(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/105 20210101AFI20241112BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20241112BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20241112BHJP
H01M 50/547 20210101ALI20241112BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20241112BHJP
H01M 50/204 20210101ALN20241112BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/211
H01M50/50 101
H01M50/547
H01M50/557
H01M50/204 401H
(21)【出願番号】P 2021060831
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真史
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-071132(JP,A)
【文献】特表2015-526851(JP,A)
【文献】国際公開第2014/141753(WO,A1)
【文献】特表2020-520078(JP,A)
【文献】特開2001-057190(JP,A)
【文献】国際公開第2017/068706(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/002235(WO,A1)
【文献】特開2007-157678(JP,A)
【文献】特開2004-265762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/105
H01M 50/211
H01M 50/242
H01M 50/50
H01M 50/547
H01M 50/557
H01M 50/204
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電セルが積層方向に積層された蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールを内部に収容する収容ケースと、を備え、
前記複数の蓄電セルの各々は、電極体、前記電極体を封止する外装フィルム、ならびに前記電極体に接続され、前記外装フィルムから突出する正極リードおよび負極リードを含み、
前記外装フィルムは、前記正極リードおよび前記負極リードが前記外装フィルムから突出する方向と異なる方向において前記電極体の外側に、前記外装フィルム内でガスが発生した場合に膨張する膨張部を有し、
前記収容ケースと前記蓄電モジュールとの間には、前記膨張部の膨張を許容する膨張許容空間が設けられており、
前記収容ケースは、前記積層方向において、前記複数の蓄電セルが間に位置するように設けられた一対の壁部を含み、
前記複数の蓄電セルは、前記積層方向に互いに隣り合う前記蓄電セルの各々が有する前記外装フィルム同士が当接するように前記積層方向に積層されており、
前記複数の蓄電セルは、前記一対の壁部によって前記積層方向に挟持されており、
前記外装フィルムは、平面視した場合に長辺部および短辺部を有する矩形形状を有し、
前記正極リードおよび前記負極リードは、前記外装フィルムの長手方向に沿って前記短辺部から突出し、
前記膨張部は、前記外装フィルムの短手方向において前記電極体の外側に設けられており、
前記膨張許容空間は、平面視した場合に、前記短手方向において前記電極体の外側に位置し
、
前記蓄電モジュールは、前記複数の蓄電セルに含まれる前記正極リードのいずれかによって構成される正極端子部と、前記複数の蓄電セルに含まれる前記負極リードのいずれかによって構成される負極端子部と、を含み、
前記収容ケースの外部に設けられた正極外部端子部および負極外部端子部と、前記正極外部端子部と前記正極端子部とを接続する第1導体部材、ならびに、前記負極外部端子部と前記負極端子部とを接続する第2導体部材と、をさらに備え、
前記第1導体部材および前記第2導体部材は、前記膨張許容空間に入り込まないように設けられている、蓄電装置。
【請求項2】
前記膨張部は、前記外装フィルムの余剰部が折り返されることで形成されている、請求項
1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
複数の蓄電セルが積層方向に積層された蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールを内部に収容する収容ケースと、を備え、
前記複数の蓄電セルの各々は、電極体、前記電極体を封止する外装フィルム、ならびに前記電極体に接続され、前記外装フィルムから突出する正極リードおよび負極リードを含み、
前記外装フィルムは、前記正極リードおよび前記負極リードが前記外装フィルムから突出する方向と異なる方向において前記電極体の外側に、前記外装フィルム内でガスが発生した場合に膨張する膨張部を有し、
前記収容ケースと前記蓄電モジュールとの間には、前記膨張部の膨張を許容する膨張許容空間が設けられており、
前記収容ケースは、前記積層方向において、前記複数の蓄電セルが間に位置するように設けられた一対の壁部を含み、
前記複数の蓄電セルは、前記積層方向に互いに隣り合う前記蓄電セルの各々が有する前記外装フィルム同士が当接するように前記積層方向に積層されており、
前記複数の蓄電セルは、前記一対の壁部によって前記積層方向に挟持されており、
前記外装フィルムは、平面視した場合に長辺部および短辺部を有する矩形形状を有し、
前記正極リードおよび前記負極リードは、前記外装フィルムの長手方向に沿って前記短辺部から突出し、
前記膨張部は、前記外装フィルムの短手方向において前記電極体の外側に設けられており、
前記膨張許容空間は、平面視した場合に、前記短手方向において前記電極体の外側に位置し、
前記外装フィルムから突出する部分の前記正極リードおよび前記負極リードは、前記外装フィルムと前記正極リードまたは前記負極リードとを接着する接着剤と、前記収容ケース内に部分的に充填された絶縁部材とによって覆われており、
前記正極リードおよび前記負極リードは、前記外装フィルムおよび前記接着剤から露出する露出部を有し、
前記露出部は、前記絶縁部材に埋設されている
、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関し、特に、車両に搭載される蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電装置として、特開2012-221730号公報(特許文献1)には、複数のラミネート電池を積層した電池モジュールをケースに収容した組電池において、ラミネート電池の端部を外部から押し付ける加圧部材が配置された構成が開示されている。加圧部材は、ラミネート電池に含まれる余剰な電解液を押し付け、電極体に電解液が含浸していない未含浸部に電解液を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の蓄電装置にあっては、ラミネート電池の外縁を周方向に取り囲む加圧部材に切欠部を設けることにより、ラミネート電池内でガスが発生した場合には、ラミネート電池において当該切欠部に対応する部分に、当該ガスが移動できるようになっている。
【0005】
しかしながら、電極体を封止するラミネートフィルム自体に、発生したガスを貯める貯留部が設けられておらず、相当程度のガスが発生した場合には、ラミネートフィルムが破損することが懸念される。
【0006】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、電極体を封止する外装フィルムの破損を抑制することができる蓄電装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に基づく蓄電装置は、複数の蓄電セルが積層方向に積層された蓄電モジュールと、上記蓄電モジュールを内部に収容する収容ケースと、を備える。上記複数の蓄電セルの各々は、電極体、上記電極体を封止する外装フィルム、ならびに上記電極体に接続され、上記外装フィルムから突出する正極リードおよび負極リードを含む。上記外装フィルムは、上記正極リードおよび上記負極リードが上記外装フィルムから突出する方向と異なる方向において、上記電極体の外側に、上記外装フィルム内でガスが発生した場合に膨張する膨張部を有する。上記収容ケースと上記蓄電モジュールとの間には、上記膨張部の膨張を許容する膨張許容空間が設けられている。
【0008】
上記構成によれば、外装フィルムに膨張部が設けられることにより、外装フィルム内で相当程度のガスが発生した場合には、当該膨張部にガスが貯留されることで、当該膨張部が膨張する。この場合において、収容ケースと蓄電モジュールとの間に、膨張部の膨張を許容する膨張許容空間が設けられることにより、収容ケースと膨張部との干渉を抑制することができる。この結果、膨張部に過剰な圧力が外部から負荷されることが抑制され、外装フィルムが破損することを抑制できる。
【0009】
上記本開示に基づく蓄電装置にあっては、上記外装フィルムは、平面視した場合に長辺部および短辺部を有する矩形形状を有する。この場合には、上記正極リードおよび上記負極リードは、上記外装フィルムの長手方向に沿って前記短辺部から突出していてもよい。さらにこの場合には、上記膨張部は、上記外装フィルムの短手方向において上記電極体の外側に設けられていることが好ましく、上記膨張許容空間は、平面視した場合に、上記短手方向において上記電極体の外側に位置することが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、電極体の短手方向において電極体の外側に膨張部が設けられることにより、長手方向に沿って膨張部を形成することができる。これにより、膨張部の領域を大きく確保することができ、ガスが発生した場合には、多量のガスを膨張部に貯留することができる。さらに、膨張許容空間も電極体の短手方向において電極体の外側に膨張部が設けられることにより、膨張許容空間を大きく確保することができる。この結果、膨張部が膨張した場合であっても収容ケースと膨張部との干渉を抑制することができ、外装フィルムが破損することを抑制できる。
【0011】
上記本開示に基づく蓄電装置にあっては、上記蓄電モジュールは、上記複数の蓄電セルに含まれる上記正極リードのいずれかによって構成される正極端子部と、上記複数の蓄電セルに含まれる上記負極リードのいずれかによって構成される負極端子部と、を含む。当該蓄電装置は、上記収容ケースの外部に設けられた正極外部端子部および負極外部端子部と、上記正極外部端子部と上記正極端子部とを接続する第1導電部材、ならびに、上記負極外部端子部と上記負極端子部とを接続する第2導電部材と、をさらに備える。この場合には、上記第1導電部材および上記第2導電部材は、上記膨張許容空間に入り込まないように設けられていることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、膨張部が膨張した場合に、第1導電部材および第2導電部材と、膨張部とが干渉することを抑制できる。この結果、外装フィルムが破損することをさらに抑制することができる。
【0013】
上記本開示に基づく蓄電装置にあっては、上記膨張部は、上記外装フィルムの余剰部が折り返されることで形成されている。
【0014】
上記構成によれば、膨張部の構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、電極体を封止する外装フィルムの破損を抑制することができる蓄電装置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の概略平面図である。
【
図2】
図1に示すII-II線に沿った概略断面図である。
【
図3】
図1に示すIII-III線に沿った概略断面図である。
【
図4】
図1に示すIVーIVに示す概略断面図である。
【
図5】実施の形態に係る蓄電装置において膨張部が膨張した状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0018】
図1は、実施の形態に係る蓄電装置の概略平面図である。
図2は、
図1に示すII-II線に沿った概略断面図である。
図3は、
図1に示すIII-III線に沿った概略断面図である。
図4は、
図1に示すIVーIVに示す概略断面図である。
図1から
図4を参照して、実施の形態に係る蓄電装置100について説明する。
【0019】
本実施の形態に係る蓄電装置100は、車両に搭載される。当該車両は、モータとエンジンとの少なくとも一方の動力を用いて走行可能なハイブリッド車両、または、電気エネルギによって得られた駆動力で走行する電動車両である。
【0020】
図1に示すように、蓄電装置100は、収容ケース10と、蓄電モジュール20と、正極外部端子部3、および負極外部端子部4を備える。
【0021】
正極外部端子部3および負極外部端子部4は、収容ケース10の外部に設けられている。より特定的には、正極外部端子部3および負極外部端子部4は、収容ケース10の上面に設けられている。正極外部端子部3および負極外部端子部4は短手方向DR2に間隔をあけて配置されている。
【0022】
収容ケース10は、略直方体形状を有する。収容ケース10は、長手方向DR1に沿って延びるように設けられている。収容ケース10は、内部に蓄電モジュール20を収容する。収容ケース10は、アッパーケース11(
図2、3参照)およびロアケース12(
図2、3参照)を含む。アッパーケース11は、下方に向けて開口する略箱形形状を有する。ロアケース12は、上方に向けて開口する略箱形形状を有する。
【0023】
なお、
図2および
図3においては、便宜上、アッパーケース11の上壁部およびロアケースの底壁部が平坦であるように図示しているが、詳細的には、図
4、図
5に示すように、中央部が
蓄電モジュール20に近づくように窪んだ形状を有している。
【0024】
図2および
図3に示すように、蓄電モジュール20は、複数の蓄電セル30、および複数の接続部材(バスバ)33、34を含む。複数の蓄電セル30は、積層方向DR3に積層されている。なお、積層方向DR3は、鉛直方向と平行な方向である。
【0025】
複数の蓄電セル30の各々は、電極体35、外装フィルム36、正極リードとしての正極集電板37、および負極リードとしての負極集電板38を含む。
【0026】
外装フィルム36は、アルミラミネートフィルムなどによって形成されている。外装フィルム36は、電極体35と、図示されていない電解液を内部に収容している。外装フィルム36は、平面視した場合に、略矩形形状を有し、一対の長辺部361(
図1参照)、および一対の短辺部362(
図1参照)を有する。
【0027】
一対の長辺部361は、長手方向DR1に沿って延在し、短手方向DR2方向に並ぶ。一対の短辺部362は、短手方向DR2に沿って延在し、長手方向DR1に並ぶ。
【0028】
外装フィルム36は、上側フィルム39Aおよび下側フィルム39Bを含む。上側フィルム39Aは電極体35を上方から覆うように配置されており、下側フィルム39Bは電極体35を下方から覆うように設けられている。
【0029】
上側フィルム39Aの外周縁部と、下側フィルム39Bの外周縁部とは図示されていない接着剤によって接着されている。
【0030】
電極体35は直方体形状に形成されている。電極体35は、積層方向DR3に積層された複数の正極シートと、複数のセパレータと、複数の負極シートとを含む。正極シートおよび負極シートの間にセパレータが配置されている。
【0031】
正極シートを構成するアルミニウム箔の一部は、電極体35の一方の側面側(長手方向DR1の一方側)に引き出されており、負極シートを構成する銅箔の一部は、電極体35の一方の側面側(長手方向DR1の一方側)に引き出されている。電極体35の一方の側面側に引き出されたアルミニウム箔の一部および銅箔の一部は、短手方向DR2に間隔をあけて配置されている。
【0032】
正極集電板37はアルミニウムなどによって形成されている。正極集電板37は、上記一方の側面側(長手方向DR1の一方側)に配置されている。正極集電板37には、正極シートを構成するアルミニウム箔が複数溶接されている。これにより、正極集電板37は、電極体35に接続されている。
【0033】
正極集電板37の上面には接着剤52が形成されており、接着剤52は上側フィルム39Aと正極集電板37とを接着している。正極集電板37の下面には接着剤53が形成されており、接着剤53は下側フィルム39Bと正極集電板37とを接着している。なお、接着剤52,53は長手方向DR1において外装フィルム36の外側にまで延び出ている。
【0034】
正極集電板37は、長手方向DR1に沿って外装フィルム36の短辺部362から外側に突出する。より詳細的には、正極集電板37は、長手方向DR1の一方側において、外装フィルム36および接着剤52,53よりも外側に突出している。正極集電板37は、外装フィルム36および接着剤52,53から露出する露出部50を含む。
【0035】
負極集電板38は銅などによって形成されている。負極集電板38は、上記一方の側面側(長手方向DR1の一方側)に配置されている。負極集電板38には、負極シートを構成する銅箔が複数溶接されている。これにより、負極集電板38は、電極体35に接続されている。
【0036】
負極集電板38の上面には接着剤52が形成されており、接着剤52は負極集電板38および上側フィルム39Aを接着している。負極集電板38の下面には接着剤53が形成されており、接着剤53は、負極集電板38および下側フィルム39Bを接着している。なお、接着剤52,53は長手方向DR1において外装フィルム36の外側にまで延び出ている。
【0037】
負極集電板38は、長手方向DR1に沿って外装フィルム36の短辺部362から外側に突出する。より詳細的には、負極集電板38は、長手方向DR1の一方側において、外装フィルム36および接着剤52,53よりも外側に突出している。負極集電板38は、外装フィルム36および接着剤52,53から露出する露出部51を含む。
【0038】
複数の蓄電セル30は、積層方向において、正極集電板37および負極集電板38が交互に並ぶように積層されている。積層方向において、互いに隣り合う蓄電セル30の一方は、互いに隣り合う蓄電セル30の他方を上下に反転させて配置されている。
【0039】
複数の接続部材33は、
図1に示す短手方向DR2の一方側において、
図2に示すように、負極集電板38の露出部51と正極集電板37の露出部50とを接続する。具体的には、複数の接続部材33は、負極集電板38の下面と正極集電板37の上面とを接続する。
【0040】
複数の接続部材34は、
図1に示す短手方向DR2の他方側において、
図3に示すように、負極集電板38の露出部51と正極集電板37の露出部50とを接続する。具体的には、複数の接続部材
34は、負極集電板38の下面と正極集電板37の上面とを接続する。
【0041】
このように複数の接続部材33,34によって、複数の蓄電セル30は直列で接続される。
【0042】
複数の蓄電セル30のうち最も上方に位置する蓄電セル30に含まれる正極集電板37は、蓄電モジュール20の正極端子部41として機能する。複数の蓄電セル30のうち最も下方に位置する蓄電セル30に含まれる負極集電板38は、蓄電モジュール20の負極端子部42として機能する。
【0043】
蓄電装置100は、第1導電部材21、第2導電部材22、絶縁部材25、および絶縁膜27,28をさらに備える。
【0044】
第1導電部材21は、正極端子部41と、上記正極外部端子部3とを接続する。第1導電部材21は、後述する膨張許容空間に入り込まないように設けられている。より特定的には、第1導電部材21は、長手方向DR1の一方側において、外装フィルム36の外側に設けられている。
【0045】
第1導電部材21は、第1部分211と、第2部分212とを含む。第1部分211は、略板状形状を有し、上記正極端子部41の上面に溶接されている。第2部分212は、上方に向けて延びるように設けられている。第2部分212の先端側は、収容ケース10のアッパーケース11を貫通し、正極外部端子部3に接続されている。
【0046】
なお、第1導電部材21および収容ケース10とは、収容ケース10の内面に設けられた絶縁膜27、アッパーケース11を貫通する部分の第2部分212の周囲に設けられた絶縁部材61、アッパーケース11の上面に設けられた絶縁膜28とによって絶縁されている。
【0047】
第2導電部材22は、負極端子部42と、上記負極外部端子部4とを接続する。第2導電部材22は、後述する膨張許容空間に入り込まないように設けられている。第2導電部材22は、長手方向DR1の一方側において、外装フィルム36の外側に設けられている。
【0048】
第2導電部材22は、第1部分221と、第2部分222とを含む。第1部分221は、略板状形状を有し、上記負極端子部42の下面に溶接されている。第2部分222は、上方に向けて延びるように設けられている。第2部分222の先端側は、収容ケース10のアッパーケース11を貫通し、負極外部端子部4に接続されている。
【0049】
なお、第2導電部材22および収容ケース10とは、収容ケース10の内面に設けられた絶縁膜27、アッパーケース11を貫通する部分の第2部分222の周囲に設けられた絶縁部材62、アッパーケース11の上面に設けられた絶縁膜28とによって絶縁されている。
【0050】
絶縁部材25は、収容ケース10内において、長手方向DR1の一方側に設けられている。絶縁部材25は、長手方向DR1の一方側に位置する収容ケース10の側壁から蓄電モジュール20に達するように充填されている。絶縁部材25は、たとえば絶縁性を有する樹脂部材である。絶縁部材25は、一定程度の熱伝導性を有する。
【0051】
正極集電板37の露出部50と、負極集電板38の露出部51と、接続部材33と、第1導電部材21および第2導電部材22の少なくとも一部とは、絶縁部材25に埋設されている。
【0052】
露出部50、51と、接続部材33と、第1導電部材21および第2導電部材22とは金属材料で構成されている。このため、充放電によって蓄電モジュール20が発熱した場合には、蓄電モジュール20内の熱を、絶縁部材25に伝導することができる。当該絶縁部材25は、長手方向DR1の一方側に位置する収容ケース10の側壁に接触しているため、絶縁部材25に伝達された熱は、当該側壁から放熱することができる。
【0053】
図4に示すように、アッパーケース11は、上壁部111、および周壁部112を含む。周壁部112は、上壁部111の周縁から下方に向けて延びるように設けられている。
【0054】
上壁部111は、中央部111a、および当該中央部111aを取り囲む周囲部111bを有する。上壁部111は、中央部111aがロアケース12の底壁部121に近づくように反った形状を有する。より特定的には、中央部111aは、蓄電モジュール20を挟み込み可能となるように、周囲部111bよりも下方側に位置している。周囲部111bは、上壁部111の周縁に向かうに連れて上方に向かうように湾曲している。
【0055】
ロアケース12は、底壁部121および周壁部122を含む。周壁部122は、底壁部121の周縁から上方に向けて延びるように設けられている。
【0056】
底壁部121は、中央部121a、および中央部121aを取り囲む周囲部121bを有する。底壁部121は、中央部121aがアッパーケース11の上壁部111に近づくように反った形状を有する。より特定的には、中央部121aは、蓄電モジュール20を挟み込み可能となるように、周囲部121bよりも上方側に位置している。周囲部121bは、底壁部121の周縁に向かうにつれて下方に向かうように湾曲している。
【0057】
アッパーケース11とロアケース12とは、ロアケース12の周壁部122の先端側が、アッパーケース11の周壁部112の下端側の内側に圧入された状態で固定されている。この状態においては、上壁部111の中央部111aおよび底壁部121の中央部121aによって、蓄電モジュール20が積層方向DR3(上下方向)に拘束される。
【0058】
なお、ロアケース12の周壁部122の先端側と、アッパーケース11の周壁部112の下端側との間には、パッキン等のシール部材が配置されていてもよい。
【0059】
また、複数の蓄電セル30の各々は、膨張部363を有する。膨張部363は、膨張可能に設けられている。膨張部363は、電極体35の発熱あるいは劣化等により、外装フィルム36内でガスが発生した場合に、当該ガスが充填されることで膨張する。
【0060】
膨張部363は、外装フィルム36に設けられている。膨張部363は、外装フィルム36の余剰部が折り返されることで形成されている。より特定的には、膨張部363は、外装フィルム36のうち短手方向DR2方向に電極体35から大きく突出する部分が、接着された先端側が内側を向くように折り返されることで形成されている。これにより、膨張部363の構成を簡素化することができる。膨張部363は、上述の正極集電板37および負極集電板38が外装フィルム36から突出する方向と異なる方向において、電極体35の外側に設けられている。
【0061】
具体的には、膨張部363は、短手方向DR2方向において、電極体35の外側に設けられている。膨張部363は、たとえば、長手方向DR1方向において外装フィルム36の一端側から他端側にかけて設けられている。これにより、膨張部363の領域を大きく確保することができ、ガスが発生した場合には、多量のガスを膨張部363に貯留することができる。
【0062】
なお、上述のように、上壁部111の中央部111aおよび底壁部121の中央部121aによって、蓄電モジュール20が積層方向DR3(上下方向)に拘束されていることにより、外装フィルム36内でガスが発生した場合には、当該ガスは、膨張部363に向けて移動しやすくなる。
【0063】
また、短手方向DR2において、アッパーケース11の周壁部112とロアケース12の周壁部122とは、電極体35から距離を持って配置されており、これにより、収容ケース10と蓄電モジュール20との間には、上記膨張部363の膨張を許容する膨張許容空間Sが設けられている。膨張許容空間Sは、平面視した場合に、短手方向DR2において、電極体35の外側に位置する。
【0064】
図5は、実施の形態に係る蓄電装置において膨張部が膨張した状態を示す概略断面図である。
図5を参照して、膨張部363が膨張した状態について説明する。
【0065】
図5に示すように、電極体35の劣化あるいは発熱等によって、外装フィルム36内でガスが発生した場合には、膨張部363が膨張する。この際、上述のように、収容ケース10と蓄電モジュール20との間に、膨張許容空間Sが設けられていることにより、収容ケース10と膨張した膨張部363との干渉を抑制することができる。この結果、膨張部363に過剰な圧力が外部から負荷されることが抑制され、外装フィルム36が破損することを抑制できる。
【0066】
さらに、上述のように、当該膨張許容空間Sには、上記第1導電部材および上記第2導電部材が入り込んでいないため、膨張部363が膨張した場合に、膨張部363と、第1導電部材および第2導電部材が干渉することを抑制できる。これにより、外装フィルム36が破損することをさらに抑制することができる。
【0067】
また、膨張許容空間Sは、短手方向DR2において電極体35の外側にが設けられるとともに、長手方向DR1において収容ケース10の一端側から他端側にかけて設けられることにより、膨張許容空間Sを大きく確保することができる。これにより、多量のガスが発生した場合であっても、収容ケース10と膨張部363との干渉を抑制することができ、外装フィルム36が破損することを抑制できる。
【0068】
なお、上述した実施の形態においては、正極集電板37および負極集電板38の双方が、短手方向DR2の一方側で、外装フィルム36から外側に突出する場合を例示して説明したが、これに限定されない。正極集電板37が、短手方向DR2の一方側で外装フィルム36から外側に突出し、負極集電板38が、短手方向DR2の他方側で外装フィルム36から外側に突出してもよい。
【0069】
さらに、正極集電板37および負極集電板38の双方が、長手方向DR1の一方側で外装フィルム36から外側に突出してもよい。また、正極集電板37が、長手方向DR1の一方側で外装フィルム36から外側に突出し、負極集電板38が、長手方向DR1の他方側で外装フィルム36から外側に突出してもよい。この場合には、膨張部363は、長手方向DR1において電極体35の外側に設けられ、膨張許容空間Sも、平面視した場合に、長手方向DR1において電極体35の外側に設けられる。
【0070】
なお、上述した実施の形態においては、蓄電モジュール20に含まれる蓄電セルが、外装フィルム内に電解液と電極体35が収容されたラミネート型の電池である場合を例示して説明したがこれに限定されない。蓄電セルは、外装フィルム内に電解液が収容されず、固体状の電解質が用いられたラミネート型の全固体電池であってもよい。
【0071】
以上、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0072】
3 正極外部端子部、4 負極外部端子部、10 収容ケース、11 アッパーケース、12 ロアケース、20 蓄電モジュール、21 第1導電部材、22 第2導電部材、25 絶縁部材、27,28 絶縁膜、30 蓄電セル、33,34 接続部材、35 電極体、36 外装フィルム、37 正極集電板、38 負極集電板、39A 上側フィルム、39B 下側フィルム、41 正極端子部、42 負極端子部、50,51 露出部、52,53 接着剤、61,62 絶縁部材、100 蓄電装置、111 上壁部、111a 中央部、111b 周囲部、112 周壁部、121 底壁部、121a 中央部、121b 周囲部、122 周壁部、211 第1部分、212 第2部分、221 第1部分、222 第2部分、361 長辺部、362 短辺部、363 膨張部。