(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】携帯型パーテーション
(51)【国際特許分類】
A47B 96/04 20060101AFI20241112BHJP
A47G 5/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A47B96/04 Z
A47G5/00 A
(21)【出願番号】P 2021060387
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 丈太郎
(72)【発明者】
【氏名】桑村 健介
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6293328(US,B1)
【文献】米国特許第5778959(US,A)
【文献】特開2019-178600(JP,A)
【文献】特開2019-196640(JP,A)
【文献】登録実用新案第3231846(JP,U)
【文献】特許第6947324(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2005/76585(US,A1)
【文献】独国実用新案第202006016905(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 96/04、13/00
A47G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に所定の第1帯状間隔をあけて並べて平面的に配置された複数枚の第1列パネルと、
前記複数枚の第1列パネルに対して平面的に配置され、前記第1方向に直交する第2方向の位置で前記複数枚の第1列パネルに所定の第2帯状間隔をあけて配置され、前記第1方向に前記複数枚の第1列パネルと同一の前記第1帯状間隔をあけて並べて配置された複数枚の第2列パネルと、
前記複数枚の第1列パネル及び前記複数枚の第2列パネルの表面及び裏面からラミネートしている第1ラミネート材及び第2ラミネート材と、
前記第1及び第2帯状間隔の位置における前記第1ラミネート材及び前記第2ラミネート材の接着により形成され、隣接する前記第1列パネル同士、前記第2列パネル同士、或いは前記第1列パネル及び第2列パネルを、折り畳み且つ展開可能に連結する帯状連結部と、
前記第2方向で隣接する前記第1列パネル及び前記第2列パネルの縁部に跨がるように着脱自在に装着され、前記第1列パネル及び前記第2列パネルの展開状態を保持する展開保持部材と、を備えていることを特徴とする携帯型パーテーション。
【請求項2】
前記第1列パネル、前記第2列パネルと、前記第1ラミネート材及び前記第2ラミネート材は、光透過性を有する材料により形成されていることを特徴とする請求項1記載の携帯型パーテーション。
【請求項3】
前記展開保持部材は、基部から互いに接する方向に延在する一対の展開挟持板を備え、前記一対の展開挟持板が、前記第1列パネル及び前記第2列パネルの縁部に跨がりながら前記第1列パネル及び前記第2列パネルを弾性変形しながら挟持していることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯型パーテーション。
【請求項4】
前記展開保持部材は、光透過性を有する材料により形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載の携帯型パーテーション。
【請求項5】
前記複数枚の第1列パネルを設置面に当接して前記複数枚の第1列パネル及び前記複数枚の第2列パネルを自立させるときに、前記第1列パネルの下部の縁部に、自立状態を保持する自立保持部材が着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の携帯型パーテーション。
【請求項6】
前記自立保持部材は、基部から互いに接する方向に延在する一対の自立挟持板を備え、前記一対の自立挟持板が、記第1列パネルの縁部を弾性変形しながら挟持していることを特徴とする請求項5記載の携帯型パーテーション。
【請求項7】
前記自立保持部材は、光透過性を有する材料により形成されていることを特徴とする請求項5又は6記載の携帯型パーテーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳んで持ち運び可能な携帯型パーテーションに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のコロナ禍の影響を受け、オフィス・会議室や窓口業務を行なう受付、食堂・飲食店や学校などの様々な場所では、飛沫防止用のパーテーションの設置が推奨され、設置されるようになってきている。
【0003】
通常のパーテーションは、据え置き設置型が多いが、移動先で簡易的にパーテーションを設置する、という需要も出てきている。
【0004】
このような需要に対して、折り畳んで持ち運び可能なパーテーションが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のパーテーションは、全面板と、全面板の左右方向に連接する一対の側板の3枚の板で構成され、全面板に一対の側板を重ねて折り畳むことで持ち運びに便利である。しかし、特許文献1のパーテーションは、テーブルなどに設置する際にパーテーション高さが低いので、飛沫防止効果が低いという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コンパクトに折り畳んで持ち運びが便利であるとともに、パーテーション高さが高くなり飛沫防止効果を十分に高めることができる携帯型パーテーションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題解決のために、本発明に係る携帯型パーテーションは、第1方向に所定の第1帯状間隔をあけて並べて平面的に配置された複数枚の第1列パネルと、複数枚の第1列パネルに対して平面的に配置され、第1方向に直交する第2方向の位置で複数枚の第1列パネルに所定の第2帯状間隔をあけて配置され、第1方向に前記複数枚の第1列パネルと同一の前記第1帯状間隔をあけて並べて配置された複数枚の第2列パネルと、複数枚の第1列パネル及び複数枚の第2列パネルの表面及び裏面からラミネートしている第1ラミネート材及び第2ラミネート材と、第1及び第2帯状間隔の位置で、第1ラミネート材及び第2ラミネート材の接着により形成され、隣接する第1列パネル同士、第2列パネル同士、或いは第1列パネル及び第2列パネルを折り畳み且つ展開可能に連結する帯状連結部と、第2方向で隣接する第1列パネル及び第2列パネルの縁部に跨がるように着脱自在に装着され、第1列パネル及び第2列パネルの展開状態を保持する展開保持部材と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る携帯型パーテーションは、コンパクトに折り畳んで持ち運びが便利であるとともに、パーテーション高さが高くなり飛沫防止効果を十分に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る1実施形態の携帯型パーテーションを平面に展開した状態を示した図である。
【
図3】1実施形態の携帯型パーテーションを構成する展開保持部材及び自立保持部材を示す図である。
【
図4】1実施形態の携帯型パーテーションが自立設置された状態を示す平面図である。
【
図5】1実施形態の携帯型パーテーションを折り畳んだ状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る第1実施形態の携帯型パーテーション(以下、単にパーテーションと称する)1を平面に展開した状態を示している。
【0013】
本実施形態のパーテーション1は、
図1に示すように、平面的に配置した6枚のパネルと、6枚のパネル2a~2fの表裏面をラミネートしているラミネート部5と、ラミネート部5にラミネートされた6枚のパネル2a~2fに着脱自在に係合している一対の展開保持部材7及び一対の自立保持部材8と、を備えている。
【0014】
6枚のパネル2a~2fは、厚さが1mmのポリカーボネート樹脂であり、サイズは長辺300mm×短辺250mmである。そして、第1方向L1に互いの長辺同士の間に、10mm程度の帯状間隔をあけて3枚の第1列パネル2a,2b、2cが並んで配置されている。また、第1方向L1に直交する第2方向L2の位置で3枚の第1列パネル2a,2b、2cと短辺同士の間に10mm程度の帯状間隔をあけ、且つ第1方向L1に互いの長辺同士の間に10mm程度の帯状間隔をあけて第2列パネル2d,2e、2fが並んで配置されている。なお、第1列パネル2a,2b、2c及び第2列パネル2d,2e、2fは、変形せず自立する強度をもつ素材であれば、ポリカーボネート樹脂以外の他の素材でもよい。
【0015】
ラミネート部5は、第1列パネル2a,2b、2c及び第2列パネル2d,2e、2fの表面及び裏面にホットラミネート加工で接着されている第1ラミネート材3及び第2ラミネート材4で構成されている。
【0016】
第1ラミネート材3及び第2ラミネート材4は、厚さが0.01mm~0.01mmのポリエチレンテレフタレート樹脂のフィルムである。なお、透明で耐熱性があれば、ポリエチレンテレフタレート樹脂以外のフィルムでもよい。
【0017】
第1ラミネート材3及び第2ラミネート材4の糊剤は、再固化時に透明性を維持できる、LDPE(低密度ポリエチレン樹脂)、IO(アイオノマー樹脂)、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)などが一般的に用いられる。また、糊剤は、第1ラミネート材3及び第2ラミネート材4の一方に設けていてもよい。
【0018】
ここで、
図1において10mm程度の帯状間隔をあけて第1方向L1に延在しているラミネート部5の符号6aの部位は、第1ラミネート材3及び第2ラミネート材4が接着することで第1帯状連結部が形成されている(以下、第1帯状連結部6aと称する)。
【0019】
また、
図1において10mm程度の帯状間隔をあけて第1方向L1に直交する第2方向L2に延在しているラミネート部5の符号6bの部位にも、第1ラミネート材3及び第2ラミネート材4が接着することで第2帯状連結部が形成されている(以下、第帯状連結部6bと称する)。
【0020】
ここで、ラミネート部5の表面に、抗菌・抗ウイルス処理、帯電防止処理や防炎処理等を施したフィルムを貼ってもよい。
【0021】
なお、第1ラミネート材3及び第2ラミネート材4を、第1列パネル2a,2b、2c及び第2列パネル2d,2e、2fの表面及び裏面にコールドラミネート加工で接着してもよい。その際の第1ラミネート材3及び第2ラミネート材4は、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂を使用し、粘着層はアクリル系接着剤が用いられる。
【0022】
一対の展開保持部材7は、光透過性を有する塩化ビニル、アクリル樹脂などで形成されており、基部9aから第1及び第2挟持板9b、9cが互いに接する方向に延在した部材である。また、一対の自立保持部材8も、展開保持部材7と同一形状の部材である。
【0023】
一対の展開保持部材7は、
図1に示すように、第1列パネル2a及び第2列パネル2dの長辺縁部と、第1列パネル2c及び第2列パネル2fの長辺縁部とに跨って配置され、第1及び第2挟持板9b、9cが弾性変形しながら長辺縁部を挟持している。
【0024】
一対の自立保持部材8は、ラミネート部5に囲繞された第1列パネル2a,2b、2c及び第2列パネル2d,2e、2fが自立するときに下部となる第1列パネル2a及び第1列パネル2cの短辺縁部に配置され、第1及び第2挟持板9b、9cが弾性変形しながら短辺縁部を挟持している。
[パーテーション1の組立て手順]
【0025】
次に、第1実施形態のパーテーション1を自立設置する手順について、
図4を参照して説明する。
【0026】
先ず、一対の展開保持部材7を、第1列パネル2a及び第2列パネル2dの長辺縁部と、第1列パネル2c及び第2列パネル2fの長辺縁部とに跨って配置し、第1及び第2挟持板9b、9cが弾性変形しながら長辺縁部を挟持する。これにより、第1列パネル2a及び第2列パネル2dの展開状態が確実に保持され、第1列パネル2c及び第2列パネル2fの展開状態が確実に保持される。
【0027】
また、一対の自立保持部材8を第1列パネル2a及び第1列パネル2cの短辺縁部に配置し、第1及び第2挟持板9b、9cが弾性変形しながら短辺縁部を挟持する。
【0028】
次に、第1列パネル2a,2b,2cを下側とし、一対の自立保持部材8をテーブル10上に当接した状態でパーテーション1を自立するとともに、
図4に示すように、第1列パネル2a及び第2列パネル2dと、第1列パネル2c及び第2列パネル2fが対向し、平面視においてコの字型に配置する。これにより、パーテーション1が、テーブル10上に自立設置される。
[パーテーション1の折り畳み手順]
【0029】
次に、テーブル10などに自立設置されている第1実施形態のパーテーション1を折り畳む手順について、
図5を参照して説明する。
【0030】
先ず、第1列パネル2a及び第2列パネル2dの長辺縁部に跨がっている一対の展開保持部材7を、第1列パネル2a側にスライド移動し、第1列パネル2c及び第2列パネル2fの長辺縁部に跨がっている一対の展開保持部材7を、第2列パネル2f側にスライド移動する。
【0031】
次いで、
図5に示すように、第1列パネル2a(及び第2列パネル2d)の上に重なり合うように、
図1において左から2番目の第2帯状連結部6bを介して、第1列パネル2b(及び第2列パネル2e)を反時計方向に折り畳んでいく。
【0032】
次いで、
図5に示すように、第1列パネル2b(及び第2列パネル2e)の上に重なり合うように、
図1において左から3番目の第2帯状連結部6bを介して、第1列パネル2c(及び第2列パネル2f)を反時計方向に折り畳んでいく。
【0033】
次いで、図示しないが、3枚の第1列パネル2a,2b,2cの上に重なり合うように、
図1において上から2番目の第1帯状連結部6aを介して、3枚の第2列パネル2d,2e,2fを折り畳んでいく。
【0034】
これにより、パーテーション1は、第1列パネル2aの形状より僅かに大きなサイズ(
長辺320mm×短辺265mm程度)に折り畳められる。
[パーテーション1の作用効果]
【0035】
次に、本実施形態のパーテーション1の作用効果について説明する。
【0036】
本実施形態のパーテーション1は、テーブル10にコの字型に自立設置することで、3枚の第1列パネル2a,2b、2cの上縁(短辺)に、第2列パネル2d,2e、2fが立ち上がっているので、パーテーション高さを高く設定することができ、飛沫防止効果を確実に高めることができる。
【0037】
また、6枚のパネル2a~2fの縁部は、折り畳み且つ展開自在な第1帯状連結部6a及び第2帯状連結部6bを介して連結されており、第1帯状連結部6a及び第2帯状連結部6bを介して、第1列パネル2aより僅かに大きいコンパクトなサイズに折り畳むことができるので、持ち運びに便利なパーテーション1を提供することができる
【0038】
第1帯状連結部6a及び第2帯状連結部6bは、第1ラミネート材3及び第2ラミネート材4が接着することで形成されているので、簡便な構造で折り畳み且つ展開自在な連結部を設けることができる。
【0039】
また、第1列パネル2a及び第2列パネル2dの長辺縁部と、第1列パネル2c及び第2列パネル2fの長辺縁部とに跨って一対の展開保持部材7を配置することで、第1列パネル2a及び第2列パネル2dの展開状態と、第1列パネル2c及び第2列パネル2fの展開状態が確実に保持されるので、第1列パネル2a及び第2列パネル2dと、第1列パネル2c及び第2列パネル2fとの展開状態の保持を簡便な構造で行うことができる。
【0040】
また、一対の自立保持部材8を、パーテーション1を自立させたときに下部となる第1列パネル2a及び第1列パネル2cの短辺縁部に配置したことで、パーテーション1の自立安定性を向上させることができる。
【0041】
さらに、第1列パネル2a,2b,2cと、第2列パネル2d,2e,2fと、第1及び第2ラミネート材3,4と、展開保持部材7と自立保持部材8は、光透過性を及び有する樹脂部材で形成されているので、パーテーション1を自立設置した場合のクリアな視界を確保することができる。
【0042】
また、第1実施形態では、6枚のパネル(3枚の第1列パネル2a,2b、2cと、3枚の第2列パネル2d,2e、2f)でパーテーション1を構成したが、1列を4枚以上のパネルで構成し、第3列以上のパネルを配置したパーテーションであっても、同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 パーテーション
2a,2b、2c 第1列パネル
2d,2e、2f 第2列パネル
3 第1ラミネート材
4 第2ラミネート材
5 ラミネート部
6a 第1帯状連結部(帯状連結部)
6b 第2帯状連結部(帯状連結部)
7 展開保持部材
8 自立保持部材
9a 基部
9b 第1挟持板(展開挟持板、自立挟持板)
9c 第2挟持板(展開挟持板、自立挟持板)
10 テーブル(設置面)
L1 第1方向
L2 第2方向