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特許7585950現像装置、およびそれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】現像装置、およびそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20241112BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
G03G21/18 132
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021074703
(22)【出願日】2021-04-27
(65)【公開番号】P2022168973
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2024-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 雅和
(72)【発明者】
【氏名】河済 択哉
(72)【発明者】
【氏名】山岸 鈴
(72)【発明者】
【氏名】北川 裕章
(72)【発明者】
【氏名】藤井 聖明
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-098770(JP,A)
【文献】特開2019-124721(JP,A)
【文献】特開2014-142578(JP,A)
【文献】特開2001-005288(JP,A)
【文献】特開2014-109649(JP,A)
【文献】特開2015-011230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有し、トナーを含む現像剤を内部に収容する現像容器と、
前記現像容器に回転可能に支持され、前記現像剤を担持する外周面の一部が前記開口部から露出する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の回転軸方向に沿って配置され、前記現像剤担持体と前記開口部との隙間を塞ぐシール部材と、
前記現像剤担持体の前記回転軸方向の両端部、及び前記シール部材に接触し、前記現像剤担持体の前記両端部と前記現像容器との隙間を塞ぐ一対の押圧部材と、
を備え、
前記シール部材は、前記現像剤担持体の外周面の前記回転軸方向の全域に接触する前記シール部材の長手方向の端縁のうち、前記現像剤担持体に近い側の端縁である接触端部と、前記現像剤担持体から遠い側の端縁の全域に亘って上方に突出する第1遮蔽部と、前記現像剤担持体の前記両端部と前記各押圧部材との間に挟まれる、前記シール部材の前記接触端部と直交する端縁である挟持端部と、を有する現像装置において、
前記押圧部材は、前記現像剤担持体の外周面と径方向に対向する押圧面と、前記押圧面の、前記現像剤担持体の周方向の前記開口部に近い側の端部から前記周方向の中央部にかけて、前記径方向に凹むように切り欠かれた切欠き凹部を有し、
前記現像容器は、前記回転軸方向において前記第1遮蔽部の両端部に隣接し、上方に向かって突出する第2遮蔽部を有し、
前記挟持端部は、前記周方向に対して、前記切欠き凹部と重なる位置にあり、前記第2遮蔽部は、前記回転軸方向に対して前記切欠き凹部と重なる位置にあることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像容器は、前記現像容器の前記回転軸方向の両端部に着脱可能に装着され、前記現像剤担持体を支持するカバー部材を有し、
前記第2遮蔽部は、前記カバー部材に一体形成されることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記押圧面を有する、前記押圧面の面方向に所定の厚みをもった第1積層材と、前記第1積層材の前記押圧面と反対側の面に積層され、前記現像容器に固定される第2積層材と、を有し、前記切欠き凹部は、前記第1積層材を切り欠いて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記第1遮蔽部は、スポンジであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像剤は、非磁性トナーのみからなる非磁性一成分現像剤であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
装置本体と、
前記装置本体内部に設けられ、外周面に静電潜像が形成される像担持体と、
前記装置本体内部に着脱可能に設けられ、前記装置本体内部に装着された状態で、前記現像剤担持体が前記像担持体の外周面に接触、又は近接して配置され、前記静電潜像をトナー像に現像する請求項1から5のいずれかに記載の現像装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機などの画像形成装置は、像担持体の外周面に形成された静電潜像を現像、すなわち静電潜像を顕在化したトナー像(現像剤像)を形成するための現像装置を備えている。
【0003】
現像装置は、トナーを含む現像剤を収容する現像容器と、像担持体に接触または近接して配置され、現像剤を担持する現像剤担持体と、を備えている。現像容器は、現像装置の移動方向に対して現像装置の下流側に開口する容器開口部を有している。現像剤担持体は、容器開口部に重なるように配置されている。現像剤担持体の一部が、この容器開口部を通じて現像装置の外側に露出している。現像剤担持体は、外周面に現像容器内のトナーを担持可能である。この現像剤担持体の露出部分から、像担持体へと現像容器内のトナーの供給が行われる。
【0004】
このような現像装置として、特許文献1には、現像剤担持体の外周面の下部と容器開口部の下方の縁部との隙間に、シート状のシール部材を設けたものが開示されている(特許文献1の図3図5参照)。シール部材は、現像剤担持体の回転軸方向(長手方向)に沿って、現像容器の内面上に配置されており、現像剤担持体の外周面の下部と容器開口部の縁部との隙間を塞いで、この隙間から現像剤が流出するのを抑制している。
【0005】
また、現像剤担持体の回転軸方向の両端部と現像容器との隙間には、一対の押圧部材が設けられている。押圧部材は、現像容器の内面から前記現像剤担持体の外周面に向かって突出し、現像剤担持体の両端部の外周面に接触して押圧している。押圧部材は、現像剤担持体との接触によって、現像剤担持体と反対側に向かって圧縮されている。この押圧部材と現像剤担持体外周面との接触、押圧によって、現像容器と現像剤担持体との隙間を塞ぎ、現像剤の流出を抑制している。上記のシール部材の回転軸方向に沿った両端部分は、前記押圧部材と前記現像剤担持体との隙間に挟まれている。
【0006】
また、特許文献1の現像装置は、画像形成装置本体(以下、「装置本体」と称する)に対して着脱可能に装着されている。装置本体は、上方に開口する本体開口部を有する。装置本体の内部には、現像装置を、本体開口部から現像装置の装着位置までガイドするガイドレールが設けられている。ガイドレールは、本体開口部から装着位置まで、下方に向かって延びている。現像装置は、このガイドレールに沿って装置本体内を移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-164736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の通り、押圧部材は、現像剤担持体と反対側に向かって圧縮されており、シール部材の回転軸方向に沿った両端部分は、押圧部材と現像剤担持体との隙間に挟まれている。このため、シール部材は、圧縮された押圧部材の反発力(復元力)によって、回転軸方向の中央部分から、現像剤担持体と押圧部材との隙間に挟まれた両端部分にかけて、現像剤担持体に向かって浮き上がるように変形するおそれがある。すると、この変形箇所と現像容器、又は現像剤担持体とに隙間が生じ、この隙間から現像容器内の現像剤が流出するおそれがある。
【0009】
また、上述の通り、現像剤担持体の一部は、この容器開口部を通じて現像装置の外側に露出している。このため、特許文献1の容器開口部周辺には、現像剤担持体の外周面へのトナー供給や、現像剤担持体から像担持体へのトナー供給などの過程で飛散したトナーが、廃トナーとして堆積している場合がある。そして、上述の通り、ガイドレールは本体開口部から下方に向かって装着位置まで延びている。このため、特許文献1の画像形成装置は、現像装置を装置本体に装着するとき(現像装置がガイドレールに沿って移動するとき)に、現像装置の移動方向の下流側の部分、すなわち容器開口部が下方を向くことになる。すると、容器開口部の周辺に堆積した廃トナーが、装置本体内に落下するおそれがある。装置本体内に落下した廃トナーが像担持体や装置本体内の他のユニットに付着すると、シート(記録媒体)に対して廃トナーが転写されてしまうなどの画像不良の原因となる。
【0010】
そこで、本発明は、現像剤担持体と現像容器の隙間から現像剤が流出するのを抑制しつつ、画像形成装置への装着時に、現像剤が現像装置の開口部周辺から画像形成装置本体の内部に落下することを抑制できる現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、現像容器と、現像剤担持体と、シール部材と、一対の押圧部材と、を備える現像装置である。現像容器は、開口部を有し、トナーを含む現像剤を内部に収容する。現像剤担持体は、現像容器に回転可能に支持され、現像剤を担持する外周面の一部が開口部から露出している。シール部材は、現像剤担持体の回転軸方向に沿って配置され、現像剤担持体と開口部との隙間を塞ぐ。一対の押圧部材は、現像剤担持体の回転軸方向の両端部、及びシール部材に接触し、現像剤担持体の両端部と現像容器との隙間を塞ぐ。シール部材は、現像剤担持体の外周面の回転軸方向の全域に接触するシール部材の長手方向の端縁のうち、現像剤担持体に近い側の端縁である接触端部と、現像剤担持体から遠い側の端縁の全域に亘って上方に突出する第1遮蔽部と、現像剤担持体の両端部と各押圧部材との間に挟まれる、シール部材の接触端部と直交する端縁である挟持端部と、を有する。この現像装置において、押圧部材は、現像剤担持体の外周面と径方向に対向する押圧面と、押圧面の、現像剤担持体の周方向の開口部に近い側の端部から周方向の中央部にかけて、径方向に凹むように切り欠かれた切欠き凹部を有する。現像容器は、回転軸方向において第1遮蔽部の両端部に隣接し、上方に向かって突出する第2遮蔽部を有する。挟持端部は、周方向に対して、切欠き凹部と重なる位置にあり、第2遮蔽部は、回転軸方向に対して切欠き凹部と重なる位置にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の構成によれば、現像剤担持体と、シール部材、及び押圧部材との接触によって、現像剤担持体と現像容器との隙間が塞がれる。また、押圧部材の切欠き凹部が形成された箇所の径方向の厚みは、他の箇所よりも薄くなっている。これにより、挟持端部に作用する押圧部材の復元力が比較的小さなものとなるため、シール部材の、回転軸方向の中央部分から挟持端部にかけての部分が変形しにくくなり、この部分と、現像容器、又は現像剤担持体とに隙間が生じるのを抑制できる。
【0013】
また、シール部材の長手方向の端縁の全域に亘って上方に突出する第1遮蔽部と、回転軸方向に対して切欠き凹部と重なる位置にある第2遮蔽部によって、仮に、挟持端部と、現像容器、及び現像剤担持体との間から現像剤が僅かに流出したとしても、この流出した現像剤は、第1遮蔽部および第2遮蔽部によって現像装置の外部へと流出するのを遮られる。よって、現像剤が現像装置の外部へと流出するのをより効果的に抑制できる。従って、現像剤担持体と現像容器の隙間から現像剤が流出するのを抑制しつつ、画像形成装置への装着時に、現像剤が現像装置の開口部周辺から画像形成装置本体の内部に落下することを抑制できる現像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の画像形成装置1の概略構成を示す側面断面図
図2】現像装置33の全体を示す斜視図
図3】感光体ドラム31、および現像装置33の周辺の部分を拡大した拡大断面図
図4】現像容器36からブッシュカバー63を取り外した状態の現像装置33を示す斜視図
図5】現像装置33から現像ローラー37、規制ブレード64、及びブッシュカバー63を取り外した状態の現像装置33を示す斜視図
図6】現像ローラー37を取り外した状態の現像装置33を、上方から平面視した平面図
図7図6に示す現像装置33をA-A断面線で切断した断面を示す断面図
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の画像形成装置1の概略構成を示す側面断面図である。なお、図1において図示右側を画像形成装置1の前側、図示左側を画像形成装置1の後側とする。また、図1において図示上側を画像形成装置1の上側、図示下側を画像形成装置1の下側とする。
【0016】
図1に示すように、画像形成装置1(ここではモノクロプリンター)は、略直方体形状の筐体構造を有する本体ハウジング10(装置本体)、本体ハウジング10内に収容される給紙部20、画像形成部30、現像装置33、および定着部40を含む。本体ハウジング10の前面側には前カバー11が、後面側には後カバー12、が各々備えられている。本体ハウジング10の上方には本体開口部15が備えられ、本体開口部15を開閉可能なように、本体ハウジング10の上面に上カバー16が設けられている。上カバー16を開放することで、本体開口部15を通じて、本体ハウジング10の内部にアクセスできる。
【0017】
上カバー16の上面には、画像形成後のシート(記録媒体)が排出される排紙部13が備えられている。尚、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパーや画像形成処理を受ける他のシート材料を意味する。
【0018】
現像装置33は、上カバー16が開放されることで、本体開口部15から出し入れ可能となる。画像形成部30および定着部40の各ユニット(現像装置33を除く)は、後カバー12が開放されることで、本体ハウジング10の後面側から出し入れ可能となる。
【0019】
給紙部20は、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット21を含む。給紙カセット21は、その一部が本体ハウジング10の前面から更に前方に突出している。給紙カセット21のうち、本体ハウジング10内に収容されている部分の上面は、給紙カセット天板21Uによって覆われている。給紙カセット21には、シートの束が収容される用紙収容空間、シートの束を給紙のためにリフトアップするリフト板等が備えられている。給紙カセット21の後端側の上部には用紙繰出部21Aが設けられている。この用紙繰出部21Aには、給紙カセット21内のシート束の最上層のシートを1枚ずつ繰り出すための給紙ローラー21Bが配置されている。
【0020】
画像形成部30は、給紙部20から送り出されるシートにトナー像(現像剤像)を形成する画像形成動作を行う。画像形成部30は、感光体ドラム31と、感光体ドラム31の周囲に配置された、帯電部32、露光部35、現像装置33および転写ローラー34を含む。画像形成に用いられる現像剤は、トナーのみからなる非磁性一成分現像剤である。
【0021】
感光体ドラム31(像担持体)は、回転軸と、回転軸周りに回転する外周面と、を備える。感光体ドラム31の外周面には、例えば公知の有機(OPC)感光体で構成され、外周面に電荷発生層、電荷輸送層等で構成される感光層が形成される。感光層は、後述する帯電部32により均一に帯電された後、露光部35により光照射されて帯電を減衰させた静電潜像が形成され、現像装置33により静電潜像を顕在化したトナー像が担持される。
【0022】
帯電部32(帯電装置)は、感光体ドラム31の外周面に対して所定の間隔を置いて配置され、感光体ドラム31の外周面を非接触の状態で均一に帯電させる。具体的には、帯電部32は、チャージワイヤー321およびグリッド電極322(いずれも図3参照)を有する。チャージワイヤー321は、感光体ドラム31の回転軸方向に延びる線状の電極であり、感光体ドラム31との間でコロナ放電を発生させる。グリッド電極322は、感光体ドラム31の回転軸方向に延びる格子状の電極であり、チャージワイヤー321と感光体ドラム31との間に配設される。帯電部32は、チャージワイヤー321に所定の電流値の電流を流すことでコロナ放電を発生させ、且つ、グリッド電極322に所定電圧を印加することで、グリッド電極322に対向する感光体ドラム31の外周面を、所定の表面電位に一様に帯電させる。
【0023】
露光部35(露光装置)は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム31の外周面に、パーソナルコンピューター等の外部装置から与えられる画像データに基づき変調された光を照射する。これにより、露光部35は、感光体ドラム31の外周面に、画像データに基づく画像に対応する静電潜像を形成する。
【0024】
転写ローラー34は、シートの幅方向に平行な回転軸と、感光体ドラム31の外周面に対向する外周面と、を有し、回転軸周りに回転可能なように、本体ハウジング10に支持されている。転写ローラー34は、感光体ドラム31の外周面との間のニップ部を通過するシートに、感光体ドラム31の外周面に担持されているトナー像を転写する。転写の際に、転写ローラー34にはトナーと逆極性の転写電圧が印加される。
【0025】
定着部40は、転写ローラー34よりシート搬送方向の下流に位置し、シートに転写されたトナー像を、シート上に定着させる。定着部40は、定着ローラー41と加圧ローラー42とを有する。定着ローラー41は、加熱源を内部に備え、シートに転写されたトナーを所定温度に加熱する。加圧ローラー42は、定着ローラー41に対して圧接され、定着ローラー41との間に定着ニップ部を形成する。トナー像が転写されたシートが定着ニップ部に通紙されると、トナー像は、定着ローラー41による加熱および加圧ローラー42による押圧によりシート上に定着される。
【0026】
本体ハウジング10内には、シートを搬送するための主搬送路22Fおよび反転搬送路22Bが備えられている。主搬送路22Fは、給紙部20の用紙繰出部21Aから画像形成部30および定着部40を経由して、本体ハウジング10上面の排紙部13に対向して設けられている排紙口14まで延びている。反転搬送路22Bは、シートに対して両面印刷を行う場合に、片面印刷されたシートを主搬送路22Fにおける画像形成部30の上流側に戻すための搬送路である。
【0027】
主搬送路22Fは、感光体ドラム31および転写ローラー34によって形成される転写ニップ部を、下方から上方に向かって通過するように延設される。また、主搬送路22Fの、転写ニップ部よりも上流側には、レジストローラー対23が配置されている。シートは、レジストローラー対23にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで転写ニップ部に送り出される。主搬送路22Fおよび反転搬送路22Bの適所には、シートを搬送するための搬送ローラーが複数配置されている。排紙口14の近傍には排紙ローラー対24が配置されている。
【0028】
反転搬送路22Bは、反転ユニット25の外側面と、本体ハウジング10の後カバー12の内面との間に形成されている。尚、反転ユニット25の内側面には、転写ローラー34およびレジストローラー対23の一方のローラーが搭載されている。後カバー12および反転ユニット25は、それらの下端に設けられた支点部121の軸回りに各々回動可能である。反転搬送路22Bにおいてジャム(紙詰まり)が発生した場合、後カバー12が開放される。主搬送路22Fでジャムが発生した場合、或いは感光体ドラム31のユニットや現像装置33が外部に取り出される場合には、後カバー12に加えて反転ユニット25も開放される。
【0029】
図1に示すように、本体ハウジング10内の、シートの幅方向(図1の紙面方向)に対向する一対の側面17には、ガイドレール18が形成されている。ガイドレール18は、シートの幅方向に凹んだレール構造をなす。ガイドレール18は、本体開口部15から下方に向かって、現像装置33の本体ハウジング10に対する装着位置P1まで延びている。
【0030】
図2は、現像装置33の全体を示す斜視図である。図3は、感光体ドラム31、および現像装置33の周辺の部分を拡大した拡大断面図である。図4は、現像容器36からブッシュカバー63を取り外した状態の現像装置33を示す斜視図である。
【0031】
図2図3図4に示すように、現像装置33は、現像容器36と、現像ローラー37(現像剤担持体)と、供給ローラー38と、攪拌パドル333と、ガイド部69と、を備える。
【0032】
現像容器36は、攪拌された状態の現像剤を収容する攪拌室335と、前後方向に対して攪拌室335よりも後方側に位置する容器開口部60(開口部)と、シート幅方向に対して現像容器36の両端部に着脱可能に装着されたブッシュカバー63(カバー部材)と、を有し、内部にトナーのみからなる非磁性一成分現像剤を収容すると共に、現像ローラー37、供給ローラー38等を収容する。
【0033】
容器開口部60は、現像容器36の後方側(感光体ドラム31に近い側)に開口する矩形状の貫通孔である。容器開口部60は、現像装置33の幅方向(軸方向)に細長く形成されている。
【0034】
現像ローラー37は、容器開口部60に重なるように、容器開口部60の内側に設けられている。現像ローラー37の外周面の一部は、容器開口部60から現像容器36の外側に露出している。現像ローラー37は、現像装置33の幅方向(シートの幅方向)に沿って延びる回転軸39を有する。回転軸39は、回転可能なように現像容器36に支持されている。換言すると、現像ローラー37は、回転軸39周りに回転可能なように、回転軸39を介して現像容器に36に支持されている。以下、回転軸39に沿った方向を、「軸方向」と称する。
【0035】
現像ローラー37は、外周面にトナーを担持可能である。現像装置33が装着位置P1にあるときに、現像ローラー37の容器開口部60から露出している部分と、感光体ドラム31の外周面とが接触、または近接して対向している。この状態で、現像ローラー37は感光体ドラム31へと非磁性一成分のトナー(現像剤)を供給可能である。
【0036】
供給ローラー38は、現像ローラー37と攪拌パドル333との間に設けられており、現像ローラー37の外周面に非磁性一成分のトナー(現像剤)を供給する。攪拌パドル333は攪拌室335内に設けられており、攪拌室335内部の現像剤を攪拌する。
【0037】
ブッシュカバー63は、現像容器36の軸方向の両端部に着脱可能に設けられ、現像容器36の側壁部を構成する。図4に示すように、ブッシュカバー63は、現像ローラー支持孔54と、供給ローラー支持孔55と、位置決め孔56と、を備えている。現像ローラー支持孔54、供給ローラー支持孔55、及び位置決め孔56は、軸方向に貫通する貫通孔である。
【0038】
現像ローラー支持孔54の内径は、現像ローラー37の回転軸39の径よりも大きい。回転軸39は、現像ローラー支持孔54に挿入されて、ブッシュカバー63に対して回転可能に支持されている。供給ローラー支持孔55の内径は、供給ローラー38の回転軸57(図3参照)の径よりも大きい。回転軸57は、供給ローラー支持孔55に挿入されて、ブッシュカバー63に対して回転可能に支持されている。
【0039】
ブッシュカバー63は、現像容器36から軸方向の外側に突出する位置決め突起47に、位置決め孔56が外挿されることで、位置決めされる。ブッシュカバー63は、軸方向沿って突出し、その突出方向の先端に爪形状が形成された複数の係合部58を有し、現像容器36に複数形成された切欠き部59に対して爪形状によって係合部58を係合させる、いわゆるスナップフィット構造により、現像容器36に装着される。
【0040】
図1図2に戻って、ガイド部69は、ブッシュカバー63から突出する円筒状の突起である(ガイド部69はガイドレール18に係合可能になっている。現像装置33は、ガイドレール18にガイド部69を係合させて、ガイドレール18に沿って本体開口部15と装着位置P1との間を移動可能になっている。
【0041】
装着位置P1において本体ハウジング10に装着された現像装置33は、感光体ドラム31の外周面にトナーを供給する。これにより、感光体ドラム31の外周面に形成された静電潜像を現像する(静電潜像を顕在化したトナー像(現像剤像)を形成する)。
【0042】
図2図3に示すように、容器開口部60周辺には、現像容器36の後方側端部に固定された規制ブレード64と、現像ローラー37の軸方向の両端部に設けられた押圧部材43と、容器開口部60よりも後方側(感光体ドラム31に近い側)に位置する平坦部62と、平坦部62上に設けられたシール部材65と、が設けられている。
【0043】
図3に示すように、規制ブレード64は、容器開口部60の開口縁の上方の部分に設けられ、現像ローラー37に向かって突出している。規制ブレード64の突出方向の先端部は、現像ローラー37の外周面に接触、又は近接して配置されている。現像ローラー37上に供給されたトナーは、現像ローラー37の回転に伴って、規制ブレード64と現像ローラー37との間に進入し、さらに摩擦帯電されつつ、一定厚さの薄層として現像ローラー37上に担持される。
【0044】
図5は、現像装置33から現像ローラー37、規制ブレード64(図3参照)、及びブッシュカバー63(図2参照)を取り外した状態の現像装置33を示す斜視図である。図6は、現像ローラー37(図3参照)を取り外した状態の現像装置33を、上方から平面視した平面図である。図7は、図6に示す現像装置33をA-A断面線で切断した断面を示す断面図である。なお、図6には、取り外す前の現像ローラー37の位置を破線により示している。
【0045】
押圧部材43は、容器開口部60の軸方向の両側端部に配置されている(図2参照)。図5図6図7に示すように押圧部材43は、現像ローラー37の径方向に積層された第1積層材50、及び第2積層材51からなる2層構造となっている。第1積層材50は、現像ローラー37と径方向に対向し、現像ローラー37の両端部66の外周面に接触する。第1積層材は、現像ローラー37の外周面に沿って、前方側(供給ローラー38側)に凹むように湾曲した押圧面44を有する(図5参照)。押圧面44は、両端部66の外周面と、現像ローラー37の径方向に対向する。第1積層材50は、所定の厚みを持ったポリテトラフルオロエチレン(いわゆるテフロン(登録商標))のシート体である。
【0046】
第2積層材51は、第1積層材50の、径方向に対する押圧面44と反対側の面に積層されている。第1積層材50と第2積層材51とは接着剤等によって、互いに接着されている。第2積層材51は、現像容器36の内面に対して接着剤等によって固定されている。第2積層材51は、スポンジ等の発泡ウレタンによって形成されている。第2積層材51の厚みは、第1積層材50の厚みよりも厚い。
【0047】
押圧部材43は、押圧面44から第2積層材51にかけて径方向に凹んだ切欠き凹部52が形成されている。切欠き凹部52は、現像ローラー37の周方向に対して、押圧部材43の、後述するシール部材65の第1遮蔽部19に近い側の端部から中央部分に向かって切り欠くように形成されている。切欠き凹部52は、第1積層材50のみを切り欠いて形成されている。第2積層材51の切欠き凹部52と重なる箇所は、周方向において第1積層材50からはみ出ている。
【0048】
押圧部材43の厚み(第1積層材50の厚みと、第2積層材51の厚みとを足し合わせた厚み)は、現像ローラー37の外周面と現像容器36の内面との隙間よりも大きく形成されている。現像ローラー37を現像容器36に取り付けたときに、押圧面44が現像ローラー37の両端部66の外周面と接触すると、押圧部材43は、両端部66によって押圧される。この押圧力によって、第1積層材50は、現像ローラー37の径方向の外側に向かって圧縮される(図7参照)。押圧面44が両端部66に対して接触、及び押圧されることによって、両端部66と現像容器36との隙間を塞ぎ、現像剤が現像容器36内部から流出するのを抑制している。
【0049】
図2図3に戻って、容器開口部60周辺に位置する平坦部62は、現像容器36の内面のうち、現像ローラー37の下方に位置する部分に連接する平面である。平坦部62は、容器開口部60から後方(感光体ドラム31に近づく方向)に延びている。現像装置33が装着位置P1にあるときに、平坦部62は略水平となる。
【0050】
シール部材65は、PETフィルム等から形成された矩形状のシートである。シール部材65は、平坦部62の上に積層されて、接着剤等によって現像容器36に接着されている。シール部材65は、軸方向に細長く形成されている。シール部材65が、軸方向に沿って現像ローラー37の両端部66間にわたって延びている。
【0051】
シール部材65は、前後方向(シート幅方向に直交する方向)の両端縁のうちの、現像ローラー37(供給ローラー38)に近い側の端縁である接触端部67と、現像ローラー37(供給ローラー38)から遠い側の端縁からシール部材65の面方向に立ち上がった第1遮蔽部19と、軸方向の両端縁に位置する挟持端部68と、を有する。
【0052】
接触端部67は、現像容器36と現像ローラー37との間に位置している。接触端部67は、軸方向に対して現像ローラー37の外周面のうち、現像剤を担持する領域の全域に接触している。シール部材65は、接触端部67と現像ローラー37の外周面との接触によって現像容器36と現像ローラー37との隙間を塞ぎ、現像容器36内の現像剤の流出を抑制している。
【0053】
第1遮蔽部19は、スポンジ等によって形成された方形状をなし、シール部材65の表面に接着剤等によって接着されている。第1遮蔽部19は、現像ローラー37と現像容器36の隙間からわずかに流出した現像剤が、現像装置33の外部に落下しないように保持する。
【0054】
図5図6図7に示すように、挟持端部68は、接触端部67と直交するシール部材65の端縁である。シール部材65は、軸方向の中央部分から挟持端部68に向かって、平坦部62から押圧部材43の押圧面44上に乗り上げるように配置されている。挟持端部68は、軸方向に対して切欠き凹部52と重なる位置にある。また、挟持端部68の少なくとも一部は、周方向に対して切欠き凹部52と重なる位置にある。
【0055】
第1遮蔽部19の軸方向の両端部の外側には、上方に突出する板状の第2遮蔽部53が設けられている。第2遮蔽部53は、ブッシュカバー63に一体に形成されている。ブッシュカバー63が現像容器36に装着されている状態で、第2遮蔽部53は、ブッシュカバー63から軸方向に沿って第1遮蔽部19に近づくように延びている。また、この状態のときに、第2遮蔽部53は、軸方向に対して切欠き凹部52と重なる位置にある。
【0056】
図5に示すように、接触端部67と挟持端部68との間に位置する角部45には、面取り形状46が形成されている。面取り形状46は、R面取り加工が施された円弧形状をなす。角部45は、現像ローラー37の外周面と押圧部材43の押圧面44との間に挟まれている。現像ローラー37が回転すると、現像ローラー37の両端部66の外周面がシール部材65の角部45上を摺動する。
【0057】
上記の実施形態の構成によれば、現像ローラー37と、シール部材65、及び押圧部材43との接触によって、現像ローラー37と現像容器36との隙間が塞がれる。また、押圧部材43の切欠き凹部52の形成された箇所は、径方向に凹んでいる。すなわち、押圧部材43の切欠き凹部52が形成された箇所の径方向の厚みは、他の箇所よりも薄くなっている。これにより、現像ローラー37によって第1積層材50が圧縮された状態での切欠き凹部52周辺の復元力も、第1積層材50の他の箇所よりも小さくなる。シール部材65の挟持端部68は切欠き凹部52と重なる位置にあるため、挟持端部68に作用する押圧部材43の復元力が比較的小さなものとなる。このため、シール部材65の、軸方向の中央部分から挟持端部68にかけての部分が変形しにくくなり、この部分と、現像容器36、又は現像ローラー37とに隙間が生じるのを抑制できる。よって、現像容器36内の現像剤の流出をより効率的に抑制できる。
【0058】
また、第2遮蔽部53は、回転軸方向に対して切欠き凹部52と重なる位置にある。このため、仮に、挟持端部68と、現像容器36、及び現像ローラー37との間から現像剤が僅かに流出したとしても、この流出した現像剤は、第2遮蔽部53によって現像装置33の外部へと流出するのを遮られる。よって、現像剤が現像装置33の外部へと流出するのをより効果的に抑制できる。
【0059】
さらに、シール部材65の長手方向の端縁の全域に亘って上方に突出する第1遮蔽部19が設けられている。このため、容器開口部60周辺に廃トナーが堆積していたとしても、現像装置33が本体ハウジング10への装着時に下方を向いたときに、容器開口部60周辺の廃トナーが第1遮蔽部19によってせき止められる。よって、本体ハウジング10内に廃トナーが落下するのを抑制することができる。
【0060】
従って、現像ローラー37と現像容器36の隙間から現像剤が流出するのを抑制しつつ、現像剤が現像装置33の容器開口部60周辺から本体ハウジング10の内部に落下することを抑制できる現像装置33を提供することができる。
【0061】
また、上述の通り、第2遮蔽部材53は、ブッシュカバー63に一体に形成されている。このため、ブッシュカバー63を装着すると同時に、第2遮蔽部材53も所定の位置に位置決めされる。このため、組み立て工数を削減し、製造コストを抑制することができる。
【0062】
その他、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、画像形成装置1の例として、モノクロプリンターについて説明したが、例えば、タンデム方式やロータリー式のカラープリンターにも適用できる。また、複写機、ファクシミリ或いはこれらの機能を備えた複合機等の画像形成装置にも適用できる。
【0063】
また、上記実施形態では、第2遮蔽部53はブッシュカバー63に一体に形成されている、としたが、これに限られず、例えば、現像容器36のブッシュカバー63と異なる部分に一体形成されているものとすることもできる。
【0064】
また、上記実施形態では、第1遮蔽部材19はスポンジから形成されている、としたがこれに限られず、他の材質からなるものであってもよい。また、第1遮蔽部材19は、シール部材65と一体に形成され、シール部材65の端縁から上方に向かって立ち上がるように折り曲げられている構成を採用することもできる。この場合、シール部材65の部品数が減り、製造コストを抑制することができる。
【0065】
また、上記実施形態では、現像剤は、トナーのみからなる非磁性一成分現像剤としたが、トナーとキャリアとを使用した二成分現像剤を採用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、トナーを含んだ現像剤を用いて現像を行う現像装置を備える画像形成装置に利用可能である。本発明の利用により、現像装置の画像形成装置への装着時に、現像剤が現像装置の開口部周辺から画像形成装置本体の内部に落下することを抑制可能な画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置
10 本体ハウジング(装置本体)
19 第1遮蔽部
30 画像形成部
31 感光体ドラム(像担持体)
33 現像装置
36 現像容器
37 現像ローラー(現像剤担持体)
38 供給ローラー
39 回転軸
43 押圧部材
44 押圧面
50 第1積層材
51 第2積層材
52 切欠き凹部
53 第2遮蔽部
60 容器開口部(開口部)
63 ブッシュカバー(カバー部材)
64 規制ブレード
65 シール部材
66 両端部
67 接触端部
68 挟持端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7