方向)とは直交している。
【0042】
したがって、
図7中に太線で示すように、長さがセンサ間距離DS1となる辺と長さが移動距離DVとなる辺とを斜辺とともに有する直角三角形を特定できる。そして、この直角三角形において、長さが移動距離DVとなる辺と対向する内角が、地上側の基準軸L1と車両側の基準軸L2とのなす角、すなわち、ヨー角αと等しくなる。このため、次の(1)式に基づき、移動距離DVをセンサ間距離DS1で除して得られる値のアークタンジェント値をヨー角αとして算出することが可能となる。
α=arctan(DV/DS1) ・・・(1)
【0043】
1-2-3.ECUによる処理
図8は、実施の形態1に係るヨー角αの検出に関する処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、車両3の駐車が開始されたときに実行される。具体的には、運転者の操作によって車両3の駐車が行われる例では、ECU33は、例えば、駐車開始を知らせるための所定のスイッチが運転者によって操作されたことを検出したときに、駐車が開始されたと判定する。あるいは、ECU33は、例えば、車両3の後退中のカメラ画像を利用して駐車スペース5を検出したときに、駐車が開始されたと判定する。また、車両3が自動駐車機能を備える例では、ECU33は、例えば、自動駐車機能を選択するスイッチが運転者によって操作されたことを検出したときに、駐車が開始されたと判定する。
【0044】
図8では、ECU33(プロセッサ33a)は、まずステップS100において、第1タイミングT1が到来したか否かを判定する。第1タイミングT1は、第1及び第2測距センサ34、35の一方が地上ユニット21と対向し始めるタイミングである。上述のように、第1タイミングT1は、第1又は第2測距センサ34、35の出力(距離D1、D2)の変化に基づいて取得できる。
【0045】
ステップS100において第1タイミングT1が到来していない間は、ECU33はステップS100の処理を繰り返し実行する。なお、ステップS100の処理の開始後の所定時間内に第1タイミングT1が到来しない場合には、ECU33は今回の駐車開始時のヨー角αの検出処理を中止してもよい。
【0046】
一方、ステップS100において第1タイミングT1が到来した場合には、処理はステップS102に進む。ステップS102では、ECU33は、車両3の移動距離DVの計測、すなわち、レゾルバ36による電動モータ31の回転軸の回転量の計測を開始する。その後、処理はステップS104に進む。
【0047】
ステップS104では、ECU33は、第2タイミングT2が到来したか否かを判定する。第2タイミングT2は、第1タイミングT1において地上ユニット21と対向し始めた第1又は第2測距センサ34、35と異なる方の測距センサが地上ユニット21と対向し始めるタイミングである。第2タイミングT2も、第1タイミングT1と同様に、第1又は第2測距センサ34、35の出力(距離D1、D2)の変化に基づいて取得できる。
【0048】
ステップS104において第2タイミングT2が到来していない間は、ECU33はステップS104の処理を繰り返し実行する。なお、ステップS104の処理の開始後の所定時間内に第2タイミングT2が到来しない場合には、ECU33は今回の駐車開始時のヨー角αの検出処理を中止してもよい。
【0049】
一方、ステップS104において第2タイミングT2が到来した場合には、処理はステップS106に進む。ステップS106では、ECU33は、レゾルバ36の出力(より詳細には、計測した上記回転量)に基づいて、第1タイミングT1から第2タイミングT2までの期間中の移動距離DVを算出する。その後、処理はステップS108に進む。
【0050】
ステップS108では、ECU33は、ステップS106において算出した移動距離DVを既知のセンサ間距離DS1で除して得られる値のアークタンジェント値(=arctan(DV/DS1))を、ヨー角αとして算出する。
【0051】
次に、
図9は、地上ユニット21に対する車載ユニット41の相対位置及び相対回転角のずれ量に応じた運転者への通知に関する処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートの処理も、
図8と同様に、車両3の駐車が開始されたときに実行される。
【0052】
図9では、ECU33(プロセッサ33a)は、まずステップS200において、各種の相対位置(X軸方向位置、Y軸方向位置、及びZ軸方向位置)、及び相対回転角(ヨー角α、ロール角β、及びピッチ角γ)を検出する。具体的には、ヨー角αは、
図8に示すフローチャートの処理によって検出される。ロール角β及びピッチ角γは、後述の実施の形態2で説明される手法によって検出できる。Z軸方向位置は、例えば、第1又は第2測距34、35を用いて検出される距離D1又はD2、又は距離D1と距離D2との平均値を用いることができる。また、X軸方向位置及びY軸方向位置は、公知の任意の手法を用いて検出できる。
【0053】
ステップS200に続くステップS202では、ECU33は、ステップS200において検出した各種の相対位置及び相対回転角のそれぞれが所定の規定値内(すなわち、非接触充電を実行可能な範囲内)に収まっているか否かを判定する。
【0054】
ステップS202の判定結果が肯定的である場合には、処理はステップS204に進む。ステップS204では、ECU33は、地上ユニット21に対して車載ユニット41が非接触充電を実行可能な範囲内に収まっていることを運転者に通知する処理を行う。具体的には、ECU33は、例えば、車両3の計器盤に設置された表示装置37を利用して通知を行う。
【0055】
一方、ステップS202の判定結果が否定的である場合には、処理はステップS206に進む。ステップS206では、ECU33は、例えば表示装置37を利用して、相対位置又は相対回転角にずれが生じていることを運転者に通知する処理を行う。
【0056】
ステップS206に続くステップS208では、ECU33は、車両3が停止したか否か(換言すると、運転者が駐車動作を止めたか否か)を判定する。この判定は、例えば、レゾルバ36により検出される回転角の変化が停止したか否かに基づいて行うことができる。
【0057】
ステップS208において車両3が停止していない場合、つまり、駐車動作が再度行わされている場合には、処理がステップS200に戻る。一方、車両3が停止した場合には、処理はステップS210に進む。ステップS210では、ECU33は、例えば表示装置37を利用して、相対位置又は相対回転角のずれに起因して非接触充電が不可であることを運転者に通知する処理を行う。
【0058】
1-3.効果
以上説明した実施の形態1に係る回転角検出装置50によれば、地上ユニット21に対する車載ユニット41のヨー角αを、一対の測距センサ34及び35と車両3に既存のレゾルバ36とによる簡素な構成を利用して検出できるようになる。
【0059】
また、車両3の移動距離DVの算出のためにレゾルバ36が用いられている。レゾルバ36は、電動モータ31の制御のために必要な回転角を検出するための回転角センサであるため、車両3に既存であり、かつ高精度である。このため、部品の追加なしに移動距離DVを精度良く算出できる。
【0060】
付け加えると、本実施形態のヨー角αの検出手法は、第1及び第2測距センサ34、35とレゾルバ36とを利用するものであり、ヨー角αの検出のために磁界を発生させることを必要としない。また、第1及び第2測距センサ34、35及びレゾルバ36は、受電回路42と独立している。このため、駐車後に他の車両によって押される等の理由によって生じ得る車両3のヨー角αのずれを充電中に検出可能である。また、次の実施の形態2で説明される手法によるロール角β及びピッチ角γの検出についても、同様に充電中に実行可能である。
【0061】
第1及び第2測距センサ34、35は、ステップS200の処理に関して説明したように、Z軸方向位置の検出が可能である。このため、駐車時だけでなく充電中又は他の用途における車高の検知のために、第1及び第2測距センサ34、35を利用することもできる。例えば、人の乗り降り又は荷物の積み下ろしに伴って車高が変化したことを検出できる。また、充電中に車高(上述のZ方向の相対位置)が規定値から外れたことを第1又は第2測距センサ34、35を用いて検出し、充電を停止することも可能となる。
【0062】
2.実施の形態2
実施の形態2では、車両用送受電システム1は、回転角検出装置50に代え、次の回転角検出装置60を備えている。回転角検出装置60は、地上ユニット21に対する車載ユニット41の相対的な回転角として、実施の形態1で説明されたヨー角αとともに、ロール角β及びピッチ角γを算出する。
【0063】
2-1.回転角検出装置の構成例
図10は、実施の形態2に係る回転角検出装置60の構成を示すブロック図である。回転角検出装置60は、ECU33と第1及び第2測距センサ34、35とレゾルバ36とに加え、第3及び第4測距センサ38、39を備えている。
【0064】
図11は、
図10に示す第3及び第4測距センサ38、39の配置場所を説明するための図である。
図11は、車載ユニット41を車両3の鉛直方向の下方側から見た斜視図である。
【0065】
第1及び第2測距センサ34、35の配置は実施の形態1と同じである。次に、第3及び第4測距センサ38、39のそれぞれは、測距センサ34及び35と同様に、Z軸方向の下方側を向くように、すなわち、路面6を向くように車載ユニット41に設置されている。すなわち、第3及び第4測距センサ38、39は、地上ユニット21に対向可能な車載ユニット41に搭載されているので、駐車時に地上ユニット21と対向可能である。第3及び第4測距センサ38、39は、路面6の側との距離D3及びD4をそれぞれ検出する。より詳細には、第1~第4測距センサ34、35、38、39は、車載ユニット41のケース43の底面43aに設置されている。
【0066】
そして、第3測距センサ38と第4測距センサ39とは、車両3の左右方向(Y軸方向)に並んで配置されている。そして、第3測距センサ38は、車両3の前後方向(X軸方向)にセンサ間距離DS2だけ第1測距センサ34から離れて配置されている。同様に、第4測距センサ39も、X軸方向にセンサ間距離DS2だけ第2測距センサ35から離れて配置されている。したがって、第3測距センサ38と第4測距センサ39との距離も、センサ間距離DS1である。
【0067】
次に、
図11に示す例における第1~第4測距センサ34、35、38、39と受電コイル44との具体的な配置関係について説明する。
図11に示すように、車両3の鉛直方向軸(Z軸)の方向から車載ユニット41を見たとき、第1~第4測距センサ34、35、38、39は、受電コイル44を囲むように配置されている。付け加えると、車載ユニット41のケース43の底面43aの基本形状は、一例として、四角形である。第1~第4測距センサ34、35、38、39は、この底面43aの四隅に配置されている。
【0068】
2-2.ロール角β及びピッチ角γの算出手法の概要
図12及び
図13を参照して、実施の形態2に係るロール角β及びピッチ角γの算出手法についてそれぞれ説明する。なお、ヨー角αの算出手法は、実施の形態1と同様である。すなわち、一対の測距センサ34、35を利用してヨー角αが算出される。また、ヨー角αは、もう一対の測距センサ38、39を利用して同様の手法で算出されてもよい。
【0069】
まず、ロール角βの算出手法について説明する。
図12(A)は、車載ユニット41を車両3の後方側から見た図である。
図12(A)に示す一例では、車載ユニット41は、車両3の右側(紙面右側)が左側に対して下がるように傾斜した状態で地上ユニット21の上に位置している。地上ユニット21の天面23aは路面6と平行又は実質的に平行である。
【0070】
ロール角βの算出のために、ECU33は第1差分A1を算出する。第1及び第3測距センサ34、38はX軸と平行な同一直線上にあり、同様に、第2及び第4測距センサ35、39もX軸と平行な他の同一直線上にある。第1差分A1は、距離D1と距離D3の平均値と、距離D2と距離D4の平均値との差分である。
【0071】
第1差分A1が得られると、
図12(B)に示すような直角三角形を特定できる。そして、この直角三角形において長さが第1差分A1となる辺に対向する内角は、X軸方向から見て地上側の天面23aと車両側の底面43aとのなす角、すなわち、ロール角βと等しくなる。そして、当該直角三角形の斜辺の長さはセンサ間距離DS1と等しい。このため、次の(2)式に基づき、第1差分A1をセンサ間距離DS1で除して得られる値のアークサイン値をロール角βとして算出することが可能となる。
β=arcsin(A1/DS1) ・・・(2)
【0072】
次に、ピッチ角γの算出手法について説明する。
図13(A)は、車載ユニット41を車両3の左側から見た図である。
図13(A)に示す一例では、車載ユニット41は、車両3の後側(紙面右側)が前側に対して下がるように傾斜した状態で地上ユニット21の上に位置している。
【0073】
ピッチ角γの算出のために、ECU33は第2差分A2を算出する。第1及び第2測距センサ34、35はY軸と平行な同一直線上にあり、同様に、第3及び第4測距センサ38、39もY軸と平行な他の同一直線上にある。第2差分A2は、距離D1と距離D2の平均値と、距離D3と距離D4の平均値との差分である。
【0074】
第2差分A2が得られると、
図13(B)に示すような直角三角形を特定できる。そして、この直角三角形において長さが第2差分A2となる辺に対向する内角は、Y軸方向から見て地上側の天面23aと車両側の底面43aとのなす角、すなわち、ピッチ角γと等しくなる。そして、当該直角三角形の斜辺の長さはセンサ間距離DS2と等しい。このため、次の(3)式に基づき、第2差分A2をセンサ間距離DS2で除して得られる値のアークサイン値をピッチ角γとして算出することが可能となる。
γ=arcsin(A2/DS2) ・・・(3)
【0075】
2-3.ECUによる処理
図14は、実施の形態2に係るロール角β及びピッチ角γの検出に関する処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートの処理も、
図8と同様に、車両3の駐車が開始されたときに実行される。
【0076】
図14では、ECU33(プロセッサ33a)は、まずステップS300において、4つの測距センサ34、35、38、39のすべてが地上ユニット21の上にあるか否かを判定する。この判定は、例えば、距離D1~D4のそれぞれを閾値と比較することで行える。
【0077】
ステップS300の判定結果が否定的である間は、ECU33はステップS300の処理を繰り返し実行する。なお、ステップS300の処理の開始後の所定時間内に当該判定結果が肯定的とならない場合には、ECU33は今回の駐車開始時のロール角β及びピッチ角γの検出処理を中止してもよい。
【0078】
一方、ステップS300の判定結果が肯定的である場合には、処理はステップS302に進む。ステップS302では、ECU33は、距離D1~D4をそれぞれ取得する。次いで、ステップS304において、ECU33は、ステップS302にて取得した距離D1~D4を用いて、上述の第1差分A1及び第2差分A2をそれぞれ算出する。
【0079】
ステップS304に続くステップS306では、ECU33は、ステップS304において算出した第1差分A1を既知のセンサ間距離DS1で除して得られる値のアークサイン値(=arcsin(A1/DS1))を、ロール角βとして算出する。また、ECU33は、ステップS304において算出した第2差分A2を既知のセンサ間距離DS2で除して得られる値のアークサイン値(=arcsin(A2/DS2))を、ピッチ角γとして算出する。
【0080】
2-4.効果
以上説明した実施の形態2に係る回転角検出装置60は、ロール角β及びピッチ角γの検出のために、実施の形態1に係る回転角検出装置50と比べて、もう一対の測距センサ38、39を追加的に備えている。このように、回転角検出装置60によれば、簡素な構成を利用して、駐車時にヨー角αだけでなくロール角β及びピッチ角γをも好適に検出できるようになる。また、一対の測距センサ34、35だけでなく、もう一対の測距センサ38、39をヨー角αの検出に利用することも可能となる。
【0081】
また、第1差分A1の算出のために、距離D1及びD3の一方を用いることもできる。この点に関し、本実施形態のロール角βの算出手法では、距離D1及びD3の平均値が用いられる。このことは、距離D2と距離D4との関係についても同様である。これにより、個々の測距センサによって検出される距離のばらつきの影響を軽減しつつ第1差分A1を算出できる。また、このことは、ピッチ角γの算出手法における第2差分A2の算出についても同様である。
【0082】
また、車両3の鉛直方向(Z軸方向)から車載ユニット41を見たとき、本実施形態の第1~第4測距センサ34、35、38、39は、受電コイル44を囲むように配置されている。これにより、次のような効果を奏する。すなわち、駐車時には、ロール角βとピッチ角γの双方が生じ得る。この点に関し、4つの測距センサ34、35、38、39の上記配置によれば、ピッチ角γが生じている場合に、距離D1とD3との平均値を利用することで、距離D1又はD3のみを利用する場合と比べて、車両3の前後方向において受電コイル44に近い位置における距離を取得できるようになる。つまり、当該平均値の利用により、ピッチ角γが生じている場合に、受電コイル44に近い位置でのロール角βを検出できるようになる。このことは、距離D2とD4との平均値の利用についても同様である。また、同様のことが、ピッチ角γの検出についてもいえる。
【0083】
なお、上述した実施の形態1及び2においては、回転角検出装置50及び60は、非接触方式の車両用送受電システム1に適用されている。しかしながら、本開示に係る「回転角検出装置」が適用される車両用送受電システムは、接触方式であってもよい。具体的には、接触方式の送受電システムは、例えば、地上側コネクタに接続される車両側コネクタを備える車載ユニットと、当該地上側コネクタを車両側コネクタに接続させるロボットアームを備える地上ユニットとを備えていてもよい。
【0084】
また、本開示に係る「回転角検出装置」が適用される車両用送受電システムは、上述した車両用送受電システム1の例とは逆に、車載ユニットが送電ユニットであって、地上ユニットが受電ユニットであってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 車両用送受電システム
2 送電装置
3 車両
4 受電装置
5 駐車スペース
6 路面
7 車輪
8 駐車枠線
21 地上ユニット
21a 接近する車両の側を向く辺
22 送電スタンド
23 地上ユニットのケース
24 送電コイル
27 段差
31 電動モータ
33 電子制御ユニット(ECU)
34 第1測距センサ
35 第2測距センサ
36 レゾルバ(回転角センサ)
38 第3測距センサ
39 第4測距センサ
41 車載ユニット
42 受電回路
43 車載ユニットのケース
44 受電コイル
50 回転角検出装置
60 回転角検出装置