(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】運転支援制御装置、運転支援制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241112BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20241112BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241112BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
G06T7/00 650B
(21)【出願番号】P 2021050106
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 秀一
(72)【発明者】
【氏名】浅野 祐一
(72)【発明者】
【氏名】井出 剛
(72)【発明者】
【氏名】石川 潤
(72)【発明者】
【氏名】西田 昌司
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-096009(JP,A)
【文献】特開2012-220984(JP,A)
【文献】特開2002-024986(JP,A)
【文献】特開2006-350613(JP,A)
【文献】特開2001-195698(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0248381(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のカメラで撮影した歩行者の横断エリアの画像データを取得する第1画像データ取得部と、
路側に設置された外部カメラで撮影した画像データを取得する第2画像データ取得部と、
前記車両のカメラで撮影した画像データに基づいて推定した前記横断エリアにいる歩行者の
人数に前記横断エリアに進入する歩行者の人数を合わせた第1合計人数と、前記外部カメラで撮影した画像データに基づいて推定した前記横断エリアにいる歩行者の
人数に前記横断エリアに進入する歩行者の人数を合わせた第2合計人数とを比較する比較部と、
前記
第1合計人数と前記
第2合計人数とが相違するときに報知する報知部と、
を備える運転支援制御装置。
【請求項2】
前記比較部は、前記車両のカメラで撮影した画像データと前記外部カメラで撮影した画像データに基づいて絶対座標が同じである前記横断エリアにいる歩行者の第1人数と第2人数とを比較し、前記報知部は、第1人数と前記第2人数とが相違するときに報知する、
請求項1に記載の運転支援制御装置。
【請求項3】
コンピュータが実行する、
車両のカメラで撮影した歩行者の横断エリアの画像データを取得するステップと、
路側に設置された外部カメラで撮影した画像データを取得するステップと、
前記車両のカメラで撮影した画像データに基づいて推定した前記横断エリアにいる歩行者の
人数に前記横断エリアに進入する歩行者の人数を合わせた第1合計人数と、前記外部カメラで撮影した画像データに基づいて推定した前記横断エリアにいる歩行者の
人数に前記横断エリアに進入する歩行者の人数を合わせた第2合計人数とを比較するステップと、
前記
第1合計人数と前記
第2合計人数とが相違するときに報知するステップと、
を含む運転支援制御方法。
【請求項4】
車両のカメラで撮影した歩行者の横断エリアの画像データを取得するステップと、
路側に設置された外部カメラで撮影した画像データを取得するステップと、
前記車両のカメラで撮影した画像データに基づいて推定した前記横断エリアにいる歩行者の
人数に前記横断エリアに進入する歩行者の人数を合わせた第1合計人数と、前記外部カメラで撮影した画像データに基づいて推定した前記横断エリアにいる歩行者の
人数に前記横断エリアに進入する歩行者の人数を合わせた第2合計人数とを比較するステップと、
前記
第1合計人数と前記
第2合計人数とが相違するときに報知するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援制御装置、運転支援制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の車両が道路を走行する上で、自車を運転する運転者は、駐車または停車している車両が邪魔になり、視界に死角が発生することがある。発生する死角に対して、安全性を向上するための技術として、下記特許文献に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-041058号公報
【文献】特開2009-199532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、自車が道路を走行しているとき、横断歩道の手前に対向車線のバスの停留所があり、停留所にバスが停車していることがある。このとき、自車の運転者は、バスが邪魔になり、バスの後方側にある横断歩道の一部が死角になる。すると、運転者は、横断歩道を渡る歩行者のうち、バスに隠れて横断歩道を渡る歩行者を視認することができない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ドライバの死角になる領域の情報を取得して運転者を支援することで走行安全性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る運転支援制御装置は、車両のカメラで撮影した歩行者の横断エリアの画像データを取得する第1画像データ取得部と、外部カメラで撮影した画像データを取得する第2画像データ取得部と、前記車両のカメラで撮影した画像データに基づいて推定した前記横断エリアにいる歩行者の第1形態と前記外部カメラで撮影した画像データに基づいて推定した前記横断エリアにいる歩行者の第2形態とを比較する比較部と、前記第1形態と前記第2形態とが相違するときに報知する報知部と、を備える。
【0007】
本発明に係る運転支援制御方法は、車両のカメラで撮影した歩行者の横断エリアの画像データを取得するステップと、外部カメラで撮影した画像データを取得するステップと、前記車両のカメラで撮影した画像データに基づいて推定した前記横断エリアにいる歩行者の第1形態と前記外部カメラで撮影した画像データに基づいて推定した前記横断エリアにいる歩行者の第2形態とを比較するステップと、前記第1形態と前記第2形態とが相違するときに報知するステップと、を含む。
【0008】
本発明に係るプログラムは、車両のカメラで撮影した歩行者の横断エリアの画像データを取得するステップと、外部カメラで撮影した画像データを取得するステップと、前記車両のカメラで撮影した画像データに基づいて推定した前記横断エリアにいる歩行者の第1形態と前記外部カメラで撮影した画像データに基づいて推定した前記横断エリアにいる歩行者の第2形態とを比較するステップと、前記第1形態と前記第2形態とが相違するときに報知するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ドライバの死角になる領域の情報を取得して運転者を支援することで走行安全性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る運転支援装置としてのナビゲーションシステムを表すブロック図である。
【
図2】
図2は、運転支援制御処理を説明する説明図である。
【
図3】
図3は、運転者の視界を説明する説明図である。
【
図4】
図4は、運転支援制御処理における報知判断の一例を説明する説明図である。
【
図5】
図5は、運転支援制御処理における報知判断の他の例を説明する説明図である。
【
図6】
図6は、運転支援制御処理を表すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る運転支援装置としてのナビゲーションシステムを表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る運転支援制御装置、運転支援制御方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
<第1実施形態>
[ナビゲーションシステム]
図1は、第1実施形態に係る運転支援装置としてのナビゲーションシステムを表すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、ナビゲーションシステム1は、GNSS(Global Navigation Satellite System)の一例であるGPS(Global Positioning System)受信部11と、操作部12と、通信部13と、地図情報記憶部14と、カメラ15と、報知部16と、制御部(運転支援制御装置)20とを備える。ナビゲーションシステム1は、現在位置から目的地までの経路案内を行う。
【0014】
なお、以下では、ナビゲーションシステム1は、車両に搭載されているものとして説明するが、これに限定されない。例えば、ナビゲーションシステム1は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、コンピュータ(パーソナルコンピュータ)等で構成されてもよい。
【0015】
GPS受信部11は、GPS受信回路、GPS受信アンテナ等から構成されており、GPS信号を受信する。GPS受信部11は、受信したGPS信号を位置情報取得部21に出力する。
【0016】
操作部12は、制御部20に対する各種の操作を受付ける。操作部12は、ユーザから出発地、出発日時、目的地、経由地などを入力可能である。操作部12は、例えば、物理的なスイッチ、タッチパネルで構成されている。操作部12は、受付けた操作に応じた電気信号を操作情報取得部22に出力する。
【0017】
通信部13は、例えば、通信回路等によって構成されている。通信部13は、ネットワーク(例えば、インターネット)と無線で接続されている。通信部13は、ネットワークを介して、通信制御部23の制御に従って他の情報通信装置等との間で情報の送受信を行う。通信部13は、例えば、ユーザが所有するスマートフォン等との間で情報の送受信を行う。通信部13が通信を行う通信方式は任意の通信方式を適用可能である。通信部13は、通信制御部23との間で情報の送受信を行う。
【0018】
地図情報記憶部14は、各種の地図情報を記憶している。地図情報は、信号機の位置、休憩できるポイント等の各種の道路情報を含む道路地図データである。地図情報は、例えば、主要道路と、所謂抜け道や裏道との情報を含む。地図情報記憶部14は、ナビゲーションシステム1の構成に含まれず、通信部13を用いて外部のサーバから地図情報を取得可能としてもよい。地図情報記憶部14は、取得した地図情報を地図情報取得部24に出力する。
【0019】
カメラ15は、車両側に配置されたカメラである。カメラ15は、例えば、車両の車室内前方に配置されている。カメラ15は、エンジンが始動してから停止するまでの間、つまり、車両が動作している間は、外部の画像を常時撮影する。カメラ15は、車両のアクセサリ電源がONである間、外部の画像を撮影する。カメラ15は、撮影した画像データを画像データ取得部25に出力する。
【0020】
報知部16は、各種の情報を報知する。報知部16は、例えば、制御部20の報知制御部27の制御に従って、各種の情報を報知する。報知部16は、例えば、現在位置から目的地までの経路案内の情報を表示する。報知部16は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、または、有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等を含むディスプレイである。報知部16は、操作部12がタッチパネルで構成される場合には、操作部12と一体に設けられる。また、報知部16は、スピーカーを備えてもよく、報知する情報を音声にて出力する。報知部16は、例えば、現在位置から目的地までの経路案内の音声を出力する。報知部16は、報知制御部27から報知するデータが入力される。
【0021】
制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、図示しない記憶部に記憶されたプログラム(例えば、本発明に係るプログラム)がRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部20は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0022】
制御部20は、位置情報取得部21と、操作情報取得部22と、通信制御部23と、地図情報取得部24と、画像データ取得部(第1画像データ取得部)25と、画像データ解析部26と、報知制御部27とを備える。また、制御部20は、外部画像データ取得部(第2画像データ取得部)31と、外部画像データ解析部32と、比較部33と、経路設定部34と、経路案内部35とを備える。
【0023】
位置情報取得部21は、車両の現在の位置情報を取得する。位置情報取得部21は、例えば、GPS受信部11が受信したGPS信号に基づいて、車両の現在の位置情報を取得する。
【0024】
操作情報取得部22は、操作部12から各種の情報を受付ける。操作情報取得部22は、例えば、操作部12から出発地、出発日時、目的地、経由地などの情報を受付ける。
【0025】
通信制御部23は、通信部13を介した各種の通信を制御する。通信制御部23は、例えば、ユーザの所有するスマートフォン等との間の通信を制御する。ユーザの所有するスマートフォン等は、通信部13による通信先として、予め登録されている。
【0026】
地図情報取得部24は、地図情報記憶部14から地図情報を取得する。地図情報取得部24は、位置情報取得部21が取得した車両の現在位置と経由地や目的地の位置情報とに基づいて、車両の現在位置から経由地を経由した目的地までに関する地図情報を地図情報記憶部14から取得する。
【0027】
画像データ取得部25は、車両の周囲(特に、前方)を撮影した画像データを取得する。より詳しくは、画像データ取得部25は、カメラ15が出力した画像データを取得する。
【0028】
画像データ解析部26は、画像データ取得部25が取得した画像データを解析する。画像データ解析部26は、解析した画像データを比較部33へ出力する。より詳しくは、画像データ解析部26は、取得した画像データに基づいて歩行者が道路を横断する横断エリア、例えば、横断歩道を特定する。このとき、画像データ解析部26は、特定した横断歩道の位置を絶対座標データ(例えば、GPSのエリア番号、住所や番地など)として特定する。そして、画像データ解析部26は、特定した横断歩道(横断エリア)を移動する歩行者を特定し、歩行者の人数を算出する。また、画像データ解析部26は、取得した画像データに基づいて歩道から横断歩道に進入しようとする歩行者を特定し、横断歩道を移動する歩行者および歩道から横断歩道に進入しようとする歩行者を合わせた歩行者の合計人数を算出する。
【0029】
なお、横断エリアは、横断歩道に限るものではなく、信号がある交差点、横断歩道がないが、横断可能な道路などである。また、画像データ解析部26は、歩行者と共に横断歩道を移動するペット(例えば、犬など)や、自転車、車椅子などの乗り物に乗った人物を特定し、歩行者と特定してもよい。ここで、横断歩道や歩行者、ペットなどの特定方法としては、例えば、ディープラーニング(深層学習)などによる機械学習を用いればよいが、他の機械学習やその他の特定方法を用いてもよい。
【0030】
報知制御部27は、各種の情報を報知部16に表示させる。報知制御部27は、例えば、現在位置や出発地から経由地や目的地までの経路案内の情報を報知部16に表示させる。また、報知制御部27は、比較部33の比較結果として、運転者が視認できていない歩行者が横断歩道に存在することを報知部16に報知させる。
【0031】
外部画像データ取得部31は、特定の横断エリア、例えば、特定の横断歩道を撮影した画像データを取得する。横断歩道は、近傍に外部カメラ41が設置され、外部カメラ41は、外部画像データ通信部42が接続される。外部カメラ41は、少なくとも横断歩道の全域、好ましくは、横断歩道および両側の歩道とその周辺道路を撮影可能である。外部画像データ通信部42は、外部カメラ41が出力した画像データを外部に送信する。なお、画像データは、外部カメラ41が撮影した画像データに基づく位置情報や時刻情報を含んでいてもよい。外部画像データ取得部31は、外部カメラ41が出力して外部画像データ通信部42が送信した画像データを取得可能である。なお、外部カメラ41の設置位置は、横断歩道の近傍に限るものではなく、信号がある交差点の近傍、横断歩道がないが横断可能な道路などの近傍でもよい。
【0032】
外部画像データ解析部32は、外部画像データ取得部31が取得した画像データを解析する。外部画像データ解析部32は、解析した画像データを比較部33へ出力する。より詳しくは、外部画像データ解析部32は、取得した画像データに基づいて歩行者が道路を横断する横断エリア、例えば、横断歩道を特定する。このとき、外部画像データ解析部32は、特定した横断歩道の位置を絶対座標データ(例えば、GPSのエリア番号、住所や番地など)として特定する。そして、外部画像データ解析部32は、特定した横断歩道(横断エリア)を移動する歩行者を特定し、歩行者の人数を算出する。また、外部画像データ解析部32は、取得した画像データに基づいて歩道から横断歩道に進入しようとする歩行者を特定し、横断歩道を移動する歩行者および歩道から横断歩道に進入しようとする歩行者を合わせた歩行者の合計人数を算出する。
【0033】
なお、外部画像データ解析部32は、歩行者と共に横断歩道を移動するペット(例えば、犬など)や、自転車、車椅子などの乗り物に乗った人物を特定し、歩行者と特定してもよい。ここで、横断歩道や歩行者、ペットなどの特定方法としては、例えば、ディープラーニング(深層学習)などによる機械学習を用いればよいが、他の機械学習やその他の特定方法を用いてもよい。
【0034】
比較部33は、画像データ取得部25が取得して画像データ解析部26が解析した画像データに基づいて推定した横断歩道(横断エリア)にいる歩行者の第1人数(第1形態)と、外部画像データ取得部31が取得して外部画像データ解析部32が解析した画像データに基づいて推定した横断歩道(横断エリア)にいる歩行者の第2人数(第2形態)とを比較する。
【0035】
すなわち、車両の走行中、画像データ解析部26は、カメラ15の画像データを画像データ取得部25から受け取って解析し、車両の前方に横断歩道があると、カメラ15の画像データに基づいて横断歩道を特定し、特定した横断歩道の位置を絶対座標データとして特定し、横断歩道にいる歩行者の人数を特定する。このとき、横断歩道の近傍に外部カメラ41が設置されていると、外部画像データ解析部32は、外部カメラ41の画像データを外部画像データ取得部31から受け取って解析する。すなわち、外部画像データ解析部32は、外部カメラ41の画像データに基づいて横断歩道を特定し、特定した横断歩道の位置を絶対座標データとして特定し、横断歩道にいる歩行者の人数を特定する。
【0036】
このとき、比較部33は、画像データ解析部26が特定した横断歩道の絶対座標データと、外部画像データ解析部32が特定した横断歩道の絶対座標データが一致しているかどうかを確認する。比較部33は、同時刻における外部画像データ解析部32が特定した横断歩道にいる歩行者の人数と、画像データ解析部26が特定した横断歩道にいる歩行者の人数とを比較する。なお、外部画像データ解析部32が外部カメラ41の画像データに基づいて横断歩道の絶対座標データを特定することから、画像データ解析部26は、外部画像データ解析部32が特定した横断歩道の絶対座標データと同じ絶対座標データを有する横断歩道を特定し、横断歩道にいる歩行者の人数を特定してもよい。
【0037】
また、比較部33は、画像データ取得部25が取得して画像データ解析部26が解析した画像データに基づいて推定した横断歩道にいる歩行者と横断歩道に進入しようとする歩行者との第1合計人数と、外部画像データ取得部31が取得して外部画像データ解析部32が解析した画像データに基づいて推定した横断歩道にいる歩行者と横断歩道に進入しようとする歩行者との第2合計人数とを比較してもよい。
【0038】
比較部33は、第1人数と第2人数とが相違するとき、報知制御部27に横断歩道に対して、運転者が視認できていない歩行者が存在することを報知させる指令を出力する。また、比較部33は、第1合計人数と第2合計人数とが相違するとき、報知制御部27に対して、運転者が視認できていない歩行者が存在することを報知させる指令を出力してもよい。
【0039】
なお、画像データ解析部26および外部画像データ解析部32は、画像データに基づいて横断歩道を特定し、特定した横断歩道にいる歩行者の位置を絶対座標データとして特定してもよい。そして、比較部33は、画像データ解析部26が解析した横断歩道にいる歩行者の絶対座標データと、外部画像データ解析部32が解析した横断歩道にいる歩行者の絶対座標データとを比較して人数の相違を判定してもよい。
【0040】
経路設定部34は、出発地または現在位置から経由地および目的地までの車両が走行する経路を設定する。経路設定部34は、例えば、現在位置から目的地までの経路に関する地図情報を地図情報記憶部14から取得し、取得した地図情報に基づいて、現在位置から経由地および目的地までの経路を設定する。
【0041】
経路設定部34は、現在位置から経由地および目的地までの経路における渋滞に関する情報を取得する。経路設定部34は、例えば、現在位置から目的地までの経路が渋滞しているか否かを示す情報、渋滞の程度を示す情報等を、通信部13および通信制御部23を介して外部のサーバ等から取得する。
【0042】
経路設定部34は、例えば、現在位置から目的地までの間に経由地が設定されている場合には、区間ごとに異なる条件で経路を設定してもよい。具体的には、現在位置から目的地までの間に経由地が設定されている場合、経路設定部34は、現在位置から経由地までの区間と、経由地から目的地までの区間とでは、異なる条件で経路を設定してもよい。
【0043】
経路案内部35は、経路案内を行う。経路案内部35は、例えば、経路設定部34によって設定された現在位置から経由地および目的地までの経路を、報知制御部27によって報知部16に地図情報等を表示させたり、音声を用いて経路案内を行ったりする。
【0044】
[運転支援処理の説明]
ここで、運転支援処理の具体的な内容について説明する。
図2は、運転支援制御処理を説明する説明図である。
【0045】
図2に示すように、道路51の両側に歩道52,53が設けられており、道路51を横断するように歩道52,53を連絡する横断歩道54が設けられている。そして、一方の歩道52側にバスの停留所55が設けられている。また、一方の歩道52側に外部カメラ41および外部画像データ通信部42が設置されている。このとき、自車61は、道路51の左側を走行して横断歩道54側に向かう。バス62は、道路51の右側を走行して横断歩道54を通過して停留所55に停止している。
【0046】
このとき、自車61の運転手やナビゲーションシステム1のカメラ15は、横断歩道54側に向けて視角θ1を有する。ところが、自車61の運転手やナビゲーションシステム1のカメラ15は、視角θ1の中にバス62により死角θ1aが発生する。自車61の運転者は、視角θ1の中で横断歩道54を移動する歩行者M1を視認することができる。一方で、視角θ1の中にいるものの、死角θ1aとなる横断歩道54を移動する歩行者M2を視認することができない。また、死角θ1aとなる歩道52にいて横断歩道54に向かう歩行者M3を視認することができない。
【0047】
【0048】
図3に示すように、運転者またはカメラ15は、横断歩道54を左から右に移動する歩行者M1を視認することができる。しかし、運転者またはカメラ15は、バス62により死角となる死角領域62Aが形成されるため、横断歩道54を右から左に移動する歩行者M2を視認することができない。また、運転者またはカメラ15は、バス62が死角を作ることで、歩道52から横断歩道54に進入しようとする歩行者M3を視認することができない。
【0049】
図2に示すように、第1実施形態では、横断歩道54の近傍に横断歩道54を撮影する外部カメラ41を設置し、外部カメラ41に外部画像データ通信部42を接続する。外部カメラ41は、横断歩道の画像データを撮影し、外部画像データ通信部42は、外部カメラ41が撮影した横断歩道の画像データを常時、また、横断歩道を歩行者が移動するときに外部に送信する。制御部20は、カメラ15の画像データに基づいて推定した横断歩道の歩行者の第1人数(第1合計人数)と、外部カメラ41の画像データに基づいて推定した横断歩道の歩行者の第2人数(第2合計人数)とを比較し、人数が相違するとき、運転者に対して報知部16により注意を促す。すなわち、カメラ15の画像データに基づいて推定した横断歩道の歩行者の人数は、1名(歩行者M1)であり、外部カメラ41の画像データに基づいて推定した横断歩道の歩行者の人数は、3名(歩行者M1,M2、進入する歩行者M3)である。そのため、制御部20は、運転者に対して注意を促す。
【0050】
以下、具体的な事例について説明する。
図4は、運転支援制御処理における報知判断の一例を説明する説明図である。
【0051】
図4に示すように、実際に、歩道53側から歩道52側に向けて歩行者M11が横断歩道54を移動し、歩道52側から歩道53側に向けて歩行者M12,M13が横断歩道54を移動している。このとき、運転者およびカメラ15は、バス62が死角領域62Aを形成するため、歩行者M13を視認することができない。一方、外部カメラ41は、バス62が邪魔になることなく、全ての歩行者M11,M12,M13を撮影することができる。そのため、カメラ15の画像データに基づいて推定した横断歩道の歩行者の人数2名(歩行者M11,M12)と、外部カメラ41の画像データに基づいて推定した横断歩道の歩行者の人数3名(歩行者M11,M12,M13)とが相違し、運転者に対して注意を促す。
【0052】
図5は、運転支援制御処理における報知判断の他の例を説明する説明図である。
【0053】
図5に示すように、実際に、歩道53側から歩道52側に向けて歩行者M11,M14が横断歩道54を移動し、歩道52側から歩道53側に向けて歩行者M12が横断歩道54を移動する。このとき、運転者およびカメラ15は、バス62が死角領域62Aを形成するため、歩行者M14を視認することができない。一方、外部カメラ41は、バス62が邪魔になることなく、全ての歩行者M11,M12,M14を撮影することができる。そのため、カメラ15の画像データに基づいて推定した横断歩道の歩行者の人数2名(歩行者M11,M12)と、外部カメラ41の画像データに基づいて推定した横断歩道の歩行者の人数3名(歩行者M11,M12,M14)とが相違し、運転者に対して注意を促す。
【0054】
但し、歩道53側から歩道52側に向けて横断歩道54を移動する歩行者M14は、すぐに歩道52に到達し、危険がおよぶ可能性が低い。この場合、制御部20は、歩行者M14を歩行者の人数に加えないようにしてもよい。
図1および
図5に示すように、外部画像データ取得部31は、外部カメラ41の画像データを連続的に取得し、外部画像データ解析部32は、画像データを連続的に処理する。そのため、外部画像データ解析部32は、時系列の画像データを求め、横断歩道54を移動する歩行者の移動方向を求めることができる。そのため、カメラ15の画像データに基づいて推定した横断歩道の歩行者の人数2名(歩行者M11,M12)と、外部カメラ41の画像データに基づいて推定した横断歩道の歩行者の人数2名(歩行者M11,M12)とが一致し、運転者に対して注意を促さない。
【0055】
また、
図5に示すように、実際に、横断歩道54を移動する歩行者M11,M12,M14に加えて、歩道52にいる歩行者M15が横断歩道54を移動しようとする。歩行者M15は、死角領域62Aにおり、死角領域62Aでない歩道53側の横断歩道54に移動してくるため、危険がおよぶ可能性がある。この場合、制御部20は、歩行者M15を歩行者の人数に加えるようにすることが好ましい。
図1および
図5に示すように、画像データ解析部26および外部画像データ解析部32は、取得した画像データに基づいて横断歩道54を特定する。このとき、画像データ解析部26および外部画像データ解析部32は、特定した横断歩道54に加えて死角が発生する側の歩道52にいる歩行者の人数も特定する。
【0056】
但し、前述したように、外部画像データ解析部32は、時系列の画像データにより歩道52を移動する歩行者の移動方向を求め、歩道52から横断歩道54に進入しようとする歩行者M15を特定する。また、外部画像データ解析部32は、歩道52に停止している歩行者M16は、横断歩道54に進入しようとして止まっている可能性があり、比較する歩行者として特定する。一方、外部画像データ解析部32は、歩道52を移動して横断歩道54に向けて移動していない歩行者M17は、比較する歩行者として特定しない。
【0057】
[運転支援制御方法]
以下、具体的な運転支援制御方法について説明する。
図6は、運転支援制御処理を表すフローチャートである。
【0058】
図1および
図6に示すように、ステップS11にて、車両の走行中に、横断歩道の近傍に外部カメラ41が設置されていると、外部画像データ取得部31は、外部カメラ41の画像データを受け取り、外部画像データ解析部32は、外部カメラ41の画像データを解析する。ステップS12にて、外部画像データ解析部32は、外部カメラ41の画像データに基づいて横断歩道を特定し、横断歩道にいる歩行者の人数を外部カメラ41からの画像に基づいて推定する。ステップS13にて、画像データ取得部25は、車両側のカメラ15の画像データを受け取り、画像データ解析部26は、カメラ15の画像データを解析する。ステップS14にて、画像データ解析部26は、画像データ取得部25カメラ15の画像データに基づいて横断歩道を特定し、横断歩道にいる歩行者の人数を推定する。
【0059】
ステップS15にて、比較部33は、外部画像データ解析部32が特定した横断歩道にいる歩行者の人数と、画像データ解析部26が特定した横断歩道にいる歩行者の人数とを比較する。なお、比較部33は、画像データ取得部25が取得して画像データ解析部26が解析した画像データに基づいて推定した横断歩道にいる歩行者と横断歩道に進入しようとする歩行者との第1合計人数と、外部画像データ取得部31が取得して外部画像データ解析部32が解析した画像データに基づいて推定した横断歩道にいる歩行者と横断歩道に進入しようとする歩行者との第2合計人数とを比較してもよい。
【0060】
ステップS16にて、比較部33は、第1人数(第1合計人数)と第2人数(第2合計人数)とが相違するか否かを判定する。ここで、第1人数と第2人数とが相違していないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。すなわち、運転者は、横断歩道を移動する全ての歩行者を視認していると推定され、運転者に対して注意を促す必要はない。一方、第1人数と第2人数とが相違していると判定(Yes)されると、ステップS17にて、報知制御部27に出力指令を出し、報知制御部27は、報知部16に隠れた歩行者がいる注意を表示させる。すなわち、運転者は、横断歩道を移動する全ての歩行者のうちの一部の歩行者を視認していないと推定され、運転者に対して注意を促す。
【0061】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係る運転支援装置としてのナビゲーションシステムを表すブロック図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0062】
第2実施形態において、
図7に示すように、制御部20は、位置情報取得部21と、操作情報取得部22と、通信制御部23と、地図情報取得部24と、画像データ取得部(第1画像データ取得部)25と、画像データ解析部26と、報知制御部27と、外部画像データ取得部(第2画像データ取得部)31と、比較部33と、経路設定部34と、経路案内部35とを備える。
【0063】
ここで、位置情報取得部21、操作情報取得部22、通信制御部23、地図情報取得部24、画像データ取得部25、画像データ解析部26、報知制御部27、比較部33、経路設定部34、経路案内部35は、第1実施形態と同様である。
【0064】
一方、横断歩道は、近傍に外部カメラ41が設置され、外部カメラ41は、外部画像データ解析部32が接続され、外部画像データ解析部32は、外部画像データ通信部42が接続される。外部カメラ41は、横断歩道および両側の歩道とその周辺道路を撮影可能である。
【0065】
外部画像データ解析部32は、外部カメラ41が撮影した画像データを解析する。外部画像データ解析部32は、解析した画像データを外部画像データ通信部42へ出力する。より詳しくは、外部画像データ解析部32は、外部カメラ41が撮影した画像データに基づいて歩行者が道路を横断する横断エリア、例えば、横断歩道を特定する。このとき、外部画像データ解析部32は、特定した横断歩道の位置を絶対座標データ(例えば、GPSのエリア番号、住所や番地など)として特定する。そして、外部画像データ解析部32は、特定した横断歩道(横断エリア)を移動する歩行者を特定し、歩行者の人数を算出する。また、外部画像データ解析部32は、取得した画像データに基づいて歩道から横断歩道に進入しようとする歩行者を特定し、横断歩道を移動する歩行者および歩道から横断歩道に進入しようとする歩行者を合わせた歩行者の合計人数を算出する。
【0066】
外部画像データ通信部42は、外部画像データ解析部32が解析した画像データを外部に送信する。外部画像データ取得部31は、外部画像データ解析部32が解析して外部画像データ通信部42が送信した画像データを取得可能である。外部画像データ取得部31は、取得した外部画像データ解析部32が解析した画像データを比較部33に出力する。
【0067】
すなわち、第1実施形態では、制御部20は、外部画像データ解析部32を有している。そのため、外部画像データ取得部31は、外部カメラ41が撮影して外部画像データ通信部42が送信した画像データを取得し、外部画像データ解析部32は、取得した画像データを解析する。一方、第2実施形態では、制御部20は、外部画像データ解析部32を有しておらず、外部画像データ解析部32は、外部カメラ41に接続される。そのため、外部画像データ解析部32は、外部カメラ41が撮影した画像データを解析し、外部画像データ取得部31は、外部画像データ解析部32が解析して外部画像データ通信部42が送信した画像データを取得する。その他の処理は、第1実施形態と第2実施形態で同様である。
【0068】
[本実施形態の効果]
本実施形態の運転支援制御装置では、車両のカメラ15で撮影した歩行者の横断歩道(横断エリア)の画像データを取得する画像データ取得部(第1画像データ取得部)25と、外部カメラ41で撮影した画像データを取得する外部画像データ取得部(第2画像データ取得部)31と、車両のカメラ15で撮影した画像データに基づいて推定した横断歩道にいる歩行者の第1人数(第1形態)と外部カメラ41で撮影した画像データに基づいて推定した横断歩道にいる歩行者の第2人数(第2形態)とを比較する比較部33と、第1人数と第2人数とが相違するときに報知する報知部16とを備える。
【0069】
そのため、車両に搭載したカメラ15が撮影した画像データに基づいて推定した横断歩道54にいる歩行者の第1人数と、横断歩道の全ての領域を撮影可能な外部カメラ41が撮影した画像データに基づいて推定した横断歩道54にいる歩行者の第2人数とが相違するときに報知することから、運転者は、死角となる歩行者に気が付いて車両を運転または停止することとなる。その結果、ドライバの死角になる領域の情報を取得して運転者を支援することで走行安全性の向上を図ることができる。
【0070】
本実施形態の運転支援制御装置では、比較部33は、車両のカメラ15で撮影した画像データと外部カメラ41で撮影した画像データに基づいて絶対座標が同じである横断歩道54にいる歩行者の第1人数と第2人数とを比較し、報知部16は、第1人数と第2人数とが相違するときに報知する。そのため、横断歩道にいる実際の歩行者の人数を正確に捕捉し、運転者に報知することができる。
【0071】
本実施形態の運転支援制御装置では、比較部33は、車両のカメラ15で撮影した画像データに基づいて推定した横断歩道54にいる歩行者の人数に横断歩道54に進入する歩行者の人数を合わせた第1合計人数と、外部カメラ41で撮影した画像データに基づいて推定した横断歩道54にいる歩行者の人数に横断歩道54に進入する歩行者の人数を合わせた第2合計人数とを比較し、報知部16は、第1合計人数と第2合計人数とが相違するときに報知する。そのため、横断歩道54にいる歩行者だけでなく、これから横断歩道54に進入する歩行者を補足することができ、ドライバに横断歩道の状況を正確に報知してさらなる走行安全性の向上を図ることができる。
【0072】
これまで本発明に係る運転支援制御装置について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。
【0073】
図示した運転支援制御装置の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0074】
運転支援制御装置の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0075】
上記構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0076】
また、上記の実施形態では、運転支援制御装置をナビゲーションシステムに適用して説明したが、ドライブレコーダーに適用してもよく、また、単独の装置としてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 ナビゲーションシステム
11 GPS受信部
12 操作部
13 通信部
14 地図情報記憶部
15 カメラ
16 報知部
20 制御部(運転支援制御装置)
21 位置情報取得部
22 操作情報取得部
23 通信制御部
24 地図情報取得部
25 画像データ取得部
26 画像データ解析部
27 報知制御部
31 外部画像データ取得部
32 外部画像データ解析部
33 比較部
34 経路設定部
35 経路案内部
41 外部カメラ
42 外部画像データ通信部