(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ステータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/04 20060101AFI20241112BHJP
H02K 3/24 20060101ALI20241112BHJP
H02K 15/085 20060101ALI20241112BHJP
H02K 15/04 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H02K3/04 E
H02K3/24 Z
H02K15/085
H02K15/04 E
(21)【出願番号】P 2021063321
(22)【出願日】2021-04-02
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 雅志
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 航平
(72)【発明者】
【氏名】稲野 宏
(72)【発明者】
【氏名】澤田 知幸
(72)【発明者】
【氏名】川村 葉月
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-171095(JP,A)
【文献】特開2019-126153(JP,A)
【文献】特開2018-143084(JP,A)
【文献】特開2013-039000(JP,A)
【文献】特開2013-069623(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102019214855(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/04
H02K 3/24
H02K 15/085
H02K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットを有するステータコアと、ステータコアに巻回されるコイルと、を有するステータであって、
前記コイルは、
前記スロットの内部に位置し、単線からなる第一セグメントと、
前記スロットの外部に位置し、集合線からなる第二セグメントと、
前記第一セグメントと前記第二セグメントとを接続する連結部材と
を有するステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、連結部材によってセグメントコイル同士を連結する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、スロット内部のコイル本数と、コイルエンドのコイル本数とを同数とした場合、コイルエンドのコイル本数を増加させることで、コイルの表面積が増加してコイルによる冷却性能を高めることができるが、スロット内部において導電部に対する絶縁部の比率が増加するため、スロットの内部におけるコイルの占積率が低下してしまう。そこで、スロット内部の占積率を維持しつつ、冷却性能を向上させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、一実施形態に係るステータは、スロットを有するステータコアと、ステータコアに巻回されるコイルと、を有するステータであって、コイルは、スロットの内部に位置し、単線からなる第一セグメントと、スロットの外部に位置し、集合線からなる第二セグメントと、第一セグメントと第二セグメントとを接続する連結部材とを有する。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態に係るステータによれば、スロット内部の占積率を維持しつつ、集合線を利用してスロット外部の比表面積を拡大させることにより、冷却性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】一実施形態に係るステータが備える連結部材の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0009】
図1は、一実施形態に係るステータ100の外観図である。
図2は、
図1に示すステータ100のA-A断面図である。
図3は、一実施形態に係るステータ100が備える連結部材146の外観斜視図である。
【0010】
図1に示すステータ100は、回転電機のステータである。
図1に示すようにステータ100は、ステータコア120と、コイル140とを備える。
【0011】
ステータコア120は、例えば、複数の円環状の電磁鋼板が積層された構造を有する。ステータコア120には、複数のスロット122が形成されている。
【0012】
図1に示すように、各スロット122は、ステータコア120の軸方向における一方の端面から、ステータコア120の軸方向における他方の端面へ貫通して形成されている。
【0013】
また、
図2に示すように、各スロット122は、ステータコア120の内周面120Aから、ステータコア120の外周面120B側に向かって、一定の幅および一定の長さを有して形成されている。すなわち、
図2に示すように、各スロット122は、ステータコア120の半径方向を長手方向とする長方形状の断面形状を有する。
【0014】
さらに、ステータコア120には、円周方向に複数のスロット122が等間隔で並べて形成されている。
【0015】
コイル140は、ステータコア120に巻き回される。コイル140は、複数の第二セグメント142、複数の第一セグメント144、および複数の連結部材146を有して構成されている。
【0016】
複数の第二セグメント142は、ステータコア120の一方の外側のコイルエンド140Aと、ステータコア120の他方の外側のコイルエンド140Bとを構成する部分である。複数の第二セグメント142の各々は、2つの第一セグメント144の間に設けられ、2つの第一セグメント144を接続する。
【0017】
本実施形態では、第二セグメント142は、複数の導線が互いに撚り合されて構成された集合線が用いられている。
【0018】
複数の第一セグメント144は、ステータコア120が有する複数のスロット122の各々の内部に配置される。
図2に示すように、ステータコア120が有する各スロット122には、複数の第一セグメント144が半径方向(すなわち、スロット122の長手方向)に並べて配置される。
【0019】
本実施形態では、第一セグメント144は、単線が用いられており、その一例として、断面が矩形状を有する1本の平角線コイルまたは銅板が用いられている。
【0020】
なお、
図2に示すように、スロット122内において、複数の第一セグメント144の各々は、絶縁紙124によって覆われることによって絶縁される。
【0021】
連結部材146は、第二セグメント142の端部と、第一セグメント144の端部とを接続する部材である。本実施形態では、連結部材146の一例として、中空構造を有する銅管が用いられる。
【0022】
連結部材146には、その一方の開口部146Aから、第二セグメント142の端部が挿入される。また、連結部材146には、その他方の開口部146Bから、第一セグメント144の端部が挿入される。これにより、連結部材146は、第二セグメント142の端部と、第一セグメント144の端部とを、容易に接続できるようになっている。
【0023】
なお、コイル140は、複数の第一セグメント144の各々の両端部に連結部材146が接続されるため、第一セグメント144の数の2倍の数の連結部材146を有する。
【0024】
また、
図3に示す例では、連結部材146は、第二セグメント142の端部の断面積が、第一セグメント144の端部の断面積よりも大きいことから、第二セグメント142の端部が挿入される一方の開口部146Aが、第一セグメント144の端部が挿入される他の開口部146Bよりも、内径が大きくなっている。例えば、連結部材146は、深絞り加工によって、互いに内径が異なる2つの開口部を有する形状に形成することができる。
【0025】
以上説明したように、一実施形態に係るステータ100は、スロット122を有するステータコア120と、ステータコア120に巻回されるコイル140とを有し、コイル140は、スロット122の内部に位置し、単線からなる第一セグメント144と、スロット122の外部に位置し、集合線からなる第二セグメント142と、第一セグメント144と第二セグメント142とを接続する連結部材146とを有する。
【0026】
これにより、一実施形態に係るステータ100は、第一セグメント144に単線を用いたことにより、スロット122内におけるコイル140の占積率を維持しつつ、第二セグメント142に集合線を用いたことにより、第二セグメント142の比表面積を拡大させて、第二セグメント142における冷却油との接触面積を増大させることができ、よって、コイル140による冷却性能を向上させることができる。
【0027】
また、一実施形態に係るステータ100は、第一セグメント144として絶縁紙124によって覆われた銅板を用いることができ、この場合、スロット122内における導体の占積率を高めることができるうえ、平角線コイルの供給不足のリスクを回避することができる。
【0028】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0029】
100 ステータ
120 ステータコア
120A 内周面
120B 外周面
122 スロット
140 コイル
140A,140B コイルエンド
142 第二セグメント
144 第一セグメント
146 連結部材
146A,146B 開口部