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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】車載装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/0813 20220101AFI20241112BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H04L41/0813
H04L12/28 100A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021076604
(22)【出願日】2021-04-28
(65)【公開番号】P2022170464
(43)【公開日】2022-11-10
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】呉 ダルマワン
(72)【発明者】
【氏名】浦山 博史
(72)【発明者】
【氏名】泉 達也
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐輔
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/020025(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/059033(WO,A1)
【文献】特開2017-59210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、車載ネットワークを介して中継装置と通信可能に接続される車載装置であって、
前記中継装置が用いるネットワーク設定情報に関する処理を行う制御部とを備え、
前記制御部は、
前記中継装置から中継処理に関する中継関連情報を取得し、
前記車両の状態に関する車両状態情報を取得し、
取得した前記中継関連情報と前記車両状態情報とを関連付けて、前記車両外に設けられた車外サーバに出力し、
前記車外サーバから、前記中継関連情報及び前記車両状態情報に基づき導出されたネットワーク設定情報を取得し、
取得した前記ネットワーク設定情報に基づき生成したネットワーク設定変更指示を前記中継装置に出力し、
前記車外サーバから取得した前記ネットワーク設定情報は、前記車外サーバに通信可能に接続される複数の車両から出力された中継関連情報及び車両状態情報に基づき導出された情報である
車載装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記車両の状態が切り替えられた場合、切替後の車両状態情報に応じて前記ネットワーク設定情報から前記ネットワーク設定変更指示を生成し、
生成した前記ネットワーク設定変更指示を前記中継装置に出力する
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記中継装置は、前記車載ネットワークにおける所定期間内の通信量が予め定められた閾値を超えた場合、前記中継関連情報を出力し、
前記制御部は、前記中継装置からの前記中継関連情報の出力に応じて、該中継関連情報と前記車両状態情報とを関連付けた情報を前記車外サーバに出力する
請求項1又は請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記車載装置は、
前記車載ネットワークにおける所定期間内の通信量が予め定められた閾値を超えた場合、前記中継関連情報を出力し、
前記制御部は、前記中継装置からの前記中継関連情報の出力に応じて、該中継関連情報と前記車両状態情報とを関連付けた情報を前記車外サーバに出力する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項5】
前記車載ネットワークに接続される前記中継装置の個数は、複数であり、
前記制御部からアクセス可能な所定の記憶領域には、複数の前記中継装置それぞれに対応したネットワーク設定情報それぞれが記憶されており、
前記制御部は、前記中継装置それぞれに対応したネットワーク設定情報を、該中継装置に出力する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項6】
前記中継装置から取得した前記中継関連情報には、前記中継装置が用いているネットワーク設定情報のうち前記車両内の装置内に記憶された設定情報及び、前記中継装置が該ネットワーク設定情報を用いて中継処理を行った期間における通信状態に関する情報を含む
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項7】
前記車両状態情報は、前記車両の使用形態に関する情報を含む
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項8】
車両に搭載され、車載ネットワークを介して中継装置と通信可能に接続されるコンピュータに、
前記中継装置から中継処理に関する中継関連情報を取得し、
前記車両の状態に関する車両状態情報を取得し、
取得した前記中継関連情報と前記車両状態情報とを関連付けて、前記車両外に設けられた車外サーバに出力し、
前記車外サーバから、前記中継関連情報及び前記車両状態情報に基づき導出されたネットワーク設定情報を取得し、
前記車外サーバから取得した前記ネットワーク設定情報は、前記車外サーバに通信可能に接続される複数の車両から出力された中継関連情報及び車両状態情報に基づき導出された情報であり、
取得した前記ネットワーク設定情報に基づき生成したネットワーク設定変更指示を前記中継装置に出力する
処理を実行させるプログラム。
【請求項9】
車両に搭載され、車載ネットワークを介して中継装置と通信可能に接続されるコンピュータに、
前記中継装置から中継処理に関する中継関連情報を取得し、
前記車両の状態に関する車両状態情報を取得し、
取得した前記中継関連情報と前記車両状態情報とを関連付けて、前記車両外に設けられた車外サーバに出力し、
前記車外サーバから、前記中継関連情報及び前記車両状態情報に基づき導出されたネットワーク設定情報を取得し、
前記車外サーバから取得した前記ネットワーク設定情報は、前記車外サーバに通信可能に接続される複数の車両から出力された中継関連情報及び車両状態情報に基づき導出された情報であり、
取得した前記ネットワーク設定情報に基づき生成したネットワーク設定変更指示を前記中継装置に出力する
処理を実行させる情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、エンジン制御等のパワー・トレーン系、エアコン制御等のボディ系等の車載機器を制御するための車載ECU(Electronic Control Unit)が搭載されている。車載ECUは、MPU等の演算処理部、RAM等の書き換え可能な不揮発性の記憶部、及び他の車載ECUと通信するための通信部を含み、記憶部に記憶した制御プログラムを読み込んで実行することにより、車載機器の制御を行う。更に車両には、無線通信の機能を備えた中継装置が実装されており、中継装置を介して、車外のネットワークに接続されているプログラム提供装置と通信し、当該プログラム提供装置から車載ECUの制御プログラムをダウンロード(受信)し、当該車載ECUの制御プログラムを更新することができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-97851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の中継装置においては、中継制御を行う際に用いる設定情報の更新処理が考慮されていないため、当該中継装置を好適に動作させることが困難となることが懸念される。
【0005】
本開示の目的は、車両に搭載される中継装置を好適に動作させることができる車載装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車載装置は、車両に搭載され、車載ネットワークを介して中継装置と通信可能に接続される車載装置であって、前記中継装置が用いるネットワーク設定情報に関する処理を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記中継装置から中継処理に関する中継関連情報を取得し、前記車両の状態に関する車両状態情報を取得し、取得した前記中継関連情報と前記車両状態情報とを関連付けて、前記車両外に設けられた車外サーバに出力し、前記車外サーバから、前記中継関連情報及び前記車両状態情報に基づき導出されたネットワーク設定情報を取得し、取得した前記ネットワーク設定情報に基づき生成したネットワーク設定変更指示を前記中継装置に出力し、前記車外サーバから取得した前記ネットワーク設定情報は、前記車外サーバに通信可能に接続される複数の車両から出力された中継関連情報及び車両状態情報に基づき導出された情報である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、車両に搭載される中継装置を好適に動作させる車載装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る車載装置を含む車載システムの構成を例示する模式図である。
図2】車載装置等の構成を例示するブロック図である。
図3】ネットワーク設定情報の一例を示す説明図である。
図4】車外サーバにて集約される中継関連情報等の一例を示す説明図である。
図5】車載装置等による各処理の一態様を例示する説明図(シーケンス図)である。
図6】車載装置の制御部の処理を例示するフローチャートである。
図7】中継装置の制御部の処理を例示するフローチャートである。
図8】車外サーバの制御部の処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る車載装置は、車両に搭載され、車載ネットワークを介して中継装置と通信可能に接続される車載装置であって、前記中継装置が用いるネットワーク設定情報に関する処理を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記中継装置から中継処理に関する中継関連情報を取得し、前記車両の状態に関する車両状態情報を取得し、取得した前記中継関連情報と前記車両状態情報とを関連付けて、前記車両外に設けられた車外サーバに出力し、前記車外サーバから、前記中継関連情報及び前記車両状態情報に基づき導出されたネットワーク設定情報を取得し、取得した前記ネットワーク設定情報に基づき生成したネットワーク設定変更指示を前記中継装置に出力し、前記車外サーバから取得した前記ネットワーク設定情報は、前記車外サーバに通信可能に接続される複数の車両から出力された中継関連情報及び車両状態情報に基づき導出された情報である。
【0011】
本態様にあたっては、車載装置は、自装置が搭載される車両の状態に関する車両状態情報と、当該車両に搭載されている中継装置から出力される中継関連情報とを関連付けて、車外サーバに出力する。車外サーバは、車載装置から出力された中継関連情報及び車両状態情報に基づき、中継装置に対し好適となるネットワーク設定情報を導出するように構成されており、車載装置は、車外サーバから取得したネットワーク設定情報に基づき生成したネットワーク設定変更指示、又は当該ネットワーク設定情報を中継装置、車載ECU又は中継装置及び車載ECUに出力する。車載装置は、車外サーバによって導出されたネットワーク設定情報等を中継装置に出力及び適用するため、当該中継装置を好適に動作させることができる。車外サーバから取得したネットワーク設定情報は、車外サーバに通信可能に接続される複数の車両から出力された中継関連情報及び車両状態情報それぞれに基づき導出された情報(ネットワーク設定情報)であるため、車外サーバは、多数の車両から出力された情報を集約することができ、当該集約した情報に基づいて、好適なネットワーク設定情報を効率的に導出することができる。車外サーバによって導出されたネットワーク設定情報は、複数の車両それぞれに搭載される各車載装置に出力(送信)されるため、これら複数の車両に搭載される中継装置に対し、当該ネットワーク設定情報を効率的に適用することができる。
【0012】
(2)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、前記車両の状態が切り替えられた場合、切替後の車両状態情報に応じて前記ネットワーク設定情報から前記ネットワーク設定変更指示を生成し、生成した前記ネットワーク設定変更指示を前記中継装置に出力する。
【0013】
本態様にあたっては、車外サーバから取得するネットワーク設定情報は、車両の状態それぞれに対応した複数のネットワーク設定情報を含むものであり、制御部は、これら複数のネットワーク設定情報をアクセス可能な所定の記憶領域に記憶する。制御部は、車両の状態が切り替えられた場合、切替後の状態に対応する車両状態情報を含むネットワーク設定情報を特定し、当該特定したネットワーク設定情報に基づき、ネットワーク設定変更指示を生成し中継装置に出力する。これにより、車両の状態に応じた適切なネットワーク設定情報(ネットワーク設定変更指示)を中継装置に適用し、当該載中継装置を好適に動作させることができる。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る車載装置は、前記中継装置は、前記車載ネットワークにおける所定期間内の通信量が予め定められた閾値を超えた場合、前記中継関連情報を出力し、前記制御部は、前記中継装置からの前記中継関連情報の出力に応じて、該中継関連情報と前記車両状態情報とを関連付けた情報を前記車外サーバに出力する。
【0015】
本態様にあたっては、中継装置は、車載ネットワークにおける所定期間内の通信量が予め定められた閾値を超えた場合、車載装置に中継関連情報を出力するように構成されている。従って、車載装置の制御部は、当該中継関連情報の出力に基づき、車載ネットワークにおける所定期間内の通信量が予め定められた閾値を超えた旨を認識することができる。制御部は、中継装置からの中継関連情報の出力に応じて、車外サーバに中継関連情報等を出力するため、中継装置に現在適用されているネットワーク設定情報によっては通信量が閾値を超える場合、当該中継関連情報等を出力するものとして、車外サーバへの過度な出力(送信)を抑制することができる。車外サーバに出力される中継関連情報及び車両状態情報は、中継装置に適用されているネットワーク設定情報によっては通信量が閾値を超過する等、好適ではない状況での情報である。従って、かかる状況の情報(中継関連情報及び車両状態情報)を車外サーバに集約し、当該情報に基づきネットワーク設定情報を導出させることを、当該車外サーバに行わせることができる。
【0016】
(4)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車載ネットワークにおける所定期間内の通信量が予め定められた閾値を超えた場合、前記中継関連情報を出力し、前記制御部は、前記中継装置からの前記中継関連情報の出力に応じて、該中継関連情報と前記車両状態情報とを関連付けた情報を前記車外サーバに出力する。
【0017】
本態様にあたっては、車載装置の制御部は、車載ネットワークにおける所定期間内の通信量が予め定められた閾値を超えた場合、中継関連情報を出力するように構成されている。従って、車載装置の制御部は、当該中継関連情報の出力に基づき、車載ネットワークにおける所定期間内の通信量が予め定められた閾値を超えた旨を認識することができる。制御部は、中継関連情報の出力に応じて、車外サーバに中継関連情報等を出力するため、中継装置として機能する車載装置に現在適用されているネットワーク設定情報によっては通信量が閾値を超える場合、当該中継関連情報等を出力するものとして、車外サーバへの過度な出力(送信)を抑制することができる。車外サーバに出力される中継関連情報及び車両状態情報は、中継装置として機能する車載装置に適用されているネットワーク設定情報によっては通信量が閾値を超過する等、好適ではない状況での情報である。従って、かかる状況の情報(中継関連情報及び車両状態情報)を車外サーバに集約し、当該情報に基づきネットワーク設定情報を導出させることを、当該車外サーバに行わせることができる。
【0018】
(5)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車載ネットワークに接続される前記中継装置の個数は、複数であり、前記制御部からアクセス可能な所定の記憶領域には、複数の前記中継装置それぞれに対応したネットワーク設定情報それぞれが記憶されており、前記制御部は、前記中継装置それぞれに対応したネットワーク設定情報を、該中継装置に出力する。
【0019】
本態様にあたっては、記憶領域に記憶されているネットワーク設定情報は、複数の中継装置それぞれに対応したネットワーク設定情報それぞれを含み、制御部は、中継装置に対応したネットワーク設定情報、又は当該ネットワーク設定情報に基づき生成したネットワーク設定変更指示を、該中継装置に出力する。これにより、車載ネットワークに接続される中継装置が複数である場合であっても、個々の中継装置に対し、これら中継装置を好適に動作させることができる。
【0020】
(6)本開示の一態様に係る車載装置は、前記中継装置から取得した前記中継関連情報には、前記中継装置が用いているネットワーク設定情報のうち前記車両内の装置内に記憶された設定情報及び、前記中継装置が該ネットワーク設定情報を用いて中継処理を行った期間における通信状態に関する情報を含む。
当該通信状態に関する情報とは、通信トラフィック量(実測値)、バッファ滞留量(実測値)及び品質情報(実測値)等の情報である。
ネットワーク設定情報を記憶している車両内の装置とは、例えば、車載装置や中継装置のような装置のことである。ただし、これ以外にもネットワーク設定情報を記憶している装置が車内にあればそれを利用しても良い。
ネットワーク設定情報のうち前記車両内の装置内に記憶された設定情報とは、車外サーバで車両の各中継装置に設定されているネットワーク設定情報が一意に特定できる情報を指す。例えば、ネットワーク設定情報のうち、後述する図3のVer番号により、車外サーバで当該中継装置に設定されるネットワーク設定情報が特定できる場合、前記Ver番号でも良い。
【0021】
本態様にあたっては、中継装置から取得し、車外サーバに出力する中継関連情報には、中継装置が現時点にて用いているネットワーク設定情報及び、該ネットワーク設定情報にて中継処理が行われた期間の通信状態に関する情報を含むため、当該情報に基づきネットワーク設定情報を導出させることを、当該車外サーバに行わせることができる。
【0022】
(7)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車両状態情報は、前記車両の使用形態に関する情報を含む。
【0023】
本態様にあたっては、車両状態情報は、例えば、自動運転状態、カーシェア状態等の車両の使用形態(利用シーン)、一般道路走行状態、高速道路走行状態、雨天走行状態等の車両の走行状態、リプロ状態、及びバッテリー充填状態等、車両がとり得る複数の状態に関する情報を含む。車外サーバから取得したネットワーク設定情報は、これら個々の車両状態情報ごとの情報を含むため、当該ネットワーク設定情報を中継装置に適用することにより、個々の車両状態情報に応じて中継装置を好適に動作させることができる。
【0024】
(8)本開示の一態様に係るプログラムは、車両に搭載され、車載ネットワークを介して中継装置と通信可能に接続されるコンピュータに、前記中継装置から中継処理に関する中継関連情報を取得し、前記車両の状態に関する車両状態情報を取得し、取得した前記中継関連情報と前記車両状態情報とを関連付けて、前記車両外に設けられた車外サーバに出力し、前記車外サーバから、前記中継関連情報及び前記車両状態情報に基づき導出されたネットワーク設定情報を取得し、前記車外サーバから取得した前記ネットワーク設定情報は、前記車外サーバに通信可能に接続される複数の車両から出力された中継関連情報及び車両状態情報に基づき導出された情報であり、取得した前記ネットワーク設定情報に基づき生成したネットワーク設定変更指示を前記中継装置に出力する。
【0025】
本態様にあたっては、コンピュータを、車両に搭載される中継装置を好適に動作させる車載装置として用いることができる。
【0026】
(9)本開示の一態様に係る情報処理方法は、車両に搭載され、車載ネットワークを介して中継装置と通信可能に接続されるコンピュータに、前記中継装置から中継処理に関する中継関連情報を取得し、前記車両の状態に関する車両状態情報を取得し、取得した前記中継関連情報と前記車両状態情報とを関連付けて、前記車両外に設けられた車外サーバに出力し、前記車外サーバから、前記中継関連情報及び前記車両状態情報に基づき導出されたネットワーク設定情報を取得し、前記車外サーバから取得した前記ネットワーク設定情報は、前記車外サーバに通信可能に接続される複数の車両から出力された中継関連情報及び車両状態情報に基づき導出された情報であり、取得した前記ネットワーク設定情報に基づき生成したネットワーク設定変更指示を前記中継装置に出力する。
【0027】
本態様にあたっては、コンピュータにより、車両に搭載される中継装置を好適に動作させる情報処理方法を提供することができる。
【0028】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る車載装置2等の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0029】
(実施形態1)
以下、実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る車載装置2を含む車載システムSの構成を例示する模式図である。図2は、車載装置2等の構成を例示するブロック図である。車載システムSは、車両Cに搭載された車外通信装置1、車載装置2、中継装置3、及び車載ECU4を含み、車載装置2は車外通信装置1を介して、車外ネットワークNに接続されている車外サーバ100と通信可能に接続されている。
【0030】
車外サーバ100は、例えばインターネット又は公衆回線網等の車外ネットワークNに接続されているサーバ等のコンピュータであり、CPU等による制御部102、記憶部101、及び通信部103を備える。記憶部101は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)又はハードディスク等により構成される。記憶部101には、車両Cに搭載される中継装置3等を制御するためのネットワーク設定情報が記憶されている。通信部103は、例えばイーサネット(登録商標)に対応した通信I/Fである。
【0031】
車外サーバ100は、車外ネットワークNを介して、複数の車両Cと通信可能に接続されており、これら車両Cから中継関連情報及び車両状態情報を取得することにより、当該複数の車両Cそれぞれが保有している中継関連情報及び車両状態情報を集約する。個々の車両Cから送信される中継関連情報と車両状態情報とは関連付けられて、当該車両Cから外部サーバに送信される。従って、外部サーバは、取得した中継関連情報が、個々の車両Cにおいてどのような状態(利用シーン)での中継関連情報であるかを確実に把握することができる。
【0032】
車外サーバ100は、複数の車両Cから取得及び集約したこれら情報に基づき、例えば機械学習又は統計分析処理を行うことにより、ネットワーク設定情報を導出する。当該ネットワーク設定情報は、複数の車両Cから集約した情報(中継関連情報及び車両状態情報)に基づき導出されるため、個々の車両状態(利用シーン等)に応じて好適化された情報(好適化ネットワーク設定情報)となる。車外サーバ100は、導出したネットワーク設定情報を複数の車両Cに送信することにより、当該ネットワーク設定情報は、当該複数の車両Cに配信されるものとなる。外部サーバ及び車両Cとの通信処理等の詳細は、後述する。車外サーバ100は、車両Cに搭載される車載装置2、中継装置3及び車載ECU4等の制御プログラムを車両Cに送信(配布)し、当該車両Cにて適用されている各種の制御プログラムを更新するOTA(Over The Air)サーバであってもよい。
【0033】
車両Cには、車外通信装置1、車載装置2、中継装置3及び、種々の車載機器(センサ、アクチュエータ)を制御するための複数の車載ECU4が搭載されている。車外通信装置1と車載装置2とは、例えばイーサネット等の通信プロトコルに対応した通信線51(イーサネットケーブル)によって通信可能に接続されている。車載装置2には、複数の中継装置3が通信線51によって接続されることにより、カスケード状の車載ネットワーク5が構成される。中継装置3には、複数の車載ECU4が通信線51によって通信可能に接続されている。これら車載ネットワーク5における通信接続形態はイーサネットに限定されず、例えばCAN等の通信プロトコルに対応したCANバスによるものであってもよい。
【0034】
車外通信装置1は、車外通信部11及び車内通信部12を含む。車内通信部12は、例えば、100BASE-T1又は1000BASE-T1等のイーサネットケーブルによる通信線51にて伝送されるTCP/IPのパケットに対応するイーサネットPHY部である。車外通信装置1は、車内通信部12及び、イーサネットケーブル等の通信線51を介して、車載装置2と通信可能に接続されている。
【0035】
車外通信部11は、4G、5G、WiFi等の移動体通信のプロトコルを用いて無線通信をするための通信装置であり、車外通信部11に接続されたアンテナ13を介して車外サーバ100とデータの送受信を行う。車外通信装置1と車外サーバ100との通信は、例えば公衆回線網又はインターネット等の車外ネットワークNを介して行われる。
【0036】
本実施形態では、車外通信装置1は、車載装置2と別装置とし、車内通信部12等によってこれら装置を通信可能に接続しているが、これに限定されない。車外通信装置1は、車載装置2の一構成部位として、車載装置2に内蔵されるものであってもよい。
【0037】
車載装置2は、制御部20、記憶部21、入出力I/F22、車内通信部23などを含む。車載装置2は、例えばヴィークルコンピュータ等の中央制御装置(コントローラ)により構成され、車両C全体の制御を行う統合ECUであってもよい。車載装置2は、車両Cの利用シーン等による状態(車両状態)を監視、又は当該車両状態の切替制御を行うものであってもよい。車載装置2は、車両状態の切替に応じて、中継装置3に対しネットワーク設定変更指示を出力(送信)し、当該中継装置3のネットワーク設定変更させる制御処理を行う。車載装置2は、中継装置3であってもよい。例えば、車載ネットワーク5がカスケード状のトポロジーである場合、最上位に位置する中継装置3が、本実施形態における車載装置2として機能し、下位に接続される他の中継装置3に対し、ネットワーク設定変更させる制御処理を行うものであってもよい。
【0038】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成されている。制御部20は、記憶部21に予め記憶された各プログラム及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行う。記憶部21に記憶された各プログラム等は、車載装置2が読み取り可能な記録媒体211から読み出された制御プログラムを記憶したものであってもよい。また、記憶部21に記憶された各プログラム等は、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラムをダウンロードし、記憶部21に記憶させたものであってもよい。
【0039】
記憶部21は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成してある。記憶部21には、中継装置3それぞれに対応したネットワーク設定情報が記憶されている。更に、記憶部21には、それぞれの中継装置3から取得した中継関連情報が記憶(蓄積)されている。
【0040】
入出力I/F22は、例えばシリアル通信するための通信インターフェイスである。入出力I/F22を介して、車載装置2は、ディスプレイ等の表示装置(図示せず)及び、車両Cの起動及び停止を行うIGスイッチ(図示せず)と通信可能に接続される。
【0041】
車内通信部23は、例えばイーサネット等の通信プロトコルを用いた入出力インターフェイス(イーサネットPHY部)であり、制御部20は、車内通信部23を介して車載ネットワーク5に接続される中継装置3、車載ECU4又は車外通信装置1と相互に通信する。車内通信部23は、複数、設けられており、車内通信部23それぞれに、車載ネットワーク5を構成する通信線51が接続されている。
【0042】
中継装置3は、車載装置2と同様に制御部30、記憶部31、及び車内通信部32を備え、個々の機能部の構成は、車載装置2が備える機能部と同様の構成である。中継装置3は、例えばレイヤー2スイッチ、又はレイヤー3スイッチとして機能するイーサスイッチ(イーサSW)である。中継装置3の記憶部31には、中継制御(スイッチング制御)を行うためのネットワーク設定情報が記憶されている。中継装置3の記憶部31に記憶されているネットワーク設定情報は、車載装置2から出力(送信)されるネットワーク設定変更指示(ネットワーク設定情報)に基づき特定される情報であり、車両Cの利用シーン等の車両状態それぞれに対応した情報である。当該ネットワーク設定情報の詳細は、後述する。
【0043】
車載ECU4は、車載装置2又は中継装置3と同様に制御部(図示せず)、記憶部(図示せず)及び車内通信部(図示せず)を備え、いずれかの中継装置3に接続されている。これら車載ECU4同士は、中継装置3を介してサービス間通信を行い、更に車載装置2と通信するものであってもよい。車載ECU4は、車載装置2から、車両状態(利用シーン等)の切替に関する情報、又は中継装置3と同様にネットワーク設定変更指示(ネットワーク設定情報)を取得(受信)し、当該車両状態(利用シーン等)の切替に対応するものであってもよい。
【0044】
図3は、ネットワーク設定情報の一例を示す説明図である。図3に記載されたCTLはコントローラの略称である。車載装置2の記憶部21には、ネットワーク設定情報が、例えばテーブル形式で記憶されている。車載装置2の制御部20によって参照されるネットワーク設定情報が記憶されている記憶領域は、当該車載装置2の記憶部21に限定されず、例えば、他の車載ECU4又は外部のクラウドサーバ等のストレージ装置等、車載装置2からアクセス可能な記憶領域であってもよい。
【0045】
ネットワーク設定情報は、例えば車両Cの製造段階において車載装置2の記憶部21に初期情報として記憶される。以降、当該車両Cの市場出荷後においても、ネットワーク設定情報は、車載装置2と車外サーバ100とが通信することにより、当該車外サーバ100より取得(ダウンロード)されたネットワーク設定情報に更新(バージョンアップ)される。車外サーバ100から出力(送信)されるネットワーク設定情報は、当該車外サーバ100にて複数の車両Cから取得し集約した情報(中継関連情報及び車両状態情報)に基づき、例えば機械学習又は統計分析等により導出されたものであり、車両状態情報に応じた好適なネットワーク設定情報である。
【0046】
ネットワーク設定情報は、例えばテーブル形式で記憶(保存)され、当該テーブルの管理項目(フィールド)として、Ver番号、ARL、ACL、QoS、車両状態(利用シーン)、通信トラフィック量(設計値)、バッファ滞留量(設計値)、及び品質情報(設計値)を含む。
【0047】
Ver番号の管理項目(フィールド)には、ネットワーク設定情報のバージョン番号が格納される。当該バージョン番号は、ネットワーク設定情報を導出した車外サーバ100によって付与される番号である。
【0048】
ARL(Address Resolution Logic table)の管理項目(フィールド)には、例えば、接続される車載ECU4のMACアドレスと接続されている物理ポート番号との対応関係を示したMACアドレステーブルが格納される。中継装置3が、イーサネットパケットの中継を行うイーサSWである場合、当該ARLを参照することにより、レイヤー2スイッチとして機能する。また、ARLにはMACアドレスとIPアドレスとの対応関係を示したルーティングテーブルを含めてもよい。当該イーサSWは当該ARLを参照することにより、レイヤー3スイッチとしても機能する。
【0049】
ACL(Access Control List)の管理項目(フィールド)には、例えば、車載ECU4間のサービス通信を行う際に用いられるアクセス制御設定に関する情報が格納される。QoS(Quality of Service)の管理項目(フィールド)には、例えば、中継処理を行うにあたり各中継対象パケットに対する優先順位、帯域保証等に関する情報が格納される。
【0050】
車両状態の管理項目(フィールド)には、例えば、自動運転状態、カーシェア状態等の車両Cの使用形態(利用シーン)、一般道路走行状態、高速道路走行状態、雨天走行状態等の車両Cの走行状態、リプロ状態、及びバッテリー充填状態等、車両Cがとり得る複数の車両状態に関する情報が格納される。
【0051】
通信トラフィック量の管理項目(フィールド)には、例えば、中継装置3の車内通信部32それぞれにおける通信トラフィック量の設計値(設計上定められた仕様値)が格納される。通信トラフィック量には、車載装置2又は中継装置3がデータを他の車載ECU4へ送信する際の通信トラフィック量と、車載装置2又は中継装置3がデータを他の車載ECU4から受信する際のトラフィック量の2種類がある。
【0052】
バッファ滞留量の管理項目(フィールド)には、例えば、中継装置3の車内通信部32それぞれにおけるバッファ滞留量の設計値(設計上定められた仕様値)が格納される。
【0053】
品質情報の管理項目(フィールド)には、例えば、中継装置3の車内通信部32それぞれにおいて、パケット破棄を許容するか否か等に関する通信品質に関する設計値(設計上定められた仕様値)が格納される。
【0054】
車載装置2は、車外サーバ100より、新たなネットワーク設定情報を取得し、旧バージョンのネットワーク設定情報を上書き等することにより、新たなネットワーク設定情報のVer番号に更新する。本実施形態における図示においては、当該Ver番号は、例えば1.0から1.1に更新され、当該Ver1.1のネットワーク設定情報においては、最大通信量の想定に基づき、QoSの値が変更されている。
【0055】
車載装置2の記憶部21には、車両Cに搭載される中継装置3それぞれに対応するネットワーク設定情報、すなわち中継装置3それぞれにて用いられるネットワーク設定情報それぞれが、記憶されている。中継装置3それぞれに対応する個々のネットワーク設定情報は、単一のテーブルデータ(ファイル)として記憶(保存)されていてもよく、又は、中継装置3の個数と同数のテーブルデータ(ファイル)として、個々に記憶(保存)されているものであってもよい。
【0056】
車載装置2は、当該ネットワーク設定情報に基づき、車両Cの利用シーン等の車両状態が切り替えられた際、切替後の車両状態(利用シーン)に応じたネットワーク設定変更指示を生成し、生成したネットワーク設定変更指示を、個々の中継装置3に出力(送信)する。個々の中継装置3は、車載装置2から出力されたネットワーク設定変更指示に基づき、中継処理を行うにあたっての制御パラメータを変更する。
【0057】
車載装置2は、ネットワーク設定情報そのものとなるデータファイルを個々の中継装置3に送信(出力)することにより、ネットワーク設定変更指示を送信(出力)するものであってもよい。又は、車載装置2と、中継装置3とは、車外サーバ100から送信されるネットワーク設定情報を共有するものであってもよい。この場合、車両状態(利用シーン等)が切り替えられた場合、車載装置2は、中継装置3に対し、切替後の車両状態(利用シーン等)を示す信号(車両状態切替信号)をネットワーク設定変更指示として出力する。中継装置3は取得した当該車両状態切替信号に基づき、共有されているネットワーク設定情報を参照することにより、自装置の中継処理の制御パラメータを変更するものであってもよい。
【0058】
図4は、車外サーバ100にて集約される中継関連情報等の一例を示す説明図である。車外サーバ100と車外ネットワークNを介して通信可能に接続される複数の車両Cからは、例えば当該車両Cにて所定期間中に通信量が閾値を超えた際、中継関連情報及び車両状態情報が、関連付けられて、当該車外サーバ100に送信(出力)される。車外サーバ100は、これら複数の車両Cから取得(受信)した情報(中継関連情報及び車両状態情報)を、例えばテーブル形式の受信ログ情報として集約し、当該車外サーバ100の記憶部101に記憶(保存)する。
【0059】
受信ログ情報(中継関連情報及び車両状態情報)は、例えばテーブル形式として記憶(保存)され、当該テーブルの管理項目(フィールド)として、受信時刻(通知時刻)、通知車両番号(VIN)、Ver番号、車両状態(利用シーン)、通信トラフィック量(実測値)、バッファ滞留量(実測値)及び品質情報(実測値)を含む。
【0060】
受信時刻(通知時刻)の管理項目(フィールド)には、車両Cから情報(中継関連情報及び車両状態情報)を受信した日時を示す受信時刻が格納される。通知車両番号(VIN)の管理項目(フィールド)には、中継関連情報及び車両状態情報を関連付けて送信(通信)した車両Cを一意に識別するための車両番号が格納されている。当該車両番号は、例えば車両識別番号(VIN:Vehicle Identification Number)であってもよい。
【0061】
Ver番号の管理項目(フィールド)には、車両Cから送信される中継関連情報に含まれるネットワーク設定情報のバージョン番号が格納される。車両状態(利用シーン)の管理項目(フィールド)には、車両Cから送信される車両状態情報に含まれる車両状態(利用シーン等)に関する情報が格納される。
【0062】
通信トラフィック量(実測値)の管理項目(フィールド)には、車両Cから送信される中継関連情報に含まれる通信トラフィック量の実測値が格納される。当該通信トラフィック量の実測値は、各中継装置3の車内通信部32それぞれにおける実測値を含む。バッファ滞留量(実測値)の管理項目(フィールド)には、車両Cから送信される中継関連情報に含まれるバッファ滞留量の実測値が格納される。当該バッファ滞留量の実測値は、各中継装置3の車内通信部32それぞれにおける実測値を含む。品質情報(実測値)の管理項目(フィールド)には、車両Cから送信される中継関連情報に含まれる品質情報の実測値が格納される。当該品質情報の実測値は、各中継装置3の車内通信部32それぞれにおける実測値を含む。
【0063】
車外サーバ100は、これら複数の車両Cから集約した中継関連情報及び車両状態情報に基づき、例えばニューラルネットワーク、SVM、決定木等を用いた機械学習、又は統計分析の手法を用いて、車両状態に対し好適となるネットワーク設定情報を導出する。
【0064】
図5は、車載装置2等による各処理の一態様を例示する説明図(シーケンス図)である。車載システムSに含まれる複数の車両Cそれぞれにおける中継装置3及び車載装置2と、車外サーバ100との連関処理に関し、本実施形態における図示によるシーケンス図を用いて説明する。
【0065】
車両C(1)の車載装置2は、例えば車両Cの利用シーンが切り替えられることにより、当該車両Cの状態(車両状態)の切替を検知する(S1)。当該利用シーンの切替とは、例えば、手動運転状態(手動運転モード)から自動運転状態(自動運転モード)への切替である。
【0066】
車両C(1)の車載装置2は、車両状態の切替検知に基づき、切替後の車両状態(利用シーン)に対応するネットワーク設定変更指示を生成し、中継装置3及び車載ECU4に出力(送信)する(S2)。車載装置2からのネットワーク設定変更指示を取得(受信)した中継装置3及び車載ECU4は、当該ネットワーク設定変更指示に含まれるネットワーク設定情報に基づき、切替後の車両状態(利用シーン)に対応した中継処理及びサービス間通信を行う。
【0067】
車両C(2)の車載装置2についても、車両C(1)と同様に車両Cの状態(車両状態)の切替(例えば、自動運転状態から手動運転状態)を検知(S3)し、当該切替検知に基づき、切替後の車両状態(利用シーン)に対応するネットワーク設定変更指示を生成し、中継装置3及び車載ECU4に出力(送信)する(S4)。
【0068】
車両C(1)の中継装置3は、所定期間にて通信量が閾値を超えた等、通信量の変化を検知(S5)した場合、当該中継装置3の記憶部31に記憶されている中継ログデータ、現時点にて適用されているネットワーク設定情報、及び閾値超えした通信量を収集し、収集した情報を中継関連情報(各種SW関連情報)として、車載装置2に出力(送信)する(S6)。
【0069】
車両C(1)の車載装置2は、中継装置3から取得した中継関連情報(各種SW関連情報)と、現時点における車両状態情報(利用シーン)とを関連付けて、車外サーバ100に出力(送信)する(S7)。このように車載装置2は、中継装置3から送信される中継関連情報を取得することにより、当該中継関連情報を蓄積することができる。
【0070】
車両C(2)においては、中継装置3は、通信量の変化を検知していないため、中継装置3から車載装置2への中継関連情報(各種SW関連情報)の出力(送信)はされず、従って、車載装置2から車外サーバ100への出力(通知)も行われない。
【0071】
車外サーバ100は、複数の車両Cの車載装置2から出力(送信)された中継関連情報及び車両状態情報を取得(受信)することにより、これら情報を集約する。車外サーバ100は、これら集約した中継関連情報及び車両状態情報に基づき、例えばニューラルネットワーク、SVM、決定木等を用いた機械学習、又は統計分析を行い(S8)、車両状態に対し好適となるネットワーク設定情報(NW設定情報)を導出する(S9)。
【0072】
車外サーバ100は、導出したネットワーク設定情報を、車外ネットワークNを介して通信可能に接続される車両C(1)、車両C(2)等の全ての車両Cに出力(配布)する(S10、S11)。
【0073】
車両C(1)の車載装置2は、車外サーバ100から出力(配布)されたネットワーク設定情報を取得(受信)することにより、旧バージョンのネットワーク設定情報から、今回取得したネットワーク設定情報に更新する(S12)。
【0074】
車両C(1)の車載装置2は、更新したネットワーク設定情報に基づき、切替後の車両状態(利用シーン)に対応したネットワーク設定変更指示を生成し、生成したネットワーク設定変更指示を中継装置3及び車載ECU4に出力(送信)する(S13)。
【0075】
車両C(2)の車載装置2は、車両C(1)と同様に車外サーバ100から出力(配布)されたネットワーク設定情報を取得(受信)することにより、旧バージョンのネットワーク設定情報から、今回取得したネットワーク設定情報に更新する(S14)。
【0076】
車両C(2)においては、次回の利用シーンの切替(例えば、手動運転状態から自動運転状態)、すなわち当該更新処理の以降に車両状態の切替が行われた場合、車載装置2は、切替後の車両状態(利用シーン)に対応したネットワーク設定変更指示を生成し、生成したネットワーク設定変更指示を中継装置3及び車載ECU4に出力(送信)する。
【0077】
図6は、車載装置2の制御部20の処理を例示するフローチャートである。図7は、中継装置3の制御部30の処理を例示するフローチャートである。図8は、車外サーバ100の制御部102の処理を例示するフローチャートである。車載装置2の制御部20は、例えば車両Cが起動状態(IGスイッチがオン)又は停止状態(IGスイッチがオフ)において、定常的に以下の処理を行う。車載装置2の制御部20が以下の処理を行うにあたり、中継装置3及び車外サーバ100は、車載装置2と通信し、当該車載装置2の処理に連関して以下の処理を行う。
【0078】
車載装置2の制御部20は、車両Cの状態が切り替えられたか否かを判定する(S101)。車載装置2の制御部20は、車両Cの使用形態(利用シーン)、又は走行状態等、車両Cの状態が替えられたが否かを判定する。車載装置2の制御部20は、例えば、入出力I/F22に接続される車載器又は、いずれかの車載ECU4から送信されたデータに基づき、車両Cの状態に関する情報(車両状態情報)を取得し、当該車両状態情報に基づいて、現時点における車両状態(例えば手動運転状態)から、他の車両状態(例えば自動運転状態)へ切り替えられたか否かを判定する。
【0079】
車両Cの状態が切り替えられていない場合(S101:NO)、中継装置3から中継関連情報を受信したか否かを判定する(S102)。中継装置3から車載装置2への中継関連情報の出力(中継装置3と車載装置2との送受信:A)は、後述する中継装置3の処理フローにおけるT106の処理によって行われる。
【0080】
中継関連情報を受信した場合(S102:YES)、車載装置2の制御部20は、中継関連情報と車両状態情報とを関連付けて車外サーバ100に出力する(S103)。車載装置2の制御部20は、中継装置3から取得した中継関連情報と、現時点における車両状態情報、すなわち当該中継関連情報が中継装置3に収集された時点における車両状態情報とを関連付けて、車外サーバ100に出力する(車載装置2と車外サーバ100との送受信:B)。
【0081】
中継関連情報を受信しなかった場合(S102:NO)、又はS103の実行後、車載装置2の制御部20は、車外サーバ100からネットワーク設定情報を受信したか否かを判定する(S104)。車外サーバ100から車載装置2へのネットワーク設定情報の出力(車外サーバ100と車載装置2との送受信:C)は、後述する車外サーバ100おけるG105の処理によって行われる。
【0082】
ネットワーク設定情報を受信した場合(S104:YES)、車載装置2の制御部20は、ネットワーク設定情報を更新する(S105)。車載装置2の制御部20は、車外サーバ100から受信(取得)したネットワーク設定情報を、当該車載装置2の記憶部21に記憶することにより、ネットワーク設定情報を更新する。
【0083】
車両Cの状態が切り替えられた場合(S101:YES)、又はS105の実行後、車載装置2の制御部20は、中継装置3にネットワーク設定変更指示を出力する(S106)。車載装置2の制御部20は、当該車載装置2の記憶部21に記憶されているネットワーク設定情報を参照し、切替後の車両Cの状態に応じたネットワーク設定変更指示を生成し、生成したネットワーク設定変更指示を中継装置3それぞれに出力(送信)する(中継装置3と車載装置2との送受信:D)。
【0084】
ネットワーク設定情報を受信しなかった場合(S104:NO)、又はS106の実行後、車載装置2の制御部20は、再度S101の処理を実行すべく、ループ処理を行う。
【0085】
中継装置3の制御部30は、車載装置2からネットワーク設定変更指示を受信したか否かを判定する(T101)。車載装置2から中継装置3へのネットワーク設定変更指示の出力(中継装置3と車載装置2との送受信:D)は、車載装置2おけるS106の処理によって行われる。
【0086】
ネットワーク設定変更指示を受信した場合(T101:YES)、中継装置3の制御部30は、ネットワーク設定を変更する(T102)。中継装置3の制御部30は、当該中継装置3の記憶部31に記憶されているネットワーク設定情報を、車載装置2から受信(取得)したネットワーク設定変更指示に基づき、例えば上書き保存することにより、変更する。
【0087】
ネットワーク設定変更指示を受信しなかった場合(T101:NO)、又はT102の実行後、中継装置3の制御部30は、通信量を監視する(T103)。中継装置3の制御部30は、例えば、当該中継装置3の車内通信部32に接続される車載ネットワーク5(通信線51)に流れるデータの通信トラフィック量を取得し、予め定められた所定期間における通信量を積算することにより、通信量の監視を行う。
【0088】
中継装置3の制御部30は、所定期間において、通信量が閾値を超えたか否かを判定する(T104)。中継装置3の制御部30は、当該中継装置3の記憶部31に記憶されている閾値を参照し、自装置が接続されている車載ネットワーク5の通信量が閾値を超えたか否かを判定する。
【0089】
閾値を超えた場合(T104:YES)、中継装置3の制御部30は、中継関連情報を収集する(T105)。中継装置3の制御部30は、例えば、当該中継装置3の記憶部31に記憶されている中継ログデータ、現時点にて適用されているネットワーク設定情報、及び閾値超えした通信量を収集する。当該中継ログデータには、例えば、中継装置3の車内通信部32ごとのパケットロス、バッファオーバフロー等のエラー情報、キューバッファの滞留量、通信トラフィック量、再送又は輻輳発生回数等に基づく通信品質情報を含むものであってもよい。中継装置3の制御部30は、当該通信量を収集するにあたり、収集した通信量を基に統計情報を算出し、通信量に当該統計情報を含めるものであってもよい。
【0090】
中継装置3の制御部30は、収集した中継関連情報を車載装置2に出力する(T106)。中継装置3の制御部30は、通信量が閾値を超えた等、通信量変化の検知をトリガーに中継関連情報を収集し、車載装置2に出力する(中継装置3と車載装置2との送受信:A)。閾値を超えていない場合(T104:NO)、又はT106の実行後、中継装置3の制御部30は、再度T101の処理を実行すべクループ処理を行う。
【0091】
車外サーバ100の制御部102は、車載装置2から中継関連情報及び車両状態情報を受信したか否かを判定する(G101)。車載装置2から車外サーバ100への情報(中継関連情報及び車両状態情報)の出力(車外サーバ100と車載装置2との送受信:B)は、車載装置2の処理フローにおけるS103の処理によって行われる。
【0092】
中継関連情報及び車両状態情報を受信した場合(G101:YES)、車外サーバ100の制御部102は、受信した中継関連情報及び車両状態情報を分析する(G102)。車外サーバ100の制御部102は、分析結果に基づき、車両状態に対し好適なネットワーク設定情報の導出を試みる(G103)。車外サーバ100には、複数の車両Cが通信可能に接続されており、車外サーバ100の制御部102は、複数の車両Cの車載装置2から出力(送信)される中継関連情報及び車両状態情報を取得(受信)し、これら情報を自サーバの記憶部101に記憶している。これにより、車外サーバ100には、複数の車両Cの車載装置2から出力(送信)された中継関連情報及び車両状態情報が関連付けられた状態にて、集約されるものとなる。車外サーバ100の制御部102は、これら集約した中継関連情報及び車両状態情報に基づき、例えばニューラルネットワーク、SVM、決定木等を用いた機械学習、又は統計分析の手法を用いて、車両状態に対し好適となるネットワーク設定情報の導出を試みる。
【0093】
車外サーバ100の制御部102は、好適なネットワーク設定情報を導出できたか否かを判定する(G104)。車外サーバ100の制御部102は、例えばネットワーク設定情報の好適性をシミュレーションするシミュレーター等の好適性確認プログラムを用いることにより、導出したネットワーク設定情報の好適指数を演算し、当該好適指数が所定値以上である場合、好適なネットワーク設定情報を導出できたと判定するものであってもよい。又は、車外サーバ100の制御部102は、ネットワーク設定情報の導出を試みるにあたり、例えば、回帰分析等を用いたイタレーション処理を行い、当該処理結果が収束した場合、好適なネットワーク設定情報を導出できたと判定するものであってもよい。
【0094】
好適なネットワーク設定情報を導出できた場合(G104:YES)、車外サーバ100の制御部102は、導出したネットワーク設定情報を車両Cの車載装置2に出力する(G105)。車外サーバ100の制御部102は、車外ネットワークNを介して自サーバに接続されている複数の車両Cそれぞれに搭載されている各車載装置2に対し、導出したネットワーク設定情報を出力(送信)する(車外サーバ100と車載装置2との送受信:C)。このように車外サーバ100から、複数の車両C(車載装置2)に対しネットワーク設定情報を出力することにより、当該ネットワーク設定情報は、各車両Cに配布されるものとなる。
【0095】
中継関連情報及び車両状態情報を受信しなかった場合(G101:NO)、好適なネットワーク設定情報を導出できなかった場合(G104:NO)、又はG105の実行後、車外サーバ100の制御部102は、再度G101の処理を事項すべく、ループ処理を行う。
【0096】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0097】
S 車載システム
C 車両
N 車外ネットワーク
100 車外サーバ
101 記憶部
102 制御部
103 通信部
1 車外通信装置
11 車外通信部
12 車内通信部
13 アンテナ
2 車載装置(コントローラ)
20 制御部
21 記憶部
211 記録媒体
22 入出力I/F
23 車内通信部
3 中継装置(イーサSW)
30 制御部
31 記憶部
32 車内通信部
4 車載ECU
5 車載ネットワーク
51 通信線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8