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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20241112BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241112BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20241112BHJP
   G03G 21/02 20060101ALN20241112BHJP
【FI】
B41J29/38 205
H04N1/00 127B
H04N1/00 127A
G06F3/12 303
G06F3/12 373
G06F3/12 385
G03G21/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021054032
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022151113
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳史
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-215921(JP,A)
【文献】特開2014-049059(JP,A)
【文献】特開2020-174314(JP,A)
【文献】特開2003-309684(JP,A)
【文献】特開2008-245401(JP,A)
【文献】特開2018-207344(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0239367(US,A1)
【文献】特開2007-216477(JP,A)
【文献】特開2015-001938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
H04N 1/00
G06F 3/12
G03G 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と接続される画像形成装置であって、
外部とのデータ通信を可能にする通信部と、
前記画像形成装置の稼働に対する依頼元、又は前記画像形成装置からの出力物の受取先となる前記端末装置が、予め業務で使用するものとして登録されたものであるか、又は予めプライベートで使用するものとして登録されたものであるかに応じて、前記画像形成装置が業務で使用されているか否かを判定する判定部と、
前記判定部が業務での使用と判定したときの前記画像形成装置の使用時間を動作モード毎に検出する使用時間検出部と、
前記使用時間検出部により検出された、業務使用での前記動作モード毎の前記使用時間を示す情報を、前記通信部を介して、予め登録された管理装置に送信する送信部と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記動作モードは、稼働モード及び待機モードである請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記使用時間検出部は、更に、前記待機モードよりも省電力なスリープモードでの経過時間を検出し、
前記送信部は、前記経過時間を示す情報についても、前記通信部を介して、前記管理装置に送信する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録紙に画像を形成する画像形成部と、
前記判定部が業務での使用と判定したときに前記画像形成部による画像形成に用いられた記録紙の使用枚数を検出する使用枚数検出部とを更に備え、
前記送信部は、更に、前記使用枚数検出部により検出された前記使用枚数を示す情報を、前記通信部を介して、前記管理装置に送信する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記送信部から前記管理装置に送信される、前記使用時間を示す情報を含む、業務での使用情報が業務上のものあるかをユーザーに確認する通知を、予め業務で使用するものとして登録されている前記端末装置に対して行う通知部と、
前記通知に対する前記端末装置からのユーザー回答を受け付ける回答受付部と、を更に備え、
前記送信部は、前記回答受付部が、前記使用情報が適切であるとのユーザー回答を受け付けた場合に限り、前記使用情報を前記管理装置に送信する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
操作を受け付ける操作部と、
表示部と、
コピー動作が実行された場合、当該コピー動作が業務によるものか、又はプライベートによるものかをユーザーに問うメッセージを前記表示部に表示させる表示制御部と、
前記操作部が受け付けたユーザー回答に基づいて、前記コピー動作を業務での使用によるもの、又はプライベートでの使用によるものに設定する設定部と、を更に備え、
前記使用時間検出部は、更に、前記設定部が業務での使用と設定したときの前記コピー動作に関する前記使用時間についても、前記判定部が業務での使用と判定したときの前記使用時間として検出する請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用状況の管理が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1に、自己に接続された各電気機器の消費電力を管理する消費電力管理装置をホームオフィスに設置し、当該消費電力管理装置から、各電気機器での積算消費電力量を、通信回線を介して外部(例えば、企業等のメインオフィスに設置された管理用コンピューター)に通知することによって、企業等でホームオフィスにおける消費電力量を把握できるようにすることが記載されている。
【0003】
下記の特許文献2には、画像処理後の情報をカウンター情報(例えば、使用枚数や使用電気量)として保存する場合に、必要な情報のみを適切な形式で保存することにより、メモリーの肥大化を解消することが記載されている。
【0004】
下記の特許文献3には、片面印刷を両面印刷で行った場合の用紙の節約枚数をユーザーに把握させることで、省資源化をユーザーに促すことが記載されている。
【0005】
下記の特許文献4には、グループ毎に印刷枚数を集計できる画像形成システムにおいて、グループ間での不正を防止するために、グループ情報を乱数によって設定することが記載されている。
【0006】
下記の特許文献5には、テレワーク(在宅勤務)に起因して発生した消費電力量と、私用に起因して発生した消費電力量と、を分けて精算できるようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-214186号公報
【文献】特開2012-065162号公報
【文献】特開2003-186361号公報
【文献】特開2005-271317号公報
【文献】特開2017-162340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、会社のオフィスではなく、自宅などを就業場所として働く在宅勤務が注目され、実施されている。その際、会社からパソコンが支給されたり、貸与されたりすることがある。
【0009】
また、業務効率を上げるために、今後は、パソコンだけでなく、複写機や複合機等についても会社から貸与されることが考えられる。そのような場合、自宅に複写機等が設置されることになるので、労働者は業務だけでなく、プライベートで複写機等を使用することが想定されるが、その時に発生した電気料金等の費用の負担が曖昧になってしまうおそれがある。
【0010】
上記の特許文献1に記載された発明は、企業等でホームオフィスにおける消費電力量を把握できるようにするものであるが、業務での使用と、プライベートでの使用とを区別するものではない。
【0011】
上記の特許文献2には、使用電気量の保存について記載されているが、業務での使用と、プライベートでの使用とを区別することについての記載はない。また、上記の特許文献3には、省資源化について記載されているが、業務での使用と、プライベートでの使用とを区別することについての記載はない。
【0012】
上記の特許文献4には、グループ毎に印刷枚数を集計することについて記載されているが、オフィスではない、自宅などを就業場所とする在宅勤務については記載されていない。
【0013】
上記の特許文献5に、テレワーク(在宅勤務)に起因して発生した消費電力量と、私用(プライベート)に起因して発生した消費電力量と、を分けて精算できるようにすることが記載されているが、テレワークを開始するときには、労働者はテレワーク開始ボタンを押下し、テレワークを終了するときには、労働者はテレワーク終了ボタンを押下しなければならず、労働者による煩雑な作業が必要となる。また、テレワークの使用と、プライベートでの使用は、労働者による自己申告制となり、不正が生じる可能性が低いとは言えない。
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、ユーザーが煩雑な作業をすることなく、プライベートと分けて、業務で発生した費用を、会社等の管理者側で管理可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、端末装置と接続される画像形成装置であって、外部とのデータ通信を可能にする通信部と、前記画像形成装置の稼働に対する依頼元、又は前記画像形成装置からの出力物の受取先となる前記端末装置が、予め業務で使用するものとして登録されたものであるか、又は予めプライベートで使用するものとして登録されたものであるかに応じて、前記画像形成装置が業務で使用されているか否かを判定する判定部と、前記判定部が業務での使用と判定したときの前記画像形成装置の使用時間を動作モード毎に検出する使用時間検出部と、前記使用時間検出部により検出された、業務使用での前記動作モード毎の前記使用時間を示す情報を、前記通信部を介して、予め登録された管理装置に送信する送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ーザーが煩雑な作業をすることなく、プライベートと分けて、業務で発生した費用を、会社等の管理者側で管理可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を含んで構成される管理システムの全体を示す図である。
図2】第1実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図3】(A)は、ログ記憶部に記憶されるログの一例を示す図であり、(B)は、(A)に示したログによる記録内容を説明する図である。
図4】第1実施形態に係る画像形成装置における制御ユニットで行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図5】画像形成装置の電源オンの状態の一例を示す表である。
図6】第2実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図7】第3実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を含んで構成される管理システムの全体を示す図である。
【0019】
管理システム11は、インターネット等のネットワーク上に存在する、自宅などのホームオフィスに設置される画像形成装置1と、会社などのメインオフィスに設置される管理装置2と、画像形成装置1と有線又は無線で接続される端末装置3A,3B(以降、「端末装置3」とも記す)と、を含んで構成されている。画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。管理装置2は、例えば、サーバーである。端末装置3は、例えば、パソコンであり、端末装置3は、画像形成装置1に対してプリントを指示したり、画像形成装置1からの出力物(スキャンデータ)を受け取る。
【0020】
図2は、上記第1実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、記憶装置8、操作部47、及びネットワークインターフェイス部91を含んで構成されている。また、画像形成装置1は、端末装置3A,3Bを有線又は無線で接続することが可能に構成されている。
【0021】
原稿給送部6は、原稿読取部5の上面に図略のヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿給送部6は、図略のプラテンガラス上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。また、原稿給送部6は、ADF(Auto Document Feeder)であり、図略の原稿載置トレイを備え、原稿載置トレイに載置されている原稿を原稿読取部5へ供給する。
【0022】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により原稿読取部5へ供給された原稿、又は上記プラテンガラス上に載置されている原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、図略の画像メモリー等に保存される。
【0023】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、画像メモリー等に記憶されている画像データ、ネットワーク接続されたコンピューターから受信した画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙にトナー像を形成する。
【0024】
定着部13は、画像形成部12によりトナー像が形成された記録紙を加熱及び加圧して、トナー像を記録紙に定着させるものであり、定着処理が施された記録紙は図略の排出トレイに排出される。給紙部14は、給紙カセットを備える。
【0025】
記憶装置8は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等であり、各種の制御プログラムを記憶する。また、記憶装置8は、各種の制御プログラム等を記憶すると共に、端末情報記憶部81と、ログ記憶部82と、を備える。端末情報記憶部81は、業務で使用する端末装置3(例えば、会社から貸与されたパソコン)に割り当てられたIPアドレスを記憶する。IPアドレスについては、例えば、操作部47を介してユーザーが登録することが可能であり、操作部47からIPアドレスが入力されると、後述する制御部100が、当該IPアドレスを端末情報記憶部81に記憶させる。
【0026】
例えば、端末装置3Aに割り当てられているIPアドレスが「10.34.128.11」で、端末装置3Bに割り当てられているIPアドレスが「10.34.128.12」で、端末情報記憶部81にIPアドレス「10.34.128.12」が記憶されている場合、画像形成装置1においては、端末装置3Bが業務で使用するものとして登録されていることになる。
【0027】
ログ記憶部82は、画像形成装置1で発生したイベントを示すログを記憶するものである。イベントが発生すると、制御部100が、当該イベントを示すログをログ記憶部82に記憶させる。
【0028】
図3(A)は、ログ記憶部82に記憶されるログの一例を示す図であり、図3(B)は、図3(A)に示したログによる記録内容を説明する図である。
【0029】
画像形成装置1は、稼働モード、待機モード及びスリープモードで動作する。稼働モードは、画像形成装置1が、入力された動作実行指示に従ってコピー動作、スキャン動作等の動作を行うモードである。待機モードは、プリント動作等の稼働モードが終了してから、予め定められた各部に電力供給を維持した状態であって、ユーザーの操作等により直ぐに画像形成動作等が開始できる状態で待機する動作モードである。また、スリープモードは、予め定められた各部への電力供給を停止した省電力状態で、動作実行指示の入力を待機する動作モードである。画像形成装置1は、待機モード時に動作実行指示が一定時間入力されない場合にスリープモードに移行する。制御部100は、例えば、画像形成装置1の動作状態及び電力供給状態から、画像形成装置1が上記いずれのモードであるかを判断する。
【0030】
ログ記憶部82には、ログL1~Lnが記憶され、例えば、ログ記憶部82には、ログL1として「Sleep IN:2020.11.1 00:00:00 Continue」が記憶され、ログL2として「Sleep Out:2020.11.2 10:04:20 10.34.128.12」が記憶されている。
【0031】
ログL1は、図3(B)の第1項目に示したように、「2020年11月1日00時00分00秒」時点において、図3(A)に示す以前のログとして記憶されている、前日に待機モードが終了した時刻から、スリープモードに移行するまでの待機モードの時間(ここでは移行待機時間を1分とする)が経過した時点の時刻「10月31日23時59分59秒」から、スリープモードが継続していることを記録していることになる。また、ログL2は、図3(B)の第2項目に示したように、「2020年11月2日10時04分20秒」に、IPアドレス「10.34.128.12」が割り当てられた端末装置3Bが原因で、スリープモードから復帰したことを記録している。
【0032】
また、ログ記憶部82に記憶されているログL2~L4から、IPアドレス「10.34.128.12」が割り当てられた端末装置3Bの指示によって、「2020年11月2日10時04分20秒」から「同10時06分50秒」までの2分30秒、プリント動作(白黒印刷がA4判用紙に対して10枚)が実行され、その後、1分の待機時間(待機モード)を経過した「同10時07分50秒」からスリープモードに移行したことが分かる。
【0033】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について、操作者から、画像形成等の各動作実行指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。また、操作部47は、表示部473が有するタッチパネルを介して、表示部473に表示されている操作画面に対するユーザーによる操作(タッチ操作)に基づく、ユーザーからの指示の入力を受け付ける。
【0034】
表示部473は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる。表示部473は、タッチパネルを備えている。操作者は画面表示されるボタンやキーに触れる操作を行うと、タッチパネルにより、タッチ操作された位置に対応付けられた指示が受け付けられる。
【0035】
ネットワークインターフェイス部91は、ローカルエリア内、又はインターネット上の外部装置(例えば、管理装置2)と種々のデータの送受信を行う通信インターフェイスである。なお、ネットワークインターフェイス部91は、特許請求の範囲における通信部の一例である。
【0036】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100と、表示制御部101と、判定部102と、使用時間検出部103と、使用枚数検出部104と、送信部105と、を備えている。
【0037】
制御ユニット10は、記憶装置8に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100、表示制御部101、判定部102、使用時間検出部103、使用枚数検出部104、及び送信部105として機能するものである。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0038】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、記憶装置8、操作部47、ネットワークインターフェイス部91、及び端末装置3A,3Bと接続され、これら各部の駆動制御等を行う。例えば、制御部100は、画像形成部12等を制御して、原稿読取部5による読み取りで得られた原稿画像を、記録媒体としての記録紙に形成させる。
【0039】
表示制御部101は、表示部473に対して表示制御を行う。例えば、表示制御部101は、ユーザー操作を受け付ける操作画面を表示部473に表示する。
【0040】
判定部102は、画像形成装置1の稼働に対する依頼元又は画像形成装置1からの出力物の受取先となる端末装置3が、予め業務で使用するものとして登録されたものであるか、又は予めプライベートで使用するものとして登録されたものであるか否かに応じて、画像形成装置1が業務で使用されているか否かを判定する。
【0041】
具体的には、判定部102は、画像形成装置1の稼働(例えば、プリント動作)に対する依頼元又は画像形成装置1からの出力物(例えば、スキャンデータ)の受取先となる端末装置3に割り当てられているIPアドレスが、端末情報記憶部81に登録されているか否かを判断することによって、画像形成装置1が業務で使用されているか否かを判定する。
【0042】
端末情報記憶部81には、業務で使用する端末装置(例えば、会社から貸与されたパソコン)に割り当てられたIPアドレスが記憶されるので、上記依頼元や上記受取先となる端末装置3に割り当てられているIPアドレスが、端末情報記憶部81に記憶されている場合、判定部102は、画像形成装置1が業務で使用されていると判定する。
【0043】
例えば、判定部102は、図3(A)に示したログL3から「プリント動作」に対する依頼元となる端末装置3のIPアドレス「10.34.128.12」を検出し、当該IPアドレスが端末情報記憶部81に記憶されているか否かを判断することによって、画像形成装置1が業務で使用されているか否かを判定する。因みに、当該IPアドレス「10.34.128.12」は端末情報記憶部81に記憶されているので、判定部102は、画像形成装置1は業務で使用されていると判定する。
【0044】
なお、別の実施形態として、端末情報記憶部81に、業務ではなく、プライベートで使用する端末装置3Aに割り当てられたIPアドレス「10.34.128.11」を記憶させるようにしてもよい。その場合、上記依頼元や上記受取先となる端末装置3に割り当てられているIPアドレスが、端末情報記憶部81に記憶されていない場合、判定部102は、画像形成装置1が業務で使用されていると判定する。
【0045】
使用時間検出部103は、判定部102が業務での使用と判定したときの使用時間をモード毎に検出すると共に、スリープモードでの経過時間を検出する。具体的には、使用時間検出部103は、ログ記憶部82に記憶されているログを解析して、モードの変化を検出し、前回のモード変化から当該検出したモード変化までの時間(すなわち、直前モードでの経過時間)を算出する。
【0046】
例えば、使用時間検出部103は、ログL2から、スリープモードからの復帰(スリープモード→稼働モード)を検出し、ログL1,L2からスリープモードでの経過時間「34時間4分20秒」を検出する。
【0047】
使用時間検出部103は、ログL3から、プリント動作の終了(稼働モード→待機モード)を検出し、ログL2,L3から稼働モードでの経過時間「2分30秒」を、稼働モードでの使用時間として検出する。また、使用時間検出部103は、ログL4から、スリープモードへの移行(待機モード→スリープモード)を検出し、ログL3,L4から待機モードでの経過時間「1分」を、待機モードでの使用時間として検出する。
【0048】
使用枚数検出部104は、判定部102が業務での使用と判定したときの用紙の使用枚数を検出する。具体的には、使用枚数検出部104は、判定部102により業務での使用と判定された稼働モードでの、ログ記憶部82に記憶されているログを解析して、使用枚数を検出する。例えば、使用枚数検出部104は、ログL3から使用枚数「10枚」を検出する。
【0049】
送信部105は、使用時間検出部103により検出された、業務使用でのモード毎の使用時間を示す情報と、スリープモードでの経過時間を示す情報と、使用枚数検出部104により検出された、業務使用での使用枚数を示す情報とを、ネットワークインターフェイス部91を介して、管理装置2に送信する。
【0050】
次に、上記第1実施形態に係る画像形成装置1における制御ユニット10で行われる処理の一例を図4に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理は、例えば、毎月1日の予め定められた時刻に実行される処理である。すなわち、月に1回、定期的に実行される処理である。
【0051】
制御部100は、積算使用時間T1_SUM,T2_SUM、積算経過時間T3_SUM、及び積算使用枚数C1_SUMを「0」に初期化する(S1)。使用時間検出部103は、ログ記憶部82に記憶されているログの解析を、前月分に対して行い、モードの変化を検出し(S2)、変化する直前モードが稼働モード、待機モード、及びスリープモードのいずれであるかを判断する(S3)。
【0052】
例えば、使用時間検出部103は、ログL2,L5,Lnからモード変化を検出した場合、直前モードはスリープモードと判断し、ログL3,L6からモード変化を検出した場合、直前モードは稼働モードと判断し、ログL4,L7からモード変化を検出した場合、直前モードは待機モードと判断する。
【0053】
使用時間検出部103が、直前モードが稼働モードであると判断した場合(S3で稼働モード)、判定部102は、当該稼働モードが業務使用によるものであるか否かを判定する(S4)。
【0054】
判定部102が、業務使用によるものであると判定した場合(S4でYES)、使用時間検出部103は、直前モードでの経過時間を、当該稼働モードでの使用時間T1として算出し(S5)、積算使用時間T1_SUMに、算出した使用時間T1を加算する(S6)。
【0055】
続いて、使用枚数検出部104は、当該稼働モードでの用紙の使用枚数C1を検出し(S7)、積算使用枚数C1_SUMに、検出した使用枚数C1を加算し(S8)、その後、処理はS14に移る。一方、判定部102が、業務使用によるものでないと判断した場合(S4でNO)、処理はそのままS14に移る。
【0056】
S3において、使用時間検出部103が、直前モードが待機モードであると判断した場合(S3で待機モード)、判定部102は、当該待機モードが業務使用によるものであるか否かを判定する(S9)。
【0057】
判定部102が、業務使用によるものであると判定した場合(S9でYES)、使用時間検出部103は、直前モードでの経過時間を、当該待機モードでの使用時間T2として算出し(S10)、積算使用時間T2_SUMに、算出した使用時間T2を加算し(S11)、その後、処理はS14に移る。一方、判定部102が、業務使用によるものでないと判断した場合(S9でNO)、処理はそのままS14に移る。
【0058】
S3において、使用時間検出部103が、直前モードがスリープモードであると判断した場合(S3でスリープモード)、使用時間検出部103は、直前モードでの経過時間を、当該スリープモードでの経過時間T3として算出し(S12)、積算経過時間T3_SUMに、算出した経過時間T3を加算し(S13)、その後、処理はS14に移る。
【0059】
S14では、使用時間検出部103が、ログ記憶部82に記憶されている、前月分のログの解析が終了したか否かを判断し(S14)、解析が終了したと判断した場合(S14でYES)、送信部105は、積算使用時間T1_SUM,T2_SUMを示す情報と、積算経過時間T3_SUMを示す情報と、積算使用枚数C1_SUMを示す情報とを、ネットワークインターフェイス部91を介して、管理装置2に送信する(S15)。この処理は終了する。一方、使用時間検出部103が、解析は終了していないと判断した場合(S14でNO),処理はS2に戻る。
【0060】
上記第1実施形態によれば、業務使用でのモード(稼働モード、待機モード)毎の積算使用時間T1_SUM,T2_SUMを示す情報と、スリープモードでの積算経過時間T3_SUMを示す情報と、業務での用紙の積算使用枚数C1_SUMを示す情報とが、管理装置2に送信されるので、プライベートと分けて、業務で発生した費用を、会社等の管理者側で管理することが可能となる。
【0061】
また、業務で使用されたか、プライベートで使用されたかの判断は、稼働(例えば、プリント動作)に対する依頼元や出力物(例えば、スキャンデータ)の受取先となる端末装置によって判定されるので、この判断をするに際して、従来のような、ユーザーによる煩雑な作業を必要としない。従って、ユーザーが煩雑な作業をすることなく、業務で発生した費用を、会社等の管理者側で管理することが可能となる。
【0062】
なお、画像形成装置1での消費電力は、モード(例えば、稼働モード、待機モード)によって異なるが、その消費電力量は見当が付く。そのため、管理装置2においては、使用時間がモード毎に分かれば、消費電力量を算出することが可能である。
【0063】
例えば、稼働モード(プリント動作時など)での消費電力が「1200W」で、待機モードでの消費電力が「90W」である場合、プリント動作時間が「3分」、待機時間が「1分」の4分間での消費電力量は、61.5Wh(=1200×3÷60+90×1÷60)と算出することができる。また、消費電力量が分かれば、電気料金を計算することができる。例えば、1kWhあたりの電気料金が40円であれば、消費電力量61.5Whに対する電気料金は2.46円(=40×61.5÷1000)となる。
【0064】
また、使用時間検出部103は、上記積算使用時間T1_SUM,T2_SUM、積算経過時間T3_SUMに基づいて、消費電力を算出し、上記積算使用時間T1_SUM,T2_SUM、積算経過時間T3_SUMに代えて、又は上記積算使用時間T1_SUM,T2_SUM、積算経過時間T3_SUMと共に、算出した消費電力を、ネットワークインターフェイス部91を介して、管理装置2に送信するようにしてもよい。例えば、使用時間検出部103は、モード毎に予め定められた係数を、対応するモードの積算経過時間に乗することにより、消費電力を算出する。
【0065】
また、使用時間検出部103は、上記スリープモードについては、例えば操作部47の操作で送信指定されているときに、消費電力を算出して、当該消費電力を管理装置2に送信するようにしてもよい。この場合、管理装置2では、スリープモードの消費電力が画像形成装置1から送られてきた場合には、スリープモードの消費電力を業務上の電力として計上し、スリープモードの消費電力が画像形成装置1から送られてこない場合には、スリープモードの消費電力を業務上の電力として計上しない、という処理が可能になる。
【0066】
また、業務で使用されたか、プライベートで使用されたかは、稼働(例えば、プリント動作)に対する依頼元や出力物(例えば、スキャンデータ)の受取先となる端末装置3によって判定されるので、従来のような、ユーザーによる煩雑な作業を必要としない。従って、ユーザーが煩雑な作業をすることなく、業務で発生した費用を、会社等の管理者側で管理することが可能となる。なお、これら情報を管理装置2に送信する方法としては、管理者が使用するコンピューターに電子メールで送信する方法なども考えられる。
【0067】
図5は、画像形成装置1の電源オンの状態の一例を示す図である。電源オンの状態は、本図に示すように、種類A~Eに分けられ、種類Aは、業務による稼働モードでの使用時間T1を示し、種類Bは、業務による待機モードでの使用時間T2を示し、種類Cは、プライベートによる稼働モードでの使用時間を示し、種類Dは、プライベートによる待機モードでの使用時間を示し、そして、種類Eは、スリープモードでの経過時間T3を示している。
【0068】
上記第1実施形態では、種類A,B,Eの時間を示す情報を、送信部105が管理装置2に送信する場合について説明しているが、別の実施形態として、種類C,Dの時間については、スリープモードの時間として扱い、使用時間検出部103が、種類C,D,Eの時間をスリープモードの時間として検出してもよい。
【0069】
これにより、業務として使用されていない時間については、スリープモードとして管理者側で管理されることになる。種類C,Dについては、プライベートで使用しなければ、本来はスリープモードでの経過時間になるはずなので、会社側と労働者側との費用負担をより適切なものにすることができる。
【0070】
また、上記第1実施形態では、画像形成装置が会社等から貸与されるケースを想定しているが、労働者所有の画像形成装置を使用し、種類Eのスリープモードで発生した消費電力を労働者が負担する場合には、送信部105は、種類A,Bの時間を示す情報だけを管理装置2に送信し、プライベートに関する時間情報については送信しないようにするのが好ましい。
【0071】
図6は、第2実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。上記第2実施形態に係る画像形成装置は、図2に示した上記第1実施形態に係る画像形成装置と、制御ユニット10が通知部106と、回答受付部107と、を備える点で相違する。第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0072】
通知部106は、送信部105から管理装置2に送信される、業務での使用情報(例えば、稼働モードでの使用時間を示す情報や、待機モードでの使用時間を示す情報、使用枚数を示す情報)が適切であるか否かをユーザーに問い合わせるための通知を、予め業務で使用するものとして登録されている端末装置3に対して行う。
【0073】
具体例として、通知部106は、図4に示したS14の処理後、積算使用時間T1_SUMを示す情報と、積算使用時間T2_SUMを示す情報と、積算経過時間T3_SUMを示す情報と、積算使用枚数C1_SUMを示す情報とを、端末情報記憶部81にIPアドレスが記憶されている端末装置3Bに対して、送信する。これにより、これら情報が適切であるか否か、すなわち、業務上のものであるか否か、をユーザーに問い合わせる。
【0074】
回答受付部107は、通知部106による上記通知に対する端末装置3からのユーザー回答を受け付ける。
【0075】
送信部105は、回答受付部107が、上記使用情報が適切(業務上のもの)であるとのユーザー回答を受け付けた場合に限り、上記使用情報を管理装置2に送信する。
【0076】
当該第2実施形態によれば、管理装置2に送信される画像形成装置1の使用に関する情報が適切なもの(業務上のもの)であるか否かを、ユーザーは確認する機会が得られるので、ユーザーの納得しない情報が管理装置2に送信されるのを防ぐことができる。
【0077】
図7は、第3実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。上記第3実施形態に係る画像形成装置は、図2に示した上記第1実施形態に係る画像形成装置と、制御ユニット10が設定部108を備え、更に、表示制御部101が、コピー動作が実行された場合、当該コピー動作が業務によるものか、又はプライベートによるものかをユーザーに問うメッセージを表示部473に表示させる点で相違する。第3実施形態では、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0078】
設定部108は、操作部47が受け付けたユーザー回答に基づいて、コピー動作を業務での使用によるもの、又はプライベートでの使用によるものに設定する。
【0079】
使用時間検出部103は、設定部108が業務での使用と設定したときの使用時間についても、判定部102が業務での使用と判定したときの使用時間として検出する。
【0080】
上記第3実施形態によれば、画像形成装置1の稼働に対する依頼元や画像形成装置1からの出力物の受取先からでは、画像形成装置1が業務として使用されているのか、プライベートで使用されているのか判定できないコピー動作(すなわち、判定部102が業務での使用か、プライベートでの使用か判定できないコピー動作)についても、業務とプライベートとに分けて管理することが可能となる。
【0081】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一実施形態として複合機を用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、例えば、プリンター機能を有した他の画像形成装置でもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、図1乃至図7を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0083】
1 画像形成装置
3 端末装置
47 操作部
91 ネットワークインターフェイス部
101 表示制御部
102 判定部
103 使用時間検出部
104 使用枚数検出部
105 送信部
106 通知部
107 回答受付部
108 設定部
473 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7